説明

画像形成装置

【課題】 トナー像にトナー像を重ねるように転写する際に飛び散りが生ずる。
【解決手段】 重ねるように転写するトナー像のエッジ部のデータをOFFにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写体等の転写媒体上で、トナー像が重なる様に転写を行う画像形成装置に関し、特に、転写時の画像不具合を軽減する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、各色のトナー像を像担持体(感光体)より順次重ね合わせるように中間転写体に1次転写し、中間転写体より転写材上に一括して2次転写する中間転写方式を用いる画像形成装置がある。また、感光ドラム上に保持されている各色のトナー像を、紙等の転写材上に順次重ね合わせるように転写させることで、転写材上の画像を作り出す直接転写方式を用いる画像形成装置がある。
【特許文献1】特開202−40750
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、中間転写体上、あるいは転写材上に各色トナー像を順次重ね合わせて転写する画像形成装置では、飛び散り現象が発生する。
【0004】
飛び散り現象とは、像担持体上の文字/ラインのようなトナー像を転写する際に、像担持体に形成された画像パターン領域以外のところにトナーが転写されてしまい、中間転写体あるいは転写材上の文字/ライントナー画像を乱してしまう現象である。特に、複数色のトナー像が重ねられて形成される多次色文字/ラインの場合、それら飛び散り現象が促進され、上述の飛び散り現象は特に顕著に発生する。
【0005】
多次色文字/ラインでにて、飛び散り現象が顕著に発生する理由については、以下の様に考えられる。
【0006】
図15は、中間転写体上にブルー(シアン、マゼンタの2次色)のライン画像を形成する様子を示している。
【0007】
図15(a)は、上のマゼンタトナー像を示しており、トナー像幅はLm1である。図15(b)は、図15(a)のマゼンタトナー像を中間転写体上に転写した場合の、転写後のマゼンタトナー像の様子を示している。図15(a)(b)に示す様に、マゼンタ単色のトナー像の転写時においても、飛び散り現象により中間転写体上のトナー像はトナー像幅がLm2に広がってしまい、画像を乱している。
【0008】
図15(c)は、像担持体上のシアントナー像を示している。像担持体上のシアントナー像のトナー像幅Lc1はマゼンタトナーのトナー像幅Lm1と同じである。図15(d)は図15(b)の中間転写体上のマゼンタトナー上に、図15(c)シアントナーの転写後の様子を示している。図15に示す様に、シアントナーの飛び散りによりシアントナーのトナー像幅Lc2は、マゼンタトナーのトナー像幅Lm2よりも広がり、更なる画像の乱れを発生させている。
【0009】
ここで、転写後のシアントナーのトナー像幅Lc2がマゼンタトナーLm2よりも広がる理由は以下の様に考えられる。
【0010】
通常、マゼンタトナーとシアントナーの帯電電荷極性は同極性であり、転写部において、その逆極性に帯電された転写部材により中間転写体上に転写される。したがって上記のマゼンタトナーの転写時には、転写される側は逆極性に帯電された中間転写体のみが存在する。しかしながら、シアントナーの転写時には、転写される側にシアントナーと同極性に帯電されたマゼンタトナーが存在し、その反発力により、シアントナーはマゼンタトナーに重ならず、マゼンタトナーの周囲に飛び散ってしまう。
【0011】
以上の理由により、多次色の文字/ラインなどの画像パターンにおいては、後から転写される色トナーの転写時における飛び散り現象が顕著に現れ、転写後の画像の悪化を招いていると考えられる。
【0012】
本発明は上記の問題を鑑みて成されたものであり、その目的は、トナー像に重ねて転写を行う際の飛び散り現象の軽減が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
入力された画像情報から画像形成信号を作成し、前記画像形成信号を出力するコントローラ部と、
前記画像形成信号にしたがって、第1色及び第2色のトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段が形成した前記第1色のトナー像を担持する像担持体と、
前記トナー像形成手段の形成した前記第2色のトナー像を保持する転写媒体へ、
前記像担持体上の前記第1色のトナー像を静電的に転写する転写手段とを備えてトナー像を形成するエンジン部と、を有する画像形成装置において、
前記画像形成信号にしたがって前記第1色のトナー像を形成すると、転写媒体上で、前記第1色のトナー像の端部と前記第2色のトナー像の端部とが重なる場合、前記第1像担持体上にて、前記第1色のトナー像の端部のトナー量が、前記画像形成信号にしたがって形成される前記第1色のトナー像の端部のトナー量よりも少なくなるように、前記画像形成信号を変換して作成される変換信号にしたがって、前記トナー像形成手段は前記第1色のトナー像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飛び散り現象が発生するトナー像の端部のトナー量を少なくすることで、飛び散り現象を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
【0016】
〔実施形態1〕
図1に、請求項1に係る画像形成装置の一例を示す。同図に示す画像形成装置は、4色フルカラーのレーザビームプリンタであり、同図は、その概略構成を示す縦断面図である。
【0017】
同図に示すレーザビームプリンタ(以下「画像形成装置」という。)は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)17Y、17M、17C、17Kを備えている。感光ドラム17Y、17M、17C、17Kは、駆動手段(不図示)によって矢印R17方向にそれぞれ回転駆動される。
【0018】
感光ドラム17Y、17M、17C、17Kの周囲には、画像形成手段が配設されている。本実施の形態の画像形成手段は、感光ドラム17Y、17M、17C、17Kの表面を均一に帯電する1次帯電装置19Y、19M、19C、19Kを備える。そして、カラー画像を色分解した光像又はこれに相当する光像を感光ドラム17Y、17M、17C、17K上に照射して画像の静電潜像を形成する、例えばレーザビーム露光装置18Y、18M、18C、18Kなどの露光装置を備える。更に、感光ドラム17Y、17M、17C、17K上の静電潜像を現像してトナー像をして可視化する現像装置20Y、20M、20C、20K等を備えている。なお、光が照射されて除電された感光ドラム17の領域にトナーが付着するように、静電潜像は現像される。
【0019】
現像装置20Y、20M、20C、20Kは、負極性に帯電する、マゼンタトナー(マゼンタ現像剤)、イエロートナー(イエロー現像剤)、シアントナー(シアン現像剤)、ブラックトナー(ブラック現像剤)をそれぞれ収納した現像器である。
【0020】
感光ドラム17Y、17M、17C、17K上に形成されたトナー像は、感光ドラム17Y、17M、17C、17Kに中間転写体30を介して対向して配置された1次転写ローラ22Y、22M、22C、22Kによって中間転写体30上に1次転写される。
【0021】
1次転写ローラ(転写部材、転写手段)22Y、22M、22C、22Kへ、1次転写電源(電圧印加手段)221Y、221M、221C、221Kから、各色トナーの逆極性の電圧を印加することでトナーの中間転写体(転写媒体)30上へ、静電的に、1次転写を行っている。1次転写後の感光ドラム17Y、17M、17C、17Kは、表面に残ったトナー(残留トナー)がクリーナ24Y、24M、24C、24Kによって除去されて、次の画像形成に供される。中間転写体30上で重ねられた4色のトナー像は、中間転写体30の回転によって2次転写装置54に搬送され、給紙搬送装置(不図示)によって搬送されてきた転写材(記録材)23上に、一括して2次転写される。
【0022】
2次転写装置54は、2次転写外ローラ50と2次転写内ローラ51が中間転写体30を挟み対抗してニップを形成して位置し、中間転写体30上の4色トナー像が上記ニップ部に進入すると同時に、図示しない給紙搬送装置より転写材23が上記ニップ部に進入する。そして、電圧供給部57より2次転写外ローラ51に正極性の電圧と印加することで、転写材23へのトナー像の転写を行っている。ここで、感光ドラム17Y,M,C,Kと、1次帯電装置19Y,M,C,Kと、レーザビーム露光装置18Y,M,C,Kと、現像装置18Y,M,C,Kと、1次転写ローラ22Y,M,C,Kによって、エンジン部が構成される。
【0023】
2次転写後の中間転写体30は、表面に残ったトナー(残留トナー)が中間転写体クリーナ27によって除去されて、次の画像形成に供される。
【0024】
4色のトナー像が転写された転写材23は、定着装置26へと搬送され、定着装置26によりトナー像が転写材へ定着し、その後、画像形成装置本体外部に排出される。
【0025】
本画像形成装置のプロセススピードは200mm/sであり、上記の各回転部材により、そのスピードが与えられ、画像形成中は等速となっている。
【0026】
図2は、上記露光装置18Y、18M、18C、18Kと、その制御ブロック図である。本例ではレーザービームスキャナーを用いている。
【0027】
このレーザービームスキャナー4は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有している。そして、画像信号(画像情報)に応じてオン−オフ変調制御されたレーザービームを出射して折り返しミラーを介して感光ドラム17Y、17M、17C、17Kの一様に帯電された表面を走査露光し、静電潜像を書き込み形成する。
【0028】
ここで、本実施例画像形成装置において走査露光する画像解像度は1200dpiである。
【0029】
図2において、100はプリンタ本体1に接続されているコンピュータ等のホスト装置である。
【0030】
D101−RGBはホスト装置100側からプリンタ本体1側の本体制御部1000に送信されるRGB入力画像信号である。本体画像処理部1000に入力されたRGB入力画像信号D101−RGBは、像域分離部300、及び色処理部400に送信される。
【0031】
像域分離部300においては、入力画像信号D101の文字部判定処理が行われる。図3は像域分離部300の詳細図である。入力画像信号D101はフィルタ301に入力される。フィルタ301では文字判定を行うために所望の空間周波数成分を強調し、文字判定部302にエッジ強調された画像信号D102を出力する。続いて画像信号D102は文字判定部302において文字判定処理され、文字判定信号D103が文字領域信号形成部303に出力される。文字領域信号形成部303では、文字判定部302からの文字判定信号D103をルックアップテーブルにより変換し、文字が形成される領域を示す文字領域信号D104を出力する。出力された文字領域信号D104は多次色判定部500へと送信される。
【0032】
図2における色処理部(コントローラ部)400においては、RGB入力画像信号D101−RGBをCMYK入力画像信号(画像形成信号D101Y、D101M、D101C、D101Kに変換する処理が行われる。そして、変換された入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kは、エッジ処理部(信号変換部)600、及び多次色判定部500へと送信される。
【0033】
多次色判定部500では、入力された画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kの中で、文字領域信号D104が文字部と示す領域に対して、エッジ処理部600でのエッジ処理を行うべきかどうかの判定を、1画素単位で行う。図4は、多次色判定部500の詳細図である。
【0034】
図4のスラスト方向多次色エッジ判定部501、紙搬送方向多次色エッジ判定部502では、入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kにおける文字部と判定された領域に対し、以下に示す処理を行う。この処理によって、多次色画像パターンのエッジ部であるかどうかの判定を行う。
【0035】
ここでは簡単のため、M色(第2色)とC色(第1色)の多次色について説明する。
【0036】
スラスト方向多次色エッジ判定部501においては、入力された画像信号D101M、D101Cと文字領域信号D104により、文字部と判定された画像信号D101M、D101Cについて、スラスト方向に照らし合わせる。これによって、M色とC色が共にOFF(画像信号無し)からON(画像信号あり)になっている画素位置を抽出する。
【0037】
M色とC色が共にOFFからONになっている画素位置を検出した場合、その画素位置から連続して5画素連続してD101M、D101CともにONであるかを判定する。両者とも5ドット(102μmの長さに相当する)以上であった場合、上述、M色とC色が共にONとなっていた画素P1を示すスラスト方向エッジ判定信号D105Cを、多次色エッジ判定信号形成部503に出力する。
【0038】
さらに、文字部と判定されたD101M、D101Cの入力画像信号について、M色とC色が共にONからOFFになっている画素位置を検出する。M色とC色が共にONからOFFになっている画素位置を検出した場合、その一つ前の画素位置から検出方向と逆方向に5画素連続してD101M、D101CともにONであるかを判定する。両者とも5画素以上ONであった場合、上述、M色とC色が共にOFFとなっていた画素位置の一つ前の画素Q1の位置をスラスト方向エッジ判定信号D106Cとして、多次色エッジ判定信号形成部503に出力する。
【0039】
また、紙搬送方向多次色エッジ判定部502においては、スラスト方向多次色エッジ判定部501と同様の処理により、紙搬送方向エッジ判定信号D107C、D108Cを多次色エッジ判定信号形成部503に出力する。
【0040】
多次色エッジ判定信号形成部503は、スラスト方向多次色エッジ判定部501から送られる、スラストエッジ文字判定信号D105C、D106Cを、ルックアップテーブルにより変換する。また、多次色エッジ判定信号形成部503は、紙搬送方向多次色エッジ判定部502から送られる、紙搬送方向エッジ判定信号D107C、D108Cをルックアップテーブルにより変換する。そして、これらの変換されたデータを、多次色エッジ判定信号D109Cとして出力する。
【0041】
出力された多次色エッジ判定信号D109Cはエッジ処理部600へと送信される。
【0042】
エッジ処理部(信号変換部)600では、多次色のエッジ部であると判定された画素について、ONからOFFへの変換を行う。つまり、入力された入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kの中で、多次色エッジ判定信号D109Y、D109M、D109C、D109Kにより、多次色のエッジ部であると判定された画素について、ONからOFFへの変換を行う。
【0043】
この様に、ONからOFFにされた信号を変換信号と称す。
【0044】
変換後の処理画像信号D110Y、D110M、D110C、D110Kは出力画像信号形成部700に出力される。
【0045】
出力画像信号形成部700では、エッジ処理部600からの処理画像信号D110Y、D110M、D110C、D110Kをルックアップテーブルにより変換し出力画像信号D111Y、D111M、D111C、D111Kを出力する。出力された出力画像信号D111Y、D111M、D111C、D111Kはそれぞれ対応する色のレーザー駆動制御部202Y、202M、202C、202Kへ送信され、露光装置18Y、18M、18C、18K内のレーザー発光制御に使われる。
【0046】
ここで、図5のフローチャートを用いて、上述のエッジ処理を説明する。
【0047】
まず、エッジ部の画素か否かを判断する(S11)。エッジ部の画素でない場合、その画素の信号をONのままにする(S14)。エッジ部の画素である場合、異なる色のトナー像が重なる領域の画素であるか否かを判断する(S12)。重なる領域の画素ではない場合、その画素の信号をONのままにする。重なる領域の画素である場合、エッジ部から5画素以上、トナー像が重なる画素が連続する否かの判断をする(S13)。5画素以上連続しない場合、その画素の信号をONのままにする。5画素以上連続する場合、その画素の信号をOFFにする(S15)。
【0048】
図6は、本体画像処理部1000における1例として、ホスト装置100において、紙搬送方向512ドット_スラスト方向6ドットのブルー色ライン画像が入力された場合の、その出力画像信号を模式的に表した図である。図6は、スラスト方向の端部を示す図である。
【0049】
図6(a)は、入力画像信号D101M、D101Cについて2次元的に示した模式図であり、図6(b)は、出力画像信号D111M、D111Cについて2次元的に示した模式図である。図6に示す様に、D101MとD111Mは同様の画像信号であるが、D101CはD111Cと比較して、スラスト方向及び紙搬送方向の幅について両サイドを1ドットづつ削った画像信号になっている。
【0050】
レーザー駆動制御部202Y、202M、202C、202Kは、入力された出力画像信号D111Y、D111M、D111C、D111Kに基づき、露光装置18Y、18M、18C、18Kを制御する。そして、感光ドラム17Y、17M、17C、17K上に、潜像を形成する。
【0051】
図7(a)は、図6における画像パターンについて、露光装置18M、18Cにより感光ドラム17M、17C上に形成された潜像を、感光ドラムの周方向より俯瞰した図を示している。また、図7(b)は、それら潜像に現像装置20M、20Cによりトナーを載せたトナー像の様子を、感光ドラムの周方向より俯瞰した図を示している。
【0052】
図7(a)(b)に示す様に、潜像像及びトナー像ともC色のほうがM色よりもスラスト方向に幅が狭い。図8(a)は、図7のようにC色のトナー像幅をM色よりも狭くした場合のトナー像について、1次転写装置22M、22Cにより中間転写体30上に1次転写を行った場合の、1次転写装置22C位置での転写前後の様子を示す。また、比較例として、図8(b)に、本実施例のような画像処理を行わなかった場合の1次転写装置22C位置での転写前後の様子を示す。
【0053】
図8(a)、図8(b)とも、中間転写体30上のMトナー像については、1次転写装置22Mにおける飛び散り現象により、わずかに転写後のトナー像の乱れが、同様に発生している。
【0054】
しかしながら、Cトナー転写後では、Cトナーの飛び散り現象の程度に大きな差が発生し、図8(b)においてはMトナー像上に転写されず、Mトナー像の両端部中間転写体上に直接転写されてしまうCトナーの数が非常に多い。さらに、図8(a)においては図8(b)と比較し、Mトナー像上以外の中間転写体上に転写されるCトナーの量がかなり少ないことがわかる。
【0055】
ここで、転写後のCトナーの飛び散り現象がMトナーよりも大きい理由は以下の様に考えられる。
【0056】
本実施例画像形成装置においては、MトナーとCトナーの帯電電荷極性はマイナス極性である。そして、1次転写装置22Y、22M、22C、22Kにおいてはその逆極性のプラス帯電された1次転写ローラ60Y、60M、60C、60Kにより中間転写体30上に各色トナーが転写される。
【0057】
したがって上記のMトナーの転写時には、転写される側はプラス極性に帯電された中間転写体しか存在しないため、中間転写体30表面に対し垂直に転写されるトナーが多いため、その飛び散りトナー数も少ない。しかしながら、Cトナーの転写時には、転写される側にCトナーと同極性に帯電されたMトナーが存在するため、その反発力により、シアントナーはマゼンタトナー重なることが難しく、マゼンタトナーの周囲に飛び散るトナーが多くなる。
【0058】
しかしながら、本実施例画像形成装置では、本体画像処理部1000により、入力画像信号D101Cを処理画像信号D111Cに変換することで、感光ドラム17C上のCトナー像幅を、感光ドラム17M上のMトナー像幅よりも狭くする。この処理によって、Cトナーの飛び散りトナーを少なくすることができた。
【0059】
図9は、図8の1次転写後のトナー像を、2次転写装置54により転写材23へ一括転写し、その後、定着装置26により転写材23へ定着したあとの転写材23上の画像を上から見た図を表している。図9(a)は図8(a)トナー像の転写材への定着後、図9(b)は図8(b)トナー像の転写材への定着後である。図9(b)においては、ブルーのラインからはみ出したCトナーにより、ラインの幅が理想よりも太くなっており、さらには、そのラインのエッジ部がシャープでなくぼやけてしまっている。
【0060】
対して、図9(a)においては、ブルーのラインからはみ出したCトナーによるライン幅の太り、或いはエッジ部のぼやけは、図9(b)と比較してかなり改善されている。
【0061】
ここで、4ドット以下の幅の画像について上記のような画像処理を行わない理由は以下のとおりである。即ち、本実施例画像形成装置のように、1200dpiの画像解像度を再現する機種においては、例えば4ドット以下のラインでは、ライン自体の幅が細いため飛び散りは見えづらくなっている。さらに、ライン上のトナー像に重ねて転写されるトナー像(例えばC色)のトナー数も少ないことから飛び散りトナーの総数も少ない。一方、4ドット以下の幅の狭い画像において、上述のエッジ処理を行うと、ラインの幅が非常に狭くなるため、不鮮明になってしまう。
【0062】
以上述べたように、本体画像処理部1000の画像処理により、Cトナーの飛び散り現象による画像の乱れをかなり抑制できるようになった。そして、特に文字/ライン画像において重要である鮮鋭性を損なう、ラインのぼやけ/太りの少ない良好なブルー色の画像を得ることができた。
【0063】
上記画像処理例はブルー色の画像について行ったが、その他のグリーン色画像、レッド色画像などについても、同様の画像処理を行うことで、ぼやけ/太りの少ない良好な画像を得ることができた。ここで、グリーン画像においては、Cトナー像を現像するための潜像像を形成する際の入力画像信号に対して上記の画像処理を行い、レッド画像においては、Mトナー像を現像するための潜像像を形成する際の入力画像信号に対して上記の画像処理を行う。
【0064】
また、本画像処理例は6ドットのライン画像のみについて、効果を示しているが、5ドット幅以上の画像を使用する画像パターンにおいては、上記と同様のぼやけ/太りのほとんどない良好な画像を得ることができた。
【0065】
さらには、その他の多次色画像においても、中間転写体30上に予め転写されているトナー量と、感光ドラム上から転写されてくるトナー量にある閾値を設けるなどして、上記の画像処理を行うことで、同様の効果を得ることができた。
【0066】
(実施形態2)
以下に請求項4に係る画像形成装置の一例を示す。本実施例画像形成装置は、実施例1における4色フルカラーのレーザビームプリンタ図1と略同様の動作をおこなうため、動作の概要については省略する。
【0067】
図10は、上記露光装置18Y、18M、18C、18Kと、その制御ブロック図である。本例ではレーザービームスキャナーを用いている。
【0068】
このレーザービームスキャナー4は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有している。そして、画像信号(画像情報)に応じてオン−オフ変調制御されたレーザービームを出射して折り返しミラーを介して感光ドラム17Y、17M、17C、17Kの一様に帯電された表面を走査露光し、静電潜像を書き込み形成する。
【0069】
ここで、本実施例画像形成装置において走査露光する画像解像度は1200dpiである。
【0070】
図9において、100はプリンタ本体1に接続されているコンピュータ等のホスト装置である。D101−RGBはホスト装置100側からプリンタ本体1側の本体制御部1000に送信されるRGB入力画像信号である。RGB入力画像信号D101−RGBは、像域分離部300、及び色処理部400に送信される。
【0071】
像域分離部300においては、入力画像信号D101の文字部判定処理が行われ、文字領域信号D104を出力する。出力された文字領域信号D104は多次色判定部500へと送信される。
【0072】
色処理部400においては、RGB入力画像信号D101−RGBをCMYKに分解した入力画像信号(画像形成信号)D101Y、D101M、D101C、D101Kに変換する処理が行われる。
【0073】
そして、変換された入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kは、エッジ処理部600、多次色判定部500へと送信される。
【0074】
多次色判定部500では、エッジ処理部600でのエッジ処理を行うべきかどうかの判定を、1画素単位で行う。即ち、入力された画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kの中で、文字領域信号D104により文字部と判定された領域に対して、エッジ処理部600でのエッジ処理を行うべきかどうかの判定を、1画素単位で行う。
【0075】
この結果を多次色エッジ判定信号D109として、エッジ処理部600へと送信する。
【0076】
図4のスラスト方向多次色エッジ判定部501、紙搬送方向多次色エッジ判定部502では、入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kにおける文字部と判定された領域に対し、多次色画像パターンのエッジ部であるかどうかの判定を行う。
【0077】
ここでは簡単のため、M色とC色の多次色について説明する。また、多次色判定部500は、スラスト方向多次色エッジ判定部501から出力されたスラスト方向エッジ判定信号D105Y、D105M、D105C、D105K、とD106Y、D106M、D106C、D106Kを、発光光量切換制御部800に送信する。そして、多次色判定部500は、紙搬送方向多次色エッジ判定部502より出力された紙搬送方向エッジ判定信号D107Y、D107M、107C、D107K、及びD108Y、D108M、D108C、D108Kを発光光量切換制御部800に送信する。
【0078】
エッジ処理部600では、入力された入力画像信号D101Y、D101M、D101C、D101Kの中で、多次色エッジ判定信号D109により、多次色のエッジ部であると判定された画素について、ONからOFFへの変換を行う。変換後の処理画像信号D110Y、D110M、D110C、D110Kは出力画像信号形成部700に出力される。
【0079】
発光光量切換制御部800では、レーザー発光光量を1画素単位で変化させる処理を行っている。つまり、スラスト方向エッジ判定信号D105Y、MC,及びD106Y、M、C、Kと、紙搬送方向エッジ判定信号D107Y、M、C、K、及びD108Y、M、C、Kに基づいて、処理を行っている。
【0080】
図11は、発光光量切換制御部800の詳細図である。
【0081】
図11のスラスト方向光量変換部801では、入力されたスラスト方向エッジ判定信号D105Y、D105M、D105C、D105K、及びD106Y、D106M、D106C、D106Kによりスラスト方向での発光光量の変更処理を行っている。
【0082】
処理方法は以下であるが簡単のため、ここでは実施形態1と同様にここでは簡単のためM色とC色の多次色について説明する。
【0083】
まず、スラスト方向エッジ判定信号D105Cについて、記録されていた画素位置P1のスラスト方向の隣(内側)の画素位置であるP2における発光光量を140%に変更する。つづいて、P2の次の画素位置P3における発光光量を140%に変更する。さらに、P3の次の画素位置P4における発光光量を120%に変更する。この変更処理の結果として得られるスラスト方向光量変更信号120Cを発光光量変更信号形成部803に送信する。さらにスラスト方向エッジ判定信号106Cについて、Q1における発光光量を140%に、Q1の次の画素位置Q2における発光光量を140%に、Q2の次の画素位置Q3における発光光量を120%にそれぞれ変更処理を行う。この変更処理の結果として得られるスラスト方向光量変更信号121Cを発光光量変更信号形成部803に送信する。
【0084】
紙搬送方向光量変換部802では、スラスト方向光量変換部801と同様に入力された紙搬送方向エッジ判定信号105C、106Cにより紙搬送方向での発光光量の変更処理を行う。そして、変更された紙搬送方向光量変更信号122C、123Cを発光光量変更信号形成部803に送信する。
【0085】
ルックアップテーブル803では、スラスト方向光量変換部及び801、及び紙搬送方向光量変換部802からのスラスト方向光量変更信号120C、121C、及び紙搬送方向光量変更信号122C、123Cをルックアップテーブルにより変換する。この変換結果を、発光光量変更信号124Cとして出力する。出力された多次色エッジ判定信号124Cは出力画像信号形成部700へと送信される。
【0086】
上述のスラスト方向における発光光量変更処理を、図12に示すフローチャートを用いて説明する。まず、エッジ部処理でOFFになった画素P1のスラスト方向の隣の画素P2であるか否かの判断が行われる(S21)。画素P2であった場合、光量を140%に変更する。画素P2のスラスト方向で隣のP3であるかの判断をおこなう(S22)。P3である場合、光量を140%に変更する(S24)。P3でない場合、画素P3のスラスト方向で隣のP4であるかの判断する(S24)。P4である場合、光量を120%に変更する(S25)。P4でない場合、光量を100%に維持する(S26)。
【0087】
出力画像信号形成部700では、エッジ処理部600からの処理画像信号D110Y、M、C、と、発光光量切換制御部800からのD124Y、M、C、Kをルックアップテーブルにより変換し出力画像信号D111Y、M、C、Kを出力する。
【0088】
出力された出力画像信号D111Y、M、C、Kはそれぞれ対応する色のレーザー駆動制御部202Y、M、C、Kへ送信され、露光装置18Y、18M、18C、18K内のレーザー発光制御に使われる。
【0089】
レーザー駆動制御部202Y、M、C、Kは、入力された出力画像信号D111Y、M、C、Kに基づき、露光装置18Y、18M、18C、18Kを制御し、感光ドラム17Y、17M、17C、17K上に、潜像を形成する。
【0090】
図13(a)は、発光光量切換制御部800からの信号と、出力画像信号D111M、D111Cに基づき、露光装置18M、18Cにより感光ドラム17M、17C上に形成された潜像の様子を、感光ドラムの周方向より俯瞰した図を示している。また、図13(b)には、これらの潜像に現像装置20M、20Cによりトナーを載せたトナー像の様子を、感光ドラムの周方向より俯瞰した図を示している。
【0091】
図13(a)(b)に示す様に、潜像については、C色のほうがM色よりもスラスト方向に幅が狭くい。そして、潜像の端部の電位については、C色の方がM色よりも0(v)に近くなっている。一方、トナー像については、C色のほうがM色よりもスラスト方向に幅が狭い。そして、トナー像の端部のトナー量(単位面積当たりのトナー量)については、C色の方がM色よりも多い。
【0092】
図14は、図13のようにC色のトナー像幅をM色よりも狭くして、端部のトナー量をM色よりもC色を多くしたトナー像について、1次転写装置22M、22Cにより中間転写体30上に1次転写を行った様子を示すものである。即ち、1次転写装置22C位置での転写前後の様子(図14(a))と、本実施例のような画像処理、及び発光光量を行わなかった場合の1次転写装置22C位置での転写前後の様子(図14(b))を表している。
【0093】
図14(a)、図14(b)とも、中間転写体30上のMトナー像については、1次転写装置22Mにおける飛び散り現象により、わずかに転写後のトナー像の乱れが、同様に発生している。
【0094】
しかしながら、Cトナー転写後では、Cトナーの飛び散り現象の程度に大きな差が発生し、図14(b)においてはMトナー像上に転写されず、Mトナー像の両端部中間転写体上に直接転写されてしまうCトナーの数が非常に多い。さらに、図14(a)においては図14(b)と比較し、Mトナー像上以外の中間転写体上に転写されるCトナーの量がかなり少ないことがわかる。
【0095】
以上のような画像処理制御部1000の画像処理により、Cトナーの飛び散り現象による画像の乱れをかなり抑制できるようになった。そして、特に文字/ライン画像において重要である鮮鋭性を損なう、ラインのぼやけ/太りのほとんどない良好なブルー色の画像を得ることができた。
【0096】
さらには、発光光量切換制御部800による、レーザー発光光量のアップにより、Cトナー量を減らすことなく、Cトナー量の飛び散り現象を抑制することができる。そして、特に文字/ライン等の色味に対して精度を求められている場合においてもラインのぼやけ/太りのほとんどない良好なブルー色の画像を得ることができた。つまり、発光光量切換制御部800による制御は、データをOFFした画素P1に載るはずであったトナー量を補充するように、画素P2、P3、P4のトナー量を多くする。本画像処理例はブルー色の画像について行ったが、その他のグリーン色画像、レッド色画像などについても、同様の画像処理、及び発光光量制御を行うことで、色味変化のない、ぼやけ/太りの良好な画像を得ることができた。ここで、グリーン画像においては、Cトナー像を現像するための潜像像を形成する際の入力画像信号に対して上記の画像処理を行い、さらに発光光量制御を行う。また、レッド画像においては、Mトナー像を現像するための潜像像を形成する際の入力画像信号に対して上記の画像処理を行い、さらに発光光量制御を行う。
【0097】
また、本画像処理例は6ドットのライン画像のみについて、効果を示しているが、5ドット幅以上のライン画像を使用する画像パターンについては、上記と同様の、色味変化のない、ぼやけ/太りの良好な画像を得ることができた。
【0098】
さらには、その他の多次色画像においても、中間転写体30上に予め転写されているトナー量と、感光ドラム上から転写されてくるトナー量にある閾値を設けて、上記の画像処理、及び発光光量制御を行うこともできる。
【0099】
また、上述の実施形態では、中間転写体30を介して転写材23上にトナー像を各色まとめて一括転写する画像形成装置の例をしめした。しかし、本発明は、感光ドラムから、直接、転写材上に各色トナー像を重ね合わせるように順次転写する直接転写方式を用いる画像形成装置に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施例1を示す概略構成図である。
【図2】実施例1における露光装置の詳細図と、そのブロック図である。
【図3】実施例1における像域分離部のブロック図である。
【図4】実施例1における多次色判定部のブロック図である。
【図5】エッジ処理のフローを示す図である。
【図6】実施例1における画像処理前後の画像信号を2次元的に示した模式図である。
【図7】実施例1における潜像像、及び潜像像の模式図である。
【図8】実施例1におけるトナー像と従来のトナー像についての、1次転写前後の様子を示した模式図である。
【図9】実施例1における定着後の転写材上の画像を上から見た図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の実施例2を示す概略構成図である。
【図11】実施例2における発光光量切換制御部のブロック図である。
【図12】発光光量変更処理のフローを示す図である。
【図13】実施例2における潜像、及び潜像の模式図である。
【図14】実施例2におけるトナー像と従来のトナー像についての、1次転写前後の様子を示した模式図である。
【図15】従来例におけるトナー像についての、1次転写前後の様子を示した模式図である。
【符号の説明】
【0101】
17 感光体
18 レーザー露光装置
19 1次帯電装置
20 現像装置
22 1次転写装置
60 1次転写ローラ
23 転写材
24 感光体クリーナ装置
54 2次転写装置
30 中間転写体
26 定着装置
300 像域判定部
400 色処理部
500 多次色判定部
700 出力画像信号形成部
600 エッジ処理部
800 発光光量切換制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像情報から画像形成信号を作成し、前記画像形成信号を出力するコントローラ部と、
前記画像形成信号にしたがって、第1色及び第2色のトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段が形成した前記第1色のトナー像を担持する像担持体と、
前記トナー像形成手段の形成した前記第2色のトナー像を保持する転写媒体へ、
前記像担持体上の前記第1色のトナー像を静電的に転写する転写手段とを備えてトナー像を形成するエンジン部と、を有する画像形成装置において、
前記画像形成信号にしたがって前記第1色のトナー像を形成すると、転写媒体上で、前記第1色のトナー像の端部と前記第2色のトナー像の端部とが重なる場合、前記第1像担持体上にて、前記第1色のトナー像の端部のトナー量が、前記画像形成信号にしたがって形成される前記第1色のトナー像の端部のトナー量よりも少なくなるように、
前記画像形成信号を変換して作成される変換信号にしたがって、前記トナー像形成手段は前記第1色のトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1色のトナー像の端部と前記第2色のトナー像の端部とが重なる領域が予め定められた長さより長い場合に、前記トナー像形成手段は、前記変換信号にしたがって、前記第1色のトナー像を形成することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写媒体に転写されたトナー像は、更に、記録材へ転写されることを特徴とする請求項1または2の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写媒体は、記録材であることを特徴とする請求項1または2の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−158052(P2008−158052A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344285(P2006−344285)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】