説明

画像形成装置、及び画像形成装置の印字方法

【課題】線幅のさまざまな変動要因に関わらず、バーコードリーダによるバーコードの読
み取りを安定させる。
【解決手段】像担持体上に同一太さの複数本の線を有する基準パターンを静電潜像として
形成する基準パターン形成手段と、基準パターンの濃度を検知する濃度検知手段と、バー
コードの黒線の両隣にある白線幅に基づいて黒線幅の補正量を格納する記憶手段と、濃度
検知手段にて検出された濃度信号に応じて、バーコードの黒線幅の基準を決定し、記憶手
段に格納された補正量を参照して、黒線幅を補正して出力するバーコード補正手段と、を
備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを安定して読み取らせるよう高品質なバーコードを印刷する画像
形成装置、及びその印字方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置、又はインクジェット装置等の印刷装置は、文字、図形等をドットと言わ
れる点の集合で描画して印刷している。その点の大きさが小さい程、文字等を構成するド
ット数が増して精密な印刷が可能になる。そして、その点の大きさを一般に解像度として
表現している。
【0003】
印刷装置の種類にもよるが、通常は、ドットの密度が100dpiから2400dpi
程度の印刷装置が用途に応じて市販されている。パソコン等に接続される印刷装置の多く
は600dpiであり、中には1200dpiを超えるものもある。それらの印刷装置で
バーコードの印刷を行う場合には、各バーコードの規格に合致するドット構成で印刷が行
われる。
【0004】
ところで、バーコードをスキャナによって読み取る際、読み取り幅により、バーコード
の幅が制限をうけてしまうことがある。例えば、GS1−128(旧名称:UCC/EA
N−128)コンビニエンスストア料金代理収納システムにて用いられているバーコード
規格は、両側のクワイエットゾーンを含めたバーコードの全長が60mm以内とする必要
があり、これが4種類の太さの線で構成される。
【0005】
このバーコードを解像度600dpiにて印刷する場合、バーコードを構成するドット
構成は、白の線(以下、白バーという)と黒の線(以下、黒バーという)ともに、4ドッ
ト(0.169mm)、8ドット、12ドット、16ドットで行われる。このため、GS
1−128バーコードは、細い線が高密度で構成されており、安定した読み取りが困難で
あった。(以下、「バーコード」とはGS1-128コンビニエンスストア料金代理収納
バーコードを示す。)
【0006】
そこで、例えば特許文献1では、プリンタ1ドットのビーム径を、バーコード規定長と
印刷解像度により最適化し、バーのパターンテーブルからドット数を最適化して許容の範
囲内に収まるように調整している。
【0007】
また、特許文献2においては、印刷データから、黒バーの太りがなく、黒バー、及び白
バーの線幅が適切に印字するようにバーコードフォントテーブルを用い、黒バー、及び白
バーのドット数を変更させバーコードを生成することによって問題を解決している。
【0008】
同様に温度や湿度といった周囲の環境によっても黒白バーの幅が変動し、読み取り率低
下の問題が発生しているものもある。それらの対策としては、例えば特許文献3において
、印字枚数や環境に応じて黒バーと白バーのドット数を可変して太さの変動を抑え、読み
取り率を安定させることが提案されている。
【特許文献1】特開2003−300343号公報
【特許文献2】特開2004−17399号公報
【特許文献3】特開2006−293916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術については、実際に出力した画像が、電子写真
特有のエッジ効果により、隣り合う白線によって黒幅が異なる太さになることがあり、読
み取りが低下する問題がある。
【0010】
また、特許文献2については、ドット数で線幅を変えると、線幅が1ドット刻みになる
為、線幅の微調整ができないという問題がある。
【0011】
また、特許文献3においては、ドット数を可変するのは、600dpiの解像度で書か
れたバーコードの最も細い線は4ドットであり、1ドットが169μm刻みでしか補正が
出来ない問題があるとともに、温度や湿度などの環境以外にも、トナー濃度や現像剤の状
態などで、印字された線幅は常に変動しているものであり、タイムリーな補正が出来ない
という問題がある。
【0012】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、線幅のさまざまな変動要因
に関わらず、バーコードリーダによるバーコードの読み取りを安定させることを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、像担持体上に同一太さの複
数本の線を有する基準パターンを静電潜像として形成する基準パターン形成手段と、基準
パターンの濃度を検知する濃度検知手段と、バーコードの黒線の両隣にある白線幅に基づ
いて黒線幅の補正量を格納する記憶手段と、濃度検知手段にて検出された濃度信号に応じ
て、バーコードの黒線幅の基準を決定し、記憶手段に格納された補正量を参照して、黒線
幅を補正して出力するバーコード補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
濃度検知手段は、複数本の線を読み取り、平均化された反射光から濃度検知を行うこと
を特徴とする。
【0015】
基準パターンは、白黒線が交互に備えられるパターンであることを特徴とする。
【0016】
記憶手段の補正量は、少なくとも1モジュールであることを特徴とする。
【0017】
記憶手段は、バーコードの黒線の両隣にある白線幅のデータ和との比に基づいた補正量
を格納することを特徴とする。
【0018】
バーコード補正手段は、PWM制御によって、エッジ処理を行い、黒線幅の補正を行う
ことを特徴とする。
【0019】
バーコード補正手段は、露光における発光時間による制御によって、黒線幅を補正する
ことを特徴とする。
【0020】
バーコード補正手段は、黒線のドット数の制御によって、黒線幅を補正することを特徴
とする。
【0021】
バーコード補正手段は、書込み出力による制御によって、黒線幅を補正することを特徴
とする。
【0022】
書込み方式は、レーザダイオードによる書込みであることを特徴とする。
【0023】
書込み方式は、LEDによる書込みであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明における画像形成装置の印字方法は、像担持体上に同一太さの複数本の線
を有する基準パターンを静電潜像として形成する基準パターン形成ステップと、基準パタ
ーンの濃度を検知する濃度検知ステップと、濃度検知ステップにて検出された濃度信号に
応じて、バーコードの黒線幅の基準を決定し、バーコードの黒線の両隣にある白線幅に基
づいて黒線幅の補正量を格納する記憶部に格納された補正量を参照して、黒線幅を補正し
て出力するバーコード補正ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、基準パターンによって黒線幅の基準を決定し、白線幅に基づいて黒線幅
の補正を行うことによって、線幅のさまざまな変動要因に関わらず、バーコードリーダに
よるバーコードの読み取りを安定させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、複写機の要部概略構成図である。本複写機は、像担持体であるドラム状の感光
体10のまわりには、横に設けるローラ状の帯電装置11から感光体10の矢印Aで示す
回転方向に順に、現像装置12、転写装置13と用紙分離装置14、続いてクリーニング
装置15を備える。
【0028】
コピーを取るときは、不図示のコンタクトガラス上に原稿をセットし、コピースイッチ
を押し、図示しない光学読取装置で原稿の画像を読み取ると同時に、感光体10と転写装
置13間に用紙(転写材)Pを送り込む。
【0029】
一方、感光体10は、所定の周速度で回転し、その回転にともない、クリーニングパッ
ド16で清掃される帯電装置11が表面を一様に帯電し、その表面に不図示の光書込み装
置からレーザ光Lを照射して書き込みが行われ、感光体10上に、読み取った原稿画像の
静電潜像が形成される。続いて現像装置12位置を通るときトナーを付着して同静電潜像
を逐次可視像化する。
【0030】
可視像化して形成したトナー画像は、上述したとおり感光体10と転写装置13間に搬
送した用紙P上に転写装置13で転写される。
【0031】
転写後、用紙Pは、用紙分離装置14で放電して、静電的に付着する感光体10から分
離し、不図示の定着装置へ搬送してそこで転写画像を定着し、不図示の排紙部へと排出さ
れる。用紙分離装置14に代えて分離爪を設け、感光体10から機械的に分離する方法も
ある。
【0032】
他方、画像転写後の感光体10は、表面に残った残留トナーを、クリーニング装置15
に備えるクリーニングブレード17で掻き落として表面を清掃した後、不図示の除電ラン
プで除電して表面電位が初期化される。
【0033】
図示例では、上述した感光体10と、帯電装置11と、現像装置12と、クリーニング
装置15と、を1つのカートリッジケース19内に備え、プロセスカートリッジ20を構
成している。プロセスカートリッジ20は、図2に示すように、複写機装置本体18に対
して正面側から矢示方向に出し入れして着脱自在である。
【0034】
プロセスカートリッジ20において、上述した現像装置12は、図1に示すように、下
部側に現像剤収容部21が備えられ、上部側に現像剤担持部22を設けて構成される。現
像剤収容部21には、キャリアとトナーとよりなる乾式二成分現像剤を収容し、その現像
剤を撹拌しながら搬送する撹拌部材23が設けられる。また、図示しないが、現像剤中の
トナーとキャリアとの混合比を検知するトナー濃度センサを設けてなる。
【0035】
一方、現像剤担持部22は、現像窓27を通して感光体10と対向する位置に、内部に
磁石を有する現像スリーブ(現像剤担持体)28を設ける。また、感光体10への現像剤
の供給量を制御する現像ドクタ(現像剤規制部材)29を設けてなる。
【0036】
感光体10の上に備えるクリーニング装置15には、図3に示すように、カートリッジ
ケース19のクリーニングケース部19a内にクリーニングブレード17で掻き落した残
留トナーを掻き上げる回収羽根30と、回収羽根30により掻き上げた残留トナーを感光
体10の軸方向に搬送するコイル状のトナー搬送部材31とを備える。
【0037】
そして、プロセスカートリッジ20に、クリーニング装置15で回収したトナーを、さ
らにパイプ等で形成した搬送通路を通して、スクリュ・コイル・ベルト等の搬送部材を用
いたり重力を利用したりして現像装置12の現像剤収容部21へと戻すトナーリサイクル
装置32を備える。
【0038】
図4に示すように、現像装置12は、コピー時、不図示の駆動モータを駆動し、その駆
動を伝達して現像スリーブ28を回転するとともに、撹拌部材23を回転して現像剤を撹
拌し、トナーとキャリアを摩擦帯電しながら現像スリーブ28へ搬送する。一方、現像ス
リーブ28に所定バイアスを印加して現像剤中のトナーを感光体10の表面に静電的に付
着し、その表面上の潜像を可視像化する。
【0039】
一方、クリーニング装置15は、感光体10の回転をギヤを介して伝達してトナー搬送
部材30を回転駆動し、感光体10から除去した残留トナーをトナー搬送部材30で搬送
してクリーニングケース部19a内の手前側に集め、トナーリサイクル装置32で現像装
置12に戻す。
【0040】
次に、バーコードの黒線幅の基準を決定するための基準パターンについて詳細に説明す
る。図5は、図6に示すような基準パターン像が感光体上に作像された様子を示したもの
である。なお、図6の基準パターンは概略図であるが、約20mm四方の大きさの同一太
さで形成される複数の線であって、感光体の帯電後に静電潜像を作成し、現像する事によ
り形成される。
【0041】
基準パターン50は、黒線と白線が交互にあるゼブラパターンを用いている。基準パタ
ーンは600dpiで描いており、黒線は4ドットで形成し、白線(スペース)も4ドッ
トからなる。
【0042】
本実施形態では、黒線4ドット・白線4ドットで構成しているが、線の太さを変更して
も、同様の結果を得ることが可能である。また、基準パターンは、図6にあるように感光
体の回転方向に対し、線が平行方向、すなわち副走査方向の線で構成されていても、感光
体の回転方向に対し垂直方向、すなわち主走査方向の線で構成されていても同様の結果を
得ることができる。
【0043】
次に、パターンセンサ51について詳細に説明する。パターンセンサは、発光側LED
と受光側フォトトランジスタとからなり、感光体上に形成された現像後の基準パターンの
反射濃度を光学的に検出し、電気信号に変換して出力するものである。光学的センサとな
る反射型フォトセンサは、クリーニング装置前段位置(即ち、現像・転写後の位置)に、
感光体に対向させて設けられる。
【0044】
基準パターンにパターンセンサの発光側LEDをONさせ、現像してもトナーが感光体
上にのっていない地肌部と、現像された基準パターンとを照射する。そして、地肌部と現
像された基準パターン部の電圧とが、感光体の移動によりパターンセンサの受光部側に発
生する。
【0045】
図7に示すように、発光LEDは、基準パターンの広域にわたり照射しており、複数の
線をまとめて照射される。一方、受光部は、複数本の線からの平均化された反射光を受光
する。
【0046】
本実施形態によれば、複数本の線の反射濃度を測定するため、基準パターンは、図6に
あるように、線の方向が縦でも横でも問題はない。
【0047】
パターンセンサは、線の幅を測定できる高精度のものを採用すれば正確な制御が可能と
なるが、高価なため、本実施形態におけるパターンセンサは、トナー濃度制御を行うため
の画像濃度測定用センサを用いており、通常、ベタパッチのパターンを感光体上に作成し
、反射濃度を測定するために用いられる。本構成によれば、特別なセンサを用いることな
く、余計なコストをかけずに制御が可能となる。
【0048】
図8は、複数本の線幅を照射したときの受光側の出力電圧Vsと線太さの関係を示した
結果である。さらに図9は、受光側の出力電圧Vsと反射濃度の関係を示した結果である

【0049】
図8、及び図9からわかるように、1本1本の線幅を測定しなくても、複数本の反射濃度
を測定する事で、充分に線幅と反射濃度の相関を得られる。そのため、細かい線幅の制御
も可能である事がわかる。
【0050】
パターンセンサの受光側に発生する電圧を縦軸にとり、時間軸を横軸にとると、図10
に示すような特徴が表れる。図中、Vsがパターン像の電圧を示す。
【0051】
パターン像の電圧は、図9のようにVsが小さいと反射濃度が高く、Vsが大きいと反
射濃度が低いという関係がある。すなわち、図8に示すように、Vsが小さいときは、黒
線幅が太くトナーが多くのっているため反射濃度が高くなり、Vsが大きいときは、黒線
幅が狭く、トナーののりが少ないために画像濃度が低くなっているものである。
【0052】
したがって、黒線幅の太さとVsとの関係を把握しておけば、Vsの値によって、環境
や経時等のさまざまな変動要因により変動している現在の黒線幅がわかり、その線幅を基
準として、線幅を最適に補正するための制御を行うことが可能となる。
【0053】
図11は、本発明の実施形態における画像形成装置の構成ブロック図である。画像形成
装置1は、データ変換部3と、メモリ4と、制御部5と、描画部6とを有する。
【0054】
データ変換部3は、ホストコンピュータ2から送られてくるバーコード種やバーコード
データなどを入力し、そのデータを基にバーコードの印刷データに変換する。
【0055】
制御部5は、データ変換部3からの印刷データを受け取り、それに対応するバーコード
パターンをメモリ4から選択する。さらに、基準パターンにより求めた黒線幅の基準値と
、その補正値を決定する。
【0056】
メモリ4は、バーコードパターンに基づいたパターンテーブルを有する。描画部6は、
メモリ4に保持されるパターンテーブルからバーコードパターンの補正を行ったバーコー
ド情報を印刷する。
【0057】
ところで、図12は、解像度600dpiで出力したGS1−128バーコード内にあ
る1モジュール黒バーの線幅を測定したグラフである。
【0058】
600dpiでの1モジュールは4ドットから構成されているのが望ましく、169μ
mがその線幅となる。図12に示すように、同じ1モジュール幅においても線幅のバラツ
キがある。
【0059】
このようなバラツキは、図13にあるように黒バーの隣りあう白バーのモジュール数に
よって線幅が変わっているためであり、電子写真特有のエッジ効果によるものである。
【0060】
エッジ効果は、隣りあう白バーのモジュール数が多いと影響を受けやすく、黒バーの線
幅が太くなる。この傾向は、黒バーが2モジュール、3モジュール、4モジュールについ
ても同様である。隣あう白バーのモジュール数が広い4モジュールの場合、線幅が230
μmくらいのものもあり、バーコードの読み取り率が低くなる。
【0061】
この問題は、黒バーに隣りあう白バーのモジュール数によって黒バーの線幅を最適にす
ることによって解決できる。次に、この解決方法である本発明の実施形態おけるレーザに
よるエッジ処理について詳細に説明する。
【0062】
エッジ処理とは、線の両端のドットの大きさだけを変える制御のことである。レーザは
、PWM制御をしており、1つのドットを32分割できる。レーザの発光時間を制御する
事によっても同様の効果が得られる。1モジュール黒バーにおける概略図を図14に示す

【0063】
ここでは、制御していない4ドット線は4つのドット全てが32/32でフル発光して
いる状態である。しかし、エッジ処理を行うと、4ドットの両端のドットがPWM変調に
より、この例では16/32の発光となる。このような制御を行うと、線幅の太さを自由
に変更する事が可能となる。
【0064】
図15は、黒バー1モジュールの線幅について、横軸をエッジ処理部のドットの大きさ
、縦軸に黒バーの線幅をとったものである。グラフ中の1〜4は、隣り合う白バーのモジ
ュール数によって黒バーの線幅が異なることを表している。
【0065】
しかしながら、隣り合う白バーのモジュール数に応じて黒バーに最適なエッジ処理を行
うことにより、黒バーの隣り合う白バーのモジュール数に関係なく169μm(600d
piでの最適な1モジュール幅)に近い線幅を得る事ができるようになる。
【0066】
図16は、複数個のバーコードについて隣りあう白バーのモジュール和(左隣と右隣の
白モジュールの和)別に1モジュール黒バーの平均線幅を測定した結果である。エッジ処
理前では、白モジュールの和が大きくなるほど線幅が太くなっている。しかし、エッジ処
理を行った後では、白モジュールの和に依存せず、安定した線幅となる。
【0067】
このように白バーのモジュール和によって黒バーに最適なエッジ処理を施して、バーコ
ードを出力する事によって、図12のような1モジュール幅の分布が図17のように16
9μmを中心にバラツキの少ない線幅分布にすることが可能となる。
【0068】
図18は、黒バー2モジュールの線幅について、横軸をエッジ処理部のドットの大きさ
、縦軸に黒バーの線幅をとったものである。2モジュール黒バーについても、図15と同
様の関係があり、上述した方法を行うことで線幅が安定し、バーコードの読み取り率が高
くなる。また、3、4モジュール黒バーについても同様の効果が得られる。
【0069】
すなわち、隣り合う白バーのモジュール数に応じて黒バーの線幅を変えれば、バーコー
ドの読み取り率を上げ、さらに安定させる事が可能となる。
【0070】
GS1-128バーコードでは、コード128によってパターンが決められている為、
予め、そのコードパターンに応じて、線幅を変えるよう図19にあるように最適なエッジ
処理を行ったコードパターンを参照し、最適な線幅の黒バーを出力することによってバー
コードの読み取り率を上げ、さらに安定させる事ができる。
【0071】
バーコードの黒線幅と、その両隣にある白線幅の和との比に基づいて黒線幅の書き込み
データを変更する制御の場合では、図20にあるように隣り合う白バーのモジュール和と
、その間の黒バーとの比の値に基づいて、図21に示すようなテーブルに従ってエッジ処
理の最適値を決定する。
【0072】
この最適値でのエッジ処理を図19と同様にコードパターンに応じて行う事によって、
バーコードの読み取り率を上げ、さらに黒バーの線幅を安定させる事ができる。
【0073】
線幅を制御する手段がLEDによるエッジ処理の場合も、LDによるエッジ処理と同様
に、線のエッジ部のドットの大きさを変える事によって行う。図19と同様なパターンテ
ーブルを参照し、バーコードを出力することで、最適な線幅の黒バーを出力することがで
き、バーコードの読み取り率を上げ、さらに安定させる事ができる。
【0074】
次に、本発明の実施形態におけるバーコード出力処理を図22に示したフローチャート
を参照して詳細に説明する。
【0075】
まず、出力を行うデータにおいて、バーコードデータを含むか否かを判断し(ステップ
S11)、バーコードデータがある場合には、基準パターンを作成する(ステップS12
)。作成した基準パターンを読み取り(ステップS13)、読み込んだ結果のVsの値か
ら、基準となるバーコードの線幅を決定する(ステップS14)。
【0076】
一方、ホストコンピュータから送られてくるバーコードデータをデータ変換部において
バーコードパターンに変換する(ステップS15)。制御部は、変換したバーコードパタ
ーンのデータに基づき、メモリに格納されたテーブルを参照して作像条件を決定する(ス
テップS16)。描画部により、基準の線幅から補正されたバーコードパターンの出力を
行う(ステップS17)。
【0077】
図23は、横軸を600dpiにおける1モジュール黒バーを構成するドット数、縦軸
に線幅をとった関係を表している。
【0078】
図のように、隣り合う白バーのモジュール数が少ない時は、1モジュール黒バーは4ド
ットで構成されているほうが169μmに近い値となるが、逆に隣り合う白バーのモジュ
ール数が多い時は、3ドットで出力する方が169μmに近い値となる。
【0079】
このことから、図24のように、隣り合う白バーのモジュール数によって、黒バーを構
成するドット数を変えて補正すると、適当な線幅の黒バーを得る事ができる。この場合、
1、2ドットで1モジュール黒バーを構成すると、線幅が細くなってしまうため、ドット
数を減少する場合は1ドット分がよい。またドットを減らす場合は、バーの両端の内、ど
ちらか片方のドット数を補正することとする。
【0080】
図25は、上記処理によって線幅を最適化したパターンテーブルである。この処理によ
り最適な線幅の黒バーを出力する事ができ、バーコードの読み取り率を上げ、さらに安定
させる事ができる。露光の手段がLEDの場合では、所望の部分のLEDを点灯させない
ことによってドット数を補正すれば同様の効果が得られる。
【0081】
図26は、レーザパワーと1モジュール黒バーの線幅の関係である。レーザパワーを上
げる事によって線幅が太くなり、感光体にレーザが照射された部分の表面電位VLが低く
なるため、その分、現像ポテンシャルが増える。その結果、トナーの付着量が増える為に
、線幅が太くなる。逆の場合では、トナーの付着量が減る為に、線幅が細くなる。
【0082】
図27は、レーザパワーによる制御によって線幅を最適化したパターンテーブルである
。この処理により最適な線幅の黒バーを出力する事ができ、バーコードの読み取り率を上
げ、さらに安定させる事ができる。露光の手段がLEDの場合でも、図28に示したLE
Dパワーと1モジュール黒バーの線幅の関係があるため、同様の効果が得られる。
【0083】
上述した実施形態において、バーコードのバー方向が感光体の周方向に垂直か平行かで
最適なパターンテーブルを変える事で同様な結果を得る事ができる。また、線幅を変える
手段を単独に記載したが、これらの手段を組み合わせて線幅を制御する事によって、より
細かい線幅設定を行うことも可能である。
【0084】
また、1、2、3、4モジュールの黒バーの線幅をそれぞれ制御した例を取り上げてき
たが、バーコードの読み取りに大きく関与しているのが1モジュール黒バーの線幅である
ため、1モジュール黒バーのみ制御する事でも、バーコードの読み取り率を上げ、さらに
安定させることができる。
【0085】
本発明の実施形態によれば、静電潜像担持体に基準パターン用の静電潜像を形成し、こ
の静電潜像を現像手段により現像して基準濃度パターンを形成し、この基準濃度パターン
の反射濃度を光学センサにより検出し、検出された反射濃度信号に応じてバーコードの黒
線幅の基準を決定し、バーコードの黒線の両隣にある白線幅のデータの和に基づいて黒線
幅の書き込みデータを補正変更する制御を行う事により、線幅のさまざまな変動要因に関
わらず、バーコードリーダによるバーコードの読み取りを安定させることが可能となる。
【0086】
また、静電潜像担持体に基準パターン用の静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段
により現像して基準濃度パターンを形成し、この基準濃度パターンの反射濃度を光学セン
サにより検出し、検出された反射濃度信号に応じてバーコードの黒線幅の基準を決定し、
バーコードの黒線幅データと、その両隣にある白線幅のデータ和との比に基づいて黒線幅
の書き込みデータを補正変更する制御を行う事により、線幅のさまざまな変動要因に関わ
らず、バーコードリーダによるバーコードの読み取りを安定させることが可能となる。
【0087】
また、光学センサで検出するための基準パターンが、白黒線が交互にあるパターンとす
ることで、さまざまな変動要因によって変動する線幅の、実際の線幅の変動を検出しやす
くすることが可能となる。
【0088】
また、変更する黒線幅のデータは少なくとも1モジュールであることが、黒線のモジュ
ール数による最適な制御を行うことにつながり、バーコードの読み取りを上げ、さらに安
定させる事が可能となる。
【0089】
また、黒線幅の書き込みデータを変更する手段が、エッジ処理を行うPWM制御を変える
ことによって、線のエッジ部を構成するドットの大きさを調整し、線幅を制御することで
、細かい線幅の補正が可能となり、バーコードリーダによるバーコードの読み取りを安定
させることが可能となる。
【0090】
また、黒線幅の書き込みデータを変更する手段が、露光における発光時間を変えること
によって、線のエッジ部を構成するドットの大きさを調整し、線幅を制御することで、細
かい線幅の補正が可能となり、バーコードリーダによるバーコードの読み取りを安定させ
ることが可能となる。
【0091】
また、黒線幅の書き込みデータを変更する手段が、黒線を構成するドットの数を変える
ことによって、線幅を制御する事で、細かい線幅の補正が可能となり、バーコードリーダ
によるバーコードの読み取りを安定させることが可能となる。
【0092】
また、黒線幅の書き込みデータを変更する手段が、書き込みの出力を変化させることに
よって、像担持体上の線を形成する部分の潜像を変化させ、トナーの付着量を調整するこ
とによって線幅を制御する事によって、細かい線幅の補正が可能となり、バーコードリー
ダによるバーコードの読み取りを安定させることが可能となる。
【0093】
また、書込み方式をレーザーダイオードにすることで、細かい線幅の補正が可能となる

【0094】
また、書込み方式をLEDにすることで、細かい線幅の補正が可能になった。
【0095】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示
して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲
から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの着脱を示す斜視図である。
【図3】プロセスカートリッジに備えるトナーリサイクル装置を説明する斜視図である。
【図4】画像形成装置に備える現像装置の部分拡大図である。
【図5】感光体に形成された基準パターンである。
【図6】基準パターン概略図である。
【図7】基準パターンのLED照射領域の概要図である。
【図8】基準パターンの複数本の黒線幅太さとセンサ出力電圧Vsの関係を示す図である。
【図9】センサ出力電圧Vsと反射濃度の関係を示す図である。
【図10】パターンセンサによる読み取り結果である。
【図11】本発明の実施形態に関わる画像形成装置のブロック図である。
【図12】バーコード出力における1モジュール黒バーの線幅分布である。
【図13】隣あう白バーのモジュール数による線幅の違いの説明図である。
【図14】エッジ処理説明図である。
【図15】隣あう白バーのモジュール数の違いによる適当なエッジ処理を説明する図である。
【図16】隣あう白バーのモジュール数による適当なエッジ処理を行った効果を説明する図である。
【図17】本実施形態に係る出力したバーコードにおける1モジュール黒バーの線幅分布である。
【図18】2モジュール黒バーの両隣にある白バーのモジュール数の違いによる適当なエッジ処理を説明する図である。
【図19】パターンテーブル(エッジ処理)である。
【図20】黒バーのモジュールと、その両隣の白バーのモジュール和との比を表す図である。
【図21】黒バーのモジュールと、その両隣の白バーのモジュール和との比に応じたエッジ処理の値を表す図である。
【図22】本発明の実施形態に係る処理動作を示すフローチャート図である。
【図23】隣あう白バーのモジュール数の違いによる1モジュール黒バーの適当なドット数を説明する図である。
【図24】ドットの補正の説明図である。
【図25】パターンテーブル(ドット補正処理)である。
【図26】レーザパワーと線幅の関係を示す図である。
【図27】パターンテーブル(レーザパワー)である。
【図28】LEDパワーと線幅の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
2 ホストコンピュータ
3 データ変換部
4 メモリ
5 制御部
6 描画部
10 感光体
50 基準パターン
51 パターンセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に同一太さの複数本の線を有する基準パターンを静電潜像として形成する基
準パターン形成手段と、
前記基準パターンの濃度を検知する濃度検知手段と、
バーコードの黒線の両隣にある白線幅に基づいて黒線幅の補正量を格納する記憶手段と

前記濃度検知手段にて検出された濃度信号に応じて、バーコードの黒線幅の基準を決定
し、前記記憶手段に格納された補正量を参照して、前記黒線幅を補正して出力するバーコ
ード補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度検知手段は、複数本の線を読み取り、平均化された反射光から濃度検知を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記基準パターンは、白黒線が交互に備えられるパターンであることを特徴とする請求
項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段の補正量は、少なくとも1モジュールであることを特徴とする請求項1か
ら3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記バーコードの黒線の両隣にある白線幅のデータ和との比に基づい
た補正量を格納することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装
置。
【請求項6】
前記バーコード補正手段は、PWM制御によって、エッジ処理を行い、前記黒線幅の補
正を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記バーコード補正手段は、露光における発光時間による制御によって、前記黒線幅を
補正することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記バーコード補正手段は、黒線のドット数の制御によって、前記黒線幅を補正するこ
とを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記バーコード補正手段は、書込み出力による制御によって、前記黒線幅を補正するこ
とを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
書込み方式は、レーザダイオードによる書込みであることを特徴とする請求項1から9
のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
書込み方式は、LEDによる書込みであることを特徴とする請求項1から9のいずれか
1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
像担持体上に同一太さの複数本の線を有する基準パターンを静電潜像として形成する基
準パターン形成ステップと、
前記基準パターンの濃度を検知する濃度検知ステップと、
前記濃度検知ステップにて検出された濃度信号に応じて、バーコードの黒線幅の基準を
決定し、バーコードの黒線の両隣にある白線幅に基づいて黒線幅の補正量を格納する記憶
部に格納された補正量を参照して、前記黒線幅を補正して出力するバーコード補正ステッ
プと、を備えることを特徴とする画像形成装置の印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−91590(P2010−91590A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248609(P2008−248609)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】