説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置のセキュリティを確保するための生体情報読取装置を作業台に設置しつつ、その作業台の上に十分な作業スペースを確保すること。
【解決手段】画像形成装置1は、装置本体2に対して棚状に取り付けられ、平坦な平板部71を有する作業台7と、その作業台7に取り付けられ、ユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取装置8とを備え、生体情報読取装置8から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に画像処理ユニット4に関する各種の機能の実行を許可するように構成される。生体情報読取装置8は、作業台7に取り付けられた状態で平板部71の上面よりも上に突出しないことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いてユーザを特定する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像形成装置は、近年、ネットワーク環境で使用されるようになっており、例えば画像形成装置において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどが可能である。そのため画像形成装置を使用することによる情報の流出や消失などを防止するため、近年は画像形成装置を使用するに際して高いセキュリティ機能が求められるにようになっている。
【0003】
従来、画像形成装置のセキュリティを高める技術として、例えばユーザの指紋などの生体情報を読み取ってユーザ認証を行い、その認証結果に応じて画像形成装置における各種機能の利用を許可する技術が知られている(例えば、特許文献1)。かかる技術によれば、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取装置は操作パネルの内側に組み込むように構成されているため、操作パネルが大型化する。
【0004】
また従来は、操作パネルとは別に、装置本体の側面に対して作業台を設置し、この作業台の上に生体情報読取装置を設置するようにした画像形成装置も公知である。図24は、このような従来の画像形成装置100を示す図である。従来の画像形成装置100は、装置本体101の前面側に、ユーザが各種操作入力を行うための操作パネル110が設けられている。また装置本体101の側面には操作パネル110とは別に作業台120が設けられており、ユーザはこの作業台120の上を一時的な作業スペースとして活用することができると共に、生体情報読取装置130がこの作業台120の上に設置されている。したがって、図24に示す画像形成装置100によれば、操作パネル110自体が大型化することを抑制できるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−123699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図24のような従来の画像形成装置100の場合、作業台120の上に生体情報読取装置130が設置されているため、この生体情報読取装置130の設置位置およびその近傍には原稿などを一時的に載置することができない。そのため、従来の画像形成装置100は、作業台120の上の作業スペースが狭く、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、生体情報読取装置を作業台に設置しつつ、作業台の上に十分な作業スペースを確保することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、前記装置本体に対して棚状に取り付けられ、平坦な平板部を有する作業台と、前記作業台に取り付けられ、ユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取手段と、前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する機能の実行を許可する制御手段と、を備え、前記生体情報読取手段は、前記作業台に取り付けられた状態で前記平板部の上面よりも上に突出しないことを特徴としている。
【0009】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が作業台に取り付けられた状態で平板部の上面よりも上に突出しないため、作業台の上に十分な作業スペースを確保することができる。
【0010】
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、前記平板部の下面に取り付けられることを特徴としている。
【0011】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が平板部の上面よりも上に突出しないように生体情報読取手段を作業台に取り付けることができる。
【0012】
また請求項3にかかる発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、生体情報を読み取る読取部を有し、前記作業台には、前記読取部に対してユーザの手の指を誘導するための誘導口が形成されることを特徴としている。
【0013】
かかる構成によれば、平板部の上面よりも上に突出しないように作業台に取り付けられた生体情報読取手段の読取部に対して、誘導口を介してユーザの手の指を誘導することができる。
【0014】
また請求項4にかかる発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、前記装置本体の前面側に対応する前記作業台の前面側先端部に設けられると共に、前記読取部が上向きに配置され、前記作業台の前記誘導口が、前記読取部の上方および前方を開放して形成されることを特徴としている。
【0015】
かかる構成によれば、装置本体の前面側から生体情報読取手段の読取部に対してユーザの手の指を誘導することができるようになり、画像形成装置の操作性が向上する。
【0016】
また請求項5にかかる発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記作業台が、前記誘導口の上部周辺に前記平板部から落ち込んだ段差部を備えることを特徴としている。
【0017】
かかる構成によれば、段差部によって誘導口の上方に空間が形成されるので、誘導口の上を塞ぐように平板部に原稿などが載置された場合であってもその空間を介してユーザの手の指を生体情報読取手段の読取部に対して誘導できるようになる。
【0018】
また請求項6にかかる発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記作業台が、前記誘導口の周辺に前記平板部から上方に突出する突状部を備えることを特徴としている。
【0019】
かかる構成によれば、突状部によって誘導口の上方に空間が形成されるので、誘導口の上を塞ぐように平板部に原稿などが載置された場合であってもその空間を介してユーザの手の指を生体情報読取手段の読取部に対して誘導できるようになる。
【0020】
また請求項7にかかる発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、前記読取部が前記装置本体の後方側に対応する後向きに配置され、前記作業台の前記誘導口が、前記装置本体の側面側に対応する前記作業台の側面に開放形成されることを特徴としている。
【0021】
かかる構成によれば、生体情報読取手段の読取部に手の指を導く際、ユーザの腕の動きが自然な動きとなるため、違和感のない操作が可能となり、使いやすい画像形成装置が実現される。
【0022】
また請求項8にかかる発明によれば、請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記作業台の前記誘導口の周辺部分が、該周辺部分以外の部分の色とは異なる色で構成されることを特徴としている。
【0023】
かかる構成によれば、生体情報読取手段の設置場所が視認し易くなるため、生体情報読取手段の設置された場所を探すことなく、瞬時にその設置場所を把握することができるようになり、操作性が向上する。
【0024】
また請求項9にかかる発明によれば、請求項4乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記装置本体の前面側に取り付けられる操作パネルを更に備えており、前記作業台が、前記装置本体の側面に取り付けられると共に、該作業台の前面側先端部が前記操作パネルの近傍まで延設されていることを特徴としている。
【0025】
かかる構成によれば、生体情報読取手段と操作パネルとの間で手を移動させる際、その移動距離が短くなるので、操作性が向上する。
【0026】
また請求項10にかかる発明によれば、請求項4乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記装置本体の前面側に取り付けられる操作パネルを更に備えており、前記作業台が、前記装置本体の側面に取り付けられる第1作業エリア構成部材と、前記第1作業エリア構成部材に支持されており、前記第1作業エリア構成部材から前記装置本体の前後方向に進退可能な第2作業エリア構成部材と、を備え、前記生体情報読取手段が、前記装置本体の前面側に対応する前記第2作業エリア構成部材の前面側先端部に設けられ、前記第2作業エリア構成部材の前面側先端部が、前記操作パネルの近傍まで進出可能であることを特徴としている。
【0027】
かかる構成によれば、第2作業エリア構成部材の前面側先端部を操作パネルの近傍まで進出させた状態では、生体情報読取手段と操作パネルとの間で手を移動させる際、その移動距離が短くなるので、操作性が向上する。
【0028】
また請求項11にかかる発明によれば、請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記作業台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を更に備えることを特徴としている。
【0029】
かかる構成によれば、保持部材がユーザの手を補助的に支持して安定させるので、生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に指がぶれることを抑制でき、安定した生体情報の読み取りが可能になる。
【0030】
また請求項12にかかる発明によれば、請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴としている。
【0031】
かかる構成によれば、画像形成装置において、利用しやすく、かつ信頼性の高いセキュリティを確保することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる画像形成装置によれば、ユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取手段は、作業台の平坦な平板部の上面よりも上に突出しないように作業台に取り付けられるため、生体情報読取手段を作業台に設置しつつも、その作業台の上に十分な作業スペースを確保することができるようになる。それ故、本発明によれば、使い勝手の良い画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。尚、図中3次元座標系を示しており、本実施形態において画像形成装置1の前後方向をX軸により、左右横方向をY軸により、上下方向をZ軸によりそれぞれ示している。
【0035】
この画像形成装置1は、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる装置であり、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能など、複数の機能を備えており、例えばLANなどのネットワークに接続可能であると共に、電話回線などの通信網にも接続可能である。そして画像形成装置1において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置1がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどができると共に、通信網を介してFAXデータなどのデータの送受信ができるように構成されている。この画像形成装置1は、装置本体2の上部に設けられた画像読取部3と、装置本体2のほぼ中央内部に設けられた画像形成部4とを備えており、これら画像読取部3と画像形成部4とにより、ユーザによって指定されたジョブを実行する画像処理ユニット5が構成されている。
【0036】
画像読取部3は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はスキャナ機能が使用される際に動作する。画像読取部3は、読取ガラス3aの上に載置された原稿を読み取って画像データを生成する。尚、読取ガラス3aの上部には、読取ガラス3aに対して接離自在なように回動する蓋部材3bが設けられているが、この蓋部材3bの代わりに複数枚の原稿を1枚ずつ画像読取部3に搬送する自動原稿搬送装置(いわゆるADF)を設けても良い。
【0037】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データを画像形成部4に出力する。またFAX機能又はスキャナ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は、原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データを画像形成装置1の外部に出力する。
【0038】
画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はプリンタ機能が使用される際に動作する。この画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成媒体となる用紙に画像形成を行い、プリント出力を行う。
【0039】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は、画像読取部3から入力する画像データに基づいて用紙に画像形成を行って出力する。またFAX機能又はプリンタ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は画像形成装置1の外部から入力する画像データに基づいて用紙に画像形成を行って出力する。
【0040】
画像形成装置1の装置本体2の前面側(+X側)には、ユーザが画像形成装置1を使用する際に各種設定や操作を行うための操作入力手段として操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各種情報を表示するための表示部61を備えており、この表示部61の前面にはタッチパネル62が設けられている。また表示部61の周囲には、画像形成装置1に対する各種設定操作を行ったり、ジョブの実行を指示したりするための複数の操作ボタン63が配置されている。
【0041】
また画像形成装置1の装置本体2の側面には、画像読取部3とほぼ同じ高さ位置に着脱可能な作業台7が棚状に取り付けられている。この作業台7は、その上面に略平坦な平板部71と、平板部71の前方端部(+X側の端部)から下方に垂下する前面壁72と、平板部71の側方端部(+Y側の端部)から下方に垂下する側面壁73とを備えており、例えば樹脂成形などによってこれらが一体形成された構成となっている。この作業台7は、装置本体2の側面に沿って前後方向に長く配置された平板部71の上を一時的な作業スペースとして利用可能であり、例えば読み取り対象となる原稿やプリント出力された用紙などを置くことができるようになっている。
【0042】
そして装置本体2の前面側に対応する作業台7の前面側先端部(前方端部)のほぼ中央に、生体情報読取装置8が設置されている。生体情報読取装置8はユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取手段であり、本実施形態ではユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。生体情報読取装置8は読み取り対象となるユーザの指を配置するために凹状に形成された読取部8aを備えており、この読取部8aに指を置いた状態で指の静脈パターンを読み取る構成となっている。生体情報読取装置8が読み取った生体情報は平板部71の下部を配線されたケーブル8bを介して装置本体2内部に出力され、画像形成装置1においてユーザの認証が行われる。すなわち、本実施形態では、ユーザ認証において、生体情報読取装置8が読み取った静脈パターンが、画像形成装置1に予め登録されたユーザの静脈パターンに一致するか否かの静脈認証が行われる。
【0043】
静脈認証は、静脈パターンという生体内部の特徴を利用してユーザの認証を行うものであるため、指紋認証や顔認証などのようにユーザの外見に現れる特徴を読み取って認証する場合と比較すれば、ユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有している。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、利用しやすく、かつ高いセキュリティレベルでのユーザ認証が行えるようになっている。
【0044】
図2は、図1における作業台7の前面側先端部を拡大した図である。生体情報読取装置8は、上述したように作業台7の前方端部のほぼ中央に位置するように配置される。ただし、中央である必要は特になく、例えば作業台7の前方端部において生体情報読取装置8を装置本体2寄りに設けても良いし、また側面壁73寄りに設けても良い。図2に示すように本実施形態では生体情報読取装置8の読取部8aが上向きに配置されており、作業台7には、生体情報読取装置8の上向きに配置された読取部8aに対してユーザの手の指を誘導するための誘導口7aが形成される。誘導口7aは、読取部8aの上方に対応する平板部71をその前端部からU字状に開放すると共に、読取部8aの前方に対応する前面壁72もその上端部からU字状に開放することによって形成されている。したがって、ユーザは作業台7に形成された誘導口7aを介して手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに置くことができるようになっている。尚、前面壁72のほぼ中央72aは誘導口7aの形成に伴って下方に膨出させた形態としており、これにより画像形成装置1を正面側から見たときに生体情報読取装置8の設置位置が視認しやすくなると共に、この膨出部の裏面側に後述する生体情報読取装置8の支持部材74aなどを配置できるようになる。
【0045】
画像形成装置1を使用するとき、ユーザは画像形成装置1の前面側(正面側)に立ち、原稿をセットしたり、操作パネル6を操作する。そのため、上述のように生体情報読取装置8を作業台7の前方端部に設けておくことにより、画像形成装置1を使用するためのユーザ認証を行う際、画像形成装置1の前方側から手の指を生体情報読取装置8に置きやすくなり、操作性が向上する。
【0046】
図3は、図2の生体情報読取装置8が設けられた部分の縦断面図である。図3に示すように生体情報読取装置8は作業台7の裏面側から装着され、平板部7の下面に取り付けられる。作業台7の裏面側には、生体情報読取装置8の底面を支持する支持部材74a,74bと、生体情報読取装置8の後方端部に係止して生体情報読取装置8が前後方向に移動することを規制する爪部材74cとが配置されており、これら支持部材74a,74bおよび爪部材74cが生体情報読取装置8を作業台7に固定する固定部材74となっている。したがって、ユーザが誘導口7aを介して生体情報読取装置8の読取部8aを指で押さえつけたとしても、生体情報読取装置8は作業台7から離脱しないようになっている。なお、生体情報読取装置8を作業台7に固定する態様は図例のものに限定されず、例えばネジや粘着テープなどの固定部材を採用しても良い。
【0047】
そして図3に示すように、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けることができ、平板部71の上面全体を作業スペースとして利用できるようになる。そのため作業台7の上の任意の場所に原稿などを一時的に載置することができ、十分な作業スペースを確保することができる。
【0048】
図4は、本実施形態における画像形成装置1の機能的な構成を示したブロック図である。図4に示すように、画像形成装置1の装置本体2には、上述した画像読取部3および画像形成部4の他、CPU10と、メモリ11と、データ通信部13とが設けられている。画像読取部3および画像形成部4は上述したように画像形成装置1における画像処理ユニット5を構成しており、この画像処理ユニット5によってコピー機能、FAX機能、プリンタ機能およびスキャナ機能における各種の画像処理が行われ、ユーザによって指定されたジョブが実行される。データ通信部13は、その内部に通信インタフェースを備えており、ネットワークや通信網と接続して外部の装置(例えばコンピュータやFAX装置など)とデータの送受信を行う。
【0049】
生体情報読取装置8は、凹溝状の読取部8aの側面に配置された投光部81と、読取部8aの底面に配置された撮像部82とを備えており、投光部81が読取部8aに配置されたユーザの指の側面から赤外光を照射し、指を透過して読取部8aの底面に向かう光が撮像部82に入射するように構成されている。生体情報読取装置8には装置本体2の図示しない電源から常時電力が供給されており、投光部81は常時赤外光を照射し続けると共に、撮像部82は常時赤外光を検知できるようになっている。撮像部82が出力する情報には2種類の情報があり、ひとつは読取部8aに何らかの物体が配置されたときに出力する検知情報であり、もうひとつは例えばCPU10から読取指令を受信した場合にユーザの手の指の静脈パターンを読み取って出力する生体情報である。したがって、生体情報読取装置8は、読取部8aにユーザの手の指など何らかの物体が配置されたか否かを常時監視しており、それを検知した時点で検知情報を出力すると共に、CPU10から読取指令を受信するとそれに応答して静脈パターンの読み取りを行い、生体情報を出力する。なお、生体情報は静脈パターンを撮像した画像データであるが、検知情報は画像データである必要はなく、単なるオン・オフ信号で良い。
【0050】
尚、生体情報読取装置8は必ずしも上述した2種類の情報を出力することが可能なものである必要はなく、CPU10から読取指令を受信した場合の生体情報のみを出力するものであっても構わない。
【0051】
メモリ11は、各種情報やプログラムなどを記憶する記憶手段であり、本実施形態ではユーザ管理データ12が格納されている。ユーザ管理データ12は、画像形成装置1のセキュリティを向上させるため、画像形成装置1を使用することができるユーザを管理するデータである。このユーザ管理データ12には、画像形成装置1を使用することが許可されたユーザごとに生体情報登録データ12aと機能登録データ12bとが互いに関連づけられて予め登録されている。生体情報登録データ12aは、ユーザ登録時に生体情報読取装置8で読み取った生体情報を予め登録したデータである。また機能登録データ12bは、登録されたユーザが使用できる画像形成装置1の機能を予め登録したデータである。例えば、あるユーザは画像形成装置1のコピー機能のみを使用できるが、別のユーザはコピー機能とスキャナ機能とを使用することができ、さらに別のユーザは画像形成装置1の全ての機能を使用することができる、というように機能登録データ12bにはユーザごとに使用することが許可された機能が登録されている。
【0052】
CPU10は、所定のプログラムを実行することにより、画像形成装置1の動作を制御する制御手段である。このCPU10は、生体情報読取装置8からユーザの生体情報(静脈パターン)を入力してユーザの認証を行い、その認証の結果、ユーザを特定することができた場合にそのユーザに対して予め許可された1つ又は複数の機能を実行許可状態とし、ユーザがそれら機能を使用できる状態とする。
【0053】
例えばCPU10は、生体情報読取装置8から検知情報を入力すると、生体情報読取装置8に対して読取指令を送出し、生体情報読取装置8の読取部8aに置かれたユーザの手の指から生体情報の読み取りを行わせる。そしてCPU10は生体情報読取装置8から生体情報を取得し、その取得した生体情報を、メモリ11に格納されている生体情報登録データ12aと照合して生体情報の認証、すなわちユーザの認証を行い、生体情報読取装置8から取得した生体情報が、生体情報登録データ12aに含まれる複数ユーザの生体情報のうちいずれか一つと適合する場合には、その適合した生体情報の登録ユーザを特定する。
【0054】
このようにしてユーザが特定されると、CPU10は、画像形成装置1における各種機能のうち、特定されたユーザに予め許可された機能を使用可能な状態に移行させる。具体的には、メモリ11から機能登録データ12bを読み込み、特定されたユーザに対して機能登録データ12bに登録されている1つ又は複数の機能を特定し、画像形成装置1においてそれらの機能を実行することが可能な実行許可状態とする。これに伴い、CPU10は、操作パネル6の表示部61の表示画面を初期画面から更新し、画像形成装置1において実行許可状態となった各種機能を操作するための操作案内画面(例えば、メニュー画面や設定画面など)を表示すると共に、タッチパネル62および操作ボタン63に対する入力操作を受け付け、その入力情報を許可された各種機能に反映させる。これにより、例えば画像形成装置1のコピー機能が使用される場合には、コピー部数の設定や両面/片面コピーの選択設定などが可能になる。そしてユーザが操作ボタン63に含まれる実行キーを操作した場合、CPU10が画像処理ユニット5およびデータ通信部13を制御することにより指定されたジョブを実行させる。
【0055】
このように本実施形態では、画像形成装置1を使用するユーザの生体情報を生体情報読取装置8によって読み取り、その生体情報に基づいてユーザ認証を行った結果、ユーザを特定することができた場合に限り、画像形成装置1の各種機能を使用することができる状態に移行させるので、不特定者によって画像形成装置1が使用されることを防止でき、画像形成装置1のセキュリティが確保されるようになっている。
【0056】
そして生体情報読取装置8は、作業台7の平板部71の下面側に装着され、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるので、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台7の利便性をより高めることができるようになっている。
【0057】
また生体情報読取装置8は作業台7の前方端部に設けられ、生体情報読取装置8の読取部8aにユーザの手の指を誘導するために作業台7に形成される誘導口7aが読取部8aの上方および前方を開放して形成されているため、ユーザは画像形成装置1の前方側から手を伸ばし、作業台7の上方から生体情報読取装置8の読取部8aに指を置くことができるため、操作が行いやすくなっている。
【0058】
さらに生体情報読取装置8を操作パネル6と別の作業台7に配置することにより、操作パネル6の大型化を抑制することもできる。操作パネル6は装置本体2に対して固定され、その取り外しができないことから、例えば画像形成装置1において紙詰まりが生じた場合のメンテナンス作業などを行い易くするためには、装置本体2から張り出す操作パネル6はなるべく小さいことが好ましい。本実施形態の画像形成装置1は生体情報読取装置8を操作パネル6と別の作業台7に配置しているので、操作パネル6の大型化を抑制でき、メンテナンス作業が行い易い形態となっている。尚、作業台7は装置本体2に対して着脱可能であるため、万一メンテナンス作業時に邪魔になるのであれば装置本体2から取り外すこともできるので特に問題となることはない。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、作業台7の上の全体を作業スペースとして利用できるため、例えば作業台7の前方端部の誘導口7aの上を覆う状態で原稿などを載置することもできる。しかし、その場合、生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を入れることができるだけの十分な隙間を確保することができなくなることが想定される。そこで、本実施形態では誘導口7aの上に原稿などを置いた場合でもその状態のままで生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を入れることができるようにした構成例について説明する。
【0060】
図5は、第2の実施の形態における画像形成装置1Aの外観構成を示す斜視図である。図5に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Aの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは作業台7の前方端部において読取部8aの上方および前方を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0061】
図6は、図5における作業台7の前面側先端部を拡大した図である。図6に示すように本実施形態の作業台7は、前方端部において誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7bを備えており、第1の実施の形態と比較すれば、生体情報読取装置8が平板部71に対してより低い位置に取り付けられている。
【0062】
図7は、図6の生体情報読取装置8が設けられた部分の縦断面図であり、(a)は作業台7の上に原稿などが置かれていない状態を、(b)は作業台7の上に原稿などの物体Mが置かれた状態を示している。図7(a)に示すように作業台7には、誘導口7aの上部周辺に段差部7bが設けられているため、誘導口7aの上方には段差部7bの高さ寸法に相当する空間(隙間)7cが形成される。そのため、図7(b)に示すように誘導口7aの上方の平板部71に原稿などの物体Mを置いた場合であっても空間7cは作業台7の前方側(+X側)に大きく開放される。この空間7cと誘導口7aを介して、ユーザは手の指Fを作業台7の前方側から挿入することができ、平板部71に置かれた物体Mはそのままの状態で生体情報読取装置8の読取部8aに指Fを置くことができる。
【0063】
なお、段差部7bの高さ寸法は、ユーザの手の指Fを作業台7の前方側から挿入することができる空間7cを形成する寸法であれば良く、例えば1cm程度であっても良いし、それ以上であっても構わない。また図例では段差部7bは平板部71から緩やかに傾斜して落ち込んだ斜面状の段差である場合を例示しているが、これに限定するものではなく、例えば平板部71から垂直に落ち込んだ段差として構成しても良い。またこの場合、段差部7bと誘導口7aとを一体的なものとし、誘導口7aの周壁として平板部71から落ち込んだ段差部7bを設けても良い。
【0064】
以上のように本実施形態でも、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けることができ、平板部71の上面全体を作業スペースとして利用できるようになり、作業台7の上の任意の場所に原稿などを一時的に載置することができ、十分な作業スペースを確保することができる。また生体情報読取装置8を作業台7の前方端部に設けているため、画像形成装置1を使用するためのユーザ認証を行う際、画像形成装置1の前方側から手の指を生体情報読取装置8に置くことができ、操作性し易い形態となっている。
【0065】
さらに本実施形態では、作業台7に対して、誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7bを設けており、誘導口7aの上に段差部7bによる空間7cが形成されるので、誘導口7aの上の平板部71に原稿などを載置した状態であっても生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を入れることができるだけの十分な隙間が確保され、その状態のままで生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置くことができるようになり、操作性がより一層向上する。
【0066】
なお、本実施形態における画像形成装置1Aの機能的な構成および各部の動作は第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であるため、ここではそれらについての説明を省略する。
【0067】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、第2の実施の形態とは異なる形態で、誘導口7aの上に原稿などを置いた場合でもそのままの状態で生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を入れることができるようにした構成例について説明する。
【0068】
図8は、第3の実施の形態における画像形成装置1Bの外観構成を示す斜視図である。図8に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Bの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは作業台7の前方端部において読取部8aの上方および前方を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0069】
図9は、図8における作業台7の前面側先端部を拡大した図である。図9に示すように本実施形態の作業台7は、前方端部において誘導口7aの上部周辺に平板部71から上方に突出する突状部7dを備えている。この突状部7dは、誘導口7aを構成する平板部71のU字状に開放した部分の外側を包囲するように形成されている。尚、図例では突状部7dを壁状に連続形成した場合を示しているが、ピン状の突状部を複数配置しても良い。
【0070】
図10は、図9の生体情報読取装置8が設けられた部分の縦断面図であり、(a)は作業台7の上に原稿などが置かれていない状態を、(b)は作業台7の上に原稿などの物体Mが置かれた状態を示している。図10(a)に示すように作業台7には、誘導口7aの周辺に突状部7dが設けられているため、誘導口7aの上方には突状部7dの高さ寸法に相当する空間(隙間)7eが形成される。そのため、図10(b)に示すように誘導口7aの上方に原稿などの物体Mを置いた場合であっても空間7eは作業台7の前方側(+X側)に大きく開放される。この空間7eと誘導口7aを介して、ユーザは手の指Fを作業台7の前方側から挿入することができ、平板部71に置かれた物体Mはそのままの状態で生体情報読取装置8の読取部8aに指Fを置くことができる。
【0071】
なお、突状部7dの高さ寸法は、ユーザの手の指Fを作業台7の前方側から挿入することができる空間7eを形成する寸法であれば良く、例えば1cm程度であっても良いし、それ以上であっても構わない。また図例では突状部7dは誘導口7aの周縁より若干外側に形成されている場合を示しているが、これに限定するものではなく、例えば突状部7dと誘導口7aとを一体的なものとし、誘導口7aの周壁として突状部7dを形成しても良い。
【0072】
以上のように本実施形態でも、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けることができ、平板部71の上面全体を作業スペースとして利用できるようになり、作業台7の上の任意の場所に原稿などを一時的に載置することができ、十分な作業スペースを確保することができる。また生体情報読取装置8を作業台7の前方端部に設けているため、画像形成装置1を使用するためのユーザ認証を行う際、画像形成装置1の前方側から手の指を生体情報読取装置8に置くことができ、操作性し易い形態となっている。
【0073】
さらに本実施形態では、作業台7に対して、誘導口7aの周辺に平板部71から上方に突出する突状部7dを設けており、誘導口7aの上に突状部7dによる空間7eが形成されるので、誘導口7aの上に原稿などを載置した状態であっても生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を入れることができるだけの十分な隙間が確保され、その状態のままで生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置くことができるようになり、操作性がより一層向上する。
【0074】
なお、本実施形態における画像形成装置1Bの機能的な構成および各部の動作は第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であるため、ここではそれらについての説明を省略する。
【0075】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。上述した第1乃至第3の各実施形態では、生体情報読取装置8が作業台7に対して埋設されているような取り付け態様となるため、画像形成装置を正面側から見たとき生体情報読取装置8の設置場所が視認し難くなる。そこで本実施形態では、生体情報読取装置8の設置場所を視認し易くし、操作性をさらに向上させることができるようにした構成例について説明する。
【0076】
図11は、第4の実施の形態における画像形成装置1Cの外観構成を示す斜視図である。図11に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Cの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは作業台7の前方端部において読取部8aの上方および前方を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0077】
図12は、図11における作業台7の前面側先端部を拡大した図である。図12に示すように本実施形態では、作業台7において誘導口7aの周辺部分(図中、斜線を施した部分)75の色が、他の部分(すなわち周辺部分75以外の部分)の色とは異なる色で構成される。例えば誘導口7aの周辺部分75を除いた他の部分を無彩色で構成し、誘導口7aの周辺部分75を有彩色で構成する。また誘導口7aの周辺部分75を除いた他の部分に有彩色を採用する場合には、誘導口7aの周辺部分75には他の部分の色と色相の異なる色を採用し、より好ましくは色相環において対極的な位置関係にある色を採用する。誘導口7aの周辺部分75を他の部分と異なる色とする方法は、特に限定するものではないが、例えば作業台7の色とは異なる色の塗料を塗布したり、或いは作業台7の色とは異なる色の粘着テープを貼付する方法などがある。また誘導口7aの周辺にカバー部材を取り付ける態様とし、そのカバー部材を作業台7とは異なる色で構成しても良い。
【0078】
このように作業台7において誘導口7aの周辺部分75の色を、他の部分の色とは異なる色で構成することにより、画像形成装置1Cを正面側から見たとき生体情報読取装置8の設置場所が視認し易くなる。そのため、ユーザは、画像形成装置1Cを使用するとき、生体情報読取装置8が設置された場所を探すことなく、瞬時にその設置場所を把握することができ、速やかにユーザ認証を開始するための操作を行えるので、操作性がさらに向上する。
【0079】
なお、本実施形態でも、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができる。また本実施形態でも、生体情報読取装置8を作業台7の前方端部に設けているため、画像形成装置1を使用するためのユーザ認証を行う際、画像形成装置1の前方側から手の指を生体情報読取装置8に置くことができ、この点でも操作性し易い形態となっている。
【0080】
また本実施形態でも、第2の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7b(図6、図7参照)を設けた構成としても良い。また第3の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの周辺に平板部71から上方に突出する突状部7d(図9、図10参照)を設けた構成としても良い。これらの構成を採用すれば、画像形成装置1Cの操作性がより向上するので好ましい。
【0081】
なお、本実施形態における画像形成装置1Cの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であり、ここではそれらについての説明を省略する。
【0082】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。上述した第1乃至第4の各実施形態では、生体情報読取装置8が装置本体2の側面の横方向に位置するため、ユーザが画像形成装置を使用する場合、生体情報読取装置8まで手を伸ばしてユーザ認証を行う必要がある。そしてユーザが特定された場合には、手を操作パネル6まで戻し、各種設定操作やジョブの実行を指示するための操作などを行うこととなるので腕の動きが大きくなる。そこで本実施形態では、ユーザの腕の動きを小さくすることによって操作性を改善する構成例について説明する。
【0083】
図13は、第5の実施の形態における画像形成装置1Dの外観構成を示す斜視図である。図13に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Dの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは作業台7の前方端部において読取部8aの上方および前方を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0084】
また図13に示すように本実施形態では、作業台7の前方端部に設けられた前面壁72が装置本体2の前面壁部2aを超えて更に前方側に延びており、生体情報読取装置8が取り付けられた作業台7の前面側先端部が操作パネル6の近傍位置まで延設されている。したがって、本実施形態の画像形成装置1Dを使用する場合、ユーザは手を伸ばすことなく、操作パネル6の近傍に位置する生体情報読取装置8の読取部8aに手の指を置くことができ、ユーザ認証が行われた結果ユーザが特定された場合には、その手を僅かに移動させるだけで、操作パネル6に対する各種設定操作やジョブの実行を指示するための操作などを行えるようになる。このとき、ユーザの腕の動きは小さくなるので、操作性が改善され、より操作しやすい画像形成装置1Dが実現されている。
【0085】
また本実施形態の場合、作業台7の前面側先端部を操作パネル6の近傍位置まで延設することにより、ユーザが作業スペースとして利用できる面積が増加するので、使い勝手の良い画像形成装置1Dとなっている。
【0086】
なお、本実施形態でも、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができるようになっている。
【0087】
また本実施形態でも、第2の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7b(図6、図7参照)を設けた構成としても良い。また第3の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの周辺に平板部71から上方に突出する突状部7d(図9、図10参照)を設けた構成としても良い。これらの構成を採用すれば、画像形成装置1Dの操作性がより向上するので好ましい。またさらに本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、作業台7に設けた誘導口7aの周辺部分75の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。
【0088】
なお、本実施形態における画像形成装置1Dの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であり、ここではそれらについての説明を省略する。
【0089】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。上述した第5の実施の形態では、作業台7の前面側先端部が操作パネル6の近傍位置まで延設されるため、作業台7が大型化する。そのため、作業台7を取り付けたままで画像形成装置を移動させる場合や、画像形成装置において紙詰まりなどが生じた場合のメンテナンス作業を行う場合などに大きな作業台7が障害となることがある。この作業台7は装置本体2から取り外しが可能であるが、上記のような作業を行う際にはなるべく作業台7を装置本体2から取り外すことなく作業が行えることが好ましい。そこで、本実施形態では、第5の実施の形態で説明したような優れた操作性を確保しつつ、メンテナンスなどの作業時には作業を行い易くできる形態について説明する。
【0090】
図14および図15はそれぞれ第6の実施の形態における画像形成装置1Eの外観構成を示す斜視図である。図14および図15に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Eの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは読取部8aの上方および前方の作業台7を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0091】
また本実施形態では図14および図15に示すように、作業台7が、第1作業エリア構成部材76と第2作業エリア構成部材77との2つの部材によって構成されている。第1作業エリア構成部材76は、装置本体2の側面に取り付けられ、装置本体2によって支持されると共に、その上面に略平坦な平板部71aを備えている。第2作業エリア構成部材77は、第1作業エリア構成部材76よりも小さなサイズに形成され、第1作業エリア構成部材76によって支持されている。また第2作業エリア構成部材77は第1作業エリア構成部材76の内側を前後方向(X軸方向)に摺動可能であり、第1作業エリア構成部材76の内側に収納したり、また第1作業エリア構成部材76の内側から引き出したりすることができるようになっている。そのため、第2作業エリア構成部材77は、装置本体2の側面に沿って前後方向に進退可能である。この第2作業エリア構成部材77は、その上面に略平坦な平板部71bが設けられており、またその前面側先端部には前面壁72が設けられると共に、生体情報読取装置8が取り付けられ、上述の誘導口7aが形成されている。
【0092】
第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76から前方方向に引き出していくと、図15に示すような状態となり、第1作業エリア構成部材76の内側に設けた規制手段(図示省略)が第2作業エリア構成部材77の後端部に係合してそれ以上の引き出しが規制されるようになっている。すなわち、図15に示す状態が、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76から最も前方側に引き出した状態であり、この状態において第2作業エリア構成部材77の前方端部に設けられた前面壁72が装置本体2の前面壁部2aを超えて更に前方側に延びており、生体情報読取装置8の取り付けられた前面側先端部が操作パネル6の近傍位置まで進出する。
【0093】
したがって、本実施形態の画像形成装置1Dを使用する場合、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76から最も前方側に引き出した状態としておけば、生体情報読取装置8と操作パネル6の距離が近くなる。それ故、ユーザは手を伸ばすことなく、操作パネル6の近傍に位置する生体情報読取装置8の読取部8aに手の指を置くことができ、ユーザ認証が行われた結果ユーザが特定された場合には、その手を僅かに移動させるだけで、操作パネル6に対する各種設定操作やジョブの実行を指示するための操作などを行えるようになる。このとき、ユーザの腕の動きは小さくなるので、操作し易い態様となる。
【0094】
またこのとき、第1作業エリア構成部材76の平板部71aと第2作業エリア構成部材77の平板部71bの双方が作業台7の平板部71を構成し、ユーザが作業スペースとして利用できる面積が増加するので、使い勝手の良い態様となっている。
【0095】
一方、第2作業エリア構成部材77を後方側に押し込み、第1作業エリア構成部材76の内側に挿入していくと、第2作業エリア構成部材77は第1作業エリア構成部材76の内側に完全に収納されるようになっている。この状態では、作業台7の大きさは第1作業エリア構成部材76と同じ大きさとなり、作業スペースは最小となる。
【0096】
したがって、本実施形態の画像形成装置1Eはユーザの用途に応じて作業スペースの拡大や縮小を行うことができると共に、画像形成装置1Eの移動やメンテナンス作業を行う際には、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76の内側に完全に収納して平板部71の面積を最小にした状態で作業を行うことにより、作業台7がそれら作業の障害となることを抑制でき、作業効率を向上させることができる。
【0097】
なお、本実施形態でも、上述した各実施形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができるようになっている。
【0098】
また本実施形態でも、第2の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7b(図6、図7参照)を設けた構成としても良い。特に本実施形態の場合には、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76の内側に完全に収納した状態にすると、生体情報読取装置8が第1作業エリア構成部材76の下に位置するため、生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置く動作が行い難くなる。そのため、第2の実施の形態のように、第2作業エリア構成部材77の誘導口7aの上部周辺に平板部71bから落ち込んだ凹状の段差部7b(図6、図7参照)を設けることにより、生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置く動作が行い易くなり、操作性が向上する。
【0099】
また本実施形態でも、第3の実施の形態で説明したように、作業台7の第2作業エリア構成部材77に対して、誘導口7aの周辺に平板部71bから上方に突出する突状部7d(図9、図10参照)を設けた構成としても良い。ただしこの場合、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76の内側に完全に収納できるようにするためには、第1作業エリア構成部材76の平板部71aの下面と、第2作業エリア構成部材77の平板部71bの上面との間に突状部7dの高さ寸法に相当する隙間を設けておくことが好ましい。また第1作業エリア構成部材76の平板部71aと第2作業エリア構成部材77の平板部71bとの段差をなるべく小さくするためには、突状部7dの位置および形状に対応させて第1作業エリア構成部材76の平板部71aを前方端部からU字状に開放し、第2作業エリア構成部材77を第1作業エリア構成部材76の内側に完全に収納したとき、突状部7dがそのU字状の開放部に嵌り込む構成としても良い。
【0100】
また本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、第2作業エリア構成部材77に設けた誘導口7aの周辺部分75の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。
【0101】
なお、本実施形態における画像形成装置1Eの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であるので、ここではそれらについての説明を省略する。
【0102】
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について説明する。上述した第1乃至第6の各実施形態では、生体情報読取装置8が作業台の7の前方端部に配置されているため、ユーザ認証を行う際、ユーザは手の指だけを生体情報読取装置8の読取部8aに置くこととなる。そのため、手や腕が安定せず、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれる可能性があり、そのぶれが生体情報読取装置8の読み取りエラーやユーザ認証時の認証エラーを生じさせる可能性がある。そこで本実施形態では、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれることを抑制できる構成例について説明する。
【0103】
図16は、第7の実施の形態における画像形成装置1Fの外観構成を示す斜視図である。図16に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Fの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7における平板部71の前方端部に生体情報読取装置8が読取部8aを上向きにして取り付けられている。そして第1の実施の形態と同様に、作業台7にはユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが形成されており、この誘導口7aは作業台7の前方端部において読取部8aの上方および前方を開放して形成されている。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0104】
図17は、図16における作業台7の前面側先端部を拡大した図である。図17に示すように本実施形態では、作業台7の前方端部において前面壁72の上端からU字状に開放された誘導口7aの下方に、ユーザの手を置くことができる補助部材78が前方側に突出するように設けられている。この補助部材78は、生体情報読取装置8がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するものである。図例では補助部材78を平板状に構成した場合を示しているが、補助部材78の形態は平板状に限られるものではなく、ユーザ認証を行うためにユーザが生体情報読取装置8の読取部8aに指を置く際、そのユーザの手を補助的に支持することができるものであればどのような形態であっても良い。
【0105】
このように本実施形態では、作業台7の前面壁72の下部にユーザの手を支持する補助部材78が設けられているため、ユーザはこの補助部材78に手を置いて安定させた状態で、その手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに置くことができる。その結果、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれることを抑制でき、生体情報読取装置8の読み取りエラーやユーザ認証時の認証エラーが生じる可能性を低減させることができる。そして画像形成装置1Fの信頼性を高めることが可能になる。
【0106】
また本実施形態でも、上述した各実施形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができる。
【0107】
また本実施形態でも、第2の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの上部周辺に平板部71から落ち込んだ凹状の段差部7b(図6、図7参照)を設けた構成としても良い。また第3の実施の形態で説明したように、作業台7に対して、誘導口7aの周辺に平板部71から上方に突出する突状部7d(図9、図10参照)を設けた構成としても良い。これらの構成を採用すれば、画像形成装置1Fの操作性がより向上するので好ましい。また本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、作業台7に設けた誘導口7aの周辺部分75の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。さらに本実施形態で説明した補助部材78を、第6および第7の実施の形態で説明した作業台7に設けても良い。
【0108】
なお、本実施形態における画像形成装置1Fの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であり、ここではそれらについての説明を省略する。
【0109】
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について説明する。上述した第1乃至第7の各実施形態では、生体情報読取装置8の読取部8aを上向きに配置し、ユーザ認証を行う際、ユーザは作業台7の前方かつ上方から読取部8aに対して指を置く形態を説明した。本実施形態では、ユーザの指を誘導する誘導口7aを作業台の側面壁に設け、ユーザ認証を行う際、ユーザは作業台7の横から指を読取部8aに添えることができる構成例について説明する。
【0110】
図18は、第8の実施の形態における画像形成装置1Gの外観構成を示す斜視図である。図18に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Gの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7における平板部71の前方端部に生体情報読取装置8が取り付けられている。そして本実施形態では、生体情報読取装置8は、平板部71の下面において前面壁72と側面壁73とが接合する角部に対して横置きに設置されており、ユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが作業台7の側面壁73に設けられている。そのため、誘導口7aは、画像形成装置1Gの側面方向に向かって開口する。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0111】
図19は、本実施形態における作業台7の前面側先端部を側面壁73側から見た拡大図である。図19に示すように作業台7の前面側先端部において誘導口7aは側面壁72を略円形に開放して形成されており、この誘導口7aに対応して作業台7の内側に生体情報読取装置8がその読取部8aを装置本体2の後方側に対応する後向き(−X向き)にして配置されている。したがって、画像形成装置1Gに対してユーザ認証を行う際、ユーザは作業台7の側面に開放された誘導口7aを介して指を挿入し、誘導口7aの内側にある生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置くこととなる。
【0112】
図20は誘導口7aから指Fを挿入して生体情報読取装置8が生体情報を読み取り可能な状態とした場合の一態様を示す図である。本実施形態では、図20に示すように作業台7の側面に形成された誘導口7aから指Fを挿入した状態で生体情報の読み取りが行われ、ユーザ認証が行われる。そしてユーザがユーザ認証を行うために指Fを誘導口7aから挿入しようとする際、ユーザの腕の動きは握手をする腕の動きに類似した動きとなり、より自然な動きでユーザ認証を行える。すなわち、第1乃至第7の各実施形態のように生体情報読取装置8の読取部8aを上向きに配置している場合には、ユーザ認証を行う際に肘が上がる動作が伴うが、本実施形態のように誘導口7aを作業台7の側面に開放形成し、かつ生体情報読取部8の読取部8aを後向きに配置している場合には、肘が上がらず、自然な動作で生体情報読取装置8の読取部8aに指Fを置くことができるようになる。そのため、本実施形態の画像形成装置1Gは操作上の違和感を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0113】
なお、本実施形態でも、上述した各実施形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができる。
【0114】
また本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、作業台7に設けた誘導口7aの周辺部分の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。特に本実施形態では、誘導口7aが画像形成装置1Gの正面側から視認しにくい作業台7の側面に設けられるため、誘導口7aの周辺部分の色を他の部分の色とは異なる色で構成することにより、ユーザ認証を行う際、ユーザはどこに指を入れれば良いかを速やかに把握することができるので好ましい。
【0115】
また、本実施形態における画像形成装置1Gの機能的な構成および各部の動作は、第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であるため、ここではそれらについての説明を省略する。
【0116】
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について説明する。本実施形態では、上述した第8の実施の形態に対して、ユーザの腕の動きをより小さくすることができる構成例について説明する。
【0117】
図21は、第9の実施の形態における画像形成装置1Hの外観構成を示す斜視図である。図21に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Hの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7における平板部71の前方端部に生体情報読取装置8が取り付けられている。そして第8の実施の形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の下面において前面壁72と側面壁73とが接合する角部に対して横置きに設置されており、ユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが作業台7の側面壁73に設けられている。そのため、誘導口7aは、画像形成装置1Gの側面方向に向かって開口する。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0118】
また図21に示すように本実施形態では、作業台7の前方端部において生体情報読取装置8の設置された部分が装置本体2の前面壁部2aを超えて更に前方側に延びており、生体情報読取装置8が操作パネル6の横方向に位置する程度(すなわち操作パネル6の近傍)まで延設されている。したがって、本実施形態の画像形成装置1Hを使用する場合、ユーザは手を伸ばすことなく、自然な腕の動きで作業台7の側面の誘導口7aから指を挿入することができる。そしてユーザ認証が行われた結果、ユーザが特定された場合には、その手を僅かに移動させるだけで、操作パネル6に対する各種設定操作やジョブの実行を指示するための操作などを行えるようになる。このとき、ユーザの腕の動きは小さくなるので、操作性が改善され、より操作しやすい画像形成装置1Hが実現される。
【0119】
なお、本実施形態でも、上述した各実施形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができる。
【0120】
また本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、作業台7に設けた誘導口7aの周辺部分の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。特に本実施形態では、第8の実施の形態と同様に、誘導口7aが画像形成装置1Hの正面側から視認しにくい作業台7の側面に設けられるため、誘導口7aの周辺部分の色を他の部分の色とは異なる色で構成することにより、ユーザ認証を行う際、ユーザはどこに指を入れれば良いかを速やかに把握することができるので好ましい。
【0121】
なお、本実施形態における画像形成装置1Hの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であり、ここではそれらについての説明を省略する。
【0122】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について説明する。本実施形態では、上述した第9の実施の形態の画像形成装置に対してユーザ認証を行う際、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を設けた構成例について説明する。
【0123】
図22は、第10の実施の形態における画像形成装置1Jの外観構成を示す斜視図である。図22に示すように本実施形態においても、画像形成装置1Jの装置本体2の側面に対して作業台7が棚状に取り付けられており、作業台7における平板部71の前方端部に生体情報読取装置8が取り付けられている。そして第8および第9の実施の形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の下面において前面壁72と側面壁73とが接合する角部に対して横置きに設置されており、ユーザの手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに誘導するための誘導口7aが作業台7の側面壁73に設けられている。そのため、誘導口7aは、画像形成装置1Gの側面方向に向かって開口する。尚、本実施形態でも生体情報読取装置8はユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。
【0124】
また本実施形態では、作業台7の前方端部において生体情報読取装置8の設置された部分が装置本体2の前面壁部2aを超えて更に前方側に延びており、生体情報読取装置8が操作パネル6の横方向に位置する程度まで延設されている。したがって、本実施形態の画像形成装置1Jは、第9の実施の形態と同様に、ユーザの腕の動きを小さくすることができるという利点がある。
【0125】
また図22に示すように本実施形態では、作業台7の前面壁72には生体情報読取装置8が設けた部分の近傍に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材78が設けられている。図23は作業台7の前面側先端部を側面壁73側から見た拡大図である。図23に示すように補助部材78は、ユーザが手で握ることができるハンドル部材79として構成され、作業台7の前面壁72に取り付けられている。ハンドル部材79は、生体情報読取装置8がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザがこれを握ることができるようにしてユーザの手を補助的に支持するものである。このように補助部材78をハンドル部材79として構成することにより、ユーザは握手をする動作でハンドル部材79を握り、その状態で人差し指を誘導口7aから挿入することができるようになる。ただし、補助部材78は、ハンドル部材79に限定するものではなく、ユーザ認証を行うためにユーザが生体情報読取装置8の読取部8aに指を置く際、そのユーザの手を補助的に支持することができるものであればどのような形態であっても良い。
【0126】
このように本実施形態では、作業台7の前面壁72に設けた補助部材78に手を置いて安定させた状態で、その手の指を作業台7の側面に設けた誘導口7aから挿入して生体情報読取装置8の読取部8aに置くことができる。その結果、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれることを抑制でき、生体情報読取装置8の読み取りエラーやユーザ認証時の認証エラーが生じる可能性を低減させることができる。そして画像形成装置1Jの信頼性を高めることが可能になる。なお、このような補助部材78は第8の実施の形態で説明した画像形成装置にも適用可能である。
【0127】
そして本実施形態でも、上述した各実施形態と同様に、生体情報読取装置8は、平板部71の上面よりも上に突出しない態様で作業台7に取り付けられるため、作業台7の上に十分な作業スペースを確保することができる。
【0128】
また本実施形態でも、第4の実施の形態で説明したように、作業台7に設けた誘導口7aの周辺部分の色を、他の部分の色とは異なる色で構成しても良い。特に本実施形態でも、第8および第9の実施の形態と同様に、誘導口7aが画像形成装置1Jの正面側から視認しにくい作業台7の側面に設けられるため、誘導口7aの周辺部分の色を他の部分の色とは異なる色で構成することにより、ユーザ認証を行う際、ユーザはどこに指を入れれば良いかを速やかに把握することができるので好ましい。
【0129】
また、本実施形態における画像形成装置1Jの機能的な構成および各部の動作もまた第1の実施の形態(図4参照)で説明したものと同様であり、ここではそれらについての説明を省略する。
【0130】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が適用可能である。
【0131】
例えば、上述した各実施形態では、画像形成装置が、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる複数の機能を備えた装置である場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばコピー専用機、FAX専用機、プリンタ専用機又はスキャナ専用機などの単機能機であっても良い。
【0132】
また上述した各実施形態では、作業台7が画像形成装置の装置本体2に対して右側面に設けられる場合を例示したが、これに限定されるものでもない。上述した作業台7は装置本体2の左側面に設けられても良いし、また正面側に設けられても良い。
【0133】
また上述した各実施形態では、生体情報読取装置8がユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置である場合を例示したが、これに限定されるものでもない。生体情報読取装置には静脈パターン読取装置の他、指紋読取装置など、静脈パターン以外の生体情報を読み取る装置もあるため、そのような他の装置を採用しても良い。ただし、静脈パターン読取装置は、上述したようにユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有しているため、画像形成装置を利用しやすいものとし、かつ、より信頼性の高いセキュリティを求める場合には、生体情報読取装置8として静脈パターン読取装置を採用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】第1の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1における作業台の前面側先端部を拡大した図である。
【図3】図2の生体情報読取装置8が設けられた部分の縦断面図である。
【図4】画像形成装置の機能的な構成を示したブロック図である。
【図5】第2の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図6】図5における作業台の前面側先端部を拡大した図である。
【図7】図6の生体情報読取装置が設けられた部分の縦断面図であり、(a)は作業台の上に原稿などが置かれていない状態を、(b)は作業台の上に原稿などの物体が置かれた状態を示している。
【図8】第3の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図9】図8における作業台の前面側先端部を拡大した図である。
【図10】図9の生体情報読取装置が設けられた部分の縦断面図であり、(a)は作業台の上に原稿などが置かれていない状態を、(b)は作業台の上に原稿などの物体が置かれた状態を示している。
【図11】第4の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図12】図11における作業台の前面側先端部を拡大した図である。
【図13】第5の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図14】第6の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図15】第6の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図16】第7の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図17】図16における作業台の前面側先端部を拡大した図である。
【図18】第8の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図19】図18における作業台の前面側先端部を側面壁側から見た拡大図である。
【図20】第8の実施の形態において誘導口から指を挿入して生体情報読取装置が生体情報を読み取り可能な状態とした場合の一態様を示す図である。
【図21】第9の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図22】第10の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図23】図22における作業台の前面側先端部を側面壁側から見た拡大図である。
【図24】従来の画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J 画像形成装置
2 装置本体
4 画像処理ユニット
6 操作パネル
7 作業台
7a 誘導口
7b 段差部
7d 突状部
8 生体情報読取装置(生体情報読取手段)
8a 読取部
10 CPU(制御手段)
71 平板部
72 前面壁
73 側面壁
75 誘導口の周辺部分
76 第1作業エリア構成部材
77 第2作業エリア構成部材
78 補助部材
79 ハンドル部材(補助部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、
前記装置本体に対して棚状に取り付けられ、平坦な平板部を有する作業台と、
前記作業台に取り付けられ、ユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取手段と、
前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する機能の実行を許可する制御手段と、
を備え、
前記生体情報読取手段は、前記作業台に取り付けられた状態で前記平板部の上面よりも上に突出しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記生体情報読取手段は、前記平板部の下面に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記生体情報読取手段は、生体情報を読み取る読取部を有し、
前記作業台には、前記読取部に対してユーザの手の指を誘導するための誘導口が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記生体情報読取手段は、前記装置本体の前面側に対応する前記作業台の前面側先端部に設けられると共に、前記読取部が上向きに配置され、
前記作業台の前記誘導口は、前記読取部の上方および前方を開放して形成されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作業台は、前記誘導口の上部周辺に前記平板部から落ち込んだ段差部を備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作業台は、前記誘導口の周辺に前記平板部から上方に突出する突状部を備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記生体情報読取手段は、前記読取部が前記装置本体の後方側に対応する後向きに配置され、
前記作業台の前記誘導口は、前記装置本体の側面側に対応する前記作業台の側面に開放形成されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記作業台の前記誘導口の周辺部分は、該周辺部分以外の部分の色とは異なる色で構成されることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体の前面側に取り付けられる操作パネルを更に備え、
前記作業台は、前記装置本体の側面に取り付けられると共に、該作業台の前面側先端部が前記操作パネルの近傍まで延設されていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記装置本体の前面側に取り付けられる操作パネルを更に備え、
前記作業台は、前記装置本体の側面に取り付けられる第1作業エリア構成部材と、前記第1作業エリア構成部材に支持されており、前記第1作業エリア構成部材から前記装置本体の前後方向に進退可能な第2作業エリア構成部材と、を備えており、
前記生体情報読取手段は、前記装置本体の前面側に対応する前記第2作業エリア構成部材の前面側先端部に設けられ、
前記第2作業エリア構成部材の前面側先端部は、前記操作パネルの近傍まで進出可能であることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記作業台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−186787(P2009−186787A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27148(P2008−27148)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】