画像形成装置
【課題】 プリンタや複写機等の画像形成装置において、出力用紙の混在を防ぎ、ユーザが所望の出力用紙を容易に受け取ることのできる技術を提供する。
【解決手段】 画像形成装置1は、ユーザの指紋を検知する指紋センサ52を備えている。ユーザが排紙トレイ50の手形部51に手を載置すると、指紋センサ52が指紋を検知し、画像形成装置1の制御部60は、検知された指紋データからユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブを実行して用紙を排出する。
【解決手段】 画像形成装置1は、ユーザの指紋を検知する指紋センサ52を備えている。ユーザが排紙トレイ50の手形部51に手を載置すると、指紋センサ52が指紋を検知し、画像形成装置1の制御部60は、検知された指紋データからユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブを実行して用紙を排出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置において画像が形成されたシートを排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機等の画像形成装置においては、画像形成装置の近くにユーザがいるか否かを認識する技術が用いられている。例えば、特許文献1に記載の技術では、装置のそばにユーザがいるか否かを検知して、ユーザが装置のそばにいないときに複写処理が終了すると、通信手段により処理の終了を離れた場所のユーザに伝達できるようになっている。
【0003】
ユーザが装置のそばにいないときにユーザに報知することによって、画像形成装置から出力される用紙(以下、出力用紙という)の取り忘れ等を警告することが可能となるが、複数のユーザが画像形成装置を共用する場合、あるユーザの出力用紙の上に他のユーザの用紙が出力されてしまう等によって、出力用紙が混在してしまう場合がある。特に、ユーザが全盲者である場合は、出力用紙が混在して出力されてしまうと、出力用紙の区別がつかず、自身の出力用紙のみを得ることができないという問題があった。
【0004】
出力用紙の混在を回避することを目的として、機能やユーザ毎に排紙トレイを分けて、出力用紙を分別する技術が公開されている。例えば、特許文献2に記載の技術では、ファクシミリ機能と複写機能とを有する複合機において、ファクシミリ機能の使用時に用紙が排出される排紙トレイと、複写機能の使用時に用紙が排出される排紙トレイとを各々設けることによって、ファクシミリ機能による出力用紙と複写機能による出力用紙とを分別回収でき、出力用紙の管理を正しく行うことができるようになっている。また、特許文献3に記載の技術では、複数の排紙トレイを供える画像形成装置において、それぞれの排紙トレイにユーザを割り当てることによって、複数ユーザでの出力用紙の混在を回避することができるようになっている。
【特許文献1】特開平04−025864号公報
【特許文献2】特開平05−246600号公報
【特許文献3】特開2001−216126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の技術を用いれば、機能毎に出力用紙を分別回収することが可能となるが、ユーザ毎に出力用紙を分別回収することはできない。また、特許文献3に記載の技術の場合でも、排紙トレイの数より共用するユーザの数が多い場合にはユーザ毎に分別回収することができない。一般に、企業等に設置される画像形成装置は、共用するユーザの数が多いため、ユーザの数だけ排紙トレイを設けることは困難である場合が多い。
【0006】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、プリンタや複写機等の画像形成装置において、出力用紙の混在を防ぎ、ユーザが所望の出力用紙を容易に受け取ることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明は、ユーザを識別するユーザ識別情報とユーザを認証するためのユーザ認証情報とが対応付けて記憶される認証情報記憶手段と、画像形成指示を示す指示情報と前記ユーザ識別情報とが対応付けて記憶される指示情報記憶手段と、前記指示情報と前記ユーザ識別情報とが入力される受付手段と、前記受付手段に入力された指示情報とユーザ識別情報とを対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記ユーザ認証情報が入力される認証手段と、前記認証手段に入力されたユーザ認証情報を前記認証情報記憶手段から検索し、検索されたものと対応付けて記憶された前記ユーザ識別情報を読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
かかる画像形成装置によれば、ユーザを認証するためのユーザ認証情報が入力されると、そのユーザに対応する指示情報の示す内容で画像を形成してシートを排出する。つまり、そのユーザが指示した画像形成結果を示すシートのみが排出され、他のユーザが指示した画像形成結果を示すシートは排出されない。このようにすることによって、排出されるシートが混在することを防ぐことができ、ユーザは、自身が所望するシートのみを容易に受け取ることができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知する検知手段とを備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記検知手段が設けられたシート排出部に排出するようにしてもよい。
本発明の別の好ましい態様において、前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知して、検知結果を示す情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する認証情報入力手段とを備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記認証情報入力手段が設けられたシート排出部に排出するようにしてもよい。
前記認証情報入力手段は、前記シート排出部に設けられ、ユーザの指紋を検知して検知結果を示す指紋情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の更に好ましい態様において、画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した検知手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出するようにしてもよい。
また、本発明の更に別の好ましい態様において、画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した認証情報入力手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出するようにしてもよい。
本発明の更に好ましい態様において、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されていない場合に、その旨を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記画像形成手段による画像の形成と用紙の排出とが終了すると、その旨を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリンタや複写機等の画像形成装置において、出力シートの混在を防ぎ、ユーザが所望の出力シートを容易に受け取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<A:第1実施形態>
<A−1:構成>
図1は、この発明の第1実施形態である画像形成装置1の外観を示す正面図である。この画像形成装置1は、例えばカラープリンタやカラー複写機、FAX、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図において、10は、原稿を光学的に読み取って画像データを生成する画像読取部である。画像読取部10は、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材(図示略)を備えており、載置された原稿の画像を光学系部材によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。20は、画像読取部10が読み取った画像データや、他の装置から通信ネットワークを介して受信する画像データに基づいて、用紙(シート)に画像を形成する画像形成部である。画像形成部20は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の感光体ドラム(図示略)上に像光を照射して感光体ドラムの表面に静電電位の差による潜像を形成し、この潜像をトナーの選択的な付着によって可視化してトナー像とし、このトナー像を用紙に転写することによって用紙に画像を形成する。30は、用紙(シート)を画像形成部20に供給する用紙供給部である。この用紙供給部30は、画像形成用の用紙を収容する複数の給紙トレイ31を備えており、この給紙トレイ31に収容された用紙を画像形成部20に供給する。
【0012】
40は、ユーザが各種の操作を行うためのユーザインタフェース部である。このユーザインタフェース部40は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、ユーザはこの液晶ディスプレイに触れることで各種操作を行うことができるようになっている。50は、画像形成部20によって画像が形成された用紙が排出される排紙トレイである。
【0013】
図2の(a)は、図1に示した画像形成装置1の上面図である。図において、51は、手の形状で溝がほられて形成された手形部である。図2の(b)は、用紙が排出された状態を示す画像形成装置1の上面図である。図2の(b)に示すように、排紙トレイ50において用紙Pが排出される位置に手形部51は設けられており、画像形成装置1のユーザは、手形部51に手を載置した状態で、手の甲側において排出される用紙の感触を得ることができるから、用紙の排出を確実に認識できるようになっている。
【0014】
図2において、52は、ユーザの指紋を検知する指紋センサである。この指紋センサ52は、排紙トレイ50に形成された手形部51の指の位置に設けられており、ユーザが手形部51に手を載置することによって、そのユーザの指紋を検知するようになっている。画像形成装置1は、この指紋センサ52によってユーザの指紋を検知し、検知した指紋を示す指紋データをユーザ認証情報として、ユーザの認証を行う。
【0015】
次に、画像形成装置1の制御に関わる構成について、図3を参照しつつ説明する。
図3は、画像形成装置1の制御に関わるハードウェア構成を概略的に示したブロック図である。なお、図3に示す各構成要素のうち、図1または図2で説明した各構成要素と同様のものについては、同じ符号を付与して適宜その説明を省略する。
【0016】
図3において、60は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えた制御部である。70は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、あるいはハードディスク等の記憶装置を備える記憶部であり、画像形成装置1の各部を動作させるための各種プログラムを記憶している。制御部60は、記憶部70に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介して画像形成装置1の各部を制御する。80は、各種通信装置等を備える通信部であり、制御部60の制御の下、通信ネットワークを介して他の装置とデータの授受を行う。90は、警告音や音声メッセージ等の音声を発音してユーザに報知する音声出力部である。
【0017】
記憶部70には、図3に示すように、認証情報テーブルTBL1と、ジョブ管理テーブルTBL2とが記憶されている。認証情報テーブルTBL1は、画像形成装置1の制御部60が、ユーザ認証を行う際に参照するテーブルである。この認証情報テーブルTBL1は、図4に示すように、「ユーザID」と「指紋データ」との各項目が互いに関連付けて記憶されている。これらの項目のうち、「ユーザID」の項目には、画像形成装置1のユーザに予め割り当てられているユーザを識別するユーザ識別情報が記憶されている。「指紋データ」の項目には、ユーザIDと対応するユーザの指紋を示す指紋情報が記憶されている。この指紋データは、ユーザを認証するためのユーザ認証情報として用いられる。画像形成装置1の制御部60は、指紋センサ52がユーザの指紋を検知すると、この認証情報テーブルTBL1に記憶されている指紋データと照合することによってユーザの認証を行いユーザIDを特定する。
【0018】
次に、記憶部70に記憶されているジョブ管理テーブルTBL2は、通信ネットワークを介して他の装置から受信する画像形成指示を示す指示情報(以下、ジョブ情報と称する)や、ユーザインタフェース部40からユーザによって入力されるジョブ情報を管理するためのテーブルである。
【0019】
図5は、ジョブ管理テーブルTBL2のデータ構造の一例を示す図である。図示のように、このテーブルは、「ユーザID」と「ジョブ情報」との各項目が互いに関連付けて記憶される。画像形成装置1の制御部60は、通信部80を介してジョブ情報とユーザIDとを受信するか、またはユーザインタフェース部40からユーザによってジョブ情報とユーザIDとが入力されると、入力された(受信した)ジョブ情報とユーザIDとを、対応付けてこのジョブ管理テーブルTBL2に記憶する。
【0020】
<A−2:動作>
続いて、本実施形態の動作の一例について説明する。まず、ユーザは、パーソナルコンピュータ等の装置を操作して画像形成装置1にジョブ情報とユーザIDとを送信するか、または画像形成装置1のユーザインタフェース部40を操作するかして、画像形成装置1にジョブ情報とユーザIDとを入力する。画像形成装置1の制御部60は、ジョブ情報とユーザIDとが入力されると、入力されたジョブ情報とユーザIDとを対応付けて記憶部70のジョブ管理テーブルTBL2に記憶させる。
【0021】
ジョブ情報とユーザIDとを画像形成装置に入力した後、ユーザは、画像形成装置1の排紙トレイ50の手形部51に自身の手を載置する。このとき、排紙トレイ50の指紋センサ52が、載置された手の指紋を検知し、検知した指紋を示す指紋データを制御部60に送信する。
【0022】
図6は、画像形成装置1の制御部60が行う処理を示すフローチャートである。画像形成装置1の制御部60は、指紋センサ52によって指紋が検知されたことを検知すると(ステップS1;YES)、指紋センサ52から受信した指紋データを認証情報テーブルTBL1に記憶されている指紋データと照合してその一致度に基づいてユーザIDを特定し、特定したユーザIDを読み出す(ステップS2)。
【0023】
次に、制御部60は、読み出したユーザIDと一致するものを記憶部70のジョブ管理テーブルTBL2から検索し(ステップS3)、一致するものが検索された場合は(ステップS4;YES)、検索されたユーザIDと対応するジョブ情報を読出し、そのジョブ情報の示す内容で、画像形成を開始する(ステップS5)。すなわち、制御部60は、画像形成部20を制御して、そのジョブ情報の示す内容で用紙に画像を形成させ、排紙トレイ50に用紙を排出させる。このときユーザは排紙トレイ50の手形部51に自身の手を載置している状態であるため、手の甲側において排出される用紙の感触を得ることができるから、用紙の排出を確実に認識でき、所望の出力用紙を容易に受け取ることが可能となる。また、手形部51は溝になっているので、用紙の排出がユーザの手によって邪魔されることがない。また、そのユーザのユーザIDと対応するジョブ情報が示すジョブのみが実行されるため、他のユーザの出力用紙が混在して排出されることがなく、ユーザは所望の出力用紙のみを容易に受け取ることができる。
【0024】
画像形成が終了すると(ステップS6;YES)、制御部60は、画像形成処理が終了した旨を示す音声を音声出力部90によって発音させることによってユーザに画像形成の終了を報知する(ステップS7)。これは、例えば「出力が終了しました」という旨の音声メッセージや報知音等の音声を発音させることによって行う。この音声によって、例えばユーザが全盲者である場合でも、出力が終了したことを容易に認識することができる。なお、ユーザは、機械の動作音や用紙排出音等によっても出力が終了したことを認識することができる。
【0025】
ステップS7の処理を終えると、制御部60は、ステップS2で読み出されたユーザIDと対応するジョブ情報がこれ以外にもジョブ管理テーブルTBL2に記憶されているか否かを判定し(ステップS8)、記憶されている場合は(ステップS8;YES)、そのジョブ情報について同様の処理(ステップS5〜ステップS7の処理)を行う。記憶されていない場合は(ステップS8;NO)、そのユーザに対応するジョブの実行が終了したと判断して処理を終了する。つまり、そのユーザに対応するジョブ情報が複数記憶されている場合は、画像形成装置1は、用紙に画像を形成して用紙を排出してから出力終了を報知する、という一連の処理(以下、ジョブと称する)を繰り返して実行する。このように、複数のジョブを連続して行う場合であっても、ジョブとジョブの間を音声で報知することによって、ユーザは、ジョブとジョブの間を容易に認識することができ、複数のジョブの出力用紙が混在してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
ステップS4において、指紋データから特定されたユーザIDがジョブ管理テーブルTBL2から検索されなかった場合は(ステップS4;NO)、制御部60はその旨を示す音声を音声出力部90によって発音させることによってユーザに報知する(ステップS9)。これは、例えば「出力すべきデータはありません」という旨の音声メッセージや警告音等の音声を発音させることによって行う。なお、警告音によって報知する場合は、ステップS7で発音する音声と異なった音声を用いることが望ましい。ジョブ情報が記憶されていない場合にその旨が報知されることによって、ユーザは、排紙トレイ50の手形部51に手を載置するという簡単な動作を行うだけで、出力すべきデータがあるか否かを容易に確認することができる。
【0027】
以上説明したように本実施形態においては、排紙トレイ50に設けられた指紋センサ52によってユーザの指紋を検知し、その指紋データ(ユーザ認証情報)からユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブ情報が示す内容で画像形成を行って用紙を排出する。つまり、認証されたユーザが指定した画像形成処理による出力用紙のみが排出され、他のユーザが指定した画像形成処理による出力用紙は排出されない。これにより、出力用紙の混在を防ぐことができ、ユーザは、排紙トレイ50に排出された出力用紙の中から自身の出力用紙を選択する必要がなく、所望の出力用紙を容易に受け取ることができる。また、ユーザは、排紙トレイ50に手を載置するという簡単な操作を行うだけで、所望する出力用紙を受け取ることができる。
【0028】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本実施形態である画像形成装置2の外観を示す正面図である。この画像形成装置2が、第1実施形態である画像形成装置1と異なる点は、排紙トレイが複数設けられている点と、記憶部70にトレイ設定テーブルTBL3(図3に点線で図示)が記憶されている点であり、その他の構成要素は第1実施形態のそれと同様である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を用いることとしてその説明を省略する。
【0029】
図7に示すように、画像形成装置2は、複数の排紙トレイ50a〜50dを備えている。排紙トレイ50a〜50dの各々は、図2に示した第1実施形態に係る排紙トレイ50と同様に、手形部51と指紋センサ52とを備えている。以下の説明においては、排紙トレイ50a〜50dの各々に設けられた手形部51と指紋センサ52を、夫々手形部51a〜51d,指紋センサ52a〜52dとして説明する。なお、排紙トレイ50a〜50dを各々区別する必要がない場合には、「排紙トレイ50」と称して説明する。手形部51a〜51d、指紋センサ52a〜52dについても同様であり、各々を区別する必要がない場合には、それぞれ「手形部51」、「指紋センサ52」と称して説明する。
【0030】
次に、本実施形態におけるトレイ設定テーブルTBL3のデータ構造について、図8を参照しつつ説明する。このテーブルは、図示のように、「トレイID」と「出力形式情報」との各項目が互いに関連付けて記憶されている。「トレイID」の項目には、排紙トレイ50を識別する識別情報が記憶されている。「出力形式情報」の項目には、例えば「両面印刷」、「2up印刷」、「OHPシート印刷」、「ホチキス留め」といった画像形成の出力形式を示す情報が記憶されている。本実施形態においては、ユーザは、画像形成装置2の排紙トレイ50a〜50dのいずれかを選択して自身の手を載置する。画像形成装置2の制御部60は、どの指紋センサ52が指紋を検知したかを判定することによって、選択された排紙トレイ50を特定する。例えば排紙トレイ50bに手が載置された場合は、排紙トレイ50bに設けられた指紋センサ52bが指紋を検知し、制御部60は、指紋センサ52bから指紋を示す指紋データを受信することによって排紙トレイ50bが選択されたと判断する。制御部60は、トレイ設定テーブルTBL3を参照して、選択されたトレイと対応する出力形式で画像を形成するように画像形成部20を制御する。
【0031】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、ユーザは、ジョブ情報とユーザIDとを第1実施形態と同様の方法で画像形成装置2に入力した後、画像形成装置2の排紙トレイ50a〜50dのいずれかを選択して自身の手を載置する。
本実施形態の制御部60の動作について、図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。本実施形態の処理が図6に示した第1実施形態の処理と異なる点は、画像形成を開始する(ステップS5)に先立って画像形成の出力形式を設定する(ステップS10)点であり、その他の処理については第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と異なる処理を中心に説明する。
【0032】
画像形成装置2の制御部60は、ステップS5における画像形成を開始するに先立って、トレイ設定テーブルTBL3を参照して出力形式を設定する(ステップS10)。具体的には、制御部60は、指紋センサ52a〜52dのうちのどのセンサが指紋を検知したかを判定することによって、排紙トレイ50a〜50dのどのトレイが選択されたかを特定する。例えば、排紙トレイ50bの手形部51bに手が載置された場合には、排紙トレイ50bの指紋センサ52bが指紋を検知する。指紋センサ52bから信号を受信することによって、制御部60は排紙トレイ50bが選択されたと判定する。制御部60は、特定された排紙トレイ50のトレイIDを、トレイ設定テーブルTBL3から検索し、検索されたトレイIDと対応付けられた出力形式情報の示す出力形式を画像形成部20に指示する。例えば、図8に示す例において、トレイIDが「トレイ50b」である排紙トレイ50が選択された場合は、対応する出力形式情報は「両面印刷」であるため、制御部60は、用紙の両面に画像を形成して出力するように画像形成部20を制御する。
【0033】
以上説明したように本実施形態においては、排紙トレイ50と出力形式を示す出力形式情報とを対応付けて記憶させておき、排紙トレイ50のいずれかが選択されて手が載置されると、画像形成装置2の制御部60は、選択された排紙トレイ50と対応する出力形式で用紙に画像を形成して用紙を排出する。このようにすることによって、ユーザは、排紙トレイ50a〜50dのいずれかに手を載置するという簡単な操作を行うだけで、所望する出力形式で画像形成が行われた用紙を得ることができる。
【0034】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した実施形態では、ジョブ情報とユーザIDとが画像形成装置に入力される方法として、パーソナルコンピュータ等の装置から受信するか、または画像形成装置1のユーザインタフェース部から入力される方法を用いたが、ジョブ情報とユーザIDの入力方法はこれに限らず、例えば予めユーザ毎に格納領域(親展ボックス)を割り当てておき、その親展ボックスに文書データまたは画像データを格納することによってジョブ情報とユーザIDとを入力するようにしてもよい。この場合は、親展ボックスを識別するボックス識別コードとユーザIDとを対応付けて記憶部に記憶させておき、ボックス識別コードが選択される、すなわち親展ボックスが選択されることによってユーザIDが入力される。
【0035】
従来の画像形成装置においては、親展ボックス内のデータの有無の確認や取り出し(出力)指定等の操作は煩雑である場合が多い。しかし、上述した実施形態で示しように、排紙トレイ設けられた指紋センサでユーザ認証を行ってそのユーザと対応するジョブ情報の示す内容を画像形成装置が実行して出力用紙を排出することによって、ユーザは、排紙トレイに手を載置するという簡単な動作を行うだけで、親展ボックス内のデータの有無の確認や取り出し指定等を容易に行うことができる。
【0036】
(2)上述した実施形態においては、ジョブの終了等を音声によってユーザに報知するようにしたが、ユーザへの報知方法はこれに限定されるものではなく、例えば液晶ディスプレイへの表示や、ライトの点灯等により報知するようにしてもよく、ユーザに好適に報知できる方法であればどのような報知方法であってもよい。
【0037】
(3)また、上述した第1実施形態において、計時手段を設けて、指紋センサ(検出手段)が指紋を検知しなくなってから所定時間が経過しないと他の出力用紙を排出しないようにしてもよい。このようにすれば、指紋センサが異なるユーザの指紋を連続して検知した場合であっても、複数のユーザに対応する出力用紙が混在して排出されることを防ぐことができる。
【0038】
(4)また、上述した第2実施形態において、一定時間内に複数の排紙トレイが選択された場合に、選択された排紙トレイの数の画像形成を行い、出力用紙をソートしてそれぞれの排紙トレイに排出するようにしてもよい。具体的には、例えば、ユーザが所定時間内に、排紙トレイ50a、50b、50cの3つの排紙トレイに手を載置したとする。指紋センサ52a、52b、52cは、夫々指紋を検知して指紋データを画像形成装置の制御部に送信する。画像形成装置の制御部は、指紋センサ52a、52b、52cから検知した指紋の指紋データを受信して、排紙トレイ50a、50b、50cの3つの排紙トレイが選択されたと判断する。画像形成装置の制御部は、指紋データから特定されたユーザのジョブ情報に基づいて3部数分の画像形成を行い、画像形成した用紙をソートして、排紙トレイ50a、50b、50cにそれぞれ排出する。
【0039】
(5)上述した実施形態では、指紋センサがユーザの指紋を検出して指紋データをユーザ認証情報として用いるようにしたが、ユーザの認証方法はこれに限らず、例えば静脈認証等、ユーザを好適に認証できる認証手段であればどのようなものであってもよい。
【0040】
(6)また、上述した実施形態では、排紙トレイに設けられた指紋センサによって、ユーザの手を検知するとともにユーザ認証を行うようにしたが、図10に示すように、ユーザの手(または身体の一部)を検知する検知手段55と、ユーザ認証情報が入力される認証手段56とを各々設けるようにしてもよい。この場合、ユーザは、認証手段56にユーザ認証情報を入力するとともに、排紙トレイに手を置くなどして検知手段55に手を検知させる。画像形成装置の制御部は、検知手段55によりユーザの手が検知され、かつ、認証手段56にユーザ認証情報が入力されたときに、入力されたユーザ認証情報を用いてユーザ認証を行ってユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブを実行するようにすればよい。
【0041】
上述の認証手段56は、ユーザを好適に認証できる認証手段であればどのようなものであってもよい。例えば、画像形成装置の正面にカメラを設け、ユーザの顔の形状等を認識することによって認証する顔認証を用いてもよい。または、画像形成装置にUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを設け、ユーザが所定の機器をそのインターフェースに接続することによって認証を行うようにしてもよい。あるいは、画像形成装置にRFIDリーダを設け、ユーザIDが書き込まれたRFIDによってユーザを認証するようにしてもよい。また、検知手段55は、例えば温度を検知する温度センサや、圧力を検知する圧力センサ、光を検知する光センサ、またはスイッチなど、好適にユーザを検知できるものであればどのようなものであってもよい。検知手段としてスイッチを設ける場合は、排出される出力用紙が衝突しない位置に設けることが好ましい。
【0042】
なお、上述の指紋センサや圧力センサ等の検知手段は、排紙トレイに設けることが好ましいが、検知手段の設置位置はこれに限らず、例えば用紙が排出される排出口付近に設けるようにしてもよく、または、画像形成装置の正面やユーザインタフェース部付近に設けるようにしてもよく、ユーザの身体の一部を好適に検知できる位置であればよい。
【0043】
(7)上述した実施形態では、1台の画像形成装置が本実施形態に係る処理を行うようになっていた。これに対し、通信ネットワークで接続された2以上の複数の装置が上記実施形態に係る機能を分担し、それら複数の装置を備えるシステムが上記実施形態の画像形成装置として構成されるようにしてもよい。例えば、用紙に画像形成を行う画像形成機能およびユーザ認証機能を備える画像形成装置と、上記実施形態に係るジョブ管理テーブルを記憶する記憶領域を備える管理サーバとが、通信ネットワークで接続されたシステムとして構成され、ユーザを認証した画像形成装置が、認証されたユーザのジョブ情報をサーバに問い合わせて取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態である画像形成装置の正面図である。
【図2】同実施形態の上面図である。
【図3】同実施形態の制御に関するハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態の認証情報テーブルの構造を示す図である。
【図5】同実施形態のジョブ管理テーブルの構造を示す図である。
【図6】同実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態である画像形成装置の正面図である。
【図8】同実施形態のトレイ設定テーブルの構造を示す図である。
【図9】同実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例である画像形成装置の上面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,2…画像形成装置、10…画像読取部、20…画像形成部、30…用紙供給部、31…給紙トレイ、40…ユーザインタフェース部、50…排紙トレイ、51…手形部、52…指紋センサ、60…制御部、70…記憶部、80…通信部、90…音声出力部、BUS…バス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置において画像が形成されたシートを排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機等の画像形成装置においては、画像形成装置の近くにユーザがいるか否かを認識する技術が用いられている。例えば、特許文献1に記載の技術では、装置のそばにユーザがいるか否かを検知して、ユーザが装置のそばにいないときに複写処理が終了すると、通信手段により処理の終了を離れた場所のユーザに伝達できるようになっている。
【0003】
ユーザが装置のそばにいないときにユーザに報知することによって、画像形成装置から出力される用紙(以下、出力用紙という)の取り忘れ等を警告することが可能となるが、複数のユーザが画像形成装置を共用する場合、あるユーザの出力用紙の上に他のユーザの用紙が出力されてしまう等によって、出力用紙が混在してしまう場合がある。特に、ユーザが全盲者である場合は、出力用紙が混在して出力されてしまうと、出力用紙の区別がつかず、自身の出力用紙のみを得ることができないという問題があった。
【0004】
出力用紙の混在を回避することを目的として、機能やユーザ毎に排紙トレイを分けて、出力用紙を分別する技術が公開されている。例えば、特許文献2に記載の技術では、ファクシミリ機能と複写機能とを有する複合機において、ファクシミリ機能の使用時に用紙が排出される排紙トレイと、複写機能の使用時に用紙が排出される排紙トレイとを各々設けることによって、ファクシミリ機能による出力用紙と複写機能による出力用紙とを分別回収でき、出力用紙の管理を正しく行うことができるようになっている。また、特許文献3に記載の技術では、複数の排紙トレイを供える画像形成装置において、それぞれの排紙トレイにユーザを割り当てることによって、複数ユーザでの出力用紙の混在を回避することができるようになっている。
【特許文献1】特開平04−025864号公報
【特許文献2】特開平05−246600号公報
【特許文献3】特開2001−216126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の技術を用いれば、機能毎に出力用紙を分別回収することが可能となるが、ユーザ毎に出力用紙を分別回収することはできない。また、特許文献3に記載の技術の場合でも、排紙トレイの数より共用するユーザの数が多い場合にはユーザ毎に分別回収することができない。一般に、企業等に設置される画像形成装置は、共用するユーザの数が多いため、ユーザの数だけ排紙トレイを設けることは困難である場合が多い。
【0006】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、プリンタや複写機等の画像形成装置において、出力用紙の混在を防ぎ、ユーザが所望の出力用紙を容易に受け取ることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明は、ユーザを識別するユーザ識別情報とユーザを認証するためのユーザ認証情報とが対応付けて記憶される認証情報記憶手段と、画像形成指示を示す指示情報と前記ユーザ識別情報とが対応付けて記憶される指示情報記憶手段と、前記指示情報と前記ユーザ識別情報とが入力される受付手段と、前記受付手段に入力された指示情報とユーザ識別情報とを対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記ユーザ認証情報が入力される認証手段と、前記認証手段に入力されたユーザ認証情報を前記認証情報記憶手段から検索し、検索されたものと対応付けて記憶された前記ユーザ識別情報を読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
かかる画像形成装置によれば、ユーザを認証するためのユーザ認証情報が入力されると、そのユーザに対応する指示情報の示す内容で画像を形成してシートを排出する。つまり、そのユーザが指示した画像形成結果を示すシートのみが排出され、他のユーザが指示した画像形成結果を示すシートは排出されない。このようにすることによって、排出されるシートが混在することを防ぐことができ、ユーザは、自身が所望するシートのみを容易に受け取ることができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知する検知手段とを備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記検知手段が設けられたシート排出部に排出するようにしてもよい。
本発明の別の好ましい態様において、前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知して、検知結果を示す情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する認証情報入力手段とを備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記認証情報入力手段が設けられたシート排出部に排出するようにしてもよい。
前記認証情報入力手段は、前記シート排出部に設けられ、ユーザの指紋を検知して検知結果を示す指紋情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の更に好ましい態様において、画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した検知手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出するようにしてもよい。
また、本発明の更に別の好ましい態様において、画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した認証情報入力手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出するようにしてもよい。
本発明の更に好ましい態様において、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されていない場合に、その旨を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記画像形成手段による画像の形成と用紙の排出とが終了すると、その旨を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリンタや複写機等の画像形成装置において、出力シートの混在を防ぎ、ユーザが所望の出力シートを容易に受け取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<A:第1実施形態>
<A−1:構成>
図1は、この発明の第1実施形態である画像形成装置1の外観を示す正面図である。この画像形成装置1は、例えばカラープリンタやカラー複写機、FAX、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図において、10は、原稿を光学的に読み取って画像データを生成する画像読取部である。画像読取部10は、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材(図示略)を備えており、載置された原稿の画像を光学系部材によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。20は、画像読取部10が読み取った画像データや、他の装置から通信ネットワークを介して受信する画像データに基づいて、用紙(シート)に画像を形成する画像形成部である。画像形成部20は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の感光体ドラム(図示略)上に像光を照射して感光体ドラムの表面に静電電位の差による潜像を形成し、この潜像をトナーの選択的な付着によって可視化してトナー像とし、このトナー像を用紙に転写することによって用紙に画像を形成する。30は、用紙(シート)を画像形成部20に供給する用紙供給部である。この用紙供給部30は、画像形成用の用紙を収容する複数の給紙トレイ31を備えており、この給紙トレイ31に収容された用紙を画像形成部20に供給する。
【0012】
40は、ユーザが各種の操作を行うためのユーザインタフェース部である。このユーザインタフェース部40は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、ユーザはこの液晶ディスプレイに触れることで各種操作を行うことができるようになっている。50は、画像形成部20によって画像が形成された用紙が排出される排紙トレイである。
【0013】
図2の(a)は、図1に示した画像形成装置1の上面図である。図において、51は、手の形状で溝がほられて形成された手形部である。図2の(b)は、用紙が排出された状態を示す画像形成装置1の上面図である。図2の(b)に示すように、排紙トレイ50において用紙Pが排出される位置に手形部51は設けられており、画像形成装置1のユーザは、手形部51に手を載置した状態で、手の甲側において排出される用紙の感触を得ることができるから、用紙の排出を確実に認識できるようになっている。
【0014】
図2において、52は、ユーザの指紋を検知する指紋センサである。この指紋センサ52は、排紙トレイ50に形成された手形部51の指の位置に設けられており、ユーザが手形部51に手を載置することによって、そのユーザの指紋を検知するようになっている。画像形成装置1は、この指紋センサ52によってユーザの指紋を検知し、検知した指紋を示す指紋データをユーザ認証情報として、ユーザの認証を行う。
【0015】
次に、画像形成装置1の制御に関わる構成について、図3を参照しつつ説明する。
図3は、画像形成装置1の制御に関わるハードウェア構成を概略的に示したブロック図である。なお、図3に示す各構成要素のうち、図1または図2で説明した各構成要素と同様のものについては、同じ符号を付与して適宜その説明を省略する。
【0016】
図3において、60は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えた制御部である。70は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、あるいはハードディスク等の記憶装置を備える記憶部であり、画像形成装置1の各部を動作させるための各種プログラムを記憶している。制御部60は、記憶部70に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介して画像形成装置1の各部を制御する。80は、各種通信装置等を備える通信部であり、制御部60の制御の下、通信ネットワークを介して他の装置とデータの授受を行う。90は、警告音や音声メッセージ等の音声を発音してユーザに報知する音声出力部である。
【0017】
記憶部70には、図3に示すように、認証情報テーブルTBL1と、ジョブ管理テーブルTBL2とが記憶されている。認証情報テーブルTBL1は、画像形成装置1の制御部60が、ユーザ認証を行う際に参照するテーブルである。この認証情報テーブルTBL1は、図4に示すように、「ユーザID」と「指紋データ」との各項目が互いに関連付けて記憶されている。これらの項目のうち、「ユーザID」の項目には、画像形成装置1のユーザに予め割り当てられているユーザを識別するユーザ識別情報が記憶されている。「指紋データ」の項目には、ユーザIDと対応するユーザの指紋を示す指紋情報が記憶されている。この指紋データは、ユーザを認証するためのユーザ認証情報として用いられる。画像形成装置1の制御部60は、指紋センサ52がユーザの指紋を検知すると、この認証情報テーブルTBL1に記憶されている指紋データと照合することによってユーザの認証を行いユーザIDを特定する。
【0018】
次に、記憶部70に記憶されているジョブ管理テーブルTBL2は、通信ネットワークを介して他の装置から受信する画像形成指示を示す指示情報(以下、ジョブ情報と称する)や、ユーザインタフェース部40からユーザによって入力されるジョブ情報を管理するためのテーブルである。
【0019】
図5は、ジョブ管理テーブルTBL2のデータ構造の一例を示す図である。図示のように、このテーブルは、「ユーザID」と「ジョブ情報」との各項目が互いに関連付けて記憶される。画像形成装置1の制御部60は、通信部80を介してジョブ情報とユーザIDとを受信するか、またはユーザインタフェース部40からユーザによってジョブ情報とユーザIDとが入力されると、入力された(受信した)ジョブ情報とユーザIDとを、対応付けてこのジョブ管理テーブルTBL2に記憶する。
【0020】
<A−2:動作>
続いて、本実施形態の動作の一例について説明する。まず、ユーザは、パーソナルコンピュータ等の装置を操作して画像形成装置1にジョブ情報とユーザIDとを送信するか、または画像形成装置1のユーザインタフェース部40を操作するかして、画像形成装置1にジョブ情報とユーザIDとを入力する。画像形成装置1の制御部60は、ジョブ情報とユーザIDとが入力されると、入力されたジョブ情報とユーザIDとを対応付けて記憶部70のジョブ管理テーブルTBL2に記憶させる。
【0021】
ジョブ情報とユーザIDとを画像形成装置に入力した後、ユーザは、画像形成装置1の排紙トレイ50の手形部51に自身の手を載置する。このとき、排紙トレイ50の指紋センサ52が、載置された手の指紋を検知し、検知した指紋を示す指紋データを制御部60に送信する。
【0022】
図6は、画像形成装置1の制御部60が行う処理を示すフローチャートである。画像形成装置1の制御部60は、指紋センサ52によって指紋が検知されたことを検知すると(ステップS1;YES)、指紋センサ52から受信した指紋データを認証情報テーブルTBL1に記憶されている指紋データと照合してその一致度に基づいてユーザIDを特定し、特定したユーザIDを読み出す(ステップS2)。
【0023】
次に、制御部60は、読み出したユーザIDと一致するものを記憶部70のジョブ管理テーブルTBL2から検索し(ステップS3)、一致するものが検索された場合は(ステップS4;YES)、検索されたユーザIDと対応するジョブ情報を読出し、そのジョブ情報の示す内容で、画像形成を開始する(ステップS5)。すなわち、制御部60は、画像形成部20を制御して、そのジョブ情報の示す内容で用紙に画像を形成させ、排紙トレイ50に用紙を排出させる。このときユーザは排紙トレイ50の手形部51に自身の手を載置している状態であるため、手の甲側において排出される用紙の感触を得ることができるから、用紙の排出を確実に認識でき、所望の出力用紙を容易に受け取ることが可能となる。また、手形部51は溝になっているので、用紙の排出がユーザの手によって邪魔されることがない。また、そのユーザのユーザIDと対応するジョブ情報が示すジョブのみが実行されるため、他のユーザの出力用紙が混在して排出されることがなく、ユーザは所望の出力用紙のみを容易に受け取ることができる。
【0024】
画像形成が終了すると(ステップS6;YES)、制御部60は、画像形成処理が終了した旨を示す音声を音声出力部90によって発音させることによってユーザに画像形成の終了を報知する(ステップS7)。これは、例えば「出力が終了しました」という旨の音声メッセージや報知音等の音声を発音させることによって行う。この音声によって、例えばユーザが全盲者である場合でも、出力が終了したことを容易に認識することができる。なお、ユーザは、機械の動作音や用紙排出音等によっても出力が終了したことを認識することができる。
【0025】
ステップS7の処理を終えると、制御部60は、ステップS2で読み出されたユーザIDと対応するジョブ情報がこれ以外にもジョブ管理テーブルTBL2に記憶されているか否かを判定し(ステップS8)、記憶されている場合は(ステップS8;YES)、そのジョブ情報について同様の処理(ステップS5〜ステップS7の処理)を行う。記憶されていない場合は(ステップS8;NO)、そのユーザに対応するジョブの実行が終了したと判断して処理を終了する。つまり、そのユーザに対応するジョブ情報が複数記憶されている場合は、画像形成装置1は、用紙に画像を形成して用紙を排出してから出力終了を報知する、という一連の処理(以下、ジョブと称する)を繰り返して実行する。このように、複数のジョブを連続して行う場合であっても、ジョブとジョブの間を音声で報知することによって、ユーザは、ジョブとジョブの間を容易に認識することができ、複数のジョブの出力用紙が混在してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
ステップS4において、指紋データから特定されたユーザIDがジョブ管理テーブルTBL2から検索されなかった場合は(ステップS4;NO)、制御部60はその旨を示す音声を音声出力部90によって発音させることによってユーザに報知する(ステップS9)。これは、例えば「出力すべきデータはありません」という旨の音声メッセージや警告音等の音声を発音させることによって行う。なお、警告音によって報知する場合は、ステップS7で発音する音声と異なった音声を用いることが望ましい。ジョブ情報が記憶されていない場合にその旨が報知されることによって、ユーザは、排紙トレイ50の手形部51に手を載置するという簡単な動作を行うだけで、出力すべきデータがあるか否かを容易に確認することができる。
【0027】
以上説明したように本実施形態においては、排紙トレイ50に設けられた指紋センサ52によってユーザの指紋を検知し、その指紋データ(ユーザ認証情報)からユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブ情報が示す内容で画像形成を行って用紙を排出する。つまり、認証されたユーザが指定した画像形成処理による出力用紙のみが排出され、他のユーザが指定した画像形成処理による出力用紙は排出されない。これにより、出力用紙の混在を防ぐことができ、ユーザは、排紙トレイ50に排出された出力用紙の中から自身の出力用紙を選択する必要がなく、所望の出力用紙を容易に受け取ることができる。また、ユーザは、排紙トレイ50に手を載置するという簡単な操作を行うだけで、所望する出力用紙を受け取ることができる。
【0028】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本実施形態である画像形成装置2の外観を示す正面図である。この画像形成装置2が、第1実施形態である画像形成装置1と異なる点は、排紙トレイが複数設けられている点と、記憶部70にトレイ設定テーブルTBL3(図3に点線で図示)が記憶されている点であり、その他の構成要素は第1実施形態のそれと同様である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を用いることとしてその説明を省略する。
【0029】
図7に示すように、画像形成装置2は、複数の排紙トレイ50a〜50dを備えている。排紙トレイ50a〜50dの各々は、図2に示した第1実施形態に係る排紙トレイ50と同様に、手形部51と指紋センサ52とを備えている。以下の説明においては、排紙トレイ50a〜50dの各々に設けられた手形部51と指紋センサ52を、夫々手形部51a〜51d,指紋センサ52a〜52dとして説明する。なお、排紙トレイ50a〜50dを各々区別する必要がない場合には、「排紙トレイ50」と称して説明する。手形部51a〜51d、指紋センサ52a〜52dについても同様であり、各々を区別する必要がない場合には、それぞれ「手形部51」、「指紋センサ52」と称して説明する。
【0030】
次に、本実施形態におけるトレイ設定テーブルTBL3のデータ構造について、図8を参照しつつ説明する。このテーブルは、図示のように、「トレイID」と「出力形式情報」との各項目が互いに関連付けて記憶されている。「トレイID」の項目には、排紙トレイ50を識別する識別情報が記憶されている。「出力形式情報」の項目には、例えば「両面印刷」、「2up印刷」、「OHPシート印刷」、「ホチキス留め」といった画像形成の出力形式を示す情報が記憶されている。本実施形態においては、ユーザは、画像形成装置2の排紙トレイ50a〜50dのいずれかを選択して自身の手を載置する。画像形成装置2の制御部60は、どの指紋センサ52が指紋を検知したかを判定することによって、選択された排紙トレイ50を特定する。例えば排紙トレイ50bに手が載置された場合は、排紙トレイ50bに設けられた指紋センサ52bが指紋を検知し、制御部60は、指紋センサ52bから指紋を示す指紋データを受信することによって排紙トレイ50bが選択されたと判断する。制御部60は、トレイ設定テーブルTBL3を参照して、選択されたトレイと対応する出力形式で画像を形成するように画像形成部20を制御する。
【0031】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、ユーザは、ジョブ情報とユーザIDとを第1実施形態と同様の方法で画像形成装置2に入力した後、画像形成装置2の排紙トレイ50a〜50dのいずれかを選択して自身の手を載置する。
本実施形態の制御部60の動作について、図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。本実施形態の処理が図6に示した第1実施形態の処理と異なる点は、画像形成を開始する(ステップS5)に先立って画像形成の出力形式を設定する(ステップS10)点であり、その他の処理については第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と異なる処理を中心に説明する。
【0032】
画像形成装置2の制御部60は、ステップS5における画像形成を開始するに先立って、トレイ設定テーブルTBL3を参照して出力形式を設定する(ステップS10)。具体的には、制御部60は、指紋センサ52a〜52dのうちのどのセンサが指紋を検知したかを判定することによって、排紙トレイ50a〜50dのどのトレイが選択されたかを特定する。例えば、排紙トレイ50bの手形部51bに手が載置された場合には、排紙トレイ50bの指紋センサ52bが指紋を検知する。指紋センサ52bから信号を受信することによって、制御部60は排紙トレイ50bが選択されたと判定する。制御部60は、特定された排紙トレイ50のトレイIDを、トレイ設定テーブルTBL3から検索し、検索されたトレイIDと対応付けられた出力形式情報の示す出力形式を画像形成部20に指示する。例えば、図8に示す例において、トレイIDが「トレイ50b」である排紙トレイ50が選択された場合は、対応する出力形式情報は「両面印刷」であるため、制御部60は、用紙の両面に画像を形成して出力するように画像形成部20を制御する。
【0033】
以上説明したように本実施形態においては、排紙トレイ50と出力形式を示す出力形式情報とを対応付けて記憶させておき、排紙トレイ50のいずれかが選択されて手が載置されると、画像形成装置2の制御部60は、選択された排紙トレイ50と対応する出力形式で用紙に画像を形成して用紙を排出する。このようにすることによって、ユーザは、排紙トレイ50a〜50dのいずれかに手を載置するという簡単な操作を行うだけで、所望する出力形式で画像形成が行われた用紙を得ることができる。
【0034】
<C:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した実施形態では、ジョブ情報とユーザIDとが画像形成装置に入力される方法として、パーソナルコンピュータ等の装置から受信するか、または画像形成装置1のユーザインタフェース部から入力される方法を用いたが、ジョブ情報とユーザIDの入力方法はこれに限らず、例えば予めユーザ毎に格納領域(親展ボックス)を割り当てておき、その親展ボックスに文書データまたは画像データを格納することによってジョブ情報とユーザIDとを入力するようにしてもよい。この場合は、親展ボックスを識別するボックス識別コードとユーザIDとを対応付けて記憶部に記憶させておき、ボックス識別コードが選択される、すなわち親展ボックスが選択されることによってユーザIDが入力される。
【0035】
従来の画像形成装置においては、親展ボックス内のデータの有無の確認や取り出し(出力)指定等の操作は煩雑である場合が多い。しかし、上述した実施形態で示しように、排紙トレイ設けられた指紋センサでユーザ認証を行ってそのユーザと対応するジョブ情報の示す内容を画像形成装置が実行して出力用紙を排出することによって、ユーザは、排紙トレイに手を載置するという簡単な動作を行うだけで、親展ボックス内のデータの有無の確認や取り出し指定等を容易に行うことができる。
【0036】
(2)上述した実施形態においては、ジョブの終了等を音声によってユーザに報知するようにしたが、ユーザへの報知方法はこれに限定されるものではなく、例えば液晶ディスプレイへの表示や、ライトの点灯等により報知するようにしてもよく、ユーザに好適に報知できる方法であればどのような報知方法であってもよい。
【0037】
(3)また、上述した第1実施形態において、計時手段を設けて、指紋センサ(検出手段)が指紋を検知しなくなってから所定時間が経過しないと他の出力用紙を排出しないようにしてもよい。このようにすれば、指紋センサが異なるユーザの指紋を連続して検知した場合であっても、複数のユーザに対応する出力用紙が混在して排出されることを防ぐことができる。
【0038】
(4)また、上述した第2実施形態において、一定時間内に複数の排紙トレイが選択された場合に、選択された排紙トレイの数の画像形成を行い、出力用紙をソートしてそれぞれの排紙トレイに排出するようにしてもよい。具体的には、例えば、ユーザが所定時間内に、排紙トレイ50a、50b、50cの3つの排紙トレイに手を載置したとする。指紋センサ52a、52b、52cは、夫々指紋を検知して指紋データを画像形成装置の制御部に送信する。画像形成装置の制御部は、指紋センサ52a、52b、52cから検知した指紋の指紋データを受信して、排紙トレイ50a、50b、50cの3つの排紙トレイが選択されたと判断する。画像形成装置の制御部は、指紋データから特定されたユーザのジョブ情報に基づいて3部数分の画像形成を行い、画像形成した用紙をソートして、排紙トレイ50a、50b、50cにそれぞれ排出する。
【0039】
(5)上述した実施形態では、指紋センサがユーザの指紋を検出して指紋データをユーザ認証情報として用いるようにしたが、ユーザの認証方法はこれに限らず、例えば静脈認証等、ユーザを好適に認証できる認証手段であればどのようなものであってもよい。
【0040】
(6)また、上述した実施形態では、排紙トレイに設けられた指紋センサによって、ユーザの手を検知するとともにユーザ認証を行うようにしたが、図10に示すように、ユーザの手(または身体の一部)を検知する検知手段55と、ユーザ認証情報が入力される認証手段56とを各々設けるようにしてもよい。この場合、ユーザは、認証手段56にユーザ認証情報を入力するとともに、排紙トレイに手を置くなどして検知手段55に手を検知させる。画像形成装置の制御部は、検知手段55によりユーザの手が検知され、かつ、認証手段56にユーザ認証情報が入力されたときに、入力されたユーザ認証情報を用いてユーザ認証を行ってユーザを特定し、特定されたユーザと対応するジョブを実行するようにすればよい。
【0041】
上述の認証手段56は、ユーザを好適に認証できる認証手段であればどのようなものであってもよい。例えば、画像形成装置の正面にカメラを設け、ユーザの顔の形状等を認識することによって認証する顔認証を用いてもよい。または、画像形成装置にUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを設け、ユーザが所定の機器をそのインターフェースに接続することによって認証を行うようにしてもよい。あるいは、画像形成装置にRFIDリーダを設け、ユーザIDが書き込まれたRFIDによってユーザを認証するようにしてもよい。また、検知手段55は、例えば温度を検知する温度センサや、圧力を検知する圧力センサ、光を検知する光センサ、またはスイッチなど、好適にユーザを検知できるものであればどのようなものであってもよい。検知手段としてスイッチを設ける場合は、排出される出力用紙が衝突しない位置に設けることが好ましい。
【0042】
なお、上述の指紋センサや圧力センサ等の検知手段は、排紙トレイに設けることが好ましいが、検知手段の設置位置はこれに限らず、例えば用紙が排出される排出口付近に設けるようにしてもよく、または、画像形成装置の正面やユーザインタフェース部付近に設けるようにしてもよく、ユーザの身体の一部を好適に検知できる位置であればよい。
【0043】
(7)上述した実施形態では、1台の画像形成装置が本実施形態に係る処理を行うようになっていた。これに対し、通信ネットワークで接続された2以上の複数の装置が上記実施形態に係る機能を分担し、それら複数の装置を備えるシステムが上記実施形態の画像形成装置として構成されるようにしてもよい。例えば、用紙に画像形成を行う画像形成機能およびユーザ認証機能を備える画像形成装置と、上記実施形態に係るジョブ管理テーブルを記憶する記憶領域を備える管理サーバとが、通信ネットワークで接続されたシステムとして構成され、ユーザを認証した画像形成装置が、認証されたユーザのジョブ情報をサーバに問い合わせて取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態である画像形成装置の正面図である。
【図2】同実施形態の上面図である。
【図3】同実施形態の制御に関するハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態の認証情報テーブルの構造を示す図である。
【図5】同実施形態のジョブ管理テーブルの構造を示す図である。
【図6】同実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態である画像形成装置の正面図である。
【図8】同実施形態のトレイ設定テーブルの構造を示す図である。
【図9】同実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例である画像形成装置の上面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,2…画像形成装置、10…画像読取部、20…画像形成部、30…用紙供給部、31…給紙トレイ、40…ユーザインタフェース部、50…排紙トレイ、51…手形部、52…指紋センサ、60…制御部、70…記憶部、80…通信部、90…音声出力部、BUS…バス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するユーザ識別情報とユーザを認証するためのユーザ認証情報とが対応付けて記憶される認証情報記憶手段と、
画像形成指示を示す指示情報と前記ユーザ識別情報とが対応付けて記憶される指示情報記憶手段と、
前記指示情報と前記ユーザ識別情報とが入力される受付手段と、
前記受付手段に入力された指示情報とユーザ識別情報とを対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記ユーザ認証情報が入力される認証手段と、
前記認証手段に入力されたユーザ認証情報を前記認証情報記憶手段から検索し、検索されたものと対応付けて記憶された前記ユーザ識別情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、
前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知する検知手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記検知手段が設けられたシート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、
前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知して、検知結果を示す情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する認証情報入力手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記認証情報入力手段が設けられたシート排出部に排出する
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記認証情報入力手段は、前記シート排出部に設けられ、ユーザの指紋を検知して検知結果を示す指紋情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した検知手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した認証情報入力手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されていない場合に、その旨を報知する報知手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成手段による画像の形成と用紙の排出とが終了すると、その旨を報知する報知手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
ユーザを識別するユーザ識別情報とユーザを認証するためのユーザ認証情報とが対応付けて記憶される認証情報記憶手段と、
画像形成指示を示す指示情報と前記ユーザ識別情報とが対応付けて記憶される指示情報記憶手段と、
前記指示情報と前記ユーザ識別情報とが入力される受付手段と、
前記受付手段に入力された指示情報とユーザ識別情報とを対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記ユーザ認証情報が入力される認証手段と、
前記認証手段に入力されたユーザ認証情報を前記認証情報記憶手段から検索し、検索されたものと対応付けて記憶された前記ユーザ識別情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを排出する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、
前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知する検知手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記検知手段が設けられたシート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段によって前記シートが排出される1以上のシート排出部と、
前記シート排出部の各々に設けられ、ユーザの身体の一部を検知して、検知結果を示す情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する認証情報入力手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容でシートに画像を形成し、画像が形成されたシートを、前記ユーザの身体の一部を検知した前記認証情報入力手段が設けられたシート排出部に排出する
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記認証情報入力手段は、前記シート排出部に設けられ、ユーザの指紋を検知して検知結果を示す指紋情報をユーザ認証情報として前記認証手段に入力する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した検知手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成の出力形式を示す出力形式情報と前記シート排出部を識別する識別情報とを対応付けて記憶する出力形式情報記憶手段を備え、
前記画像形成手段は、前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されている場合に、当該ユーザ識別情報と対応付けて前記指示情報記憶手段に記憶されている前記指示情報の示す内容で、かつ、前記ユーザの身体の一部を検知した認証情報入力手段を備えるシート排出部と対応する出力形式で、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートを当該シート排出部に排出する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記読出手段によって読み出されたユーザ識別情報が前記指示情報記憶手段に記憶されていない場合に、その旨を報知する報知手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成手段による画像の形成と用紙の排出とが終了すると、その旨を報知する報知手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−30376(P2007−30376A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217853(P2005−217853)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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