画像形成装置及び画像形成システム
【課題】画像形成システムに於いて、不特定の利用者が設定した補正転写情報によって、他の利用者が影響を受けるという弊害を除去する。
【解決手段】標準転写情報記憶部8は、転写手段14の標準となる転写条件として予め定められている標準転写情報を記憶し、転写条件設定部12は、標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく情報処理装置2から印刷ジョブに含まれてくる補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する。
【解決手段】標準転写情報記憶部8は、転写手段14の標準となる転写条件として予め定められている標準転写情報を記憶し、転写条件設定部12は、標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく情報処理装置2から印刷ジョブに含まれてくる補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トナー像の転写条件を補正する画像形成装置、及び該画像形成装置を含む画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等、通常の画像形成装置における印刷工程では、最初に像担持体表面が一様に帯電される。この帯電された像担持体表面に、露光によって、所定の静電潜像が形成される。静電潜像は、トナーによって現像され、像担持体表面にトナー像が形成される。このトナー像は、定電圧制御や定電流制御に基づき、転写手段によって記録媒体上に転写される。転写特性は、周囲環境の温湿度変化や記録媒体の種類等によって大きな影響を受ける。この影響を出来る限り少なくするために、転写手段に一定の検出電流を流し、検出電流と発生電圧との関係より算出される転写手段の抵抗に基づき転写条件を設定し、その転写条件によって転写する転写制御方法(例えば特許文献1参照)や、温度センサからのデータに基づいて転写条件を設定し、その転写条件によって転写する転写制御方法(例えば特許文献2参照)等が公開されている。
【0003】
上記、2つの制御方法によっても、必ずしも利用者の望む最良の印刷結果が得られるとは限らない。
この制御方法によれば、利用者の望む最良の印刷結果に近づくことは出来るが、以下のような不都合が発生する。画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生する。
【特許文献1】特開2001−83751号公報
【特許文献2】特開平11−305565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、上記(1)画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像形成装置の外部より転写条件の変更指示を受け入れ、この指示を印刷の単位であるジョブと対応させたことを最も大きな特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、利用者の仕様に基づく補正転写情報を入力すると、情報処理装置は、この補正転写情報を印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、上記(1)画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生するという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
情報処理装置に、所定の標準転写情報を補正すべく画像形成装置へ送出される補正転写情報を入力する入力手段を備え、画像形成装置内に、補正転写情報を受け入れると、この補正転写情報で予め所定の記憶部に格納されている標準転写情報を補正する転写条件設定部を備え、この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明による画像形成システムのブロック図である。
図に示すように本発明による画像形成システム1は、情報処理装置2と、シリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)によって接続される画像形成装置3とを備える。
各装置の詳細なる構成について説明する前に、画像形成装置3の機構部分の概要について説明する。一例として電子写真プロセス部を例に挙げて、その主要な構成部分と動作とを合わせて説明する。
【0009】
図2は、電子写真プロセス部の主要部横断面図である。
図に示すように、電子写真プロセス部100は、感光ドラム101と、帯電ローラ102と、LEDアレイヘッド103と、現像器104と、転写ローラ105と、定着器106と、クリーニングローラ107と、搬送ベルト108とを有する。
【0010】
帯電ローラ102によって、図の矢印の方向に回転する感光ドラム101の表面が一様に帯電される。感光ドラム101が回転し、帯電された部分がLEDアレイヘッド103の位置に達すると、LEDアレイヘッド103によってビットマップデータに対応する光線が照射され、感光ドラム101の表面に静電潜像が形成される。
【0011】
感光ドラム101が回転し、静電潜像が現像器104の位置に達すると、供給ローラ104bにより現像ローラ104aの表面に供給されたトナーによって、静電潜像が現像される。このトナー像は、転写ローラ105によって周回している搬送ベルト108上の記録媒体上に転写される。本発明は、この部分に特に関係する。
【0012】
この転写されたトナー像は、ヒートローラ106aの熱とバックアップローラ106bの圧力とによって、記録媒体上に熱定着される。一方、感光ドラム101の上に残っている残存トナーは、クリーニングローラ107によって除去される。以上で電子写真プロセス部の概要説明を終了したので図1に戻って本発明による画像構成システムの構成について説明する。説明の都合上、上位装置である情報処理装置2よりも先に画像形成装置3について説明する。
【0013】
画像形成装置3は、通信部5と、標準転写情報記憶部8と、限界転写情報記憶部9と、補正転写情報記憶部10と、転写部11と、像担持体21とを備える。通信部5は、画像形成装置3と、情報処理装置2とを接続しているシリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)とのインタフェースの役割を果たす部分である。
【0014】
標準転写情報記憶部8は、記録媒体特性毎の標準転写情報が設定テーブルとして予め格納されているメモリである。標準転写情報の一例(定電圧制御の場合)について以下に説明する。
図3は、実施例1の標準転写情報の設定テーブルである。
図に示すように、標準転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に設定テーブルが格納されている。横軸に転写手段の抵抗値が表され、縦軸には、転写手段の抵抗値に対応する転写電圧が表されている。
【0015】
限界転写情報記憶部9は、標準転写情報に対する補正許容範囲が収納されている。転写電圧をあまり低くすると画像のかすれ等の転写不足現象が発生し、転写電圧をあまり高くするとチリや像担持体21への転写ショックなどの過転写現象が発生するからである。そこで、これらの不都合を除去するために、限界転写情報記憶部9には転写不足領域との閾値である下限転写情報と、過転写領域との閾値である上限転写情報とが格納されている。
【0016】
図4は、実施例1の限界転写情報の概念図である。
図に示すように、限界転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に標準標準転写情報を中心にして、下限転写情報と上限転写情報とが追加されている。この下限転写情報と上限転写情報の間が良好転写領域となる。
【0017】
補正転写情報記憶部10は、情報処理装置2から送られてくる、利用者が標準転写情報を自己の仕様によって補正する補正転写情報を記憶するメモリである。この補正転写情報は、上記限界転写情報(図4)の下限転写情報と上限転写情報の間と定められている。即ち、利用者が下限転写情報と上限転写情報の間を越える補正を希望しても許容されないことになる。
【0018】
転写部11は、トナー像を像担持体21から記録媒体22へ転写する部分であり、転写条件設定部12と、転写制御部13と、転写手段14と、検出部15とを備える。転写条件設定部12は、標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく情報処理装置2から印刷ジョブに含まれてくる補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する部分である。即ち、標準転写情報と補正転写情報とから、転写条件を上記限界転写情報(図4)の下限転写情報と上限転写情報の間の値に決定する部分である。
【0019】
転写制御部13は、転写の制御方法を選択する部分であり、その内部に定電圧制御手段16と、定電流制御手段17と、制御切換手段18とを有している。定電圧制御手段16は、定電圧制御方法によって転写制御を実行する手段であり、定電流制御手段17は、定電流制御方法によって転写制御を実行する制御手段である。又、制御切換手段18は、転写の制御手段を定電圧制御手段16又は、定電流制御手段17の何れか一方に切り換える部分である。
【0020】
検出部15は、転写手段14へ印加される電圧値、及び転写手段14へ流される電流値を検出するセンサである。転写手段14は、強電界を印加して像担持体21上のトナー像を記録媒体22上に転写する転写ローラ105(図2)である。像担持体21は、情報処理装置2から受け入れたビットマップデータに基づいて、ドラムの表面に静電潜像が形成され、その上にトナーによってトナー像が形成される部分、即ち、感光ドラム101(図2)である。以上で画像形成装置3の説明を終了し、次に情報処理装置2の説明を行う。
【0021】
情報処理装置2は、利用者が要求する画像情報を入力すると、その内部で所定の印刷ジョブを生成して画像形成装置3に向けて送出する装置であり、請求項中の外部装置に該当する装置である。その内部には通信部4と、ドライバ6と、入力手段7とを備えている。
【0022】
通信部4は、情報処理装置2と、画像形成装置3とを接続しているシリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)とのインタフェースの役割を果たす部分である。ドライバ6は、利用者によって入力された画像情報を印刷ジョブに変換して通信部4へ送出する部分である。
【0023】
入力手段7は、利用者が要求する画像情報を入力するための情報処理装置2と利用者とのインタフェースの役割を果たす部分である。特に本発明では、後記標準転写情報記憶部8に記憶されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報を選択する選択情報と、この特定の標準転写情報を利用者が自己の仕様によって補正する補正転写情報を入力する手段でもある。以上で本発明による画像形成システムの構成についての説明を終了したので、次に実施例1の画像形成システムの動作について説明する。
【0024】
図5は、実施例1の動作のフローチャートである。
図6は、実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その1)である。
図7は、実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その2)である。
図5のステップS1−1からステップS1−16に従って、ステップ順に実施例1の画像形成システムの動作について説明する。
【0025】
ステップS1−1
まず、最初に利用者は、入力手段7(図1)から、補正が必要な記録媒体の標準転写情報を確定するために、記録媒体特性を入力することが求められる。このとき入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図6(a)に示すプロパティが表示される。利用者は、このプロパティによって媒体のサイズ(普通紙、幅狭紙)、媒体の厚さ(普通紙、薄い紙、厚い紙)、媒体の種類(普通紙、ハガキ、封筒、OHP)を選択する。即ち、選択情報が入力される。
【0026】
ステップS1−2
標準転写情報が確定され、続いて、入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図6(b)に示すプロパティが表示される。この標準転写情報に対して現在設定されている補正転写情報が(b)図の現在の補正値の欄に表示される。
ステップS1−3
利用者は、このプロパティに従って、補正転写情報を入力する。標準転写情報に対してどの程度補正を求めるかについて数値を入力する。入力方法として、所望の補正転写情報を入力欄へ直接入力する方法と、画面上の上下ボタンを押下することによって入力欄の補正転写情報を増減させ、所望の補正転写情報に合わせる方法がある。
【0027】
ステップS1−4
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、利用者が自己の仕様によって標準転写情報を補正する補正転写情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとなって情報処理装置2(図1)から通信部4、通信部5を介して画像形成装置3(図1)へ送られる。画像形成装置内部では、選択情報によって、標準転写情報記憶部8に格納されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報が選択される。また補正転写情報が補正転写情報記憶部10(図1)に格納される。転写情報設定部12(図1)は、選定された標準転写情報に補正転写情報を加算する。同時に、選定された標準転写情報に該当する限界転写情報を限界転写情報記憶部9(図1)から読み出す。
【0028】
ステップS1−5
転写条件設定部12は、標準転写情報に補正転写情報を加算した値と、限界転写情報の下限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の下限よりも大きい場合にはステップS1−6へ進み、小さい場合にはステップS1−8へ進む。
ステップS1−6
転写条件設定部12は、上記加算した値と、限界転写情報の上限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS1−7へ進み、大きい場合にはステップS1−9へ進む。
【0029】
ステップS1−7
転写条件設定部12は、転写条件を、標準転写情報+補正転写情報に設定する。
ステップS1−8
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定する。
ステップS1−9
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定する。
【0030】
ステップS1−10
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
ステップS1−11
印刷が開始されると、検出部15は、転写電圧と転写電流の実測を開始する。転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の下限とを比較し、実測値が限界転写情報の下限のよりも大きい場合にはステップS1−12へ進み、小さい場合にはステップS1−14へ進む。
【0031】
ステップS1−12
転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の上限とを比較し、実測値が、限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS1−13へ進み、大きい場合にはステップS1−15へ進む。
【0032】
ステップS1−13
転写条件設定部12は、転写情報=標準転写情報+補正転写情報なので転写条件を変更しない。
ステップS1−14
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定変更する。
ステップS1−15
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定変更する。
【0033】
ステップS1−16
印刷データ全ての印刷が終了するまでステップS1−11〜S1−16を繰り返し、印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0034】
以上説明したように、利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、自己の仕様に基づく補正転写情報を入力すると、情報処理装置は、この補正転写情報を印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、不特定の利用者が設定した補正転写情報によって、他の利用者が影響を受けるという弊害が除去される。
又、変更の必要が無くなった場合には、変更無しの状態に戻す必要が生じ、それを怠ると、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することと、記録媒体毎に変更出来ない場合には、記録媒体を設定する毎に、上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更する必要が生じ、それを怠ると、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することが無くなるという効果を得る。
【0035】
尚、以上の説明では入力手段のプロパティを図6に限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、図7に示すプロパティを用いて上記ステップS1−2とステップS1−3とを一緒にして、選択情報と、補正転写情報とを同一ステップ内で実行するようにしても良い。
【実施例2】
【0036】
上記実施例1では、周辺環境(温度、湿度)に関わらず、入力手段7(図1)から入力された補正転写情報に基づき、転写条件を設定した。しかし、最適な転写条件は、周辺環境によって異なる場合がある。そこで、実施例2では、特定の周辺環境に対して、補正転写情報を入力することにより、特定の周辺環境に対する補正を可能にする。
【0037】
以下に実施例1との相違点のみについて説明する。
図8は、実施例2の標準転写情報の設定テーブルである。
図に示すように、実施例2の標準転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に設定テーブルが格納されている。横軸に転写手段の抵抗値が表され、縦軸には、転写手段の抵抗値に対応する転写電圧が表されている。更に、設定テーブルは抵抗値に対して、低抵抗(高温多湿)、中抵抗(常温常湿)、高抵抗(低温低湿)の3領域に分かれている。
【0038】
図9は、実施例2の限界転写情報の概念図である。
図に示すように、実施例2の限界転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に標準転写情報を中心にして、下限転写情報と上限転写情報とが追加されている。この下限転写情報と上限転写情報の間が良好転写領域となる。更に、これらの情報が、高温多湿、常温常湿、低温低湿の3つの領域に分かれている。
【0039】
図10は、実施例2の入力手段のプロパティ説明図である。
図10に示すように、実施例2の入力手段のプロパティは、実施例1の入力手段のプロパティ(図6)に周辺環境の選択が追加されている。実施例2では、特定の周辺環境に対して、実施例1と同様の効果が得られる。
他の構成部分は、全て実施例1と同様なので説明を省略し、次に実施例2の動作について説明する。
【0040】
図11は、実施例2の動作のフローチャートである。
ステップS2−1
まず、最初に利用者は、入力手段7(図1)から、補正が必要な記録媒体の標準転写情報を確定するために、記録媒体特性を入力することが求められる。このとき入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図10(a)に示すプロパティが表示される。利用者は、このプロパティによって媒体のサイズ(普通紙、幅狭紙)、媒体の厚さ(普通紙、薄い紙、厚い紙)、媒体の種類(普通紙、ハガキ、封筒、OHP)等の媒体情報と、周辺環境情報(低温低湿、常温常質、高温多湿)を選択する。即ち、選択情報、及び周辺環境情報が入力される。
【0041】
ステップS2−2
標準転写情報が確定されると、続いて、入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図9(b)に示すプロパティが表示される。この標準転写情報に対して現在設定されている補正転写情報が(b)図の現在の補正値の欄に表示される。
ステップS2−3
利用者は、このプロパティに従って、補正転写情報を入力する。標準転写情報に対してどの程度補正を求めるかについて数値を入力する。入力方法として、所望の補正転写情報を入力欄へ直接入力する方法と、画面上の上下ボタンを押下することによって入力欄の補正転写情報を増減させ、所望の補正転写情報に合わせる方法がある。
【0042】
ステップS2−4
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、周辺環境情報と、利用者が自己の仕様によって標準転写情報を補正する補正転写情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとなって情報処理装置から2(図1)から通信部4、通信部5を介して画像形成装置3(図1)へ送られる。画像形成装置内部では、周辺の温度や湿度がセンサ(図示していない)によって検出され、検出結果が転写条件設定部12へ送られる。転写条件設定部12は、この検出結果から現在の周辺環境が、高温多湿、常温常湿、低温低湿のどの領域に該当するかを判断する。
【0043】
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、特定の周辺環境を指定する入力環境情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとして、画像形成装置3(図1)に送られる。画像形成装置内部では、選択情報と入力環境情報によって、標準転写情報記憶部8に格納されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報が選択される。また、補正転写情報が補正転写情報記憶部10(図1)に格納される。
【0044】
ステップS2−5
転写条件設定部12は、ステップS2−1で入力した周辺環境とステップS2−4で検出した周辺環境が一致するかどうか判断する。一致するならばステップS2−6へ進み、一致しないならばステップS2−9へ進む。
【0045】
先に、一致しない場合のフローについて説明する。
ステップS2−6
補正転写情報が無いため、転写情報の補正を行わず、転写条件設定部12は、転写条件を標準転写情報に設定する。
ステップS2−7
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
ステップS2−8
印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0046】
次に、一致した場合のフローについて説明する。
ステップS2−9
転写情報設定部12(図1)は、選定された標準転写情報に補正転写情報を加算する。同時に、選定された標準転写情報に該当する限界転写情報を読み出す。
【0047】
ステップS2−10
転写条件設定部12は、標準転写情報に補正転写情報を加算した値と、限界転写情報の下限とを比較し、該加算した値が限界転写情報13の下限よりも大きい場合にはステップS2−11へ進み、小さい場合にはステップS2−13へ進む。
ステップS2−11
転写条件設定部12は、上記加算した値と、限界転写情報の上限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS2−12へ進み、大きい場合にはステップS2−14へ進む。
【0048】
ステップS2−12
転写条件設定部12は、転写条件を、標準転写情報+補正転写情報に設定する。
ステップS2−13
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定する。
ステップS2−14
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定する。
【0049】
ステップS2−15
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
【0050】
ステップS2−16
印刷が開始されると、検出部15は、転写電圧と転写電流の実測を開始する。転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の下限とを比較し、実測値が限界転写情報の下限よりも大きい場合にはステップS2−17へ進み、小さい場合にはステップS2−19へ進む。
ステップS1−17
転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の上限とを比較し、実測値が、限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS2−18へ進み、大きい場合にはステップS2−20へ進む。
【0051】
ステップS2−18
転写条件設定部12は、転写情報=標準転写情報+補正転写情報なので転写条件を変更しない。
ステップS2−19
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定変更する。
ステップS2−20
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定変更する。
【0052】
ステップS2−21
印刷データ全ての印刷が終了するまでステップS2−12〜S2−17を繰り返し、印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0053】
以上説明したように、利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、自己の仕様に基づく補正転写情報を入力し、更に特定の周辺環境に対して補正を求めると、情報処理装置は、この補正転写情報と周辺環境情報とを印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、不特定の利用者が設定した補正転写情報によって、他の利用者が影響を受けるという弊害が除去される。更に、その補正転写情報には周辺環境が考慮されることになる。
【0054】
尚、周辺環境情報の検出は、画像形成装置内部に備えるセンサ(図示していない)によるものとしたが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、定電流制御手段17(図1)によって、一定の検出電流を転写手段14(図1)に流した場合の発生電圧を電圧検出手段19(図1)によって検出し、検出電流と発生電圧との関係から算出される転写手段14の抵抗値から検出しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上の説明では、本発明が適用される画像形成装置として電子写真プリンタに限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、複写機やファクシミリ装置であっても同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による画像形成システムのブロック図である。
【図2】電子写真プロセス部の主要部横断面図である。
【図3】実施例1の標準転写情報の設定テーブルである。
【図4】実施例1の限界転写情報の概念図である。
【図5】実施例1の動作のフローチャートである。
【図6】実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その1)である。
【図7】実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その2)である。
【図8】実施例2の標準転写情報の設定テーブルである。
【図9】実施例2の限界転写情報の概念図である。
【図10】実施例2の入力手段のプロパティ説明図である。
【図11】実施例2の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成システム
2 情報処理装置
3 画像形成装置
4 通信部
5 通信部
6 ドライバ
7 入力手段
8 標準転写情報記憶部
9 限界転写情報記憶部
10 補正転写情報記憶部
11 転写部
12 転写条件設定部
13 転写制御部
14 転写手段
15 検出部
16 定電圧制御手段
17 定電流制御手段
18 制御切換手段
19 電圧検出手段
20 電流検出手段
21 像担持体
22 記録媒体
【技術分野】
【0001】
トナー像の転写条件を補正する画像形成装置、及び該画像形成装置を含む画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等、通常の画像形成装置における印刷工程では、最初に像担持体表面が一様に帯電される。この帯電された像担持体表面に、露光によって、所定の静電潜像が形成される。静電潜像は、トナーによって現像され、像担持体表面にトナー像が形成される。このトナー像は、定電圧制御や定電流制御に基づき、転写手段によって記録媒体上に転写される。転写特性は、周囲環境の温湿度変化や記録媒体の種類等によって大きな影響を受ける。この影響を出来る限り少なくするために、転写手段に一定の検出電流を流し、検出電流と発生電圧との関係より算出される転写手段の抵抗に基づき転写条件を設定し、その転写条件によって転写する転写制御方法(例えば特許文献1参照)や、温度センサからのデータに基づいて転写条件を設定し、その転写条件によって転写する転写制御方法(例えば特許文献2参照)等が公開されている。
【0003】
上記、2つの制御方法によっても、必ずしも利用者の望む最良の印刷結果が得られるとは限らない。
この制御方法によれば、利用者の望む最良の印刷結果に近づくことは出来るが、以下のような不都合が発生する。画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生する。
【特許文献1】特開2001−83751号公報
【特許文献2】特開平11−305565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、上記(1)画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像形成装置の外部より転写条件の変更指示を受け入れ、この指示を印刷の単位であるジョブと対応させたことを最も大きな特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、利用者の仕様に基づく補正転写情報を入力すると、情報処理装置は、この補正転写情報を印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、上記(1)画像形成装置が、ネットワークに接続され、多数の利用者によって共用されている場合に、特定の利用者が上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更した場合に、他の利用者が望まない変更になってしまい、他の利用者にとっては、想定していない印刷結果が得られる場合が発生するという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
情報処理装置に、所定の標準転写情報を補正すべく画像形成装置へ送出される補正転写情報を入力する入力手段を備え、画像形成装置内に、補正転写情報を受け入れると、この補正転写情報で予め所定の記憶部に格納されている標準転写情報を補正する転写条件設定部を備え、この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明による画像形成システムのブロック図である。
図に示すように本発明による画像形成システム1は、情報処理装置2と、シリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)によって接続される画像形成装置3とを備える。
各装置の詳細なる構成について説明する前に、画像形成装置3の機構部分の概要について説明する。一例として電子写真プロセス部を例に挙げて、その主要な構成部分と動作とを合わせて説明する。
【0009】
図2は、電子写真プロセス部の主要部横断面図である。
図に示すように、電子写真プロセス部100は、感光ドラム101と、帯電ローラ102と、LEDアレイヘッド103と、現像器104と、転写ローラ105と、定着器106と、クリーニングローラ107と、搬送ベルト108とを有する。
【0010】
帯電ローラ102によって、図の矢印の方向に回転する感光ドラム101の表面が一様に帯電される。感光ドラム101が回転し、帯電された部分がLEDアレイヘッド103の位置に達すると、LEDアレイヘッド103によってビットマップデータに対応する光線が照射され、感光ドラム101の表面に静電潜像が形成される。
【0011】
感光ドラム101が回転し、静電潜像が現像器104の位置に達すると、供給ローラ104bにより現像ローラ104aの表面に供給されたトナーによって、静電潜像が現像される。このトナー像は、転写ローラ105によって周回している搬送ベルト108上の記録媒体上に転写される。本発明は、この部分に特に関係する。
【0012】
この転写されたトナー像は、ヒートローラ106aの熱とバックアップローラ106bの圧力とによって、記録媒体上に熱定着される。一方、感光ドラム101の上に残っている残存トナーは、クリーニングローラ107によって除去される。以上で電子写真プロセス部の概要説明を終了したので図1に戻って本発明による画像構成システムの構成について説明する。説明の都合上、上位装置である情報処理装置2よりも先に画像形成装置3について説明する。
【0013】
画像形成装置3は、通信部5と、標準転写情報記憶部8と、限界転写情報記憶部9と、補正転写情報記憶部10と、転写部11と、像担持体21とを備える。通信部5は、画像形成装置3と、情報処理装置2とを接続しているシリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)とのインタフェースの役割を果たす部分である。
【0014】
標準転写情報記憶部8は、記録媒体特性毎の標準転写情報が設定テーブルとして予め格納されているメモリである。標準転写情報の一例(定電圧制御の場合)について以下に説明する。
図3は、実施例1の標準転写情報の設定テーブルである。
図に示すように、標準転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に設定テーブルが格納されている。横軸に転写手段の抵抗値が表され、縦軸には、転写手段の抵抗値に対応する転写電圧が表されている。
【0015】
限界転写情報記憶部9は、標準転写情報に対する補正許容範囲が収納されている。転写電圧をあまり低くすると画像のかすれ等の転写不足現象が発生し、転写電圧をあまり高くするとチリや像担持体21への転写ショックなどの過転写現象が発生するからである。そこで、これらの不都合を除去するために、限界転写情報記憶部9には転写不足領域との閾値である下限転写情報と、過転写領域との閾値である上限転写情報とが格納されている。
【0016】
図4は、実施例1の限界転写情報の概念図である。
図に示すように、限界転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に標準標準転写情報を中心にして、下限転写情報と上限転写情報とが追加されている。この下限転写情報と上限転写情報の間が良好転写領域となる。
【0017】
補正転写情報記憶部10は、情報処理装置2から送られてくる、利用者が標準転写情報を自己の仕様によって補正する補正転写情報を記憶するメモリである。この補正転写情報は、上記限界転写情報(図4)の下限転写情報と上限転写情報の間と定められている。即ち、利用者が下限転写情報と上限転写情報の間を越える補正を希望しても許容されないことになる。
【0018】
転写部11は、トナー像を像担持体21から記録媒体22へ転写する部分であり、転写条件設定部12と、転写制御部13と、転写手段14と、検出部15とを備える。転写条件設定部12は、標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく情報処理装置2から印刷ジョブに含まれてくる補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する部分である。即ち、標準転写情報と補正転写情報とから、転写条件を上記限界転写情報(図4)の下限転写情報と上限転写情報の間の値に決定する部分である。
【0019】
転写制御部13は、転写の制御方法を選択する部分であり、その内部に定電圧制御手段16と、定電流制御手段17と、制御切換手段18とを有している。定電圧制御手段16は、定電圧制御方法によって転写制御を実行する手段であり、定電流制御手段17は、定電流制御方法によって転写制御を実行する制御手段である。又、制御切換手段18は、転写の制御手段を定電圧制御手段16又は、定電流制御手段17の何れか一方に切り換える部分である。
【0020】
検出部15は、転写手段14へ印加される電圧値、及び転写手段14へ流される電流値を検出するセンサである。転写手段14は、強電界を印加して像担持体21上のトナー像を記録媒体22上に転写する転写ローラ105(図2)である。像担持体21は、情報処理装置2から受け入れたビットマップデータに基づいて、ドラムの表面に静電潜像が形成され、その上にトナーによってトナー像が形成される部分、即ち、感光ドラム101(図2)である。以上で画像形成装置3の説明を終了し、次に情報処理装置2の説明を行う。
【0021】
情報処理装置2は、利用者が要求する画像情報を入力すると、その内部で所定の印刷ジョブを生成して画像形成装置3に向けて送出する装置であり、請求項中の外部装置に該当する装置である。その内部には通信部4と、ドライバ6と、入力手段7とを備えている。
【0022】
通信部4は、情報処理装置2と、画像形成装置3とを接続しているシリアルインターフェースやネットワーク(図示していない)とのインタフェースの役割を果たす部分である。ドライバ6は、利用者によって入力された画像情報を印刷ジョブに変換して通信部4へ送出する部分である。
【0023】
入力手段7は、利用者が要求する画像情報を入力するための情報処理装置2と利用者とのインタフェースの役割を果たす部分である。特に本発明では、後記標準転写情報記憶部8に記憶されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報を選択する選択情報と、この特定の標準転写情報を利用者が自己の仕様によって補正する補正転写情報を入力する手段でもある。以上で本発明による画像形成システムの構成についての説明を終了したので、次に実施例1の画像形成システムの動作について説明する。
【0024】
図5は、実施例1の動作のフローチャートである。
図6は、実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その1)である。
図7は、実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その2)である。
図5のステップS1−1からステップS1−16に従って、ステップ順に実施例1の画像形成システムの動作について説明する。
【0025】
ステップS1−1
まず、最初に利用者は、入力手段7(図1)から、補正が必要な記録媒体の標準転写情報を確定するために、記録媒体特性を入力することが求められる。このとき入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図6(a)に示すプロパティが表示される。利用者は、このプロパティによって媒体のサイズ(普通紙、幅狭紙)、媒体の厚さ(普通紙、薄い紙、厚い紙)、媒体の種類(普通紙、ハガキ、封筒、OHP)を選択する。即ち、選択情報が入力される。
【0026】
ステップS1−2
標準転写情報が確定され、続いて、入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図6(b)に示すプロパティが表示される。この標準転写情報に対して現在設定されている補正転写情報が(b)図の現在の補正値の欄に表示される。
ステップS1−3
利用者は、このプロパティに従って、補正転写情報を入力する。標準転写情報に対してどの程度補正を求めるかについて数値を入力する。入力方法として、所望の補正転写情報を入力欄へ直接入力する方法と、画面上の上下ボタンを押下することによって入力欄の補正転写情報を増減させ、所望の補正転写情報に合わせる方法がある。
【0027】
ステップS1−4
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、利用者が自己の仕様によって標準転写情報を補正する補正転写情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとなって情報処理装置2(図1)から通信部4、通信部5を介して画像形成装置3(図1)へ送られる。画像形成装置内部では、選択情報によって、標準転写情報記憶部8に格納されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報が選択される。また補正転写情報が補正転写情報記憶部10(図1)に格納される。転写情報設定部12(図1)は、選定された標準転写情報に補正転写情報を加算する。同時に、選定された標準転写情報に該当する限界転写情報を限界転写情報記憶部9(図1)から読み出す。
【0028】
ステップS1−5
転写条件設定部12は、標準転写情報に補正転写情報を加算した値と、限界転写情報の下限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の下限よりも大きい場合にはステップS1−6へ進み、小さい場合にはステップS1−8へ進む。
ステップS1−6
転写条件設定部12は、上記加算した値と、限界転写情報の上限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS1−7へ進み、大きい場合にはステップS1−9へ進む。
【0029】
ステップS1−7
転写条件設定部12は、転写条件を、標準転写情報+補正転写情報に設定する。
ステップS1−8
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定する。
ステップS1−9
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定する。
【0030】
ステップS1−10
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
ステップS1−11
印刷が開始されると、検出部15は、転写電圧と転写電流の実測を開始する。転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の下限とを比較し、実測値が限界転写情報の下限のよりも大きい場合にはステップS1−12へ進み、小さい場合にはステップS1−14へ進む。
【0031】
ステップS1−12
転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の上限とを比較し、実測値が、限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS1−13へ進み、大きい場合にはステップS1−15へ進む。
【0032】
ステップS1−13
転写条件設定部12は、転写情報=標準転写情報+補正転写情報なので転写条件を変更しない。
ステップS1−14
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定変更する。
ステップS1−15
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定変更する。
【0033】
ステップS1−16
印刷データ全ての印刷が終了するまでステップS1−11〜S1−16を繰り返し、印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0034】
以上説明したように、利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、自己の仕様に基づく補正転写情報を入力すると、情報処理装置は、この補正転写情報を印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、不特定の利用者が設定した補正転写情報によって、他の利用者が影響を受けるという弊害が除去される。
又、変更の必要が無くなった場合には、変更無しの状態に戻す必要が生じ、それを怠ると、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することと、記録媒体毎に変更出来ない場合には、記録媒体を設定する毎に、上記変更手段を用いて自己の仕様によって変更する必要が生じ、それを怠ると、想定していない印刷結果が得られる場合が発生することが無くなるという効果を得る。
【0035】
尚、以上の説明では入力手段のプロパティを図6に限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、図7に示すプロパティを用いて上記ステップS1−2とステップS1−3とを一緒にして、選択情報と、補正転写情報とを同一ステップ内で実行するようにしても良い。
【実施例2】
【0036】
上記実施例1では、周辺環境(温度、湿度)に関わらず、入力手段7(図1)から入力された補正転写情報に基づき、転写条件を設定した。しかし、最適な転写条件は、周辺環境によって異なる場合がある。そこで、実施例2では、特定の周辺環境に対して、補正転写情報を入力することにより、特定の周辺環境に対する補正を可能にする。
【0037】
以下に実施例1との相違点のみについて説明する。
図8は、実施例2の標準転写情報の設定テーブルである。
図に示すように、実施例2の標準転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に設定テーブルが格納されている。横軸に転写手段の抵抗値が表され、縦軸には、転写手段の抵抗値に対応する転写電圧が表されている。更に、設定テーブルは抵抗値に対して、低抵抗(高温多湿)、中抵抗(常温常湿)、高抵抗(低温低湿)の3領域に分かれている。
【0038】
図9は、実施例2の限界転写情報の概念図である。
図に示すように、実施例2の限界転写情報は、普通紙、ハガキ、封筒・・・等の記録媒体特性毎に標準転写情報を中心にして、下限転写情報と上限転写情報とが追加されている。この下限転写情報と上限転写情報の間が良好転写領域となる。更に、これらの情報が、高温多湿、常温常湿、低温低湿の3つの領域に分かれている。
【0039】
図10は、実施例2の入力手段のプロパティ説明図である。
図10に示すように、実施例2の入力手段のプロパティは、実施例1の入力手段のプロパティ(図6)に周辺環境の選択が追加されている。実施例2では、特定の周辺環境に対して、実施例1と同様の効果が得られる。
他の構成部分は、全て実施例1と同様なので説明を省略し、次に実施例2の動作について説明する。
【0040】
図11は、実施例2の動作のフローチャートである。
ステップS2−1
まず、最初に利用者は、入力手段7(図1)から、補正が必要な記録媒体の標準転写情報を確定するために、記録媒体特性を入力することが求められる。このとき入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図10(a)に示すプロパティが表示される。利用者は、このプロパティによって媒体のサイズ(普通紙、幅狭紙)、媒体の厚さ(普通紙、薄い紙、厚い紙)、媒体の種類(普通紙、ハガキ、封筒、OHP)等の媒体情報と、周辺環境情報(低温低湿、常温常質、高温多湿)を選択する。即ち、選択情報、及び周辺環境情報が入力される。
【0041】
ステップS2−2
標準転写情報が確定されると、続いて、入力手段7(図1)の表示装置(図示していない)に図9(b)に示すプロパティが表示される。この標準転写情報に対して現在設定されている補正転写情報が(b)図の現在の補正値の欄に表示される。
ステップS2−3
利用者は、このプロパティに従って、補正転写情報を入力する。標準転写情報に対してどの程度補正を求めるかについて数値を入力する。入力方法として、所望の補正転写情報を入力欄へ直接入力する方法と、画面上の上下ボタンを押下することによって入力欄の補正転写情報を増減させ、所望の補正転写情報に合わせる方法がある。
【0042】
ステップS2−4
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、周辺環境情報と、利用者が自己の仕様によって標準転写情報を補正する補正転写情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとなって情報処理装置から2(図1)から通信部4、通信部5を介して画像形成装置3(図1)へ送られる。画像形成装置内部では、周辺の温度や湿度がセンサ(図示していない)によって検出され、検出結果が転写条件設定部12へ送られる。転写条件設定部12は、この検出結果から現在の周辺環境が、高温多湿、常温常湿、低温低湿のどの領域に該当するかを判断する。
【0043】
以上説明した、媒体を選択する選択情報と、特定の周辺環境を指定する入力環境情報が、印刷すべき印刷データと共に印刷ジョブとして、画像形成装置3(図1)に送られる。画像形成装置内部では、選択情報と入力環境情報によって、標準転写情報記憶部8に格納されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報が選択される。また、補正転写情報が補正転写情報記憶部10(図1)に格納される。
【0044】
ステップS2−5
転写条件設定部12は、ステップS2−1で入力した周辺環境とステップS2−4で検出した周辺環境が一致するかどうか判断する。一致するならばステップS2−6へ進み、一致しないならばステップS2−9へ進む。
【0045】
先に、一致しない場合のフローについて説明する。
ステップS2−6
補正転写情報が無いため、転写情報の補正を行わず、転写条件設定部12は、転写条件を標準転写情報に設定する。
ステップS2−7
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
ステップS2−8
印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0046】
次に、一致した場合のフローについて説明する。
ステップS2−9
転写情報設定部12(図1)は、選定された標準転写情報に補正転写情報を加算する。同時に、選定された標準転写情報に該当する限界転写情報を読み出す。
【0047】
ステップS2−10
転写条件設定部12は、標準転写情報に補正転写情報を加算した値と、限界転写情報の下限とを比較し、該加算した値が限界転写情報13の下限よりも大きい場合にはステップS2−11へ進み、小さい場合にはステップS2−13へ進む。
ステップS2−11
転写条件設定部12は、上記加算した値と、限界転写情報の上限とを比較し、該加算した値が限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS2−12へ進み、大きい場合にはステップS2−14へ進む。
【0048】
ステップS2−12
転写条件設定部12は、転写条件を、標準転写情報+補正転写情報に設定する。
ステップS2−13
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定する。
ステップS2−14
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定する。
【0049】
ステップS2−15
転写制御部13は、転写条件設定部12(図1)の設定を受け入れて所定の転写エネルギーを転写手段14(図1)に印加し、印刷を開始する。
【0050】
ステップS2−16
印刷が開始されると、検出部15は、転写電圧と転写電流の実測を開始する。転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の下限とを比較し、実測値が限界転写情報の下限よりも大きい場合にはステップS2−17へ進み、小さい場合にはステップS2−19へ進む。
ステップS1−17
転写条件設定部12は、検出部15から得られる転写情報の実測値と、限界転写情報の上限とを比較し、実測値が、限界転写情報の上限よりも小さい場合にはステップS2−18へ進み、大きい場合にはステップS2−20へ進む。
【0051】
ステップS2−18
転写条件設定部12は、転写情報=標準転写情報+補正転写情報なので転写条件を変更しない。
ステップS2−19
転写条件設定部12は、転写条件を、下限転写情報に設定変更する。
ステップS2−20
転写条件設定部12は、転写条件を、上限転写情報に設定変更する。
【0052】
ステップS2−21
印刷データ全ての印刷が終了するまでステップS2−12〜S2−17を繰り返し、印刷データ全ての印刷が終了するとフローを終了する。
【0053】
以上説明したように、利用者は、自己が用いている情報処理装置に配置されている入力手段によって、自己の仕様に基づく補正転写情報を入力し、更に特定の周辺環境に対して補正を求めると、情報処理装置は、この補正転写情報と周辺環境情報とを印刷ジョブに含めて画像形成装置へ送信する。この補正転写情報の有効期間は、一つの印刷ジョブに限り適用されることとする。その結果、不特定の利用者が設定した補正転写情報によって、他の利用者が影響を受けるという弊害が除去される。更に、その補正転写情報には周辺環境が考慮されることになる。
【0054】
尚、周辺環境情報の検出は、画像形成装置内部に備えるセンサ(図示していない)によるものとしたが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、定電流制御手段17(図1)によって、一定の検出電流を転写手段14(図1)に流した場合の発生電圧を電圧検出手段19(図1)によって検出し、検出電流と発生電圧との関係から算出される転写手段14の抵抗値から検出しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上の説明では、本発明が適用される画像形成装置として電子写真プリンタに限定して説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、複写機やファクシミリ装置であっても同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による画像形成システムのブロック図である。
【図2】電子写真プロセス部の主要部横断面図である。
【図3】実施例1の標準転写情報の設定テーブルである。
【図4】実施例1の限界転写情報の概念図である。
【図5】実施例1の動作のフローチャートである。
【図6】実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その1)である。
【図7】実施例1の入力手段のプロパティ説明図(その2)である。
【図8】実施例2の標準転写情報の設定テーブルである。
【図9】実施例2の限界転写情報の概念図である。
【図10】実施例2の入力手段のプロパティ説明図である。
【図11】実施例2の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成システム
2 情報処理装置
3 画像形成装置
4 通信部
5 通信部
6 ドライバ
7 入力手段
8 標準転写情報記憶部
9 限界転写情報記憶部
10 補正転写情報記憶部
11 転写部
12 転写条件設定部
13 転写制御部
14 転写手段
15 検出部
16 定電圧制御手段
17 定電流制御手段
18 制御切換手段
19 電圧検出手段
20 電流検出手段
21 像担持体
22 記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から受信する印刷ジョブに基づくトナー像を記録媒体に転写する転写手段を有する画像形成装置であって、
前記転写手段の標準となる転写条件として予め定められている標準転写情報を記憶する標準転写情報記憶部と、
前記標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく前記印刷ジョブに含まれた補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する転写条件設定部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置に於いて、
前記印刷ジョブは、前記標準転写情報記憶部に記憶されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報を選択する選択情報と、前記特定の標準転写情報を補正する補正転写情報とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置に於いて、
前記補正転写情報を記憶する補正転写情報記憶部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置に於いて、
前記補正転写情報の設定可能範囲を予め定めた限界転写情報を記憶する限界転写情報記憶部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置に於いて、
補正転写情報が上記補正転写情報の上限を越える補正を要求すると転写条件を前記補正転写情報の上限に設定し、補正転写情報が上記補正転写情報の下限を下回る補正を要求すると転写条件を前記補正転写情報の下限に設定する転写条件設定部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1及び請求項5に記載の画像形成装置に於いて、
前記印刷ジョブには、特定の周辺環境に対する補正要求が含まれていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の画像形成装置と、該画像形成装置にネットワークを介して接続される情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
所定の標準転写情報を補正すべく前記画像形成装置へ送出される前記補正転写情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
外部装置から受信する印刷ジョブに基づくトナー像を記録媒体に転写する転写手段を有する画像形成装置であって、
前記転写手段の標準となる転写条件として予め定められている標準転写情報を記憶する標準転写情報記憶部と、
前記標準転写情報と、該標準転写情報を補正すべく前記印刷ジョブに含まれた補正転写情報とに基づいて転写条件を設定する転写条件設定部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置に於いて、
前記印刷ジョブは、前記標準転写情報記憶部に記憶されている複数の標準転写情報の中から特定の標準転写情報を選択する選択情報と、前記特定の標準転写情報を補正する補正転写情報とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置に於いて、
前記補正転写情報を記憶する補正転写情報記憶部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置に於いて、
前記補正転写情報の設定可能範囲を予め定めた限界転写情報を記憶する限界転写情報記憶部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置に於いて、
補正転写情報が上記補正転写情報の上限を越える補正を要求すると転写条件を前記補正転写情報の上限に設定し、補正転写情報が上記補正転写情報の下限を下回る補正を要求すると転写条件を前記補正転写情報の下限に設定する転写条件設定部を更に備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1及び請求項5に記載の画像形成装置に於いて、
前記印刷ジョブには、特定の周辺環境に対する補正要求が含まれていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の画像形成装置と、該画像形成装置にネットワークを介して接続される情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
所定の標準転写情報を補正すべく前記画像形成装置へ送出される前記補正転写情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2005−181821(P2005−181821A)
【公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−424613(P2003−424613)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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