説明

画像形成ユニット

【課題】感光ドラムと現像ローラとの最適な接触距離を容易に確保し、画像品質を向上させる。
【解決手段】静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体に現像剤を搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の両外側に配置され、前記像担持体に当接することにより、前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を調整する距離調整部材と、前記現像剤担持体の軸部材に、回転可能で、前記軸方向に移動可能に配置され、外周面が形成された距離調整補助部材とを備え、前記距離調整部材に形成された孔の内壁に前記距離調整補助部材の外周面を接触させて前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を規定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、電子写真プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等に用いられる画像形成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成ユニットは、静電潜像を形成する感光ドラムに、薄層化された現像剤を担持する現像ローラを接触させ、感光ドラム上の静電潜像に現像剤を供給して可視画像を形成する接触現像方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−108089号公報(段落「0012」〜段落「0013」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、感光ドラムと現像ローラとの接触部の円周方向の接触距離が、印刷品質に対して重要であり、その接触距離が小さくなると印刷結果の背景に現像剤が付着するかぶりや現像剤が不足する画像抜けが発生し、逆に接触距離が大きくなると現像剤が軟化して現像ローラや感光ドラムの表面に付着するフィルミングや現像剤の劣化を引き起こすことから、感光ドラムと現像ローラとの最適な接触距離を確保するため、各部品の寸法精度や組立精度を高精度化しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、感光ドラムと現像ローラとの最適な接触距離を容易に確保し、画像品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体に現像剤を搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の両外側に配置され、前記像担持体に当接することにより、前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を調整する距離調整部材と、前記現像剤担持体の軸部材に、回転可能で、前記軸方向に移動可能に配置され、外周面が形成された距離調整補助部材とを備え、前記距離調整部材に形成された孔の内壁に前記距離調整補助部材の外周面を接触させて前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を規定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、感光ドラムと現像ローラとの最適な接触距離を容易に確保し、画像品質を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例における距離調整部材の斜視図
【図2】第1の実施例における距離調整部材の内部構成を示す斜視図
【図3】第1の実施例における距離調整部材および現像ローラの断面図
【図4】第1の実施例における距離調整補助部材の一例を示す断面図
【図5】第1の実施例における距離調整補助部材の一例を示す断面図
【図6】第1の実施例における距離調整補助部材の変形例を示す断面図
【図7】第1の実施例における距離調整補助部材の変形例を示す断面図
【図8】第1の実施例における画像形成ユニットの検査状態を示す斜視図
【図9】第1の実施例における画像形成ユニットの検査状態を示す側面図
【図10】第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図
【図11】第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す断面図
【図12】第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略上面図
【図13】第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略側面図
【図14】第2の実施例における距離調整部材および距離調整補助部材の断面図
【図15】第2の実施例における現像ローラ距離離間状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による画像形成ユニットの実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図10は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図、図11は第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す断面図、図12は第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略上面図、図13は第1の実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略側面図である。
【0011】
まず、本発明による画像形成ユニットを搭載した画像形成装置の全体の構成を図10に基づいて説明する。
図10において、101は複写機、電子写真プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置であり、本実施例では、電子写真プリンタとして説明する。
【0012】
画像形成装置101は、画像形成装置101に対して着脱可能に配設され、現像剤像を形成する画像形成ユニット121〜124と、それぞれの画像形成ユニット121〜124に着脱可能に配設され、ユーザにより交換される現像剤収容器131〜134と、それぞれの画像形成ユニット121〜124の感光ドラムに光を照射する露光装置141〜144と、印刷媒体を収容する給紙カセット107と、給紙カセット107に収容された印刷媒体を給紙する給紙部108と、給紙された印刷媒体に画像形成ユニット121〜124で形成された現像剤像を転写する転写ベルトユニット105と、印刷媒体に転写された現像剤像を定着させる定着ユニット106と、画像形成ユニット121〜124を画像形成装置101から取り出す際に開閉する本体カバー109とにより構成されている。
【0013】
次に、画像形成ユニットの構成を図11、図12、および図13に基づいて説明する。なお、図10において画像形成ユニット121〜124、現像剤収容器131〜134、および露光装置141〜144は、それぞれ4個ずつ備えられた構成になっているが、4個とも同じ構成であり、現像剤収容器131〜134に関しては収納している現像剤の色(K:ブラック色、Y:イエロー色、M:マゼンタ色、C:シアン色)のみが異なるため、以下の説明では代表してブラック色の現像剤収容器131を備えた画像形成ユニット121の構成を説明するものとする。また、画像形成ユニット121の構成は、感光ドラム51の回転軸方向の両端部で同一であるため、片側の端部の構成を説明するものとする。
【0014】
図11、図12、および図13において、画像形成ユニット121は、静電潜像を担持する像担持体としての感光ドラム51と、感光ドラム51を帯電させる帯電装置52と、感光ドラム51に対向して配置され、印刷データに基づいて行われる露光装置141からの露光により、感光ドラム51上に記録される潜像上に現像剤54を供給(搬送)して現像剤画像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ53と、現像ローラ53に押圧されて接触した状態で配置され、現像ローラ53表面に現像剤層を形成する現像ブレード55と、現像ローラ53に現像剤54を供給する供給ローラ56と、感光ドラム51上の残留現像剤58を除去するクリーニング部57とにより構成されている。
【0015】
図12および図13に示すように、画像形成ユニット121は、感光ドラム51、帯電装置52、およびクリーニング部57を含む感光ドラムユニット60と、現像ローラ53、現像剤54、現像ブレード55、および供給ローラ56を含む現像ユニット70の2つのユニットにユニット化されている。
【0016】
感光ドラムユニット60と現像ユニット70とは、感光ドラムユニット60の両端部に配設された感光ドラムユニット支持フレーム61、62のそれぞれに形成された受け孔65、66に、現像ユニット70の両端に配設された現像ユニット支持フレーム71、72のそれぞれに形成された支持ポスト73、74が挿入され、感光ドラムユニット支持フレーム61、62に対して現像ユニット70が、図12における矢印A、図13における矢印Bが示す水平方向に移動可能に支持されて結合している。
【0017】
また、感光ドラムユニット支持フレーム61、62および現像ユニット支持フレーム71、72に端部が結合された付勢部材としてのスプリング75により、現像ユニット支持フレーム71、72が感光ドラムユニット支持フレーム61、62の方向に付勢され、現像ローラ53が感光ドラム51に押圧されて接触している。
【0018】
次に、距離調整部材の構成を図1の第1の実施例における距離調整部材の斜視図、および図2の第1の実施例における距離調整部材の内部構成を示す斜視図に基づいて説明する。
図1および図2において、現像ローラ53は、金属製の軸部材としてのシャフト部材53aを芯金とし、その周囲にシリコーン等の半導電性ゴムのゴム部材53bを被覆した構成であり、図示しない現像ユニット支持フレームに配設されたベアリング76に回転軸としてのシャフト部材53aが回転可能に支持されている。
【0019】
現像ローラ53の回転軸方向でゴム部材53bの両端部の外側には、ポリアセタール樹脂製の距離調整補助固定部材としての距離調整補助部材82が設けられている。この距離調整補助部材82は、中心部にシャフト部材53aの外径よりも僅かに大きい内径を有する孔が形成され、その孔の中心と同一の中心を有し、外径がシャフト部材53aの端部側(画像形成ユニットの外側)に向かって段階的に小さく変化(減少)する外周面82aが形成されている。また、距離調整補助部材82は、その距離調整補助部材82に形成された孔がシャフト部材53aに嵌入されて回転可能に支持されるとともに、回転軸方向の移動が規制されて支持されている。
【0020】
段階的に減少する距離調整補助部材82の外周面82aの外径は、感光ドラム51と現像ローラ53との距離に関わる部品の寸法のバラツキによる変動幅を4〜5段階で分割した変化量とし、例えばその変化量は直径で0.04mm〜0.08mm程度であり、最小と最大の外径差は0.15mm〜0.40mm程度となる。
【0021】
また、シャフト部材53aの回転軸方向外側に、距離調整補助部材82と対向し、所定の距離を保持して距離調整補助部材83が配置されている。この距離調整補助部材83は、距離調整補助部材82と対称形状であり、回転軸方向のシャフト部材53aの内側(画像形成ユニットの内側)に向かって外径が段階的に小さく変化(減少)する外周面83aが形成され、シャフト部材53aに回転可能に支持されるとともに、回転軸方向に移動可能に支持されている。
【0022】
この距離調整補助部材83の側面には、U字形状の凹部83cが形成されており、その凹部83cの凹面の中央には、凹面の中心に向かって突出する突起83bが形成されている。
距離調整補助部材83の凹部83cには、外径が凹部83cの内径(対向する内面の間隔)より僅かに小さく形成され、外周面にらせん状の溝が形成された移動レバ84が、そのらせん状の溝に突起83bが嵌合した状態で挿入されている。
【0023】
移動レバ84は、円柱形状部84a、シャフト部84b、および結合部84cからなり、そのシャフト部84bの一端部に、外周面にらせん状の溝が形成され、距離調整補助部材83の凹部83cに嵌合する円柱形状部84a、また他端部にマイナスドライバ等の工具と結合できる溝が形成された結合部84cが設けられ、円柱形状部84aから伸びるシャフト部84bが図示しない現像ユニット支持フレーム71により、回転可能に支持されている。
【0024】
画像形成ユニットの外部から工具により移動レバ84を回転させると円柱形状部84aのらせん状の溝が回転し、その溝に嵌合した突起83bをシャフト部材53aの軸方向に移動させる力が働き、その結果、距離調整補助部材83がシャフト部材53aの軸方向に移動する。
【0025】
移動レバ84の回転により、距離調整補助部材83がシャフト部材53aの軸方向に移動し、シャフト部材53aに支持された距離調整補助部材82と距離調整補助部材83との間には、所定の間隔が保持される。
【0026】
その距離調整補助部材82と距離調整補助部材83との間には、距離調整部材81が配設されている。この距離調整部材81は、中心部に距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の段階的に形成された外周面82a、83aの外径よりも大きい内径を有する孔が形成され、また現像ローラ53の外径より僅かに大きい外径を有する外周面81aが形成されたものである。
【0027】
このように形成された距離調整部材81は、現像ローラ53の回転軸方向でゴム部材53bの両端部の外側に配置され、その外周面81aが感光ドラム51の表面に当接することにより、現像ローラ53と感光ドラム51との距離を調整する。なお、本実施例において、現像ローラ53と感光ドラム51との距離とは、現像ローラ53の回転軸の中心と、感光ドラム51の表面との距離をいうものとする。
【0028】
距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外径が最も大きい外周面に、距離調整部材81の孔の内壁の両端部が接触するとき、距離調整部材81、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の各部品の回転軸は略同じになり、現像ローラ53は感光ドラム51の表面から所定の距離を保持して感光ドラム51から最も遠い位置に配置される。なお、距離調整部材81の外径は、現像ローラ53の外径に対して0.1mm〜0.2mm程度大きくなっている。
【0029】
現像ユニットに設けられた現像ローラ53、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83は、図13に示すスプリング75の付勢力によりその現像ユニット70が感光ドラム51に接近するため、その距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の同一外径の外周面82a、83aが距離調整部材81の孔の内壁の両端部に接触し、それと同時に、図3に示すように、距離調整部材81の外周面81aが感光ドラム51の表面に接触する。このことにより、感光ドラム51表面と現像ローラ53との距離が、距離調整部材81、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83によるシャフト部材53aの移動範囲L内で規定される。なお、図3において、81bは距離調整部材81の中心を示している。
【0030】
次に、距離調整補助部材の移動による距離調整部材の孔の内壁と距離調整補助部材の接触状態を図4および図5の第1の実施例における距離調整補助部材の一例を示す断面図に基づいて説明する。
【0031】
図4は移動レバ84により距離調整補助部材83を軸方向で画像形成ユニットの外側の方向へ移動させ、距離調整補助部材82と距離調整補助部材83との間隔を広げて距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の最も小さい外径の外周面82a、83aに距離調整部材81の孔の内壁の両端部を接触させた場合を示し、図5は移動レバ84により距離調整補助部材83を軸方向で画像形成ユニットの内側の方向へ移動させ、距離調整補助部材82と距離調整補助部材83との間隔を狭めて距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の最も大きい外径の外周面82a、83aに距離調整部材81の孔の内壁の両端部を接触させた場合を示している。
【0032】
図4において、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の最も小さい外径の外周面82a、83aに距離調整部材81の孔の内壁の両端部を接触させた状態では、距離調整部材81の孔の回転中心に対して距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の回転中心(シャフト部材53a)が感光ドラム51側に移動して距離調整部材81の外周面が感光ドラム51の表面に接触することにより、現像ローラ53の位置が感光ドラム51に最も近づき、現像ローラ53と感光ドラム51との距離が最も短くなるようになっている。
【0033】
一方、図5において、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の最も大きい外径の外周面82a、83aに距離調整部材81の孔の内壁の両端部を接触させた状態では、距離調整部材81の孔の回転中心に対して距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の回転中心(シャフト部材53a)が略同軸となって距離調整部材81の外周面が感光ドラム51の表面に接触することにより、現像ローラ53の位置が感光ドラム51から最も遠ざかり、現像ローラ53と感光ドラム51との距離が最も長くなるようになっている。
【0034】
以上の構成により、移動レバ84を回転させて距離調整補助部材83を距離調整補助部材82に対して所定の距離に移動させることにより、感光ドラム51の表面に外周が接触した距離調整部材81の孔の内壁に接触させる距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外周面82a、83aの外径が変更され、距離調整部材81の孔の中で現像ローラ53の中心の位置が移動することにより、感光ドラム51表面に対する現像ローラ53の回転軸との距離が変更される。
【0035】
なお、距離調整部材81、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の変形例として、図6に示すように、距離調整部材81の孔の内壁、並びに距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外周面を連続的に外径が変化する傾斜面として形成するようにしてもよい。また、図7に示すように、距離調整部材81の孔の内壁に傾斜面を形成し、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外周面に突起を形成するようにしてもよい。
【0036】
このように距離調整部材81、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83を形成しても感光ドラム51表面に対する現像ローラ53の回転軸との距離を変更することができる。また、感光ドラム51表面に対する現像ローラ53の回転軸との距離の調整を細かく行うことができる。
【0037】
また、本実施例では、感光ドラムと現像ローラが接触した状態で現像を行なう画像形成ユニットの構成として説明したが、感光ドラムと現像ローラが所定の距離を保持して離間した状態で現像を行なう画像形成ユニットの構成でも同様の効果が得られる。
【0038】
上述した構成の作用を画像形成ユニット組立て後の検査工程における調整動作で説明する。
図8は第1の実施例における画像形成ユニットの検査状態を示す斜視図、図9は第1の実施例における画像形成ユニットの検査状態を示す側面図である。
【0039】
上述した構成の画像形成ユニットが組立てられると、図8および図9に示すように感光ドラム51と現像ローラ53との接触部の回転軸方向における両端部に薄肉フィルム191が挿入され、図示しない駆動元より、画像形成ユニット121を動作させる。
画像形成ユニット121が動作すると、感光ドラム51および現像ローラ53は、それぞれ図9中矢印Cおよび矢印Dが示す方向へ回転し、表面の摩擦により薄肉フィルム191は図9中矢印Eが示す方向へ引き込まれる。
【0040】
この薄肉フィルム191が引き込まれる引き込み力を力測定器192で測定し、測定した引き込み力が所定の引き込み力と異なる場合、例えば測定した引き込み力が所定の引き込み力より小さい場合は、画像形成ユニット121の側面のドラムユニット支持プレート61に形成された孔61aに調整治具193を挿入し、図示しない移動レバ84の結合部84cと調整治具193を結合させ、所定の方向(時計方向)に所定量回転させることにより、距離調整補助部材83が現像ローラ53の回転軸方向で画像形成ユニット121の外側に移動し、図示しない距離調整部材81の孔の内壁が、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の一対の外周面82a、83aの一段小さい外径の外周面と接触するようになる。したがって、現像ローラ53と感光ドラム51との距離は短くなる。
【0041】
現像ローラ53と感光ドラム51との距離を短くした後、再度薄肉フィルム191の引き込み力を測定し、測定した引き込み力が所定の引き込み力になれば画像形成ユニットの調整を終了し、まだ測定した引き込み力が所定の引き込み力より小さい場合は、さらに距離調整補助部材83を移動させて図示しない距離調整部材81の孔の内壁に接触する距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外周面82a、83aを変更し、現像ローラ53と感光ドラム51との距離を短くする。
【0042】
一方、測定した引き込み力が所定の引き込み力より大きい場合は、画像形成ユニット121の側面のドラムユニット支持プレート61に形成された孔61aに調整治具193を挿入し、図示しない移動レバ84の結合部84cと調整治具193を結合させ、所定の方向(反時計方向)に所定量回転させることにより、距離調整補助部材83が現像ローラ53の回転軸方向で画像形成ユニット121の内側に移動し、図示しない距離調整部材81の孔の内壁が、距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の一対の外周面82a、83aの一段大きい外径の外周面82a、83aと接触するようになる。したがって、現像ローラ53と感光ドラム51との距離は長くなる。
【0043】
現像ローラ53と感光ドラム51との距離を長くした後、再度薄肉フィルム191の引き込み力を測定し、測定した引き込み力が所定の引き込み力になれば画像形成ユニットの調整を終了し、まだ測定した引き込み力が所定の引き込み力より大きい場合は、さらに距離調整補助部材83を移動させて図示しない距離調整部材81の孔の内壁に接触する距離調整補助部材82および距離調整補助部材83の外周面82a、83aを変更し、現像ローラ53と感光ドラム51との距離を長くする。
【0044】
上記の動作を画像形成ユニットの両側で行い、現像ローラ53と感光ドラム51との距離を調整し、薄肉フィルム191が引き込まれる引き込み力を所定の値になるようにする。
【0045】
以上説明したように、第1の実施例では、移動レバを回転させて一方の距離調整補助部材を他方の距離調整補助部材に対して所定の距離に移動させ、感光ドラムの表面に外周が接触した距離調整部材の孔の内壁に接触させる距離調整補助部材の外周面の外径を変更し、距離調整部材の孔の中で現像ローラの中心の位置を移動させるようにしたことにより、画像形成ユニット組立後に、外部からの容易な操作で感光ドラムの表面と現像ローラの回転軸との距離を所望の距離に合わせることができ、感光ドラムと現像ローラとの最適な接触距離を確保し、良好な画像品質を確保することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0046】
第2の実施例の構成は、距離調整部材および距離調整補助部材、距離調整補助部材を移動させる移動レバの構成が第1の実施例の構成と異なっている。
その第2の実施例の構成を図14の第2の実施例における距離調整部材および距離調整補助部材の断面図および図15の第2の実施例における現像ローラ距離離間状態を示す断面図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
まず、距離調整部材および距離調整補助部材の構成を図14に基づいて説明する。
図14において、現像ローラ53のシャフト部材53aには、第1の実施例と同様に、距離調整補助部材(距離調整補助固定部材)92および距離調整補助部材93が配設されている。その距離調整補助部材92および距離調整補助部材93には、第1の実施例と同様に、回転軸を中心として同形状の円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aがそれぞれ形成されている。
【0048】
円柱テーパ部92aは、回転軸方向における画像形成ユニットの外側に向けて連続的に外径が小さくなるように変化する傾斜面として形成され、円柱テーパ部93aは、回転軸方向における画像形成ユニットの外側に向けて連続的に外径が大きくなるように変化する傾斜面として形成されている。
【0049】
また、円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aは、対向するそれぞれの内側の部分では外径の変化が緩やかであり、対向するそれぞれの外側の部分では外径の変化が大きくなるように形成され、外径の変化率が異なる2種類の円錐状の傾斜面、すなわち傾斜角が異なる2種類の円錐状の傾斜面を有している。なお、本実施例では、傾斜角が異なる2種類の円錐状の傾斜面としたが、傾斜角が異なる3種類以上の円錐状の傾斜面としても良い。
【0050】
円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aの外径の変化が緩やかな部分は、その両端部の間で外径が0.15mm〜0.4mm程度変化するように形成され、この外径の変化量は、現像ローラ53の回転軸と感光ドラム51表面の距離を調整するためのものであり、第1の実施例と同様に、部品単体およびその部品の取り付けによる寸法誤差を修正できる量となっている。
【0051】
円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aの外径の変化が大きい部分は、その両端部の間で外径が1mm〜3mm程度変化するように形成されており、この外径の変化量は、距離調整部材91と接触した場合、現像ローラ53の表面と感光ドラム51の表面との間に隙間が形成されるように現像ローラ53が移動する際に必要な量となっている。
【0052】
距離調整部材91は、第1の実施例と同様に孔が形成され、距離調整補助部材92と距離調整補助部材93との間に配設されている。その孔の両端の開口部には、距離調整補助部材92および距離調整補助部材93の緩やかな円柱テーパ部92a、93aと同一の傾斜角で現像ローラ53の回転軸方向の両端部に向けて内径が大きくなるテーパ部が形成され、そのテーパ部は距離調整補助部材92および距離調整補助部材93の緩やかな円柱テーパ部92a、93aの傾斜面と接触する。
【0053】
距離調整部材91の外側中央部には、現像ローラ53の外径よりも大きい外径を有する外周面が形成され、その外周面が感光ドラム51の表面と接触するように配置されている。感光ドラム51の表面と接触する距離調整部材91の外周面の外径は、その外周面が感光ドラム51の表面に接触したとき、現像ローラ53と感光ドラム51との間に所定の距離の隙間が形成される外径となっている。
【0054】
また、移動レバ94は、第1の実施例と同様に、らせん状の溝が端部に形成され、現像ユニット支持フレーム71に回転可能に、軸方向に移動可能に支持されたものである。
距離調整補助部材93には、第1の実施例と同様に突起93bが形成され、この突起93bは、移動レバ94のらせん状の溝と噛み合っている。
【0055】
距離調整補助部材92および距離調整補助部材93との間には、一方の端部が距離調整補助部材92に、もう一方の端部が距離調整補助部材93に接触し、距離調整補助部材93を画像形成ユニットの外側へ付勢する付勢部材としてのスプリング95がシャフト部材53bの外周に配設されている。このスプリング95の付勢力により距離調整補助部材93は画像形成ユニットの外側に力を受けて移動しようとし、その結果突起93bと結合している移動レバ94が画像形成ユニットの外側方向に付勢力を受ける。
【0056】
画像形成ユニットの外側方向に付勢力を受けた移動レバ94は、装着されたリング状のストッパ96が現像ユニット支持フレーム71に当接した位置で軸方向の移動が規制される。
【0057】
画像形成装置には、画像形成ユニットを装着した際に、図12および図13に示す両端の感光ドラムユニット支持フレーム61、62を貫通して移動レバ94の端面を画像形成ユニットの内側に移動させるスイッチ97が配設されている。このスイッチ97が、図示しない制御部からの指令により図示しない駆動元より駆動を受けて画像形成ユニットの内側へ移動することで移動レバ94を画像形成ユニットの内側へ所定の距離、移動させることができるようになっている。
【0058】
このように移動レバ94が画像形成ユニットの内側へ移動することにより、図15に示すように距離調整補助部材93が画像形成ユニットの内側へ移動し、距離調整部材91の孔の内壁のテーパ部が、距離調整補助部材92および距離調整補助部材93の外径の変化が大きい円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aと接触することにより、現像ローラ53が感光ドラム51の表面から離間する。
【0059】
このように2種類の外径変化率を有する円柱テーパ部92a、93aが形成された2つの距離調整補助部材92、93の間隔を変化させることにより、距離調整部材91の孔の内壁が接触する円柱テーパ部92a、93aの外径が変わり、外径変化率が小さい円柱テーパ部92a、93aと接触する場合、現像ローラ53の回転軸と感光ドラム51の表面との距離を微小に調整することができ、また外径変化率が大きい円柱テーパ部92a、93aと接触する場合、現像ローラ53の回転軸と感光ドラム51の表面との距離を大きく変化させることができる。
【0060】
上述した構成の作用を図14および図15に基づいて説明する。
第1の実施例と同様に、画像形成ユニットが組み立てられると検査工程において現像ローラ53と感光ドラム51との距離が調整される。このとき、距離調整部材91の孔の内壁は、距離調整補助部材92および距離調整補助部材93の外径変化率の緩やかな円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aに接触し、移動レバ94のストッパ96が現像ユニット支持フレーム71に当接することにより、その状態が保持されている。
【0061】
調整が完了した後、画像形成装置に画像形成ユニットが装着され、印刷動作を行っている中でモノクロ画像の印刷指令を受けると、図示しない制御部および駆動元からの駆動により、ブラック以外の画像形成ユニットに対して画像形成装置のスイッチ97が画像形成ユニットの内側方向へ移動し、移動レバ94を画像形成ユニットの内側へ所定量移動させる。
【0062】
移動レバ94が画像形成ユニットの内側へ移動することにより、移動レバ94のらせん溝と突起93bとが結合した距離調整補助部材93が、スプリング95の付勢力に抗して画像形成ユニットの内側へ移動し、距離調整補助部材92および距離調整補助部材93の外径変化率の大きい円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aに距離調整部材91の孔の内壁が接触する。
【0063】
距離調整部材91の孔の内壁が外径変化率の大きい円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aに接触することにより、現像ローラ53は感光ドラム51の表面から所定距離、離間する。
この動作と同時に、制御部からの指令により、現像ユニットへの駆動の伝達が遮断され、画像形成ユニットは、現像ローラ53が感光ドラム51の表面から離間した状態で動作を停止し、転写ベルトユニットに接触している感光ドラム51のみが動作する。
【0064】
モノクロ印刷動作が完了すると、制御部からの指令により、スイッチ97は画像形成ユニットの外側へ移動し、移動レバ94の軸方向の規制が無くなり、移動レバ94および距離調整補助部材93はスプリング95の付勢力により画像形成ユニットの外側方向へ、移動レバ94のストッパ96が現像ユニット支持フレーム71に接触するまで移動する。
【0065】
移動レバ94のストッパ96が現像ユニット支持フレーム71に接触するまで移動すると、距離調整部材91の孔の内壁が外径変化率の緩やかな円柱テーパ部92aおよび円柱テーパ部93aに接触する。すなわち、距離調整部材91、距離調整補助部材92および距離調整補助部材93は、画像形成ユニットが組み立てられた後に調整された位置に戻る。
【0066】
以上説明したように、第2の実施例では、2種類の外径変化率を有する円柱テーパ部が形成された2つの距離調整補助部材を設けたことにより、第1の実施例の効果に加え、現像ローラ53の回転軸と感光ドラム51の表面との距離を微小に調整することができるという効果が得られる。
【0067】
また、距離調整部材91の孔の内壁が外径変化率の大きい円柱テーパ部と接触する場合、現像ローラ53の回転軸と感光ドラム51の表面との距離を大きく変化させることができ、印刷動作中に現像ローラと感光ドラムとを離間させることができるため、モノクロ印刷時に使用されない画像形成ユニットの現像ユニットの動作を停止させることができ、印刷品質の維持、部品の長寿命化を図ることができるという効果が得られる。
【0068】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、現像ローラと感光ドラムが接触する接触現像方式の画像形成ユニットに本発明を適用する例で説明したが、現像ローラと感光ドラムが接触しない非接触現像方式を使用する画像形成ユニットに本発明を適用することができ、またその画像形成ユニットを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、複合機等に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
51 感光ドラム
52 帯電装置
53 現像ローラ
53a シャフト部材
54 現像剤
55 現像ブレード
56 供給ローラ
57 クリーニング部
60 感光ドラムユニット
61、62 感光ドラムユニット支持フレーム
70 現像ユニット
71、72 現像ユニット支持フレーム
73、74 支持ポスト
75、95 スプリング
81、91 距離調整部材
82、83、92、93 距離調整補助部材
82a、83a、92a、93a 外周面
83b、93b 突起
83c 凹部
84、94 移動レバ
96 ストッパ
97 スイッチ
101 画像形成装置
121、122、123、124 画像形成ユニット
131、132、133、134 現像剤収容器
141、142、143、144 露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体に現像剤を搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の両外側に配置され、前記像担持体に当接することにより、前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を調整する距離調整部材と、
前記現像剤担持体の軸部材に、回転可能で、前記軸方向に移動可能に配置され、外周面が形成された距離調整補助部材とを備え、
前記距離調整部材に形成された孔の内壁に前記距離調整補助部材の外周面を接触させて前記像担持体と前記現像剤担持体との距離を規定することを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
請求項1の画像形成ユニットにおいて、
前記距離調整補助部材の外周面は、段階的に外径が変化していることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項3】
請求項1の画像形成ユニットにおいて、
前記距離調整補助部材の外周面は、連続的に外径が変化する傾斜面であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項4】
請求項3の画像形成ユニットにおいて、
前記距離調整補助部材の外周面は、傾斜角が異なる複数の傾斜面を有していることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項の画像形成ユニットにおいて、
前記現像剤担持体の軸部材に、回転可能で、前記軸方向に移動が規制されて配置され、前記距離調整補助部材の外周面と対称形状に形成された外周面を有し、前記距離調整補助部材と対向配置された距離調整補助固定部材を備え、
前記距離調整部材に形成された孔の内壁の両端部は、前記距離調整補助部材の外周面および前記距離調整補助固定部材の外周面に接触することを特徴とする画像形成ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−58364(P2012−58364A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199587(P2010−199587)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】