説明

画像形成装置

【課題】実動作中に、一連の画像処理に係る全ての内部ロジックの故障を検出する。
【解決手段】画像処理系2−1〜2−4は、DMAC20−1〜20−4により、DRAM1から同一の画像データを読み出し、デコーダ21−1〜21−4により、画像データを伸張し、TRC制御部23−1〜23−4により、階調補正処理を行い、スクリーン処理部24−1〜24−4により、スクリーン処理を行う。故障検出部4では、比較部10−1により、各画像処理系2−1〜2−4からの出力を互いに比較する。判定部40−2は、他と異なる値がある場合には、異なる値を出力した色系の画像処理系に故障があると判定する。通知部5は、故障が発生した旨をユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模、かつ、多数のメモリをLSIに搭載し、これらを用いて画像処理を行って印字出力する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化、高密度化に加え、多層配線などのチップ構造の複雑化により、LSIの故障が増大している。製造工程中の問題などに起因する初期故障の多くは、LSI出荷時のスクリーニングテストで取り除かれる。
【0003】
ところで、複写機やプリンタなどの画像形成装置においては、コスト低減のために、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの不可逆な圧縮アルゴリズム、あるいはJBIG(Joint Bi-level Image experts Group)などの可逆な圧縮アルゴリズムを用いて画像データを圧縮してHDDなどに格納し、印刷処理時に伸張処理した画像データを印字出力するようになっている。このため、画像形成装置においては、大規模、かつ、多数のメモリをLSIに搭載し、これらを用いて画像処理を行って印字出力される。
【0004】
このように、画像形成装置においては、画像圧縮/伸張機能や、多数の大規模画像メモリを搭載するLSIを用いているため、実際に動作する内部ロジックや、ラインバッファ等の画像メモリがデータパターンに大きく依存する。言い換えると、内部ロジックや、ラインバッファ等の画像メモリに不具合があると、所望の印字出力を得ることできない。
【0005】
しかしながら、従来のLSI出荷時のスクリーニングテストでは、あるいはPWBA(Printed Wiring Board Assembly)検査工程で実施されるLSI故障検査では、限られた時間での検査となるため、全ての故障を検出するための画像データパターンによるテストを実施することができない。また、使用開始から時間が経過して発生する偶発故障など、全ての故障を取り除くことはできない。
【0006】
このように検出されない故障がLSIに残ったまま出荷されてしまうと、ユーザが画像形成装置を利用する際に所望の印刷物を得られない。特に、重要書類を印刷するような場合などは、所望の印刷物を得ることができないだけではなく、ユーザが画像形成不良を見落として大きな問題となってしまうという問題がある。また、LSI故障で埋め込み情報(不可視情報)などが正しく印字されないという問題がある。
【0007】
そこで、従来より、ユーザ先での使用において故障検出する技術が提案されている。例えば、ラインバッファへの書き込みチェックコードで故障検出する技術や(例えば、特許文献1参照)、アクセスしたデータ一致を確認してラインバッファにおける故障検出する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平7−89148号公報
【特許文献2】特開平7−58949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術による故障検出では、ラインバッファなどの一部の故障検出であって、画像圧縮/伸張機能や、多数の大規模画像メモリを搭載するLSIを対象としていない。すなわち、画像形成装置における一連の画像処理に係る全ての内部ロジックの故障を検出することができないという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、実動作中に、一連の画像処理に係る全ての内部ロジックの故障を検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、入力される画像データに対して画像処理を施して出力する複数の画像処理系を有する画像形成装置において、印字出力に関与しない画像処理系に画像データを入力する入力制御手段と、前記画像データが入力された画像処理系の出力結果を比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、各画像処理系の故障有無を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1記載の画像形成装置において、前記入力制御手段は、印字出力に関与しない画像処理系に対して、印字出力に関与する画像処理系と同一データを入力し、前記比較手段は、印字出力に関与しない画像処理系の出力結果と印字出力に関与する画像処理系の出力結果とを比較することを特徴とする。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項1記載の画像形成装置において、前記入力制御手段は、印字出力に関与しない複数の画像処理系に画像データを入力し、前記比較手段は、前記印字出力に関与しない複数の画像処理系の出力結果同士を比較することを特徴とする。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項1記載の画像形成装置において、前記入力制御手段は、印字出力に関与しない画像処理系に対して、印字出力に関与する画像処理系と同一データを入力するとともに、印字出力に関与しない複数の画像処理系に画像データを入力し、前記比較手段は、前記印字出力に関与しない画像処理系の出力結果と前記印字出力に関与する画像処理系の出力結果とを比較するとともに、前記印字出力に関与しない複数の画像処理系の出力結果同士を比較することを特徴とする。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印字出力に関与する画像処理系は、K色処理系を印字出力に関与する画像処理系とし、Y色処理系、M色処理系、C色処理系を印字出力に関与しない画像処理系とすることを特徴とする。
【0016】
また、好ましい態様として、例えば請求項6記載のように、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記判定手段は、前記Y、M、C、K色処理系のうち、少なくとも1つの処理系が印字出力に関与しない画像処理系である場合に故障有無を判定することを特徴とする。
【0017】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素数を比較することを特徴とする。
【0018】
また、好ましい態様として、例えば請求項8記載のように、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素濃度累積値を比較することを特徴とする。
【0019】
また、好ましい態様として、例えば請求項9記載のように、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素濃度に対するチェックコードを比較することを特徴とする。
【0020】
また、好ましい態様として、例えば請求項10記載のように、請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記判定手段により故障であると判定された場合に、故障した旨をユーザに通知する通知手段を具備することを特徴とする。
【0021】
また、好ましい態様として、例えば請求項11記載のように、請求項10記載の画像形成装置において、前記通知手段は、前記判定手段により故障であると判定された画像処理系を使用する時点で、故障した旨をユーザに通知することを特徴とする。
【0022】
また、好ましい態様として、例えば請求項12記載のように、請求項10記載の画像形成装置において、前記通知手段は、前記判定手段により故障であると判定された時点で、故障した旨をユーザに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、入力制御手段により、印字出力に関与しない画像処理系に画像データを入力し、比較手段により、前記画像データが入力された画像処理系の出力結果を比較し、判定手段により、該比較結果に基づいて、各画像処理系の故障有無を判定するようにしたので、実動作中に、一連の画像処理に係る全ての内部ロジックの故障を検出することができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。図において、画像形成装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)1、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)毎の画像処理系2−1〜2−4、制御部3、故障検出部4、通知部5を備えている。DRAM1には、所定のフォーマット(JPEG、JBIG)で圧縮された画像データが記憶されている。該画像データは、図示しないスキャナで読み込んだ画像データでも、図示しないネットワークを介して他の装置から転送されてくる画像データであってもよい。
【0025】
画像処理系2−1〜2−4は、各々、大規模、かつ、多数のメモリを備えるLSIからなり、印字出力するYMCK色系毎に設けられ、取り込んだ画像データに画像処理を施し、該等色を出力する。該画像処理系2−1〜2−4は、各々、DMAC(Direct Memory Access Controller)20−1〜20−4、デコーダ21−1〜21−4、CST(Color Space Transform)22−1〜22〜4、TRC(Tone Reproduction Curve)制御部23−1〜23−4、スクリーン処理部24−1〜24−4を備えている。DMAC20−1〜20−4は、DRAM1に格納された画像データを、画像を形成するタイミングに従って読み出す。
【0026】
デコーダ21−1〜21−4は、DMAC20−1〜20−4によって読み出された、圧縮されている画像データを伸張する。CST22−1〜22〜4は、内部の処理のために用いていた色空間(例えば、RGB色空間)から印字出力において用いる色空間(例えば、YMCK色空間など)への変換処理を行う。TRC制御部23−1〜23−4は、各色成分毎に、階調補正処理を行う。スクリーン処理部24−1〜24−4は、スクリーン処理(網点処理)を行う。なお、図示していないが各色を実際に用紙に印字する印字機能部を備えており、該印字機能部は、制御部3による制御の下、各色の画像処理系2−1〜2−4からの出力(YMCK)を用紙などに印字出力する。
【0027】
制御部3は、各色系の画像処理系2−1〜2−4の動作モードを制御するとともに、どの画像処理系2−1〜2−4の出力を比較すべきかを示す制御信号を故障検出部4に供給する。ここで、動作モードとは、どの画像処理系2−1〜2−4を動作させるか、画像処理系2−1〜2−4内のどのモジュールを動作させるか、各モジュールの動作パラメータなどを規定するものである。
【0028】
次に、故障検出部4は、比較部40−1および判定部40−2からなる。比較部40−1は、上記制御部3からの制御信号に従って画像処理系2−1〜2−4からの出力を比較し、比較結果を判定部40−2に供給する。比較部40−1では、画素数、画素濃度累積値、画素濃度に対するチェックコードなどのいずれか、あるいは組み合わせてチェックする。判定部40−2は、比較結果に従って、画像処理系2−1〜2−4に故障が発生したか否かを判定し、判定結果を通知部5に供給する。
【0029】
通知部5は、判定部40−2の判定結果に従って、故障発生の有無をユーザに通知する。なお、通知部5は、故障した旨をリアルタイムで通知するとともに、次回の出力時に、故障が検出された画像処理系(例えば、Y系)が使用不可であることを通知し、故障が検出された画像処理系を動作不可とするようにしてもよい。また、通知は、図示しない音声出力部による音声、表示部への表示などで行うようにしてもよい。
【0030】
B.第1動作例
まず、本実施形態による画像形成装置の第1動作例について説明する。
図2は、本実施形態による画像形成装置の第1動作例を説明するためのブロック図である。第1動作例では、いずれか1つの画像処理系(例えば、黒(K)で白黒印字)でユーザが印字出力する際に、印字出力に使用しない他の画像処理系の少なくとも1つ以上に、印字出力する画像データと同じ画像データを取り込み、同一の画像処理を施し、それぞれの画像処理系の出力を互いに比較して故障を検出する。
【0031】
ここでは、K色系の画像処理系2−4を印字出力に使用する画像処理系とし、Y、M、C色系の画像処理系2−1〜2−3を印字出力に使用しない画像処理系としたが、これは一例であって、他の組み合わせ(他の2つを用いる場合:KとYとM、KとYとC、KとMとC、他の1つを用いる場合:KとY、KとM、KとC)であってもよい。
【0032】
制御部3は、まず、全ての画像処理系2−1〜2−4を所定の動作モードで動作させる。なお、以下では、各画像処理系2−1〜2−4において、CST22−1〜22−4を動作させないようにしているが(図1ではCST22−1〜22−4を点線で示している)、これは一例であって何ら限定するものではない。また、制御部3は、故障検出部4に対して、全ての画像処理系2−1〜2−4の出力を互いに比較するように指示する。
【0033】
各画像処理系2−1〜2−4では、DMAC20−1〜20−4により、DRAM1から同一の画像データを読み出し、デコーダ21−1〜21−4により、画像データを伸張し、TRC制御部23−1〜23−4により、各色成分毎に、階調補正処理を行い、スクリーン処理部24−1〜24−4により、スクリーン処理(網点処理)を行う。これら処理は、全ての画像処理系2−1〜2−4で同じであり、図2では、画像データの流れを太実線で示している。
【0034】
故障検出部4では、比較部10−1により、各画像処理系2−1〜2−4からの出力を互いに比較し、判定部40−2により、他と異なる値がないか判定し、他と異なる値がある場合には、異なる値を出力した色系の画像処理系に故障があると判定し、該判定結果を通知部5に供給する。通知部5では、判定部40−2からの判定結果に従って、故障が発生した旨や、発生した箇所(どの色系か)などを、図示しない音声出力部による音声、表示部への表示などで通知する。あるいは、故障検出した色系が使用される場合に、その色系が故障している旨を通知部5により通知してもよい。
【0035】
C.第2動作例
次に、本実施形態による画像形成装置の第2動作例について説明する。
図3は、本実施形態による画像形成装置の第2動作例を説明するためのブロック図である。第2動作例では、いずれか1つの画像処理系(例えば、黒(K)で白黒印字)でユーザが印字出力する際に、印字出力に使用しない他の画像処理系の1つに、印字出力する画像データと同じ画像データを取り込み、同一の画像処理を施し、印字出力する画像処理系の画像データと上記他の画像処理系の1つの画像データとを比較して故障を検出する。さらに、残っている印字出力に使用しない他の画像処理系の2つを、上記動作モードとは異なる動作モードで動作させて、それぞれに同じ画像データを取り込み、同一の画像処理を施し、それぞれの画像データを比較して故障を検出する。
【0036】
ここでは、K色系の画像処理系2−4を印字出力に使用する画像処理系とし、C色系の画像処理系2−3をK色系との比較対象とし、残っている印字出力に使用しない他のY、M色系の画像処理系2−1、2−2同士をもう1つの比較対象としたが、これは一例であって、他の組み合わせ(例えば、KとY、MとCの組み合わせ、KとM、YとCの組み合わせ)であってもよい。
【0037】
制御部3は、まず、それぞれの画像処理系2−1〜2−4を所定の動作モードで動作させる。なお、以下では、KとCの色系において、CST22−3、22−4を動作させないようにし(図2ではCST22−3、22−4を点線で示している)、YとMの色系において、CST22−1、22−2を動作させているが、これは一例であって他の動作モードであってもよい。また、制御部3は、故障検出部4に対して、K色系の画像処理系2−4の出力とC色系の画像処理系2−3の出力とを比較するとともに、これと独立して、Y色系の画像処理系2−1の出力とM色系の画像処理系2−2の出力とを比較するように指示する。
【0038】
C、K色系の画像処理系2−3、2−4では、それぞれのDMAC20−3、20−4により、DRAM1から同一の画像データを読み出し、デコーダ21−3、21−4により、画像データを伸張し、TRC制御部23−3、23−4により、各色成分毎に、階調補正処理を行い、スクリーン処理部24−3、24−4により、スクリーン処理(網点処理)を行う。これら処理は、C、K色系の画像処理系2−3、2−4で同じである。
【0039】
一方、Y、M色系の画像処理系2−1、2−2においても、それぞれのDMAC20−1、20−2により、DRAM1から同一の画像データを読み出し、デコーダ21−1、21−2により、画像データを伸張し、CST22−1、22−2により、色空間変換処理を施した後、TRC制御部23−1、23−2により、各色成分毎に、階調補正処理を行い、スクリーン処理部24−1、24−2により、スクリーン処理(網点処理)を行う。これら処理は、Y、M色系の画像処理系2−1、2−2で同じである。
【0040】
次に、故障検出部4では、比較部40−1により、C、K色系の画像処理系2−3、2−4からの出力を比較し、判定部40−2により、値が異なるか判定するとともに、Y、M色系の画像処理系2−1、2−2からの出力を比較し、判定部40−2により、値が異なるか判定する。そして、K色系の画像処理系2−4の出力とC色系の画像処理系2−3の出力とで値が異なった場合には、判定部40−2において、C色系の画像処理系2−3またはK色系の画像処理系2−4のいずれか一方に故障があると判定し、該判定結果を通知部5に供給する。同様に、Y色系の画像処理系2−1の出力とM色系の画像処理系2−2の出力とで値が異なった場合には、判定部40−2において、Y色系の画像処理系2−1またはM色系の画像処理系2−2のいずれか一方に故障があると判定し、該判定結果を通知部5に供給する。
【0041】
通知部5では、判定部40−2からの判定結果に従って、故障が発生した旨や、発生した箇所(どの色系か)などを、図示しない音声出力部による音声、表示部への表示などで通知する。あるいは、故障検出した色系が使用される場合に、通知部5により通知してもよい。
【0042】
D.第3動作例
次に、本実施形態による画像形成装置の第3動作例について説明する。
図4は、本実施形態による画像形成装置の第4動作例を説明するためのブロック図である。第3動作例では、カラー印字出力時に、印字出力に使用されない色の画像処理系に、使用されるいずれかの色系の画像処理系の画像データと同じ画像データを取り込み、同一の画像処理を施し、双方の画像データを比較して故障を検出する。
【0043】
ここでは、Y色系の画像処理系2−1を印字出力に使用されない画像処理系とし、かつ、カラー印字出力するM、C、K色系の画像処理系2−2〜2−4のうち、M色系の画像処理系2−2を故障検出に用いる画像処理系としたが、これは一例であって、他の組み合わせ(例えば、YとCの組み合わせ、YとKの組み合わせ、使用されない色系がMであった場合には、MとYの組み合わせ、MとCの組み合わせ、MとKの組み合わせ、など)であってもよい。
【0044】
制御部3は、まず、それぞれの色系の画像処理系2−1〜2−4を所定の動作モードで動作させる。なお、以下では、全ての画像処理系2−1〜2−4において、CST22−1〜22−4を動作させているが、これは一例であって他の動作モードであってもよい。また、制御部3は、故障検出部4に対して、Y色系の画像処理系2−1の出力とM色系の画像処理系2−2の出力とを比較するように指示する。
【0045】
Y、M色系の画像処理系2−1、2−2では、各々、DMAC20−1、20−2により、DRAM1から同一の画像データを読み出し、デコーダ21−1、21−2により、画像データを伸張し、CST22−1、22−2により、色空間変換処理を施した後、TRC制御部23−1、23−2により、各色成分毎に、階調補正処理を行い、スクリーン処理部24−1、24−2により、スクリーン処理(網点処理)を行う。これら処理は、Y、M色系の画像処理系2−1、2−2で同じである。一方、上記M色系の画像処理系2−2と、C、K色系の画像処理系2−3、2−4とからの出力は、図示しない後段の印字出力機能部に出力する。
【0046】
次に、故障検出部4では、比較部40−1により、Y、M色系の画像処理系2−1、2−2からの出力を比較し、判定部40−2により、互いの値が異なるか判定する。そして、Y色系の画像処理系2−1の出力と、M色系の画像処理系2−2からの出力とで値が異なった場合には、判定部40−2において、Y色系の画像処理系2−1またはM色系の画像処理系2−2のいずれか一方に故障があると判定し、該判定結果を通知部5に供給する。通知部5では、判定部40−2からの判定結果に従って、故障が発生した旨や、発生した箇所(どの色系か)などを、図示しない音声出力部による音声、表示部への表示などで通知する。あるいは、故障検出した色系が使用される場合に、その色系を通知部5により通知してもよい。
【0047】
上述した実施形態によれば、実動作中に故障検出テストを実施することが可能となる。このように通常使用において診断テストを行うことができるため、従来、サービスエンジニア、あるいは、ユーザが所定操作によって実施していた診断テストが不要となる。また、実動作中のテストによって故障検出テストの実施頻度も多くなり、故障検出率を大きく向上させることが可能となる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、実動作で印字出力する画像をテスト画像とすることで、テスト画像や、故障判定などのための期待値、あるいはチェックコードの算出/保持を不要とし、故障検出のために多くの記憶領域を使用することなく、安価な構成で故障検出が可能となる。
【0049】
さらに、上述した実施形態によれば、実動作で使用する画像をテスト画像とすることが可能となり、実際に動作する内部ロジックや、画像メモリなどがデータパターンに大きく依存することが特徴的である画像圧縮/伸張機能や、多数の大規模画像メモリなどを使用するLSIにおいて、故障検出率を大きく向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による画像形成装置の第1動作例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による画像形成装置の第2動作例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態による画像形成装置の第3動作例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1…DRAM
2−1〜2−4…画像処理系
20−1〜20−4…DMAC
21−1〜21−4…デコーダ
22−1〜22−4…CST
23−1〜23−4…TRC制御部
24−1〜24−4…スクリーン処理部
3…制御部(入力制御手段)
4…故障検出部
40−1…比較部(比較手段)
40−2…判定部(判定手段)
5…通知部(通知手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに対して画像処理を施して出力する複数の画像処理系を有する画像形成装置において、
印字出力に関与しない画像処理系に画像データを入力する入力制御手段と、
前記画像データが入力された画像処理系の出力結果を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、各画像処理系の故障有無を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記入力制御手段は、印字出力に関与しない画像処理系に対して、印字出力に関与する画像処理系と同一データを入力し、
前記比較手段は、印字出力に関与しない画像処理系の出力結果と印字出力に関与する画像処理系の出力結果とを比較することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力制御手段は、印字出力に関与しない複数の画像処理系に画像データを入力し、
前記比較手段は、前記印字出力に関与しない複数の画像処理系の出力結果同士を比較することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記入力制御手段は、印字出力に関与しない画像処理系に対して、印字出力に関与する画像処理系と同一データを入力するとともに、印字出力に関与しない複数の画像処理系に画像データを入力し、
前記比較手段は、前記印字出力に関与しない画像処理系の出力結果と前記印字出力に関与する画像処理系の出力結果とを比較するとともに、前記印字出力に関与しない複数の画像処理系の出力結果同士を比較することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印字出力に関与する画像処理系は、K色処理系を印字出力に関与する画像処理系とし、Y色処理系、M色処理系、C色処理系を印字出力に関与しない画像処理系とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記Y、M、C、K色処理系のうち、少なくとも1つの処理系が印字出力に関与しない画像処理系である場合に故障有無を判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素数を比較することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素濃度累積値を比較することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記比較手段は、画像処理された画像データの出力結果として、画素濃度に対するチェックコードを比較することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記判定手段により故障であると判定された場合に、故障した旨をユーザに通知する通知手段を具備することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記通知手段は、前記判定手段により故障であると判定された画像処理系を使用する時点で、故障した旨をユーザに通知することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記通知手段は、前記判定手段により故障であると判定された時点で、故障した旨をユーザに通知することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−16956(P2008−16956A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183645(P2006−183645)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】