説明

画像形成装置及び画像形成装置管理システム

【課題】迅速、容易且つ適切に画像不良解消制御機能の制御情報を変更可能にする。
【解決手段】
画像形成装置10に、画像不良解消制御部203に用いられる制御情報200aの変更判断材料となる各種変更判断要素情報206a〜cを作成し、これらを第2記憶部205に格納させる履歴情報作成部204と、上記各種情報を画像形成装置管理サーバ500宛に送信する送信制御部207と、通信部208が受信した管理サーバ500からの制御変更指示情報に基づき、制御情報200aを変更させる変更指示受付制御部209とを設ける。一方、管理サーバ500に、通信部530が受信した情報の確認画面及び画像不良解消制御部203の制御変更内容の選択画面とを表示装置506に表示させ、入力装置507から該制御変更内容の選択と、該制御情報の変更指示と、を受け付ける変更判断部540aと、変更指示に応答して、受け付けた選択内容に対応する情報を含む制御変更指示情報を、画像形成装置10宛に送信させる変更指示制御部540bとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部の画像不良を解消する画像不良解消制御機能を備えた画像形成装置に係り、特に、ネットワークを介して情報を送受信可能な画像形成装置及び画像形成装置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において印刷する際、例えば図2に示すように、画像形成部30内の一部リソースは、以下のように動作する。感光体ドラム31の表面がコロナ帯電器32により一様に帯電され、露光ユニット33により感光体ドラム31上の帯電が選択的に消去されて感光体ドラム31上に静電潜像が形成され、現像器34〜37によりにトナーが帯電部に付着されて該静電潜像が現像される。
【0003】
このような画像形成装置においては、コロナ帯電器32で帯電を行う際の放電でオゾンが発生し、このオゾンによって空気中の水分が分解されて窒素酸化物やアンモニウム塩等のイオン生成物が生成される。このイオン生成物は水溶性のため、感光体ドラム31等の像担持体に付着し、特に、高温高湿度の環境下において大気中の水分を取り込み、像担持体表面の抵抗が低下する。これにより、像担持体表面に形成された静電潜像のエッジ部で電位の横流れ起こり、その結果、画像不良が生ずる。
【0004】
また像担持体が、アモルファスシリコン(a-Si)を素材としている場合には、a-Siは有機感光体と比較して吸湿性が高く、画像不良が生じ易い。なお、上記オゾンを抑制するため、コロナ帯電器32の代わりに帯電ローラを用いても、多少のオゾンは発生し、画像不良が生じてしまう。
【0005】
上記画像不良を解消するため、本出願人は下記特許文献1に示されているように、通常の印字モードとは別に像担持体に現像動作を行って研磨剤入りのトナーを付着させるソリッド画像形成動作を行わせ、そのトナーで像担持体表面を摺擦研磨してリフッレシュするモード(本発明に係る画像不良解消制御機能の一種)を設ける画像形成装置を提案した。
【0006】
その他、画像形成部30の画像不良には、利用者の使用環境等に起因した濃度特性の変化によって生ずる場合がある。この画像不良を解消するために、画像形成装置には濃度特性をキャリブレーションするモード(本発明に係る画像不良解消制御機能の一種)が設けられている。
【0007】
ところが、このような画像不良解消制御機能は、画像形成部30を用いるため、その機能の実行後画像不良を解消するまで、画像形成部30を通常の目的で使用できない期間、すなわち画像形成部30のダウンタイムが発生する。
【0008】
そこで、下記特許文献2では、画像形成部30のダウンタイムを抑制するために、種々の開始タイミングでキャリブレーションを実行する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平11−3014号公報
【特許文献2】特開2003−167394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記構成では、サービスマンが画像形成装置の使用状況又は使用環境を把握できないので、上記開始タイミングを含むキャリブレーション機能の制御情報を、使用状況又は使用環境に応じて変更することができないため、使用状況又は使用環境によっては不必要にキャリブレーションが実行されてダウンタイムが生じ、逆に十分にキャリブレーションが実行されず画像不良が解消されない場合がある。
【0010】
また一般的に、ユーザ自身が上記制御情報を変更することは不可能なので、サービスマンが変更することになるが、その場合においても、迅速且つ正確に、そして容易に変更できるようにすることが望ましい。また、その他の画像不良解消制御機能であるリフッレシュ機能の制御情報を適切に変更することによっても、上記問題点を解決可能である。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、画像形成部の画像不良解消制御機能を備えた画像形成装置において、画像形成部のダウンタイムを抑制し、かつ、十分に画像不良を解消するために、迅速、容易且つ適切に画像不良解消制御機能の制御情報を変更可能な画像形成装置及び画像形成装置管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による画像形成装置の第1態様では、
ネットワークに結合される通信手段と、記憶手段と、画像形成手段と、該画像形成手段の画像不良を解消するために、該記憶手段に格納されている制御情報に基づき該画像形成手段を制御する画像不良解消制御手段と、を備えた画像形成装置において、
該画像不良解消制御手段の実行履歴情報を作成し、これを該記憶手段に格納させる履歴情報作成手段と、
該記憶手段から該実行履歴情報を読み出させ、これを該制御情報の変更のための判断材料として該ネットワーク上の管理装置宛に、該通信手段を介して送信させる送信制御手段と、
該通信手段が受信した該管理装置からの制御変更指示情報に基づき、該記憶手段の該制御情報を変更させることが可能な変更指示受付制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明による画像形成装置の第2態様では、
温度又は湿度を検出する検出手段をさらに備え、
該履歴情報作成手段はさらに、該検出手段の出力に基づき環境履歴情報を作成し、
該送信制御手段はさらに、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該環境履歴情報も送信させる、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明による画像形成装置の第3態様では、
該履歴情報作成手段はさらに、ジョブ履歴を作成し、
該送信制御手段はさらに、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該ジョブ履歴も送信させる、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明による画像形成装置の第4態様では、
該制御情報は、該画像不良解消制御手段の設定値を含み、
該送信制御手段は、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該設定値も送信させる、
ことを特徴とする。
【0016】
本発明による画像形成装置の第5態様では、
該画像形成手段は、アモルファスシリコン感光体ドラム及びコロナ帯電器を含み、
該画像不良解消制御手段は、該アモルファスシリコン感光体ドラムのリフレッシュ手段であり、
該履歴情報作成手段は、該リフレッシュ手段の該実行履歴情報を作成する、
ことを特徴とする。
【0017】
本発明による画像形成装置の第6態様では、
該画像不良解消制御手段は、キャリブレーション手段であり、
該履歴情報作成手段は、該キャリブレーション手段の該実行履歴情報を作成する、
ことを特徴とする。
【0018】
本発明による画像形成装置の第7態様では、
該実行履歴情報は、実行回数又は実行時間の履歴である、
ことを特徴とする。
【0019】
本発明による画像形成装置管理システムの第8態様では、
上記いずれかの画像形成装置と、その管理装置がネットワークを介して結合される画像形成装置管理システムであって、
該管理装置は、
表示手段と、
指示入力手段と、
該画像形成装置において作成された、画像不良解消制御手段の実行履歴情報を含む情報を、該ネットワークから受信する通信手段と、
該通信手段が受信した情報の確認画面と、該画像不良解消制御手段の制御変更内容の選択画面と、を該表示手段に表示させ、該指示入力手段から該制御変更内容の選択と、該制御情報の変更指示と、を受け付ける変更判断手段と、
受け付けた変更指示に応答して、該選択画面で選択された制御変更内容に対応する情報と、変更指示とを含む制御変更指示情報を、該画像形成装置を宛先として指定して該通信手段に送信させる送信制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明による画像形成装置管理システムの第9態様では、
該変更判断手段はさらに、該確認画面を表示させる前に、該通信手段が受信した情報が、所定の変更条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合に該確認画面を表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記第1態様の構成によれば、「該画像不良解消制御手段の実行履歴情報を作成し、これを該記憶手段に格納させる履歴情報作成手段と、該記憶手段から該実行履歴情報を読み出させ、これを該制御情報の変更のための判断材料として該ネットワーク上の管理装置宛に、該通信手段を介して送信させる送信制御手段と、該通信手段が受信した該管理装置からの制御変更指示情報に基づき、該記憶手段の該制御情報を変更させることが可能な変更指示受付制御手段と」を備えるため、送信される画像不良解消制御手段の実行情報が、実行回数等の単一の情報ではなく、履歴情報なので、例えば図7に示すように、いつ、画像不良解消制御手段による画像不良解消制御が実行されたかも詳細に把握できるので、サービスマンが、該実行の時系列的な傾向を分析してダウンタイムを抑制するため不必要だと思われる時(時間、日、曜日、週又は月)には該実行をさせないようにしたり又は実行回数を減らしたりする等、制御情報を迅速、容易且つ正確に変更することができるという効果を奏し、例えば、サービスマンがユーザの元に出向くことなくネットワークを介して該情報を変更することが可能となり、また、サービスマンがユーザの元に出向いて該情報を変更する場合においても、事前に何度もユーザの元へ行って画像形成装置の使用環境や使用状況等を調査するというような手間が省ける。
【0022】
また、該実行の時系列的な傾向を分析して十分に画像不良を解消するために必要だと思われる時(時間、日、曜日、週又は月)には該実行をさせるようにしたり又は実行回数を増やしたりする等、制御情報200aを迅速、容易且つ正確に変更することも可能である。
【0023】
上記第2態様の構成によれば、実行履歴情報だけでなく、湿度や温度などの環境履歴情報も制御情報の変更適否及び具体的変更内容の決定の判断材料とすることができるので、より適切に画像不良解消制御手段の制御情報を変更可能であるという効果を奏する。具体的には、実行履歴情報及び環境履歴情報に基づき、湿度又は温度が低い時間帯に画像不良解消制御手段が不必要に多く実行されていること、逆に湿度又は温度が高い時間帯に、画像不良解消制御手段が十分に実行されていないこと等を把握することができるので、例えば、温度又は湿度が高い時間帯に画像不良解消制御手段を実行させ、且つ低い時間帯に画像不良解消手段を実行させないようにする等、ユーザの使用環境に応じて、ダウンタイムを抑制し、かつ、十分に画像不良を解消するように制御情報を適切に変更することができるという効果を奏する。
【0024】
同様に、上記第3態様の構成によれば、画像形成装置のジョブ履歴も、制御情報の変更適否及び具体的変更内容の決定の判断材料とすることができるので、より適切に画像不良解消制御手段の制御情報を変更可能であるという効果を奏する。具体的には、実行履歴情報及びジョブ履歴情報に基づき、ジョブの実行が多い時間帯に画像不良解消制御手段が不必要に多く実行され、逆にジョブの実行が少ない時間帯に画像不良解消制御手段が実行されていないこと等を把握することができるので、例えば、ジョブの実行が少ない時間帯に画像不良解消制御手段を実行させ、且つ多い時間帯に画像不良解消手段を実行させないようにする等、ユーザの使用状況に応じてダウンタイムを抑制するように制御情報を適切に変更することができるという効果を奏する。
【0025】
同様に、上記第4態様の構成によれば、現在の画像不良解消制御手段の設定値も、制御情報の具体的変更内容を決定する判断材料とすることができるので、より適切に画像不良解消制御手段の制御情報を変更可能であるという効果を奏する。
【0026】
上記第5態様の構成によれば、履歴情報作成手段がリフレッシュ手段の実行履歴情報をさらに作成し、これが送信されるので、リフレッシュ手段の制御情報についても適切に変更可能であるという効果を奏する。そして、リフレッシュ手段に用いる画像形成手段は、アモルファスシリコン感光体ドラム及びコロナ帯電器を含むので、上記「背景技術の欄」で説明したように画像不良が多々発生することになるが、この場合でも、上記第1態様等との組合せにより、リフレッシュ手段の制御情報を適切に変更することができ、十分にその画像不良を解消することができるという効果を奏する。
【0027】
上記第6態様の構成によれば、履歴情報作成手段がキャリブレーション手段の該実行履歴情報をさらに作成し、これが送信されるので、キャリブレーション手段の制御情報について適切に変更可能であるという効果を奏する。
【0028】
本発明による画像形成装置の第7態様では、実行履歴情報が実行回数又は実行時間の履歴であるので、例えばどの時間帯又はどの曜日が、画像不良解消制御手段の動作が多いか或いは少ないかをより把握し易くなるという効果を奏する。
【0029】
上記第8態様の構成によれば、「該通信手段が受信した情報の確認画面と、該画像不良解消制御手段の制御変更内容の選択画面と、を該表示手段に表示させ、該指示入力手段から該制御変更内容の選択と、該制御情報の変更指示と、を受け付ける変更判断手段と、受け付けた変更指示に応答して、該選択画面で選択された制御変更内容に対応する情報と、変更指示とを含む制御変更指示情報を、該画像形成装置を宛先として指定して該通信手段に送信させる送信制御手段と」を備えるので、サービスマンが、画像不良解消制御手段の実行履歴情報等を確認画面で視覚的に把握し、制御情報の変更適否を判断し、選択画面で具体的変更内容を容易に選択できるという効果を奏する。
【0030】
上記第9態様の構成によれば、「該変更判断手段はさらに、該確認画面を表示させる前に、該通信手段が受信した情報が、所定の変更条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合に該確認画面を表示させる」ので、サービスマンの手間を省きつつ制御情報を変更すべき時を把握することができるため、容易且つ適切に画像不良解消制御手段の制御情報を変更可能であるという効果を奏する。
【0031】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明の実施例1に係わる画像形成装置管理システムの概略構成を示す図である。
[1]画像形成装置管理システムの概略構成
このシステム5は、画像形成装置10と、メールサーバ400と、画像形成装置管理サーバ500と、がそれぞれインターネット300を介して結合されて構成されている。
【0033】
画像形成装置10は、カラー印刷機能と、キャリブレーション機能と、リフッレシュ機能とを備えた、プリンタ、複写機、ファックス、又はこれらの複合機である。本実施例1では、上記キャリブレーション機能又はリフッレシュ機能(以下、これらを画像不良解消制御機能という)の制御変更の判断材料として、種々の情報(以下、変更判断要素情報という)を、電子メールで画像形成装置管理サーバ500宛に送信する。
【0034】
メールサーバ400は、公知のSMTPサーバとPOPサーバの両者を含んで構成される。このメールサーバ400は、画像形成装置10からの電子メールを収集し、配信要求があった場合にこの電子メールを画像形成装置管理サーバ500に配信する。
【0035】
画像形成装置管理サーバ500は、受信する電子メール内の変更判断要素情報を表示装置に表示させ、サービスマンの指示に応答して画像不良解消制御機能の制御情報を変更する。
[2]画像形成装置のハードウェア構成
図2は、図1に示す画像形成装置10のハードウェア構成を概略的に示す図である。簡単化のために、以下では画像形成装置10をプリンタとして利用する場合の構成について説明する。図示の例では、転写ドラム方式を採用しているが、その他中間転写ベルト方式又はタンデム方式を採用しても本発明を同様に適用できる。
【0036】
画像形成装置10は、大別して、給紙トレイ11と、搬送路20と、搬送ローラ21と、排紙トレイ22と、搬送路20に沿って配設された画像形成部30と、画像形成部30を含む画像形成装置各リソースに電気的に結合されたコントロール部50と、を備えている。
【0037】
給紙トレイ11には、例えばA4サイズの印刷用紙12が縦向きにセットされており、カラー印刷時に印刷用紙12は、コントロール部50の制御の下、給紙トレイ11から搬送ローラ21によって搬送路20を通過し、搬送路20の途中で画像形成部30によって後述するカラー画像形成がされ、排紙トレイ22に排紙される。
【0038】
画像形成部30は、感光体ドラム31と、コロナ帯電器32と、露光ユニット33と、Y現像器34と、M現像器35と、C現像器36と、BK現像器37と、感光体クリーニングユニット38と、中間転写ドラム39と、中間転写体クリーニングユニット40と、2次転写ユニット41と、濃度検出センサ42と、温湿度センサ43と、搬送ベルト44と、定着器45と、を有する。
【0039】
本実施例1では、上記「背景技術の欄」で説明したドラムリフレッシュ用に、感光体クリーニングユニット38には、トナーを用いて感光体ドラム31の表面を摺擦研磨するクリーニングローラ38aと、そのトナーを感光体ドラム31の表面から掻き落すクリーニングブレード38bとが設けられ、いずれかの現像器34〜37に用いられるトナーには、感光体ドラム31の研磨材として酸化チタン等が混入される(例えば特開2007−304508)。
【0040】
カラー画像形成を行う際には、感光体ドラム31の表面がコロナ帯電器32によって帯電された後、画像データに応じて露光ユニット33によって感光体ドラム31の表面が露光され感光体ドラム31上に静電潜像が形成される。感光体ドラム31上の静電潜像はY現像器34によって現像されてYトナー像とされ、中間転写ドラム39に転写され(1次転写)、感光体ドラム31上に残留する残留Yトナーは感光体クリーニングユニット38によって除去される。この際2次転写ユニット41は中間転写ドラム39から離間している。
【0041】
このようにして、順次Mトナー像、Cトナー像、及びBKトナー像が感光体ドラム11上に形成され、中間転写ドラム39に1次転写されて各色の色重ねが行われ、中間転写ドラム39上にカラートナー像が形成される。
【0042】
中間転写ドラム39上のカラートナー像は2次転写位置において、タイミングを合わせて中間転写ドラム39に当接した2次転写ユニット41によって、給紙トレイ11から搬送された印刷用紙12上に2次転写され、搬送ベルト42によって定着器43に送られ、ここで印刷用紙12上のカラートナー像が定着される。その後、記録用紙は搬送路20を介して排紙トレイ22に排紙される。なお、2次転写の後、中間転写ドラム39上に残留するトナーは中間転写体クリーニングユニット40によって除去される。
【0043】
続いて、同図のコントロール部50について説明する。
【0044】
コントロール部50には、画像形成装置10内の上記画像形成部30を含んだ各リソースを制御するため、MPU51が備えられ、このMPU51に、RAM52と、ROM53と、HDD54と、操作部55と、搬送制御装置56と、画像形成部制御装置57と、NIC(Network Interface Card)58と、USBポート59と、が結合されている。
【0045】
MPU51は、例えば操作部55から印刷指示があった場合、RAM52に格納された印刷対象の画像データを、画像形成部制御装置57に供給するとともに、搬送制御装置56に対し用紙搬送制御を行わせる。画像形成部制御装置57は、この画像データをビットマップ展開し、露光ユニット33を制御してレーザビームを感光体ドラム31上で走査させながら、ビットマップデータに基づいてレーザビームをオン/オフ制御することにより、感光体ドラム31上に所望の静電潜像を形成させる。なお、MPU51及び画像形成部制御装置57は、キャリブレーション制御及びドラムリフレッシュ制御の役割も担うが、これらの詳細は後述する。
【0046】
RAM52は、ワークエリア用であり、印刷対象の画像情報等を一時格納する。ROM53は、例えばフラッシュメモリなどの再書き込み可能な不揮発性メモリであり、画像形成装置10の機種名及び各種設定値情報が格納される。
【0047】
HDD54は、データ格納用である。操作部55は、タッチパネルとハードウェアキーの組合せで構成され、指示又は設定値を入力し、各種操作画面又は確認画面などを表示させるためのものである。
【0048】
NIC58は、インターネット400を介し画像形成装置10と管理サーバ500との互いの通信を可能とする。USBポート59は、USBメモリ60を脱着可能で、画像形成装置10とUSBメモリ60との電子データの遣り取りを仲介する。
[3]画像形成装置管理サーバ500のハードウェア構成
図3は、図1に示す画像形成装置管理サーバ500のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0049】
画像形成装置管理サーバ500では、MPU501にインタフェース502を介して、RAM503、ROM504、HDD505、対話型入力装置506、表示装置507、NIC508及びUSBポート509が結合されている。図3では、簡単化のため、複数の基本的なインタフェースを1つのブロックで示している。
【0050】
RAM503は、主メモリ用である。ROM504には、ブートストラップ及びBIOSが格納されている。HDD505には、OS、各種アプリケーション及び各種デバイスドライバが格納されている。
【0051】
対話型入力装置506は、ユーザの入力を受け取るものであり、例えばキーボードやポインティングデバイスなどである。表示装置507は、画面上に文字又は画像を表示するためのものである。
【0052】
NIC508は、ケーブル又は無線の通信媒体を介してインターネット300に結合され、インターネット300上にあるメールサーバ400と通信する。USBポート509は、上記USBメモリ60を脱着可能で、画像形成装置管理サーバ500とUSBメモリ60との間の電子データの遣り取りを仲介する。
[4]画像形成装置管理システムの機能部構成
図4は、図1に示す画像形成装置管理システム5の機能ブロック図である。
【0053】
まず、画像形成装置10について説明する。
【0054】
画像形成装置10は、画像形成部30と、操作部55と、第1記憶部200と、センサ部201と、ジョブ制御部202と、画像不良解消制御部203と、履歴情報作成部204と、第2記憶部205と、送信制御部207と、通信部208と、変更指示受付制御部209と、を主に備える。
【0055】
第1記憶部200は、上記ROM53の一部の領域を含んで構成され、制御情報200aが予め格納されている。制御情報200aは、画像不良解消制御部203が画像形成部30を制御するために用いるものであり、制御プログラム及び制御用設定値データを含み、変更指示受付制御部207によって、その全部又は一部が変更される。
【0056】
なお、上記HDD54にも画像不良解消制御部203の制御プログラム又は制御用設定値データが格納されている場合には、これらが格納されているHDD54内の領域も、第1記憶部200に該当する。
【0057】
センサ部201は、上記濃度検出センサ42と、上記温湿度センサ43と、を含んで構成され、トナーの濃度値、温度又は湿度等を検出する。
【0058】
ジョブ制御部202は、上記MPU51、RAM52及び所定のプログラムが格納されたROM53を含んで構成され、操作部55の指示に応答し、画像形成部30を含む画像形成装置10の各種リソースを適宜制御して、指示されたジョブを実行する。
【0059】
画像不良解消制御部203は、上記MPU51、上記画像形成部制御装置57及び上記RAM52を含んで構成され、第1記憶部200に格納されている制御情報200aに基づき、画像形成部30内の各リソースを制御し、画像形成部30において生ずる画像不良を解消する。この画像不良解消制御部203には、例えば、上記「背景技術の欄」で説明したように、ドラムリフレッシュ制御部203aと、キャリブレーション制御部203bと、が含まれる。
【0060】
上述のようにa-Siを素材とした感光体ドラム31は、高温、高湿度環境では、イオン生成物の吸湿、a-Si自体の吸湿性の高さなどにより、大気中の水分が取り込まれて表面の抵抗が低下する。表面抵抗が低下すると、像流れが発生し易くなり、画像不良が生ずる。
【0061】
そのため、ドラムリフレッシュ制御部203aは、非画像形成時で、かつ、制御情報200aにより任意に決められたタイミングで、画像不良を解消するため、画像形成部30の制御を開始する。上記タイミングは非画像形成時であれば特に限定されないが、例えば、(1)所定の印刷枚数を上回った時、(2)装置の電源がONされた時、(3)省電力モードから復帰した時、(4)所定の平均印字率を下回った時、(5)現像器34〜37の所定の駆動時間を上回った時、(6)現像器34〜37に新しいトナーが補給された時、(7)所定の温度又は湿度を上回った時、(8)所定の時刻になった時、又は(9)操作部55によるリフレッシュモードの実行指示があった時、などが挙げられる。
【0062】
ドラムリフレッシュ制御部203aは、上記いずれかのタイミングでドラムリフレッシュを開始した後、まず感光体ドラム31を回転駆動する不図示のドラムモータの電源をON制御して、感光体ドラム31を回転させ、例えばBK現像器37に現像バイアスを印加し、感光体ドラム31の表面全体に、研磨剤入りのブラックトナーを付着させる。この際、ブラックトナーが中間転写ドラム39に転写されないように、中間転写ドラム39に感光体ドラム31を基準として転写時とは逆極性のトナーと同極性の電圧を印加する。そして、クリーニングローラ38aを回転制御して、ブラックトナーに含まれる研磨剤で感光体ドラム31の表面を摺擦研磨して、感光体ドラム31の表面に付着したイオン生成物及びその他の付着物を除去し、リフレッシュ制御を終了する。以上の処理は、上記像流れを抑制することから、画像形成部30の画像不良は解消される。
【0063】
なお、ブラックトナーを節約するため、感光体ドラム31表面の一部のみにトナーを付着する場合には、感光体ドラム31の回転制御後、コロナ帯電器32を制御して感光体ドラム31の表面を一様に帯電させ、露光ユニット33を制御して感光体ドラム31上の帯電を選択的に消去させて、感光体ドラム31上に所定のソリッド画像(静電潜像)を形成させる。これにより、ブラックトナーは、感光体ドラム31表面のソリッド画像に相当する部分にのみ付着される。
【0064】
その他、上述のように画像形成部30の画像不良には、ユーザの使用環境等に起因したトナーの濃度特性の変化によって生ずる場合がある。
【0065】
そのため、キャリブレーション制御部203bは、非画像形成時で、かつ、制御情報200aにより任意に決められたタイミングで、画像不良を解消するため、画像形成部30の制御を開始する。上記タイミングは、例えば、上記(1)〜(9)に挙げたタイミングがある。本実施例1では転写ドラム方式を採用しているので、キャリブレーション処理としては、例えば、中間転写ドラム39上にCMYK各色のトナーパッチを形成し、濃度検出センサ42によりこれらの濃度を検出し、検出した濃度値と基準濃度値とから、所謂γテーブルを作成する。このγテーブルは、現像器34〜37によるトナーの出力濃度を適正な値にすることから、以上の処理により、画像形成部30の画像不良は解消される。
【0066】
履歴情報作成部204は、MPU51、RAM52、及び、監視エージェントを有するプログラムが格納されたROM53を含んで構成され、画像不良解消制御部203の制御の実行有無、ジョブ制御部202の制御の実行有無、及び、センサ部201の検出を監視して、画像不良解消制御部203の実行履歴情報206aと、ジョブ制御部202のジョブ履歴情報206bと、センサ部201の検出情報に基づく環境履歴情報206cと、をそれぞれ作成して第2記憶部205に格納する。
【0067】
実行履歴情報206aには、例えば、ドラムリフレッシュ制御部203aのリフレッシュ制御の実行履歴、又は/及び、キャリブレーション制御部203bのキャリブレーション制御の実行履歴が含まれる。
【0068】
ジョブ履歴情報206bには、コピージョブ、プリントジョブ、スキャンジョブ又はファックスジョブ等のジョブ種名と、そのジョブの実行日時とが含まれる。環境履歴情報206cには、画像形成装置10内の温度又は/及び湿度の履歴が含まれる。
【0069】
第2記憶部205は、例えば上記ROM53又はHDD54の一部の領域を含んで構成され、画像形成装置管理サーバ500側で制御情報200aの変更適否及び具体的変更内容の決定を判断するための材料となる変更判断要素情報206が格納される。この変更判断要素情報206には、上記履歴情報作成部204が作成した実行履歴情報206aと、ジョブ履歴情報206bと、環境履歴情報206cと、が含まれる。
【0070】
送信制御部207は、MPU51、RAM52及び所定のプログラムが格納されたROM53を含んで構成され、例えば1週間に1回若しくは1ヶ月に1回など定期的に又は操作部55のキー操作に応答して、第2記憶部205から上記各種変更判断要素情報206の全部又は一部を読み出し、これを含んだ電子メールを作成する。次に、作成した電子メールの宛先として画像形成装置管理サーバ500を指定し、これを、通信部208を介してメールサーバ400へ送信する。
【0071】
通信部208は、上記MPU51及びNIC58を含んで構成され、メールサーバ400へ電子メールを送信し又はメールサーバ400画像形成装置10宛の電子メールを受信する。
【0072】
変更指示受付制御部209は、通信部208が画像形成装置管理サーバ500からの電子メールを受信した際、この電子メールから後述する制御変更指示情報を抽出し、該制御変更指示情報に基づき、第1記憶部200に格納されている制御情報200aの全部又は一部を変更する。具体的には、制御情報200aには、制御プログラム及び制御用設定値データが含まれるので、制御プログラム全体若しくはこのプログラムを構成する一部のプログラム(モジュール)を他のプログラムに変更し、又は、制御開始タイミングに用いられる設定閾値データ、若しくは、制御開始後の各種リソースの制御時間設定値データ、各種リソースの制御速度設定値データ等を変更する。
【0073】
以上の変更の結果、画像不良解消制御部203は、ユーザの使用状況や使用環境に応じて適切に変更された制御情報200aに基づき、画像形成部30の制御を行うことができ、画像形成部30のダウンタイムの発生を抑止し、且つ、十分に画像不良を解消することができる。
【0074】
続いて、画像形成装置管理サーバ500について説明する。
【0075】
画像形成装置管理サーバ500は、上記入力装置506及び上記表示装置507の他に、通信部530と、第3記憶部531と、変更管理部540と、を主に備える。
【0076】
通信部530は、上記MPU501及び上記NIC508を含んで構成され、インターネット300上のメールサーバ400と通信し、画像形成装置10からの上記変更判断要素情報206を含んだ電子メールを受信する。
【0077】
第3記憶部531は、上記HDD505内の一部の領域を含み、画像不良解消制御部203の制御を変更するため、当該制御部202の制御プログラム又はこの制御プログラムを構成する一部のプログラムが、複数種格納されている。以下、これらのプログラムを、変更用制御プログラム531aと称す。
【0078】
変更管理部540は、上記MPU501、上記RAM503及び所定の判断プログラムを格納したHDD505を含んで構成され、通信部530、表示装置506、第3記憶部531を適宜制御し、サービスマンが、画像形成装置10からの各種変更判断要素情報206に基づき、ユーザの使用状況や使用環境に適切だと判断する制御情報200aに変更指示する制御変更指示情報を画像形成装置10宛に送信する。この制御を行うため、変更管理部540には、変更判断部540aと、変更指示制御部540bと、を有する。
【0079】
変更判断部540aは、サービスマンに判断させる前段階として、画像形成装置10からの電子メールを受信した時、定期的な割り込み指示があった時、又はサービスマンによる入力装置507の指示があった時等の所定のタイミングで、受信した電子メールから変更判断要素情報206を抽出し、これに基づき、後述する制御情報200aの変更適否の判断を行う。ここで、肯定判定した場合には、変更判断部540aは、変更判断要素情報206を表示装置506に表示して、サービスマンに具体的な判断をさせるが、否定判定した場合には、サービスマンの手間を省くため表示装置506には何も表示せずに処理を終える。
【0080】
変更指示制御部540bは、サービスマンが表示装置506に表示された変更判断要素情報206に基づき変更内容を具体的に判断した後に操作される入力装置507の指示に応答して、制御変更指示情報を画像形成装置10宛の電子メールに含ませ、これを、通信部530を介してメールサーバ400に送信する。
【0081】
上記制御変更指示情報には、制御情報200aのうち制御用設定値データを変更する場合、変更指示と、変更対象の制御用設定値データの識別名と、その詳細値データと、が含まれる。また、制御情報200aのうち制御プログラム全体又はその一部のプログラムを変更する場合、変更指示と、変更対象のプログラムの識別名と、変更用制御プログラム531aと、を含む。
[5]画像形成装置管理システム5の動作
図5は、図4に示す画像形成装置管理システム5の動作の一態様を示す詳細フローチャートである。
【0082】
なお、このフローチャートでは、ドラムリフレッシュ制御部203aの制御用設定値(制御情報200aの一種)を変更することについてのみを説明するが、他の制御情報200aの変更についても同様の処理が行われる。以下、括弧内は図5中のステップ識別符号である。
【0083】
(S10)画像形成装置10の履歴情報作成部204が、リフレッシュ部203aの実行開始制御を監視して、例えば送信されるまでの一週間、実行履歴情報206aの一種であるドラムリフレッシュ実行履歴情報を作成し、これを第2記憶部205に格納する。同様に、ジョブ制御部202の実行開始制御を監視して、変更判断要素情報206の一種として一週間のジョブ履歴情報206bを作成し、これを第2記憶部205に格納する。また、センサ部201の出力に基づき一週間の温度履歴及び湿度履歴を含む環境履歴情報206cを作成し、これを第2記憶部205に格納する。
【0084】
(S11)画像形成装置10の送信制御部207は、例えば1週間毎に、第2記憶部205に格納された各種変更判断要素情報206a〜cと、その他変更判断要素情報206となる第1記憶部200に格納されている制御情報200aに係る情報と、を画像形成装置管理サーバ500宛の電子メールに含ませ、この電子メールを、通信部208を制御してメールサーバ400に送信する。その後、送信した情報206a〜cを、第2記憶部205から消去する。なお、上記制御情報200aに係る情報とは、例えばドラムリフレッシュ制御部203aの実行開始タイミングの情報と、そのタイミングに用いられる閾値とが含まれる。
【0085】
(S12)画像形成装置管理サーバ500の通信部530は、メールサーバ400と通信し、画像形成装置10からの上記電子メールを受信する。
【0086】
(S13)画像形成装置管理サーバ500の変更判断部540aは、通信部530が受信した電子メールから各種変更判断要素情報206a〜c等を抽出する。次に、抽出したドラムリフレッシュ実行履歴情報206aに基づき、一週間のドラムリフレッシュ回数を算出し、その回数が一週間に5回未満であるか否か判断する。肯定判断した場合にはステップS14に進み、否定判断した場合にはステップS13aに進む。
【0087】
(S14)変更判断部540aは、抽出した環境履歴情報206cに基づき、一週間の平均湿度を算出し、これが70%を超えているか否かを判断する。肯定判断した場合には次のステップに進み、否定判断した場合には処理を終える。
【0088】
(S15)変更判断部540aは、図6に示すような変更通知ダイアログ550を、表示装置506に表示させる。このダイアログ550には、ドラムリフレッシュの実行回数を多くするように、その制御用設定値を変更すべき旨と、詳細ボタン551と、キャンセルボタン552とが含まれる。
【0089】
(S16)変更判断部540aは、入力装置507による詳細ボタン551の押下又はキャンセルボタン552の押下を受け付ける。変更判断部540aは、詳細ボタン551の押下を受け付けた場合には次のステップに進み、キャンセルボタン552を受け付けた場合には、処理を終える。
【0090】
(S13a〜16a)上記同様に、算出した一週間のドラムリフレッシュ回数が30回を超えているか否か判断し、肯定判断した場合にはさらに、抽出した環境履歴情報206cに基づき、一週間の平均湿度が70%未満であるか否かを判断する。肯定判断した場合には、変更判断部540aは、ドラムリフレッシュ回数を少なくするように、その制御用設定値を変更すべき旨を含み、且つ、その他図6と同様な変更通知ダイアログ550を、表示装置506に表示させる。
【0091】
(S17)変更判断部540aは、図7に示すような詳細ダイアログ560を表示装置506に表示する。この詳細ダイアログ560には、制御情報200aの変更判断要素となる、通信部530が受信して抽出されたリフレッシュ実行履歴情報206aと、ジョブ履歴情報206bと、環境履歴情報206cと、これらに基づいて算出した一週間のドラムリフレッシュ回数561、制御情報200aに係る情報562、平均温度563及び平均湿度564と、が含まれる。また、制御情報200aをどのように変更するか(変更内容)をサービスマンが選択可能なように、ドラムリフレッシュ制御部203aの実行開始タイミングを選択するチェックボックス571と、そのタイミングを判断するために用いられる閾値を選択する閾値選択ボックス572と、が含まれる。
【0092】
詳細ダイアログ560には、他にも、ユーザの指示を受け付けるボタンとして、変更ボタン573と、キャンセルボタン574と、が含まれる。
【0093】
ここで、サービスマンは、詳細ダイアログ560内に表示された情報に基づき、変更適否及び変更内容を総合的に判断する。例えば、表示された情報のうち特にドラムリフレッシュ実行履歴情報206a及び環境履歴情報206cに基づき1週間のドラムリフレッシュが不必要に多く実行されていると認識し、制御情報200aを変更する必要があると判断した場合、ダウンタイムを抑制するため使用環境に応じてドラムリフレッシュが必要以上に行われないように、制御情報200aの変更内容をチェックボックス571と閾値選択ボックス572とから選択し、変更ボタン573を押下する。
【0094】
また、本実施例1では、詳細ダイアログ560内にはジョブ履歴情報206cも表示されるので、環境履歴情報206cに基づいて使用環境に応じた制御情報200aの変更だけでなく、ジョブ履歴情報206cに基づき、ダウンタイムを抑制するためユーザの使用状況に応じてドラムリフレッシュを実行するように、制御情報200aの変更内容をチェックボックス571と閾値選択ボックス572とから選択することも可能である。具体的には、サービスマンは、ドラムリフレッシュ実行履歴情報206a及びジョブ履歴情報206bに基づき、ジョブの実行が少ない昼休みの時間帯にドラムリフレッシュが実行されておらず、ジョブの実行が多い時間帯にドラムリフレッシュが実行されていることを把握すると、図7に示す「所定の時刻を示した時」のチェックボックス571にチェックし、且つその他のチャックボックス571のチェックをはずし、対応する閾値選択ボックス572で例えば、昼休み開始10分後の時刻を設定し、変更ボタン573を押下する。
【0095】
なお、チェックボックス571は、上記のように1つのみ選択する場合に限られず、複数個選択することも可能である。
【0096】
(S18)変更判断部540aは、入力装置507による変更ボタン573の押下又はキャンセルボタン574の押下を受け付ける。変更判断部540aは、変更ボタン573を受け付けた場合には変更指示制御部540bに送信要求を出力して、ステップS19に進み、キャンセルボタン574の押下を受け付けた場合には処理を終える。
【0097】
(S19)変更指示制御部540bは、変更指示と、ステップS17でサービスマンが選択した変更内容に対応する制御用設定値データと、を有する制御変更指示情報を、画像形成装置10宛の電子メールに含ませ、この電子メールを、通信部530を介してメールサーバ400に送信する。なお、変更指示制御部540bは、制御情報200aの一種である制御プログラムも変更する場合には、これに対応する変更用制御プログラム531aを第3記憶部540から読み出し、これも上記電子メールに含ませる。
【0098】
(S20)画像形成装置10の通信部208は、ネットワーク300を介してメールサーバ400画像形成装置管理サーバ500からの電子メールを受信する。
【0099】
(S21)画像形成装置10の変更指示受付制御部209は、通信部208が制御変更指示情報を含んだ電子メールを受信した場合、この電子メールから制御変更指示情報を抽出する。
【0100】
(S22)変更指示受付制御部209は、例えば図8(a)に示すような、受付確認画面600を操作部55に表示させる。この受付確認画面600には、画像形成装置ユーザが変更指示を受け付けるか否かを確認する、タッチパネル式のYESボタン601と、NOボタン602とが含まれる。画像形成装置ユーザは、変更指示を許可する場合にはYESボタン601を押下し、許可しない場合にはNOボタン602を押下する。
【0101】
(S23)変更指示受付制御部209は、これらの押下を受け付け、YESボタン601が押下された場合には次のステップS24に進み、NOボタン602が押下された場合には、受信した電子メールを削除して処理を終える。
【0102】
(S24)変更指示受付制御部209は、抽出した制御変更指示情報に含まれる、サービスマンが選択した変更内容に基づき、第1記憶部200の制御情報200aの一部、例えばドラムリフレッシュ制御部203aの実行開始タイミングの判断に用いられる閾値を変更する。
【0103】
(S25)変更指示受付制御部209は、例えば図8(b)に示すように、ドラムリフレッシュ制御部203aの実行開始タイミングを変更した旨の変更結果確認画面610を操作部55に表示させる。
[6]実施例1の発明の効果
本実施例1の構成によれば、画像形成装置10が、「実行履歴情報206a、ジョブ履歴情報206b、環境履歴情報206cを作成し、これを第2記憶部205に格納させる履歴情報作成部204と、制御情報200aの変更のための判断材料として、上記情報206a〜cと制御情報200aに係る情報とを画像形成装置管理サーバ500宛に送信する送信制御部207と、通信部208が受信した管理サーバ500からの制御変更指示情報に基づき、画像不良解消制御部203の制御情報200aを変更させることが可能な変更指示受付制御部209と」をさらに備えている。
【0104】
これにより、送信される画像不良解消制御部203の実行情報が、実行回数等の単一の情報ではなく、例えば図7に示すような履歴情報206aなので、いつ、画像不良解消制御部203による画像不良解消制御が実行されたかも詳細に把握できるので、サービスマンが、該実行の時系列的な傾向を分析してダウンタイムを抑制するため不必要だと思われる時(時間、日、曜日、週又は月)には該実行をさせないようにしたり又は実行回数を減らしたりする等、制御情報200aを迅速、容易且つ正確に変更することができるという効果を奏し、例えば、サービスマンがユーザの元に出向くことなくネットワークを介して該情報200aを変更することが可能となり、また、サービスマンがユーザの元に出向いて該情報200aを変更する場合においても、事前に何度もユーザの元へ行って画像形成装置の使用環境や使用状況等を調査するというような手間が省ける。
【0105】
また、該実行の時系列的な傾向を分析して十分に画像不良を解消するために必要だと思われる時(時間、日、曜日、週又は月)には該実行をさせるようにしたり又は実行回数を増やしたりする等、制御情報200aを迅速、容易且つ正確に変更することも可能である。
【0106】
さらに、実行履歴情報206a及び環境履歴情報206cに基づき、湿度又は温度が低い時間帯に画像不良解消制御手段が不必要に多く実行されていること、逆に湿度又は温度が高い時間帯に、画像不良解消制御手段が十分に実行されていないこと等を把握することができるので、例えば、温度又は湿度が高い時間帯に画像不良解消制御手段を実行させ、且つ低い時間帯に画像不良解消手段を実行させないようにする等、ユーザの使用環境に応じて、ダウンタイムを抑制し、かつ、十分に画像不良を解消するように制御情報を適切に変更することができるという効果を奏する。
【0107】
同様に、実行履歴情報206a及びジョブ履歴情報206cに基づき、ジョブの実行が多い時間帯に画像不良解消制御手段が不必要に多く実行され、逆にジョブの実行が少ない時間帯に画像不良解消制御手段が実行されていないこと等を把握することができるので、例えば、ジョブの実行が少ない時間帯に画像不良解消制御手段を実行させ、且つ多い時間帯に画像不良解消手段を実行させないようにする等、ユーザの使用状況に応じてダウンタイムを抑制するように制御情報を適切に変更することができるという効果を奏する。
【0108】
また、画像形成装置管理サーバ500が、「通信部530が受信した情報の確認画面と、画像不良解消制御部203の制御変更内容の選択画面と、を含んだ詳細ダイアログ560を表示装置506に表示させ、入力装置507から該制御変更内容の選択と、該制御情報の変更指示と、を受け付ける変更判断部540aと、受け付けた変更指示に応答して、該選択画面で選択された制御変更内容に対応する情報と、変更指示とを含む制御変更指示情報を、画像形成装置10を宛先として指定して該通信手段に送信させる変更指示制御部540bと」を備えるので、サービスマンが、画像不良解消制御手段の実行履歴情報等を確認画面で視覚的に把握し、制御情報の変更適否を判断し、選択画面で具体的変更内容を容易に選択できるという効果を奏する。
【0109】
さらに、画像形成装置管理サーバ500において、変更判断部540aはさらに、詳細ダイアログ560を表示させる前に、通信部530が受信した情報が、所定の変更条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合に図6に示すような変更通知ダイアログ600を表示させるので、サービスマンの手間を省きつつ制御情報200aを変更すべき時を把握することができるため、容易且つ適切に画像不良解消制御部203の制御情報200aを変更可能であるという効果を奏する。
[7]実施例1の発明の変形例
なお、上述した本発明の実施例1は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなしに、様々な変形が可能である。以下に、その変形の一部を例示する。
【0110】
本実施例1では、変更判断要素情報206又は制御変更指示情報は、電子メールを介して送信されるが、これらの情報は、USBメモリ60等のリムーバブル記憶媒体に格納され、サービスマン宛又はユーザ宛に郵送することが可能である。なお、リムーバブル記憶媒体には他にも、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、MD、HDD、SDカード、又はCFカードが挙げられる。
【0111】
この場合、図4に示す変更指示受付制御部209は、サービスマンから郵送されるリムーバブル記憶媒体から制御変更指示情報を読み出し、これに基づいて制御情報200aを変更する。
【0112】
同様に、変更指示受付制御部209は、サービスマンがユーザの元に出向いて操作される操作部55の指示を受け付けて、第1記憶部200の制御情報200aを変更することも可能である。
【0113】
また、電子メール以外にも、SNMP(Simple Network Management Protocol)又はSOAP(Simple Object Access Protocol)などの他の送信方法を用いて送信するようにしてもよい。
【0114】
さらに、送信される交換判断要素情報206のうち、実行履歴情報206aは、図7に示すような日時と実行された旨が記載された履歴に限られず、時間帯毎又は曜日毎の実行回数履歴又は実行時間履歴であってもよい。この場合、どの時間帯又はどの曜日が、画像不良解消制御部203の動作が多いか或いは少ないかを、図7に示す履歴情報206aよりも把握し易くなる。ジョブ履歴情報206bも同様に、時間帯毎又は曜日毎のジョブ回数履歴であってもよい。
【0115】
さらにまた、図7に示すリフレッシュ回数561、又は、平均温度563及び平均湿度564は、ステップS13又はS14において管理サーバ500側で算出する場合を説明したが、画像形成装置10側で算出し、これらを実行履歴情報206aとともに管理サーバ500宛に送信する構成であってもよい。
【0116】
また、履歴情報作成部204は、監視エージェントプログラムを備える構成を説明したが、このプログラムは必須ではなく、例えば画像不良解消制御部203やジョブ制御部202の制御プログラムに動作履歴を作成するプログラムが組み込まれている場合には、当該監視エージェントは必要ない。
【0117】
さらに、感光体ドラム31が複数個ある場合には、それぞれの実行履歴情報206aをそれぞれ作成し、送信する構成であってもよい。
【0118】
また、変更指示受付制御部209の制御情報200aの変更は、上述した以外にも、ドラムリフレッシュに用いるトナー消費量の変更、例えばクリーニングローラ38a等のローラ速度の変更、制御時間の変更、などが挙げられる。
【0119】
さらにまた、第1及び第2記憶部205は、複数個のHDDやROMで構成されてもよく、逆に単一のHDDやROMで構成されていてもよい。
【0120】
また、キャリブレーション制御部203bは、印刷用紙12にパッチを印刷しないでキャリブレーションを実行するデバイスキャリブレーションについての制御を説明したが、印刷用紙12にパッチを印刷してこれをスキャナや専用の濃度測定器を用いて濃度を測定するソフトキャリブレーションの制御を採用してもよい。
【0121】
さらに、図2では画像形成装置10がプリンタである場合を例に挙げているが、これに限られず、複写機、ファクシミリ装置、これらの各機能を備えた複合機であってもよい。
【0122】
さらにまた、画像形成装置管理システム5は、上述した構成要素以外の要素を含んでいてもよく、或いは、上記した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施例1に係わる画像形成装置管理システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置のハードウェア構成を概略的に示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置管理サーバのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図4】図1に示す画像形成装置管理システムの機能ブロック図である。
【図5】図4に示す画像形成装置管理システムの動作の一態様を示す詳細フローチャートである。
【図6】図4に示す表示装置に表示される変更通知ダイアログの説明図である。
【図7】図4に示す表示装置に表示される詳細ダイアログの説明図である。
【図8】図4に示す操作部に表示される内容の説明図であって、(a)は、変更指示の受付確認画面であり、(b)は変更結果確認画面の概略図である。
【符号の説明】
【0124】
5 画像形成装置管理システム
10 カラー画像形成装置
300 インターネット
400 メールサーバ
500 画像形成装置管理サーバ
11 給紙トレイ
12 印刷用紙
20 搬送路
21 搬送ローラ
22 排紙トレイ
30 画像形成部
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 露光ユニット
34 Y現像器
35 M現像器
36 C現像器
37 BK現像器
38 感光体クリーニングユニット
39 中間転写ドラム
40 中間転写体クリーニングユニット
41 2次転写ユニット
42 濃度検出センサ
43 温湿度センサ
44 搬送ベルト
45 定着器
50 コントロール部
51 MPU
52 RAM
53 ROM
54 HDD
55 操作部
56 搬送制御装置
57 画像形成部制御装置
58 NIC
59 USBポート
60 USBメモリ
200 第1記憶部
201 センサ部
202 ジョブ制御部
203 画像不良解消制御部
204 情報作成部
205 第2記憶部
206 変更判断要素情報
206a 実行履歴情報
206b 環境履歴情報
206c ジョブ履歴
207 送信制御部
208 通信部
209 変更指示受付制御部
501 MPU
502 インタフェース
503 RAM
504 ROM
505 HDD
506 対話型入力装置
507 表示装置
508 NIC
509 USBポート
530 通信部
531 第3記憶部
540 変更管理部
550 変更通知ダイアログ
551 詳細ボタン
552 キャンセルボタン
560 詳細ダイアログ
561 ドラムリフレッシュ回数
562 制御情報に係る情報
563 平均温度
564 平均湿度
571 チェックボックス
572 閾値選択ボックス
573 変更ボタン
574 キャンセルボタン
600 受付確認画面
601 YESボタン
602 NOボタン
610 変更結果確認画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに結合される通信手段と、記憶手段と、画像形成手段と、該画像形成手段の画像不良を解消するために、該記憶手段に格納されている制御情報に基づき該画像形成手段を制御する画像不良解消制御手段と、を備えた画像形成装置において、
該画像不良解消制御手段の実行履歴情報を作成し、これを該記憶手段に格納させる履歴情報作成手段と、
該記憶手段から該実行履歴情報を読み出させ、これを該制御情報の変更のための判断材料として該ネットワーク上の管理装置宛に、該通信手段を介して送信させる送信制御手段と、
該通信手段が受信した該管理装置からの制御変更指示情報に基づき、該記憶手段の該制御情報を変更させることが可能な変更指示受付制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
温度又は湿度を検出する検出手段をさらに備え、
該履歴情報作成手段はさらに、該検出手段の出力に基づき環境履歴情報を作成し、
該送信制御手段はさらに、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該環境履歴情報も送信させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
該履歴情報作成手段はさらに、ジョブ履歴を作成し、
該送信制御手段はさらに、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該ジョブ履歴も送信させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
該制御情報は、該画像不良解消制御手段の設定値を含み、
該送信制御手段は、該実行履歴情報とともに、該判断材料として該設定値も送信させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
該画像形成手段は、アモルファスシリコン感光体ドラム及びコロナ帯電器を含み、
該画像不良解消制御手段は、該アモルファスシリコン感光体ドラムのリフレッシュ手段であり、
該履歴情報作成手段は、該リフレッシュ手段の該実行履歴情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
該画像不良解消制御手段は、キャリブレーション手段であり、
該履歴情報作成手段は、該キャリブレーション手段の該実行履歴情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
該実行履歴情報は、実行回数又は実行時間の履歴である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の画像形成装置と、その管理装置がネットワークを介して結合される画像形成装置管理システムであって、
該管理装置は、
表示手段と、
指示入力手段と、
該画像形成装置において作成された、画像不良解消制御手段の実行履歴情報を含む情報を、該ネットワークから受信する通信手段と、
該通信手段が受信した情報の確認画面と、該画像不良解消制御手段の制御変更内容の選択画面と、を該表示手段に表示させ、該指示入力手段から該制御変更内容の選択と、該制御情報の変更指示と、を受け付ける変更判断手段と、
受け付けた変更指示に応答して、該選択画面で選択された制御変更内容に対応する情報と、変更指示とを含む制御変更指示情報を、該画像形成装置を宛先として指定して該通信手段に送信させる送信制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置管理システム。
【請求項9】
該変更判断手段はさらに、該確認画面を表示させる前に、該通信手段が受信した情報が、所定の変更条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合に該確認画面を表示させる、ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−276409(P2009−276409A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125369(P2008−125369)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】