説明

画像形成装置

【課題】本発明は、低コスト、簡単な構成で本体フレームの振動を低減し、騒音を低いレベルで安定させた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、光ビームを出射する光源ユニット13と、光源ユニット13から出射された光ビームを偏向走査する回転多面鏡9と、回転多面鏡9を回転駆動させるモータ8と、回転多面鏡9とモータ8を保持する光学箱12とを備えた偏向走査装置3を支持する画像形成装置100Aにおいて、偏向走査装置3を支持する支持部32cを有し、支持部32cのうち少なくとも1つは、回転多面鏡9及びモータ8の回転軸に対して垂直方向に、光学箱12を弾力的に支持する弾性支持部であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏向走査装置を備えたレーザビームプリンタやレーザファクシミリ、デジタル複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真技術を用いた画像形成装置は、帯電された感光体に、偏向走査装置により画像情報に応じた光ビームを露光走査して潜像を形成する。そして、この潜像を現像装置によってトナー像に顕像化し、これを転写材に転写して画像形成する。
【0003】
この露光走査に際しては、回転多面鏡を回転駆動して光ビームを偏向走査することが一般に行われている。また、近年では、画質の高精細化、高速化が進んでおり、回転多面鏡をより高速で駆動することが求められている。この回転駆動によって振動が発生し、騒音に悪影響を及ぼす。
【0004】
このような問題を解決するための従来技術としては、偏向走査装置の駆動装置を光学箱を介さずに直接本体フレームに締結したものがある(特許文献1参照)。また、偏向走査装置の脚部を球面または弾性体を介して固定したものもある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−249955号公報
【特許文献2】特開2000−111825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の偏向走査装置は、偏向走査装置の駆動装置を本体フレームに直接締結しているため、偏向走査装置から本体フレームに振動が伝達される。従って、駆動装置の振動を低減するため、或いは、本体フレームに伝わる振動によって騒音が悪化することを防ぐためには、本体フレームの剛性を上げる必要がある。このため、本体フレームの板金を厚くする、補強部材を追加するなど対策が必要になり、コストアップ、重量増加を伴うなどの問題がある。また、画像形成装置の駆動部からの振動伝達によって本体フレームが振動した場合、偏向走査装置にもその振動が伝達するという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示の偏向走査装置は、脚部に球面状の弾性体を設け、この弾性体を介して画像形成装置の本体フレームに支持されることで、弾性体が静的な応力、歪を吸収する構成となっている。しかし、偏向走査装置の光学箱は、ビスによって本体フレームへ締結されており、そこから振動が伝達するという問題がある。また、特許文献1同様、本体フレームの振動を低減するには、本体フレームの剛性を上げる必要がある。
【0008】
そこで本発明は、低コスト、簡単な構成で本体フレームの振動を低減し、騒音を低いレベルで安定させた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、光ビームを出射する光源と、該光源から出射された光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、該回転多面鏡を回転駆動させるモータと、前記回転多面鏡と前記モータを保持する光学箱とを備えた偏向走査装置を支持する画像形成装置において、前記偏向走査装置を支持する支持部を有し、該支持部のうち少なくとも1つは、前記回転多面鏡及び前記モータの回転軸に対して垂直方向に、前記光学箱を弾力的に支持する弾性支持部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明により、低コスト、簡単な構成で本体フレームの振動を低減し、騒音を低いレベルで安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第一実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
(画像形成装置100A)
まず、画像形成装置100Aについて概説する。図1は本実施形態にかかる画像形成装置の構成図である。図1に示すように、画像形成装置100Aは、像担持体である電子写真感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向上流側から順に、一次帯電器2、偏向走査装置3、現像手段4、転写ローラ22、クリーニング手段6が配置されている。
【0013】
帯電手段である一次帯電器2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。そして、偏向走査装置3が、一次帯電器2により一様に帯電された感光体ドラム1の表面に画像情報に基づいて光ビームを出射して静電潜像を形成する。現像手段4が、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面に各色のトナーを付着させてトナー画像として顕像化する。転写手段である転写ローラ22は、各感光体ドラム1に対向する位置には転写材Sに感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像を転写する。クリーニング手段6は、転写後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーを除去する。
【0014】
トナー画像を転写された転写材Sは、定着器20によって熱と圧力とでトナー画像を定着される。トナー画像を定着された転写材Sは、排出ローラ23によって排出トレイ24に排出、積載される。
【0015】
(偏向走査装置3)
次に、偏向走査装置3について説明する。図2は偏向走査装置の斜視図である。図2に示すように、偏向走査装置3は、光源ユニット13、回転多面鏡9、モータ8、結像光学手段である結像レンズ10、光学箱12を備えている。
【0016】
光源ユニット13は、光ビームを出射する光源を備えている。光源ユニット13から出射された光ビームは、回転多面鏡9によって走査される。モータ8は、回転多面鏡9を回転させる。回転多面鏡9によって走査された光ビームは、結像レンズ10によって電子写真感光体ドラム1に結像される。
【0017】
光学箱12は、結像レンズ10、回転多面鏡9、モータ8、を内蔵している。光学箱12は、脚部14a、14b、14c、位置決め部15を有している。画像形成装置100Aは、光学箱12を囲う本体フレーム30a、30b、30c、30d(側板)を有している。
【0018】
脚部14a、14b、14c、位置決め部15は、x−y平面内で4方向に伸びた直方体の形状にて形成されており、本体フレーム30a、30b、30c、30dに設けられたフレーム取付部31a、31b、31c、開口34に挿入されている。
【0019】
このように、脚部14a、14b、14cをフレーム取付部31a、31b、31cに取り付けることで、偏向走査装置の支持および位置決めを行っている。また、位置決め部15を開口34に取り付けることにより、偏向走査装置の位置決めを行っている。
【0020】
偏向走査装置3は、画像形成装置100Aを構成する本体フレーム30a、30b、30c、30dに位置決め、支持される。本体フレーム30a、30b、30c、30dには、偏向走査装置を支持、位置決めするためのフレーム取付部31a、31b、31c、位置決めを行う開口34が穿孔されている。
【0021】
光学箱12は、電子写真感光体ドラム1側で、位置決め部15と本体フレーム30dの開口34とが勘合することにより、x軸方向(電子写真感光体ドラム1の長手方向)における位置を拘束される。また、脚部14a、14bは、フレーム取付部31a、31bの下方(−z方向)および前方(−y方向)に突き当てられており、ビス等(不図示)で締結されている。
【0022】
これにより、偏向走査装置は、y軸、z軸方向の位置およびy軸、z軸まわりの回転角を拘束される。また、偏向走査装置は、脚部14cをフレーム位置決め部31c下方に突き当てることによってx軸まわりの回転角を拘束される。以上により、偏向走査装置は、6軸方向の位置を拘束される。
【0023】
(支持部32c)
図3は偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。図3に示すように、フレーム取付部31cは、その周囲に穴H1、H2を穿孔していることで、凹状に切りかかれている(図3中のハッチング部分)。このため、フレーム取付部31cは、本体フレーム30cの他の部分より、回転多面鏡9及びモータ8の回転軸に対して垂直方向の剛性が低くなっている。すなわち、支持部32cは、回転多面鏡9及びモータ8の回転軸に対して垂直方向に、光学箱12を弾力的に支持する弾性支持部となっている。脚部14cは、線バネ42にて下方に付勢され、フレーム取付部31cの凹状の底面に設けられた支持部32cに付勢され、支持部32cにて支持されている。
【0024】
ここで、回転多面鏡9は、加工精度上、回転軸周りに質量の不均一がある。このため、回転多面鏡9が高速回転することによって、回転軸に対して垂直方向に振動が発生する。回転多面鏡9の振動は、光学箱12、本体フレーム30に伝播し、騒音を増大させる原因となる。
【0025】
フレーム取付部31cは、偏向走査装置3の振動が脚部14cから伝播し加振されるが、フレーム取付部31cの弾性によって振動を吸収する。これにより、本体フレーム30c全体が振動することを抑制し、本体フレーム30cの振動および騒音を低減できる。さらに、フレーム取付部31cの弾性によって偏向走査装置3(光学箱12)に反発力与えることで、偏向走査装置3の振動を低減できる。
【0026】
また、フレーム取付部31cは、光学箱12を回転多面鏡9の回転軸に対して垂直方向であるy軸方向に弾性的に支持しているが、回転軸の軸方向(z軸方向)に対しては剛性が確保されており、走査位置の変動によるバンディング等の問題が発生することはない。
【0027】
また、振動源となる回転多面鏡9、モータ8に最も近い脚部14cは、回転軸に対して垂直方向(x−y平面内)であるy軸方向において弾性的に支持されている。しかし、結像レンズ10に近い脚部14a、14bは、剛的に支持されている。光学箱12は、比較的剛性の低いフレーム取付部31c近傍で振動するが、比較的剛性の高い結像レンズ10近傍は回転多面鏡9およびモータ8からの振動の影響を受けにくい構成となっている。
【0028】
(振動実験)
次に、上記構成における画像形成装置100Aの振動実験について説明する。本実施形態の画像形成装置100Aにおいて、冷間圧延鋼板からなる本体フレーム30cのフレーム取付部31cは、長さL1(15mm)、幅L2(3mm)、厚さ(1mm)とする。そして、1.5mg−cmのバランスの回転多面鏡9を約500Hzで駆動する。この場合、本体フレーム30の振動、光学箱12の振動、騒音共に低減され、良好な振動、騒音低減効果が得られた。
【0029】
図10は従来の偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。図4(a)は従来の画像形成装置と本実施形態の画像形成装置で、回転多面鏡の空回転を行ったときの騒音を比較した図である。図4(b)は従来の画像形成装置と本実施形態の画像形成装置における、偏向走査装置の脚部の振動と本体フレームの測定ポイントMの振動を比較したものである。
【0030】
図4(b)に示すように、本実施形態の画像形成装置100Aでは、従来の画像形成装置に比べて、光学箱12から本体フレーム30への振動伝達および騒音が低減されている。これによって、図4(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置では、従来に比べて騒音を低減することができた。
【0031】
振動の周波数、フレーム取付部31cの剛性によって、振動の共振点に近づく場合があるが、フレーム取付部31cの剛性を変えることで、容易に共振周波数を回避できる。尚、本実施形態で示した形態は、実施形の一例であって、それぞれの実施形において計算や実験などにより最適な形態を設定すれば良い。
【0032】
本実施形態は、フレーム取付部31cで本体フレーム30へ伝達される振動を減衰させることを狙ったもので、光学箱12の振動で脚部14cと支持部32cとが摺動することを狙ったものではない。本実施形態において、脚部14cをフレーム取付部31cに線バネ42にて付勢する構成としたが、脚部14cと支持部32cとをビス等で締結してもよい。このとき、光学箱12の静的な歪はフレーム取付部31cで吸収することができる。
【0033】
本体フレーム30cの穴H1、H2は、局所的なものであり、画像形成装置の本体フレーム全体の剛性に影響するものではない。
【0034】
本実施形態によれば、部品の追加、高精度化などを行わずとも、簡単な構成で画像形成装置100Aの振動を低減でき、騒音を低いレベルに維持できる。また、他の駆動部から伝達される振動が偏向走査装置3へ伝達されるのも低減できる。
【0035】
[第二実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
(画像形成装置100B)
図5は本実施形態にかかるカラー画像形成装置構成図である。図5に示すように、本実施形態にかかる画像形成装置100Bは、複数の偏向走査装置3a、3b、3c、3dを備えたものである。
【0037】
画像形成装置100Bは、上下方向に直線状に並設された像担持体となるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4個の電子写真感光体ドラム1a、1b、1c、1dを備えている。各感光体ドラム1a〜1dに対向して、静電吸着により転写材Sを吸着して担持搬送する転写材担持体となる転写材搬送ベルト11が配置されている。
【0038】
各感光体ドラム1a〜1dの周囲には、その回転方向上流側から順に、一次帯電器2a、2b、2c、2d、偏向走査装置3a、3b、3c、3d、現像手段4a、4b、4c、4d、クリーニング手段6a、6b、6c、6dが配置されている。
【0039】
帯電手段となる一次帯電器2a〜2dは、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。偏向走査装置3a〜3dは、一次帯電器2により一様に帯電された感光体ドラム1の表面に画像情報に基づいて光ビームを出射して静電潜像を形成する。現像手段4a〜4dは、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面に各色のトナーを付着させてトナー画像として顕像化する。クリーニング手段6a〜6dは、転写後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーを除去する。
【0040】
また、各感光体ドラム1に対向する位置には、転写材搬送ベルト11を挟んで、転写手段となる転写ローラ22a、22b、22c、22dが配置されている。転写ローラ22a〜22dは、転写材搬送ベルト11により担持搬送される転写材Sに感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像を転写する。
【0041】
定着器20は、転写材S上の画像を転写材に熱と圧力とで定着する。排出ローラ23は、定着器20によって画像を定着された転写材Sを排出トレイに排出し、積載する。
【0042】
(偏向走査装置3)
次に、偏向走査装置3a〜3dについて説明する。図6(b)は偏向走査装置3a〜3dの支持構成の説明図である。図6(b)に示すように、各偏向走査装置3a〜3dが上下に配置されており、本体フレーム30cに支持されている。各偏向走査装置3a〜3dは、回転多面鏡9およびモータ8を内蔵している。図6(b)中の矢印は、あるタイミングでの各回転多面鏡9の回転軸に対して垂直方向の振動の方向を示している。
【0043】
図6(a)は、図10に示される従来の支持構成における本体フレームの振動(図6(a)(1))と、図3に示される本実施形態の支持構成における本体フレーム30cの振動(図6(a)(2))を模式的に示した図である。
【0044】
図6(a)(1)に示すように、従来の支持構成では、本体フレーム30c全体が振動し、本体フレーム30cと各偏向走査装置3a〜3dが相互に振動の影響を受けるようになっている。各光学箱12の振動の位相関係によっては、本体フレーム30cの振動を増幅させ、騒音が悪化していた。
【0045】
一方、図6(a)(2)に示すように、本実施形態においては、フレーム取付部31cのみが振動し、本体フレーム30c全体の振動を抑えることができるため、騒音を低減できる。また、本体フレーム30c全体の振動を抑えることができるため、各光学箱12の振動の伝達、干渉を防ぐことができる。すなわち、低いレベルで安定した騒音レベルを得ることができる。
【0046】
図7は従来の支持構成と本実施形態の支持構成で、各光学箱の振動の位相関係を変えて、複数回騒音測定を行ったときの平均値、最大値、最小値を比較したものである。図7に示すように、従来の支持構成では、各偏向走査装置3の振動の位相の組合せによって、本体フレーム30cの振動が増幅し、騒音のレベルが変動する。このため、騒音の最大値と最小値で0.67[Bels]の差がある。
【0047】
一方、本実施形態では、フレーム取付部31cのみが振動し、本体フレーム30cの振動が増幅することなく、本体フレーム30c全体の振動を抑えることができる。このため、従来の支持構成に比べて、騒音の平均で0.10[Bels]、最大値の比較で0.36[Bels]、騒音を低減できる。
【0048】
以上により、複数の偏向走査装置3を備えた画像形成装置において、騒音レベルおよび、各偏向走査装置の位相差による騒音レベルの変動を低く抑えることができており、本発明の騒音低減効果が確認できた。
【0049】
[第三実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第三実施形態について図を用いて説明する。図8は本実施形態にかかる支持構成の説明図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、本実施形態の画像形成装置は、支持部32cを画像形成装置を構成する本体フレーム30以外の別部材(支持部材43)にて形成したものである。
【0051】
偏向走査装置3を支持する支持部材43は、長方形の制振鋼板にて形成されている。支持部材43は、上端を光学箱12の上方の本体フレーム30fにボス45と穴46で位置決めされ、ビス49で締結されている。支持部材43は下端に支持部32cを有し、支持部32cで偏向走査装置3の脚部14cを支持している。このとき、支持部材43のバネ部44は、弾性力によって脚部14cを下方に付勢し、支持部32cに付勢している。
【0052】
かかる構成において、光学箱12の振動は、支持部材43へと伝播するが、制振鋼板によって減衰され、本体フレーム30cにはほとんど伝播しない。これにより、光学箱12の振動による本体フレーム30cの振動、騒音は低減される。
【0053】
また、振動源(偏向走査装置3)と本体フレーム30cを切り離すことで、本体フレーム30cは、騒音の漏れを防ぐ遮蔽板としての機能も発揮する。本体フレーム30cの内面にウレタンフォーム、グラスウール等の吸音材47を貼り付けることで、より大きな消音効果を得ることができる。
【0054】
尚、本実施形態においては、支持部材43に制振鋼板を用いたが、薄いバネ用ステンレス鋼帯などを用いて、本体フレーム30cへ振動を伝達しないようにしてもよい。
【0055】
また、画像形成装置が複数の偏向走査装置を有する場合には、偏向走査装置を個々に支持部材で支持してよい。或いは、1つの支持部材で、複数の偏向走査装置を支持してもよい。ただし、1つの支持部材で複数の偏向走査装置を支持する場合には、上記第二実施形態と同様に、支持部材の振動モードと偏向走査装置の支持部の位置関係とに注意を払う必要がある。簡単には、薄くて幅の狭い鋼帯を用いればよい。これにより、支持部材の振動が偏向走査装置に及ぼす影響も小さくなる。また、支持部材の振動のエネルギーは小さくなり、騒音レベルも下げることができる。
【0056】
[第四実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第四実施形態について図を用いて説明する。図9は本実施形態にかかる支持構成の説明図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図9に示すように、本実施形態の画像形成装置は、上記第一実施形態にかかるフレーム取付部31cの支持部32cのうち少なくとも1つを、回転多面鏡9及びモータ8の回転軸に対して垂直方向(x軸方向、y軸方向)に、光学箱12を摺動可能に支持する摺動支持部としたものである。
【0058】
本体フレーム30cのフレーム取付部31cには、ポリアセタール(POM)からなる摺動部材48が取付けられている。摺動部材48は、x−z断面において、x軸方向に長いリング形状となっている。摺動部材48は、スナップフィット(凹凸を押し合わせるスプリング力を利用した一対の小さい留金)で本体フレーム31cに容易に取付けられるようになっている。
【0059】
脚部14cは、z軸方向の上下の面を平滑にした二方取り形状となっており、z軸方向の寸法は摺動部材48の内側と摺動可能な勘合公差になっている。また、脚部14cは、x軸方向、y軸方向において、摺動部材48の内側と遊びがある。よって、偏向走査装置3はz軸方向に位置決めされるが、x軸方向、y軸方向には拘束されない。
【0060】
光学箱12の振動は脚部14cと摺動部材48との間の摩擦によって本体フレーム30cへ伝達される。しかし、摺動部材48の摩擦力が低いため、脚部14cが摺動部材48内を摺動し、振動伝達を低減することができ、本体フレーム30の振動および騒音を低減できる。また、画像形成装置の他の振動源からの振動が本体フレーム30cから偏向走査装置3への伝播することも抑制できる。
【0061】
尚、本実施形態においては、脚部14cと摺動部材48との摺動部は長穴としたが、偏向走査装置をx方向、z方向に拘束したい場合には、脚部14および摺動部材48を丸穴として、y軸方向のみに摺動可能に勘合すればよい。
【0062】
また、本実施形態おいては、ポリアセタール樹脂を用いたが、フッ素系樹脂等の摺動性の高い樹脂をフレーム取付部31cに配し、光学箱12を支持してもよい。また、摺動部材48を用いずに、支持部32cにグリスを塗布してもよい。もちろん摺動性の樹脂とグリスを組み合わせて用いてもよい。これにより、容易に本体フレーム30cの振動、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第一実施形態にかかる画像形成装置の構成図である。
【図2】偏向走査装置の斜視図である。
【図3】偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。
【図4】騒音低減効果、振動伝達の低減効果を示す図である。
【図5】第二実施形態にかかるカラー画像形成装置の構成図である。
【図6】第二実施形態にかかるカラー画像形成装置の本体フレームの振動を示す模式図である。
【図7】第二実施形態にかかる騒音低減効果を示す図である。
【図8】第三実施形態にかかる偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。
【図9】第四実施形態にかかる偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。
【図10】従来の偏向走査装置を支持する支持部の構成図である。
【符号の説明】
【0064】
H1、H2…穴、L1…長さ、L2…幅、M…測定ポイント、S…転写材、1…電子写真感光体ドラム、2…一次帯電器、3…偏向走査装置、4…現像手段、6…クリーニング手段、8…モータ、9…回転多面鏡、10…結像レンズ、11…転写材搬送ベルト、12…光学箱、13…光源ユニット、14…脚部、15…位置決め部、20…定着器、22…転写ローラ、23…排出ローラ、24…排出トレイ、30…本体フレーム、31…フレーム取付部、32c…支持部、34…開口、42…線バネ、43…支持部材、44…バネ部、45…ボス、46…穴、47…吸音材、48…摺動部材、49…ビス、100A、100B…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、該光源から出射された光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、該回転多面鏡を回転駆動させるモータと、前記回転多面鏡と前記モータを保持する光学箱とを備えた偏向走査装置を支持する画像形成装置において、
前記偏向走査装置を支持する支持部を有し、該支持部のうち少なくとも1つは、前記回転多面鏡及び前記モータの回転軸に対して垂直方向に、前記光学箱を弾力的に支持する弾性支持部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
光ビームを出射する光源と、該光源から出射された光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、該回転多面鏡を回転駆動させるモータと、前記回転多面鏡と前記モータを保持する光学箱とを備えた偏向走査装置を支持する画像形成装置において、
前記偏向走査装置を支持する支持部を有し、該支持部のうち少なくとも1つは、前記回転多面鏡及び前記モータの回転軸に対して垂直方向に、前記光学箱を摺動可能に支持する摺動支持部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記弾性支持部は、前記画像形成装置の本体フレームにて形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記弾性支持部又は前記摺動支持部は、前記画像形成装置を構成する本体フレーム以外の別部材にて形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記弾性支持部又は前記摺動支持部は、前記他の支持部のうち、前記回転多面鏡または前記モータに最も近いことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数の前記偏向走査装置を有し、
該複数の偏向走査装置を支持する前記弾性支持部又は前記摺動支持部を複数有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記摺動支持部は、摺動性の高い潤滑剤を介して前記光学箱を摺動可能に支持することを特徴とする請求項2、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−208789(P2006−208789A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21457(P2005−21457)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】