画像処理装置
【課題】アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置の提供。
【解決手段】記憶部12は、心壁3次元画像のデータを記憶する。カテーテル3次元画像発生部20は、カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察方向に関するX線画像に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。3次元画像合成部22は、アブレーションカテーテル3次元画像と心壁3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。表示部14は、発生された表示画像を表示する。
【解決手段】記憶部12は、心壁3次元画像のデータを記憶する。カテーテル3次元画像発生部20は、カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察方向に関するX線画像に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。3次元画像合成部22は、アブレーションカテーテル3次元画像と心壁3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。表示部14は、発生された表示画像を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーション治療に用いられる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓電気生理学の分野において、不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常のある治療部位をアブレーションカテーテルを用いて焼灼することにより電気伝導を良好にするアブレーション治療という治療法がある。このアブレーション治療において術者は、X線透視画像を観察しながら、アブレーションカテーテルを不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常のある治療部位まで移動させ、治療部位を焼灼する。心筋部位を焼灼する際、アブレーションカテーテルを心壁に対して垂直にあてる必要がある。しかし、X線透視画像は2次元表示であるため、X線透視画像上でアブレーションカテーテルと心壁との3次元的な位置関係を把握するのは非常に困難である。そのため、アブレーション治療は、手技にとても時間がかかってしまう。
【0003】
近年、血管を立体画像として観察するための心臓血管立体表示(coronary 3D、coronary tree)の技術が、例えば特許文献1及び2に開示されている。この特許文献1及び2に開示されている技術は、造影された血管を2方向からX線診断装置により撮像し、これら撮像データからエピポーラ(Epipolar)幾何理論を用いて立体画像を構築している。この技術は、精度が完璧でないが、簡易に立体画像の構築ができる。
【特許文献1】米国特許第6501848号明細書
【特許文献2】米国特許第6047080号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面に係る画像処理装置は、被検体の特定器官の内壁に関する3次元画像のデータを記憶する記憶部と、カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察方向に関するX線画像に基づいてカテーテルに関する3次元画像のデータを発生するカテーテル画像発生部と、前記発生されたカテーテルに関する3次元画像と前記内壁に関する3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する合成部と、前記発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する表示画像発生部と、前記発生された表示画像を表示する表示部と、を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の第1〜第4実施形態に係る画像処理装置を説明する。第1〜第4実施形態に係る画像処理装置は、アブレーション治療支援システムを構成する複数の装置のうちの一つである。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、アブレーション治療支援システムにおける第1実施形態に係る画像処理装置1と、他の装置との関係を示す図である。図1に示すように、アブレーション治療支援システムは、互いにネットワーク(LAN)を介して接続された画像処理装置1、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300を備える。
【0009】
X線撮像装置100は、X線透視を行うための撮像系を備える。撮像系は、Cアームを1つ備えるシングルプレーン型であっても、Cアームを2つ備えるバイプレーン型であってもよい。
【0010】
図2は、X線撮像装置100のシングルプレーン型の撮像系110を示す図である。図2に示すように、撮像系110は、Cアーム112を支持する支持部114を有する。Cアーム112は、X線管116とX線検出器118とを搭載する。X線管116は、高電圧発生装置(図示せず)から高電圧が印加されることによりX線を連続的に発生する。X線検出器118は、X線管116から発生され天板120に載置された被検体Pを透過するX線を検出する。X線検出器118から出力されたアナログの画像信号は、図示しないX線撮像装置本体により、デジタルのX線動画像(X線透視画像)のデータに変換される。
【0011】
Cアーム112は、被検体Pに対する撮影角度を自由に変更できるように、XYZ直交3軸各々に関して矢印R1,R2,R3に回転可能に支持部114によって支持される。典型的には、撮影角度は、XYZ直交3軸に対する撮影軸SAの交差角として定義される。慣習的には、第1斜位(RAO)、第2斜位(LAO)、CRA、CAUそれぞれの角度として定義される。撮影軸SAは、X線管116のX線焦点からX線検出器118の検出面中心を通る直線として定義される。典型的には、Z軸は、被検体Pの体軸に略一致するものとして定義される。支持部114は、X線撮像装置本体からの制御信号に応じた角度だけCアーム112を回転する。
【0012】
アブレーション治療中、X線撮像装置100は、2つの撮影角度に関するX線動画像のデータを発生する。X線撮像装置100は、2つの撮影角度で被検体の特定の器官(例えば、心臓、胃など。以下、特定の器官は、心臓であるとする)をX線透視し、2つの観察角度に関するX線動画像のデータを発生する。発生されたX線動画像のデータは、X線撮像装置100によりLANを介して画像処理装置1に伝送される。また、制御信号は、X線撮像装置本体により支持部114の他に、LANを介して画像処理装置1に伝送される。
【0013】
図1に示す電極カテーテル装置200は、電極カテーテルと、この電極カテーテルを制御するための第1の制御装置とを備える。電極カテーテルは、先端部分に複数の電極を有する。この電極は、心臓内壁(心房の壁もしくは心室の壁)の心電図波形を取得するための電極である。アブレーション治療中、術者は、電極が心臓内壁に接触するまで電極カテーテルを心臓内壁内に挿入する。電極カテーテルは、複数本挿入されることがある。電極が心臓内壁に接触されると、電極カテーテルは固定される。電極カテーテルが固定されると、第1の制御装置は、複数の電極から検出される表面電位に基づいて複数の心電図波形のデータをそれぞれ生成する。第1の制御装置は、測定された表面電位に基づいて心電図波形のデータを生成する。心電図波形のデータは、第1の制御装置によりLANを介して画像処理装置1に伝送され、表示される。術者は、表示された心電図波形を見て、不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常等の治療部位を確認し、その位置を決定する。
【0014】
画像処理装置1は、アブレーションカテーテルと心臓内壁(以下、心壁と呼ぶ)とを、それらの3次元的な位置関係を把握しやすい形態で表示する。画像処理装置1の詳細は後述する。
【0015】
アブレーションカテーテル装置300は、アブレーションカテーテルと、このアブレーションカテーテルを制御するための第2の制御装置とを備える。アブレーションカテーテルは、アブレーション治療中、術者により、治療部位まで移動される。移動後、術者によりアブレーションカテーテルに設けられた熱発生のためのボタンが押されると、ボタン信号が第2の制御装置に供給される。ボタン信号を受けた第2の制御装置は、アブレーションカテーテルに高周波の電流を供給し、アブレーションカテーテルの先端部分に熱を発生させる。この熱により、治療部位が焼灼される。また、熱発生のためのボタン信号は、第2の制御装置によりLANを介して画像処理装置1に伝送される。
【0016】
図3は、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を示す図である。図3に示すように、画像処理装置1は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、及び制御部26を備える。
【0017】
ネットワークインターフェース部10は、図1に示すLANに接続される。図に示すようにLANには、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300が接続されている。ネットワークインターフェース部10は、LANに接続されたX線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300と通信する。具体的にはネットワークインターフェース部10は、X線撮像装置100からX線動画像のデータ及び制御信号を、電極カテーテル装置200から心電図波形のデータを、アブレーションカテーテル装置300から熱発生のためのボタン信号を受信する。
【0018】
記憶部12は、X線撮像装置100からの2つの観察角度に関するX線動画像のデータを記憶する。また、記憶部12は、電極カテーテル装置200からの複数の心電図波形のデータを記憶する。
【0019】
表示部14は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)等のモニタを有する。表示部14は、記憶部12からX線動画像や心電図を読み出して表示する。また、表示部14は、心電図波形のデータに基づいて、記憶部12に記憶されている2つのX線動画像のデータから同一の心位相に関するX線静止画像のデータをそれぞれ読み出して表示する。また、表示部14は、後述する表示画像発生部24により発生された表示画像を表示する。
【0020】
操作部16は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。操作部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。具体的には、操作部16は、表示部14に表示された2つのX線静止画像のそれぞれで、X線静止画像上に表示されている電極カテーテル又はアブレーションカテーテルの複数の特徴点を指定する。
【0021】
心壁3次元画像発生部18は、指定された電極カテーテルの複数の特徴点(電極)に基づいて心壁に関する3次元画像のデータをする。以下、心壁に関する3次元画像を、心壁3次元画像を呼ぶことにする。
【0022】
カテーテル3次元画像発生部20は、X線撮像装置100によって発生された2つの観察角度に関するX線静止画像に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。より詳細には、カテーテル3次元画像発生部20は、2つの観察角度のX線静止画像上において指定されたアブレーションカテーテルの複数の特徴点に基づいて、アブレーションカテーテルに関する3次元画像のデータを発生する。以下、アブレーションカテーテルに関する3次元画像を、アブレーションカテーテル3次元画像と呼ぶことにする。
【0023】
3次元画像合成部22は、発生された心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して3次元合成画像のデータを発生する。
【0024】
表示画像発生部24は、3次元合成画像を3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14に表示される。
【0025】
制御部26は、画像処理装置1の中枢として機能し、画像処理装置1を構成する各部を制御する。具体的には、制御部26は、画像処理装置1を構成する各部を制御することにより、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理を行なう。
【0026】
また、画像処理装置1は、特徴点追跡部28と距離計算部30とを更に備える。特徴点追跡部28は、特開2006―179794号公報に示す技術を用いて、2つの観察方向に関するX線静止画像上のアブレーションカテーテル像の特徴点を画像パターンマッチングにより追跡し、追跡している特徴点の2次元座標を更新する。距離計算部30は、合成3次元画像内におけるアブレーションカテーテル像の特徴点(先端部分)と心壁との距離を計算する。
【0027】
図3に示すように、心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181、電極3次元座標計算部182、及び心壁構築部183を備える。電極2次元座標特定部181は、操作部16を介して2つのX線静止画像上でそれぞれ指定された複数の電極位置の2次元座標を特定する。この際、電極2次元座標特定部181は、各X線静止画像で指定された特徴点のうち、実質的に同一な電極同士を、対応付けのためのルールに従って対応付ける。電極3次元座標計算部182は、特定された複数の電極位置(対応点)の2次元座標から複数の電極の3次元座標をエピポーラ(Epipolar)幾何理論に基づいて計算する。電極カテーテルの電極は、心壁に接触している。従って電極の座標は、心壁の座標とみなすことができる。心壁構築部183は、計算された複数の3次元座標を通る曲面又は平面(以下、単に曲面と呼ぶ)を計算する。この曲面は、電極の座標、すなわち心壁の座標を通る曲面であるので、心壁とみなすことができる。そして、心壁構築部183は、計算した心壁(曲面)に基づいて3次元空間上に心壁のデータを構築する。これにより、心壁3次元画像のデータが発生される。
【0028】
図3に示すように、カテーテル3次元画像発生部20は、特徴点2次元座標特定部201、特徴点3次元座標計算部202、及びカテーテル構築部203を備える。特徴点2次元座標特定部201は、操作部16を介して2つのX線静止画像上でそれぞれ指定された複数のアブレーションカテーテルの特徴点の2次元座標を特定する。この際、特徴点2次元座標特定部201は、各X線静止画像上で指定された特徴点のうち、実質的に同一な電極同士を、対応付けのためのルールに従って対応付ける。特徴点3次元座標計算部202は、特定された複数の特徴点(対応点)の2次元座標から複数の特徴点の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいて計算する。カテーテル構築部203は、計算された複数の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用して、3次元空間上にアブレーションカテーテルのデータを構築する。これにより、アブレーションカテーテル3次元画像のデータが発生される。
【0029】
以下、アブレーション治療における第1実施形態に係る画像処理装置1の利用例を説明する。
【0030】
図4は、制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れを説明する図である。術者から操作部16を介して合成表示処理の開始指示を受けて、又は自動的に、制御部26は、合成表示処理を開始する。なお、この合成表示処理の期間中、常時ネットワークインターフェース部10を介して記憶部12にX線動画像のデータ及び心電図のデータが記憶されるとする。
【0031】
図4に示すように、まず制御部26は、心壁3次元画像発生部18に心壁3次元画像のデータの発生処理をさせる(ステップSA)。心壁3次元画像のデータの発生処理において心壁3次元画像発生部18は、2つの観察方向に関するX線静止画像上で指定された複数の電極位置に基づいて心壁3次元画像のデータを発生する。発生された心壁3次元画像のデータは、記憶部12に記憶される。この処理の詳細については後述する。
【0032】
心壁の3次元画像のデータが発生されると、制御部26は、カテーテル3次元画像発生部20に、アブレーションカテーテルの3次元画像のデータの発生処理をさせる(ステップSB)。アブレーションカテーテルの3次元画像のデータの発生処理においてカテーテル3次元画像発生部20は、2つの観察方向に関するX線静止画像上で指定された複数の特徴点に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。発生されたアブレーションカテーテル3次元画像のデータは、記憶部12に記憶される。この処理の詳細については、後述する。
【0033】
アブレーションカテーテル3次元画像のデータが発生されると、制御部26は、3次元画像合成部22に合成処理を行なわせる(ステップSC)。合成処理において3次元画像合成部22は、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを記憶部から読み出し、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを合成することにより合成3次元画像のデータが発生される。なお、合成処理にあたり、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに対して重み係数を乗じて合成の程度を調整できるようにしても良い。
【0034】
合成3次元画像が発生されると制御部26は、表示画像発生部24に、表示画像発生処理を行なわせる(ステップSD)。表示画像発生処理において表示画像発生部24は、合成3次元画像を3次元画像処理して、表示のための2次元画像(表示画像)のデータを発生する。具体的には、表示画像発生部24は、3次元画像処理として、ボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングを行なう。なお、3次元画像処理における投影角度は、操作部16を介して任意に設定可能である。なお、心壁3次元画像とカテーテル3次元画像とは同一のX線撮像装置1で撮像されているので、両3次元画像の座標は、完全に一致している。そのため、両3次元画像の位置合わせは不要である。
【0035】
表示画像が発生されると制御部26は、表示部14に表示処理を行なわせる(ステップSE)。表示処理において表示部14は、表示画像をモニタに表示する。
【0036】
図5は、表示画像DI1を示す図である。図5に示すように表示画像DI1には、3次元的に心壁像CI1とアブレーションカテーテル像AIとが描出されているため、術者は、アブレーションカテーテルが心壁に対して垂直であるか否かが確認できる。また、術者が操作部16を介して投影角度を任意に設定することで、表示部14は、任意の観察角度に関する表示画像を表示することができる。なお、アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI1の表側に表示される。また、表示部14は、操作部16を介して指定された電極位置EPを心壁像CI1と区別可能なように所定の色や輝度で表示してもよい。
【0037】
表示の応用例として次の方法がある。心壁像CI1上の電極位置が既知なので、表示部14は、電極位置EPを明示するとよい。また、表示部14は、異常な心電波形を検出している電極位置EPを他の電極位置EPから区別して表示してもよい。例えば、表示部14は、正常な心電波形を検出している電極位置EPを黒で表示し、異常な心電波形を検出している電極位置EPを赤で表示する。
【0038】
表示画像が表示されると距離計算部30は、合成3次元画像内で、心壁像とアブレーションカテーテルの先端部分との最短距離を計算する。この計算処理は、同一心位相で一心拍毎に計算される。例えば、距離計算部30は、心電図波形のある特徴波(例えばR波)をトリガとして、距離を計算する。計算された距離は、図5に示すように表示部14に表示される。また、表示部は、距離の値が所定の値以下になった場合、その旨のメッセージを画面に表示してもよい。また、図示しないスピーカからその旨の音を発生させるとしてもよい。
【0039】
また、表示部14は、ネットワークインターフェース部10がアブレーションカテーテル装置300から熱発生のためのボタン信号を受信したことを契機として、焼灼された電極位置を他の電極位置EPから区別して表示する。例えば、距離計算部28は、アブレーションカテーテル像AIの先端部分と電極位置EPとの距離を計算する。表示部14は、距離が一定距離以下になり、且つボタン信号を受信したことを契機として、当該電極位置EPを他の電極位置EPから区別して表示する。例えば、表示部24は、焼灼された電極位置EPを青で表示する。なお、上述のようにアブレーションカテーテル像の先端部分は、特徴点追跡部28により随時追跡されている。
【0040】
また、表示部14は、X線撮像装置100のCアーム112が回転されると、その回転に連動して観察角度を回転させてもよい。具体的には、X線撮像装置100のCアーム112が回転されると、ネットワークインターフェース部10は、LANを介してCアーム112を駆動制御するための制御信号を受信する。表示画像発生部24は、ネットワークインターフェース部10が受信した制御信号に基づいて、投影角度を決定する。そして表示画像発生部24は、決定した投影角度で合成3次元画像のデータを3次元画像処理して、Cアーム112の撮影角度に一致する観察角度の表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0041】
また、表示部14は、図6に示すように、心壁像CI1とX線撮像装置100からのX線動画像FIとを重ね合わせて表示してよい。
【0042】
以下、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)及びアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理(ステップSB)の詳細な説明する。まずは、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)について説明する。
【0043】
上述のように、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)は、アブレーションカテーテルが心房に挿入される前に電極カテーテルが挿入される時に行なわれる。電極カテーテルの挿入中、X線撮像装置100によりX線動画像のデータが発生され、画像処理装置1に伝送される。伝送されたX線動画像は、リアルタイムに表示部14により表示される。術者は、表示されるX線動画像により電極カテーテルの位置等を確認しながら、電極カテーテルを心房に進める。電極カテーテルの電極が心壁に接触すると、術者により電極カテーテルは固定される。
【0044】
電極カテーテルが固定されると、術者等は、操作部16を介して心壁3次元画像の発生処理の開始指示を行う。術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。
【0045】
図7は、制御部26の制御のもとに実行される心壁3次元画像の発生処理を説明するための図である。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせる(ステップSA1)。X線静止画像の表示処理において表示部14は、記憶部12に記憶されている2つの観察方向に関するX線動画像から同心位相に関する2つのX線静止画像のデータをそれぞれ読み出して表示する。表示されるX線静止画像は、電極カテーテルが固定された後にX線撮像装置100により発生されたものとする。以下、説明を具体的に行なうため、2つの観察角度に関するX線静止画像は、患者正面方向に関するX線静止画像と、患者側面方向に関するX線静止画像であるとする。
【0046】
図8は、表示部14に表示される患者正面方向に関するX線静止画像SI1と患者側面方向に関するX線静止画像SI2とを示す図である。図8に示すように、X線静止画像SI1,SI2には、電極カテーテルECが描出されている。電極カテーテルECは、その先端部分に複数の電極EPが設けられている。この電極EPは、X線静止画像上SI1,SI2では黒丸で描出される。術者は、操作部16を介して、X線静止画像SI1,SI2に描出される電極EPを一つずつ指定する。電極は少なくとも3つずつ指定されるものとする。
【0047】
術者が操作部16を介して電極位置を指定すると制御部26は、心壁3次元画像発生部18に発生処理を行なわせる。まず、心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181に2次元座標特定処理を行なわせる(ステップSA2)。2次元座標特定処理において電極2次元座標特定部181は、指定された電極のX線静止画像での座標(2次元座標)を特定する。この後に発生される心壁3次元画像の精度を高めたいのであれば、術者は、電極カテーテルの位置を移動して電極指定を繰り返すとよい。電極は10〜50指定されるとよい。
【0048】
ステップSA2においては、図8に示すように、2つのX線静止画像SI1,SI2上で複数の電極EPがそれぞれ指定される。つまり、一つの電極EPについて2つのX線静止画像上での2つの2次元座標が与えられる。2次元座標特定部181は、同一の電極EPに由来する2つの2次元座標電極を、対応付けのルールに従って対応付ける。対応付けのルールは、例えば、2つのX線静止画像SI1,SI2上で交互に電極EPを指定することで、連続して指定された2つの電極の2次元座標を対応付けるルールである。具体的には、術者によりX線静止画像SI1で電極EP1が指定されると電極EP1の座標(x1、y1)が特定される。次に術者は、X線静止画像SI2上で電極EP1に実質的に同一な電極EP1´を指定する。電極EP1´が指定されると座標(x´1、y´1)が特定される。そして、連続して指定された電極EP1の座標(x1、y1)と電極EP1の座標(x´1、y´1)との座標が対応付けられる。もちろん対応付けのルールは、上記方法だけに留まらない。
【0049】
電極の2次元座標が特定されると心壁3次元画像発生部18は、電極3次元座標計算部182に計算処理を行わせる(ステップSA3)。計算処理において電極3次元座標計算部182は、特定された電極の2次元座標にエピポーラ幾何理論を適用して、電極の3次元座標を計算する。この3次元座標計算処理により、同一の電極に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。
【0050】
図9は、エピポーラ幾何理論を説明するための図である。患者正面方向におけるX線焦点F1から被検体P´を投影して得られる画像を投影画像I1、患者側面方向におけるX線焦点F2から被検体P´を投影して得られる画像を投影画像I2と呼ぶことにする。X線焦点F1とX線焦点F2と被検体P´とにより規定される面は、エピポーラ面と呼ばれている。投影画像I2上の点Aに投影される被検体P´は、3次元空間内において線Bのどこかに存在する。投影画像I1上において線Bは、線(エピポーラ線)C上に投影される。被検体P´は、線C上のどこかに投影されている。従って、投影画像I1上で術者が点Aと実質的に同一な点(対応点)を指定すると、被検体P´の3次元空間内での位置が定まる。すなわち、2つの観察角度に関するX線静止画像で実質的に同一な点を指定すれば、指定された点の3次元空間内での位置(3次元座標)を計算することができる。これがエピポーラ幾何理論である。電極3次元座標計算部182は、このエピポーラ幾何理論に基づいて、同一の電極に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標を計算する。
【0051】
電極の3次元座標が計算されると心壁3次元画像発生部18は、心壁構築部183に心壁の構築処理を行なわせる(ステップSA4)。心壁の構築処理において心壁構築部183は、算出された複数の電極の3次元座標に基づいて3次元空間内に心壁のデータを構築する。具体的には、心壁構築部183は、複数の3次元座標に基づいて心壁面を計算し、計算した心壁面に基づいて心壁のデータを構築する。
【0052】
図10は、心壁構築部183による心壁面の計算処理を説明するための図である。図10に示すように、ステップSA3において、実質的に同一な複数の電極EPの3次元座標が電極3次元座標計算部182により計算されている。例えば、X線静止画像SI1上の電極EP1と、X線静止画像SI2上の電極EP1´とに基づいて3次元空間上の電極EP1の座標(x´´1、y´´1、z´´1)が計算されている。このようにして複数の電極の3次元座標が計算されると、心壁構築部183は、これら複数の3次元座標に最小2乗法を適用して、複数の3次元座標を通過する曲面CSを計算する。具体的には、心壁構築部183は、複数の3次元座標に最小2乗法を適用して、複数の3次元座標を通る曲面(又は平面)を計算する。数学的には例えば、3点があればある平面を規定でき、4点があれば曲面を規定することができる。算出された曲面CSは、電極カテーテルECの複数の電極EPを通る曲面である。上述のように、電極EPは、心壁に接触している。従って、算出された曲面CSは、心壁と同一である。
【0053】
心壁CSが計算されると心壁構築部183は、計算した心壁を構成するボクセルに所定の画素値を割り付けることで3次元空間内に心壁のデータを構築する。また、心壁構築部183は、計算した曲面を点列に分解し、これら複数の点を複数の面素(パッチ面)で張り合わせることによって3次元空間内に心壁のデータを構築してもよい。この心壁の構築処理により心壁3次元画像のデータが発生される。
【0054】
以上で心壁3次元画像のデータの発生処理は終了する。
【0055】
次にアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理(ステップSB)の詳細について説明する。術者は、電極カテーテル装置200からの心電図波形を観察して治療部位を決定すると、表示部14に表示されているX線動画像を観察しながら、治療部位にアブレーションカテーテルを進める。アブレーションカテーテルが治療部位付近に近づくと、術者等は、操作部16を介してアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理の開始指示を行う。術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を開始する。
【0056】
図11は、制御部26の制御のもとに実行されるアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を説明するための図である。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせる(ステップSB1)。X線静止画像の表示処理において表示部14は、同心位相の患者正面方向に関するX線静止画像と患者側面方向に関するX線静止画像のデータを記憶部12からそれぞれ読み出して表示する。表示されるX線静止画像は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理の開始後にX線撮像装置100により発生されたものとする。
【0057】
表示部14に患者正面方向に関するX線静止画像と患者側面方向に関するX線静止画像が表示されると、術者は、操作部16を介して、2つのX線静止画像でアブレーションカテーテルの複数の特徴点を指定する。特徴点は、視覚的に特定しやすい部分であり、例えば、先端部分やマーカ、熱発生部分等である。特徴点は、それぞれ少なくとも2点以上指定される。
【0058】
術者が操作部16を介して特徴点を指定すると制御部26は、カテーテル3次元画像発生部20に発生処理を行なわせる。まず、カテーテル3次元画像発生部20は、特徴点2次元座標特定部201に特徴点の2次元座標の特定処理を行なわせる(ステップSB2)。この特定処理において特徴点2次元座標特定部201は、術者により指定された特徴点のX線静止画像での座標(2次元座標)を特定する。この際、特徴点2次元座標特定部201は、実質的に同一な特徴点を対応付ける。この処理は、ステップSA2と同様なので説明は省略する。
【0059】
特徴点(対応点)の2次元座標が特定されるとカテーテル3次元画像発生部20は、特徴点3次元座標計算部202に特徴点の3次元座標の計算処理を行わせる(ステップSB3)。この計算処理において特徴点3次元座標計算部202は、特定された同一の特徴点(対応点)に由来する2つの2次元座標にエピポーラ幾何理論を適用して、特徴点の3次元座標を計算する。
【0060】
特徴点の3次元座標が計算されるとカテーテル3次元画像発生部20は、カテーテル構築部203にカテーテル構築処理を行なわせる(ステップSB4)。カテーテル構築処理においてカテーテル構築部203は、計算された複数の電極の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用してアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。coronary treeの生成原理は、既知の技術であり例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1及び特許文献2に開示されているcoronary treeの生成原理は、血管に適用している。ところでカテーテルの形状は、筒状であり、血管の形状と同様である。従ってカテーテルについても、coronary treeの生成原理は、適用可能である。このカテーテル構築処理により、3次元空間内にカテーテルのデータが構築される。
【0061】
以上でアブレーションカテーテル3次元画像のデータの発生処理が終了する。
【0062】
術者は、上記のように発生される心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を観察しながらアブレーションカテーテルを操作する。つまり、術者がアブレーションカテーテルを動かすたびに、制御部26は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を繰り返さなければならない。すなわち、アブレーションカテーテルを動かすたびに術者は、ステップSAに示すように、アブレーションカテーテルの特徴点を指定し直さなければならない。この作業は術者にとって手間である。
【0063】
そこで、特徴点追跡部30は、2つの観察方向に関するX線静止画像上のアブレーションカテーテルの特徴点を画像パターンマッチングにより追跡し、追跡している特徴点の2次元座標を更新する。カテーテル3次元画像発生部20は、更新された2次元座標に基づいて特徴点の3次元座標を更新し、更新された3次元座標に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを更新する。更新されたアブレーションカテーテル3次元画像と既に発生されている心壁3次元画像とは、3次元画像合成部22により合成され、合成3次元画像のデータが更新される。表示画像発生部24は、更新された合成3次元画像のデータに基づいて表示画像のデータを更新し、更新された表示画像は、表示部14に表示される。表示画像は、一心拍毎に更新される。
【0064】
第1実施形態に係る画像処理装置1は、X線撮像装置100からのX線画像データに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第1実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置1を提供することが可能となる。
【0065】
なお、第1実施形態においては、画像処理装置1は、心臓内壁に挿入された電極カテーテルの複数の特徴点(電極)に基づいて心壁3次元画像のデータを発生するとした。しかしながら第1実施形態を心臓内壁に限定する必要はない。すなわち、画像処理装置1は、心臓以外の器官(たとえば胃等)の内壁に挿入された電極カテーテルの複数の電極に基づいて、当該器官の内壁に関する3次元画像のデータを発生することができる。
【0066】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るアブレーション治療支援システムの構成を示す図である。図12に示すように第2実施形態に係るアブレーション治療支援システムは、画像処理装置2、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、アブレーションカテーテル装置300、及びX線コンピュータ断層撮影装置400を備える。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素及びステップについては、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0067】
X線コンピュータ断層撮影装置400は、アブレーションカテーテルの挿入前において、被検体をCTスキャンして被検体の特定の器官(例えば、心臓、胃など。以下、特定の器官は、心臓であるとする)に関するCT画像データを発生する。具体的には、X線コンピュータ断層撮影装置300は、心電同期再構成により特定の心位相に関するCT画像データを発生する。発生された心臓に関するCT画像データは、X線コンピュータ断層撮影装置400によりLANを介して画像処理装置2に伝送される。
【0068】
図13は、第2実施形態に係る画像処理装置2の構成を示す図である。図13に示すように画像処理装置2は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、及び距離計算部30を備える。
【0069】
ネットワークインターフェース部10は、X線コンピュータ断層撮影装置400から伝送される心臓に関するCT画像のデータをさらに受信する。記憶部12は、X線コンピュータ断層撮影装置400からの心臓に関するCT画像のデータをさらに記憶する。
【0070】
心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181及び電極3次元座標計算部182に加え、抽出部184、レジストレーション部185を備える。抽出部184は、記憶部12に記憶されている心臓に関するCT画像のデータから心壁領域のデータを抽出する。抽出された心壁領域のデータが心壁3次元画像のデータである。レジストレーション部185は、電極3次元画像座標計算部182により計算された複数の電極の3次元座標に基づいて、抽出部184により抽出された心壁3次元画像をレジストレーションする。3次元画像合成部22は、レジストレーションされた心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0071】
以下、画像処理装置2のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0072】
第2実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第2実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容、第1実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0073】
以下、図14を参照しながら第2実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0074】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせ(ステップSA11)、心壁3次元画像発生部18に2次元座標特定処理(ステップSA12)、3次元座標計算処理を行わせる(ステップS13)。この3次元座標計算処理により、実質的に同一の特徴点(対応点)に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。また、3次元座標は、複数の特徴点について計算されているものとする。
【0075】
また、術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像発生部18の抽出部184に抽出処理を行なわせる(ステップSA21)。抽出処理において抽出部184は、まず、X線コンピュータ断層撮影装置400からの心臓に関するCT画像のデータを記憶部12から読み出す。そして抽出部184は、心壁が有する画素値範囲に基づいてCT画像を閾値処理し心壁領域を抽出することにより、心壁3次元画像のデータを発生する。
【0076】
ステップSA13において電極の3次元座標が計算され、ステップSA21において心壁3次元画像が発生されると心壁3次元画像発生部18は、レジストレーション部185にレジストレーション処理を行なわせる(ステップSA22)。レジストレーション処理においてレジストレーション部185は、複数の電極の3次元座標に基づいて心壁3次元画像をレジストレーションする。具体的には、複数の電極の3次元座標に心壁3次元画像に含まれる心壁領域の内側が位置整合するように、心壁領域をレジストレーションする。
【0077】
以上で第2実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0078】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。
【0079】
図15は、第2実施形態に係る表示画像DI2の一例を示す図である。図15に示すように、表示画像DI2は、CT画像に由来する心壁像CI2と、アブレーションカテーテル像AIと含む。アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI2よりも前面に表示される。このようにアブレーションカテーテル像AIと心壁像CI2とが表示されることで、術者は、両者の3次元的な位置関係を把握しやすい。また、図15に示すように、心壁の部位の名称が文字情報で示されることにより術者は、アブレーションカテーテル像AIと心壁像CI2との位置関係をより把握しやすい。
【0080】
また、表示部14は、図16に示すように、X線動画像FIに心壁像CI2を重ねて表示してもよい。
【0081】
第2実施形態に係る画像処理装置2は、X線コンピュータ断層撮影装置400からの3次元画像データとX線撮像装置100からのX線画像データとに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第2実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0082】
なお上記説明において、心壁領域のデータは、抽出部184により発生されるとした。しかしながら、第2実施形態はこれに限定されない。例えば、X線コンピュータ断層撮影装置400がCT画像から心壁領域を抽出し、抽出した心壁領域のデータを画像処理装置2に伝送してもよい。伝送された心壁領域のデータは、記憶部12により記憶される。そしてステップSA22において、レジストレーション部185は、記憶部12から心壁領域のデータを読み出してレジストレーション処理を行なう。
【0083】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係るアブレーション治療支援システムの構成を示す図である。図17に示すように第3実施形態に係るアブレーション治療支援システムは、画像処理装置3、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、アブレーションカテーテル装置300、及びElectro-Anatomical Mapping装置500を備える。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0084】
電極カテーテル装置200は、電極カテーテルにより検出される表面電位のデータをElectro-Anatomical Mapping装置500に伝送する。
【0085】
Electro-Anatomical Mapping装置500は、3つの磁場発生装置と、位置検出装置と、第3の制御装置とを備える。3つの磁場発生装置は、典型的に、天板の下に設けられ、磁場を発生する。位置検出装置は、電極カテーテルによる磁場の変化に基づいて電極カテーテルの先端の位置座標を検出する。第3の制御装置は、検出された位置座標と電極カテーテル装置から伝送された表面電位とに基づいて3次元電気マッピング画像のデータを発生する。3次元電気マッピング画像は、心壁に関する3次元画像であり、心壁の形態情報のみならず表面電位等の機能情報をも有する。すなわち、3次元電気マッピング画像を構成する各ボクセルには、表面電位の値に応じた色情報が割り付けられている。また、第3の制御装置は、電極カテーテル装置からの心電図波形に基づいて、特定の一心位相に関する3次元電気マッピング画像のデータを一心拍毎に発生する。発生された3次元電気マッピング画像のデータは、第3の制御装置によりLANを介して画像処理装置3に伝送される。
【0086】
第3実施形態に係る画像処理装置3の構成は、第2実施形態に係る画像処理装置2の構成と同様である。画像処理装置3は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、及び距離計算部30を備える。
【0087】
ネットワークインターフェース部10は、Electro-Anatomical Mapping装置500から伝送される3次元電気マッピング画像のデータをさらに受信する。記憶部12は、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像のデータをさらに記憶する。
【0088】
心壁3次元画像発生部18のレジストレーション部185は、電極3次元画像座標計算部182により計算された複数の電極の3次元座標に基づいて、3次元電気マッピング画像のデータをレジストレーションする。レジストレーションされた3次元電気マッピング画像を心壁3次元画像とする。3次元画像合成部22は、この心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0089】
以下、画像処理装置3のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0090】
第3実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1及び第2実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第3実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容は、第1及び第2実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0091】
以下、図18を参照しながら第3実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0092】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせ(ステップSA11)、心壁3次元画像発生部18に2次元座標特定処理(ステップSA12)、3次元座標計算処理を行わせる(ステップS13)。この3次元座標計算処理により、実質的に同一な電極(対応点)に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。3次元座標は、複数の電極について計算される。
【0093】
ステップSA13において電極の3次元座標が計算されると心壁3次元画像発生部18は、レジストレーション部185にレジストレーション処理を行なわせる(ステップSA31)。レジストレーション処理においてレジストレーション部185は、複数の電極の3次元座標に基づいて、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像をレジストレーションする。具体的には、複数の電極の3次元座標に心壁領域の内側が位置整合するように、3次元電気マッピング画像をレジストレーションする。レジストレーション処理により、心壁3次元画像のデータが発生される。
【0094】
以上で第3実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0095】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。
【0096】
図19は、第3実施形態に係る表示画像DI3の一例を示す図である。図19に示すように、表示画像DI3は、3次元電気マッピング画像に由来する心壁像CI3と、アブレーションカテーテル像AIと含む。アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI3よりも前面に表示される。このようにアブレーションカテーテル像AIと心壁像CI3とが表示されることで、術者は、両者の3次元的な位置関係を把握しやすい。また、心壁像CI3は、表面電位の値に応じて色が変化するので、術者は、この表示画像DI3を観察するだけで、電位の異常部位(治療部位)を特定することができる。また、心壁の部位の名称が文字情報で示されることにより術者は、アブレーションカテーテル像AIと心壁像CI3との位置関係をより把握しやすい。
【0097】
また、表示部14は、図20に示すように、X線動画像FIに心壁像CI3を重ねて表示してもよい。
【0098】
第3実施形態に係る画像処理装置3は、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像データとX線撮像装置100からのX線画像データとに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第3実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0099】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る画像処理装置4の構成を示す図である。図21に示すように画像処理装置4は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示は像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、距離計算部30、及び電極・心電図対応付け部32を備える。
【0100】
心電図・電極対応付け部32は、電極カテーテル装置200からの複数の心電図波形とX線静止画像に描出される複数の電極とをそれぞれ対応付ける。
【0101】
心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181、電極3次元画像計算部182、心壁構築部183、及び色情報割り付け部186を備える。色情報割り付け部186は、電極の3次元座標と心電図波形とに基づいて、心壁構築部183により発生された心壁3次元画像を構成するボクセルに表面電位に応じた色情報を割り付ける。この色情報割り付け処理により、色情報が割り付けられた心壁3次元画像のデータが発生される。
【0102】
3次元画像合成部22は、この色情報が割り付けられた心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0103】
なお、第4実施形態に係るアブレーション治療システムの構成は、第1実施形態に係るアブレーション治療システムの構成と同様である。
【0104】
以下、画像処理装置4のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0105】
第4実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1及び第2及び第3実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第3実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容は、第1及び第2及び第3実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0106】
以下、図22を参照しながら第4実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0107】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14に表示処理を行なわせる(ステップSA41)。表示処理において表示部14は、X線撮像装置100からの2つの観察角度に関するX線静止画像と電極カテーテル装置からの心電図波形とを並べて表示する。
【0108】
図23は、ステップSA41において表示される画面Dの一例を示す図である。図23に示すように、画面Dは、患者正面方向に関するX線静止画像SI1が表示される領域R1、患者側面方向に関するX線静止画像SI2が表示される領域R2、及び複数の心電図波形Wが表示される領域R3を有する。ユーザは、電極と心電図波形とを対応付けるために、操作部16を介してX線静止画像SI1又はSI2上で電極を指定し、指定した電極に対応する心電図波形Wを指定する。ユーザは、この作業を電極の数だけ繰り返す。
【0109】
心電図波形と電極とが指定されると制御部26は、電極・心電図対応付け部32に対応付け処理を行なわせる(ステップSA42)。この対応付け処理において電極・心電図対応付け部32は、対応付けのルールに従って、対応する電極と心電図とを対応付ける。対応付けのルールは、例えば、初めに電極が指定され、次に指定された電極に対応する心電図波形が指定されることで、当該指定された電極と心電図波形とを対応付けるというルールである。なお、この心電図と電極との対応付けは、ステップSA12と同時に行なわれてもよい。
【0110】
ステップSA14において心壁3次元画像のデータが発生され、ステップSA42において心電図波形と電極とが対応付けられると心壁3次元画像発生部18は、色情報割り付け部186に色情報割り付け処理を行なわせる(ステップSA43)。色情報割り付け処理において色情報割り付け部186は、電極の3次元座標と心電図波形とに基づいて、心壁構築部183により発生された心壁3次元画像を構成するボクセルに表面電位に応じた色情報を割り付ける。この処理は、第3実施形態に係るElectro-Anatomical Mapping装置400による3次元電気マッピング画像の発生方法と同様である。この色情報割り付け処理により、色情報が割り付けられた心壁3次元画像のデータが発生される。
【0111】
以上で第4実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0112】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。表示画像は、アブレーションカテーテル像と色情報が割り付けられた3次元電気マッピング画像に由来する心壁像とを有する。この心壁像は、表面電位の値に応じて色が変化する。心壁像は、一心拍毎に形状及び色が更新される。
【0113】
第4の実施形態においては、以下に示す表示の応用例がある。表示部14は、手術室にいる術者が視認可能な場所に設けられた3つのモニタ(第1のモニタ、第2のモニタ、及び第3のモニタ)を有する。第1のモニタには、X線動画像が表示される。このX線動画像は、例えば、一秒間に30回更新される。第2のモニタには、表示画像は表示される。表示画像は、一心拍毎に更新される。第3のモニタには、X線動画像に心壁像が重ね合わせて表示される。
【0114】
第4実施形態に係る画像処理装置4は、X線撮像装置100からのX線画像データに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、電極カテーテル装置200からの心電図波形データに基づいて心壁3次元画像に表面電位に応じて変化する色情報を割り付け、色情報が割り付けられた心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第4実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図2】図1のX線撮像装置の撮像系の模式図。
【図3】図1に示す第1実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図4】図1に示す第1実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理の流れを示す図。
【図5】図4のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図6】図4のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図7】図4のステップSAの処理の流れを示す図。
【図8】図7のステップSA12にける電極指定処理を説明するための図。
【図9】図7のステップSA13において用いられるエピポーラ幾何理論を説明するための図。
【図10】図7のステップSA14において心壁構築部により行なわれる曲面計算処理を説明するための図。
【図11】図4のステップSBの処理の流れを示す図。
【図12】本発明の第2実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図13】図12に示す第2実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図14】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図15】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図16】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図17】本発明の第3実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図18】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図19】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図20】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図21】第4実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図22】図21に示す画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図23】図22のステップSA41において表示される電極と心電図との対応付けを行なうための画面例を示す図。
【符号の説明】
【0117】
1…画像処理装置、100…X線撮像装置、200…電極カテーテル装置、300…アブレーションカテーテル装置、10…ネットワークインターフェース部、12…記憶部、14…表示部、16…操作部、18…心壁3次元画像発生部、20…カテーテル3次元画像発生部、22…3次元画像合成部、24…表示画像発生部、26…制御部、28…特徴点追跡部、30…距離計算部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーション治療に用いられる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓電気生理学の分野において、不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常のある治療部位をアブレーションカテーテルを用いて焼灼することにより電気伝導を良好にするアブレーション治療という治療法がある。このアブレーション治療において術者は、X線透視画像を観察しながら、アブレーションカテーテルを不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常のある治療部位まで移動させ、治療部位を焼灼する。心筋部位を焼灼する際、アブレーションカテーテルを心壁に対して垂直にあてる必要がある。しかし、X線透視画像は2次元表示であるため、X線透視画像上でアブレーションカテーテルと心壁との3次元的な位置関係を把握するのは非常に困難である。そのため、アブレーション治療は、手技にとても時間がかかってしまう。
【0003】
近年、血管を立体画像として観察するための心臓血管立体表示(coronary 3D、coronary tree)の技術が、例えば特許文献1及び2に開示されている。この特許文献1及び2に開示されている技術は、造影された血管を2方向からX線診断装置により撮像し、これら撮像データからエピポーラ(Epipolar)幾何理論を用いて立体画像を構築している。この技術は、精度が完璧でないが、簡易に立体画像の構築ができる。
【特許文献1】米国特許第6501848号明細書
【特許文献2】米国特許第6047080号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面に係る画像処理装置は、被検体の特定器官の内壁に関する3次元画像のデータを記憶する記憶部と、カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察方向に関するX線画像に基づいてカテーテルに関する3次元画像のデータを発生するカテーテル画像発生部と、前記発生されたカテーテルに関する3次元画像と前記内壁に関する3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する合成部と、前記発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する表示画像発生部と、前記発生された表示画像を表示する表示部と、を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の第1〜第4実施形態に係る画像処理装置を説明する。第1〜第4実施形態に係る画像処理装置は、アブレーション治療支援システムを構成する複数の装置のうちの一つである。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、アブレーション治療支援システムにおける第1実施形態に係る画像処理装置1と、他の装置との関係を示す図である。図1に示すように、アブレーション治療支援システムは、互いにネットワーク(LAN)を介して接続された画像処理装置1、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300を備える。
【0009】
X線撮像装置100は、X線透視を行うための撮像系を備える。撮像系は、Cアームを1つ備えるシングルプレーン型であっても、Cアームを2つ備えるバイプレーン型であってもよい。
【0010】
図2は、X線撮像装置100のシングルプレーン型の撮像系110を示す図である。図2に示すように、撮像系110は、Cアーム112を支持する支持部114を有する。Cアーム112は、X線管116とX線検出器118とを搭載する。X線管116は、高電圧発生装置(図示せず)から高電圧が印加されることによりX線を連続的に発生する。X線検出器118は、X線管116から発生され天板120に載置された被検体Pを透過するX線を検出する。X線検出器118から出力されたアナログの画像信号は、図示しないX線撮像装置本体により、デジタルのX線動画像(X線透視画像)のデータに変換される。
【0011】
Cアーム112は、被検体Pに対する撮影角度を自由に変更できるように、XYZ直交3軸各々に関して矢印R1,R2,R3に回転可能に支持部114によって支持される。典型的には、撮影角度は、XYZ直交3軸に対する撮影軸SAの交差角として定義される。慣習的には、第1斜位(RAO)、第2斜位(LAO)、CRA、CAUそれぞれの角度として定義される。撮影軸SAは、X線管116のX線焦点からX線検出器118の検出面中心を通る直線として定義される。典型的には、Z軸は、被検体Pの体軸に略一致するものとして定義される。支持部114は、X線撮像装置本体からの制御信号に応じた角度だけCアーム112を回転する。
【0012】
アブレーション治療中、X線撮像装置100は、2つの撮影角度に関するX線動画像のデータを発生する。X線撮像装置100は、2つの撮影角度で被検体の特定の器官(例えば、心臓、胃など。以下、特定の器官は、心臓であるとする)をX線透視し、2つの観察角度に関するX線動画像のデータを発生する。発生されたX線動画像のデータは、X線撮像装置100によりLANを介して画像処理装置1に伝送される。また、制御信号は、X線撮像装置本体により支持部114の他に、LANを介して画像処理装置1に伝送される。
【0013】
図1に示す電極カテーテル装置200は、電極カテーテルと、この電極カテーテルを制御するための第1の制御装置とを備える。電極カテーテルは、先端部分に複数の電極を有する。この電極は、心臓内壁(心房の壁もしくは心室の壁)の心電図波形を取得するための電極である。アブレーション治療中、術者は、電極が心臓内壁に接触するまで電極カテーテルを心臓内壁内に挿入する。電極カテーテルは、複数本挿入されることがある。電極が心臓内壁に接触されると、電極カテーテルは固定される。電極カテーテルが固定されると、第1の制御装置は、複数の電極から検出される表面電位に基づいて複数の心電図波形のデータをそれぞれ生成する。第1の制御装置は、測定された表面電位に基づいて心電図波形のデータを生成する。心電図波形のデータは、第1の制御装置によりLANを介して画像処理装置1に伝送され、表示される。術者は、表示された心電図波形を見て、不整脈の発生部位や電気信号の伝道異常等の治療部位を確認し、その位置を決定する。
【0014】
画像処理装置1は、アブレーションカテーテルと心臓内壁(以下、心壁と呼ぶ)とを、それらの3次元的な位置関係を把握しやすい形態で表示する。画像処理装置1の詳細は後述する。
【0015】
アブレーションカテーテル装置300は、アブレーションカテーテルと、このアブレーションカテーテルを制御するための第2の制御装置とを備える。アブレーションカテーテルは、アブレーション治療中、術者により、治療部位まで移動される。移動後、術者によりアブレーションカテーテルに設けられた熱発生のためのボタンが押されると、ボタン信号が第2の制御装置に供給される。ボタン信号を受けた第2の制御装置は、アブレーションカテーテルに高周波の電流を供給し、アブレーションカテーテルの先端部分に熱を発生させる。この熱により、治療部位が焼灼される。また、熱発生のためのボタン信号は、第2の制御装置によりLANを介して画像処理装置1に伝送される。
【0016】
図3は、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を示す図である。図3に示すように、画像処理装置1は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、及び制御部26を備える。
【0017】
ネットワークインターフェース部10は、図1に示すLANに接続される。図に示すようにLANには、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300が接続されている。ネットワークインターフェース部10は、LANに接続されたX線撮像装置100、電極カテーテル装置200、及びアブレーションカテーテル装置300と通信する。具体的にはネットワークインターフェース部10は、X線撮像装置100からX線動画像のデータ及び制御信号を、電極カテーテル装置200から心電図波形のデータを、アブレーションカテーテル装置300から熱発生のためのボタン信号を受信する。
【0018】
記憶部12は、X線撮像装置100からの2つの観察角度に関するX線動画像のデータを記憶する。また、記憶部12は、電極カテーテル装置200からの複数の心電図波形のデータを記憶する。
【0019】
表示部14は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)等のモニタを有する。表示部14は、記憶部12からX線動画像や心電図を読み出して表示する。また、表示部14は、心電図波形のデータに基づいて、記憶部12に記憶されている2つのX線動画像のデータから同一の心位相に関するX線静止画像のデータをそれぞれ読み出して表示する。また、表示部14は、後述する表示画像発生部24により発生された表示画像を表示する。
【0020】
操作部16は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。操作部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。具体的には、操作部16は、表示部14に表示された2つのX線静止画像のそれぞれで、X線静止画像上に表示されている電極カテーテル又はアブレーションカテーテルの複数の特徴点を指定する。
【0021】
心壁3次元画像発生部18は、指定された電極カテーテルの複数の特徴点(電極)に基づいて心壁に関する3次元画像のデータをする。以下、心壁に関する3次元画像を、心壁3次元画像を呼ぶことにする。
【0022】
カテーテル3次元画像発生部20は、X線撮像装置100によって発生された2つの観察角度に関するX線静止画像に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。より詳細には、カテーテル3次元画像発生部20は、2つの観察角度のX線静止画像上において指定されたアブレーションカテーテルの複数の特徴点に基づいて、アブレーションカテーテルに関する3次元画像のデータを発生する。以下、アブレーションカテーテルに関する3次元画像を、アブレーションカテーテル3次元画像と呼ぶことにする。
【0023】
3次元画像合成部22は、発生された心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して3次元合成画像のデータを発生する。
【0024】
表示画像発生部24は、3次元合成画像を3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14に表示される。
【0025】
制御部26は、画像処理装置1の中枢として機能し、画像処理装置1を構成する各部を制御する。具体的には、制御部26は、画像処理装置1を構成する各部を制御することにより、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理を行なう。
【0026】
また、画像処理装置1は、特徴点追跡部28と距離計算部30とを更に備える。特徴点追跡部28は、特開2006―179794号公報に示す技術を用いて、2つの観察方向に関するX線静止画像上のアブレーションカテーテル像の特徴点を画像パターンマッチングにより追跡し、追跡している特徴点の2次元座標を更新する。距離計算部30は、合成3次元画像内におけるアブレーションカテーテル像の特徴点(先端部分)と心壁との距離を計算する。
【0027】
図3に示すように、心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181、電極3次元座標計算部182、及び心壁構築部183を備える。電極2次元座標特定部181は、操作部16を介して2つのX線静止画像上でそれぞれ指定された複数の電極位置の2次元座標を特定する。この際、電極2次元座標特定部181は、各X線静止画像で指定された特徴点のうち、実質的に同一な電極同士を、対応付けのためのルールに従って対応付ける。電極3次元座標計算部182は、特定された複数の電極位置(対応点)の2次元座標から複数の電極の3次元座標をエピポーラ(Epipolar)幾何理論に基づいて計算する。電極カテーテルの電極は、心壁に接触している。従って電極の座標は、心壁の座標とみなすことができる。心壁構築部183は、計算された複数の3次元座標を通る曲面又は平面(以下、単に曲面と呼ぶ)を計算する。この曲面は、電極の座標、すなわち心壁の座標を通る曲面であるので、心壁とみなすことができる。そして、心壁構築部183は、計算した心壁(曲面)に基づいて3次元空間上に心壁のデータを構築する。これにより、心壁3次元画像のデータが発生される。
【0028】
図3に示すように、カテーテル3次元画像発生部20は、特徴点2次元座標特定部201、特徴点3次元座標計算部202、及びカテーテル構築部203を備える。特徴点2次元座標特定部201は、操作部16を介して2つのX線静止画像上でそれぞれ指定された複数のアブレーションカテーテルの特徴点の2次元座標を特定する。この際、特徴点2次元座標特定部201は、各X線静止画像上で指定された特徴点のうち、実質的に同一な電極同士を、対応付けのためのルールに従って対応付ける。特徴点3次元座標計算部202は、特定された複数の特徴点(対応点)の2次元座標から複数の特徴点の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいて計算する。カテーテル構築部203は、計算された複数の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用して、3次元空間上にアブレーションカテーテルのデータを構築する。これにより、アブレーションカテーテル3次元画像のデータが発生される。
【0029】
以下、アブレーション治療における第1実施形態に係る画像処理装置1の利用例を説明する。
【0030】
図4は、制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れを説明する図である。術者から操作部16を介して合成表示処理の開始指示を受けて、又は自動的に、制御部26は、合成表示処理を開始する。なお、この合成表示処理の期間中、常時ネットワークインターフェース部10を介して記憶部12にX線動画像のデータ及び心電図のデータが記憶されるとする。
【0031】
図4に示すように、まず制御部26は、心壁3次元画像発生部18に心壁3次元画像のデータの発生処理をさせる(ステップSA)。心壁3次元画像のデータの発生処理において心壁3次元画像発生部18は、2つの観察方向に関するX線静止画像上で指定された複数の電極位置に基づいて心壁3次元画像のデータを発生する。発生された心壁3次元画像のデータは、記憶部12に記憶される。この処理の詳細については後述する。
【0032】
心壁の3次元画像のデータが発生されると、制御部26は、カテーテル3次元画像発生部20に、アブレーションカテーテルの3次元画像のデータの発生処理をさせる(ステップSB)。アブレーションカテーテルの3次元画像のデータの発生処理においてカテーテル3次元画像発生部20は、2つの観察方向に関するX線静止画像上で指定された複数の特徴点に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。発生されたアブレーションカテーテル3次元画像のデータは、記憶部12に記憶される。この処理の詳細については、後述する。
【0033】
アブレーションカテーテル3次元画像のデータが発生されると、制御部26は、3次元画像合成部22に合成処理を行なわせる(ステップSC)。合成処理において3次元画像合成部22は、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを記憶部から読み出し、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とを合成することにより合成3次元画像のデータが発生される。なお、合成処理にあたり、心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに対して重み係数を乗じて合成の程度を調整できるようにしても良い。
【0034】
合成3次元画像が発生されると制御部26は、表示画像発生部24に、表示画像発生処理を行なわせる(ステップSD)。表示画像発生処理において表示画像発生部24は、合成3次元画像を3次元画像処理して、表示のための2次元画像(表示画像)のデータを発生する。具体的には、表示画像発生部24は、3次元画像処理として、ボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングを行なう。なお、3次元画像処理における投影角度は、操作部16を介して任意に設定可能である。なお、心壁3次元画像とカテーテル3次元画像とは同一のX線撮像装置1で撮像されているので、両3次元画像の座標は、完全に一致している。そのため、両3次元画像の位置合わせは不要である。
【0035】
表示画像が発生されると制御部26は、表示部14に表示処理を行なわせる(ステップSE)。表示処理において表示部14は、表示画像をモニタに表示する。
【0036】
図5は、表示画像DI1を示す図である。図5に示すように表示画像DI1には、3次元的に心壁像CI1とアブレーションカテーテル像AIとが描出されているため、術者は、アブレーションカテーテルが心壁に対して垂直であるか否かが確認できる。また、術者が操作部16を介して投影角度を任意に設定することで、表示部14は、任意の観察角度に関する表示画像を表示することができる。なお、アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI1の表側に表示される。また、表示部14は、操作部16を介して指定された電極位置EPを心壁像CI1と区別可能なように所定の色や輝度で表示してもよい。
【0037】
表示の応用例として次の方法がある。心壁像CI1上の電極位置が既知なので、表示部14は、電極位置EPを明示するとよい。また、表示部14は、異常な心電波形を検出している電極位置EPを他の電極位置EPから区別して表示してもよい。例えば、表示部14は、正常な心電波形を検出している電極位置EPを黒で表示し、異常な心電波形を検出している電極位置EPを赤で表示する。
【0038】
表示画像が表示されると距離計算部30は、合成3次元画像内で、心壁像とアブレーションカテーテルの先端部分との最短距離を計算する。この計算処理は、同一心位相で一心拍毎に計算される。例えば、距離計算部30は、心電図波形のある特徴波(例えばR波)をトリガとして、距離を計算する。計算された距離は、図5に示すように表示部14に表示される。また、表示部は、距離の値が所定の値以下になった場合、その旨のメッセージを画面に表示してもよい。また、図示しないスピーカからその旨の音を発生させるとしてもよい。
【0039】
また、表示部14は、ネットワークインターフェース部10がアブレーションカテーテル装置300から熱発生のためのボタン信号を受信したことを契機として、焼灼された電極位置を他の電極位置EPから区別して表示する。例えば、距離計算部28は、アブレーションカテーテル像AIの先端部分と電極位置EPとの距離を計算する。表示部14は、距離が一定距離以下になり、且つボタン信号を受信したことを契機として、当該電極位置EPを他の電極位置EPから区別して表示する。例えば、表示部24は、焼灼された電極位置EPを青で表示する。なお、上述のようにアブレーションカテーテル像の先端部分は、特徴点追跡部28により随時追跡されている。
【0040】
また、表示部14は、X線撮像装置100のCアーム112が回転されると、その回転に連動して観察角度を回転させてもよい。具体的には、X線撮像装置100のCアーム112が回転されると、ネットワークインターフェース部10は、LANを介してCアーム112を駆動制御するための制御信号を受信する。表示画像発生部24は、ネットワークインターフェース部10が受信した制御信号に基づいて、投影角度を決定する。そして表示画像発生部24は、決定した投影角度で合成3次元画像のデータを3次元画像処理して、Cアーム112の撮影角度に一致する観察角度の表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0041】
また、表示部14は、図6に示すように、心壁像CI1とX線撮像装置100からのX線動画像FIとを重ね合わせて表示してよい。
【0042】
以下、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)及びアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理(ステップSB)の詳細な説明する。まずは、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)について説明する。
【0043】
上述のように、心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)は、アブレーションカテーテルが心房に挿入される前に電極カテーテルが挿入される時に行なわれる。電極カテーテルの挿入中、X線撮像装置100によりX線動画像のデータが発生され、画像処理装置1に伝送される。伝送されたX線動画像は、リアルタイムに表示部14により表示される。術者は、表示されるX線動画像により電極カテーテルの位置等を確認しながら、電極カテーテルを心房に進める。電極カテーテルの電極が心壁に接触すると、術者により電極カテーテルは固定される。
【0044】
電極カテーテルが固定されると、術者等は、操作部16を介して心壁3次元画像の発生処理の開始指示を行う。術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。
【0045】
図7は、制御部26の制御のもとに実行される心壁3次元画像の発生処理を説明するための図である。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせる(ステップSA1)。X線静止画像の表示処理において表示部14は、記憶部12に記憶されている2つの観察方向に関するX線動画像から同心位相に関する2つのX線静止画像のデータをそれぞれ読み出して表示する。表示されるX線静止画像は、電極カテーテルが固定された後にX線撮像装置100により発生されたものとする。以下、説明を具体的に行なうため、2つの観察角度に関するX線静止画像は、患者正面方向に関するX線静止画像と、患者側面方向に関するX線静止画像であるとする。
【0046】
図8は、表示部14に表示される患者正面方向に関するX線静止画像SI1と患者側面方向に関するX線静止画像SI2とを示す図である。図8に示すように、X線静止画像SI1,SI2には、電極カテーテルECが描出されている。電極カテーテルECは、その先端部分に複数の電極EPが設けられている。この電極EPは、X線静止画像上SI1,SI2では黒丸で描出される。術者は、操作部16を介して、X線静止画像SI1,SI2に描出される電極EPを一つずつ指定する。電極は少なくとも3つずつ指定されるものとする。
【0047】
術者が操作部16を介して電極位置を指定すると制御部26は、心壁3次元画像発生部18に発生処理を行なわせる。まず、心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181に2次元座標特定処理を行なわせる(ステップSA2)。2次元座標特定処理において電極2次元座標特定部181は、指定された電極のX線静止画像での座標(2次元座標)を特定する。この後に発生される心壁3次元画像の精度を高めたいのであれば、術者は、電極カテーテルの位置を移動して電極指定を繰り返すとよい。電極は10〜50指定されるとよい。
【0048】
ステップSA2においては、図8に示すように、2つのX線静止画像SI1,SI2上で複数の電極EPがそれぞれ指定される。つまり、一つの電極EPについて2つのX線静止画像上での2つの2次元座標が与えられる。2次元座標特定部181は、同一の電極EPに由来する2つの2次元座標電極を、対応付けのルールに従って対応付ける。対応付けのルールは、例えば、2つのX線静止画像SI1,SI2上で交互に電極EPを指定することで、連続して指定された2つの電極の2次元座標を対応付けるルールである。具体的には、術者によりX線静止画像SI1で電極EP1が指定されると電極EP1の座標(x1、y1)が特定される。次に術者は、X線静止画像SI2上で電極EP1に実質的に同一な電極EP1´を指定する。電極EP1´が指定されると座標(x´1、y´1)が特定される。そして、連続して指定された電極EP1の座標(x1、y1)と電極EP1の座標(x´1、y´1)との座標が対応付けられる。もちろん対応付けのルールは、上記方法だけに留まらない。
【0049】
電極の2次元座標が特定されると心壁3次元画像発生部18は、電極3次元座標計算部182に計算処理を行わせる(ステップSA3)。計算処理において電極3次元座標計算部182は、特定された電極の2次元座標にエピポーラ幾何理論を適用して、電極の3次元座標を計算する。この3次元座標計算処理により、同一の電極に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。
【0050】
図9は、エピポーラ幾何理論を説明するための図である。患者正面方向におけるX線焦点F1から被検体P´を投影して得られる画像を投影画像I1、患者側面方向におけるX線焦点F2から被検体P´を投影して得られる画像を投影画像I2と呼ぶことにする。X線焦点F1とX線焦点F2と被検体P´とにより規定される面は、エピポーラ面と呼ばれている。投影画像I2上の点Aに投影される被検体P´は、3次元空間内において線Bのどこかに存在する。投影画像I1上において線Bは、線(エピポーラ線)C上に投影される。被検体P´は、線C上のどこかに投影されている。従って、投影画像I1上で術者が点Aと実質的に同一な点(対応点)を指定すると、被検体P´の3次元空間内での位置が定まる。すなわち、2つの観察角度に関するX線静止画像で実質的に同一な点を指定すれば、指定された点の3次元空間内での位置(3次元座標)を計算することができる。これがエピポーラ幾何理論である。電極3次元座標計算部182は、このエピポーラ幾何理論に基づいて、同一の電極に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標を計算する。
【0051】
電極の3次元座標が計算されると心壁3次元画像発生部18は、心壁構築部183に心壁の構築処理を行なわせる(ステップSA4)。心壁の構築処理において心壁構築部183は、算出された複数の電極の3次元座標に基づいて3次元空間内に心壁のデータを構築する。具体的には、心壁構築部183は、複数の3次元座標に基づいて心壁面を計算し、計算した心壁面に基づいて心壁のデータを構築する。
【0052】
図10は、心壁構築部183による心壁面の計算処理を説明するための図である。図10に示すように、ステップSA3において、実質的に同一な複数の電極EPの3次元座標が電極3次元座標計算部182により計算されている。例えば、X線静止画像SI1上の電極EP1と、X線静止画像SI2上の電極EP1´とに基づいて3次元空間上の電極EP1の座標(x´´1、y´´1、z´´1)が計算されている。このようにして複数の電極の3次元座標が計算されると、心壁構築部183は、これら複数の3次元座標に最小2乗法を適用して、複数の3次元座標を通過する曲面CSを計算する。具体的には、心壁構築部183は、複数の3次元座標に最小2乗法を適用して、複数の3次元座標を通る曲面(又は平面)を計算する。数学的には例えば、3点があればある平面を規定でき、4点があれば曲面を規定することができる。算出された曲面CSは、電極カテーテルECの複数の電極EPを通る曲面である。上述のように、電極EPは、心壁に接触している。従って、算出された曲面CSは、心壁と同一である。
【0053】
心壁CSが計算されると心壁構築部183は、計算した心壁を構成するボクセルに所定の画素値を割り付けることで3次元空間内に心壁のデータを構築する。また、心壁構築部183は、計算した曲面を点列に分解し、これら複数の点を複数の面素(パッチ面)で張り合わせることによって3次元空間内に心壁のデータを構築してもよい。この心壁の構築処理により心壁3次元画像のデータが発生される。
【0054】
以上で心壁3次元画像のデータの発生処理は終了する。
【0055】
次にアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理(ステップSB)の詳細について説明する。術者は、電極カテーテル装置200からの心電図波形を観察して治療部位を決定すると、表示部14に表示されているX線動画像を観察しながら、治療部位にアブレーションカテーテルを進める。アブレーションカテーテルが治療部位付近に近づくと、術者等は、操作部16を介してアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理の開始指示を行う。術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を開始する。
【0056】
図11は、制御部26の制御のもとに実行されるアブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を説明するための図である。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせる(ステップSB1)。X線静止画像の表示処理において表示部14は、同心位相の患者正面方向に関するX線静止画像と患者側面方向に関するX線静止画像のデータを記憶部12からそれぞれ読み出して表示する。表示されるX線静止画像は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理の開始後にX線撮像装置100により発生されたものとする。
【0057】
表示部14に患者正面方向に関するX線静止画像と患者側面方向に関するX線静止画像が表示されると、術者は、操作部16を介して、2つのX線静止画像でアブレーションカテーテルの複数の特徴点を指定する。特徴点は、視覚的に特定しやすい部分であり、例えば、先端部分やマーカ、熱発生部分等である。特徴点は、それぞれ少なくとも2点以上指定される。
【0058】
術者が操作部16を介して特徴点を指定すると制御部26は、カテーテル3次元画像発生部20に発生処理を行なわせる。まず、カテーテル3次元画像発生部20は、特徴点2次元座標特定部201に特徴点の2次元座標の特定処理を行なわせる(ステップSB2)。この特定処理において特徴点2次元座標特定部201は、術者により指定された特徴点のX線静止画像での座標(2次元座標)を特定する。この際、特徴点2次元座標特定部201は、実質的に同一な特徴点を対応付ける。この処理は、ステップSA2と同様なので説明は省略する。
【0059】
特徴点(対応点)の2次元座標が特定されるとカテーテル3次元画像発生部20は、特徴点3次元座標計算部202に特徴点の3次元座標の計算処理を行わせる(ステップSB3)。この計算処理において特徴点3次元座標計算部202は、特定された同一の特徴点(対応点)に由来する2つの2次元座標にエピポーラ幾何理論を適用して、特徴点の3次元座標を計算する。
【0060】
特徴点の3次元座標が計算されるとカテーテル3次元画像発生部20は、カテーテル構築部203にカテーテル構築処理を行なわせる(ステップSB4)。カテーテル構築処理においてカテーテル構築部203は、計算された複数の電極の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用してアブレーションカテーテル3次元画像のデータを発生する。coronary treeの生成原理は、既知の技術であり例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1及び特許文献2に開示されているcoronary treeの生成原理は、血管に適用している。ところでカテーテルの形状は、筒状であり、血管の形状と同様である。従ってカテーテルについても、coronary treeの生成原理は、適用可能である。このカテーテル構築処理により、3次元空間内にカテーテルのデータが構築される。
【0061】
以上でアブレーションカテーテル3次元画像のデータの発生処理が終了する。
【0062】
術者は、上記のように発生される心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を観察しながらアブレーションカテーテルを操作する。つまり、術者がアブレーションカテーテルを動かすたびに、制御部26は、アブレーションカテーテル3次元画像の発生処理を繰り返さなければならない。すなわち、アブレーションカテーテルを動かすたびに術者は、ステップSAに示すように、アブレーションカテーテルの特徴点を指定し直さなければならない。この作業は術者にとって手間である。
【0063】
そこで、特徴点追跡部30は、2つの観察方向に関するX線静止画像上のアブレーションカテーテルの特徴点を画像パターンマッチングにより追跡し、追跡している特徴点の2次元座標を更新する。カテーテル3次元画像発生部20は、更新された2次元座標に基づいて特徴点の3次元座標を更新し、更新された3次元座標に基づいてアブレーションカテーテル3次元画像のデータを更新する。更新されたアブレーションカテーテル3次元画像と既に発生されている心壁3次元画像とは、3次元画像合成部22により合成され、合成3次元画像のデータが更新される。表示画像発生部24は、更新された合成3次元画像のデータに基づいて表示画像のデータを更新し、更新された表示画像は、表示部14に表示される。表示画像は、一心拍毎に更新される。
【0064】
第1実施形態に係る画像処理装置1は、X線撮像装置100からのX線画像データに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第1実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置1を提供することが可能となる。
【0065】
なお、第1実施形態においては、画像処理装置1は、心臓内壁に挿入された電極カテーテルの複数の特徴点(電極)に基づいて心壁3次元画像のデータを発生するとした。しかしながら第1実施形態を心臓内壁に限定する必要はない。すなわち、画像処理装置1は、心臓以外の器官(たとえば胃等)の内壁に挿入された電極カテーテルの複数の電極に基づいて、当該器官の内壁に関する3次元画像のデータを発生することができる。
【0066】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るアブレーション治療支援システムの構成を示す図である。図12に示すように第2実施形態に係るアブレーション治療支援システムは、画像処理装置2、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、アブレーションカテーテル装置300、及びX線コンピュータ断層撮影装置400を備える。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素及びステップについては、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0067】
X線コンピュータ断層撮影装置400は、アブレーションカテーテルの挿入前において、被検体をCTスキャンして被検体の特定の器官(例えば、心臓、胃など。以下、特定の器官は、心臓であるとする)に関するCT画像データを発生する。具体的には、X線コンピュータ断層撮影装置300は、心電同期再構成により特定の心位相に関するCT画像データを発生する。発生された心臓に関するCT画像データは、X線コンピュータ断層撮影装置400によりLANを介して画像処理装置2に伝送される。
【0068】
図13は、第2実施形態に係る画像処理装置2の構成を示す図である。図13に示すように画像処理装置2は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、及び距離計算部30を備える。
【0069】
ネットワークインターフェース部10は、X線コンピュータ断層撮影装置400から伝送される心臓に関するCT画像のデータをさらに受信する。記憶部12は、X線コンピュータ断層撮影装置400からの心臓に関するCT画像のデータをさらに記憶する。
【0070】
心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181及び電極3次元座標計算部182に加え、抽出部184、レジストレーション部185を備える。抽出部184は、記憶部12に記憶されている心臓に関するCT画像のデータから心壁領域のデータを抽出する。抽出された心壁領域のデータが心壁3次元画像のデータである。レジストレーション部185は、電極3次元画像座標計算部182により計算された複数の電極の3次元座標に基づいて、抽出部184により抽出された心壁3次元画像をレジストレーションする。3次元画像合成部22は、レジストレーションされた心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0071】
以下、画像処理装置2のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0072】
第2実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第2実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容、第1実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0073】
以下、図14を参照しながら第2実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0074】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせ(ステップSA11)、心壁3次元画像発生部18に2次元座標特定処理(ステップSA12)、3次元座標計算処理を行わせる(ステップS13)。この3次元座標計算処理により、実質的に同一の特徴点(対応点)に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。また、3次元座標は、複数の特徴点について計算されているものとする。
【0075】
また、術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像発生部18の抽出部184に抽出処理を行なわせる(ステップSA21)。抽出処理において抽出部184は、まず、X線コンピュータ断層撮影装置400からの心臓に関するCT画像のデータを記憶部12から読み出す。そして抽出部184は、心壁が有する画素値範囲に基づいてCT画像を閾値処理し心壁領域を抽出することにより、心壁3次元画像のデータを発生する。
【0076】
ステップSA13において電極の3次元座標が計算され、ステップSA21において心壁3次元画像が発生されると心壁3次元画像発生部18は、レジストレーション部185にレジストレーション処理を行なわせる(ステップSA22)。レジストレーション処理においてレジストレーション部185は、複数の電極の3次元座標に基づいて心壁3次元画像をレジストレーションする。具体的には、複数の電極の3次元座標に心壁3次元画像に含まれる心壁領域の内側が位置整合するように、心壁領域をレジストレーションする。
【0077】
以上で第2実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0078】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。
【0079】
図15は、第2実施形態に係る表示画像DI2の一例を示す図である。図15に示すように、表示画像DI2は、CT画像に由来する心壁像CI2と、アブレーションカテーテル像AIと含む。アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI2よりも前面に表示される。このようにアブレーションカテーテル像AIと心壁像CI2とが表示されることで、術者は、両者の3次元的な位置関係を把握しやすい。また、図15に示すように、心壁の部位の名称が文字情報で示されることにより術者は、アブレーションカテーテル像AIと心壁像CI2との位置関係をより把握しやすい。
【0080】
また、表示部14は、図16に示すように、X線動画像FIに心壁像CI2を重ねて表示してもよい。
【0081】
第2実施形態に係る画像処理装置2は、X線コンピュータ断層撮影装置400からの3次元画像データとX線撮像装置100からのX線画像データとに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第2実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0082】
なお上記説明において、心壁領域のデータは、抽出部184により発生されるとした。しかしながら、第2実施形態はこれに限定されない。例えば、X線コンピュータ断層撮影装置400がCT画像から心壁領域を抽出し、抽出した心壁領域のデータを画像処理装置2に伝送してもよい。伝送された心壁領域のデータは、記憶部12により記憶される。そしてステップSA22において、レジストレーション部185は、記憶部12から心壁領域のデータを読み出してレジストレーション処理を行なう。
【0083】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係るアブレーション治療支援システムの構成を示す図である。図17に示すように第3実施形態に係るアブレーション治療支援システムは、画像処理装置3、X線撮像装置100、電極カテーテル装置200、アブレーションカテーテル装置300、及びElectro-Anatomical Mapping装置500を備える。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0084】
電極カテーテル装置200は、電極カテーテルにより検出される表面電位のデータをElectro-Anatomical Mapping装置500に伝送する。
【0085】
Electro-Anatomical Mapping装置500は、3つの磁場発生装置と、位置検出装置と、第3の制御装置とを備える。3つの磁場発生装置は、典型的に、天板の下に設けられ、磁場を発生する。位置検出装置は、電極カテーテルによる磁場の変化に基づいて電極カテーテルの先端の位置座標を検出する。第3の制御装置は、検出された位置座標と電極カテーテル装置から伝送された表面電位とに基づいて3次元電気マッピング画像のデータを発生する。3次元電気マッピング画像は、心壁に関する3次元画像であり、心壁の形態情報のみならず表面電位等の機能情報をも有する。すなわち、3次元電気マッピング画像を構成する各ボクセルには、表面電位の値に応じた色情報が割り付けられている。また、第3の制御装置は、電極カテーテル装置からの心電図波形に基づいて、特定の一心位相に関する3次元電気マッピング画像のデータを一心拍毎に発生する。発生された3次元電気マッピング画像のデータは、第3の制御装置によりLANを介して画像処理装置3に伝送される。
【0086】
第3実施形態に係る画像処理装置3の構成は、第2実施形態に係る画像処理装置2の構成と同様である。画像処理装置3は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示画像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、及び距離計算部30を備える。
【0087】
ネットワークインターフェース部10は、Electro-Anatomical Mapping装置500から伝送される3次元電気マッピング画像のデータをさらに受信する。記憶部12は、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像のデータをさらに記憶する。
【0088】
心壁3次元画像発生部18のレジストレーション部185は、電極3次元画像座標計算部182により計算された複数の電極の3次元座標に基づいて、3次元電気マッピング画像のデータをレジストレーションする。レジストレーションされた3次元電気マッピング画像を心壁3次元画像とする。3次元画像合成部22は、この心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0089】
以下、画像処理装置3のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0090】
第3実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1及び第2実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第3実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容は、第1及び第2実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0091】
以下、図18を参照しながら第3実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0092】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14にX線静止画像の表示処理を行なわせ(ステップSA11)、心壁3次元画像発生部18に2次元座標特定処理(ステップSA12)、3次元座標計算処理を行わせる(ステップS13)。この3次元座標計算処理により、実質的に同一な電極(対応点)に由来する2つの2次元座標から一つの3次元座標が計算される。3次元座標は、複数の電極について計算される。
【0093】
ステップSA13において電極の3次元座標が計算されると心壁3次元画像発生部18は、レジストレーション部185にレジストレーション処理を行なわせる(ステップSA31)。レジストレーション処理においてレジストレーション部185は、複数の電極の3次元座標に基づいて、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像をレジストレーションする。具体的には、複数の電極の3次元座標に心壁領域の内側が位置整合するように、3次元電気マッピング画像をレジストレーションする。レジストレーション処理により、心壁3次元画像のデータが発生される。
【0094】
以上で第3実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0095】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。
【0096】
図19は、第3実施形態に係る表示画像DI3の一例を示す図である。図19に示すように、表示画像DI3は、3次元電気マッピング画像に由来する心壁像CI3と、アブレーションカテーテル像AIと含む。アブレーションカテーテル像AIは、心壁像CI3よりも前面に表示される。このようにアブレーションカテーテル像AIと心壁像CI3とが表示されることで、術者は、両者の3次元的な位置関係を把握しやすい。また、心壁像CI3は、表面電位の値に応じて色が変化するので、術者は、この表示画像DI3を観察するだけで、電位の異常部位(治療部位)を特定することができる。また、心壁の部位の名称が文字情報で示されることにより術者は、アブレーションカテーテル像AIと心壁像CI3との位置関係をより把握しやすい。
【0097】
また、表示部14は、図20に示すように、X線動画像FIに心壁像CI3を重ねて表示してもよい。
【0098】
第3実施形態に係る画像処理装置3は、Electro-Anatomical Mapping装置500からの3次元電気マッピング画像データとX線撮像装置100からのX線画像データとに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、発生した心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第3実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0099】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る画像処理装置4の構成を示す図である。図21に示すように画像処理装置4は、ネットワークインターフェース部10、記憶部12、表示部14、操作部16、心壁3次元画像発生部18、カテーテル3次元画像発生部20、3次元画像合成部22、表示は像発生部24、制御部26、特徴点追跡部28、距離計算部30、及び電極・心電図対応付け部32を備える。
【0100】
心電図・電極対応付け部32は、電極カテーテル装置200からの複数の心電図波形とX線静止画像に描出される複数の電極とをそれぞれ対応付ける。
【0101】
心壁3次元画像発生部18は、電極2次元座標特定部181、電極3次元画像計算部182、心壁構築部183、及び色情報割り付け部186を備える。色情報割り付け部186は、電極の3次元座標と心電図波形とに基づいて、心壁構築部183により発生された心壁3次元画像を構成するボクセルに表面電位に応じた色情報を割り付ける。この色情報割り付け処理により、色情報が割り付けられた心壁3次元画像のデータが発生される。
【0102】
3次元画像合成部22は、この色情報が割り付けられた心壁3次元画像と、カテーテル3次元画像発生部20により発生されたアブレーションカテーテル3次元画像とを合成して、合成3次元画像のデータを発生する。表示画像発生部24は、発生された合成3次元画像を3次元画像処理して表示画像のデータを発生する。発生された表示画像は、表示部14により表示される。
【0103】
なお、第4実施形態に係るアブレーション治療システムの構成は、第1実施形態に係るアブレーション治療システムの構成と同様である。
【0104】
以下、画像処理装置4のアブレーション治療での利用例を説明する。
【0105】
第4実施形態に係る制御部26による心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像との合成表示処理の流れは、第1及び第2及び第3実施形態の合成表示処理の流れと同様である。しかし、第3実施形態に係る合成表示処理における心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容は、第1及び第2及び第3実施形態に係る心壁3次元画像(ステップSA)の処理内容と異なる。
【0106】
以下、図22を参照しながら第4実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(ステップSA)の流れを説明する。なお、第1実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理(図7に示す)と同様の処理は、同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0107】
術者等により開始指示がなされることを契機として制御部26は、心壁3次元画像の発生処理を開始する。まず、制御部26は、表示部14に表示処理を行なわせる(ステップSA41)。表示処理において表示部14は、X線撮像装置100からの2つの観察角度に関するX線静止画像と電極カテーテル装置からの心電図波形とを並べて表示する。
【0108】
図23は、ステップSA41において表示される画面Dの一例を示す図である。図23に示すように、画面Dは、患者正面方向に関するX線静止画像SI1が表示される領域R1、患者側面方向に関するX線静止画像SI2が表示される領域R2、及び複数の心電図波形Wが表示される領域R3を有する。ユーザは、電極と心電図波形とを対応付けるために、操作部16を介してX線静止画像SI1又はSI2上で電極を指定し、指定した電極に対応する心電図波形Wを指定する。ユーザは、この作業を電極の数だけ繰り返す。
【0109】
心電図波形と電極とが指定されると制御部26は、電極・心電図対応付け部32に対応付け処理を行なわせる(ステップSA42)。この対応付け処理において電極・心電図対応付け部32は、対応付けのルールに従って、対応する電極と心電図とを対応付ける。対応付けのルールは、例えば、初めに電極が指定され、次に指定された電極に対応する心電図波形が指定されることで、当該指定された電極と心電図波形とを対応付けるというルールである。なお、この心電図と電極との対応付けは、ステップSA12と同時に行なわれてもよい。
【0110】
ステップSA14において心壁3次元画像のデータが発生され、ステップSA42において心電図波形と電極とが対応付けられると心壁3次元画像発生部18は、色情報割り付け部186に色情報割り付け処理を行なわせる(ステップSA43)。色情報割り付け処理において色情報割り付け部186は、電極の3次元座標と心電図波形とに基づいて、心壁構築部183により発生された心壁3次元画像を構成するボクセルに表面電位に応じた色情報を割り付ける。この処理は、第3実施形態に係るElectro-Anatomical Mapping装置400による3次元電気マッピング画像の発生方法と同様である。この色情報割り付け処理により、色情報が割り付けられた心壁3次元画像のデータが発生される。
【0111】
以上で第4実施形態に係る心壁3次元画像の発生処理は終了する。
【0112】
ステップSAが終了すると、ステップSBにおいてアブレーションカテーテル3次元画像が発生され、ステップSCにおいて合成3次元画像が発生され、ステップSDにおいて表示画像が発生され、ステップSEにおいて表示画像が表示される。表示画像は、アブレーションカテーテル像と色情報が割り付けられた3次元電気マッピング画像に由来する心壁像とを有する。この心壁像は、表面電位の値に応じて色が変化する。心壁像は、一心拍毎に形状及び色が更新される。
【0113】
第4の実施形態においては、以下に示す表示の応用例がある。表示部14は、手術室にいる術者が視認可能な場所に設けられた3つのモニタ(第1のモニタ、第2のモニタ、及び第3のモニタ)を有する。第1のモニタには、X線動画像が表示される。このX線動画像は、例えば、一秒間に30回更新される。第2のモニタには、表示画像は表示される。表示画像は、一心拍毎に更新される。第3のモニタには、X線動画像に心壁像が重ね合わせて表示される。
【0114】
第4実施形態に係る画像処理装置4は、X線撮像装置100からのX線画像データに基づいて心壁3次元画像のデータとアブレーションカテーテル3次元画像のデータとを発生し、電極カテーテル装置200からの心電図波形データに基づいて心壁3次元画像に表面電位に応じて変化する色情報を割り付け、色情報が割り付けられた心壁3次元画像とアブレーションカテーテル3次元画像とに基づく表示画像を表示する。この表示画像を観察することで、術者は、容易にアブレーションカテーテルの先端部分が心壁に対して垂直にあたっているか否かを判断できる。かくして第4実施形態によれば、アブレーション治療における手技時間や手間の削減を実現する画像処理装置を提供することが可能となる。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図2】図1のX線撮像装置の撮像系の模式図。
【図3】図1に示す第1実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図4】図1に示す第1実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理の流れを示す図。
【図5】図4のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図6】図4のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図7】図4のステップSAの処理の流れを示す図。
【図8】図7のステップSA12にける電極指定処理を説明するための図。
【図9】図7のステップSA13において用いられるエピポーラ幾何理論を説明するための図。
【図10】図7のステップSA14において心壁構築部により行なわれる曲面計算処理を説明するための図。
【図11】図4のステップSBの処理の流れを示す図。
【図12】本発明の第2実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図13】図12に示す第2実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図14】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図15】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図16】図12に示す第2実施形態に係る制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図17】本発明の第3実施形態に係るアブレーション治療システムの構成を示す図。
【図18】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図19】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される表示画像の一例を示す図。
【図20】図17に示す第3実施形態に係る画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSEにおいて表示される画像の他の例を示す図。
【図21】第4実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図22】図21に示す画像処理装置の制御部による心壁3次元画像とアブレーションカテーテルとの合成表示処理のステップSAの流れを示す図。
【図23】図22のステップSA41において表示される電極と心電図との対応付けを行なうための画面例を示す図。
【符号の説明】
【0117】
1…画像処理装置、100…X線撮像装置、200…電極カテーテル装置、300…アブレーションカテーテル装置、10…ネットワークインターフェース部、12…記憶部、14…表示部、16…操作部、18…心壁3次元画像発生部、20…カテーテル3次元画像発生部、22…3次元画像合成部、24…表示画像発生部、26…制御部、28…特徴点追跡部、30…距離計算部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の特定器官の内壁に関する3次元画像のデータを記憶する記憶部と、
カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察角度に関するX線画像に基づいてカテーテルに関する3次元画像のデータを発生するカテーテル画像発生部と、
前記発生されたカテーテルに関する3次元画像と前記内壁に関する3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する合成部と、
前記発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する表示画像発生部と、
前記発生された表示画像を表示する表示部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
カテーテル術中において前記X線撮像装置により発生された2つの観察角度に関するX線画像上で、前記内壁上にある実質的に同一な複数の第1の特徴点を指定する第1指定部と、
前記指定された複数の特徴点の複数の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいてそれぞれ計算する第1座標計算部と、
前記計算された複数の3次元座標に基づいて前記内壁に関する3次元画像のデータを発生する内壁画像発生部と、をさらに備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記内壁画像発生部は、前記複数の3次元座標を通る曲面を計算し、前記計算された曲面に基づいて前記内壁に関する3次元画像のデータを構築する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記X線撮像装置から発生された前記2つの観察方向に関するX線画像上で、前記カテーテル上にある実質的に同一な複数の第2の特徴点を指定する第2指定部と、
前記指定された複数の第2の特徴点の複数の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいてそれぞれ計算する第2座標計算部と、をさらに備え、
前記カテーテル画像発生部は、前記計算された複数の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用して前記カテーテルに関する3次元画像のデータを構築する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
電極カテーテル装置からの複数の心電図波形を前記複数の第1の特徴点にそれぞれ対応付ける対応付け部と、
前記対応付けられた複数の第1の特徴点の位置と心電図波形が示す電位の値とに基づいて、前記内壁に関する3次元画像に前記電位の値に応じた色情報を割り付ける割り付け部とをさらに備える、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
X線コンピュータ断層撮影装置からのCT画像から前記内壁の領域を抽出する抽出部と、
前記抽出された内壁の領域が前記複数の3次元座標に位置整合するように前記内壁の領域をレジストレーションする第1のレジストレーション部と、をさらに備え、
前記3次元画像合成部は、前記レジストレーションされた内壁の領域を前記内壁に関する3次元画像として、前記カテーテルに関する3次元画像と合成する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
Electro-Anatomical Mapping装置からの3次元電気マッピング画像が前記複数の3次元座標に位置整合するように前記内壁の領域をレジストレーションする第2のレジストレーション部をさらに備え、
前記3次元画像合成部は、前記レジストレーションされた3次元電気マッピング画像を前記内壁に関する3次元画像として、前記カテーテルに関する3次元画像と合成する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記表示画像上における前記複数の第1の特徴点を前記内壁と区別して表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記複数の第1の特徴点のうち焼灼された位置にある特徴点を他の特徴点から区別して表示する、請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元合成画像における前記内壁の部分と前記カテーテルの先端部分との間の距離を計算する距離計算部をさらに備え、
前記表示部は、前記計算された距離を表示する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記X線撮像装置からのX線画像に前記表示画像に含まれる内壁像を重ねて表示する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記X線撮像装置に備えられるCアームの回転に連動して前記表示画像の観察角度を回転する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2の特徴点を画像パターンマッチングにより追跡する追跡部をさらに備える、請求項4記載の画像処理装置。
【請求項1】
被検体の特定器官の内壁に関する3次元画像のデータを記憶する記憶部と、
カテーテル術中においてX線撮像装置によって発生された2つの観察角度に関するX線画像に基づいてカテーテルに関する3次元画像のデータを発生するカテーテル画像発生部と、
前記発生されたカテーテルに関する3次元画像と前記内壁に関する3次元画像とを合成することによって3次元合成画像のデータを発生する合成部と、
前記発生された3次元合成画像のデータを3次元画像処理して2次元の表示画像のデータを発生する表示画像発生部と、
前記発生された表示画像を表示する表示部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
カテーテル術中において前記X線撮像装置により発生された2つの観察角度に関するX線画像上で、前記内壁上にある実質的に同一な複数の第1の特徴点を指定する第1指定部と、
前記指定された複数の特徴点の複数の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいてそれぞれ計算する第1座標計算部と、
前記計算された複数の3次元座標に基づいて前記内壁に関する3次元画像のデータを発生する内壁画像発生部と、をさらに備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記内壁画像発生部は、前記複数の3次元座標を通る曲面を計算し、前記計算された曲面に基づいて前記内壁に関する3次元画像のデータを構築する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記X線撮像装置から発生された前記2つの観察方向に関するX線画像上で、前記カテーテル上にある実質的に同一な複数の第2の特徴点を指定する第2指定部と、
前記指定された複数の第2の特徴点の複数の3次元座標をエピポーラ幾何理論に基づいてそれぞれ計算する第2座標計算部と、をさらに備え、
前記カテーテル画像発生部は、前記計算された複数の3次元座標にcoronary treeの生成原理を適用して前記カテーテルに関する3次元画像のデータを構築する、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
電極カテーテル装置からの複数の心電図波形を前記複数の第1の特徴点にそれぞれ対応付ける対応付け部と、
前記対応付けられた複数の第1の特徴点の位置と心電図波形が示す電位の値とに基づいて、前記内壁に関する3次元画像に前記電位の値に応じた色情報を割り付ける割り付け部とをさらに備える、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
X線コンピュータ断層撮影装置からのCT画像から前記内壁の領域を抽出する抽出部と、
前記抽出された内壁の領域が前記複数の3次元座標に位置整合するように前記内壁の領域をレジストレーションする第1のレジストレーション部と、をさらに備え、
前記3次元画像合成部は、前記レジストレーションされた内壁の領域を前記内壁に関する3次元画像として、前記カテーテルに関する3次元画像と合成する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
Electro-Anatomical Mapping装置からの3次元電気マッピング画像が前記複数の3次元座標に位置整合するように前記内壁の領域をレジストレーションする第2のレジストレーション部をさらに備え、
前記3次元画像合成部は、前記レジストレーションされた3次元電気マッピング画像を前記内壁に関する3次元画像として、前記カテーテルに関する3次元画像と合成する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記表示画像上における前記複数の第1の特徴点を前記内壁と区別して表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記複数の第1の特徴点のうち焼灼された位置にある特徴点を他の特徴点から区別して表示する、請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元合成画像における前記内壁の部分と前記カテーテルの先端部分との間の距離を計算する距離計算部をさらに備え、
前記表示部は、前記計算された距離を表示する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記X線撮像装置からのX線画像に前記表示画像に含まれる内壁像を重ねて表示する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記X線撮像装置に備えられるCアームの回転に連動して前記表示画像の観察角度を回転する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2の特徴点を画像パターンマッチングにより追跡する追跡部をさらに備える、請求項4記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−12097(P2010−12097A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175770(P2008−175770)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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