説明

画像処理装置

【課題】省電力状態を解除する頻度を極力抑えつつ、外部装置から通信手段を通じて受信されるジョブの処理や、装置状態の把握、変更を可能とすることにより、従来よりも電力消費を抑えることができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】スリープモード中に、NIC5を通じて外部装置からジョブが受信された場合に、NIC5がそのジョブを一時記憶して保留ジョブとし、所定の実行開始条件が成立した際に、サブ電源221〜229への通電を制御することにより、必要な機能ブロックを"通電無し状態"から"通電有り状態"へ切り替えて保留ジョブを実行する。さらに、スリープモード中に、外部装置からの要求に応じて、保留ジョブに関する情報の送信、保留ジョブの削除、必要な機能ブロックを起動することによる保留ジョブの即時処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置と通信を行う通信手段を備え、その通信手段を通じて受信されるデータ処理要求であるジョブを処理する画像処理装置に関するものであって、特に、省電力化に好適な画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ装置、複写機或いはそれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像処理装置は、ネットワークや電話回線等の通信媒体を介して外部装置(計算機や他の画像処理装置等)と通信を行う通信手段(NIC(Network Interface Card)やモデム(Modulator-Demodulator)など)を備えている。また、このような画像処理装置は、当該画像処理装置が備える操作入力部に対する操作、及び前記通信手段を通じた外部装置からのデータ受信がない状態が一定時間以上継続した場合、通常の動作状態よりも消費電力が低い省電力状態(一般に、スリープモードという)へ移行する機能(以下、スリープ機能という)を備えるものがある。前記省電力状態では、例えば、ヒータを備えた定着装置や制御回路等の機器に対する通電(電力供給)が遮断された状態となる一方、前記通信手段については、通電された状態が維持されることが多い。その理由は、省電力状態である場合に、外部装置からの要求に応じて非通電状態にある機器に対する通電を自動的に再開させ、通常の動作状態に自動的に復帰できるようにするためである。例えば、特許文献1には、省電力状態である場合に、通電されている通信手段によりプリントジョブが受信されると、装置全体に通電を行い、受信したプリントジョブに応じた画像形成を行う画像形成装置が示されている。
また、画像処理装置は、液晶パネル等からなる表示部への通電がなされていない省電力状態である場合に、前記操作入力部を通じて所定の操作が行われたことを検知することによって表示部に通電を行い、その表示部によって装置の状態等を表示することが一般的である。
【0003】
ここで、外部装置から受信するジョブ(データ処理要求)には、記録紙に画像形成を行うことを要求するプリントジョブや、原稿に形成された画像を読み取ることを要求する画像スキャンジョブ(スキャンジョブ)、画像処理装置が備えるハードディスク等の記憶手段にアクセスしてデータファイルを操作する処理(以下、データファイリング処理という)を行うことを要求するジョブ等、様々なジョブがある。なお、前記データファイリング処理としては、例えば、データの書込や更新、データの読み出し、データの消去、データファイル名の変更等の処理が考えられる。
一方、特許文献2には、省電力状態である場合に、通電されているコントローラにより、ネットワークを介して外部装置からハードディスクに対するアクセス要求が受信されると、ハードディスクに対する通電を開始して要求された処理を行う画像処理装置が示されている。
また、特許文献3には、サブ電源によりサブCPU及び外部インターフェースに電力が供給された省電力状態である場合に、外部インターフェースを通じてプリントジョブを受けると、サブCPUにより装置全体を制御するメインCPUに電力を供給して印刷を行う複合機が示されている。
【特許文献1】特開平8−101606号公報
【特許文献2】特開2005−186425号公報
【特許文献3】特開2003−63101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自装置が省電力状態であるときに、外部装置から通信手段を通じてジョブ(データ処理要求)を受信したからといって、常にジョブの受信に応じて通電されていない多くの機器に対する通電を開始し、ジョブを実行していたのでは、十分な省電力化を図れないという問題点があった。
さらに、画像処理装置が、表示部等の機器が停止している(非通電の)省電力状態である場合に、装置状態の把握や変更を行うごとに、停止中の表示部等の機器を起動させるのでは、十分な省電力化を図れないという問題点があった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、省電力状態を解除する頻度を極力抑えつつ、外部装置から通信手段を通じて受信されるジョブの処理や、装置状態の把握、変更を可能とすることにより、従来よりも電力消費を抑えることができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、計算機や他の画像処理装置等の外部装置と通信を行う通信手段を備え、その通信手段を通じて受信されるジョブ(データ処理要求)を処理する画像処理装置であり、次の(1)〜(3)に示す各構成要素を備えるものである。
(1)ジョブを処理する部品若しくは部品の集合である機能ブロックに対して通電するか否かを切り替える通電切替手段。
(2)前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記外部装置から通電無し状態にある前記機能ブロックを使用するジョブが受信された場合に、そのジョブを所定のジョブ記憶手段に記憶させた後、所定の実行開始条件が成立した際に、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを、その処理に必要な前記機能ブロックを通電無し状態から通電有り状態に切り替えるジョブ保留制御手段。
(3)前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記外部装置からの要求に応じて前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブに関する処理である保留ジョブ処理を実行する保留ジョブ処理手段。
ここで、前記保留ジョブ処理には、例えば、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブに関する情報を前記外部装置に送信するジョブ情報送信処理、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを削除するジョブ削除処理及び前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを即時実行させるジョブ即時実行処理のうちの1又は複数が含まれる。
また、前記所定の実行開始条件としては、例えば、所定の数のジョブが前記ジョブ記憶手段に記憶されたこと、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブの合計データサイズが所定サイズ以上となったこと、前記ジョブ記憶手段の残り容量が所定サイズ未満となったこと、及び前記ジョブ記憶手段に1つ目のジョブが記憶されてから所定時間が経過したこと、のうちの1又は複数が考えられる。
これにより、本発明に係る画像処理装置は、省電力状態であるときに、複数のジョブを一時蓄積し、それらをまとめて処理することができる。さらに、停止中(通電無し状態の)の機能ブロックへの通電を行うことなく、外部装置から前記通信手段にアクセスすることによって一時蓄積されたジョブの状態の把握や変更が可能となる。
その結果、ジョブを受信するごとに、前記機能ブロックを起動して(通電を開始して)処理を実行したり、蓄積されたジョブの把握や変更を行うごとに、停止中の前記機能ブロックを起動させる場合に比べ、消費電力を抑えることができる。
【0006】
また、本発明に係る画像処理装置は、さらに次の(4)に示す構成要素を備えることも考えられる。
(4)前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記保留ジョブ処理手段による前記保留ジョブ処理の実行可否を、前記外部装置から受信される所定の認証情報に基づいて制御する保留ジョブ処理認証制御手段。
これにより、一時蓄積されたジョブに関する前記保留ジョブ処理を要求できる者を、そのジョブの送信者や特定の権限を有する者等に制限できる。その結果、一時蓄積されたジョブの参照や削除が他人によって行われる不都合や、一定の権限を有さない者によって安易に前記ジョブ即時実行処理が行われて消費電力が増大する不都合を回避できる。
また、本発明に係る画像処理装置は、さらに次の(5)に示す構成要素を備えることも考えられる。
(5)前記外部装置から前記ジョブ即時実行処理を要求された場合に所定の通知情報を所定の管理者の宛先へ送信する要求通知手段。
これにより、省電力化に反する可能性が高い前記ジョブ即時実行処理の要求については、その要求があった旨が所定の管理者に通知されるため、安易な要求(実行)を抑止できる。
さらに(5)に示す構成要素を備える場合、前記要求通知手段による前記通知情報の送信の後、前記ジョブ即時実行処理の実行可否情報を受信してこれに基づいて前記ジョブ即時実行処理の可否を制御するジョブ即時処理可否制御手段を、前記通信手段が兼ね備えるものであればなお好適である。
これにより、省電力化に反する可能性が高い前記ジョブ即時実行処理については、前記通知情報を受けた管理者が前記ジョブ即時実行処理を許可した場合にのみ実行可能とするよう制限できる。
なお、前記実行可否情報の受信方法としては、例えば、前記管理者が操作する外部装置から前記通知情報の送信に対する応答として直接受信する方法や、前記管理者が操作する外部装置を通じて所定のサーバ装置に前記実行可否情報が送信及び記録され、そのサーバ装置から前記実行可否情報を受信する方法などが考えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像処理装置が省電力状態であるときに、複数のジョブを一時蓄積し、それらをまとめて処理することができ、さらに、停止中(通電無し状態の)の機能ブロックへの通電を行うことなく、外部装置から画像処理装置の通信手段にアクセスすることによって一時蓄積されたジョブの状態の把握や変更が可能となる。その結果、ジョブを受信するごとに、前記機能ブロックを起動して(通電を開始して)処理を実行したり、蓄積されたジョブの把握や変更を行うごとに、停止中の前記機能ブロック(表示部等)を起動させる場合に比べ、消費電力を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置Xの概略構成を表すブロック図、図2は画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図、図3は画像処理装置Xが備える制御部の概略構成を表すブロック図、図4は画像処理装置Xにおける電源の接続関係の第1実施例を表す電源系統図、図5は画像処理装置Xのデータ受信に応じたスリープモード解除処理の手順を表すフローチャート、図6は画像処理装置Xが受信するジョブの一例であるプリントジョブのデータ構成を表す図、図7は画像処理装置Xにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図、図8は画像処理装置XにおけるNICの電源制御ルールの一例を表す図、図9は画像処理装置Xにおける制御部の電源制御ルールの一例を表す図、図10は画像処理装置Xにおける電源の接続関係の第2実施例を表す電源系統図、図11は画像処理装置Xの保留ジョブ処理機能の処理手順を表すフローチャートである。
【0009】
まず、図1に示すブロック図を参照しつつ、画像処理装置Xの構成について説明する。
画像処理装置Xは、例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN等のネットワーク30を介して、パーソナルコンピュータ等からなる端末31や不図示のサーバ装置などの外部装置と通信可能に構成され、その外部装置と通信を行う通信手段の一例として、ネットワークインターフェースカード5(以下、NICという)を備えている。そして、画像処理装置Xは、外部の端末31からNIC5を通じて受信されるプリントジョブやスキャンジョブ等の各種のジョブ(データ処理要求)を処理(実行)する。
画像処理装置Xは、図1に示すように、前記NIC5に加え、操作部1、表示部2、ハードディスクドライブ3(以下、HDDと称する)、画像処理演算部4、スキャナ制御部6、スキャナ部6a、プリント制御部7、プリント部7a、後処理制御部8、シフター8a、パンチャー8b、ステイプラー8c、メイン制御部9、メイン通電切替回路10、メイン電源21、サブ電源22等を備えている。
さらに、スキャナ部6aは、自動原稿搬送装置6b(以下、ADFと称する)を備え、プリント部7aは定着用ヒータ7bを備えている。
また、図1に示す例では、メイン制御部9、画像処理演算部4、NIC5、スキャナ制御部6、プリント制御部7、後処理制御部8及びメイン通電切替回路10は、バス11により相互に接続されている。
操作部1は、情報を入力するための操作入力手段であり、シートキーや液晶表示装置の表面に設けられたタッチパネル等から構成されるものである。
表示部2は、情報の表示手段であり、液晶表示装置やLEDランプ等から構成されるものである。これら操作部1及び表示部2により、利用者に対するマンマシンインターフェースが構成されている。
【0010】
HDD3は、原稿から読み取った読取り画像データの処理や、画像データのプリント処理等の際に、必要に応じてその処理データを記憶する大容量の不揮発メモリである。さらに、このHDD3は、当該画像処理装置Xと通信可能な端末31からの要求に応じて、その端末31から送信されてくるデータファイルの保存先としても用いられる。このように、端末31から送信されてくるデータファイルをHDD3に保存する処理、及び、その保存したデータファイルの保存場所(データフォルダ)の変更や、ファイル名の変更、データの書き換え、データの消去等を行う処理を、以下、データファイリング処理という。
画像処理演算部4は、専用の信号処理回路或いはDSP(Digital Signal Processor)等により構成され、画像データについて各種画像処理を行い、画像形成に用いる印刷データの生成や、端末31へ送信する画像データ(例えば、JPEG形式等の所定の符号化がなされた画像データ等)の生成、画像データに暗号化を施す処理や、暗号化された画像データを復号化する処理、或いは画像データを圧縮符号化する処理や、圧縮符号化された画像データを伸張(復元)する処理等を行うものである。
【0011】
スキャナ制御部6は、原稿から画像を読み取る処理を実行するスキャナ部6a及びADF6bに対して制御信号を出力することにより、スキャナ部6a及びADF6bを制御するものである。
スキャナ部6aは、不図示のガラス製の原稿台上に載置された原稿や、ADF6bにより搬送される原稿から、その原稿に形成された画像を読み取る装置である。このスキャナ部6aは、ADF6bの他、例えば、原稿の画像面に光を照射する光源及び原稿からの反射光を所定の方向へ反射するミラーが設けられ、原稿に沿って移動するよう構成された移動式光学ユニットと、その移動式光学ユニットを駆動するモータと、その移動式光学ユニットから出射される光を所定の経路に沿って導く固定式のミラー及びその光を集光するレンズと、そのレンズを通過した光を光電変換し、その光(即ち、原稿の画像面に反射した光)の光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)等とを備えている。前記移動式光学ユニットは、原稿台に載置された原稿から画像を読み取る場合には、その原稿に沿って移動しつつ画像面に光を照射する。一方、ADF6bにより搬送される原稿から画像を読み取る場合には、前記移動式光学ユニットは、原稿の搬送経路に対向する所定位置に固定され、搬送中の原稿に光を照射する。また、前記CCDから出力される電気信号は、画像データとして画像処理演算部4へ伝送される。
ADF6bは、原稿供給用のトレイにセットされた原稿を、1枚ずつ所定の搬送経路に沿って搬送し、原稿排出用のトレイに排出する装置である。このADF6bは、例えば、原稿供給用のトレイから原稿の搬送経路へ原稿を1枚ずつ送り出す給紙ローラと、原稿の搬送経路において原稿を搬送する原稿搬送ローラ、及びそれら各ローラを駆動するモータを備えている。
【0012】
プリント制御部7は、画像形成処理に関する処理を実行するプリント部7aに対して制御信号を出力することにより、プリント部7aを制御するものである。
プリント部7aは、不図示の給紙カセットに収容された記録紙を、1枚ずつ順次送り出し、所定の画像形成位置を経て排紙トレイまで搬送するものとともに、その画像形成位置において、スキャナ部6aにより原稿から読み取られた原稿の画像データや、画像処理演算部4により生成された印刷データ等に基づいて、記録紙に画像を形成(出力)するものである。ここで、当該画像処理装置Xは、原稿の画像データに基づく画像形成処理を行うことによって複写機として機能し、端末31から受信したプリントジョブに基づく画像形成処理を行うことによってプリンタとして機能する。
このプリント部7aは、例えば、像を担持する感光体ドラム、その感光体ドラムに対し帯電を行う帯電装置、与えられた画像データや印刷ジョブに基づく静電潜像を感光体ドラム表面に書き込む露光装置、その静電潜像をトナー像として現像する現像装置、感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写する転写装置、感光体ドラムや記録紙搬送用のローラを駆動するモータ等を備えている。
さらに、プリント部7aは、記録紙に転写されたトナー画像を、加熱して定着させる定着装置を備え、この定着装置は、定着用ヒータ7bが内装された加熱ローラと、トナー画像が転写された記録紙を前記加熱ローラに対して圧接させる加圧ローラと、各ローラを駆動するモータ等も備えている。
【0013】
後処理制御部8は、画像形成がなされた記録紙に対して各種の後処理を施すシフター8a、パンチャー8b及びステイプラー8cに対して制御信号を出力することにより、シフター8a、パンチャー8b及びステイプラー8cを制御するものである。
シフター8aは、複数の排紙トレイが設けられた可動式トレイを備え、プリント部7aにより、ひとまとまりの画像データや印刷ジョブ(以下、1組のジョブという)について複数部数分の画像形成処理が連続して行われた場合に、それら記録紙を予め定められた規則に従って仕分けするものである。ここで、可動式トレイは、記録紙の排出口に対する排紙トレイ各々の位置を移動可能に構成されている。
例えば、シフター8aは、画像形成後の記録紙が、排紙トレイ各々に対して前記1組のジョブごとに、或いは同じページごとに排出されるよう前記可動式トレイが制御される。また、パンチャー8bは、画像形成後の記録紙にパンチ穴を開ける処理を行うものである。また、ステイプラー8cは、画像形成後の複数枚の記録紙に対してステイプル綴じ処理を施すものである。以下、シフター8a、パンチャー8b及びステイプラー8cを総称して、後処理実行部と称する。
また、画像読み取り、画像形成及び記録紙に対する後処理の各個別の処理を直接的に行うスキャナ部6a、プリント部7a、後処理実行部8a〜8c各々を制御するスキャナ制御部6、プリント制御部7及び後処理制御部8を総称して、ローカル制御部と称する。
【0014】
NIC5は、例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN等のネットワーク30を通じて、端末31等の外部装置との間でデータの送受信を行う通信インターフェースである。このNIC5は、例えば、画像処理演算部4により生成された画像データや、スキャナ部6aで読み取られた画像データ、或いはHDD3に保存されているデータを端末31へ送信する処理、さらには、端末31から各種のジョブ(データ処理要求)を受信する処理等を行う。ここで、ジョブには、記録紙に画像形成を行うことを要求するプリントジョブ、原稿から画像を読み取ることを要求するスキャンジョブ、前記データファイリング処理を行うことを要求するデータファイリングジョブ等が含まれる。
メイン電源21及びサブ電源22は、当該画像処理装置Xの各構成要素に対して電力を供給する電源回路である。
メイン通電切替回路10は、後述するように、NIC5から受ける制御信号に従って、サブ電源22の1つについて、これを商用電源に接続するか否かを切り替えることにより、メイン制御部9等の一部の機器に対して通電を行うか否かを切り替えるスイッチ回路である。その詳細は、後述する。
さらに、メイン通電切替回路10は、操作部1から受信する制御信号によっても、その切替状態が変化するよう構成されている。
【0015】
メイン制御部9は、操作部1、表示部2、HDD3及び画像処理演算部4の各々を制御するものであり、さらに、スキャナ制御部6、プリント制御部7及び後処理制御部8各々との間で、それら各制御部が実行するデータ処理に必要な情報や、そのデータ処理によって得られる情報の授受を行うものである。
例えば、メイン制御部9は、プリント制御部7に対し、画像形成先となる記録紙のサイズや、出力画像の縮倍率や濃度補正値、カラー画像形成処理を行うかモノクロ画像形成処理を行うか等の情報を引き渡す一方、プリント制御部7からは、何枚目の記録紙への画像形成まで終了したかの情報や、プリント部7aで発生したエラーの情報等を取得する。さらに、メイン制御部9は、スキャナ制御部6に対し、原稿における画像読み取り範囲の情報等を引き渡す一方、スキャナ制御部7からは、ADF6bを用いて何枚目の原稿まで画像読み取りが終了したかの情報や、スキャナ部6aによって読み取られた画像データ、ADF6bで発生したエラーの情報等を取得する。また、メイン制御部9は、後処理制御部8に対し、シフター8aによる仕分け処理の種類に関する情報や、パンチャー8bやステイプラー8cにより穴開け処理やステイプル綴じ処理を施す記録紙の枚数情報等を引き渡す一方、後処理制御部8からは、シフター8a、パンチャー8b及びステイプラー8cで発生したエラー情報等を取得する。
【0016】
以上に示したように、メイン制御部9、HDD3、スキャナ制御部6、スキャナ部6a、プリント制御部7、プリント部7a、後処理制御部8、後処理実行部8a〜8cは、各々機能に応じて区分され、ジョブを処理する部品若しくは部品の集合として構成された機能ブロックである。
また、ハードディスクを回転駆動させるモータを備えたHDD3と、これを制御するメイン制御部9は、メイン制御部9が上位、HDD3が下位となる関係を有している。
さらに、メイン制御部9は、複数の前記ローカル制御部6〜8各々との間でデータ処理に必要な情報若しくはデータ処理によって得られる情報の授受を行う機能ブロックであり、メイン制御部9が上位、ローカル制御部6〜8各々が下位となる関係を有している。
また、各種モータを備え、制御される側の機能ブロック(被制御ブロックの一例)であるスキャナ部6a及び後処理実行部8a〜8cが下位、これらを制御する側のスキャナ制御部6及び後処理制御部8が上位となる関係を有している。
同様に、各種モータと定着用ヒータ7bとを備え、制御される側の機能ブロック(被制御ブロックの一例)であるプリント部7aが下位、これを制御する側のプリント制御部7が上位となる関係を有している。
従って、最上位の機能ブロックがメイン制御部9、その1つ下位の機能ブロックがスキャナ制御部6、プリント制御部7及び後処理制御部8、さらにその1つ下位(再下位)の機能ブロックがスキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cとなっている。このように、各機能ブロックが、上位から下位への階層的な関係を有している。
【0017】
次に、図2に示すブロック図を参照しつつ、NIC5の構成について説明する。
NIC5は、バスコネクタ61、バス制御部62、MPU63、メモリ制御部64、ROM65、フラッシュメモリ66、ネットワーク制御部67、ネットワークコネクタ68及び計時部69等を備えている。
バスコネクタ61は、バス11に接続されるコネクタであり、バス制御部62は、バス11を通じて他の機器との間で信号伝送を行うものである。
ネットワークコネクタ68は、ネットワーク30に物理的に接続するコネクタであり、ネットワーク制御部67は、例えば標準規格IEEE802.3及びTCP/IP等の所定のネットワークプロトコルに準拠した通信制御を行うものである。
MPU63は、ROM65に予め記憶されたプログラムを実行することにより、バス11とネットワーク30との間の信号伝送を中継する処理や、ネットワーク30を介して端末31から所定の処理が要求された場合に、これに応答する処理等、各種の処理を行う演算手段である。実行するプログラムは、MPU63が内蔵する不図示のRAMに展開されて実行される。このMPU63は、メモリ制御部64を介して、ROM65やフラッシュメモリ66に対するアクセスを行う。
計時部69は、一定周期で発信信号を発生させるクロック発信器を備え、その発信信号に基づいて現在時刻の計時、及びMPU63によって設定された時間(以下、タイマー設定時間という)の計時を行うものである。この計時部69により計時された現在時刻の情報、及び前記タイマー設定時間が設定された時点からその時間が経過した旨の情報は、MPU63に伝送される。
【0018】
次に、図3に示すブロック図を参照しつつ、メイン制御部9及びローカル制御部6〜8の構成について説明する。以下、メイン制御部9及びローカル制御部6〜8を総称して、制御部と称する。
制御部6〜9各々は、バスコネクタ71、バス制御部72、MPU73、メモリ制御部74、ROM75、フラッシュメモリ76及びI/Oポート77等を備えている。
ここで、バスコネクタ71、バス制御部72、メモリ制御部74、ROM75及びフラッシュメモリ76の各々は、NIC5が備えるバスコネクタ61、バス制御部62、メモリ制御部64、ROM65及びフラッシュメモリ66と同様の機能を備えたものである。もちろん、ROM75及びフラッシュメモリ76に記憶されるプログラムやデータの内容は、NIC5のROM65及びフラッシュメモリ66に記憶されているものと異なることはいうまでもない。
制御部6〜9のI/Oポート77は、制御部6〜9各々からその制御対象となる機器に対して出力する制御信号を伝送する信号線や、制御部6〜9が各種センサから入力する各種検出信号を伝送する信号線が接続され、それら信号線とMPU73との間を中継するインターフェースである。
例えば、メイン制御部9のI/Oポート77には、操作部1、表示部2及びHDD3を構成する機器やセンサに通じる信号線が接続される。また、スキャナ制御部6のI/Oポート77には、スキャナ部6aを構成するモータや光源、センサ等の機器に通じる信号線が接続され、プリント制御部7のI/Oポート77には、プリント部7aが備えるモータやセンサ、ヒータ等の機器に通じる信号線が接続される。同様に、後処理制御部8のI/Oポート77には、前記後処理実行部8a〜8cが備える機器やセンサに通じる信号線が接続される。
なお、図2及び図3には、MPU63、73によってデータの書き込み及び読み出しが可能な不揮発性の記憶手段として、フラッシュメモリ66、76が設けられているが、このフラッシュメモリ66、76の代わりに、EEPROM等の他の不揮発性記憶手段を採用することも考えられる。
【0019】
[電源系統]
次に、図4に示す電源系統図を参照しつつ、各機能ブロックに対する電源の接続関係の第1実施例について説明する。
図4に示す例では、画像処理装置Xは、9個のサブ電源22を備えている。以下、それぞれ第1サブ電源221〜第9サブ電源229と称する。
前記メイン電源21は、NIC5、操作部1及びメイン通電切替回路10に対して電力を供給する電源である。
このメイン電源21は、当該画像処理装置X全体に対する根元の電力供給源となる商用電源50に対し、手動操作に応じて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを切り替える手動切替スイッチ40を介して接続されている。利用者がこの手動切替スイッチ40の切り替え操作をすることにより、NIC5、操作部1及びメイン通電切替回路10に対して通電されるか否かが切り替えられる。従って、NIC5、操作部1及びメイン通電切替回路10は、当該画像処理装置Xが商用電源50に接続されている状態では、利用者の操作によって手動切替スイッチ40が導通状態から遮断状態に切り替えられない限り、常に通電された状態となる。また、手動切替スイッチ40が遮断状態に切り替えられると、当該画像処理装置X全体が非通電状態(停止状態)となる。
なお、図4では、電源供給ラインを実線で表し、その他の信号伝送ラインを破線で表している。
【0020】
一方、第1サブ電源221は、メイン制御部9、表示部2及び画像処理演算部4に対して電力を供給する電源回路である。
また、第2サブ電源222、第3サブ電源223及び第4サブ電源224は、それぞれスキャナ制御部6、プリント制御部7及び後処理制御部8の各々に対して電力を供給する電源回路である。
また、第5サブ電源225、第6サブ電源226及び第9サブ電源229は、それぞれHDD3、スキャナ部6a、後処理実行部8a〜8cの各々に対して電力を供給する電源回路である。
また、第7サブ電源227は、プリント部7aのうちの定着用ヒータ7bを除く機器に対して電力を供給する電源回路であり、第8サブ電源228は、定着用ヒータ7bに対して電力を供給する電源回路である。
【0021】
また、第1サブ電源221〜第9サブ電源229各々は、商用電源50に対し、前記手動切替スイッチ40と、所定の制御信号に基づいて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを切り替える自動切替スイッチ41〜49とを介して接続されている。なお、図4から明らかなように、自動切替スイッチ41と第1サブ電源221、自動切替スイッチ42と第2サブ電源222、…、自動切替スイッチ449と第9サブ電源229が各々対応関係にある。
これにより、手動切替スイッチ40が導通状態にされた上で、さらに自動切替スイッチ41〜49の各々が導通状態となって初めて、サブ電源221〜229各々が通電状態となる。
以下、電源供給ラインを導通させること及び遮断することを、各々ONする及びOFFするという。同様に、電源供給ラインが導通した状態のこと及び遮断した状態のことを、各々ON状態及びOFFという。
そして、自動切替スイッチ41〜49は、その各々がON状態となるかOFF状態となるかにより、各機能ブロック6〜10、6a、7a、8a〜8c各々に対して個別に通電するか否かを切り替える通電切替手段として機能する。
【0022】
図4に示すように、自動切替スイッチ41は、NIC5からの制御信号に従って動作するメイン通電切替回路10により、ONするかOFFするか(以下、ON/OFFと記載する)が制御される。即ち、メイン通電切替回路10及び及びこれを制御するNIC5が、自動切替スイッチ41のON/OFFを制御することにより、メイン制御部9、表示部2及び画像処理演算部4に対する通電を制御する。このように、NIC5は、各機能ブロックに対する通電制御を実行する手段の一部を兼ねている。以下、NIC5の構成要素の中で、メイン通電切替回路10の制御機能を実現する部分(具体的には、MPU63とそのMPU63によって実行されるメイン通電切替回路10の制御に関するプログラムモジュール)を、第1通電制御実行部という。
このNIC5の第1通電制御実行部は、複数の自動切替スイッチ41〜49(通電切替手段に相当)のうち、最上位の機能ブロックであるメイン制御部9に対する通電の切り替えを行う自動切替スイッチ41のみを制御する。ここで、NIC5の第1通電制御実行部は、メイン通電切替回路10に対し、バス11を通じて制御信号を出力する。
また、自動切替スイッチ42〜45は、全てメイン制御部9によってON/OFFが制御される。即ち、メイン制御部9が、それより一階層下位の機能ブロックであるスキャナ制御部6、プリント制御部7、後処理制御部8及びHDD3の各々に対する通電を制御する。
また、自動切替スイッチ46と、自動切替スイッチ47、48と、自動切替スイッチ49とは、それぞれスキャナ制御部6と、プリント制御部7と、後処理制御部8とによってON/OFFが制御される。即ち、スキャナ制御部6が、それより一階層下位の機能ブロックであるスキャナ部6aに対する通電を制御する。同様に、プリント制御部7が、それより一階層下位の機能ブロックであるプリント部7aに対する通電を制御する。さらに、後処理制御部8が、それより一階層下位の機能ブロックである後処理実行部8a〜8cに対する通電を制御する。なお、各制御部6〜9は、その各々が備えるI/Oポート77を通じて、自動切替スイッチ42〜49に対して制御信号を出力し、その制御信号を出力する処理は、各制御部6〜9が備えるMPU73が所定のプログラムを実行することにより実現される。以下、各制御部6〜9の構成要素の中で、自動切替スイッチ42〜49の制御機能を実現する部分(具体的には、MPU73と、そのMPU73によって実行される自動切替スイッチ42〜49の制御に関するプログラムモジュール)のことを、第2通電制御実行部という。
このように、各制御部6〜9の第2通電制御実行部は、複数の自動切替スイッチ41〜49のうち、自身の機能ブロック(当該機能ブロック)に対して一階層下位の他の機能ブロックに対する通電の切り替えを行うもののみを制御する。
【0023】
続いて、各機能ブロックに対する通電制御の基本動作について説明する。
まず、各機能ブロックが通電されていない状態である場合に、その機能ブロック各々に対する通電を開始する場合の基本動作について説明する。以下、機能ブロックに通電がなされていない状態を"通電無し状態"、通電されている状態を"通電有り状態"という。
[通電開始の基本動作]
各機能ブロックを"通電無し状態"から"通電有り状態"に切り替える場合、まず、NIC5における前記第1通電制御実行部及びメイン通電切替回路10が、自動切替スイッチ41をOFF状態からON状態へ切り替える。これにより、最上位の機能ブロックであるメイン制御部9に対する通電状態が、"通電無し状態"から"通電有り状態"へ切り替わる。
次に、メイン制御部9が"通電有り状態"となると、そのメイン制御部9における前記第2通電制御実行部が、自動切替スイッチ42〜45のうち、メイン制御部9に対し一階層下位の機能ブロック(通電が必要なもの)に対応するものをOFF状態からON状態へ切り替える。これにより、メイン制御部9よりも一階層下位の機能ブロック(HDD3及びローカル制御部6〜8のうちの1又は複数)が"通電有り状態"に切り替わる。
さらに、ローカル制御部6〜8が"通電有り状態"となると、そのローカル制御部6〜8における前記第2通電制御実行部が、自動切替スイッチ46〜49のうち、そのローカル制御部に対し一階層下位の機能ブロック(通電が必要なもの)に対応するものをOFF状態からON状態へ切り替える。これにより、ローカル制御部6〜8よりも一階層下位の機能ブロック(スキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cのうちの1又は複数)が"通電有り状態"に切り替わる。
このように、画像処理装置Xでは、NIC5における前記第1通電制御実行部及びメイン通電切替回路10、並びに各制御部6〜9における前記第2通電制御実行部の作用により、機能ブロックを"通電無し状態"から"通電有り状態"へ切り替える場合に、それら機能ブロックを上位のものから下位のものへ順に"通電有り状態"へ切り替える各機能ブロックの通電状態を切り替える階層的通電制御処理を実行する。
【0024】
[通電停止の基本動作]
次に、各機能ブロックが"通電有り状態"である場合に、その機能ブロック各々に対する通電を停止する場合の基本動作について説明する。
まず、NIC5における前記第1通電制御実行部は、制御対象となるメイン制御部9を"通電有り状態"から"通電無し状態"に切り替える場合、そのメイン制御部9よりもさらに下位の機能ブロックである各ローカル制御部6〜8、及びさらにその下位の機能ブロックであるスキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cの全てが"通電無し状態"であることを確認し、それが確認できた場合にのみ、自動切替スイッチ41をON状態からOFF状態へ切り替える。即ち、上記確認ができなかった場合には、自動切替スイッチ41をON状態からOFF状態へ切り替えることを禁止する。
また、メイン制御部9における前記第2通電制御実行部は、制御対象となるスキャナ制御部6を"通電有り状態"から"通電無し状態"に切り替える場合、そのスキャナ制御部6よりもさらに下位の全ての機能ブロックであるスキャナ部6aが"通電無し状態"であることを確認し、それが確認できた場合にのみ、自動切替スイッチ42をON状態からOFF状態へ切り替える。即ち、上記確認ができなかった場合には、自動切替スイッチ42をON状態からOFF状態へ切り替えることを禁止する。
同様に、メイン制御部9における前記第2通電制御実行部は、制御対象となるプリント制御部7若しくは後処理制御部8を"通電有り状態"から"通電無し状態"に切り替える場合、そのプリント制御部7若しくは後処理制御部8よりもさらに下位の全ての機能ブロックであるプリント部7a若しくは後処理実行部8a〜8cが"通電無し状態"であることを確認し、それが確認できた場合にのみ、自動切替スイッチ43若しくは44をON状態からOFF状態へ切り替える。即ち、上記確認ができなかった場合には、自動切替スイッチ43若しくは44をON状態からOFF状態へ切り替えることを禁止する。
【0025】
以上に示したように、NIC5の第1通電制御実行部及びメイン制御部9の第2通電制御実行部(通電制御の対象となる機能ブロックよりもさらに下位の機能ブロックが存在するもの)は、制御対象となる一階層下位の機能ブロックを"通電無し状態"に切り替える処理を、それよりもさらに下位の機能ブロックが"通電無し状態"であることを確認した場合にのみ実行する。これにより、制御される側の機能ブロックであるスキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cよりも先に、それを制御する側の機能ブロックである各ローカル制御部6〜8が"通電無しの状態"に切り替えられるという不安全な状況に陥ることを確実に防止できる。
ここで、通電制御の対象となる機能ブロックよりもさらに下位側の機能ブロックの通電状態を確認する方法としては、例えば、制御対象となる"通電有り状態"の機能ブロックに対し、それより下位側の機能ブロックの通電状態を問い合わせ、その問い合わせに対する応答に基づいて確認することが考えられる。その他、NIC5のフラッシュメモリ66に、各機能ブロックの最新の通電状態を記憶させ、その記憶内容を参照することによって下位側の機能ブロックの通電状態を確認することも考えられる。この場合、前記第2通電制御実行部を有する各機能ブロックに、一階層下位の機能ブロックの通電状態の切り替わり情報をNIC5に通知する機能を設け、さらに、NIC5に、各機能ブロックからの通知に基づいて、各機能ブロックの最新の通電状態をフラッシュメモリ66に記憶させる機能を設ければよい。
【0026】
本画像処理装置Xでは、各機能ブロックに対する通電がなされている場合に、例えばNIC5或いはメイン制御部9が、以下に示す2つの条件(以下、それぞれ第1のスリープ条件及び第2のスリープ条件という)の成否を判別する。そして、それらスリープ条件のいずれかが成立した場合に、当該画像処理装置Xは、前述した通電停止の基本動作に従って、各機能ブロックに対する通電が遮断された状態であるスリープモードに移行する。
なお、NIC5のMPU63は、スリープモードへ移行する際に、第1のスリープ条件と第2のスリープ条件とのいずれの条件が成立したのかを表すスリープモード移行理由情報を、NIC5のフラッシュメモリ66に記録するものとする。
【0027】
[第1のスリープ条件]
第1のスリープ条件は、現在の日時が、予め定められた週間スケジュールにおいてスリープモードに設定されている時間帯に属しているという条件である。以下、予め定められた週間スケジュールに従って自動切替スイッチ41〜49を制御することにより、機能ブロック各々の通電状態を制御することを、ウィークリータイマ制御という。
図7は、ウィークリタイマ制御の週間スケジュールの内容を模式的に表したものである。図7中の各升目は、曜日(月曜日〜日曜日)及び時刻(00時台〜23時台)によって規定される時間帯である。また、空欄の升目は、スリープモードに設定されている時間帯を表し、"*"印が記されている升目は、各機能ブロックに通電がなされる通常モードに設定されている時間帯を表す。
例えば、NIC5のMPU63は、図7に示す週間スケジュールの情報をフラッシュメモリ66に予め記憶させておく。さらに、NIC5の前記第1通電制御実行部は、計時部69により計時される現在時刻を周期的に取得し、その現在時刻が、フラッシュメモリ66に記憶された週間スケジュールにおいて、スリープモードと通常モードのいずれに設定されている時間帯であるのかを判別する。そして、前記第1通電制御実行部は、その判別結果に応じて、メイン通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ41を制御し、さらに、バス11を通じて各制御部6〜9に通電の制御情報を通知することにより、各制御部6〜9の前記第2通電制御実行部に自動切替スイッチ42〜49の制御を行わせる。即ち、NIC5が、ウィークリータイマ制御機能を兼ねている。
また、メイン制御部9は、操作部1及び表示部2を制御することにより、利用者が週間スケジュールの内容を設定可能とする週間スケジュール設定機能を備えている。この週間スケジュール設定機能により設定された週間スケジュールは、メイン制御部9からNIC5に伝送され、NIC5のMPU63がフラッシュメモリ66に格納する。
【0028】
[第2のスリープ条件]
第2のスリープ条件は、前記第1のスリープ条件が成立していない場合に、操作部1を通じた操作入力がなく、かつ、ネットワーク30を通じた端末31からのデータ受信がない状態が、予め定められた時間以上継続するという条件である。
例えば、NIC5が第2のスリープ条件の成否判別を行う場合、NIC5の前記第1通電制御実行部は、メイン通電切替回路10を介して、操作部1に対する操作入力の有無を検知するとともに、ネットワーク制御部67を介して、端末31からのデータ受信の有無を検知する。この場合、操作部1に対して何らかの操作入力がなされるごとに、その旨を表す制御信号が、操作部1とメイン通電切替回路10とを接続する信号線を通じて操作部1からメイン通電切替回路10に伝送され、さらに、バス11を通じてメイン通電切替回路10からNIC5に伝送される。
さらに、NIC5の第1通電制御実行部は、計時部69に前記タイマー設定時間を設定し、計時部69からの応答を取得することにより、操作部1を通じた操作入力がなく、かつ、ネットワーク30を通じた端末31からのデータ受信がない状態が、所定時間以上継続したことを検知する。そして、前記第1通電制御実行部は、その検知結果に応じて、メイン通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ41を制御し、さらに、バス11を通じて各制御部6〜9に通電の制御情報を通知することにより、各制御部6〜9の前記第2通電制御実行部に自動切替スイッチ42〜49の制御を行わせる。
【0029】
次に、図6を参照しつつ、NIC5がネットワーク30を通じて端末31から受信するジョブの内容について説明する。
図6は、ジョブの一例であるプリントジョブのデータ構成を表すものである。
図6に示すように、プリントジョブは、当該プリントジョブ全体に関する各種の情報が設定された全体ヘッダ部000dと、印刷ページごとにその印刷ページに関する各種の情報が設定されたページヘッダ部100dと、印刷ページごとの画像データ105d(画像形成の対象となる画像データ)とを含んで構成されている。
ここで、全体ヘッダ部000dには、例えば、当該プリントジョブに関する以下のような情報が含まれている。
(1)送信者(送信元となった端末31の利用者)の識別情報である送信者ID001d
(2)送信日時002d
(3)端末31において生成された当該プリントジョブの元となったデータファイルの名称を表すデータファイル名003d(例えば、ワープロソフトや表計算ソフトの印刷処理の実行により生成された印刷ジョブの元となったデータファイルの名称等)
(4)当該プリントジョブの表現に用いられているページ記述言語(PDL)の種類004d(PCL、ESC/P、GDI等)
(5)印刷するページ数005d
(6)印刷部数006d
(7)記録紙の両面に印刷するか片面に印刷するかを表す両面印刷指定情報007d
(8)複数ページ分の印刷をどのようなページ順序で行うかを指定する印刷順指定情報008d
(9)シフター8aによる記録紙の仕分け処理を要求する場合にその仕分け処理の内容を指定するシフター処理指定情報009d
(10)パンチャー8bによる穴あけ処理を行うか否かを指定するパンチ処理指定情報010d
(11)ステイプラー8cによるステイプル処理を行うか否かを指定するステイプル処理指定情報011d
(12)当該プリントジョブに基づく画像形成処理を実行する時刻を指定する予約時刻012d
(13)当該プリントジョブが画像形成処理を即時に実行すべき要求であるか否かを表す即時処理指定情報013d
(14)当該プリントジョブの画像の内容が機密性の高い秘密情報であるか否かを表す秘密指定情報014d
(15)特定の利用者についてのユーザ認証が成功した場合にのみ当該プリントジョブに基づく画像形成処理が実行されることを要求する場合における、その特定の利用者に関する情報(ユーザID等)が設定される親展指定情報015d
【0030】
また、前記ページヘッダ部100dには、例えば、各印刷ページに関する以下のような情報が含まれている。
(1)画像の出力先となる記録紙のサイズ101d
(2)画像の出力先となる記録紙の供給元となる給紙カセットを指定する給紙カセット指定情報102d
(3)画像の縮小率若しくは拡大率を表す倍率103d
(4)画像形成の対象となる画像データのフォーマット104d(ビットマップ形式、JPEG形式、TIF形式等)
このように、プリントジョブには、当該プリントジョブに関する各種の情報が含まれる。なお、ここでは、プリントジョブの内容の例について示したが、他のジョブ(スキャンジョブ、データファイリングジョブ)も、それぞれに応じた同様の情報を含んでいる。
【0031】
次に、画像処理装置Xが、スリープモードから通常モードへ移行する処理(以下、スリープモード解除処理という)について説明する。
[操作入力に応じたスリープモード解除処理]
画像処理装置Xは、スリープモードであるときに、操作部1に対する操作入力に応じてスリープモード解除処理を実行する。
具体的には、スリープモードであるときに、操作部1に対して何らかの操作入力があった場合、その旨を表す制御信号が操作部1からメイン通電切替回路10に伝送され、メイン通電切替回路10が、自動切替スイッチ41を"ON"に切り替える。
その後、メイン制御部9の前記第2通電制御実行部が、操作部1に対する操作入力の内容に応じて、自動切替スイッチ42〜45を制御すること、及び"通電有り状態"となったローカル制御部6〜8を制御することにより、必要な機能ブロックを"通電有り状態"に切り替える。
【0032】
[データ受信に応じたスリープモード解除処理]
画像処理装置Xは、スリープモードであるときに、NIC5により端末31からジョブが受信された場合に、NIC5の前記第1通電制御実行部及び"通電有り状態"となった各制御部6〜9の前記第2通電制御実行部が、そのジョブの内容に基づいて自動切替スイッチ41〜49を制御することにより、スリープモード解除処理(機能ブロック各々に対する通電を開始させる制御)を行う。
以下、図5に示すフローチャートを参照しつつ、NIC5によるデータ受信に応じたスリープモード解除処理の手順について説明する。なお、以下に示すS1、S2、…は、処理手順(ステップ)の識別記号を表す。
【0033】
[ステップS1、S2]
まず、NIC5の前記第1通電制御実行部は、NIC5のフラッシュメモリ66に、スリープモードに移行してから現在に至るまでの間の過去に端末31からネットワーク30を通じて受信したジョブが一時記憶されている場合、それに予約時刻012dが設定されているときは、計時部69から取得した現在の日時が、その予約時刻012dを経過しているか否かを判別する(S1)。ここで、NIC5のフラッシュメモリ66に、ジョブが一時記憶される過程については後述する。
さらに、NIC5の第1通電制御実行部は、端末31からネットワーク30を通じて新たなデータを受信したか否かを判別する(S2)。NIC5の第1通電制御実行部は、現在の日時が前記予約時刻012dを経過する、若しくは端末31から新たなデータを受信するまで、ステップS1及びS2の処理を繰り返す。以降、当該画像処理装置Xは、ステップS1で現在の日時が前記予約時刻012dを経過したと判別したジョブ(フラッシュメモリ66に記憶されたジョブ)を、ネットワーク30を通じて新たに受信したジョブであるとみなして処理を実行する。
【0034】
[ステップS3、4、S20]
次に、NIC5の第1通電制御実行部は、端末31から新たなデータを受信したと判別すると、その受信データが、ジョブ(データ処理要求)であるか否かを判別する(S3)。ここで、ジョブではないと判別すると、そのデータの内容に応じた予め定められた処理(図中、"その他の処理"と表記)を実行し(S20)、その後、前述したステップS1へ処理を戻す。
一方、NIC5の第1通電制御実行部は、新たな受信データがジョブであると判別した場合(S3のY)、若しくは現在の日時が前記予約時刻012dを経過したと判別した場合(S1のY)に、自装置(当該画像処理装置X)の現在の状態を判別する処理を実行する(S4)。
例えば、NIC5の第1通電制御実行部は、自装置の現在の状態として、NIC5のフラッシュメモリ66の空き容量や、前記第1のスリープ条件と前記第2のスリープ条件のいずれの条件の成立によって現在のスリープモードに移行したのか(スリープモードへの移行理由)、NIC5のフラッシュメモリ66に保持されているジョブの数、等について判別する。ここで、NIC5の第1通電制御実行部は、NIC5のフラッシュメモリ66に記憶された前記スリープモード移行理由情報に基づいて、スリープモードへの移行の理由となったスリープ条件を判別する。
【0035】
[ステップS5]
次に、NIC5の第1通電制御実行部は、スリープモード中に受信したジョブの内容(図6参照)と、ステップS4で判別された当該画像処理装置Xの状態(ジョブが受信された際の当該画像処理装置Xの状態の一例)とに基づく所定の電源制御ルールに従って、第1サブ電源221の通電要否(即ち、メイン制御部9、表示部2及び画像処理演算部4に対する通電要否)と、実行する処理とを判別する(S5)。
図8は、NIC5の第1通電制御実行部における電源制御ルールの一例を表すものである。
図8に例示する電源制御ルールには、判断の対象となり得る自装置の状態の項目として、以下の各項目が設定されている。これら各項目は、NIC5の第1通電制御実行部が、ステップS4の処理で判別する項目である。
(1)スリープモードへの移行の理由となったスリープ条件201d
(2)NIC5のフラッシュメモリ66の空き容量202d
(3)NIC5のフラッシュメモリ66に保持中のジョブの数203d
【0036】
また、判断の対象となり得るジョブの内容の項目として、以下の各項目が設定されている。NIC5の第1通電制御実行部は、ジョブに含まれる全体ヘッダ部000dやページヘッダ部100dの内容を参照することによってこれら各項目について判別し、その判別結果に基づいて通電制御を行う。
(1)送信者の権限301d
この項目は、ジョブの送信者の権限を判別対象とする項目である。ここでは、NIC5の第1通電制御実行部が、ジョブに含まれる送信者ID001dと、NIC5のフラッシュメモリ66に予め記憶されたユーザ情報とに基づいて、送信者がノーマルユーザであるか、それより大きな権限を有するスーパーユーザであるかを判別する。
(2)プリントジョブにおける画像データのフォーマット302d(図6における画像データフォーマット104dに相当)
(3)プリントジョブにおけるページ記述言語303d(図6におけるPDL種類004dに相当)
(4)親展指定情報015dによる親展指定304d(指定有りか無しか)
(5)プリントジョブにおける後処理指定305d(シフター処理指定情報009d、パンチ処理指定情報010d及びステイプル処理指定情報011dにより、シフター処理、パンチ処理及びステイプル処理のうちの一つ以上が指定されているか否か)
(6)予約時刻012dの指定306d(データ処理の実行を予約するジョブであるか否か)
(7)即時処理の指定307d(即時処理指定情報013dにより即時処理が指定されているか否か)
(8)秘密指定情報014dによる秘密情報の指定308d(指定有りか無しか)
(9)ジョブに含まれる処理対象データのサイズ309d(処理対象データとは、プリントジョブの場合は画像形成の対象となる画像データのサイズ、データファイリングジョブの場合はHDD3への書き込み対象となるデータファイルのことを指す)
(10)処理対象データのファイルフォーマット310d(プリントジョブの場合、データファイル名003dの拡張子("TXT"、"DOC"等)により判別されるファイルのフォーマット)
(11)ジョブの種類311d(プリントジョブ、スキャンジョブ、データファイリングジョブのうちのいずれであるか)
【0037】
図8に例示する電源制御ルールは、当該画像処理装置Xの状態に関する各項目201d〜203dの内容、及びジョブの内容に関する各項目301d〜311dの内容のアンド条件による組合せである単位ルール(図8における縦1列が、単位ルールを表す)ごとに、ルール番号401d(R1、R2、…第1サブ電源221の通電状態402d(ON/OFF)と、実行する処理403dとが設定されている。
また、ここで、第1サブ電源221の通電状態402dと、実行する処理403dとの組合せとしては、第1サブ電源221に通電を行わず(OFF)、かつ、受信したジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記録する(図中、"H"と表記)というパターンと、第1サブ電源221に通電を行い(ON)、かつ、受信したジョブをバス11を通じてメイン制御部9に引き渡す(図中、"I"と表記)というパターンとの2通りがある。
なお、図8において、単位ルールにおける各項目のうち、その内容が設定されていない(升目が空欄である)ものは、その内容を参照しない項目であることを表す。
そして、NIC5の第1通電制御実行部は、各単位ルールの条件が成立するか否かを、ルール番号401dに従って順番に(R1、R2、…、Rnの順)判別し、最初に条件が成立した単位ルールに対応する第1サブ電源221の通電状態402dに従って、第1サブ電源221の通電要否を判別する。
なお、メイン制御部9は、操作部1及び表示部2を制御することにより、利用者が前記単位ルールの一部若しくは全部を設定可能とする電源制御ルール設定機能を備えている。この電源制御ルール設定機能により設定された電源制御ルールは、メイン制御部9からNIC5に伝送され、NIC5のMPU63がフラッシュメモリ66に格納する。
【0038】
図8に例示する電源制御ルールでは、スリープモードへの移行理由となったスリープ条件201dが前記第2のスリープ条件(入力無し状態の継続)であり、かつ、NIC5のフラッシュメモリ66の空き容量201dが所定サイズ以上であり、かつ、送信者の権限301dが"スーパーユーザ"であり、かつ、予約時刻の指定306dが"有り"であり、かつ、秘密指定308dが"無し"であり、かつ、処理対象データのサイズ309dが所定サイズ未満である場合、NIC5の第1通電制御実行部は、第1サブ電源221に通電を行わず、受信したジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記録すべきと判別する(ルール番号R1)。
また、上記以外の場合であって、スリープ条件201dが前記第2のスリープ条件であり、かつ、NIC5のフラッシュメモリ66の空き容量201dが所定サイズ以上であり、かつ、送信者の権限301dが"ノーマルユーザ"であり、かつ、即時処理の指定307dが"無し"であり、かつ、秘密指定308dが"無し"であり、かつ、処理対象データのサイズ309dが所定サイズ未満である場合、NIC5の第1通電制御実行部は、第1サブ電源221に通電を行わず、受信したジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記録すべきと判別する(ルール番号R2)。
【0039】
また、上記以外の場合であって、スリープ条件201dが前記第1のスリープ条件(ウィークリータイマー制御)であり、かつ、NIC5のフラッシュメモリ66に既に保持されているジョブの数203dが所定個数未満であり、かつ、送信者の権限301dが"ノーマルユーザ"であり、かつ、ページ記述言語303dが"ESC/P"若しくは"PCL"であり、かつ、秘密指定308dが"無し"であり、かつ、ジョブの種類311dが"プリントジョブ"である場合、NIC5の第1通電制御実行部は、第1サブ電源221に通電を行わず、受信したジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記録すべきと判別する(ルール番号R3)。
また、上記以外の場合であって、スリープ条件201dが前記第1のスリープ条件であり、かつ、NIC5のフラッシュメモリ66に既に保持されているジョブの数203dが所定個数未満であり、かつ、送信者の権限301dが"ノーマルユーザ"であり、かつ、秘密指定308dが"無し"であり、かつ、処理対象データのファイルフォーマット310dが"TXT"(テキストデータ)であり、かつ、ジョブの種類311dが"プリントジョブ"若しくは"データファイリングジョブ"である場合、NIC5の第1通電制御実行部は、第1サブ電源221に通電を行わず、受信したジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記録すべきと判別する(ルール番号R4)。
そして、上記以外の場合は、NIC5の第1通電制御実行部は、第1サブ電源221に通電を行い、受信したジョブをメイン制御部9に引き渡すべきと判別する(ルール番号R5)。
【0040】
[ステップS6、S7、S8]
そして、NIC5の第1通電制御実行部は、ステップS5において第1サブ電源221への通電は不要と判別した場合、受信したジョブをその関連情報と対応付けてNIC5のフラッシュメモリ66に記憶させ(S6)、さらに、処理を後述するステップS14へ移行させる。このステップS6でフラッシュメモリ66に記憶されるジョブが、前述したステップS1において予約時刻012dのチェック対象となり得るジョブとなる。
ここで、NIC5のフラッシュメモリ66にジョブと対応付けて記憶される関連情報には、例えば、そのジョブの送信元の送信者ID001d、ジョブの記憶日時(受付日時)、ジョブのデータサイズ等が含まれる。
また、NIC5は、端末31からの要求に応じて、フラッシュメモリ66に記憶(保留)されたジョブに関する処理(後述する保留ジョブ処理)を実行する機能(保留ジョブ処理機能)を備える。その内容については後述する。
一方、NIC5の第1通電制御実行部は、ステップS5において第1サブ電源221への通電が必要と判別した場合、メイン通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ41をONにすることにより、第1サブ電源221に通電を行う(S7)。これにより、メイン制御部9、表示部2及び画像処理演算部4が"通電有り状態"となる。
さらに、NIC5の第1通電制御実行部は、受信したジョブと、ステップS4で判別した結果である自装置の状態とを、"通電有り状態"となったメイン制御部9に引渡す(S8)。その際、そのジョブに、予約時刻012dが設定されている場合は、NIC5の第1通電制御実行部は、NIC5のフラッシュメモリ66に、そのジョブに含まれる全体ヘッダ部000dを記憶させる(S8)。これにより、NIC5のフラッシュメモリ66に、予約時刻012dと当該ジョブの識別に用いることができる情報(送信者ID001dや送信日時002d等)とがNIC5のフラッシュメモリ66に記憶される。
【0041】
[ステップS9]
次に、メイン制御部9の前記第2通電制御実行部は、NIC5から引き渡されたジョブ(即ち、スリープモード中に受信したジョブ)の内容に基づく所定の電源制御ルールに従って、第2サブ電源222から第9サブ電源229までの通電要否(即ち、ローカル制御部6〜8、HDD3、スキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cの各々に対する通電要否)と、実行する処理とを判別する(S9)。その際、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、ジョブに含まれる全体ヘッダ部000dの内容を参照することによってそのジョブの内容を判別し、その判別結果に基づいて通電制御を行う。
【0042】
図9は、メイン制御部9の第2通電制御実行部における電源制御ルールの一例を表すものである。
図9に例示する電源制御ルールでは、ジョブにおける後処理指定305dが"有り"であり、かつ、ジョブの種類311dが"プリントジョブ"である場合、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、第3サブ電源223から第5サブ電源225まで、及び第7サブ電源227から第9サブ電源229までにのみ通電を行い、受信したジョブに応じた通常の処理(画像形成処理及び後処理)を実行すべきと判別する(ルール番号S6)。これにより、HDD3、プリント制御部7、プリント部7a、後処理制御部8及び後処理実行部8a〜8cが"通電有り状態"となり、ジョブに応じた画像形成処理及び後処理(シフター処理、パンチ処理、ステイプル処理)が実行される。
また、上記以外の場合であって、ジョブの種類311dが"プリントジョブ"である場合、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、第3サブ電源223、第5サブ電源225、第7サブ電源227及び第8サブ電源228にのみ通電を行い、受信したジョブに応じた通常の処理(画像形成処理)を実行すべきと判別する(ルール番号S7)。これにより、HDD3、プリント制御部7及びプリント部7aが"通電有り状態"となり、ジョブに応じた画像形成処理が実行される。
【0043】
また、上記以外の場合であって、ジョブの種類311dが"スキャンジョブ"である場合、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、第2サブ電源222、第5サブ電源225及び第6サブ電源226にのみ通電を行い、受信したジョブに応じた通常の処理(原稿画像の読み取り処理)を実行すべきと判別する(ルール番号S8)。これにより、HDD3、スキャナ制御部6及びスキャナ部6aが"通電有り状態"となり、ジョブに応じた画像読み取り処理が実行される。
また、上記以外の場合であって、ジョブの種類311dが"データファイリングジョブ"である場合、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、HDD3用の第5サブ電源225にのみ通電を行い、受信したジョブに応じた通常の処理(データファイリング処理)を実行すべきと判別する(ルール番号S9)。これにより、HDD3が"通電有り状態"となり、ジョブに応じたデータファイリング処理が実行される。
【0044】
[ステップS10、S11]
そして、メイン制御部9の第2通電制御実行部は、ステップS9において第2サブ電源222から第5サブ電源225のうち、通電が必要と判別したものについて、これに対応する自動切替スイッチ42〜45のみをONにすることによって通電を行う(S10)。いずれのサブ電源にも通電が不要と判別した場合は、自動切替スイッチ42〜45の切り替えは行わず、処理を後述するステップS12へ移行させる。これにより、HDD3、スキャナ制御部6、プリント制御部7及び後処理制御部8のうち、必要なもののみが"通電有り状態"となる。
一方、メイン制御部9によって"通電有り状態"とされたローカル制御部6〜8は、その各々に対応するサブ電源(第6サブ電源226から第9サブ電源229のうちのいずれか)に対し、これに対応する自動切替スイッチ46〜49をONにすることによって通電を行い(S11)、処理をステップS12へ移行させる。これにより、スキャナ部6a、プリント部7a及び後処理実行部8a〜8cのうち、必要なもののみが"通電有り状態"となる。
【0045】
[ステップS12、S13]
以上に示したステップS9〜S11の処理により、ジョブに対応した通常処理を行うのに必要なメイン制御部9と、ローカル制御部6〜8及びこれに制御される機能ブロック(スキャナ部6a、プリント部7a、後処理実行部8a〜8c)が"通電有り状態"となっているので、それら"通電有り状態"となっている機能ブロックが、ジョブに対応した通常処理を実行する(S12)。さらに、このステップS12では、この時点で"通電有り状態"となっている機能ブロックによって処理が可能なジョブが、NIC5のフラッシュメモリ66に記憶されている場合、そのジョブに応じた処理も併せて実行される。
次に、ステップS12での通常処理の対象となったジョブに関する情報(ジョブ自体やそのヘッダ部)が、ステップS8、S6の処理により、NIC5のフラッシュメモリ66に記憶されている(残っている)場合は、その記憶情報は、ステップS12の通常処理の実行後に全て消去される(S13)。
【0046】
[ステップS14、S15]
以上のようにしてステップS1〜S13の処理が行われた後、NIC5或いはメイン制御部9が、前述した2つのスリープ条件(前記第1のスリープ条件又は前記第2のスリープ条件)の成否を判別する(S14)。
そして、それらスリープ条件のいずれかが成立した場合に、当該画像処理装置Xは、前述した通電停止の基本動作に従って、各機能ブロックに対する通電が遮断された状態であるスリープモードに移行し(S15)、その後、前述したステップS1に処理が戻される。
以上に示したように、画像処理装置Xは、機能に応じて区分された複数の機能ブロック3、6〜9、6a、7a、8a〜8c各々に対して個別に通電するか否かの制御を行う。そして、画像処理装置Xは、スリープモード(省電力状態)であるときに、端末31からNIC5を通じて受信したジョブの内容や自装置の状態に応じて、必要最小限の機能ブロックのみが"通電有り状態"となるように制御する。その結果、従来よりも電力消費を抑えることができる。
【0047】
また、画像処理装置Xは、図8に例示する制御ルールに従って通電制御を行うことにより、以下のような特徴を有するものとなる。
例えば、即時処理指定307dが"無し"であることを必要条件とするルール番号R2の単位ルールは、そのデータ処理を即時に実行すべきジョブではないことを判別するルールである。
従って、NIC5が兼ね備える第1通電制御実行部は、端末31からスリープモード状態(通電無し状態)にある機能ブロックを使用するジョブが受信された際、ルール番号R2の単位ルールに従うことにより、NIC5により受信されたジョブの内容が、そのデータ処理を即時に実行すべきジョブではないと判別した場合に、そのジョブをNIC5のフラッシュメモリ66に記憶させる処理(S6)を行うものである。
【0048】
その後、新たなジョブが受信され、NIC5のフラッシュメモリ66に、所定数以上の個数のジョブが記憶されるという条件や、そのジョブを記憶するフラッシュメモリの残り容量が所定サイズ未満となったという条件が成立した場合には、ルール番号R2の単位ルールは適用されず、ルール番号R5及びS6〜S9のいずれかの単位ルールが適用される。このルール番号R5及びS6〜S9のいずれかの単位ルールが適用されると、第1通電制御実行部及び第2通電制御実行部(以下、これらを併せて通電制御実行部と称する)は、フラッシュメモリ66に記憶させたジョブに対応する機能ブロックを、"通電無し状態"から"通電有り状態"に切り替え(S10、S11)、さらに、"通電有り状態"となった機能ブロックが、そのジョブに対応する処理を実行する(S12)。
このように、NIC5が兼ね備える第1通電制御実行部は、スリープモード中に複数のジョブを受け付けてフラッシュメモリ66(ジョブ記憶手段の一例)に記憶させた後に、所定の条件(通電開始条件)が成立した際に、それらに対応する機能ブロックを"通電無し状態"から"通電有り状態"に切り替えた上で、記憶されたジョブをメイン制御部9を通じて対応する機能ブロックに処理させる(ジョブ保留制御手段の一例)。これにより、フラッシュメモリ66に記憶された複数のジョブがまとめて処理されるので、機能ブロックに対する通電頻度が減り、画像処理装置Xの消費電力が抑えられる。なお、ジョブを記憶させる記憶手段は、必ずしも画像処理装置Xが備えなければならないわけでなく、例えば、NIC5がネットワーク30を通じて通信可能な外部装置(ファイルサーバ等)の記憶部を、ジョブの記憶先とすることも考えられる。
なお、図8に例示した制御ルールの他、前記通電制御実行部がフラッシュメモリ66に記憶させたジョブに対応する処理を開始する条件としては、例えば、フラッシュメモリ66に記憶されたジョブのデータサイズの合計が所定サイズ以上になったという条件や、フラッシュメモリ66に1つ目のジョブが記憶されてから所定時間が経過したという条件等も考えられる。
【0049】
また、前記通電制御部は、ジョブの送信者の権限301dに応じて、通電制御の内容を変えることができるので、利用者の権限に応じた柔軟な通電制御が可能となる。
また、前記通電制御部は、ジョブの秘密指定308dが"有り"に設定されている場合に、そのジョブに対応する機能ブロックを"通電無し状態"から"通電有り状態"に切り替えることにより、そのジョブを即座に処理できる状態に切り替えることができる。その結果、秘匿性の高いジョブが、フラッシュメモリ66に長時間記憶されることがなく、秘匿性の高いジョブの情報が漏洩することを防止できる。
【0050】
ところで、図4に電源系統図を示したように、各機能ブロックに対する電源の接続関係の第1実施例では、前記階層的通電制御処理によって各機能ブロックの通電状態を切り替える制御手段が、NIC5の第1通電制御実行部と、各制御部6〜9の第2通電制御実行部とに分散して構成されたものであった。
しかしながら、スリープモード中も通電された状態にあるNIC5が、全ての機能ブロック3、6〜9、7a、8a〜8cに対する通電制御を行うことにより、前記階層的通電制御処理を行うよう構成した実施例も考えられる。
図10は、画像処理装置Xにおける電源の接続関係の第2実施例を表す電源系統図である。この第2実施例の構成を備えた画像処理装置Xでは、NIC5が前記階層的通電制御処理を行う。
図10に示すように、NIC5は、図4に示した前記メイン通電切替回路10に相当する通電切替回路10aを通じて、全ての自動切替スイッチ41〜49に対して個別に制御信号を出力する。
この第2実施例の場合、NIC5のMPU63が、所定の制御プログラムを実行することにより、図8及び図9に示した制御ルールに従って、第1サブ電源221から第9サブ電源229の通電制御を行う。この場合、NIC5は、各機能ブロックに対する通電制御を実行する手段の全部を兼ねたものとなる。
このような構成も、本発明の実施例の1つである。
【0051】
次に、NIC5が備える保留ジョブ処理機能について説明する。
前述したように、保留ジョブ処理機能は、画像処理装置Xがスリープモードの状態である場合(各機能ブロックが"通電無し状態"である場合)に、端末31からの要求に応じて、NIC5のフラッシュメモリ66に記憶されたジョブ(以下、保留ジョブという)に関する所定の処理である保留ジョブ処理を実行する機能であり、NIC5のMPU63により実現される機能である。
ここで、保留ジョブ処理には、次の(1)〜(3)に示す3つの種類がある。
(1)保留ジョブに関する情報を要求元の端末31に送信するジョブ情報送信処理。
(2)保留ジョブを削除するジョブ削除処理。
(3)保留ジョブを、その実行に必要な機能ブロックを起動させて即時に実行させるジョブ即時実行処理。
また、ジョブ情報送信処理によって端末31に送信される保留ジョブに関する情報には、例えば、フラッシュメモリ66にジョブと対応付けて記憶されたジョブの送信元の送信者ID001d、ジョブの記憶日時(受付日時)、ジョブのデータサイズの他、その保留ジョブの実行開始条件がいつ成立するかを推定するために参考となるその他の情報(保留ジョブの数、全保留ジョブの合計データサイズ、フラッシュメモリ66の空き容量、前記ウィークリタイマ制御の週間スケジュールに基づく次の起動予定時刻等)が含まれる。
また、各保留ジョブ処理の要求には、その要求の種類を識別するコマンドの他、要求元の送信者IDが含められる。
【0052】
続けて、図11に示すフローチャートを参照しつつ、NIC5が備える保留ジョブ処理機能の処理手順(S31〜S44)について説明する。
[ステップS31、S32、S50]
まず、NIC5のMPU63は、端末31からネットワーク30を通じて新たなデータを受信したか否かを監視する(S31)。
そして、NIC5のMPU63は、端末31から新たなデータを受信したと判別すると、その受信データが、保留ジョブ処理の要求であるか否かを判別する(S32)。ここで、保留ジョブ処理の要求ではないと判別すると、そのデータの内容に応じた予め定められた処理(図中、"その他の処理"と表記)を実行し(S50)、その後、前述したステップS31へ処理を戻す。
【0053】
[ステップS33〜S35]
一方、NIC5のMPU63は、新たな受信データが保留ジョブ処理の要求であると判別した場合(S32のY)、保留ジョブ処理の要求に含まれる送信者ID(ジョブに含まれる送信者ID001dと同様)とNIC5のフラッシュメモリ66の記憶情報とに基づいて、その要求の送信元のユーザ認証処理を行う(S33)。
このユーザ認証処理では、NIC5のMPU63は、前述したジョブの受信時と同様に、保留ジョブ処理の要求に含まれる送信者IDと、NIC5のフラッシュメモリ66に予め記憶されたユーザ情報とに基づいて、送信者がノーマルユーザよりも大きな権限を有するスーパーユーザであるか否かを判別する。
さらに、NIC5のMPU63は、保留ジョブ処理の要求に含まれる送信者IDと、NIC5のフラッシュメモリ66に保留ジョブと対応付けて記憶された送信者IDとを照合することにより、いずれかの保留ジョブの送信者であるノーマルユーザであるか否かを判別する。このユーザ認証の結果、保留ジョブ処理の要求者が、スーパーユーザであるか、ノーマルユーザであるか(以上、認証成功)、或いはそれらのいずれでもないか(認証失敗)が判別される。
次に、NIC5のMPU63は、ユーザ認証の結果(成否、スーパーユーザかノーマルユーザか)に応じて、処理を切り替える(S34、S36)。
即ち、ユーザ認証に失敗した(スーパーユーザでもノーマルユーザでもない)場合、NIC5のMPU63は、保留ジョブ処理の要求元に対し、ユーザ認証に失敗したために要求を受け付けることができない旨のエラーメッセージを送信し(S35)、その後、処理を前述したステップS31へ戻す。
【0054】
[ステップS37〜S39]
一方、要求の送信者がスーパーユーザであると判別された場合、NIC5のMPU63は、フラッシュメモリ66内にある全ての保留ジョブの中から1又は複数のジョブを選択する処理を実行する(S37)。
例えば、NIC5のMPU63は、全保留ジョブの識別情報を含むリスト情報を要求元の端末31に送信し、その端末31から返信されてくる識別情報に基づいて、処理対象とする保留ジョブを選択する。
次に、NIC5のMPU63は、要求された保留ジョブ処理の種類を判別し(S38)、それがジョブ即時実行処理の要求であると判別すると、ステップS37で選択された保留ジョブの種類に基づいて、そのジョブの処理のために通電が必要なサブ電源22を判別し、そのサブ電源22への通電を行う(S39)。保留ジョブの種類と必要なサブ電源22との対応関係は、図9に示した電源制御ルールに基づく対応関係である。
ここで、画像処理装置Xが、図4に示す電源系統を有する場合、サブ電源22への通電は、NIC5がメイン通電切替回路10を制御することにより、第1サブ電源221(メイン制御部9)への通電を直接的に行い、さらに、起動したメイン制御部9を通じて間接的に、その他のサブ電源222〜229(その他の機能ブロック3、6、7、8等)への通電を行う。
また、画像処理装置Xが、図10に示す電源系統を有する場合、NIC5が通電切替回路10aを制御することにより、各サブ電源221〜229(各機能ブロック)への通電を直接的に行う。
なお、NIC5のMPU63は、ジョブ情報送信処理又はジョブ削除処理の要求であると判別すると、処理を後述するステップS41へ移行させる。
【0055】
[ステップS40]
さらに、NIC5のMPU63は、起動したメイン制御部9に所定の通知指令を出力することにより、メイン制御部9によって生成される所定の管理者宛の通知メール(電子メール)を取得し、これを不図示の電子メールサーバへ送信し(S40)、その後、処理を次のステップS41へ移行させる。この通知メールは、予め定められた管理者のメールアドレスが宛先(送信先)として設定され、ジョブ即時実行処理の要求元のユーザIDや、要求日時等が通知情報として電子メールの本文に含められる。
このように、NIC5のMPU63が、端末31からジョブ即時実行処理の要求を受信し、それを受け付けた場合に、管理者宛の電子メールを送信する(S40)機能を備えているため、省電力化に反する可能性が高いジョブ即時実行処理の要求が安易に行われることを抑止できる。
【0056】
[ステップS41、S42]
さらに、ステップS41において、NIC5のMPU63は、ステップS37で選択した保留ジョブについて、要求された保留ジョブ処理を実行する(S41)。
さらに、実行した処理がジョブ即時実行処理であった場合には、NIC5のMPU63は、ステップS39で起動させたサブ電源22(機能ブロック)への通電を停止させる("通電無し状態"へ切り替える)ことにより、スリープモードへ移行させ(S42)、処理を前述したステップS31へ戻す。
以上に示したステップS37〜S42の処理が、保留ジョブ処理の要求元がスーパーユーザである場合の処理である。
【0057】
[ステップS43〜S45]
一方、要求の送信者がノーマルユーザであると判別された場合、NIC5のMPU63は、要求された保留ジョブ処理の種類を判別する(S43)。
そして、NIC5のMPU63は、要求された保留ジョブ処理がジョブ情報送信処理又はジョブ削除処理であると判別すると、フラッシュメモリ66内にある保留ジョブのうち、認証が成功したノーマルユーザに対応する保留ジョブの中から1又は複数のジョブを選択する処理を実行する(S44)。
例えば、NIC5のMPU63は、そのノーマルユーザに対応する保留ジョブの識別情報を含むリスト情報を要求元の端末31に送信し、その端末31から返信されてくる識別情報に基づいて、処理対象とする保留ジョブを選択する。
さらに、NIC5のMPU63は、ステップS44で選択した保留ジョブについて、要求された保留ジョブ処理を実行し(S45)、その後、処理を前述したステップS31へ戻す。
【0058】
[ステップS46]
一方、NIC5のMPU63は、ステップS43において、要求された保留ジョブ処理がジョブ即時実行処理であると判別すると、要求の送信元の端末31に対し、その要求は受け付けられない(実行不可である)旨のメッセージを送信し(S46)、その後、処理を前述したステップS31へ戻す。
以上に示したステップS43〜S46の処理が、保留ジョブ処理の要求元がノーマルユーザである場合の処理である。
このように、画像処理装置Xは、スリープモードの状態(省電力状態)であるときに、停止中(通電無し状態の)の機能ブロックへの通電を行うことなく、端末31からの要求に応じて保留ジョブの状態の送信や変更(削除や即時処理)を行う。これにより、ユーザは、端末31において、画像処理装置XのNIC5にアクセスすることにより、保留ジョブの状態の把握や変更が可能となる。その結果、保留ジョブの把握や変更を行うごとに、停止中の機能ブロック(表示部等)を起動させる場合に比べ、消費電力を抑えることができる。
また、NIC5が、保留ジョブ処理の実行可否を、端末31から受信されるユーザID(認証情報の一例)に基づいて制御する(S34、S36:保留ジョブ処理認証制御手段の一例)ので、保留ジョブ処理を要求できる者を、保留ジョブの送信者(ノーマルユーザ)や特定の権限を有するスーパーユーザに制限できる。その結果、保留ジョブの参照や削除が他人によって行われる不都合や、一定の権限を有さない者によって安易にジョブ即時実行処理が行われて消費電力が増大する不都合を回避できる。
【0059】
以上に示した保留ジョブ処理では、端末31からジョブ即時実行処理の要求を受信した場合に、管理者宛への通知を電子メール送信により行う例を示したが、NIC5が、管理者用の端末31へ同内容の通知を行う構成も考えられる。
また、前述した保留ジョブ処理では、端末31からジョブ即時実行処理の要求を受信した場合に、その送信元のユーザ権限に基づいて保留ジョブの即時処理を行うか否かを制御する(S36〜S41)例を示したが、以下に示すように他の例も考えられる。
例えば、管理者宛の通知メールに、所定の識別コードを含め、その識別コードをNIC5のフラッシュメモリ66に記憶しておく。
さらに、NIC5のMPU63が、管理者宛の通知メールを送信後の一定期間、定期的に不図示の電子メールサーバにアクセスすることにより、当該画像処理装置X宛の電子メール(新着メール)を受信し、それがフラッシュメモリ66に記憶させたものと同じ識別コード(ジョブ即時実行処理の実行可否情報の一例)を含む電子メール(保留ジョブの即時処理を許可する旨の電子メール)であるか否かをチェックする。
そして、NIC5のMPU63が、管理者宛の通知メールを送信後の一定期間内に、フラッシュメモリ66に記憶させたものと同じ識別コードを含む電子メールを受信したか否かに基づいて、要求された即時ジョブ実行処理を実行するか否かを制御する(ジョブ即時処理可否制御手段の一例)。
これにより、省電力化に反する可能性が高いジョブ即時実行処理については、通知を受けた管理者が、通知メールに対する返信を行うことによってジョブ即時実行処理を許可した場合にのみ実行可能とするよう制限できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、画像処理装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図。
【図3】画像処理装置Xが備える制御部の概略構成を表すブロック図。
【図4】画像処理装置Xにおける電源の接続関係の第1実施例を表す電源系統図。
【図5】画像処理装置Xのデータ受信に応じたスリープモード解除処理の手順を表すフローチャート。
【図6】画像処理装置Xに対するジョブの一例であるプリントジョブのデータ構成を表す図。
【図7】画像処理装置Xにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図。
【図8】画像処理装置XにおけるNICの電源制御ルールの一例を表す図。
【図9】画像処理装置Xにおける制御部の電源制御ルールの一例を表す図。
【図10】画像処理装置Xにおける電源の接続関係の第2実施例を表す電源系統図。
【図11】画像処理装置Xの保留ジョブ処理機能の処理手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
1…操作部
2…表示部
3…ハードディスクドライブ
4…画像処理演算部
5…ネットワークインターフェースカード
6…スキャナ制御部
6a…スキャナ部
7…プリント制御部
7a…プリント部
8…後処理制御部
8a…シフター
8b…パンチャー
8c…ステイプラー
9…メイン制御部
10…メイン通電切替回路
10a…通電切替回路
11…バス
21…メイン電源
22(221〜229)…サブ電源
30…ネットワーク
31…端末
40…手動切替スイッチ
41〜49…自動切替スイッチ
61、71…バスコネクタ
62、72…バス制御部
63、73…マイクロプロセッサユニット
64、74…メモリ制御部
65、75…ROM
66、76…フラッシュメモリ
67…ネットワーク制御部
68…ネットワークコネクタ
69…計時部
77…I/Oポート
S1、S2、〜…処理手順の識別記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信を行う通信手段を備え、該通信手段を通じて受信されるデータ処理要求であるジョブを処理する画像処理装置であって、
ジョブを処理する部品若しくは部品の集合である機能ブロックに対して通電するか否かを切り替える通電切替手段と、
前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記外部装置から通電無し状態にある前記機能ブロックを使用するジョブが受信された場合に、そのジョブを所定のジョブ記憶手段に記憶させた後、所定の実行開始条件が成立した際に、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを、その処理に必要な前記機能ブロックを通電無し状態から通電有り状態に切り替えるジョブ保留制御手段と、
前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記外部装置からの要求に応じて前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブに関する処理である保留ジョブ処理を実行する保留ジョブ処理手段と、
を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記保留ジョブ処理が、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブに関する情報を前記外部装置に送信するジョブ情報送信処理、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを削除するジョブ削除処理及び前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブを即時実行させるジョブ即時実行処理のうちの1又は複数を含むものである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の実行開始条件が、所定の数のジョブが前記ジョブ記憶手段に記憶されたこと、前記ジョブ記憶手段に記憶されたジョブの合計データサイズが所定サイズ以上となったこと、前記ジョブ記憶手段の残り容量が所定サイズ未満となったこと、及び前記ジョブ記憶手段に1つ目のジョブが記憶されてから所定時間が経過したこと、のうちの1又は複数である請求項1又は2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記保留ジョブ処理手段による前記保留ジョブ処理の実行可否を、前記外部装置から受信される所定の認証情報に基づいて制御する保留ジョブ処理認証制御手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記外部装置から前記ジョブ即時実行処理を要求された場合に所定の通知情報を所定の管理者の宛先へ送信する要求通知手段を具備してなる請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記通信手段が兼ね備えるものであり、前記要求通知手段による前記通知情報の送信の後、前記ジョブ即時実行処理の実行可否情報を受信してこれに基づいて前記ジョブ即時実行処理の可否を制御するジョブ即時処理可否制御手段を具備してなる請求項5に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−324650(P2007−324650A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149276(P2006−149276)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】