画像処理装置
【課題】 蓄積画像の配信機能を含む多機能型カラー複写機等において、配信画像を用いて印刷した画像と、機内で蓄積画像を用いて直接印刷した画像との間に画質の差が生じないようにする処理を配信画像に施す。
【解決手段】 蓄積画像に対する配信処理パスでデータ形式変換装置10を通し、複写機内で直接印刷するために行う画像処理に準じたγ変換107及び2値中間調処理108を画像データに施す。複写機内で直接印刷するために行う中間調処理が多値の誤差拡散を用いている場合には、配信用の中間調処理108として2値の誤差拡散を用いることで、機内で直接出力した場合と複写機から外部PCに配信し、プリンタ経由で印刷した場合の画質を近くすることができ、また、2値としたことで汎用フォーマットのTIFFの圧縮を圧縮器109でかけることができる。
【解決手段】 蓄積画像に対する配信処理パスでデータ形式変換装置10を通し、複写機内で直接印刷するために行う画像処理に準じたγ変換107及び2値中間調処理108を画像データに施す。複写機内で直接印刷するために行う中間調処理が多値の誤差拡散を用いている場合には、配信用の中間調処理108として2値の誤差拡散を用いることで、機内で直接出力した場合と複写機から外部PCに配信し、プリンタ経由で印刷した場合の画質を近くすることができ、また、2値としたことで汎用フォーマットのTIFFの圧縮を圧縮器109でかけることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信機能及びキャプチャ機能を備えた、例えば、MFP(コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の多機能を複合させた)カラー複写機のように、原稿画像の入力手段を通して得た画像データを蓄積し、蓄積した画像データをもとに印刷出力を行うほか、外部機器(コンピュータ等)へ配信することを可能にした画像処理装置に関し、より特定すると、配信した画像データを用いて印刷出力をしても、元の画像データによる印刷出力との間で画質に違いが生じないようにし、より汎用性の高いデータとして画像データを配信するための変換・処理を蓄積画像データに施す手段を備えた前記画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機においては、コピー機能のほかに、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を搭載したMFP機が一般化しつつあり、これに伴ってこれらの機能を支えるネットワーク技術の導入が進行している。また、ネットワーク化は、PC(Personal Computer)、複写機等の画像処理装置相互間でそれぞれが取得、蓄積した画像データの共有を可能にし、配信機能及びキャプチャ機能として実現している。
ネットワーク間で画像データを共有するシステムを構成する複写機では、コピー機能の利用時に、プリント出力に都合の良いCMYKデータを機内のHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置に蓄積し、プリント出力における機能の拡張を図っているので、配信データとして用いる画像もHDDに蓄積されたCMYKデータをもとにするという方法が通常とられている。ただ、CMYKデータをそのまま配信すると、配信先によってはこのデータが配信先で処理できないデータ形式であるために、利用に不都合が生じる場合がある。
このような問題を解決するための方法を提案する従来例として、下記特許文献1、2を示すことができる。特許文献1では、スキャナから読み込んだRGB(R:Red、G:Green、B:Blue)表色系のデータと、スキャナ入力したRGBから色変換をして得たCMYK(C:Cyan、M:Magenta、Y:Yellow、K:Black)表色系のデータをともに蓄積し、印刷出力と配信要求に対応してそれぞれに適合するデータを使用する、としている。また、特許文献2では、CMYKデータとしてHDDに蓄積した画像を、配信の際に、配信先の要求に従って、解像度、色空間(sRGB等の標準色空間)及びファイル形式(JPEGやTIFF等の汎用のファイル形式)に変換することにより、利用に不都合が生じない様にしている。
【特許文献1】特開2001−36750号公報
【特許文献2】特開2004−159035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、MFP機のHDDに蓄積した画像データをネットワーク間で共有するシステムでは、上記特許文献1,2に示す様に、スキャナ入力時のデータ形式は同じでも、蓄積データとしては、入力時のRGBのままであったり、或いはCMYKデータに変換する、といったように、異なる形式で統一がとられていない。また、この蓄積画像データをネットワーク配信の対象とし、配信先では、このデータを用いてプリント出力を行うこともある。このプリント出力は、受け取った画像データを配信元のMFP機(ソースデータを蓄積した)に戻して行う場合もあるが、他のプリンタで出力が行われることもある。
このように、同じスキャナ入力による画像データを用いて再印刷をする場合にも、出力に用いるデータの形式を異にしたり、出力機を異にするという状況になるが、こうした状況にもかかわらず、データソースを共通にする場合には、同じ出力結果が得られること、即ち、出力画質を一致させることが望ましい、とする要求がある。
しかしながら、上記特許文献2は、配信先において、受け取ったデータの処理を容易にする、即ち、汎用のアプリケーションで画像を見たり、編集したりすることを可能にして、データの利用性の向上を図ることができるとしているが、再印刷等の出力を行った場合の画質の一致性という課題を直接解決する手段を提供するものではない。また、上記特許文献1においても、同様に、再印刷等の出力を行った場合の画質の一致性に対する認識は、ない。
本発明は、HDD等の記憶装置に蓄積した画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)における上述の従来技術の問題に鑑み、これを解決するためになされたもので、その解決課題は、配信された画像データを用いて印刷した画像と、共通のソース画像として蓄積されたデータを用いて画像処理装置側で直接印刷した画像との間に画質の差が生じないような画像処理を施して画像データを配信するようにした前記画像処理装置を提供することにある。
【0004】
また、原稿画像をカラー・モノクロ画像データとして蓄積し、蓄積画像データを基にプリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする、例えばMFPカラー複写機等の画像処理装置において、配信画像データをPC等で利用する場合に、上記したように異なる出力機器で画像出力を行うことが想定され、出力機器の違いにより出力結果に現れる画質の一致性が保証されない。この問題に対する解決方法として、ネットワーク間で共有する画像データを標準化されたデータとする方法をとることが望ましい、とする動きがある。
この方法をMFPカラー複写機等の画像処理装置に適用する際の一つの問題点は、カラー画像とモノクロ画像の互換性の問題である。カラー画像とモノクロ画像の互換性が悪いと、モノクロ画像データを用いて、画像処理装置自身のプリンタや、配信先で異なる出力機器によりプリント出力を行うと、画質のばらつきが大きくなってしまうので、互換性を高めることが必要になるが、これまでに、この問題を解決するためのアプローチが為されていない。
本発明は、HDD等の記憶装置に蓄積したカラー・モノクロ画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)における上述の問題点に鑑み、これを解決するためになされたもので、ネットワーク間で共有するカラー・モノクロ画像データを標準化されたデータとすることにより、配信画像の利用性を保つようにするとともに、標準化の際にカラー画像とモノクロ画像の互換性を高めるようにすることによって、異なる出力装置で出力された画像間に画質の相違が生じないようすることを、さらなる解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、画像データを蓄積する画像蓄積手段と、蓄積された画像データに印刷出力用データとしてのγ変換及び中間調処理を施す印刷出力用画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データのデータ形式を配信出力用のデータに変換するデータ形式変換手段と、該データ形式変換手段によって変換された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、前記データ形式変換手段が、設定された処理モードに基づいて、蓄積画像データに、前記印刷出力用画像処理手段に準じたγ変換及び2値化方式の中間調処理を施す画像処理手段を備えた画像処理装置により、課題の解決を図る。
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像処理装置において、前記印刷出力用画像処理手段及び前記データ形式変換手段それぞれの中間調処理を施す手段が、処理対象画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を可能とする手段であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって中間調処理方式を切り替える機能をもつ手段であること特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって処理パラメータを切り替える機能をもつ手段であること特徴とするものである。
【0007】
請求項5の発明は、原稿画像をRGB3成分で入力する画像入力手段と、入力された原稿画像データに、モード設定に従った画像特性の変更、及び所定の色空間への変換を施す第1の画像処理手段と、第1の画像処理手段を通した画像データを蓄積する画像蓄積手段と、該画像蓄積手段に蓄積された画像データに、印刷出力用データとしての画像特性の変更、及び色空間への変換を施す第2の画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、第1の画像処理手段が、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換し、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換する変換手段と、所定の色空間を標準色空間とする色変換手段を備えた画像処理装置により、課題の解決を図る。
請求項6の発明は、請求項5に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備える色変換手段を、sRGB空間とsYCbCr空間の少なくとも一方の標準色空間への変換手段としたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜4の発明によると、蓄積画像データをネットワークへの配信出力用のデータに変換する際に、装置内で直接印刷するために行う画像処理に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で画像データに施すようにしたことにより、転送後のデータをプリンタドライバー経由で再印刷したときの画像と、同じ蓄積画像データを用いて装置内で直接印刷した画像との間に画質の相違が生じないようにすることが可能になり、特に、モノクロ2値の汎用フォーマットであるような場合に一致性を高めることができる。
しかも、中間調処理として画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を採用し画質の向上を行なっている場合でも、上記(1)の効果の実現が可能となる(請求項2)。
しかも、配信画像用の中間調処理としてディザ処理のような方式を用いている場合、低解像度になると再印刷した場合にディザの大きさが大きくなり画質的に問題が生じるが、出力解像度によって中間調処理方式を切り替えるようにし、即ち、低解像度時には解像度低下の目立たない誤差拡散などの処理に切り替えることで解像度低下による画質劣化を回避することが可能になる(請求項3)。
しかも、配信画像用の中間調処理に処理パラメータを切り替える方式を用いること、即ち、1方式で高解像度用の印刷時に粒状性の向上する処理と低解像度用の印刷時に解像度低下の目立たない処理に出力解像度に応じて連続的に切り替えることにより、解像度低下による画質劣化を回避し、画質の向上を図ることが可能になる(請求項4)。
【0010】
(5)RGB3成分の入力画像データをモノクロ画像データとして蓄積する際、カラー画像データとモノクロ画像データの輝度特性線を一致させていることから、モノクロ画像データはカラー画像データの彩度を0としたデータと等価であるという概念で、画像データを扱うことができる。よって、画像処理装置外部へ画像データを配信し、画像データを編集・加工・蓄積するときに、カラーとモノクロの画像データを輝度という意味で識別する必要をなくすこと、即ち、カラーとモノクロの画像データの互換性を高めることが可能となる(請求項5)。
(6)しかも、配信先の機器で用いるディスプレイ、アプリケーションソフト等が、標準色空間である、sRGB空間やsYCbCr空間に対応している場合、より配信元の入力画像データ(読み取り原稿イメージ)に忠実な画像を出力することが可能となる(請求項6)。
(7)しかも、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成するようにしたことにより、グレー1成分の画像データを容易に得ることが可能となり(請求項7)、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成するようにしたことにより、請求項7の方法に比べ、より高画質なグレー1成分の画像データを得ることが可能となる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の画像処理装置に係わる実施形態を示す。
なお、以下に示す実施形態は、いずれも、HDD等の記憶装置に蓄積した画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)において、配信した画像データを用いて印刷出力をしても、元の蓄積画像データによる印刷出力との間で画質に違いが生じないようにし、また、より汎用性の高いデータとして画像データを配信するための変換・処理を蓄積画像データに施す手段を備えた前記画像処理装置に関する。
下記では「実施形態1」〜「実施形態8」として分説するが、大きくは2群に分けることができ、「実施形態1」〜「実施形態4」は、配信する画像データに対し、装置内で直接印刷出力をする場合に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で行うようにした点を特徴とする。
また、もう一方の「実施形態5」〜「実施形態8」は、ネットワーク間で共有する蓄積画像データを標準化されたカラー・モノクロ画像データとして対応する画像処理装置であり、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データとし、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換し、蓄積するようにした点を特徴とする。
【0012】
「実施形態1」
本例は、本発明の画像処理装置に係わる実施形態として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリンタ機能及び蓄積画像データの配信機能等の多機能を搭載したデジタルカラー複写機(MFP機)へ実施した例を示す。
図1は、本実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
先ず、図1を参照して、デジタル複写機の各部の構成及び原稿を複写する際の処理、即ち、原稿画像の読み取り、読み取り画像の蓄積、蓄積画像を用いた印刷出力、という過程で行なわれるコピー時の処理フローに沿い、その内容の概要を説明する。
原稿を読み取る場合、読み取りユニット1のスキャナによって、セットされた原稿は、R,G,B(R:Red、G:Green、B:Blue)に色分解された各色8bitの画像データとして読み取られる。
読み取られた画像データは、スキャナ補正部2に送られ、各種の補正や変換等が施される。図2は、スキャナ補正の構成例を示す図で、同図に示すように、ここでは、スキャナγ21、画質モードに対応したフィルタ22の処理、変倍24及び色補正26の各処理が行われる。入力側のRGBの色信号は、色補正26の処理により、出力側では、C,M,Y,K(C:Cyan、M:Magenta、Y:Yellow、K:Black)の色信号に変換される。なお、スキャナ補正部2、後述するプリンタ補正部7ブロックなどのエンジン部にある処理部は、エンジンコントローラ12によって制御される。
【0013】
変倍後のCMYK各色8bitの色データは固定長の圧縮機(図示せず)によって各色2bitの色データに圧縮される。固定長の圧縮器の出力は、汎用バスI/F15につながっており、非可逆圧縮後のCMYK画像データは、汎用バスI/F15を通ってプリンタコントローラ4に送られる。
プリンタコントローラ4は、半導体メモリ11に各色毎に独立したメモリ領域(C、M、Y、K)を持ち、ここに送られたデータを一旦格納した後、HDD5に蓄積する。本例のコピーのスキャナ読み取り解像度は600dpiなのでコピー時の蓄積解像度は600dpiである。
HDD5への画像データの蓄積は、データをプリントアウトする時に用紙がつまり、印字が正常に終了しなかった場合でも、再び原稿を読み直すのを避けるためであったり、電子ソート等の画像データの操作を行うためである。また、この外に、読み取った原稿を蓄積しておき、必要なときに、再印刷したり、ネットワーク配信をする、といった再出力の機能をサポートする。
印刷出力する場合は、HDD5内のCMYKの圧縮データは、一旦半導体メモリ11に展開され、次に汎用バス15をとおりエンジン部に送られる。エンジン部の固定長の伸張器(図示せず)により、再びCMYK8bitの画像データに復元される。このデータは、プリンタ補正7に送られる。図3は、プリンタ補正7の構成例を示す図で、同図に示すように、ここでは、CMYKの各色に対してプリンタγ補正71を行ったのち、レーザ書き込みユニット8および作像ユニット9に合わせた中間調処理72を施す。
プリンタ補正7から出力されたデータは、レーザ書き込みユニット8にてLD(レーザダイオード)用データに変換し、作像ユニット9により潜像、現像、転写、定着を経て、転写紙に出力される。
なお、上記したコピー時の処理フローは、カラーの動作モードの説明を行ったが、モノクロの動作モードの場合には、スキャナ補正部2(図2参照)の色補正部26でRGBから8bitのgrayscale画像に変換され、同様の圧縮を施した後、汎用バス15を通り、プリンタコントローラ側に送られ、半導体メモリ11のメモリKのプレーンに画像が格納される。従って、この場合には、HDD5には圧縮後のグレースケール画像が蓄積される。
【0014】
また、プリンタ機能の使用時の動作として、外部PC19からプリント要求があった場合、プリンタコントローラ4でそのコマンドに従った処理を行う。プリンタコントローラ4におけるプリント要求コマンドに対する処理は、公知の技術であるから、ここでは詳説はしないが、カラーのプリンタ動作の場合は、ラスターイメージ処理(RIP)が行われ、CMYK各色1〜4bit程度の低bitのRIP画像が生成される。モノクロのプリンタ動作の場合は、K版のみ1bitのRIP画像が生成される。
RIP処理されたCMYKやKの画像はプリンタコントローラ4上の専用の圧縮器によって順次圧縮される。これはRIP後のデータサイズが大きいため、圧縮せずにメモリ上に蓄積すると非常にたくさんのメモリを消費するからで、圧縮後のデータがHDD5に蓄積される。なお、プリンタ機能で用いる解像度は、通常、300、600、1200dpi等である。
また、スキャナ画像配信機能は、コピー機能の様に、印刷出力を同時に行わずに、スキャナ入力画像をHDD5経由で配信することを可能にし、HDD5に蓄積したスキャナ入力画像は、必要なときに配信したり、印刷出力が可能となる。
さらに、FAX機能は、スキャナ入力画像データをプリンタコントローラ4内の2値可逆可変長圧縮器によってFAXデータとして圧縮し、HDD5には、この圧縮方式で圧縮された2値画像が蓄積される。なお、FAX機能で用いる解像度は、通常、200、300、400dpiである。
このようにMFP機のHDD5内には、様々なフォーマットで圧縮された、様々な解像度のデータが存在する。HDD5内に蓄積される画像データの圧縮フォーマットと解像度をまとめると、下記[表1]のようになる。
【表1】
【0015】
上記したようなMFP機(図1〜3)をネットワーク間で画像データを共有するシステムの要素とする場合、外部PC19等からHDD5内に蓄積された画像データを対象として、それを利用する要求が行われる。
しかし、[表1]にも示したように、HDD5内に蓄積されている画像データは、色々な種類があり、それらがどれも独自のフォーマットであるため、そのまま外部PC19に転送しても、何のデータであるか簡単に見ることはできず、利用性を低下させてしまう。
そこで、これらを汎用の画像フォーマットに変換することによって、利用性の向上を図るようにする。即ち、外部PC19等に配信する画像データに対して、複写機内の機器依存のデータ形式から汎用のデータ形式に変換を行う。加えて、本実施形態では、汎用のデータ形式への変換の際に、複写機内で印刷出力をする場合に準じた変換・処理を施すことにより、配信画像データを用いて印刷した画像と、複写機側で蓄積画像データを用いて印刷した画像との間に画質に差が生じないようにし、これらの条件を与えた画像データとして配信し、ネットワーク間で画像データを共有するシステムのパフォーマンスの向上を図る。
配信画像データに対するこのような変換・処理手段として、本例では、データ形式変換装置10を備え、蓄積画像データに対する配信処理パスでこのデータ形式変換装置10を通す。データ形式変換装置10では、複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で画像データに施すことにより、上記の条件に合う配信画像データを生成することを可能とする。
【0016】
図4は、本実施形態のデータ形式変換装置10の1例をブロック図にて示す。
図4を参照して、配信画像データに対する変換・処理をより具体的に説明する。データ形式変換装置10では、入力ポート101を通った画像データは、第1の形式の伸張器102で伸張された後、解像度変換105によって解像度変換が行われ、次いで、フィルタ処理106により画像データのMTFの強弱を調整するフィルタ処理が施される。
この後、画像データの濃度特性を調整するγ処理をγ処理107で、また、2値中間調処理108で多値の画像データを2値の画像データに量子化する処理を行う。このときに行うγ変換及び中間調処理を、複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じた処理とする。
ここに、“複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じた”とは、次の条件に適う処理である。即ち、コピー画像の蓄積データを複写機内で印刷する場合、プリンタ補正7(図3参照)の処理によって、プリンタγ71と中間調処理72が行なわれるが、この場合の処理は、電子写真のエンジンに適合する処理が行われる。この処理条件に合わせるように行われる処理が“準じた処理”であり、画質に差が生じないようにするための条件となる。
つまり、複写機内で出力する場合に行われる処理と配信するときに行われる処理の一致性を条件とすることにより、実現を図る。電子写真のエンジンは、一画素16階調くらいまでの階調表現をするものであることが多い。そのため、中間調処理72が誤差拡散であれば、16値の誤差拡散などが使われる。ただ、電子写真のエンジンは多階調を表現できるのに対して、モノクロの汎用のファイルフォーマットであるTIFF(Tagged Image File Format)画像は2値であることが一般的である。そのため、図4の例に示すように、中間調処理として2値中間調処理108を用いる。
従って、例えば、複写機内で印刷出力するために行う中間調処理(図3)が多値の誤差拡散を用いている場合には、配信用の中間調処理(図4)として2値の誤差拡散を用いることで、複写機内で直接出力した場合と複写機から外部PC19に配信し、プリンタドライバ経由で印刷した場合の画質を近くすることができる。なお。こうした原理は、勿論モノクロの場合でも同様に成り立つので、モノクロ画像データに対しても実施可能である。
データ形式変換装置10では、上記のようにしてγ処理と2値中間調処理を施した後、第2の形式への圧縮器109によって第2の形式のデータへと圧縮された後、出力ポート110を通して汎用バス15経由で出力される。第2の形式のデータとしては、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式、TIFF形式など汎用のデータ形式とする。
【0017】
「実施形態2」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理を適応的な中間処理とすることにより、画質の向上を図るものである。
コピー時に蓄積したデータを複写機側で再印刷する場合のように、スキャナ入力した蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合、図5の(A)に示すプリンタ補正7(図1参照)の処理によってγ処理71と中間調処理72が行なわれ、印刷出力に用いるデータとする。この場合の中間調処理72は、電子写真のエンジンに合った処理が行われる。一般的に、電子写真のエンジンは、集中型のディザのようにドットを固めて印字する中間調処理の方が粒状性は良くなるので、絵柄部の印刷に向いている。他方、文字部については、ディザによると先鋭性が劣化するので不向きである。
そのため、本実施形態では、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えて適応的な中間処理を行う。中間調処理72の内部構成を表す図5(B)に示すように、中間調処理方式を異にする多値誤差拡散72sと多値ディザ72dを用意し、入力画像の特徴量抽出72fと閾値処理72hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
ここに、特徴量抽出72fは、1次微分係数やラプラシアンなどの組み合わせで求める公知の方法を用いることにより実施し得る。特徴量抽出72fで得られた多値表現をとる特徴量を閾値処理72hで所定のしきい値処理を行うことにより2値化して、文字と判定された部分には、多値誤差拡散72sを適用し、絵柄と判定された部分には多値ディザ72dを適用する。このような適応的な中間調処理方式を用いることで文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立することができる。
【0018】
一方、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の実施形態1の場合と同様である。
このため、本実施形態では、データ形式変換装置10(図4、参照)内の中間調処理において、上記したプリンタ補正5に採用した中間調処理(図5)に準じ、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えて適応的な中間処理を行う。
図6は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図6の(B)に示すように、中間調処理方式を異にする2値誤差拡散108sと2値ディザ108dを用意し、入力画像の特徴量抽出108fと閾値処理108hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
特徴量抽出の方法は、上記したプリンタ補正5に採用した中間調処理(図5)と全く同じである。ここでは、文字と判定された部分には2値誤差拡散108sを適用し、絵柄と判定された部分には2値ディザ108dを適用する。このような適応的な中間調処理方式を用いることで、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、更にこのデータを印刷する場合でも文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立することが可能となる。
【0019】
上記の例(図6)では、絵柄と判定された部分は2値ディザ108dを適用するとしたが、プリンタ補正5で用いた多値ディザに比べて2値ディザは、同一線数で比較すると階調性が少なくなり擬似輪郭が多くなる。
この点を改良するために、2値ディザ108dの代わりにディザしきい値による変動しきい値誤差拡散などを用いて2値化を行う方法を適用しても良い。
図7は、データ形式変換装置10内の本例の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図6の(B)に示すように、中間調処理方式を異にする2値誤差拡散108sと2値変動閾値誤差拡散108vを用意し、入力画像の特徴量抽出108fと閾値処理108hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
図7のヴァリエーションは、適用する中間調処理方式の一方を、上記図6の例における2値ディザ108dに代えて2値変動閾値誤差拡散108vとした以外、図6の例と構成動作に違いはない。ここでは、絵柄と判定された部分には2値変動閾値誤差拡散108vを適用する。
2値変動閾値誤差拡散108vの1例を図8に示す。この例では、図8(A)に示すような“8×8”の閾値テーブルを用いて閾値処理を行い、中間調の2値化処理を行う。2値化は、量子化部108v-2の閾値処理により行う。誤差拡散は、量子化誤差を減算部108v-3により求め、得た誤差によって重み付け加算値設定部108v-4により定められる加算値を加算部108v-1で入力データに加える。
上記したような適応的な中間調処理方式を用いることで、文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立させ、さらに絵柄部に対して擬似輪郭の発生を抑制することが可能となる。
【0020】
「実施形態3」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理方式を出力解像度により切り替えるようにすることにより、解像度低下による画質の劣化を回避するものである。
コピー時に蓄積したデータを複写機側で再印刷する場合のように、スキャナ入力した蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合、図5の(A)に示すプリンタ補正7(図1参照)の処理によってγ処理71と中間調処理72が行なわれ、印刷出力に用いるデータとする。この場合の中間調処理72は、電子写真のエンジンに合った処理が行われる。一般的に、電子写真のエンジンは、集中型のディザのようにドットを固めて印字する中間調処理の方が粒状性は良くなるので、絵柄部の印刷に向いている。他方、文字部については、ディザによると先鋭性が劣化するので不向きである。そのため、上記実施形態2では、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えることで画質の両立を図っている。
一方、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の実施形態1の場合と同様である。
【0021】
しかし、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信する場合には、データ形式変換装置10(図4)の解像度変換105で解像度の変換が行なわれる。この場合、600→150dpiなどのように低解像度に変換されることが、想定される。
配信画像を利用する外部PC19等では、低解像度に変換された画像を用いて印刷出力を行う場合、プリンタドライバーで印刷用のデータを生成するが、そのときには、画像が拡大されて元の大きさに変換される。このため、上記実施形態2で示した中間調処理(図6参照)方法を適用しても、絵柄側のディザパターンの部分などは150dpiのときには、“4×4”倍になり、解像度が劣化して見苦しい画像になる。
そこで、低解像度に対しては、劣化を回避できる誤差拡散を適用する。即ち、低解像度の時には解像度が保たれる誤差拡散、高解像度のときにはディザといったような切替を行なうことでこのような不具合を避けるようにする。
図9は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図9の(B)に示すように、低解像度に適用する中間調処理方式である2値誤差拡散108sと比較的高解像度に適用するディザを2値ディザ(1)108d-1及び2値ディザ(2)108d-2として、2段階で用意し、入力画像の解像度選択信号によって、解像度に適合する中間調処理を選択し、処理の適正化を図る。
本例では、外部PC19側での引き取り解像度が、600dpiの高解像度の場合には100線前後のディザを用い、解像度が400〜300dpiの時は200線前後のディザを用い、また、解像度が300dpi以下の場合は、誤差拡散を用いる。
このように、解像度に応じた中間調処理を用いることで、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に引き取るときの解像度が低い場合でも、絵柄部の解像度が極端に落ちてしまうことはない。なお、このような中間調処理の効果は、全面ディザをもちいる写真モードなどにも当てはまる。
【0022】
「実施形態4」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理のパラメータを出力解像度により切り替えることにより、画質の向上を図るものである。
HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の各実施形態の場合と同様である。
また、配信画像に対し、上記実施形態3で説明したように、低解像度の場合の解像度劣化を抑えることも要求され、実施形態3では、外部PC19等の引き取り解像度によって中間調処理の方式を切り替えることにより、低解像度の場合に起きる画質の劣化を抑える例を示した。
しかし、実施形態3の方法では、処理方式自体を切り替えるので、解像度による処理の差が目立ってしまう場合がある。
そこで、同一の中間調処理方式によっても、解像度に適合する処理を可能にする方法を用いることにより、実施形態3で起こり得る問題を解決するもので、ここでは、中間調処理方式を変えることなく、解像度により処理パラメータを切り替えることで、上記解像度による処理の差を目立たないようにする。
【0023】
本実施形態では、データ形式変換装置10内の中間調処理108に2値変動閾値誤差拡散を用いることを実施化手段とするもので、2値変動閾値誤差拡散に用いる手段は、実施形態2における中間調処理108において用いたと同様の手段を適用可能である。
図10は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図10の(B)に示すように、中間調処理108を構成する2値変動閾値誤差拡散ユニットは、2値変動閾値誤差拡散108v(図8)と、入力画像の解像度選択信号によって、2値変動閾値誤差拡散108vに設定するディザ閾値の選択信号を発生するディザ閾値選択部108cよりなる。
図8に示す2値変動閾値誤差拡散108vは、処理パラメータとしてのディザ閾値を変化させることで誤差拡散からディザ状の誤差拡散まで変化させることができる。具体的には、図8に示す量子化部108v-2の閾値処理に用いる閾値テーブルを解像度によって変更することにより実施し得る。
図11は、閾値テーブルを変更することによって得られる2値中間調処理の例として、(A)〜(C)の3種を示すものである。図11を参照して、本例の2値変動閾値誤差拡散108vによる中間調処理を以下の例で説明する。
HDD5の蓄積画像データをネットワーク経由で外部PC19等に引き取るときの解像度が、例えば600dpiといった高解像度のときには、図8に示す量子化部108v-2の閾値処理に用いる“8×8”の閾値テーブルには、図11の(A)に示す“87線”のディザで用いている閾値を設定する。また、解像度が400dpiになると、図11の(B)に示す“106線”のディザで用いている閾値に設定を変更する。300dpiでは、図11の(C)に示す“173線”のディザで用いている閾値に設定を変更する。
更に低解像度では、“173線”のディザで用いている閾値をだんだん平らにしてゆき、200dpiでは全面フラットの“128”の閾値を設定する。これより低い解像度では全面誤差拡散となる。
このような制御を行なうことにより、解像度による処理の違いによる画質の差を目立たなくすることができる。特に、ディザ閾値から誤差拡散に変化する300dpiから200dpiでは、大きな切り替わりが起こらないので、解像度により処理方式が大きく変わることで、処理の違いによる画質の差が目立ってしまうこともない。
【0024】
「実施形態5」
上記「実施形態1」〜「実施形態4」は、画像処理装置内に蓄積された画像データをネットワーク間で共有する画像処理システムを構成する画像処理装置において、配信する画像データに対し、装置内で直接印刷出力をする場合に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で行うようにした点を特徴とした。以下に示す「実施形態5」〜「実施形態8」は、上記と同様の画像処理システムを構成する画像処理装置において、ネットワーク間で共有する蓄積画像データの配信を受け、その配信データを利用する場合におけるデータの利用性、特に配信データを印刷出力に用いる場合の有用性を保証することを意図するもので、標準化されたカラー・モノクロ画像データへの変換、処理に特徴を有する。
「実施形態5」〜「実施形態8」では、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、スキャナ配信機能及び蓄積画像データの配信機能等の多機能を搭載したデジタルカラー複写機(MFP機)へ実施した例を示す。
本実施形態に示すMFP機のような画像処理装置では、画像処理装置内部のHDD等の記憶媒体に蓄積されている画像データを、ネットワーク経由で外部クライアントPCに配信し、外部クライアントPCにて画像データに編集・加工処理を施し、再度、配信元の画像処理装置の記憶媒体に蓄積し直して、画像処理装置のプロッタにて印刷出力させる機能を実現する。本実施形態は、上記の機能を利用する際に画像データに要求されるデータの利用性、特に配信データを印刷出力に用いる場合の有用性を保証するために、蓄積するカラー・モノクロ画像データの標準化に加え、モノクロのモード時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データとし、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換するようにした点に特徴を有する。
【0025】
図12は、本実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。なお、画像データ処理システムは、MFP機をネットワーク接続し、MFP機を外部PC19がネットワークを介して利用することを可能に構成するシステムである。
先ず、図12を参照して、MFP機の各部の構成及び原稿をコピーする際の処理、即ち、原稿画像の読み取り、読み取り画像の蓄積、蓄積画像を用いた印刷出力、という過程で行なわれるコピー時の処理フローに沿い、その内容の概要を説明する。
画像処理装置200のスキャナユニット201は、ユニット内の光学系スキャナ装置によって、原稿を読み取り、反射率空間のRGB3成分の画像データとして入力され、入力された画像データは、第1画像処理ユニット203に転送される。
第1画像処理ユニット203は、RGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施し、さらに標準色空間の画像データに変換して、HDD等の記憶媒体205に蓄積する。このとき、ユーザーの要求により、画像データの読み取りをモノクロと指示された場合は、画像データの成分数を変換し、RGB3成分の画像データを、Gray1成分の画像データに変換して蓄積する。このモノクロモードの処理の際、蓄積するモノクロ画像データの輝度カーブを、標準色空間の輝度カーブに合わせる処理によって得たデータを蓄積する。このモノクロ画像データへの変換処理が本発明の特徴となるものであり、後記でその実施形態をより詳細に説明する。
【0026】
記憶媒体205に蓄積された画像を印刷用のデータとして出力するときには、第2画像処理ユニット206を通す。第2画像処理ユニット206は、記憶媒体に蓄積された画像データから印刷出力すべきデータを読み出して、カラー画像データの場合は、RGBからCMYKの画像データに変換し、変換したCMYKデータにプロッタの出力ダイナミックレンジに合わせた量子化を施し、プリンタγ処理及び中間調処理を行った後、プロッタユニット208へ転送する。
プロッタユニット208は、電子写真式のプロッタの場合、第2画像処理ユニット206から送られてくる画像データ出力を、レーザーによる書き込みを行うため、LD(レーザダイオード)駆動用データに変換し、次いでLD書き込みによる潜像の形成、現像、転写、定着を経て、画像データが転写紙に出力される。
上記の処理過程を経て、MFP機はコピー動作を実現する。なお、プロッタユニット208から画像データが出力された後も、記憶媒体205上に蓄積された画像データはそこに保存されており、この画像データをコピー動作以外に、後述するように、ネットワーク間で共有するデータとして外部のPC19からの利用を可能とする。
【0027】
次に、画像処理装置200の記憶媒体に蓄積されている画像データをネットワーク経由で配信機能を用いて外部のクライアントPC19で利用するときの画像データの処理フローについて、その概要を説明する。ここでは、画像処理装置200からネットワーク経由で接続されているクライアントPC19へ画像が配信され、クライアントPC19で編集・加工・蓄積された後、再度、ネットワーク経由で画像処理装置200へ転送され、画像処理装置200内で印刷出力される場合の処理フローを例に説明をする。
先ず、記憶媒体205に蓄積された画像データを読み出して、ネットワークIF209を介して外部のクライアントPC19へデータを配信する。このデータ配信動作の要求は、画像処理装置200の操作部(図示せず)、もしくは、クライアントPC19からユーザーが行う。
画像処理装置200から画像データの配信を受けたクライアントPC19は、PC内部で、ユーザー所望の編集・加工を施し、PC内の記憶媒体に蓄積する。
その後、クライアントPC19は、PC内の記憶媒体に蓄積した画像データを、ネットトワークを介して画像処理装置200へ転送する。画像処理装置200は、戻されてきた画像データを受け取り、装置内の記憶媒体205に格納する。
クライアントPC19から送信されてきた画像データに印刷要求が指示されている場合や、その後、記憶媒体205に格納した画像データに印刷出力が指示された場合に、上記したコピー時の処理フローと同様の処理を行う。即ち、第2画像処理ユニット206でRGBからCMYKへの変換、プロッタの出力ダイナミックレンジに合わせた量子化、プリンタγ処理及び中間調処理を行った後、プロッタユニット208で、転写紙への出力を行う。
上記のようなフローに従って、クライアントPC19で配信画像を利用するときには、画像データを処理することにより、画像処理装置200の記憶媒体205に蓄積された画像データを、ネットワークを介して接続されているクライアントPC19が共有し、その利用を可能とする。
【0028】
次に、第1画像処理ユニット203及び第2画像処理ユニット206について、より詳細な説明をする。
第1画像処理ユニット203は、カラー画像データを出力する場合、スキャナユニット201で原稿を読み取り、得られる反射率空間のRGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施すが、その一環として、図13に示すように、標準化ブロック2031によって反射率空間のRGB画像データを標準色空間の画像データに変換する。この色変換は、LUT(Look up Table)を利用することができる。LUTによる色変換は、色変換として公知の手段であり、例えばメモリマップ補間法によるLUTを採用することにより、実施し得る。
また、色変換後に、フィルタブロック2032にて、平滑や強調といった空間フィルタ処理を行う。空間フィルタ処理は、用途によって固定係数の場合もあれば、適応的に係数が変化する適応フィルタの場合もある。
【0029】
他方、ユーザーの指示により、画像データの読み取りモードをモノクロと指示された場合は、第1画像処理ユニット203は、Gray出力をする。この場合、スキャナユニット201で原稿を読み取り、得られる反射率空間のRGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施すが、その一環として、図14に示すように、スキャナで読み取られたRGB色空間の画像データに対して、先ず標準化ブロック2031によって標準色空間の画像データに変換する。
標準化ブロック2031にて画像データを標準色空間に変換した後、CM変換ブロック2033にて、RGB3成分からGray1成分に変換する(変換の方式については、後述)。
次いで、標準化Aブロック2034にて、Gray1成分のデータをRGB標準色空間の輝度特性線のカーブに合わせるように、γカーブ(特性線)による補正を施す。標準化Aブロック2034の補正は、LUT(Look up Table)を利用することができる。例えば、標準色空間がsRGBやsYCbCrであれば、(1/2.2)べき乗の反射率となる。
この後、上記したカラー画像と同様に、フィルタブロック2032にて空間フィルタ処理を行う。
【0030】
第2画像処理ユニット206は、カラー画像データを出力する場合、記録媒体205に蓄積された画像データが標準色空間のRGB等のデータであるから、プロッタユニットで印刷出力に用いるCMYK色空間の画像データに変換し、さらにこの画像データにプロッタ等の機器依存の特性への補正・変換を施す。その1例を示す図15では、記憶媒体205に蓄積されたRGB空間の画像データである場合、これを、色変換ブロック2061にて、RGBからCMYK色空間の画像データへ色変換を施す。この色変換は、LUT(Look up Table)を利用することができる。LUTによる色変換は、色変換として公知の手段であり、例えばメモリマップ補間法によるLUTを採用することにより、実施し得る。また、行列演算によるマスキング法によっても行える。
色変換の後、CMYK空間の画像データに対して、γ変換ブロック2062にてγ補正処理を行い、また、中間調処理ブロック2063にて中間調処理が行われる。γ補正処理によって、プロッタのCMYK各版の濃度特性ばらつき、機器全体の経時的な濃度変動など機器依存の特性に合わせるための補正が行われる。また、中間調処理によって、プリンタの出力ドットの階調数に合わせて量子化が行われる。この量子化処理の方法としては、公知のディザ法や誤差拡散法を適用することにより実施可能である。
【0031】
他方、ユーザーの指示により、画像データの読み取りモードをモノクロと指示された場合は、記録媒体205に蓄積された画像データがGray1成分のデータであり、カラー画像データの場合に必要となる色変換は行わない(図5の色変換ブロック2061は不要せある)ので、図16に示す処理フローとなる。
Gray1成分のデータに対して、γ変換ブロック2062にてγ補正処理を行い、また、中間調処理ブロック2063にて中間調処理が行われる。γ補正処理によって、プロッタのK版の濃度特性ばらつき、機器全体の経時的な濃度変動など機器依存の特性に合わせるための補正が行われる。なお、中間調処理は、Gray1成分のデータに対し、カラー画像に対してと同様方法によって量子化処理が行われる。
このような画像データの処理手段を用いることで、画像処理装置200の記憶媒体205に蓄積されている画像データを、ネットワークを介して接続されているクライアントPC19に標準色空間の画像データとして公開可能で、かつ、カラースキャナを持つMFP機で読み取ったモノクロ画像データを、カラー画像データと同じ輝度カーブを持つデータとし、カラーとモノクロの画像データの互換性を高めることができる。
【0032】
「実施形態6」
本実施形態は、上記実施形態5をベースに、記憶媒体205に蓄積する標準色空間の画像データをsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータとし、配信先のPC等で用いるディスプレイ、アプリケーションソフト等に対応可能な汎用の形式として、配信元の入力画像データ(読み取り原稿イメージ)に忠実な画像出力を可能とすることを意図するものである。
上記実施形態5に例示した第1画像処理ユニット203においては、スキャナ入力された反射率空間のRGB3成分の画像データを色変換する標準化ブロック2031(図13,図14、参照)を、sRGB色空間やsYCbCr色空間のデータへの変換を施すための手段とし、標準化ブロック2031の後段に設けたCM変換ブロック2033、標準化Aブロック2034及びフィルタブロック2032もsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータに対応した手段を採用する。
また、第2画像処理ユニット206においては、カラー画像の場合、記録媒体205に蓄積された画像データが標準色空間のsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータであるから、色変換ブロック2061(図15、参照)として、それぞれの標準色空間に対応してデータをCMYK色空間の画像データへ色変換する手段を採用する。
【0033】
「実施形態7」
本実施形態は、上記実施形態5,6をベースに、モノクロモードの処理においてGray1成分のデータへのCM変換を、RGB3成分の1成分のみを参照して生成する処理とすることにより、Gray1成分の画像データを得ることを可能にするものである。
図17は、本例のCM変換処理の1例を示す。同図に示すように、CM変換ブロック2033aは、入力RGB3成分の画像データ中の1成分をGrayの画像データとして出力する機能を有する。本例では、G成分のみを、Gray信号としてそのまま利用する方法をとっている。なお、G成分に限らず、R,B成分のいずれかであっても良い。
図17に示すようなCM変換ブロック2033aを、モノクロモード時における、第1画像処理ユニット203の処理フロー(図14、参照)に示したCM変換ブロック2033として用いることによって、実施が可能になる。
このようなCM変換手段を用いることで、Gray1成分の画像データを容易に得ることが可能になる。
【0034】
「実施形態8」
本実施形態は、上記実施形態5,6をベースに、モノクロモードの処理においてGray1成分のデータへのCM変換を行うものという点で、上記実施形態7と同様であるが、CM変換の方法を異にし、本例では、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する処理とすることにより、Gray1成分の画像データを得るようにするものである。
図18は、本例のCM変換処理の1例を示す。同図に示すように、CM変換ブロック2033bは、入力RGB3成分の画像データの3成分からGrayの画像データを合成し、出力する機能を有する。
本例では、CM変換ブロック2033bのRGB3成分の合成部として、下記式(1)に示す演算式に従ってRGB3成分を合成し、1成分のGray信号を生成する手段とする。
Gray=(R×2+G×5+B×1)/8 ‥‥‥‥式(1)
このCM変換ブロック2033bを、モノクロモード時における、第1画像処理ユニット203の処理フロー(図14、参照)に示したCM変換ブロック2033として用いることによって、実施することができる。
このようなCM変換手段を用いることで、上記実施形態7の方法に比べ、より高画質なグレー1成分の画像データを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態のデジタルカラー複写機に係わる画像データ処理システムのブロック構成、及びコピー時の画像データパスを示す。
【図2】図1におけるスキャナ補正の内部構成の1例を示す。
【図3】図1におけるプリンタ補正の内部構成の1例(実施形態1)を示す。
【図4】図1におけるデータ形式変換装置の内部構成の1例(実施形態1)を示す。
【図5】図3におけるプリンタ補正における中間調処理の内部構成の1例(実施形態2)を示す。
【図6】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態2)を示す。
【図7】図4における中間調処理の内部構成の他の例(実施形態2)を示す。
【図8】図7における2値変動閾値誤差拡散の内部構成の1例を示す。
【図9】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態3)を示す。
【図10】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態4)を示す。
【図11】閾値テーブルを変更することによって得られる2値中間調処理の3種の例を示す。
【図12】本発明の実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図13】図12における第1画像処理ユニットの内部構成の1例(カラー画像処理対応)を示す。
【図14】図12における第1画像処理ユニットの内部構成の1例(モノクロ画像処理対応)を示す。
【図15】図12における第2画像処理ユニットの内部構成の1例(カラー画像処理対応)を示す。
【図16】図12における第2画像処理ユニットの内部構成の1例(モノクロ画像処理対応)を示す。
【図17】図14におけるCM変換の内部構成の1例(実施形態7)を示す。
【図18】図14におけるCM変換の内部構成の1例(実施形態8)を示す。
【符号の説明】
【0036】
1・・読み取りユニット、 4・・プリンタコントローラ、
5・・HDD、 7・・プリンタ補正、
9・・作像ユニット、 10・・データ形式変換装置、
14・・NIC(ネットワークインターフェースコントローラ)、
19・・外部PC、 71・・プリンタγ、
72・・中間調処理、 107・・γ処理、
108・・2値中間調処理、 200・・画像処理装置、
201・・スキャナユニット、 203・・第1画像処理ユニット、
205・・記憶媒体、 206・・第2画像処理ユニット、
208・・プロッタユニット、 2031・・標準化ブロック、
2033・・CM変換ブロック、 2061・・色変換ブロック。
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信機能及びキャプチャ機能を備えた、例えば、MFP(コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の多機能を複合させた)カラー複写機のように、原稿画像の入力手段を通して得た画像データを蓄積し、蓄積した画像データをもとに印刷出力を行うほか、外部機器(コンピュータ等)へ配信することを可能にした画像処理装置に関し、より特定すると、配信した画像データを用いて印刷出力をしても、元の画像データによる印刷出力との間で画質に違いが生じないようにし、より汎用性の高いデータとして画像データを配信するための変換・処理を蓄積画像データに施す手段を備えた前記画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機においては、コピー機能のほかに、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を搭載したMFP機が一般化しつつあり、これに伴ってこれらの機能を支えるネットワーク技術の導入が進行している。また、ネットワーク化は、PC(Personal Computer)、複写機等の画像処理装置相互間でそれぞれが取得、蓄積した画像データの共有を可能にし、配信機能及びキャプチャ機能として実現している。
ネットワーク間で画像データを共有するシステムを構成する複写機では、コピー機能の利用時に、プリント出力に都合の良いCMYKデータを機内のHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置に蓄積し、プリント出力における機能の拡張を図っているので、配信データとして用いる画像もHDDに蓄積されたCMYKデータをもとにするという方法が通常とられている。ただ、CMYKデータをそのまま配信すると、配信先によってはこのデータが配信先で処理できないデータ形式であるために、利用に不都合が生じる場合がある。
このような問題を解決するための方法を提案する従来例として、下記特許文献1、2を示すことができる。特許文献1では、スキャナから読み込んだRGB(R:Red、G:Green、B:Blue)表色系のデータと、スキャナ入力したRGBから色変換をして得たCMYK(C:Cyan、M:Magenta、Y:Yellow、K:Black)表色系のデータをともに蓄積し、印刷出力と配信要求に対応してそれぞれに適合するデータを使用する、としている。また、特許文献2では、CMYKデータとしてHDDに蓄積した画像を、配信の際に、配信先の要求に従って、解像度、色空間(sRGB等の標準色空間)及びファイル形式(JPEGやTIFF等の汎用のファイル形式)に変換することにより、利用に不都合が生じない様にしている。
【特許文献1】特開2001−36750号公報
【特許文献2】特開2004−159035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、MFP機のHDDに蓄積した画像データをネットワーク間で共有するシステムでは、上記特許文献1,2に示す様に、スキャナ入力時のデータ形式は同じでも、蓄積データとしては、入力時のRGBのままであったり、或いはCMYKデータに変換する、といったように、異なる形式で統一がとられていない。また、この蓄積画像データをネットワーク配信の対象とし、配信先では、このデータを用いてプリント出力を行うこともある。このプリント出力は、受け取った画像データを配信元のMFP機(ソースデータを蓄積した)に戻して行う場合もあるが、他のプリンタで出力が行われることもある。
このように、同じスキャナ入力による画像データを用いて再印刷をする場合にも、出力に用いるデータの形式を異にしたり、出力機を異にするという状況になるが、こうした状況にもかかわらず、データソースを共通にする場合には、同じ出力結果が得られること、即ち、出力画質を一致させることが望ましい、とする要求がある。
しかしながら、上記特許文献2は、配信先において、受け取ったデータの処理を容易にする、即ち、汎用のアプリケーションで画像を見たり、編集したりすることを可能にして、データの利用性の向上を図ることができるとしているが、再印刷等の出力を行った場合の画質の一致性という課題を直接解決する手段を提供するものではない。また、上記特許文献1においても、同様に、再印刷等の出力を行った場合の画質の一致性に対する認識は、ない。
本発明は、HDD等の記憶装置に蓄積した画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)における上述の従来技術の問題に鑑み、これを解決するためになされたもので、その解決課題は、配信された画像データを用いて印刷した画像と、共通のソース画像として蓄積されたデータを用いて画像処理装置側で直接印刷した画像との間に画質の差が生じないような画像処理を施して画像データを配信するようにした前記画像処理装置を提供することにある。
【0004】
また、原稿画像をカラー・モノクロ画像データとして蓄積し、蓄積画像データを基にプリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする、例えばMFPカラー複写機等の画像処理装置において、配信画像データをPC等で利用する場合に、上記したように異なる出力機器で画像出力を行うことが想定され、出力機器の違いにより出力結果に現れる画質の一致性が保証されない。この問題に対する解決方法として、ネットワーク間で共有する画像データを標準化されたデータとする方法をとることが望ましい、とする動きがある。
この方法をMFPカラー複写機等の画像処理装置に適用する際の一つの問題点は、カラー画像とモノクロ画像の互換性の問題である。カラー画像とモノクロ画像の互換性が悪いと、モノクロ画像データを用いて、画像処理装置自身のプリンタや、配信先で異なる出力機器によりプリント出力を行うと、画質のばらつきが大きくなってしまうので、互換性を高めることが必要になるが、これまでに、この問題を解決するためのアプローチが為されていない。
本発明は、HDD等の記憶装置に蓄積したカラー・モノクロ画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)における上述の問題点に鑑み、これを解決するためになされたもので、ネットワーク間で共有するカラー・モノクロ画像データを標準化されたデータとすることにより、配信画像の利用性を保つようにするとともに、標準化の際にカラー画像とモノクロ画像の互換性を高めるようにすることによって、異なる出力装置で出力された画像間に画質の相違が生じないようすることを、さらなる解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、画像データを蓄積する画像蓄積手段と、蓄積された画像データに印刷出力用データとしてのγ変換及び中間調処理を施す印刷出力用画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データのデータ形式を配信出力用のデータに変換するデータ形式変換手段と、該データ形式変換手段によって変換された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、前記データ形式変換手段が、設定された処理モードに基づいて、蓄積画像データに、前記印刷出力用画像処理手段に準じたγ変換及び2値化方式の中間調処理を施す画像処理手段を備えた画像処理装置により、課題の解決を図る。
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像処理装置において、前記印刷出力用画像処理手段及び前記データ形式変換手段それぞれの中間調処理を施す手段が、処理対象画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を可能とする手段であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって中間調処理方式を切り替える機能をもつ手段であること特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって処理パラメータを切り替える機能をもつ手段であること特徴とするものである。
【0007】
請求項5の発明は、原稿画像をRGB3成分で入力する画像入力手段と、入力された原稿画像データに、モード設定に従った画像特性の変更、及び所定の色空間への変換を施す第1の画像処理手段と、第1の画像処理手段を通した画像データを蓄積する画像蓄積手段と、該画像蓄積手段に蓄積された画像データに、印刷出力用データとしての画像特性の変更、及び色空間への変換を施す第2の画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、第1の画像処理手段が、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換し、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換する変換手段と、所定の色空間を標準色空間とする色変換手段を備えた画像処理装置により、課題の解決を図る。
請求項6の発明は、請求項5に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備える色変換手段を、sRGB空間とsYCbCr空間の少なくとも一方の標準色空間への変換手段としたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜4の発明によると、蓄積画像データをネットワークへの配信出力用のデータに変換する際に、装置内で直接印刷するために行う画像処理に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で画像データに施すようにしたことにより、転送後のデータをプリンタドライバー経由で再印刷したときの画像と、同じ蓄積画像データを用いて装置内で直接印刷した画像との間に画質の相違が生じないようにすることが可能になり、特に、モノクロ2値の汎用フォーマットであるような場合に一致性を高めることができる。
しかも、中間調処理として画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を採用し画質の向上を行なっている場合でも、上記(1)の効果の実現が可能となる(請求項2)。
しかも、配信画像用の中間調処理としてディザ処理のような方式を用いている場合、低解像度になると再印刷した場合にディザの大きさが大きくなり画質的に問題が生じるが、出力解像度によって中間調処理方式を切り替えるようにし、即ち、低解像度時には解像度低下の目立たない誤差拡散などの処理に切り替えることで解像度低下による画質劣化を回避することが可能になる(請求項3)。
しかも、配信画像用の中間調処理に処理パラメータを切り替える方式を用いること、即ち、1方式で高解像度用の印刷時に粒状性の向上する処理と低解像度用の印刷時に解像度低下の目立たない処理に出力解像度に応じて連続的に切り替えることにより、解像度低下による画質劣化を回避し、画質の向上を図ることが可能になる(請求項4)。
【0010】
(5)RGB3成分の入力画像データをモノクロ画像データとして蓄積する際、カラー画像データとモノクロ画像データの輝度特性線を一致させていることから、モノクロ画像データはカラー画像データの彩度を0としたデータと等価であるという概念で、画像データを扱うことができる。よって、画像処理装置外部へ画像データを配信し、画像データを編集・加工・蓄積するときに、カラーとモノクロの画像データを輝度という意味で識別する必要をなくすこと、即ち、カラーとモノクロの画像データの互換性を高めることが可能となる(請求項5)。
(6)しかも、配信先の機器で用いるディスプレイ、アプリケーションソフト等が、標準色空間である、sRGB空間やsYCbCr空間に対応している場合、より配信元の入力画像データ(読み取り原稿イメージ)に忠実な画像を出力することが可能となる(請求項6)。
(7)しかも、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成するようにしたことにより、グレー1成分の画像データを容易に得ることが可能となり(請求項7)、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成するようにしたことにより、請求項7の方法に比べ、より高画質なグレー1成分の画像データを得ることが可能となる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の画像処理装置に係わる実施形態を示す。
なお、以下に示す実施形態は、いずれも、HDD等の記憶装置に蓄積した画像データを基に、プリント出力を行うほか、ネットワーク上への配信出力を可能とし、蓄積画像データをネットワーク間で共有することを可能にする画像処理装置(例えば、MFPカラー複写機等)において、配信した画像データを用いて印刷出力をしても、元の蓄積画像データによる印刷出力との間で画質に違いが生じないようにし、また、より汎用性の高いデータとして画像データを配信するための変換・処理を蓄積画像データに施す手段を備えた前記画像処理装置に関する。
下記では「実施形態1」〜「実施形態8」として分説するが、大きくは2群に分けることができ、「実施形態1」〜「実施形態4」は、配信する画像データに対し、装置内で直接印刷出力をする場合に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で行うようにした点を特徴とする。
また、もう一方の「実施形態5」〜「実施形態8」は、ネットワーク間で共有する蓄積画像データを標準化されたカラー・モノクロ画像データとして対応する画像処理装置であり、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データとし、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換し、蓄積するようにした点を特徴とする。
【0012】
「実施形態1」
本例は、本発明の画像処理装置に係わる実施形態として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリンタ機能及び蓄積画像データの配信機能等の多機能を搭載したデジタルカラー複写機(MFP機)へ実施した例を示す。
図1は、本実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
先ず、図1を参照して、デジタル複写機の各部の構成及び原稿を複写する際の処理、即ち、原稿画像の読み取り、読み取り画像の蓄積、蓄積画像を用いた印刷出力、という過程で行なわれるコピー時の処理フローに沿い、その内容の概要を説明する。
原稿を読み取る場合、読み取りユニット1のスキャナによって、セットされた原稿は、R,G,B(R:Red、G:Green、B:Blue)に色分解された各色8bitの画像データとして読み取られる。
読み取られた画像データは、スキャナ補正部2に送られ、各種の補正や変換等が施される。図2は、スキャナ補正の構成例を示す図で、同図に示すように、ここでは、スキャナγ21、画質モードに対応したフィルタ22の処理、変倍24及び色補正26の各処理が行われる。入力側のRGBの色信号は、色補正26の処理により、出力側では、C,M,Y,K(C:Cyan、M:Magenta、Y:Yellow、K:Black)の色信号に変換される。なお、スキャナ補正部2、後述するプリンタ補正部7ブロックなどのエンジン部にある処理部は、エンジンコントローラ12によって制御される。
【0013】
変倍後のCMYK各色8bitの色データは固定長の圧縮機(図示せず)によって各色2bitの色データに圧縮される。固定長の圧縮器の出力は、汎用バスI/F15につながっており、非可逆圧縮後のCMYK画像データは、汎用バスI/F15を通ってプリンタコントローラ4に送られる。
プリンタコントローラ4は、半導体メモリ11に各色毎に独立したメモリ領域(C、M、Y、K)を持ち、ここに送られたデータを一旦格納した後、HDD5に蓄積する。本例のコピーのスキャナ読み取り解像度は600dpiなのでコピー時の蓄積解像度は600dpiである。
HDD5への画像データの蓄積は、データをプリントアウトする時に用紙がつまり、印字が正常に終了しなかった場合でも、再び原稿を読み直すのを避けるためであったり、電子ソート等の画像データの操作を行うためである。また、この外に、読み取った原稿を蓄積しておき、必要なときに、再印刷したり、ネットワーク配信をする、といった再出力の機能をサポートする。
印刷出力する場合は、HDD5内のCMYKの圧縮データは、一旦半導体メモリ11に展開され、次に汎用バス15をとおりエンジン部に送られる。エンジン部の固定長の伸張器(図示せず)により、再びCMYK8bitの画像データに復元される。このデータは、プリンタ補正7に送られる。図3は、プリンタ補正7の構成例を示す図で、同図に示すように、ここでは、CMYKの各色に対してプリンタγ補正71を行ったのち、レーザ書き込みユニット8および作像ユニット9に合わせた中間調処理72を施す。
プリンタ補正7から出力されたデータは、レーザ書き込みユニット8にてLD(レーザダイオード)用データに変換し、作像ユニット9により潜像、現像、転写、定着を経て、転写紙に出力される。
なお、上記したコピー時の処理フローは、カラーの動作モードの説明を行ったが、モノクロの動作モードの場合には、スキャナ補正部2(図2参照)の色補正部26でRGBから8bitのgrayscale画像に変換され、同様の圧縮を施した後、汎用バス15を通り、プリンタコントローラ側に送られ、半導体メモリ11のメモリKのプレーンに画像が格納される。従って、この場合には、HDD5には圧縮後のグレースケール画像が蓄積される。
【0014】
また、プリンタ機能の使用時の動作として、外部PC19からプリント要求があった場合、プリンタコントローラ4でそのコマンドに従った処理を行う。プリンタコントローラ4におけるプリント要求コマンドに対する処理は、公知の技術であるから、ここでは詳説はしないが、カラーのプリンタ動作の場合は、ラスターイメージ処理(RIP)が行われ、CMYK各色1〜4bit程度の低bitのRIP画像が生成される。モノクロのプリンタ動作の場合は、K版のみ1bitのRIP画像が生成される。
RIP処理されたCMYKやKの画像はプリンタコントローラ4上の専用の圧縮器によって順次圧縮される。これはRIP後のデータサイズが大きいため、圧縮せずにメモリ上に蓄積すると非常にたくさんのメモリを消費するからで、圧縮後のデータがHDD5に蓄積される。なお、プリンタ機能で用いる解像度は、通常、300、600、1200dpi等である。
また、スキャナ画像配信機能は、コピー機能の様に、印刷出力を同時に行わずに、スキャナ入力画像をHDD5経由で配信することを可能にし、HDD5に蓄積したスキャナ入力画像は、必要なときに配信したり、印刷出力が可能となる。
さらに、FAX機能は、スキャナ入力画像データをプリンタコントローラ4内の2値可逆可変長圧縮器によってFAXデータとして圧縮し、HDD5には、この圧縮方式で圧縮された2値画像が蓄積される。なお、FAX機能で用いる解像度は、通常、200、300、400dpiである。
このようにMFP機のHDD5内には、様々なフォーマットで圧縮された、様々な解像度のデータが存在する。HDD5内に蓄積される画像データの圧縮フォーマットと解像度をまとめると、下記[表1]のようになる。
【表1】
【0015】
上記したようなMFP機(図1〜3)をネットワーク間で画像データを共有するシステムの要素とする場合、外部PC19等からHDD5内に蓄積された画像データを対象として、それを利用する要求が行われる。
しかし、[表1]にも示したように、HDD5内に蓄積されている画像データは、色々な種類があり、それらがどれも独自のフォーマットであるため、そのまま外部PC19に転送しても、何のデータであるか簡単に見ることはできず、利用性を低下させてしまう。
そこで、これらを汎用の画像フォーマットに変換することによって、利用性の向上を図るようにする。即ち、外部PC19等に配信する画像データに対して、複写機内の機器依存のデータ形式から汎用のデータ形式に変換を行う。加えて、本実施形態では、汎用のデータ形式への変換の際に、複写機内で印刷出力をする場合に準じた変換・処理を施すことにより、配信画像データを用いて印刷した画像と、複写機側で蓄積画像データを用いて印刷した画像との間に画質に差が生じないようにし、これらの条件を与えた画像データとして配信し、ネットワーク間で画像データを共有するシステムのパフォーマンスの向上を図る。
配信画像データに対するこのような変換・処理手段として、本例では、データ形式変換装置10を備え、蓄積画像データに対する配信処理パスでこのデータ形式変換装置10を通す。データ形式変換装置10では、複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で画像データに施すことにより、上記の条件に合う配信画像データを生成することを可能とする。
【0016】
図4は、本実施形態のデータ形式変換装置10の1例をブロック図にて示す。
図4を参照して、配信画像データに対する変換・処理をより具体的に説明する。データ形式変換装置10では、入力ポート101を通った画像データは、第1の形式の伸張器102で伸張された後、解像度変換105によって解像度変換が行われ、次いで、フィルタ処理106により画像データのMTFの強弱を調整するフィルタ処理が施される。
この後、画像データの濃度特性を調整するγ処理をγ処理107で、また、2値中間調処理108で多値の画像データを2値の画像データに量子化する処理を行う。このときに行うγ変換及び中間調処理を、複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じた処理とする。
ここに、“複写機内で印刷出力するために行う画像処理に準じた”とは、次の条件に適う処理である。即ち、コピー画像の蓄積データを複写機内で印刷する場合、プリンタ補正7(図3参照)の処理によって、プリンタγ71と中間調処理72が行なわれるが、この場合の処理は、電子写真のエンジンに適合する処理が行われる。この処理条件に合わせるように行われる処理が“準じた処理”であり、画質に差が生じないようにするための条件となる。
つまり、複写機内で出力する場合に行われる処理と配信するときに行われる処理の一致性を条件とすることにより、実現を図る。電子写真のエンジンは、一画素16階調くらいまでの階調表現をするものであることが多い。そのため、中間調処理72が誤差拡散であれば、16値の誤差拡散などが使われる。ただ、電子写真のエンジンは多階調を表現できるのに対して、モノクロの汎用のファイルフォーマットであるTIFF(Tagged Image File Format)画像は2値であることが一般的である。そのため、図4の例に示すように、中間調処理として2値中間調処理108を用いる。
従って、例えば、複写機内で印刷出力するために行う中間調処理(図3)が多値の誤差拡散を用いている場合には、配信用の中間調処理(図4)として2値の誤差拡散を用いることで、複写機内で直接出力した場合と複写機から外部PC19に配信し、プリンタドライバ経由で印刷した場合の画質を近くすることができる。なお。こうした原理は、勿論モノクロの場合でも同様に成り立つので、モノクロ画像データに対しても実施可能である。
データ形式変換装置10では、上記のようにしてγ処理と2値中間調処理を施した後、第2の形式への圧縮器109によって第2の形式のデータへと圧縮された後、出力ポート110を通して汎用バス15経由で出力される。第2の形式のデータとしては、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式、TIFF形式など汎用のデータ形式とする。
【0017】
「実施形態2」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理を適応的な中間処理とすることにより、画質の向上を図るものである。
コピー時に蓄積したデータを複写機側で再印刷する場合のように、スキャナ入力した蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合、図5の(A)に示すプリンタ補正7(図1参照)の処理によってγ処理71と中間調処理72が行なわれ、印刷出力に用いるデータとする。この場合の中間調処理72は、電子写真のエンジンに合った処理が行われる。一般的に、電子写真のエンジンは、集中型のディザのようにドットを固めて印字する中間調処理の方が粒状性は良くなるので、絵柄部の印刷に向いている。他方、文字部については、ディザによると先鋭性が劣化するので不向きである。
そのため、本実施形態では、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えて適応的な中間処理を行う。中間調処理72の内部構成を表す図5(B)に示すように、中間調処理方式を異にする多値誤差拡散72sと多値ディザ72dを用意し、入力画像の特徴量抽出72fと閾値処理72hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
ここに、特徴量抽出72fは、1次微分係数やラプラシアンなどの組み合わせで求める公知の方法を用いることにより実施し得る。特徴量抽出72fで得られた多値表現をとる特徴量を閾値処理72hで所定のしきい値処理を行うことにより2値化して、文字と判定された部分には、多値誤差拡散72sを適用し、絵柄と判定された部分には多値ディザ72dを適用する。このような適応的な中間調処理方式を用いることで文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立することができる。
【0018】
一方、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の実施形態1の場合と同様である。
このため、本実施形態では、データ形式変換装置10(図4、参照)内の中間調処理において、上記したプリンタ補正5に採用した中間調処理(図5)に準じ、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えて適応的な中間処理を行う。
図6は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図6の(B)に示すように、中間調処理方式を異にする2値誤差拡散108sと2値ディザ108dを用意し、入力画像の特徴量抽出108fと閾値処理108hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
特徴量抽出の方法は、上記したプリンタ補正5に採用した中間調処理(図5)と全く同じである。ここでは、文字と判定された部分には2値誤差拡散108sを適用し、絵柄と判定された部分には2値ディザ108dを適用する。このような適応的な中間調処理方式を用いることで、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、更にこのデータを印刷する場合でも文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立することが可能となる。
【0019】
上記の例(図6)では、絵柄と判定された部分は2値ディザ108dを適用するとしたが、プリンタ補正5で用いた多値ディザに比べて2値ディザは、同一線数で比較すると階調性が少なくなり擬似輪郭が多くなる。
この点を改良するために、2値ディザ108dの代わりにディザしきい値による変動しきい値誤差拡散などを用いて2値化を行う方法を適用しても良い。
図7は、データ形式変換装置10内の本例の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図6の(B)に示すように、中間調処理方式を異にする2値誤差拡散108sと2値変動閾値誤差拡散108vを用意し、入力画像の特徴量抽出108fと閾値処理108hよりなる選択信号発生部が発生する信号によって、中間調処理を選択し、画像種の違いに適応する。
図7のヴァリエーションは、適用する中間調処理方式の一方を、上記図6の例における2値ディザ108dに代えて2値変動閾値誤差拡散108vとした以外、図6の例と構成動作に違いはない。ここでは、絵柄と判定された部分には2値変動閾値誤差拡散108vを適用する。
2値変動閾値誤差拡散108vの1例を図8に示す。この例では、図8(A)に示すような“8×8”の閾値テーブルを用いて閾値処理を行い、中間調の2値化処理を行う。2値化は、量子化部108v-2の閾値処理により行う。誤差拡散は、量子化誤差を減算部108v-3により求め、得た誤差によって重み付け加算値設定部108v-4により定められる加算値を加算部108v-1で入力データに加える。
上記したような適応的な中間調処理方式を用いることで、文字部の先鋭性と絵柄部の粒状性を両立させ、さらに絵柄部に対して擬似輪郭の発生を抑制することが可能となる。
【0020】
「実施形態3」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理方式を出力解像度により切り替えるようにすることにより、解像度低下による画質の劣化を回避するものである。
コピー時に蓄積したデータを複写機側で再印刷する場合のように、スキャナ入力した蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合、図5の(A)に示すプリンタ補正7(図1参照)の処理によってγ処理71と中間調処理72が行なわれ、印刷出力に用いるデータとする。この場合の中間調処理72は、電子写真のエンジンに合った処理が行われる。一般的に、電子写真のエンジンは、集中型のディザのようにドットを固めて印字する中間調処理の方が粒状性は良くなるので、絵柄部の印刷に向いている。他方、文字部については、ディザによると先鋭性が劣化するので不向きである。そのため、上記実施形態2では、画像の特徴量を求めて文字部と絵柄部の処理を切り替えることで画質の両立を図っている。
一方、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の実施形態1の場合と同様である。
【0021】
しかし、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信する場合には、データ形式変換装置10(図4)の解像度変換105で解像度の変換が行なわれる。この場合、600→150dpiなどのように低解像度に変換されることが、想定される。
配信画像を利用する外部PC19等では、低解像度に変換された画像を用いて印刷出力を行う場合、プリンタドライバーで印刷用のデータを生成するが、そのときには、画像が拡大されて元の大きさに変換される。このため、上記実施形態2で示した中間調処理(図6参照)方法を適用しても、絵柄側のディザパターンの部分などは150dpiのときには、“4×4”倍になり、解像度が劣化して見苦しい画像になる。
そこで、低解像度に対しては、劣化を回避できる誤差拡散を適用する。即ち、低解像度の時には解像度が保たれる誤差拡散、高解像度のときにはディザといったような切替を行なうことでこのような不具合を避けるようにする。
図9は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図9の(B)に示すように、低解像度に適用する中間調処理方式である2値誤差拡散108sと比較的高解像度に適用するディザを2値ディザ(1)108d-1及び2値ディザ(2)108d-2として、2段階で用意し、入力画像の解像度選択信号によって、解像度に適合する中間調処理を選択し、処理の適正化を図る。
本例では、外部PC19側での引き取り解像度が、600dpiの高解像度の場合には100線前後のディザを用い、解像度が400〜300dpiの時は200線前後のディザを用い、また、解像度が300dpi以下の場合は、誤差拡散を用いる。
このように、解像度に応じた中間調処理を用いることで、HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に引き取るときの解像度が低い場合でも、絵柄部の解像度が極端に落ちてしまうことはない。なお、このような中間調処理の効果は、全面ディザをもちいる写真モードなどにも当てはまる。
【0022】
「実施形態4」
本実施形態は、上記実施形態1をベースに、蓄積画像データの出力時にデータに施す中間調処理のパラメータを出力解像度により切り替えることにより、画質の向上を図るものである。
HDD5に蓄積した画像データをネットワーク経由で外部PC19等に配信し、配信データを用いて印刷出力を行う場合に、蓄積画像を機内で直接印刷出力する場合と画質に差が生じないようにすることは、上述の各実施形態の場合と同様である。
また、配信画像に対し、上記実施形態3で説明したように、低解像度の場合の解像度劣化を抑えることも要求され、実施形態3では、外部PC19等の引き取り解像度によって中間調処理の方式を切り替えることにより、低解像度の場合に起きる画質の劣化を抑える例を示した。
しかし、実施形態3の方法では、処理方式自体を切り替えるので、解像度による処理の差が目立ってしまう場合がある。
そこで、同一の中間調処理方式によっても、解像度に適合する処理を可能にする方法を用いることにより、実施形態3で起こり得る問題を解決するもので、ここでは、中間調処理方式を変えることなく、解像度により処理パラメータを切り替えることで、上記解像度による処理の差を目立たないようにする。
【0023】
本実施形態では、データ形式変換装置10内の中間調処理108に2値変動閾値誤差拡散を用いることを実施化手段とするもので、2値変動閾値誤差拡散に用いる手段は、実施形態2における中間調処理108において用いたと同様の手段を適用可能である。
図10は、データ形式変換装置10内の中間調処理108を示すブロック図で、同図中の(A)に、中間調処理108を、(B)にその内部構成を示す。図10の(B)に示すように、中間調処理108を構成する2値変動閾値誤差拡散ユニットは、2値変動閾値誤差拡散108v(図8)と、入力画像の解像度選択信号によって、2値変動閾値誤差拡散108vに設定するディザ閾値の選択信号を発生するディザ閾値選択部108cよりなる。
図8に示す2値変動閾値誤差拡散108vは、処理パラメータとしてのディザ閾値を変化させることで誤差拡散からディザ状の誤差拡散まで変化させることができる。具体的には、図8に示す量子化部108v-2の閾値処理に用いる閾値テーブルを解像度によって変更することにより実施し得る。
図11は、閾値テーブルを変更することによって得られる2値中間調処理の例として、(A)〜(C)の3種を示すものである。図11を参照して、本例の2値変動閾値誤差拡散108vによる中間調処理を以下の例で説明する。
HDD5の蓄積画像データをネットワーク経由で外部PC19等に引き取るときの解像度が、例えば600dpiといった高解像度のときには、図8に示す量子化部108v-2の閾値処理に用いる“8×8”の閾値テーブルには、図11の(A)に示す“87線”のディザで用いている閾値を設定する。また、解像度が400dpiになると、図11の(B)に示す“106線”のディザで用いている閾値に設定を変更する。300dpiでは、図11の(C)に示す“173線”のディザで用いている閾値に設定を変更する。
更に低解像度では、“173線”のディザで用いている閾値をだんだん平らにしてゆき、200dpiでは全面フラットの“128”の閾値を設定する。これより低い解像度では全面誤差拡散となる。
このような制御を行なうことにより、解像度による処理の違いによる画質の差を目立たなくすることができる。特に、ディザ閾値から誤差拡散に変化する300dpiから200dpiでは、大きな切り替わりが起こらないので、解像度により処理方式が大きく変わることで、処理の違いによる画質の差が目立ってしまうこともない。
【0024】
「実施形態5」
上記「実施形態1」〜「実施形態4」は、画像処理装置内に蓄積された画像データをネットワーク間で共有する画像処理システムを構成する画像処理装置において、配信する画像データに対し、装置内で直接印刷出力をする場合に準じたγ変換及び中間調処理を2値化方式で行うようにした点を特徴とした。以下に示す「実施形態5」〜「実施形態8」は、上記と同様の画像処理システムを構成する画像処理装置において、ネットワーク間で共有する蓄積画像データの配信を受け、その配信データを利用する場合におけるデータの利用性、特に配信データを印刷出力に用いる場合の有用性を保証することを意図するもので、標準化されたカラー・モノクロ画像データへの変換、処理に特徴を有する。
「実施形態5」〜「実施形態8」では、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、スキャナ配信機能及び蓄積画像データの配信機能等の多機能を搭載したデジタルカラー複写機(MFP機)へ実施した例を示す。
本実施形態に示すMFP機のような画像処理装置では、画像処理装置内部のHDD等の記憶媒体に蓄積されている画像データを、ネットワーク経由で外部クライアントPCに配信し、外部クライアントPCにて画像データに編集・加工処理を施し、再度、配信元の画像処理装置の記憶媒体に蓄積し直して、画像処理装置のプロッタにて印刷出力させる機能を実現する。本実施形態は、上記の機能を利用する際に画像データに要求されるデータの利用性、特に配信データを印刷出力に用いる場合の有用性を保証するために、蓄積するカラー・モノクロ画像データの標準化に加え、モノクロのモード時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データとし、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換するようにした点に特徴を有する。
【0025】
図12は、本実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。なお、画像データ処理システムは、MFP機をネットワーク接続し、MFP機を外部PC19がネットワークを介して利用することを可能に構成するシステムである。
先ず、図12を参照して、MFP機の各部の構成及び原稿をコピーする際の処理、即ち、原稿画像の読み取り、読み取り画像の蓄積、蓄積画像を用いた印刷出力、という過程で行なわれるコピー時の処理フローに沿い、その内容の概要を説明する。
画像処理装置200のスキャナユニット201は、ユニット内の光学系スキャナ装置によって、原稿を読み取り、反射率空間のRGB3成分の画像データとして入力され、入力された画像データは、第1画像処理ユニット203に転送される。
第1画像処理ユニット203は、RGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施し、さらに標準色空間の画像データに変換して、HDD等の記憶媒体205に蓄積する。このとき、ユーザーの要求により、画像データの読み取りをモノクロと指示された場合は、画像データの成分数を変換し、RGB3成分の画像データを、Gray1成分の画像データに変換して蓄積する。このモノクロモードの処理の際、蓄積するモノクロ画像データの輝度カーブを、標準色空間の輝度カーブに合わせる処理によって得たデータを蓄積する。このモノクロ画像データへの変換処理が本発明の特徴となるものであり、後記でその実施形態をより詳細に説明する。
【0026】
記憶媒体205に蓄積された画像を印刷用のデータとして出力するときには、第2画像処理ユニット206を通す。第2画像処理ユニット206は、記憶媒体に蓄積された画像データから印刷出力すべきデータを読み出して、カラー画像データの場合は、RGBからCMYKの画像データに変換し、変換したCMYKデータにプロッタの出力ダイナミックレンジに合わせた量子化を施し、プリンタγ処理及び中間調処理を行った後、プロッタユニット208へ転送する。
プロッタユニット208は、電子写真式のプロッタの場合、第2画像処理ユニット206から送られてくる画像データ出力を、レーザーによる書き込みを行うため、LD(レーザダイオード)駆動用データに変換し、次いでLD書き込みによる潜像の形成、現像、転写、定着を経て、画像データが転写紙に出力される。
上記の処理過程を経て、MFP機はコピー動作を実現する。なお、プロッタユニット208から画像データが出力された後も、記憶媒体205上に蓄積された画像データはそこに保存されており、この画像データをコピー動作以外に、後述するように、ネットワーク間で共有するデータとして外部のPC19からの利用を可能とする。
【0027】
次に、画像処理装置200の記憶媒体に蓄積されている画像データをネットワーク経由で配信機能を用いて外部のクライアントPC19で利用するときの画像データの処理フローについて、その概要を説明する。ここでは、画像処理装置200からネットワーク経由で接続されているクライアントPC19へ画像が配信され、クライアントPC19で編集・加工・蓄積された後、再度、ネットワーク経由で画像処理装置200へ転送され、画像処理装置200内で印刷出力される場合の処理フローを例に説明をする。
先ず、記憶媒体205に蓄積された画像データを読み出して、ネットワークIF209を介して外部のクライアントPC19へデータを配信する。このデータ配信動作の要求は、画像処理装置200の操作部(図示せず)、もしくは、クライアントPC19からユーザーが行う。
画像処理装置200から画像データの配信を受けたクライアントPC19は、PC内部で、ユーザー所望の編集・加工を施し、PC内の記憶媒体に蓄積する。
その後、クライアントPC19は、PC内の記憶媒体に蓄積した画像データを、ネットトワークを介して画像処理装置200へ転送する。画像処理装置200は、戻されてきた画像データを受け取り、装置内の記憶媒体205に格納する。
クライアントPC19から送信されてきた画像データに印刷要求が指示されている場合や、その後、記憶媒体205に格納した画像データに印刷出力が指示された場合に、上記したコピー時の処理フローと同様の処理を行う。即ち、第2画像処理ユニット206でRGBからCMYKへの変換、プロッタの出力ダイナミックレンジに合わせた量子化、プリンタγ処理及び中間調処理を行った後、プロッタユニット208で、転写紙への出力を行う。
上記のようなフローに従って、クライアントPC19で配信画像を利用するときには、画像データを処理することにより、画像処理装置200の記憶媒体205に蓄積された画像データを、ネットワークを介して接続されているクライアントPC19が共有し、その利用を可能とする。
【0028】
次に、第1画像処理ユニット203及び第2画像処理ユニット206について、より詳細な説明をする。
第1画像処理ユニット203は、カラー画像データを出力する場合、スキャナユニット201で原稿を読み取り、得られる反射率空間のRGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施すが、その一環として、図13に示すように、標準化ブロック2031によって反射率空間のRGB画像データを標準色空間の画像データに変換する。この色変換は、LUT(Look up Table)を利用することができる。LUTによる色変換は、色変換として公知の手段であり、例えばメモリマップ補間法によるLUTを採用することにより、実施し得る。
また、色変換後に、フィルタブロック2032にて、平滑や強調といった空間フィルタ処理を行う。空間フィルタ処理は、用途によって固定係数の場合もあれば、適応的に係数が変化する適応フィルタの場合もある。
【0029】
他方、ユーザーの指示により、画像データの読み取りモードをモノクロと指示された場合は、第1画像処理ユニット203は、Gray出力をする。この場合、スキャナユニット201で原稿を読み取り、得られる反射率空間のRGB3成分の画像データに、画像特性を適正化するための各種の補正やユーザーの要求に従う処理・変換を施すが、その一環として、図14に示すように、スキャナで読み取られたRGB色空間の画像データに対して、先ず標準化ブロック2031によって標準色空間の画像データに変換する。
標準化ブロック2031にて画像データを標準色空間に変換した後、CM変換ブロック2033にて、RGB3成分からGray1成分に変換する(変換の方式については、後述)。
次いで、標準化Aブロック2034にて、Gray1成分のデータをRGB標準色空間の輝度特性線のカーブに合わせるように、γカーブ(特性線)による補正を施す。標準化Aブロック2034の補正は、LUT(Look up Table)を利用することができる。例えば、標準色空間がsRGBやsYCbCrであれば、(1/2.2)べき乗の反射率となる。
この後、上記したカラー画像と同様に、フィルタブロック2032にて空間フィルタ処理を行う。
【0030】
第2画像処理ユニット206は、カラー画像データを出力する場合、記録媒体205に蓄積された画像データが標準色空間のRGB等のデータであるから、プロッタユニットで印刷出力に用いるCMYK色空間の画像データに変換し、さらにこの画像データにプロッタ等の機器依存の特性への補正・変換を施す。その1例を示す図15では、記憶媒体205に蓄積されたRGB空間の画像データである場合、これを、色変換ブロック2061にて、RGBからCMYK色空間の画像データへ色変換を施す。この色変換は、LUT(Look up Table)を利用することができる。LUTによる色変換は、色変換として公知の手段であり、例えばメモリマップ補間法によるLUTを採用することにより、実施し得る。また、行列演算によるマスキング法によっても行える。
色変換の後、CMYK空間の画像データに対して、γ変換ブロック2062にてγ補正処理を行い、また、中間調処理ブロック2063にて中間調処理が行われる。γ補正処理によって、プロッタのCMYK各版の濃度特性ばらつき、機器全体の経時的な濃度変動など機器依存の特性に合わせるための補正が行われる。また、中間調処理によって、プリンタの出力ドットの階調数に合わせて量子化が行われる。この量子化処理の方法としては、公知のディザ法や誤差拡散法を適用することにより実施可能である。
【0031】
他方、ユーザーの指示により、画像データの読み取りモードをモノクロと指示された場合は、記録媒体205に蓄積された画像データがGray1成分のデータであり、カラー画像データの場合に必要となる色変換は行わない(図5の色変換ブロック2061は不要せある)ので、図16に示す処理フローとなる。
Gray1成分のデータに対して、γ変換ブロック2062にてγ補正処理を行い、また、中間調処理ブロック2063にて中間調処理が行われる。γ補正処理によって、プロッタのK版の濃度特性ばらつき、機器全体の経時的な濃度変動など機器依存の特性に合わせるための補正が行われる。なお、中間調処理は、Gray1成分のデータに対し、カラー画像に対してと同様方法によって量子化処理が行われる。
このような画像データの処理手段を用いることで、画像処理装置200の記憶媒体205に蓄積されている画像データを、ネットワークを介して接続されているクライアントPC19に標準色空間の画像データとして公開可能で、かつ、カラースキャナを持つMFP機で読み取ったモノクロ画像データを、カラー画像データと同じ輝度カーブを持つデータとし、カラーとモノクロの画像データの互換性を高めることができる。
【0032】
「実施形態6」
本実施形態は、上記実施形態5をベースに、記憶媒体205に蓄積する標準色空間の画像データをsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータとし、配信先のPC等で用いるディスプレイ、アプリケーションソフト等に対応可能な汎用の形式として、配信元の入力画像データ(読み取り原稿イメージ)に忠実な画像出力を可能とすることを意図するものである。
上記実施形態5に例示した第1画像処理ユニット203においては、スキャナ入力された反射率空間のRGB3成分の画像データを色変換する標準化ブロック2031(図13,図14、参照)を、sRGB色空間やsYCbCr色空間のデータへの変換を施すための手段とし、標準化ブロック2031の後段に設けたCM変換ブロック2033、標準化Aブロック2034及びフィルタブロック2032もsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータに対応した手段を採用する。
また、第2画像処理ユニット206においては、カラー画像の場合、記録媒体205に蓄積された画像データが標準色空間のsRGB色空間やsYCbCr色空間のデータであるから、色変換ブロック2061(図15、参照)として、それぞれの標準色空間に対応してデータをCMYK色空間の画像データへ色変換する手段を採用する。
【0033】
「実施形態7」
本実施形態は、上記実施形態5,6をベースに、モノクロモードの処理においてGray1成分のデータへのCM変換を、RGB3成分の1成分のみを参照して生成する処理とすることにより、Gray1成分の画像データを得ることを可能にするものである。
図17は、本例のCM変換処理の1例を示す。同図に示すように、CM変換ブロック2033aは、入力RGB3成分の画像データ中の1成分をGrayの画像データとして出力する機能を有する。本例では、G成分のみを、Gray信号としてそのまま利用する方法をとっている。なお、G成分に限らず、R,B成分のいずれかであっても良い。
図17に示すようなCM変換ブロック2033aを、モノクロモード時における、第1画像処理ユニット203の処理フロー(図14、参照)に示したCM変換ブロック2033として用いることによって、実施が可能になる。
このようなCM変換手段を用いることで、Gray1成分の画像データを容易に得ることが可能になる。
【0034】
「実施形態8」
本実施形態は、上記実施形態5,6をベースに、モノクロモードの処理においてGray1成分のデータへのCM変換を行うものという点で、上記実施形態7と同様であるが、CM変換の方法を異にし、本例では、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する処理とすることにより、Gray1成分の画像データを得るようにするものである。
図18は、本例のCM変換処理の1例を示す。同図に示すように、CM変換ブロック2033bは、入力RGB3成分の画像データの3成分からGrayの画像データを合成し、出力する機能を有する。
本例では、CM変換ブロック2033bのRGB3成分の合成部として、下記式(1)に示す演算式に従ってRGB3成分を合成し、1成分のGray信号を生成する手段とする。
Gray=(R×2+G×5+B×1)/8 ‥‥‥‥式(1)
このCM変換ブロック2033bを、モノクロモード時における、第1画像処理ユニット203の処理フロー(図14、参照)に示したCM変換ブロック2033として用いることによって、実施することができる。
このようなCM変換手段を用いることで、上記実施形態7の方法に比べ、より高画質なグレー1成分の画像データを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態のデジタルカラー複写機に係わる画像データ処理システムのブロック構成、及びコピー時の画像データパスを示す。
【図2】図1におけるスキャナ補正の内部構成の1例を示す。
【図3】図1におけるプリンタ補正の内部構成の1例(実施形態1)を示す。
【図4】図1におけるデータ形式変換装置の内部構成の1例(実施形態1)を示す。
【図5】図3におけるプリンタ補正における中間調処理の内部構成の1例(実施形態2)を示す。
【図6】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態2)を示す。
【図7】図4における中間調処理の内部構成の他の例(実施形態2)を示す。
【図8】図7における2値変動閾値誤差拡散の内部構成の1例を示す。
【図9】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態3)を示す。
【図10】図4における中間調処理の内部構成の1例(実施形態4)を示す。
【図11】閾値テーブルを変更することによって得られる2値中間調処理の3種の例を示す。
【図12】本発明の実施形態のMFP機に係わる画像データ処理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図13】図12における第1画像処理ユニットの内部構成の1例(カラー画像処理対応)を示す。
【図14】図12における第1画像処理ユニットの内部構成の1例(モノクロ画像処理対応)を示す。
【図15】図12における第2画像処理ユニットの内部構成の1例(カラー画像処理対応)を示す。
【図16】図12における第2画像処理ユニットの内部構成の1例(モノクロ画像処理対応)を示す。
【図17】図14におけるCM変換の内部構成の1例(実施形態7)を示す。
【図18】図14におけるCM変換の内部構成の1例(実施形態8)を示す。
【符号の説明】
【0036】
1・・読み取りユニット、 4・・プリンタコントローラ、
5・・HDD、 7・・プリンタ補正、
9・・作像ユニット、 10・・データ形式変換装置、
14・・NIC(ネットワークインターフェースコントローラ)、
19・・外部PC、 71・・プリンタγ、
72・・中間調処理、 107・・γ処理、
108・・2値中間調処理、 200・・画像処理装置、
201・・スキャナユニット、 203・・第1画像処理ユニット、
205・・記憶媒体、 206・・第2画像処理ユニット、
208・・プロッタユニット、 2031・・標準化ブロック、
2033・・CM変換ブロック、 2061・・色変換ブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを蓄積する画像蓄積手段と、蓄積された画像データに印刷出力用データとしてのγ変換及び中間調処理を施す印刷出力用画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データのデータ形式を配信出力用のデータに変換するデータ形式変換手段と、該データ形式変換手段によって変換された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、前記データ形式変換手段が、設定された処理モードに基づいて、蓄積画像データに、前記印刷出力用画像処理手段に準じたγ変換及び2値化方式の中間調処理を施す画像処理手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、前記印刷出力用画像処理手段及び前記データ形式変換手段それぞれの中間調処理を施す手段が、処理対象画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を可能とする手段であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって中間調処理方式を切り替える機能をもつ手段であること特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって処理パラメータを切り替える機能をもつ手段であること特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
原稿画像をRGB3成分で入力する画像入力手段と、入力された原稿画像データに、モード設定に従った画像特性の変更、及び所定の色空間への変換を施す第1の画像処理手段と、第1の画像処理手段を通した画像データを蓄積する画像蓄積手段と、該画像蓄積手段に蓄積された画像データに、印刷出力用データとしての画像特性の変更、及び色空間への変換を施す第2の画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、第1の画像処理手段が、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換し、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換する変換手段と、所定の色空間を標準色空間とする色変換手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備える色変換手段を、sRGB空間とsYCbCr空間の少なくとも一方の標準色空間への変換手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
画像データを蓄積する画像蓄積手段と、蓄積された画像データに印刷出力用データとしてのγ変換及び中間調処理を施す印刷出力用画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データのデータ形式を配信出力用のデータに変換するデータ形式変換手段と、該データ形式変換手段によって変換された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、前記データ形式変換手段が、設定された処理モードに基づいて、蓄積画像データに、前記印刷出力用画像処理手段に準じたγ変換及び2値化方式の中間調処理を施す画像処理手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、前記印刷出力用画像処理手段及び前記データ形式変換手段それぞれの中間調処理を施す手段が、処理対象画像の特徴により処理内容が切り替わる適応中間調処理を可能とする手段であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって中間調処理方式を切り替える機能をもつ手段であること特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記データ形式変換手段の中間調処理を施す処理手段が、出力解像度によって処理パラメータを切り替える機能をもつ手段であること特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
原稿画像をRGB3成分で入力する画像入力手段と、入力された原稿画像データに、モード設定に従った画像特性の変更、及び所定の色空間への変換を施す第1の画像処理手段と、第1の画像処理手段を通した画像データを蓄積する画像蓄積手段と、該画像蓄積手段に蓄積された画像データに、印刷出力用データとしての画像特性の変更、及び色空間への変換を施す第2の画像処理手段と、前記画像蓄積手段に蓄積された画像データをネットワークへ配信可能とするネットワークインターフェースを有する画像処理装置であって、第1の画像処理手段が、モノクロのモード設定時に、RGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換し、かつグレーデータの輝度特性線をカラー画像データの特性線に合わせて変換する変換手段と、所定の色空間を標準色空間とする色変換手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備える色変換手段を、sRGB空間とsYCbCr空間の少なくとも一方の標準色空間への変換手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分の1成分のみを参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載された画像処理装置において、前記第1の画像処理手段が備えるRGB3成分の画像データをグレー1成分の画像データへ変換する手段を、RGB3成分を参照してグレー1成分の画像データを生成する手段としたことを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−86918(P2006−86918A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270846(P2004−270846)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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