説明

画像形成装置およびその片面印刷済み用紙検出方法ならびにプログラム

【課題】 印刷する前に用紙が有効な印刷面を有するか否かの判別を行うことができ、かつ印刷面の判別から印刷に至る一連の処理を人手を介さず行うことができ、よって印刷に要する時間を短縮することが可能な画像形成装置およびその片面印刷済み用紙検出方法ならびにプログラムの提供。
【解決手段】 画像形成装置1は、用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する用紙センサ11と、用紙センサ11にて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成部12とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびその片面印刷済み用紙検出方法ならびにプログラムに関し、特に片面印刷済み用紙の再利用システムにおける画像形成装置およびその片面印刷済み用紙検出方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
片面印刷済み用紙の再利用を行う画像形成装置は知られている。本発明に関連する装置の一例が特許文献1に開示されている。これは記録紙分別装置であり、印刷済み用紙を裏紙使用可能な用紙と再利用できない用紙とに分類するものである。また、複写機の画像読取部を画像読み取りと、再利用可能か否かの判別とに共用が可能との記載がある。
【0003】
また、本発明に関連する装置の他の一例が特許文献2に開示されている。これは印刷システムであり、印刷を行うモードと、給紙トレイから給紙し、用紙を確認して分類し、排紙を行うモードとの2つのモードを備えている。
【0004】
また、本発明に関連する装置の他の一例が特許文献3に開示されている。これは転写紙選別装置であり、再利用トレイから用紙が取り出され、搬送経路に設けた2つのセンサで用紙の両面が検査され、両面とも未使用の用紙は両面用トレイに、片面のみ使用済みの用紙は片面用トレイに、両面とも使用済みの用紙は廃棄用トレイに、それぞれ送り込まれるというものである。
【0005】
また、本発明に関連する装置の他の一例が特許文献4に開示されている。これはプリンタ装置であり、裏紙ソートトレーから搬送された裏紙の表面および裏面の印刷状態を検知する裏紙印刷状態検出部を有するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−335218号公報
【特許文献2】特開2007−106035号公報
【特許文献3】特開2003−095541号公報
【特許文献4】特開2008−238754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明では、印刷装置とは別に本分別装置が必要となるため、より多くのスペースが必要となるという欠点がある。また、単純にこの分別装置を印刷装置と一体化した場合においても、用紙分別用の格納トレイと用紙判別用センサが必要となるという欠点がある。また、用紙分類後にユーザによる印刷装置内の給紙トレイへの給紙が必要となるため、用紙分類中はユーザを拘束するという欠点がある。これに対し、ユーザによる印刷装置内の給紙トレイへの給紙を排除するためには、印刷装置にシフトトレイ等の用紙出力先を別途制御する機構を設ける必要がある。
【0008】
また、複写機の画像読取部を画像読み取りと、再利用可能か否かの判別とに共用が可能との点に関しては、再利用可能か否かの判別を行う場合に、用紙分別用の格納トレイから用紙を画像読取部まで搬送する要素の記載が同文献にはない。したがって、この場合、ユーザが格納トレイから用紙を取り出し画像読取部まで搬送しなければならないという欠点がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の発明では、印刷を行うモードと、用紙を確認するモードとがあり、印刷システムを利用するユーザが用紙仕分けを意識して、モードの選択を行う必要があるという欠点がある。また、ユーザの指示による用紙仕分けであり、かつ、用紙仕分け後の排出用紙が排紙トレイに出力され、かつ印刷可能用紙が給紙トレイへ格納される必要があるため、ユーザが用紙仕分けを意識しなければならず、よってユーザを長時間拘束してしまうという欠点がある。また、用紙仕分けの際に別途センサを必要とするため、費用が増大するという欠点がある。
【0010】
また、特許文献3に記載の発明では、再利用トレイにセンサが設けられるのではなく、搬送経路にセンサが設けられているため、用紙仕分けの際に用紙をセンサまで搬送しなければならないという欠点がある。
【0011】
また、特許文献4に記載の発明では、裏紙ソートトレーにセンサが設けられるのではなく、搬送先の裏紙印刷状態検出部にセンサが設けられているため、用紙仕分けの際に用紙をセンサまで搬送しなければならないという欠点がある。
【0012】
そこで本発明の目的は、印刷する前に用紙が有効な印刷面を有するか否かの判別を行うことができ、かつ印刷面の判別から印刷に至る一連の処理を人手を介さず行うことができ、よって印刷に要する時間を短縮することが可能な画像形成装置およびその片面印刷済み用紙検出方法ならびにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明による画像形成装置は、用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する用紙センサと、前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成部とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による片面印刷済み用紙検出方法は、用紙の印刷面に画像データがあるか否かの判別を用紙センサにて行う用紙判別ステップと、前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるプログラムは、画像形成装置のコンピュータに、用紙の印刷面に画像データがあるか否かの判別を用紙センサにて行う用紙判別ステップと、前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成ステップとを実行させるためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷する前に用紙が有効な印刷面を有するか否かの判別を行うことができ、かつ印刷面の判別から印刷に至る一連の処理を人手を介さず行うことができ、よって印刷に要する時間を短縮することが可能となる。
【0017】
すなわち、本発明によれば、再利用される片面印字済み用紙が誤ってセットされた際に、既に印刷済みの印刷面に印字されるのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の動作原理を示す模式図である。
【図2】本発明に係る片面印刷済み用紙検出方法の動作原理を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成図である。
【図4】第1実施形態の具体例の構成図である。
【図5】第1実施形態の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成図である。
【図8】第2実施形態の具体例の構成図である。
【図9】第2実施形態の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図10】印刷面の確認および排紙の他の第1のパターンを示す模式図である。
【図11】印刷面の確認および排紙の他の第2のパターンを示す模式図である。
【図12】印刷面の確認および排紙の他の第3のパターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、実施の形態の説明に入る前に、本発明の動作原理について説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の動作原理を示す模式図である。同図を参照すると、本発明に係る画像形成装置1は、用紙センサ11と、画像形成部12とを含んで構成される。
【0020】
用紙センサ11は用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する。画像形成部12は用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する。
【0021】
図2は本発明に係る片面印刷済み用紙検出方法の動作原理を示すフローチャートである。同図を参照すると、本発明に係る片面印刷済み用紙検出方法は、用紙判別ステップS1と、画像形成ステップS2とを含んで構成される。
【0022】
用紙判別ステップS1は用紙の印刷面に画像データがあるか否かの判別を用紙センサにて行う。画像形成ステップS2は用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する。
【0023】
したがって、本発明によれば、印刷する前に用紙が有効な印刷面を有するか否かの判別を行うことができ、かつ印刷面の判別から印刷に至る一連の処理を人手を介さず行うことができ、よって印刷に要する時間を短縮することが可能となる。
【0024】
すなわち、本発明によれば、再利用される片面印字済み用紙が誤ってセットされた際に、既に印刷済みの印刷面に印字されるのを防止することが可能となる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施形態について説明する。図3は本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成図である。
【0026】
同図を参照すると、本発明に係る画像形成装置21は、画像読み込み部3と、画像形成部4と、排紙トレイ5と、用紙センサ102,202と、給紙トレイ101,201と、用紙搬送路6,7と、制御部301とを含んで構成される。
【0027】
画像読み込み部3は用紙に印刷された画像を読み込む。画像形成部4は画像読み込み部3で読み込まれた画像を印刷用の用紙に印刷する。排紙トレイ5には画像形成部4で印刷された用紙が格納される。用紙センサ102,202は用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する。給紙トレイ101,201には印刷用の用紙が格納される。
【0028】
一方、用紙センサ102は給紙トレイ101に設けられ、給紙トレイ101内の印刷用の用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する。このため、用紙センサ102は給紙トレイ101における次給紙用紙の印刷面が確認可能な位置に配置される。
【0029】
また、用紙センサ202は給紙トレイ201に設けられ、給紙トレイ201内の印刷用の用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する。このため、用紙センサ202は給紙トレイ201における次給紙用紙の印刷面が確認可能な位置に配置される。
【0030】
本実施例では給紙トレイ101,201より給紙を行い、画像形成部4にて画像形成および印字を行い、排紙トレイ5へ排紙する。そして、コピー等、原稿画像の読み込みが必要な場合は画像読み込み部3より読み込みを行う。
【0031】
用紙搬送路6は画像形成部4と、給紙トレイ101,201との間に設けられ、給紙トレイ101,201内の用紙を画像形成部4に搬送する際に用いられる。また、用紙搬送路7は画像形成部4と、排紙トレイ5との間に設けられ、画像形成部4で印刷された用紙を排紙トレイ5に搬送する際に用いられる。制御部301は画像読み込み部3、画像形成部4、排紙トレイ5、用紙センサ102,202、給紙トレイ101,201を制御する。
【0032】
次に、各構成部位の具体例について説明する。図4は第1実施形態の具体例の構成図である。なお、図3と同様の構成部分には同一番号を付している。図4を参照すると、画像読み込み部3の一例としてスキャナ3が用いられている。画像形成部4の一例としてプリントエンジン4が用いられている。
【0033】
また、用紙センサ102,202の一例としてCCD(Charge Coupled Device)カメラが用いられている。なお、汎用のデジタルカメラ等を用紙センサ102,202として用いることが可能である。また、用紙の印刷可能面の判別方法の一例として、ハードウエアによる検知、読み込み画像のソフトウエア演算、読み込み面画像判別等を用いることが可能である。
【0034】
次に、第1実施形態の動作について説明する。まず、動作の概要を説明する。
【0035】
(1)画像形成装置21にて印刷処理を実行していない間に給紙トレイ101,201内の次給紙用紙の印刷面に画像データがあるか否かを用紙センサ102,202によって判別する。
【0036】
(2)次給紙用紙の印刷面を確認した後、印刷面に画像データがある場合は予めその用紙を排紙トレイ5へ搬送し、排紙する。
【0037】
(3)印刷処理開始時、用紙供給先を選択する際に、次給紙用紙の印刷面に画像データがある場合は選択不可とする。すなわち、一例として、給紙トレイ101の次給紙用紙の印刷面に画像データがある場合は、印刷時に給紙トレイ101を選択できないようにする。または、別の有効な用紙(次給紙用紙の印刷面に画像データがない用紙)が格納されている給紙トレイを選択するようにする。
【0038】
次に、動作の詳細を説明する。図5および図6は第1実施形態の動作の詳細を示すフローチャートである。なお、以下の動作は画像形成装置21内の制御部301(“コンピュータ”)が画像読み込み部(スキャナ)3、画像形成部(プリントエンジン)4、排紙トレイ5、用紙センサ(CCDカメラ)102,202、給紙トレイ101,201を制御することにより実行される。
【0039】
図5を参照すると、制御部301は、まず印刷未実行状態か否かをチェックする(ステップS11)。一例として、実行していたジョブが完了したタイミングで、次印刷ジョブがある場合は、印刷未実行状態ではないと判断する。また、他の例として、実行していたジョブが完了してから一定時間経過するまでに次印刷ジョブが発生した場合(タイマによるスケジュール起動等)は、印刷未実行状態ではないと判断する。
【0040】
これに対し、一例として、実行していたジョブが完了したタイミングで、次印刷ジョブがない場合は、印刷未実行状態であると判断する。また、他の例として、実行していたジョブが完了してから一定時間経過するまでに次印刷ジョブが発生しない場合(タイマによるスケジュール起動等)は、印刷未実行状態であると判断する。
【0041】
ステップS11にて印刷未実行状態ではない場合(ステップS11にて“Yes”の場合)、制御部301は画像形成部(プリントエンジン)4に印刷ジョブを開始させる(ステップS12)。そして、制御部301は、印刷ジョブにて指定されている給紙トレイに印刷面が有効な用紙が格納されているか否かをチェックする(ステップS13)。
【0042】
そして、制御部301は、既に印刷面がチェック済みであり、印刷面が有効である場合には、画像形成部(プリントエンジン)4に印刷処理を実行させる(ステップS14)。
【0043】
一方、制御部301は、既に印刷面がチェック済みであり、印刷面が無効である場合には、給紙トレイを別のトレイに変更する(ステップS15)。なお、印刷面が未チェックの場合、印刷面のチェックの実施、別のトレイの選択および印刷の実行の判断は画像形成装置21に設定した情報に基づいて決定される。
【0044】
ステップS11にて印刷未実行状態である場合(ステップS11にて“No”の場合)、各トレイ101,201に対応した用紙センサ(CCDカメラ)102,202にて印刷面を確認する(ステップS16)。なお、確認した印刷面の情報は次印刷ジョブ実行時に使用される。また、印刷不可能用紙を予め排紙しておくことにより、印刷面が有効なトレイがなくなる状況を回避することが可能となる。
【0045】
ステップS16にて印刷面を確認すると、次に画像判別処理を行う(ステップS17)。図6は図5のフローチャートに画像判別処理の動作を追加したものである。したがって、図5と同様のステップには同様の番号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図6を参照すると、制御部301は、用紙センサ(CCDカメラ)102,202に給紙トレイ101,201内の次給紙用紙に対する印刷面の有効あるいは無効を判定させる(ステップS18)。そして、制御部301は、次給紙用紙に対する印刷面にデータがある場合(ステップS18にて“Yes”の場合)、その用紙の排紙処理を行う(ステップS20)。これに対し、制御部301は、次給紙用紙に対する印刷面にデータがない場合(ステップS18にて“No”の場合)、処理を終了する(ステップS19)。
【0047】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
第1の効果は、印刷面を確認して印刷を行う場合に、印刷に掛かる時間を関連技術に比べて短縮させることが可能ということである。すなわち、本発明では、予め印刷面を確認しておくことにより、印刷実行時に印刷面が有効かで否かの読み取りを行うことなく有効な印刷面に印刷できることである。
【0049】
第2の効果は、印刷実行時に印刷面が無効になる率を関連技術に比べて軽減できることである。すなわち、本発明では、印刷面が無効の場合、排紙処理(図6のステップS20参照)を行うことで、次給紙用紙に対し有効な印刷面を持つ用紙を予め準備しておくことが可能となる。これにより、印刷実行時に給紙用紙の印刷面が無効である率が関連技術に比べて減少し、よって印刷効率を関連技術に比べて上げることが可能となる。
【0050】
第3の効果は、印刷実行時に印刷面が無効になる用紙が混在することを避けることができることである。すなわち、本発明では、予め印刷面が無効である場合は、別のトレイから給紙を行うため、一連の印刷出力内に印刷面が無効な用紙が混在しないように出力することが可能となる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成図である。なお、同図において図3および図4と同様の構成部分には同一番号を付し、その説明を省略する。第2実施形態では第1実施形態における用紙センサ(CCDカメラ)102,202を画像読み込み部(スキャナ)3で兼用している。
【0052】
図7を参照すると、本発明に係る画像形成装置31は、画像読み込み部3と、画像形成部4と、排紙トレイ5と、分類済み給紙トレイ401および402と、未分類給紙トレイ501と、用紙搬送路7〜9と、制御部301とを含んで構成される。
【0053】
画像読み込み部3は用紙に印刷された画像を読み込む。画像形成部4は画像読み込み部3で読み込まれた画像を印刷用の用紙に印刷する。排紙トレイ5には画像形成部4で印刷された用紙が格納される。分類済み給紙トレイ401および402には予め有効用紙か否かの判定がなされた用紙が格納される。一例として、有効用紙か分類済み給紙トレイ401に格納され、印刷不可用紙が分類済み給紙トレイ402に格納される。また、未分類給紙トレイ501には有効用紙か否かの判定がなされていない用紙が格納される。
【0054】
用紙搬送路8は画像読み込み部3と、分類済み給紙トレイ401および402と、未分類給紙トレイ501との間に設けられる。用紙搬送路9は画像読み込み部3と、画像形成部4と、分類済み給紙トレイ401および402との間に設けられる。また、用紙搬送路7は画像形成部4と、排紙トレイ5との間に設けられる。したがって、画像読み込み部3と、分類済み給紙トレイ401および402との間の搬送路は双方向が可能な搬送路である。
【0055】
そして、未分類給紙トレイ501から未分類用紙が取り出され、用紙搬送路8を介して画像読み込み部3へ搬送され、画像読み込み部3にて印刷面の確認が行われる。そして、確認の結果、有効用紙と判定された場合は、その用紙は用紙搬送路9を介して分類済み給紙トレイ401へ格納され、印刷不可と判定された場合は、その用紙は用紙搬送路9を介して分類済み給紙トレイ402へ格納される。
【0056】
また、印刷を実行する場合は分類済み給紙トレイ401より用紙が取り出され、その用紙は用紙搬送路9を介して画像形成部4へ搬送され、画像形成部4で印刷が実行された後、用紙搬送路7を介して排紙トレイ5へ排紙される。制御部301は画像読み込み部3、画像形成部4、排紙トレイ5、分類済み給紙トレイ401および402および未分類給紙トレイ501を制御する。
【0057】
次に、各構成部位の具体例について説明する。図8は第2実施形態の具体例の構成図である。なお、図7と同様の構成部分には同一番号を付している。図8を参照すると、画像読み込み部3の一例としてスキャナ3が用いられている。画像形成部4の一例としてプリントエンジン4が用いられている。
【0058】
また、分類済み給紙トレイ401の一例として分類済み給紙トレイ(有効用紙)401が用いられ、分類済み給紙トレイ402の一例として分類済み給紙トレイ(印刷不可)402が用いられている。
【0059】
次に、第2実施形態の動作について詳細に説明する。図9は第2実施形態の動作の詳細を示すフローチャートである。なお、以下の動作は画像形成装置31内の制御部301(“コンピュータ”)が画像読み込み部(スキャナ)3、画像形成部(プリントエンジン)4、排紙トレイ5、分類済み給紙トレイ(有効用紙)401、分類済み給紙トレイ(印刷不可)402および未分類給紙トレイ501を制御することにより実行される。
【0060】
図9を参照すると、制御部301は、まず印刷未実行状態か否かをチェックする(ステップS31)。一例として、実行していたジョブが完了したタイミングで、次印刷ジョブがある場合は、印刷未実行状態ではないと判断する。また、他の例として、実行していたジョブが完了してから一定時間経過するまでに次印刷ジョブが発生した場合(タイマによるスケジュール起動等)は、印刷未実行状態ではないと判断する。
【0061】
これに対し、一例として、実行していたジョブが完了したタイミングで、次印刷ジョブがない場合は、印刷未実行状態であると判断する。また、他の例として、実行していたジョブが完了してから一定時間経過するまでに次印刷ジョブが発生しない場合(タイマによるスケジュール起動等)は、印刷未実行状態であると判断する。
【0062】
ステップS31にて印刷未実行状態ではない場合(ステップS31にて“Yes”の場合)、制御部301は画像形成部(プリントエンジン)4に印刷ジョブを開始させる(ステップS32)。印刷する場合、分類済み給紙トレイ(有効用紙)401より有効用紙を供給することにより有効な印刷面へ印刷することが可能となる。
【0063】
なお、分類済み給紙トレイ(有効用紙)401が用紙切れの場合、未分類給紙トレイ501からの出力用紙の印刷面のチェックの実施、給紙アラームの制御、未分類給紙トレイ501からの印刷実行の判断は予め画像形成装置31に設定した情報に基づいて決定される。
【0064】
一方、ステップS31にて印刷未実行状態である場合(ステップS31にて“No”の場合)、制御部301は未分類給紙トレイ501より未分類の用紙を取り出し、用紙搬送路8を介して画像読み込み部(スキャナ)3へ搬送し(ステップS33)、画像読み込み部(スキャナ)3でその用紙を読み取らせる(ステップS34)。そして、制御部301はその読み取り結果を基に、その用紙が印刷面が有効な用紙であるか否かを判別する(ステップS35)。
【0065】
そして、制御部301は印刷面に画像データがある場合は(ステップS36にて“Yes”の場合)、その用紙を用紙搬送路9を介して分類済み給紙トレイ(印刷不可)402へ搬送する(ステップS37)。
【0066】
一方、制御部301は印刷面に画像データがない場合は(ステップS36にて“No”の場合)、その用紙を用紙搬送路9を介して分類済み給紙トレイ(有効用紙)401へ搬送する(ステップS38)。
【0067】
次に、用紙の印刷面の確認および排紙の他の第1〜第3パターンについて説明する。図10は印刷面の確認および排紙の他の第1のパターンを示す模式図である。なお、図7および図8と同様の構成部分については同一番号を付し、その説明を省略する。また、制御部301は便宜上図示を省略している。
【0068】
図10を参照すると、図7および図8との構成の相違点は分類済み給紙トレイ(印刷不可)402を削除したことである。同図(A)を参照すると、未分類給紙トレイ501から取り出された未分類用紙は用紙搬送路8を介して画像読み込み部(スキャナ)3へ搬送され、画像読み込み部(スキャナ)3にて印刷面の確認が行われる。そして、同図(B)を参照すると、印刷面が印刷不可となる用紙は排紙トレイ5へ排紙される。
【0069】
次に、用紙の印刷面の確認および排紙の他の第2のパターンについて説明する。図11は印刷面の確認および排紙の他の第2のパターンを示す模式図である。なお、図7および図8と同様の構成部分については同一番号を付し、その説明を省略する。また、制御部301は便宜上図示を省略している。
【0070】
図11を参照すると、図7および図8との構成の相違点は未分類給紙トレイ501を削除したことである。同図(A)を参照すると、ユーザ操作により未分類用紙を画像読み込み部(スキャナ)3に読み込ませる。そして、同図(B)を参照すると、有効用紙であればユーザがその用紙を直接分類済み給紙トレイ(有効用紙)401へ格納する。一方、印刷不可用紙であればユーザがその用紙を直接分類済み給紙トレイ(印刷不可)402へ格納する。
【0071】
次に、用紙の印刷面の確認および排紙の他の第3のパターンについて説明する。図12は印刷面の確認および排紙の他の第3のパターンを示す模式図である。なお、図11と同様の構成部分については同一番号を付し、その説明を省略する。また、制御部301は便宜上図示を省略している。
【0072】
図12を参照すると、図11との構成の相違点は、スキャナ3を両面スキャナ35に置換し、分類済み給紙トレイ(有効用紙)401を両面白紙の用紙を格納する分類済み給紙トレイ(白紙)411と、片面白紙の用紙を格納する分類済み給紙トレイ(裏紙)412とに置換したものである。
【0073】
同図(A)を参照すると、ユーザ操作により未分類用紙の両面を画像読み込み部(両面スキャナ)35に読み込ませる。そして、同図(B)を参照すると、両面が白紙の用紙であればユーザがその用紙を直接分類済み給紙トレイ(白紙)411へ格納する。また、片面が白紙の用紙であればユーザがその用紙を直接分類済み給紙トレイ(裏紙)412へ格納する。一方、印刷不可用紙であればユーザがその用紙を直接分類済み給紙トレイ(印刷不可)402へ格納する。
【0074】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0075】
第1の効果は、新たなセンサを追加することなく有効な印刷面を確認できることである。すなわち、未分類用紙を画像読み込み部(スキャナ)3および35まで搬送して印刷面を確認することにより、センサの追加が不要となり、これによりコストダウンが可能となるという効果を奏する。また、第1実施形態と同様に、印刷実行前に予め次給紙用紙の印刷面の確認が可能であるため、印刷時に用紙をチェックすることなく印刷が可能という効果を奏する。
【0076】
第2の効果は、用紙判別完了までユーザを拘束することなく用紙の再利用が可能であることである。これは、印刷未実行状態にて用紙の印刷面の確認を行い、印刷面確認済み用紙を給紙トレイに再格納する構成であるため、ユーザが意識することなく用紙仕分けを行うことができるということである。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は画像形成装置における片面印刷済み用紙検出方法のプログラムに関するものである。前述の第1および第2実施形態で述べたように、本発明に係る画像形成装置は制御部301により各部を制御して片面印刷済み用紙の検出を行う構成である。
【0078】
本発明に係る画像形成装置1,21,31は図示しないメモリに、図2,5,6,9にフローチャートで示す片面印刷済み用紙検出方法の処理をコンピュータ(本発明の制御部301)に実行させるためのプログラムが格納されている。コンピュータ(制御部301)はそのメモリからそのプログラムを読み出し、そのプログラムにしたがって各部を制御する。その制御の内容については既に述べたのでここでの説明は省略する。
【0079】
以上説明したように、本発明の第3実施形態によれば、印刷する前に用紙が有効な印刷面を有するか否かの判別を行うことができ、かつ印刷面の判別から印刷に至る一連の処理を人手を介さず行うことができ、よって印刷に要する時間を短縮することが可能なプログラムが得られる。
【0080】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0081】
(付記1)少なくとも片面に画像データがない有効用紙が格納される有効用紙給紙トレイと、両面に画像データがある印刷不可用紙が格納される印刷不可用紙給紙トレイと、未分類の用紙が格納される未分類用紙給紙トレイとを含み、
用紙センサは前記未分類用紙給紙トレイに格納される用紙の判別を行い、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙が前記有効用紙給紙トレイに格納され、印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記印刷不可用紙給紙トレイに格納され、
画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられることを特徴とする画像形成装置。
【0082】
(付記2)前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイに格納されることを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
【0083】
(付記3)用紙センサは画像形成部で画像形成するための画像の読み込みにも兼用されることを特徴とする片面印刷済み用紙検出方法。
【0084】
(付記4)前記画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられることを特徴とする付記3記載の片面印刷済み用紙検出方法。
【0085】
(付記5)前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイに格納されることを特徴とする付記3または4記載の片面印刷済み用紙検出方法。
【0086】
(付記6)用紙が格納される給紙トレイが少なくとも2個設けられ、
用紙センサが各々の給紙トレイに設けられることを特徴とするプログラム。
【0087】
(付記7)画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられ、前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイへ排紙されることを特徴とする付記6記載のプログラム。
【0088】
(付記8)少なくとも片面に画像データがない有効用紙が格納される有効用紙給紙トレイと、両面に画像データがある印刷不可用紙が格納される印刷不可用紙給紙トレイと、未分類の用紙が格納される未分類用紙給紙トレイとを含み、
前記用紙センサは前記未分類用紙給紙トレイに格納される用紙の判別を行い、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙が前記有効用紙給紙トレイに格納され、印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記印刷不可用紙給紙トレイに格納されることを特徴とするプログラム。
【0089】
(付記9)前記用紙センサは画像形成部で画像形成するための画像の読み込みにも兼用されることを特徴とする付記8記載のプログラム。
【0090】
(付記10)前記画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられることを特徴とする付記8または9記載のプログラム。
【0091】
(付記11)前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイに格納されることを特徴とする付記10記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明をコピー機、ファクシミリ装置およびコピーとファクシミリ兼用の複合機に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
21,31 画像形成装置
3 画像読み込み部(スキャナ)
4 画像形成部(プリントエンジン)
5 排紙トレイ
6〜9 用紙搬送路
11 用紙センサ
12 画像形成部
35 両面スキャナ
101 給紙トレイ
102 用紙センサ(CCDカメラ)
201 給紙トレイ
202 用紙センサ(CCDカメラ)
301 制御部
401 分類済み給紙トレイ(有効用紙)
402 分類済み給紙トレイ(印刷不可)
411 分類済み給紙トレイ(白紙)
412 分類済み給紙トレイ(裏紙)
501 未分類給紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の印刷面に画像データがあるか否かを判別する用紙センサと、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成部とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙が格納される給紙トレイが少なくとも2個設けられ、
前記用紙センサが各々の給紙トレイに設けられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられ、前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイへ排紙されることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも片面に画像データがない有効用紙が格納される有効用紙給紙トレイと、両面に画像データがある印刷不可用紙が格納される印刷不可用紙給紙トレイと、未分類の用紙が格納される未分類用紙給紙トレイとを含み、
前記用紙センサは前記未分類用紙給紙トレイに格納される用紙の判別を行い、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙が前記有効用紙給紙トレイに格納され、印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記印刷不可用紙給紙トレイに格納されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙センサは前記画像形成部で画像形成するための画像の読み込みにも兼用されることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
用紙の印刷面に画像データがあるか否かの判別を用紙センサにて行う用紙判別ステップと、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成ステップとを含むことを特徴とする片面印刷済み用紙検出方法。
【請求項7】
用紙が格納される給紙トレイが少なくとも2個設けられ、
前記用紙センサが各々の給紙トレイに設けられることを特徴とする請求項6記載の片面印刷済み用紙検出方法。
【請求項8】
前記画像形成部にて画像形成後の用紙が格納される排紙トレイが設けられ、前記用紙センサにて印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記排紙トレイへ排紙されることを特徴とする請求項6または7記載の片面印刷済み用紙検出方法。
【請求項9】
少なくとも片面に画像データがない有効用紙が格納される有効用紙給紙トレイと、両面に画像データがある印刷不可用紙が格納される印刷不可用紙給紙トレイと、未分類の用紙が格納される未分類用紙給紙トレイとを含み、
前記用紙センサは前記未分類用紙給紙トレイに格納される用紙の判別を行い、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙が前記有効用紙給紙トレイに格納され、印刷面に画像データがあると判別された用紙が前記印刷不可用紙給紙トレイに格納されることを特徴とする請求項6記載の片面印刷済み用紙検出方法。
【請求項10】
画像形成装置のコンピュータに、
用紙の印刷面に画像データがあるか否かの判別を用紙センサにて行う用紙判別ステップと、
前記用紙センサにて印刷面に画像データがないと判別された用紙に画像を形成する画像形成ステップとを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−218611(P2011−218611A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88231(P2010−88231)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】