説明

画像形成装置及び利用制限方法

【課題】アプリケーションの利用が制限される際の、ユーザの混乱を防止する。
【解決手段】ユーザ毎及びアプリ毎に権限情報53と制限情報54とをそれぞれ設け、権限情報53に基づきアプリの利用権限があるか否か、次に制限情報54に基づきその利用制限を超えるか否か2段階判断し、第1段階の判断で利用権限がない場合にはアプリ選択画面にそのアプリは表示せず、利用権限があっても第2段階の判断でその利用制限を超える場合には、該アプリ選択画面にそのアプリケーションを表示し且つこれが選択された場合には該制御情報54を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種のアプリケーションを備え、操作パネルの操作に応答してユーザ認証する画像形成装置及び利用制限方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、プリンタ、スキャン、FAX等複数種のアプリケーション(以下、アプリと略す)を備えた画像形成装置において、セキュリティを考慮して、操作パネルの入力及び確定操作に応答してユーザ認証する画像形成装置がある。
【0003】
このユーザ認証が成功した後、例えば下記特許文献1の画像形成装置では、認証されたユーザのアプリ毎の利用権限を参照し、利用権限があるアプリのみを表示し、選択実行可能とする。
【0004】
また、下記特許文献2の画像形成装置では、ユーザ認証成功後、利用者管理制限装置から受信した制限情報に従ってアプリを利用可能か否か判断する。
【特許文献1】特開2003−229986号公報
【特許文献2】特開2007−164621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、利用不可となるアプリが突然表示されなくなるので、ユーザにはなぜ非表示になったのか、或いは、利用不可になったのか把握できず、混乱する。
【0006】
また、上記特許文献2の発明では、同文献の図3に示すように、上記制限情報は、アプリの利用可否を示す権限情報、又は、コピー上限値などアプリの利用制限を示す制限情報のいずれか1つを意味し、いずれか1つの情報にのみ従ってアプリが利用可能か否かを判断するので、ユーザは、利用権限がなくて利用不可となったのか、或いは、利用権限があるのに利用制限により利用不可となったのか把握できず、混乱する。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、アプリケーションの利用が制限される際の、ユーザの混乱を防止することが可能な画像形成装置及び利用制限方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像形成装置の第1態様では、
指示入力手段と、表示出力手段と、複数種のアプリケーションとを備え、該指示入力手段の操作に応答してユーザ認証する画像形成装置において、
アプリケーション毎に、ユーザの権限情報及び制限情報、が格納される記憶手段と、
該認証が成功した場合に、該記憶手段を制御して該権限情報のうち対応するものを参照し、該認証されたユーザが利用権限を有するアプリケーションの選択画面を、該表示出力手段を介して表示させる選択画面表示制御手段と、
該選択画面上で選択されたアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えている場合に、その制限情報に関する情報を、該表示出力手段を介して表示させる情報表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、上記「表示出力手段」は、画像形成装置の操作パネルに表示信号を出力する手段に限られず、ネットワーク上の表示装置に出力する手段も含む。上記「制限情報に関する情報」には、上記記憶手段に格納されている制限情報自体のみならず、その制限情報を加工したものも含まれる。
【0010】
本発明による画像形成装置の第2態様では、
該選択画面表示制御手段は、該権限情報を参照後、アプリケーション毎に、該認証されたユーザがそのアプリケーションの利用権限を有するか否か判断し、肯定判断したときに、該記憶手段を制御して該制限情報のうち対応するものを参照し、その制限情報が示す制限を超えているか否かを判断し、肯定判断したとき、アプリケーション選択釦を配置した該選択画面において、対応するアプリケーションが該制限を超えて利用不可であることを示す情報を、該表示出力手段を介して表示させる、
ことを特徴とする。
【0011】
本発明による画像形成装置の第3態様では、
該記憶手段にはさらに、該複数種のうち少なくとも1つのアプリケーションについて、該ユーザの利用状態が格納され、
該選択画面表示制御手段は、該1つのアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えているか否かを判断する際に、該記憶手段を制御して該利用状態を参照する、
ことを特徴とする。
【0012】
本発明による画像形成装置の第4態様では、
情報表示制御手段はさらに、該記憶手段を制御して、該制限情報に関する情報とともに、該利用状態を、該表示出力手段を介して表示させる、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明による画像形成装置の第5態様では、
該選択画面表示制御手段は、
該利用権限を有するか否かを判断した後、該選択画面の表示リストに、該利用権限があるアプリケーションを登録するアプリ登録手段と、
該制限を超えるか否かを判断した後、肯定判断されたアプリケーションについて、該表示リストに、超えた旨を登録する制限登録手段と、
該表示リストを参照し、これに登録されたアプリケーション毎に、該超えた旨が登録されているか否かを判断し、登録されていない場合にはその登録アプリケーションを選択し利用する選択釦を該選択画面に配置し、登録されている場合にはその登録アプリケーションが制限を超えて利用不可であることを示すアプリケーション選択釦を該選択画面に配置する釦配置手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明による画像形成装置の第6態様では、
指示入力手段と、表示出力手段と、複数種のアプリケーションを格納した記憶手段を備え、該指示入力手段の操作に応答してユーザ認証する画像形成装置が、行う利用制限方法であって、
該画像形成装置が、
アプリケーション毎に、ユーザの権限情報及び制限情報、を該記憶手段に格納させるステップと、
該認証が成功した場合に、該記憶手段を制御して該権限情報のうち対応するものを参照し、該認証されたユーザが利用権限を有するアプリケーションの選択画面を、該表示出力手段を介して表示させるステップと、
該選択画面上で選択されたアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えている場合に、その制限情報に関する情報を、該表示出力手段を介して表示させるステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記第1態様の構成によれば、特に、「該選択画面上で選択されたアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えている場合に、その制限情報に関する情報を、該表示出力手段を介して表示させる情報表示制御手段」を備えるので、この情報表示制御手段によって表示される制限情報に関する情報を一見し(図9参照)、選択したアプリケーションが利用できない理由を即座に把握することができる。理由を把握すればその後の対応も容易となり、ユーザの混乱を防止することできるという効果を奏する。
【0016】
上記に加えてさらに「アプリケーション毎に、ユーザの権限情報及び制限情報、が格納される記憶手段と、該認証が成功した場合に、該記憶手段を制御して該権限情報のうち対応するものを参照し、該認証されたユーザが利用権限を有するアプリケーションの選択画面を、該表示出力手段を介して表示させる選択画面表示制御手段と」を備える。従って、上記特許文献2と発明と異なり別個に設けた権限情報と制限情報とに基づき、制限とは無関係に利用権限がある場合には選択画面にそのアプリケーションは表示し、利用権限があっても制限を超える場合にはその制限情報に関する情報を表示するという、2段階の処理を行うことができる。これにより、ユーザは、利用権限がなくて利用不可となったのか、或いは、利用権限があるのに利用制限により利用不可となったのか、のいずれかを把握することができ、ユーザの混乱を防止することできるという効果を奏する。
【0017】
上記第2態様の構成によれば、「該権限情報を参照後、アプリケーション毎に、該認証されたユーザがそのアプリケーションの利用権限を有するか否か判断し、肯定判断したときに、該記憶手段を制御して該制限情報のうち対応するものを参照し、その制限情報が示す制限を超えているか否かを判断し、肯定判断したとき、アプリケーション選択釦を配置した該選択画面において、対応するアプリケーションが該制限を超えて利用不可であることを示す情報を、該表示出力手段を介して表示させる」ので、アプリケーションが利用できないことを視覚的に把握することができ(図8(b)参照)、もってユーザの混乱を防止することできるという効果を奏する。
【0018】
上記第4態様の構成によれば、「情報表示制御手段はさらに、該記憶手段を制御して、該制限情報に関する情報とともに、該利用状態を、該表示出力手段を介して表示させる」ので、ユーザ自身が、制限情報に関する情報と利用状態とを比較して該制限情報が示す制限を超えていることを判断することができるので、選択したアプリケーションが利用できない理由を即座に把握することができるという効果を奏する。
【0019】
上記第5態様の構成によれば、該選択画面表示制御手段は、「該利用権限を有するか否かを判断した後、該選択画面の表示リストに、該利用権限があるアプリケーションを登録するアプリ登録手段と、該制限を超えるか否かを判断した後、肯定判断されたアプリケーションについて、該表示リストに、超えた旨を登録する制限登録手段と、該表示リストを参照し、これに登録されたアプリケーション毎に、該超えた旨が登録されているか否かを判断し、登録されていない場合にはその登録アプリケーションを選択し利用する選択釦を該選択画面に配置し、登録されている場合にはその登録アプリケーションが制限を超えて利用不可であることを示すアプリケーション選択釦を該選択画面に配置する釦配置手段と」を備えるので、ユーザは、容易にどのアプリケーションが利用できないのかを特定することができるという効果を奏する。また、上記選択画面表示制御手段が行う処理を2つ以上の手段に分担させることができるので、例えば選択画面表示制御手段のプログラムを、表示リストを作成するモジュールと(図3、図4及び図7参照)、それに基づいて釦を配置するモジュールと、に分離することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置(以下、複合機という)のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0022】
複合機10では、MPU11にインタフェース12を介してEEPROM13E1、EEPROM13E2、DRAM13D、HDD14、操作パネル15、スキャナ16S、プリンタ16P、NIC17、ファクシミリモデム18及び圧縮・伸張ASIC19が結合されている。図1では、簡単化のため、複数のインタフェースを1つのブロックで示している。
【0023】
EEPROM13E1及び13E2は、例えばフラッシュメモリである。EEPROM13E1には、BIOS(Basic Input Output System)が格納されている。EEPROM13E2には、オペレーティングシステム(OS)と、OSの上層で動作する各種アプリケーションプログラム(アプリ)と、OSの下層で動作する各種デバイスドライバと、ユーザ認証を行うか否かを決定する設定値を含む各種設定値と、が格納されている。
【0024】
DRAM13Dはワークエリア用であり、HDD14はデータ格納用である。このHDD14には、本発明に係る管理テーブルが格納される。
【0025】
図5は、図1に示すHDD14に格納される管理テーブルの説明図である。このテーブル50には、認証用のユーザID51及びパスワード52、並びに、各種アプリケーション毎の、利用可否を示す権限情報53及びその利用制限を示す制限情報54が、ユーザ毎に登録されている。
【0026】
図1に戻って、スキャナ16Sは、スキャン、コピー及びファックス送信での画像入力に用いられる。プリンタ16Pは、プリントエンジン、定着器並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備え、供給されるビットマップデータに基づいてプリントエンジンの感光ドラムに静電潜像を形成し、これをトナーで現像し、用紙に転写し定着させた後に排紙する。
【0027】
圧縮・伸張ASIC19は、MPU11のコプロセッサとして用いられる。
【0028】
図2は、複合機10の本発明に関係した部分の機能ブロック図である。同図に示すように、複合機10は、制御対象部20と、制御部21と、アプリ実行部22と、アプリ管理部23と、を有する。
【0029】
制御対象部20は、図1に示したHDD14、操作パネル15及びスキャナ16S等、制御部21の制御対象となるハードウェアである。
【0030】
制御部21は、HDD14に格納されているOS及びデバイスドライバなどの制御プログラムと、アプリ実行部22又はアプリ管理部23からOSへの命令の仲介をするAPI(Application Programming Interface)と、これらプログラムを実行するMPU11及びASIC19と、DRAM13Dと、を含んで構成される。この制御部21は、アプリ実行部22又はアプリ管理部23からの制御命令をAPIコマンドを介して受け付け、制御対象部20の各種ハードウェアを制御する。
【0031】
アプリ実行部22は、MPU11と、DRAM13Dと、各種アプリと、を含んで構成され、操作パネル15の実行指示等があったときに、指示されたアプリをHDD14からDRAM13Dに読み込んで、これをMPU11により実行し、随時対応するハードウェアを制御するため、制御部21にAPIコマンドを用いて制御命令を与える。上記各種アプリには、例えば公知の、コピーアプリ30、プリンタアプリ31、スキャンアプリ32、FAXアプリ33、電子メール等のその他アプリ34がある。
【0032】
アプリ管理部23は、本発明に係る、上記アプリの利用を制限するプログラムと、このプログラムを読み込むためのDRAM13Dと、これを実行するMPU11と、を有し、例えば電源が投入されたとき、或いは、省電力モードから復帰したときに制御部21を介して操作パネル15にてユーザ認証を行い、アプリの利用権限及び利用制限の管理を行う。また、利用権限があり且つ利用制限されないアプリをアプリ実行部22に対し、実行指示を与える。
【0033】
次に、アプリ管理部23の動作を説明する。
【0034】
図3及び図4は、アプリ管理部23の動作の詳細フローチャートである。この動作は、例えば電源が投入されたとき、或いは、省電力モードから復帰したときに開始される。以下、括弧内は同図中のステップ識別符号である。
【0035】
(S1)EEPROM13E2を参照して、ユーザ認証を行う設定がされているか否かを判断する。設定がされている場合にはステップS2に進み、設定がされていない場合には図4に示すステップS1bに進む。
【0036】
(S2、S3)図6に示すようなユーザ認証画面100を、制御部21を介して操作パネル15に表示し、この画面100にて、操作パネル15のキー操作により、ユーザ名及びパスワードが入力され、OKボタンが押下されるまで、待機する。
【0037】
(S4)HDD14から管理テーブル50を読み出し、入力情報と同一の情報が管理テーブル内に有るか否か検索する。有る場合には認証が成功したものとして次のステップS5の処理に進み、無い場合には認証が失敗したものとしてステップS2の処理に戻る。
【0038】
(S5)管理テーブル50に登録されているアプリ(以下、管理アプリという)の総数Nを取得する。
【0039】
(S6、S14)以下、ステップS7〜S13までの処理を、テーブル50内の管理アプリの種類を変えてN回繰り返す。
【0040】
(S7)管理テーブル50から認可された利用者の、所定の管理アプリの権限情報53と、制限情報54と、を取得する。
【0041】
(S8)権限情報53に基づき、所定の管理アプリを利用する権限が有るか否かを判断する。利用権限が有る場合には次のステップS9の処理に進み、利用権限が無い場合にはステップS14の処理に進む。
【0042】
(S9)図7に示すような操作パネル15に表示するための、デフォルトの表示リスト110に、所定の管理アプリを登録する。図7は、図5に示すUserC用の管理アプリ等が登録済みの表示リストの説明図である。
【0043】
(S10)所定の管理アプリが制限を超えて利用不可となる否かを、該制限情報54と現在の状況とを比較して判断する。制限を超えた場合はステップS12に進み、超えない場合にはステップS11に進む。
【0044】
上記具体的判断として、例えば、図5に示すUserCのコピーアプリ30の利用制限の場合は、13:00〜17:00まで利用可能と制限登録されているので、現時刻を参照して、現時刻がその時間帯制限を超えているか否かを判断する。また、図5に示すUserBのコピーアプリ30の利用制限の場合は、印刷用紙を1日10枚使用するまでそのアプリ30を利用可能と制限登録されているので、1日毎に印刷用紙の使用状況を予めカウントしておき、これがその枚数制限を超えているか否かを判断する。さらに、図5に示すUserCのスキャンアプリ32の利用制限の場合は、1日3回までそのアプリ32を利用可能と制限登録されているので、1日毎にアプリ32の利用回数を予めカウントしておき、これがその回数制限を超えているか否かを判断する。
【0045】
(S11)表示リスト110に、「利用制限:OFF」を登録し、ステップS14の処理に進む。
【0046】
(S12)表示リスト110に、「利用制限:ON」を登録する。
【0047】
(S13)表示リスト110に、ユーザに利用制限超えにより利用不可となった理由がわかるような制限内容、例えば制限情報54を登録する。
【0048】
(S15)図8(a)に示すようなアプリを選択するボタンが配置されていない状態の、デフォルトのアプリ選択画面200を、制御部21を介して操作パネル15に表示する。
【0049】
(S16)表示リスト110から、これに登録された管理アプリで、まだ読み込んでいないものがあるか否かを判断する。有る場合にはステップS17に進み、無い場合にはステップS20に進む。
【0050】
(S17)表示リスト110に登録された所定の管理アプリの下に、「利用制限ON」が登録されているか否かを判断する。登録されている場合にはステップS18に進み、登録されていない場合にはステップS19に進む。
【0051】
(S18)表示リスト110に登録された所定の管理アプリを選択するための釦で、且つ、例えば図8(b)に示すような反転表示の利用制限用アプリ選択釦201を、制御部21を介して操作パネル15のアプリ選択画面200上に表示する。
【0052】
(S19)例えば図8(b)に示すような通常用アプリ選択釦202を、制御部21を介して操作パネル15のアプリ選択画面200上に表示する。
【0053】
上記ステップS16〜19までを繰り返すことにより、図8(b)に示すようなアプリ選択画面200aが完成する。
【0054】
(S20)アプリ選択画面200aにて、操作パネル15の操作によるアプリの選択を受け付ける。
【0055】
(S21)EEPROM13E2を参照して、ユーザ認証を行う設定がされているか否かを判断する。設定がされている場合にはステップS22に進み、設定がされていない場合にはステップS23に進む。
【0056】
(S22)選択されたアプリの実行指示を、アプリ実行部22に与える。
【0057】
(S23)選択されたアプリに係る、表示リスト内のレコードを参照する。
【0058】
(S24)選択アプリについて、表示リスト110の対応するレコードに「利用制限:ON」が登録されているか否かを判断する。登録されている場合には次のステップS25に進み、登録されていない場合にはステップS22に進む。
【0059】
(S25)図9に示すような、選択アプリが制限を超えて利用不可であること、表示リスト110の対応するレコードに登録されているその制限情報54を含むコメント250と、を記載したコメント画面300を、制御部21を介し、操作パネル15に表示する。
【0060】
本実施例1によれば、アプリ選択画面200a上で選択されたアプリについて、現在の利用状態又は時間等が管理テーブル50内の対応する制限情報54が示す制限を超えている場合に、その制限情報54を含むコメント250を、操作パネル15に表示させる構成なので、これによって表示されるコメント250を一見し(図9参照)、選択したアプリケーションが利用できない理由を即座に把握することができる。理由を把握すればその後の対応も容易となり、ユーザの混乱を防止することできるという効果を奏する。
【0061】
上記に加えてさらに、管理テーブル50に別個に設けた権限情報53と制限情報54とに基づき、利用権限がない場合には選択画面にそのアプリケーションの選択釦は表示せず、利用権限があっても制限を超える場合には、利用不可であること、その理由が把握可能なコメント250を表示するという、2段階の処理(図3及び図4参照)を行う構成なので、ユーザは、利用権限がなくて利用不可となったのか、或いは、利用権限があるのに利用制限により利用不可となったのか、のいずれかを把握することができ、ユーザの混乱を防止することできるという効果を奏する。
【0062】
なお、上述した本発明の実施例1は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなしに、様々な変形が可能である。以下に、その変形の一部を例示する。
【0063】
本実施例1では、本発明に係る権限情報53及び制限情報54は、図5に示すような1つの管理テーブル50にまとめて登録されている場合を説明したが、例えばユーザID51毎に、別々のファイルに登録されていてもよい。また、これら権限情報53及び制限情報54が格納される記憶手段は、HDD14に限定されず、例えばEEPROM13E2又は不図示の専用のメモリ等であってよい。
【0064】
また、図2に示すアプリ管理部23は、制御部21のOSとは別個に備える構成を説明したが、例えば、制御部21のOS内に組み込まれる構成であってもよい。さらに、OSが存在せず、アプリ実行部22がOSの基本機能を含んだ構成であっても本発明は適用可能である。
【0065】
さらにまた、図9に示すようコメント250は、選択されたアプリが利用不可であること、管理テーブル50に登録された制限情報54と、を含む場合を説明したが、その他にも、該制限情報54が示す制限の比較対象である現在の利用状況(回数情報、枚数情報)を含むようにしてもよい。また、管理テーブル50に登録された制限情報54をそのまま含むようにせず、この情報54に基づいた情報、例えば利用不可能な時間帯を含むようしてもよい。
【0066】
また、図6、図8及び図9に示す各画面は、操作パネル15に表示される構成を説明したが、NIC17に結合されたネットワーク上の不図示のコンピュータにある表示装置に表示されるような構成であってもよい。
【0067】
さらに、本発明は複合機10を含む画像形成装置に適用される場合を説明したが、画像形成装置に結合された不図示のコンピュータに適用し、図5に示す管理テーブル50を有し、これに基づき図3及び図4に示す処理を当該コンピュータに格納されるプリンタドライバが行うような構成であってもよい。
【0068】
さらにまた、複合機10は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、或いは、上記した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1に係る複合機のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す複合機の本発明に関係した部分の機能ブロック図である。
【図3】図2に示すアプリ管理部の動作の詳細フローチャートである。
【図4】図2に示すフローチャートの続きである。
【図5】図1に示すHDDに格納される管理テーブルの説明図である。
【図6】図1に示す表示パネルに表示されるユーザ認証画面の説明図である。
【図7】図5に示すUserC用の管理アプリ等が登録済みの表示リストの説明図である。
【図8】(a)図1に示す表示パネルに表示される、デフォルトのアプリ選択画面の説明図である。(b)アプリ選択釦が配置された状態のアプリ選択画面の説明図である。
【図9】図5に示す制限情報を含んだコメントを記載したコメント画面の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
10 複合機
11 MPU
12 インタフェース
13E1 EEPROM
13E2 EEPROM
13D DRAM
14 HDD
15 操作パネル
16S スキャナ
16P プリンタ
17 NIC
18 ファクシミリモデム
19 圧縮・伸張ASIC
20 制御対象部
21 制御部
22 アプリ実行部
23 アプリ管理部
30 コピーアプリ
31 プリンタアプリ
32 スキャンアプリ
33 FAXアプリ
34 その他アプリ
50 管理テーブル
51 ユーザID
52 パスワード
53 権限情報
54 制限情報
100 ユーザ認証画面
110 表示リスト
200、200a アプリ選択画面
201 利用制限用アプリ選択釦
202 通常用アプリ選択釦
250 コメント
300 コメント画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示入力手段と、表示出力手段と、複数種のアプリケーションとを備え、該指示入力手段の操作に応答してユーザ認証する画像形成装置において、
アプリケーション毎に、ユーザの権限情報及び制限情報、が格納される記憶手段と、
該認証が成功した場合に、該記憶手段を制御して該権限情報のうち対応するものを参照し、該認証されたユーザが利用権限を有するアプリケーションの選択画面を、該表示出力手段を介して表示させる選択画面表示制御手段と、
該選択画面上で選択されたアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えている場合に、その制限情報に関する情報を、該表示出力手段を介して表示させる情報表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該選択画面表示制御手段は、該権限情報を参照後、アプリケーション毎に、該認証されたユーザがそのアプリケーションの利用権限を有するか否か判断し、肯定判断したときに、該記憶手段を制御して該制限情報のうち対応するものを参照し、その制限情報が示す制限を超えているか否かを判断し、肯定判断したとき、アプリケーション選択釦を配置した該選択画面において、対応するアプリケーションが該制限を超えて利用不可であることを示す情報を、該表示出力手段を介して表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
該記憶手段にはさらに、該複数種のうち少なくとも1つのアプリケーションについて、該ユーザの利用状態が格納され、
該選択画面表示制御手段は、該1つのアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えているか否かを判断する際に、該記憶手段を制御して該利用状態を参照する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
情報表示制御手段はさらに、該記憶手段を制御して、該制限情報に関する情報とともに、該利用状態を、該表示出力手段を介して表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
該選択画面表示制御手段は、
該利用権限を有するか否かを判断した後、該選択画面の表示リストに、該利用権限があるアプリケーションを登録するアプリ登録手段と、
該制限を超えるか否かを判断した後、肯定判断されたアプリケーションについて、該表示リストに、超えた旨を登録する制限登録手段と、
該表示リストを参照し、これに登録されたアプリケーション毎に、該超えた旨が登録されているか否かを判断し、登録されていない場合にはその登録アプリケーションを選択し利用する選択釦を該選択画面に配置し、登録されている場合にはその登録アプリケーションが制限を超えて利用不可であることを示すアプリケーション選択釦を該選択画面に配置する釦配置手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
指示入力手段と、表示出力手段と、複数種のアプリケーションを格納した記憶手段を備え、該指示入力手段の操作に応答してユーザ認証する画像形成装置が、行う利用制限方法であって、
該画像形成装置が、
アプリケーション毎に、ユーザの権限情報及び制限情報、を該記憶手段に格納させるステップと、
該認証が成功した場合に、該記憶手段を制御して該権限情報のうち対応するものを参照し、該認証されたユーザが利用権限を有するアプリケーションの選択画面を、該表示出力手段を介して表示させるステップと、
該選択画面上で選択されたアプリケーションについて、該制限情報のうち対応するものが示す制限を超えている場合に、その制限情報に関する情報を、該表示出力手段を介して表示させるステップと、
を有することを特徴とする利用制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−232219(P2009−232219A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75979(P2008−75979)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】