説明

画像形成装置

【課題】小型化が促されていても現像装置や像担持体の温度上昇を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】書き込みユニット7と仕切部材21の間を、装置本体1の一端側から他端側に向けて気流を発生させる吸気ファン30,31を設け、レール板23にはプロセスカートリッジ20が上方へシフトされたとき隙間27と対向する位置に開口28が形成されており、書き込みスリット22及び開口28を介してプロセスカートリッジ20下の隙間が連通する気流の流路として構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ及びこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置においては、カラー化が広く普及しており、特に複数の像担持体を有するタンデムタイプのものが高速性に優れ主流になりつつある。かかる装置において、像担持体と作像装置の少なくとも一つを筐体内に収容したプロセスカートリッジを配置して用いる装置も知られている。
【0003】
さらに、かかる装置において、像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像装置に画像品質に大きく影響するため、トナーとキャリアからなる二成分現像方式が広く利用されている。この二成分現像方式は現像剤を確実に混合するため、攪拌部材を回転させている。そして、その攪拌部材の回転速度を上げて攪拌力を高めようとすると、特に現像装置を連続稼動させたとき現像装置内の温度が現像剤の摩擦により上昇し、現像剤劣化による画像品質の低下や現像装置内のトナー固着によるロックなどの問題を発生させることがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2006-72030号公報
【0005】
そこで、特許文献1等に記載されているように、ファンを設置して空気流で現像装置を冷却することが提案されている。しかしながら、近年の画像形成装置は小型化を促すに伴い各ユニットを密集しており、このため空気流が流れる流路を確保することが難しくなっている。特許文献1に記載の画像形成装置では作像ユニットと光書き込みユニットの間を空気流の通路としている。
【0006】
しかしながら、装着した作像ユニットが、その像担持体が中間転写ベルトに接するため、ユニット支持板より上方へシフトされたり、支持板から離れてセットされる画像形成装置においては、特許文献1のようにユニット支持板と光書き込みユニットの間を空気流路としても、その流路が作像ユニットから離れているため、冷却効果が乏しいと言う問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑み、小型化が促されていても現像装置や像担持体の温度上昇を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、像担持体に対して光書き込みを行う書き込みユニット、前記像担持体を有する複数のプロセスカートリッジを有し、該プロセスカートリッジは装置本体に固定された支持手段に着脱可能に支持される画像形成装置において、前記支持手段は、前記書き込みユニットから書き込み光が通過する書き込みスリットが形成されるとともに、プロセスカートリッジが装置本体に装着されたとき、当該プロセスカートリッジの底との間に隙間が形成される平板状の仕切部材と、該仕切部材に立設され前記プロセスカートリッジの装脱を案内するレール部とを具備し、前記書き込みユニットと前記仕切部材の間を、前記装置本体の一端側から他端側に向けて気流を発生させる気流発生手段を設け、前記支持手段のレール部にはプロセスカートリッジが装着されたとき前記隙間に面する位置に開口が形成されており、前記書き込みスリット及び開口を介してプロセスカートリッジ下の隙間が連通する前記気流の流路として構成されることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0009】
なお、本発明は、前記プロセスカートリッジの底と仕切部材の間の隙間が、前記プロセスカートリッジが装置本体の正規位置に装着されたとき、上方へシフトされて形成されると、効果的である。
【0010】
さらに、本発明は、前記プロセスカートリッジは少なくとも前記像担持体と該像担持体に形成される静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置を有し、該現像装置には像担持体と対向する現像ローラと、該現像ローラに供給する現像剤を攪拌する攪拌部材とを備え、該攪拌部材と前記書き込みスリットが垂直方向に対して左右にずれていると、効果的である。
【0011】
さらに、本発明は、前記開口が高さより横幅が長い横長穴で、前記レール部に複数個形成されていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記各レール部に形成された前記開口が送風手段の送風方向に沿って略直線状に連通するように形成されていると、効果的である。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記像担持体の軸線方向にて前記開口が形成されている領域が前記像担持体の略全幅に対応した領域であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記プロセスカートリッジがそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像を形成する現像装置を搭載し、かつ送風手段の送風方向に対してイエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に各プロセスカートリッジが並列配置されており、その際、前記開口がイエローのプロセスカートリッジを案内するレール部にはなく、マゼンタ以降プロセスカートリッジを案内するレール部に形成されていると、効果的である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記プロセスカートリッジは上部に像担持体の表面が露出されており、前記仕切板には画像形成装置本体に装着するプロセスカートリッジが上方への移動することを制限する阻止部が設けられていると、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記気流発生手段から前記書き込みユニットと前記仕切部材との間までを、モールド形成されたダクトによって連結されていると、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記ダクトの前記気流発生手段に対向する内面が、気流方向の上流側に突出する弧状に形成されていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ダクトと前記書き込みユニットとの隙間を発泡材で塞いでいると、効果的である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記書き込みユニットは、レーザ用防塵ガラス板を配置するための凸形状が設けられている上カバーを有し、その凸形状は前記書き込みスリット上流側に各色配置されていると、効果的である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記レーザ用防塵ガラス板が、前記上カバーの凸形状の、送風方向に対して反対面に配置されていると、効果的である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型化が促され、装着時に上方へシフトされるプロセスカートリッジを備えている画像形成装置であっても、気流発生手段の気流流路を現像装置や像担持体を直接的に冷却することができ、現像装置内の温度上昇による現像剤劣化による画像品質の低下や現像装置内のトナー固着によるロックなどを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図1はフルカラー画像を形成する画像形成装置の一例を示す垂直断面図であり、ここに示した画像形成装置は、画像形成装置本体1内に配置されたドラム状の感光体より成る第1ないし第4の像担持体2Y,2M,2C,2Kと、同じく画像形成装置本体1内に配置された無端状の中間転写ベルト3を有している。中間転写ベルト3は少なくとも支持ローラ4,5に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。
【0020】
上記中間転写ベルト3は、各像担持体2Yないし2Kの上方に位置し、該中間転写ベルト3の下側の走行辺が各像担持体2Yないし2Kの周面に当接している。中間転写ベルト3は、各像担持体の表面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される転写材の一例を構成するものである。
【0021】
第1ないし第4の各像担持体2Y,2M,2C,2K上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、そのトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、第1の像担持体2Yにトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成だけを説明する。
【0022】
図2において、像担持体2Yは時計方向に回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ6Yより成る帯電装置によって像担持体2Yが所定の極性に帯電される。帯電後の像担持体2Yには、図1に示した光書き込み装置7から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置10Yによってイエロートナー像として可視像化される。この現像装置10Yは、像担持体2Yに対向配置されて現像ローラ11Yと、該現像ローラ11Yに供給する現像剤を撹拌する撹拌スクリュー12Y,13Yを備え、撹拌スクリュー12Y,13Yは互いに逆方向に現像剤を搬送して装置内を循環させながら撹拌する。
【0023】
中間転写ベルト3を挟んで、像担持体2Yと反対側に一次転写ローラ8Yが配置され、この一次転写ローラ8Yに転写電圧が印加されることにより、像担持体2Y上のトナー像が転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の像担持体2Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置9Yによって除去される。クリーニング装置9Yを通過した像担持体2Yが帯電ローラ6Yを通るとき、除電と同時に帯電され、次の作像に備える。
【0024】
上述したところと全く同様にして、図1に示した第2ないし第4の像担持体2M,2C,2K上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各像担持体2M,2C,2K上の転写残トナーがクリーニング装置9M,9C,9Kにより除去されることも第1の像担持体2Yの場合と変わりはない。
【0025】
一方、図1に示すように、画像形成装置本体1内の下部には、例えば転写紙より成る記録媒体Pを収容した給紙カセット15と、給紙ローラ16を有する給紙装置14が配置され、給紙ローラ16の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印方向に送り出される。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ対(図示せず)によって、所定のタイミングで支持ローラ5に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ17との間に給送される。このとき、二次転写ローラ17には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0026】
合成トナー像を二次転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置18を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置18を通過した記録媒体Pは、排紙手段によって、画像形成装置本体1の上部の排紙部19に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーは図示していないベルトクリーニング装置によって除去される。
【0027】
ところで、帯電ローラ6Yより成る帯電装置、現像装置10Y及びクリーニング装置9Yは、像担持体2Yにトナー像を形成するための作像装置を構成するものであり、これは、他の像担持体2M,2C,2Kのまわりに設けられた帯電ローラ6M,6C,6K、現像装置10M,10C,10K及びクリーニング装置9M,9C,9Kも同様である。
【0028】
ここで、表面にトナー像が形成される各像担持体2Yないし2Kと、その各像担持体にトナー像を形成するための少なくとも1つの作像装置とが、それぞれ一体的に組み付けられたプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kとして構成され、本例の画像形成装置は、かかるプロセスカートリッジを複数個有し、その各像担持体2Yないし2Kにそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像を転写材の一例である中間転写ベルト3に転写して記録画像を得るように構成されている。
【0029】
本例の画像形成装置においては、ユニットケース21Yに、像担持体2Yが回転自在に支持され、この像担持体2Yと、現像装置10Yと、クリーニング装置9Yと帯電ローラ6Yが一体的に組み付けられている。他の各像担持体2C,2M,2Kと、そのまわりにそれぞれ設けられた作像装置によっても、全く同様なプロセスカートリッジ20M,20C,20Kがそれぞれ構成されている。
【0030】
上述のように、像担持体と帯電装置と現像装置とクリーニング装置の全てを一体化してプロセスカートリッジ20を構成する代りに、像担持体と少なくとも一部の作像装置とによってプロセスカートリッジ20を構成してもよい。例えば、像担持体と、帯電装置、現像装置、クリーニング装置の少なくとも1つとによって構成したプロセスカートリッジ20でもよく、プロセスカートリッジ20は現像装置を含むかは問わない。
【0031】
このように構成されたプロセスカートリッジ20は、図1ないし図3に示すように、支持手段としての仕切部材21に支持されている。この仕切部材21は、光書き込み装置7とプロセスカートリッジ20を仕切るように装置本体に固定された平板状の板材で構成され、この仕切部材21には光書き込み装置7からのレーザビームLが通過する書き込みスリット22が形成され、さらにプロセスカートリッジ20の装脱をガイドするレール部としてのレール板23が立設されている。このレール板23は、画像形成装置本体に対して装脱するプロセスカートリッジ20の両側をガイドするものであって、その高さはプロセスカートリッジ20の高さよりかなり低く設定されている。
【0032】
また、上記仕切部材21には図4に示すように、プロセスカートリッジ20が正規の位置に装着される直前に、当該プロセスカートリッジ20を上方へシフトさせる突起部材24が奥側、すなわちプロセスカートリッジ装着方向の最下流側に設けられている。プロセスカートリッジ20を上方へシフトする手段は、この突起部材24とプロセスカートリッジ20の底面において、手前側、すなわちプロセスカートリッジ装着方向の最上流側に設けられている突起25とによって構成されている。
【0033】
プロセスカートリッジ20の画像形成装置本体1への装着は、画像形成装置の例えば操作部(図示せず)が設けられている面を正面とすると、その正面から奥側に向けて仕切部材21上をスライドさせて装着するものである。その装着に際しては、まず、プロセスカートリッジ20の両側面に形成された図示していない溝に、レール板23の手前側に設けられた張り出し部26が入るように位置合わせした後、プロセスカートリッジ20を仕切部材21に支持させた状態のまま奥へ押し込む。プロセスカートリッジ20が押し込まれてスライドし、正規位置の直前まで達すると、突起部材24上に乗り上げ、同時にプロセスカートリッジ20の突起25も仕切部材21の面に乗り上がって正規の位置に達する。これにて、プロセスカートリッジ20は突起部材24,25の高さ分だけ上方へシフトし、像担持体2が中間転写ベルト3に接する正規の位置に装着される。したがって、プロセスカートリッジ20の底面が仕切部材21から離れ、プロセスカートリッジ20と仕切部材21の間に隙間27が形成される。なお、上記張り出し部26は溝(図示せず)に遊嵌されることによりスライド時にプロセスカートリッジ20が上方へ変位して像担持体が枠体等に当たって傷付くことを防止する阻止部としても機能している。
【0034】
なお、本実施形態の画像形成装置はプロセスカートリッジ20が正規の位置に装着されるとき、仕切部材21の間に隙間27がある構成であればよい。上記のように装着動作に伴って上方へシフトするものの以外に、所定位置まで装着するとリフト等で上方へ持ち上げる等の正規の位置で仕切部材21の間に隙間27ができるものであればよい。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置には、書き込みユニット7と仕切部材21の間を、図1において装置本体の左端側から右端側に向けて流れる気流を発生させる気流発生手段としての吸気ファン30,31が設けられている。なお、吸気ファン30,31は図3に示すように装置本体1の左側面を見て左右両側部にそれぞれは位置されている。そして、吸気ファン30,31による気流は整流ダクト32,33を介して書き込みユニット7と仕切部材21の間に流れ込むように構成されている。
【0036】
かくして、吸気ファン30,31による気流は書き込みユニット7と仕切部材21の間を流れるが、このまま機外に抜けると、上記したようにプロセスカートリッジ20は上方にシフトして仕切部材21との間に隙間27が形成されるため、気流によって現像装置10の撹拌部材12,13を効率よく冷却することができない。
【0037】
そこで、本実施形態ではレール板23の隙間27と面する高さ位置に、多数の高さより横幅が長い横長穴(トラック状の穴)からなる開口28を設けている。さらに、図3に示すように仕切部材21を支持する後側板40には隙間27と連通した排気口41が形成されている。
【0038】
このように構成すると、吸気ファン30,31からの気流が図5に示すように、書き込みスリット22から隙間27に入り込み、一部が開口28を通って隣のプロセスカートリッジ20の隙間に流れ、他の一部は排気口41から図6に示すように、後側板40の裏面に設けたダクト(図示せず)を通って排気ファン42を介して機外に排出される。このダクトにはオゾンフィルターを高濃度のオゾンが含まれている恐れがあっても、オゾンの機外への排出を抑えることができる。
【0039】
なお、上記開口28は図2に示すように、イエロープロセスカートリッジ20Yの左レール板2に設けていない。さらに、イエロープロセスカートリッジ20Yの隙間27Yに通ずる排気口41も設けていない。これは、イエロープロセスカートリッジ20が他のプロセスカートリッジ20M,20C,20Kより吸気ファン30,31に近く、直接的でない隙間27を介した間接的な冷却でも十分な冷却効果が得られるためである。なお、他のプロセスカートリッジとして図8にマゼンタプロセスカートリッジ20Mを示す。このマゼンタプロセスカートリッジ20Mにはそのレール板23にそれぞれ開口28が設けられている。
【0040】
かくして、本実施形態の画像形成装置ではプロセスカートリッジ20を上方へシフトしてもそのシフトによって形成された隙間27を気流の流路になるで、現像装置10の撹拌スクリュー12,13を直接的に冷却することができ、攪拌スクリュー12,13の回転速度を上げて攪拌力を高めても現像装置10内の温度上昇を抑えることができる。また、攪拌スクリュー12,13と書き込みスリット22は垂直方向に対して左右にずれている。空気は、図5に示すように書き込みスリット22から仕切部材21の上に流れ込んだ後、レール板23の開口28を介して、その右側のプロセスカートリッジ20へと向かう。開口28の左側から流れてくる空気が右側に抜けて、高い熱を持つ攪拌スクリュー12,13を効率よく冷却できる。これは空気が左右逆に流れる構成であっても同様である。
【0041】
ところで、レール板23に形成された開口28は図4に示すように、高さより横幅が長いトラック状の穴に形成したことにより、空気が開口28を通過する際の圧力損失を抑え、通気性を高められる。さらに、開口28は、レール板23に多数形成することでレール板23の強度を保ちつつ開口面積を大きくとることができる。
【0042】
さらに、各レール板23に形成された開口28は図7に示すように、吸気ファン30,31の気流方向に沿って略直線状に連通するように形成することで気流の乱れを抑えてブラックプロセスカートリッジ20Kまで届き易く構成している。なお、開口28が形成されている幅方向の領域は全幅を満遍なく冷却することができるように、像担持体2の略全幅に対応した領域になっている。
【0043】
ところで、吸気ファン30,31からの風は整流ダクト32,33を介して書き込みユニット7と仕切部材21の間に流れ込むように構成されているが、整流ダクト32,33及びその前後の取り付け部おいて空気の漏れが生ずると、冷却効果が半減してしまう虞がある。
【0044】
そこで、図9及び図10に示す本発明の他の実施形態では吸気ファン30,31から書き込みユニット7と仕切部材21の間までの整流ダクト32,33をモールド形成によって連結している。
【0045】
かかる構成によって流路の密閉性を高められ、空気漏れを低減して良好な冷却効果が得られる。
また、整流ダクト32,33は吸気ファン30,31に対向するダクトの内面が、気流方向の上流側に緩やかに突出する弧状に形成されている。すなわち、整流ダクト32,33は吸気ファン30,31に対向するダクトの内面が、内側に凸になるようなR形状34が形成されている。
【0046】
このように構成すると、吸気ファン30,31が書き込みユニット7や仕切部材21の近傍に配置されることがあっても、R形状34によって吸気ファン30,31からの風が整流ダクト32,33の内面に直角に近い角度で当たることを避けることができ、吸入口における圧力損失を低減することができる。また、圧力損失を低減することにより、整流ダクト32,33部における騒音も低減することができる。
【0047】
また、整流ダクト32,33と書き込みユニット7は別部材になるので、両者の間に隙間が生ずることがある。このとき、その隙間を図10に示すように、スポンジ等の発泡材35を用いて塞ぐようにする。このように構成すると、整流ダクト32,33と書き込みユニット7間の空気の漏れを防ぐことができ、さらに吸気ファン30,31の振動が書き込みユニット7に伝達され、異常画像が発生してしまうことを防ぐことができる。
【0048】
書き込みユニット7は、図11及び図12に示すように、レーザ用防塵ガラス板71を配置するための凸形状72が設けられている上カバー70を有している。その凸形状72は書き込みスリット22の上流側に各色配置されているので、図12に示すように、吸気ファン30,31からの風を上カバー70の凸形状72に当てて、各色の書き込みスリット22に誘導することが可能となり、プロセスカートリッジ20側への冷却効率を上げることができる。
【0049】
また、レーザ用防塵ガラス板71が、上カバー70の凸形状72における送風方向に対して反対面に配置されているので、埃等が吸気ファン30,31を通して書き込みユニット7の上部に搬送されてしまったとしても、レーザ用防塵ガラス板71上に付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図2】イエロープロセスカートリッジの詳細を示す説明図である。
【図3】プロセスカートリッジの支持手段を示す斜視図である。
【図4】正規の位置に配置されたプロセスカートリッジを示す説明図である。
【図5】画像形成装置の全体構成における空気の流れを示す概略説明図である。
【図6】後側板の裏側を示す斜視図である。
【図7】本発明の気流の流れを示す平面説明図である。
【図8】マゼンタプロセスカートリッジの詳細を示す説明図である。
【図9】整流ダクト付きの吸気ファンを示す斜視図である。
【図10】吸気ファン付近の風の流れを示す説明図である。
【図11】書き込みユニットの外観を示す斜視図である。
【図12】書き込みユニット上の風の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
2Y,2M,2C,2K 像担持体
3 中間転写ベルト
7 書き込みユニット
10 現像装置
20Y,20M,20C,20K プロセスカートリッジ
21 仕切部材
22 書き込みスリット
23 レール板
27 隙間
28 開口
30,31 吸気ファン
32,33 整流ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対して光書き込みを行う書き込みユニット、
前記像担持体を有する複数のプロセスカートリッジを有し、
該プロセスカートリッジは装置本体に固定された支持手段に着脱可能に支持される画像形成装置において、
前記支持手段は、前記書き込みユニットから書き込み光が通過する書き込みスリットが形成されるとともに、プロセスカートリッジが装置本体に装着されたとき、当該プロセスカートリッジの底との間に隙間が形成される平板状の仕切部材と、該仕切部材に立設され前記プロセスカートリッジの装脱を案内するレール部とを具備し、
前記書き込みユニットと前記仕切部材の間を、前記装置本体の一端側から他端側に向けて気流を発生させる気流発生手段を設け、
前記支持手段のレール部にはプロセスカートリッジが装着されたとき前記隙間に面する位置に開口が形成されており、
前記書き込みスリット及び開口を介してプロセスカートリッジ下の隙間が連通する前記気流の流路として構成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記プロセスカートリッジの底と仕切部材の間の隙間が、前記プロセスカートリッジが装置本体の正規位置に装着されたとき、上方へシフトされて形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記プロセスカートリッジは少なくとも前記像担持体と該像担持体に形成される静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置を有し、該現像装置には像担持体と対向する現像ローラと、該現像ローラに供給する現像剤を攪拌する攪拌部材とを備え、該攪拌部材と前記書き込みスリットが垂直方向に対して左右にずれていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記開口が高さより横幅が長い横長穴で、前記レール部に複数個形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、前記各レール部に形成された前記開口が気流発生手段の気流方向に沿って略直線状に連通するように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成装置において、前記像担持体の軸線方向にて前記開口が形成されている領域が前記像担持体の略全幅に対応した領域であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記プロセスカートリッジがそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像を形成する現像装置を搭載し、かつ送風手段の送風方向に対してイエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に各プロセスカートリッジが並列配置されており、その際、前記開口がイエローのプロセスカートリッジを案内するレール部にはなく、マゼンタ以降プロセスカートリッジを案内するレール部に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記プロセスカートリッジは上部に像担持体の表面が露出されており、前記レール部には画像形成装置本体に装着するプロセスカートリッジが上方への移動することを制限する阻止部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記気流発生手段から前記書き込みユニットと前記仕切部材との間までを、モールド形成されたダクトによって連結されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、前記ダクトの前記気流発生手段に対向する内面が、気流方向の上流側に突出する弧状に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9に記載の画像形成装置において、前記ダクトと前記書き込みユニットとの隙間を発泡材で塞いでいることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記書き込みユニットは、レーザ用防塵ガラス板を配置するための凸形状が設けられている上カバーを有し、その凸形状は前記書き込みスリット上流側に各色配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、前記レーザ用防塵ガラス板が、前記上カバーの凸形状の、送風方向に対して反対面に配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−9074(P2009−9074A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191946(P2007−191946)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】