説明

画像形成装置

【課題】機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出できるような画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像情報に対する画像処理および補正処理をデジタル的に行い、入力される多値画像のピクセルカウントを行ってトナー消費量の算出を行う画像形成装置を、入力された多値画像の入力信号値をピクセルごとにカウントするカウント手段71と、入力信号値に対応する重み付け係数を格納する重み付け係数テーブル73と、カウント手段71により入力信号値をカウントする際に、入力信号値に対応する重み付け係数を重み付け係数テーブル73から取得して、ピクセルごとに重み付けを行う重み付け演算手段72と、重み付け係数テーブル73に格納される重み付け係数を書き換える書き換え手段75とを備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報に対して画像処理および補正処理をデジタル的に行う電子写真方式を用いる複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、デジタル複写機のような電子写真装置における画像処理では、スキャナ等の画像入力装置から入力されたデジタルの画像信号に対し、入力信号処理、領域分離処理、色補正処理、黒生成処理、ズーム変倍処理等のデジタル信号処理を行った後、空間フィルタによるフィルタ処理を行い、さらに、中間調補正処理を行って、出力画像信号として出力するようになっている。
【0003】
図5は、従来のデジタル複写機における画像処理の制御ブロック図を示している。すなわち、入力信号処理部110、領域分離処理部120、色補正・黒生成処理部130、ズーム変倍処理部140、空間フィルタ処理部150、中間調補正処理部160、ピクセルカウント部170、トナー消費量算出部180から構成されている。
【0004】
このようなデジタル複写機における画像処理について、図6を参照して説明する。
【0005】
まず、スキャナ等で読み込まれた原稿のデジタル入力画像信号は、入力信号処理部110に入力され、それ以降の画像処理に対する前処理や、画像調整における入力ガンマ補正、変換等が行われる(ステップS101、S102)。
【0006】
次に、この画像信号は、領域分離処理部120に入力されて、文字領域、網点写真領域等の領域判定が行われ、領域ごとにそれを示す識別信号(領域分離識別信号)が付加される(ステップS103)。この領域分離識別信号は、以降の処理である空間フィルタ処理部150や中間調補正処理部160において、各領域別に異なった処理、例えば、網点領域であれば平滑フィルタ処理をその領域に対して行い、また、文字領域であればエッジ強調フィルタ処理を行ったり、中間調のガンマ特性を濃淡差のよりはっきりした特性に変更したりする場合に用いられる。
【0007】
次の色補正・黒生成処理部130で行われる色補正・黒生成処理は(ステップS104)、装置がカラーである場合に必要となる処理で、領域分離処理部120から送られてきたRGBの画像信号に対して、最終的な出力方法であるCMYK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像信号に変換する処理である。
【0008】
CMYKに変換された画像信号は、ズーム変倍処理部140での変倍処理の後(ステップS105)、空間フィルタ部150に入力される。空間フィルタ処理部150では、上記の領域分離識別信号や画像モードの設定状態等に応じた空間フィルタを空間フィルタテーブルから選び、CMYKに変換された画像信号に対して空間フィルタ処理が行われる(ステップS106)。なお、空間フィルタテーブルは、空間フィルタ処理を行う際に参照するフィルタ係数のテーブル群であり、状況に応じて任意のテーブル群を選択できるようになっている。
【0009】
次の中間調補正処理部160では、エンジン部での出力特性を補正するために、中間調ガンマ特性の補正が行われる(ステップS107)。
【0010】
さらに、中間調補正処理後の画像信号は、ピクセルカウント部170に入力され、ピクセル単位でCMYK信号ごとに重み付けを行いながらカウンタで積算される(ステップS108)。そして、LSUやLEDのエンジン出力側へ出力画像信号が流れる(ステップS110)。トナー消費量算出部180では、ピクセルカウント部170で積算されたピクセルカウントの積算値から各色のトナー消費量を算出する(ステップS109)。算出されたトナー消費量は、トナーニアエンド判定やトナー消費量データの蓄積等に用いられる。
【0011】
上述のようなデジタル複写機のエンジン側の制御として、感光体や現像剤等の経時変化を抑えるために、露光量やトナー濃度の補正量、現像バイアス値のコントロール等のプロセス条件の設定を制御することによって、初期からライフエンドまで一定のトナー濃度や画像出力を得るよう制御している。
【0012】
図7は、エンジン側の制御であるトナー濃度コントロール処理を簡単に示したフローチャートである。このトナー濃度コントロール処理では、ライフカウンタや環境センサ等の数値によって、トナー濃度センサによる制御値を決め(ステップS111、S112)、その値に従って、トナー補給のON/OFFを制御している。つまり、トナー濃度が低い場合(ステップS113でYESと判断された場合)には、トナー補給をONにして、トナー補給を行うように制御している(ステップS114)。これにより、トナー濃度を常に一定に保つようにコントロールしている。
【0013】
また、図8は、トナーパッチによる中間調ガンマ補正処理を簡単に示したフローチャートである。この中間調ガンマ補正処理では、予め定められた固定入力値による中間調パターン(トーン)でトナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成し(ステップS121〜ステップS123)、そのトナーパッチを光学センサ等の読み取り装置で反射光量を読み取る(ステップS124)。次に、この読み取ったトナーパッチのセンサ出力値と、目標値となる基準ターゲット値とを比較して、補正量を算出する(ステップS125)。そして、この算出された補正量に従って、現在の中間調ガンマ補正テーブルを修正し(ステップS126)、これにより、常に一定の中間調ガンマ特性が得られるようにコントロールしている。
【0014】
次に、上述したトナー消費量の算出について、詳しく説明する。なお、以下に述べる処理は、CMYK各色について(入力されるCMYK信号ごとに)、それぞれ行われるものとする。
【0015】
ピクセルカウント部170は、入力された多値画像に対して、後述するようなピクセルカウントを行う。ピクセルカウント部170は、図5に示すように、カウント手段171と、重み付け演算手段172と、重み付け係数テーブル173と、積算手段174とを備えている。
【0016】
カウント手段171は、入力された多値画像(例えば、16階調、256階調等の多階調の画像)をピクセルごとにカウントする。つまり、多値画像を構成するピクセルごとの入力値(階調)、例えば、0〜15(入力信号値が0〜15の値をとる16階調の場合)のような入力信号値をカウントする。
【0017】
重み付け演算手段172は、カウント手段171によりピクセルをカウントする際にピクセルごとに重み付けを行う。具体的には、重み付け演算手段172は、ピクセルごとの入力信号値に対応する重み付け係数を重み付け係数テーブル173から取得して、入力信号値に取得した重み付け係数を掛け合わせる。重み付け係数テーブル173には、重み付け演算手段172により重み付けを行う際にピクセル入力値ごとに対応する重み付け係数が格納されている。このように、ピクセルカウント部170では、カウント手段171、重み付け演算手段172、重み付け係数テーブル173によりピクセルごとのピクセルカウントを行っている。
【0018】
そして、ピクセルごとに行われたピクセルカウントの積算が積算手段174により行われる。つまり、積算手段174は、重み付け演算手段172による入力信号値に重み付け係数を掛け合わせたピクセルごとの演算値を、入力された多値画像の全てのピクセルについて積算する。このように、ピクセルカウント部170で算出されたピクセルカウントの積算値に基づいて、トナー消費量算出部180は、出力画像のトナー消費量を算出するようにしている。
【0019】
上記の重み付け係数テーブル173に格納されている重み付け係数は、予め定められた固定の値となっている。入力信号値が0〜15の値をとる16値の入力信号値である場合の重み付け係数テーブル173の一例を、次の表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1の場合、トナー消費量の違う入力信号値に対応して4つのエリア(エリア1〜エリア4)に分けられ、エリアごとに重み付け係数が定められている。ピクセルカウントの際には、4つのエリアに分けられた重み付け係数が、0〜15の値をとるそれぞれの入力信号値に対応して決定され、重み付けが行われる。
【0022】
図9は、表1に示す4つのエリアに分けられた重み付け係数テーブルの信号入力値とそれに対応する重み付け係数との関係を示している。図9に示すように、矩形部分の面積の総和がトナー消費量特性を示す曲線の面積と略一致しているため、重み付け後のピクセルカウントの積算値からトナー消費量を予測計算することができる。
【0023】
なお、トナー消費率が極めて小さい画像を連続して印字する場合に、トナー薄層ムラを効率的に防止するようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、画素数カウンタと、記録枚数カウンタと、トナー消費手段を有し、トナー消費手段を有し、所定の記録枚数の間に所定値以下の画素数をカウントした場合には、プロセスコントロール実行時、トナー消費手段による消費動作を実行する判断を行うとともに、消費動作を実行する際にはプロセスコントロールのトナーパッチ作成と同時にトナー消費手段を作成するようにした画像形成装置が示されている。
【0024】
【特許文献1】特開2002−287499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、従来のデジタル複写機のような電子写真装置では、次のような問題点があった。
【0026】
上述したように、ピクセルカウントを行って、出力画像のトナー消費量を算出する場合、重み付け係数テーブルとして、予め定められた固定の重み付け係数を格納するものが用いられていた。ところが、このような重み付け係数テーブルを用いた場合には、図9に示すように、ある入力信号値に対して重み付け係数テーブルから決定される重み付け係数が、その入力信号値に対するトナー消費量特性を示す曲線上の値と、かなり異なる場合がある。このため、重み付け後のピクセルカウントの積算値からトナー消費量を正確に算出できないという問題点がある。
【0027】
この場合、例えば、図10に示すように、入力信号値のとりうる値の数だけ、つまり、入力信号の階調数分だけ重み付け係数を割り当てた重み付け係数テーブルを用いることによって、実際のトナー消費量特性と、ピクセルカウントにより算出されるトナー消費量との差を小さくする方法が考えられる。しかし、機差やライフ等でトナー消費量特性が、図10の実線で示す曲線Dから破線で示す曲線Eに変化した場合等には、重み付け係数テーブルの階調を上げただけでは、トナー消費量特性の変化に追従できず、実際のトナー消費量特性と、ピクセルカウントにより算出されるトナー消費量との差は縮まらず、正確にトナー消費量を算出できないという問題点がある。
【0028】
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出できるような画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、画像情報に対する画像処理および補正処理をデジタル的に行い、入力される多値画像のピクセルカウントを行ってトナー消費量の算出を行う画像形成装置において、入力された多値画像の入力信号値をピクセルごとにカウントするカウント手段と、前記入力信号値に対応する重み付け係数を格納する重み付け係数テーブルと、前記カウント手段により入力信号値をカウントする際に、入力信号値に対応する重み付け係数を前記重み付け係数テーブルから取得して、ピクセルごとに重み付けを行う重み付け演算手段とを備え、前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を可変としたことを特徴とする。
【0030】
このような構成の画像形成装置によれば、機差やライフ等で実際のトナー消費量特性が変化した場合であっても、このトナー消費量特性の変化に追従させて、重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を変化させることによって、トナー消費量特性の算出を最適化することができる。この結果、機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出することができる。
【0031】
また、本発明は、画像情報に対する画像処理および補正処理をデジタル的に行い、入力される多値画像のピクセルカウントを行ってトナー消費量の算出を行う画像形成装置において、入力された多値画像の入力信号値をピクセルごとにカウントするカウント手段と、前記入力信号値に対応する重み付け係数を格納する重み付け係数テーブルと、前記カウント手段により入力信号値をカウントする際に、入力信号値に対応する重み付け係数を前記重み付け係数テーブルから取得して、ピクセルごとに重み付けを行う重み付け演算手段と、前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を書き換える書き換え手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
より具体的には、前記書き換え手段は、互いにトーンが異なる複数のトナーパッチを感光体または転写ベルト上に形成し、これら複数のトナーパッチを読み取り手段により読み取り、このトナーパッチの読み取り結果に基づいて中間調ガンマ特性を算出し、この算出された中間調ガンマ特性に従って前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を書き換えることを特徴とする。
【0033】
このような構成の画像形成装置によれば、機差やライフ等で実際のトナー消費量特性が変化した場合であっても、このトナー消費量特性の変化に追従させて、重み付け係数テーブルの重み付け係数を書き換えることができ、トナー消費量特性の算出を最適化することができる。この結果、機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、上述のような構成であるから、トナー消費量特性の算出を最適化することができ、機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0036】
図1は、本発明を適用する画像形成装置(デジタル電子写真装置)における画像処理を示す制御ブロック図である。図1に示すように、デジタル電子写真装置には、入力信号処理部10、領域分離処理部20、色補正・黒生成処理部30、ズーム変倍処理部40、空間フィルタ処理部50、中間調補正処理部60、ピクセルカウント部70、トナー消費量算出部(トナー消費量算出手段)80が備えられている。そして、デジタル電子写真装置において、図示しないスキャナ等で読み込まれた原稿のデジタル入力画像信号は、入力信号処理部10、領域分離処理部20、色補正・黒生成処理部30、ズーム変倍処理部40、空間フィルタ処理部50、中間調補正処理部60を経て、出力画像信号として出力される。
【0037】
このような構成のデジタル電子写真装置における画像処理について説明する。
【0038】
入力信号処理部10では、図示しないスキャナ等で読み込まれた原稿のデジタル入力画像信号に対して、それ以降の画像処理に対する前処理や、画像調整における入力ガンマ補正、変換等が行われる。
【0039】
領域分離処理部20では、文字領域、網点写真領域等の領域判定が行われ、領域ごとにそれを示す識別信号(領域分離識別信号)が付加される。この領域分離識別信号は、以降の処理である空間フィルタ処理部50や中間調補正処理部60において、各領域別に異なった処理、例えば網点領域であれば平滑フィルタ処理をその領域に対して行い、また、文字領域であればエッジ強調フィルタ処理を行ったり、中間調のガンマ特性を濃淡差のよりはっきりした特性に変更したりする場合に用いられる。
【0040】
色補正・黒生成処理部30では、領域分離処理部20から送られてきたRGBの画像信号に対して、最終的な出力方法であるCMYK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像信号に変換する。ズーム変倍処理部40では、色補正・黒生成処理部30により変換されたCMYKの画像信号に対して、変倍処理を行う。
【0041】
空間フィルタ処理部50では、上述した領域分離識別信号や画像モードの設定状態等に応じた空間フィルタを空間フィルタテーブルから選び、CMYKに変換された画像信号に対して空間フィルタ処理を行う。中間調補正処理部60では、空間フィルタ処理が行われた画像信号に対して、中間調ガンマ特性の補正を行う。そして、中間調補正処理部60での中間調補正処理後の画像信号が出力画像信号として出力される。
【0042】
ピクセルカウント部70では、中間調補正処理部60における中間調補正処理後の画像信号に対して、ピクセル単位でCMYK信号ごとに重み付け係数を掛け合わせながらピクセルカウントを行う。トナー消費量算出部80では、ピクセルカウントの積算値から各色(CMYK)のトナー消費量を算出する。
【0043】
以下では、デジタル電子写真装置におけるトナー消費量を算出する処理について詳しく説明する。なお、以下に述べる処理は、CMYK各色について(入力されるCMYK信号ごとに)、それぞれ行われるものとする。
【0044】
ピクセルカウント部70は、入力された多値画像に対して、後述するようなピクセルカウントを行う。ピクセルカウント部70は、図1に示すように、カウント手段71と、重み付け演算手段72と、重み付け係数テーブル73と、積算手段74と、書き換え手段75とを備えている。
【0045】
カウント手段71は、入力された多値画像(例えば、16階調、256階調等の多階調の画像)をピクセルごとにカウントする。つまり、多値画像を構成するピクセルごとの入力値(階調)、例えば、0〜15(入力信号値が0〜15の値をとる16階調の場合)のような入力信号値をカウントする。
【0046】
重み付け演算手段72は、カウント手段71によりピクセルをカウントする際にピクセルごとに重み付けを行う。具体的には、重み付け演算手段72は、ピクセルごとの入力信号値に対応する重み付け係数を重み付け係数テーブル73から取得して、入力信号値に取得した重み付け係数を掛け合わせる。重み付け係数テーブル73には、重み付け演算手段72により重み付けを行う際にピクセル入力値ごとに対応する重み付け係数が格納されている。このように、ピクセルカウント部70では、カウント手段71、重み付け演算手段72、重み付け係数テーブル73によりピクセルごとのピクセルカウントが行われる。
【0047】
そして、ピクセルごとに行われたピクセルカウントの積算が積算手段74により行われる。つまり、積算手段74は、重み付け演算手段72による入力信号値に重み付け係数を掛け合わせたピクセルごとの演算値を、入力された多値画像の全てのピクセルについて積算する。書き換え手段75は、後述するように、重み付け係数テーブル73を書き換える。トナー消費量算出部80は、ピクセルカウント部70で算出された(積算手段74により積算された)ピクセルカウントの積算値に基づいて出力画像のトナー消費量を算出する。
【0048】
図2を用いて、1ピクセル分のトナー消費量の算出について説明する。図2に示すように、多値画像を構成する1ピクセル分の信号がピクセルカウント部70に入力されると(ステップS11)、カウント手段71により入力信号値がカウントされる。次に、重み付け演算手段72により、重み付け係数テーブル73から入力信号値に対応する重み付け係数が取得され(ステップS12)、入力信号値に取得された重み付け係数が掛け合わせられる(ステップS13)。このようにして求められた1ピクセル分のピクセルカウントの値に基づいて、1ピクセル分のトナー消費量がトナー消費量算出部80により算出されることとなる。なお、ステップS13において、1ピクセル分の求められたピクセルカウント値は、積算手段74により順次積算されて、ピクセルカウント積算値として保存される(ステップS14)。ピクセルカウント積算値は、入力された全てのピクセル分のピクセルカウント値であり、このピクセルカウント積算値に基づいて、出力画像のトナー消費量がトナー消費量算出部80により算出される。
【0049】
図3、図4を用いて、重み付け係数テーブル73の書き換えについて説明する。重み付け係数テーブル73に格納される重み付け係数は、従来とは異なって可変であり、書き換え手段75により書き換え可能となっている。入力信号値が0〜15の値をとる16値の入力信号値である場合の重み付け係数テーブル73の一例を、次の表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表2において、0〜15の各入力信号値に対応する重み付け係数(X0〜X15)は、それぞれ可変となっている。そして、X0〜X15の各重み付け係数は、書き換え手段75により次のようにして書き換えられる。
【0052】
まず、トナー濃度の補正を行った後(ステップS21)、図3のポイントA〜Cで示すような、互いにトーンが異なる複数のトナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成する(ステップS22)。つまり、予め定められた複数の入力ポイントのハーフトーントナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成する。そして、そのトナーパッチを光学センサ等の読み取り手段で反射光量を読み取る(ステップS23)。図3では、縦軸が光学センサ等の読み取り手段のセンサ出力、横軸が信号入力値(階調)である。入力ポイントの数は特に限定されないが、3点以上であることが望ましい。なお、以上のステップS21〜S23までの手順は、上記従来技術の欄で述べた図4に示す中間調ガンマ補正処理におけるステップS122〜ステップS124の手順と同様であるので、この中間調ガンマ補正処理の結果を利用して、以下の手順を行うようにしてもよい。
【0053】
続いて、複数の入力ポイントのトナーパッチのセンサ出力に基づいて、図3の破線で示すような中間調ガンマ特性を算出する(ステップS24)。算出された中間調ガンマ特性に基づいて、さらに、図3の実線で示すような信号入力値に対するトナー消費量特性を算出する(ステップS25)。このように算出されたトナー消費量特性に基づいて重み付け係数を決定して、重み付け係数テーブル73に格納されている重み付け係数を決定された重み付けに書き換えていく(ステップS26)。表2の場合、0〜15の各入力信号値に対応するX0〜X15の各重み付け係数が、トナー消費量特性に従って書き換えられる。
【0054】
このように、書き換え手段75により書き換えられた重み付け係数を用いて、ピクセルカウント部70において入力された多値画像のピクセルカウントが行われ、トナー消費量算出部80において出力画像のトナー消費量が算出される。
【0055】
これにより、機差やライフ等で実際のトナー消費量特性が変化した場合であっても、このトナー消費量特性の変化に追従させて、重み付け係数テーブル73の書き換えを行うことができ、トナー消費量特性の算出を最適化することができる。この結果、機差やライフ等に関係なくトナー消費量を正確に算出することができる。つまり、書き換え手段75により書き換えられる重み付け係数テーブル73を用いて算出されるトナー消費量と、実際のトナー消費量との誤差を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用する画像形成装置における画像処理を示す制御ブロック図である。
【図2】1ピクセル分のトナー消費量算出の処理を示すフローチャートである。
【図3】重み付け係数テーブルの書き換えの様子を示す図である。
【図4】重み付け係数テーブルの書き換えの処理を示すフローチャートである。
【図5】従来の画像形成装置における画像処理を示す制御ブロック図である。
【図6】従来の画像形成装置における画像処理を示すフローチャートである。
【図7】トナー濃度コントロール処理を簡単に示したフローチャートである。
【図8】トナーパッチによる中間調ガンマ補正処理を簡単に示したフローチャートである。
【図9】従来の重み付け係数テーブルの信号入力値とそれに対応する重み付け係数との関係を示す図である。
【図10】従来の重み付け係数テーブルの信号入力値とそれに対応する重み付け係数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 入力信号処理部
20 領域分離処理部
30 色補正・黒生成処理部
40 ズーム変倍処理部
50 空間フィルタ処理部
60 中間調補正処理部
70 ピクセルカウント部
71 カウント手段
72 重み付け演算手段
73 重み付け係数テーブル
74 積算手段
75 書き換え手段
80 トナー消費量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に対する画像処理および補正処理をデジタル的に行い、入力される多値画像のピクセルカウントを行ってトナー消費量の算出を行う画像形成装置において、
入力された多値画像の入力信号値をピクセルごとにカウントするカウント手段と、
前記入力信号値に対応する重み付け係数を格納する重み付け係数テーブルと、
前記カウント手段により入力信号値をカウントする際に、入力信号値に対応する重み付け係数を前記重み付け係数テーブルから取得して、ピクセルごとに重み付けを行う重み付け演算手段とを備え、
前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を可変としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像情報に対する画像処理および補正処理をデジタル的に行い、入力される多値画像のピクセルカウントを行ってトナー消費量の算出を行う画像形成装置において、
入力された多値画像の入力信号値をピクセルごとにカウントするカウント手段と、
前記入力信号値に対応する重み付け係数を格納する重み付け係数テーブルと、
前記カウント手段により入力信号値をカウントする際に、入力信号値に対応する重み付け係数を前記重み付け係数テーブルから取得して、ピクセルごとに重み付けを行う重み付け演算手段と、
前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を書き換える書き換え手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記書き換え手段は、
互いにトーンが異なる複数のトナーパッチを感光体または転写ベルト上に形成し、
これら複数のトナーパッチを読み取り手段により読み取り、
このトナーパッチの読み取り結果に基づいて中間調ガンマ特性を算出し、
この算出された中間調ガンマ特性に従って前記重み付け係数テーブルに格納される重み付け係数を書き換えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−23392(P2006−23392A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199647(P2004−199647)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】