説明

画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置

【課題】被検知部が突出する場合に比して、高速運転においても位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルト、並びに、これを用いたベルト張架装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】位置検知用の被検知部がベルトの側縁部に配置され、前記被検知部がベルトに設けられた凹部内に配置されていることを特徴とする画像形成装置用ベルト、前記ベルトと該ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えるベルト張架装置、及び、前記ベルトを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置としては、例えば、中間転写ベルトを使用した中間転写方式のカラー画像形成装置がある。これは、電子写真プロセス等によりトナー像が形成される像保持体(例えば感光体ドラム)の転写部で接触して回転するような中間転写ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その像保持体上に形成される複数のトナー像を一旦中間転写ベルトの同じ位置に重ねあわせるように一次転写した後、その中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙に一括して二次転写するものである。そして、用紙上に二次転写された多色のトナー像は、その後定着装置により定着されてカラー画像となる。
【0003】
この他、ベルトを備えた画像形成装置としては、用紙を保持して複数の画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送する用紙搬送ベルトを使用した、いわゆるタンデムタイプのカラー画像形成装置もある。これは、各色成分のトナー像を個々に形成するため画像形成ユニットを複数並べて配置し、その各画像形成ユニットの転写部で接触して回転するように用紙搬送ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その用紙搬送ベルトに吸着して保持した用紙を各画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送することにより、各画像形成ユニットで形成される各トナー像を同じ用紙に順次重ねあわせるように転写し、最後に定着させてカラー画像とするものである。
【0004】
このようなベルトを備えた画像形成装置においては、画像を正確に重ね合わせるために、高精度な位置制御が不可欠である。従来から、ベルトの位置制御は、ベルトの特定の位置をセンサにより検知することにより行われている。
特許文献1には、位置検知用の被検知部が側端縁に設けられたエンドレスベルトにおいて、該被検知部はエンドレスベルトの基材上に複数個夫々独立して設けられたものであり、かつ該被検知部を覆う透明テープが該側端縁に沿ってエンドレスベルト基材に貼着されていることを特徴とするエンドレスベルトが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−114558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着剤や接着剤を用いて被検知部がベルト本体から突出するように設けられる場合、被検知部と他の部材とが接触するため、特にベルトの高速運転、長期運転により、粘着剤や接着剤のはみ出しによるベルト汚染や被検知部の剥がれを生じる。
【0007】
本発明は、被検知部が突出する場合に比して、高速運転においても位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の<1>、<8>及び<9>に記載の手段より解決された。好ましい実施態様である<2>〜<7>とともに列記する。
<1> 位置検知用の被検知部がベルトの側縁部に配置され、前記被検知部がベルトに設けられた凹部内に配置されていることを特徴とする画像形成装置用ベルト、
<2> 前記被検知部が、粘着剤及び/又は接着剤を介することなくベルトに配置されている、上記<1>に記載の画像形成装置用ベルト、
<3> 前記被検知部が、光透過性樹脂で覆われている、上記<1>又は上記<2>に記載の画像形成装置用ベルト、>
<4> 前記被検知部が、セラミックス膜で覆われている、上記<1>又は上記<2>に記載の画像形成装置用ベルト、
<5> 前記セラミックス膜が、粘着剤及び/又は接着剤を介することなく前記被検知部に配置されている、上記<4>に記載の画像形成装置用ベルト、
<6> 前記セラミックス膜がプレセラミックポリマーを焼成してなる、上記<4>又は上記<5>に記載の画像形成装置用ベルト、
<7> 前記被検知部が、金属フィラーを含むセラミックス膜である、上記<1>〜上記<6>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト、
<8> 上記<1>〜上記<7>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置、
<9> 上記<1>〜上記<7>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
上記<1>に記載の発明によれば、被検知部が突出する場合に比して、高速運転においても位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<8>に記載の発明によれば、被検知部が突出する画像形成装置用ベルトを用いる場合に比して、高速運転においても位置検知精度を維持することができるベルト張架装置を提供することができた。
上記<9>に記載の発明によれば、被検知部が突出する画像形成装置用ベルトを用いる場合に比して、高速運転においてもずれの少ない画像形成を維持することができる画像形成装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の画像形成装置用ベルトは、位置検知用の被検知部がベルトの側縁部に配置され、前記被検知部がベルトに設けられた凹部内に配置されていることを特徴とする。本実施形態の画像形成装置用ベルトは、被検知部がベルトに設けられた凹部内に配置されているので、長期の使用においても他の部材(例えば、張架するロール)と接触することがなく、擦れや剥がれが抑制される。また、ベルトに凹部を設ければよく、ベルトの部材の材質が透明部材に限定されない。
以下、本実施形態の画像形成装置用ベルト及びその実施態様を、適宜図面を参照しながら説明する。
【0011】
(画像形成装置用ベルト)
本実施形態の画像形成装置用ベルト(以下、単に「ベルト」ともいう。)は、画像形成装置に用いられるベルトであれば特に限定されず、感光体用、中間転写用、用紙搬送用、画像定着用等のいずれのベルトであってもよい。これらの中でも、高い位置精度が要求される中間転写用ベルト又は用紙搬送用ベルトとして特に好適に使用できる。
【0012】
図面を参照して本実施形態のベルトを説明する。図1は、本実施形態の一実施形態の画像形成装置用ベルトを示す斜視図(一部、断面図で表している。)である。図2は、図1において矢印Aの方向からみた、画像形成装置用ベルトのX−X’断面図である。
図1において、画像形成装置用ベルト1は、位置検知用の被検知部(以下、単に「被検知部」ともいう。)2がベルトの側縁部に配置されている。また、被検知部2は、ベルトに設けられた凹部3内に配置されている。ここで、「側縁」は、端部を含み、画像部以外の両側近くの領域を意味する。
また、図1に示す画像形成装置用ベルト1では、ベルト本体10の裏面に、その側縁に沿うようにしてガイド部材12が設けられている。
なお、図1では、ベルト本体10の裏面にガイド部材12が設けられているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、画像形成装置用ベルトはガイド部材を有していなくてもよい。また、ガイド部材はベルト本体の一側縁に設けることもできるし、両側縁に設けてもよい。さらに、ガイド部材12のベルト本体10を挟んで反対側に、ベルト本体10を補強するための補強部材を設け、この補強部に凹部を設け、その凹部内に被検知部を配置してもよい。ここで、「画像形成装置用ベルト」とは、ベルト本体と、ベルト本体に設けられるガイド部材や補強部材などをすべて含むものを意味する。
また、図1においては位置検知用の被検知部は、ベルトの表面(外周面)に設けられているが、ベルトの裏面(内周面)に設けられていてもよい。
【0013】
<被検知部>
本実施形態において、被検知部の形状は特に限定されず、円、楕円、正方形、長方形等の矩形等、適宜選択することができる。また、被検知部の大きさも、検知感度や、ベルトの大きさに合わせて適宜選択することができる。
被検知部は、ベルトに1つ以上配置されていればよく、2以上の被検知部を配置することもでき、特に限定されるものではない。
【0014】
また、被検知部は、ベルトに設けられた凹部内に配置される。凹部の形状は特に限定されないが、凹部は、外側に開口を有する凹部であることが好ましく、断面が矩形であり、外側に開口を有する凹部であることがより好ましい。なお、本実施形態において、凹部の断面形状はこれに限定されるものではなく、台形とすることもできる。被検知部は、該凹部の内底部に配置されることが好ましい。
凹部の形状は特に限定されず、凹部の内部に被検知部が配置できればよい。図3は、本実施形態の他の実施形態の画像形成装置用ベルトを示す斜視図である。例えば、図3に示すように、凹部3を溝状とすることもできるし、凹部を溝状としてベルトの側縁に周状に設けて、被検知部を非連続的に配置してもよい。
【0015】
図1では、被検知部はベルト本体に設けた凹部内に設けられているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、ガイド部材に凹部、好ましくは外側に開口を有する凹部を設け、その内部に被検知部を配置してもよい。
図2(A)を参照すれば、凹部3はベルト本体10の外周側に設けられており、また、凹部3の内底には、接着剤4を介して被検知部2が配置されている。
また、図2(B)では、凹部はベルト本体10の内周側に設けられており、また、凹部3の内底には、接着剤4を介して被検知部2が配置されている。図2(C)では、凹部3は、ガイド部材12に設けられており、該凹部3の内底には、接着剤4を介して被検知部2が設けられている。図2(D)では、ベルト本体10のガイド部材12が設けられている面と反対側(外周側)に、補強部材5が設けられている。また、凹部3は補強部材5に設けられており、また、凹部3の内底には、接着剤4を介して被検知部2が配置されている。
なお、本発明において、凹部とは、図2(A)、図2(B)及び図2(D)に示すように、一面のみが外側に開口を有するものに限定されず、図2(C)に示すように、二面が外側に開口するものであってもよい。
【0016】
被検知部は、検知用のセンサが検知可能であれば特に限定されないが、本実施形態のベルトは、反射性を有する光反射部を被検知部として使用することが好ましい。光反射部の反射成分としては銀、金、アルミニウム、銅等の金属が例示でき、アルミニウムが好ましい。
光反射部は、ベルトに設けられた凹部内に蒸着することにより形成してもよいし、光反射部材を凹部内に固着することによって形成してもよい。光反射部材としては、銅、アルミ薄等や、表面に金属薄膜を有するプラスチックフィルムが例示でき、光反射部材に粘着剤及び/又は接着剤を塗布したものを貼着することによって凹部に配置することができる。
光反射部の光反射率は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。光反射率が上記範囲内であると、高い検知感度を得ることができるので好ましい。
また、ベルトと被検知部とは、一方がセンサの光に対して吸収となり、他方が反射となるように選択することが好ましい。
【0017】
被検知部の厚みは、特に限定されないが、ベルトの厚みや耐久性を考慮して、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1〜20μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。なお、被検知部の厚みとは、粘着剤及び/又は接着剤を介して凹部に固着される場合には、該粘着剤及び/又は接着剤の厚みも含むものとする。但し、後述するように被検知部が光透過性樹脂で覆われている場合には、該光透過性樹脂の厚みは含まない。
【0018】
また、凹部内への被検知部の配置は、いずれの方法によってもよいが、被検知部が粘着剤及び/又は接着剤を介することなくベルトに配置されていることが好ましい。粘着剤及び/又は接着剤を介することなく配置されていると、被検知部の剥がれが生じにくく、耐久性が向上するので好ましい。
粘着剤及び/又は接着剤を介することなくベルトに配置する方法としては、ベルト塗布液を成形用芯材に塗布、乾燥後、被検知部(好ましくは光反射部材)を押しつけ、その後加熱焼成することによって固着する方法が例示できる。詳細については後述する。
【0019】
被検知部は、光透過性樹脂で覆われていることが好ましい。光透過性樹脂で覆うことにより、被検知部への表面傷の発生や汚れの付着を防止することができ、耐久性が向上するので好ましい。すなわち、被検知部を光透過性樹脂で覆うことにより、被検知部に保護層を設けることが好ましい。
光透過性樹脂の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリアミドイミド、アクリル樹脂、透明セラミックなどを例示することができる。これらの中でも、耐傷性の観点からPET、ポリイミドが好ましい。
光透過性樹脂の光透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは60%以上である。光透過率が上記範内であると、良好な検知感度を得ることができるので好ましい。
また、光透過性樹脂を被覆する方法としては、スプレーコーティング、印刷法、塗布法、テープ状の光透過性樹脂を貼り付ける方法等が例示でき、特に限定されない。
【0020】
また、光透過性樹脂の厚さは3〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。
光透過性樹脂の厚さが上記範囲内であると、被検知部の表面傷や汚れの保護作用が良好であり、ベルトへの密着性が良好であるので好ましい。
【0021】
また、被検知部がセラミックス膜で覆われていることが好ましい。セラミックス膜は硬度が高く、被検知部に優れた耐傷性を付与する。
また、前記セラミックス膜は、粘着剤及び/又は接着剤を介することなく、前記被検知部に配置されていることが好ましく、これにより、粘着剤/接着剤のはみ出しがなく被検知部に配置することができる。特に、前記セラミックス膜は、ベルト本体と一体に焼成されて成形される(一体成形される)ことが好ましい。この場合、ベルト本体と同時に成形することで、工程上有利である。
【0022】
なお、前記セラミックス膜の厚みは、被検知部の検出感度が十分に得られる範囲で適宜選択すればよいが、セラミックス膜の膜厚は2μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることがより好ましい。
【0023】
セラミックス膜は、プレセラミックポリマーを焼成して形成することが好ましい。一方、セラミックス自体は、軟化点が非常に高いため、溶融加工法を利用して成形することが極めて困難である。なお、プレセラミックポリマーとは、セラミック前駆体であり、所望の形状に成形した後、焼成によってセラミックスになる。
プレセラミックポリマーから作られる殆どのセラミックスはケイ素を主体としている。Si、C、N、O比を変えたセラミックアロイもプレセラミックポリマーから作られるようになってきており、さらに、金属アルコキシドや等で化学修飾することもできる。
【0024】
本発明に好適に用いられるプレセラミックポリマーとしては、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリボロシロキサン、ポリチタノシロキサン、ポリシラザン、ポリシラスチレン、水素シルセスキオキサン樹脂、メタロポリカルボシラン(例えば、ポリチタノカルボシラン)、ポリアルミノキサン、ボランジン、ポリ窒化アルミニウム、ラダー型シリコーン、無機化シリコーン等が例示でき、特開昭60−145903号公報、特開昭60−226890号公報、特開昭61−89230号公報、特開昭62−156135号公報、特開平05−106054号公報、特開平5−247219号公報、特開平9−264236号公報、特開平10−69819号公報、「高分子大辞典」(丸善、平成6年刊、935頁〜939頁)等が参照できる。
【0025】
これらの中でも、プレセラミックポリマーとしては、ポリシロキサン(シリコーン樹脂)、ポリボロシロキサン、チラノポリマー(ポリチタノカルボシラン)が好ましく、耐熱性に優れる点から、チラノポリマー(ポリチタノカルボシラン)が特に好ましい。
【0026】
ポリシロキサンは、下記式で表される構造を基本単位とする無機ポリマーある。
Si(−O−)n(−R)4-n
式中、Rは、一価の有機基を表し、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10)が例示できる。前記一価の有機基は、さらに置換されていてもよく、該置換基としては、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が例示できる。
【0027】
ポリシロキサンは、例えば、クロロオルガノシラン、ジクロロアルガノシラン、トリオルガノシラン等の官能性有機シラン化合物を金属ナトリウムの存在下に重縮合することにより製造することができる。ポリシロキサンは、好ましくは重量平均分子量が200〜5,000,000であり、より好ましくは、500〜3,000,000である。
【0028】
本発明に使用できるポリシロキサンの市販品の例としては、東芝シリコーンTSR116、TSR117、TSR127B、TSR144、TSR145、YR3187、YR3168、YR3370(以上東芝シリコーン社製)、SH804、SH805、SH806A、SH808、SH840、SH2107、SH2108、SH2400(以上東レシリコーン社製)、信越シリコーンKR271、KR282、KR311、KR255、KR155(以上信越シリコーン社製)等がある。なお、シリコーン樹脂としては純シリコーンの他、シリコーンアルキッド樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、シリコーンエポキシ樹脂、シリコーンウレタン樹脂、有機変性シリコーンを含むポリシロキサン誘導体等も使用することができる。
【0029】
ポリボロシロキサンは、下記式の構造を基本単位とする無機ポリマーである。
【0030】
【化1】

式中、Rは1価の有機基であり、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10)が例示できる。
【0031】
ポリボロシロキサンを得る方法としては、例えば、ホウ酸とジクロロジフェニルシランあるいはジフェニルシランジオールとの反応によって得る方法、ジメチルジアセトキシシランとホウ酸メチルエステルを溶媒中で加熱重縮合することにより製造する方法が例示できる。重量分子量は好ましくは500〜50,000であり、より好ましくは1,000〜10,000である。
【0032】
ポリシラザンは、(R2SiNR)3等(ここで、Rは水素原子又はアルキル基を表す)のシクロシラザンとクロロシラン(RnSiCl4-n、ただし、n=0,1,2,3、Rは水素原子又はアルキル基)とから合成することができる。この合成法については特開平6−128040号公報に詳しい。
【0033】
ポリチタノカルボシランは、チラノポリマーともよばれるSi−Ti−C−O系セラミックの前駆体となる有機金属架橋重合体であり、一般に、ポリジメチルシランに少量の反応促進剤と適量のチタン化合物を加え、熱重縮合して得ることができる。このポリチタノカルボシランは、主としてカルボシラン骨格(Si−C)から成る直鎖状ポリマーをチタンアルコキシドにより架橋結合させた網目状ポリマーであり、その重量平均分子量は500〜10,000が好ましく、700〜3,000がより好ましい。このポリチタノカルボシランは200〜700℃の焼成でセラミックとなる。焼成時間は15分〜5時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
ポリチタノカルボシランは、実質的に非晶性のポリマーであり、金属との適合性や耐酸化性が高いという特徴を持っている。
ポリチタノカルボシランは上市されており、例えば、宇部興産(株)製のチラノコートVN−100などがあげられる。
【0034】
前記プレセラミックポリマーは250℃〜550℃で焼成することが好ましく、300℃〜380℃で焼成することがより好ましい。また、焼成時間は10分〜4時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。ここで、焼成温度及び焼成時間は、使用するプレセラミックポリマーの種類、成形厚み等に合わせて選択する。
【0035】
被検知部が、金属フィラーを含むセラミックス膜であることも好ましい態様である。
金属フィラーを前記プレセラミックポリマーに添加し、ベルトに設けられた凹部に金属フィラーを含むプレセラミックポリマーを塗布し、ベルトとともに焼成することで、硬度及び耐傷性に優れた被検知部となる。また、金属フィラーにより反射性を付与し、光反射部として機能するため、被検知部としての使用に適する。さらに、ベルトとの一体成形が可能であり、密着力にも優れるので好ましい。
【0036】
前記金属フィラーとしては、金、銀、パラジウム、インジウム、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、ビスマス等の金属、Al23、SiO2、炭化ケイ素、窒化ケイ素、六ホウ化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、ホウ素、炭化チタン、窒化アルミニウム等のような金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物等の粉末が例示できる。
これらの中でも、被検知部に反射性を付与する観点から、Al23、銀が好ましい。
【0037】
前記金属フィラーの平均粒子径は1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。金属フィラーの平均粒子径が上記範囲内であると、分散性に優れるとともに、優れた反射性を示すので好ましい。なお、金属フィラーが粒子状でない場合には、球相当粒子径を意味する。
なお、金属フィラーは粒子状に限定される訳ではなく、針状、平板状、回転楕円状等のいずれの形状であってもよい。
【0038】
金属フィラーの添加量は、被検知部が十分な反射性を有する限り適宜選択することができるが、形成されたセラミックス膜全体(焼成後)の0.5〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましい。
金属フィラーの添加量が0.5重量%以上であると、反射性を付与され、10重量%以下であると、得られるセラミックス膜の強度に優れるので好ましい。
【0039】
凹部の大きさ及び深さは必要とされる被検知部の大きさに合わせて適宜選択することができ、特に限定されないが、凹部の深さは5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。凹部の深さが上記範囲内であると、凹部内に被検知部を配置することができるとともに、ベルト自体の機械的強度を損ねることがないので好ましい。
なお、凹部の深さは、被検知部(被検知部が光透過性樹脂で覆われている場合には、それらの合計)の高さよりも大きくなるように形成する。すなわち、ベルト表面(外周面及び内周面)に凸部を生じることのないように、凹部の深さを選択する。
【0040】
本実施形態において、被検知部を設ける位置は、ベルトの側縁部であれば特に限定されないが、非画像部に配置することが好ましい。ベルトの外周面に被検知部を設ける場合には、画像部に被検知部を設けると画像抜けの原因となる。また、ベルトの内周面に被検知部を設ける場合には、帯電性に影響して、画質低下の原因となる場合がある。したがって、本実施形態において、被検知部は非画像部に配置することが好ましい。
【0041】
本実施形態のベルト1は、後述する画像形成装置に、複数のロールにより回転可能に支持されて備えることができ、ベルト本体10の外周面が、トナー像が転写される用紙を保持する用紙保持面、トナー像を転写する中間転写面、潜像を形成する感光面、被接触部材を帯電させる帯電面、現像剤を保持する現像剤保持面等として機能することができる、樹脂製のベルトであって、電子写真式複写機、レーザープリンター等における感光装置、中間転写装置、転写分離装置、搬送装置、帯電装置、現像装置等に好適に使用される。ここで、本実施形態のベルトを構成するベルト本体は、ベルトの用途、機能等に応じて、材質、形状、大きさ等を適宜設定することができる。
【0042】
図1及び図2に示すように、本実施形態において、ベルト1は、ベルト本体10の表面にその側縁に沿うようにしてガイド部材12を設けることが好ましい。該ガイド部材12は、接着部14を介してベルト本体10に設けられていることが好ましい。ただし、ガイド部材が直接ベルト本体の表面に接着されている態様を排除するものではない。なお、図1に示すように、ベルト本体10の内周面(内側面)にガイド部材12が設けられていることが好ましいが、ベルト1の適用される用途に応じて、ベルト本体10の外周面(外側面)に設けてもよい。
【0043】
<ベルト本体>
ベルト本体の材質としては、ヤング率2,000MPa以上の樹脂材料が好ましく用いられる。ヤング率2,000MPa以上の樹脂材料を用いることで、ベルト走行時に、外部からの応力による変形が抑制される。なお、ベルト本体のヤング率は大きければ大きい程良いが、実用上は8,000MPa以下であり、6,000MPa以下であることが好ましい。ベルト本体のヤング率は、使用する樹脂材料の化学構造を選択することで上記範囲に制御することができ、芳香環構造を含むものほどヤング率が高くなる。
なお、ヤング率は、JIS K 7127に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求める。
ベルト本体の材質としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。なお、ベルト本体は環状であれば、つなぎ目があってもなくてもよい。ベルト本体の厚さは、通常、0.02〜0.2mm程度が好ましい。
本実施形態のベルトが、特に中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトとして用いられる場合、ベルト本体としては、導電剤を含有するポリイミド系樹脂や導電剤を含有するポリアミドイミド系樹脂を用いた半導電性ベルトが好ましく使用される。ここで、「半導電性」とは、後述する表面抵抗率及び体積抵抗率の範囲を満たすことを意味する。
導電剤を含有する、ポリイミド系樹脂又はポリアミドイミド系樹脂を用いたベルト本体の作製は、例えば、円筒体の外面に導電剤を含有するポリアミドイミド溶液を塗布して乾燥・加熱し、ポリアミドイミド樹脂被膜を円筒体から剥離する等、公知の方法によって行うことができる。
【0044】
本実施形態のベルトを中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとして用いる場合、1×109Ω/□〜1×1014Ω/□の範囲に表面抵抗率を、1×108〜1×1013Ωcmの範囲に体積抵抗率を制御することが好ましく、そのために必要に応じて導電剤(導電性フィラー)を添加することができる。このような導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウム又は酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、又はポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどが好適に使用できる。これら導電性フィラーは単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。中でも、導電性フィラーとしては、コストの点でカーボンブラックが好適である。また、必要に応じて分散剤、滑剤などの加工助剤を添加することができる。
ここで、表面抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で測定し、JIS K 6911に従い測定する。ベルトの24点(幅方向3箇所×周方向8箇所)を測定して、その平均値をベルトの表面抵抗率とする。
【0045】
ベルト本体は、既述のように、柔軟性のある材料で構成されていることが好ましく、弾性を有する熱可塑性樹脂や合成ゴムが好ましく使用される。またベルト本体の耐久性という観点から劣化や変質をしにくいポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂を主成分とすることが好ましい。
ベルト本体の製造例を以下に例示する。溶剤可溶型のポリアミドイミド樹脂(東洋紡(株)製:バイロマックスHR16NNなど)又はポリイミド樹脂(宇部興産(株)製:ユーワニスSなど)に、導電剤としてカーボンブラックを樹脂成分100重量部あたり、15〜35重量部添加し、混合物を分散して得られる塗液を、アルミ製パイプの外面に塗布した後、焼成を行ってポリアミドイミド樹脂又はポリイミド樹脂のベルト本体を製造する。次にこのベルト本体を、円筒型パイプに挿入して巻き付けた状態で、又は、一旦成形パイプから取り外して別の2軸ロールに張架した状態で、所定の幅に設定した一対の刃を差し込み、ベルトを1回転させることで、所望の幅を有するベルト本体を製造することができる。
【0046】
<ガイド部材>
本実施形態において、画像形成装置用ベルトは、ベルト本体にガイド部材が設けられていることが好ましい。
ベルト本体がロールに張架されて、ロール軸方向へ移動しようとする寄り力が発生すると、その寄り力に抗して発生する同じ強度の反力(応力)がガイド部材に直接かかることとなる。この応力をガイド部材自身である程度分散吸収することができるという観点から、ガイド部材は、デュロメータ硬さがA60〜A90の範囲内の弾性部材であることが好ましく、デュロメータ硬さがA70〜A90の範囲内の弾性部材であることが特に好ましい。デュロメータ硬さが上記の範囲内であると、ガイド部材が支持ロールに乗り上げたり、ベルト本体がベルト支持ロールに追従しなくなってしまうことがない。デュロメータ硬さは、JIS K 6253(1997)に準拠して、タイプAデュロメーターを用いて測定する。
【0047】
上記のようなデュロメータ硬さを有する弾性部材の材質としては、ポリウレタン樹脂、ネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の適度な硬度を有する弾性体等が使用できる。これらの中でも、電気絶縁性、耐湿、耐溶剤、耐オゾン及び耐熱性、耐磨耗性を考慮すると、特にポリウレタンゴムやシリコーンゴムが好適に用いられる。
【0048】
前記ガイド部材の断面形状は、ベルトの使用条件等により適宜定めることができるが、蛇行防止効果を十分に得るためには、断面形状を略矩形とすることが好ましい。前記ガイド部材の幅は蛇行防止効果、耐久性等の点から、通常1〜10mmが好ましく、特に4〜7mmが好ましい。厚みは、特に制限されないが、蛇行防止効果や耐久性等の観点から、通常0.5〜5mmが好ましく、特に1〜2mmが好ましい。
【0049】
<補強部材>
本実施形態において、ベルト本体に補強部材を設けることもできる。補強部材は、ベルト本体の外周面及び/又は内周面の幅方向の端部に設けることができ、ベルト本体のたわみ等によるベルト亀裂を抑制するものである(図2(D)参照)。ベルト内周面に補強部材を設ける場合には、ベルト本体に補強部材を配置し、補強部材にガイド部材を接着及び/又は配置する態様が例示できる。補強部材を設けることによって、張架ロールに設けられたカラーに乗り上げた場合などに、折れ曲がり部分を抑制し、応力集中を緩和する。
なお、補強部材としては、例えばポリイミドテープや、硬質ゴム部材等を用いることができるが、特に限定されず、厚みの制約や必要とされる強度、弾性等に応じて選択することが好ましい。補強部材に関しては、特開2000−337464号公報、特開2004−252487号公報、特開2004−46199号公報、特開2006−227412号公報等に記載されている。
【0050】
〔画像形成装置用のベルトの作製〕
本実施形態のベルトの作製方法について説明する。
ベルト本体の作製は、上述したように、例えば、円筒体の外面に、溶剤と、溶剤可溶型樹脂と、必要に応じて導電剤等とを混合した塗布液を塗布して乾燥し、加熱焼成した後、樹脂被膜を円筒体から剥離する等、公知の方法により作製することができる。
凹部の形成方法は特に限定されず、ベルトの作製中に所望の凹部の大きさに合わせた部材を押しつけることにより形成してもよいし、ベルトを作製した後に機械的又は化学的に切り欠きを設けることにより凹部を形成してもよい。
図4を参照して、具体的に説明する。図4は、ベルトの作製方法の一実施形態を示す断面概念図である。図4(A)において、(a)は、塗布して乾燥した塗膜(加熱焼成前)10’を示している。塗膜10’は、加熱焼成前であるので、上部から適当な樹脂部材15を押しつけること(図4(A)、(b))によって、凹部3を形成することができる(図4(A)、(c))。塗膜10’を焼成後、形成された凹部3に、接着剤4を介して被検知部2を固着することによって、ベルトに形成された凹部3内に被検知部2が配置されたベルト1を作製することができる。
【0051】
図4(B)は、ベルトの作製方法の他の実施形態を示す断面概念図である。
図4(B)(a)において、円筒体(芯体)20の上に樹脂フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)16を巻き付け、この樹脂フィルム16を含む範囲に塗布液を塗布して乾燥・加熱焼成する。得られた樹脂被膜を円筒体から剥離するとともに、樹脂フィルム16を引き剥がすことで、裏面(内周側)に凹部3を有するベルト本体10を作製することができる。
このようにして形成された凹部3に被検知部2を接着剤4を介して接着することにより、ベルトに形成された凹部3内に被検知部2が配置されたベルト1を作製することができる。
【0052】
図4(C)は、ベルトの作製方法の他の実施形態を示す断面概念図である。
図4(C)(a)において、塗布して乾燥した塗膜10’に、被検知部2を上部から適当な樹脂部材15で押しつけ、乾燥膜に凹部3を設けるとともに、その内底部に被検知部2を配置する。その後、加熱焼成することによって、被検知部2がベルトに形成された凹部3内に配置されたベルト1を作製することができる。
【0053】
図4(D)は、ベルトの作製方法の他の実施形態を示す断面概念図である。
図4(D)(a)において、円筒体(芯体)20上に、樹脂フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)16、被検知部2及び光透過性樹脂フィルム17をこの順で載置し、樹脂フィルム(ポリイミドフィルム)16及び被検知部2を含む領域に塗布液を塗布し、乾燥、加熱焼成を行う。得られた樹脂被膜を円筒体20から剥離するとともに、樹脂フィルム16を引き剥がすことにより、裏面(内周面)に凹部3を有し、その内底面に光透過性樹脂フィルム17により保護された表面を有する被検知部2が配置されたベルト1を作製することができる。
【0054】
ガイド部材に凹部及び被検知部を配置する方法も、上記と同様の方法が挙げられる。
なお、ベルトの作製方法はこれに限定されるものではなく、当業者に公知の方法を適宜組み合わせて用いることができることはいうまでもない。
【0055】
ベルトの作製は、シート状のベルト本体とガイド部材とを接着し、その後ベルト本体の端部間を接着して環状のベルトを作製してもよいし、ベルト本体を環状に形成した後にガイド部材を接着してベルトを作製してもよい。ガイド部材は、ベルト本体の片方の側縁に沿って設けるのみでもよいが、さらなる蛇行防止効果、耐久性及び補強効果等の点から、特に広幅のベルト本体の場合には、その両方の側縁に沿って設けることがより好ましい。ガイド部材のベルト本体への接着位置(側縁からの距離)は、ベルトの用途、機能、ベルトを用いる装置等に応じて適宜設定される。ガイド部材は、ベルト本体の端部に沿って接着してもよく、端部からベルト本体の中央側に適宜入った位置に固定してもよい。
【0056】
図1では、ベルトは、ベルト本体10の内側面にガイド部材12が接着されているが、ガイド部材12は、ベルト1の適用される用途に応じて、ベルト本体10の外側面に接着されていてもよい。また、ガイド部材12はベルト1の補強効果の点から全周に設けることが好ましいが、ガイド部材のつなぎ目に1〜10mm程度の隙間を有していてもよい。
【0057】
前記ベルト本体及び前記ガイド部材は、ベルト本体の、少なくとも片側の側縁に沿って、ベルト本体に周方向に固定されることが好ましい。この固定のためには、前記ベルト本体と前記ガイド部材とを接着部で固定することが好ましい。
【0058】
<張架装置、ガイド部材の案内方法>
本実施形態の他の一つの側面は、ベルト張架装置に係り、上記のベルトと、該ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備える。
すなわち、本実施形態のベルトは、このベルトを内側から張架して支持する複数のロールを備えるベルト張架装置において使用することができる。ロールの数は2以上であり、2〜4であることが好ましい。
【0059】
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置であれば特に限定されるものではなく、該ベルトは、例えば用紙搬送ベルトや中間転写ベルトとして用いられる。該画像形成装置の態様としては、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。
【0060】
以下に、本実施形態の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図5は、本実施形態のベルトを中間転写ベルトとして備えた画像形成装置を示す概略図である。
図5に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスロール103、被転写体である用紙を供給する用紙トレイ104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、バックアップロール122、導電性ロール125、電極ロール126、クリーニングブレード131、用紙141、ピックアップロール142、並びにフィードロール143を備えてなり、中間転写ベルト102として本実施形態のベルトが用いられる。
中間転写ベルト102の内側面に備えられたガイド部材は、ベルト支持ロール121、123及び124の側縁部に当接するように位置するため、ベルト走行時、中間転写ベルト102はベルト部材に案内され、中間転写ベルト102はベルト走行時の蛇行を起こさない。
【0061】
図5に示す画像形成装置において、感光体ドラム101は矢印F方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム101にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段により第1色(例えば、ブラック(BK))の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置105によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転で導電性ロール125が配置された一次転写部に到り、導電性ロール125からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト102に吸着させつつ中間転写ベルト102の矢印G方向の回転で一次転写される。導電性ロール125は、図5に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
【0062】
以下、同様にして第2色(例えば、イエロー(Y))のトナー像、第3色(例えば、マゼンタ(M))のトナー像、第4色(例えば、シアン(C))のトナー像が現像装置106、107、108により順次形成され中間転写ベルト102において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
多重トナーを中間転写ベルト102上に重ね合わせるために、中間転写ベルトに設けた凹部内底面に配置したアルミニウム製の被検知部を基準マークとして光学的に検出することができる。この光学的な位置検知には、発光手段である発光素子と、この発光素子から発光された光の反射量に応じて電圧を出力する受光手段である受光素子とを組み合わせた被検知装置(不図示)をベルトの周方向に設ける。
カーボンブラックを配合したベルト本体又はガイド部材に光反射部材を組み合わせた場合、光反射量は被検知部の表面で急激に増大し、受光素子の検出電圧を階段状に増加させ、ベルト本体又はガイド部材に戻ると、また階段状に低下する。
光反射量に応じた電圧変化は制御部(不図示)に出力され、この被検知部の検出タイミングに同期させて中間転写ベルトの位置を検知して多重トナー像の位置あわせを行うことができる。
【0063】
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の回転でバイアスロール103が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト102のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスロール103と該中間転写ベルト102の裏側からバイアスロール103に対向するごとく配置されたバックアップロール122及びこのバックアップロール122に圧接して回転する電極ロール126から構成される。
【0064】
用紙141は、用紙トレイ104に収容された用紙束からピックアップロール142で一枚ずつ取り出され、フィードロール143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスロール103との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスロール103及びバックアップロール122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に保持されたトナー像が転写される。
【0065】
トナー像が転写された用紙は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール103は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード131が常時当接するごとく取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0066】
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して用紙141を定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスロール103と中間転写ベルト102を介して対向配置したバックアップロール122に圧接した電極ロール126にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで該トナー像を用紙に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0067】
次に、本実施形態の画像形成装置の他の一例を示す。図6は、本実施形態のベルトを用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置を示す概略図である。
図6に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器209とを備えており、用紙搬送ベルト206として、本実施形態のベルトが用いられる。
用紙搬送ベルト206の内周側に備えられたガイド部材(不図示)は、ベルト支持ロール210、211、212及び213の側縁部に当接するように位置するため、ベルト走行時、用紙搬送ベルト206はベルト部材により案内される。用紙搬送ベルト206は、ガイド部材が、ベルト支持ロール210等に形成された案内溝に嵌合して走行することにより、ベルト走行時に蛇行する問題を起こさない。
【0068】
ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能にそれぞれ感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電ロール202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラムクリーナー205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
【0069】
ユニットY、M、C、BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、ユニットBK、Y、C、Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0070】
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト206には、ベルト用クリーニング装置214が備えられている。
【0071】
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、用紙搬送ベルト206を介してトナー画像を用紙(被転写体)216に転写する転写領域(ニップ部)を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図6のように感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
【0072】
定着器209は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域(ニップ部)を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0073】
用紙搬送ロール208により、用紙216は用紙搬送ベルト206に搬送される。
【0074】
図6に示す画像形成装置において、ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電ロール202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を所定の極性と電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0075】
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0076】
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との転写領域(ニップ部)を通過すると同時に、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して転写領域(ニップ部)まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、用紙216の表面に順次転写される。
【0077】
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラムクリーナー205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の転写サイクルに供される。
【0078】
以上の転写サイクルは、ユニットC、M及びYでも同様に行われる。
【0079】
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された用紙216は、さらに定着器209に搬送され、定着が行われる。
以上により用紙上に所望の画像が形成される。
【0080】
さらに、本実施形態の画像形成装置の他の一例を示す。図7は、本実施形態のベルトを中間転写ベルトとして備えたタンデム式の画像形成装置の要部を説明する模試図である。
具体的には、感光体79表面を帯電する帯電ロール83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する一次転写ロール80、感光体79に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリ−ナー84(クリーニング装置)、被転写材上のトナー像を定着する定着ロール72等必要に応じて公知の方法で任意に備えることができる。感光体79と一次転写ロール80は、図7のように感光体直上に配置していても、感光体直上からずれた位置に配置していてもよい。そして、この中間転写ベルト86として本実施形態のベルトを備えることで、上述の構成のようなタンデム式の画像形成装置においても、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
【0081】
さらに、図7に示す画像形成装置の構成について詳細に説明する。図7に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、バックアップロール73、テンションロール74、二次転写ロール75、用紙経路76、用紙トレイ77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの一次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主要な構成部材として含んでなる。
【0082】
まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して一次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置78が設けられている。
【0083】
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と一次転写ロール80とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール73、テンションロール74、及び駆動ロール81により張架されている。なお、4つの一次転写ロール80はバックアップロール73とテンションロール74との間に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
【0084】
また、中間転写ベルト86を介してバックアップロール73の反対側には用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための二次転写ロール75が、バックアップロール73に対して圧接するように設けられている。
【0085】
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレイ77が設けられ、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して二次転写部を構成するバックアップロール73と二次転写ロール75との圧接部を通過するように用紙を供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙はさらに1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
【0086】
次に図7の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行われ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、一次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
【0087】
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、二次転写部に運ばれ、二次転写ロール75により、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、さらに定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録用紙表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
(ベルト本体の作製)
<塗布液:ポリイミド前駆体溶液>
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミンオキシジアニリン(ODAPDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産(株)製、ユーワニスRS)のポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(Degussa社製、SPEDIAL BLACK4)を23重量部になるように添加して、衝突型分散機(ジーナス製、GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
【0089】
<ベルトの作製−1>
予め離型剤を焼き付けた外径190mm、長さ600mm、厚さ5mmの円筒形のアルミ製円筒状基材を成形用芯体とし、この芯体を100rpmで回転させながら、前記ポリイミド前駆体溶液を芯体外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、塗布長350mm、厚み0.5mmで塗布した後、5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱乾燥し、常温に冷却後、300℃まで2時間加熱焼成することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却してから、芯体からポリイミドシームレス管状物を分離し、幅340mmにカットした。これにより外径190mm、厚さ80μm、幅340mmのシームレスベルト得た。
次に、幅5mm、厚さ1mm、長さ590mm、硬度70°のポリウレタン部材(タイガースポリマー製、TR100−70)をリブガイドとし、このリブガイドの片面にシリコーン系接着剤(スーパーX、セメダイン製)を塗布し、シームレスベルトの幅方向両外側の内周面に沿って、リブガイドを貼り付け、リブガイド付シームレスベルトを得た。
【0090】
(光反射部材の作製)
<光反射部材A>
PETフィルム表面にAlを蒸着し、PETフィルム他方の面にシリコーン系粘着剤を塗布した総厚5μm、10mm四方のシートを光反射部材Aとした。
【0091】
<光反射部材B>
厚さ5μm、10mm四方のAlシートを光反射部材Bとした。
【0092】
<光反射部材C>
厚さ5μm、10mm四方のAlシートに、セラミックス膜の前駆体チラノポリマー(宇部興産、VN−100)を塗布し、250℃で1時間焼き付けた。これを、セラミックス膜で覆われた光反射部材Cとした。焼成後のセラミックス膜の膜厚は、13μmであった。
【0093】
(評価)
得られた光反射部材を設けたシームレスベルトを評価機として富士ゼロックス(株)DocuColor a450を用いて、シート(光反射部材)の剥がれ、傷を目視で判定し、反射性を投受光センサの電圧から判定した。なお、センサの初期特性は光反射部材個所で4.5Vで、3.0V以上を可、4.0V以上を良とした。またベルト1回転を1サイクルとし、最長500K(500×103)サイクルまで実施した。
なお、ベルトの内周面又は外周面に設けられた光反射部材(被検知部)の位置により、検知部の配置位置及び検知目標位置を適宜調整した。
【0094】
(実施例1:光反射部材をシームレスベルト表面の厚み方向内側に配置)
<ベルトの作製>
塗布液の乾燥後に12mm角の樹脂部材を乾燥膜表面の所定の位置に押し付け、凹みを形成させた以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。これにより、表面から深さ30μmの凹みが存在するシームレスベルトを得た。この凹みに反射部材Aを貼り付け、シームレスベルト表面から厚み方向25μmに光反射部材を設けたシームレスベルトを得た。
【0095】
図8(A)は、実施例1において作製した画像形成装置用ベルトの断面概略図である。なお、図8(A)は、図1におけるX−X’断面をA方向から観察している。なお、図8において、ガイド部材は省略しており、図中の上方がベルトの外周面を表し、下方が内周面を表す(図8において、以下、同様。)。
12mm角の樹脂部材を乾燥膜表面の所定の位置に押しつけたことにより、ベルトの外周面に深さ30μm、12mm四方の外側に開口を有する凹部が形成されている。反射部材Aはシリコーン系接着剤により凹部の底部に接着固定されている。
【0096】
<評価結果>
このシームレスベルトを500Kサイクルまで評価したところ、光反射部材に傷は無かったものの、わずかながら片隅に剥がれが生じたが、ベルトの運転にはなんら問題なく、センサからの電圧も4.45Vで「良」であった。
【0097】
(実施例2:光反射部材をシームレスベルト裏面の厚み方向内側に配置)
<ベルトの作製>
予め離型剤を塗布した幅12mm、厚さ30μmのポリイミドフィルムを成形用芯体表面の所定位置に巻きつけ、このポリイミドフィルムを含む範囲に塗布液を塗布した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。巻きつけたポリイミドフィルムをシームレスベルトから引き剥がすことで、裏面から深さ30μm、幅12mmの凹みが存在するシームレスベルトを得た。この凹みに反射部材Aを貼り付け、シームレスベルト裏面から厚み方向25μmに光反射部材を設けたシームレスベルトを得た。
【0098】
図8(B)は、実施例2において作製した画像形成装置用ベルトの断面概略図である。なお、図8(B)は、図1におけるX−X’断面をA方向から観察している。
ポリイミドフィルムを巻き付けから塗布液を塗布したことにより、ベルトの内周面に深さ30μmの外側に開口を有する凹部が形成された。反射部材Aはシリコーン系接着剤により凹部の底部に接着固定されている。
【0099】
<評価結果>
実施例1と同様にしてこのシームレスベルトを500Kサイクルまで評価したところ、実施例1同様、光反射部材に傷は無かったものの、わずかながら片隅に剥がれが生じたが、ベルトの運転にはなんら問題なく、センサからの電圧も4.45Vで「良」であった。
【0100】
(実施例3:光反射部材をシームレスベルトと一体で表面の厚み方向内側に配置)
<ベルトの作製>
塗布液の乾燥後に光反射部材Bを乾燥膜表面に押し付け、乾燥膜表面から厚み方向25μmに設置した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。これにより光反射部材とシームレスベルトが一体で、シームレスベルト表面から厚み方向25μmに光反射部材を設けたシームレスベルトを得た。なお、光反射部材は引き剥がし測定ができないほど、強固にシームレスベルトに接着していた。
【0101】
図8(C)は、実施例3において作製した画像形成装置用ベルトの断面概略図である。なお、図8(C)は、図1におけるX−X’断面をA方向から観察している。
乾燥後の塗膜に光反射部材Bを押しつけることにより、ベルトの外周面に深さ25μmの外側に開口を有する凹部が形成された。25μmの厚みを有する光反射部材Bが底部に埋め込まれた形で固定されている。
【0102】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを評価したところ、500Kサイクルまで光反射部材に剥がれは全く無く、また傷も無く、センサからの電圧は4.49Vで「良」であった。
【0103】
(実施例4:光反射部材の表面に透過性フィルムで保護し、裏面の厚み方向内側に配置)
<ベルトの作製>
成形用芯体表面の所定位置に幅12mm、厚さ30μmのポリイミドフィルムを、次に幅12mm、厚さ15μmの透過性ポリイミドフィルム、次に光反射部材Bを重ねて設置し、このポリイミドフィルム及び光反射部材Bを含む範囲に塗布液を塗布した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。最初に芯体表面に巻きつけたポリイミドフィルムをシームレスベルトから引き剥がすことで、シームレスベルト裏面から厚み方向45μmに、厚さ15μmの透過性ポリイミドフィルムに覆われた光反射部材が設置されているシームレスベルトを得た。
【0104】
図8(D)は、実施例4において作製した画像形成装置用ベルトの断面概略図である。なお、図8(D)は、図1におけるX−X’断面をA方向から観察している。
ポリイミドフィルムを巻き付けから塗布液を塗布したことにより、ベルトの内周面に深さ30μmの開口を有する凹部が形成された。透過性ポリイミドフィルム及び光反射部材Bは凹部の底部に埋め込まれる形で固定されている。
【0105】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを評価したところ、500Kサイクルまで光反射部材はもちろん、透過性ポリイミドフィルムにも剥がれ、傷は発生しなかった。またセンサからの電圧は初期の3.80Vに対し、3.78Vで「良」であった。
【0106】
(実施例5:光反射部材をガイド部材に配置)
<ベルトの作製>
上記の<ベルトの作製−1>に記載のリブガイドにおいて、研磨により幅3.5mm、長さ11mm、深さ30μmの凹部を形成した。この凹部に10mm×3.2mmにカットした光反射部材Aを貼り付け、凹み部と反対側の面にシリコーン系接着剤(スーパーX、セメダイン製)を塗布し、シームレスベルトの幅方向両外側の内周面に沿って、リブガイドを貼り付け、リブガイド付シームレスベルトを得た。
【0107】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを500Kサイクルまで評価したところ、実施例1同様、光反射部材に傷は無かったものの、わずかながら片隅に剥がれが生じたが、ベルトの運転にはなんら問題なく、センサからの電圧も4.42Vで「良」であった。
【0108】
(実施例6:被検知部がセラミックス膜で覆われている)
<ベルトの作製>
塗布液の乾燥後に光反射部材Cを乾燥膜表面に押し付け、乾燥膜表面から厚み方向23μmに設置した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。これによりセラミックス膜で覆われている光反射部材Cとシームレスベルトが一体で、シームレスベルト表面から厚み方向23μmに光反射部材Cを設けたシームレスベルトを得た。なお、光反射部材は引き剥がし測定ができないほど、強固にシームレスベルトに接着していた。
【0109】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを評価したところ、500Kサイクルまで光反射部材Cはもちろん、有機系バインダーを使用したセラミックス膜にも剥がれ、傷は発生しなかった。
またセンサからの電圧は初期の4.0Vに対し、4.0Vと変化なく「良」であった。
【0110】
(実施例7:被検知部と、セラミックス膜とを粘着剤及び/又は接着剤を介することなくベルトに配置)
<ベルトの作製>
塗布液の乾燥後に12mm角の樹脂部材を乾燥膜表面の所定の位置に押し付け、表面から深さ30μmの凹みを形成させた。この凹みに反射部材Bを押し付け、次いで、光反射部材Bを含む12mm四方にセラミックス膜前駆体チラノポリマー(宇部興産、VN−100)を塗布し、ベルトと同時に焼成した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。これによりセラミックス膜に覆われている光反射部材Bとセラミックス膜とシームレスベルトが一体で、シームレスベルト表面から厚み方向25μmに光反射部材Bを設けたシームレスベルトを得た。ここで、焼成後のセラミックス膜の膜厚は15μmであった。
なお、光反射部材Bとセラミックス膜は引き剥がし測定ができないほど、強固にシームレスベルトに接着していた。
【0111】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを評価したところ、500Kサイクルまで光反射部材Bはもちろん、有機系バインダーを使用したセラミックス膜にも剥がれ、傷は発生しなかった。
またセンサからの電圧は初期の4.0Vに対し、4.0Vと変化なく「良」であった。
【0112】
(実施例8:被検知部が金属フィラーを含有するセラミックス膜である)
<ベルトの作製>
塗布液の乾燥後に12mm角の樹脂部材を乾燥膜表面の所定の位置に押し付け、表面から深さ30μmの凹みを形成させた。次いで、凹み部にAlフィラーを含有するセラミックス膜前駆体チラノポリマー(宇部興産、PM−100)を塗布し、ベルトと同時に焼成した以外は上記の<ベルトの作製−1>と同様にしてベルトを作製した。これによりAlフィラーを含有するセラミックス膜の光反射部材Dとシームレスベルトが一体で、シームレスベルト表面から厚み方向25μmに光反射部材Dを設けたシームレスベルトを得た。
ここで、Alフィラーは、体積平均粒子径10μmの粒子状酸化アルミニウム(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)であり、チラノポリマー100重量部に対してAlフィラーを2重量部添加した。
なお、光反射部材Dは引き剥がし測定ができないほど、強固にシームレスベルトに接着していた。
【0113】
<評価結果>
実施例1と同様にして、このシームレスベルトを評価したところ、500Kサイクルまで剥がれ、傷は発生しなかった。
またセンサからの電圧は初期の3.3Vに対し、3.3Vと変化なく「可」であった。
【0114】
(比較例1)
<ベルトの作製>
上記の<ベルトの作製−1>で得られたシームレスベルトの表面所定位置に、光反射部材Aを貼り付け、ベルト表面に光反射部材を設けたシームレスベルトを得た。
【0115】
<評価結果>
このシームレスベルトを評価したところ、200Kサイクルで片隅に剥がれが生じ、250Kサイクルで完全にベルトから剥離し、光反射部材の機能を果たせなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施形態の一実施形態の画像形成装置用ベルトを示す斜視図である。
【図2】図1において矢印Aの方向からみた、画像形成装置用ベルトのX−X’断面図である。
【図3】本実施形態の他の一実施形態の画像形成装置用ベルトを示す斜視図である。
【図4】ベルトの作製方法の一実施形態を示す断面概念図である。
【図5】本実施形態の画像形成装置用のベルトを中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置用のベルトを用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図7】本実施形態の画像形成装置用のベルトを中間転写ベルトとして備えたタンデム式の画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図8】実施例において作製した画像形成装置用ベルトの断面概略図である。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成装置用ベルト
2 被検知部
3 凹部
4 接着剤
5 補強部材
10 ベルト本体
10’ 塗膜
12 ガイド部材
14 接着部
15 樹脂部材
16 樹脂フィルム
17 光透過性樹脂フィルム
20 円筒体(芯体)
71 トナーカートリッジ
72 定着ロール
73 バックアップロール
74 テンションロール
75 二次転写ロール
76 用紙経路
77 用紙トレイ
78 レーザー発生装置(露光装置)
79 感光体
80 一次転写ロール
81 駆動ロール
82 転写クリーナー
83 帯電ロール(帯電装置)
84 感光体クリーナー(クリーニング装置)
85 現像器(現像装置)
86 中間転写ベルト
101 感光体ドラム
102 中間転写ベルト
103 バイアスロール
104 用紙トレイ
105 BK(ブラック)トナーによる現像装置
106 Y(イエロー)トナーによる現像装置
107 M(マゼンタ)トナーによる現像装置
108 C(シアン)トナーによる現像装置
109 ベルトクリーナー
113 剥離爪
121、123、124 ベルト支持ロール
122 バックアップロール
125 導電性ロール
126 電極ロール
131 クリーニングブレード
141 用紙
142 ピックアップロール
143 フィードロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム
202Y、202M、202C、202BK 帯電ロール
203Y、203M、203C、203BK 露光器
204Y、204M、204C、204BK 現像装置
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラムクリーナー
206 用紙搬送ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール
208 用紙搬送ロール
209 定着器
210、211、212、213 ベルト支持ロール
214 ベルト用クリーニング装置
216 用紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検知用の被検知部がベルトの側縁部に配置され、
前記被検知部がベルトに設けられた凹部内に配置されていることを特徴とする
画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
前記被検知部が、粘着剤及び/又は接着剤を介することなくベルトに配置されている、請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
前記被検知部が、光透過性樹脂で覆われている、請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項4】
前記被検知部が、セラミックス膜で覆われている、請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項5】
前記セラミックス膜が、粘着剤及び/又は接着剤を介することなく前記被検知部に配置されている、請求項4に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項6】
前記セラミックス膜がプレセラミックポリマーを焼成してなる、請求項4又は5に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項7】
前記被検知部が、金属フィラーを含むセラミックス膜である、請求項1〜6いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置。
【請求項9】
請求項1〜7いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−258587(P2009−258587A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202652(P2008−202652)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】