説明

画像形成装置

【課題】 装置の小型化を実現しつつ、かつ用紙搬送性や積載性をも良好に確保し得る構成を提供する。
【解決手段】 複合機1は、画像形成部5の上方に排紙トレイ46が配置されており、さらにその排紙トレイ46の上方を覆うように読取部70が設けられている。そして、排紙トレイ46の上面47と読取部70の下面71とが対向するように構成されている。読取部本体170の前方側には操作パネル100が設けられており、操作パネル100と排紙トレイ46とによって構成される開口部82を介して排出された用紙を取出可能に構成されている。このような構成において、操作パネル100のパネル上面100a及びパネル下面100bは共に後方側よりも前方側が下がるように傾斜した構成をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように排紙トレイ上に操作パネルを設けるような複合機が知られている。この種の複合機では、原稿を読み取る読取部本体に隣接して端部に操作パネルが設けられる構成をなしており、この操作パネルの裏面は、手前側が上方となる傾斜或いは水平となるような構成が用いられていた。
【特許文献1】特開2001−63898公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に代表されるこの種の複合機は、読取部本体、用紙収容部、及び画像形成部とが上下に重なる構成をなすため、その装置全体としては、これらの高さが加算される装置高さとなる。このような構成において、装置全体の高さを抑えて小型化を図ろうとするには、装置高さが定められる上での一要素たる読取部本体の高さを低くすることが考えられる。しかしながら、上記のように操作パネルの裏面を手前側上がりの傾斜、或いは水平とする従来の構成では、読取部本体の高さを低く抑えようとした場合、構成上、操作パネルの上面をあまり傾斜させることができなくなり、その結果、操作性、視認性が悪化してしまう。
【0004】
即ち、操作パネルの上面は、視認性及び操作性を考慮すると、手前側が下方となるようにある程度の傾斜が確保されていたほうが有利であるが、このように操作パネルの上面をある程度傾斜させる構成を、読取部本体の高さを低く抑えつつ実現することは、従来の構成では難しかった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、用紙載置部の上方にパネルが配置され、パネルと用紙載置部との間に用紙をスタックし得る画像形成装置において、パネルの操作性、視認性を良好なものとしつつ、その一方で、装置の小型化を効果的に図り得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、画像を形成する画像形成部と、当該画像形成装置の高さ方向を上下方向とした場合に、前記画像形成部の上方に設けられ、用紙排出口から排出される用紙を載置可能な用紙載置部と、前記用紙載置部の上方において前記用紙載置部を覆うように設けられ、下面が前記用紙載置部の載置部上面と対向するように構成される上方カバー部と、前記用紙排出口からの排出方向の下流側を装置前方側、それとは反対側を後方側とした場合、前記上方カバー部の前方側において前記用紙載置部の載置部上面と対向するように設けられ、上部に操作部又は表示部の少なくともいずれかが設けられたパネルとを備え、前記パネルと前記用紙載置部とによって構成される開口部を介して前記用紙を取出可能に構成された画像形成装置であって、前記パネルのパネル上面及びパネル下面は、後方側よりも前方側が下がるように傾斜した構成をなすことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記用紙載置部の載置部上面は、前記パネル下面と対向する位置において、前方側が下がるように傾斜した構成をなすことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記用紙載置部の前記載置部上面は、前記パネル下面と対向する位置において前記パネル下面と略同一の傾斜度合となるように傾斜した構成をなすことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記パネルは、前記パネル下面と前記載置部上面とが離間するように上方に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記パネルの内部において前記操作部又は前記表示部の少なくともいずれかと接続されるパネル基板が配置されており、前記パネル基板の板面は、前記パネルの上面又は下面の少なくともいずれかの面と略同一の傾斜度合となるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記パネルの前端部と、前記用紙載置部の下方に設けられた画像形成部の筐体前端部とが、前後方向においてほぼ同位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記パネルの前端部における前記パネル下面と前記載置部上面との上下方向の距離は、前記用紙載置部の後端部における前記載置部上面と前記用紙排出口との上下方向の距離と略同一とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記上方カバーは、原稿を読取可能な読取部の本体をなす読取部本体として構成され、当該読取部本体の前方側に延出するように前記パネルが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記パネルの上下方向の高さが、前記読取部本体の下面と当該読取部本体における原稿載置面との上下方向の最短距離よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の画像形成装置において、前記読取部は、当該読取部の下面と前記用紙載置部の前記載置部上面とが離間するように、上方側に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記読取部の本体をなす読取部本体の下面と、前記パネルのパネル下面とが一体成型されていることを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを像担持体に照射することにより前記像担持体に静電潜像を形成し、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記像担持体上に生成された可視像を画像形成位置にて用紙に転写するように構成されており、当該画像形成部の下方にて前記用紙を積層した状態で収納する給紙カセットと、前記給紙カセットの上方に位置し、前記給紙カセットに収納された用紙を、前記画像形成位置を経由して前記用紙載置部まで搬送するための搬送経路と、前記給紙カセットの端部近傍の上方に位置し、前記給紙カセットの最上部に積層された用紙を前記搬送経路に供給する供給ローラと、前記給紙カセットの上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記像担持体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、当該画像形成装置の装置本体部から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、を備え、前記スキャナユニットは、前記プロセスカートリッジを取り出し可能なように、前記脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、前記搬送経路の一部は、前記プロセスカートリッジと前記給紙カセットとに挟まれた領域に形成されており、前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の画像形成装置において、像担持体を少なくとも備えると共に、当該画像形成装置の装置本体部に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジを有し、前記装置本体部は、前記用紙載置部の下方において前記プロセスカートリッジを収容する収容部が形成されると共に、当該装置本体部における前方側の端部には前記収容部と連通する開口部が形成されており、前記開口部を介して前記プロセスカートリッジが着脱可能となっていることを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置において、当該画像形成装置の前方側に引き出し可能に構成される給紙カセットと、前記給紙カセットの前端側から供給される用紙を、当該画像形成装置の後方側に向かうように方向転換すると共に前記給紙カセットの上方に設けられる画像形成部側に送り出す第1の方向転換部と、前記画像形成部にて画像が形成された用紙を当該画像形成装置の前方側に向かうように方向転換して前記画像形成手段の上方に設けられる前記用紙載置部側に送り出す第2の方向転換部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、パネルの下面が、後方側より前方側が下がるように構成されているため、下面が水平或いは前方上がりに構成される場合と比較してパネルの下面をより下方位置に配置できることとなる。したがって、読取部本体の高さを低く抑えた場合であっても、パネルの上面を、手前側が下方となるよう傾斜させやすくなる。よって、装置全体の小型化を図りつつ、パネル上面について適度の傾斜を確保し得る、視認性、操作性に優れた構成となる。
【0021】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、パネル下面と載置部上面とが共に前方下がりの構成となり、用紙を積載するに際しスペース的に無駄の少ない構成となる。その結果、用紙載置部に載置可能となる量を大きくしやすく、かつ装置高さを低くしやすい構成となる。
【0022】
<請求項3の発明>
請求項3のように、パネル下面と載置部上面とを略同一の傾斜度合とすれば、この対向する部分において幅をほぼ一定にすることができ、積載量を確保しつつ小型化を図りやすい極めて好適な構成となる。
【0023】
<請求項4の発明>
請求項4のようにすれば、必要に応じてパネルを開放することのできる構成となり、その開放によって、ユーザはパネル下方或いは用紙載置部の後方の奥まった位置にアクセスし易くなる。したがって、小型化に起因する操作困難や排紙に伴う不具合等を防止ないし解消でき、操作性が高く使い勝手のよい構成とすることができる。
【0024】
<請求項5の発明>
請求項5のようにすれば、パネル上面及び下面の間に効率的にパネル基板を配置できるため、パネルを薄く構成することができ、ひいては装置小型化を図ることができる。
【0025】
<請求項6の発明>
請求項6のようにすれば、パネルが装置前方に突出しないように配置できるため、装置の大型化が抑えられると共に、形状的にすっきりとまとまる構成となる。他方、パネルが後方に引っ込まない程度の大きさとされているため、パネルが小さくなりすぎない適度な大きさに保たれ、操作性を適切に確保できる構成となる。
【0026】
<請求項7の発明>
請求項7のようにすれば、パネルの位置をなるべく低くしつつ、その一方で用紙部に積載可能となる量の用紙を確実に排出できる構成となる。
【0027】
<請求項8の発明>
上方に読取部を備え、下方に画像形成部を備えた複合機は上下方向に大きくなりがちであるため、小型化の要請が大きいが、請求項8の構成によれば、パネル上面及びパネル下面が、後方側よりも前方側が下がるように傾斜した構成をなすため、小型化を図った場合であっても操作性が高く、かつ、パネルの下方スペースをより確保しやすいため小型化に有利な構成となる。
【0028】
<請求項9の発明>
請求項9のように、パネルの上下方向の高さを、読取部本体の下面と当該読取部本体における原稿載置面との上下方向の最短距離よりも大きく構成すれば、読取部本体を薄くでき、かつ、パネル上面の適度の傾斜を確保しやすい構成となる。このような構成を実現しようとした場合、従来のように、パネル下面を水平或いは前方上がりに構成するという発想では、上下方向に関して原稿載置面より上方位置にパネルの配置スペースをかなり確保しなければならず、仮に実現しようとするとパネルが原稿載置面よりも上方にかなり突出してしまう。これに対し、請求項9の構成のように、パネル上面及びパネル下面を共に傾斜させつつ、パネルの上下方向の高さを、読取部本体の下面と当該読取部本体における原稿載置面との上下方向の最短距離よりも大きく構成すれば、読取部本体を薄くでき、かつ、パネルを原稿載置面より上方位置にそれほど突出させることなく、パネル上面の傾斜を確保しやすい構成となる。
【0029】
<請求項10の発明>
請求項10のようにすれば、読取部が用紙載置部の上方に設けられる構成において、ユーザが用紙載置部により一層アクセスしやすくなる。
【0030】
<請求項11の発明>
請求項11のようにすれば、読取部本体の下面と操作パネルの下面(パネル下面)とを一体性高く構成でき、双方を分離することに起因する段差、突起等の搬送阻害要因が生じないように構成できる。特に、小型化を図ろうとすると用紙が読取部本体の下部に当接する可能性が高いが、本構成によれば、仮に読取部本体の下部に当接するように用紙が搬送されたとしても円滑に搬送されることとなる。
【0031】
<請求項12の発明>
この種の画像形成装置では、給紙カセットと、供給ローラと、プロセスカートリッジと、スキャナユニットと、上部カバーとが装置高さに影響を与えやすく、特に、供給ローラの真上の領域に位置する構成要素の厚みが、画像形成装置の高さに影響を与えやすい。即ち、供給ローラが設けられた位置において、給紙カセット、供給ローラ、プロセスカートリッジ、スキャナユニット及び上部カバーがそのまま上下に重なるように配置されると、装置全体の高さは、これら構成要素の全ての高さを加算した高さ以上となってしまい装置が大型化してしまう。
【0032】
これに対し請求項12の発明では、画像形成装置の高さを低くするために、供給ローラの真上の領域に位置する構成要素についてなるべく厚みを薄くし、供給ローラの真上以外の領域の空間を有効に使用するよう各構成要素を配置している。しかも構成要素の1つであるプロセスカートリッジは、供給ローラの上部を通過して、略水平な脱着方向に取り出し可能に構成されている。
【0033】
即ち、本発明の画像形成装置におけるスキャナユニットは、プロセスカートリッジを取り出し可能なように、脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされている。さらに、搬送経路の一部は、プロセスカートリッジと給紙カセットとに挟まれた領域に形成されており、搬送経路上に位置する画像形成位置は、供給ローラの上端よりも低い位置にあるよう設定されている。
【0034】
従って、この画像形成装置によれば、プロセスカートリッジの取り出しを容易に行うことができ、且つ、スキャナユニットを先細り形状にしない場合と比較して、供給ローラの位置における画像形成装置の高さを低くすることができる。また、画像形成位置が供給ローラの上端よりも低くなった分だけプロセスカートリッジ等の位置を低くすることができるので、画像形成位置における画像形成装置の高さを低くすることができる。
【0035】
<請求項13の発明>
請求項13のようにすれば、プロセスカートリッジの着脱操作と、排出された用紙へのアクセスとを共に用紙排出方向の下流側から行うことができ、ユーザにとって使い勝手のよい装置構成となる。
【0036】
<請求項14の発明>
請求項14のようにすれば、装置の小型化を図りやすい構成となり、かつ、小型化を図った場合であっても、操作性が高く、かつ、パネルの下方スペースをより確保しやすいため小型化に有利な構成となる。なお、画像形成手段は、転写手段、定着手段によって構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1ないし図10を参照しつつ説明する。
図1は本発明の画像形成装置の実施形態1に係る複合機を例示する要部側断面図であり、図2はその斜視図、図3(a)はその側面図である。図3(b)は、読取部の内部構成の一部を概念的に説明するものである。また、図4は、図1からプロセスユニットを取り外した状態を例示する説明図である。さらに、図5は用紙排出口付近の要部側断面を拡大して示す拡大図であり、図6は、開口部付近の要部側断面を拡大して示す拡大図である。また、図7は、用紙排出口付近の構成を例示する図であり、図8は、読取部の一部を下面側から見た拡大図である。図9(a)は、実施形態1の複合機に関し、読取部が上方に移動した状態を例示する説明図であり、図9(b)は、オートドキュメントフィーダ(以下、ADFとも称する)が上方に移動して開いた状態を例示する説明図である。。また、図10は、転写後の用紙搬送経路に用いられるガイド部材を例示する断面図である。
<全体構成>
まず図1を参照して全体構成を説明する。なお、図1においては、複合機1を後述する各種ローラの軸方向から見た図となっており、この図における右側を手前側、左側を奥側と呼ぶこととする。また、本明細書において、複合機1を水平面上に載置した場合における水平方向において、用紙排出口24から排出される用紙が向かう側を当該複合機1の前方、それとは反対側を後方として前後方向が規定されている。また、水平面上に載置した場合における鉛直方向を上下方向としている。図1では、X軸方向を前後方向としており、+X側を前方側、−X側を後方側としている。また、Y軸方向を上下方向としており、+Y側を上方側、−Y側を下方側としている。
【0038】
図1において、複合機1は、図2、図3(a)にて外観が示される本体ケーシング2内に、用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0039】
また、画像形成部5の上部には、画像形成部5により画像形成され、排出された用紙3を保持するために用いられる排紙トレイ46(排紙トレイ46は用紙載置部に相当する)を備えている。
【0040】
フィーダ部4は、給紙カセット6と、給紙カセット6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙カセット6の一端側端部の上方に設けられる送出ローラ11、給紙ローラ8および分離パッド9と、給紙ローラ8に対向するピンチローラ10と、紙粉取りローラ50と、紙粉取りローラ50に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
【0041】
なお、送出ローラ11、給紙ローラ8、ピンチローラ10、ガイド部55によって、給紙カセット6の前端側から供給される用紙を、当該複合機1の後方側に向かうように方向転換され、給紙カセット6の上方に設けられる画像形成部5に送り出されるようになっており、これら送出ローラ11、給紙ローラ8、ピンチローラ10、ガイド部55が第1の方向転換部に相当している。以下、各部分について具体的に説明する。
【0042】
給紙カセット6は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着されており、この中に用紙3を積層して収納するために用いられる。この給紙カセット6は、内部に用紙3を補給する際等に、複合機1の前方側(図1においては右側)に引き出し可能となるように構成されている。このとき、フィーダ部4は、給紙ローラ8と分離パッド9との間で切り離され、ピンチローラ10と分離パッド9と分離パッド9の裏側に配設されるバネ13とが、給紙カセット6と一体となって引き出される。
【0043】
用紙押圧板7は、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、給紙ローラ8に対して近い方の端部が上下方向に移動可能とされ、図示しないバネにより上方向に付勢されている。このため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、バネの付勢力に抗して下向きに揺動される。
【0044】
送出ローラ11は、用紙押圧板7により給紙カセット6内の最上位に積層された用紙3に当接するよう設定されており、給紙ローラ8により用紙3を搬送可能な位置(給紙ローラ8と分離パッド9の間の位置)まで送る。
【0045】
次に、分離パッド9は、給紙ローラ8に対向する位置に配設されている。そして分離パッド9の裏側に配設されるバネ13によって、給紙ローラ8に向かって押圧されている。また、この分離パッド9は、複数の用紙3が重なった状態で搬送経路内に供給されることを防止するための機能を備えている。即ち、送出ローラ11により送られてきた用紙3は、給紙ローラ8と分離パッド9とに接触する。このとき、分離パッド9と用紙3との間には、適度な摩擦力が加えられるので、送出ローラ11により複数の用紙3が分離パッドまで送られてきたとしても、最上位に位置する用紙3以外の用紙3は分離パッド9により係止される。このため、給紙ローラ8からは1枚毎に用紙3が供給される。
【0046】
そして、給紙ローラ8により給紙された用紙3は、用紙3の搬送経路(図1の2点鎖線にて表示)に送られる。このとき用紙3は、紙粉取りローラ50によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に送られる。また、この搬送経路は、給紙ローラ8の上端から画像形成位置P1までの全区間においては、水平方向よりも下向きに形成されている。そして、この搬送経路のうち、給紙ローラ8から画像形成位置P1までの大部分は、複合機1の本体側に形成されたガイド部材51と、プロセスユニット17の底面部とにより形成されている。
【0047】
ここで、給紙ローラ8は、用紙3を約180度方向転換させてレジストローラ12に送るが、このとき、給紙ローラ8により用紙3を湾曲させる曲率が大きいと、用紙3が、はがき等の厚みのあるものである場合には、用紙3が折れ曲がってしまうか、或いは用紙3が曲げられる際の抵抗により用紙3はレジストローラ12まで搬送されない虞がある。
【0048】
このため、給紙ローラ8は感光体ドラム27(感光体ドラム27は像担持体に相当する)や、定着ローラ41等のローラと比べて、直径が大きく設定されている(例えば、感光体ドラム27の直径24mm、定着ローラ41の直径25mmに対して、給紙ローラ8の直径は33mm)。このように給紙ローラ8の直径を比較的大きく設定し、用紙3が湾曲させられる曲率を小さくすれば、給紙ローラ8により用紙3を折り曲げることなく良好に搬送することができる。
【0049】
また、レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、給紙ローラ8の近傍に配置された位置センサ64による検知タイミングに基づいて、駆動および停止の動作が図示しない基板内に配置された制御装置(図示省略)により制御される。そして、この制御により用紙3の斜行が修正される。即ち、制御装置は、給紙ローラ8による用紙3の搬送時において、レジストローラ12は駆動している状態とし、位置センサ64が用紙3の先端を検知すると、レジストローラ12を停止させる。そして、用紙3がレジストローラ12に接触し、弛んだ状態になった頃に、制御装置は再びレジストローラ12を駆動し、用紙3を画像形成部5に送るようにしている。
【0050】
なお、位置センサ64は、機械式のものであり、用紙3と接触し、用紙3に押されると、用紙3が接触する前の所定の位置から変位するよう構成されている。
また、給紙ローラ8のやや上方には、複合機1の手前側からレジストローラ12の位置に直接用紙3を給紙するための手差給紙口14が形成されており、給紙カセット6に用紙3を収納することなく搬送経路に用紙3を供給することができる。
【0051】
次に、画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスユニット17、定着ユニット18などを備えている。
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示省略)、ポリゴンモータ25により回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22および23などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、図1における一点鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22、レンズ21、反射鏡23の順に通過あるいは反射させて、後述するプロセスユニット17における感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射させている。
【0052】
より詳しくは、このスキャナユニット16において、ポリゴンミラー19は、感光体ドラム27および後述する画像形成位置P1の真上に配置されており、ポリゴンミラー19に反射されたレーザビームは、反射鏡22に向かって略水平方向に進行する。そして、このレーザビームは、反射鏡22によりポリゴンミラー19のすぐ下方に位置する反射鏡23に向かって反射される。即ち、反射鏡22は入射されるレーザビームを水平方向から15度程度下方に向けて鋭角に反射する。そして、これらの各部(ポリゴンミラー19、レンズ20、21、反射鏡22、23)を備えるスキャナユニット16は、レーザビームの光路を妨げない程度の大きさおよび形状に設定されている。即ち、このスキャナユニット16の上面(上板)は、略水平方向(厳密には給紙ローラ8から遠い方が低くなるよう傾斜して)配置されている。また、スキャナユニット16の下面(下板)は、給紙ローラ8から遠い方がより低くなるよう、上面よりも大きく傾斜している。このため、スキャナユニット16の形状は、ポリゴンミラー19が位置する画像形成位置P側が厚く、給紙ローラ8側が薄い先細り形状となっている。
【0053】
<プロセスカートリッジ>
図1、図4に示すように、複合機1には、感光体ドラム27を少なくとも備えて装置本体部1aに対して着脱可能とされるプロセスユニット17が設けられている(プロセスユニット17がプロセスカートリッジに相当する)。装置本体部1aには、排紙トレイ46の下方においてプロセスユニット17を収容する収容部84が形成されている。そして、図4に示すように、装置本体部1aにおける装置前方側の端部には収容部84と連通する開口部84aが形成されており、この開口部84aを介してプロセスユニット17が着脱可能となっている。
【0054】
プロセスユニット17は、スキャナユニット16の下方に配設され、装置本体部1aの外壁をなす本体ケーシング2に対して略水平方向且つ前後方向に着脱自在に装着されており、プロセスユニット17は、ドラムカートリッジ26と、現像カートリッジ28とから構成されている。また、プロセスユニット17とスキャナユニット16との間には、空間が形成されている。
【0055】
プロセスユニット17のうち、ドラムカートリッジ26には、感光体ドラム27、スコロトロン型帯電器29、転写ローラ30を備えている。また、現像カートリッジ28には、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、トナー供給ローラ33およびトナーボックス34などを備えている。そして、この現像カートリッジ28は、ドラムカートリッジ26に対して着脱自在に装着されている。
【0056】
ここで、プロセスユニット17を構成する構成要素のうち、感光体ドラム27およびトナーボックス34は、比較的大きなスペースを必要とするものである。このため、この感光体ドラム27およびトナーボックス34は、プロセスユニット17近傍で比較的大きなスペースを必要とする給紙ローラ8、およびレジストローラ12の真上に配置されることがないよう設定されている。
【0057】
また、トナーボックス34内には、トナー(現像剤)が充填されている。そして、トナーボックス34内のトナーは、トナーボックス34の中心に設けられる回転軸35に支持されるアジテータ36の矢印方向(時計方向)への回転により、攪拌されて、トナーボックス34に設けられたトナー供給口37から放出される。
【0058】
トナー供給口37の側方位置には、トナー供給ローラ33が反時計方向に回転可能に配設されており、また、このトナー供給ローラ33に対向して、現像ローラ31が反時計方向に回転可能に配設されている。そして、これらトナー供給ローラ33と現像ローラ31とは、そのそれぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
【0059】
トナー供給ローラ33は、金属製のローラ軸に、導電性の発泡材料からなるローラが被覆されている。また、現像ローラ31は、金属製のローラ軸に、磁気特性を持たない導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。より具体的には、現像ローラ31のローラ部分は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。なお、現像ローラ31には、現像バイアスが印加される。
【0060】
また、現像ローラ31の近傍には、層厚規制ブレード32が配設されている。この層厚規制ブレード32は、金属の板バネ材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部40を備えており、現像ローラ31の近くにおいて現像カートリッジ28に支持されて、押圧部40がブレード本体の弾性力によって現像ローラ31上に圧接されるように構成されている。
【0061】
そして、トナー供給口37から放出されるトナーは、トナー供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給され、この時、トナー供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電され、さらに、現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32の押圧部40と現像ローラ31との間に進入し、ここでさらに十分に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0062】
感光体ドラム27は、現像ローラ31の側方位置において、その現像ローラ31と対向するような状態で時計方向に回転可能に配設されている。この感光体ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が、ポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。なお、この感光体ドラム27は、図示しないメインモータからの動力によって回転駆動されるように構成されている。
【0063】
スコロトロン型帯電器29は、感光体ドラム27に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。このスコロトロン型帯電器29は、感光体ドラム27の半径方向において、水平方向から約30度上方に配置されている。また、このスコロトロン型帯電器29は、このタングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0064】
そして、感光体ドラム27の表面は、その感光体ドラム27の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0065】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム27に対向して接触する時に、感光体ドラム27の表面上に形成される静電潜像、即ち、一様に正帯電されている感光体ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0066】
転写ローラ30は、感光体ドラム27の下方において、この感光体ドラム27に対向するように配置され、ドラムカートリッジ26に反時計方向に回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、イオン導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、転写時には、転写バイアス(転写順バイアス)が印加されるように構成されている。そのため、感光体ドラム27の表面上に担持された可視像は、用紙3が感光体ドラム27と転写ローラ30との間(画像形成位置P1)を通る間に用紙3に転写される。
【0067】
定着ユニット18は、プロセスユニット17よりも用紙搬送方向下流側(奥側)に配設され、ギヤが形成された定着ローラ41、定着ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、サーモスタット18aを備えている。また、これらの定着ローラ41、およびサーモスタット18aは、カバー18bにより覆われている。
【0068】
定着ローラ41は、金属製で、加熱のためのハロゲンランプを備えている。
押圧ローラ42には、この押圧ローラ42を下方から定着ローラ41の中心軸方向に回転可能に押圧(付勢)するバネ42aを備えている。また、この押圧ローラ42は、定着ローラ41または用紙3と密着し、定着ローラ41と同期して回転するよう構成されている。
【0069】
サーモスタット18aは、例えばバイメタルからなり、定着ローラ41から発生される熱に応じて、定着ローラ41を加熱するためのヒータの電源をON・OFFし、加熱ローラ42が異常な高温に加熱されないようにしている。
【0070】
また、このサーモスタット18aは、定着ローラ41の上方であって、押圧ローラ42および定着ローラ41の回転中心を結んだ延長線(仮想線)上に配置されている。このため、サーモスタット18aが定着ローラ41の真上や、定着ローラ41の真上よりも奥側(図1においては左側:用紙3の搬送方向下流側)に配置されていると比べて、排紙トレイ46の凹部46aを位置を低く設定することを可能にしている。
【0071】
カバー18bは、定着ローラ41から発生される熱が定着ユニット18から定着ユニット18外に放出され、本体ケーシング2内の他の機器(例えば、スキャナユニット16等)に悪影響を与えることがないように、定着ローラ41の側方および上方を覆うような形状を有している。ここで、このカバー18bは、押圧ローラ42については、その中心軸(図示省略)のみをバネ42aの付勢方向に移動可能、且つ回転可能に支持しているのみであり、この押圧ローラ42の下半分は、カバー18bから露出した状態になっている。このため、複合機1は、カバー18bが押圧ローラ42の下方を覆っている場合と比較して、このカバー18bの厚みの分だけ高さが低く設定されている。
【0072】
このような定着ユニット18において、定着ローラ41は、プロセスユニット17において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が定着ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に加熱および加圧することにより定着させる。さらに、定着ローラ41は、画像定着後の用紙3を、ガイド部材52、53により形成される排紙パスを介して、排出ローラ45まで搬送する。そして、排出ローラ45は、送られてきた用紙3を排紙トレイ46上に排紙する。なお、一対の排出ローラ45は、用紙3を複合機1の外部に排出するための用紙排出口24として機能する。なお、定着ユニット18、ガイド部材52、53、及び排出ローラ45によって画像形成部5にて画像が形成された用紙が前方側に向かうように方向転換されて画像形成部5の上方に配置される排紙トレイ側に送り出されることとなる。本実施形態では、これらガイド部材52、53が第2の方向転換部として機能することとなる。
【0073】
ここで、用紙3が定着ローラ41により加熱された状態で急に湾曲させられると、用紙3が湾曲した状態から元の湾曲していない状態に戻らなくなる虞がある。このため、定着ローラ41通過後の用紙3が接するガイド部材52、53は、過熱された状態で定着ローラ41通過後には、用紙3を緩やかに湾曲し、排出ローラ45に近づくにつれて、急に湾曲するよう設定されている。
【0074】
このように構成することによって、用紙3の排出経路の全てを緩やかに湾曲させた場合よりも用紙排出口24の位置を下方にすることができ、用紙3の恒久的な湾曲を防止しつつも複合機1の高さを低くし易くなる。
【0075】
また、排紙トレイ46は、複合機1の手前側から奥側(図1においては左側)に向かうにつれて、徐々に落ち込んだ形状を有している。この排紙トレイ46の最も落ち込んだ部分(凹部46a)においては、定着ユニット18の上端よりも低い位置になるよう設定されている。このため、排紙トレイ46に積層可能な用紙3の枚数を減らすことなく、排出ローラ45をより低い位置に配置可能にしている。このため、スキャナユニット16が配置されている部分における複合機1の高さと、排出ローラ45が配置されている位置における複合機1の高さとを近づけることができ、デザイン性(見栄え)がよいものとなっている。
【0076】
また、この複合機1において、前述の各種ローラ、ポリゴンミラー19等を駆動制御するための制御装置が搭載された基板90は、図1における破線にて示すように、用紙3が搬送される搬送経路の両側面(プロセスユニット17を側面から挟むような位置:一側)に配置されている。
【0077】
次に、使用者により行なわれるプロセスユニット17の取り外しについて、図4を用いて説明する。図4は、プロセスユニット17を取り外した状態を示す説明図である。
【0078】
図1の状態において、プロセスユニット17を取り外す際には、まず、使用者が複合機1のカバー49を複合機の手前側に開き、図4に示す状態にする。このとき、カバー49は、図示しない支持軸を支点として回動する。
【0079】
そして、プロセスユニット17は、図1の状態から略水平方向に複合機1の手前側(脱着方向)に引き出され、給紙ローラ8の上方を通過して取り外される。このとき、プロセスユニット17とスキャナユニット16との間には、前述のように空間が形成されているので、使用者は、プロセスユニット17の手前側(給紙ローラ8に近い側)に位置する取手17aをスキャナユニット16方向に持ち上げて、そのままプロセスユニット17を引き出すことができる。この構成により、プロセスユニット17の奥側(画像形成位置P1側)が複合機1の本体に引っ掛かり難く、プロセスユニット17を円滑に引き出すことができる。
【0080】
以上のように詳述した複合機1においては、複合機1の下方にて用紙3を積層した状態で収納する給紙カセット6と、給紙カセット6の上方に位置し、給紙カセット6に収納された用紙3を、画像形成位置P1を経由して複合機1外まで搬送するための搬送経路と、給紙カセット6の端部近傍の上方に位置し、給紙カセット6の最上部に積層された用紙3を搬送経路に供給する給紙ローラ8と、給紙カセット6の上方であって給紙ローラ8に近接した位置に配置され、感光体ドラム27とトナーを収納するためのトナーボックス34とを有している。そして、給紙ローラ8の上部を通過して、複合機1から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスユニット17と、プロセスユニット17の上方に配置されており、少なくともポリゴンミラー19を備えたスキャナユニット16と、を備えている。
【0081】
そして、スキャナユニット16は、プロセスユニット17を取り出し可能なように、脱着方向における給紙ローラ8側が厚みの少ない先細り形状にされており、搬送経路の一部は、プロセスユニット17と給紙カセット6とに挟まれた領域に形成されており、搬送経路上に位置する画像形成位置P1は、給紙ローラ8の上端よりも低い位置にある。
【0082】
従って、プロセスユニット17の取り出しを容易に行うことができ、且つ、給紙ローラ8の真上の領域においてスキャナユニット16は厚みが薄くなる先細り形状にされているので、スキャナユニット16を先細り形状にしない場合と比較して、給紙ローラ8の位置における複合機1の高さを低くすることができる。
【0083】
また、画像形成位置P1が給紙ローラ8の上端よりも低くなった分だけプロセスユニット17等の位置を低くすることができるので、画像形成位置P1における複合機1の高さを低くすることができる。さらに、プロセスユニット17は、感光体ドラム27および転写ローラ30を備えているので、プロセスユニット17を交換するときに感光体ドラム27および転写ローラ30も交換することができる。
【0084】
<読取部、用紙載置部>
図1に示すように、複合機1において、排紙トレイ46は、画像形成部5の上方に設けられており、用紙排出口24から排出される用紙を載置可能に構成されている。そして、この排紙トレイ46の上方には、この排紙トレイ46を覆うように読取部70が設けられている。そして、排紙トレイ46の上面47と、読取部70の下面71とが対向するように構成されている。
【0085】
読取部70は、図2の斜視図、及び図3(a)の側面図に示すα線を境とし、かつ符号J2にて概念的に示す回動軸を中心として、ADF172を含む部分が後方側に開くように構成されている。また、β線を境とする読取部70の全体が、符号J1にて概念的に示す回動軸を中心として後方に開くようにも構成されている。なお、図9(a)には読取部70の全体が後方に移動して開いた状態を示しており、図9(b)には、ADF172が後方に移動して開いた状態を示している。図1、図9では、ADF172については概略的なものを示している。
【0086】
読取部70は、フラットベッド方式のスキャナとして構成されており、このフラットベッド方式の構成では、図9(b)に示すように、ADF172部分が後方に開くと、原稿読取部76が露出するようになっており、その原稿載置面76aに、本やその他の各種原稿を載置した状態で読み取りができるように構成されている。
【0087】
一方、図3(b)には読取部70の内部構成を概念的に示しており、この図に示すように、読取部70は、原稿トレイ171上に載置された原稿が、ガラス板からなる原稿載置部76を介してCIS(コンタクトイメージセンサ)174と対向し、さらに排出トレイ175に導かれるように、原稿を誘導するための搬送路176が弧を描くように設けられている。そして、搬送路176の原稿搬送方向の上流側先端部には、原稿トレイ171上に載置された原稿を一枚ずつ分離して搬送路176に導くための供給ローラ173が設けられている。また、搬送路176上のCIS174との対向部には、そこを通過する原稿を押圧して原稿載置部76に密着させるための押圧ローラ177が設けられ、搬送路176の原稿搬送方向の下流側末端部には、原稿を排出トレイ175に排出するための排出ローラ178が設けられている。さらに、搬送路176の経路上で供給ローラ173の近傍には、原稿が通過したか否かを検出するための通過検出センサ180が設けられている。
【0088】
CIS174は、原稿の搬送方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸方向:図1参照)に延設されたライン型のセンサである。その延設方向(X軸方向:図1)に複数のフォトダイオード(図示略)が列設されている。CIS174は、図示しない光源より原稿に強い光を当てたときの反射光を個々のフォトダイオードで受光し、原稿の画素毎に反射光の光強度(明度)を電気信号に変換するように構成されている。読取部70では、これを図示しないA/D変換機にてデジタルデータ化することで、原稿上に形成された画像を画像データとして読取ることができる。
【0089】
読取部70での原稿の読取りは、原稿載置部76の原稿載置面76a(即ち、ガラス板の板面)上に原稿を載置して行う場合と、ADF172を利用する場合とがある。前者の場合、Z軸方向に延びる軸181(図1参照)に沿って、かつ、原稿載置部76の原稿載置面76aに沿ってZ軸方向にCIS174が移動され、その際に1ラインずつ、原稿載置部76上に載置された原稿の読取りが行われる。また、後者の場合には、CIS174が原稿載置部76を介して押圧ローラ177と対向するように、原稿載置部76の左端部に移動され、その位置で固定されて、ADF172により搬送される原稿の読取りが1ラインずつ行われるようになっている。
【0090】
一方、図5に示すように、当該複合機1を水平面に載置した場合の水平方向(X軸方向)に対する用紙排出方向のなす角度を排出角度θとした場合、用紙排出口24は、この用紙排出口24から排出される用紙が読取部70の下面71に接触するように排出角度θが設定されている。そして、用紙排出口24からの用紙排出方向に関し、排紙トレイ46における用紙排出口24側を上流側、それとは反対側を下流側とした場合、排紙トレイ24の上流側に寄った上流部46bの上面47は、前方側につれて高位置となるように傾斜した構成をなしている。ここでは、図5に示すように、当該複合機1の幅方向(Z軸方向)と直交する面方向(XY平面方向)において、用紙排出口24から排出される用紙の先端が上流部46bと対向する領域C1を移動する場合の軌道L1と、上流部46bにおける上面47の外形とが略平行となるように構成されている。
【0091】
一方、図6に示すように、読取部70における用紙排出方向の下流側に寄った下流部(操作パネル100が設けられた下方延出部79が下流部に相当する)の下面71(具体的には操作パネル100の下面100b)は、前端側につれ下方位置となるように傾斜した構成をなしている。より具体的には、図6に示すように、当該複合機1の幅方向(Z軸方向)と直交する面方向(XY平面方向)において、用紙排出口24から排出される用紙の先端が当該下流部(下方延出部79)と対向する領域C2を移動する場合の軌道L2と、操作パネル100の下面100bの形状とが略平行となるように構成されている。
【0092】
また、用紙排出口から排出された用紙が読取部70の下面71に初めて接触する際のその接触位置P4において、下面71と、用紙の接触側先端部における紙面とのなす角度が20°以下となるように構成されている。なお、ここで言う下面71と、用紙の接触側先端部における紙面とのなす角度については、接触位置P4において、下面71と紙面先端部とのいずれか一方又は双方が屈曲しているような構成の場合、その屈曲するものについては接触位置P4の接線を採用することとする。即ち、接触位置P4において、下面71と紙面先端部とが共に屈曲するような場合、接触位置P4における下面71の接線と紙面先端部の接線とのなす角度が20°以下となるように構成することができる。
【0093】
また、本実施形態では、図5のように、当該複合機1の幅方向(Z軸方向)と直交する面方向(XY平面方向)において、用紙排出口24での用紙排出方向の延長線L3が下面71と交差する交差点P3とした場合、排出位置P2と交差点P3とを結ぶ直線L3と、交差点P3における下面71とのなす角度についても20°以下となるようにも構成されている。このようにすればやや硬質の紙を用いた場合であっても接触の際の衝撃を小さくすることができる。この場合においても、下面71が交差点P3において屈曲するような構成の場合、交差点P3における下面71の接線と直線L3とのなす角度が20°以下となるように構成できる。
【0094】
また、複合機1において画像形成可能となる最大サイズの用紙を用いた場合に、用紙排出口24から用紙が排出されて下面71に接触する時点において用紙全体が転写位置P1を通過し終えているように構成されている。即ち、図1に示す画像形成位置P1から接触位置P4までの用紙経路が、画像形成可能となる最大サイズの用紙長さよりも大きくなるように構成されている。
【0095】
本実施形態に係る複合機1ではさらに、用紙排出口24から排出される用紙が、用紙排出方向において上に凸となるように用紙の先端側を屈曲させる構成をなしている。具体的には、図1に示す加熱ローラ42が剛体によって構成され、他方、定着ローラ41が弾性体によって構成されており、これらローラ間を通過する際に用紙のカール(屈曲)が生じるようになっている(なお、定着ローラ41、加熱ローラ42は先端側屈曲手段に相当する)。
【0096】
また、本実施形態では、図10に示すように、定着後の用紙搬送経路においてガイド部材52の幅方向両端部を部分的に湾曲した構成をなしている。なお、図10は、ガイド部材52についての、用紙搬送方向に対して直交する方向の断面図である。このように構成されることにより、ガイド部材52に沿って搬送される用紙の幅方向両端部において部分的にカール(屈曲)が生じる。これにより用紙排出口24からの排出時において用紙の両側端が下方に下がるように屈曲することとなる(なお、ガイド部材52が側端側屈曲手段に相当する)。また、このような構成の代わりに、或いはこのような構成と共に、加熱ローラ42の用紙を加熱する部分において、軸方向(Z軸方向)中央部の径よりも両端部の径を若干小さく形成してカールを生じさせてもよい。この場合、加熱ローラ42が側端側屈曲手段に相当することとなる。
【0097】
<ガイドリブ>
次にガイドリブ73について説明する。図7は、用紙排出口とガイドリブとの関係を説明する説明図であり、図8は、読取部70の前端部付近を下面から見た図である。複合機1の読取部70の下面には、図1のように前後に延びる複数のガイドリブ73が下方に突出し、かつ幅方向(図8でいうZ軸方向)に並んで設けられている。また、図7にて説明されるように、読取部70の下面部における用紙排出口24寄りの位置では、幅方向において中央側よりも端部側のほうが各ガイドリブ73の先端が下方位置となるように構成されている。
【0098】
一方、用紙排出口24は、用紙(図7の符号3’参照)が、幅方向の一部において上方に凸となる湾曲状態で排出されるように構成されており、用紙における上方に凸となる凸部を少なくとも支持するようにガイドリブ73が構成されている。なお、上記のように用紙が湾曲状態で排出される構成をなし、他方、ガイドリブ73の先端位置が同じく湾曲状態にて構成されていれば、用紙排出口24とガイドリブ73の先端部との位置関係については図7の例に限らず様々に構成できる。例えば、図7よりも湾曲の程度を抑えたり、用紙排出口24とガイドリブ73との距離をもう少し接近又は離間させたり、或いは、ガイドリブ73を等間隔としない構成などでも構わない。
【0099】
なお、図7の例では、幅方向において中央側よりも端部側のほうが各ガイドリブ73の先端が下方位置となる構成を例示したが、このようにせずに、ガイドリブ73の先端を同じ高さで揃えるようにしてもよい。
【0100】
また、読取部70は、図6に示すように、前後方向(X軸方向)における前端側の一部分において、前端側に向かうにつれ下面71が次第に下がる下方延出部79が設けられており、下方延出部79にまで及ぶように、より詳しくは、複合機1の前端部にまで及ぶようにガイドリブ73が配置されている
【0101】
また、図5に示すように、ガイドリブ73は、少なくとも接触位置P4を跨ぐように配置されている。即ち、本実施形態では、接触位置P4の後方側の位置から、下方延出部79に至るまでガイドリブ73が連続して構成されている。
【0102】
<把手部>
また、図6及び図8に示すように、読取部70の下面側には、読取部70の移動の操作を行うための把手部77が形成されている。即ち、本複合機1は、図9(a)に示すように、回動軸(図9(a)では符号J1にて回動軸を概念的に例示)を中心として読取部70が回動可能に構成されており、読取部70の下面71と排紙トレイ46の上面47とが離間するように、読取部70を上方側に移動可能に構成されている。この移動により、下方延出部79と排紙トレイ46の下流部とが離間することとなる。
【0103】
把手部77は、読取部70における幅方向の中央部に、下面71よりも当該読取部70の内部側に窪む凹状に形成されている。具体的には、把手部77の下端縁よりもガイドリブ73が下方に突出した構成をなしており、仮に把手部77付近において用紙が下面71を摺るように移動しても把手部77に用紙が引っ掛からないようになっている。操作の際には、把手部77の凹んだ部分に手を挿入し、手を引っ掛けつつ上方へ操作することにより図9(a)のように開放することとなる。
【0104】
また、用紙排出口24は、上述したように用紙を斜め上方に向かって排出するが、排出された用紙は、読取部70の下面71における把手部77が設けられた位置、又は下面71における把手部77よりも用紙排出口24側の位置に当接するように搬送が行われ、読取部70の下面71によって前方に案内される。
【0105】
<帯電除去部>
また、図1及び図5に示すように、読取部71の下面において、用紙排出口24から排出される用紙の帯電を除去する除電ブラシ75が設けられている(除電ブラシ75は帯電除去手段に相当する)。除電ブラシ75は、読取部71に取り付けられるホルダ部75bと、このホルダ部75bに保持されるブラシ部75aによって構成されており、幅方向の所定領域に渡って配置されている。
【0106】
そして、複合機1の幅方向(Z軸方向)における帯電ブラシ75が設けられる領域の領域幅が、用紙排出口24から排出される用紙の用紙幅とほぼ同じか当該用紙幅より大きくなるように構成されており、用紙排出口24からの用紙の排出時に、除電ブラシ75のブラシ部75aが用紙の全幅に亘って近接又は当接するように構成されている。なお、除電ブラシ75は、用紙の電荷を除電し得る構成であれば、自己放電する構成であってもよく、接地される構成であってもよい。
【0107】
<検出手段>
また、図1及び図5に示すように、複合機1には、読取部70の下面71において、用紙排出口24から排出された用紙の積載量が過剰であるか否かを検出するための検出センサが読取部70に取り付けられるようにして設けられている(検出センサは検出手段に相当する)。検出センサ78は、回動可能に構成されたレバー状の回動部材の回動に基いて積載量の過剰状態を検出するものであり、例えば、レバーが所定時間傾倒し続けた場合に過積載とするように構成できる。
【0108】
<操作パネル>
次に、操作パネルについて説明する。図1に示すように、複合機1において読取部70は、排紙トレイ46の上方において当該排紙トレイ46を覆うように設けられており、この読取部70の本体部分(読取部本体170)が排紙トレイ46の上方をカバーする上方カバー部として機能している。そして、この読取部本体170の前方側において排紙トレイ46の上面47と対向するよう操作パネル100が設けられている。操作パネル100は、読取部本体170より装置前方側に延設されており、操作パネル100の上部には、ボタン等の操作部102、表示部104(図2参照)が設けられている。
【0109】
また、本実施形態に係る複合機1では、操作パネル100と排紙トレイ46とによって構成される開口部82を介して排出された用紙を取出可能に構成されており、開口部82は、斜め下向きに開口する形態をなしている。より詳細には、操作パネル100のパネル上面100a、パネル下面100bは、後方側よりも前方側が下がるように傾斜した構成をなしており、他方、排紙トレイ46の上面47も、パネル下面100bと対向する位置において、前方側が下がるように傾斜した構成をなしている(より具体的には、排紙トレイ46の上面47がパネル下面100bと略同一の傾斜度合となるように傾斜した構成をなしている)。また、上述もしたが、図9(a)のように、複合機1では読取部70が上方に移動可能とされているため、それに伴ってパネル下面100bと排紙トレイ46の上面47とが互いに離間するように操作パネル100が上方に移動可能となっている。
【0110】
また、図1及び図6に示すように、操作パネル100の内部には、操作部102及び表示部104(図2参照)と電気的に接続されるパネル基板105が配置されている。そして、パネル基板105の板面105aは、パネル上面100a及びパネル下面100bと略同一の傾斜度合となるように配置されている。また、操作パネル100の前端部100cと、排紙トレイ46の下方に設けられた画像形成部5の筐体前端部2aとが、前後方向(X軸方向)においてほぼ同位置に設けられている。
【0111】
さらに、操作パネル100の前端部100cにおけるパネル下面100bと排紙トレイ46の上面47との上下方向の距離H1(図6参照)は、排紙トレイ46の後端部における上面47と用紙排出口24との上下方向の距離H2(図5参照と略同一とされている。
【0112】
また、本実施形態では、図6に示すように、操作パネル100の上下方向の高さH4が、読取部本体170の下面170aと読取部70における原稿載置面76aとの上下方向の最短距離H3よりも大きくなるように構成されている。従って、上述したように原稿を読み取るための様々な機能を読取部本体170にもたせつつ、この読取部本体170の高さを抑え、ひいては複合機1全体の高さを低く抑えることを可能としている。
【0113】
即ち、従来のように、パネル下面を水平あるいは手前上がりとするような構成では、読取部本体の下面と原稿載置面の間のフラットベッド部分の厚さ(図6でいうH3)を小さくし得る場合であっても、操作パネルの視認性、操作性を考慮して、操作パネルの上面を手前下がりに傾斜させた結果、操作パネルの上下方向の高さ(図6でいうH4)が大きくなってしまう場合には、操作パネルの上下方向の高さに対応させて余分に大きくしなければならず、装置高さの抑制が難しかった。これに対し、本実施形態のように、パネル上面100a及びパネル下面100bを共に前方側が下がるように傾斜させれば、フラットベッド機能を有する部分を薄くした場合であっても(即ち、上述したように読取部本体170の下面170aと原稿載置面76aとの上下方向の最短距離H3を小さく設定した場合であっても)、パネル上面100aの傾斜を確保しつつつ(操作性、視認性を確保しつつ)、装置の高さを抑制しやすい構成となる。
【0114】
また、本実施形態では、読取部本体170の下面170aを構成する下面部171と、パネル下面100bを構成する下面部101とが樹脂材料により一体成型されている。従って、読取部本体170の下面170aと操作パネル100の下面(パネル下面100b)とが滑らかに連続し、下面71を構成することとなる。
【0115】
<実施形態2>
次に、図11及び図12を参照して実施形態2について説明する。
図11は、本実施形態の要部を拡大して示すものであり、図12は本実施形態の操作パネル100付近を下面から見た図である。本実施形態では、ガイドリブの形状が実施形態1とは異なるが、それ以外の部分については実施形態1と同様であるので、同一の部分については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0116】
本実施形態でも、実施形態1と同様に、読取部70において、前後方向における前端側の一部分において、前端側に向かうにつれ下面が次第に下がる下方延出部79が設けられており、一方、ガイドリブ173は、下方延出部79の後端P5よりも後方側に収まるように構成されている。即ち、ガイドリブ173の先端P6が下方延出部79の後端P5よりも後方に位置している。また、本実施形態でも実施形態1と同様に読取部70の下面71において、読取部70の移動の操作を行うための把手部77が形成されているが、本実施形態では、ガイドリブ173が、把手部77よりも後方側に収まるように形成されている。
【0117】
さらに本実施形態でも、実施形態1と同様の操作パネル100(パネル部に相当する)を備えているが、ガイドリブ173は、操作パネル100よりも後方側に収まるように設けられている。即ち、操作パネル100の後端P7よりもガイドリブ173の先端P6のほうが後方位置となるように構成されている。
【0118】
本実施形態でも、実施形態1と同様に排紙トレイ46の前端部と、読取部70の下面側の前端部とで開口部82(開口部82は用紙取出口に相当する)が構成されており、前後方向において、ガイドリブ173の先端P6と、開口部82の前端(ここでは操作パネル100の前端部100c)との距離D1が5cm以上となっており、先端P6と開口部82の前端とが5cm以上隔てた構成をなしている。従って、ユーザが手を挿入した際に、ガイドリブ73に触れにくい構成となっている。
【0119】
なお、上記構成はあくまで一例であり、例えばガイドリブ173の前端P6が把手部77の後方であって下方延出部79の前方側に位置するような構成であってもよく、前端P6が把手部77の後方であって操作パネル100の後端P7よりも前方に位置するような構成であってもよい。また、ガイドリブ173の前端P6が下方延出部79の後端P5よりも後方であって操作パネル100の後端P7よりも前方に位置する構成であってもよい。
【0120】
<実施形態3>
次に図13を参照して実施形態3について説明する。図13は、図7の構成の変形例を示すものであり、実施形態1及び2と用紙排出口及びガイドリブの形状が異なっている。なお、用紙排出口付近の構成及びガイドリブの構成以外は実施形態1及び2と同様であるので同様の部分については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0121】
本実施形態に係る複合機1では、用紙排出口124は、用紙における幅方向の一部において凸部3aを形成し、当該幅方向において凸部3aとは異なる位置に上方側に凹となる凹部3bを形成するように、用紙の排出を行い、読取部70の下面71において、凸部3aと凹部3bとの形状に沿ってガイドリブ273の先端位置が設定されている。即ち、用紙を波打たせた状態で排出するように用紙排出口124が構成されており、その一方で、読取部70の下面71を構成するガイドリブ273の先端縁が、排出される用紙形状に沿って構成されている。従って、用紙との間で生じる衝撃、摩擦を幅方向全体に渡って吸収し得る構成をなしている。
【0122】
なお、本実施形態では、一対の排出ローラ145のうちの一方側のローラ145bが湾曲して構成されており、この湾曲したローラ145bにローラ145bよりも幅の小さいローラ145aが押し当てられて互いに回転することにより、排出される際に幅方向において部分的に紙面が湾曲することとなる。図13の例では、このような湾曲したローラ145bが2箇所に配置されており、2箇所において凹部3bを生じさせ得る構成をなしている。この凹部3bの形成の作用を受けて凹部3b、3b間に凸部3aが生じ、全体的に波打つように排出されることとなる。
【0123】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図14によって説明する。なお、本実施形態は、把手部の形状が実施形態1とは異なるが、それ以外についてはほぼ同様であるので同様の部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。図14に示すように、読取部70の下面側において、読取部70の移動の操作を行うための把手部177が下方に凸となるように構成されている。そして、把手部177は、用紙排出口24側の面において面取り部177aが形成されている。この面取り部177aは、操作パネル100におけるパネル下面100bに対し、90°未満の角度(具体的には、それほど大きくない角度(例えば45°程度)で傾斜しており、把手部177付近を用紙が移動した場合であっても把手部177に形成された面取り部177aに案内されてそれほど抵抗を受けずに用紙が前方に移動するようになっている。
【0124】
なお、本実施形態でも、実施形態1と同様に、用紙排出口24は、用紙を斜め上方に向かって排出するように構成されており、排出される用紙が、下面71における把手部177よりも用紙排出口24側の位置(具体的には実施形態1にて説明した接触位置P4)に当接するように搬送が行われる。そして、読取部70の下面71によって前方に案内されることとなる。なお、読取部70の下面71において把手部177が設けられた位置に用紙が直接当接するような用紙排出構成であってもよい。このような用紙排出構成であっても、面取り部177aによって衝突の影響を効果的に抑制することができる。
【0125】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図15によって説明する。なお、本実施形態は、読取部70の下面に従動ローラを設けた点が実施形態1と異なり、これを除くと実施形態1と同様であるので同様の部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する
【0126】
本実施形態では、実施形態1の構成に加え、読取部70の下面において、用紙排出口から排出される用紙との当接に応じて連れ回る従動ローラが設けられている。ここでは、読取部70における読取部本体170の下面側において回転可能に設けられた拍車120及びコロ122によって従動ローラが構成されており、搬送される用紙がこれら拍車120やコロ122と当接して案内されることにより、用紙と読取部70の下面71との間に生じる摩擦が軽減されるようになっている。
【0127】
なお、図15の例では、下面71においてガイドリブ73と共に拍車120やコロ122が設けられ相乗的に作用する構成をなしているが、ガイドリブ73を省略するような構成であってもよい。また、拍車120のみを1又は複数配置する構成であってもよく、コロ122のみを1又は複数配置する構成であってもよい。
【0128】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)例えば、本実施形態の複合機は、各種の紙に画像形成できるものを例示したが、OHPシートや布等に対して画像形成可能なものであってもよい。
(2)また、プロセスユニット17を取り外す場合には、プロセスユニット17を構成するドラムカートリッジ26を複合機1の内部に残した状態で、現像カートリッジ28のみを取り外すこともできるよう構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の実施形態1に係る複合機を例示する要部側断面図
【図2】実施形態1の複合機の斜視図
【図3】(a)は実施形態1の複合機の側面図、(b)は読取部の内部構成を概念的に説明する説明図
【図4】実施形態1の複合機に関し、プロセスユニットの取り外した状態を例示する説明図
【図5】用紙排出口付近の要部側断面を拡大して示す拡大図
【図6】開口部付近の要部側断面を拡大して示す拡大図
【図7】用紙排出口付近の構成を例示する図
【図8】読取部の一部を下面側から見た拡大図
【図9】(a)は、実施形態1の複合機に関し、読取部が上方に移動した状態を例示する説明図、(b)は、ADFが上方に移動して開いた状態を例示する説明図
【図10】転写後の用紙搬送経路に用いられるガイド部材を例示する断面図
【図11】実施形態2に係る複合機の要部側断面を拡大して示す拡大図
【図12】実施形態2に係る複合機において、読取部の一部を下面側から見た状態を示す拡大図
【図13】実施形態3に係る複合機における用紙排出口付近の構成を例示する説明図
【図14】実施形態4に係る複合機を例示する要部側断面図
【図15】実施形態5に係る複合機を例示する要部側断面図
【符号の説明】
【0130】
1…複合機(画像形成装置)
1a…装置本体部
2a…筐体前端部
3…用紙
5…画像形成部
6…給紙カセット
8…給紙ローラ(第1の方向転換部)
10…ピンチローラ(第1の方向転換部)
11…送出ローラ(第1の方向転換部)
16…スキャナユニット
17…プロセスユニット(プロセスカートリッジ)
19…ポリゴンミラー
24…用紙排出口
27…感光体ドラム(像担持体)
41…定着ローラ
42…押圧ローラ
46…排紙トレイ(用紙載置部)
47…排紙トレイの上面(載置部上面)
51…ガイド部材
52…ガイド部材(第2の方向転換部)
53…ガイド部材(第2の方向転換部)
55…ガイド部材(第1の方向転換部)
70…読取部
71…読取部の下面
77…把手部
82…開口部(用紙取出口)
84…収容部
84a…開口部
100…操作パネル(パネル)
100a…パネル上面
100b…パネル下面
100c…パネルの前端部
101…操作パネルの下面部
102…操作部
104…表示部
105…パネル基板
170…読取部本体(上方カバー部)
170a…読取部本体の下面
171…読取部本体の下面部
P1…画像形成位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
当該画像形成装置の高さ方向を上下方向とした場合に、前記画像形成部の上方に設けられ、用紙排出口から排出される用紙を載置可能な用紙載置部と、
前記用紙載置部の上方において前記用紙載置部を覆うように設けられ、下面が前記用紙載置部の載置部上面と対向するように構成される上方カバー部と、
前記用紙排出口からの排出方向の下流側を装置前方側、それとは反対側を後方側とした場合、前記上方カバー部の前方側において前記用紙載置部の載置部上面と対向するように設けられ、上部に操作部又は表示部の少なくともいずれかが設けられたパネルとを備え、
前記パネルと前記用紙載置部とによって構成される開口部を介して前記用紙を取出可能に構成された画像形成装置であって、
前記パネルのパネル上面及びパネル下面は、後方側よりも前方側が下がるように傾斜した構成をなすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙載置部の載置部上面は、前記パネル下面と対向する位置において、前方側が下がるように傾斜した構成をなすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙載置部の前記載置部上面は、前記パネル下面と対向する位置において前記パネル下面と略同一の傾斜度合となるように傾斜した構成をなすことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記パネルは、前記パネル下面と前記載置部上面とが離間するように上方に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記パネルの内部において前記操作部又は前記表示部の少なくともいずれかと接続されるパネル基板が配置されており、
前記パネル基板の板面は、前記パネルの上面又は下面の少なくともいずれかの面と略同一の傾斜度合となるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パネルの前端部と、前記用紙載置部の下方に設けられた画像形成部の筐体前端部とが、前後方向においてほぼ同位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記パネルの前端部における前記パネル下面と前記載置部上面との上下方向の距離は、前記用紙載置部の後端部における前記載置部上面と前記用紙排出口との上下方向の距離と略同一とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記上方カバーは、原稿を読取可能な読取部の本体をなす読取部本体として構成され、当該読取部本体の前方側に延出するように前記パネルが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記パネルの上下方向の高さが、前記読取部本体の下面と当該読取部本体における原稿載置面との上下方向の最短距離よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記読取部は、当該読取部の下面と前記用紙載置部の前記載置部上面とが離間するように、上方側に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記読取部の本体をなす読取部本体の下面と、前記パネルのパネル下面とが一体成型されていることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、
ポリゴンミラーによりレーザビームを走査し、前記走査されたレーザビームを像担持体に照射することにより前記像担持体に静電潜像を形成し、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより可視像を生成し、前記像担持体上に生成された可視像を画像形成位置にて用紙に転写するように構成されており、
当該画像形成部の下方にて前記用紙を積層した状態で収納する給紙カセットと、
前記給紙カセットの上方に位置し、前記給紙カセットに収納された用紙を、前記画像形成位置を経由して前記用紙載置部まで搬送するための搬送経路と、
前記給紙カセットの端部近傍の上方に位置し、前記給紙カセットの最上部に積層された用紙を前記搬送経路に供給する供給ローラと、
前記給紙カセットの上方であって前記供給ローラに近接した位置に配置され、少なくとも前記像担持体に供給される現像剤を収納するための現像剤収納部を有し、前記供給ローラの上部を通過して、当該画像形成装置の装置本体部から略水平な脱着方向に取り出し可能なプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジの上方に配置されており、少なくとも前記ポリゴンミラーを備えたスキャナユニットと、
を備え、
前記スキャナユニットは、前記プロセスカートリッジを取り出し可能なように、前記脱着方向における供給ローラ側が厚みの少ない先細り形状にされており、
前記搬送経路の一部は、前記プロセスカートリッジと前記給紙カセットとに挟まれた領域に形成されており、
前記搬送経路上に位置する画像形成位置は、前記供給ローラの上端よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
像担持体を少なくとも備えると共に、当該画像形成装置の装置本体部に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジを有し、
前記装置本体部は、前記用紙載置部の下方において前記プロセスカートリッジを収容する収容部が形成されると共に、当該装置本体部における前方側の端部には前記収容部と連通する開口部が形成されており、
前記開口部を介して前記プロセスカートリッジが着脱可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
当該画像形成装置の前方側に引き出し可能に構成される給紙カセットと、
前記給紙カセットの前端側から供給される用紙を、当該画像形成装置の後方側に向かうように方向転換すると共に前記給紙カセットの上方に設けられる画像形成部側に送り出す第1の方向転換部と、
前記画像形成部にて画像が形成された用紙を当該画像形成装置の前方側に向かうように方向転換して前記画像形成手段の上方に設けられる前記用紙載置部側に送り出す第2の方向転換部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−1141(P2006−1141A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180042(P2004−180042)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】