説明

画像形成装置、プログラムおよび移行期間設定方法

【課題】ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】待機モード・省エネルギーモードの状態遷移を記憶して、自身が使用される頻度・内容を学習し、省エネルギーモード移行時間を最適化する。これにより、ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置、プログラムおよび移行期間設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境保護、省エネルギーが取り上げられ、複写機やMFP(Multi Function Peripheral)などの設計においても、エナジースター、ZESM等の省エネルギーを目標として提唱されている規格に適合させるための努力が続けられている。これらの規格は省エネルギーを目的とし、待機状態(主電源オン後、使用されない状態が所定の時間経ったときに一部の電源供給を停止し、復帰指令を待つ状態)にある時、消費エネルギーに制限を設けたものである。
【0003】
現在、複写機やMFPで実施されている待機時における省エネルギーモード(以下、省エネモードという)は、消費電力の大きい定着ヒータをはじめ、操作パネル等の電源はオフ、あるいは低電力運転に切り替えられ、スキャナ部に於いては電源を一括してオフされることが一般的である。
【0004】
また、近年、複写機やMFPなどにおいては、一定時間経過すると定着ヒータの温度を下げて待機して消費電力を通常の待機時より節約する「予熱モード」、最後に機器を使用してから一定時間経過すると自動的に消費電力を低減する「低電力モード」、低電力モードに移行後、引き続き操作が行われなかった場合、電源を切ることなしに連続的に実現される第二の低電力状態である「スリープモード」、設定時間以上機器を使用しないと自動的に電源オフになる「オフモード」などの複数の省エネモードを適宜切り換えるようになっている。
【0005】
ところが、特に複数の省エネモードを有する複写機やMFPなどにおいては、複数の省エネモードがどのように違い、どのように設定すれば省エネルギーの効果が向上するのか、最適な設定はどうすればよいのか、などについて分かりづらい場合がある。
【0006】
また、従来の省エネモード移行時間はユーザが手入力で設定することになっているため、移行時間の設定を、任意の時間帯毎に分けるという使い方が困難である。例えば、営業時間中(例えば午前8時から午後6時まで)の移行時間は複写機やMFPなどの使用頻度が高いため長めに設定し、残業時間帯は使用頻度が小さいため移行時間を短めに設定して、省エネルギーの最適化を図るという使い方が理想的であるが、手入力での設定ということが足かせになって、現実的でない。
【0007】
そこで、特許文献1の画像形成装置では、1日における任意の時間範囲内の印刷回数を記憶し、1日の任意の時間範囲内において記憶した印刷回数が少ないときは、スリープモードへの移行時間を自動的に短くすることによりスリープモードに早く移行することで、省エネ性を向上させるようにしている。これによれば、ユーザが面倒な設定を行うことなく、各ユーザ環境に合わせて自動でスリープモード移行時間を短縮することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2003-145884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、省エネモードの移行時間の可変は「スリープモード」に限定されており、スリープモード以外の省エネモードについては、ユーザは面倒な作業を行なわなければならない。
【0010】
また、特許文献1の画像形成装置によれば、移行時間の最適化の度合いが不足している。例えば、ユーザが省エネルギー性の向上を図ってスリープモードへの移行時間を短く設定した場合(例えば1分でも良い)、かつその時間帯において実際は数分ごとに印刷があるとした場合、印刷があるたびにスリープモードからスタンバイモードへ定着温度を昇温させる時間と電力が必要になり、トータルで見ると移行時間を1分と設定したことが逆に電力のロスの増大(定着の昇温に要する電力など)につながる可能性がある。すなわち、移行時間の短縮だけでなく、場合によっては移行時間を増加させなければ、省エネの最適化は図れない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる画像形成装置、プログラムおよび移行期間設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する画像形成装置において、前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶手段と、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶手段と、前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶手段に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出手段と、前記消費電力算出手段により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出手段と、前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定手段と、を備える。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記移行時間設定手段は、前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、算出される毎に設定する。
【0014】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記移行時間設定手段は、前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、電源がオンされるタイミングで設定する。
【0015】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置において、前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶される前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移は、複数の任意の時間範囲で記憶され、前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、前記複数の任意の時間範囲に基づいて最適化される。
【0016】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置において、前記移行遷移記憶手段は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を時間帯毎に設定し、前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、時間帯毎に個別に最適化される。
【0017】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置において、前記移行遷移記憶手段は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を曜日毎および時間帯毎に設定し、前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、曜日毎および時間帯毎に個別に最適化される。
【0018】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載の画像形成装置において、前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、ユーザに対して報知する報知手段を備える。
【0019】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像形成装置において、前記消費電力算出手段による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出手段による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについて、ユーザによる選択が可能である。
【0020】
また、請求項9にかかる発明は、請求項1ないし8のいずれか一記載の画像形成装置において、前記消費電力算出手段による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出手段による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出は、当該装置が非稼動時のモード中に実行する。
【0021】
また、請求項10にかかる発明は、請求項1ないし9のいずれか一記載の画像形成装置において、前記移行遷移記憶手段は、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報についての前記記憶装置における記憶上限を設けている。
【0022】
また、請求項11にかかる発明は、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像形成装置において、追加可能な周辺機器ごとの前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値を前記記憶部に記憶する機器電力基準値記憶手段をさらに備え、前記周辺機器を追加した場合、前記消費電力算出手段は、前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている消費電力基準値および前記機器電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている当該周辺機器の消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する。
【0023】
また、請求項12にかかる発明は、待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶機能と、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶機能と、前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶機能に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出機能と、前記消費電力算出機能により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出機能と、前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定機能と、を前記コンピュータに実行させる。
【0024】
また、請求項13にかかる発明は、請求項12記載のプログラムにおいて、前記移行時間設定機能は、前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、算出される毎に設定する。
【0025】
また、請求項14にかかる発明は、請求項12記載のプログラムにおいて、前記移行時間設定機能は、前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、電源がオンされるタイミングで設定する。
【0026】
また、請求項15にかかる発明は、請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶される前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移は、複数の任意の時間範囲で記憶され、前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、前記複数の任意の時間範囲に基づいて最適化される。
【0027】
また、請求項16にかかる発明は、請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記移行遷移記憶機能は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を時間帯毎に設定し、前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、時間帯毎に個別に最適化される。
【0028】
また、請求項17にかかる発明は、請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記移行遷移記憶機能は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を曜日毎および時間帯毎に設定し、前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、曜日毎および時間帯毎に個別に最適化される。
【0029】
また、請求項18にかかる発明は、請求項12ないし17のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、ユーザに対して報知する報知機能を前記コンピュータに実行させる。
【0030】
また、請求項19にかかる発明は、請求項12ないし18のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記消費電力算出機能による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出機能による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについて、ユーザによる選択が可能である。
【0031】
また、請求項20にかかる発明は、請求項12ないし19のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記消費電力算出機能による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出機能による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出は、当該装置が非稼動時のモード中に実行する。
【0032】
また、請求項21にかかる発明は、請求項12ないし20のいずれか一記載のプログラムにおいて、前記移行遷移記憶機能は、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報についての前記記憶装置における記憶上限を設けている。
【0033】
また、請求項22にかかる発明は、請求項12ないし21のいずれか一記載のプログラムにおいて、追加可能な周辺機器ごとの前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値を前記記憶部に記憶する機器電力基準値記憶機能をさらに前記コンピュータに実行させ、前記周辺機器を追加した場合、前記消費電力算出機能は、前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている消費電力基準値および前記機器電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている当該周辺機器の消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する。
【0034】
また、請求項23にかかる発明は、待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する画像形成装置における移行期間設定方法であって、前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶工程と、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶工程と、前記移行遷移記憶工程により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶工程に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出工程と、前記消費電力算出工程により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶工程により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出工程と、前記移行時間最適値算出工程により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0035】
請求項1,12,23にかかる発明によれば、待機モード・省エネルギーモードの状態遷移を記憶して、自身が使用される頻度・内容を学習し、省エネルギーモード移行時間を最適化することにより、ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる、という効果を奏する。
【0036】
また、請求項2,13にかかる発明によれば、算出された省エネルギー化に最も適した移行時間を、算出される毎に設定することにより、移行時間の最適化を図ることができる、という効果を奏する。
【0037】
また、請求項3,14にかかる発明によれば、算出された省エネルギー化に最も適した移行時間を、電源がオンされるタイミングで設定することにより、移行時間の最適化を図ることができる、という効果を奏する。
【0038】
また、請求項4,15にかかる発明によれば、移行時間が複数の任意の時間範囲に基づいて最適化されるので、精度を高めることができる、という効果を奏する。
【0039】
また、請求項5,16にかかる発明によれば、移行時間は時間帯毎に個別に最適化されることにより、それぞれの時間範囲において(例えば、午前中、昼休み時間中、午後、残業時間、深夜などの時間帯で)細かに最適な省エネルギーモードの移行時間を自動設定することが可能であり、更に省エネルギー性の促進を図ることができる、という効果を奏する。
【0040】
また、請求項6,17にかかる発明によれば、曜日毎(例えば、平日と休日)にも最適な省エネルギーモードの移行時間を設定可能であるので、更に省エネルギー性の促進を図ることができる、という効果を奏する。
【0041】
また、請求項7,18にかかる発明によれば、省エネルギーモードの移行時間をユーザが確認することができる、という効果を奏する。
【0042】
また、請求項8,19にかかる発明によれば、省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについてユーザ自身で選択可能にしているので、ユーザの使い勝手を向上させることができる、という効果を奏する。
【0043】
また、請求項9,20にかかる発明によれば、移行時間の算出というシミュレーション処理は非稼動時に行っているので、CPUのリソースが空いているときに処理が可能であり、CPUの高性能化などハードウェアのコストアップを招くことなく、最適な移行時間の算出ができる、という効果を奏する。
【0044】
また、請求項10,21にかかる発明によれば、記憶領域の節約を図ることができる、という効果を奏する。
【0045】
また、請求項11,22にかかる発明によれば、周辺機器を追加で接続することにより待機モード時や低電力モード時の負荷が増えても、適切な省エネモード移行時間の算出に柔軟に対応することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、プログラムおよび移行期間設定方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0047】
本発明の実施の一形態を図1ないし図18に基づいて説明する。本実施の形態は画像形成装置として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称されるデジタル複合機を適用した例である。
【0048】
図1は、本発明の実施の一形態にかかるデジタル複合機1000を概略的に示す構成図である。本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、後処理装置であるフィニシャ100とスキャナ部200とプリンタ部300とで構成されている。
【0049】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、操作部400(図2参照)のアプリケーション切り替えキーにより、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっており、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。ここでは、複写モードにおける画像形成の流れを例に挙げ、図1を参照して説明する。
【0050】
まず、デジタル複合機1000のスキャナ部200について説明する。スキャナ部200は、概略的には、自動原稿送り装置(以後、ADF(Auto Document Feeder)という。)1と読み取りユニット50とで構成されている。
【0051】
ADF1の原稿台2に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部400上のプリントキー(図示せず)が押下されると、一番下の原稿から給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。なお、デジタル複合機1000は、1枚の原稿をコンタクトガラス6上の所定の位置に給送完了する毎に原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有している。
【0052】
コンタクトガラス6上の所定の位置に給送された原稿は、読み取りユニット50によって画像データを読み取られる。
【0053】
ここで、読み取りユニット50について詳述する。読み取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されている。光学走査系は、露光ランプ51、第1ミラー52、レンズ53、CCDイメージセンサ54等で構成されている。露光ランプ51および第1ミラー52は、図示しない第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー55および第3ミラー56は、図示しない第1キャリッジ上に固定されている。この光学走査系は、図示しないスキャナ駆動モータにて駆動される。本実施の読み取りユニット50は、コンタクトガラス6上に原稿が搭載された場合に、露光ランプ51を点灯し、第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式と、露光ランプ51を点灯し、第1キャリッジおよび第2キャリッジは停止した状態のまま、ADF1によって搬送される原稿を読み取る読み取り方式が選択可能である。第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式の場合には、原稿像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジと第2キャリッジとが2対1の相対速度で副走査方向に機械的に走査される。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換されて出力される。CCDイメージセンサ54からの出力信号は、ADコンバータによりデジタルデータ(画像データ)に変換される。
【0054】
デジタルデータに変換された原稿画像情報は、例えばプリンタ部300に送られてプリント出力として画像情報の出力が行なわれる場合や、あるいは記憶装置に送られて入力画像情報の記憶が行なわれる場合等、種々あり、各々のスキャナ部200の情報として使用されている。
【0055】
読み取りユニット50によって画像データの読み取りが終了した原稿は、給送ベルト4および排送ローラ5によって排出される。
【0056】
さらに、原稿セット検知7にて原稿台2に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様に、次の原稿がコンタクトガラス6上に給送される。
【0057】
上述した給送ローラ3、給送ベルト4、排送ローラ5は、それぞれ搬送モータ(図示せず)によって駆動される。
【0058】
次に、デジタル複合機1000のプリンタ部300について説明する。プリンタ部300は、概略的には、作像ステーション70と定着ユニット17と給紙部80と両面給紙ユニット111とで構成されている。
【0059】
作像ステーション70は、電子写真方式で作像するものであり、書き込みユニット57と感光体15と現像ユニット27と転写部としても機能する搬送ベルト16とを主体として構成されている。
【0060】
給紙部80は、第1トレイ8と第2トレイ9と第3トレイ10と第1給紙装置11と第2給紙装置12と第3給紙装置13と縦搬送ユニット14とにより構成されている。第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10に積載された転写紙Pは、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。
【0061】
読み取りユニット50にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット57から出力されるレーザビームによって感光体15に書き込まれ、現像ユニット27を通過することによってトナー像が形成される。書き込みユニット57は、レーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、レーザ出力ユニット58の内部には、レーザ光源であるレーザダイオードおよびモータによって高速で定速回転する多角形ミラー(ポリゴンミラー)が備わっている。なお、特に図示しないが、感光体15の一端近傍のレーザビームを照射される位置に、主走査同期信号を発生するビームセンサが配置されている。
【0062】
感光体15上のトナー像は、感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送される転写紙Pに転写される。その後、定着ユニット17に搬送されて画像を定着された転写紙Pは、排紙ユニット18によって後処理装置であるフィニシャ100に排出される。
【0063】
後処理装置のフィニシャ100は、排紙ユニット18の排紙ローラ19によって搬送された転写紙Pを、通常排紙ローラ102方向とステープル処理部方向へと切り替えて導くことができる。より詳細には、後処理装置であるフィニシャ100は、切り替え板101を上に切り替えることにより、搬送ローラ103を経由して通常の排紙トレイ104側に転写紙Pを排紙することができ、切り替え板101を下方向に切り替えることで、搬送ローラ105、107を経由して、ステープル台108に転写紙Pを搬送することができる。
【0064】
ステープル台108に積載された転写紙Pは、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙P群は、自重によってステープル完了排紙トレイ110に収納される。
【0065】
一方、フィニシャ100の通常の排紙トレイ104は、前後に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
【0066】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、転写紙Pの両面に画像を作像可能である。転写紙Pの両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され作像された転写紙Pを排紙トレイ104側に導かないで、排紙ユニット18の経路切り替えの為の分岐爪112を上側にセットすることで、一旦両面給紙ユニット111にストックする。その後、両面給紙ユニット111にストックされた転写紙Pは、再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、反転された状態で両面給紙ユニット111から再給紙され、下側にセットされた分岐爪112を介して排紙トレイ104に導かれる。このように、転写紙Pの両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット111は使用される。また、画像の載った転写紙Pの裏面に印字を行なう際にも両面給紙ユニット111を用いて転写紙Pの裏表を変えることができる。
【0067】
なお、上述した感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット27、フィニシャ100は、メインモータ(図示せず)によって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータの駆動を各々給紙クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。縦搬送ユニット14は、メインモータの駆動を中間クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。
【0068】
図2は、デジタル複合機1000のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、このデジタル複合機1000は、コントローラ1101とプリンタ部300及びスキャナ部200とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ1101は、デジタル複合機1000全体の制御と描画、通信、操作部400からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部300又はスキャナ部200には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0069】
コントローラ1101は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)1111と、システムメモリ(MEM−P)1112と、ノースブリッジ(NB)1113と、サウスブリッジ(SB)1114と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1116と、ローカルメモリ(MEM−C)1117と、ハードディスクドライブ(HDD)1118とを有し、NB1113とASIC1116との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス1115で接続した構成となる。また、MEM−P1112は、ROM(Read Only Memory)1112aと、RAM(Random Access Memory)1112bとをさらに有する。
【0070】
CPU1111は、デジタル複合機1000の全体制御を行うものであり、NB1113、MEM−P1112およびSB1114からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0071】
NB1113は、CPU1111とMEM−P1112、SB1114、AGPバス1115とを接続するためのブリッジであり、MEM−P1112に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0072】
MEM−P1112は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM1112aとRAM1112bとからなる。ROM1112aは、CPU1111の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM1112bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0073】
SB1114は、NB1113とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB1114は、PCIバスを介してNB1113と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部1104なども接続される。
【0074】
ASIC1116は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス1115、PCIバス、HDD1118およびMEM−C1117をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC1116は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC1116の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C1117を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部300やスキャナ部200との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC1116には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)1121、USB(Universal Serial Bus)1122、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース1123が接続される。
【0075】
MEM−C1117は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD1118は、画像データの蓄積、CPU1111の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0076】
AGPバス1115は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P1112に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0077】
図3は、デジタル複合機1000の電源供給系を示すブロック図である。図3に示すように、このデジタル複合機1000は、コントローラ1101や操作部400などのコントローラ系負荷を含むシステム管理部500と、スキャナ部200やプリンタ部300などのエンジン系負荷を含むエンジンユニット部600とに対し、電源ユニット部700からそれぞれ電力を供給する。電源ユニット部700は、システム管理部500に対して電力を供給する直流電源701と、エンジンユニット部600に対して電力を供給する直流電源702と、プリンタ部300の定着ユニット17に対して電力を供給するヒータ駆動部703とで構成されている。図3に示すSWは、主電源スイッチである。
【0078】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000のコントローラ1101がプログラムに従って実現する待機時に省電力化を図る省エネルギーモード(以下、省エネモードという)機能について簡単に説明する。デジタル複合機1000で実施される待機時における省エネモードは、消費電力の大きい定着ユニット17の定着ヒータや操作部400等の電源はオフあるいは低電力運転に切り替え、スキャナ部200においては電源を一括してオフする。より詳細には、デジタル複合機1000は、下記に示す3種類の省エネモードを備えている。
低電力モード:最後に機器を使用してから一定時間経過した場合に、エンジン系負荷の一部を除いて電源供給停止+定着温度を下げる。
スリープモード:低電力モードに移行後、引き続き操作が行われなかった場合、エンジン系負荷への電源供給を停止する。
オフモード:設定時間以上機器を使用しない場合に、エンジン系負荷は全て、コントローラ系負荷は一部を除いて電源供給停止する。
【0079】
なお、スリープモードは、オプション追加によりプリンタ機能やスキャナ機能を有した場合に有効となる。オフモードは、コピー機能しか有しない場合に有効となる。よって、スリープとオフモードは、デジタル複合機1000がどのような機能を有しているかにより、一方の機能のみ有効になる。すなわち、スリープモードとオフモードは、排他の関係にある。
【0080】
このようなデジタル複合機1000においては、待機モードと省エネモードにおける消費電力基準値と、省エネモードから待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とが、コントローラ1101のMEM−C1117やHDD1118などの記憶部に消費電力基準値テーブルとして記憶されている。図4は、消費電力基準値テーブルT1を示す模式図である。図4に示す消費電力基準値テーブルT1に格納されている消費電力基準値は、設計段階で測定した数値をもとに決められている。なお、省エネモードから待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とは、低電力モード、スリープ/オフモードにおいては、省エネルギーのために定着ローラ温度が引き下げられており(例えば、低電力モード時の定着温度は120℃)、それをコピー可能な定着ローラ温度まで引き上げるため(例えば、コピー可能の定着温度は180℃)、大電力(ヒータ電力)をある一定時間加える必要があり、そのために発生する消費電力である。ここに、消費電力基準値記憶手段が実現されている。
【0081】
また、デジタル複合機1000においては、待機モードから省エネモードへの移行時間とその可変範囲とが、コントローラ1101のMEM−C1117やHDD1118などなどの記憶部に移行時間テーブルとして記憶されている。図5は、移行時間テーブルT2を示す模式図である。図5に示す待機モードから省エネモードへの移行時間の初期値や可変範囲は、製品出荷時に設定されている数値である。なお、移行時間の初期値と可変範囲は、必ずしも図5に示す数値である必要は無い。例えば、図5ではスリープ/オフモードの可変範囲を60分〜240分の間に設定しているが、1分〜240分にしても良い。
【0082】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000が備える特徴的な機能である省エネモードの移行時間算出機能について説明する。本実施の形態のデジタル複合機1000は、図4に示す消費電力基準値テーブルT1に基づいて消費電力を最小化できる各省エネモードの移行時間を算出する。
【0083】
デジタル複合機1000のコントローラ1101は、待機モードと省エネモード移行の遷移を、コントローラ1101のMEM−C1117やHDD1118などの記憶部に記憶する。ここに、移行遷移記憶手段が実現されている。以下において、一例を挙げて説明する。
【0084】
図6は、デジタル複合機1000の動作モードの遷移の一例を示す遷移図である。図6には、午前9時にデジタル複合機1000の電源がONされて以降(約1時間)のデジタル複合機1000のモード遷移が示されている。図6の例では、午前9時に電源スイッチがONされ、制御系が起動した後、定着温度を昇温するウォームアップが行われる。ウォームアップ終了後、待機モードに移行し、更に一定時間使用されない状態が続いたので、低電力モードに移行している。その後、コピー動作が必要になったため、低電力モードからの復帰が行われ、復帰後にコピーが実施されている。コピー終了後、直ちに待機モードに移行し、再度一定時間使用されない状態が続いて低電力モード、更にオフモードに移行している。
【0085】
デジタル複合機1000のコントローラ1101は、図6に示す例のような動作モードの遷移があった場合には、MEM−C1117やHDD1118などには図7に示すような待機・省エネモードの遷移情報を記憶する。そして、デジタル複合機1000のコントローラ1101は、任意の時間範囲内における待機・省エネモードが移行した時間と、移行回数、そして省エネモードからの復帰時間・回数などの情報をMEM−C1117やHDD1118などに蓄積していく。
【0086】
上述したように任意の時間範囲内における待機モードと省エネモードの遷移情報を時系列で記憶していくが、最適な移行時間の算出に使用する元データは1つではなく、複数個あるほうが望ましい。この場合、移行時間が複数の任意の時間範囲に基づいて最適化されるので、精度を高めることができる。例えば、1週間単位で、任意の時間帯ごとの移行時間を算出する場合、1ヶ月あるいは2週間以上の遷移情報を記憶し、これを元に、最適な移行時間の算出をすると精度がよい。1ヶ月以上の遷移情報を利用することも可能であるが、MEM−C1117やHDD1118などの記憶容量が無限ではないことから、1ヶ月や2ヶ月、あるいは2週間や1週間、あるいは1日や2日などの期間を区切って、遷移情報を記憶し、記憶している情報をもとに最適な移行時間の算出をするのが望ましい。
【0087】
次に、省エネモードの移行時間の最適値の算出について説明する。
【0088】
まず、省エネモードの移行時間の最適値の算出例として、18分サイクルでコピーが実施される場合について説明する。なお、待機モードから低電力モードへの移行時間は、まずは初期値の15分が設定されているとする。この場合の遷移情報は、図8に示すようになる。なお、実際は低電力モードからの復帰後にコピーが行われているが、前述したように、待機・省エネモードの遷移情報のみが記憶されている。
【0089】
次に、図8の待機・省エネモードの移行時間および省エネモードからの復帰回数と、図4に示す消費電力基準値テーブルT1に格納されている消費電力基準値とに基づいて、図8に示す60分における消費電力を算出する。ここに、消費電力算出手段が実現されている。
【0090】
図8に示すように、待機モードは合計49分30秒、低電力モードは合計9分、低電力から復帰回数は合計3回なので、これらと図4に示す消費電力基準値テーブルT1に格納されている消費電力基準値から、以下のように計算できる。
350Wh×(49.5/60分)+200Wh×(9/60分)+2500W×(1.5/60)=288.75Wh+30Wh+62.5Wh=381.25Wh
【0091】
次いで、図8の条件において、低電力モードの最適な移行時間を1分〜60分に振って、シミュレーションする。
【0092】
例えば図9に示すように、図8のコピーサイクルで低電力モードへの移行時間を1分に設定した場合、消費電力はどのようになるかを試算する。待機モードは合計4分、低電力モードは合計54分30秒、低電力から復帰回数は合計3回となるので、これらと図4に示す消費電力基準値テーブルT1に格納されている消費電力基準値から、以下のように計算できる。
350Wh×(4/60分)+200Wh×(54.5/60分)+2500W×(1.5/60)=23.33Wh+181.67Wh+62.5=267.5Wh
【0093】
同様に、低電力モードへの移行時間を18分に設定した場合を試算する。18分にした場合、低電力モードへ移行する前にコピーが行われることになるため、この考え方では、結果として待機モードが60分続くことになる。よって、待機モードが1時間続いた場合の消費電力は、350Whである。
【0094】
したがって、上記により、
低電力モードへの移行時間:1分のとき → 消費電力:267.5Wh
低電力モードへの移行時間:15分のとき → 消費電力:381.25Wh
低電力モードへの移行時間:18分以上のとき → 消費電力:350Wh
であるから、18分サイクルでコピーが行われる場合は、低電力モードへの移行時間は「1分」にするのが、最も省エネルギー化を図ることができることが分かる。
【0095】
以上のように、任意の時間範囲内における待機モードと省エネモードの遷移情報と、待機・省エネモードの消費電力基準値と、省エネモードからの復帰時の消費電力基準値から、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出することができる。ここに、移行時間最適値算出手段が実現されている。
【0096】
図10は、18分サイクルでコピーが行われる場合において移行時間を1分〜60分に振ったときのシミュレーション結果である。図10に示すように、18分サイクルでコピーが行われる場合は、低電力モードへの移行時間は「1分」にするのが、最も省エネルギー化を図ることができる。
【0097】
次に、省エネモードの移行時間の最適値の算出例として、5分サイクルでコピーが実施される場合について説明する。
【0098】
前述したように18分サイクルでコピーが行われる例においては、低電力モードへの移行時間をMin値に設定した場合に、最も省エネルギー化を図ることができた。しかしながら、必ずしもMin値に設定することが最も省エネルギー化を図ることができるとはいえない。この点について説明する。なお、待機モードから低電力モードへの移行時間は、まずは初期値の15分が設定されているとする。
【0099】
5分サイクルでコピーが行われ、かつ低電力への移行時間が15分のときの非動作時の消費電力を算出する。低電力へ移行する前にコピーが行われることになるため、この想定では、結果として待機モードが60分続くことになるので、以下のように算出できる。よって、待機モードが1時間続いた場合の消費電力は、350Whである。
【0100】
ここで、仮に、低電力モードへの移行時間を1分に設定した場合、消費電力はどのようになるかを検討する。待機モードは合計11分、低電力モードは合計44分、低電力から復帰回数は合計10回となるので、これらと図4に示す消費電力基準値テーブルT1に格納されている消費電力基準値から、以下のように計算できる。
350Wh×(11/60分)+200Wh×(44/60分)+2500W×(5/60)=64.17Wh+144.67Wh+208=416.8Wh
【0101】
したがって、上記により、
低電力モードへの移行時間:1分のとき → 消費電力:416.8Wh
低電力モードへの移行時間:5分以上のとき → 消費電力:350Wh
であるから、5分サイクルでコピーが行われる場合は、低電力モードへの移行時間をMinの1分に設定してしまうと、復帰時の電力を多く消費して、結果的に低電力モードへの移行時間が15分のときよりも、消費電力が多くなってしまう。したがって、5分サイクルでコピーが行われる場合(言い換えれば、60分の時間範囲内において10回のコピーが行われる場合)は、低電力モードへの移行時間は5分以上に設定することが望ましいと言える。
【0102】
以上は低電力モードの移行時間最適値の算出例であるが、スリープ/オフモードも組み合わせて、低電力とスリープ/オフモードの両方の最適な移行時間を算出する場合も、基本的な計算(アルゴリズム)は同様である。
【0103】
上記方法にて算出された省エネモードの移行時間の最適値は、算出直後に図5に示す移行時間テーブルT2に対して自動的に(ユーザの手を煩わせることなく)書き替えられる。ここに、移行時間設定手段が実現されている。なお、算出毎に書き換えられても良いし、デジタル複合機1000が電源OFF→ONされるたびに、あらかじめ算出して記憶しておいた最適値を、電源ONされるタイミングで書き換えても良い。1日1回、あるいは1週間に1回最適値を書き換えるようにしても良い。
【0104】
次に、上述したような省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行するタイミングについて説明する。省エネモードの移行時間の最適値の算出処理は、任意の時間範囲を経過する毎に、待機モードの時間中に実施しても良いし、1日のある時間を指定し、その時間を過ぎた後の待機モードの時間中に算出しても良い。どちらにせよ、デジタル複合機1000がコピー、プリント、スキャナなどの動作をしていない低負荷な待機モード、あるいは省エネモードのときに、移行時間の算出(シミュレーション)をすることが、デジタル複合機1000のCPU1111やコピーパフォーマンスなどに悪影響を与えないため、望ましい。これにより、移行時間の算出というシミュレーション処理は非稼動時に行っているので、CPU1111のリソースが空いているときに処理が可能であり、CPU1111の高性能化などハードウェアのコストアップを招くことなく、最適な移行時間の算出ができる。
【0105】
第1のタイミングとしては、主電源スイッチSWをONしたタイミングで、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行するタイミングが挙げられる。ここで、図11は主電源スイッチON時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、主電源スイッチSWがONされると、デジタル複合機1000内の直流電源701,702が起動して直流電圧を生成して、生成した直流電圧をシステム管理部500とエンジンユニット部600とにそれぞれ供給し、制御系を起動させる。システム管理部500とエンジンユニット部600との各制御系が起動すると、ソフトの初期設定、スキャナ部200のホーミングなどが実施されるとともにウォームアップが行われる(ステップS1)。
【0106】
ソフトの初期設定を実施後、コントローラ1101にて、省エネモード移行時間の自動設定が有効か無効かを判定する(ステップS2)。本実施の形態のデジタル複合機1000においては、図12に示すような省エネモード移行時間の自動設定の有効/無効の選択画面を操作部400に表示させ、ユーザが省エネモード移行時間の自動設定を有効にするか無効にするかを選択できるようになっている。これにより、省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについてユーザ自身で選択可能にしているので、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0107】
省エネモード移行時間の自動設定が有効であると判定した場合には(ステップS2のYes)、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行する(ステップS3)。
【0108】
省エネモードの移行時間の最適値の算出処理が終了すると、待機モード・省エネモード・省エネモードからの復帰の遷移情報のうち、1ヶ月(30日)より古い遷移情報を削除する(ステップS4)。このように古い遷移情報を削除する目的は、ハードディスク容量の節約などである。
【0109】
その後、動作モードの遷移があった場合には、MEM−C1117やHDD1118などには図7に示すような待機・省エネモードの遷移情報を記録していく(ステップS5)。
【0110】
一方、省エネモード移行時間の自動設定が無効であると判定した場合には(ステップS2のNo)、何もせずリターンする。
【0111】
なお、削除する遷移情報を1ヶ月(30日)でなく、2ヶ月(60日)としても良いし、逆に短くし2週間(14日)や1週間(7日)にしてもよい。
【0112】
また、同時並行で、プリンタ部300の感光体15の周りや定着ユニット17の周りのウォームアップが行われる。ウォームアップでは、特に定着ローラ温度を昇温させるのに最も時間を要する。
【0113】
省エネモードの移行時間の最適値の算出処理が終了すると、待機モード・省エネモード・省エネモードからの復帰の遷移情報のうち、1ヶ月(30日)より古い遷移情報を削除する(ステップS4)。このように古い遷移情報を削除する目的は、ハードディスク容量の節約などである。
【0114】
さらに、最適な移行時間の算出に使用する元データは1つではなく、複数個あるほうが望ましいが、MEM−C1117やHDD1118などの記憶容量は無限ではない。そこで、遷移情報の記憶領域上限を例えば100MB確保しておき、約1ヶ月の遷移情報を記憶できるようにしておく。約1ヶ月の遷移情報を記憶し、これを元に、最適な移行時間の算出をすると精度がよい。なお、記憶領域上限は、100MBに限るものではなく、50MB、あるいは10MBなどででもよい。この場合、図13のフローチャートに示すように、ステップS4を省略して、遷移情報の記憶容量が100MBを超えてしまった場合にのみ(ステップS6のYes)、古い遷移情報を削除して(ステップS7)、その上に新しい遷移情報を書き込むようにすればよい。このように遷移情報を記憶する容量に上限を設けることにより、記憶領域の節約を図ることができる。
【0115】
第2のタイミングとしては、移行時間自動設定を無効→有効に切り替えたタイミングで、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行するタイミングが挙げられる。ここで、図14は設定切り替え時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、移行時間自動設定が無効→有効に切り替えられると、待機モード中か否かを判定する(ステップS11)。
【0116】
待機モード中であると判定した場合には(ステップS11のYes)、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行する(ステップS12)。
【0117】
省エネモードの移行時間の最適値の算出処理が終了すると、待機モード・省エネモード・省エネモードからの復帰の遷移情報のうち、1ヶ月(30日)より古い遷移情報を削除する(ステップS13)。
【0118】
その後、動作モードの遷移があった場合には、MEM−C1117やHDD1118などには図7に示すような待機・省エネモードの遷移情報を記録していく(ステップS14)。
【0119】
このように待機モード中に省エネモードの移行時間の最適値を算出する理由は、非動作時はCPU1111の稼働率が低いので、デジタル複合機1000のパフォーマンスに悪影響を与えないためである(空きリソースの有効活用になる)。
【0120】
第3のタイミングとしては、一定周期の更新タイミングで、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行するタイミングが挙げられる。ここで、図15は一定周期の更新時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、一定周期の更新の際に、待機モード中か否かを判定する(ステップS21)。
【0121】
待機モード中であると判定した場合には(ステップS21のYes)、省エネモードの移行時間の最適値の算出処理を実行する(ステップS22)。
【0122】
省エネモードの移行時間の最適値の算出処理が終了すると、待機モード・省エネモード・省エネモードからの復帰の遷移情報のうち、1ヶ月(30日)より古い遷移情報を削除する(ステップS23)。
【0123】
その後、動作モードの遷移があった場合には、MEM−C1117やHDD1118などには図7に示すような待機・省エネモードの遷移情報を記録していく(ステップS24)。
【0124】
このように待機モード中に省エネモードの移行時間の最適値を算出する理由は、非動作時はCPU1111の稼働率が低いので、デジタル複合機1000のパフォーマンスに悪影響を与えないためである(空きリソースの有効活用になる)。
【0125】
このように本実施の形態によれば、待機モード・省エネルギーモードの状態遷移を記憶して、自身が使用される頻度・内容を学習し、省エネルギーモード移行時間を最適化することにより、ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる
【0126】
なお、図8,9では任意の時間範囲(非動作時間が60分になるよう仮定した)の例を示したが、遷移を取得する時間範囲を、例えば図16に示すような5通りの時間帯に分け、最適な移行時間を時間帯ごとに細かく設定してもよい。上述した例においては、低電力モードの移行時間を15分とした場合、全ての時間帯において15分で低電力モードに移行していた。それを、図16に示すような5通りの時間帯における最適な移行時間をユーザが手入力で設定しようとすると、かなり煩雑である。しかしながら、時間帯ごとの最適な移行時間を自動算出して変更できるようにした場合には、図16に示すように時間帯を細分化した場合に、特に威力を発揮する。なお、時間帯を5通りに分ける例は一例であり、ユーザ環境によって始業時間や昼食、終業時間が異なるため、時間帯はユーザが設定可変、また設定項目を増減できるようになっていることが望ましい。これにより、移行時間は時間帯毎に個別に最適化されることにより、それぞれの時間範囲において(例えば、午前中、昼休み時間中、午後、残業時間、深夜などの時間帯で)細かに最適な省エネモードの移行時間を自動設定することが可能であり、更に省エネルギー性の促進を図ることができる。
【0127】
また、ユーザ環境によっては、土曜日は午前のみ営業、日曜は休日出勤者のみがデジタル複合機1000を使用する、などの使用形態が考えられる。そこで、図17に示すように、曜日ごとによって時間帯と移行時間を最適化できるようになっていることが望ましい。これにより、曜日毎(例えば、平日と休日)にも最適な省エネルギーモードの移行時間を設定可能であるので、更に省エネルギー性の促進を図ることができる。
【0128】
また、省エネモードの移行時間(移行時間テーブルT2に設定されている移行時間)は、操作部400の画面にてユーザが確認できるようになっている。ここに、報知手段が実現されている。これにより、省エネルギーモードの移行時間をユーザが確認することができる。なお、図12に示すような省エネモード移行時間の自動設定の有効/無効の選択画面においてユーザが「無効」を選択したときは、省エネモード移行時間をユーザが手入力可能になるのが望ましい。逆に、図12に示すような省エネモード移行時間の自動設定の有効/無効の選択画面においてユーザが「有効」を選択したときは、省エネモード移行時間のユーザによる手入力を無効にするのが望ましい。
【0129】
さらに、デジタル複合機1000は後処理装置のフィニシャ100を接続した構成となっている。フィニシャ100は、後で追加可能な周辺機器である場合が多い。周辺機器を追加する場合には、図18に示すような周辺機器に関する消費電力基準値をコントローラ1101のMEM−C1117やHDD1118などの記憶部に記憶した消費電力基準値テーブルT3を用いるようにすれば良い。ここに、機器電力基準値記憶手段が実現されている。消費電力基準値テーブルT3によれば、フィニシャ100を追加した場合の待機モード時の電力は、
350Wh+50Wh=400Wh
となる。低電力モード時と、スリープ/オフモード時の電力は変わらない。このような後処理装置や給紙ユニットなどの周辺機器を追加で接続し、待機モード時や低電力モード時の負荷が増えても、適切な省エネモード移行時間の算出に柔軟に対応が可能である。もちろん、周辺機以外にも、追加ハード(例えば、ハードディスクの増設や録画型ドライブを増設したときなど)を接続した場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるデジタル複合機を概略的に示す構成図である。
【図2】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】デジタル複合機の電源供給系を示すブロック図である。
【図4】消費電力基準値テーブルを示す模式図である。
【図5】移行時間テーブルを示す模式図である。
【図6】デジタル複合機の動作モードの遷移の一例を示す遷移図である。
【図7】待機・省エネモードの遷移情報を示す模式図である。
【図8】待機・省エネモードの遷移情報を示す模式図である。
【図9】待機・省エネモードの遷移情報を示す模式図である。
【図10】18分サイクルでコピーが行われる場合において移行時間を1分〜60分に振ったときのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】主電源スイッチON時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】省エネモード移行時間の自動設定の有効/無効の選択画面を示す正面図である。
【図13】主電源スイッチON時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】設定切り替え時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】一定周期の更新時における省エネモードの移行時間算出処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】時間帯毎に最適な移行時間を設定した移行時間テーブルを示す模式図である。
【図17】曜日毎および時間帯毎に最適な移行時間を設定した移行時間テーブルを示す模式図である。
【図18】周辺機器に関する消費電力基準値を格納した消費電力基準値テーブルを示す模式図である。
【符号の説明】
【0131】
1000 画像形成装置
1117,1118 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する画像形成装置において、
前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶手段と、
任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶手段と、
前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶手段に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出手段と、
前記消費電力算出手段により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出手段と、
前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移行時間設定手段は、前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、算出される毎に設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移行時間設定手段は、前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、電源がオンされるタイミングで設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶される前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移は、複数の任意の時間範囲で記憶され、
前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、前記複数の任意の時間範囲に基づいて最適化される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記移行遷移記憶手段は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を時間帯毎に設定し、
前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、時間帯毎に個別に最適化される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移行遷移記憶手段は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を曜日毎および時間帯毎に設定し、
前記移行時間最適値算出手段により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、曜日毎および時間帯毎に個別に最適化される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記移行時間最適値算出手段により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、ユーザに対して報知する報知手段を備える、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記消費電力算出手段による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出手段による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについて、ユーザによる選択が可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記消費電力算出手段による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出手段による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出は、当該装置が非稼動時のモード中に実行する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記移行遷移記憶手段は、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報についての前記記憶装置における記憶上限を設けている、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項11】
追加可能な周辺機器ごとの前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値を前記記憶部に記憶する機器電力基準値記憶手段をさらに備え、
前記周辺機器を追加した場合、前記消費電力算出手段は、前記移行遷移記憶手段により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている消費電力基準値および前記機器電力基準値記憶手段により前記記憶部に記憶されている当該周辺機器の消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する、
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項12】
待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶機能と、
任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶機能と、
前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶機能に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出機能と、
前記消費電力算出機能により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出機能と、
前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定機能と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記移行時間設定機能は、前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、算出される毎に設定する、
ことを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
前記移行時間設定機能は、前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、電源がオンされるタイミングで設定する、
ことを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項15】
前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶される前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移は、複数の任意の時間範囲で記憶され、
前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、前記複数の任意の時間範囲に基づいて最適化される、
ことを特徴とする請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラム。
【請求項16】
前記移行遷移記憶機能は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を時間帯毎に設定し、
前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、時間帯毎に個別に最適化される、
ことを特徴とする請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラム。
【請求項17】
前記移行遷移記憶機能は、前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移を取得する任意の時間範囲を曜日毎および時間帯毎に設定し、
前記移行時間最適値算出機能により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間は、曜日毎および時間帯毎に個別に最適化される、
ことを特徴とする請求項12ないし14のいずれか一記載のプログラム。
【請求項18】
前記移行時間最適値算出機能により算出された省エネルギー化に最も適した前記移行時間を、ユーザに対して報知する報知機能を前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする請求項12ないし17のいずれか一記載のプログラム。
【請求項19】
前記消費電力算出機能による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出機能による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出を実行するか否かについて、ユーザによる選択が可能である、
ことを特徴とする請求項12ないし18のいずれか一記載のプログラム。
【請求項20】
前記消費電力算出機能による前記消費電力の算出、および、前記移行時間最適値算出機能による前記省エネルギー化に最も適した移行時間の算出は、当該装置が非稼動時のモード中に実行する、
ことを特徴とする請求項12ないし19のいずれか一記載のプログラム。
【請求項21】
前記移行遷移記憶機能は、任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報についての前記記憶装置における記憶上限を設けている、
ことを特徴とする請求項12ないし20のいずれか一記載のプログラム。
【請求項22】
追加可能な周辺機器ごとの前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値を前記記憶部に記憶する機器電力基準値記憶機能をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記周辺機器を追加した場合、前記消費電力算出機能は、前記移行遷移記憶機能により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている消費電力基準値および前記機器電力基準値記憶機能により前記記憶部に記憶されている当該周辺機器の消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する、
ことを特徴とする請求項12ないし21のいずれか一記載のプログラム。
【請求項23】
待機モードから省電力化を図る省エネルギーモードへと予め設定された移行時間に従って移行する画像形成装置における移行期間設定方法であって、
前記待機モードと前記省エネモードにおける消費電力基準値と、前記省エネルギーモードから前記待機モードに復帰するために要する消費電力基準値とを記憶部に記憶する消費電力基準値記憶工程と、
任意の時間範囲内における前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行の遷移情報を時系列で前記記憶部に記憶する移行遷移記憶工程と、
前記移行遷移記憶工程により前記記憶部に記憶されている前記待機モードと前記省エネルギーモードとの移行時間および前記省エネルギーモードからの復帰回数と、前記消費電力基準値記憶工程に格納されている消費電力基準値とに基づいて、一定時間における消費電力を算出する消費電力算出工程と、
前記消費電力算出工程により算出された前記消費電力と前記消費電力基準値記憶工程により前記記憶部に記憶されている復帰するために要する消費電力基準値とに基づいて、省エネルギー化に最も適した移行時間を算出する移行時間最適値算出工程と、
前記移行時間最適値算出工程により算出される省エネルギー化に最も適した前記移行時間を設定する移行時間設定工程と、
を含むことを特徴とする移行期間設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−72391(P2008−72391A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248620(P2006−248620)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】