説明

画像形成装置

【課題】災害発生時にその機能を有効に利用することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、災害発生時に、通信部11を介して他の通信装置へ被害状況を問い合わせるメッセージを送信し、このメッセージへの返信をさらに他の通信装置へ転送したり、表示部14に被害状況を確認するメッセージを表示して、このメッセージへのユーザの入力内容を、他の通信装置に送信したりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時に被害状況についての情報の収集に寄与することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、機器への通電や定着部への通電を遮断し火災等の二次災害を防ぐものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、地震等の災害発生時に送信される緊急警報放送を受信する緊急放送受信機を備え、この緊急放送受信機で緊急警報放送を受信したときに、定着部等への通電を停止するようになっている画像形成装置が記載されている。
【特許文献1】特開平10−143029号公報(1998年5月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、災害発生時には画像形成装置の一切の機能が単に失われるに過ぎず、画像形成装置を有効に利用するには至っていなかった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、災害発生時にその機能を有効に利用することのできる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の画像形成装置は、ネットワークを介して外部の通信装置との間で情報の送受信を行う通信部を備える画像形成装置であって、上記通信部は、災害発生時に、被害状況についての情報を入力するようユーザに促すメッセージを上記ネットワーク上の或る通信装置へ送信して、上記メッセージに対してユーザが入力した上記情報を上記或る通信装置から受信すると共に、上記情報を上記ネットワーク上の他の通信装置に送信するようになっている。
【0007】
上記画像形成装置は、このように、ネットワークを介して通信可能な外部の通信装置の周辺の被害状況についての情報を取得して、それを他の通信装置のユーザに知らせることができる。このように、或る通信装置の周辺の被害状況を他の通信装置のユーザに知らせることで、上記画像形成装置は、災害発生時に、自らの通信機能を有効に利用することができる。
【0008】
請求項2に記載するように、請求項1の画像形成装置は、地震計又は温度計の少なくとも一方をさらに備え、上記通信部は、上記地震計が地震の発生を検知したとき、又は温度センサが温度の異常な上昇を検知したときに、上記メッセージを送信するようになっていてもよい。
【0009】
上記画像形成装置は、自らが備える地震計又は温度計によって、地震又は火災等の災害による環境の異常な変化を自ら検知して、上記メッセージの送信を行うので、災害が発生した後、上記或る通信装置にすばやくメッセージを届けることができる。
【0010】
請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像形成装置は、外部から電力が供給される間は蓄電を行い、外部からの電力の供給が停止したときは、蓄電した電力を少なくとも上記通信部に供給するようになっている蓄電部をさらに備えてもよい。
【0011】
上記画像形成装置は、蓄電部を備えることで、災害時に外部からの電力供給が停止しても、上記他の通信装置との情報の送受信を行うことができる。
【0012】
請求項4の画像形成装置は、災害発生時に、被害状況についての情報を入力するようにユーザに促すメッセージを表示する表示部と、上記メッセージに対してユーザが入力した上記情報を、ネットワークを介して外部の通信装置へ送信する通信部と、を備える。
【0013】
上記画像形成装置は、このように自らのユーザに入力を促すことで、自らの周囲における被害状況についての情報を取得し、さらにこれを外部の通信装置に送信することで、外部の通信装置のユーザに、自らの周囲の被害状況を知らせることができる。このように、上記画像形成装置は、災害発生時に自らの通信機能を有効に利用することができる。
【0014】
請求項5に記載するように、請求項4の画像形成装置は、地震計又は温度計の少なくとも一方をさらに備え、上記表示部は、上記地震計が地震の発生を検知したとき、又は温度センサが温度の異常な上昇を検知したときに、上記メッセージを表示するようになっていてもよい。
【0015】
上記画像形成装置は、自らが備える地震計又は温度計によって、地震又は火災等の災害による環境の異常な変化を自ら検知して、上記メッセージの表示を行うので、自らのユーザに、すばやく情報の入力を求めることができる。
【0016】
請求項6に記載するように、請求項4又は5の画像形成装置は、外部から電力が供給される間は蓄電を行い、外部からの電力の供給が停止したときは、蓄電した電力を少なくとも上記通信部及び表示部に供給するようになっている蓄電部をさらに備えてもよい。
【0017】
上記画像形成装置は、上記蓄電部を備えることで、災害時に外部からの電力供給が停止しても、上記メッセージの表示及び外部の通信装置への情報の送信を行うことができる。
【0018】
請求項7に記載するように、請求項3又は6の画像形成装置は、原稿に光を照射するための光源を備え、上記原稿からの反射光を検知することで上記原稿上の画像を読み取る読取部と、上記光源からの光を利用して発電を行い、得られた電力を上記蓄電部へ送るようになっている光発電装置と、をさらに備えてもよい。
【0019】
また、請求項8に記載するように、画像データに基づいて、用紙上に現像剤からなる画像を形成する画像形成部をさらに備え、請求項3又は6の画像形成装置は、上記画像形成部は、熱圧着によって現像剤を用紙上に定着させる定着部を備え、上記定着部からの熱を利用して発電を行い、得られた電力を上記蓄電部へ送るようになっている熱発電装置をさらに備えてもよい。
【0020】
請求項9に記載するように、ネットワークを介して外部の通信装置との間で情報の送受信を行う通信部を備える画像形成装置であって、上記通信部は、請求項4に記載の画像形成装置から上記情報を受信すると共に、上記情報を上記ネットワーク上の他の通信装置に送信するようになっている画像形成装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置は、災害発生時に、通信部によって外部の通信装置との間で通信を行うことで、外部の通信装置の周囲の被害状況、又は自らの周囲の被害状況についての情報を、他の通信装置に送信することができる。このように、本発明の画像形成装置は、災害発生時であっても、自らの通信機能を活かして、情報の収集及びユーザへの情報の提供に寄与することができる。なお、このような画像形成装置と協働する画像形成装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の画像形成装置の実施の一形態である複合機1について、以下、図面を参照して説明する。
【0023】
I.第一形態
〔I-1〕複合機1の概要
図1は、複合機1の要部構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、複合機1は、ハードキー及び下記表示部14で表示されるソフトキー等で構成される入力受付部10、通信ネットワーク200を介して、外部の通信装置(通信機能を備えるPC(Personal Computer)、複合機等を含む)と通信を行う通信部11、光学系を備えて原稿から画像を読み取る読取部12、読取部12又は通信部11等が得た画像データを用紙上に印刷する画像形成部13、液晶表示装置等を備え、ユーザに種々の画像を表示することで情報を提示する表示部14、地震の発生を検知する地震計15、複合機1外部の温度を検知する温度計16、外部電源100又は下記蓄電部18から供給される電力を複合機1内各部に送る電力供給部17、下記発電部19の発電した電力を蓄電する蓄電部18、複合機1内で光を利用して発電を行う発電部19、複合機1内の各部を制御する制御装置20、各種情報を記憶するメモリ30等を備える。
【0025】
地震計15としては、加速度計又は震度計等が用いられる。
【0026】
また、温度計16は、複合機1の外部の温度を検知するものには限定されず、内部の温度を検知するようになっていてもよい。また、複合機1は、外部の温度を検知する温度計と内部の温度を検知する温度計を組み合わせて備えてもよい。
【0027】
通信ネットワーク200としては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
【0028】
制御装置20は、通信部11を制御する通信制御部21、表示部14を制御する表示制御部22、地震計15及び/又は温度計16の検知結果に基づいて災害の発生の有無を判定する災害発生判定部23等を備える。
【0029】
制御装置20は、後述する各種処理動作を実現するためのプログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記録媒体などを備えている。後述する処理動作は、上記記録媒体に格納されたソフトウェアである制御プログラムのプログラムコードをCPUが読み出し実行することによって達成可能である。
【0030】
〔I-2〕通信システム
図2に、本形態の通信システム201の概要を示す。図2に示すように、通信システム201は、複合機1、PC300〜302、複合機400・401等によって構成されている。
【0031】
PC300〜302は、表示部D、並びに、図示しない通信部、ハードキー及びソフトキー等の入力受付部を備える。
【0032】
複合機400・401は、上述の複合機1と略同様の構成であるが、地震計15、温度計16、災害発生判定部23等を備える必要はない。
【0033】
〔I-3〕情報収集動作
上記〔I-2〕で述べた通信システムにおいて、災害発生時に複合機1が行う処理動作、すなわち情報収集動作について、以下に説明する。図3に、この処理動作のフローチャートを示す。
【0034】
災害発生判定部23は、地震計15又は温度計16の検知結果を読み込んで、振動の大きさ又は温度が所定値を超えると(S1でYes)、災害が発生したものと判断する。この判断を受けて、通信制御部21は、PC300・301及び複合機400・401(以下、単に「PC300等」と称することがある)に、ユーザに入力を促す状況確認メッセージを送るように、通信部11を制御する(S2、図2の点線矢印)。
【0035】
この状況確認メッセージを受けると、PC300等は、その表示部によって、ユーザに状況確認画面40を提示する。状況確認画面40は、災害による被害状況についての情報を入力するよう、ユーザに促す画面である。状況確認画面40の一例を図4に示す。
【0036】
図4に示すように、本実施形態において、状況確認画面40は、メッセージ領域40aと送信キー40bとを備える。メッセージ領域40aには、“現在の状況について入力し、送信キーを押して下さい”のような、ユーザに入力を促すメッセージと共に、ユーザに入力させたい項目、例えば被害の有無及び具体的な被害状況等についての質問が表示される。
【0037】
PC300等は、それらの図示しない入力受付部を介して、ユーザから被害状況についての情報を受け付け、さらに送信キー40bが押下されると、複合機1へ、この受け付けた情報を送信する(図2の実線矢印)。
【0038】
複合機1がこの情報を受信すると、通信制御部21は、所定の通信装置、すなわち本形態の場合はPC302に、この情報を転送するように通信部11を制御する(S4、図2の中抜き矢印)。なお、制御装置20は、ステップS3からS4に進む前に、返信メッセージをメモリ30に一旦保存したり、適宜編集等を行ったりすることができる。
【0039】
複合機1からこの情報を受信すると、PC302は、この情報をユーザに視認させるための報知画面41を、表示部Dにて表示する。報知画面41の一例を図5に示す。
【0040】
報知画面41は、例えば、図5に示すように、状況確認画面40へのPC300等の各ユーザの書き込みが、状況確認画面40に付加されたものであってもよいし、これらの通信装置からの情報がまとめられた一覧表であってもよい。
【0041】
一方、入力受付部10が、収集動作を終了するようにとの指示をユーザから受け付けたときは、制御装置20は、一連の動作を中断及び終了する(S5でYes)。
【0042】
複合機1は、このように、或る通信装置のユーザからその通信装置の周辺の被害状況についての情報を得て、他の通信装置にその情報を伝えることで、この他の通信装置のユーザに、上記或る通信装置のユーザの安否を知らせることができる。
【0043】
本形態では、複合機1は、被害状況についての情報を入力するようユーザに促すメッセージとして、具体的な被害状況を問うメッセージを各通信装置に送信するものとしたが、複合機1は、このような具体的な問いではなく、ユーザに単なる入力を促すようなメッセージを送信するようになっていてもよい。例えば、ユーザにユーザ認証のパスワードを入力させるようなメッセージを送り、パスワードが入力されたことを確認することでも、ユーザの安否を確認することができる。
【0044】
また、「メッセージ」とは、電子メールであってもよいし、他の通信装置にポップアップ表示等を行わせるものであってもよい。
【0045】
すなわち、複合機1は、PC300にメッセージを送信することで、図6に示すように、PC300の表示部300Dに、“パスワードを入力して下さい”とのポップアップ表示43を行わせるようになっていてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、複合機1は、PC300等から受け取った情報を、全てPC302に送るものとしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、複合機1は、異なる通信装置から得た被害状況の情報を、それぞれ別々の通信装置に送るようになっていてもよい。
【0047】
具体的には、複合機1は、メモリ30に、各通信装置(PC300等)のユーザの緊急連絡先、例えば自宅等、をそれぞれ記憶しておくことができる。この場合の通信システムの具体的な形態を、通信システム202として、図7に示す。通信システム202において、複合機1の通信制御部21は、PC300及び複合機400から受け取った被害状況についての情報を、この緊急連絡先であるPC302に、PC301から受け取った情報をPC303に、複合機401から受け取った情報を複合機402に送信するようになっていてもよい。緊急連絡先に各通信装置のユーザの自宅が設定されていれば、各ユーザの家族の不安を取り除くことが可能となる。
【0048】
一方、会社内で、事業所等の拠点の被害状況を一括して把握したい場合など、通信システム201のように、各通信装置(PC300等)からの情報を、1つのPC302に送ることが好ましい場合もある。
【0049】
なお、本実施形態では、複合機1は、地震計15又は温度計16の検知結果に基づいて、じょう収集動作を開始するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複合機1は、地震計15又は温度計16のどちらか一方のみを備え、この一方の検知結果に基づいて、災害判定部23が災害の発生の有無を判定するようになっていてもよい。また、複合機1は、地震計15及び温度計16を備えない構成であり、通信部11が災害発生の情報を受信したときに、一連の情報収集動作を実行するようになっていてもよい。
【0050】
〔I-4〕電力供給部17
電力供給部17は、通常は外部電源100からの電力供給が停止したとき、電力供給部17は、電源を外部電源100から蓄電部18に切り換えることができる。このとき、蓄電部18からの電力は、通信部11及び制御装置20に送られ、読取部12及び画像形成部13等への電力供給は停止される。つまり、電力供給部17は、電源を切り換えると共に、省電力モードに移行する。こうすることで、電力供給部17は、通信に必要な電力を確保することができるので、地震等で商用電減の供給が停止したときでも、通信を可能とすることができる。
【0051】
特に、複合機1は、外部電源100からの電力供給が停止しても、上述の情報収集動作を行うことができ、また、通信部11を介して、電力供給会社へ電力供給が停止したことを通報することもできる。
【0052】
また、電力供給部17は、災害発生判定部23の災害が発生したとの判断を受けて、外部電源100からの電力供給が正常であっても、読取部12及び画像形成部13等への電力供給を停止して、省電力モードに移行するようになっている。
【0053】
〔I-5〕発電部19
a)光からの発電
本実施形態において、発電部19は、複合機1内の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
【0054】
光から発電を行う場合、発電部19は、読取部12の光源を利用することができる。読取部12の要部構成を図8に示す。
【0055】
図2に示すように、読取部12は、光源12aと、ミラー12b、CCD12c等を備える。読取部12は、複合機1の備えるコンタクトガラス31上の原稿Mに光源12aからの光を照射し、その反射光をミラー12b等によってCCD12cに導いて、原稿M上の画像を読み取るようになっている。
【0056】
光から発電を行う場合、発電部19は、例えば、半導体p-n接合によって構成された所謂フォトダイオード等の光電変換素子を備え、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0057】
光源12aから出射された光は、全てが原稿Mに吸収されたりCCD12cで受光されたりするわけではなく、コンタクトガラス31等での乱反射などによって、一部は上述した光路を外れる。発電部19は、このように光路から外れた光を電気に変換して、上記蓄電部18に送る。
【0058】
b)熱からの発電
複合機1は、発電部19に代えて、熱から発電を行う発電器119を備えてもよい。この場合、画像形成部13の熱が好適に利用される。画像形成部13の要部構成を図9に示す。
【0059】
画像形成部13は、回転可能に設けられた感光体ドラム13aの回転方向に沿って、感光体ドラム13aを一様に帯電させる帯電器13b、帯電した感光体ドラム13a表面に光を照射することで、画像データに応じた静電潜像を描く露光器13c、静電潜像を現像剤で現像する現像器13d、現像された画像を用紙P上に転写する転写部13e等を備える。感光体ドラム13aのクリーニング装置等、他の部材については図示を省略する。
【0060】
画像形成部13は、さらに、用紙Pを収容する用紙収容部13f、及び用紙収容部13fから転写部13e、さらに後述の定着部13hへと用紙を送る用紙搬送部13g、ヒートローラを備え、画像を転写された後の用紙Pに、熱圧着によって画像を定着させる定着部13h等を備える。
【0061】
熱から発電を行う場合、発電器119は、定着部13hを熱源として利用することができる。発電機119は、高温側(定着部13hに近い側)が高電位になるn型熱電材料119nと逆に高温側が低電位になるp型熱電材料119pとを交互に接続した発電モジュールである。
【0062】
c)発電部19の省略
また、発電部19は、省略することもできる。この場合、蓄電部18は、通常時に、外部電源100からの電力の一部を電力供給部17から直接受け取り、蓄電するようになっていればよい。
【0063】
II.第二形態
本形態の通信システム203を図10に示す。図10に示すように、通信システム203は、複合機500〜502、これらの複合機が通信可能な複合機403、複合機403が通信可能な複合機402及びPC302・303等によって構成されている。
【0064】
各複合機及びPCは、上記第一形態で示されたPC及び複合機と同様、通信部、表示部、及び入力受付部等を備える。よって、本形態において、以下、第一形態と同一の図面を参照して説明する場合があり、第一形態において既に説明した部材と同様の機能を有する部材については、適宜その説明を省略する。
【0065】
特に、複合機500〜502は、複合機1と同様、図1に示す部材を備えるものとする。
【0066】
本形態において、複合機500〜502(以下、単に「複合機500等」と称することがある)は、図11のフローチャートに示す情報送信動作を行う。
【0067】
この情報送信動作において、複合機500等は、災害発生判定部23が振動の大きさ又は温度が所定値を超えたことを検知すると(S21でYes)、表示制御部22が、表示部14に、状況確認画面40を表示させるようになっている(S22、図4)。ユーザが状況確認画面40に応じて入力を行い、送信キー40bを押下すると(S23でYes)、通信制御部21は、所定の通信装置(本形態では複合機403)に、ユーザが入力した被害状況についての情報を送信するよう、通信部11を制御する(S24、図10の実線矢印)。一方、入力受付部10を介して、情報送信動作の終了がユーザから指示されると、複合機500等は一連の動作を中断及び終了する(S25)。
【0068】
複合機403は、上述したように、複合機1と略同様の構成、すなわち、制御装置20及び通信部11等を備えている。但し、地震計15、温度計16、災害発生判定部23は備える必要がない。複合機403は、複合機500からの被害状況についての情報をPC302に、複合機501からの情報をPC303に、複合機502からの情報を複合機402に、それぞれ送信する(図10の中抜き矢印)。PC302・303、及び複合機402は、この情報を受けると、図5に示す報知画面41を表示して、自らのユーザに、複合機500、501、502の周囲の被害状況を、それぞれ知らせる。
【0069】
なお、本形態において、複合機500等の電力供給部17は、ステップS21でYesとなると、上記〔I-4〕欄で述べた様に省電力モードに移行するが、この際、表示部14への電力供給は停止せずに維持するようになっている。
【0070】
このように、本形態では、複合機500等が、自発的に被害状況についての情報をユーザから得て、複合機403に送信する。そして、複合機403は、第一形態における複合機1と略同様の役割を担い、他の通信装置(PC302、303、複合機402)に、複合機500等から受信した情報を送信する。
【0071】
なお、複合機403が情報を送る先(PC302・303、複合機402)は、上記〔1-3〕で複合機1について述べたように、複合機500等について、それぞれ登録された緊急連絡先である。
【0072】
複合機403は、以上に述べた構成以外にも、複合機500等から送信された情報を、同一の通信装置、例えばPC302に送信するようになっていてもよい。
【0073】
また、複合機403は、自らがその表示部を介して、ユーザに情報を提示するようになっていてもよい。また、複合機500等が、自らユーザから得た情報を、複合機403を介さずに、直接PC302等に送信するようになっていてもよい。
【0074】
本形態は、複合機500等の近辺でのみ災害が発生した場合、つまり、複合機402・403、複合機302・303等の周辺では災害が発生していないような場合に、特に効果を発揮する。このような場合は、他の通信装置のユーザの安否等を確認するよりも、複合機1自身のユーザの安否等を、他の通信装置に知らせる方が有効であるからである。
【0075】
III.その他
上記I.及びII.欄に記載した形態を組み合わせた実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
すなわち、図2の通信システム201において、複合機1は、上記II.欄で述べたように、表示部14に状況確認画面40を表示して自ら周囲の被害状況についての情報を得ると共に、上記I.欄で述べたように、PC300等からも、被害状況についての情報を得るようになっていてもよい。
【0077】
この場合、複合機1は、自らの周囲の情報、及びPC300等からの情報を、PC302に送信するようになっていればよい。
【0078】
また、複合機1は、図6の通信システム202のように、自らの周囲の情報、及びPC300等からの情報を、別々の通信装置に送信してもよい。
【0079】
なお、I.〜III.欄の技術において、全ての複合機は、蓄電部18等を備える緊急用の電源システムを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の一形態に係る複合機1の要部構成を示すブロック図。
【図2】通信システムの一例の概略を表す図。
【図3】災害発生時の情報収集動作のフローチャート。
【図4】状況確認画面の一例を示す平面図。
【図5】報知画面の一例を示す平面図。
【図6】状況確認のためのポップアップ表示中のPCを示す正面図。
【図7】通信システムの他の例を示す図。
【図8】読取部12の要部構成を示す正面図。
【図9】画像形成部13の要部構成を示す正面図。
【図10】通信システムのさらに他の例を示す図面。
【図11】情報送信動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1、400〜403、500〜502 複合機
300〜303 複合機
200 通信ネットワーク
201〜203 通信システム
10 入力受付部
11 通信部
12 読取部
13 画像形成部
14 表示部
15 地震計
16 温度計
17 電力供給部
18 蓄電部
19 発電部
20 制御装置
21 通信制御部
22 表示制御部
23 災害発生判定部
30 メモリ
40 状況確認画面
41 報知画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して外部の通信装置との間で情報の送受信を行う通信部を備える画像形成装置であって、
上記通信部は、災害発生時に、被害状況についての情報を入力するようユーザに促すメッセージを上記ネットワーク上の或る通信装置へ送信して、上記メッセージに対してユーザが入力した上記情報を上記或る通信装置から受信すると共に、上記情報を上記ネットワーク上の他の通信装置に送信するようになっている画像形成装置。
【請求項2】
地震計又は温度計の少なくとも一方をさらに備え、
上記通信部は、上記地震計が地震の発生を検知したとき、又は温度センサが温度の異常な上昇を検知したときに、上記メッセージを送信するようになっている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
外部から電力が供給される間は蓄電を行い、外部からの電力の供給が停止したときは、蓄電した電力を少なくとも上記通信部に供給するようになっている蓄電部をさらに備える請求1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
災害発生時に、被害状況についての情報を入力するようにユーザに促すメッセージを表示する表示部と、
上記メッセージに対してユーザが入力した上記情報を、ネットワークを介して外部の通信装置へ送信する通信部と、を備える画像形成装置。
【請求項5】
地震計又は温度計の少なくとも一方をさらに備え、
上記表示部は、上記地震計が地震の発生を検知したとき、又は温度センサが温度の異常な上昇を検知したときに、上記メッセージを表示するようになっている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
外部から電力が供給される間は蓄電を行い、外部からの電力の供給が停止したときは、蓄電した電力を少なくとも上記通信部及び表示部に供給するようになっている蓄電部をさらに備える請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
原稿に光を照射するための光源を備え、上記原稿からの反射光を検知することで上記原稿上の画像を読み取る読取部と、
上記光源からの光を利用して発電を行い、得られた電力を上記蓄電部へ送るようになっている光発電装置と、をさらに備える請求項3又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像データに基づいて、用紙上に現像剤からなる画像を形成する画像形成部をさらに備え、
上記画像形成部は、熱圧着によって現像剤を用紙上に定着させる定着部を備え、
上記定着部からの熱を利用して発電を行い、得られた電力を上記蓄電部へ送るようになっている熱発電装置をさらに備える請求項3又は6に記載の画像形成装置
【請求項9】
ネットワークを介して外部の通信装置との間で情報の送受信を行う通信部を備える画像形成装置であって、
上記通信部は、請求項4に記載の画像形成装置から上記情報を受信すると共に、上記情報を上記ネットワーク上の他の通信装置に送信するようになっている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−236484(P2008−236484A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74349(P2007−74349)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】