説明

画像形成装置、プログラム

【課題】定着後の記録材が所定の温度よりも高い状態で排出されるのを抑制することを目的とする。
【解決手段】制御部70には、温度センサ63から用紙温度の測定結果が入力される。また、制御部70は、ファン駆動モータ60bに対して回転速度に関する指示を出し、カバー駆動モータ62に対して停止位置に関する指示を出す。さらに、制御部70は、定着器30に対して定着温度に関する指示を出し、搬送駆動部50に対して用紙搬送速度に関する指示を出し、作像駆動部300に対して各感光体ドラムや中間転写ベルトの作像プロセス速度に関する指示を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置およびプログラムに関わる。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式を採用した画像形成装置では、帯電、露光、現像、転写等のプロセスにより記録材上にトナーからなる画像を形成し、さらに記録材に画像を定着することで画像形成を行っている。定着では、トナーが転写された記録材を加熱してトナーを融解させた後に定着させる所謂加熱定着方式が広く用いられている。加熱定着方式によって定着を施された記録材は、定着後もある程度の熱を有することになる。特許文献1には、定着後の記録材に対してファンにより風を吹き付ける技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−229419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着後の記録材が所定の温度よりも高い状態で排出されるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、記録材を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される記録材に像を形成する像形成手段と、前記像形成手段によって像が形成された記録材を加熱して当該記録材に当該像を定着する定着手段と、前記定着手段から排出される記録材の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記搬送手段による記録材の搬送速度を設定する設定手段とを含む画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置にて、前記設定手段は、前記温度検知手段により検知された記録材の温度が第1の閾値未満である場合に前記搬送速度を第1の速度に設定し、記録材の温度が当該第1の閾値以上である場合に当該搬送速度を当該第1の速度よりも遅い第2の速度に設定することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の画像形成装置にて、前記設定手段は、前記温度検知手段により検知された記録材の温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上である場合に、前記搬送手段による記録材の搬送を停止させることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の画像形成装置にて、印刷条件を受け付ける受付手段をさらに含み、前記設定手段は、前記受付手段にて受け付けた前記印刷条件に基づいて前記第1の閾値および前記第2の閾値を決定することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置にて、前記定着手段から排出される記録材を冷却する冷却手段をさらに含み、前記設定手段は、前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記冷却手段による記録材の冷却条件をさらに設定することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の画像形成装置にて、前記冷却手段は、前記記録材に風を送る送風機を備え、前記設定手段は、前記冷却条件として前記送風機による送風量を設定することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5記載の画像形成装置にて、前記冷却手段は、前記定着手段から排出された記録材が通過する筐体に開閉自在に取り付けられたカバーを備え、前記設定手段は、前記冷却条件として前記カバーの開放状態を設定することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置にて、前記設定手段は、前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記定着手段による加熱条件をさらに設定することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、コンピュータに、画像が加熱定着された記録材の温度を取得する機能と、取得した前記温度に基づき記録材の搬送速度を設定する機能とを実現させるプログラムである。
請求項10に係る発明は、請求項9記載のプログラムにて、前記搬送速度を設定する機能では、取得した前記温度が第1の閾値未満である場合に前記搬送速度を第1の速度に設定し、取得した前記温度が当該第1の閾値以上である場合に当該搬送速度を当該第1の速度よりも遅い第2の速度に設定することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10記載のプログラムにて、前記搬送速度を設定する機能では、取得した前記温度が前記第1の閾値より高い第2の閾値以上である場合に記録材の搬送を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1によれば、定着後の記録材の温度にかかわらず記録材の搬送速度を一定に設定した場合と比較して、定着後の記録材が排出されるまでの時間すなわち記録材の放熱に利用され得る時間が変えられることになるため、定着後の記録材が所定の温度よりも高い状態で排出されるのを抑制することができる。
また、本発明の請求項2によれば、定着後の記録材の温度が第1の閾値以上である場合には定着後の記録材からの放熱に必要な時間を確保することが可能になり、定着後の記録材の温度が第1の閾値未満である場合には定着後の記録材からの放熱に必要な時間を確保しつつ、定着後の記録材の温度が第1の閾値以上である場合と比較して画像形成の効率を高めることが可能になる。
また、本発明の請求項3によれば、搬送速度の変更だけでは定着後の記録材からの放熱に必要な時間が確保できなくなるような場合に、記録材の排出を抑制することができる。
また、本発明の請求項4によれば、例えば記録材の種類や印刷枚数等を含む印刷条件に応じて適切な第1の閾値および第2の閾値を設定することができる。
また、本発明の請求項5によれば、定着後の記録材の温度に応じて、記録材に対する強制的な冷却を施すことが可能となる。
また、本発明の請求項6によれば、記録材に風を吹き付けて記録材の有する熱を奪うことが可能となる。
また、本発明の請求項7によれば、カバーを設けない場合と比較して、筐体内に熱が籠もることを抑制することができる。
また、本発明の請求項8によれば、定着後の記録材の温度に応じて、定着手段の温度を制御することができる。
また、本発明の請求項9によれば、定着後の記録材の温度にかかわらず記録材の搬送速度を一定に設定した場合と比較して、定着後の記録材が排出されるまでの時間すなわち記録材の放熱に利用され得る時間が変えられることになるため、定着後の記録材が所定の温度よりも高い状態で排出されるのを抑制することができる。
また、本発明の請求項10によれば、定着後の記録材の温度が第1の閾値以上である場合には、定着後の記録材からの放熱に必要な時間を確保することができ、定着後の記録材の温度が第1の閾値未満である場合には、定着後の記録材からの放熱に必要な時間を確保しつつ、定着後の記録材の温度が第1の閾値以上である場合と比較して画像形成の効率を高めることができる。
また、本発明の請求項11によれば、定着後の温度が高くなり過ぎた記録材が排出されるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。図2は、画像形成装置1における画像形成部3の要部の拡大図である。図3は、画像形成装置1における排紙部6を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、いわゆるタンデム型、中間転写方式の画像形成装置である。本実施の形態が適用される画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取り部2、記録材としての用紙P上に画像を形成する画像形成部3、画像形成部3に対して用紙Pを供給する給紙部4および画像形成された用紙Pを排出する排紙部6を備える。また、画像形成装置1は、画像形成部3、給紙部4および排紙部6に跨って設けられ、用紙Pを搬送する用紙搬送部5を有する。さらに、画像形成装置1には、各部の制御を行う制御部70が設けられている。
【0008】
画像読取り部2は、透明な原稿台にセットされた原稿の画像を読み取るものである。本実施の形態における画像読取り部2は、例えば、ランプ、ミラー及びキャリッジ等からなる光学走査系と、この光学走査系で走査された光学像を結像させるレンズ系と、このレンズ系で結像された光学像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge coupled device)等の画像読取りセンサとを有している。
【0009】
画像形成部3は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のフルカラー画像を形成する画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像が一次転写され、各色成分トナーを保持する中間転写ベルト15、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を用紙Pに二次転写させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器30を備えている。
【0010】
そして、像形成手段として機能する画像形成ユニット10は、矢印α方向に回転する各感光体ドラム11の周囲に、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を形成するレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分のトナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17を備えている。
【0011】
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図中矢印β方向に所定の速度で循環駆動される。この各種ロールとして、中間転写ベルト15を循環駆動させる駆動ロール24、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール25、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止するテンションロール26、二次転写部20に設けられるバックアップロール22、二次転写部20よりも中間転写ベルト15の搬送方向下流側に設けられるアイドルロール27を有している。
【0012】
また、略直線状に延びる中間転写ベルト15の内側には、各感光体ドラム11に対向して一次転写ロール16がそれぞれ設けられる。一次転写ロール16には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。これにより、各々の感光体ドラム11上の像としてのトナー像は、中間転写ベルト15に順次静電吸引され、中間転写ベルト15上に重畳トナー像が形成される。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側(表面側)に配置される二次転写ロール21、バックアップロール22および給電ロール23を備える。このバックアップロール22は、中間転写ベルト15の裏面側に配置される。また、バックアップロール22は、二次転写ロール21と対向電極を成しており、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール23に対向して配置されている。
【0013】
さらに、中間転写ベルト15の二次転写部20よりも下流側には、中間転写ベルト15を挟んで駆動ロール24に対向して配置され、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングするベルトクリーナ35が中間転写ベルト15に対して接離自在に設けられている。
また、二次転写部20の下流側には、二次転写後の用紙Pを吸引しながら搬送するバキューム搬送部54が設けられている。バキューム搬送部54は、二次転写ロール21によってトナー像が転写された用紙Pを吸引しながら定着器30へ向けて搬送するものである。
【0014】
定着手段として機能する定着器30は、トナー像が形成された用紙Pに対して熱および圧力の付与を行って、用紙Pにトナー像を定着させるものである。また、定着器30は、通常温度、通常温度より低い中温、さらに加熱停止の3つの制御温度のうちいずれかの制御温度に設定される。
なお、感光体ドラム11および中間転写ベルト15の周囲に設けられる各種ロールは、例えばモータからなる作像駆動部300により所定のタイミング、回転速度となるように駆動される。画像形成部3において作像駆動部300は、感光体ドラム11および中間転写ベルト15の周囲に設けられる各種ロールを操作することにより露光、一次転写、二次転写等の速度(以下、作像プロセス速度という)を制御している。
【0015】
給紙部4は、用紙Pを収容する第1用紙収容部41および第2用紙収容部42を備える。さらに、第1用紙収容部41および第2用紙収容部42には、第1用紙種センサ41aおよび第2用紙種センサ42aがそれぞれ取り付けられている。第1用紙種センサ41aは第1用紙収容部41に収容されている用紙Pの種類(以下、用紙種という)を、第2用紙種センサ42aは第2用紙収容部42に収容されている用紙種を識別する。このとき識別する用紙種とは、用紙Pの厚さ、サイズ、材質等のことである。
【0016】
搬送手段として機能する用紙搬送部5は、各種搬送ロール等と用紙搬送路R1〜R6および搬送駆動部50を備える。
各種搬送ロールは、第1用紙収容部41あるいは第2用紙収容部42から画像形成部3を経由して排紙収容部65に至る一連の用紙搬送路R1〜R6において、用紙Pを搬送するために適宜配置される。各種搬送ロールのうち第1送出しロール51は第1用紙収容部41の近傍に、第2送出しロール52は第2用紙収容部42の近傍に、配置されている。そして、第1送出しロール51は第1用紙収容部41から、第2送出しロール52は第2用紙収容部42から、用紙Pを1枚ずつ分離して取り出す。さらに、第1送出しロール51、第2送出しロール52は、取り出した用紙Pをニップして用紙搬送路上に一時停止させると共に、所定のタイミングで用紙搬送方向の下流側に向けて送り出す。そして、第1用紙収容部41に収容された用紙Pは、第1送出しロール51により送り出された後、第1用紙搬送路R1を経由して合流搬送ロール53へと送り込まれる。また、第2用紙収容部42に収容された用紙Pは、第2送出しロール52により送り出された後、第2用紙搬送路R2を経由して合流搬送ロール53へと送り込まれる。
【0017】
また、合流搬送ロール53に送り込まれた用紙Pは、第3用紙搬送路R3を経由して画像形成部3における二次転写部20へと送り込まれる。さらに、二次転写部20を通過した用紙Pは、バキューム搬送部54により定着器30に送り込まれた後、第4用紙搬送路R4を経由して排紙収容部65へと排出される。これに対して、両面に画像が形成される場合、用紙Pは、定着器30を通過した後、第5用紙搬送路R5を経由して両面反転搬送ロール55に送り込まれ、ここで表裏反転された後、第6用紙搬送路R6を経由して再び合流搬送ロール53へと送り込まれる。
【0018】
搬送駆動部50は、複数の駆動モータで構成されており、各種搬送ロールを所定の回転速度、タイミングとなるように駆動している。また、本実施の形態では、搬送駆動部50は、各種搬送ロールの回転速度を制御して第1の速度としての通常速度、第2の速度としての低速および停止(速度ゼロ)の3つのうちいずれかの速度により用紙Pを搬送する。
【0019】
図3に示すように、排紙部6は、冷却部60、カバー61、カバー駆動モータ62、温度センサ63、排紙収容部65および積載用紙センサ66を備えている。また、排紙部6には、上述した第4用紙搬送路R4が設けられている。
冷却手段および送風機として機能する冷却部60は、ファン60aおよびファン駆動モータ60bを備えている。冷却部60は、排紙部6の上端側に取り付けられ、画像形成装置1の外部から空気を取り込んで装置内部に送り込むものである。ファン60aは、ファン駆動モータ60bから回転駆動を受けて回転し、画像形成装置1の外部から装置内部へ向けた強制的な空気の流れを作る。また、ファン60aは、定着後の用紙Pに対して優先的に送るように取り付けられている。例えば、片面に画像が形成される場合、ファン60aは、第4用紙搬送路R4の上面に設けられたファン60aから用紙Pの画像(トナー像)形成面に向けて風を送る。これに対して、両面に画像が形成される場合には、用紙Pの片面に画像の形成がされた後、用紙Pが反転され、他方の面に画像の形成がされる。このとき、ファン60aは、定着がなされたばかりの他方の面に対して風を送る。
【0020】
さらに、排紙部6と画像形成部3との間には用紙Pが搬送される際に通過する搬送口が設けられており、ファン60aによって外部から取り込まれた空気は、この搬送口を通じて画像形成部3にも到達するようになっている。
なお、ファン駆動モータ60bは、速度ゼロ(停止)、通常、通常と比較して速い中速、中速と比較して速い高速の4段階の回転速度のうちいずれかの速度で駆動するように設定されている。
【0021】
冷却手段として機能するカバー61は、排紙部6を構成する筐体の側面であって、第4用紙搬送路R4の下流側の上方に配置されている。カバー61は、一端側に軸61aが取り付けられた平板であり、軸61aが筐体の一部に固定され軸61a周りに回転することで排紙部6に対して閉じたり開いたりスイング(振れる)する。さらに、軸61aにはカバー駆動モータ62が接続しており、カバー61は、このカバー駆動モータ62の駆動を受けて開閉する。そして、例えばカバー61を開けた場合には、排紙部6の内部が露出して、排紙部6に外部からの空気が流れ込むようになっている。
なお、図3に示すように、カバー駆動モータ62は、カバー61を実線で示す閉じた(通常)状態、一点鎖線で示す半開の状態、二点鎖線で示す全開の状態の3つの開閉状態のうちいずれかの状態にするように設定されている。
【0022】
温度検知手段として機能する温度センサ63は、第4用紙搬送路R4の下流側の位置に取り付けられている。そして、温度センサ63は、排紙収容部65に向けて排出される前の用紙Pの温度(以下、用紙温度Tpという)を計測する。この温度センサ63には、用紙温度Tpを用紙Pとは非接触に計測する放射温度計を用いている。なお、この温度センサ63には、サーミスタセンサ等を用いた接触型の温度計を用いても良い。用紙温度Tpを計測することができれば、どのような方式による温度計を用いても構わない。
【0023】
排紙収容部65は、第4用紙搬送路R4の後段に取り付けられており、画像が形成された用紙Pを順次積載する。また、排紙収容部65は、図3に実線で示した上昇状態や一点鎖線で示した下降状態のように図中矢印イ、ロ方向に昇降する。排紙収容部65は、用紙Pの積載量(枚数)が増加するにつれて図中矢印ロ方向に下降して次々に出力される用紙Pを順次積載する。さらに、積載用紙センサ66は排紙収容部65の上方に取り付けられており、排紙収容部65に用紙Pが積載されているか否かを検知する。そして、排紙収容部65は、例えば所定枚数の印刷が終了し積載され、その後に用紙Pの束が取り除かれた場合には、図中矢印イ方向に上昇して新たな用紙Pの積載に備えるようになっている。
【0024】
さらに、図1に示す画像形成装置1には、表示パネル90およびキーボード91が備えられる。表示パネル90は、印刷状況やエラーメッセージ等の画像形成装置1の動作に関する各種情報を表示する。キーボード91は、印刷枚数の指定や、第1用紙収容部41、第2用紙収容部42のどちらを選択するか等の印刷条件の入力を受け付けるものである。
【0025】
続いて、本実施の形態における画像形成装置1の画像形成動作について説明する。
まず、画像形成装置1は、画像形成の指示を受けると、画像読取り部2もしくは不図示のPC(Personal Computer)等から取得した画像データに基づいて画像形成部3でトナー像の形成を開始する。画像形成部3では、4つの感光体ドラム11を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器12、レーザ露光器13、現像装置14によって各感光体ドラム11の表面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色トナー像が形成される。このようにして形成された各色のトナー像は、一次転写ロール16によって順次中間転写ベルト15上に重畳して転写される。これにより、中間転写ベルト15には、4色のトナー像を重ね合わせた多色のトナー像が形成される。そして、中間転写ベルト15に形成されたトナー像は、中間転写ベルト15に保持された状態で二次転写部20へと送られる。
一方、以上のタイミングに同期して、第1用紙収容部41もしくは第2用紙収容部42からが用紙Pを順次取り出す。さらに、各種搬送ロールによって用紙Pは、第1用紙搬送路R1、第3用紙搬送路R3を経て二次転写部20に向けて搬送される。
【0026】
そして、用紙Pが二次転写部20に到達すると、中間転写ベルト15に保持されたトナー像が二次転写ロール21によって用紙Pに二次転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは、バキューム搬送部54によって定着器30に送られ、定着器30により加熱加圧定着がなされた後、第4用紙搬送路R4を経由して排紙収容部65に順次積載される。
また、用紙Pの両面に画像形成が行われる場合は、片面に画像形成された用紙Pが第5用紙搬送路R5を経由して両面反転搬送ロール55に送られ、そこで表裏反転されて第6用紙搬送路R6に送られる。そして、この片面に画像形成された用紙Pは、タイミング調整されて合流搬送ロール53に再度送り込まれる。以降は、片面に画像が形成される場合と同様にトナー像が用紙Pに転写、定着された後、第4用紙搬送路R4を経由して排紙収容部65に排出されて順次積載される。
【0027】
ところで、上述したように用紙Pに画像形成がなされ、複数枚の用紙Pが排紙収容部65に積載されると、用紙Pに一旦定着したトナーが再融解する場合がある。このようにトナーの再融解が生じる状況の一つとして、例えば以下の場合が挙げられる。排紙収容部65には、定着器30によりある程度加熱された状態で用紙Pが積載される。そして、その用紙Pの放熱が十分になされる間もなく次の用紙Pがさらに重ねて積まれた場合、排紙収容部65上の用紙束内に熱が籠もり、結果としてその熱により用紙P上のトナーが融けてしまう。なお、このようにしてトナーの再融解が生じると、排紙収容部65上で用紙P同士がくっついたり、用紙Pに定着されたトナーが剥がれてしまったりすることもある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、温度センサ63にて測定された用紙温度Tpに基づいて各部の動作を制御し、その後に排出される用紙Pの温度上昇の抑制を図っている。また、場合によっては画像形成を停止することによって、用紙Pの温度が所定の温度よりも高い状態で排出しないようにしている。排紙収容部65に積載された用紙Pの束のその後の温度上昇を抑制している。さらに、本実施の形態では、各部の動作を制御する際に、用紙温度Tpと予め決められた3つの設定温度Th1、Th2、Th3との比較結果を用いる。なお、以下の説明では、これらをそれぞれ第1設定温度Th1、第2設定温度Th2、および第3設定温度Th3と呼ぶ。そして、3つの設定温度は、Th1<Th2<Th3の関係を有している。
第1設定温度Th1は、定着後の用紙Pに対して強制冷却が必要となる用紙温度Tpに基づいて決められている。第1の閾値としての第2設定温度Th2は、定着後の用紙Pに対してさらなる強制冷却が必要となる用紙温度Tpに基づいて決められている。第2の閾値としての第3設定温度Th3は、定着後の用紙Pに対してさらなる強制冷却を行っても排紙収容部65上でトナーが再融解する可能性が高い用紙温度Tpに基づいて決められている。
なお、以下の説明では、用紙温度Tpが第2設定温度Th2未満である状態を通常時と呼ぶ。
【0029】
図4は、用紙の温度上昇の抑制に関する制御部70の制御ブロック図である。
設定手段および受付手段として機能する制御部70は、演算手段となるCPU(Central Processing Unit)70a、記憶部70b、およびタイマー71を備えている。記憶部70bは、CPU70aが演算時に使用するRAM(Random Access Memory)やCPU70aを制御して上述した画像形成部3等の各プロセスを実現させるプログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)のような二次記憶部等を有している。また、記憶部70bには、上述した第1設定温度Th1、第2設定温度Th2、および第3設定温度Th3等の決定に使用される設定条件テーブルが格納されている。さらに、タイマー71は、CPU70aからの指示に応じて時間の計測を行う。
【0030】
制御部70には、画像読取り部2や図示しないPC等から画像データが入力される。また、制御部70には、第1用紙種センサ41aから第1用紙収容部41に収容される用紙種の識別結果が、第2用紙種センサ42aから第2用紙収容部42に収容される用紙種の識別結果が、それぞれ入力される。さらに、制御部70には、温度センサ63から用紙温度Tpの測定結果が入力される。さらにまた、制御部70には、キーボード91から1回のジョブにおける印刷枚数の入力結果や、第1用紙収容部41あるいは第2用紙収容部42のどちらに収容されている用紙Pを使用するかについての選択結果も入力される。
一方、制御部70は、ファン駆動モータ60bに対し、回転速度に関する指示を出す。また、制御部70は、カバー駆動モータ62に対し、停止位置に関する指示を出す。さらに、制御部70は、定着器30に対して定着温度に関する指示を出す。さらにまた、制御部70は、搬送駆動部50に対し用紙搬送速度に関する指示を出す。また、制御部70は、作像駆動部300に対し各感光体ドラム11や中間転写ベルト15の作像プロセス速度に関する指示を出す。そして、制御部70は、必要に応じて表示パネル90に所定のメッセージを表示させるための指示を送る。
【0031】
なお、この画像形成装置1では、制御部70が、用紙搬送速度と作像プロセス速度とを同期させる制御を行っている。したがって、搬送駆動部50による用紙搬送速度を変えた場合、それに伴って画像形成部3による作像プロセス速度も用紙搬送速度と同じになるように変更される。よって、以下の説明では、用紙搬送速度および作像プロセス速度をまとめて印刷速度と呼ぶ。
また、この画像形成装置1では、上述した各部の制御のうち、印刷速度をゼロにする(以下、画像形成の停止という)措置も含んでいる。そして、画像形成を停止した場合には、所定時間が経過した後に画像形成を再開させるようになっている。なお、このときの所定の時間を待ち時間tという。そして、この待ち時間tも、上述した設定条件テーブルに含まれている。
【0032】
続いて、設定条件である3つの設定温度Th1、Th2、Th3および待ち時間tをどのように決定するかについて具体的に説明する。
図5は、設定条件テーブルについて説明するための図である。
ここでは、用紙種として厚紙、薄紙の2種類を、印刷枚数として1000枚未満、1000枚以上の2パターンを例にしている。
【0033】
まず、設定温度の決定についての説明を行う。
図5に示したように、用紙種が薄紙、印刷枚数が1000枚未満である場合、第1設定温度Th1はa1、第2設定温度Th2はa2、第3設定温度Th3はa3とする。また、用紙種が同様に薄紙、印刷枚数が1000枚以上である場合、第1設定温度Th1はb1、第2設定温度Th2はb2、第3設定温度Th3はb3としている。
一方、用紙種が厚紙、印刷枚数が1000枚未満である場合、第1設定温度Th1はc1、第2設定温度Th2はc2、第3設定温度Th3はc3とする。また、用紙種が同様に厚紙であり、印刷枚数が1000枚以上である場合、第1設定温度Th1はd1、第2設定温度Th2はd2、第3設定温度Th3はd3としている。
【0034】
次に、各々の設定温度の大小関係について説明する。本実施の形態においては、用紙種が厚紙である場合は、薄紙である場合と比較して設定温度を低くしている。例えば、印刷枚数が1000枚未満であって、用紙種が薄紙の場合と厚紙の場合を比較すると、例えば第1設定温度Th1はc1<a1の関係を有する。
これは薄紙と比較して厚紙の放熱効率が低いことに基づいている。つまり、用紙Pが厚紙である場合、薄紙と比較して放熱効率が低いために、薄紙と比較して低い温度に達した時点で上述したような各部の動作の制御を行うこととしている。
なお、以上の関係は、第2設定温度Th2および第3設定温度Th3についても同様であり、印刷枚数1000枚以上の場合についても同様である。
【0035】
一方、印刷枚数については、印刷枚数の多い方が印刷枚数の少ない方よりも設定温度を低くしている。例えば、用紙種が薄紙であって、印刷枚数が1000枚以上の場合と1000枚未満の場合とを比較すると、例えば第1設定温度Th1はb1<a1の関係を有する。
これは積載される用紙Pの量が多くなることにより放熱効率が下がるためである。さらに、排紙収容部65において下方に積まれている用紙Pは、その上に多く他の用紙Pが積載されればされるほど重さに起因する圧力を受けるためでもある。
なお、以上の関係は、他の第2設定温度Th2、第3設定温度Th3についても同様であり、厚紙である場合についても同様である。
【0036】
続いて、待ち時間の決定についての説明を行う。
図5に示すように、待ち時間tについて、用紙種が薄紙である場合、印刷枚数が1000枚未満の時はta、1000枚以上の時はtbとする。また、用紙種が厚紙である場合、印刷枚数が1000枚未満の時はtc、1000枚以上の時はtdとしている。
次に、各々の待ち時間tの大小関係について説明する。待ち時間tは、用紙種が薄紙の場合は、厚紙の場合と比較して時間を短くしている。例えば、印刷枚数が1000枚未満であり、用紙種が薄紙である場合と厚紙である場合とを比較すると、待ち時間tの長さはta<tcの関係を有する。また、用紙種が薄紙であって、印刷枚数が1000枚未満である場合と1000枚以上である場合とを比較すると、待ち時間の長さはta<tbの関係を有する。そして、これらの関係は、印刷枚数が1000枚以上である場合、厚紙である場合についても同様である。
なお、待ち時間tは、用紙温度Tpが第3設定温度Th3以上となり画像形成が停止し、その後に画像形成が再開された際に得られる用紙温度Tpが第1設定温度Th1未満になるまでに掛かった時間を計測するという実験を予め行い、その実験結果に基づいて定めたものである。
【0037】
次に、上述した各部の構成における実際の流れについて説明する。
図6は、用紙の温度上昇の抑制に関する制御部70の処理についてのフローチャートである。
制御部70は、画像形成開始の指示を受けると、キーボード91から取得した用紙収容部の選択結果に基づき第1用紙種センサ41aあるいは第2用紙種センサ42aから用紙種の識別結果を取得する(S101)。さらに、制御部70は、キーボード91から印刷枚数を取得し(S102)、得られた用紙種および印刷枚数に基づいて、記憶部70bに格納された設定条件テーブルを参照して第1設定温度Th1、第2設定温度Th2、第3設定温度Th3および待ち時間tを取得する(S103)。例えば、用紙種が薄紙であり、印刷枚数が1000枚未満である場合、設定温度はそれぞれ第1設定温度Th1=a1、第2設定温度Th2=a2、第3設定温度Th3=a3とし、待ち時間tはtaに設定する。
【0038】
そして、制御部70は、各部に対して通常時の設定で動作するように指示を出す。例えば、制御部70は、ファン駆動モータ60bを通常の回転速度に設定する指示を出し、カバー駆動モータ62に対してカバー61を閉じた状態にさせる指示を出し、さらに定着器30の制御温度を通常温度に設定する指示を出し、搬送駆動部50および作像駆動部300に対して印刷速度を通常の速度に設定する指示を出す(S104)。そして、制御部70は、各部に対して画像形成開始の指示を送る(S105)。その後、画像形成が開始され、用紙Pが温度センサ63の測定位置に到達した時点から、制御部70は、温度センサ63より用紙温度Tpの取得を開始する。
【0039】
続いて、制御部70は、取得した用紙温度Tpが第1設定温度Th1未満であるかを判断する(S106)。用紙温度Tpが第1設定温度Th1未満であると判断した場合には、制御部70は、ファン駆動モータ60bに回転を停止する指示を出す(S107)。そして、制御部70は、印刷枚数の全てが印刷されたか判断する(S108)。そして、全てが印刷されていると判断した場合、画像形成は終了する。また、ステップ108において、制御部70が全て印刷されてないと判断した場合には、再びステップ106に戻る。
一方、ステップ106において用紙温度Tpが第1設定温度Th1未満でないと判断した場合、制御部70は、ファン駆動モータ60bに回転速度を低速にする指示を出す(S109)。
【0040】
次に、制御部70は、取得した用紙温度Tpが第2設定温度Th2未満であるかを判断する(S110)。用紙温度Tpが第2設定温度Th2未満であると判断した場合には、ステップ106に戻る。一方、用紙温度Tpが第2設定温度Th2未満でないと判断した場合つまり用紙温度Tpが第2設定温度Th2以上であると判断した場合には、制御部70は、ファン駆動モータ60bに回転速度を中速にする指示を出し(S111)、カバー駆動モータ62に対してカバー61を半開の状態にするように指示を出す(S112)。さらに、制御部70は、定着器30の制御温度を中温に設定する指示を出し(S113)、搬送駆動部50および作像駆動部300に対して印刷速度を低速に設定する指示を出す(S114)。
【0041】
次に、制御部70は、取得した用紙温度Tpが第3設定温度Th3未満であるかを判断する(S115)。用紙温度Tpが第3設定温度Th3未満である場合には、ステップ106に戻る。一方、用紙温度Tpが第3設定温度Th3未満でないと判断した場合つまり用紙温度Tpが第3設定温度Th3以上であると判断した場合には、制御部70は、ファン駆動モータ60bの回転速度を高速にする指示を出し(S116)、カバー駆動モータ62にカバー61を全開の状態にするように指示を出す(S117)。さらに、制御部70は、定着器30に加熱を停止するように指示を出し(S118)、搬送駆動部50および作像駆動部300に対して印刷速度をゼロに設定するつまり画像形成を停止させる指示を出す(S119)。なお、このように画像形成を停止した時点から、制御部70は、タイマー71に対して待ち時間tの計測を開始させる。また、制御部70は、表示パネル90に「用紙温度上昇のため、印刷を一時停止しています」といったエラーメッセージ等を表示させる指示を出す。
【0042】
そして、制御部70は、タイマー71によって計測した時間が待ち時間tに達すると(S120)、カバー駆動モータ62に対してカバー61を閉じた(通常)状態にするように指示を出し(S121)、定着器30の制御温度を通常温度にする指示を出し(S122)、搬送駆動部50および作像駆動部300に印刷速度を通常の速度に設定する指示を出して、画像形成を再び開始する(S123)。そして、ステップ106に戻る。
【0043】
なお、印刷枚数の最後の一枚の用紙温度Tpが第1設定温度Th1以上である場合には、その後に搬送される用紙Pは存在せず新たに用紙温度Tpを計測できない。よって、制御部70は、所定時間の経過後にファン駆動モータ60bに回転を停止させる指示を出す等、別の画像形成に備えて各部が通常時の設定に戻るように指示を出すように設定されている。
また、ステップ111〜114、ステップ116〜119における処理の順序は、本実施の形態に限定されるものではない。これらの処理の順序を任意に入れ替える、もしくはこれらの処理のうちのいくつかを選択して組み合わせても良い。
【0044】
図7は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の動作の具体例を説明するための図である。
図7の上段に示すのは、時系列で示した用紙温度Tpの変化である。また、下段に示すのは上段の用紙温度Tpに応じたファン60a、カバー61、定着器30、画像形成部3および用紙搬送部5のそれぞれの状態である。また、以下の説明では、用紙温度Tpが第1設定温度Th1、第2設定温度Th2、第3設定温度Th3に達した時点を境に期間P1〜期間P7に区切っている。なお、ここでは、画像形成開始から終了までの全範囲ではなく任意の期間を例にしている。
【0045】
ある時点をスタートとして、矢印Aで示す用紙温度Tpが第1設定温度Th1に達する時点までの期間をP1、その後に用紙温度Tpが下がり矢印A’で示す第1設定温度Th1未満になる時点までの期間をP2、その後再び矢印A’’で示す第1設定温度Th1以上となる時点までの期間をP3とする。その後、用紙温度Tpが上昇して矢印Bで示す第2設定温度Th2以上となる時点までの期間をP4、用紙温度Tpがさらに上昇して矢印Cで示す第3設定温度Th3以上となる時点までの期間をP5とする。そして、用紙温度Tpが矢印Cで示す第3設定温度Th3以上となり、画像形成が停止している状態から矢印Dで示す画像形成を再び開始する前の時点までを期間をP6(待ち時間tと同値)とする。また、矢印Dに示す画像形成が再び開始した時点からその後の期間をP7とする。
【0046】
期間P1では、用紙温度Tpが第1設定温度Th1未満である。このような場合、各部は通常時の設定に基づいて動作する。このとき、ファン60aは停止し、カバー61は閉じた状態である。また、定着器30の制御温度は通常の温度であり、用紙搬送部5は通常の搬送速度で用紙Pを搬送し、画像形成部3は通常の作像プロセス速度で作像を行っている。
そして、期間P2では、用紙温度Tpの温度が上昇して第1設定温度Th1以上となっているので、ファン60aが通常の回転速度で回転する。このようにファン60aが用紙Pに風を吹き付けることにより用紙Pの有する熱を奪って、用紙温度Tpを下げようとしている。なお、このときカバー61、定着器30、画像形成部3および用紙搬送部5は、期間P1と同様に通常時の設定を維持している。
期間P3では、期間P2におけるファン60aの回転によって用紙温度Tpが下がり、第1設定温度Th1未満となったのでファン60aの回転は停止している。このとき、他のカバー61、定着器30、画像形成部3および用紙搬送部5は、期間P1、P2と同様に通常時の設定を維持している。
そして、期間P4になると、用紙温度Tpは再び上昇する。このとき、第1設定温度Th1以上となるのでファン60aは、再び通常の回転速度で回転する。このとき、他のカバー61、定着器30、画像形成部3および用紙搬送部5は、期間P1、P2、P3と同様に通常時の設定を維持している。
以上のように、期間P1〜期間P4は、用紙温度Tpが第2設定温度Th2未満となる通常時であるため、第1設定温度Th1を閾としてファン60aによる通常速度での回転、停止が繰り返される。
【0047】
期間P5は、期間P4においてファン60aを通常の回転速度に設定したにもかかわらず用紙温度Tpが上昇を続けた場合である。期間P5では、用紙温度Tpが第2設定温度Th2以上となったので、まず、ファン60aの回転速度は中速になる。また、カバー61も半開の状態になっている。このように、カバー61を開くことによって装置外部の空気を内部に引き込み易くすると共に装置内部に籠もった空気を外部へと排出し易くする。さらに、定着器30の制御温度は、中温に設定されている。これは、定着器30が用紙温度Tpを高温にする主な熱源となっていることから、この熱源に対する制御を行うことを意図している。さらに、画像形成部3および用紙搬送部5の印刷速度は低速になる。このように印刷速度を低速にすることで、第3用紙搬送路R3を用紙Pが通過する際に用紙Pがファン60aから受ける単位時間あたりの風量を通常の搬送速度における場合と比較して大きくしている。また、例えばファン60aが回転しておらず強制冷却をされない場合であっても、用紙Pが定着され排出されるまでの時間は長くなる。これにより、通常の搬送速度による場合と比較して、用紙Pが排出されるまでに放熱に利用され得る時間を長くしている。
【0048】
さらに期間P6は、期間P5における各部の制御にもかかわらず用紙温度Tpの上昇を抑制しきれず、用紙温度Tpが第3設定温度Th3以上となった場合である。このときは、ファン60aの回転速度は高速になる。また、カバー61も全開の状態になっている。このようにカバー61を全開の状態にして半開の状態からさらに開くことで、装置内外部における空気の入れ換えをさらに促す。またこのとき、定着器30における加熱は停止している。これは定着器30の加熱を停止して、定着器30の温度を下げる方向に向かわせることを意図している。加えて、画像形成部3および用紙搬送部5の印刷速度はゼロつまり画像形成は停止する。なお、既述したように、この画像形成の停止の状態は、待ち時間tが経過するまで継続する。
そして、待ち時間tが経過し、期間P7になると、各部は通常時の設定に基づいて画像形成が再開される。
【0049】
なお、本実施の形態では、用紙温度Tpと3つの設定温度Th1、Th2、Th3との比較結果に基づいて各部の動作を制御しているが、設定温度は以上のような3つに限られない。少なくとも1つ設ければ良く、また、3つ以上設けてさらに細かく各部の制御を変更するようにしても良い。
また、本実施の形態において、印刷条件として印刷枚数および用紙種に基づいて、設定条件である3つの設定温度Th1、Th2、Th3および待ち時間tを決定しているが、印刷条件は印刷枚数および用紙種に限定される訳ではない。例えば、画像データに基づいて得られるトナー量や、用紙Pのサイズ、材質等を印刷条件としても良い。
また、本実施の形態では、制御部70は、用紙種センサ41a(42a)によって識別された用紙種を取得していた。しかしながら、制御部70は用紙種センサ41a(42a)から用紙種を取得することに限られない。制御部70は、キーボード91から用紙種等の印刷条件を取得しても良いし、例えばPC等から画像データを取得する際に併せて用紙種等の印刷条件を取得しても良い。
【0050】
なお、本実施の形態では、1回のジョブにおける印刷枚数および用紙種等の印刷条件に基づいて設定条件である3つの設定温度Th1、Th2、Th3および待ち時間tを決定する例について説明したが、1回のジョブに基づいて設定条件が決定されることに限定される訳ではない。例えば、複数のジョブに跨った印刷条件に基づいて設定条件を決定しても良い。これは、排紙収容部65に積載された用紙束が、必ずしもジョブ毎に取り除かれるとは限らないためである。仮に排紙収容部65に例えば1500枚(1000枚以上)の用紙Pが積載された状態で、この用紙束が取り除かれないまま、続けて印刷枚数が500枚(1000枚未満)の新たなジョブが行われる場合には、結果として排紙収容部65に2000枚つまり1000枚以上の用紙Pが積載されることになる。このように、1回のジョブでの印刷枚数が1000枚未満であっても、排紙収容部65においては1000枚以上の用紙Pが積載された状態になる場合も考えられる。
【0051】
そこで、積載用紙センサ66による排紙収容部65上の用紙束の有無の情報に基づいて、ジョブを跨いで設定条件の決定を行うようにしても良い。具体的には、制御部70は、積載用紙センサ66から排紙収容部65に用紙が積載されているか否かの結果を取得する。排紙収容部65に用紙束が無い(用紙束が取り除かれている)と判断すると、印刷枚数として今回のジョブの印刷枚数を採用する。一方、制御部70は、排紙収容部65に用紙束があると判断した場合には、用紙束が取り除かれた時点から直前に行われたジョブまでの印刷枚数を累積する。つまり今現在、排紙収容部65に積載されている用紙Pの枚数を算出する。そして、この累積印刷枚数に対して今回のジョブの印刷枚数を加算して、設定条件の決定に反映させる。
【0052】
また、上記のように排紙収容部65上の用紙束が取り除かれないまま、複数の異なったジョブが行われると、異なった用紙種や用紙サイズ等が混在して排紙収容部65上に積載される場合もある。このような場合にも、制御部70は、上述したように積載用紙センサ66によって得た排紙収容部65上の用紙束の有無の検知結果に基づいて設定条件を決定しても良い。例えば、薄紙と厚紙とが合計して1000枚未満積載されるような状況で、制御部70が例えば第1設定温度Th1を参照する際に、薄紙における第1設定温度Th1であるa1と、厚紙における第1設定温度Th1であるc1と、の平均値を採用しても良い。あるいは、予め図5に示す設定条件テーブルの用紙種と印刷枚数の組み合わせをさらに増設しておき、制御部70は、条件に応じて該当する設定温度を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】画像形成装置における画像形成部の要部の拡大図である。
【図3】画像形成装置における排紙部を示す図である。
【図4】用紙の温度上昇の抑制に関する制御部の制御ブロック図である。
【図5】設定条件テーブルについて説明するための図である。
【図6】用紙の温度上昇の抑制に関する制御部の処理についてフローチャートである。
【図7】本実施の形態が適用される画像形成装置の動作の具体例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、2…画像読取り部、3…画像形成部、30…定着器、4…給紙部、41a…第1用紙種センサ、42a…第2用紙種センサ、5…用紙搬送部、50…搬送駆動部、6…排紙部、60a…ファン、60b…ファン駆動モータ、61…カバー、62…カバー駆動モータ、63…温度センサ、65…排紙収容部、66…積載用紙センサ、70…制御部、300…作像駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される記録材に像を形成する像形成手段と、
前記像形成手段によって像が形成された記録材を加熱して当該記録材に当該像を定着する定着手段と、
前記定着手段から排出される記録材の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記搬送手段による記録材の搬送速度を設定する設定手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記温度検知手段により検知された記録材の温度が第1の閾値未満である場合に前記搬送速度を第1の速度に設定し、記録材の温度が当該第1の閾値以上である場合に当該搬送速度を当該第1の速度よりも遅い第2の速度に設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記温度検知手段により検知された記録材の温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上である場合に、前記搬送手段による記録材の搬送を停止させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷条件を受け付ける受付手段をさらに含み、
前記設定手段は、前記受付手段にて受け付けた前記印刷条件に基づいて前記第1の閾値および前記第2の閾値を決定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着手段から排出される記録材を冷却する冷却手段をさらに含み、
前記設定手段は、前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記冷却手段による記録材の冷却条件をさらに設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記記録材に風を送る送風機を備え、
前記設定手段は、前記冷却条件として前記送風機による送風量を設定することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記定着手段から排出された記録材が通過する筐体に開閉自在に取り付けられたカバーを備え、
前記設定手段は、前記冷却条件として前記カバーの開放状態を設定することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記温度検知手段による温度検知結果に基づいて前記定着手段による加熱条件をさらに設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータに、
画像が加熱定着された記録材の温度を取得する機能と、
取得した前記温度に基づき記録材の搬送速度を設定する機能と
を実現させるプログラム。
【請求項10】
前記搬送速度を設定する機能では、取得した前記温度が第1の閾値未満である場合に前記搬送速度を第1の速度に設定し、取得した前記温度が当該第1の閾値以上である場合に当該搬送速度を当該第1の速度よりも遅い第2の速度に設定することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
前記搬送速度を設定する機能では、取得した前記温度が前記第1の閾値より高い第2の閾値以上である場合に記録材の搬送を停止することを特徴とする請求項10記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−299291(P2008−299291A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148558(P2007−148558)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】