説明

画像形成装置の後処理システムおよび後処理プログラム

【課題】筒状に処理した印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、セキュリティ性を向上させることのできる画像形成装置の後処理システムおよび後処理プログラムを提供する。
【解決手段】印刷データに基づいて所定の画像形成装置(プロッタ200)によって画像形成された所定の印刷媒体(印刷用紙P)について、画像形成された面を内側にして筒状に巻く処理を施す後処理手段(巻紙装置230)と、後処理手段で筒状に巻かれた印刷媒体の表側の終端部に封緘部材(封緘紙500)を貼付する貼付手段(封緘紙貼付装置240)と、封緘部材に付される所定の情報に基づいて、印刷データまたは印刷媒体に関する情報を識別する識別手段(封緘紙印刷情報管理装置213,端末装置300)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の後処理システムおよび後処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から画像形成装置の一種としてのプロッタの後処理装置として、出力した用紙(印刷媒体)を筒状に巻く処理を施して、筒状の用紙がほどけないように封緘紙(封緘部材)等を用いて係止する巻紙装置(べーラ)が存在する。
【0003】
巻紙装置を使用せずに、用紙をシート状で出力した場合には、広幅長尺のプロット出力の場合などには、用紙を取り出すときの扱いを慎重にしないと用紙に皺ができたり、折れたり、破れるなどの不具合が発生し、出力した用紙を傷めてしまう虞があった。
【0004】
巻紙装置によって用紙を筒状にした場合には、筒状のため構造的にも丈夫となって皺や折れ、破れなどが起こり難くなり、取り扱いが容易となるという利点がある。
【0005】
巻紙手段に関連する技術としては、特開平6−80296号公報に開示の「画像形成装置の記録紙処理装置」や、特開2006−103078号公報に開示の「プリンタ排出紙収納装置」などが挙げられる。
【0006】
しかし、従来の巻紙装置では、筒状態で排紙されるため、排紙装置にストックされた用紙が誰によって出力されたものか確認するために、筒状に処理した出力用紙の封緘紙を剥がして、用紙を広げてプロットした結果を確認しなければならないという不都合があった。また、シート状に用紙を広げる際に用紙を傷める虞があり、また、印刷内容を確認する際に第三者に覗き見される危険性もあった。
【特許文献1】特開平6−80296号公報
【特許文献2】特開2006−103078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、筒状に処理した印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、セキュリティ性や利便性を向上させることのできる画像形成装置の後処理システムおよび後処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、印刷データに基づいて所定の画像形成装置によって画像形成された所定の印刷媒体について、画像形成された面を内側にして筒状に巻く処理を施す後処理手段と、該後処理手段で筒状に巻かれた印刷媒体の表側の終端部に封緘部材を貼付する貼付手段と、前記封緘部材に付される所定の情報に基づいて、前記印刷データまたは前記印刷媒体に関する情報を識別する識別手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記所定の情報は、前記封緘部材の表面に予め印刷される識別符号であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記所定の情報は、前記画像形成装置によって前記封緘部材の表面に画像形成される識別符号であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記識別符号は、前記封緘部材毎に一意に決定される乱数または通し番号に基づいた所定の文字列の何れかを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記識別符号は、前記印刷データと関連付けされていることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記識別符号は、バーコードで形成され、前記識別手段は、前記バーコードを読み取るバーコード読取手段を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記識別符号は、前記印刷媒体に付されるRFID(Radio Frequency Identification)に記録され、前記識別手段は、前記RFIDと通信して記録内容を読み取るRFID読取手段を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記識別手段は、前記画像形成された所定の印刷媒体の受領者を識別するIDコード、パスワード、磁気カード、ICカード、生体情報の少なくとも一つの照合手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記封緘部材が貼付された前記印刷媒体について、前記画像形成装置によって前記封緘部材を含む範囲に、当該封緘部材が剥離された場合の形跡を残す封緘印刷を施すことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記画像形成装置は、前記印刷媒体の先端側または後端側の少なくとも一方に所定の長さの余白部またはベタ塗部を形成して前記画像形成を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記所定の長さは、前記後処理手段によって筒状に巻かれた前記印刷媒体の内径円周または外径円周に相当する長さであることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明に係る画像形成装置の後処理システムは、前記画像形成装置は、プロッタであることを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明に係る画像形成装置の後処理プログラムは、印刷データに基づいて所定の画像形成装置によって画像形成された所定の印刷媒体について、画像形成された面を内側にして筒状に巻く処理を施す後処理過程と、該後処理過程で筒状に巻かれた印刷媒体の表側の終端部に封緘部材を貼付する貼付過程と、前記封緘部材に付される所定の情報に基づいて、前記印刷データまたは前記印刷媒体に関する情報を識別する識別過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0022】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、封緘部材に付される所定の情報に基づいて、印刷データまたは印刷媒体に関する情報を識別するので、筒状に処理した印刷媒体を広げることなく、印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、所定の情報は、封緘部材の表面に予め印刷される識別符号であるので、システム構成を複雑化することなく、印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、低コストでセキュリティ性を向上させることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、記所定の情報は、画像形成装置によって封緘部材の表面に画像形成される識別符号であるので、必要に応じて印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、識別符号は、封緘部材毎に一意に決定される乱数または通し番号に基づいた所定の文字列の何れかを含んでいるので、セキュリティ性を一層向上させることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、識別符号は、印刷データと関連付けされているので、印刷データの作成者や秘匿性等に応じて印刷媒体に関する情報を容易に識別させることができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、記識別符号は、バーコードで形成され、識別手段は、前記バーコードを読み取るバーコード読取手段を含んでいるので、印刷媒体に関する情報を一層容易に識別させることができ、利便性とセキュリティ性を向上させることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、前記識別符号は、印刷媒体に付されるRFIDに記録され、識別手段は、RFIDと通信して記録内容を読み取るRFID読取手段を含んでいるので、印刷媒体に関する情報を一層容易に識別させることができ、利便性とセキュリティ性を向上させることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、識別手段は、画像形成された所定の印刷媒体の受領者を識別するIDコード、パスワード、磁気カード、ICカード、生体情報の少なくとも一つの照合手段を備えているので、受領者のなりすまし等の不正行為を抑制することができ、画像形成された印刷媒体を受領する際のセキュリティ性を一層高めることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、封緘部材が剥離された場合の形跡を残す封緘印刷を施しているので、画像形成された印刷媒体を不正に開く行為を抑制することができ、セキュリティ性を一層高めることができる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷媒体の先端側または後端側の少なくとも一方に所定の長さの余白部またはベタ塗部を形成しているので、印刷媒体を巻いた状態において表面あるいは筒状の内側から画像形成の内容を判読される事態を抑制することができ、セキュリティ性を一層高めることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、所定の長さは、後処理手段によって筒状に巻かれた印刷媒体の内径円周または外径円周に相当する長さとしているので、画像形成の内容を判読される事態をより効果的に抑制することができ、セキュリティ性を一層高めることができる。
【0033】
請求項12に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成装置はプロッタであるので、広幅長尺のプロット出力について、印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、利便性やセキュリティ性を向上させることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、封緘部材に付される所定の情報に基づいて、印刷データまたは印刷媒体に関する情報を識別するので、筒状に処理した印刷媒体を広げることなく、印刷媒体に関する情報を容易に識別することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0036】
(第1の実施の形態)
【0037】
図1から図5を参照して、本発明についての第1の実施の形態に係る画像形成装置の後処理システムS1について説明する。
【0038】
図1は、画像形成装置の後処理システムS1の構成を示すブロック図である。
【0039】
図1に示すように、画像形成装置の後処理システムS1は、LANやUSB接続等のネットワークNを介して、画像処理装置の一種としてのプロッタ200と、パーソナルコンピュータ等で構成されるホストコンピュータ100、端末装置300とが接続されて構成されている。
【0040】
なお、本実施の形態では、プロッタ200、ホストコンピュータ100、端末装置300がともに1台ずつ接続されている場合を示しているが、これには限定されずそれぞれ2台以上を接続してもよいし、その他にネットワーク機能を有する画像入力装置(スキャナ等)などを接続してもよい。
【0041】
ホストコンピュータ100は、プロットデータを生成して、プロッタ200へ転送する役割を果たすものである。
【0042】
プロッタ200は、画像イメージ形成装置210と、画像印刷装置220と、後処理手段としての紙巻装置230と、封緘紙(封緘部材)貼付装置240と、ハードディスク等の記憶装置250とから構成されている。
【0043】
画像イメージ形成装置210は、ホストコンピュータ100から転送されたプロットデータに基づいて、画像印刷装置220で描画可能な画像イメージデータを形成する。
【0044】
画像印刷装置220は、画像イメージデータを印刷媒体(例えば印刷用紙)Pへ印刷し、印刷が終了した印刷媒体Pを紙巻装置230へ渡す。
【0045】
紙巻装置230は、印刷媒体Pを巻いて筒状の巻紙600を作成する。
【0046】
封緘紙貼付装置240は、巻紙600の表側の終端部600aに封緘紙500(図2参照)を貼付するとともに、貼付した封緘紙500の印刷情報を封緘紙印刷情報管理装置(識別手段)213へ伝える。
【0047】
ここで、封緘紙500は、特には限定されないが、図2に示すように、テープ状の剥離シート501上にシール状の封緘紙500が剥離可能に所定間隔で添付されたものなどが用いられ、所定のタイミングで剥離シート501から封緘紙500を剥離して、巻紙600の表側の終端部600aに貼付される(図1参照)。
【0048】
また、画像イメージ形成装置210は、入力処理装置211と、画像処理装置212と、封緘紙印刷情報管理装置213と、イメージ出力装置214とから構成されている。
【0049】
入力処理装置211は、外部からプロットデータを受け取り、画像処理装置212へプロットデータを受け渡すと共に、画像処理の開始を指示する。
【0050】
画像処理装置212は、プロットデータに基づいて画像イメージを生成し、プロットデータの処理が全て完了すると、イメージ出力装置214に通知する。
【0051】
封緘紙印刷情報管理装置213は、画像処理装置212から画像イメージの指示情報と、画像イメージを生成したという情報、封緘紙貼付装置240から封緘紙500の印刷情報を受けて、画像イメージの印刷指示情報と共に記録する。
【0052】
また、封緘紙500に印刷されている情報とユーザ情報についての端末装置300からの問い合わせに対して、印刷指示したユーザと問い合わせのユーザが一致しているかを返答する。
【0053】
なお、封緘紙印刷情報管理装置213は、印刷指示したユーザと問い合わせのユーザが一致しているかを返答する代わりに、端末装置300から、ユーザ情報の問い合わせに受けて、封緘紙500に印刷されている印刷情報を返答するように構成しても良いし、封緘紙500に印刷されている情報の問い合わせを受けて、印刷指示者の情報を返答するように構成しても良い。
【0054】
イメージ出力装置214は、画像イメージを、画像印刷装置220へ出力する。
【0055】
端末装置300は、入力されたユーザ情報および封緘紙500に印刷された情報を、封緘紙印刷情報管理装置213に問い合わせ、その結果を表示する役割を果たす。
【0056】
封緘紙500への情報(識別符号)の記録の仕方は、特には限定されないが、例えば封緘紙500毎に一意に決定される乱数または通し番号に基づいた所定の文字列の何れかを予め印刷しておくようにできる。
【0057】
また、情報(識別符号)は、ホストコンピュータ100で作成されるプロットデータ(印刷データ)と関連付けされるようにしてもよい。
【0058】
また、情報(識別符号)をバーコードで形成し、端末装置300にそのバーコードを読み取るバーコード読取手段(バーコードリーダ)を設けるようにしてもよい。
【0059】
さらに、封緘紙500に情報を印刷するのに代えて、情報(識別符号)を記録したRFID(Radio Frequency Identification)を封緘紙500に埋め込むなどして設け、端末装置300にそのRFIDから情報を読み取るRFID読取手段(RFIDリーダ)を設けるようにしてもよい。
【0060】
また、端末装置300または封緘紙印刷情報管理装置213は、巻紙600の受領者を識別するIDコード、パスワード、磁気カード、ICカード、生体情報の少なくとも一つの照合装置(照合手段)を備えるようにしてもよい。
【0061】
次に、図3のフローチャートを参照して、上記構成の画像形成装置の後処理システムS1で実行される印刷処理の処理手順について説明する。
【0062】
ステップS100では、プロットデータを入力してステップS101に移行し、ステップS101で描画処理を行う。
【0063】
ステップS102では、出力指示者情報の取得と記録を行ってステップS103に移行し、印刷媒体としての用紙の巻紙処理を行ってステップS104に移行する。
【0064】
ステップS104では、封緘紙500に記録された情報の取得と記録を行い、ステップS105で封緘紙500を巻紙600の表側の終端部600aに貼付して処理を終了する。
【0065】
次に、図4のフローチャートを参照して、画像形成装置の後処理システムS1で実行される封緘紙情報の照会処理の処理手順について説明する。
【0066】
まず、ステップS200で端末装置300の操作者の認証を行って、ステップS201に移行する。
【0067】
ステップS201では、操作者が正しく認証されたか否かが判定され、「No」の場合にはそのまま処理を終了し、「Yes」の場合にはステップS202に移行する。
【0068】
ステップS202では、封緘紙500に記録されている情報を入力してステップS203に移行する。
【0069】
ステップS203では、端末装置300の操作者と出力指示者とが同一人物か否かが判定され、「No」の場合には端末装置300に「不一致」を表示して処理を終了し、「Yes」の場合には端末装置300に「一致」を表示して処理を終了する。
【0070】
次に、図5のフローチャートを参照して、画像形成装置の後処理システムS1で実行される封緘紙情報の一覧照会処理(複数の封緘紙500についての照会処理)の処理手順について説明する。
【0071】
まず、ステップS300で端末装置300の操作者の認証を行って、ステップS301に移行する。
【0072】
ステップS301では、操作者が正しく認証されたか否かが判定され、「No」の場合にはそのまま処理を終了し、「Yes」の場合にはステップS302に移行する。
【0073】
ステップS302では、封緘紙500に記録されている情報を入力してステップS303に移行する。
【0074】
ステップS303では、封緘紙情報は終わりか否かが判定され、「Yes」の場合には処理を終了し、「No」の場合にはステップS304に移行して出力指示者を検索してステップS305に進む。
【0075】
ステップS305では、端末装置300の操作者と出力指示者とが同一人物か否かが判定され、「No」の場合にはステップS307に移行し、「Yes」の場合にはステップS306に移行する。
【0076】
ステップS306では、端末装置300に封緘紙500に記録されている情報を表示してステップS307に移行する。
【0077】
ステップS307では、次の封緘紙情報を取得してステップS303に戻る。
【0078】
このように、端末装置300の操作者と出力指示者とが同一人物の場合に、封緘紙500に記録されている情報を閲覧することができるのでセキュリティ性を高めることができる。
【0079】
また、閲覧した情報に基づいて、その封緘紙500が貼付された巻紙600(印刷媒体P)が出力指示者のものであるか否かが分かるので、従来のように封緘紙500を剥離して巻紙600の印刷内容を確認する必要がなくなり、利便性やセキュリティ性を一層高めることができると共に、巻紙600自体を開くことによる傷みをなくすことができる。
【0080】
(第2の実施の形態)
【0081】
図6を参照して、本発明についての第2の実施の形態に係る画像形成装置の後処理システムS2について説明する。
【0082】
図6は、画像形成装置の後処理システムS2の構成を示すブロック図である。
【0083】
画像形成装置の後処理システムS2の構成は、前述の画像形成装置の後処理システムS1と殆ど同じであるので、共通部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0084】
両者が異なる点は、画像形成装置の後処理システムS2のプロッタ200が封緘紙印刷装置700を備えている点である。
【0085】
この封緘紙印刷装置700は、封緘紙印刷情報管理装置213からの封緘紙印刷指示を受けて、巻紙装置230で処理された巻紙600について封緘紙貼付装置240によって貼付された封緘紙500の表面に所定の封緘紙情報を印刷する。
【0086】
これにより、第1の実施の形態のように封緘紙500に予め情報を印刷しておく必要がなくなり、また使用状況に応じて所望の封緘紙情報を印刷することができるので、自由度が高まり利便性を向上させることができる。
【0087】
また、封緘紙印刷装置700によって封緘紙500を含む範囲に、その封緘紙500が巻紙600から剥離された場合の形跡を残す封緘マーク(封緘印刷)800を施すようにしてもよい。
【0088】
この場合には、プロット出力した巻紙600の封緘紙500が正規の受領者以外の第三者によって剥がされて印刷内容を見られたような場合に、封緘マークのズレ等による形跡で確認することができる。これにより、第三者による盗み見等の不正行為を抑制することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、巻紙600に貼付された後の封緘紙500に所定の情報を印刷する場合について述べたが、これに限らず、貼付する前の封緘紙500に所定の情報を印刷し、その後に巻紙600に貼付するようにしてもよい。
【0090】
次に、図7から図10を参照して、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る画像形成装置の後処理システムS1、S2に適用可能な巻紙装置230の制御方法について述べる。
【0091】
図7に示すように、巻紙装置230は、例えば半径Rの円周に沿って配置される複数のローラで構成されるローラ群900を備え、搬送ローラ901によって矢印A方向に印刷媒体(用紙)Pを搬送することにより、印刷媒体(用紙)Pをほぼ半径Rの筒状に巻いて巻紙を形成するようになっている。
【0092】
ここで、印刷媒体(用紙)Pの先端側または後端側の少なくとも一方に所定の長さの余白部またはベタ塗部を形成することにより、印刷媒体(用紙)Pを巻いた状態において表面あるいは筒状の内側からプロット内容を判読される事態を抑制することができ、セキュリティ性を一層高めることができる。
【0093】
特には限定されないが、例えば図8に示すように、後端側余白部分(あるいはベタ塗部分)P1aの長さを2πR(巻紙600の外径円周)以上とすることにより、当該後端側余白部分P1aで巻紙600の外周を覆うことができ、表面からプロット内容を判読される事態を抑制することができる。
【0094】
また、図9、図10に示すように、長さLの印刷媒体(プロットされた部分)Pの先端側に長さ2πr(図10に示すように巻紙600の内径円周に相当)の先端側余白部分(あるいはベタ塗部分)以上のP1bと、後端側に長さ2πR(図10に示すように巻紙600の外径円周に相当)以上の後端側余白部分(あるいはベタ塗部分)P1aとを設けるようにしてもよい。
【0095】
これにより、巻紙600の表面側および筒状の内側からプロット内容を判読される事態を抑制することができ、セキュリティ性を一層向上させることができる。
【0096】
余白部分P1a,P2bを付加した場合には、後で、元のサイズ(図9では長さLのサイズ)に容易に切断できるように、本来のプロットサイズを示すマーク(切り取り線等)を印刷しておくようにしてもよい。
【0097】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0098】
例えば、第2の実施の形態において、封緘紙500に印刷する情報として、印刷指示者の氏名やIDなどの印刷指示者を特定する情報を印刷することによって、出力指示を行ったユーザが端末装置300を使用しなくても出力された巻紙を特定できるようにしてもよい。
【0099】
また、第2の実施の形態において、封緘紙500に印刷する情報として、印刷指示者の氏名やIDなどの印刷指示者を特定可能な情報を含まないようにして印刷することで、出力指示を行ったユーザが他人から特定できないようにしてもよい。
【0100】
また、本実施の形態では、後処理装置として巻紙装置230を用いた場合について述べたが、印刷媒体(用紙)の後処理した結果、印刷面が見えなくなったり、見えにくくなったりするような後処理装置(紙折装置など)についても同様に適用可能である。
【0101】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の印刷媒体に格納して提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明による画像形成装置の後処理システムおよび後処理プログラムは、プロッタ、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、インクジェット方式のプリンタ、ファクシミリ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の後処理システムS1の構成を示すブロック図である。
【図2】封緘紙の構成例を示す説明図である。
【図3】印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】封緘紙情報の照合処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】封緘紙情報の一覧照合処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係る画像形成装置の後処理システムS2の構成を示すブロック図である。
【図7】巻紙装置の概要を示す側面図である。
【図8】後端側余白部分を示す説明図である。
【図9】先端側余白部分および後端側余白部分を示す説明図である。
【図10】先端側余白部分および後端側余白部分を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
100 ホストコンピュータ
200 プロッタ(画像形成装置)
210 画像イメージ形成装置
211 入力処理装置
212 画像処理装置
213 封緘紙印刷情報管理装置(識別手段)
214 イメージ出力装置
220 画像印刷装置
230 紙巻装置
230 巻紙装置(後処理手段)
240 貼付装置
240 封緘紙貼付装置(貼付手段)
250 記憶装置
300 端末装置(識別手段)
500 封緘紙(封緘部材)
501 剥離シート
600 巻紙
600a 終端部
700 封緘紙印刷装置
P 印刷媒体(印刷用紙)
P1a 後端側余白部分
P1b 先端側余白部分
900 ローラ群
901 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて所定の画像形成装置によって画像形成された所定の印刷媒体について、画像形成された面を内側にして筒状に巻く処理を施す後処理手段と、
該後処理手段で筒状に巻かれた印刷媒体の表側の終端部に封緘部材を貼付する貼付手段と、
前記封緘部材に付される所定の情報に基づいて、前記印刷データまたは前記印刷媒体に関する情報を識別する識別手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の後処理システム。
【請求項2】
前記所定の情報は、前記封緘部材の表面に予め印刷される識別符号であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項3】
前記所定の情報は、前記画像形成装置によって前記封緘部材の表面に画像形成される識別符号であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項4】
前記識別符号は、前記封緘部材毎に一意に決定される乱数または通し番号に基づいた所定の文字列の何れかを含むことを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項5】
前記識別符号は、前記印刷データと関連付けされていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項6】
前記識別符号は、バーコードで形成され、
前記識別手段は、前記バーコードを読み取るバーコード読取手段を含むことを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項7】
前記識別符号は、前記印刷媒体に付されるRFID(Radio Frequency Identification)に記録され、
前記識別手段は、前記RFIDと通信して記録内容を読み取るRFID読取手段を含むことを特徴とする請求項2から請求項6の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項8】
前記識別手段は、前記画像形成された所定の印刷媒体の受領者を識別するIDコード、パスワード、磁気カード、ICカード、生体情報の少なくとも一つの照合手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項9】
前記封緘部材が貼付された前記印刷媒体について、前記画像形成装置によって前記封緘部材を含む範囲に、当該封緘部材が剥離された場合の形跡を残す封緘印刷を施すことを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記印刷媒体の先端側または後端側の少なくとも一方に所定の長さの余白部またはベタ塗部を形成して前記画像形成を行うことを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項11】
前記所定の長さは、前記後処理手段によって筒状に巻かれた前記印刷媒体の内径円周または外径円周に相当する長さであることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項12】
前記画像形成装置は、プロッタであることを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の画像形成装置の後処理システム。
【請求項13】
印刷データに基づいて所定の画像形成装置によって画像形成された所定の印刷媒体について、画像形成された面を内側にして筒状に巻く処理を施す後処理過程と、
該後処理過程で筒状に巻かれた印刷媒体の表側の終端部に封緘部材を貼付する貼付過程と、
前記封緘部材に付される所定の情報に基づいて、前記印刷データまたは前記印刷媒体に関する情報を識別する識別過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする画像形成装置の後処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−166963(P2009−166963A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7376(P2008−7376)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】