説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する際、コピー制限を課すためのパスワードとして、原稿ごとにユニークなパスワードを設定できるようにしてセキュリティ性能を向上させる。
【解決手段】画像形成装置1は、過去に使用されたパスワードや、第三者に流出してしまったパスワードを記憶装置30に記憶する。出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する際、入力部42より入力されたパスワードと同一のパスワードが既に記憶装置30に記憶されているか否かを判別し、同一のパスワードが記憶装置30に記憶されていない場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードが既に記憶装置30に記憶されている場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関し、特に出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される画像形成装置において、不正なコピーが行われることを抑制するため、パスワードなどの識別情報を原稿画像に埋め込んで出力する技術が公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
このような画像形成装置では、読み取った原稿画像にパスワードが埋め込まれている場合、その埋め込まれたパスワードに一致するパスワードの入力がない限り、複製原稿の出力は行わないように構成される。したがって、機密文書などの重要な原稿に対して任意のパスワードを予め埋め込んでおくことにより、そのパスワードを知るユーザに対してのみコピー出力を許可することができる反面、パスワードを知らない他のユーザにはコピー制限を課すことができるので秘密情報が漏出することを防止できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−154140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿に埋め込むパスワードとして、ユーザが任意のパスワードを設定可能とした場合、既に過去に使用されたパスワードが繰り返し使用される可能性があり、例えばユーザの意図しないところで、あるひとつの原稿に埋め込まれたパスワードと、他の原稿に埋め込まれたパスワードとが同じパスワードになることがある。この場合、万一、ひとつの原稿に埋め込まれたパスワードが第三者に流出してしまうと、その原稿だけでなく、他の原稿についても不正なコピーが行われる可能性があり、セキュリティ上の問題となる。
【0006】
また、ユーザが任意のパスワードを設定可能とした場合には、既に第三者に流出してしまっているパスワードが、何の規制もなく新たに原稿に埋め込まれる可能性があり、セキュリティ上の問題となる。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、コピー制限を課すためのパスワードとして、原稿ごとにユニークなパスワードを設定できるようにしてセキュリティ性能を向上させた画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する画像形成装置であって、パスワードを記憶する記憶手段と、出力画像に埋め込むためのパスワードを入力する入力手段と、前記入力手段より入力されたパスワードと同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されているか否かを判別し、同一のパスワードが前記記憶手段に記憶されていない場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されている場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止するパスワード設定手段と、前記パスワード設定手段により出力画像へのパスワードの埋め込みが許可された場合、前記入力手段より入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込んで出力する画像形成手段とを備えることを特徴とする構成である。
【0009】
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記記憶手段は、前記パスワード設定手段により出力画像へのパスワードの埋め込みが許可された場合、コピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれたパスワードを記憶することを特徴とする構成である。
【0010】
また請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記画像形成手段は、出力画像にパスワードを埋め込む際、前記記憶手段に記憶されているパスワードを使用禁止パスワードとして、コピー制限解除パスワードとの識別が可能な状態で出力画像に埋め込むことを特徴とする構成である。
【0011】
また請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記憶手段は、コピー制限解除パスワードとして過去に出力画像に埋め込まれたパスワードを累積して記憶することを特徴とする構成である。
【0012】
また請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記憶手段は、前記入力手段より出力画像に埋め込むことを禁止するパスワードが入力された場合にそのパスワードを累積して記憶することを特徴とする構成である。
【0013】
また請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、原稿画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれるか否かを判別し、コピー制限解除パスワードが含まれる場合には当該コピー制限解除パスワードに一致するパスワードの入力があることを条件として、前記画像読取手段が読み取った原稿画像に基づいて複製した出力画像の出力を許可するコピー制限手段とをさらに備えることを特徴とする構成である。
【0014】
また請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記コピー制限手段は、前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれる場合、当該コピー制限解除パスワードを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする構成である。
【0015】
また請求項8にかかる発明は、請求項6又は7に記載の画像形成装置において、前記コピー制限手段は、前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワード以外のパスワードが含まれる場合、当該パスワードを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする構成である。
【0016】
また請求項9にかかる発明は、出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する画像形成方法であって、出力画像に埋め込むためのパスワードを入力するステップと、入力されたパスワードを所定の記憶手段に記憶させるステップと、入力されたパスワードと同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されているか否かを判別し、同一のパスワードが前記記憶手段に記憶されていない場合に、当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されている場合に、当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止するステップと、入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことが許可された場合に、入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込んで出力するステップとを有することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力手段より入力されたパスワードと同一のパスワードが既に記憶手段に記憶されている場合には、その入力されたパスワードがコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれることを禁止することができる。それ故、コピー制限を課すためのパスワードとして、原稿ごとにユニークなパスワードを設定することが可能となり、セキュリティ性能を向上させることができる。また第三者に流出してしまっているパスワードが出力画像に埋め込まれることを防止することも可能となり、この点でもセキュリティ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置の一構成例を示す図である。
【図2】画像形成装置による原稿複製処理(コピー処理)の概念を示す図である。
【図3】画像形成装置における内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】記憶装置におけるパスワード記憶領域の一例を示す図である。
【図5】パスワード付加処理部によるパスワード埋め込み処理の概念を示す図である。
【図6】画像形成装置における主な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】パスワード設定処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】流出パスワードを登録するためのパスワード登録処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】通常コピー処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】操作パネルの表示部に表示される画面例を示す図である。
【図11】操作パネルの表示部に表示される画面例を示す図である。
【図12】操作パネルの表示部に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本実施形態における画像形成装置1の一構成例を示す図である。この画像形成装置1は、例えば複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される装置である。この画像形成装置1は、読み取り対象となる原稿から原稿画像を読み取るスキャナ部2と、スキャナ部2で読み取った原稿画像に基づいて印刷用紙などに画像形成を行って出力するプリンタ部3と、ユーザが画像形成装置1を使用する際のユーザインタフェースとなる操作パネル4とを備えており、少なくとも原稿を読み取って複製原稿を出力するコピー機能を有している。この画像形成装置1は、機密文書などが不正にコピーされてしまうことを防止するため、原稿画像に基づいて印刷用紙などに画像形成を行う際、ユーザによって入力されるパスワードをその出力画像に埋め込んだパスワード付き原稿を出力することができるようになっている。
【0021】
図2は、画像形成装置1による原稿複製処理(コピー処理)の概念を示す図である。まず図2(a)に示すように、画像形成装置1は、機密文書などの重要な原稿G1を読み取り、ユーザが操作パネル4に対して入力するパスワードを、コピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込んだパスワード付き原稿G2を出力する。このようなパスワード付き原稿G2では、出力画像に埋め込まれたパスワードによってコピー制限が課されることになる。
【0022】
ここで、出力画像にパスワードを埋め込む方法としては、例えば電子透かしによる埋め込みや地紋への埋め込みなどの公知の方法を採用することができる。また電子透かしや地紋を利用した方法以外の方法で埋め込んでも良い。ただし、ユーザがパスワード付き原稿G2を見ただけでは、パスワードが埋め込まれていることや、埋め込まれたパスワードの内容を判別することができない態様で埋め込むことが必要である。尚、パスワード付き原稿G2の出力が完了すると、元の原稿G1は細断して破棄しても良い。またパスワード付き原稿G2に対し、コピー制限解除パスワードとして埋め込まれたパスワードは、パスワード付き原稿G2を複製することが許可されたユーザのみに知らされる。
【0023】
次にパスワード付き原稿G2を複製する場合は、図2(b)に示すように、画像形成装置1が、パスワード付き原稿G2を読み取り、原稿G2に埋め込まれたパスワードを抽出する。このときコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれたパスワードが抽出される。そしてユーザが操作パネル4に対し、その抽出したコピー制限解除パスワードに一致するパスワードを入力した場合にのみ、コピー制限が解除され、画像形成装置1においてパスワード付き原稿G2を複製したパスワード付き原稿G3が出力される。これに対し、コピー制限解除パスワードに一致するパスワードが入力されなかった場合は、画像形成装置1においてコピー制限は解除されず、出力処理は行われない。
【0024】
この画像形成装置1は、コピー制限解除パスワードとしてユーザが入力したパスワードを出力画像に埋め込んだ場合、そのパスワードを内部に累積的に記憶していく。つまり、画像形成装置1は、コピー制限解除パスワードとして過去に使用されたパスワードを記憶することができるようになっている。そして原稿G1からパスワード付き原稿G2を出力する際、ユーザによって入力されたパスワードが、過去に使用されたパスワードと同じパスワードである場合、その入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止する。
【0025】
また画像形成装置1は、第三者などに流出してしまったパスワードを登録して内部に記憶するように構成されており、例えば操作パネル4に対してユーザによる流出したパスワードの登録操作が行われると、そのパスワードを記憶する。そして原稿G1からパスワード付き原稿G2を出力する際、ユーザによって入力されたパスワードが、登録された流出パスワードと同じパスワードである場合、その入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止する。
【0026】
また画像形成装置1は、原稿G1からパスワード付き原稿G2を出力する際、ユーザによって入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むと共に、内部に記憶している過去に使用されたパスワードおよび流出したパスワードのそれぞれを使用禁止パスワードとして出力画像に埋め込むように構成される。そして、パスワード付き原稿G2を読み取ってパスワード付き原稿G3を生成する際、パスワード付き原稿G2に対して、コピー制限解除パスワード以外の使用禁止パスワードが埋め込まれていれば、さらにその使用禁止パスワードを内部に記憶する。以下、このような画像形成装置1についてさらに詳しく説明する。
【0027】
図3は、画像形成装置1における内部構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は、上述したスキャナ部2、プリンタ部3および操作パネル4に加え、さらに、入力画像処理部11、画像メモリ12、出力画像処理部13、パスワード抽出処理部14、パスワード付加処理部15、制御部20、および、記憶装置30を備えている。制御部20は、例えばCPUとメモリとによって構成され、CPUが所定のプログラムを実行することによって各部を制御する制御手段として機能するものである。また記憶装置30は、例えば半導体メモリやハードディスク装置などによって構成される不揮発性の記憶手段である。また操作パネル4は、ユーザに対して各種情報を表示する表示部41と、その表示部41の表面に配置されたタッチパネルキーや表示部41の周囲に配置された押しボタンキーなどで構成される入力部42とを備えている。
【0028】
スキャナ部2は、原稿G1又はG2を読み取り、読み取った原稿画像をデジタルデータに変換して出力する。スキャナ部2から出力される原稿画像は、入力画像処理部11とパスワード抽出処理部14とに入力する。入力画像処理部11は、スキャナ部2から出力される原稿画像に対して所定の画像処理を行う処理部であり、例えば色補正や濃度補正などの処理を行う。そして入力画像処理部11は、所定の画像処理を施した原稿画像を画像メモリ12に格納する。
【0029】
パスワード抽出処理部14は、スキャナ部2から出力される原稿画像に電子透かしや地紋などが含まれているか否かを判別し、電子透かしや地紋などが含まれる場合にはそこに埋め込まれたパスワードを抽出する処理部である。パスワード抽出処理部14が原稿画像からパスワードを抽出すると、その抽出したパスワードを全て制御部20に出力する。
【0030】
出力画像処理部13は、画像メモリ12に格納された原稿画像を出力画像として読み出し、その出力画像に対して所定の画像処理を行う処理部である。例えば出力画像の拡大処理や縮小処理などを行うことにより、ユーザによって指定された出力設定に適合する出力画像に変換する。そして出力画像処理部13は、所定の画像処理を施した出力画像をプリンタ部3に出力する。
【0031】
パスワード付加処理部15は、パスワード付き原稿G2を生成する場合に機能する処理部であり、制御部20から入力するパスワードを埋め込み用のデータに変換し、出力画像処理部13から出力される出力画像に対してその埋め込み用のデータを合成することにより、出力画像にパスワードの埋め込みを行う。
【0032】
プリンタ部3は、出力画像に基づいて用紙に画像形成を行う。パスワード付加処理部15によって出力画像にパスワードの埋め込みが行われている場合、プリンタ部3は、パスワード付き原稿G2の出力を行う。
【0033】
制御部20は、上記のような各部の動作を制御する処理部である。より具体的に説明すると、制御部20は、原稿G1を読み取って得られる原稿画像からパスワード付き原稿G2を生成する動作を制御すると共に、パスワード付き原稿G2を読み取った場合にコピー制限を解除してパスワード付き原稿G3を生成する動作を制御する。また制御部20は、操作パネル4の表示部41に対し、ユーザにパスワード入力を促すための画面を表示し、操作パネル4の入力部42からユーザの操作によるパスワードの入力を受け付けるように構成される。また制御部20は、記憶装置30のパスワード記憶領域31にパスワードを記憶させる処理や、パスワード記憶領域31に記憶されているパスワードを読み出す処理を行う。
【0034】
ここで記憶装置30のパスワード記憶領域31について説明する。図4は、パスワード記憶領域31の一例を示す図である。パスワード記憶領域31には、使用済みパスワード記憶領域32と、流出パスワード記憶領域33との2つの領域が設けられている。使用済みパスワード記憶領域32には、過去にコピー制限解除パスワードとして使用されたパスワード61が累積的に記憶される。また流出パスワード記憶領域33には、ユーザによって登録される第三者に流出してしまった流出パスワード62が累積的に記憶される。
【0035】
図3に戻り、制御部20は、パスワード設定部21およびコピー制限部22として機能する。パスワード設定部21は、原稿G1を読み取って得られる原稿画像からパスワード付き原稿G2を生成する動作を制御する処理部である。パスワード設定部21は、後述するようにパスワードコピーモードが選択された場合に機能し、スキャナ部2が原稿G1を読み取って得られる原稿画像を出力画像としてプリンタ部3に出力する際、パスワード付加処理部15に対して出力画像に埋め込むパスワードを出力する。つまり、操作パネル4の入力部42からコピー制限解除用のパスワードを入力すると、パスワード設定部21は、パスワード記憶領域31を参照し、入力部42から入力されたパスワードと一致するパスワードが、使用済みパスワード記憶領域32と流出パスワード記憶領域33のいずれにも記憶されていないことを条件として、その入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可し、パスワード付加処理部15に出力する。
【0036】
このときパスワード設定部21は、使用済みパスワード記憶領域32に記憶されているパスワード61と流出パスワード記憶領域33に記憶されているパスワード62を全て読み出し、使用禁止パスワードとしてパスワード付加処理部15に出力する。
【0037】
パスワード付加処理部15は、出力画像にパスワードを埋め込む際、コピー制限解除パスワードと、使用禁止パスワードとのそれぞれを互いに識別可能な状態で埋め込む。図5は、パスワード付加処理部15によるパスワード埋め込み処理の概念を示す図である。図例では、ユーザにより入力されたコピー制限解除用のパスワードが「HIMITSU」であり、過去に使用されたパスワードが「WORD1」「WORD2」「WORD3」の3つあり、流出パスワードが「RYUSYUTU」である場合を示している。出力画像にはこれら複数のパスワードが埋め込まれるため、パスワード付加処理部15は、これら複数のパスワードがどのようなパスワードであるかを識別可能とするために、例えば過去に使用されたパスワードの始点および終点に対して「<」や「>」などの識別可能な符号を付す。また流出したパスワードの始点および終点には、過去に使用されたパスワードとは異なる識別可能な符号を付す。これにより、パスワード付き原稿G2を読み取った際には、コピー制限解除パスワードと、使用禁止パスワードとを識別することが可能となり、さらには使用禁止パスワードのうちでも過去に使用されたパスワードであるのか、或いは、流出したパスワードであるのかを識別することが可能になる。尚、図5の例では説明を判りやすくするため、パスワードを判読可能な態様で示しているが、実際にパスワードが埋め込まれる際には、上述したように電子透かしや地紋への埋め込みが行われるため、ユーザがパスワードを判読することはできない態様となっている。
【0038】
一方、パスワード設定部21は、操作パネル4の入力部42から入力されたコピー制限解除用のパスワードが記憶装置30のパスワード記憶領域31に既に記憶されているいずれかのパスワードと一致した場合、その入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止し、ユーザに対して別のパスワードを入力することを促す。したがって、原稿G1からパスワード付き原稿G2を作成する際、過去に使用されたパスワードや第三者に流出してしまったパスワードが、コピー制限解除パスワードとして設定されることを防止することが可能となる。
【0039】
次に、コピー制限部22は、スキャナ部2がパスワード付き原稿G2を読み取った場合にコピー制限を解除してパスワード付き原稿G3を生成する動作を制御する処理部である。コピー制限部22は、後述するように通常コピーモードが選択された場合に機能し、スキャナ部2がパスワード付き原稿G2を読み取って得られる原稿画像に基づいてパスワード抽出処理部14がパスワードを抽出した場合、操作パネル4の表示部41にパスワードの入力画面を表示する。そしてユーザが入力部42に対してパスワードを入力した場合、コピー制限部22は、その入力されたパスワードが原稿画像に埋め込まれたコピー制限解除パスワードと一致するか否かを判断し、一致する場合にはパスワード付き原稿G2の複製を許可し、パスワード付き原稿G3の出力動作を制御する。また一致しない場合にはパスワード付き原稿G2の複製を禁止し、パスワード付き原稿G3の出力は行わない。尚、一致しない場合には、画像メモリ12に格納されたパスワード付き原稿G2の原稿画像は破棄される。
【0040】
またコピー制限部22は、パスワード抽出処理部14によって抽出された全てのパスワードを記憶装置30のパスワード記憶領域31に記憶する。このとき、コピー制限解除パスワードは、使用済みパスワード記憶領域32に使用済みのパスワード61として記憶される。またパスワード抽出処理部14によって抽出されたパスワードに使用禁止パスワードが含まれる場合、コピー制限部22は、それらのパスワードが、使用済みのパスワード61であるか、或いは、流出したパスワード62であるかを識別し、その識別結果に基づいて使用済みパスワード記憶領域32又は流出パスワード記憶領域33に記憶する。尚、記憶装置30に既に同じパスワードが記憶されている場合には、このような記憶処理は行う必要がない。
【0041】
このようにパスワード付き原稿G2を読み取った場合には、その原稿画像に埋め込まれているパスワードを全て抽出して記憶装置30に記憶していくことにより、他の画像形成装置で過去に使用されたパスワードや他の画像形成装置で登録された流出パスワードについても、当該画像形成装置1の記憶装置30に記憶していくことが可能となる。そのため、例えば、オフィス環境などにおいて複数の画像形成装置がスタンドアロンで設置されている場合でも、ユーザ自身が複数の画像形成装置のそれぞれに対して過去に使用したパスワードや流出したパスワードを記憶させるための操作を行わずとも、他の画像形成装置で生成されたパスワード付き原稿G2の読み取りを行えばそれに伴って他の画像形成装置において記憶されているパスワードを追加記憶することができる。したがって、本実施形態の画像形成装置1を複数台設置して使用する場合には、それら複数の画像形成装置1において使用禁止パスワードを自動的に整合させていくことができるので、ユーザの操作負担が軽減され、優れた利便性を発揮する。
【0042】
次に図6乃至図9は、画像形成装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図10乃至図12は、操作パネル4の表示部41に表示される画面例を示す図である。以下、これらの図面を参照しつつ、画像形成装置1の動作について説明する。
【0043】
図6に示すように画像形成装置1に電源が投入されると、画像形成装置1において各種の初期化処理が行われる(ステップS1)。この初期化処理が行われると、操作パネル4の表示部41には、図10(a)に示す初期画面41aが表示される。この初期画面41aには、通常コピーモードを選択するための操作キー43と、パスワードコピーモードを選択するための操作キー44と、流出パスワードの登録を選択するための操作キー45とが表示される。通常コピーモードは、スキャナ部2が読み取った原稿画像に基づいてプリンタ部3から複製原稿を出力するモードであり、スキャナ部2がパスワード付き原稿G2を読み取った場合にはコピー制限が課されるようになっている。またパスワードコピーモードは、原稿G1からパスワード付き原稿G2を生成するモードである。したがって、ユーザは、画像形成装置1を使用する際、初期画面41aにおいて操作キー43,44,45のうちのいずれか一つの操作キーを選択して操作する。
【0044】
図6に戻り、画像形成装置1は、初期画面41aを表示している状態でユーザによるモード選択操作が行われたか否かを判断する(ステップS2)。そしてモード選択操作が行われた場合(ステップS2でYES)、パスワードコピーモードが選択されたか否かを判断し(ステップS3)、パスワードコピーモードである場合は(ステップS3でYES)、パスワード設定処理を実行する(ステップS4)。またパスワードコピーモードでない場合は(ステップS3でNO)、次に流出パスワードの登録が選択されたか否かを判断し(ステップS5)、流出パスワードの登録である場合は(ステップS5でYES)、パスワード登録処理を実行する(ステップS6)。また流出パスワードの登録でない場合は(ステップS5でNO)、次に通常コピーモードが選択されたか否かを判断し(ステップS7)、通常コピーモードである場合は(ステップS7でYES)、通常コピー処理を実行する(ステップS8)。そしてステップS4,S6,S8のいずれかによる処理の実行が終了すると、再びステップS2に戻り、以後上述した処理の繰り返しとなる。
【0045】
図7は、パスワード設定処理(ステップS4)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、画像形成装置1は、まず操作パネル4の表示部41にパスワード入力画面を表示する(ステップS101)。図10(b)はこのパスワード入力画面41bを示している。パスワード入力画面41bには、パスワード入力欄46が表示されるので、ユーザは入力部42を操作することにより、パスワード入力欄46に所望のパスワードを入力する。そして入力操作が完了すると、OKキー47を操作する。画像形成装置1は、ユーザによるパスワードの入力操作を受け付ける(ステップS102)。そして記憶装置30のパスワード記憶領域31に記憶されている全てのパスワードを読み出し(ステップS103)、入力されたパスワードと同一のパスワードが既に記憶装置30に記憶されているか否かを判断する(ステップS104)。
【0046】
ここで入力されたパスワードと同一のパスワードが既に記憶装置30に記憶されている場合(ステップS104でYES)、画像形成装置1は、操作パネル4の表示部41に対して警告画面を表示する(ステップS105)。このとき画像形成装置1は、入力されたパスワードが、使用済みパスワード記憶領域32に記憶されているパスワード61と同一であるか、或いは、流出パスワード記憶領域33に記憶されているパスワード62と同一であるかを判断し、その判断結果に応じて異なる警告画面を表示する。
【0047】
図10(c)は、入力されたパスワードが、使用済みパスワード記憶領域32に記憶されているパスワード61と同一である場合に表示される警告画面41cを示している。この警告画面41cでは、ユーザの入力したパスワードが既に使用されていることが表示され、別のパスワードを入力することをユーザに促している。そしてユーザは警告画面41cに表示される戻るキー48を操作することにより、操作パネル4の表示画面は、図10(b)のパスワード入力画面41bに戻る。
【0048】
また図11(a)は、入力されたパスワードが、流出パスワード記憶領域33に記憶されているパスワード62と同一である場合に表示される警告画面41dを示している。この警告画面41dでは、ユーザの入力したパスワードがセキュリティ上問題あることが表示され、別のパスワードを入力することをユーザに促している。そしてユーザは警告画面41dに表示される戻るキー48を操作することにより、操作パネル4の表示画面は、図10(b)のパスワード入力画面41bに戻る。
【0049】
一方、入力されたパスワードと同一のパスワードが既に記憶装置30に記憶されていない場合(ステップS104でNO)、画像形成装置1は、ユーザにより入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして設定する(ステップS106)。次に画像形成装置1は、記憶装置30に記憶されているパスワードを全て読み出し、それらのパスワードを使用禁止パスワードとして設定する(ステップS107)。また画像形成装置1は、ユーザにより入力されたパスワードを、使用済みパスワード記憶領域32に記憶することで新たな使用済みパスワード61として登録する(ステップS108)。
【0050】
そして画像形成装置1は、ユーザによって実行キーが操作され、ジョブの実行開始が指示されるまで待機する状態となる(ステップS109)。ユーザによる実行開始指示が与えられると、画像形成装置1はスキャナ部2を駆動して原稿画像の読み取り動作を開始し(ステップS110)、その原稿画像に基づいて生成される出力画像にパスワードの埋め込み処理を実行する(ステップS111)。このとき画像形成装置1は、ユーザによって入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして埋め込むと共に、記憶装置30から読み出したパスワードを使用禁止パスワードとして埋め込む。また上述したように、コピー制限解除パスワードと使用禁止パスワードとを互いに識別可能なようにして埋め込むと共に、使用禁止パスワードについても使用済みパスワード61と流出パスワード62とを互いに識別可能なようにして埋め込む。そしてパスワードを埋め込んだ出力画像に基づいて出力用紙などへの画像形成を行い(ステップS112)、プリンタ部3より出力させて処理を終了する(ステップS113)。
【0051】
このようなパスワード設定処理(ステップS4)では、既に記憶装置30に記憶されているパスワードと同一のパスワードがユーザによって入力された場合でも、そのようなパスワードはコピー制限解除パスワードとして設定されない。そして、ユーザにより、記憶装置30には記憶されていないユニークなパスワードが入力された場合にのみ、その入力されたパスワードがコピー制限解除パスワードとして設定されるので、コピー制限解除パスワードとして埋め込まれるパスワードが、他の原稿に埋め込まれたパスワードと同じパスワードとなることを防止することができ、セキュリティ機能を向上させることが可能となる。
【0052】
またパスワード設定処理(ステップS4)では、ユーザによって入力されたパスワードがコピー制限解除パスワードとして設定されると、それに伴い、そのパスワードが使用済みパスワードとして記憶装置30に記憶されるので、それ以後、同じパスワードが別の原稿にコピー制限解除パスワードとして設定されることを防止することができる。
【0053】
次に図8は、流出パスワードを登録するためのパスワード登録処理(ステップS6)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、画像形成装置1は、操作パネル4の表示部41に流出パスワードを入力するための画面を表示する(ステップS201)。図11(b)はこのパスワード入力画面41eを示している。パスワード入力画面41eには、流出パスワード入力欄49が表示されるので、ユーザは入力部42を操作することにより、流出パスワード入力欄49に流出したパスワードを入力する。そして入力操作が完了すると、OKキー50を操作する。画像形成装置1は、ユーザによる流出パスワードの入力操作を受け付ける(ステップS202)。そしてユーザによって入力された流出パスワードを記憶装置30の流出パスワード記憶領域33に記憶して処理を終了する(ステップS203)。
【0054】
このようなパスワード登録処理(ステップS6)では、ユーザが自由に流出したパスワードを画像形成装置1に登録しておくことができる。これにより、その登録したパスワードがコピー制限解除パスワードとして使用されることを防止することができる。また、ここで登録されるパスワードは、必ずしも第三者に流出していなくても良い。すなわち、コピー制限解除パスワードとして使用されることが好ましくないパスワードを流出パスワードとして登録しても良い。これにより、過去に使用されたパスワードではないが、例えば社名や部署名などの誰もが容易に思いつくような文字列を流出パスワードとして予め登録しておくことにより、それらの文字列がパスワード付き原稿G2にコピー制限解除パスワードとして埋め込まれることを防止することができる。
【0055】
次に図9は、通常コピー処理(ステップS8)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、画像形成装置1は、ユーザによって実行キーが操作され、ジョブの実行開始が指示されたか否かを判断する(ステップS301)。ジョブの実行開始が指示されると(ステップS301でYES)、画像形成装置1は、スキャナ部2を駆動して原稿画像の読み取り動作を開始し(ステップS302)、スキャナ部2から出力される原稿画像に基づいてパスワード抽出処理を実行する(ステップS303)。そしてパスワードが抽出されたか否かを判断する(ステップS304)。
【0056】
原稿画像からパスワードが抽出された場合(ステップS304でYES)、画像形成装置1は、抽出したパスワードを分類する(ステップS305)。すなわち、原稿画像に埋め込まれている各パスワードが、コピー制限解除パスワード、使用済みパスワードおよび流出パスワードのいずれであるかを符号などの識別情報に基づいて判別し、それらパスワードを分類する。そして分類した各パスワードを記憶装置30のパスワード記憶領域31に記憶する(ステップS306)。このとき、原稿画像から抽出されたコピー制限解除パスワードおよび使用済みパスワードを、使用済みパスワード記憶領域32に記憶する。また原稿画像から抽出された流出パスワードを、流出パスワード記憶領域33に記憶する。
【0057】
そして画像形成装置1は、上述した分類結果に基づき、スキャナ部2が読み取ったパスワード付き原稿G2に設定されているコピー制限解除パスワードを特定し(ステップS307)、操作パネル4の表示部41に、パスワード入力画面を表示する(ステップS308)。
【0058】
図12(a)はこのパスワード入力画面41fを示している。パスワード入力画面41fには、読み取った原稿にはコピー制限用のパスワードが設定されている旨、およびコピーをするためにはパスワードの入力が必要である旨が表示される。また、このパスワード入力画面41fには、パスワード入力欄51が表示されるので、ユーザは入力部42を操作することにより、パスワード入力欄51にコピー制限を解除するためのパスワードを入力する。そして入力操作が完了すると、OKキー52を操作する。
【0059】
画像形成装置1は、ユーザによるパスワードの入力操作を受け付ける(ステップS309)。そしてユーザによって入力されたパスワードが、ステップS307で特定したコピー制限解除パスワードに一致するか否かを判断し(ステップS310)、一致する場合には(ステップS310でYES)、コピー制限を解除する(ステップS311)。このとき、操作パネル4の表示部41には、図12(b)に示すような画面41gが表示される。この画面41gには、パスワードが一致した旨、および、コピーを開始する旨が表示される。そしてユーザがOKキー53を操作することにより、画像メモリ12に格納されている原稿画像が出力画像として出力される。そして画像形成装置1は、その出力画像に基づいて出力用紙などへの画像形成を行い(ステップS312)、プリンタ部3より出力させて処理を終了する(ステップS313)。これにより、パスワード付き原稿G3が出力される。
【0060】
またユーザによって入力されたパスワードが、ステップS307で特定したコピー制限解除パスワードに一致しなかった場合(ステップS310でNO)、画像形成装置1は操作パネル4の表示部41に、図12(c)に示すような警告画面41hを表示する(ステップS314)。この警告画面41hには、パスワードが一致しなかった旨およびコピーができない旨が表示される。そしてユーザがパスワードの再入力を行う場合は、警告画面41hに表示される再入力キー54を操作し、パスワードの再入力を行わない場合は、OKキー55を操作する。
【0061】
画像形成装置1は、警告画面41hにおいてユーザが再入力を選択した否かを判断し(ステップS315)、再入力であれば、ステップS308に戻って再びパスワード入力画面41fを表示する。これに対し、再入力でなければ(ステップS315でNO)、出力処理を行うことなく処理を終了する。
【0062】
一方、スキャナ部2が読み取った原稿画像からパスワードが抽出されなかった場合(ステップS304でNO)、読み取った原稿はパスワード付き原稿ではないことが判明する。そのため、画像形成装置1による処理は、ステップS312に進み、画像メモリ12に格納されている原稿画像を出力画像として出力し、その出力画像に基づいて出力用紙などへの画像形成を行う(ステップS312)。そしてプリンタ部3より複製原稿を出力させて処理を終了する(ステップS313)。
【0063】
このような通常コピー処理(ステップS8)では、スキャナ部2が読み取った原稿画像からパスワードが抽出されると、そのパスワードが記憶装置30に記憶される。そのため、画像形成装置1において、その後、別の原稿に対して同じパスワードがコピー制限解除パスワードとして設定されることを防止することができる。特に、他の画像形成装置で生成されたパスワード付き原稿G2を読み取った場合でも、その原稿G2に含まれる全てのパスワードを記憶装置30に記憶するので、他の画像形成装置が保持する使用禁止パスワードに関する情報を、パスワード付き原稿G2を介して当該画像形成装置1の記憶装置30に記憶させることができる。
【0064】
以上のように本実施形態の画像形成装置1は、出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力することができるようになっており、コピー制限を付与するために入力部42より入力されたパスワードが、既に記憶装置30に記憶されているパスワードと同一か否かを判別し、同一のパスワードでない場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードである場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止する構成である。そのため、既に記憶装置30に記憶されているパスワードと同じパスワードは、コピー制限解除パスワードとして設定することができないようになっている。それ故、コピー制限を課すためのパスワードとして、原稿ごとにユニークなパスワードを設定することが可能となり、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0065】
また、画像形成装置1の記憶装置30には、パスワード設定部21により出力画像へのパスワードの埋め込みが許可された場合、コピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれるパスワードが記憶されるので、その後、その記憶されたパスワードがコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれることを防止することができる。
【0066】
また、画像形成装置1は、出力画像にパスワードを埋め込む際、記憶装置30に記憶されているパスワードを使用禁止パスワードとして、コピー制限解除パスワードとの識別が可能な状態で出力画像に埋め込むので、それによって出力されるパスワード付き原稿G2を読み取った場合には、使用禁止パスワードとコピー制限解除パスワードとを区別して抽出することが可能である。
【0067】
また画像形成装置1の記憶装置30は、コピー制限解除パスワードとして過去に出力画像に埋め込まれたパスワードを累積して記憶するので、過去に使用されたパスワードと同一のパスワードがコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれることを防止することができる。また記憶装置30は、入力部42より出力画像に埋め込むことを禁止する流出パスワードが入力された場合にその流出パスワードを累積して記憶するので、過去に使用されていないパスワードであっても流出パスワードとして記憶しているパスワードと同一のパスワードがコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれることを防止することができる。
【0068】
また画像形成装置1は、スキャナ部2が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれるか否かを判別し、コピー制限解除パスワードが含まれる場合には当該コピー制限解除パスワードに一致するパスワードの入力があることを条件として、スキャナ部2が読み取った原稿画像に基づいて複製した出力画像の出力を許可するので、不正なコピー操作が行われることを抑制することができ、機密情報の漏出などを防止することが可能である。
【0069】
また画像形成装置1は、スキャナ部2が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれる場合、そのコピー制限解除パスワードを記憶装置30に記憶させるので、例えば他の画像形成装置が作成したパスワード付き原稿G2を読み取った場合には、その他の画像形成装置で使用されたパスワードがそれ以後使用されることを防止できるようになる。
【0070】
さらに画像形成装置1は、スキャナ部2が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワード以外のパスワードが含まれる場合にも、そのパスワードを記憶装置30に記憶させるので、例えば他の画像形成装置において使用禁止パスワードとして記憶されているパスワードがそれ以後使用されることを防止できるようになる。
【0071】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明には、上述した実施形態以外にも種々の変形例が適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 スキャナ部(画像読取手段)
3 プリンタ部(画像形成手段)
20 制御部
21 パスワード設定部(パスワード設定手段)
22 コピー制限部(コピー制限手段)
30 記憶装置(記憶手段)
31 パスワード記憶領域
32 使用済みパスワード記憶領域
33 流出パスワード記憶領域
61 使用済みパスワード(使用禁止パスワード)
62 流出パスワード(使用禁止パスワード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する画像形成装置であって、
パスワードを記憶する記憶手段と、
出力画像に埋め込むためのパスワードを入力する入力手段と、
前記入力手段より入力されたパスワードと同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されているか否かを判別し、同一のパスワードが前記記憶手段に記憶されていない場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されている場合には当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止するパスワード設定手段と、
前記パスワード設定手段により出力画像へのパスワードの埋め込みが許可された場合、前記入力手段より入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込んで出力する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記パスワード設定手段により出力画像へのパスワードの埋め込みが許可された場合、コピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込まれたパスワードを記憶することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、出力画像にパスワードを埋め込む際、前記記憶手段に記憶されているパスワードを使用禁止パスワードとして、コピー制限解除パスワードとの識別が可能な状態で出力画像に埋め込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、コピー制限解除パスワードとして過去に出力画像に埋め込まれたパスワードを累積して記憶することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記入力手段より出力画像に埋め込むことを禁止するパスワードが入力された場合にそのパスワードを累積して記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
原稿画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれるか否かを判別し、コピー制限解除パスワードが含まれる場合には当該コピー制限解除パスワードに一致するパスワードの入力があることを条件として、前記画像読取手段が読み取った原稿画像に基づいて複製した出力画像の出力を許可するコピー制限手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コピー制限手段は、前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワードが含まれる場合、当該コピー制限解除パスワードを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コピー制限手段は、前記画像読取手段が読み取った原稿画像にコピー制限解除パスワード以外のパスワードが含まれる場合、当該パスワードを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
出力画像にコピー制限のためのパスワードを埋め込んで出力する画像形成方法であって、
出力画像に埋め込むためのパスワードを入力するステップと、
入力されたパスワードを所定の記憶手段に記憶させるステップと、
入力されたパスワードと同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されているか否かを判別し、同一のパスワードが前記記憶手段に記憶されていない場合に、当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを許可する一方、同一のパスワードが既に前記記憶手段に記憶されている場合に、当該パスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことを禁止するステップと、
入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込むことが許可された場合に、入力されたパスワードをコピー制限解除パスワードとして出力画像に埋め込んで出力するステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−66732(P2011−66732A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216431(P2009−216431)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】