説明

画像形成装置

【課題】 部品点数を少なくし、低コストとすると共に、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足させる。
【解決手段】 感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aと現像ロール軸受52とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。つまり、現像ロール軸受52と感光体ドラム支持部材60とで間隔Sが決定されるので、部品点数が少ない。よって、材料費及び組立工数が減少するので低コストである。また、各部品の部品公差による累積公差や組立誤差も少ないので、間隔Sに対する高い要求精度を満足できる。また、経時的な変化などで感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aが磨耗し、間隔Sが狭まると、感光体ドラム支持部材60を回動させ、湾曲面60Aと現像ロール軸受52との当接位置を変更しする。新しく当接する感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aは磨耗していないので、間隔Sに戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の電子写真方式においては、トナーなどの現像剤を坦持する現像ロールを、感光体ドラム等の像担持体と対向させ、像担持体に画像を形成する。現像ロールと像担持体との間隔は、画像の品質に大きな影響を及ぼす。このため、現像ロールと像担持体との間隔は、高精度である必要がある。
【0003】
現像ロールと像担持体との間隔を決める方式の中には、トラッキング方式と称されるものがある。このトラッキングロール方式のうち、現像ロールの軸にトラッキングロールを取り付け、このトラッキングロールを像担持体の端部などに当接させる方式を直接トラッキング方式と称し、トラッキングロールを像担持体に対してブラケット等の当接部材を介して間接的に当接させる方式を間接トラッキング方式と称している。直接トラッキング方式及び間接トラキング方式においては、像担持体と現像ロールとの間隔の精度は、部品精度、組立精度等により決定される。
【0004】
また、像担持体と現像ロールとの間隔の精度を、より高精度とするため、間接トラキング方式において、当接部材を移動可能として、像担持体と現像ロールとの間隔を調整する構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−167869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、直接トラッキング方式は、像担持体に直接当接するため、像担持体に傷をつけたり、押付力の変動が回転ムラになる。
【0006】
また、間接トラッキング方式では部品点数が多く、高コストであった。さらに、部品点数が多いので、累積公差と組立誤差とが大きくなり、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足させることも困難であった。
【0007】
また、特開平06−167869号公報に記載の構成の調整方式としても、部品点数が多いため、各部品間のガタつきなどが大きく調整が困難であり、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足させることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、部品点数を少なくし、低コストとすると共に、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールと、前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持する現像ロール支持部材と、前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持し、前記現像ロール支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記像担持体の回転軸から等距離となった湾曲面が形成され、前記像担持体の回転軸を中心に回動し、前記湾曲面と前記現像ロール支持部材との当接位置を変更可能な像担持体支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールによって像担持体に現像剤像が形成される。現像ロールは、現像ロール支持部材によって現像器筐体に回転可能に支持されている。像担持体は像担持体支持部材によって、像担持体筐体に回転可能に支持されている。
【0011】
像担持体支持部材は、現像ロール支持部材に当接して、像担持体と現像ロールとの間隔を決める湾曲面が形成されている。また、湾曲面は像担持体の回転軸から等距離である。よって、湾曲面のいずれの部分が現像ロール支持部材と当接しても、像担持体と現像ロールとの間隔は一定である。
【0012】
このように、現像ロール支持部材と像担持体支持部材とが当接して、現像ロールと像担持体との間隔を決めるので、部品点数が少ない。よって、材料費及び組立工数が減少するので低コストである。また、各部品の部品公差による累積公差や組立誤差も少ないので、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足できる。
【0013】
更に、像担持体支持部材は、像担持体の回転軸を中心に回動し、湾曲面と現像ロール支持部材との当接位置を変更可能となっている。
【0014】
したがって、例えば、経時的な変化などで像担持体支持部材の湾曲面が磨耗し、像担持体と現像ロールとの間隔が狭くなっても、像担持体支持部材を回動させ、現像ロール支持部材との当接位置を変更し、磨耗してない湾曲面と当接させることで、像担持体と現像ロールとの間隔をもとに戻すことができる。よって、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を維持できる。
【0015】
請求項2に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールと、前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持する現像ロール支持部材と、前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持し、前記現像ロール支持部材に当接し、前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記像担持体の回転軸からの距離が変化した傾斜面が形成され、前記像担持体の回転軸を中心に回動し、前記傾斜面と前記現像ロール支持部材との当接位置を変更可能な像担持体支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールによって、像担持体に現像剤像が形成される。現像ロールは、現像ロール支持部材によって現像器筐体に回転可能に支持されている。像担持体は像担持体支持部材によって、像担持体筐体に回転可能に支持されている。
【0017】
像担持体支持部材は、現像ロール支持部材に当接して、像担持体と現像ロールとの間隔を決める傾斜面が形成されている。傾斜面は像担持体の回転軸からの距離が変化している。そして、像担持体支持部材は、像担持体の回転軸を中心に回動し、傾斜面と現像ロール支持部材との当接位置を変更可能となっている。
【0018】
このように、現像ロール支持部材と像担持体支持部材とが当接して、現像ロールと像担持体との間隔を決めるので、部品点数が少ない。よって、材料費及び組立工数が減少するので低コストである。
【0019】
更に、像担持体と現像ロールとの間隔は、像担持体支持部材を像担持体軸の回転軸を中心に回動し、傾斜面と現像ロール支持部材との当接位置を変更することで調整できる。
【0020】
よって、像担持体と現像ロールとの間隔の精度が向上するとともに、部品の寸法公差及び組立公差による装置間のバラツキが小さくなる。なお、像担持体と現像ロールとの間隔を決める構成部品が少ないので、部品間のガタつきが少ない。よって、調整が容易であり、また、精度良く調整できる。したがって、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足できる。
【0021】
請求項3に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールと、前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持する像担持体支持部材と、前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持し、前記像担持体支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記現像ロールの回転軸から等距離となった湾曲面が形成され、前記現像ロールの回転軸を中心に回動し、前記湾曲面と前記像担持体支持部材との当接位置を変更可能な現像ロール支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールによって、像担持体に現像剤像が形成される。現像ロールは、現像ロール支持部材によって現像器筐体に回転可能に支持されている。像担持体は像担持体支持部材によって、像担持体筐体に回転可能に支持されている。
【0023】
現像ロール支持部材は、像担持体支持部材に当接して、像担持体と現像ロールとの間隔を決める湾曲面が形成されている。また、湾曲面は現像ロールの回転軸から等距離である。よって、湾曲面のいずれの部分が像担持体支持部材と当接しても、像担持体と現像ロールとの間隔は一定である。更に、現像ロール支持部材は、現像ロールの回転軸を中心に回動し、湾曲面と像担持体支持部材との当接位置を変更可能となっている。したがって、請求項1と同様の作用を奏す。
【0024】
請求項4に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールと、前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持する像担持体支持部材と、前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持し、前記像担持体支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記現像ロールの回転軸からの距離が変化した傾斜面が形成され、前記現像ロールの回転軸を中心に回動し、前記傾斜面と前記像担持体支持部材との当接位置を変更可能な現像ロール支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0025】
請求項4に記載の画像形成装置は、現像剤を担持する現像ロールによって、像担持体に現像剤像が形成される。現像ロールは、現像ロール支持部材によって、現像器筐体に回転可能に支持されている。像担持体は像担持体支持部材によって、像担持体筐体に回転可能に支持されている。
【0026】
現像ロール支持部材は、像担持体支持部材に当接して、像担持体と現像ロールとの間隔を決める傾斜面が形成されている。傾斜面は現像ロールの回転軸からの距離が変化している。そして、現像ロール支持部材は、現像ロールの回転軸を中心に回動し、傾斜面と像担持体支持部材との当接位置を変更可能となっている。したがって、請求項2と同様の作用を奏す。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、現像ロール支持部材と像担持体支持部材とが当接して、現像ロールと像担持体との間隔を決めるので、部品点数が少ない。よって、材料費及び組立工数が減少するので低コストである。また、部品の累積公差や部品間のガタつきが減少するので、像担持体と現像ロールとの間隔に対する高い要求精度を満足できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る画像形成装置を適用した一例として、公知の電子写真プロセスを適用したレーザプリンタについて図面を参照して説明する。また、本発明が適用される画像形成装置は、以下で説明するレーザプリンタ10に限らず、複写機、ファクシミリ、あるいは、複合機等であっても良い。
【0029】
図1は、本発明に係る第1の実施形態のレーザプリンタ10の概略構成を示している。レーザプリンタ10は、外部装置から入力した画像情報に基づいてトナー像を形成し、この画像を記録用紙Pに記録するものである。なお、以下の説明において、本発明の本質とは直接関係しないものについては、詳細な説明を省略する。
【0030】
図示しない駆動機構によって回転可能な感光体ドラム12の周囲に、帯電器14、現像器16、転写装置18、クリーニング装置20が順番に配置されている。
【0031】
また、光走査装置22が感光体ドラム12の上方に配置されている。光走査装置22はレーザ光Lを出射する。そして、レーザ光Lは、帯電器14と現像器16との間の感光体ドラム12の表面に結像し走査される。
【0032】
さて、感光体ドラム12が図示しない駆動機構によって回転する。帯電器14によって感光体ドラム12の表面が均一に帯電する。次いで、画像情報に基づいて光走査装置22によってレーザ光Lが感光体ドラム12の表面に結像し走査することで、感光体ドラム12の表面に静電潜像が形成される。
【0033】
さて、現像器16にはトナーが収容され、現像ロール50にはトナーが担持されている。現像ロール50は、感光体ドラム12と所定の間隔Sをもって対向している。感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像は、現像ロール50に現像バイアスをかけることで現像されてトナー像となる。そして、感光体ドラム12のトナー像は転写装置18の上に移動する。なお、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sは現像特性に対する影響が大きい。例えば、間隔Sが広いと画像濃度が下がり、間隔Sが狭いと画像濃度が上がる。また、このため左右(図1では手前と奥側)の間隔Sが異なると、濃度ムラとなる。よって、間隔Sは一定の範囲内とする必要がある。
【0034】
一方、レーザプリンタ10の下部には、記録用紙Pが収容された給紙カセット24が配置されている。記録用紙Pは、ピックアップロール26により送り出され、搬送ロール28によって搬送される。そして、レジストロール30により所定のタイミングで転写装置18と感光体ドラム12との間に送りだされ、転写装置18によって、感光体ドラム12のトナー像が記録用紙Pに転写される。トナー像が転写した記録用紙Pは定着装置32に送られる。定着装置32は熱と圧力とで記録用紙Pにトナー像を定着する。トナー像が定着した記録用紙Pは、排紙トレイ34に排紙される。
【0035】
さて、トナー像は転写装置18で記録用紙Pに全ては転写されずに、一部は感光体ドラム12に残留トナーとして残る。この残留トナーは、クリーニング装置20のクリーニングブレード29で掻き取られ、クリーニング装置20の内部に回収される。
【0036】
つぎに、現像器16の現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sを決定する機構について詳しく説明する。
【0037】
図2と図3とに示すように、現像ロール50は、現像ロール回転軸54が両端から突出している。この現像ロール回転軸54は、現像器16の現像器筐体56に回転自在に現像ロール軸受52で支持されている。なお、現像器筐体56の肉厚より現像ロール軸受52の方が幅広であるので、現像ロール軸受52は現像器筐体56よりハミだしている。
【0038】
なお、本実施形態で用いた現像ロール軸受52は金属製である。また、外輪と内輪との間にボールが組み込まれた、所謂、ボールベアリングである。また、ボールベアリングの精度の決め手となる要素は、「ボールの真球度」や「ボールが転がる外輪と内輪の真円度」などがある。このため、現像ロール軸受52(外輪)の外径の真円度も精度が良い。
【0039】
なお、ボールベアリングでなくても、円柱型のローラー(ころ)が組み込まれた構造のローラベアリングであっても良いし。その他のベアリングであっても良い。あるいは、ベアリングでなくても精度良く外形が形成された軸受であっても良い。ただし、後述する樹脂製の感光体ドラム支持部材60よりも堅い材質が望ましい。
【0040】
感光体ドラム12は両端にフランジ72が取り付けられている。フランジ72の中央には、感光体ドラム回転軸62が貫通する回転軸孔が形成されている。そして、感光体ドラム12は感光体ドラム筐体58に、感光体ドラム回転軸62が形成された感光体ドラム支持部材60によって回転自在に支持されている。
【0041】
なお、感光体ドラム支持部材60及びフランジ72ともに樹脂製である。よって、感光体ドラム支持部材60の感光体ドラム回転軸62とフランジ72の回転軸孔との摺動抵抗が小さいので、ベアリング機構がなくても感光体ドラム12はスムーズに回転する。
【0042】
図2に示すように、感光体ドラム支持部材60には、扇型状をした湾曲面60Aが形成されている。そして、この湾曲面60Aと現像ロール軸受52(現像器筐体56からハミでた部分)とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。
【0043】
なお、現像器16の現像器筐体56は、付勢手段、例えば、レーザプリンタ10のフレーム100などに取り付けられたバネ102などによって、現像ロール軸受52が感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aに付勢されている。よって、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが保たれる。
【0044】
また、感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aは、感光体ドラム12と同心円となっている。つまり、感光体ドラム回転軸62から湾曲面60Aのいずれの部分でも等距離である。よって、湾曲面60Aのいずれの部分が現像ロール軸受52と当接しても、現像ロール50と感光体ドラム12とは、間隔Sとなる。
【0045】
なお、感光体ドラム支持部材60は感光体ドラム回転軸62を中心に回動する。よって、現像ロール軸受52と感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aとの当接位置を変更できる。なお、前述したように、当接位置が変更されても現像ロール50と感光体ドラム12とは間隔Sである。
【0046】
感光体ドラム支持部材60には調整孔64が形成されており、調整ビス70で取り付けることで、感光体ドラム支持部材60を感光体ドラム筐体58に支持する。また、調整ビス70を緩めることで、感光体ドラム支持部材60は回動可動となる。
【0047】
図3に示すように、現像ロール50の一端側に現像ギア76が設けられている。また、感光体ドラム12の一方のフランジ72には感光体ドラムギア74が形成されている。そして、現像ギア76と感光体ドラムギア74とは、それぞれ噛み合い、レーザプリンタ10の駆動機構(図示省略)の駆動ギア(図示省略)によって、感光体ドラムギア74に駆動力が伝達され、現像ロール50と感光体ドラム12とが回転する。
【0048】
つぎに、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
図2に示すように、感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aと現像ロール軸受52とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。
【0050】
つまり、現像ロール軸受52と感光体ドラム支持部材60とで間隔Sが決定されるので、部品点数が少ない。よって、材料費及び組立工数が減少するので低コストである。また、各部品の部品公差による累積公差や組立誤差も少ないので、間隔Sに対する高い要求精度を満足できる。なお、前述したように、現像ロール軸受52(の外輪)の外径の真円度は精度が良いので、当接位置の違いや製品バラツキによる間隔Sのバラツキは非常に少ない。
【0051】
さて、図4(A)に示すように、経時的な変化で感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aが磨耗し、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sは磨耗分Rだけ短くなり間隔S−Rとなる。なお、感光体ドラム支持部材60は樹脂製であり、現像ロール軸受52は金属製であるので、感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aは磨耗するが、現像ロール軸受52は磨耗しない。
【0052】
さて、このように間隔Sが狭まると、画像濃度が上昇する。特に、現像ギア76及び感光体ドラムギア74がある一端側(図3参照)は、駆動による押圧力及び振動によって磨耗しやすいので、一方と他方とで間隔Sが異なってくる。一方と他方とで間隔Sが異なってくると、一方側が画像濃度が濃く、他方側の画像濃度が薄くなる濃度ムラが発生し、画像品質を著しく低下させる。
【0053】
よって、このように経時的な変化などで感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aが磨耗し、濃度ムラなどが発生すると、図4(B)に示すように、調整ビス70を緩めたあと、感光体ドラム支持部材60を回動させ、湾曲面60Aと現像ロール軸受52との当接位置を変更し、調整ビス70を締め付けて支持する。新しく当接する感光体ドラム支持部材60の湾曲面60Aは磨耗していないので、一方と他方とも間隔Sに戻り、濃度ムラなどが解消される。また、感光体ドラム12と現像ロール50との間隔Sに対する高い要求精度が維持される。
【0054】
つぎに、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1の実施形態で説明した部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図5は、第2の実施形態のレーザプリンタ104の現像器16の現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sを決定する機構部分を示している。
【0056】
感光体ドラム支持部材160には、傾斜面160Aが形成されている。そして、この傾斜面160Aと現像ロール軸受52とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。
【0057】
また、感光体ドラム支持部材160は第1の実施形態と同様に感光体ドラム回転軸62を中心に回動し、調整ビス70で取り付けることで、感光体ドラム支持部材160を感光体ドラム筐体58(図参照)に支持する。また、調整ビス70を緩めることで、感光体ドラム支持部材160は回動可動となる。
【0058】
なお、傾斜面160Aは、現像ロール回転軸54と感光体ドラム回転軸62とを結ぶ直線に対して角度をもっている。よって、傾斜面160Aは、感光体ドラム回転軸62からの距離が、傾斜面160Aの各位置によって変わっている。つまり、傾斜面160Aと現像ロール軸受52と当接位置によって、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが調整可能となっている。
【0059】
つぎに、本実施形態の作用を説明する。
【0060】
図5に示すように、感光体ドラム支持部材160の傾斜面160Aと現像ロール軸受52とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。
【0061】
よって、第1の実施形態と同様に、現像ロール軸受52と感光体ドラム支持部材160とで間隔Sが決定されるので、部品点数が少ない。よって材料費及び組立工数が減少するので低コストである。
【0062】
さて、高画質・高精彩の要求よる小粒径トナー、例えば、EAトナー(Emulsion Aggregation: 乳化重合凝集法トナー)の採用に伴い、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが狭く、また、間隔Sに対する要求される精度が非常に厳しくなる。このため、本実施形態では生産工程にて、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sを調整している。具体的には、次のように行う。
【0063】
まず、調整ビス70を軽く締め、感光体ドラム支持部材160を感光体ドラム筐体58(図参照)に対して仮止めする。つぎに、図6に示すように、ディジタルゲージ等の測定治具(図示省略)により感光体ドラム12と現像ロール50との間の間隔Sを測定しながら感光体ドラム支持部材160の角度を調整し、傾斜面160Aと現像ロール軸受52との当接位置を調整する。所定の間隔Sとなる角度が決まり調整が終了すると、調整ビス70を締め付けて感光体ドラム支持部材160を感光体ドラム筐体58に支持する。
【0064】
なお、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sの調整範囲では、感光体ドラムギア74及び現像ギア76の歯先と歯底とは干渉(当接)しない。また、噛み合いが外れることもない。
【0065】
このように調整式としたので、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sの精度が向上するとともに、部品公差及び組立公差による、間隔Sの装置間のバラツキが小さくなる
なお、調整式としても、従来の調整式の構成、例えば、特開平06−167869号公報の記載の構成と比較し、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sを決める構成部品が少ない。よって、部品間のガタつきが少ないので、調整が容易であり、また、精度良く調整できる。したがって、間隔Sに対する非常に高い要求精度を満足できる
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
例えば、第1及び第2の実施形態では、いずれも感光体ドラム支持部材60、160が回動する構成であったが、これに限定されない。逆に、現像ロール軸受に湾曲面又は傾斜面が形成され、現像ロール支持部材が回動し、湾曲面又は傾斜面と感光体ドラム支持部材との当接位置が変更可能な構成としてもよい。
【0067】
例えば、図7と図8とは、第1の実施形態が逆になった構成を示している(請求項3に対応)。感光体ドラム12のフランジ272には、突出する感光体ドラム回転軸262が形成されている。この感光体ドラム回転軸262は感光体ドラム筐体258に回転自在に感光体ドラム軸受260で支持されている。なお、感光体ドラム軸受260はボールベアリング(転がり玉軸受け)である。
【0068】
現像ロール50の両端から現像ロール回転軸54が突出している。そして、現像ロール50の現像ロール回転軸54が、現像ロール軸受252によって、現像器筐体250に回転自在に支持されている。
【0069】
図7に示すように、現像ロール軸受252には、扇型状をした湾曲面252Aが形成されている。そして、この湾曲面252Aと感光体ドラム軸受260とが当接することで、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔Sが決定される。なお、現像器216は付勢手段、例えば、フレーム100などに取り付けられた、バネ102などによって、現像ロール軸受252の湾曲面252Aが感光体ドラム軸受260に付勢されている。なお、現像ロール軸受252の湾曲面252Aは、現像ロール50と同心円となっている。つまり、現像ロール回転軸54から湾曲面252Aのいずれの部分でも等距離である。よって、湾曲面252Aのいずれの部分が感光体ドラム軸受260と当接しても、現像ロール50と感光体ドラム12との間隔は間隔Sとなる。そして、現像ロール軸受252は現像ロール回転軸54を中心に回動する。よって、感光体ドラム軸受260と現像ロール軸受252の湾曲面252Aとの当接位置を変更できる。なお、作用効果は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
また、図9に示すように、第2の実施形態が逆になる構成であっても良い(請求項4に対応)。つまり、現像ロール回転軸54を中心に回動可能であり、傾斜面352Aが形成された現像ロール軸受352であっても良い。なお、作用効果は、第1の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【図4】(A)は、感光ドラム軸受の湾曲面が磨耗し、現像ローラと感光体ドラムとの間隔が狭くなった状態を示す図であり、(B)は、感光体ドラム軸受を回動し、現像ローラ軸受との当接位置を変更した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【図6】感光体ドラム軸受を回動し、現像ローラ軸受との当接位置を変更し、現像ローラと感光体ドラムとの間隔を調整する様子を示す図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【図9】本発明のその他の実施形態に係るレーザプリンタの現像ローラと感光体ドラムとの間隔を決める機構部分を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10 レーザプリンタ(画像形成装置)
12 感光体ドラム(像担持体)
50 現像ロール、
52 現像ロール軸受(現像ロール支持部材)
54 現像ロール回転軸(現像ロールの回転軸)
56 現像器筐体
58 感光体ドラム筐体(像担持体筐体)
60 感光体ドラム支持部材(像担持体支持部材)
60A 湾曲面
62 感光体ドラム回転軸(像担持体の回転軸)
160 感光体ドラム軸受(像担持体軸受)
160A 傾斜面
252 現像ロール軸受(現像ロール支持部材)
252A 湾曲面
260 感光体ドラム軸受(像担持体支持部材)
262 感光体ドラム回転軸(像担持体の回転軸)
352 現像ロール軸受(現像ロール支持部材)
352A 傾斜面
S 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像ロールと、
前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、
前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持する現像ロール支持部材と、
前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持し、前記現像ロール支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記像担持体の回転軸から等距離となった湾曲面が形成され、前記像担持体の回転軸を中心に回動し、前記湾曲面と前記現像ロール支持部材との当接位置を変更可能な像担持体支持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤を担持する現像ロールと、
前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、
前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持する現像ロール支持部材と、
前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持し、前記現像ロール支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記像担持体の回転軸からの距離が変化した傾斜面が形成され、前記像担持体の回転軸を中心に回動し、前記傾斜面と前記現像ロール支持部材との当接位置を変更可能な像担持体支持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
現像剤を担持する現像ロールと、
前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持する像担持体支持部材と、
前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持し、前記像担持体支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記現像ロールの回転軸から等距離となった湾曲面が形成され、前記現像ロールの回転軸を中心に回動し、前記湾曲面と前記像担持体支持部材との当接位置を変更可能な現像ロール支持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
現像剤を担持する現像ロールと、
前記現像ロールと対向し、現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体を像担持体筐体に回転可能に支持する像担持体支持部材と、
前記現像ロールを現像器筐体に回転可能に支持し、前記像担持体支持部材に当接して前記像担持体と前記現像ロールとの間隔を決め、前記現像ロールの回転軸からの距離が変化した傾斜面が形成され、前記現像ロールの回転軸を中心に回動し、前記傾斜面と前記像担持体支持部材との当接位置を変更可能な現像ロール支持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−30505(P2006−30505A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208060(P2004−208060)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】