説明

画像形成装置

【課題】操作表示部の装着が容易で、操作表示部と画像形成装置本体との信号線の接続信頼性が高く、かつ、操作表示部内の冷却能力が優れている画像形成装置を提供するを提供する。
【解決手段】操作表示部8は画像形成装置本体4に対してチルト機構を有している。操作表示部8は、指示入力を行うための操作部ユニット10と、操作部ユニット10を下方から支持する支持ユニット12とにより構成されている。操作部ユニット10を支持ユニット12に装着した後、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bと電気回路基板34とをコネクタ接続している。冷却ダクト22には、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bと電気回路基板34とを電気的に接続するためのコネクタ用穴26a,26bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置に関する情報を表示するための操作表示部を備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1には、液晶表示パネル(表示部)を含む操作表示部をチルト機構とし、操作表示部の水平面に対する傾斜角度を変更可能にすることにより、椅子などに着座した状態のユーザ(操作者)にも容易に装置の操作を行えるようにした画像形成装置が開示されている。
【0003】
また、近年、画像形成装置では、操作表示部の視認性をより向上するために、カラー表示方式の大型液晶表示パネルを使用する傾向にあり、それに伴い、表示用回路として操作表示部に内臓されたCPU(発熱素子)の高速化が進んでいる。そのため、CPUの発熱量も多くなり、ファンなどによる冷却が必要となってきている。
【0004】
以上のような画像形成装置において、従来、操作表示部を画像形成装置本体に装着する際には、画像形成装置本体から導出している信号線(ハーネス)を操作表示部の電気回路基板に電気的に接続した後、操作表示部を画像形成装置本体に装着していた。
【0005】
【特許文献1】特開2006−343393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、操作表示部が液晶のカラー化などによって信号回路が複雑になっていくにつれ、信号線が多くなり、操作表示部での結線が複雑になってきている。従って、操作表示部を画像形成装置本体に装着するとき、操作表示部と画像形成装置本体の間に信号線を挟み込んでしまう場合が多く、操作表示部の装着作業は煩雑でかつ作業性の悪いものであった。
【0007】
また、操作表示部を画像形成装置本体に装着した後も、操作表示部はチルト機構を有しているため、チルト機構によって操作表示部の傾斜角度を変更したときに、操作表示部と画像形成装置本体との隙間に信号線の一部が挟まれて損傷し、断線やショートなどの不具合が発生する心配もあった。
【0008】
さらに、CPUも高機能化が進み発熱量も多いため、ファンなどによる冷却が効率良く行われるように冷却風路を確保する必要がある。このため、信号線が冷却風路を妨げないように引き回し方法などの配線処理にも注意する必要があった。
【0009】
それゆえに、本発明の主たる目的は、操作表示部の装着が容易で、操作表示部と画像形成装置本体との信号線の接続信頼性が高く、かつ、操作表示部内の冷却能力が優れている画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、画像形成装置本体の上部に配設された画像読取部と、画像読取部に併設された画像形成操作を行うための操作表示部とを備えた画像形成装置であって、操作表示部は操作部ユニットと操作部ユニットを着脱可能に支持する支持ユニットとからなり、操作部ユニットは、電気回路基板と、電気回路基板の少なくとも一部を覆うように対向配置された冷却ダクトを有し、かつ、支持ユニットから着脱可能であり、冷却ダクトには、画像形成装置本体から導出している信号線と電気回路基板とを電気的に接続するためのコネクタ用穴が設けられていることを特徴とする、画像形成装置である。
【0011】
請求項1の発明では、操作部ユニットを支持ユニットに装着した後、画像形成装置本体から導出している信号線と操作部ユニットの電気回路基板とをコネクタ接続できるため、操作表示部内での結線が複雑になっても、操作表示部と画像形成装置本体の間に信号線を挟み込んでしまう心配がなく、操作部ユニットの装着作業は容易でかつ作業性の良いものとなる。
【0012】
さらに、冷却ダクトには、画像形成装置本体から導出している信号線と電気回路基板とを電気的に接続するためのコネクタ用穴が設けられているため、信号線が冷却風路を妨げないように引き回すことができ、ファンなどによる冷却が効率良く行われるように冷却風路が確保できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、電気回路基板は、動作制御用の第1基板と、第1基板に電気的に接続し操作キーを配列した第2基板とで構成され、冷却ダクトには第1基板および第2基板を冷却するための冷却ファンが配設され、かつ、冷却ダクトは第1基板に対向して配設されることにより冷却風路を形成していることを特徴とする、画像形成装置である。
【0014】
請求項2の発明では、冷却ダクトには第1基板および第2基板を冷却するための冷却ファンが配設され、かつ、冷却ダクトは第1基板に対向して配設されているため、図6に矢印Fで示すような冷却風路が確保される。これにより、第1基板および第2基板が確実に冷却できる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、冷却ダクトに設けたコネクタ用穴がパネルカット形状であることを特徴とする、画像形成装置である。
【0016】
請求項3の発明では、コネクタ用穴がパネルカット形状であるため、フラットケーブルなどを用いたハーネス配線が可能となり、画像形成装置本体から導出している信号線と電気回路基板との電気的接続作業が容易となる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明に従属する発明であって、操作表示部が画像形成装置本体に対してチルト機構を有していることを特徴とする、画像形成装置である。
【0018】
請求項4の発明では、チルト機構によって操作表示部の傾斜角度を変更しても、操作表示部と画像形成装置本体との隙間に信号線の一部が挟まれることは無く、断線やショートなどの不具合が発生しない。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明に従属する発明であって、冷却ダクトに設けたコネクタ用穴が、操作表示部のチルト機構の回動の支点の近傍部に配設されていることを特徴とする、画像形成装置である。
【0020】
請求項5の発明では、コネクタ用穴がチルト機構の回動の支点の近傍部に配設されているため、画像形成装置本体から導出している信号線の引き回し距離が短くてすみ、操作表示部と画像形成装置本体との隙間への信号線の挟み込み等の不具合がより一層低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、操作部ユニットを支持ユニットに装着した後、画像形成装置本体から導出している信号線と操作部ユニットの電気回路基板とをコネクタ接続できるため、操作表示部内での結線が複雑になっても、操作表示部と画像形成装置本体の間に信号線を挟み込んでしまう心配がなく、操作部ユニットの装着作業は容易でかつ作業性の良いものとなる。
【0022】
さらに、冷却ダクトには、画像形成装置本体から導出している信号線と電気回路基板とを電気的に接続するためのコネクタ用穴が設けられているため、信号線が冷却風路を妨げないように引き回すことができ、ファンなどによる冷却が効率良く行われるように冷却風路が確保できる。この結果、操作部ユニットの装着が容易で、操作表示部と画像形成装置本体との信号線の接続信頼性が高く、かつ、操作表示部内の冷却能力が優れている画像形成装置が得られる。
【0023】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明に係る画像形成装置(複写機)の一例を示す外観斜視図である。図1に示すように、画像形成装置は、画像形成装置本体4の上部に配設された画像読取部2と、画像読取部2に併設された画像形成操作を行うための操作表示部8とを備えている。
【0025】
画像形成装置本体4内には、用紙搬送装置や感光体ドラムや現像装置や定着装置などが設けられている。そして、画像形成装置本体4の下部に配設されている給紙カセット6a,6bから引き出された用紙は、用紙搬送装置により画像形成装置本体4内を搬送され、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写され、定着装置に搬入される。トナー画像を転写された用紙は、定着装置で定着され、印刷物として用紙排出部から機外に排出されて排紙トレイ7上に積載される。
【0026】
図2は図1において矢印A方向から見た操作表示部8と画像読取部2との連結部分の斜視図であり、図3はその断面図である。なお、図2は、操作表示部8の操作部下カバー46と操作部右側カバー62、ならびに、画像読取部2の光学系前下カバー44と右側カバー63を外した状態の斜視図である。
【0027】
操作表示部8は、図2および図3に示すように、指示入力を行うための操作部ユニット10と、操作部ユニット10を下方から支持する支持ユニット12とにより構成されている。支持ユニット12は、概略、操作部下カバー46、ハンドル50および操作部ユニット用載置台52を有している。操作表示部8は画像形成装置本体4に対してチルト機構を有し、図3に一点鎖線で示すように画像形成装置本体4に対して可動(回動)するように構成されている。
【0028】
すなわち、支持ユニット12は、支点R(図2参照)を介して画像形成装置本体4の取付部材43に取り付けられており、ハンドル50を引くことにより、支点Rを中心に回動しながら水平面下方側に複数段階に角度調節が可能なように構成されている。これにより、操作表示部8のパネル面を垂直方向に傾斜させて装置前方に向けることが可能となるので、たとえば椅子などに着座した状態のユーザ(操作者)も、容易に画像形成装置の操作を行うことが可能となる。操作表示部8と画像読取部2との連結部分は、光学系前上カバー42と光学系前下カバー44によって保護されている。
【0029】
操作部ユニット10は、概略、操作部上カバー20、操作キーを配列したタッチパネル基板14、カラー液晶表示パネル(LCD)16、動作制御用の電気回路基板34と、電気回路基板34の少なくとも一部を覆うように対向配置された冷却ダクト22を有している。操作部ユニット10は、支持ユニット12とは別体の独立した構造を有し、支持ユニット12から着脱可能である。
【0030】
図4および図5は、それぞれ操作部ユニット10を裏側(支持ユニット12への取付面側)から見た斜視図である。冷却ダクト22は左右の足部22a、足部22aに支持された胴部22b、および奥側の側壁22cにて構成されている。胴部22bには、冷却ファン24、画像形成装置本体4から導出しているフラットケーブルの信号線32a,32bと電気回路基板34とを電気的に接続するためのパネルカット形状のコネクタ用穴26a,26b、および、電気回路基板34に設けたUSB端子27を挿通するための穴26cが設けられている。これらの穴26a,26b,26cは、支持ユニット12の回動の支点Rの近傍に設けられている。
【0031】
電気回路基板34には、冷却フィン(放熱材)30とLSI(発熱素子)31とが搭載されている。本実施形態では、カラー表示方式の液晶表示パネル16を使用しているため、4個のLSI31の中の一つに発熱量の大きい高速処理可能なCPUが使用されている。
【0032】
タッチパネル基板14には、複写機に搭載された各種機能の実行を指示したり、印刷部数などを入力したりするためのテンキーが配列されている。タッチパネル基板14の裏側には、複写動作の設定を入力するための操作ガイド情報などを表示するとともに、種々の操作ボタンなどが表示されるタッチパネル式のカラー液晶表示パネル16が配設されている。
【0033】
タッチパネル基板14とカラー液晶表示パネル16は、ベース板35の一方の面に取り付けられ、ベース板35の他方の面には電気回路基板34と冷却ダクト22とが取り付けられている。タッチパネル基板14と電気回路基板34とはハーネスによって電気的に接続されている。図6に示すように、冷却ファン24によって発生した風は、電気回路基板34と冷却ダクト22が対向することによって形成されている冷却風路を通って矢印Fで示す方向に送られ、タッチパネル基板14および電気回路基板34を十分に冷却する。なお、図に示した矢印F方向は、冷却ファン24による風を基板14,34に吹き付ける場合の送風方向を示したものである。冷却ファン24の羽根を逆回転させることにより、冷却ファン24による風を矢印Fとは反対の方向にすることもできる。
【0034】
次に、操作部ユニット10を操作表示部8に着脱する方法について説明する。先ず、操作部ユニット10を操作表示部8に装着する場合は、操作表示部8の操作部下カバー46を外した状態で、操作部ユニット10を、操作部ユニット用載置台52上に設けたガイドに合わせて挿入することにより、操作部ユニット用載置台52にセットする。
【0035】
その後、画像形成装置本体4の取付部材43に設けられたスリット43a,43bからそれぞれ導出しているフラットケーブルの信号線32a,32bに取り付けられたプラグ30a,30bを、冷却ダクト22に設けたコネクタ用穴26a,26bに差し込んで、電気回路基板34に設けられたレセプタクル(図示せず)に電気的に接続する。そして、操作表示部8に操作部下カバー46を取り付ける。一方、操作部ユニット10を操作表示部8から取り外す場合は、前述の操作部ユニット10を装着する方法と逆の手順で行えばよい。
【0036】
以上の構成からなる画像形成装置は、操作部ユニット10にドロアを設けるとともに、画像形成装置本体4にもドロアを設け、操作部ユニット10を装着した後に両者のドロアを結線するものである。具体的には、操作部ユニット10を支持ユニット12に装着した後、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bと電気回路基板34とをコネクタ接続するものである。従って、操作表示部8内での結線が複雑になっても、操作表示部8と画像形成装置本体4の間に信号線32a,32bを挟み込んでしまう心配がなく、操作部ユニット10の装着作業は容易でかつ作業性の良いものとなる。
【0037】
また、冷却ダクト22には、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bと電気回路基板34とを電気的に接続するためのコネクタ用穴26a,26bが設けられているので、信号線32a,32bが冷却風路を妨げないように引き回すことができ、冷却ファン24による冷却が効率良く行われるように冷却風路を確保できる。
【0038】
さらに、チルト機構によって操作表示部8の傾斜角度を変更しても、操作表示部8と画像形成装置本体4との隙間に信号線32a,32bの一部が挟まれることは無く、断線やショートなどの不具合の発生を抑えることができる。この結果、操作部ユニット10の装着が容易で、操作表示部8と画像形成装置本体4との間の信号接続信頼性が高く、かつ、操作表示部8内の冷却能力が優れている画像形成装置を得ることができる。
【0039】
また、コネクタ用穴26a,26bがパネルカット形状であるため、フラットケーブルなどを用いたハーネス配線が可能となり、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bと電気回路基板34との電気的接続作業が容易となる。
【0040】
また、コネクタ用穴26a,26bがチルト機構の回動の支点Rの近傍部に配設されているため、画像形成装置本体4から導出している信号線32a,32bの引き回し距離が短くてすみ、操作表示部8と画像形成装置本体4との隙間への信号線32a,32bの挟み込み等の不具合がより一層低減できる。
【0041】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1において矢印A方向から見た操作表示部と画像読取部との連結部分の斜視図である。
【図3】操作表示部と画像読取部との連結部分の断面図である。
【図4】操作部ユニットを示す外観斜視図である。
【図5】操作部ユニットを示す外観斜視図である。
【図6】冷却ファンによる冷却風路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 画像読取部
4 画像形成装置本体
8 操作表示部
10 操作部ユニット
12 支持ユニット
14 タッチパネル基板(第2基板)
22 冷却ダクト
24 冷却ファン
26a,26b コネクタ用穴
30a,30b プラグ
32a,32b 信号線
34 電気回路基板(第1基板)
R 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の上部に配設された画像読取部と、前記画像読取部に併設された画像形成操作を行うための操作表示部とを備えた画像形成装置であって、
前記操作表示部は操作部ユニットと前記操作部ユニットを着脱可能に支持する支持ユニットとからなり、前記操作部ユニットは、電気回路基板と、前記電気回路基板の少なくとも一部を覆うように対向配置された冷却ダクトを有し、
前記冷却ダクトには、前記画像形成装置本体から導出している信号線と前記電気回路基板とを電気的に接続するためのコネクタ用穴が設けられていること、
を特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記電気回路基板は、動作制御用の第1基板と、前記第1基板に電気的に接続し操作キーを配列した第2基板とで構成され、
前記冷却ダクトには前記第1基板および前記第2基板を冷却するための冷却ファンが配設され、かつ、前記冷却ダクトは前記第1基板に対向して配設されることにより冷却風路を形成していること、
を特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却ダクトに設けたコネクタ用穴がパネルカット形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作表示部が前記画像形成装置本体に対してチルト機構を有していることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却ダクトに設けたコネクタ用穴が、前記操作表示部のチルト機構の回動の支点の近傍部に配設されていることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−115849(P2009−115849A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285370(P2007−285370)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】