説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】画像形成装置におけるトナーの強制的な補給による利便性および生産性の低下を極力回避することである。
【解決手段】モノクロ画像のプリントジョブが実行される際に、ステップS40〜ステップS50において、カラーのトナーを補給するための処理が実行される。これにより、プリンタにおいて、モノクロ画像のプリントジョブが連続して行なわれ、カラー画像のプリントジョブが行なわれないような状態が連続し、カラーの各現像部におけるトナーが安定化制御によってのみ使用されるような場合でも、モノクロ画像のプリントジョブの際にカラーの現像部へのトナーの補給が行なわれるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、トナーによる画像形成が可能な画像形成装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、トナーを用いて画像形成を行なうものがあり、このような画像形成装置では、トナーボトル等に充填されたトナーが現像装置に適宜供給されて、画像形成が行なわれる。
【0003】
従来、フルカラー画像を形成する画像形成装置においては、像担持体上にトナーパターン像を形成し、当該トナーパターン像あるいは転写されたトナーパターン像を検知することにより、環境変化や経時変化等による画質の変動に対して常時適切な画像を形成するための制御、いわゆる画像の安定化制御が実行されている。
【0004】
このような安定化制御は、一般的に、所定枚数のプリントごと等のように定期的に実施される。そして、このような安定化制御を実行する画像形成装置としては、たとえば、特開2007−57929号公報(特許文献1)に、モノクロモードとカラーモードでの画像形成が可能な画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、モノクロモードの画像形成が続いている期間において、安定化制御が所定回数以上行なわれた場合には、安定化制御におけるカラートナーの消費を考慮して、カラートナーの強制補給が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−57929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような画像形成装置では、通常のトナー補給モードでは補給が追いつかない場合、強制トナー補給モードによって現像装置へのトナーの補給が行なわれる。強制トナー補給モードとは、画像形成装置における画像形成動作などを停止させて、トナーの補給を行なうモードである。また、通常のトナー補給モードとは、プリント動作時に、現像装置内のトナー量を検出し、トナー残量が所定量以下であると検出されると、現像装置へのトナーの補給を行なうモードである。
【0007】
なお、従来から、画像形成装置では、カラー画像とモノクロ画像の形成が可能なものがあるが、このような画像形成装置の通常のトナー補給モードでは、カラー画像の画像形成時にはカラートナーの補給が行なわれ、モノクロ画像の画像形成時にはモノクロトナーの補給が行なわれる。
【0008】
なお、上記した安定化制御においても、トナーパターン像の形成のために、モノクロトナーとカラートナーの双方のトナーが消費される。
【0009】
このことから、従来の画像形成装置では、連続してモノクロ画像の画像形成が行なわれた場合、カラートナーについては、通常のトナー補給モードでのトナーの補給が行なわれず、その一方で、安定化制御においてはトナーが消費される。したがって、連続してモノクロ画像の画像形成が行なわれた場合には、カラートナーを補給するために、強制トナー補給モードによるカラートナーの補給を実行する必要が生じる。
【0010】
上記した特許文献1では、安定化制御が所定回数以上行なわれたような場合には、カラーの強制補給が行なわれる。
【0011】
しかしながら、強制的なトナーの補給は、比較的長時間を要し、そして、その間、画像形成動作が行なえないため、画像形成装置の利便性および生産性を低下させる結果となっていた。
【0012】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、画像形成装置におけるトナーの強制的な補給による利便性および生産性の低下を極力回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従った画像形成装置は、第1のトナーを用いて現像を行なう第1の現像部と、第2のトナーを用いて現像を行なう第2の現像部と、第1の現像部におけるトナー量を検出する第1の検出手段と、第1の現像部にトナーを補給する第1の補給手段と、第1の補給手段によるトナーの補給態様を制御する制御手段とを備え、制御手段は、第2の現像部による画像形成動作の実行中に、第1の検出手段が第1の現像部におけるトナー量が所定量未満であることを検出した場合に、第1の補給手段に第1の現像部へトナーを補給させる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、第2の現像部におけるトナー量を検出する第2の検出手段と、第2の現像部にトナーを補給する第2の補給手段とをさらに備え、制御手段は、さらに、第2の補給手段によるトナーの補給態様を制御し、第2の現像部による画像形成動作の実行中に第1の補給手段に第1の現像部へトナーを補給させている場合に、当該画像形成動作の終了前に第1の現像部へのトナーの補給が完了したときには、第2の現像部におけるトナー量が一定量未満であることを第2の検出手段が検出したことを条件として第2の補給手段に第2の現像部へトナーを補給させることが好ましい。
【0015】
また、本発明の画像形成装置では、制御手段は、第2の現像部による画像形成動作の実行中に第1の補給手段による第1の現像部へのトナーの補給が完了したときに、第2の現像部による画像形成動作の残量が特定量未満である場合には、第2の現像部による画像形成動作の実行中に第2の補給手段に第2の現像部へのトナーの補給をさせないことが好ましい。
【0016】
本発明に従った画像形成装置の制御方法は、第1のトナーを用いて現像を行なう第1の現像部と第2のトナーを用いて現像を行なう第2の現像部を備える画像形成装置の制御方法であって、第2の現像部による画像形成動作の実行中に、第1の現像部におけるトナー量が所定量未満であるか否かを検出するステップと、第2の現像部による画像形成動作の実行中に、第1の現像部におけるトナー量が所定量未満である場合に、第1の現像部へトナーを補給するステップとを備える。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、第2の現像部による画像形成動作の実行中において、当該画像形成動作の終了前に第1の現像部へのトナーの補給が完了した場合に、第2の現像部におけるトナー量が一定量未満であるか否かを検出するステップと、第2の現像部におけるトナー量が一定量未満であることを検出した場合に、第2の現像部へトナーを補給するステップとさらにを備えることが好ましい。
【0018】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、第2の現像部による画像形成動作の実行中において、当該画像形成動作の終了前に第1の現像部へのトナーの補給が完了した場合に、第2の現像部による画像形成動作の残量が特定量未満であるときには、第2の現像部による画像形成動作の実行中に第2の現像部へのトナーの補給を実行しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第2の現像部による画像形成動作の実行中に、第1の現像部におけるトナー量の検出が行なわれ、そして、当該トナー量が所定量未満であることが検出されると、第1の現像部へのトナーの補給が行なわれる。
【0020】
これにより、複数の現像部が備えられている画像形成装置において、一部の現像部のみを用いた画像形成が連続して行なわれ、他の現像部におけるトナーが安定化制御によってのみ使用されるような場合でも、当該一部の現像部のみを用いた画像形成の際に他の現像部におけるトナーの補給が行なわれる。
【0021】
したがって、上記のような場合に、他の現像部に画像形成動作を中断させるような強制的なトナー補給のための制御が実行されることを抑制でき、これにより、画像形成装置における利便性や生産性を低下させるような事態を極力回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施の形態であるプリンタの中央部分の断面の具体例を示す概略図である。
【図2】図1のプリンタの制御ブロック図である。
【図3】図1のプリンタのトナーボトルの内部構成を説明するための図である。
【図4】図1のプリンタのカートリッジの内部構成を説明するための図である。
【図5】図1のプリンタにおいて実行されるトナー補給制御処理のフローチャートである。
【図6】図5のトナー補給制御処理の第1の変形例のフローチャートである。
【図7】図5のトナー補給制御処理の第2の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0024】
[1.画像形成装置の構成]
本発明にかかる画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合した機器であるMFP(Multi Function Peripheral)などが該当する。本実施の形態においては、画像形成装置はタンデム方式のカラープリンタ(以下、プリンタと略す)であるものとする。
【0025】
図1は、本実施の形態にかかるプリンタ1の中央部分の断面の具体例を示す概略図である。図1を参照して、本実施の形態にかかるプリンタ1は、大きくは、作像部と、印字媒体である用紙の搬送部とを含んで構成される。
【0026】
作像部には、プリンタ1内部の略中央部に配される、内側から複数のローラで懸架された、中間転写体である環状の中間転写ベルト2が含まれる。中間転写ベルト2はメインモータ18に連結され、メインモータ18の回転駆動によって回転する。中間転写ベルト2に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色に対応したカートリッジ28a,28b,28c,28dが配される。これらを代表させてカートリッジ28と称する。カートリッジ28には、静電記録方式でトナー像を形成するトナー像形成手段として、各々、中間転写ベルト2上にトナー画像を転写する感光体3a,3b,3c,3dと、感光体の表面を一様に帯電させる帯電部5a,5b,5c,5dと、感光体上に各色の画像パターンを露光して順次形成するための露光部6a,6b,6c,6dと、感光体にトナーを供給して感光体にトナー画像を現像する現像部4a,4b,4c,4dとが含まれる。これらを代表させて、感光体3、帯電部5、露光部6および現像部4と称する。カートリッジ28のうちのカラー用のカートリッジの現像機構は現像モータ20に連結され、モノクロ用のカートリッジの現像機構は現像モータ21に連結され、各々、回転駆動する。
【0027】
また、作像部には、中間転写ベルト2周囲に配置される、中間転写ベルト2上に残留した残トナーを中間転写ベルト2から分離する中間転写ベルトクリーナ7と、分離した残トナーを収容する廃トナーボックス15と、各々、攪拌羽根26a,26b,26c,26dを内蔵して動作させることで各カートリッジ28a,28b,28c,28dにトナーを補給するトナーボトル25a,25b,25c,25dとが含まれる。
【0028】
トナーボトル25aはトナー補給モータ23aに、トナーボトル25bはトナー補給モータ23bに、トナーボトル25cはトナー補給モータ23cに、そして、トナーボトル25dはトナー補給モータ23dに、それぞれ連結され、モータの回転駆動によって攪拌羽根26a,26b,26c,26dが動作する。
【0029】
さらに、作像部には、中間転写ベルト2を内側から懸架するローラと中間転写ベルト2を挟んで対を成す、中間転写ベルト2上に転写されたトナー画像を、搬送された用紙上に転写する二次転写ローラ11が含まれる。
【0030】
また、作像部には、記録媒体の除電を行なうための除電布33が備えられている。
搬送部には、プリンタ1内部の下部に配される、用紙を収納するカセットである収納部16から用紙を給紙する給紙ローラ8と、供給された用紙を搬送する搬送ローラ30と、給紙された用紙を一旦停止させるタイミングローラ10と、上述の二次転写ローラ11と、搬送される用紙を挟んで配されて、用紙上に転写されたトナー像を加熱して定着させるヒータでもある一対の定着ローラ12a,12b(これらを代表させて定着ローラ12とする)と、定着後の用紙を排出または両面搬送経路29へ搬送する排紙ローラ13と、両面搬送経路29を経由してタイミングローラ10まで用紙を搬送する両面経路搬送ローラ14a,14bとが含まれる。給紙ローラ8、タイミングローラ10、および二次転写ローラ11はメインモータ18に連結され、メインモータ18の回転駆動によって回転する。定着ローラ12は定着モータ19に連結され、定着モータ19の回転駆動によって回転する。両面経路搬送ローラ14a,14bは両面経路搬送モータ22に連結され、両面経路搬送モータ22の回転駆動によって回転する。搬送ローラ30は搬送モータ31に連結され、搬送モータ31の回転駆動によって回転する。
【0031】
また、搬送路の、用紙が二次転写ローラ11を通過した直後の位置に用紙検出センサ27が配され、用紙の先端が当該位置を通過したことおよび/または用紙の後端が通過したことが検出される。
【0032】
さらにプリンタ1には、全体を制御するエンジン部100と、エンジン部100からの制御信号に従って画像処理を行なうコントローラ部200とが含まれる。図2は、図1のプリンタ1の制御ブロック図である。
【0033】
図2を参照して、エンジン部100は、給紙搬送制御部101と、記憶媒体制御部102と、I/F(インタフェース)制御部103と、定着制御部104と、画像形成制御部105と、トナー補給制御部106とを含む。
【0034】
エンジン部100は、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶媒体制御部102は、RAM(Random Access Memory)107やROM(Read Only Memory)108などの記憶媒体に接続される。
【0035】
上記CPUがRAM107やROM108から必要なプログラムを読み出して実行することにより、上述の各制御部は、当該CPU上に構成される。また、図1や図2に示されたハードウェア構成を少なくとも一部に用いて各制御部が構成されてもよい。また、記憶媒体制御部102はCPUで計測されたデータなどを記憶媒体に記憶させることができる。
【0036】
I/F制御部103はコントローラ部200に接続され、各種情報がやりとりされる。コントローラ部200は操作パネル201に接続されて、操作パネル201からの操作信号をI/F制御部103に入力する。I/F制御部103は、印字要求や用紙のサイズや種類を指定する情報を渡し、画像処理を行なわせるための制御信号をコントローラ部200に入力する。コントローラ部200にはエンジン部100からの制御信号に従って画像処理を行なう図示されない画像処理部が含まれる。コントローラ部200はI/F制御部103に画像処理結果であるデジタル画像信号を入力する。
【0037】
給紙搬送制御部101は用紙検出センサ27に接続されて、用紙検出センサ27から検出信号を受取る。プリンタ1にその他の検出センサが含まれている場合には、その他の検出センサからも検出信号を受け取ってもよい。CPUは、検出信号および操作信号に基づいて各部を制御するための制御信号を生成する。
【0038】
給紙搬送制御部101はさらにモータ18,22,31などの搬送に関わる負荷に接続される。定着制御部104は、ヒータでもある定着ローラ12や定着モータ19などの定着工程に関わる負荷に接続される。給紙搬送制御部101および定着制御部104は検出信号に基づいて用紙の搬送のタイミング、搬送の速度や定着温度、定着のタイミングを判断し、それに従って、各々、モータ18,22,31や定着モータ19を回転または回転を停止させたり、定着ローラ12を加熱させたりするための制御信号を出力する。
【0039】
画像形成制御部105は、コントローラ部200での画像処理結果であるデジタル画像信号に基づいて制御信号を生成し、感光体3、現像部4、帯電部5、露光部6、およびモータ20,21に対して出力する。制御信号に従って露光部6はレーザ光を照射する。これにより、感光体3の表面に色ごとに静電潜像が形成される。
【0040】
プリンタ1では、搬送されている用紙の種類が判定される。上述のように、搬送ローラ30は搬送モータ31の駆動が伝達されることによって回転し、用紙を搬送する。そのため、一例として、搬送モータ31を利用して用紙の種類を判定することができる。もちろん、他の搬送用のモータを利用して、同様にして用紙の種類を判定することもできる。しかしながら、搬送モータ31は搬送ローラ30を駆動させるための専用のモータであって、搬送ローラ30は給紙直後の用紙を搬送するために用いられる。そのため、当該モータ31を利用して用紙種類を判定することは給紙直後の用紙の種類を判定することになる。そこで、プリンタ1にとって不適切な用紙種類であると判定された場合には、搬送ローラ30を通過した段階で当該用紙の搬送を阻止することで、より早い段階で当該装置へのダメージを低減させることができる。
【0041】
[2.作像部の構成]
本実施の形態のプリンタ1の作像部は、上記したように、YMCKの各色についてのトナーボトル25とカートリッジ28を含む。
【0042】
図3は、トナーボトル25(トナーボトル25a,25b,25c,25d)の内部構成を説明するための図である。
【0043】
図3(A)を参照して、トナーボトル25は、トナー収容部251と、予備攪拌部252とバッファ部253とを含む。
【0044】
予備攪拌部252には、予備攪拌部252におけるトナーの量を検出するためのトナーレベルセンサ2520(トナーレベルセンサ2520a,2520b,2520c,2520d)が備えられ、また、カートリッジ28(カートリッジ28a,28b,28c,28d)に向けてトナーを落下させるためのホッパが設けられている。
【0045】
ホッパの縦断面図を図3(B)に示す。
図3(B)を参照して、ホッパ2521には、攪拌羽根26(攪拌羽根26a,26b,26c,26d)が収容されている。そして、トナー補給モータ23(トナー補給モータ23a,23b,23c,23d)を回転させることにより攪拌羽根26を回転させる。これにより、トナー収容部251内のトナーが、ホッパ2521を介して、カートリッジ28へと落下することにより、カートリッジ28にトナーを供給することができる。
【0046】
[3.カートリッジの構成]
図4は、カートリッジ28(カートリッジ28a,28b,28c,28d)の内部構成を模式的に示す図である。
【0047】
図4を参照して、カートリッジ28の上面には、トナーボトル25から供給されるトナーの導入口となるトナー補給口280が設けられている。トナー補給口280を介してカートリッジ28に供給されたトナーは、一旦格納部285に溜められる。そして、補給ローラ282によってその長手方向に搬送され、順次バッファ部286に補給される。バッファ部286に補給されたトナーは、攪拌部材283によって攪拌される。攪拌部材283の羽根283Aは、攪拌部材283の長手方向に対して斜めに取付けられているので、回転軸283Xの回転により長軸方向の両端部が交互に上下し、トナーをジグザグに攪拌する。これにより、トナーは斜め方向に攪拌されるので、長手方向に搬送されるとともに、深さ方向にも攪拌される。
【0048】
そして、攪拌されたトナーは、図示しない供給ローラの回転によって現像ローラ(図示せず)の表面に供給される。
【0049】
格納部285には、当該格納部285内のトナー濃度を検出するためのトナーレベルセンサ281が設けられている。トナーレベルセンサ281は、たとえば光学的に、つまり、発光素子と受光素子を備え、受光素子が検出する光の強度に基づいてトナー量を検出する。トナーレベルセンサ281における受光素子の受光量検出窓の清掃は、清掃部材284によって行なわれる。清掃部材284は、たとえば現像モータ20,21を駆動源として、図4中の両矢印方向に往復動作をすることにより、上記検出窓の清掃を行なう。
【0050】
[4.一般的なトナーの補給方法]
プリンタ1において、パーソナルコンピュータ等の外部機器から画像形成の指示を受けて画像形成動作を実行する場合、当該画像形成動作におけるトナーの消費量を算出し、算出された消費量分のトナーがカートリッジ28に補給される。
【0051】
トナーの消費量は、画像形成動作中にコントローラから取得した、画像形成の対象となる画像データ中の各色ごとのドット数に基づいて、各色ごとのトナーの消費量が算出される。
【0052】
ここで、予め定められた所定時間だけトナー補給モータ23(トナー補給モータ23a,23b,23c,23d)を回転させることにより攪拌羽根26を回転させてトナーボトル25からカートリッジ28に供給されるトナーの量を、1回の補給動作で補給できるトナー量とする。そして、上記のように算出されたトナーの消費量が、この1回の補給動作で補給できるトナー量を超えた場合には、画像形成動作を停止させてトナーの補給動作が行なわれるモードに変更される。このように、画像形成動作を中断させてトナーの補給を行なうモードを、以下、本明細書では「強制トナー補給モード」と呼ぶ。
【0053】
[5.トナー補給制御処理]
プリンタ1では、コントローラ部200を介して画像形成動作の指示が入力されると、当該指示に従って画像形成制御部105がジョブを実行するための制御処理が開始されるともに、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理を実行する。このトナー補給制御処理について、当該処理のフローチャートである図5を参照して説明する。
【0054】
図5を参照して、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理において、まずステップS10で、指示された画像形成動作がモノクロ画像のプリントジョブであるか否かを判断し、カラー画像のプリントジョブであると判断するとステップS20へ処理を進め、モノクロ画像のプリントジョブであると判断するとステップS40へ処理を進める。
【0055】
ステップS20では、トナー補給制御部106は、プリンタ1内の全色のトナーのカートリッジ28における残量を検出し、各カートリッジ28a,28b,28c,28dのそれぞれの、トナーレベルセンサ281(トナーレベルセンサ281は、カートリッジ28a,28b,28c,28dのそれぞれに設けられている。)が検出するトナーの残量が、少なくとも1色について、トナーの補給を必要としない所定量よりも少ない場合には(エンプティ状態)、ステップS30で、その色についてのトナーを補給する処理を実行する。一方、トナーレベルセンサ281が検出するトナー残量が上記所定量以上である場合には(フル状態)、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理を終了させる。
【0056】
ステップS40では、トナー補給制御部106は、カラーのトナーレベルの検出、つまり、カートリッジ28a,28b,28cにおけるトナーの残量を検出し、そして、各カートリッジ28のトナー残量のうちの少なくとも1つが上記した所定量未満であるか否かを判断し、そうであると判断すると(エンプティ状態)、ステップS50に処理を進める。
【0057】
ステップS50では、トナー補給制御部106は、トナー残量が上記所定量未満であったトナーカートリッジ28に対してトナーの補給を行なうカラートナー補給モードを実行して、ステップS40へ処理を戻す。
【0058】
一方、ステップS40において、カラーのカートリッジ28a,28b,28cのすべてのトナー残量が上記所定量以上であれば、トナー補給制御部106は、ステップS60へ処理を進める。
【0059】
ステップS60では、トナー補給制御部106は、黒(K)のカートリッジ28dにおけるトナー残量が上記所定量未満であるか否かを判断し、所定量未満であると判断すると(エンプティ状態)、ステップS70で、モノクロトナー補給モードを実行して、ステップS10へ処理を戻す。また、ステップS60で、黒色のカートリッジ28dのトナー残量が上記所定量以上であると判断すると、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理を終了させる。なお、本実施の形態における黒のカートリッジ28dについての所定量は、本願発明の特定量に対応する。
【0060】
以上説明した本実施の形態では、現像部4a,4b,4cにより、第1のトナーを用いて現像を行なう第1の現像部が構成されている。ここで、YMC各色のカラーのトナーが、第1のトナーに相当する。また、本実施の形態では、現像部4dにより、第2のトナーを用いて現像を行なう第2の現像部が構成されている。Kのトナーが第2のトナーに相当する。
【0061】
以上説明したトナー補給制御処理では、モノクロ画像のプリントジョブが実行される際に、ステップS40〜ステップS50において、カラーのトナーを補給するための処理が実行される。これにより、プリンタ1において、モノクロ画像のプリントジョブが連続して行なわれ、カラー画像のプリントジョブが行なわれないような状態が連続し、カラーの各現像部におけるトナーが安定化制御によってのみ使用されるような場合でも、モノクロ画像のプリントジョブの際にカラーの現像部へのトナーの補給が行なわれるようになる。
【0062】
[6.第2の実施の形態]
次に、本発明の画像形成装置の第2の実施の形態について説明する。
【0063】
本実施の形態のプリンタは、第1の実施の形態のプリンタ1に対し、同様の構成を有し、実行されるトナー補給制御処理の内容が異なる。
【0064】
図6は、トナー補給制御処理の第1の変形例のフローチャートである。
図6を参照して、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理において、まずステップS10で、指示された画像形成動作がモノクロ画像のプリントジョブであるか否かを判断し、カラー画像のプリントジョブであると判断するとステップS20へ処理を進め、モノクロ画像のプリントジョブであると判断するとステップS40へ処理を進める。
【0065】
ステップS20では、トナー補給制御部106は、プリンタ1内の全色のトナーのカートリッジ28における残量を検出し、少なくとも1色のトナー残量が上記所定量よりも少ない場合には(エンプティ状態)、ステップS30で、その色についてのトナーを補給する処理を実行する。一方、トナーレベルセンサ281が検出する全色のトナー残量が上記所定量以上である場合には(フル状態)、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理を終了させる。
【0066】
ステップS40では、トナー補給制御部106は、カラーのトナーレベルの検出、つまり、カートリッジ28a,28b,28cにおけるトナーの残量を検出し、そして、各カートリッジ28のトナー残量のうちの少なくとも1つが上記した所定量未満であるか否かを判断し、そうであると判断すると(エンプティ状態)、ステップS50に処理を進める。
【0067】
ステップS50では、トナー補給制御部106は、トナー残量が上記所定量未満であったトナーカートリッジ28に対してトナーの補給を行なうカラートナー補給モードを実行して、ステップS52に処理を進める。
【0068】
ステップS52では、トナー補給制御部106は、画像形成制御部105が実行していたジョブが完了したか否かを判断し、ジョブがまだ実行中であると判断するとステップS54へ処理を進め、ジョブが完了したと判断するとトナー補給制御処理を終了させる。
【0069】
ステップS54では、トナー補給制御部106は、ステップS40と同様に、カラーのトナーレベルを検出し、各カートリッジ28のトナー残量のうちの少なくとも1つが上記した所定量未満であるか否かを判断し、そうであると判断すると(エンプティ状態)、ステップS52に処理を戻す。一方、すべてのトナー残量が上記所定量以上であると判断すると、ステップS56へ処理を進める。
【0070】
ステップS56では、トナー補給制御部106は、画像形成制御部105にその動作モードをジョブ一時停止補給モードへと切替えさせて、ステップS60へ処理を進める。ジョブ一時停止補給モードとは、画像形成制御部105に実行中のジョブを停止させるモードである。なお、プリンタ1では、トナーの補給は、トナーの補給の対象となったカートリッジ28におけるトナー残量が予め定められた量となったことを条件として完了するものとする。
【0071】
ステップS60では、トナー補給制御部106は、黒のカートリッジ28dにおけるトナー残量が上記所定量未満であるか否かを判断し、所定量未満であると判断すると(エンプティ状態)、ステップS70で、モノクロトナー補給モードを実行して、ステップS10へ処理を戻す。また、ステップS60で、黒色のカートリッジ28dのトナー残量が上記所定量以上であると判断すると、トナー補給制御部106は、トナー補給制御処理を終了させる。
【0072】
以上説明した本実施の形態のトナー補給制御処理では、モノクロ画像のプリントジョブが実行される際に、カラーのトナーを補給するための処理が実行されるが、実行中のプリントジョブが終了する前にカラーのトナーの補給が完了すれば、プリント一時停止補給モードに移行し、実行中のプリントジョブを一時停止させて、ステップS60〜ステップS70のモノクロトナーの補給が行なわれ、そして、当該モノクロトナーの補給が完了すると、プリントジョブが再開される。これにより、無駄に、現像部4(特に、カラー用のカートリッジの現像機構は現像モータ20)が動作されることを回避することができる。
【0073】
[7.第3の実施の形態]
次に、本発明の画像形成装置の第3の実施の形態について説明する。
【0074】
本実施の形態のプリンタは、第1の実施の形態のプリンタ1に対し、同様の構成を有し、実行されるトナー補給制御処理の内容が異なる。
【0075】
図7を参照して、本実施の形態のトナー補給制御処理では、図6を参照して説明した第2の実施の形態におけるトナー補給制御処理のステップS54とステップS56の間にステップS55の処理が追加されたものに相当する。
【0076】
本実施の形態のトナー補給制御処理のステップS54において、トナー補給制御部106は、カラーのトナーレベルを検出し、各カートリッジ28のトナー残量のうちの少なくとも1つが上記した所定量未満であるか否かを判断し、そうであると判断すると(エンプティ状態)、ステップS52に処理を戻す。一方、すべてのトナー残量が上記所定量以上であると判断すると、ステップS55へ処理を進める。
【0077】
ステップS55では、トナー補給制御部106は、コントローラ部200から指示を入力され画像形成制御部105において実行を待っているジョブの数nが、予め定められた設定値m以下であるか否かを判断し、m以上であると判断するとステップS56の処理を実行してからステップS60へ処理を進め、mより少ないと判断すると直接ステップS56へ処理を進める。
【0078】
ステップS56では、トナー補給制御部106は、画像形成制御部105にその動作モードをジョブ一時停止補給モードへと切替えさせて、ステップS60へ処理を進める。
【0079】
以上説明した本実施の形態では、モノクロ画像のプリントジョブが実行される際に、カラーのトナーを補給するための処理が実行されるが、実行中のプリントジョブが終了し、かつ、プリンタ1に登録され実行を待っているジョブの数が予め定められた数m以上であることを条件として、プリント一時停止補給モードに移行し、実行中のプリントジョブを一時停止させて、ステップS60〜ステップS70のモノクロトナーの補給が行なわれ、そして、当該モノクロトナーの補給が完了すると、プリントジョブが再開される。これにより、画像形成制御部105が実行すべき残りのジョブ数が少なければ、画像形成動作が中断されずに継続されながら、モノクロトナーの補給が行なわれる。なお、ステップS55において、残りジョブ数の代わりに、残りのプリント枚数に基づいて、ステップS56を実行するか否かが決定されても良い。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンタ、2 中間転写ベルト、3,3a,3b,3c,3d 感光体、4,4a,4b,4c,4d 現像部、5,5a,5b,5c,5d 帯電部、6,6a,6b,6c,6d 露光部、7 中間転写ベルトクリーナ、8 給紙ローラ、10 タイミングローラ、11 二次転写ローラ、12,12a,12b 定着ローラ、13 排紙ローラ、14a,14b 両面経路搬送ローラ、15 廃トナーボックス、16 収納部、18 メインモータ、19 定着モータ、20 カラー現像モータ、21 現像モータ、22 両面経路搬送モータ、23,23a,23b,23c,23d トナー補給モータ、25a,25b,25c,25d トナーボトル、26a,26b,26c,26d 攪拌羽根、27 用紙検知センサ、28,28a,28b,28c,28d カートリッジ、29 両面搬送経路、30 搬送ローラ、31 搬送モータ、100 エンジン部、101 給紙搬送制御部、102 記憶媒体制御部、103 I/F制御部、104 定着制御部、105 画像形成制御部、106 トナー補給制御部、107 RAM、108 ROM、200 コントローラ部、201 操作パネル、281,281a,281b,281c,281d トナーレベルセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトナーを用いて現像を行なう第1の現像部と、
第2のトナーを用いて現像を行なう第2の現像部と、
前記第1の現像部におけるトナー量を検出する第1の検出手段と、
前記第1の現像部にトナーを補給する第1の補給手段と、
前記第1の補給手段によるトナーの補給態様を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に、前記第1の検出手段が前記第1の現像部におけるトナー量が所定量未満であることを検出した場合に、前記第1の補給手段に前記第1の現像部へトナーを補給させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の現像部におけるトナー量を検出する第2の検出手段と、
前記第2の現像部にトナーを補給する第2の補給手段とをさらに備え、
前記制御手段は、
さらに、前記第2の補給手段によるトナーの補給態様を制御し、
前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に前記第1の補給手段に前記第1の現像部へトナーを補給させている場合に、当該画像形成動作の終了前に前記第1の現像部へのトナーの補給が完了したときには、前記第2の現像部におけるトナー量が一定量未満であることを前記第2の検出手段が検出したことを条件として前記第2の補給手段に前記第2の現像部へトナーを補給させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に前記第1の補給手段による前記第1の現像部へのトナーの補給が完了したときに、前記第2の現像部による画像形成動作の残量が特定量未満である場合には、前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に前記第2の補給手段に前記第2の現像部へのトナーの補給をさせない、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1のトナーを用いて現像を行なう第1の現像部と第2のトナーを用いて現像を行なう第2の現像部を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に、前記第1の現像部におけるトナー量が所定量未満であるか否かを検出するステップと、
前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に、前記第1の現像部におけるトナー量が所定量未満である場合に、前記第1の現像部へトナーを補給するステップとを備える、画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記第2の現像部による画像形成動作の実行中において、当該画像形成動作の終了前に前記第1の現像部へのトナーの補給が完了した場合に、前記第2の現像部におけるトナー量が一定量未満であるか否かを検出するステップと、
前記第2の現像部におけるトナー量が前記一定量未満であることを検出した場合に、前記第2の現像部へトナーを補給するステップとをさらに備える、請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
前記第2の現像部による画像形成動作の実行中において、当該画像形成動作の終了前に前記第1の現像部へのトナーの補給が完了した場合に、前記第2の現像部による画像形成動作の残量が特定量未満であるときには、前記第2の現像部による画像形成動作の実行中に前記第2の現像部へのトナーの補給を実行しない、請求項5に記載の画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−210943(P2010−210943A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56892(P2009−56892)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】