説明

画像形成装置

【課題】 転写材の種類に応じた最適な定着ニップ部のニップ幅を得る事を可能にするとともに、定着ニップ部へ転写材が進入するときの定着ニップ部入口部周辺のジャムや画像擦れを防止する。
【解決手段】 加熱部材を有する加熱ローラ83と加圧ローラ82に対向する押圧ローラ81とを巻回して張架された無端状の定着ベルト84と、定着ニップ部Nへ搬送される転写材Sを案内する転写材搬送ガイド部材87と、加熱ローラ83を移動させて加圧ローラ82に圧接する定着ニップ部Nにおける圧接長さを変更可能にするとともに、加熱ローラ83の移動に連動して転写材搬送ガイド部材87を移動させ定着ニップ部Nへの転写材進入方向を可変にする支持アーム部材89と、を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写材上に形成された未定着トナー画像を、定着ベルトを有する定着装置によって加熱定着して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの機能を有する複合機等の電子写真式画像形成装置に用いられている定着装置は、所定の温度に維持された定着ローラと、弾性層を有してその定着ローラに圧接する加圧ローラとによって、未定着のトナー画像が形成された転写材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ定着方式が、低速機から高速機まで、モノクロ機からカラー機に至るまで、幅広く採用されている。
【0003】
従来の熱ローラ定着方式の定着装置では、転写材上のトナーを加熱する際に、熱容量の大きな定着ローラを加熱する必要があるため、省電力面で不利であり、また、プリント時に定着ローラを暖めるのに時間がかかり、プリントを開始するまでの時間(ウォーミングアップタイム)が長くなってしまうという問題がある。
【0004】
これを解決する定着ベルト定着方式は、加熱ローラと支持ローラとによって回転可能に支持された定着ベルトを加圧ローラに圧接して定着ニップ部を形成し、転写手段から搬送されるトナー像の形成された転写材を、定着ニップ部で挟持する事により、転写材上のトナー像を加熱、加圧して定着する。
【0005】
近年の画像形成装置には、消費者のニーズの多様化に伴って、通常の転写紙のみならず、葉書等の厚紙やOHPシートなどの様々な種類の転写材に複写するという要求が増加し、それに伴って定着装置には、使用される各種転写材の厚さ、紙質に応じて最適な定着条件を設定する機能が必要になっている。
【0006】
特に、フルカラー複写機の定着装置では、使用される各色トナーの物性上、黒トナーのみのモノクロ複写機の定着装置以上に微妙な定着条件の設定が要求される。また、フルカラー複写機では高画質の画像が求められ、コーティング処理された光沢紙を使用する場合には、特殊な定着条件の設定が要求される。
【0007】
ここで定着条件は加えられる熱量と、加えられる圧力に依存する。そして加えられる熱量は加熱部材の温度と加熱部材の時間によって決まる。従って、定着条件の調整とは、加熱部材の温度調整、加熱時間の調整、又は加圧時間の調整を意味する。
【0008】
即ち、厚紙、OHPシート、コーティング処理された光沢紙などの転写材は、比較的に多くの熱量を必要とするから、普通紙と比較して加圧力を高くするか、加熱部材の表面温度を高くするか、転写材を加圧、加熱する時間を長くする。
【0009】
特許文献1に記載の定着装置は、定着ベルトの複数の支持ローラのうち少なくとも一つを移動させる手段を有し、該移動手段により定着ローラと接触圧を一定に保ちつつ、定着ベルトの接触幅を変化させるものである。
【特許文献1】特開平5−165357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
転写材上に形成されたトナー画像を高速定着するため、転写材を挟持する定着ローラと加圧ローラのニップ幅を広くする必要がある。ニップ幅を広くするため、従来のローラ定着装置では、定着ローラ、加圧ローラの大径化が避けられず、大型化に伴う熱容量の増大などにより、ウォーミングアップタイムが大幅に長くなる等の不具合があった。
【0011】
この問題を解消するため、定着ベルトを用いて、加圧ローラにベルトを巻きかける接触領域によって加熱時間を延長しても、定着ベルトの熱容量が限定されているため、定着ベルトとの接触時間延長の効果は限定され、外部加圧ローラからの熱供給に頼るため、転写材から加熱することになり熱効率は低い。
【0012】
特に、カラー画像形成装置の定着装置においては、4色のトナー画像を加熱定着するため、単色のトナー画像に比して熱供給量を大きくする事が必要である。また、カラー画像形成装置において、グラフィック画像、ピクチャー画像等を行う場合には転写材上のトナー付着量が多く、加熱定着処理時に熱供給量を大きくする事が必要である。更に、カラー画像に光沢を付与させるためにも、加熱定着処理時に熱供給量を大きくする事が必要である。
【0013】
また、様々な厚さの転写材に対応するには、同一の定着条件では実現困難である。薄紙に良好な定着条件では、厚紙には定着性が確保出来ず、厚紙に良好な定着条件では、薄紙でホットオフセットとなってしまう。そこで転写材の厚さに対応して定着性を確保するには、以下の方法があるが、何れも問題がある。
【0014】
(1) 厚紙に対応する定着条件にするために定着温度を上昇させるとき、定着温度は直ちには変更できないため、待機時間が発生する。また、厚紙の場合は、定着性を確保するために定着温度を上げると光沢が出すぎる傾向がある。
【0015】
(2) 厚紙に対応する定着条件にするために定着圧力を上昇させる場合、圧力の定着性への影響は小さく、圧力で定着性を確保するのは耐久性の点から無理がある。
【0016】
(3) 転写材搬送速度を下げて定着ニップ時間を延長するとコピー速度も低下する。
【0017】
以上の問題を解決するため、特許文献1のように、定着ニップ幅を変更して、種々の転写材の紙厚に対応する技術が開示された。この技術で問題になるのが、用紙の搬送経路であり、固定の転写材経路では、定着ニップ幅が変化しても転写材経路が変わらないため、転写材搬送不良や画像の擦れ等の原因となった。
【0018】
本発明は、定着ベルト方式の定着装置を備えた画像形成装置により、ウォーミングアップタイムを短縮したクイックスタート化を達成し、且つ、定着ニップ幅の変更時に移動させる圧接部材や定着ベルトを張架するローラに、転写材搬送ガイドを連動させて搬送面を移動させる事により、定着ニップ部入口部及び出口部周辺のジャムや画像擦れを防止する事を可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の各目的は、以下の解決手段により達成される。
【0020】
請求項1に記載の画像形成装置は、転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、前記定着ニップ部へ搬送される前記転写材を案内する転写材搬送ガイド部材と、前記加熱ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する前記定着ニップ部における圧接長さを変更可能にするとともに、前記加熱ローラの移動に連動して前記転写材搬送ガイド部材を移動させ前記定着ニップ部への転写材進入方向を可変にする支持アーム部材と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項2に記載の画像形成装置は、転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、前記加圧ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にする加圧ローラ移動手段と、前記加圧ローラ移動手段に固定され、前記加圧ローラの移動に連動して移動し、前記定着ニップ部への転写材進入方向、転写材排出方向の少なくとも一方を可変にする転写材搬送ガイド部材と、を有することを特徴とするものである。
【0022】
請求項3に記載の画像形成装置は、転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、前記定着ニップ部へ搬送される前記転写材を案内する転写材搬送ガイド部材と、前記押圧ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にするとともに、前記押圧ローラの移動に連動して前記転写材搬送ガイド部材を移動させ前記定着ニップ部への転写材排出方向を可変にする支持アーム部材と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置は、以上説明した構成により以下の効果が得られる。
【0024】
請求項1に係る発明によれば、加熱ローラを移動させて加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にする支持アーム部材の移動に連動して、転写材搬送ガイド部材を移動させて定着ニップ部への転写材進入方向を可変にする事により、定着ニップ部入口部周辺のジャムや画像擦れを防止する事が可能になった。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、加圧ローラを移動させて加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にする支持アーム部材の移動に連動して、転写材搬送ガイド部材を移動させて定着ニップ部への転写材進入方向、転写材排出方向の少なくとも一方を可変にする事により、定着ニップ部入口部周辺のジャムや画像擦れを防止する事が可能になった。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、定着ニップ部へ搬送される転写材を案内する転写材搬送ガイド部材と、押圧ローラを移動させて加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にするとともに、押圧ローラの移動に連動して転写材搬送ガイド部材を移動させ定着ニップ部への転写材排出方向を可変にする支持アーム部材とにより、定着ニップ部の出口部周辺のジャムや画像擦れを防止する事が可能になった。
【0027】
特に、カラー画像形成装置の定着装置において、4色のトナー画像を加熱定着してグラフィック画像、ピクチャー画像等を行うとき、カラー画像に光沢を付与させるとき、紙質の異なる転写材を使用するときに、高画質の画像形成に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る定着装置及び該定着装置を搭載した画像形成装置を図面によって説明する。
【0029】
[画像形成装置の一実施形態]
図1は、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の一実施形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0030】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、縦列配置された複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、複数のローラを巻回する回動可能な半導電性エンドレスベルト状の中間転写体7と、給紙搬送手段、及び定着装置8とから成る。
【0031】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、像担持体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、像担持体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、像担持体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、像担持体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0032】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、一次転写手段5Y,5M,5C,5Kにより、回動する中間転写体7上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(以下、用紙と称す)Sは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A,22B,22C,22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段5Aに搬送され、用紙S上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置8により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0033】
両面画像形成時には、定着装置8から排出された第1面に画像形成された用紙Sは、分岐手段26により用紙排紙路から分岐され、下方の反転通紙路27A,27B,27Cを通過して、中間ローラ22Dにおいて合流する。反転搬送された用紙Sは、レジストローラ23を経て、二次転写手段5Aに搬送され、用紙Sの第2面上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置8により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0034】
一方、二次転写手段5Aにより用紙Sにカラー画像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写体7は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0035】
[定着装置の第1の実施の形態]
図2は、本発明の定着装置8の第1の実施の形態を示す断面図である。図3は、定着装置8の斜視図である。
【0036】
ベルト定着方式の定着装置8は、圧接して回転する一対の加圧部材である内部押圧ローラ(押圧ローラ)81と外部加圧ローラ(加圧ローラ)82、外部加圧ローラ82の内方に配置されたハロゲンランプ等の加熱部材H1、回転可能な加熱ローラ83、加熱ローラ83の内方に配置されたハロゲンランプ等の加熱部材H2、加熱ローラ83と内部押圧ローラ81の各外周面を巻回する定着ベルト84等から構成されている。
【0037】
内部押圧ローラ81は、基体、発泡シリコーンゴム層、耐熱離型層から構成されている。例えば、STKM(機械構造用炭素鋼管)等のスチール材を用いた厚さ2〜5mmの円筒状の基体と、基体の外周面上に形成した肉厚1〜3mmの発泡シリコーンゴム層と、発泡シリコーンゴム層の外側に厚さ30〜100μmのPFA(パ−フルオロアルコキシ)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の耐熱離型層から成る外径20〜50mmのローラである。
【0038】
外部加圧ローラ82は、基体、耐熱弾性層、耐熱離型層から構成されている。基体は、例えば、STKM等のスチール材、又はアルミニウム合金材を用いた肉厚2〜5mmの金属パイプである。耐熱弾性層は、基体の外周面に厚さ2〜4mmのシリコーンゴム層を設けたものである。耐熱離型層は耐熱弾性層の外側に厚さ20〜50μmのPFA又はPTFE等チューブである。外部加圧ローラ82の内部には、外部加圧ローラ82を加熱する加熱部材H1が配置されている。
【0039】
外部加圧ローラ82はバネ85により付勢されて、定着ベルト84を介して内部押圧ローラ81を押圧し、定着ニップ部Nを形成する。
【0040】
加熱ローラ83は、基体、耐熱離型層から構成されている。基体はスチール又はアルミニウム合金材から成り、肉厚1〜3mmのパイプである。耐熱離型層は基体の外周面に厚さ10〜30μmのPFAから成るコ−ティング層を形成したものである。加熱ローラ83の内部には、加熱ローラ83を加熱する加熱部材H2が配置されている。
【0041】
定着ベルト84は、内部押圧ローラ81、加熱ローラ83の各外周面を巻回するエンドレスベルトである。
【0042】
定着ベルト84は可撓性基体、耐熱弾性層、耐熱離型層から構成されている。可撓性基体(熱線吸収層)は、厚さが50〜100μmの弾性を有するステンレス鋼、ニッケル合金、ポリアミドイミド(PAI)の何れかで形成される。耐熱弾性層は、可撓性基体の外周面に、厚さ100〜300μmのシリコーンゴムを被覆したものである。耐熱離型層は、耐熱弾性層の表面に、厚さ25〜50μmのPFA又はPTFE等をコーティング加工して被覆したものである。
【0043】
定着ベルト84の表面温度は、温度検知素子TS1によって検知され、図示しない温度制御手段により所定温度範囲内にに維持される。
【0044】
転写材S上に形成されたトナー像tは、定着ニップ部Nにおいて、定着ベルト84により加熱、溶融されるとともに、バネ85により付勢された外部加圧ローラ82と内部押圧ローラ81とにより圧接されて転写材Sに定着される。
【0045】
内部押圧ローラ81は駆動源のモータM1及びギア列等の動力伝達手段によって回転され、定着ベルト84を回動する。
【0046】
バネ85は図示しない支持部材を介して外部加圧ローラ82を付勢して、定着ベルト84を介して定着装置8の内部押圧ローラ81を押圧する。
【0047】
加熱ローラ83の外周面には温度検知素子TS1が配置され、外部加圧ローラ82の外周面には温度検知素子TS2が配置されている。温度検知素子TS1は、加熱ローラ83の表面温度を検知する。温度検知素子TS1の検出信号により、図示しない制御手段は、加熱ローラ83の表面温度を所定温度に制御する。温度検知素子TS2は、外部加圧ローラ82の表面温度を検知する。温度検知素子TS2の検出信号により、図示しない制御手段は、外部加圧ローラ82の表面温度を所定温度に制御する。
【0048】
定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nと、二次転写手段5Aとの中間に、第1ガイド部材86と第2ガイド部材87とから成る転写材搬送ガイド部材を配置した。二次転写手段5Aに近い側の第1ガイド部材86は、用紙Sを通過可能にする上下一対のガイド板とから成り、支軸86Aを中心にして揺動可能に支持されている。
【0049】
第1ガイド部材86と第2ガイド部材87とは、関節軸86Bにより揺動可能に連結されている。第2ガイド部材87の他方の端部は、リンク88の一方の端部に揺動可能に連結されている。二次転写手段5Aによりトナー像tが転写された用紙Sは、上下一対のガイド板から成る第1ガイド部材86の搬送路を通過し、第2ガイド部材87の用紙搬送面に摺接して進行し、回動する定着ベルト84と外部加圧ローラ82の定着ニップ部Nに進入する。
【0050】
用紙S上に形成されたトナー像tは、定着ニップ部Nにおいて、定着ベルト84と外部加圧ローラ82により加熱、溶融されるとともに、内部押圧ローラ81と外部加圧ローラ82とにより圧接されて用紙Sに定着される。
【0051】
リンク88の他方の端部は、支持アーム部材89に揺動可能に連結されている。支持アーム部材89の一方の端部は、内部押圧ローラ81の回転軸81Aの両軸端部に嵌合して揺動可能に支持されている。
【0052】
支持アーム部材89のほぼ中間位置に形成されたフォーク状の凹部89Aには、加熱ローラ83の回転軸83Aの両軸端部が転動可能に係合する。支持アーム部材89の他方の端部に形成された長溝部89Bには、第1ガイド部材86の関節軸86Bが嵌合して連結される。
【0053】
支持アーム部材89の一方の端部には、突起部89Cが一体に形成されている。モータM2の駆動回転により、カムCが回転して突起部89Cを揺動させる事により、支持アーム部材89が揺動して、凹部89Aが回転軸83Aを揺動させ、加熱ローラ83を揺動させる。加熱ローラ83を揺動させる事により、定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nのニップ角度により、支持アーム部材89が揺動され、定着ベルト84が揺動され、ニップ角度θ1を変化させる事が出来る。
【0054】
二次転写手段5Aから排出された転写材Sは、固定配置された第1ガイド部材86の搬送路を通過し、回動する定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nに進入しやすい角度になるように屈曲状に保持された可動の第2ガイド部材87の用紙搬送面に摺接して定着ニップ部Nに向けて進行する。
【0055】
図4は、定着ベルト84を揺動させてニップ角度を変化させた状態を示す定着装置8と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置の断面図である。
【0056】
モータM2の駆動回転により、支持アーム部材89が揺動され、定着ベルト84が揺動され、ニップ角度θ1がθ2に変化する(図2、図3参照)。
【0057】
画像形成装置本体に電源を入れた時点では、定着ベルト84、加熱ローラ83は普通紙の定着に適した図4に示すニップ角度θ2を形成する位置に保たれるように制御される。
【0058】
OHPシート、光沢紙、厚紙等の転写材に画像を形成するモードが画像形成装置本体の操作部9にいて設定すると、モータM2の駆動回転が開始し、加熱ローラ83が移動を始め、カムCは突起部89Cを回動させて支持アーム部材89を揺動させ、支持アーム部材89の凹部89Aに係合する加熱ローラ83を外部加圧ローラ82から遠ざかる方向に移動させる。この移動によって、定着ベルト84が揺動されて、外部加圧ローラ82と圧接するニップ角度θ2が少なくなる(θ1>θ2)。よって、定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが接触するニップ幅がOHPシート、光沢紙、厚紙等の転写材の定着に適したものとなる。
【0059】
この状態において、支持アーム部材89はリンク88を介して第2ガイド部材87を関節軸86Bを中心にして揺動させ、第1ガイド部材86とほぼ同じ平面状にする。第1ガイド板部材86の搬送路を通過した転写材Sは、回動する定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nに進入しやすい角度になるように保持された可動の第2ガイド部材87の用紙搬送面に摺接して定着ニップ部Nに向けて進行する。
【0060】
[定着装置の第2の実施の形態]
図5(a),(b)は、本発明の定着装置8の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、図5に使用されている符号について、図2と同じ機能を有する部分には、同符号を付している。また、第1の実施の形態と異なる点を説明する。
【0061】
内部押圧ローラ81、外部加圧ローラ82、加熱ローラ83は、第1の実施の形態と同じ構成である。加熱ローラ83は、図2〜図4で示した支持アーム部材89とほぼ同じ形状の部材及び駆動手段により揺動可能に支持されている。
【0062】
外部加圧ローラ82は支持体91に回転可能に支持されている。支持体91の転写材搬送方向上流側には第1ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)92Aが、下流側には第2ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)92Bがそれぞれ固定されている。
【0063】
支持体91は案内部材93に摺動して移動可能に支持されている。支持体91の下部には、ラックギア94Aとピニオンギア94Bから成る駆動手段が配置され、モータM3及び図示しない動力伝達手段によって支持体91が移動される。
【0064】
第2ガイド部材92Bの転写材搬送方向下流側には、排紙ローラ95が配置されている。
【0065】
図5(a)は、OHPシート、光沢紙、厚紙等の転写材Sを定着処理するモードの定着装置8の断面図である。
【0066】
このモードに設定されると、モータM3の駆動により固定位置のピニオンギア94Bが回転し、ラックギア94Aを直線移動させ、支持体91を案内部材93に沿って初期位置から図示右方に移動させる。支持体91の移動によって外部加圧ローラ82も一体となって移動し、外部加圧ローラ82と定着ベルト84とが圧接する定着ニップ部Nのニップ幅が増大する。
【0067】
同時に、支持体91の移動によって、支持体91に固定された第1ガイド部材92A、第2ガイド部材92Bも一体となって移動し、定着ニップ部Nへの転写材Sの導入方向、及び定着ニップ部Nからの転写材Sの排出方向をほぼ一定にする。
【0068】
図5(b)は、普通紙等の転写材Sを定着処理するモードの定着装置8の断面図である。
【0069】
このモードに設定されると、支持体91は初期位置に停止して、外部加圧ローラ82と定着ベルト84とが圧接する定着ニップ部Nのニップ幅は縮小する。支持体91に固定された第1ガイド部材92A、第2ガイド部材92Bは、定着ニップ部Nへの転写材Sの導入方向、及び定着ニップ部Nからの転写材Sの排出方向をほぼ一定にする。
【0070】
[定着装置の第3の実施の形態]
図6(a),(b)は、本発明の定着装置8の第3の実施の形態を示す断面図である。なお、図6に使用されている符号について、図5と同じ機能を有する部分には、同符号を付している。また、第2の実施の形態と異なる点を説明する。
【0071】
この定着装置8は、支持ローラ96、外部加圧ローラ82、外部加圧ローラ82の内方に配置された加熱部材H1、回転可能な加熱ローラ83、加熱ローラ83の内方に配置された加熱部材H2、加熱ローラ83と支持ローラ96の各外周面を巻回する定着ベルト84等から構成されていて、加熱ローラ83と外部加圧ローラ82とが定着ベルト84を介して圧接している。
【0072】
加熱ローラ83の回転軸と同軸上に設けられ、図示しない駆動手段に接続された揺動軸には、支持アーム部材97が揺動可能に支持されている。支持アーム部材97の一端に穿設された長溝部97Aには、支持ローラ96の支軸96Aが嵌合している。支持アーム部材97の先端部に穿設された長溝部97Bには、排紙ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)98の連結ピン98Aが嵌合している。排紙ガイド部材98は、支軸98Bを中心にして揺動可能に支持されている。
【0073】
図6(a)は、OHPシート、光沢紙、厚紙等の転写材Sを定着処理するモードの定着装置8の断面図である。
【0074】
このモードに設定されると、支持アーム部材97が図示しない駆動源及び動力伝達手段によって揺動され、支持ローラ96が加熱ローラ83と同軸上に設けられた揺動軸を中心にして図示の反時計方向に揺動されて、支持ローラ96が下降し、外部加圧ローラ82の外周面に近接し、定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nのニップ幅が増大する。これにより、定着ニップ部Nを通過する転写材Sへの熱伝達量を増大する事ができる。
【0075】
また、支持アーム部材97の揺動に連動して、支持アーム部材97に連結する排紙ガイド部材98の転写材搬送方向下流側が下降し、排紙ローラ95への転写材Sの排出を容易にする。
【0076】
図6(b)は、普通紙等の転写材Sを定着処理するモードの定着装置8の断面図である。
【0077】
このモードに設定されると、支持アーム部材97が図示の時計方向に揺動されて、支持ローラ96が上昇し、外部加圧ローラ82の外周面から遠ざかり、定着ベルト84と外部加圧ローラ82とが圧接する定着ニップ部Nのニップ幅が低減する。これにより、定着ニップ部Nを通過する転写材Sへの熱伝達量を最適にする事ができる。
【0078】
また、支持アーム部材97の揺動に連動して、支持アーム部材97に連結する排紙ガイド部材98の転写材搬送方向下流側が上昇し、排紙ローラ95への転写材Sの排出を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の一実施形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図。
【図2】本発明の定着装置の第1の実施の形態を示す断面図。
【図3】定着装置の斜視図。
【図4】定着ベルトを揺動させてニップ角度を変化させた状態を示す定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置の断面図。
【図5】本発明の定着装置の第2の実施の形態を示す断面図。
【図6】本発明の定着装置の第3の実施の形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0080】
8 定着装置
81 内部押圧ローラ(押圧ローラ)
82 外部加圧ローラ(加圧ローラ)
83 加熱ローラ
84 定着ベルト
86 第1ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)
87 第2ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)
88 リンク
89 支持アーム部材
91 支持体
92A 第1ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)
92A 第2ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)
93 案内部材
95 排紙ローラ
96 支持ローラ
97 支持アーム部材
98 排紙ガイド部材(転写材搬送ガイド部材)
M1,M2,M3 モータ
N 定着ニップ部
S 転写材(用紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、
加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、
前記定着ニップ部へ搬送される前記転写材を案内する転写材搬送ガイド部材と、
前記加熱ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する前記定着ニップ部における圧接長さを変更可能にするとともに、前記加熱ローラの移動に連動して前記転写材搬送ガイド部材を移動させ前記定着ニップ部への転写材進入方向を可変にする支持アーム部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、
加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、
前記加圧ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にする加圧ローラ移動手段と、
前記加圧ローラ移動手段に固定され、前記加圧ローラの移動に連動して移動し、前記定着ニップ部への転写材進入方向、転写材排出方向の少なくとも一方を可変にする転写材搬送ガイド部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
転写材上に形成された未定着トナー画像を加熱された定着ベルトと加圧ローラとが圧接する定着ニップ部において加熱定着する定着装置と転写材搬送手段とを備えた画像形成装置において、
加熱部材を有する加熱ローラと前記加圧ローラに対向する押圧ローラとを巻回して張架された無端状の定着ベルトと、
前記定着ニップ部へ搬送される前記転写材を案内する転写材搬送ガイド部材と、
前記押圧ローラを移動させて前記加圧ローラに圧接する定着ニップ部における圧接長さを変更可能にするとともに、前記押圧ローラの移動に連動して前記転写材搬送ガイド部材を移動させ前記定着ニップ部への転写材排出方向を可変にする支持アーム部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3695(P2006−3695A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180828(P2004−180828)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】