説明

画像形成装置および像形成ユニット

【課題】像形成ユニットを現像ロール等の軸方向に交差する方向から装着する構成において、像形成ユニットをプリンタに装着した状態で封止部材を引き抜くことができるようにした画像形成装置を提供する。
【解決手段】像形成ユニット26と、像形成ユニットを現像部材(現像装置44)の軸方向と交差する方向に着脱可能な装着部160を有する装置本体12と、装着部を構成する筐体の一部であって、像形成ユニットの封止部材(シール部材S)の端部200と対向する位置に設けられ、封止部材を通過可能な開口部(第2の孔400)と、像形成ユニットの装置本体への装着に伴って、封止部材の端部が開口部を介して露出されるように、封止部材の端部を露出方向に付勢する付勢手段(補強フィルム)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および像形成ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置としてのレーザプリンタ等において、電子写真感光体に形成された潜像を現像する現像部材と、この現像部材の現像に用いる現像剤(トナー等)を収納する現像剤収納部と、この現像剤収納部に収納されている現像剤が現像部材に供給される際に通過する現像剤通過開口部と、該現像剤通過開口部を開封可能に封止する封止部材(シール部材)を有する像形成ユニット(プロセスカートリッジともいう)を着脱可能に収容する構造が採用されている。
【0003】
このような構造を採用したプリンタとしては、例えば特開2006−208821号公報に、プロセスカートリッジを装着した際に、シール部材が除去されていない状態では、現像部蓋部材としての支持板を閉じようとしても閉じることが出来ないようにする封止部材除去忘れ防止部材を設け、プロセスカートリッジをプリンタに装着した状態でシール部材を引き抜くことができるものが開示されている。
【0004】
また、特開2002−162816号公報には、像形成ユニットを現像ロール等の軸方向に交差する方向から装置に装着する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−208821号公報
【特許文献2】特開2002−162816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、像形成ユニットを現像ロール等の軸方向に交差する方向から装着する構成において、像形成ユニットをプリンタに装着した状態で封止部材を引き抜くことができるようにした画像形成装置および像形成ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像形成装置は、感光体に形成された潜像を現像する現像部材、該現像部材の現像に用いる現像剤を収納する現像剤収納部、該現像剤収納部に収納されている現像剤が前記現像部材に供給される際に通過する現像剤通過開口部および該現像剤通過開口部を開封可能に封止する封止部材を有する像形成ユニットと、該像形成ユニットを前記現像部材の軸方向と交差する方向に着脱可能な装着部を有する装置本体と、前記装着部を構成する筐体の一部であって、前記像形成ユニットの前記封止部材の端部と対向する位置に設けられ、前記封止部材を通過可能な開口部と、前記像形成ユニットの前記装置本体への装着に伴って、前記封止部材の端部が前記開口部を介して露出されるように、前記封止部材の端部を露出方向に付勢する付勢手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明に係る画像形成装置は、請求項1に記載の発明について、前記封止部材の端部に連結され、前記像形成ユニットに対して起伏可能に設けられると共に、前記付勢手段によって起きる方向に付勢される把持部と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記把持部を前記像形成ユニットの収納位置に固定する固定手段と、前記筐体側に前記像形成ユニットを装着した際に、前記固定手段と係合して前記固定手段を解除する解除手段とをさらに備え、前記開口部を介して前記把持部の少なくとも一部が露出されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明に係る画像形成装置は、請求項1に記載の発明について、前記付勢手段は、前記封止手段の端部において復元力を備えた板状部材で構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項3の何れかに記載の発明について、前記像形成ユニットの装着に際して、当該像形成ユニットの装着方向に沿って折り曲げて配置される前記封止部材の一部と当って、当該封止部材の端部を前記開口部を介して押し出す押出部が前記装着部側に設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明に係る画像形成装置は、請求項1から請求項4の何れかに記載の発明について、前記現像部材が複数配列され、それぞれに前記封止手段と、前記付勢手段と、前記開口部とが設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明に係る像形成ユニットは、感光体に形成された潜像を現像する現像部材と、該現像部材の現像に用いる現像剤を収納する現像剤収納部と、該現像剤収納部に収納されている現像剤が前記現像部材に供給される際に通過する現像剤通過開口部と、該現像剤通過開口部を開封可能に封止する封止部材と、前記封止部材の端部に連結され、ユニット自身に対して起伏可能に設けられる把持部と、前記封止手段の端部に設けられ前記把持部を起こす方向に付勢する板状部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像形成ユニットの装着に伴って封止部材の端部が装置筐体に設けられた開口部から露出されるので、像形成ユニットを装置に装着した状態で封止部材を引き抜くことができ、利便性が向上する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、露出した把持部を介して封止部材を引き抜くことができ、利便性がより向上する。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、構成を簡易にしてコストを低減することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像形成ユニットを装着すると封止部材の端部が開口部から押し出されるので、利便性が一層向上する。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像形成ユニットを装置に装着した状態で各封止部材を引き抜くことができ、利便性が向上する。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像形成ユニットを画像形成装置に装着した状態で封止部材を引き抜くことができ、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
【0021】
図1から図8を参照して、本発明についての第1の実施の形態に係る画像形成装置10について説明する。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体(筐体)12を有し、画像形成装置本体12の下部には、給紙装置14が配置されると共に、画像形成装置本体12の上部には排紙部16が形成されている。
【0023】
給紙装置14は、用紙トレイ18を有し、この用紙トレイ18に多数の用紙Pが積層されている。
【0024】
この用紙トレイ18の一端上部には、フィードロール20が配置されると共に、このフィードロール20に対向して捌きロール22が設けられている。
【0025】
用紙トレイ18の最上位にある用紙Pがフィードロール20によりピックアップされ、フィードロール20と捌きロール22との協働により用紙Pが捌かれて搬送される。
【0026】
用紙トレイ18から搬送された用紙は、レジストローラ24により一時停止され、所定のタイミングにより後述する像形成ユニット26と転写ユニット28との間および定着装置30を通って排紙ローラ32により排紙部16へ排出される。
【0027】
なお、像形成ユニット26は、画像形成装置本体12内の収容部160に収容される。
【0028】
画像形成装置本体12内には、像形成ユニット26、転写ユニット28、電源ユニット34および制御部36が配置されている。
【0029】
本実施例においては、搬送ベルト60または該搬送ベルト60により搬送される用紙Pに転写される像を保持する例えば4つの像保持体40と、このそれぞれの像保持体40に形成される潜像を現像する現像装置(像形成ユニット)44とを別体として枠体106に組み込んで、像形成ユニット26を構成している。
【0030】
したがって、像保持体40は、枠体106に回転自在に支持されている。
【0031】
各像保持体40の周囲には、像保持体40を一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電手段としての帯電装置42と、各像保持体40に形成された潜像を現像剤(トナー)により現像する現像装置44と、転写後の像保持体40を除電する除電装置46と、転写がなされた後に像保持体40に残留する現像剤を除去する現像剤除去手段としてのクリーニング装置48とを有する。
【0032】
像形成ユニット26は、画像形成装置本体12に対して着脱可能となっている。
【0033】
ここで、図2を参照して現像装置44および封止部材Sの構成について説明する。
【0034】
現像装置44は、図2に概念的に例示するように、現像剤保持体(現像ローラ)403等を備える現像室(現像部材)C1と、現像剤(トナー)402を保持すると共に攪拌する攪拌室(現像剤収容部)C2と、現像室C1と攪拌室(現像剤収容部)C2とを接続する接続部C3とに大別することができる。
【0035】
そして、攪拌室C2で攪拌されたトナーは現像剤保持体403の軸方向中央部に設けられた接続部C3をから順次現像室C1へ供給されるようになっている。
【0036】
また、現像装置44の全体構成は、静電潜像が形成される像保持体40と対向する開口部401aと現像剤402が収容される現像剤収容部C2とが形成されたハウジング401と、このハウジング401の開口部401a付近に回転可能に取り付けられ、現像剤収容部C2に収容される現像剤402を保持して像保持体40と対向する現像領域まで搬送する現像剤保持体403と、ハウジング401の現像剤保持体403と現像剤収容部C2の間となる部位(つまり接続部C3)に貼付され、使用直前に剥離して取り除かれるシール部材(封止部材)Sとから構成されている。
【0037】
ハウジング401は、一般的にプラスチック成型品で形成されるが、特にこれには限定されない。
【0038】
現像剤402は、粉体状の乾式現像剤であり、具体的には、トナーからなる一成分現像剤、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤の何れであってもよい。
【0039】
現像剤保持体403は、一般的にはロール状のものであるが、特にこれには限定されない。
【0040】
また、図2中において符号407は、現像剤収容部C2に収容されている現像剤402を攪拌しながら所定の方向に搬送する攪拌搬送回転体(オーガ)である。
【0041】
なお、実際の装置では、ハウジング401内に、適用する現像剤402の種類に応じて必要な構成部品が配設される。
【0042】
シール部材Sは、現像装置44の使用前においてハウジング401の現像剤収容部C2に収容されている現像剤402が現像剤保持体403のある側(現像部C1)に移動してハウジング401の開口部401aから外に漏れ出ることを防止するものである。
【0043】
また、シール部材Sは、ハウジング401の現像剤保持体403を備えた現像部C1と現像剤収容部C2の間となる部位(接続部C3)に対して取り外し可能に装着する仕切り枠板405に貼付させてもよい。
【0044】
この場合に、仕切り枠板405は、シール部材Sの取り除き後においてハウジング401側にそのまま残るが、仕切り板に適宜必要な供給口を設けておけばよい。この仕切り枠板405を採用した場合には、シール部材Sの貼付作業がハウジング401内部の所定部位に直接貼付するような場合に比べて行い易くなる。また、現像装置44の再利用時においても対応し易くなる。
【0045】
なお、図2において、シール部材Sの垂直方向手前側に、シール部材Sの自由端が延びていて、後述するように、現像装置44に設けられた第1の孔、枠体に設けられた第3の孔、画像形成装置に設けられた第2の孔が互いに重なって(連通して)設けられて、シール部材Sの自由端はそれら第1から第3の孔を跨って画像形成装置本体の外部に引き出されている。
【0046】
また、図1において、4つの現像剤カートリッジ50は、像形成ユニット26の手前側の側方に装着されている。
【0047】
各現像剤カートリッジ50は、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー用であり、供給現像剤収容部52と回収現像剤収容部54とが一体になって構成されている。
【0048】
供給現像剤収容部52は、現像装置44に供給される各色のトナー(現像剤)を収容し、回収現像剤収容部54はクリーニング装置48により像保持体40から除去された各色のトナーを収容する。
【0049】
光書込み装置56は、それぞれレーザ露光装置からなり、像形成ユニット26の背面側にあって各像保持体40に対応した位置に配置され、一様に帯電された像保持体40に対してレーザを照射して潜像を形成するようになっている。
【0050】
転写ユニット28は、像形成ユニット26の表側にあって像形成ユニット26に対向して縦方向に配置されている。この転写ユニット28においては、搬送ベルト60が、上下方向に設けられた二つの支持ロール58に掛けられている。本実施例においては、搬送ベルトが用紙Pを搬送する。
【0051】
また、転写ロール62が搬送ベルト60を挟んで対向して各像保持体40に設けられている。
【0052】
ここで、像形成ユニット26の構成について説明する。
【0053】
図3(A)に示すように、像形成ユニット26は、像形成ユニット本体(枠体)106、除電装置46としての除電ランプバー108および現像剤カートリッジ50の回収現像剤収容部54に接続される接続部112等を有する。
【0054】
現像ローラ(図2の符号403の部材)の長手方向には、攪拌室(図2の符号C2の部材)から現像室(図2の符号C1の部材)にトナーを供給する接続部(図2の符号C3の部材)を開封可能に封止する封止部材(封止手段)として、シール部材Sが例えば接着剤により貼付されている。
【0055】
このシール部材Sは、現像室C1の長手寸法、すなわち像形成ユニット26の長手寸法よりも長く選定され、シール部材Sの端部200が現像ローラの軸方向Dに引っ張られることによって引き剥がされ、前記開口部401aが開放されてトナーの供給が可能な状態となるようにされている。
【0056】
シール部材Sとしては、特には限定されないが、例えば軟質ウレタンフォームを粘着テープによりPETフィルムと積層したものや、シート状の軟質ウレタンフォームを熱圧縮することにより形成したものなどを用いることができる。
【0057】
また、詳しくは後述するが、シール部材Sの端部200には、付勢手段としての復元力を備えた板状部材を構成する補強フィルムFが貼付され、この補強フィルムFの先端部f2が第3の孔300および第2の孔(開口部)400を介して、露出されるようになっている(図4等参照)。
【0058】
また、像形成ユニット本体106の一側面(図3の(A)では右側面)150に、シール部材Sの端部200を長手方向の延長線上(図3の(A)、(B)に矢印Dで示す方向)に引き出し可能とする第3の孔300が、現像装置44に設けられた第1の孔180(図6から図8参照)と、重なるように連通して設けられており、それらの孔は各接続部C3に対応させて設けられている。
【0059】
一方、図3(B)に示すように、第1の実施例に係る画像形成装置本体12の一方の側面には、開閉カバー64が設けられている。
【0060】
開閉カバー64の一端には、図示しない回動支点が設けられており、開閉カバー64は、図中の矢印Aに示すように、回動支点を中心に回動自在に開閉される。
【0061】
画像形成装置本体12において、開閉カバー64が設けられた側には、現像剤供給制御装置(ディスペンサ)66が設けられている。
【0062】
現像剤供給制御装置66は、例えば4つの現像剤カートリッジ50を保持する現像剤カートリッジ保持部68を有し、現像剤カートリッジ保持部68に保持されて画像形成装置本体12に装着された現像剤カートリッジ50の供給現像剤収容部52に収容されている現像剤を攪拌室C2に供給する。
【0063】
現像剤カートリッジ保持部68のそれぞれの一端には、図示しない回動支点が設けられており、現像剤カートリッジ保持部68は、図中の矢印Bに示すように、回動支点を中心に移動する。したがって、開閉カバー64が開かれ、現像剤カートリッジ保持部68が画像形成装置本体12から離れる方向に移動されると、現像剤カートリッジ50は画像形成装置本体12から外され、図中の矢印Cに示すように、現像剤カートリッジ保持部68から現像剤カートリッジ50を取り出すことが可能となる。
【0064】
そして、現像剤カートリッジ保持部68が画像形成装置本体12から離れた状態で現像剤カートリッジ50が現像剤カートリッジ保持部68に挿入され、現像剤カートリッジ保持部68が画像形成装置本体12に近づく方向に移動されると、現像剤カートリッジ50は、画像形成装置本体12に装着される。
【0065】
また、画像形成装置本体12の側面表面側には、操作パネル38が設けられている。操作パネル38は、制御部36により制御されて所定の内容を表示する表示部と、ユーザからの操作を受け付ける図示しないボタンとを有し、該ボタンを介して受け付けた操作を制御部36に対して出力する。
【0066】
現像剤カートリッジ保持部68が収納された状態の前方側には、画像形成装置本体12に収納された像形成ユニット26の接続部C3から、第1の孔180、第3の孔300、さらに第2の孔400を通って延伸されるシール部材Sの端部200が画像形成装置本体12から外部へ露出されている。
【0067】
さらに第1から第3の孔は、それぞれ重なり合って連通している。それぞれの孔の位置が多少ずれていても、シール部材Sの端部を露出させることは可能であるが、シール部材200を露出させる容易性を考慮すると、少なくともその一部がシール部材の引き出し方向Dで重なり合って連通していることが好ましい。
【0068】
なお、画像形成装置本体12の開閉カバー64を開いた状態で、像形成ユニット本体106の側面150が露出する構成の場合には、画像形成装置本体12の第2の孔400は不要となるが、画像形成装置の筐体の強度を考えると、露出しない構成の方が望ましい。
【0069】
ここで、図4〜図8を参照して、シール部材Sの端部200の構成等について説明する。
【0070】
図4に示すように、シール部材Sの端部200には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成される補強フィルムFが所定の接着剤を介して貼付されている。
【0071】
補強フィルムFは、図5の(a)に示すように、例えば両端部f1、f2間の略中央部において90度程度に折り癖がつけられ、付勢手段として復元力を備えた板状部材を構成するようになっている。
【0072】
また、図4に示すように、補強フィルムFが貼付されたシール部材Sは、補強フィルムFの端部f1付近で、像形成ユニット26の装着方向に沿ってループ部250を形成して折り返され、像形成ユニット本体106の側面150の裏面側と、ガイド部材Gとの間に形成される収容部700内に収容されている。
【0073】
さらに、画像形成装置本体12において、像形成ユニット26側のシール部材Sの前記ループ部250と対向する位置に、シール部材Sの端部200を第2の孔400に向けて押し出す押出部12Aが形成されている。
【0074】
これにより、像形成ユニット26を画像形成装置本体12に収納した際に、シール部材Sのループ部250が画像形成装置本体12側の押出部12Aに当たって、収容部700内に収容されているシール部材Sの端部200が押し出され、そのシール部材Sの端部200が補強フィルムFの付勢力により、第2の孔400を介して画像形成装置本体12から外部へ露出される(図4、図5(b)等を参照)。なお、シール部材Sの端部200が露出される過程の詳細は、図6および図7を参照して後述する。
【0075】
また、図5に示すように、シール部材Sの端部200側となる補強フィルムFの一端部f2には、ユーザが引っ張る際の滑り止めとなる突起600が設けられている。
【0076】
なお、突起600に限らず、窪み等を設けても良いし、補強フィルムFの端部f2にユーザが掴む充分な長さを確保できる場合などには突起や窪み等を省いてもよい。
【0077】
ここで、図6の(a)、(b)および図7の(c)、(d)を参照して、シール部材Sの端部200が露出される過程について説明する。
【0078】
まず、図6の(a)に示すように、ユーザは、像形成ユニット26を矢印E方向に押して、画像形成装置本体12への収納を開始する。
【0079】
なお、像形成ユニット26は、装置前面カバーを開放することで、画像形成装置本体12の前面から脱着される。
【0080】
そして、図6の(b)に示すように、さらに矢印E方向に押圧されると、シール部材Sのループ部250が画像形成装置本体12側の押出部12Aに当たり、収容部700内に収容されているシール部材Sの端部200が矢印Eと逆方向に押し出される。
【0081】
次いで、補強フィルムFが有する付勢力によって、シール部材Sの端部200が第2の孔400を介して画像形成装置本体12から外部へ露出される。
【0082】
このように像形成ユニット26の画像形成装置本体12への収容が完了した状態において、ユーザがシール部材Sの端部200(補強フィルムFの端部f2)を指先で掴んで現像ローラの軸方向D(図3の(A)、(B)参照)に引っ張ると、まず、収容部700に収容されていたループ部250を含むシール部材Sが引き出され、次いで封止している部位が引き剥がされ、前記開口部401aが開放されてトナーの供給が可能な状態とされる。
【0083】
また、図8に示すように、画像形成装置本体12側の一部の側壁12Bを像形成ユニット26から若干離間させた構成とし、像形成ユニット本体106の側面150と、側壁12Bとの間に形成される空間710を介して像形成ユニット本体106のシール部材Sの端部200が挿通されるようにしてもよい。
【0084】
この構成によれば、まず、図8の(a)に示すように、ユーザは、像形成ユニット26を矢印E方向に押して、画像形成装置本体12への収納を開始する。この際に、像形成ユニット本体106のシール部材Sの端部200が像形成ユニット本体106の側面150と側壁12Bとの間に形成される空間710を挿通される
【0085】
そして、図8の(b)に示すように、像形成ユニット26が画像形成装置本体12に完全に収納されると、シール部材Sの端部200が第2の孔400’から外部へ露出される。
【0086】
次いで、像形成ユニット26の画像形成装置本体12への収容が完了した状態において、ユーザがシール部材Sの端部200(補強フィルムFの端部f2)を指先で掴んで現像ローラの軸方向D(図3の(A)、(B)参照)に引っ張ると、まず、収容部700に収容されていたループ部250を含むシール部材Sが引き出され、次いで封止している部位が引き剥がされ、前記開口部401aが開放されてトナーの供給が可能な状態とされる。なお、ループ部250を設けず、シール部材Sの端部200を画像形成装置本体12の外に位置するように引き出しておいてもよい。
【0087】
このように、第1の実施例に係る像形成ユニット26および画像形成装置本体12によれば、像形成ユニット26の装着に伴ってシール部材Sの端部200が第2の孔400(400’)から自動的に露出されるので、像形成ユニット26を画像形成装置10に装着した状態でシール部材Sを引き抜くことができ、利便性が向上する。
【0088】
また、シール部材Sを引き抜く際に、像形成ユニット26を画像形成装置本体12から取り外す必要が無いので、ユーザの手間が軽減するとともに、本体内や像形成ユニット26の部材にユーザが誤って触れる事態が回避され、安全性を保持し、また無用な画像劣化等が防止される。
【0089】
(第2の実施の形態)
【0090】
図9から図12を参照して、本発明についての第2の実施の形態に係る画像形成装置10’について説明する。
【0091】
なお、第2の実施の形態に係る画像形成装置10’の全体構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る画像形成装置10と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0092】
第2の実施の形態に係る画像形成装置10’と第1の実施の形態に係る画像形成装置10との違いは、シール部材Sの端部200に補強フィルムFを備える像形成ユニット26に代えて、シール部材Sの端部200に把持部(ツマミ部)900を備えた像形成ユニット26’を用いている点である。
【0093】
図9に示すように、像形成ユニット26’において、シール部材Sの端部200には樹脂製の把持部(ツマミ部)900が取り付けられている。
【0094】
把持部900の取り付け方は、特には限定されないが、本実施の形態では、例えば把持部900の端部に挿通孔900aを設け、この挿通孔900aにシール部材Sの端部200を挿通させて固定するようになっている。
【0095】
また、図10に示すように、把持部900の両側端には所定長さの腕部900bが延設され、各腕部900bの外側には、テーパを形成した突起900cが形成されている。
【0096】
なお、各腕部900bは、内側に撓むことができる程度の太さとされている。
【0097】
像形成ユニット26’側には、把持部900の各腕部900bの突起900cを係合可能な係合孔960aを形成した受部960が設けられている。
【0098】
そして、受部960に把持部900の各腕部900bの突起900cが係合されることにより、把持部900は像形成ユニット26’の側面に対して回動して起伏可能な状態で保持される。
【0099】
また、像形成ユニット26’の側面には、把持部900を伏せた際に対向する位置に、付勢手段としてスプリング920が設けられ、把持部900を伏せた状態において起き上がる方向に付勢力を付与するようになっている。
【0100】
さらに、像形成ユニット26’の側面には、スプリング920の付勢力に抗して把持部900を収納位置で固定する固定手段としてのスライド部材910が設けられている。
【0101】
スライド部材910は、矢印H方向に移動可能に構成され、把持部900と対向する部位に把持部900を伏せた状態でロックして保持するツメ部910aが設けられている。
【0102】
一方、画像形成装置本体12において、把持部900を有するシール部材Sの端部200が露出される第2の孔400の付近の内側の面には、前述の像形成ユニット26’のスライド部材910のツメ部910aに当たって、スライド部材910を矢印H側に移動させる解除手段としてのロック解除ツメ950が設けられている。
【0103】
なお、把持部900の先端側には、滑り止め用の溝900dが設けられている。
【0104】
以上の構成により、図12に示すように、像形成ユニット26’を矢印E方向に押して、画像形成装置本体12への収納を開始すると、像形成ユニット26’のスライド部材910のツメ部910aとロック解除ツメ950が当たって、スライド部材910が矢印H側に移動される。
【0105】
これにより、把持部900は、伏せた状態(ロック状態)が解除され、スプリング920の付勢力により起き上がった状態に移行し、第2の孔400を介して外部に露出された状態となる。
【0106】
次いで、像形成ユニット26’の画像形成装置本体12への収容が完了した状態において、ユーザが把持部900を指先で掴んで現像ローラの軸方向D(図3の(A)、(B)参照)に引っ張ると、封止している部位が引き剥がされ、開口部401aが開放されてトナーの供給が可能な状態とされる。
【0107】
このように、第2の実施例に係る像形成ユニット26’および画像形成装置本体12によれば、像形成ユニット26’の装着に伴って把持部900が自動的に露出されるので、像形成ユニット26’を画像形成装置10’に装着した状態でシール部材Sを引き抜くことができ、利便性が向上する。
【0108】
また、シール部材Sを引き抜く際に、像形成ユニット26’を画像形成装置本体12から取り外す必要が無いので、ユーザの手間が軽減するとともに、本体内や像形成ユニット26’の部材にユーザが誤って触れる事態が回避され、安全性を保持し、また無用な画像劣化等が防止される。
【0109】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明による画像形成装置および像形成ユニットは、複写装置、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、ファクシミリ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略構成図である。
【図2】現像装置44と封止部材Sの概略構成を示す側面図である。
【図3】第1の実施の形態における像形成ユニット26を示す斜視図(A)と、この像形成ユニットを収容した画像形成装置10を示す斜視図(B)である。
【図4】シール部材Sの端部200の構成を示す説明図である。
【図5】補強フィルムFを示す斜視図である。
【図6】シール部材Sの端部200が第2の孔400から露出される過程を示す説明図である。
【図7】シール部材Sの端部200が第2の孔400から露出される過程および引き出された状態を示す説明図である。
【図8】シール部材Sの端部200が第2の孔400’から露出される過程および引き出された状態を示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態における像形成ユニット26’を示す斜視図である。
【図10】把持部900の構成を示す斜視図である。
【図11】画像形成装置本体12の第2の孔400およびロック解除ツメ950を示す斜視図である。
【図12】第2の実施の形態における像形成ユニット26’の把持部900の操作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0112】
10、10’ 画像形成装置
12 画像形成装置本体(装置本体)
12A 押出部
12B 側壁
14 給紙装置
16 排紙部
18 用紙トレイ
20 フィードロール
22 捌きロール
24 レジストローラ
26 像形成ユニット
28 転写ユニット
30 定着装置
32 排紙ローラ
34 電源ユニット
36 制御部
38 操作パネル
40 像保持体(感光体)
42 帯電装置
44 現像装置(現像部材)
46 除電装置
48 クリーニング装置
50 現像剤カートリッジ(現像剤収納部)
52 供給現像剤収容部
54 回収現像剤収容部
56 光書込み装置
58 支持ロール
60 搬送ベルト
62 転写ロール
64 開閉カバー
66 現像剤供給制御装置
68 現像剤カートリッジ保持部
106 枠体(像保持体ユニット本体)
108 除電ランプバー
112 接続部
150 像形成ユニット本体の一側面
160 収容部
180 第1の孔
S シール部材(封止部材)
200 シール部材の端部
F 補強フィルム(付勢手段、板状部材)
250 ループ部
300 第3の孔
400 第2の孔(開口部)
401 ハウジング
401a 開口部
402 現像剤
403 現像剤保持体
405 枠板
600 突起
700 収容部
710 空間
900 把持部
900a 挿通孔
900b 腕部
900c 突起
900d 滑り止め用の溝
910 スライド部材
910a ツメ部
920 スプリング(付勢手段)
950 ロック解除ツメ
960 受部
960a 係合孔
C1 現像室(現像部材)
C2 現像剤収容部
C2 攪拌室
C3 接続部(現像剤通過開口部)
G ガイド部材
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に形成された潜像を現像する現像部材、該現像部材の現像に用いる現像剤を収納する現像剤収納部、該現像剤収納部に収納されている現像剤が前記現像部材に供給される際に通過する現像剤通過開口部および該現像剤通過開口部を開封可能に封止する封止部材を有する像形成ユニットと、
該像形成ユニットを前記現像部材の軸方向と交差する方向に着脱可能な装着部を有する装置本体と、
前記装着部を構成する筐体の一部であって、前記像形成ユニットの前記封止部材の端部と対向する位置に設けられ、前記封止部材を通過可能な開口部と、
前記像形成ユニットの前記装置本体への装着に伴って、前記封止部材の端部が前記開口部を介して露出されるように、前記封止部材の端部を露出方向に付勢する付勢手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記封止部材の端部に連結され、前記像形成ユニットに対して起伏可能に設けられると共に、前記付勢手段によって起き上がる方向に付勢される把持部と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記把持部を前記像形成ユニットの収納位置に固定する固定手段と、
前記筐体側に前記像形成ユニットを装着した際に、前記固定手段と係合して前記固定手段を解除する解除手段と、
をさらに備え、
前記開口部を介して前記把持部の少なくとも一部が露出されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記封止手段の端部において復元力を備えた板状部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像形成ユニットの装着に際して、当該像形成ユニットの装着方向に沿って折り曲げて配置される前記封止部材の一部と当って、当該封止部材の端部を前記開口部を介して押し出す押出部が前記装着部側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像部材が複数配列され、それぞれに前記封止手段と、前記付勢手段と、前記開口部とが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体に形成された潜像を現像する現像部材と、
該現像部材の現像に用いる現像剤を収納する現像剤収納部と、
該現像剤収納部に収納されている現像剤が前記現像部材に供給される際に通過する現像剤通過開口部と、
該現像剤通過開口部を開封可能に封止する封止部材と、
前記封止部材の端部に連結され、ユニット自身に対して起伏可能に設けられる把持部と、
前記封止手段の端部に設けられ前記把持部を起こす方向に付勢する板状部材と、
を備えることを特徴とする像形成ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−78655(P2010−78655A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243935(P2008−243935)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】