説明

画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】各1種類の可逆圧縮技術及び非可逆圧縮技術を用い、圧縮後の画像の画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることができる画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】例えばファイルサイズの小ささを優先する場合は、カラー画像の前景の各画素が有する色情報を識別するN種類の前景識別子の種類数を、N種類より少ないM種類に減少させる。このために、画素数が所定画素数K以下の前景識別子を、背景識別子に置換する。種類数Mが所定種類数P以下の場合、M種類の前景識別子を含む前景レイヤ(即ち前景の情報の画質に影響しない一部が削除された前景レイヤ)に基づき、M種類の識別子に対応するM枚の2値画像を生成し、各2値画像を可逆圧縮し、この前景レイヤに基づいて生成した背景レイヤ(即ち前記一部を含む背景レイヤ)を非可逆圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を圧縮する画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像処理システムが目覚ましい発達を遂げ、デジタル画像処理技術の構築が進んでいる。例えば、電子写真方式又はインクジェット方式を用いた複写機、複合機等の分野では、文書の原稿がスキャナで読み取られて電子データである文書ファイルとして保存され、また、保存された文書ファイルが管理されている。更には、文書ファイルを圧縮してe-mailで送信することがなされている。
【0003】
一般的に、スキャナで読み取られた画像(以下、スキャン画像という)はファイルサイズが大きいため、スキャン画像を蓄積又は伝送するためにスキャン画像を圧縮することが必須不可欠とされている。
このような画像を高圧縮率で圧縮するための圧縮技術の1つとして、Mixed Raster Content(MRC)のような、レイヤ分離に基づく画像圧縮技術が実用化されている。
【0004】
レイヤ分離に基づく画像圧縮技術は、圧縮すべき画像から文字及び/又は線画を表す前景マスクを抽出し、抽出した前景マスクに基づいて、カラー画像を前景レイヤと背景レイヤとに分離し、夫々に適した圧縮技術を用いて前景レイヤと背景レイヤとを圧縮することによって、最終的に高圧縮画像を生成するものである(特許文献1参照)。
ここで、前景レイヤとは、文字及び/又は線画を表す前景のレイヤであり、一般的に、JBIG(Joint Bilevel Image Group )、MMR(Modified Modified Read code )、LZW(Lempel Ziv Welch)等の可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
【0005】
一方、背景レイヤは、文字及び/又は線画以外の画像コンテントを表す背景のレイヤであり、一般的に、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の非可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
非可逆圧縮技術による圧縮は、可逆圧縮技術による圧縮に比べて、圧縮後の画像の画質が劣化し易い。しかしながら、非可逆圧縮技術は圧縮率の制御が簡易であるため、圧縮画像の用途に応じて、ファイルサイズの小ささを優先したり画質の高さを優先したりすることができる。一方、可逆圧縮技術は圧縮率を制御することが難しいため、圧縮率を向上させることが困難である。
【0006】
従来、カラー画像を分離してなる前景レイヤを更に分離してから可逆圧縮することによって、前景レイヤを直接的に可逆圧縮する場合よりも圧縮率を向上させることができる画像圧縮装置が提案されている。この画像圧縮装置は、1枚のカラー画像の前景の色をN(Nは自然数)種類の識別子に置換してなる1枚の前景レイヤを生成し、生成した前景レイヤを、N種類の識別子に対応するN枚の2値画像に分離し、分離された2値画像を個々に可逆圧縮する。
【0007】
また、少ない色数で構成されたカラー画像の圧縮に適している第1の圧縮モード、及び文字と非文字とが混在しているカラー画像の圧縮に適している第2の圧縮モードを有し、ユーザが手動で、又は装置自身が自動的に圧縮モードを選択する画像圧縮装置が開示されている(特許文献2参照)。
この画像圧縮装置は、第2の圧縮モードにおいて、カラー画像の文字領域と非文字領域とを識別し、文字領域(前景)の各画素を、カラー値(色情報)に対応して付与されるインデックス(識別子)に変換する減色処理を施す。
【0008】
このような減色処理の結果、文字領域が1色になった(即ち、減色すると、カラー画像を2値画像にすることができる)場合には、2値画像を、可逆圧縮であるMMR圧縮の対象とし、2色以上所定色数以下になった(即ち、減色すると、カラー画像を色数の少ない多値画像にすることができる)場合には、多値画像を、可逆圧縮であるZIP圧縮の対象とする。一方、所定色数以下にならない(即ち、減色しても、カラー画像が色数の多い多値画像になる)場合には、減色処理前のカラー画像を非可逆圧縮であるJPEG圧縮処理の対象とする。
【特許文献1】特開2002−94805号公報
【特許文献2】特開2004−229261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の画像圧縮装置には、減色結果が2値か多値かに応じた2種類の可逆圧縮技術が搭載してあり、更に非可逆圧縮技術も搭載してあるため、これらを制御する処理が複雑である。また、2種類の可逆圧縮を実行するハードウェアを個々に備える場合、画像圧縮装置の回路規模が大型化し、更に、処理速度が低下する虞もある。
【0010】
更にまた、特許文献2に記載の画像圧縮装置は、減色処理によってカラー画像の色数を減色させるが、減色処理で所定色数以下の色数に減色することができない場合に、減色処理前のカラー画像を非可逆圧縮する。減色処理前のカラー画像を非可逆圧縮すると、可逆圧縮に比べて画質が劣化し易い。かといって、非可逆圧縮を回避すべく所定色数を無駄に多くすると、圧縮後のファイルサイズが無駄に増大しかねない。従って、色数を可及的減少させた状態で、可逆圧縮することが望ましい。
【0011】
ところが、インデックス化による減色処理では、例えば1個のインデックスに対して赤色を対応付けたあとで、赤色に近い赤紫色及び赤茶色等も統合してこのインデックスに対応付けることがある。この場合、このインデックスには、最終的に赤色、赤紫色及び赤茶色等の平均的な色が、代表色として対応付けられる。この結果、特に、カラー画像の文字領域の色数に比べて所定色数が大幅に少ない場合は、1個のインデックスに過剰に広範囲の色が統合されてしまい、圧縮後の画像の画質が劣化する可能性がある。
【0012】
このような不都合を解消するために、1個のインデックスに、狭い範囲の色を対応付けて減色処理を施し、減色された色数が所定色数より多い場合は、所定色数に達するまで、対応付けるべき色の範囲を少しずつ広げて減色処理を繰り返すことが考えられる。しかしながら、この場合、同一の減色処理を反復して実行しなければならないため、処理のパフォーマンスが低下するという問題がある。
【0013】
一般に、圧縮後の画像の画質の高さとファイルサイズの小ささとは相反する関係にあるため、圧縮の際には画質又はファイルサイズが優先される。しかしながら、画質の高さを優先する場合でもファイルサイズが無用に大きくならず、ファイルサイズの小ささを優先する場合でも画質が極端に劣化しないよう、画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることが望ましい。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、前景の各画素が有する色情報を識別するN種類の前景識別子の種類数を、前景識別子を有する画素の画素数に基づいて、前景識別子の種類数をN種類より少ないM種類に減少させ、M種類の前景識別子を含む前景レイヤに基づき、M種類の識別子に対応するM枚の2値画像を生成し、各2値画像を可逆圧縮し、背景レイヤを非可逆圧縮することにより、各1種類の可逆圧縮技術及び非可逆技術を用いて、同一の減色処理を反復して実行することなく、圧縮後の画像の画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させる画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る画像圧縮方法は、カラー画像を圧縮する画像圧縮方法において、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成し、生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成し、前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成し、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させる場合に、前記テーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させ、前景識別子を背景識別子に置き換えたテーブルに基づいて、前記前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正し、修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成し、生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮し、前記前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成し、生成した背景レイヤを非可逆圧縮することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像圧縮装置は、カラー画像を圧縮する画像圧縮装置において、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成する前景マスク生成手段と、該前景マスク生成手段が生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成するテーブル生成手段と、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定する減少判定手段と、該減少判定手段が減少させると判定した場合に、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させるテーブル置換手段と、該テーブル置換手段が前景識別子を背景識別子に置き換えたテーブルに基づいて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正する前景レイヤ修正手段と、該前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成する2値画像生成手段と、該2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する2値画像圧縮手段と、前記前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する背景生成手段と、前記背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する背景画像圧縮手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像圧縮装置は、圧縮後の画像の画質の高さよりも前記画像のファイルサイズの小ささを優先する第1の圧縮態様、及び圧縮後の画像のファイルサイズの小ささよりも前記画像の画質の高さを優先する第2の圧縮態様の何れか一方を選択するための選択手段を更に備え、該選択手段で選択された圧縮態様に応じて、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記選択手段で、前記第1の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあり、前記テーブル置換手段は、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換えるようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記選択手段で、前記第2の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定種類数P(Pは自然数)より多いときに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあり、前記テーブル置換手段は、減少後の種類数Mが前記所定種類数P以上であるという条件下で、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を、画素数が少ない前景識別子から順に背景識別子に置き換えるようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記選択手段で第2の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが前記所定種類数Pより多く所定種類数Q(QはQ>Pの自然数)以下であるときに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記減少判定手段が減少させないと判定した場合は、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数Nが、前記所定種類数Pより多いときに、又は、前記減少判定手段が減少させると判定した場合は、前記テーブル置換手段が減少させた種類数Mが、前記所定種類数Pより多いときに、前記前景レイヤ修正手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる全ての前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正するようにしてあり、前記2値画像生成手段による生成及び前記2値画像圧縮手段による圧縮を実行しないようにしてあり、前記背景画像圧縮手段は、前記背景生成手段が生成した背景レイヤに、該背景レイヤに含まれる画像を強調する所定の画像処理を施して非可逆圧縮するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記カラー画像のサイズ、又は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景に係る情報に応じて、前記所定画素数を決定する画素数決定手段を更に備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像圧縮装置は、前記減少判定手段が減少させないと判定した場合、前記2値画像生成手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、N種類の前景識別子に対応してN枚生成するようにしてあり、前記2値画像圧縮手段は、前記2値画像生成手段が生成したN枚の2値画像夫々を可逆圧縮するようにしてあり、前記背景生成手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、本発明の画像圧縮装置と、記録シート上に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、カラー画像を圧縮させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成させる前景マスク生成ステップと、コンピュータに、前記前景マスク生成ステップで生成された前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成させる前景レイヤ生成ステップと、コンピュータに、前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成させるテーブル生成ステップと、コンピュータに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定させる減少判定ステップと、コンピュータに、前記減少判定ステップで減少させると判定された場合に、前記テーブル生成ステップで生成されたテーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させるテーブル置換ステップと、コンピュータに、前記テーブル置換ステップで前景識別子を背景識別子に置き換えられたテーブルに基づいて、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正させる前景レイヤ修正ステップと、コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成させる2値画像生成ステップと、コンピュータに、前記2値画像生成ステップで生成されたM枚の2値画像夫々を可逆圧縮させる2値画像圧縮ステップと、コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成させる背景生成ステップと、コンピュータに、前記背景生成ステップで生成された背景レイヤを非可逆圧縮させる背景画像圧縮ステップとを実行させることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る記録媒体は、本発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、例えば、本発明の画像圧縮装置を用いて本発明の画像圧縮方法を実行することによって、カラー画像を前景レイヤと背景レイヤとに分離し、分離してなる前景レイヤと背景レイヤとを夫々圧縮する。本発明の画像圧縮装置は、前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、テーブル生成手段、減少判定手段、テーブル置換手段、前景レイヤ修正手段、背景生成手段、2値画像生成手段、2値画像圧縮手段、背景画像圧縮手段を備える。
【0028】
前景マスク生成手段は、カラー画像に基づいて、前景マスクを生成する。生成される前景マスクには、カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素が示されている。
前景レイヤ生成手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルと、前景マスク生成手段が生成した前景マスクと、カラー画像とに基づいて、前景レイヤを生成する。生成された前景レイヤは、前景が有する色情報をN種類の識別子に置き換えたものである。
【0029】
前景レイヤ生成手段は、前景マスク生成手段が生成した前景マスクとカラー画像とに基づいて、前景レイヤを生成する。生成される前景レイヤは、カラー画像の前景の各画素が有する色情報を、前景に含まれる色情報を識別するN種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えたものである。ここで、Nは自然数である。
この結果、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤにおいては、前景識別子を有する画素が、カラー画像の前景に対応し、背景識別子を有する画素が、カラー画像の背景に対応する。
【0030】
テーブル生成手段は、テーブルを生成する。生成されるテーブルには、カラー画像の前景に含まれる色情報と、この色情報を識別する前景識別子と、この前景識別子を有する画素の画素数とが関連付けて記憶される。一般に、1種類の識別子には、前景に含まれる1種類の色情報が関連付けられることも、前景に含まれる複数種類の色情報夫々が示す色を代表する代表色の色情報が関連付けられることもある。
【0031】
減少判定手段は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定する。この場合、例えば圧縮後の画像の画質の高さよりもファイルサイズの小ささを優先する場合は、前景識別子の種類数は少ない方が好ましいため、減少判定手段は減少させると判定する。又は、例えば前景識別子の種類数が所定種類数より多い場合、前景識別子の種類数を所定種類数に近づけるために、減少判定手段は減少させると判定する。
【0032】
減少判定手段が、前景識別子の種類数を減少させると判定した場合、テーブル置換手段は、前景識別子の種類数をM種類に減少させる。ここで、MはM<Nの自然数である。具体的には、テーブル置換手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、このテーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換える。
背景識別子に置き換える前景識別子を画素数の多寡に基づいて決定する場合、圧縮後の画質の劣化が可及的抑制されるように決定すべきである。従って、画素数が少ない前景識別子を背景識別子に置き換えることが望ましい。
【0033】
前景レイヤ修正手段は、テーブル置換手段が前景識別子を背景識別子に置き換えたテーブルに基づいて、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを修正する。具体的には、前景レイヤ修正手段は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景識別子を背景識別子に置き換える。
前景レイヤ修正手段による修正処理は、いわば、前景の画素の内、画質に大きく影響しない画素を、背景の画素と看做す処理である。この結果、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤにおいては、前景識別子を有する画素が、カラー画像の前景の一部に対応し、背景識別子を有する画素が、カラー画像の背景と、前景の内、背景と看做された残部とに対応する。
【0034】
2値画像生成手段は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、M種類の前景識別子に対応するM枚の2値画像を生成する。各2値画像は、1種類の前景識別子と、この前景識別子以外の画素値とを2値化したものである。
2値画像圧縮手段は、2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する。
可逆圧縮された2値画像(即ちM枚の可逆圧縮画像)M枚分のデータ量は、N枚分よりもデータ量が小さいため、ファイルサイズを小さくすることができる。しかも、M枚の可逆圧縮画像には、画質に大きく影響する画素の情報が含まれているため、圧縮後の画質の劣化を抑制することができる。
【0035】
背景生成手段は、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ及びカラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する。
従来、一般的な背景レイヤは前景マスク及びカラー画像に基づいて生成されるが、前景マスク生成手段が生成した前景マスクには、テーブル置換手段による識別子の置換結果が反映されていない。また、前景マスク生成手段が生成した前景マスクに、テーブル置換手段による識別子の置換結果を反映させた場合、処理が煩雑になる。つまり、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、背景レイヤを生成することによって、テーブル置換手段による識別子の置換結果が反映された背景レイヤを容易に生成することができる。
【0036】
背景画像圧縮手段は、背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する。
以上の結果、例えば前景である文字の一部分が背景扱いされて非可逆圧縮されたとしても、判読不可能になることが抑制される。
【0037】
本発明にあっては、選択手段を更に備える。
選択手段は、圧縮後の画像のファイルサイズの小ささを優先する第1の圧縮態様、及び圧縮後の画像の画質の高さを優先する第2の圧縮態様の何れか一方を選択する。選択手段による選択は、ユーザが手動で選択する構成でもよく、画像圧縮装置自身が、例えばカラー画像の内容に応じて自動的に選択する構成でもよい。
【0038】
減少判定手段は、選択手段で選択された圧縮態様に応じて、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定する。例えば、選択手段で第1の圧縮態様が設定された場合は、無条件で前景識別子の種類数を減少させると判定し、選択手段で第2の圧縮態様が設定された場合は、所定の条件下で前景識別子の種類数を減少させると判定する。
従って、必要な画質の高低及びファイルサイズの大小夫々に応じて、カラー画像を最適に圧縮することができる。
【0039】
本発明にあっては、圧縮後の画像のファイルサイズの小ささを優先する第1の圧縮態様が選択手段で選択された場合、減少判定手段は、前景識別子の種類数Nの多寡に関わらず、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定する。
テーブル置換手段は、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換える。このため、前景識別子の種類数がM種類に減少する。
【0040】
以上の結果、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに含まれる前景の画素の画素数は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景の画素の画素数よりも少なくなる。
この後、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤを更に分離してなる2値画像が、可逆圧縮される。ただし、前景識別子の種類数Mが1種類まで減少した場合、前景レイヤを分離せずに前景レイヤそのものが2値化された2値画像が可逆圧縮される。
【0041】
可逆圧縮は、非可逆圧縮よりも圧縮効率が悪いが、可逆圧縮の圧縮対象となる前景レイヤに含まれる前景の画素の全画素数及び前景識別子の種類数が、夫々最大限に減少させてあるため、圧縮後のファイルサイズを、例えば、圧縮後の画質の高さを優先する第2の圧縮態様で圧縮した場合よりも、小さくすることができる。
【0042】
また、闇雲に前景識別子を背景識別子に置き換えるわけではなく、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換えるため、前景の一部分を背景と看做して圧縮することによって圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制することができる。つまり、画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることができる。
【0043】
本発明にあっては、圧縮後の画像の画質の高さを優先する第2の圧縮態様が選択手段で選択された場合、減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pより多いときに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定する。ここで、Pは自然数である。
テーブル置換手段は、前景識別子の種類数を減少させた後の種類数Mが所定種類数P以上であるという条件下で、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換える。この所定画素数は、第1の圧縮態様で用いられる所定画素数と同じであっても異なっていてもよい。
【0044】
前景識別子の種類数Nが所定種類数P以下である場合、前景レイヤ修正手段による前景レイヤの修正は行なわれない。従って、前景の一部分を背景と看做して圧縮することによる画質の劣化は生じない。つまり、画質の高さが優先される。しかも、前景識別子の種類数Nが所定種類数P以下であるため、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを更に分離してなる2値画像が可逆圧縮された場合、圧縮後のファイルサイズは過剰に大きくはない。つまり、画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることができる。
【0045】
一方、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pより多い場合、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数Mは、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数Nよりも少なくなる。
この後、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤを更に分離してなる2値画像が、可逆圧縮される。
可逆圧縮は、非可逆圧縮よりも圧縮効率が悪いが、可逆圧縮の圧縮対象となる前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数が、夫々最大限に減少させてあるため、圧縮後のファイルサイズを、例えば、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤを更に分離してなる2値画像が可逆圧縮された場合よりも、小さくすることができる。
【0046】
また、闇雲に前景識別子を背景識別子に置き換えるわけではなく、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換えるため、前景の一部分を背景と看做して圧縮することによって圧縮後の画質が大幅に劣化することを抑制することができる。つまり、画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることができる。
【0047】
本発明にあっては、圧縮後の画像の画質の高さを優先する第2の圧縮態様が選択手段で選択された場合、減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pより多く、所定種類数Q以下であるとき(即ち、P<N≦Qである)に、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定する。ここで、QはQ>Pの自然数である。
前景識別子の種類数Nが所定種類数Qより多い場合(即ち、N>Qである)に、前景の一部分を背景と看做して圧縮することによって圧縮後の画質が大幅に劣化する虞がある。従って、N>Qである場合は、前景レイヤ修正手段による前景レイヤの修正は行なわれない。つまり、画質の高さが優先される。
【0048】
本発明にあっては、減少判定手段が、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させないと判定した場合、テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数Nが、所定種類数Pより多いとき、前景識別子の種類数を減少させると、画質の大幅な劣化を招く虞がある。一方、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに基づいて、N種類の前景識別子に対応するN枚の2値画像を生成し、夫々を可逆圧縮すると、ファイルサイズが過剰に大きくなる虞がある。従って、カラー画像を前景レイヤの2値画像及び背景レイヤに分離して可逆圧縮及び非可逆圧縮することをせずに、カラー画像を非可逆圧縮する。
【0049】
また、減少判定手段が、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定した場合、テーブル置換手段が減少させた前景識別子の種類数Mが、所定種類数Pより多いとき、これ以上前景識別子の種類数を減少させると、画質の大幅な劣化を招く虞がある。一方、前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、M種類の前景識別子に対応するM枚の2値画像を生成し、夫々を可逆圧縮すると、ファイルサイズが過剰に大きくなる虞がある。従って、カラー画像を前景レイヤの2値画像及び背景レイヤに分離して可逆圧縮及び非可逆圧縮することをせずに、カラー画像を非可逆圧縮する。
【0050】
このために、前景レイヤ修正手段は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる全ての前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正する。即ち、前景の全部を背景と看做す。この場合、修正された前景レイヤは、カラー画像の内容が全く反映されていない無意味なものであるため、2値画像生成手段による2値画像の生成及び2値画像圧縮手段による2値画像の圧縮は実行されない。つまり、前景レイヤに係る可逆圧縮画像は出力されない。
背景画像圧縮手段は、背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する。背景識別子しか含まれていない前景レイヤに基づいて背景生成手段が生成した背景レイヤは、カラー画像そのものである。つまり、減色処理前のカラー画像が非可逆圧縮される。
【0051】
ただし、背景レイヤを非可逆圧縮する前に、背景レイヤには所定の画像処理が施される。つまり、背景画像圧縮手段は、背景レイヤをそのまま非可逆圧縮せずに、背景レイヤに含まれる画像を強調すべく、例えばエッジ処理、コントラスト強調処理等を施した上で、非可逆圧縮する。この結果、圧縮後の画質の劣化(例えば、前景である文字が、非可逆圧縮によって判読不可能になること)を抑制することができる。なお、背景レイヤには一般的に低解像度化処理が施されるため、この場合、カラー画像そのものを直接的に非可逆圧縮した場合よりも、圧縮後のファイルサイズを小さくすることができる。
【0052】
本発明にあっては、画素数決定手段を更に備える。
画素数決定手段は、前景識別子を背景識別子に置き換えるときの条件である所定画素数を決定する。所定画素数は、カラー画像のサイズ、又は前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景に係る情報に応じて決定される。前景に係る情報とは、例えば前景の画素数、又は前景のサイズ等である。
この結果、同じ配色であってサイズが異なるカラー画像、又は、前景の画素数若しくはサイズが異なるカラー画像に対しても、同様の前景色(特に文字色)再現を達成することができる。
仮に、所定画素数の設定が不適切である場合、圧縮してから伸張した2枚のカラー画像について、一方は前景が正確に再現されているのに、他方は不正確であるという不都合が生じかねない。
【0053】
本発明にあっては、減少判定手段が、前景識別子の種類数を減少させないと判定した場合、前景レイヤの2値画像及び背景レイヤを可逆圧縮及び非可逆圧縮する。
減少判定手段が、前景識別子の種類数を減少させないと判定する場合とは、前景識別子の種類数を減少させずとも画質の高さとファイルサイズの小ささとが両立する場合であり、逆に、更に前景識別子の種類数を減少させることによって、画質の大幅な劣化が生じる虞がある。従って、テーブル置換手段による識別子の置換、及び前景レイヤ修正手段による前景レイヤの修正は実行されない。
【0054】
このため、2値画像生成手段は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに基づいて、N種類の前景識別子に対応するN枚の2値画像を生成する。各2値画像は、1種類の前景識別子と、この前景識別子以外の画素値とを2値化したものである。
2値画像圧縮手段は、2値画像生成手段が生成したN枚の2値画像夫々を可逆圧縮する。
【0055】
背景生成手段は、前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤ及びカラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する。次いで、背景画像圧縮手段は、背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する。
従来、一般的な背景レイヤは前景マスク及びカラー画像に基づいて生成される。仮に、前景識別子の種類数を減少させない場合は従来通り前景マスクに基づいて背景レイヤを生成し、前景識別子の種類数を減少させる場合は前景レイヤに基づいて背景レイヤを生成する場合、背景レイヤの生成処理が煩雑になる。
【0056】
本発明にあっては、画像形成装置が、本発明の画像圧縮装置及び画像形成手段を備え、画像形成手段は記録シート上に画像を形成する。
本発明の画像圧縮装置は、画質の高さを優先する場合でもファイルサイズが無用に大きくならず、ファイルサイズの小ささを優先する場合でも画質が極端に劣化しないよう、画質の高さとファイルサイズの小ささとが両立されているため、本発明の画像形成装置は、例えばファイルサイズが小さい圧縮画像を蓄積したり、圧縮画像が伸張された高画質のカラー画像を、記録シート上に形成したりすることができる。
【0057】
本発明にあっては、コンピュータプログラムが、本発明の画像圧縮装置が備える前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、及びテーブル生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させる。また、本発明の画像圧縮装置が行なう画像圧縮処理を、一連の画像処理プログラムに組み入れて実現するようにしてもよい。
【0058】
本発明にあっては、記録媒体が、本発明の画像圧縮装置が備える前景マスク生成手段、前景レイヤ生成手段、及びテーブル生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させるコンピュータプログラムを記録する。本発明の記録媒体には、本発明の画像圧縮装置が行なう画像圧縮処理が組み込まれた画像処理プログラムを記録するようにしてもよい。更にまた、本発明の記録媒体による場合、コンピュータを、本発明の画像圧縮装置として機能させることができるコンピュータプログラムの配布、保管等の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の画像圧縮方法、画像圧縮装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体による場合、前景レイヤに含まれる前景識別子の種類数、即ち前景の色数の多寡には関係なく、前景レイヤを更に分離してなる2値画像を可逆圧縮するため、複数種類の可逆圧縮技術を搭載する必要がない。また、複数種類の非可逆圧縮技術を搭載する必要もない。このため、簡易な処理で各1種類の可逆圧縮技術及び非可逆圧縮技術を制御することができる。
更に、ハードウェア的に圧縮を実行する場合、画像圧縮装置は、可逆圧縮を実行するハードウェア及び非可逆圧縮を実行するハードウェア夫々を1種類ずつ備えればよい。このため、複数種類のハードウェアを備える場合よりも画像圧縮装置の回路規模を小型化することができ、処理速度を向上させることができる。
【0060】
前景レイヤを生成する前景レイヤ生成処理は、従来のインデックス化による減色処理に対応する。前景レイヤ生成処理で前景識別子の種類数を所定種類数以下にする(即ち前景の色数を所定色数以下の色数に減色する)ことができなかった場合、従来は即座に減色処理前のカラー画像を非可逆圧縮していたが、本発明では、前景識別子の種類数を減少させることがなされる。このため、色数を可及的減少させた状態で、2値画像が可逆圧縮される可能性が高まる。
前景識別子の種類数を減少させる処理は、前景識別子の画素数に基づいてなされるため、1種類の前景識別子に対応付けるべき色の範囲を少しずつ広げて減色処理を繰り返す必要がない。つまり、同一の減色処理を反復して実行する必要がない。従って、処理のパフォーマンスを向上させることができる。
【0061】
また、前景レイヤを生成した後で、前景識別子の種類数を減少させる処理を実行するため、前景レイヤを生成する段階で、前景識別子の種類数を少なくするために、1種類の前景識別子に対応付けるべき色の範囲を過剰に広く設定する必要がない。即ち、1種類の前景識別子に過剰に広範囲の色が統合されることが抑制される。従って、圧縮後の画質の劣化を抑制することができる。更にまた、圧縮後の画質の劣化を抑制するために、前景レイヤを生成する段階で、前景識別子の種類数を無駄に多くする必要がない。従って、圧縮後のファイルサイズの増大を抑制することができる。
【0062】
以上の結果、本発明にあっては、画質の高さを優先する場合でもファイルサイズが無用に大きくならず、ファイルサイズの小ささを優先する場合でも画質が極端に劣化しないよう、画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0064】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置の要部構成を示すブロック図である。
図中1は画像圧縮装置であり、画像圧縮装置1は、画像圧縮装置1に入力されたカラー画像を圧縮するカラー画像圧縮処理を行なう。カラー画像は、通常、前景レイヤと背景レイヤとに分離され、前景レイヤが更に2値画像に分離されて、各2値画像が可逆圧縮され、背景レイヤが非可逆圧縮され、可逆圧縮画像及び非可逆圧縮画像と、これらを伸張するための情報とが一つのファイル(以下、圧縮ファイルという)にまとめられる。可逆圧縮画像を伸張するための情報としては、インデックス・カラー・テーブル(以下、ICテーブルという)が用いられる。
【0065】
画像圧縮装置1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit )10、画像メモリ11、転送制御部12、及び画像圧縮部2を備え、更に、カラー画像入力装置のカラー・スキャナ部130及び操作パネル17に接続されている。
また、画像圧縮部2は、前景マスク生成部21、前景レイヤ生成部22、2値画像生成部23、2値画像圧縮部24、背景レイヤ生成部25、及び背景画像圧縮部26を備える。更に、前景レイヤ生成部22は、各種の演算処理を行なう処理部220と、レジスタ又はRAM等を用いてなるテーブル格納部221を有する。更にまた、背景レイヤ生成部25は、各種の演算処理を行なう処理部250を有する。
【0066】
CPU10は画像圧縮装置1の制御中枢であり、カラー画像、前景マスク等の転送を要求すべき転送タイミング、画像メモリ11に対してカラー画像、前景マスク等の読み書きを開始すべきアドレス、前景マスク、前景レイヤ等の生成を開始する生成タイミング、2値画像の圧縮を開始する圧縮タイミング、圧縮態様に応じた各種設定、カラー画像のサイズに応じた所定画素数K(Kは自然数)等を示す制御信号を画像圧縮部2の各部に与える。
【0067】
画像メモリ11は、例えばDDR2規格のSDRAM(Double-Data-Rate2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)、又はハードディスクを用いてなる。画像メモリ11には、画像圧縮装置1に与えられたカラー画像、画像圧縮部2から出力された前景マスク、前景レイヤ、背景レイヤ、2値画像、可逆圧縮画像、及び非可逆圧縮画像、並びに図示しない装置各部が出力した各種データ等が書き込まれ、また、これらが画像メモリ11から読み出される。
【0068】
転送制御部12は、転送制御部12に入力された転送要求に応じて、カラー画像、前景マスク、前景レイヤ、2値画像、可逆圧縮画像、非可逆圧縮画像、及び各種データの転送処理を実行し、転送要求が同時的に複数入力された場合は、入力された転送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い転送処理から順に実行する。
転送要求の優先順位の高低は、CPU10が適宜のタイミングで転送制御部12に設定するか、又は転送制御部12にデフォルトで設定されている。
カラー・スキャナ部130は、原稿からの反射光像をCCD(Charge Coupled Device )を用いてRGB(Red Green Blue)値のカラー画像として読み取る。
【0069】
操作パネル17は、画像圧縮装置1の動作モードを設定する設定ボタン及びテンキー等の操作部と、液晶ディスプレイ等で構成される表示部とを備える。具体的には、スタートボタン170と、サイズ優先ボタン171と、画質優先ボタン172とが、ハードキー、又はタッチパネル上のソフトキーとして操作パネル17に備えられる。
【0070】
スタートボタン170は、画像圧縮装置1の各種動作(例えばカラー・スキャナ部130による原稿の読み取り)を開始させる場合に押圧される。サイズ優先ボタン171は、圧縮後の画像の画質の高さよりもファイルサイズの小ささを優先する第1の圧縮態様(以下、サイズ優先の圧縮モードという)を選択するために押圧される。画質優先ボタン172とは、圧縮後の画像のファイルサイズの小ささよりも画質の高さを優先する第2の圧縮態様(以下、画質優先の圧縮モードという)を選択するために押圧される。
【0071】
図2は、画像圧縮装置1によってカラー画像圧縮処理を施されるカラー画像の一例を示す模式図である。図3は、画像圧縮装置1によって生成される前景マスクの一例を示す模式図であり、図4は、画像圧縮装置1によって生成される前景レイヤ及び背景レイヤの一例を示す模式図である。
図2には、1枚のカラー画像が例示されている。
【0072】
図2に示すカラー画像は、白地の記録シートに黒色、赤色、緑色、青色、紫色、及び水色等のカラーインク又はカラートナーで形成されている。このカラー画像には、緑色にべた塗りされた四角い領域の内部に水色、赤色、紫色、及び青色で描かれた「TEST」という太字の単語と、白地に黒色で記載された「これはテスト画像です。」という細字の一文と、多彩な色合いを有する風景画とが含まれている。この内、「TEST」という単語と「これはテスト画像です。」という一文とが前景であり、前景以外が背景である。つまり、緑色のべた塗り領域と風景画と白地が露出している部分とは全て背景である。
このようなカラー画像を表す各画素は、複数色(例えば256色)を直接的に表現するための多値の色情報を、画素値として有する。
【0073】
図3には、図2に示す1枚のカラー画像に基づいて生成される1枚の前景マスクが例示されている。
前景マスクは、前景の画素と背景の画素とに、互いに異なる画素値を有する。
図3に示す前景マスクは、前景を白一色で示し、背景を黒(図中ハッチング)一色で示している。このような前景マスクを表す各画素は2値の画素値を有し、具体的には、前景の各画素が画素値“0”を有し、背景の各画素が画素値“1”を有する。従って、前景マスクにおいて、画素値“0”の画素は前景の画素であり、画素値“1”の画素は背景の画素であることが容易にわかる。
【0074】
図4(a)には、図2に示す1枚のカラー画像と、図3に示す1枚の前景マスクとに基づいて生成される1枚の前景レイヤが例示されている。
前景レイヤは、前景を、カラー画像において前景が有する色で示し、背景を、前景が有する色以外の色で示している。図4(a)に示す前景レイヤの場合、前景については、「TEST」という単語が水色、赤色、紫色、及び青色で示され、「これはテスト画像です。」という一文が黒色で示されている。一方、背景は白一色で示されている。
ただし、カラー画像の画素は、画素値として、多数の色を直接的に表現するための色情報を有するが、前景レイヤの画素は、画素値として、少数の色を間接的に表現するための識別子を有する。
【0075】
例えば、前景レイヤを表す各画素は、カラー画像の256色よりも少ない8色を表現するための多値の識別子を有する。8色を表現するための8種類の識別子は、夫々3ビットのデータ長を有する画素値として示すことが可能である。一方、256色を表現するための256種類の色情報は、夫々8ビットのデータ長を有する画素値として示すことが可能である。このため、カラー画像よりも前景レイヤの方がデータ量が少ない。
【0076】
更に詳細には、前景レイヤにおいては、前景の各画素が、画素値として、N種類の識別子の内のいずれか1種類の識別子を有し、背景の各画素が、画素値として、N種類の識別子のいずれとも異なる1種類の識別子を有する。ここで、Nは自然数であり、一般にはN≧2であるが、N=1であってもよい。識別子と色情報とは一対一対応で関連付けられて、ICテーブルに記憶されている(後述する図7参照)。
ICテーブルは、カラー画像と前景マスクとに基づいて、前景レイヤの生成と同時的に生成される。
以下では、前景に含まれる色情報同士を識別する識別子を前景識別子といい、背景を前景と識別する識別子を背景識別子といい、前景識別子と背景識別子とを区別しない場合は単に識別子という。
【0077】
カラー画像の前景に少数の色しか含まれない場合、N種類の前景識別子に関連付けられている色情報は、カラー画像の前景が有するN色分の色情報である。
一方、カラー画像の前景に多数の色が含まれる場合、N種類の前景識別子に関連付けられている色情報は、カラー画像の前景が有する一の色を示す色情報か、又は、カラー画像の前景が有する複数の色を統合してなる代表色を示す色情報である。例えば、「R,G,B=255,0,0」の色を示す色情報が、1種類の前景識別子に関連付けられるか、又は、「R,G,B=255,0,0」の色と「R,G,B=255,51,0」の色と「R,G,B=255,0,51」の色とが統合されて、代表色として「R,G,B=255,17,17」の色を示す色情報が、1種類の前景識別子に関連付けられる。
【0078】
以下では、白色に識別子“0”、緑色に識別子“1”、水色に識別子“2”、赤色に識別子“3”、紫色に識別子“4”、青色に識別子“5”、…、黒色に識別子“7”が夫々関連付けられており、背景識別子が“0”であり、前景識別子が“1”〜“7”である場合を例示する。
従って、図4(a)に示す前景レイヤの場合、図2に示すカラー画像において水色の色情報を有する前景の画素に対応する画素は、前景識別子“2”を有する。同様に、赤色、紫色、青色、又は黒色の色情報を有する前景の画素に対応する画素は、前景識別子“3”、前景識別子“4”、前景識別子“5”又は前景識別子“7”を有する。
一方、カラー画像の背景の各画素に対応する前景レイヤの各画素は、画素値として背景識別子“0”を有する。
【0079】
本実施の形態では、圧縮後のファイルサイズが過剰に大きくなる不都合を抑制すべく、最終的な前景識別子の種類数が所定種類数P(Pは自然数)以下に抑えられる。ただし、前景レイヤの生成時点(即ち、ICテーブルの生成時点)では、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pを超過していても許容される。換言すれば、画像圧縮装置1は、カラー画像に基づいてICテーブル及び前景レイヤを生成する際に前景識別子の種類数を制限する構成ではない。
表1は、各圧縮モードを説明するためのものである。
【0080】
【表1】

【0081】
まず、サイズ優先の圧縮モードについて説明する。
サイズ優先の圧縮モードでは、前景レイヤの生成後、前景識別子の種類数Nの多寡に関わらず、前景識別子の種類数Nが種類数M(MはM<Nの自然数)に減少するようICテーブルが修正される。このために、画素数が所定画素数K未満の前景識別子が背景識別子に置き換えられる。換言すれば、前景の画素の内、画質の高低に大きな影響を及ぼさない画素が、前景ではなく背景として扱われる。
また、ICテーブルの修正に応じて、N種類の前景識別子を有する前景レイヤが、M種類の前景識別子を有する前景レイヤに修正される。
【0082】
修正されたICテーブルにおいて、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以下である場合は、修正された前景レイヤがM枚の2値画像に分離され、各2値画像(M=1の場合は修正された前景レイヤを単純に2値化してなる2値画像)が可逆圧縮される。また、背景レイヤが非可逆圧縮される。
この結果、画質の高低に大きな影響を及ぼす前景の情報が可逆圧縮され、画質の高低に大きな影響を及ぼさない前景の情報及び背景の情報がまとめて非可逆圧縮されるため、画質の劣化が抑制され、ファイルサイズが減少する。
【0083】
一方、修正されたICテーブルにおいて、種類数Mが所定種類数P超過である場合は、可逆圧縮は実行されず、後述するように背景レイヤが非可逆圧縮される。何故ならば、前景レイヤがP枚より多い2値画像に分離されて圧縮された場合、ファイルサイズが過剰に大きくなるからである。また、画素数が所定画素数K以上の前景識別子を背景識別子に置換することによって2値画像の枚数を減少させようとすると、画質の高低に大きな影響を及ぼす画素が、前景ではなく背景として扱われて可逆圧縮されるため、画質の大幅な劣化が起こる虞がある。
【0084】
ただし、背景レイヤを非可逆圧縮する前に、非可逆圧縮によって画質が大幅に低下しない(前景である文字が判読不可能にならない)ように、背景レイヤは、背景レイヤに含まれる画像を強調する所定の画像処理が施されてから非可逆圧縮される。
【0085】
次に、画質優先の圧縮モードについて説明する。
画質優先の圧縮モードでは、前景レイヤの生成後、前景識別子の種類数Nが所定種類数P以下である場合は、種類数Nを種類数Mに減少させることなく、生成された前景レイヤがN枚の2値画像に分離され、各2値画像(N=1の場合は生成された前景レイヤを単純に2値化してなる2値画像)が可逆圧縮される。また、背景レイヤが非可逆圧縮される。何故ならば、前景レイヤがP枚以下の2値画像に分離されて可逆圧縮された場合、ファイルサイズが十分に小さいからである。このため、前景識別子の種類数を減少させる必要がない。
【0086】
一方、前景レイヤの生成後、前景識別子の種類数Nが所定種類数P超過、且つ所定種類数Q(QはQ>Pの自然数)以下である場合は、前景識別子の種類数Nが、種類数Mに減少するようICテーブルが修正される。このために、画素数が所定画素数K未満であって、最も画素数が少ない前景識別子を背景識別子に置換することが、M≧Pの条件下で繰り返し実行される。換言すれば、前景の画素の内、画質の高低に大きな影響を及ぼさない画素が、前景ではなく背景として扱われる。更に、前景識別子を減少させすぎ、非可逆圧縮される前景の情報量が過剰に増えることによって画質が大幅に劣化する不都合を抑制する。
また、ICテーブルの修正に応じて、N種類の前景識別子を有する前景レイヤが、M種類の前景識別子を有する前景レイヤに修正される。
【0087】
修正されたICテーブルにおいて、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以下である場合は、サイズ優先の圧縮モードと同様に、修正された前景レイヤがM枚の2値画像に分離され、各2値画像が可逆圧縮される。また、背景レイヤが非可逆圧縮される。
一方、修正されたICテーブルにおいて、種類数Mが所定種類数P超過である場合は、サイズ優先の圧縮モードと同様に、可逆圧縮は実行されず、後述するように背景レイヤが非可逆圧縮される。
【0088】
前景レイヤの生成後、前景識別子の種類数Nが所定種類数Q超過である場合は、種類数Nを種類数Mに減少させることなく、また、可逆圧縮は実行されずに、背景レイヤが非可逆圧縮される。何故ならば、前景レイヤがQ枚より多い2値画像に分離されて圧縮された場合、ファイルサイズが過剰に大きくなり、また、Q種類以上の識別子をP種類に抑えることによって、画質が大幅に劣化する虞があるからである。
ただし、非可逆圧縮によって画質が大幅に低下しないように、背景レイヤは、背景レイヤに含まれる画像を強調する所定の画像処理が施されてから非可逆圧縮される。
【0089】
以下では、カラー画像及び前景マスクに基づいて生成されたICテーブル及び前景レイヤを、生成ICテーブル及び生成前景レイヤといい、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを後述するように修正したものを、修正ICテーブル及び修正前景レイヤという。
生成ICテーブルには{N+1}種類の識別子(即ち、N種類の前景識別子と1種類の背景識別子と)が記憶されるが、修正ICテーブルには{M+1}種類の識別子(即ち、M種類の前景識別子と1種類の背景識別子と)が記憶される。
また、生成ICテーブル及び生成前景レイヤと修正ICテーブル及び修正前景レイヤとを区別しない場合は単に前景レイヤという。
【0090】
次に、背景レイヤについて説明する。
図4(b)には、図2に示す1枚のカラー画像と、図4(a)に示す1枚の前景マスクとに基づいて生成される1枚の背景レイヤが例示されている。
背景レイヤは、背景を、カラー画像において背景が有する色で示し、前景を、背景が有する色で示している。更に詳細には、背景レイヤは、カラー画像の前景の色を、前景の近傍に位置する背景の色で置き換え(いわゆる穴埋め)してなる。
図4(b)に示す背景レイヤの場合、水色、赤色、紫色、及び青色で示される「TEST」という単語が、緑色のべた塗り領域と同じ緑色で示されて、緑色のべた塗り領域と区別ができなくなっている。また、黒色で示される「これはテスト画像です。」という一文が記されていた部分は、白地になっている。
【0091】
画像圧縮装置1のユーザは、画像圧縮装置1にカラー画像を与え、与えたカラー画像を圧縮させてなる圧縮ファイルを、例えば画像圧縮装置1が内蔵する図示しない大容量記憶装置に蓄積させる。なお、圧縮ファイルを外部へ送信する構成でもよい。
このためにユーザは、画像圧縮装置1に原稿をセットし、操作パネル17のサイズ優先ボタン171又は画質優先ボタン172を押圧してから、スタートボタン170を押圧する。ただし、サイズ優先の圧縮モードで圧縮することを所望するユーザは、サイズ優先ボタン171を押圧し、画質優先の圧縮モードで圧縮することを所望するユーザは、画質優先ボタン172を押圧する。また、画像圧縮装置1には、デフォルトの圧縮モードとして、例えばサイズ優先の圧縮モードが設定されている。
【0092】
図5は、画像圧縮装置1で実行される画像読取処理の手順を示すフローチャートである。画像読取処理は、例えばユーザが操作パネル17を操作して、画像圧縮装置1をスキャナ・モードに設定した場合に、CPU10によって実行される。
CPU10は、例えば操作パネル17にサイズ優先ボタン171及び画質優先ボタン172を、操作パネル17の図示しないタッチパネルにソフトキーとして設けることによって、圧縮モードの選択を受け付け(S11)、スタートボタン170が押圧されたか否かを判定する(S12)。
スタートボタン170が押圧されていない場合(S12でNO)、CPU10は、処理をS11へ戻して、圧縮モードの選択を受け付け続ける。
【0093】
スタートボタン170が押圧された場合(S12でYES)、CPU10は、スタートボタン170の押圧前にサイズ優先ボタン171が押圧されたか否かを判定し(S13)、押圧されていない場合は(S13でNO)、スタートボタン170の押圧前に画質優先ボタン172が押圧されたか否かを判定する(S14)。
サイズ優先ボタン171が押圧された場合(S13でYES)、又は、画質優先ボタン172が押圧されていない場合(S14でNO)、CPU10は、画像圧縮部2をサイズ優先の圧縮モードに設定する(S15)。一方、画質優先ボタン172が押圧された場合(S14でYES)、CPU10は、画像圧縮部2を画質優先の圧縮モードに設定する(S16)。
【0094】
S15又はS16で圧縮モードを設定した後、CPU10は、カラー・スキャナ部130を制御して原稿の読み取りを開始させる(S17)。読み取られたカラー画像は、A/D(アナログ/デジタル)変換処理、シェーディング補正処理等の所定の画像処理を施されてから、画像メモリ11に記憶される。
【0095】
S17の処理終了後、CPU10は、カラー・スキャナ部130で読み取られて画像メモリ11に記憶されたカラー画像のサイズを検出し(S18)、検出したサイズを画像圧縮部2に与えて、画像読取処理を終了する。ここで、画像読取処理における操作パネル17は、選択手段として機能する。なお、例えばCPU10又は前景レイヤ生成部22の処理部220が、カラー画像の内容に応じて、一方の圧縮モードを自動的に選択して設定する構成でもよい。
【0096】
次いで、画像圧縮部2の各部について説明する。
図1に示す前景マスク生成部21は、前景マスク生成手段として機能する。前景マスク生成部21では、図2に示すような1枚のカラー画像に基づいて、図3に示すような1枚の前景マスクが生成される。このために、前景マスク生成部21には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送されたカラー画像が入力され、入力されたカラー画像に基づいて、前景マスク生成部21の図示しない処理部が前景マスクを生成し、生成された前景マスクが前景マスク生成部21から出力されて、転送制御部12を介し、画像メモリ11へ転送されて画像メモリ11に書き込まれる。
【0097】
カラー画像が入力された前景マスク生成部21では、周知の手法を用い、入力されたカラー画像に基づいて、このカラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクが生成される。例えば前景マスク生成部21では、カラー画像の各画素の輝度値が微分されることによって、輝度が明るく変化するエッジ部位と、暗く変化するエッジ部位とが検知され、検知されたエッジ部位に基づいて、前景であると判定された各画素に画素値“0”が与えられ、背景であると判定された各画素に画素値“1”が与えられる。
【0098】
図1に示す前景レイヤ生成部22では、図2に示すような1枚のカラー画像と図3に示すような1枚の前景マスクとに基づいて、生成ICテーブル及び生成前景レイヤが生成される。このために、前景レイヤ生成部22には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送されたカラー画像及び前景マスクが夫々入力される。また、前景レイヤ生成部22では、入力されたカラー画像及び前景マスクに基づいて、前景レイヤ生成部22の処理部220が生成ICテーブル及び生成前景レイヤを生成する。生成された生成ICテーブルは、テーブル格納部221に格納され、生成された生成前景レイヤは、前景レイヤ生成部22から出力されて、転送制御部12を介し、画像メモリ11へ転送されて画像メモリ11に書き込まれる。
【0099】
画像メモリ11において前景レイヤが記憶される記憶領域のアドレス(更に詳細には、前景レイヤの書き込みを開始すべき位置の開始アドレス)は、CPU10によって予め前景レイヤ生成部22に与えられており、画像メモリ11では、この開始アドレスを前景レイヤの書き込み開始位置として前景レイヤの書き込みが開始される。
【0100】
なお、前景レイヤ生成部22が十分な記憶容量のバッファ・メモリを備えている場合は、生成前景レイヤを一時的にバッファ・メモリに記憶させてもよい。この場合、生成前景レイヤが修正されなかった場合は、生成前景レイヤがバッファ・メモリから読み出されて画像メモリ11へ転送され、生成前景レイヤが修正された場合は、生成前景レイヤではなく、修正前景レイヤが画像メモリ11へ転送される。
【0101】
カラー画像及び前景マスクが入力された前景レイヤ生成部22は、例えば特許文献1,2に開示されている手法を用い、入力されたカラー画像及び前景マスクに基づいて、生成ICテーブルを生成しつつ生成前景レイヤを生成する。この手法では、前景の各画素について、この画素が有する色情報がまだICテーブルに記憶されていない場合は、この色情報に新たな前景識別子が割り当てられて、この色情報と割り当てた前景識別子とが生成ICテーブルに記憶され、また、この画素が有する色情報が、生成ICテーブルに記憶してある前景識別子に置換される。一方、前景の各画素が有する色情報が既に生成ICテーブルに記憶されている場合は、この画素が有する色情報は、生成ICテーブルに記憶してある前景識別子に置換される。更に、背景の各画素が有する色情報は、生成ICテーブルに記憶してある所定の背景識別子に一律に置換される。
【0102】
前景レイヤ生成部22で生成された生成ICテーブルには、カラー画像の前景に含まれる色情報と、この色情報を識別する前景識別子と、この前景識別子を有する画素の画素数とが関連付けて記憶される。本実施の形態では、色情報はR値、G値、及びB値夫々が“0”から“255”までの整数で示され、識別子は“0”から“7”までの整数で示される。
【0103】
また、生成ICテーブルには、各色情報を有する画素の一方向並びにこの一方向に交差する他方向の最大及び最小夫々の座標値が記憶される。これらの座標値は、例えば、前景のサイズに基づいて所定画素数Kを決定する場合に用いられ、各座標値としてはX軸方向の最大X座標値XL 及び最小X座標値XS 並びにY軸方向の最大Y座標値YL 及び最小Y座標値YS が記憶される。
ここで、カラー画像、前景レイヤ等の主走査方向はX軸の順方向であり、副走査方向はY軸の順方向である。
以下に、具体例を挙げてICテーブルを説明する。
【0104】
図6は、画像圧縮装置1によって生成される生成前景レイヤの各画素値を例示する模式図であり、1枚の生成前景レイヤが示されている。また、図7は、画像圧縮装置1によって生成される生成ICテーブルの一例を示す模式図であり、図6に示す生成前景レイヤに対応する生成ICテーブルが示されている。
生成ICテーブルには、アドレスと、識別子と、最小X座標値XS 、最大X座標値XL 、最小Y座標値YS 、及び最大Y座標値YL と、色情報のR値、G値、及びB値と、画素数とが関連付けて記憶されている。ここで、アドレスとは、識別子が格納されているテーブル格納部221のアドレスである。
【0105】
前景レイヤ生成部22では、図7に示すような生成ICテーブルが生成される。この生成ICテーブルでは、識別子が昇順に並べられている。また、識別子とアドレスとが一致している場合は、生成ICテーブルにアドレスを記憶させる必要はなく、省略してもよい。
【0106】
図6に示す生成前景レイヤは、各画素のX座標値が“0”から“15”までの整数値を有し、Y座標値が“0”から“19”までの整数値を有し、画素数が“320”(=16×20)である。
【0107】
図6及び図7に示すように、この生成前景レイヤには、前景の画素として、緑色(R,G,B=0,255,0)に対応する前景識別子“1”を有する11個の画素と、水色(R,G,B=0,255,255)に対応する前景識別子“2”を有する9個の画素と、赤色(R,G,B=255,0,0)に対応する前景識別子“3”を有する22個の画素と、紫色(R,G,B=128,0,128)に対応する前景識別子“4”を有する12個の画素と、青色(R,G,B=0,0,255)に対応する前景識別子“5”を有する18個の画素とが含まれている。また、背景の画素として、白色(R,G,B=255,255,255)に対応する背景識別子“0”を有する248個の画素が含まれている。
【0108】
前景識別子“1”を有する画素群の最小X座標値XS は“1”、最大X座標値XL は“3”、最小Y座標値YS は“14”、最大Y座標値YL は“18”である。同様に、前景識別子“2”を有する画素群の最小X座標値XS は“5”、最大X座標値XL は“8”、最小Y座標値YS は“13”、最大Y座標値YL は“17”である。
仮に、図6に示す前景識別子“2”を有する画素群の前景識別子が全て前景識別子“1”であった場合、図7に示すICテーブルの前景識別子“1”の欄には、最小X座標値“1”、最小Y座標値“13”、最大X座標値“8”、及び最大Y座標値“18”が記載され、更に、画素数“20”が記載される。
【0109】
図8及び図9は、画像圧縮装置1で実行される前景画像処理の手順を示すフローチャートである。前景画像処理は、生成前景レイヤを生成すべきタイミングを示す制御信号が前景レイヤ生成部22に与えられた場合に、前景レイヤ生成部22の処理部220によって実行される。
まず、処理部220は、CPU20から与えられたカラー画像のサイズに基づいて、所定画素数Kを決定する(S30)。S30における前景レイヤ生成部22は、画素数決定手段として機能する。
所定画素数Kは、同じ配色であってサイズが異なる複数枚のカラー画像を夫々圧縮した場合であっても、各カラー画像について、同様の前景色(特に文字色)再現を達成するために、カラー画像毎に決定される。
【0110】
なお、所定画素数Kは、前景レイヤ生成部22が決定する構成に限定されず、例えばCPU10が決定してもよい。
また、所定画素数Kは、カラー画像のサイズに基づいて決定される構成に限定されるものではない。例えば、画像メモリ11に記憶されたカラー画像に基づいて、後述するように前景レイヤ生成部22で生成される前景レイヤに含まれる前景の画素の画素数、又は前景のサイズ等に基づいて決定されてもよい。この場合、所定画素数Kは、前景の画素数又はサイズが異なる複数枚のカラー画像を夫々圧縮した場合であっても、各カラー画像について、同様の前景色(特に文字色)再現を達成するために、カラー画像毎に決定される。
【0111】
S30で所定画素数Kを決定した後、処理部220は、カラー画像及び前景マスクの転送を要求し(S31)、前景レイヤ生成部22に入力されたカラー画像及び前景マスクに基づいて、生成ICテーブルを生成しつつ生成前景レイヤを生成し(S32)、生成した生成前景レイヤを転送制御部12へ出力する(S33)。S32で生成された生成ICテーブルはテーブル格納部221に格納され、S33で出力された生成前景レイヤは、画像メモリ11に記憶される。
【0112】
更に詳細には、カラー画像及び前景マスクは夫々1ライン又は1ブロックずつ前景レイヤ生成部22に入力される。処理部220は、入力された1ライン又は1ブロック分のカラー画像及び前景マスクに基づいて、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルの各種データを変更しつつ、1ライン又は1ブロック分のカラー画像に含まれる各画素の画素値を識別子に置き換え、画素値が識別子に置き換えられた1ライン又は1ブロック分のカラー画像、即ち1ライン又は1ブロック分の生成前景レイヤを、転送制御部12へ出力する。
S32における前景レイヤ生成部22は、前景レイヤ生成手段及びテーブル生成手段として機能する。
【0113】
生成前景レイヤの出力後、処理部220は、画像圧縮部2にサイズ優先の圧縮モードが設定されているか否かを判定する(S34)。本実施の形態における画像圧縮装置1においては、サイズ優先の圧縮モードが設定されているか、又は画質優先の圧縮モードが設定されているかに応じて、互いに異なる手順で、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させる(又はN種類のままにする)処理を実行するよう構成されている。S34における前景レイヤ生成部22は、減少判定手段として機能する。
【0114】
画像圧縮部2にサイズ優先の圧縮モードが設定されている場合(S34でYES)、処理部220は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるための各種処理を実行する。このために、処理部220は、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルを参照して、画素数が所定画素数K未満の前景識別子が記憶されているか否かを判定する(S35)。
【0115】
画素数が所定画素数K未満の前景識別子が生成ICテーブルに記憶されている場合(S35でYES)、処理部220は、画素数が所定画素数K未満の前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正する(S36)。このとき、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルのデータが変更されることによって修正ICテーブルに修正される。
ここで、S36における処理の詳細を例示する。
【0116】
図10は、画像圧縮装置1で実行されるサイズ優先のICテーブル処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
処理部220は、まず、変数iに“1”を代入し(S70)、変数jに“0”を代入する(S71)。
次に、処理部220は、生成ICテーブルを参照して、前景識別子“i”の画素数が所定画素数Kより画素数が少ないかどうかを判定する(S72)。
前景識別子“i”の画素数が所定画素数K未満である場合(S72でYES)、処理部220は、前景識別子“i”の画素数を“0”に変更する(S73)。ここで、画素数“0”の前景識別子は、背景識別子に置き換えられる前景識別子を示している。
【0117】
次いで、処理部220は、変数jをインクリメントする(S74)。ここで、変数jは、背景識別子に置き換えられた前景識別子の種類数を示している。
S74の処理の終了後、又は、識別子“i”の画素数が所定画素数K以上である場合(S72でNO)、処理部220は、変数iが種類数N未満であるか否かを判定する(S75)。
i<Nであれば(S75でYES)、変数iをインクリメントして(S76)、処理をS72へ戻す。
i≧Nであれば(S75でNO)、種類数Nから変数jを減算した結果を種類数Mに代入して(S77)、処理を元のルーチンへ戻す。
【0118】
S36で生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正した後、処理部220は、生成前景レイヤの転送を要求し(S37)、入力された生成前景レイヤに含まれる各画素について、修正ICテーブルにおいて背景識別子に置換されている前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正し(S38)、修正した修正前景レイヤを転送制御部12へ出力する(S39)。S39で出力された修正前景レイヤは、画像メモリ11において、生成前景レイヤに上書きされる。
ここで、S36及びS38における前景レイヤ生成部22は、テーブル置換手段及び前景レイヤ修正手段として機能する。
【0119】
図12は、画像圧縮装置1によって修正される修正前景レイヤの各画素値を例示する模式図であり、1枚の修正前景レイヤが示されている。また、図13は、画像圧縮装置1によって修正される修正ICテーブルの一例を示す模式図であり、図12に示す修正前景レイヤに対応する修正ICテーブルが示されている。
【0120】
所定画素数Kが“16”であり、所定種類数Pが“4”である場合、図7に示す生成ICテーブルに関し、前景識別子“1”,“2”,“4”夫々の画素数が“11”,“9”,“12”であり、所定画素数K未満である。このため、前景識別子“1”,“2”,“4”夫々が背景識別子“0”に置き換えられる。このとき、前景識別子の種類数N(=5)が、所定種類数Pを下回るM(=2)種類に減少する。
【0121】
このようにして、図7に示す生成ICテーブルは、図13に示す修正ICテーブルに修正される。
この結果、図6に示す生成前景レイヤは、図12に示す修正前景レイヤに修正される。つまり、前景識別子“1”〜“5”と背景識別子“0”とを含んでいた生成前景レイヤは、前景識別子“3”,“5”と背景識別子“0”とを含む修正前景レイヤに修正される。
【0122】
ところで、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルに、画素数が所定画素数K以上の前景識別子しか記憶されていない場合(S35でNO)、識別子の種類数をN種類未満に減少させることはできない。しかしながら、処理部220が、種類数Mに種類数Nを代入することによって(S40)、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを修正ICテーブル及び修正前景レイヤと同様に扱うことができる。以下では、S35でNOと判定されて、実質上は修正されなかった生成ICテーブル及び生成前景レイヤも修正ICテーブル及び修正前景レイヤとして扱う。
【0123】
S39又はS40の処理終了後、処理部220は、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以下であるか否かを判定し(S41)、M≦Pである場合(S41でYES)、可逆圧縮及び非可逆圧縮両方の実行を決定し(S42)、前景画像処理を終了する。S42では、処理部220から背景レイヤ生成部25へ、可逆圧縮及び非可逆圧縮両方の実行を決定したことを示す実行決定信号が出力される。
【0124】
一方、M>Pである場合(S41でNO)、処理部220は、S37と同様の手順で、修正前景レイヤの転送を要求し、入力された修正前景レイヤに含まれる各画素について、全ての前景識別子を背景識別子に置換することによって、修正前景レイヤを再修正し(S43)、再修正した修正前景レイヤ(以下、全置換前景レイヤという)をS39と同様の手順で転送制御部12へ出力する。ここで出力された全置換前景レイヤは、画像メモリ11において、修正前景レイヤに上書きされる。
また、処理部220は、可逆圧縮の実行を禁止し、非可逆圧縮の実行を決定して(S44)、前景画像処理を終了する。S44では、処理部220から背景レイヤ生成部25へ、可逆圧縮の実行を禁止し、非可逆圧縮の実行を決定したことを示す禁止決定信号が出力される。
【0125】
画像圧縮部2に画質優先の圧縮モードが設定されている場合(S34でNO)、処理部220は、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pを超過し、且つ、所定種類数Q以下であるか否かを判定する(S51)。
P<N≦Qである場合は(S51でYES)、処理部220は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるための各種処理を実行する。このために、処理部220は、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルを参照して、画素数が所定画素数K未満の前景識別子が記憶されているか否かを判定する(S52)。
【0126】
画素数が所定画素数K未満の前景識別子が生成ICテーブルに記憶されている場合(S52でYES)、処理部220は、画素数が所定画素数K未満であり、且つ、画素数が最小の前景識別子から順に、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以上であるという条件下で、前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正する(S53)。このとき、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルのデータが変更されることによって修正ICテーブルに修正される。
ここで、S53における処理の詳細を例示する。
【0127】
図11は、画像圧縮装置1で実行される画質優先のICテーブル処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、処理部220は、種類数Nから所定種類数Pを減算した結果を定数Jに代入する(S80)。ここで、定数Jは、背景識別子に置き換えるべき前景識別子の最大種類数を示している。
次に、処理部220は、生成ICテーブルの前景識別子を画素数の昇順にソートし(S81)、変数iに“1”を代入し(S82)、変数jに“0”を代入する(S83)。
処理部220は、生成ICテーブルを参照して、アドレス“i”の画素数が所定画素数Kより画素数が少ないかどうかを判定する(S84)。
【0128】
アドレス“i”の画素数が所定画素数K未満である場合(S84でYES)、処理部220は、前景識別子“i”の画素数を“0”に変更する(S85)。ここで、画素数“0”の前景識別子は、背景識別子に置き換えるべき前景識別子を示している。
次いで、処理部220は、変数jをインクリメントする(S86)。ここで、変数jは、背景識別子に置き換えられた前景識別子の種類数を示している。
【0129】
S85の処理の終了後、処理部220は、変数jが定数J未満であるか否かを判定する(S87)。
j<Jである場合(S87でYES)、処理部220は、変数iをインクリメントし(S88)、処理をS84へ戻す。
【0130】
j≧Jである場合(S87でNO)、又は、アドレス“i”の画素数が所定画素数K以上である場合(S84でNO)、種類数Nから変数jを減算した結果を種類数Mに代入して(S89)、処理を元のルーチンへ戻す。
なお、前景レイヤ生成部22に最大N個のバッファ・メモリを備え、画素数が少ない前景識別子を画素数が少ない順にN個まで保持するようにして、背景識別子に置き換えるべき前景識別子を選択してもよい。
【0131】
S53で生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正した後、処理部220は、S36と同様の手順で、生成前景レイヤの転送を要求し、入力された生成前景レイヤに含まれる各画素について、修正ICテーブルにおいて背景識別子に置換されている前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正し(S54)、修正した修正前景レイヤを、S39と同様の手順で、転送制御部12へ出力する。ここで出力された修正前景レイヤは、画像メモリ11において、生成前景レイヤに上書きされる。
ここで、S53及びS54における前景レイヤ生成部22は、テーブル置換手段及び前景レイヤ修正手段として機能する。
【0132】
図14は、画像圧縮装置1によって修正される修正前景レイヤの各画素値を例示する模式図であり、1枚の修正前景レイヤが示されている。また、図15は、画像圧縮装置1によって修正される修正ICテーブルの一例を示す模式図であり、図14に示す修正前景レイヤに対応する修正ICテーブルが示されている。
【0133】
所定画素数Kが“16”であり、所定種類数Pが“4”である場合、図7に示す生成ICテーブルに関し、画素数が“16”以下であり、且つ、最も画素数が少ない前景識別子“2”夫々が背景識別子“0”に置き換えられる。このとき、前景識別子の種類数N(=5)が、所定種類数Pに一致するM(=4)種類に減少する。従って、画素数が所定画素数K未満である前景識別子“1”,“4”が、背景識別子“0”に置き換えられることはない。
【0134】
このようにして、図7に示す生成ICテーブルは、図15に示す修正ICテーブルに修正される。
この結果、図6に示す生成前景レイヤは、図14に示す修正前景レイヤに修正される。つまり、前景識別子“1”〜“5”と背景識別子“0”とを含んでいた生成前景レイヤは、前景識別子“1”,“3”〜“5”と背景識別子“0”とを含む修正前景レイヤに修正される。
【0135】
ところで、テーブル格納部221に格納されている生成ICテーブルに、画素数が所定画素数K以上の前景識別子しか記憶されていない場合(S52でNO)、識別子の種類数をN種類未満に減少させることはできない。しかしながら、処理部220が、種類数Mに種類数Nを代入することによって(S55)、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを修正ICテーブル及び修正前景レイヤと同様に扱うことができる。以下では、S52でNOと判定されて、実質上は修正されなかった生成ICテーブル及び生成前景レイヤも修正ICテーブル及び修正前景レイヤとして扱う。
S54又はS55の処理終了後、処理部220は、処理をS41へ移す。
【0136】
P<N≦Qではない場合(S51でNO)、処理部220は、前景識別子の種類数Nが所定種類数P以下であるか否かを判定し(S56)、N≦Pである場合(S56でYES)、処理をS42へ移して、可逆圧縮及び非可逆圧縮両方の実行を決定し、前景画像処理を終了する。
【0137】
一方、N>Qである場合(S56でNO)、処理部220は、S37と同様の手順で、生成前景レイヤの転送を要求し、入力された生成前景レイヤに含まれる各画素について、全ての前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正し(S57)、修正した生成前景レイヤ(即ち全置換前景レイヤ)をS39と同様の手順で転送制御部12へ出力する。ここで出力された全置換前景レイヤは、画像メモリ11において、生成前景レイヤに上書きされる。
また、処理部220は、可逆圧縮の実行を禁止し、非可逆圧縮の実行を決定して(S58)、前景画像処理を終了する。S58では、処理部220からCPU10へ禁止決定信号が出力される。
【0138】
以上のような前景画像処理のS42で可逆圧縮の実行を決定した場合、前景レイヤは、可逆圧縮技術を用いて圧縮される。また、ICテーブルは、可逆圧縮画像と共に圧縮ファイルに含められる。このとき、ICテーブルも可逆圧縮されてもよい。
ただし、前景レイヤの圧縮率を向上させるべく、1枚の前景レイヤは、更に分離されてから圧縮される。前景識別子の種類数がN種類である場合、1枚の前景レイヤは、N種類の前景識別子に対応するN枚の2値画像に分離され、各2値画像が可逆圧縮技術を用いて圧縮される。同様に、前景識別子の種類数がM種類である場合、1枚の前景レイヤは、M種類の前景識別子に対応するM枚の2値画像に分離され、各2値画像が可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
【0139】
なお、テーブル格納部221に格納されている修正ICテーブルを参照して、CPU10が減少判定手段として機能する構成でもよい。
【0140】
可逆圧縮の手順は、枚数が異なっていても同じであるため、以下では図12に示す前景レイヤを例示する。この前景レイヤは、前景識別子の種類数がM(=2)種類であり、前景識別子“3”,“5”と背景識別子“0”とを含む。
図16及び図17は、画像圧縮装置1によって生成される前景識別子“3”及び“5”に係る2値画像の各画素値を例示する模式図であり、各1枚の2値画像が示されている。これらのような2値画像が、夫々可逆圧縮されることによって、可逆圧縮画像が生成される。
【0141】
図1に示す2値画像生成部23は、2値画像生成手段として機能する。2値画像生成部23では、図12に示すような1枚の前景レイヤに基づいて、図16及び図17に示すようなM枚の2値画像が生成される。このために、2値画像生成部23には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送された前景レイヤが入力され、入力された前景レイヤに基づいて、2値画像生成部23の図示しない処理部がM枚の2値画像を生成し、生成された2値画像が2値画像生成部23から出力されて、転送制御部12を介し、画像メモリ11へ転送されて画像メモリ11に書き込まれる。
【0142】
2値画像は、前景レイヤに含まれる一の前景識別子を“1”に置換し、この前景識別子以外の他の前景識別子を“0”に置換することによって容易に得られる。具体的には、前景レイヤが例えば1ラインずつ2値画像生成部23に入力され、入力された1ライン分の前景レイヤがバッファ・メモリに一時的に記憶され、記憶してある前景レイヤがM回読み出されて前景識別子が置換されることによって、Mライン分の2値画像が生成されて、転送制御部12へ出力される。
【0143】
図1に示す2値画像圧縮部24は、2値画像圧縮手段として機能する。2値画像圧縮部24では、図16又は図17に示すような1枚の2値画像が可逆圧縮されることがM回繰り返される。このために、2値画像圧縮部24には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送された2値画像が入力され、入力された2値画像に基づいて、2値画像圧縮部24の図示しない処理部が、周知の手法を用いて1枚の可逆圧縮画像を生成し、生成された可逆圧縮画像が2値画像圧縮部24から出力されて、転送制御部12を介し、画像メモリ11へ転送されて画像メモリ11に書き込まれる。
【0144】
図8及び図9で示す前景画像処理のS44又はS58で可逆圧縮の実行を禁止をした場合、前景レイヤは分離されず、圧縮されない。また、前景レイヤ及びICテーブルは破棄されて、圧縮ファイルには含められない。
【0145】
図1に示す背景レイヤ生成部25は、背景生成手段として機能する。
背景レイヤ生成部25は、図2に示すような1枚のカラー画像と図4(a)1枚の前景レイヤとに基づいて、図4(b)に示すような背景レイヤを生成する。このために、背景レイヤ生成部25には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送されたカラー画像及び前景レイヤが夫々入力される。ただし、ここで入力される前景レイヤは、S38、S40、S54、又はS55の処理が実行された場合は修正前景レイヤであり、S43又はS57の処理が実行された場合は全置換前景レイヤであり、S56でYESであった場合は生成前景レイヤである。
【0146】
図18は、画像圧縮装置1で実行される背景画像処理の手順を示すフローチャートである。背景画像処理は、背景レイヤを生成すべきタイミングを示す制御信号が背景レイヤ生成部25に与えられた場合に、背景レイヤ生成部25の処理部250によって実行される。
【0147】
処理部250は、カラー画像及び前景レイヤの転送を要求し(S101)、入力されたカラー画像及び前景レイヤに基づいて、例えば特許文献1,2に開示されている手法を用い、背景レイヤを生成する(S102)。この手法では、前景レイヤではなく前景マスクを用いているが、前景レイヤに含まれる画素の内、前景識別子を有する画素に対応するカラー画像の画素を前景と看做し、背景識別子を有する画素に対応するカラー画像の画素を背景と看做すことによって、この手法と同様に背景レイヤを生成することができる。
【0148】
この場合、カラー画像の前景の画素が、この画素の近傍に位置する背景の画素の画素値で穴埋めされる。前景の画素の近傍に背景の画素が存在しない場合、即ち前景の画素の近傍に前景の画素しか存在しない場合は、前景の画素は、既に穴埋めされた前景の画素の画素値で穴埋めされる。なお、1個の画素の画素値ではなく、複数の画素の画素値の平均値で穴埋めする構成でもよい。
【0149】
次に、処理部250は、前景レイヤ生成部22から、可逆圧縮及び非可逆圧縮両方の実行を決定したことを示す実行決定信号が入力されたか否かを判定し(S103)、実行決定信号が入力された場合(S103でYES)、2値画像圧縮部24では可逆圧縮画像が生成される。つまり、前景の情報は、可逆圧縮画像の基になった前景レイヤに含まれている。
このため、処理部250は、S102で生成された背景レイヤに、従来の背景レイヤに施すような各種の画像処理を施す。
具体的には、S102で生成された背景レイヤの解像度を半分に低解像度化し(S104)、背景レイヤを全体的に平滑化するフィルタ処理を行ない(S105)、弱めのコントラスト強調処理を行なう(S106)。この結果、ファイルサイズが低減される。
【0150】
前景レイヤ生成部22から、可逆圧縮の実行を禁止し、非可逆圧縮の実行を決定したことを示す禁止決定信号が入力された場合(S103でNO)、2値画像圧縮部24では可逆圧縮画像が生成されない。前景の情報は背景レイヤに含まれている。
このため、処理部250は、S102で生成された背景レイヤに、この背景レイヤに含まれる画像を強調する所定の画像処理を施す。このためには、背景レイヤの解像度、フィルタ強調度合い、コントラストの内、少なくとも1つを、実行決定信号が入力された場合とは異なるものにする。この結果、前景である文字が判読不可能にならないよう、非可逆圧縮後の画質を向上させることができる。以下、具体的な一例を挙げる。
【0151】
S102で生成された背景レイヤは、解像度を変更しない。また、処理部250は、背景レイヤのエッジ部位は少し強調しつつ、エッジ部位以外は少し滑らかになるような混合フィルタ処理を行ない(S107)、強めのコントラスト強調処理を行なう(S108)。
【0152】
S106又はS108の処理が終了した後、処理部250は、生成した背景レイヤを転送制御部12へ出力し(S109)、背景画像処理を終了する。出力された背景レイヤは、転送制御部12を介して画像メモリ11へ出力され、画像メモリ11に記憶される。
【0153】
背景レイヤ生成部25に入力された前景レイヤが生成前景レイヤである場合、背景レイヤ生成部25で生成される背景レイヤは、カラー画像及び前景マスクに基づいて生成される従来の背景レイヤと同様に、背景の情報を含み、前景の情報を含まないものである。
一方、背景レイヤ生成部25に入力された前景レイヤが修正前景レイヤである場合、背景レイヤ生成部25で生成される背景レイヤは、背景の情報と、背景と看做された一部の前景の情報を含むものである。
更に、背景レイヤ生成部25に入力された前景レイヤが全置換前景レイヤである場合、背景レイヤ生成部25で生成される背景レイヤは、前景及び背景両方の情報を全て含むものであり、カラー画像そのものに所定の画像処理を施したものに等しい。
【0154】
図1に示す背景画像圧縮部26は、背景画像圧縮手段として機能する。背景画像圧縮部26では、図4(b)に示すような1枚の背景レイヤが非可逆圧縮される。このために、2値画像圧縮部24には、転送制御部12を介して、画像メモリ11から転送された背景レイヤが入力され、入力された背景レイヤに基づいて、2値画像圧縮部24の図示しない処理部が、周知の手法を用いて1枚の非可逆圧縮画像を生成し、生成された非可逆圧縮画像が背景画像圧縮部26から出力されて、転送制御部12を介し、画像メモリ11へ転送されて画像メモリ11に書き込まれる。
【0155】
以上のようにして、カラー画像が前景レイヤと背景レイヤとに分離され、前景レイヤを圧縮してなるN枚又はM枚の可逆圧縮画像と、背景レイヤを圧縮してなる非可逆圧縮画像と、テーブル格納部221に格納されているICテーブルを含む各圧縮画像を伸張するための情報とが圧縮ファイルとしてまとめられ、カラー画像圧縮処理が完了する。又は、カラー画像が前景レイヤと背景レイヤとに分離されるが、背景レイヤを圧縮してなる非可逆圧縮画像と、この非可逆圧縮画像を伸張するための情報とが圧縮ファイルとしてまとめられ、カラー画像圧縮処理が完了する。
【0156】
このような画像圧縮装置1は、各1種類の可逆圧縮技術及び非可逆技術を用いて、同一の減色処理を反復して実行することなく、また、複数種類の可逆圧縮技術を実現するための複数個のハードウェアを備えることなく、圧縮モードに応じて、圧縮後の画像の画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることがきる。
なお、所定画素数Kのみならず、前景識別子の種類数N、所定種類数P、及び所定種類数Q等も、カラー画像のサイズ、画素の画素数、前景のサイズ、又はファイルサイズを優先するか画質を優先するかの別等に応じて、毎度決定される構成でもよい。また、圧縮モードに応じて所定画素数Kが変更される構成でもよい。
【0157】
実施の形態 2.
図19は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、画像形成装置として、カラー・コピー機能及びカラー・スキャナ機能を有するデジタル複合機を例示する。
【0158】
画像形成装置は、カラー画像入力装置13、カラー画像処理装置14、カラー画像出力装置15、送信装置16及び操作パネル17を備える。カラー画像処理装置14は、A/D変換部140、シェーディング補正部141、入力階調補正部142、及び圧縮処理部143を備え、圧縮処理部143は、実施の形態1の画像圧縮装置1に相当する。以上のような画像形成装置の各部の動作は、実施の形態1のCPU10に相当する図示しないCPUによって制御される。
【0159】
カラー画像処理装置14は、領域分離処理部144、色補正部145、黒生成下色除去部146、空間フィルタ処理部147、出力階調補正部148、及び階調再現処理部149を更に備える。
操作パネル17は、実施の形態1の操作パネル17に相当し、カラー画像入力装置13、カラー画像処理装置14、カラー画像出力装置15及び送信装置16に接続されている。
カラー画像入力装置13はカラー画像処理装置14の入力側に接続されており、実施の形態1のカラー・スキャナ部130に相当する図示しないカラー・スキャナ部を用いてなる。このカラー・スキャナ部は、原稿からの反射光像をCCDを用いてRGB値のアナログ信号として読み取って、カラー画像処理装置14に入力する。
【0160】
カラー画像入力装置13から入力されたアナログ信号のカラー画像は、カラー画像処理装置14内にて、A/D変換部140、シェーディング補正部141、入力階調補正部142、圧縮処理部143、領域分離処理部144、色補正部145、黒生成下色除去部146、空間フィルタ処理部147、出力階調補正部148、及び階調再現処理部149へこの順に送られてから、画像メモリ11に一旦記憶される。画像メモリ11に記憶されたカラー画像は、所定のタイミングで読み出されて、ストリームとしてカラー画像出力装置15へ出力される。
【0161】
カラー画像出力装置15は、カラー画像を記録シート(例えば記録用紙等)上に形成して出力する画像形成手段として機能し、例えば、電子写真方式又はインクジェット方式の画像形成装置であるが、特に限定されるものではない。
なお、画像形成装置は、カラー画像出力装置15の代わりに、モノクロ画像出力装置を備えていてもよい。この場合、カラー画像処理装置14にてカラー画像がモノクロ画像に変換されてからモノクロ画像出力装置へ出力される。
【0162】
以下に、カラー画像処理装置14における画像処理を詳述する。
A/D変換部140は、RGBのアナログ信号をデジタル信号に変換し、シェーディング補正部141は、A/D変換部140から送られてきたデジタルのRGB信号に対して、カラー画像入力装置13の照明系、結像系、及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。
入力階調補正部142は、シェーディング補正部141にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号(即ちRGBの反射率信号)に対して入力階調補正処理を施す。入力階調補正処理とは、カラーバランスを整え、また、濃度信号等、カラー画像処理装置14に採用されている画像処理システムが扱い易い信号に変換する処理である。
【0163】
圧縮処理部143は、入力階調補正処理が施されたRGB信号(即ち実施の形態1において前景マスク生成部21、前景レイヤ生成部22及び背景レイヤ生成部25夫々へ入力されるカラー画像)に対してカラー画像圧縮処理を施す。圧縮されたカラー画像は、実施の形態1の画像メモリ11に相当する図示しない画像メモリに一旦記憶され、例えば、操作パネル17において、scan to e-mailモードが選択されている場合、ネットワークカード、モデム等を用いてなる送信装置16によって、e-mailに添付され、設定された送信先へ送信される。
カラー画像圧縮処理が施されない場合、圧縮処理部143は入力階調補正部142から入力されたRGB信号を、そのまま後段の領域分離処理部144へ出力する。
【0164】
領域分離処理部144は、入力されたRGB信号に基づいて、各画素を文字領域、網点領域、及び写真領域のいずれかに分離する。領域分離処理部144は、分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、黒生成下色除去部146、空間フィルタ処理部147、及び階調再現処理部149へと出力すると共に、入力階調補正部142から入力されたRGB信号をそのまま後段の色補正部145へ出力する。
色補正部145は、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行なう。
【0165】
黒生成下色除去部146は、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成処理と、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行なう。この結果、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
黒生成処理の一例としては、一般に、スケルトン・ブラックによる黒生成を行なう方法が用いられる。この方法では、スケルトン・カーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC',M',Y',K'、UCR(Under Color Removal )率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去処理は、次の式(1)〜(4)で表わされる。
【0166】
K'=f{min(C,M,Y)} (1)
C'=C−αK' (2)
M'=M−αK' (3)
Y'=Y−αK' (4)
【0167】
空間フィルタ処理部147は、黒生成下色除去部146から入力されたCMYK信号のカラー画像に対して、領域分離処理部144から入力された領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行ない、空間周波数特性を補正することによって、カラー画像出力装置15で出力されるカラー画像のぼやけ及び粒状性劣化を防ぐ。
階調再現処理部149は、空間フィルタ処理部147と同様に、CMYK信号のカラー画像に対して、領域分離処理部144から入力された領域識別信号を基に所定の処理を施す。
【0168】
例えば、領域分離処理部144にて文字に分離された領域は、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部147による空間フィルタ処理における鮮鋭強調処理で高周波数の強調量が大きくされる。更に、階調再現処理部149においては、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの2値化又は多値化処理が選択される。
また、領域分離処理部144にて網点に分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部147において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。
【0169】
空間フィルタ処理部147から出力されたカラー画像に対しては、出力階調補正部148で、濃度信号等の信号をカラー画像出力装置15の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行なった後、階調再現処理部149で、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)が施される。ただし、領域分離処理部144にて写真に分離された領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの2値化又は多値化処理が行われる。
【0170】
なお、画像形成装置のCPUは、ファクシミリの送信を行なう場合は、モデムを用いてなる送信装置16にて、相手先との通信手続きを行ない、送信可能な状態が確保されたときに、所定の形式で圧縮されたカラー画像(即ちカラー画像入力装置13で読み込まれたカラー画像を圧縮したもの)を画像メモリ11から読み出し、圧縮形式の変更等の必要な処理を施して、相手先に通信回線を介して順次送信する。
【0171】
ファクシミリを受信する場合、画像形成装置のCPUは、通信手続きを行ないながら相手先から送信されてくるカラー画像を受信してカラー画像処理装置14に入力し、カラー画像処理装置14では、受信したカラー画像を、不図示の圧縮/伸張処理部にて伸張処理を施す。伸張されたカラー画像は、必要に応じて、不図示の処理部で回転処理及び/又は解像度変換処理が行なわれ、出力階調補正部148での出力階調補正、及び階調再現処理部149での階調再現処理が施され、カラー画像出力装置15から出力される。
また、画像形成装置のCPUは、図示しないネットワークカード及びLANケーブルを介して、ネットワークに接続されたコンピュータ及び他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0172】
上記では、圧縮処理部143を領域分離処理部144の前段に設けた例を示しているが、圧縮処理部143を領域分離処理部144の後段に設け、領域分離処理の結果に基づいて、前景マスクを生成するようにしてもよい。また、圧縮処理部143から出力された画像データを、一旦、ハードディスクのような大容量記憶装置に蓄積しておき、ユーザからの印字要求に基づいて大容量記憶装置から読み出し、後段の処理を行なうようにしてもよい。
【0173】
実施の形態 3.
本発明は、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、本発明の画像圧縮方法を記録するものとすることもできる。
この結果、本発明の画像圧縮方法を行なうプログラムコードを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0174】
なお、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために、図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラムコード読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0175】
いずれの場合においても、格納されているコンピュータプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、プログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のコンピュータプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0176】
ここで、前記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にコンピュータプログラムを担持する媒体であっても良い。
【0177】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にコンピュータプログラムを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のコンピュータプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化され、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
前記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるコンピュータプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像圧縮方法が実行される。
【0178】
コンピュータシステムは、フラットベッド・スキャナ装置、フィルム・スキャナ装置、又はデジタル・カメラ等の画像入力装置、所定のコンピュータプログラムがロードされることにより前記画像圧縮方法等様々な処理が行われるコンピュータ、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスプレイ、又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置及びコンピュータの処理結果を記録シート等に出力するプリンタより構成される。更には、ネットワークを介してサーバ等に接続するための通信手段としてのネットワークカードやモデム等が備えられる。
【0179】
以下に、パーソナルコンピュータを用いてなる画像圧縮装置を例示する。
図20は、本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置の要部構成を示すブロック図である。
図中3は画像圧縮装置であり、画像圧縮装置3は、CPU30、ROM31、RAM32、表示部33、操作部34、HDD(ハードディスク)35、外部記憶部36及びI/F(インタフェース)37を備え、これらの装置各部はバス、信号線等を介して適宜に接続されている。
画像圧縮装置3はI/F37を介してネットワークNTに接続されており、ネットワークNTに接続されている他のパーソナルコンピュータと通信する。
【0180】
HDD35は画像圧縮装置3の補助記憶部であり、HDD35に対して各種のコンピュータプログラム、データ等が読み書きされる。
外部記憶部36は、例えばCD−ROMドライブを用いてなり、CPU30に制御されて、可搬性を有する記録媒体(例えば本実施の形態のコンピュータプログラムが記録されているCD−ROM4)からコンピュータプログラム、データ等を読み込む。読み込まれたコンピュータプログラム、データ等は、HDD35に書き込まれる。
【0181】
CPU30は画像圧縮装置3の制御中枢であり、主記憶部であるRAM32を作業領域として用い、ROM31及び/又はHDD35に記憶されたコンピュータプログラム、データ等に従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。
更に詳細には、パーソナルコンピュータのCPU30が、本発明のコンピュータプログラムに従って、前景マスク生成処理(後述する図21に示すS123参照)、ICテーブル及び前景レイヤ生成処理(同S124参照)等を含むカラー画像圧縮処理を実行することによって、パーソナルコンピュータが本実施の形態の画像圧縮装置3として機能する。
【0182】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、CPU30に制御されて、画像圧縮装置3の作動状態を示すメッセージ、ユーザに対する各種の指示を示すメッセージ等を表示する。操作部34は、例えばキーボード及びマウスを用いてなる。
【0183】
画像圧縮装置3のユーザは、表示部33を視認しながら操作部34を操作することによって、例えば画像描画用のソフトウェア、文書作成用のソフトウェア等を用いて、カラー画像を生成し、HDD35に記憶させる。また、ユーザは、HDD35に記憶されているカラー画像を圧縮してから、例えばe-mailに添付して送信するよう画像圧縮装置3を操作する。
以上では、パーソナルコンピュータを用いて画像圧縮装置を実現する例を示したが、本実施の形態の画像圧縮装置と色補正処理、フィルタ処理や中間調処理等、他の画像処理とを組み合わせてなる画像処理装置として実現するようにしてもよい。
【0184】
図21及び図22は、画像圧縮装置3で実行されるカラー画像圧縮処理の手順を示すフローチャートである。カラー画像圧縮処理は、例えばカラー画像の圧縮を所望するユーザの操作に応じて実行される。
CPU30は、1枚のカラー画像を受け付け(S121)、サイズ優先の圧縮モード及び画質優先の圧縮モードの何れか一方を受け付ける(S122)。ユーザは、表示部33を視認しながら操作部34を操作して、圧縮すべきカラー画像として、例えばHDD35に記憶されている1枚のカラー画像を指定し、また、圧縮モードを選択する。つまり、S122における操作部34は、選択手段として機能する。
【0185】
CPU30は、S121で受け付けたカラー画像に基づいて、前景マスクを生成する(S123)。S123におけるCPU30は、前景マスク生成手段として機能する。生成された前景マスクは、HDD35に記憶される。
次に、CPU30は、S121で受け付けたカラー画像及びS123で生成した前景マスクに基づいて、生成ICテーブル及び生成前景レイヤを生成する(S124)。S124におけるCPU30は、前景レイヤ生成手段及びテーブル生成手段として機能する。生成された生成ICテーブル及び生成前景レイヤは、HDD35に記憶される。
【0186】
CPU30は、生成ICテーブルに記憶されているデータに基づいて、前景の画素数を計数し(S125)、計数結果に基づいて、所定画素数Kを決定する(S126)。ここで、S126におけるCPU30は、画素数決定手段として機能する。
CPU30は、S122でサイズ優先の圧縮モードを受け付けたか否かを判定する(S127)。S127におけるCPU30は、減少判定手段として機能する。
【0187】
S122でサイズ優先の圧縮モードを受け付けた場合(S127でYES)、CPU30は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるための各種処理を実行する。
CPU30は、画素数が所定画素数K未満の前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正する(S128)。S128におけるCPU30は、テーブル置換手段として機能する。S128における処理の詳細な手順は、図10に示すサイズ優先のICテーブル処理の手順と同様である。このため、仮に、生成ICテーブルに、画素数が所定画素数K未満の前景識別子が記憶されていない場合でも、種類数Mに種類数Nが代入され、実質上は修正されなかった生成ICテーブル及び生成前景レイヤが修正ICテーブル及び修正前景レイヤとして扱われる。
【0188】
次いで、CPU30は、生成前景レイヤに含まれる各画素について、修正ICテーブルにおいて背景識別子に置換されている前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正する(S129)。S129におけるCPU30は、前景レイヤ修正手段として機能する。
【0189】
S129の処理終了後、CPU30は、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以下であるか否かを判定し(S131)、M≦Pである場合(S131でYES)、CPU30は、修正前景レイヤに基づいて、M枚の2値画像を生成し(S132)、生成した各2値画像を可逆圧縮する(S133)。S132及びS133におけるCPU30は、2値画像生成手段及び2値画像圧縮手段として機能する。
【0190】
次いで、CPU30は、カラー画像及び修正前景レイヤに基づいて、背景レイヤを生成し(S134)、生成した背景レイヤに、従来の背景レイヤに施すような各種の画像処理を施す(S135)。具体的には、CPU30は、S134で生成された背景レイヤの解像度を半分に低解像度化し、背景レイヤを全体的に平滑化するフィルタ処理を行ない、更に、弱めのコントラスト強調処理を行なう。
最後に、CPU30は背景レイヤを非可逆圧縮して(S136)、圧縮ファイルを生成する(S137)。このとき、生成された圧縮ファイルには、修正前景レイヤに基づくM枚の可逆圧縮画像と、背景レイヤに基づく1枚の非可逆圧縮画像と、修正ICテーブルとが含まれる。
S134及びS136におけるCPU30は、背景生成手段及び背景画像圧縮手段として機能する。
【0191】
一方、M>Pである場合(S131でNO)、CPU30は、修正前景レイヤに含まれる各画素について、全ての前景識別子を背景識別子に置換することによって、修正前景レイヤを再修正する(S138)。
次いで、CPU30は、カラー画像及びS138で再修正した修正前景レイヤ(即ち全置換前景レイヤ)に基づいて、背景レイヤを生成し(S139)、生成した背景レイヤに、この背景レイヤに含まれる画像を強調するような各種の画像処理を施す(S140)。具体的には、CPU30は、S134で生成された背景レイヤの解像度を変更せず、背景レイヤのエッジ部位は少し強調しつつ、エッジ部位以外は少し滑らかになるような混同フィルタ処理を行ない、更に、強めのコントラスト強調処理を行なう。
【0192】
S140の処理完了後、CPU30は、処理をS136へ移す。このとき、S137で生成される圧縮ファイルには、背景レイヤに基づく1枚の非可逆圧縮画像が含まれるが、前景レイヤに基づく可逆圧縮画像とICテーブルとは含まれない。
【0193】
S122で画質優先の圧縮モードを受け付けた場合(S127でNO)、CPU30は、前景識別子の種類数Nが所定種類数Pを超過し、且つ、所定種類数Q以下であるか否かを判定する(S141)。
P<N≦Qである場合は(S141でYES)、CPU30は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるための各種処理を実行する。以下では、生成ICテーブルに、画素数が所定画素数K未満の前景識別子が記憶されているものとする。
【0194】
CPU30は、画素数が所定画素数K未満であり、且つ、画素数が最小の前景識別子から順に、前景識別子の種類数Mが所定種類数P以上であるという条件下で、前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成ICテーブルを修正ICテーブルに修正する(S142)。S142における処理の詳細な手順は、図11に示す画質優先のICテーブル処理の手順と同様である。
次いで、CPU30は、生成前景レイヤに含まれる各画素について、修正ICテーブルにおいて背景識別子に置換されている前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正前景レイヤに修正し(S143)、処理をS131へ移す。
ここで、S142及びS143におけるCPU30は、テーブル置換手段及び前景レイヤ修正手段として機能する。
【0195】
P<N≦Qではない場合(S141でNO)、処理部220は、前景識別子の種類数Nが所定種類数P以下であるか否かを判定し(S144)、N≦Pである場合(S144でYES)、処理をS132へ移す。このとき、S132におけるCPU30は、生成前景レイヤに基づいてN枚の2値画像を生成し、S133においてN枚の2値画像夫々を可逆圧縮する。この結果、S137で生成される圧縮ファイルには、生成前景レイヤに基づくN枚の可逆圧縮画像と、背景レイヤに基づく1枚の非可逆圧縮画像と、生成ICテーブルとが含まれる。
一方、N>Qである場合(S144でNO)、CPU30は、生成前景レイヤに含まれる各画素について、全ての前景識別子を背景識別子に置換することによって、生成前景レイヤを修正し(S145)、処理をS139へ移す。
【0196】
以上のような画像圧縮装置3は、各1種類の可逆圧縮技術及び非可逆圧縮技術を用いて、同一の減色処理を反復して実行することなく、圧縮モードに応じて、圧縮後の画像の画質の高さとファイルサイズの小ささとを両立させることがきる。
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、画像圧縮装置1,3又は画像形成装置に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によってカラー画像圧縮処理を施されるカラー画像の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される前景マスクの一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される前景レイヤ及び背景レイヤの一例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行される画像読取処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される生成前景レイヤの各画素値を例示する模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される生成インデックス・カラー・テーブルの一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行される前景画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行される前景画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行されるサイズ優先のICテーブル処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行される画質優先のICテーブル処理手順のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって修正される修正前景レイヤ(サイズ優先)の各画素値を例示する模式図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって修正される修正インデックス・カラー・テーブル(サイズ優先)の一例を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって修正される修正前景レイヤ(画質優先)の各画素値を例示する模式図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって修正される修正インデックス・カラー・テーブル(画質優先)の一例を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される前景識別子“3”に係る2値画像の各画素値を例示する模式図である。
【図17】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置によって生成される前景識別子“5”に係る2値画像の各画素値を例示する模式図である。
【図18】本発明の実施の形態1に係る画像圧縮装置で実行される背景画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置の要部構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置で実行されるカラー画像圧縮処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施の形態3に係る画像圧縮装置で実行されるカラー画像圧縮処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0198】
1 画像圧縮装置
10 CPU
15 カラー画像出力装置(画像形成手段)
17 操作パネル(選択手段)
21 前景マスク生成部(前景マスク生成手段)
22 前景レイヤ生成部(前景レイヤ生成手段,テーブル生成手段,減少判定手段,テーブル置換手段,前景レイヤ修正手段,画素数決定手段)
23 2値画像生成部(2値画像生成手段)
24 2値画像圧縮部(2値画像圧縮手段)
25 背景レイヤ生成部(背景生成手段)
26 背景画像圧縮部(背景画像圧縮手段)
3 画像圧縮装置
30 CPU(各生成手段,減少判定手段,テーブル置換手段,前景レイヤ修正手段,2値画像圧縮手段,背景画像圧縮手段,画素数決定手段)
34 操作部(選択手段)
4 CD−ROM(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像を圧縮する画像圧縮方法において、
前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成し、
生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成し、
前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成し、
前景識別子の種類数をN種類未満に減少させる場合に、前記テーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させ、
前景識別子を背景識別子に置き換えたテーブルに基づいて、前記前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正し、
修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成し、
生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮し、
前記前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成し、
生成した背景レイヤを非可逆圧縮することを特徴とする画像圧縮方法。
【請求項2】
カラー画像を圧縮する画像圧縮装置において、
前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成する前景マスク生成手段と、
該前景マスク生成手段が生成した前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成する前景レイヤ生成手段と、
前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成するテーブル生成手段と、
前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定する減少判定手段と、
該減少判定手段が減少させると判定した場合に、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させるテーブル置換手段と、
該テーブル置換手段が前景識別子を背景識別子に置き換えたテーブルに基づいて、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正する前景レイヤ修正手段と、
該前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成する2値画像生成手段と、
該2値画像生成手段が生成したM枚の2値画像夫々を可逆圧縮する2値画像圧縮手段と、
前記前景レイヤ修正手段が修正した前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成する背景生成手段と、
前記背景生成手段が生成した背景レイヤを非可逆圧縮する背景画像圧縮手段と
を備えることを特徴とする画像圧縮装置。
【請求項3】
圧縮後の画像の画質の高さよりも前記画像のファイルサイズの小ささを優先する第1の圧縮態様、及び圧縮後の画像のファイルサイズの小ささよりも前記画像の画質の高さを優先する第2の圧縮態様の何れか一方を選択するための選択手段を更に備え、
該選択手段で選択された圧縮態様に応じて、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像圧縮装置。
【請求項4】
前記選択手段で、前記第1の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあり、
前記テーブル置換手段は、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を背景識別子に置き換えるようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の画像圧縮装置。
【請求項5】
前記選択手段で、前記第2の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが所定種類数P(Pは自然数)より多いときに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあり、
前記テーブル置換手段は、減少後の種類数Mが前記所定種類数P以上であるという条件下で、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている画素数の内、所定画素数より少ない画素数を有する前景識別子を、画素数が少ない前景識別子から順に背景識別子に置き換えるようにしてあることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像圧縮装置。
【請求項6】
前記選択手段で第2の圧縮態様が選択された場合、前記減少判定手段は、前景識別子の種類数Nが前記所定種類数Pより多く所定種類数Q(QはQ>Pの自然数)以下であるときに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させると判定するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の画像圧縮装置。
【請求項7】
前記減少判定手段が減少させないと判定した場合は、前記テーブル生成手段が生成したテーブルに記憶されている前景識別子の種類数Nが、前記所定種類数Pより多いときに、
又は、前記減少判定手段が減少させると判定した場合は、前記テーブル置換手段が減少させた種類数Mが、前記所定種類数Pより多いときに、
前記前景レイヤ修正手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる全ての前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正するようにしてあり、
前記2値画像生成手段による生成及び前記2値画像圧縮手段による圧縮を実行しないようにしてあり、
前記背景画像圧縮手段は、前記背景生成手段が生成した背景レイヤに、該背景レイヤに含まれる画像を強調する所定の画像処理を施して非可逆圧縮するようにしてあることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像圧縮装置。
【請求項8】
前記カラー画像のサイズ、又は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに含まれる前景に係る情報に応じて、前記所定画素数を決定する画素数決定手段
を更に備えることを特徴とする請求項3から7の何れかひとつに記載の画像圧縮装置。
【請求項9】
前記減少判定手段が減少させないと判定した場合、
前記2値画像生成手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、N種類の前景識別子に対応してN枚生成するようにしてあり、
前記2値画像圧縮手段は、前記2値画像生成手段が生成したN枚の2値画像夫々を可逆圧縮するようにしてあり、
前記背景生成手段は、前記前景レイヤ生成手段が生成した前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成するようにしてあることを特徴とする請求項2から8の何れかひとつに記載の画像圧縮装置。
【請求項10】
請求項2から9のいずれかひとつに記載の画像圧縮装置と、
記録シート上に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
コンピュータに、カラー画像を圧縮させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、前記カラー画像に基づいて、該カラー画像に含まれる文字及び/又は線画を表す前景の各画素を示す前景マスクを生成させる前景マスク生成ステップと、
コンピュータに、前記前景マスク生成ステップで生成された前景マスク及び前記カラー画像に基づいて、前記前景の各画素が有する色情報を、前記前景に含まれる色情報を識別するN(Nは自然数)種類の前景識別子に置き換え、背景の各画素が有する色情報を、背景であることを示す背景識別子に置き換えてなる前景レイヤを生成させる前景レイヤ生成ステップと、
コンピュータに、前記前景に含まれる色情報と、該色情報を識別する前景識別子と、該前景識別子を有する画素の画素数とを関連付けて記憶するテーブルを生成させるテーブル生成ステップと、
コンピュータに、前景識別子の種類数をN種類未満に減少させるか否かを判定させる減少判定ステップと、
コンピュータに、前記減少判定ステップで減少させると判定された場合に、前記テーブル生成ステップで生成されたテーブルに記憶されている画素数の多寡に基づいて、前記テーブルに含まれている1種類又は複数種類の前景識別子を背景識別子に置き換えることによって、前景識別子の種類数をM(MはM<Nの自然数)種類に減少させるテーブル置換ステップと、
コンピュータに、前記テーブル置換ステップで前景識別子を背景識別子に置き換えられたテーブルに基づいて、前記前景レイヤ生成ステップで生成された前景レイヤに含まれる前記前景識別子を背景識別子に置き換えてなる前景レイヤに修正させる前景レイヤ修正ステップと、
コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤに基づいて、1種類の前景識別子と該前景識別子以外の画素値とを2値化してなる2値画像を、M種類の前景識別子に対応してM枚生成させる2値画像生成ステップと、
コンピュータに、前記2値画像生成ステップで生成されたM枚の2値画像夫々を可逆圧縮させる2値画像圧縮ステップと、
コンピュータに、前記前景レイヤ修正ステップで修正された前景レイヤ及び前記カラー画像に基づいて、背景レイヤを生成させる背景生成ステップと、
コンピュータに、前記背景生成ステップで生成された背景レイヤを非可逆圧縮させる背景画像圧縮ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−35040(P2010−35040A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196929(P2008−196929)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】