説明

画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法及び評価システム並びに切削加工方法及び切削加工システム

【課題】電子写真感光体用基体等の画像形成装置用部品の表面粗さの測定において、測定対象面の局所的な変化や変異を感度良くかつ正確に把握可能にする。
【解決手段】電子写真感光体用基体等の画像形成装置用部品の表面の状態について、JIS B0601に定める断面曲線が求められ、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列のウェーブレット変換等の多重解像度解析が行われ、その結果に基づいて表面粗さの状態が評価される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法及び評価システムに関し、特に電子写真感光体用基体の表面粗さの評価に適用して好適な画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法及び評価システムに関するものである。
また、本発明は、画像形成装置用部品の切削加工方法及び切削加システムに関し、詳しくは、特に電子写真感光体基体の表面加工に適用して好適な切削加工方法及び切削加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置において、書き込み光源にレーザー等の可干渉光源を使用した場合、画像に干渉縞が発生する問題がある。この原因としては、可干渉光が感光層へ入射した際、入射光とその反射光の位相の干渉状態によって像形成に寄与する光量が変化することが挙げられる。この対策としては、基体表面を粗面化する方法が広く行われている。例えば、特開平5−224437(電子写真感光体用基体及びその表面処理方法)では、水蒸気を凍結させて得られる微細凍結粒子を気体表面に噴射して、基体表面の汚染物質を除去すると共に、基体表面を粗面化しており、この表面処理法により処理された基体を用いて形成される電子写真感光体は、レーザー光による干渉縞の形成を防止することができるとしている。
【0003】
このように、基体表面の粗さは、画像品質にとって重要であるが、従来はJIS B0601等に定める表面粗さで測定し、判断することが多かった。広く使われている測定方法としては、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rmax)、十点平均粗さ(Rz)等がある。
【0004】
例えば、この表面粗さ測定法で基体表面を評価した例としては、特開平5−72785(電子写真感光体用基体及びその製造方法)において、しごき加工又は冷間引抜き加工によって作られたアルミニウム円筒基体を、該基体の表面が基体の軸方向のスジを全円周にわたって有し、該表面における円周方向のRmaxが0.2〜3μmである電子写真感光体用アルミニウム円筒基体及びその製造方法を提案している。
また、特開平8−76395(電子写真装置における感光体用アルミニウム基盤)では、光源として発光ダイオードが用いられる電子写真装置における感光体用アルミニウム基盤(基体)であって、表面粗さRzが0.8μm以下に規定されてなる基盤を提案している。また、特開平6−138685(電子写真感光体)では、導電性支持体(基体)上に、感光層及び表面保護層を少なくとも有する電子写真感光体において、前記導電性支持体の表面粗さRzを0.01μm以上0.5μm以下とし、かつ表面保護層を表面粗さRzを0.2μm以上1.2μm以下とすることを提案している。
【0005】
ところが、上記のいずれの表面粗さ測定法でも、画像干渉縞対策として必要な表面粗さを定義しきれない問題があった。
【0006】
また、従来表面粗さ表現法として使用している表面粗さRa、Rz等の定義では、測定長内に飛び外れた山と谷があった場合、計算上表面粗さが大きく出る問題がある。このような問題に対し、各種の方法で表面粗さを規定する方法が検討されている。次にそれを紹介する。
【0007】
特開平7−104497では、表面形状を表面粗さ測定装置で測定して得られる断面曲線上で、平均線を中心とした仕切り幅を規定し、この仕切り幅を超える相隣る山と谷の一対からなるピークの単位長あたりの数により表面形状を評価し、このような方法で仕切り幅を20μmとし単位長を1cmとしたときのピークの数を100以下とした基体を提案している。しかし、このような方法では表面粗さの評価法として充分ではなく、上記の評価法では十分な値であっても、実際に感光体を作成すると、画像異常が発生する場合があった。
【0008】
そこで、本発明者らは表面粗さをフーリエ変換して評価する方法を特開2001−265014、特開2001−289630で提案した。しかし、フーリエ変換では断面曲線中に頻度多く出現する変化をその周波数分布として捉えることはできるが、頻度が少ない変化を調べるにはさらに有効なものが望まれていた。すなわち、断面曲線中に数個の鋭い山や谷があっても、フーリエ変換ではスペクトルに出現しにくい問題がある。また、フーリエ変換した結果からは、どこでその変化が生じたのかが判らない問題があった。電子写真感光体用基体にこれらの数個の鋭い山や谷があると、画像欠陥となる問題があるが、従来の表面粗さによる方法、そしてフーリエ変換による方法では検出できなかった。
【0009】
このような問題があるため、従来は、表面粗さ測定時に、表面粗さ計の記録チャートを保存しておき、記録チャートに記録された切削波形から判定していたが、記録チャートの傾向を読み取らねばならず、熟練を要する問題があった。
【0010】
以上述べてきたように、従来の表面粗さ(Ra、Rmax、Rz)評価法では測定対象面の局所的な変化や変異を感度良くかつ正確に把握できない問題がある。
また、先に述べたようにフーリエ変換では信号中に頻度多く出現する変化をその周波数分布として捉えることはできるが、頻度が少ない変化を調べるには有効ではない問題があった。また、フーリエ変換した結果からは、どこでその変化が生じたのかが判らない問題があった。
【0011】
一方、電子写真複写機、デジタルコピア、レーザープリンター等の電子写真装置において広く使用されている、回転ドラム状の電子写真感光体用基体(以下適宜「基体」と略称する)上に感光層を設けてなる電子写真感光体を構成する基体の材料としては、低コスト、軽量、加工容易性等の利点から、アルミニウム系材料が好ましく用いられている。このアルミニウム系材料からなる回転ドラム状の基体は、一般に、管状素材の表面を切削加工して仕上げられる。
【0012】
ここで、円筒体表面の切削加工には、基体を回転させ、バイト(刃物)を基体の軸方向に移動させて切削を行う方法と、基体を固定しておき、その周囲をバイト(刃物)が回転して切削を行う方法がある。前者の方法は例えば、コロナ社刊精密工学講座11 切削工学において普通旋盤として紹介されており、電子写真感光体用基体の加工方法としては、特許公報第3215829号、特許公報第2795357号、特開平7−77814、特開平8−276301等で使用されている。また、後者の方法は特開平6−328301や特開平6−32830等で紹介されている。
【0013】
一般に、旋盤は被加工物に回転を与えるための主軸台と、これに相対して被切削材の他端を支えるための心押台があり、さらに、バイトを取り付けて送りを与えるための往復台(刃物台)が載っている。こうした旋盤でバイトを使用し、被加工物を切削するときのバイト各部の角度、切削速度、送りなどの作業条件は、切りくず生成機構、切削抵抗、切削温度、バイト寿命、切削仕上面粗さ、ビビリ振動などに影響を及ぼす。
【0014】
切削加工で画像形成装置に使用する部品、特に電子写真感光体用基体を製造する際には、切削ビビリや切削スジの無い、良好な切削面が要求される。
ここで、切削中に発生するビビリ振動には、強制ビビリ振動と自励ビビリ振動とがあることが知られている。強制ビビリ振動の原因としては、回転体の不平衡、旋盤の構造による振動などが考えられる。自励ビビリ振動の原因としては、切削抵抗の変動とそれによる旋盤、バイト、被切削材の振動特性によるものと考えられている。
【0015】
以上のように、切削加工においては、ビビリ、スジ等の問題が発生するので、特開平8−336706、特開平9−29503、特開平9−80914、特開平9―192959、特開平9−234639、特開平10−58212、特開平10−71501、特開平11−188566等多くの方法が検討されている。しかし、いずれも完璧なものとは言えなかった。
【0016】
このような切削加工でのトラブルで発生した物の評価法としては、特開平10−267749「切削加工における異常診断方法」では、切削加工における異常の原因を切削工具の振動から正確に特定できる異常診断方法として、切削工具の回転方向と半径方向の加速度振動から、有次元及び無次元特徴パラメータX、実効値Xrms、ピーク値Xp、波高率C、歪み度β1、尖り度β2、交差頻度No、極値頻度Nm、定常度α、動揺度ε、一次及び二次平均周波数f1、f2とを、切削加工の推奨条件と実際の加工状態で求め、これらの値を10回程サンプリングしてその平均値と標準偏差とを求め、さらにそれから両分布の差異を表す識別指数DIを計算し、同識別指数の2以上の異常値の特徴パラメータの組み合せで原因を特定する。しかし、この評価法は処理が複雑であり、これだけでは異常診断できない問題がある。
【0017】
電子写真感光体の基体に要求される品質は極めて高く、以上のようなビビリ対策やスジ対策を行っても、尚ビビリやスジが発生することがあった。そこで、切削後に切削加工面の検査を行う方法がいくつか提案されている。
【0018】
特開平8−105732「研削面検査装置」では、円筒部材の外周面等を研削した際に研削面に生じるビビリの有無を簡単且つ確実に判断する装置として、被研削物をワーク受台で支持し、上方に配置した投光部から研削面に向けて光を投射するとともに、反射光を投影面に投影させ、研削面にビビリが生じていれば投影面にストライプ状の影が映し出されるので、その影の有無にてビビリの有無を判断している。しかし、この方法では切削加工後の検査は行えるものの、切削中に切削の状態を把握することはできない。
以上述べたように、従来の切削加工では突発的なビビリやスジの発生を防止できず、加工中の検出も困難な問題があった。
【0019】
【特許文献1】特開平5−224437号公報
【特許文献2】特開平5−72785号公報
【特許文献3】特開平8−76395号公報
【特許文献4】特開平6−138685号公報
【特許文献5】特開平7−104497号公報
【特許文献6】特開2001−265014号公報
【特許文献7】特開2001−289630号公報
【特許文献8】特許第3215829号明細書
【特許文献9】特許第2795357号明細書
【特許文献10】特開平7−77814号公報
【特許文献11】特開平8−276301号公報
【特許文献12】特開平6−328301号公報
【特許文献13】特開平6−32830号公報
【特許文献14】特開平8−336706号公報
【特許文献15】特開平9−29503号公報
【特許文献16】特開平9−80914号公報
【特許文献17】特開平9―192959号公報
【特許文献18】特開平9−234639号公報
【特許文献19】特開平10−58212号公報
【特許文献20】特開平10−71501号公報
【特許文献21】特開平11−188566号公報
【特許文献22】特開平10−267749号公報
【特許文献23】特開平8−105732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、本発明は、電子写真感光体用基体等の画像形成装置用部品の表面粗さの測定において、測定対象面の局所的な変化や変異を感度良くかつ正確に把握可能にすること表面粗さ評価方法及び評価システムを提供することをその課題とする。また、本発明は、電子写真感光体用基体等の画像形成装置用部品、特に、アルミニウムあるいはアルミニウム合金製管を切削加工して電子写真感光体用基体を作成する際に、切削加工の状態を精度良く把握し、ビビリやスジ等の切削異常の発生を精度良く検知することを可能にし、良好な品質の切削面を作ることができる切削加工方法及び切削加工システムを提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願第1の発明によれば、上記課題は下記の技術的手段により解決される。
(1)画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列の多重解像度解析を行い、少なくともその結果に基づいて表面粗さの状態を評価することを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法によれば、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0022】
(2)多重解像度解析の方法がウェーブレット変換であることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、多重解像度解析の方法がウェーブレット変換であるので、高速かつ正確に多重解像度解析を行うことができ、これによって、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中ある局部的な変化や変異を検出できる。
【0023】
(3)多重解像度解析の方法がバンドパスフィルター処理又は短時間高速フーリエ変換であることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、多重解像度解析の方法がバンドパスフィルターによるものであるので、高速かつ正確に多重解像度解析を行うことができ、これによって、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0024】
(4)画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列のウィグナー分布を求め、少なくともその結果に基づいて表面粗さの状態を評価することを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、ウィグナー分布を求めてその結果に基づいて表面粗さの状態を評価するので、上記と同様、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0025】
(5)画像形成装置用部品が電子写真感光体用基体であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、電子写真感光体用基体に対して、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0026】
(6)画像形成装置用部品が電子写真感光体用基体の上に塗工層を形成した電子写真感光体であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、電子写真感光体用基体の上に塗工層を形成した電子写真感光体に対して、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0027】
(7)画像形成装置用部品が電子写真装置用帯電ローラ、現像ローラ、定着ローラ、転写ベルト又は搬送ベルトであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、電子写真装置用帯電ローラ、現像ローラ、定着ローラ、転写ベルト又は搬送ベルトに対して、表面粗さRz、Ra、Rmax等による方法では検出できなかったような断面曲線中にある局部的な変化や変異を検出できる。
【0028】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面粗さ評価方法と、JIS B0601に定める十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Rmax)のうちの少なくとも一つとで表面粗さの評価を行うことを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。
本方法では、前記と同様、表面粗さRz、Ra、Rmax等にのみよる方法では検出できなかったような断面曲線中に有る局部的な変化や変異を検出できる。
【0029】
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の表面粗さ評価方法の評価結果を、あらかじめ定めておいた基準と比較することによる表面粗さの判定を行うことを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法。本方法では、評価情報を別に設けた基準と比較して判定しているので、正確な評価が可能になる。
【0030】
(10)画像形成装置用部品の表面粗さを測定するための表面粗さ測定用センサーと、該センサーからの信号を増幅する電気回路と、該電気回路から出た電気信号をウェーブレット変換する機能のあるハードウェア又はソフトウェアと、表面粗さ測定用センサーと被測定対象を相対的に移動させる機構とからなることを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価システム。本システムでは、上記評価方法を高速かつ正確に実行することができる。
【0031】
(11)画像形成装置用部品の表面粗さを測定するための表面粗さ測定用センサーと、該センサーからの信号を増幅する電気回路と、該電気回路から出た電気信号をバンドパスフィルター処理又は短時間高速フーリエ変換処理する機能を有するハードウェア又はソフトウェアと、表面粗さ測定用センサーと被測定対象を相対的に移動させる機構とからなることを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価システム。本システムでは、上記システムと同様、上記評価方法を高速かつ正確に実行することができる。
【0032】
(12)画像形成装置用部品の表面粗さを測定するための表面粗さ測定用センサーと、該センサーからの信号を増幅する電気回路と、該電気回路から出た電気信号のウィグナー分布を求める機能を有するハードウェア又はソフトウェアと、表面粗さ測定用センサーと被測定対象を相対的に移動させる機構とからなることを特徴とする画像形成装置用部品の表面粗さ評価システム。本システムでは、上記システムと同様、上記評価方法を高速かつ正確に実行することができる。
【0033】
(13)前記(1)〜(4)及び(9)のうちのいずれかに記載の表面粗さ評価方法によって評価したことを特徴とする電子写真感光体用基体。本電子写真感光体用基体は、前記表面粗さ評価方法によって評価しているので、その表面中の微細な変異や変化を検査でき、従って、電子写真感光体に用いたときに良好な画像を形成できる。
【0034】
(14)前記(1)〜(4)及び(9)のうちのいずれかに記載の表面粗さ評価方法によって評価したことを特徴とする電子写真感光体。本電子写真感光体は、前記(13)の電子写真感光体用基体を用いているので、良好な画像を形成できる。
【0035】
(15)前記(14)の電子写真感光体を搭載したことを特徴とする電子写真装置。
本電子写真装置は、前記(14)の電子写真感光体を用いているので、良好な画像を形成できる。
【0036】
(16)切削工具又は切削工具の取り付け治具に振動センサーを取り付け、切削加工時に、該振動センサーにより切削工具の振動を計測し、この計測信号から切削加工面に対応する二次元配列データーを作成し、この二次元配列データーを評価するか、又はこの二次元配列データーの信号解析を行って評価することにより、切削加工状態を把握しながら切削加工を行うことを特徴とする画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法によれば、切削加工の一次元振動では存在が判らなかった変異や異常の検出が可能になる。従って、切削加工面の状態を精度良く把握しながら被加工物の切削加工をすることができるので、高品質の加工物が得られる。
【0037】
(17)作成した二次元配列データーの解析方法が二次元フーリエ変換であることを特徴とする前記(16)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、二次元配列データーの解析方法が二次元フーリエ変換であるので、精度の高い評価が可能になる。
【0038】
(18)作成した二次元配列データーの解析方法が二次元多重解像度解析であることを特徴とする前記(16)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、作成した二次元配列データーの解析方法が二次元多重解像度解析であるので、評価対象二次元データーを周波数範囲ごとに分析することが可能になり、精度の高い評価が可能になる。
【0039】
(19)二次元多重解像度解析の方法が離散二次元ウェーブレット変換であることを特徴とする前記(18)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、二次元配列データーの解析方法が離散二次元ウェーブレット変換であるので、高速で精度の高い評価が可能になる。
【0040】
(20)振動を測定して作成した二次元データーを離散二次元ウェーブレット変換し、さらにこの離散二次元ウェーブレット変換した結果の一部を除くか、あるいは演算処理し、そして二次元ウェーブレット逆変換を行い、その結果を解析評価することを特徴とする前記(19)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、逆ウェーブレット変換によって余分や余剰な情報が除かれ、従って、高速で精度の高い評価が可能になる。
【0041】
(21)二次元多重解像度解析の方法がバンドパスフィルターを使用した方法であることを特徴とする前記(18)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、作成した二次元配列データーの二次元多重解像度解析の方法がバンドパスフィルターを使用した方法であるので、高速で精度の高い評価が可能になる。
【0042】
(22)二次元多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換であることを特徴とする前記(18)に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。本方法では、作成した二次元配列データーの二次元多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換であるので、高速で精度の高い評価が可能になる。
【0043】
(23)被加工物がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする前記(16)〜(22)のいずれかに記載の切削加工方法。本方法では、被切削材料がアルミニウムあるいはアルミニウム合金であっても、前記(16)〜(22)のいずれかに示す切削加工方法を採用しているので、精度の高い切削加工評価が可能になる。
【0044】
(24)被加工物が電子写真感光体用基体であることを特徴とする前記(16)〜(23)のいずれかに記載の切削加工方法。本方法では、被加工物が高い品質を要求される電子写真感光体用基体であっても、前記(16)〜(23)のいずれかに示す切削加工方法を使用しているので、精度の高い切削加工評価が可能になる。
【0045】
(25)旋盤と、該旋盤で使用する切削工具の振動を検出する振動センサーと、該振動センサーからの信号を記録する記憶装置又は該振動センサーからの信号から作成した二次元データーを記録する記憶装置と、さらに離散二次元ウェーブレット変換を行うハードウェア又はソフトウェアを備えたことを特徴とする切削加工装置。本装置によれば、前記(16)〜(24)に従う切削加工が可能になる。
【0046】
(26)前記(16)〜(24)のいずれかに記載の切削加工方法で作成した電子写真感光体用基体。本電子写真感光体用基体は、前記(16)〜(24)のいずれかに記載の切削加工方法で作成しているので、切削不良や切削異常のない高品質な基体となる。
【0047】
(27)前記(26)に記載の電子写真感光体用基体を用いた電子写真感光体。本電子写真感光体は、前記(26)の電子写真感光体用基体を用いているので、高品質な感光体となる。
(28)前記(27)に記載の電子写真感光体を搭載した電子写真装置。本電子写真装置は、前記(27)の電子写真感光体を搭載しているので、高品質な電子写真装置となる。
【発明の効果】
【0048】
本願第1の発明によれば、従来の表面粗さ評価方法すなわちRz、Ra、Rmaxでは把握できなかった測定対象面の局所的な変化や微細な変異も把握可能となり、画像異常が発生することが無く、均質で高画質な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
本願第2の発明によれば、画像形成装置用部品、特に、アルミニウムあるいはアルミニウム合金製管の切削加工において、切削加工の状態を精度良く把握し、切削不良や切削異常の発生を検知しながら切削加工を行うことができるので、良好な品質の切削面を有する画像形成装置用部品、ひいては均質で高画質な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下本発明について詳細に説明する。先ず、本願第1の発明について説明する。本願第1の発明の表面粗さ評価技術においては、画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列の多重解像度解析を行い、少なくともその結果に基づいて表面粗さの状態を評価することを特徴とするものである。本願第1の発明においては、具体的には以下のような方法により画像形成装置用部品の評価を行う。始めに評価対象表面の状態を表面粗さ計によって測定し、JIS B0601に示す断面曲線を得る。この断面曲線は一次元のデーター配列、すなわち一次元信号と捉えることがでる。これは表面粗さ計からアナログあるいはデジタルの電気信号として得ることができる。
【0050】
このようにして測定した信号から測定対象なる周波数成分のみを必要によりフィルタリングする。そして信号がアナログ信号である場合はA/D変換を行いデジタル信号に変換する。A/D変換を行う場合は、少なくとも8ビット以上、好ましくは10ビット以上の分解能で行う。A/D変換速度はシステムの仕様により適時選定すれば良い。このようにしてデジタル化した数百点ないし数万点のデーターは一旦メモリに蓄えられる。
【0051】
次に、このデーターを各種方法で多重解像度解析を行ったり、あるいはウィグナー分布を求め、評価を行う。多重解像度解析は周波数領域でスペクトルを分析しながら、同時に変動の時間的推移を解析する方法であり、例えば「ウェーブレット解析」芦野隆一、山本鎮男著、1997年6月、共立出版刊に説明されている。本発明において多重解像度解析は、各種の方法で行うことができ、請求項にあるように、ウェーブレット変換、バンドパスフィルターによる処理、短時間高速フーリエ変換による処理が使用可能である。
【0052】
図1は本願第1の発明を適用した、画像形成装置用部品の表面粗さ評価装置の一構成例を模式的に示す構成図である。図中、1は電子写真感光体用基体あるいはその表面に下引き層を形成した物等の測定対象であり、2は表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具、3は上記治具2を測定対象に沿って移動させる機構、4は表面粗さ計、5は信号解析を行うパーソナルコンピューターである。この図において、パーソナルコンピューター5によって上記の多重解像度解析やウィグナー分布計算が行われる。
【0053】
この図は一例として示したものであり、構成は他の構成によってもかまわない。例えば、多重解像度解析やウィグナー分布計算はパーソナルコンピューターではなく、専用の数値計算プロセッサーで行っても良い。また、この処理を表面粗さ計自体で行っても良い。結果の表示は各種の方法が使用可能であり、CRTや液晶画面に表示しても良く、あるいは印字出力を行ったりしても良い。また、他の装置に電気信号として送信しても良く、フロッピーディスクやMOディスクに保存しても良い。
【0054】
次に、本願第1の発明における信号処理方法を簡単に説明する。始めに、短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform)は非定常信号の周波数成分の時間変化を捉えるために考え出された方法であり、短時間ごとに信号を切り出し、フーリエ変換したものである。フーリエ変換では精度を良くするためにはサンプル数を少なくする(取り出す時間長を短くする)必要があるが、この場合、周波数に対する精度(周波数分解能)は低下する。短時間フーリエ変換では、切り出し時間窓とフーリエ変換の長さを別個に設定して必要な周波数分解能を保ったまま時間分解能を向上させている。短時間フーリエ変換の結果の絶対二乗値の分布をスペクトログラム(Spectrogram)という。ここで、短時間フーリエ変換は、その処理アルゴリズムを高速化した短時間高速フーリエ変換でも良い。
【0055】
次にウェーブレット変換による方法を説明する。関数f(t)のウェーブレット変換は(数2)で表される。
【数1】

ここで、
W(b,a) ウェーブレット変換
ψ(t) マザーウェーブレット
a スケールパラメータ
b トランスレートパラメータ
である。
(数1)は連続関数のウェーブレット変換、すなわち連続ウェーブレット変換である。本発明では、サンプリングを一定間隔に行うので、離散系であり、離散ウェーブレット変換を行う。離散ウェーブレット変換において、ウェーブレット係数cj,kは(数2)で表される。
【数2】

である。また、スケーリング係数dj,kは(数3)で表される。
【数3】

(数3)においてφ(t)はスケーリング関数である。また、(数2)、(数3)においてjはレベルであり、元信号に対する解像度である階層の番号を示す。ウェーブレット係数cj,kは信号の周波と時間分布を示す。また、スケーリング関数dj,kは元信号のj次の解像度の離散化表現である。
【0056】
離散ウェーブレット変換では、データーを(数4)によって計算する。
【数4】

(数4)において、係数群p及びqはウェーブレット変換のための変換基底であり、それぞれローパスフィルター、ハイパスフィルターの機能がある。従って、(j+1)次のスケーリング係数dj+1,kは、j次のスケーリング係数dj,kより1つ下の解像度表現となり、解析可能な周波数及び時間的な解像度がj次の1/2になる。
【0057】
一方、(j+1)次のウェーブレット係数cj+1,kはj次のスケーリング係数dj,kをハイパスフィルターに通すことにより得られ、スケーリング係数dj+1,kとdj,kの間の周波数成分を表すことになる。
【0058】
図2はウェーブレット変換の処理フローを示した図であり、元信号10(Source Signal)をハイパスフィルター(HPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って、信号11に示されるH成分(H part)を得る。また、元信号10(Source Signal)をローパスフィルター(LPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って信号12を得る。このようにして得た信号12をハイパスフィルター(HPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って、信号13に示されるLH成分(LH part)を得る。また、信号12をローパスフィルター(LPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って信号14を得る。このようにして得た信号14をハイパスフィルター(HPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って、信号15に示されるLLH成分(LLH part)を得る。また、信号14をローパスフィルター(LPF)に通し、さらにデーターをひとつ置きに間引く処理(SS)を行って、信号16に示されるLLL成分(LLL part)を得る。図3はこのようにして多重解像度解析処理を行った結果を示した図であり、元信号はLLL成分、LLH成分、LH成分、H成分の4成分に分解される。
【0059】
ここで、ウェーブレット変換は直交ウェーブレット変換と非直交ウェーブレット変換に分類することが可能であり、このいずれを用いても良い。
【0060】
直交ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数は実数形のみが用いられることが多い。このウェーブレット関数としては、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(Harr)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、そしてコイフレット(Coiflet)関数等が使用可能である。ここでDaubeciesはドベシィと表記することがある。これらの直交ウェーブレット変換では、演算した絶対値にローパスフィルターなどにより包絡線(エンベロープ)処理を行えば強度に相当する情報が得られる。
【0061】
非直交ウェーブレット関数には、複素数形ウェーブレットと実数形ウェーブレットを用いるものがある。複素数形ウェーブレット関数としてはガウス形ウェーブレット関数がある。この複素数形ウェーブレット関数を用いた場合、ウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算することにより強度が得られる。実数形ウェーブレット関数としては、メキシカンハット関数、フレンチハット関数等があるが、これを使用して得たウェーブレット変換結果に対して絶対値を演算しても強度は得られない。しかし、演算した絶対値にローパスフィルター等で包絡線(エンベロープ)処理を行うことにより強度に相当する値を得ることが可能である。
【0062】
ウェーブレット変換結果の二乗絶対値はスカログラム(Scalogram)と呼ばれ、スカログラムで示すこともできる。短時間フーリエ変換から求められるスペクトログラムは定周波数バンド分析であるが、ウェーブレット変換によるスペクトログラムは定対数バンド幅分析である。
【0063】
次にバンドパスフィルターによる処理であるが、これは数種のバンドパスフィルターをあらかじめ用意しておき、信号を順次これらのフィルターに通過させて、信号の多重解像度解析を行う方法である。バンドパスフィルターによる方法では、信号はデジタル信号である必要は無く、アナログ信号であってもかまわない。アナログ信号のバンドパスフィルター処理では、処理の高速化が行える利点がある。
【0064】
最後に、ウィグナー分布について説明する。時間信号f(t)のウィグナー分布は(数5)で表される。
【数5】

ここで、*は複素共役を示す。ウィグナー(Wigner)分布はウィグナー−ビレ(Wigner−Ville)分布と呼ぶ場合もある。本発明では、信号は位置の関数であるが、時間の関数と読み替えてウィグナー分布の計算を行うことが可能である。
【0065】
これらのバンドパスフィルター処理、ウェーブレット変換、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布計算は各種の方法で行うことが可能である。例えばソフトウェアで行う場合、mathematicaではウェーブレット変換を行うパッケージで可能であるWavelet Explore等を併用して計算できる。また、MATLABではウェーブレット変換を行うパッケージ(Wavelet Tool Box)等を併用して計算できる。また、C言語等でプログラミングしても計算が可能であり、専用の数値演算プロセッサーによっても計算が可能である。
【0066】
本発明において、バンドパスフィルター処理結果、ウェーブレット変換結果、短時間フーリエ変換結果、ウィグナー分布計算結果は別に測定を行った正常なもの、あるいは、正常ではないものの結果と照合比較することによって、判定を行うことができる。
【0067】
本発明者の測定では、表面粗さ計は東京精密社製サーフコム570Aを使用し、パーソナルコンピューターはIBM社製パーソナルコンピューターを使用し、サーフコム570AとIBM製パーソナルコンピューターの間はRS−232−Cケーブルで接続した。サーフコムからパーソナルコンピューターに送られた表面粗さデーターの処理とその多重解像度解析、ウィグナー分布の計算等は、C言語で作成したソフトウェアで行った。
【0068】
以下、本発明による表面粗さ評価方法で評価を行った電子写真感光体用基体を用いた電子写真感光体及び該電子写真感光体を搭載した電子写真装置の構成例について説明する。なお、電子写真装置は、狭義の意味での、後述する電子写真プロセスカートリッジを包含する。
【0069】
図4は、本発明による電子写真感光体の層構成を模式的に表わす断面図であり、導電性の電子写真感光体用基体(以下単に基体とも称する)21上に、下引き層22を介して、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層23と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層4とが積層された構成をとっている。更に、図5は電荷輸送層24の上に保護層25を設けた構成になっている。
【0070】
導電性基体(支持体)21としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性基体21として用いることができる。
【0071】
この他、上記基体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性基体21として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉或いは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば例えばTHF(テトラヒドロフラン)、MDC(ジクロロメタン)、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性基体21として良好に用いることができる。
【0072】
導電性基体21の加工方法としては、各種の切削加工、研削加工、研磨加工が可能であり、それらの加工法の組み合わせも有効である。
【0073】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、まず電荷発生層23と電荷輸送層24から構成される場合から述べる。
【0074】
電荷発生層23は、電荷発生材料を主成分とする層である。電荷発生材料には、顔料、染料などの有機材料が用いられ、その代表例として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。電荷発生材料は、単独であるいは2種以上混合して用いられる。
【0075】
電荷発生層23に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部が適当である。
【0076】
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層23の膜厚は0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0077】
電荷輸送層24は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層23上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。
【0078】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0079】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0080】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0081】
電荷輸送物質の量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm程度とすることが好ましい。
【0082】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。
【0083】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能と、バインダー樹脂の機能をもった高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。例えば、特開2000−103984の(1)〜(10)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0084】
また、本発明において、電荷輸送層24に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量としては結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。
【0085】
本発明における電子写真感光体には、図4、図5に示すように、導電性基体21と感光層(23、24)との間に下引き層22を設けることができる。下引き層22は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
【0086】
また、下引き層22にはモアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末を加えてもよい。これらの下引き層22は、前述の感光層の場合と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0087】
さらに、本発明における下引き層22として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層22にはAlを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層22の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0088】
図5に示すように、本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層25を感光層の上に設けることもある。保護層25に使用する材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層25にはその他、耐摩耗性を向上する目的で、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂及びこれら樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
【0089】
保護層25の形成方法としては、通常の塗布法が採用される。なお、保護層25の厚さは、0.1〜7μm程度が適当である。また、以上の他に真空薄膜作製法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料も保護層25として用いることができる。
【0090】
本発明においては、感光層(23、24)と保護層25との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水酸化ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0091】
次に、上記電子写真感光体を搭載した本発明による電子写真装置について説明する。図6は、該電子写真装置の一例を模式的に説明する概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図6に示す電子写真装置は、ドラム状の電子写真感光体31のまわりに、帯電機構32、露光光源33、現像機構34、転写機構35、クリーニング機構37が配置されている。転写機構35において、転写材38にはトナーが転写され、これは定着機構36で定着される。
【0092】
上記の電子写真装置を使用した電子写真方法においては、電子写真感光体31は、反時計方向に回転して、帯電機構32で正又は負に帯電され、露光光源33からの露光によって、静電潜像を電子写真感光体31上に形成する。
【0093】
帯電機構32には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッドステートチャージャ)、帯電ローラなどをはじめとする公知の帯電手段を用いることができる。転写機構35には、一般の帯電器が使用できるが、転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
【0094】
また露光光源33、及び図示されていないが、除電光源等で使用する光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物を使用することができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。かかる光源等は、図6に図示した構成の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光等の工程を設けることにより、感光体に光が照射される際にも用いることができる。
【0095】
感光体に正又は負の帯電を施して画像露光を行った場合、感光体上には正又は負の静電潜像が形成される。これを負又は正に帯電した極性のトナー(検電微粒子)で現像すればポジ画像が得られるし、逆に正又は負に帯電した極性のトナーで現像すればネガ画像が得られる。かかる現像には、公知の方法を適用することができ、また除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0096】
この例においては、導電性基体はドラム状のものとして示されているが、シート状、エンドレスベルト状のものを使用することができる。クリーニング前チャージャとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッドステートチャージャ)、帯電ローラなどをはじめとする公知の帯電手段を用いることができる。また転写チャージャ及び分離チャージャには、通常上記の帯電手段を使用することができる。クリーニング機構には、ファーブラシ、マグファーブラシなどをはじめとする公知のブラシやポリウレタン製ブレードを使用することができる。
【0097】
以上に示すような電子写真装置に代表される本発明の画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタなどの装置内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などを含んだ一つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として図7に示すものが挙げられる。
【0098】
図7に本発明による電子写真用プロセスカートリッジを示す。図7において、31は電子写真感光体、32は帯電手段、33は画像露光光源、34は現像手段、35は転写手段、38は紙等の転写材、36は定着機構、37はクリーニング機構、39はプロセスカートリッジの容器を示す。
【0099】
この図は一構造例を示したものであり、各手段は図に示した以外の形態でも良い。例えば、帯電手段32はコロトロン、スコロトロン、帯電ロール等の公知の帯電手段が使用可能である。画像露光、及び図示されていない前露光光の光源には、蛍光燈、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光手段を使用することができる。また、所定の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターが使用可能である。クリーニング機構37は、クリーニングブレードだけで行われることもあり、クリーニングブラシ、もしくはブレードと併用されることもある。図7に示すプロセスカートリッジにおいて、クリーニング手段等がプロセスカートリッジに含まれなくても良い。また、図では内蔵していない発光手段や転写手段をプロセスカートリッジに内蔵していても良い。
【0100】
次に本願第2の発明について説明する。本願第2の発明は、画像形成装置用部品の切削加工において、切削工具又は切削工具の取り付け治具に振動センサーを取り付け、切削加工時に、該振動センサーにより切削工具の振動を計測し、この計測信号から切削加工面に対応する二次元配列データーを作成し、この二次元配列データーを評価するか、又はこの二次元配列データーの信号解析を行って評価することにより、切削加工状態を把握しながら切削加工を行うことを特徴とするものである。
【0101】
本願第2の発明では、切削時に切削工具(例えばバイト)の振動データーを計測し、計測して得た一次元データーを被加工物の表面に対応する二次元データーとして配列する。この二次元データーには、切削加工時の被加工物の1回転に1回しか発生しないような発生頻度の少ない変異であっても、特定の箇所には変異の発生が集中するので、検出が容易となる。
【0102】
図8は本発明を実施するのに好適な旋盤とバイト振動データーの処理装置の構成図である。図8において、41は被加工物、42はバイト取り付け部である。バイト取り付け部42には振動センサー(図示せず)が取り付けられており、その信号は43のケーブルで44のバイトの信号を処理する信号処理装置に伝えられる。そして、45は被加工物41を回転させるモーター、46はバイトを載せた台を左右に動作させるモーターである。
【0103】
図9はバイトの振動信号データーから本発明の請求項16、請求項17に示す二次元データーを作成する過程の図であり、Iはバイトの振動信号のデーターである。Iにおいて、nの部分はn回転目、n+1の部分はn+1回転目、n+2の部分はn+2回転目、n+3の部分はn+3回転目であり、このデーターが連続している。図9のIIはIのデーターを1回転ごとに並べた図であり、このように二次元データーが作成される。図9のIIIはIIを二次元配列にしたデーターであり、1行目はn回転目、2行目はn+1回転目、3行目はn+2回転目、4行目はn+3回転目であり、以降このデーターが連続する。
【0104】
次に、本願第2の発明における信号処理方法を説明する。始めに二次元フーリエ変換による方法から説明する。画像のx軸方向の空間周波数をω、軸方向の空間周波数をωとする。この場合、二次元フーリエ変換は(数6)で求まる。
【数6】

ただし、実際の画像データーの場合は離散二次元フーリエ変換となる。
【0105】
画像データーマトリックスを二次元フーリエ変換する場合、マトリックスの行と列の点数は同じであることが好ましい。また、マトリックスの行と列の点数は2の階乗であることが好ましく、512以上が良い。データー点数が2の階乗でなくともフーリエ変換は可能であるが、フーリエ変換の計算速度が低下するので好ましくない。データー点数が2の階乗でない場合は、2の階乗になるように0の列あるいは行を入れて2の階乗になるようにすることが好ましい。
【0106】
次に本願第2の発明で用いるウェーブレット変換による方法を説明するが、一次元ウェーブレット変換については、第1の発明で説明したものと同じであるので重複説明を避けるため、その説明は省略する。
【0107】
一次元ウェーブレット変換は第1の発明で説明したと同様に行うが、二次元ウェーブレット変換は二次元データーに対して縦方向と横方向(列方向と行方向)に行うことで求めることができる。
【0108】
図10は離散二次元ウェーブレット変換を行った場合のフローであり、元データーSは低周波成分L、縦方向高周波成分V、横方向高周波成分H、斜め方向高周波成分Tに分けられる。このようにして得た低周波成分Lを同様にしてウェーブレット変換することにより、低周波成分L、縦方向高周波成分V、横方向高周波成分H、斜め方向高周波成分Tに分けられる。同様にして低周波成分をウェーブレット変換してゆき、低周波成分L、縦方向高周波成分V、横方向高周波成分H、斜め方向高周波成分Tを得ることができる。
【0109】
ここで、離散二次元ウェーブレット変換を行う場合、変換する画像のサイズは作成した二次元画像マトリックスを一度に行う必要はなく、分割して処理しても良い。
【0110】
本願第2の発明において、被評価面を測定して、その二次元画像データーマトリックスを作成し、ウェーブレット変換するが、ウェーブレット変換は二次元画像データーマトリックスのデーターがすべて揃ってから行う必要は無く、二次元画像データーマトリックスの作成を行いつつ、マトリックスが用意できた部分についてのウェーブレット変換を行っても良い。
【0111】
同様に、フーリエ変換も、二次元画像データーマトリックスのデーターがすべて揃ってから行う必要は無く、二次元画像データーマトリックスの作成を行いつつ、マトリックスが用意できた部分についての二次元フーリエ変換を行っても良い。
【0112】
本願第2の発明において、二次元画像データーマトリックスの作成、ウェーブレット変換、フーリエ変換は各種の手段で実施可能であり、例えば、マイクロプロセッサー、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC、あるいは専用ICやLSIが使用可能である。例えばソフトウェアで行う場合、mathematicaではウェーブレット変換を行うパッケージで可能であるWavelet Exploreを用いることによって計算できる。また、MATLABではウェーブレット変換を行うパッケージ(Wavelet Tool Box)を用いて計算できる。また、C言語等でプログラミングしても計算が可能であり、専用の数値演算プロセッサーによっても計算が可能である。本発明者の検討ではC++言語で作成したプログラムで計算した。
【0113】
本願第2の発明における画像形成装置用部品として典型的なものは電子写真感光体用基体であるが、このような基体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましく使用される。具体的にはA1100、A3030、A6063合金が特に好ましく使用される。このような基体は切削加工を施した後、陽極酸化や化成処理を施してもよい。
【0114】
本願第2の発明による電子写真感光体及び電子写真装置としては、好ましく適用される基体を除き、第1の発明で説明したものと同様であるので、その説明は省略する。本願請求項1〜9の発明において、演算処理の結果はコンピューターによる比較処理でも良く、あるいは演算処理結果を印字出力するかあるいは画面出力し、その出力を人間が見て判断しても良い。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。
【0116】
<第1の発明>
先ず、実施例及び比較例で測定対象とする電子写真感光体用基体の作成法と、その基体から電子写真感光体を作成する方法を説明し、次に作成した電子写真感光体の画像評価結果を説明する。そして、本発明による測定を実施例と比較例で説明し、この測定結果と画像評価結果を照合して本発明の効果を検証する。以下順に説明してゆく。
【0117】
(測定試料の用意)
本発明に従う測定を行う試料として、切削加工で3条件の加工を行い、電子写真感光体用基体3種を作成した。また、センタレス研削加工で2条件の加工を行い、電子写真感光体用基体2種を作成した。以下その条件を示す。
【0118】
測定試料A:アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押出し法により外径φ30.2mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押出しし、それを長さ254mmにカットして円筒シリンダーとした。この管を昌運社製旋盤でRバイトを使用して外径30.0mmに切削加工した。このようにして作製した電子写真感光体用基体を測定試料Aとする。この基体の表面粗さを測定したところ、10本測定し、平均でRzは1.62であった。
【0119】
測定試料B:アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押出し法により外径φ30.2mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押出しし、それを長さ254mmにカットして円筒シリンダーとした。この管を昌運社製旋盤で測定試料A切削時とは異なるRフラットバイトを使用して外径30.0mmに切削加工した。このようにして作製した電子写真感光体用基体を測定試料Bとする。この基体の表面粗さを測定したところ、10本測定し、平均でRzは1.31であった。
【0120】
測定試料C:バイトが摩滅したRバイトを使用した以外は測定試料Aと同様な方法で切削加工した。このようにして作製した電子写真感光体用基体を測定試料Cとする。この基体の表面粗さを測定したところ、10本測定し、平均でRzは1.55であった。
【0121】
測定試料D:アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押出し法により外径φ30.2mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押出しし、それを長さ254mmにカットして円筒シリンダーとした。この管をミクロン精機製センタレス研削盤で粗センタレス研削を行った後、仕上げンタレス研削を行って外径30.0mmに加工した。センタレス研削条件は以下に示す。このようにして作製した電子写真感光体用基体を測定試料Dとする。この基体の表面粗さを測定したところ、10本測定し、平均でRzは2.78であった。
【0122】
(粗センタレス加工)
研削輪の粒度 800メッシュ
研削輪の砥粒材質 炭化珪素質(SiC)
研削輪の回転数 1250rpm
粗研削送り速度 0.0076mm/秒
(仕上げセンタレス加工)
研削輪の粒度 1000メッシュ
研削輪の砥粒材質 炭化珪素質(SiC)
研削輪の回転数 1250rpm
仕上げ研削送り速度 0.0022mm/秒
【0123】
測定試料E:アルミニウム合金JIS規格A6063材をポートホール押出し法により外径φ30.2mm、内径φ28.5mmのパイプ状に連続押出しし、それを長さ254mmにカットして円筒シリンダーとした。この管を測定試料Cと同様にしてセンタレス研削を行って外形30.0mmに加工した。ここで、仕上げ研削に使用した研削輪は目詰まりを起こしていた。このようにして作製した電子写真感光体用基体を測定試料Eとする。この基体の表面粗さを測定したところ、10本測定し、平均でRzは1.71であった。
【0124】
(電子写真感光体の作成)
次に測定試料A〜Eから電子写真感光体を以下の手順で作成した。
(1)洗浄
測定試料A〜Eの基体を、ジェット水流を用いた水洗浄装置にて洗浄し、表面に付着しているオイル分を除去した。その際、界面活性剤として、常盤化学(株)のケミコールC(商品名)及び超音波発振機を併用し、ジェット洗浄後に純水にて再洗浄して界面活性剤を完全に除去してから乾燥を行った。
(2)下引き層の形成
次いで、この基体面に下記の組成からなる樹脂塗料を浸漬法で塗布し、次いで150℃で15分間加熱し、熱硬化させて、基体面に厚さ5μmの下引き層を形成させた。
酸化チタン 20 重量部
アルキッド樹脂 10 重量部
メラミン樹脂 10 重量部
メチルエチルケトン 60 重量部
(3)電荷発生層の形成
次いで、この下引き層上に、電荷発生層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、100℃で10分間乾燥し、下引き層上に電荷発生層を積層形成させた。
ブチラール樹脂(UCC社製XYHL) 1重量部
ジスアゾ顔料[下記(1)式] 9重量部
シクロヘキサノン 30重量部
テトラヒドロフラン(THF) 30重量部
【化1】


(4)電荷輸送層の形成
さらに、この電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、塗布後120℃で15分間乾燥し、電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成させた。
ポリカーボネート樹脂 10重量部
電荷移動剤[下記(2)式] 10重量部
ジクロロメタン 80重量部
なお、ポリカーボネート樹脂は帝人社製のパンライトK−1300を使用した。
【化2】

【0125】
このようにして測定試料Aの基体から電子写真感光体Aを作成した。また、測定試料Bの基体から電子写真感光体Bを作成した。同様にして電子写真感光体C,D、Eを作成した。
【0126】
(画像評価)
作成した電子写真感光体A〜Eを図6に示す電子写真装置に取り付け、画像評価を行った。その結果を表1に示す。表1から判るように切削加工法で作成したA、B、CではAが優れており、本発明の目的とする基体評価でAとB、Cの判別ができれば良いことになる。また、センタレス加工法で作成したD、EではDが優れており、同上に本発明の目的とする基体評価でDとEの区別が出来れば良いことになる。
【0127】
【表1】

【0128】
画像評価で上のような結果が出たが、本発明の効果を検証するために測定試料A〜Eの基体の評価を行った。この実施例と比較例を以下に説明する。
【0129】
[実施例1]
測定試料A〜Eを図1に示した装置で表面粗さを測定し、得た断面曲線データーのウェーブレット変換を行った。実施例1の測定例として、測定試料Aの断面曲線を図11に、そのウェーブレット変換を行った結果を図12に示す。また、測定試料Dの断面曲線を図13に、そのウェーブレット変換を行った結果を図14に示す。
【0130】
[実施例2]
測定試料A〜Eを図1に示した装置で表面粗さを測定し、得た断面曲線データーをウェーブレット変換し、その結果のスカログラム(scarogram)を求めた。実施例2の測定例として、測定試料Aの元データーとそのスカログラムを図15に示す。また、試料Dの元データーとそのスカログラムを図16に示す。
【0131】
[実施例3]
測定試料A〜Eを図1に示した装置で表面粗さを測定し、得た断面曲線データーを短時間フーリエ変換した。
【0132】
[実施例4]
測定試料A〜Eを図1に示した装置で表面粗さを測定し、得た断面曲線データーのウィグナー分布を求めた。実施例4の測定例として、測定試料Aのウィグナー分布を図17に、更にそれを三次元表示した図を図18に示す。また、測定試料Dのウィグナー分布を図19に、更にそれを三次元表示した図を図20に示す。
【0133】
[比較例1]
測定試料A〜Eの表面粗さをJIS B0601に示す方法で行い、断面曲線を得た。
【0134】
[比較例2]
比較例1で求めた断面曲線のフーリエ変換を行った。
【0135】
実施例1〜4、比較例1、2の評価結果を表2に示す。ここで、表2において、実施例1〜4はコンピューターで測定試料A、B、Cの測定結果を演算処理した結果を更にコンピューターで比較した結果である。
【0136】
【表2】

【0137】
以上の結果から、本願第1の発明による方法によって、切削加工法で作成した測定試料A、B、C間の差を検出できた。また、センタレス研削法で作成した測定試料D、Eの差を検出できたので、本発明の効果を検証できた。
<第2の発明>
【0138】
[実施例5]
A3003アルミニウム合金を押し出し加工で作成した外径30.5mm、内径28.5mm、長さ340mmのアルミニウム合金を図8に示す旋盤に取り付けた。旋盤に取り付けたアルミニウム合金管を5000rpmで回転させつつ、バイトには5mmの焼結ダイヤモンド製バイトを使用し、灯油を噴霧しながら、バイト送り速度50mm/secで切削加工を行い、このときの振動を測定した。このとき、振動センサーのサンプリング周波数は80KHzで行った。振動を検出した信号をA/D変換し、IBM社製パーソナルコンピューターに取り込んで、切削表面に対応した二次元データーを作成した。このデーターは数値のマトリックスなので、視認しやすいように画像データーに変換した結果の例を図21で示す。図21で判るように、縞状パターンが確認できた。ここで、バイトを先端が摩滅したバイトに交換し、切削ビビリが発生気味にして切削を行い、切削振動データーから同様にして画像を作成したところ、ビビリに対応した大きく、濃い縞が確認できた。また、切削加工時の巣と思われる信号の変異も確認できた。その様子を図22に拡大図として示す。
【0139】
[実施例6]
実施例5と同様にして切削加工を行い、切削振動を取り込んで二次元データーを作成した。この二次元データーを二次元フーリエ変換した結果を図23に示す。また、これを三次元表示した結果を図24に示す。バイトを研磨不良のバイトに交換し、切削スジが発生するようにして切削を行い、このときの振動を取り込んで二次元データーを作成し、この二次元データーを二次元フーリエ変換した。その結果にはスジによると思われる低い周波数成分が確認できた。
【0140】
[実施例7]
実施例5と同様にして切削加工を行い、切削振動を取り込んで二次元データーを作成した。次に、この二次元データーの二次元離散ウェーブレット変換を行った。このウェーブレット変換ではドビッシー関数を使用した。この結果を図25に示す。次に、バイトを先端が摩滅したバイトに交換し、切削ビビリが発生気味にして切削を行い、切削振動データーから同様にして二次元データーを作成し、更にこれを同様にウェーブレット変換したところ、ウェーブレット変換結果にはビビリに対応した縞が確認できた。このウェーブレット変換ではコフィレット関数を使用した。
【0141】
[実施例8]
実施例5と同様にして切削加工を行い、切削振動を取り込んで二次元データーを作成した。次に、この二次元データーの二次元離散ウェーブレット変換を行った。このウェーブレット変換ではドベシィ関数を使用した。次に、バイトを研磨不良のバイトに交換し、切削スジが発生するようにして切削を行い、このときの振動を取り込んで二次元データーを作成し、更にこれを同様にウェーブレット変換したところ、ウェーブレット変換結果には切削スジに対応したと思われる縞が確認できた。
【0142】
[比較例3]
実施例5と同様にして切削加工を行い、切削振動を取り込んで一次元データーを作成した。この一次元データーをフーリエ変換した。次に、バイトを研磨不良のバイトに交換し、切削スジが発生するようにして切削を行い、このときの振動を取り込んで一次元データーを作成し、この一次元データーをフーリエ変換した。この二つのフーリエ変換結果を比較したが、差は認められなかった。
【0143】
[比較例4]
実施例5と同様にして切削加工を行い、切削振動を取り込んで一次元データーを作成した。この一次元データーの一次元離散ウェーブレット変換を行った。次に、バイトを研磨不良のバイトに交換し、切削スジが発生するようにして切削を行い、このときの振動を取り込んで一次元データーを作成し、この一次元データーの一次元離散ウェーブレット変換を行った。この二つのウェーブレット変換結果を比較したが、差は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明を実施するのに好適な表面粗さ評価システムの構成図
【図2】ウェーブレット変換の処理フローの図
【図3】ウェーブレット変換の概念の図
【図4】電子写真感光体の層構成の図
【図5】電子写真感光体の別の層構成の図
【図6】電子写真装置の構成図
【図7】電子写真用装置用プロセスカートリッジの構成図
【図8】本発明を実施するのに適な切削加工システムの構成図
【図9】切削加工時に測定した振動データーから二次元データーを作成するフローの図
【図10】二次元ウェーブレット変換の処理フロー図
【図11】切削によって作成した基体の断面曲線の図
【図12】図11の断面曲線のデーターをウェーブレット変換によって多重解像度解析した結果の図
【図13】図11の断面曲線のデーターをウェーブレット変換して求めたスカログラムの図
【図14】図11の断面曲線のデーターのウィグナー分布を求めた図
【図15】図11の断面曲線のデーターのウィグナー分布の三次元表示の図
【図16】切削によって作成した基体の断面曲線の図
【図17】図16の断面曲線のデーターをウェーブレット変換によって多重解像度解析した結果の図
【図18】図16の断面曲線のデーターをウェーブレット変換して求めたスカログラムの図
【図19】図16の断面曲線のデーターのウィグナー分布を求めた図
【図20】図16の断面曲線のデーターのウィグナー分布の三次元表示の図
【図21】実施例5で作成した二次元データーを二次元濃度グラフで示した図
【図22】実施例5で作成した二次元データーを二次元濃度グラフで示した図の部分拡大図
【図23】図21のデーターを二次元フーリエ変換した結果の図
【図24】図21のデーターを二次元フーリエ変換した結果を三次元表示した図
【図25】図21のデーターを離散二次元ウェーブレット変換した結果の図
【符号の説明】
【0145】
1 測定対象
2 表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具
3 上記治具を測定対象に沿って移動させる機構
4 表面粗さ計
5 信号解析を行うパーソナルコンピューター
10 元信号
11 ローパスフィルターを通過した信号
12 ハイパスフィルターを通過した信号
13 ローパスフィルターを通過した信号
14 ハイパスフィルターを通過した信号
15 ローパスフィルターを通過した信号
16 ハイパスフィルターを通過した信号
21 電子写真感光体用基体
22 下引き層
23 電荷発生層
24 電荷輸送層
25 保護層
31 電子写真感光体
32 帯電機構
33 露光光源
34 現像機構
35 転写機構
36 定着機構
37 クリーニング機構
38 転写材
39 プロセスカートリッジのケース
41 被加工物
42 バイト取り付け台
43 振動センサーからの信号を伝えるケーブル
44 信号処理装置
45 主軸駆動用モーター
47 バイト取り付け台送り駆動用モーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列の多重解像度解析を行い、少なくともその結果に基づいて表面粗さの状態を評価する画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法によって評価したことを特徴とする電子写真感光体用基体。
【請求項2】
画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線上の等間隔位置における表面粗さ方向の位置データー列の多重解像度解析を行い、少なくともその結果に基づいて表面粗さの状態を評価する画像形成装置用部品の表面粗さ評価方法によって評価したことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項3】
請求項2の電子写真感光体を搭載したことを特徴とする電子写真装置。
【請求項4】
切削工具又は切削工具の取り付け治具に振動センサーを取り付け、切削加工時に、該振動センサーにより切削工具の振動を計測し、この計測信号から切削加工面に対応する二次元配列データーを作成し、この二次元配列データーを評価するか、又はこの二次元配列データーの信号解析を行って評価することにより、切削加工状態を把握しながら切削加工を行うことを特徴とする画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項5】
作成した二次元配列データーの解析方法が二次元フーリエ変換であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項6】
作成した二次元配列データーの解析方法が二次元多重解像度解析であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項7】
二次元多重解像度解析の方法が離散二次元ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項8】
振動を測定して作成した二次元データーを離散二次元ウェーブレット変換し、さらにこの離散二次元ウェーブレット変換した結果の一部を除くか、あるいは演算処理し、次いで二次元ウェーブレット逆変換を行い、その結果を解析評価することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項9】
二次元多重解像度解析の方法がバンドパスフィルターを使用した方法であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項10】
二次元多重解像度解析の方法が短時間高速フーリエ変換であることを特徴とする請求項6に記載の切削加工方法。
【請求項11】
被加工物がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項12】
被加工物が電子写真感光体用基体であることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載の画像形成装置用部品の切削加工方法。
【請求項13】
旋盤と、該旋盤で使用する切削工具の振動を検出する振動センサーと、該振動センサーからの信号を記録する記憶装置又は該振動センサーからの信号から作成した二次元データーを記録する記憶装置と、さらに離散二次元ウェーブレット変換を行うハードウェア又はソフトウェアを備えたことを特徴とする画像形成装置用部品の切削加工装置。
【請求項14】
請求項4〜12のいずれかに記載の切削加工方法で作成した電子写真感光体用基体。
【請求項15】
請求項14に記載の電子写真感光体用基体を用いた電子写真感光体。
【請求項16】
請求項15に記載の電子写真感光体を搭載した電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−292772(P2007−292772A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119975(P2007−119975)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【分割の表示】特願2002−221511(P2002−221511)の分割
【原出願日】平成14年7月30日(2002.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】