説明

画像出力装置、画像出力方法及び画像出力プログラム

【課題】 画像出力装置において、万線スクリーンによるディザ法を用いて中間階調を表現する際に、印刷する画像データの細線の線分の角度と前記縞状の並びの角度(スクリーン角度)が近くなってしまって前記線分の凸凹(ジャギ)が目立ってしまうのを効率よく抑制すること。
【解決手段】 文字のフォントを解析してフォントの線分角度が前記万線スクリーンのスクリーン角度と閾値以下になるとジャギが発生すると判断して、ジャギが発生すると判断した時には、出力する用紙方向を90度回転した方向のものを選択する。これによりジャギ現象の発生を防ぐことが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像出力装置で階調を表現するのに縞状パターンを用いて万線スクリーンを生成する場合において、細線の線分の角度と前記万線スクリーンの縞状パターンにおけるドット形成の並びの角度(スクリーン角度)が近くなってしまって前記線分の凸凹(ジャギ)が目立ってしまうことを抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置や画像表示装置などの画像出力装置において、万線スクリーンを用いて出力画像の色の濃淡を表現する方法が一般的に用いられている。
【0003】
また、点の数や大きさを増減させることにより濃淡を表現するディザ法が知られているが、特に縞状のパターンを生成し、縞の数や縞の幅を変化させることにより多階調を表現する方法を万線スクリーンによるディザ法と呼ぶ(図1;詳細後述)。
【0004】
ディザ法では、ディザテーブルと呼ばれる2次元マトリックスに基づいて中間調を生成する。ディザ法により縞状パターン(万線スクリーン)を生成する場合のディザテーブルについて以下に例を示して簡単に説明する。
【0005】
図2(A)及び(B)は、8×8の2次元マトリックスのディザテーブルの例である。色値(画像の濃度)に応じて対応する値の位置にドットが打たれてゆく。図2(A)及び(B)で示すものは、濃度50%の場合についてであるが、64の画素のうち50%の32個の画素を数値の順に1から32までの画素にハッチングを施してある。これにより、図2(A)では、水平に縞状パターンが形成されており、万線スクリーンのスクリーン角度が0度であることを示す。図2(B)には、垂直に縞状パターンが形成されておりスクリーン角度が90度であることを示す。ディザテーブルを用いた万線スクリーンは、図2(A)及び(B)のスクリーン角度が0度と90度の場合に限らず、斜め(例えば30度)などももちろん同様の方法で(数値の並びを変えることにより)可能である。
【0006】
しかし、この万線スクリーンによるディザ法で印字を行った際には、細線の線分の角度とディザ法におけるドット形成の並びの角度(スクリーン角度)が近くなってしまって前記線分の凸凹(ジャギ)が目立ってしまう問題があった。
【0007】
図1(A)にカタカナの『レ』の文字を単色の万線スクリーンで表示した際、『レ』の跳ね部分がスクリーン角度に近い場合を示す。また、図1(B)には『レ』の跳ね部分の角度がスクリーン角度と離れている場合を示す。図1では、万線スクリーンの様子がよくわかるように画素点の大きさを拡大してあるが、図1を目から離して見てみると(A)の『レ』の跳ね部分では(B)と比較して文字の輪郭の凸凹が目立ってしまうジャギが発生しているのがよくわかる。
【0008】
このジャギ現象を抑制させる従来技術として、文字や罫線の印刷データにおいて線が細い場合の画像品質を向上させるために、ドット単位の線幅を計算して検出された線幅に基づいて2値表現を行うためのドットパターンを選択する方法があった(特許文献1参照)。
【0009】
しかし、この方法では一文字一文字に対して線幅を計算するので処理に時間がかかる。また、配置パターンが変更されることにより、カラーの場合には文字列の一文字一文字の色にばらつきが出てしまう。
【0010】
また、万線スクリーンを用いて多階調を表示する画像処理装置において、出力画像の各要素の輪郭部分においては、万線ディザパターンとは異なる疑似多階調方式を採用することによりジャギ現象を抑制する方法があった(特許文献2参照)。
【0011】
しかし、この方法では画像の輪郭部のすべてに異なるディザパターンを用いるため計算時間が膨大となってしまい、特許文献1と同様に処理に時間がかかってしまう問題があった。
【0012】
【特許文献1】特開平09−186902号公報
【特許文献2】特開2004−40499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、画像出力装置において万線スクリーンによるディザ法で中間階調を表す際に、細線や文字のエッジ部分で顕著に目立つ凸凹(ジャギ)を低減させるのに処理に時間をかけずに効率的に行うことができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像出力装置は、画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換部と、前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出部と、前記要素角度抽出部が抽出した線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定部と、前記ジャギ判定部が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択部と、前記用紙選択部が選択した用紙に合わせて、90度回転させた画像データを生成するページ回転処理部と、を有することを最も主要な特徴とする。
【0015】
本発明の画像出力方法は、画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換して、前記画像データの線分の角度を抽出して記録して、前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定し、前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択し、前記90度回転させた画像データを生成して出力することを特徴とする。
【0016】
本発明の画像出力プログラムは、画像出力装置のコンピュータにおいて実行される画像出力プログラムであって、前記コンピュータを画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換手段と、前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出手段と、前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定手段と、前記ジャギ判定手段が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択手段と、前記90度回転させた方向の画像データを生成するページ回転処理手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像出力装置は、画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換部と、前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出部と、前記要素角度抽出部が抽出した線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定部と、前記ジャギ判定部が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択部と、前記用紙選択部が選択した用紙に合わせて、90度回転させた画像データを生成するページ回転処理部と、を有することを最も主要な特徴とするため、万線スクリーンによるディザ法で中間階調を表す際に、細線や文字のエッジ部分で顕著に目立つ凸凹(ジャギ)を処理に長時間かけずに抑制することが可能になった。
【0018】
本発明の画像出力方法は、画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換して、前記画像データの線分の角度を抽出して記録して、前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定し、前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択し、前記90度回転させた画像データを生成して出力することを特徴とするため、万線スクリーンによるディザ法で中間階調を表す際に、細線や文字のエッジ部分で顕著に目立つ凸凹(ジャギ)を処理に長時間かけずに抑制することが可能になった。
【0019】
本発明の画像出力プログラムは、画像出力装置のコンピュータにおいて実行される画像出力プログラムであって、前記コンピュータを画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換手段と、前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出手段と、前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定手段と、前記ジャギ判定手段が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択手段と、前記90度回転させた方向の画像データを生成するページ回転処理手段と、して機能させることを特徴とするため、万線スクリーンによるディザ法で中間階調を表す際に、細線や文字のエッジ部分で顕著に目立つ凸凹(ジャギ)を処理に長時間かけずに抑制することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
画像出力装置において、万線スクリーンによるディザ法で中間階調を表す際に、細線や小さい文字のエッジ部分等で顕著に目立つ凸凹(ジャギ)を長時間の処理を伴わずに効率よく低減することが出来ないという問題点を前記細線や文字の線分の角度と万線スクリーンのスクリーン角度よりジャギが発生すると判断したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択することによりジャギの発生を抑制することが可能となった。
【実施例1】
【0021】
本発明の画像出力装置の実施例としての画像形成装置について以下に説明する。
【0022】
本実施例では、A4用紙への印刷の場合を例として述べるが、当然他の用紙サイズにも応用が可能である。
【0023】
[ジャギ発生抑制のための用紙の出力方向の回転]
ディザ法によって中間色を縞状のパターンで表現する際(万線スクリーンによるディザ法)は、その縞状パターンの角度(スクリーン角度)に近い角度の細線や小さな文字で同角度成分を持つエッジ部分(特に斜体文字での同エッジ部分)では、凸凹(以降、ジャギと呼ぶ)が特に目立ってしまい線や文字などが美しく見えない(図1(A))。
【0024】
本発明では、文字を含んだデータに対してジャギの発生が有る場合には、用紙の出力方向を90度回転させてジャギの発生を抑制する。
【0025】
図3(A)は、A4用紙に出力されたカタカナの『レ』の文字を単色の万線スクリーンで表示した際、『レ』の跳ね部分がスクリーン角度に近いため、ジャギが目立ってしまう例を示している。
【0026】
図3(B)は、(A)に対して用紙を90度回転した位置に配置されている一般的にA4−Rと呼ばれている給紙カセットに供給されているA4用紙に出力した場合の(A)と同画像の出力の図である。図3(A)、(B)中の矢印は用紙の出力方向を示す。この場合、図3(A)も(B)も用紙の出力方向に対して斜め45度の同じスクリーン角度を有する万線スクリーンを用いて中間色画像を表現しているが、(B)では、出力用紙に合わせて元の『レ』画像を90度回転しているために、結果として跳ね部分のジャギ現象が抑制されているのがわかる。
【0027】
[ジャギ判定部の判定方法]
次に、ジャギが発生するかどうかの判定を行うための方法について説明する。
【0028】
上記用紙の回転によりジャギを抑制する方法を実現するためには、画像データの画像要素の角度のデータが必要であるが、本発明では文字データに対して文字を構成する線分の角度の内、最も頻度が高い角度(最頻出角度)をその文字データの属性情報として有する。この角度情報は、印刷装置のROM上にフォントデータを持っている場合は、あらかじめ、フォント情報管理部が(要素角度抽出部)フォントデータのビットマップ、もしくはアウトラインよりベクトル方向を解析して求めた後、同ROM上に保持しておくことができる。
【0029】
各フォントが保持している前記最頻出角度データを画像データ中に出現する一文字毎にスクリーン角度との差が閾値以下であるかどうかの判定を行ってジャギの発生の度合いを調べる。
【0030】
また、ホストより直接ビットマップが送られてくる場合は、上記一文字毎に斜体設定がされているかどうかを判定し、斜体の角度を文字の角度情報としてビットマップやアウトラインを解析することにより高速に処理が可能である。
【0031】
印刷データが文字データであった場合、文字の色と前記文字属性情報の角度とスクリーン角度の差より、ジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定部を設け、ジャギが発生しやすいと判定された場合に、用紙選択部により、用紙の方向を90度回転させた用紙を選択する。また、ページ回転処理部により、前記90度回転させた用紙に合わせて画像データを90度回転して生成する。
【0032】
万線スクリーンのスクリーン角度は、用紙の出力方向に対して、一定の角度を取るように設定されているため、用紙を90度回転して、画像データを90度回転すると用紙上の画像データに対する万線スクリーンの角度は、逆回転方向へ90度回転されたこととなるために、結果としてジャギ現象の抑制が可能となる。
【0033】
次に、ジャギ判定部の判定方法の実施例を示す。
【0034】
図4は、万線スクリーンのスクリーン角度が図のX軸と平行とした場合に、それに対して文字の要素角度との差によってジャギが発生しやすい角度範囲か(A)、しにくい角度範囲か(B)を示してある。文字毎に要素角度抽出部が抽出した文字の線分角度とスクリーン角度との差が図4(A)に見られるように鋭角である角度範囲θaである場合には、ジャギが発生しやすいと判断される。また、図4(B)に見られるように直角に近い角度範囲θbの場合には、ジャギが発生しにくいと判断される。
【0035】
ジャギ判定部では、画像データの中に出現する文字の一文字毎に文字の線分角度とスクリーン角度の差がθaの範囲内である場合にはジャギ発生文字カウンタを加算し、線分角度とスクリーン角度の差がθbの範囲内である場合には、ジャギ発生文字カウンタを減算し、最終的に全文字の判定を終了した後、ジャギ発生文字カウンタの値が正であれば、用紙を90度回転すると判断する。より詳細な動作のフローについては、後述のフローチャートで説明を行う。
【0036】
[構成]
図5は、本発明の実施例に係わる画像形成装置の機能ブロック図である。
【0037】
画像形成装置100は、印刷データ受信部101、印刷データ解析部102、描画データ処理部103、メモリ管理部104、システム制御部105、ページラスタライズ処理部106(画像変換部)、出力部107を備えている。
【0038】
また、描画データ処理部103は、描画環境管理部103.1、描画処理部103.2、フォント情報管理部103.3(要素角度抽出部)、ジャギ判定部103.4、中間言語作成部103.5の内部の機能ブロックを備えている。
【0039】
出力部107は、ページ回転処理部107.1、スクリーニング処理部107.2(画像変換部)、用紙選択部107.3の内部の機能ブロックを備えている。
【0040】
以下に各機能部について説明する。
【0041】
印刷データ受信部101は、PC(Personal Computer)から送られてくる印刷データを受信する。
【0042】
印刷データ解析部102は、ページ記述言語で書かれた印刷データの内容を解析して、中間言語(ディスプレイリスト)に変換するためのデータの解析を行う。また、各要素が文字データであるかどうか、各プレーン(トナー色毎の出力面)が中間色を含んだ出力であるかどうか等を判断する。
【0043】
描画データ処理部103は、ジャギの発生を抑制するための描画データの処理を行う。
【0044】
描画環境管理部103.1は、拡大縮小の設定行列や現在有効な色やディザ等の描画に関係する設定情報を管理する。
【0045】
描画処理部103.2は、印刷データ解析部102が印刷データを解析した後、複雑な図形を簡単な描画プリミティブに加工する。
【0046】
フォント情報管理部103.3(要素角度抽出部)は、設定される文字の属性情報(通常のフォント情報と前記したあるフォントに最も利用頻度の高い線分の角度ないしは前記した斜体文字に使われた斜体の角度)を保持する。
【0047】
ジャギ判定部103.4は、色、文字の属性情報、スクリーン角度よりジャギが発生しやすいケースかどうかを判定する。また、ジャギ判定部103.4は、内部にジャギ発生文字カウンタ(不図示)を有して、ジャギ発生の判定を行う際には、一文字毎に前記属性情報中の角度とスクリーン角度の差からジャギが発生しやすいか、発生しにくいかを判断して、その判断に合わせて前記ジャギ発生文字カウンタの値を増減する。
【0048】
中間言語作成部103.5は、前記描画処理部103.2で処理された情報に基づいてディスプレイリスト(中間言語)を作成する。
【0049】
メモリ管理部104は、システムのメモリを管理する。
【0050】
システム制御部105は、システムの共通情報を管理し、システムの制御を行なう。
【0051】
ページラスタライズ処理部106(画像変換部)は、中間言語作成部103.5が作成したディスプレイリストを解読し、1ページのラスタライズを行う。このとき、ページラスタライズ処理部106は、縞状パターンを用いたディザ法により生成される万線スクリーンを用いて、中間調の出力画像に変換する。
【0052】
出力部107は、印刷を行う機構部である印刷エンジンを有し、実際に記録媒体(一般的には紙、その他OHP紙等)に印刷を行なう。
【0053】
ページ回転処理部107.1は、ページを出力用紙に合わせて回転する処理を行う。前記ジャギ判定部103.4がジャギの発生を判定したときに、後述の用紙選択部107.3が90度回転した用紙方向の給紙カセットを選択するが、その用紙方向に合わせてページの画像を90度回転する処理を行う。
【0054】
スクリーニング処理部107.2(画像変換部)は、連続階調のイメージをデバイスが出力可能な2値、多値画像にスクリーニング処理を行う。
【0055】
用紙選択部107.3は、前記ジャギ判定部103.4がジャギが発生すると判定したときに、画像形成装置の給紙カセットの中から90度回転した用紙を選択する。
【0056】
図5の機能ブロック図では、画像形成装置に通常備わっている画像読取部や、紙送り機構部などの本発明の本質には関係ない部分は省略した。
【0057】
[フローチャート]
図6のフローチャートを用いて動作の流れについて説明する。
【0058】
S1:印刷データ受信部101は、印刷データの受信を行う。
【0059】
S2:印刷データ解析部102は、印刷データの解析を行う。
【0060】
S3:前記S2での解析の結果、ジャギ判定部103.4は、印刷データ要素が文字データであるかどうかを判断する。文字データであればS4に動作を移行する。文字データでなければ動作をS11に移行する。
【0061】
S4:ジャギ判定部103.4は、全プレーン(CMYKのトナー色毎の出力面)が中間調かどうかを判断する。中間調であればS5に動作を移行する。中間調でなければ動作をS11に移行する。
【0062】
S5:描画処理部103.2は、各プレーンの色に応じたスクリーン角度(ディザ角度)を選択する。
【0063】
S6:フォント情報管理部103.3はあらかじめ取得しておいた各フォントの角度情報を取得する。
【0064】
S7:ジャギ判定部103.4は、フォントの角度情報とスクリーン角度の差がジャギが発生しやすい角度範囲のθa(図4参照)内であるかどうかを判断する。θa内であれば動作をS8に移行する。θa内でなければ動作をS9に移行する。
【0065】
S8:ジャギ判定部103.4は、ジャギ発生文字カウンタを一単位加算する。
【0066】
S9:ジャギ判定部103.4は、フォント角度とスクリーン角度の差がジャギが発生しにくい角度範囲のθb(図4参照)内であるかどうかを判断する。θb内であれば動作をS10に移行する。θb内でなければ動作をS11に移行する。
【0067】
S10:ジャギ判定部103.4は、ジャギ発生文字カウンタを一単位減算する。
【0068】
S11:中間言語作成部103.5は、パターン及びフォントのディスプレイリストの作成を行う。
【0069】
S12:中間言語作成部103.5は、1ページ中の各要素の処理が終わって1ページ分のディスプレイリスト(DL)の作成が終了したかどうかを判断する。終了していれば動作をS13に移行する。終了していなければS2に戻りデータ解析からの動作を繰り返す。
【0070】
S13:ジャギ判定部103.4は、ジャギ発生文字カウンタの値が正か正でないかを判断する。正でない場合は動作をS14に移行する。正の場合は動作をS15に移行する。
【0071】
S14:現在のスクリーン角度の設定のままでジャギは発生しにくいと判断されたので、用紙選択部107.3は、通常のA4方向の用紙を選択する。そして、スクリーニング処理部107.2により画像データのスクリーニング処理が行われて、出力部107によりA4用紙に画像出力が行われる。
【0072】
S15:現在のスクリーン角度の設定のままではジャギが発生しやすいと判断されたので、用紙選択部107.3は、通常のA4用紙の方向を90度回転させたA4−R用紙を選択し、ページ回転処理部107.1がA4−R方向に合わせてページ(画像データ)を回転させる。次に、スクリーニング処理部107.2により同画像データのスクリーニング処理が行われて、出力部107によりA4―R用紙に画像出力が行われる。
【0073】
以上の一連の動作で画像データに合わせたジャギの発生を抑制する用紙方向を選択して印刷を行い処理を終了する。
【0074】
[実施例の効果]
本発明実施例の画像形成装置により、以下のことが可能となった。
【0075】
用紙を90度回転するという単純な方法により、ジャギを抑制することが可能となった。
【0076】
フォントの角度を属性情報として有することで、ジャギが発生するか(文字の再現性が悪化するか)どうかの判定を高速に行うことができる。
【0077】
ページ、もしくはドキュメント単位でそのドキュメントに含まれる文字に最適な印刷方向で出力ができる。
【0078】
文字について斜体文字の設定があるときは、斜体の角度を文字の角度の属性情報として利用することにより、より高速にジャギ発生の判定を行うことが可能である。
【0079】
用紙を90度回転するということは、カラー画像形成装置の場合にはフォントの色を決定する全プレーンのディザパターンを回転することで、文字列の色は均等なまま、各文字に応じてエッジ部分のジャギを低減することができ、画像品質の向上が図れる。また、用紙方向を90度変えるだけなので、各トナー色毎の万線スクリーンのディザテーブルの生成を新たにする必要などは無く、そのための画像処理に余分な演算時間を必要としないため、画像データを90度回転するだけで短時間の処理が可能となった。
【0080】
[その他]
前記実施例のフローチャートでは、文字の場合にだけジャギの発生の判断を行う方法としたが、文字以外のグラフィックデータの場合であっても、描画処理部により線分の頻出角度を求めてジャギの発生の判定を行い、ジャギが発生する場合には、用紙を90度回転するという方法を取っても良い。
【0081】
前記実施例の説明では、単色についての説明を行ったが、本発明は同様にカラー画像についての応用も可能である。カラー画像形成装置では、4色のトナー(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K))を用いての画像形成を行うのが一般的であるが、そのうちで中間色の出現のあるトナー色で、かつその色特性からジャギ現象が有った場合に顕著に目立つトナー色について(黒、マゼンタ、シアン、イエローの順で顕著となる。)のジャギ発生の判定を元に用紙の回転を行うかどうかを判断する方法などを取っても良いし、使用頻度の最も多いトナー色のスクリーン角度についてのジャギの発生の判定を行う方法であってもよい。また、それらトナー色毎の顕著度とトナー色毎の出現率の両方を基に、最もジャギ効果が顕著となるトナー色を定めて、そのトナー色をジャギ判定の基準とする方法であってもよい。
【0082】
また、斜体文字が有る場合には、その斜体の角度を最頻出角度として処理を行っても良い。
【0083】
本実施例では、用紙の設定がA4であった場合に90度回転してA4−Rを選択する方法について示したが、用紙の設定がA4−Rであった場合に90度回転してA4を選択する方法であってもよい。また、当然ではあるが用紙のサイズはA4に限らず、A5や、又はB4、B5などのB系例の用紙やLetterなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】ディザパターンの回転の違いによりジャギ現象が目立つ場合(A)と目立たない場合(B)の拡大図である。
【図2】スクリーン角度0度のディザテーブルの例(A)と90度の例(B)。
【図3】用紙に出力された画像にジャギが発生している場合(A)と用紙方向を90度回転することによってジャギの発生を抑制した場合の図である(実施例1)。
【図4】ジャギが発生しやすいと判定する角度範囲(A)とジャギが発生しにくいと判定する角度範囲(B)の図である(実施例1)。
【図5】本発明実施例にかかわる画像形成装置の機能ブロック図である(実施例1)。
【図6】本発明実施例にかかわる画像形成装置のフローチャートである(実施例1)。
【符号の説明】
【0085】
100 画像形成装置
101 印刷データ受信部
102 印刷データ解析部
103 描画データ処理部
103.1 描画環境管理部
103.2 描画処理部
103.3 フォント情報管理部(要素角度抽出部)
103.4 ジャギ判定部
103.5 中間言語作成部
104 メモリ管理部
105 システム制御部
106 ページラスタライズ処理部(画像変換部)
107 出力部
107.1 ページ回転処理部
107.2 スクリーニング処理部(画像変換部)
107.3 用紙選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換部と、
前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出部と、
前記要素角度抽出部が抽出した線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定部と、
前記ジャギ判定部が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択部と、
前記用紙選択部が選択した用紙に合わせて、90度回転させた画像データを生成するページ回転処理部と、を有する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
請求項1の画像出力装置であって、
前記ジャギ判定部は、前記要素角度抽出部が抽出した線分の角度と前記万線スクリーンのスクリーン角度が閾値以下である場合にジャギが発生すると判定する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像出力装置であって、
前記要素角度抽出部は、前記画像データの文字のフォント中の線分の角度を抽出して記録するかまたは斜体文字の斜体角度を抽出して記録する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの画像出力装置であって、
前記ジャギ判定部は、前記画像データの一文字毎にジャギの発生を判定して記録し、該記録された文字のジャギ発生の結果に基づいて、ジャギが発生するかどうかを判定する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの画像出力装置であって、
前記画像変換部は、前記縞状パターンを用いたディザ法により万線スクリーンを生成する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項6】
画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換して、
前記画像データの線分の角度を抽出して記録して、
前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定し、
前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択し、
前記90度回転させた画像データを生成して出力する
ことを特徴とする画像出力方法。
【請求項7】
画像出力装置のコンピュータにおいて実行される画像出力プログラムであって、
前記コンピュータを
画像データを縞状に画素点を形成する万線スクリーンを用いた中間調の出力画像に変換する画像変換手段と、
前記画像データの線分の角度を抽出して記録する要素角度抽出手段と、
前記記録された線分の角度に基づいて、前記出力画像の輪郭部にジャギが発生するか否かを判定するジャギ判定手段と、
前記ジャギ判定手段が前記輪郭部にジャギが発生すると判定したときは、出力する用紙の方向を90度回転させたものを選択する用紙選択手段と、
前記90度回転させた方向の画像データを生成するページ回転処理手段と、
して機能させるための画像出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−111814(P2009−111814A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282922(P2007−282922)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】