説明

画像形成装置、画像形成方法および画像形成装置の制御プログラム

【課題】下地が色を有する出力用紙に画像を形成する場合において、画像の視認性を良好に向上させ得る画像形成装置、画像形成方法および制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理部150と、印刷データ形式に変換された画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成部と、を有する。画像処理部150は、画像構成要素の特徴量に基づいて、画像データから画像構成要素を領域判別する領域判別部151と、出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出部153と、領域判別された画像構成要素の色情報と下地の色情報との比較結果に基づき、出力用紙に画像が形成された際における画像構成要素の視認性が向上するように、画像構成要素の色情報を調整する強調補正部156と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下地が色を有する出力用紙に対して下地と同系色の画像データを印刷したり、下地が濃い色である出力用紙に対して印刷する場合、印刷された画像データが下地色に紛れて見にくくなる(視認性が悪化する)現象が発生する。
【0003】
そのため、出力用紙の下地色(CMY)および濃度を検出し、原稿画像の色(CMY)および濃度から、出力用紙の色と一致する色成分の濃度を減少させることにより、色濃度を自動調整し、原稿画像の色再現および階調性を維持している(例えば、特許文献1参照。)。C、MおよびYは、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)およびイエロー(Yellow)を表している。
【0004】
下地が色を有する出力用紙に対して、階調パターンを含んだパッチチャート画像を印刷し、当該印刷画像のスキャン画像データに基づき、原稿画像の色再現および階調性を維持するための設定を生成しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
既存の印刷文書に署名、ロゴ、著作権マーク等を印刷する際に、下地の印刷内容の色に紛れてしまわないように、オーバーレイしたい箇所の下地色と、オーバーレイするデータの色の差異をみて、色変換するものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
複写機に接続したタブレット装置から、ユーザーが変更領域をマーク(指定)し、マーク領域内の下地色および線画色を見やすく変更するものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−287406号公報
【特許文献2】特開2005−184401号公報
【特許文献3】特開2004−188714号公報
【特許文献4】特開平9−69936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、黄色の用紙に黄色の文字を含んだ画像データを印刷する際、濃度変更だけでは、視認性を向上させる(見えやすくする)ことが困難であり、また、下地色が高輝度(低濃度)であることを想定した処理のため、低輝度(高濃度)の下地色を有する出力用紙に対しては効果が乏しい。
【0009】
特許文献3に記載の技術においては、オーバーレイしたいデータのみが色変換されるため、視認性の向上は限定的(一部のみ)である。
【0010】
特許文献4に記載の技術においては、マーク領域内の線画の抽出は画素単位であるため、網点原稿のスキャン画像が対象の場合、全体としての視認性の向上(期待通りの調整出力)が得られない可能性を有している。
【0011】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、下地が色を有する出力用紙に画像を形成する場合において、画像の視認性を良好に向上させ得る画像形成装置、画像形成方法および画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
(1)画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理部と、
印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成部と、を有し、
前記画像処理部は、
前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別部と、
前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出部と、
領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(2)前記下地の色情報は、YCbCr色空間の輝度および色差を含んでおり、
前記強調補正部によって調整される前記画像構成要素の色情報は、輝度および色差であり、
前記印刷データ形式は、CMYK形式である
ことを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(3)前記強調補正部は、
前記下地の輝度が、第1閾値未満である場合、
前記画像構成要素の輝度に輝度変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の輝度が増加するように調整し、
前記画像構成要素の色差に色差変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の彩度が上昇し、かつ、イエロー色が最大値となる方向に前記画像構成要素の色相が移動するように調整する
ことを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0016】
(4)前記画像形成部は、トナーにより画像が形成される作像プロセスを用いるエンジンを有しており、
前記強調補正部において、前記画像構成要素の輝度は、イエロー色トナーで再現できる最大輝度になるように調整され、前記画像構成要素の色相は、イエロー色が最大値となる設定に調整されることを特徴とする上記(3)に記載の画像形成装置。
【0017】
(5)前記強調補正部は、
前記下地の輝度が、第1閾値以上かつ前記画像構成要素の輝度未満である場合、
前記画像構成要素の輝度に輝度変換オフセットを減算することにより、前記画像構成要素の輝度が減少するように調整し、
前記下地の輝度が、前記第1閾値以上、かつ、前記画像構成要素の彩度が第2閾値以上、かつ、前記下地と前記画像構成要素との色相差が第3閾値未満である場合、
前記画像構成要素の色差に色差変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の彩度が上昇し、かつ、前記画像構成要素の色相が、補色方向に移動するように調整する
ことを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0018】
(6)前記強調補正部は、前記画像構成要素の色相が前記下地の色相の補色となるように調整することを特徴とする上記(5)に記載の画像形成装置。
【0019】
(7)前記輝度変換オフセット、前記色差変換オフセット、前記第1閾値、前記第2閾値および前記第3閾値の設定値を、ユーザーが指定するための操作部を有することを特徴とする上記(3)又は上記(5)に記載の画像形成装置。
【0020】
(8)前記画像構成要素は、文字領域、文字輪郭領域および線画領域からなることを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0021】
(9)前記強調補正部において、前記画像データにおける前記画像構成要素以外の領域の色情報は、調整されないことを特徴とする上記(8)に記載の画像形成装置。
【0022】
(10)前記領域判別部は、
前記画像データの色情報から、網点およびエッジを検出する検出部と、
検出された前記網点および前記エッジに基づき、前記文字領域、前記文字輪郭領域および前記線画領域を矩形単位で抽出する領域抽出部と、
前記画像構成要素から背景を除去したソリッド部のみを抽出するソリッド部抽出部と、
前記ソリッド部の色を均一化する色均一化部と、
を有することを特徴とする上記(9)に記載の画像形成装置。
【0023】
(11)前記ソリッド部抽出部は、前記ソリッド部の明度および彩度のヒストグラムにおける色頻出頻度のピーク値に基づき、前記ソリッド部が、異なる色の複数のソリッド部から構成されると判定される場合、前記ソリッド部を、前記ピーク毎に再分割することを特徴とする上記(10)に記載の画像形成装置。
【0024】
(12)前記均一色は、前記ソリッド部の色の平均値あるいは前記ソリッド部の前記ピーク値の色であることを特徴とする上記(11)に記載の画像形成装置。
【0025】
(13)RGB形式のスキャンデータを生成する画像読み取り部を有し、
前記画像データは、原稿のスキャンデータからなり、
前記画像処理部は、前記スキャンデータをYCbCr色空間に変換する変換部を有する
ことを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0026】
(14)前記下地色検出部は、前記出力用紙のスキャンデータに基づいて、前記出力用紙の下地の色情報を検出することを特徴とする上記(13)に記載の画像形成装置。
【0027】
(15)画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理ステップと、
印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成ステップと、を有し、
前記画像処理ステップは、
前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別ステップと、
前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出ステップと、
領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正ステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【0028】
(16)画像処理部と、領域判別部、下地色検出部および強調補正部を有する画像形成部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像処理部によって、画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理手順と、
前記画像形成部によって、印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成手順と、を有する処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記画像処理手順は、
前記領域判別部によって、前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別手順と、
前記下地色検出部によって、前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出手順と、
前記強調補正部によって、領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正手順と、
を有することを特徴とする制御プログラム。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置、画像形成方法および制御プログラムによれば、視認性を向上させるための調整項目は、画像構成要素の濃度に限定されず、画像構成要素の色情報であるため、多様な下地色に適用が容易である。また、視認性を向上させる対象(画像構成要素)を、領域判別して抽出しており、全ての画像構成要素に対して、視認性を向上させることが可能である。さらに、色情報の調整は、画素単位ではなく、画像構成要素単位であるため、全体としての視認性の向上(期待通りの変換出力)が得られる、したがって、下地が色を有する出力用紙に画像を形成する場合において、画像の視認性を良好に向上させ得る画像形成装置、画像形成方法および制御プログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を説明するためのブロック図である。
【図2】図に示される画像処理部を説明するためのブロック図である。
【図3A】図2に示される領域判別部における領域判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図3B】図3Aに続く処理ステップを説明するためのフローチャートである。
【図4A】図2に示される強調補正部における強調補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図4B】図4Aに続く処理ステップを説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を説明するためのブロック図、図2は、図に示される画像処理部を説明するためのブロック図である。
【0033】
図1に示される画像形成装置100は、画像読み取り部110、印刷部(画像形成部)120、表示部130、操作部140および画像処理部150を有し、これらは、バス160を経由して相互に接続されている。
【0034】
画像読み取り部110は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを備えているスキャナであり、通常モードおよび下地検出モードを備えている。通常モードは、原稿の画像データを生成し、画像処理部150に入力するモードであり、下地検出モードは、用紙(出力用紙)の画像データを生成し、画像処理部150に入力するモードである。スキャンデータは、RGB(赤:Red、緑:Green、青:Blue)形式である。
【0035】
印刷部120は、画像処理部150からの出力データ(印刷データ形式に変換された原稿の画像データ)に基づく画像を、記録媒体である用紙上に形成するために使用され、用紙を供給する給紙部や、例えば、帯電、露光、現像、転写および定着工程を含む電子写真式プロセス等の作像プロセスを用いるエンジンを有している。印刷データ形式は、CMYKである。なお、Kは、キー・プレート(Key Plate)を表している。
【0036】
表示部130は、機器構成、プリントジョブの進行状況、エラーの発生状況、現在変更可能な設定などを、ユーザーに提示するために使用される出力手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネルから構成される。
【0037】
操作部140は、文字入力、各種設定、スタート指示等の各種指示(入力)をユーザーが行うために利用される入力手段であり、例えば、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー等からなる複数のキーを有するキーボードから構成される。
【0038】
画像処理部150は、領域判別部151、YCbCr変換部152、下地色検出部153、下地色情報保持部154、設定値保持部155、強調補正部156およびCMYK変換部157を有しており、画像読み取り部110からの原稿画像のスキャンデータ(RGB形式)に画像処理を施し、印刷に利用されるCMYK形式データに変換するために使用される。画像処理部150の各部は、専用のハードウェア回路によって構成する形態に限定されず、各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサ等から構成される制御回路によってプログラムを実行することにより、各部の機能を発揮させることも可能である。
【0039】
領域判別部151は、原稿画像のスキャンデータ(RGB形式)の領域判別処理を実行し、強調補正部156に入力するために使用される。領域判別処理は、網点検出およびエッジ検出に基づき、RGB形式データに含まれる画像構成要素を分離(抽出)し、YCbCr色空間のデータに変換すると共に、画像構成要素毎に色を均一化するための画像処理である。
【0040】
画像構成要素は、矩形単位で判別された文字領域、文字輪郭領域、線画領域である。画像構成要素以外の領域(例えば、写真領域)は、色均一化が施されることなく、YCbCr色空間のデータに変換される。なお、画像構成要素は、矩形単位で抽出する形態に限定されない。また、文字領域は、単語単位で判別することも可能である。
【0041】
具体的には、画像構成要素候補を矩形で抽出し、明度と彩度に対して夫々ヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける色頻出頻度のピーク値により、原稿下地と文字(文字領域および文字輪郭領域)を形成するソリッド部とに分離し、ソリッド部の色平均値(あるいはピーク値の色)で、当該ソリッド部を塗りつぶすことにより、文字色の色均一化が実行される。
【0042】
また、画像構成要素候補である矩形内において、原稿下地が網点で構成され、その網点上に文字がある場合は、網点からなる背景を除去し、文字のソリッド部のみを抽出し、当該ソリッド部の色均一化を実行することにより、網点文字の色が均一となる。
【0043】
文字輪郭領域のみが判別される場合においては、ヒストグラムあるいは網点検出結果によって背景を除去した後、抽出される内エッジの閉エッジ領域である文字輪郭候補において、文字輪郭候補部の色の平均値(あるいはピーク値の色)により、文字輪郭の色を塗りつぶすことにより、文字輪郭領域の色を均一化することが可能である。
【0044】
YCbCr変換部152は、下地検出モードによるスキャンデータ(RGB形式)を、YCbCr色空間へ変換するために使用される。Y、CbおよびCrは、輝度、色差(青)および色差(赤)を表現している。
【0045】
下地色検出部153は、YCbCr変換部152からの画像データ(YCbCr形式)に基づき、用紙の下地の彩度を算出すために使用される。なお、彩度aおよび色相bは、YCbCr値を用いて、下記の式(1)および(2)により算出される。
【0046】
【数1】

【0047】
下地色情報保持部154は、用紙の下地輝度Y、下地色差(Cb,Cr)および下地色検出部153によって算出された下地彩度を保持するために使用される。
【0048】
設定値保持部155は、強調補正部156において使用される閾値および色情報変換オフセットのデフォルト、ユーザーが指定したレベルに基づく閾値および色情報変換オフセットのユーザー設定値、イエロー色トナーにより再現できる最大輝度および色差(彩度および色相)を保持するために使用される。なお、色情報変換オフセットは、輝度変換オフセット、色差変換オフセット(彩度変換オフセットおよび色相変換オフセット)からなる。
【0049】
強調補正部156は、領域判別部151において判別(分離)されかつ色均一化された画像構成要素(文字領域、文字輪郭領域、線画領域)に対し、強調補正処理を施し、下地色に紛れて見づらくなる画像構成要素を見やすい輝度および色差へ変換するために使用される。
【0050】
具体的には、強調補正処理は、下地輝度に応じて場合分けされ、下地色情報と画像構成要素の色差を比較することにより、下地と画像構成要素が同系色であるか否かが判定され、同系色であると判定される場合、画像構成要素の色差および輝度を変換する画像処理である。
【0051】
条件a:用紙の下地輝度が閾値(例えば、10)未満であり、下地が高濃度であると判定される場合、彩度を上げる方向に、画像構成要素輝度に輝度変換オフセットが加算(あるいは減算)される。輝度変換オフセットは、イエロー色トナーで再現できる最大輝度になるように設定される。また、色相については、イエロー色が最大値となる方向に色相移動が為される。色相移動の最大は、イエロー色が最大値となる設定である。色相の変換レベルは、ユーザーによって指定することも可能である。
【0052】
条件b:下地輝度が閾値以上であり、下地が中間〜低濃度色であると判定される場合、下地および画像構成要素輝度差および彩度差に応じて下記の加重条件が加えられる。
【0053】
条件b1:下地輝度が画像構成要素輝度未満であり、下地の方が高濃度であると判定される場合、画像構成要素輝度を減少させる。
【0054】
条件b2:画像構成要素彩度が閾値以上であり、画像構成要素が有彩色であると判定される場合、下地色と画像構成要素の色相および彩度がさらに比較され、色相差がなく、同系色であると判定される場合は、彩度が増加し、色相が移動するように、色差(彩度および色相)変換オフセットが加算される。色相移動は、色相が一定角度で移動するように、色差が設定される。変換レベルの最大値は、下地の色相の補色(180度移動)となる。
【0055】
CMYK変換部157は、強調補正部156から出力される画像データ(YCbCr形式)を、印刷部120における印刷に利用される画像データ(CMYK形式)に変換するために使用される。
【0056】
なお、下地色情報保持部154および設定値保持部155は、適宜省略することも可能である。
【0057】
次に、領域判別処理を詳述する。
【0058】
図3Aおよび図3Bは、図2に示される領域判別部における領域判別処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
まず、原稿画像のスキャンデータ(RGB形式)の色情報(明度値および彩度値)を用いてエッジ検出が実行され、その変化量の符号に基づき、エッジ情報が検出される(ステップS101)。エッジ情報は、ソリッド内部のエッジ(内エッジ)およびソリッド外部のエッジ(外エッジ)である。
【0060】
そして、網点検出が実行され(ステップS102)、ステップS101において検出されたエッジ情報に基づき、画像構成要素候補となる文字/線画領域が、矩形単位で抽出される(ステップS103)。網点検出は、例えば、網点を構成する線数およびパターン識別に基づく方法、網点を形成する周波数に基づく方法、特徴量(孤立点)に基づく方法を適用することが可能である。なお、特徴量に基づく方法においては、注目画素とその近傍からなる局所マスクで網点を形成する特徴量(孤立点)が検出され、特徴量があるマスク内で占める割合を閾値と比較し、閾値より大きい場合を網点と判別される。
【0061】
次に、画像構成要素候補の矩形内における明度および彩度のヒストグラムが生成される(ステップS104)。ステップS102における網点検出結果に基づき、画像構成要素候補の矩形内に網点画像が存在するか否かが判定される(ステップS105)。網点画像が存在しないと判定される場合(ステップS105:No)、プロセスは、ステップS108に進む。
【0062】
網点画像が存在すると判定される場合(ステップS105:YES)、網点上のソリッド部の検出を容易とするため、ステップS104において生成されたヒストグラムとステップS102における網点検出結果に基づき、矩形内のソリッド部外の網点下地が除去され(ステップS106)、そして、明度および彩度のヒストグラムが再度生成され(ステップS107)、プロセスは、ステップS108に進む。
【0063】
ステップS108においては、明度および彩度のヒストグラムのピークの数が、夫々3個以上であるか否かが判定される。ピークの数が3個未満であると判定される場合(ステップS105:No)、ステップS109がスキップされる。
【0064】
ピークが3個以上であると判定される場合(ステップS105:YES)、画像構成要素候補の矩形内において、異なる色の複数のソリッド部が存在している可能性があるため、色分離処理が実行される(ステップS109)。色分離処理は、ソリッド部を再分割し、ピーク毎(色毎)に矩形を生成する処理であり、これにより、画像構成要素候補の矩形内には、単色のソリッド部のみが存在することとなる。つまり、文字や線画が複数の色で形成される場合は、明度と彩度の夫々のヒストグラムにおいて、色数に対応するピークが複数検出されるので、文字領域や線画領域をピーク毎に分離し、ピーク毎に画像構成要素候補を生成することで、画像構成要素候補が単色のソリッド部によって構成されることとなる。
【0065】
次に、明度および彩度のヒストグラムから下地色が除去され、ピーク値から一定の範囲の明度および彩度を持つ(単色の)ソリッド部(あるいは輪郭部)が抽出され(ステップS110)、色均一化が実行される(ステップS111)。
【0066】
色均一化は、画像構成要素候補の矩形内のソリッド部(あるいは輪郭部)を形成する全ての画素の平均値色で、ソリッド部(あるいは輪郭部)の色を均一化する処理である。ソリッド部(あるいは輪郭部)の色を均一化するために適用される色は、平均値色に限定されず、ソリッド部(あるいは輪郭部)の彩度および明度のヒストグラムのピーク値の色を利用することも可能である。
【0067】
そして、画像構成要素候補の矩形サイズおよび矩形内のソリッド部の直線性が検証され(ステップS112)、画像構成要素候補の矩形サイズが閾値Tより大きい、または、矩形内のソリッド部の直線性が閾値Tより大きいか否かが判定される(ステップS113)。これは、矩形サイズが大きい場合や、ソリッド部の直線性が高い場合、矩形内のソリッド部(あるいは輪郭部)は、線画領域である可能性が高いためである。
【0068】
矩形サイズおよびソリッド部の直線性の少なくとも一方が、閾値TおよびT以上であると判定される場合(ステップS113:YES)、画像構成要素候補である矩形内のソリッド部(あるいは輪郭部)は、画像構成要素(線画領域)であると判別され(ステップS115)、プロセスは、ステップS116に進む。
【0069】
矩形サイズが閾値T以下かつソリッド部の直線性が閾値T以下であると判定される場合(ステップS113:NO)、画像構成要素候補の矩形内のソリッド部(あるいは輪郭部)は、画像構成要素(文字領域または文字輪郭領域)であると判別され(ステップS114)、プロセスは、ステップS116に進む。なお、文字領域(または文字輪郭領域)と線画領域との判別は、ステップS113に係る方法に限定されない。
【0070】
ステップS116においては、画像構成要素(線画領域、文字領域、文字輪郭領域)および非画像構成要素(画像構成要素として判別されなかった領域)の画像データ(RGB形式)は、YCbCr色空間の画像データに変換される。
【0071】
次に、強調補正部156における強調補正処理を詳述する。
【0072】
図4Aおよび図4Bは、図2に示される強調補正部における強調補正処理を説明するためのフローチャートである。
【0073】
なお、領域判別部151から入力される色均一化後の画像構成要素(YCbCr形式)の輝度、彩度および色相は、「Y_e」、「a_e」および「b_e(cb_e,cr_e)」で示される。用紙下地の色情報である輝度、彩度および色相は、「Yo」、「ao」および「bo(cbo,cro)」で示される。強調補正部156から出力される色変換後の画像構成要素の輝度、彩度および色相は、「Y_ec」、「a_ec」および「b_ec(cb_ec,cr_ec)」で示される。イエロー色トナーの輝度は、「Yy」で示される。
【0074】
まず、用紙の下地輝度Yoと、高濃度の暗い色であるか否かを判定するための閾値Tとが比較される(ステップS201)。下地輝度Yoは、下地色情報保持部154に保持されている値(デフォルト)あるいは操作部140を利用してユーザーが指定(入力)した設定値が適用される。
【0075】
下地輝度Yoが閾値T未満である(高濃度の暗い色である)と判定される場合(ステップS201:YES)、画像構成要素輝度Y_ecは、イエロー色トナーで再現できる最大輝度値Yyに変更される(ステップS202)。画像構成要素彩度a_eに彩度変換オフセットa_offsetが加算され、イエロー色トナーで再現できる最大彩度値(a_ec=a_e+a_offset)に変換される(ステップS203)。画像構成要素色相b_e’に色相変換オフセットb_offsetが加算され、イエロー色の色相(B_ec=b_e’+b_offset)に変換され(ステップS204)、プロセスは終了する。
【0076】
イエロー色トナーで再現できる最大輝度値、最大彩度値、イエロー色の色相が適用されるのは、高濃度の暗い色の下地においても、良好な視認性を有する(見やすい)ためである。なお、画像構成要素輝度は、イエロー色トナーで再現できる最大輝度値Yyに変更する形態に限定されず、画像構成要素の輝度が適宜増加するように調整することも可能である。また、画像構成要素の色相は、イエロー色が最大値となる設定に限定されず、画像構成要素の彩度が適宜上昇し、かつ、画像構成要素の色相が、イエロー色が最大値となる方向に適宜移動するように調整することも可能である。
【0077】
下地輝度Yoが閾値T以上であると判定される場合(ステップS201:NO)、用紙の下地彩度aoと、用紙下地が無彩色か有彩色かを判定するための閾値Tとが比較される(ステップS205)。
【0078】
下地彩度aoが閾値T未満である(無彩色である)と判定される場合(ステップS205:YES)、下地輝度Yoと画像構成要素輝度Y_eとが比較される(ステップS206)。下地輝度Yoが画像構成要素輝度Y_e以上であると判定される場合(ステップS206:NO)、画像構成要素は、用紙下地より低濃度であり、用紙に対する印刷後において良好な視認性を有するため、輝度、彩度および色相に関し、色変換が実行されず(ステップS207)、プロセスは終了する。つまり、出力データである画像構成要素輝度Y_ec、彩度a_ecおよび色相b_ecには、「Y_e」、「a_e」および「b_e」が設定される。
【0079】
下地輝度Yoが画像構成要素輝度Y_e未満であると判定される場合(ステップS206:YES)、用紙の下地は無彩色かつ低濃度であり、用紙に対する印刷後において視認性が低い(見づらい)ため、画像構成要素輝度Y_eが下地輝度Yo以下になるように変換される(ステップS208およびS209)。
【0080】
具体的には、ステップS208において、画像構成要素輝度Y_eと下地輝度Yoとの差分の絶対値に、輝度変換オフセットY_offsetを加算することにより、画像構成要素輝度Y_eが下地輝度Yo以下になる変換オフセット(Yc_offset=|Y_e−Yo|+Y_offset)が算出され、ステップS209において、画像構成要素輝度Y_eから算出された変換オフセットを減算することで、輝度変換(Y_eo=Y_e−Yc_offset)が実行される。
【0081】
そして、用紙下地は無彩色なので、画像構成要素彩度および色相に関しては色変換が実行されず(ステップS210)、プロセスは終了する。これにより、出力データである画像構成要素彩度a_ecおよび色相b_ecには、「a_e」および「b_e」が設定される。
【0082】
下地彩度aoが閾値T以上である(用紙下地が有彩色である)と判定される場合(ステップS205:NO)、下地輝度Yoと画像構成要素輝度Y_eとが比較される(ステップS211)。下地輝度Yoが画像構成要素輝度Y_e未満であると判定される場合(ステップS211:YES)、用紙下地は無彩色かつ低濃度であり、用紙に対する印刷後において視認性が低い(見づらい)ため、ステップS208およびS209と同様に、画像構成要素輝度Y_eが下地輝度Yo以下になるように変換される(ステップS212およびS213)。
【0083】
つまり、ステップS212において、画像構成要素輝度Y_eと下地輝度Yoとの差分の絶対値に、輝度変換オフセットY_offsetを加算することにより、画像構成要素輝度Y_eが下地輝度Yo以下になる変換オフセット(Yc_offset=|Y_e−Yo|+Y_offset)が算出され、ステップS213において、画像構成要素輝度Y_eから算出された変換オフセットを減算することで、輝度変換(Y_eo=Y_e−Yc_offset)が実行される。
【0084】
次に、画像構成要素彩度a_eと、画像構成要素が無彩色か有彩色かを判定するための閾値Tとが比較される(ステップS214)。画像構成要素彩度a_eが閾値T未満である(無彩色である)と判定される場合(ステップS214:YES)、プロセスは、上述のステップS210に進む。つまり、有彩色の下地に、下地より輝度が低く(高濃度)かつ無彩色の画像構成要素が印刷されることとなり、良好な視認性を有するため、画像構成要素彩度および色相の変換は実行されない。したがって、出力データである画像構成要素彩度a_ecおよび色相b_ecには、「a_e」および「b_e」が設定される。
【0085】
画像構成要素彩度a_eが閾値T以上である(有彩色である)と判定される場合(ステップS214:NO)、色相差と、用紙下地と画像構成要素とが同系色であるか否かを判定するための閾値Tとが比較される(ステップS215)。色相差は、用紙の下地色相bo(cbo,cro)と画像構成要素色相b_e(cb_e,cr_e)との差分の絶対値(|bo−b_e|)である。
【0086】
色相差が閾値T未満である(同系色である)と判定される場合(ステップS215:YES)、画像構成要素彩度a_eを上げる方向に彩度変換オフセットa_offsetを加算される(ステップS216)。これにより、出力データである画像構成要素彩度a_ecには、「a_e+a_offset」が設定される。
【0087】
そして、画像構成要素色相b_e’に色相変換オフセットb_offsetが加算される(ステップS217)。これにより、出力データである画像構成要素色相b_ecには、「b_e’+b_offset」が設定される。なお、色相変換オフセットb_offsetは、用紙の下地色の補色に近づくように設定されており、その最大値は、下地色の補色(b_e’:a_ecに対する色相)となる値である。
【0088】
色相差が閾値T以上である(同系色でない)と判定される場合(ステップS215:NO)、画像構成要素彩度および色相は変換されず(ステップS220)、プロセスは終了する。したがって、出力データである画像構成要素彩度a_ecおよび色相b_ecには、「a_e」および「b_e」が設定される。
【0089】
下地輝度Yoが画像構成要素輝度Y_e以上であると判定される場合(ステップS211:NO)、用紙下地より画像構成要素が高濃度のため、輝度は変換されない(ステップS218)。これにより、出力データである画像構成要素輝度Y_ecには、「Y_e」が設定される。
【0090】
次に。画像構成要素彩度a_eと、画像構成要素が無彩色か有彩色かを判定するための閾値Tとが比較される(ステップS219)。画像構成要素彩度a_eが閾値T未満である(無彩色である)と判定される場合(ステップS219:YES)、有彩色かつ輝度が高い(低濃度の)用紙下地に、低輝度(高濃度)の画像構成要素が印刷されることとなり、良好な視認性を有するため、上述のステップS220を実行後、プロセスは終了する。つまり、画像構成要素彩度および色相は変換されず、出力データである画像構成要素彩度a_ecおよび色相b_ecには、「a_e」および「b_e」が設定される。
【0091】
画像構成要素彩度a_eが閾値T以上である(有彩色である)と判定される場合(ステップS219:NO)、上述のステップS215に進み、色相差に応じて、ステップS216,217あるいはステップS220を実行後、プロセスは終了する。
【0092】
なお、変換レベルを規定する輝度変換オフセットY_offset、彩度変換オフセットa_offsetおよび色相変換オフセットb_offsetは、変換処理毎に異なる。
【0093】
強調補正部156における強調補正処理においては、上記のように、視認性を向上させるための調整項目は、画像構成要素の濃度に限定されず、画像構成要素の色情報であるため、多様な下地色に適用が容易である。また、視認性を向上させる対象(画像構成要素)を、領域判別して抽出しており、全ての画像構成要素に対して、視認性を向上させることが可能である。さらに、色情報の調整は、画素単位ではなく、画像構成要素単位であるため、全体としての視認性の向上(期待通りの変換出力)が得られる、したがって、下地が色を有する出力用紙に画像を形成する場合において、画像の視認性を良好に向上させることが可能である。
【0094】
図5は、本発明の実施の形態に係る変形例を説明するためのブロック図である。
【0095】
原稿画像データは、画像読み取り部110から入力されるスキャンデータに限定されず、例えば、ネットワーク400を介して通信自在に接続された外部機器300から画像形成装置200に送信することも可能である。外部機器300は、例えば、画像読み取り部を有する別の画像形成装置や、原稿画像データ(印刷データ)を含んでいる印刷ジョブを作成し、画像形成装置200に送信するコンピューターである。
【0096】
ネットワーク400は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、およびFDDI(Fiber−Distributed Data Interface)等の規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続する構内情報通信網(LAN:Local Area Network)、LAN同士を専用線で接続した広域情報通信網(WAN:Wide Area Network)、インターネット、これらの組み合わせ等の各種のネットワークからなる。ネットワークプロトコルは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)である。なお、ネットワーク400に接続される機器の種類および台数は、図5に示される構成に限定されない。
【0097】
また、外部機器300との接続は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインタフェースやIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1284等のパラレルインタフェースを利用することも可能である。
【0098】
以上のように、本実施の形態においては、下地が色を有する出力用紙に画像を形成する場合において、画像の視認性を良好に向上させることが可能である。
【0099】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、用紙の画像データは、画像読み取り部を利用して取得する形態に限定されず、印刷部の給紙部や給紙経路に専用のセンサーを設けて検出したり、操作部を利用してユーザーが直接入力することも可能である。
【0100】
なお、本発明に係る手段、方法およびプログラムは、専用のハードウェア回路によっても実現することも可能である。また、プログラムされた画像形成装置によって本発明を実現する場合、画像形成装置を動作させるプログラムは、USBメモリーやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供したり、記録媒体によらず、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供したりすることも可能である。この場合、プログラムは、通常、画像形成装置のハードディスク等の記憶装置に送信されて記憶される。また、プログラムは、単独のアプリケーションソフトウェアとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能として、画像形成装置のソフトウェアに組み込むことも可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 画像形成装置、
110 画像読み取り部、
120 印刷部(画像形成部)、
130 表示部、
140 操作部、
150 画像処理部、
151 領域判別部、
152 YCbCr変換部、
153 下地色検出部、
154 下地色情報保持部、
155 設定値保持部、
156 強調補正部、
157 CMYK変換部、
160 バス、
200 画像形成装置、
300 外部機器、
400 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理部と、
印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成部と、を有し、
前記画像処理部は、
前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別部と、
前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出部と、
領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記下地の色情報は、YCbCr色空間の輝度および色差を含んでおり、
前記強調補正部によって調整される前記画像構成要素の色情報は、輝度および色差であり、
前記印刷データ形式は、CMYK形式である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記強調補正部は、
前記下地の輝度が、第1閾値未満である場合、
前記画像構成要素の輝度に輝度変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の輝度が増加するように調整し、
前記画像構成要素の色差に色差変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の彩度が上昇し、かつ、イエロー色が最大値となる方向に前記画像構成要素の色相が移動するように調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、トナーにより画像が形成される作像プロセスを用いるエンジンを有しており、
前記強調補正部において、前記画像構成要素の輝度は、イエロー色トナーで再現できる最大輝度になるように調整され、前記画像構成要素の色相は、イエロー色が最大値となる設定に調整されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記強調補正部は、
前記下地の輝度が、第1閾値以上かつ前記画像構成要素の輝度未満である場合、
前記画像構成要素の輝度に輝度変換オフセットを減算することにより、前記画像構成要素の輝度が減少するように調整し、
前記下地の輝度が、前記第1閾値以上、かつ、前記画像構成要素の彩度が第2閾値以上、かつ、前記下地と前記画像構成要素との色相差が第3閾値未満である場合、
前記画像構成要素の色差に色差変換オフセットを加算することにより、前記画像構成要素の彩度が上昇し、かつ、前記画像構成要素の色相が、補色方向に移動するように調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記強調補正部は、前記画像構成要素の色相が前記下地の色相の補色となるように調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記輝度変換オフセット、前記色差変換オフセット、前記第1閾値、前記第2閾値および前記第3閾値の設定値を、ユーザーが指定するための操作部を有することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像構成要素は、文字領域、文字輪郭領域および線画領域からなることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記強調補正部において、前記画像データにおける前記画像構成要素以外の領域の色情報は、調整されないことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記領域判別部は、
前記画像データの色情報から、網点およびエッジを検出する検出部と、
検出された前記網点および前記エッジに基づき、前記文字領域、前記文字輪郭領域および前記線画領域を矩形単位で抽出する領域抽出部と、
前記画像構成要素から背景を除去したソリッド部のみを抽出するソリッド部抽出部と、
前記ソリッド部の色を均一化する色均一化部と、
を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ソリッド部抽出部は、前記ソリッド部の明度および彩度のヒストグラムにおける色頻出頻度のピーク値に基づき、前記ソリッド部が、異なる色の複数のソリッド部から構成されると判定される場合、前記ソリッド部を、前記ピーク毎に再分割することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記均一色は、前記ソリッド部の色の平均値あるいは前記ソリッド部の前記ピーク値の色であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
RGB形式のスキャンデータを生成する画像読み取り部を有し、
前記画像データは、原稿のスキャンデータからなり、
前記画像処理部は、前記スキャンデータをYCbCr色空間に変換する変換部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記下地色検出部は、前記出力用紙のスキャンデータに基づいて、前記出力用紙の下地の色情報を検出することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理ステップと、
印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成ステップと、を有し、
前記画像処理ステップは、
前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別ステップと、
前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出ステップと、
領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正ステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
画像処理部と、領域判別部、下地色検出部および強調補正部を有する画像形成部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像処理部によって、画像構成要素を含んでいる画像データを、印刷データ形式に変換する画像処理手順と、
前記画像形成部によって、印刷データ形式に変換された前記画像データに基づく画像を、出力用紙に形成する画像形成手順と、を有する処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記画像処理手順は、
前記領域判別部によって、前記画像構成要素の特徴量に基づいて、前記画像データから前記画像構成要素を領域判別する領域判別手順と、
前記下地色検出部によって、前記出力用紙の下地の色情報を検出する下地色検出手順と、
前記強調補正部によって、領域判別された前記画像構成要素の色情報と前記下地の色情報との比較結果に基づき、前記出力用紙に画像が形成された際における前記画像構成要素の視認性が向上するように、前記画像構成要素の色情報を調整する強調補正手順と、
を有することを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−58933(P2013−58933A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196392(P2011−196392)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】