説明

画像形成装置

【課題】スキャナで読み取られた画像データから裏紙データを削除するための裏紙パターンデータの登録に関して、ユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減する。
【解決手段】印刷処理が片面印刷の場合(S2でYES)、裏紙パターンデータ登録部は、印刷対象データ(コピー画像データ、プリントアウト画像データ、ファクシミリ受信画像データ、保存画像データ等)を裏紙パターンデータとして自動的に登録する(S3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能等を搭載したデジタル複合機等の画像形成装置であって、特に裏紙を用いた原稿を読み取る際に好適な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複合機等の画像形成装置では、自動原稿送り装置(ADF: Automatic Document Feeder)等の画像読取装置によって、原稿の表裏両面を自動的に読み取るものがある。
【0003】
原稿の両面に情報が記録されている場合であっても、それがいわゆる裏紙を使用した片面原稿であることもある。裏紙を使用した片面原稿の場合、自動原稿送り装置で読み取っても必要な情報は表面のみであり、裏面の情報は不要である。
【0004】
例えば、両面原稿(表裏両面に必要な情報が記録されている原稿)に裏紙を使用した片面原稿が混在していた場合、両面読取に対応した自動原稿送り装置でこれらの原稿をスキャンすれば、不要な裏紙データを含んだかたちでコピー処理またはファイル化処理がなされてしまう。
【0005】
そこで、特許文献1には、裏紙を特定するための情報である裏紙パターンデータをユーザが予め設定できるようにしておき、両面読取に対応した自動原稿送り装置で原稿をスキャンした画像データの中から裏紙パターンデータと合致する裏紙データを検知し、スキャンした画像データから裏紙データを排除してコピー処理またはファイル化処理する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−82010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、裏紙を特定するための情報である裏紙パターンデータを予めユーザが設定しておく必要があるため、ユーザに煩雑な当該設定作業を強いる必要があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、裏紙パターンデータの登録に関して、ユーザに事前の特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、画像読取手段と、裏紙パターンデータを登録する裏紙パターンデータ登録手段と、前記画像読取手段で読み取られた画像データと前記裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データか否かの判定を行う裏紙判定手段と、前記裏紙判定手段によって前記画像データが裏紙データと判定された場合に、前記画像読取手段で読み取られた画像データから裏紙データを削除する裏紙削除手段と、印刷対象データに基づいて、用紙に画像を印刷する印刷手段と、を備えた画像形成装置であって、前記裏紙パターンデータ登録手段は、前記印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときの印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、画像読取手段で読み取られた画像データと、裏紙パターンデータ登録手段にて登録されている裏紙パターンデータとの照合により、当該読み取られた画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データか否かが、裏紙判定手段にて判定される。前記裏紙判定手段によって前記画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データと判定された場合に、裏紙削除手段が読み取られた画像データの中から裏紙データを削除するので、読み取られた画像データから裏紙データが排除されたかたちでその後の処理(例えばコピー処理やファイル化処理)を実施することができる。
【0010】
ここで、前記裏紙パターンデータ登録手段は、印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときの印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録するようになっている。このように片面印刷の場合にのみ、印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録するのは、片面印刷された印刷物が、その後、裏紙として使用される可能性が高いからである。すなわち、本発明のように、片面印刷の印刷対象データを片面印刷がなされる時点で自動的に裏紙パターンデータとして登録して蓄積しておけば、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0011】
上記の構成において、前記印刷対象データが、コピーのために画像読取手段により読み取られたコピー画像データであり、前記裏紙パターンデータ登録手段が、片面コピーのときのコピー画像データを裏紙パターンデータとして登録する構成とすることが望ましい(請求項2)。
【0012】
上記の構成によれば、片面コピーのとき、画像読取手段により読み取られたコピー画像データが自動的に裏紙パターンデータとして登録されるので、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0013】
上記の構成において、前記印刷対象データが、外部コンピュータからの印刷要求により印刷対象となるプリントアウト画像データであり、前記裏紙パターンデータ登録手段が、外部コンピュータからの片面印刷要求のときのプリントアウト画像データを裏紙パターンデータとして登録する構成とすることが望ましい(請求項3)。
【0014】
上記の構成によれば、外部コンピュータからの片面印刷要求のとき、プリントアウト画像データが自動的に裏紙パターンデータとして登録されるので、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0015】
上記の構成において、前記印刷対象データが、ファクシミリ受信のときのファクシミリ画像データであり、前記裏紙パターンデータ登録手段が、ファクシミリ受信して片面印刷したときのファクシミリ受信画像データを裏紙パターンデータとして登録する構成とすることが望ましい(請求項4)。
【0016】
上記の構成によれば、ファクシミリ受信して片面印刷したとき、ファクシミリ受信画像データが自動的に裏紙パターンデータとして登録されるので、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0017】
上記の構成において、本発明の一局面に係る画像形成装置は、片面印刷される用紙の非印刷面が白紙か否かを検知する検知手段をさらに含み、前記裏紙パターンデータ登録手段は、前記印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときであっても、当該用紙の非印刷面が白紙でない場合は印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録しないことが望ましい(請求項5)。
【0018】
通常、両面白紙の用紙が印刷に用いられるが、裏紙が印刷用の用紙として用いられる可能性もある。裏紙が印刷用の用紙として用いられた場合、片面印刷をしたら両面に情報が記録された用紙となって、最早、裏紙としての使用はなくなる。そこで、上記の構成のように、片面印刷される用紙の非印刷面が白紙か否かを検知する検知手段を設け、印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときであっても、当該用紙の非印刷面が白紙でない場合は、裏紙パターンデータ登録手段が印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録しないようにすることによって、不要な裏紙パターンデータの登録を回避できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザに事前の特別な作業を強いることなく、画像形成装置が自動で裏紙パターンデータを登録・蓄積するので、ユーザの作業負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る画像形成装置を、カラーコピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
【0021】
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。複合機1は大きく分けると画像読取装置(画像読取手段)2と装置本体3とからなる。画像読取装置2は、原稿給紙部21とスキャナ部22とCIS(Contact Image Sensor)231と操作部5と、更に後述する反転機構及び制御部61(図2参照)とを備えてなる。原稿給紙部21はADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、搬送ドラム213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれて搬送ドラム213へ搬送される。搬送ドラム213を経由した原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ排出される。
【0022】
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部22は、プラテンガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を備える。このスキャナ部22は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、上記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導くものである。スキャナ部22は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
【0023】
プラテンガラス221には、上記原稿給紙部21によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。プラテンガラス221は、光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0024】
画像読取装置2の原稿読取方式としては、プラテンガラス221上に載置された原稿をスキャナ部22が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部21(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。フラットベッド読取モードでは、光源222がプラテンガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像を同時に処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、当該主走査方向と直交する方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0025】
ADF読取モードでは、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方位置に配置される。原稿給紙部21による原稿搬送で、原稿が搬送ドラム213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー233、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部21によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0026】
更に、原稿給紙部21は切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218からなる原稿反転機構を有する。この原稿反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面(原稿の一方の面)が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230(スキャナ部22)に再搬送することで、再度CCD229によって裏面(原稿の他方の面)の読み取りを行わせる。この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿を搬送ドラム213へ再給紙する。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0027】
更に、本実施形態の画像読取装置2は、ADF読取モード時において、上記で説明したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部22)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略同時に(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部21により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部21による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
【0028】
さらに、複合機1は、装置本体3と、装置本体3の左方に配設されたスタックトレイ6を有している。装置本体3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して印刷部(印刷手段)40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する印刷部40とを備える。また、装置本体3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された記録紙を1枚ずつ印刷部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
【0029】
印刷部(画像形成部)40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部22で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、印刷部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463、464等が設けられている。
【0030】
記録紙の両面に画像を形成する場合は、印刷部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って印刷部40の上流域に再度搬送し、印刷部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0031】
また、装置本体3の前方には、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視認することができる表示部や、種々の操作命令を入力するための操作ボタンを有する操作部5が備えられている。
【0032】
複合機1は、前述のような原稿搬送構成を有するため、両面同時読取モードで読取動作が行われた原稿は、当該原稿が原稿トレイ211に載置されていたときの該原稿と表裏反転した状態で排紙トレイ215に排紙される。したがって、原稿トレイ211に原稿束が載置された場合には、排紙トレイ215に積層的に各原稿が排出されるが、このときの各原稿を最も下に位置する原稿からみたとき、それらの原稿は原稿トレイ211に載置されていたときの頁順で積層状態となる。
【0033】
また、両面反転読取モードで読取動作が行われた原稿は、CCD229により裏面の画像を読み取った原稿をそのまま原稿トレイ211に原稿を排出するように構成した場合、排紙トレイ215に積層状態で排出された原稿の頁順が、原稿トレイ211に載置されていたときの頁順と異なるため、この場合には、CCD229により裏面の画像を読み取った原稿を、再度、原稿反転機構により反転した上で原稿トレイ211に原稿を排出することで、排紙トレイ215に積層的に排出される各原稿を最も下に位置する原稿からみたとき、それらの原稿が原稿トレイ211に載置されていたときの頁順で積層状態となるようにしている。
【0034】
図2は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。尚、図1に示した各部と同一のものには同一の符号を付して詳細な説明は省略する。複合機1は、原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、操作部5、画像処理部64、印刷部40、通信部66及び制御部61を備えて構成される。
【0035】
原稿給紙部21は、前記ADF読取モードで原稿のコピーやスキャンが行われる際に、原稿トレイ211に載置された原稿を自動的に取り込んで、CCD229やCIS231による原稿の読み取りが可能なように搬送する。操作部5は、図1に示す操作部5に相当するものである。スキャナ部22、CIS231及び操作部5は、図1に示すスキャナ部22、CIS231及び操作部5に相当するものである。
【0036】
画像処理部64は、画像データに関する各種画像処理を行うものである。例えば、画像処理部64は、CCD229又はCIS231によって取得された画像データや、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ、公衆回線で接続されたファクシミリ装置等から通信部66を介して転送されてくる画像データに対して、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像加工処理を行う。
【0037】
印刷部40は、CCD229又はCIS231によって得られた画像データや、上記パーソナルコンピュータやファクシミリ装置等から通信部66を介して転送された画像データに基づいた画像を記録媒体に形成する。
【0038】
通信部66は、ネットワークインターフェースを用い、ネットワークを介して接続されたコンピュータやファクシミリ装置等の外部装置との間で種々のデータの送受信を行うものである。
【0039】
制御部61は、複合機1の全体動作制御を司るものであり、CPUおよび記憶装置等によって構成される。上記原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、操作部5、画像処理部64、印刷部40及び通信部66は、制御部61による制御の下で動作する。制御部61は、ユーザから操作部5に入力された各種の指示信号等に応じて、図略のROM又はHDDに記憶されている動作制御プログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って複合機1を統括的に制御する。
【0040】
制御部61は、図3の機能ブロック図に示すように、裏紙パターンデータ登録部(裏紙パターンデータ登録手段)611、裏紙パターンデータ格納部(裏紙パターンデータ登録手段)612、画像データ格納部613、裏紙判定部614、および裏紙削除部615を含んでいる。
【0041】
裏紙パターンデータ登録部611は、印刷部40が用紙の片面に画像を印刷するとき、片面印刷対象となる画像データを裏紙パターンデータとして登録するものである。なお、裏紙パターンデータの登録とは、裏紙パターンデータ登録部611が、裏紙パターンデータを裏紙パターンデータ格納部612へ格納させることである。
【0042】
ここで、印刷部40が用紙の片面に画像を印刷するときとは、例えば、(1)スキャナ部22により読み取られたコピー画像データを用紙に片面コピーするとき、(2)外部コンピュータからの片面印刷要求に応じてプリントアウト画像データを用紙の片面にプリントアウトするとき、(3)ファクシミリ受信したファクシミリ受信画像データを用紙の片面に印刷出力するとき、(4)内蔵記憶装置(HDD等)に記憶されている各種の保存画像データ(保存されているスキャンデータやファクシミリ受信画像データ等)を用紙の片面に印刷出力するときなどが挙げられる。
【0043】
裏紙パターンデータ格納部612は、裏紙パターンデータを格納する記憶領域(HDD等の記憶装置の所定領域)を有する。この裏紙パターンデータ格納部612には、裏紙パターンデータを、縮小・圧縮せずにビットマップ形式のデータとして格納してもよいし、マッチング処理が可能な程度に縮小したデータとして格納してもよいし、画像符号化等の一般的な圧縮方法を用いて圧縮したデータとして格納してもよい。
【0044】
画像データ格納部613は、スキャナ部22で読み取られた画像データを格納するための記憶領域(RAMやHDD等の記憶装置の所定領域)を有する。
【0045】
裏紙判定部614は、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データと、裏紙パターンデータ格納部612に格納されている裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行うものである。この画像データと裏紙パターンデータとの照合処理には、一般的な画像照合アルゴリズムを適用することができる。例えば、画像データおよび裏紙パターンデータの各画素値の差分をとって平均二乗誤差を算出したり、画像データおよび裏紙パターンデータを複数領域に分割して各分割領域ごとに特徴量を比較する等の画像マッチングアルゴリズムを用いることが可能である。
【0046】
裏紙削除部615は、裏紙判定部614によって前記画像データが裏紙データと判定された場合に、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データから裏紙データだけを削除するものである。画像データの中から裏紙データを削除することに関し、裏紙データに該当する画像データを消去してしまってもよいし、裏紙データに該当する画像データに削除フラグを立てて、削除フラグの設定されている画像データについては削除されたものとみなしてその後の処理(コピー処理やファイル化処理等)を行うようにしてもよい。
【0047】
次に、本実施形態にかかる複合機1の動作について説明する。図4は、複合機1による印刷処理(画像形成処理)のフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、印刷処理が開始されると(S1でYES)、裏紙パターンデータ登録部611(図3参照)により、用紙の片面にのみ印刷する片面印刷か否かが判断される(S2)。ここで、印刷処理とは、スキャナ部22により読み取ったコピー画像データのコピー処理、外部コンピュータからの印刷要求に応じたプリントアウト処理、ファクシミリ受信したファクシミリ受信画像データの印刷出力、および内蔵記憶装置(HDD等)に記憶されている各種の保存画像データ(スキャンデータやファクシミリ受信画像データ等)の印刷出力などを含む、全ての印刷処理が対象である。
【0049】
印刷処理が片面印刷の場合(S2でYES)、裏紙パターンデータ登録部611は、印刷対象データ(コピー画像データ、プリントアウト画像データ、ファクシミリ受信画像データ、保存画像データ等)を裏紙パターンデータとして登録する(S3)。その後、印刷対象データが用紙の片面に印刷される(S4)。
【0050】
なお、片面印刷の場合(S2でYES)、上記裏紙パターンデータの登録処理(S3)と印刷対象データの印刷(S4)とを略同時に実行してもよいし、片面印刷を実行した後に上記裏紙パターンデータの登録処理を行ってもよい。
【0051】
印刷処理が両面印刷の場合(S2でNO)、裏紙パターンデータの登録はなされずに、印刷対象データが用紙の両面に各印刷対象データが印刷されることになる(S5)。
【0052】
上記のように、片面印刷の場合にのみ、印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録するのは、両面白紙の用紙に片面印刷された印刷物が、その後、裏紙として使用される可能性が高いからである。すなわち、片面印刷の印刷対象データを片面印刷がなされる時点で自動的に裏紙パターンデータとして登録して蓄積しておけば、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0053】
なお、両面白紙の用紙が印刷に用いられることが殆どであるが、裏紙が印刷用の用紙として用いられる可能性もある。裏紙が印刷用の用紙として用いられた場合、片面印刷をしたら両面に情報が記録された用紙となって、最早、裏紙としての使用はなくなる。そこで、片面印刷がなされる場合に印刷用の用紙の非印刷面(裏面)が白紙か否かを検出する検知機構(図示せず)を設け、非印刷面が白紙でない場合には、たとえ片面印刷がなされるときであっても、裏紙パターンデータとしての登録をしないようにすることも可能である。
【0054】
また、上記のように片面印刷の度に自動で裏紙パターンデータが登録される「裏紙パターンデータ自動登録モード」の他に、ユーザが裏紙パターンデータを自ら登録することが可能な「裏紙パターンデータ手動登録モード」を設けてもよい。操作部5の操作により、裏紙パターンデータ手動登録モードを選択した場合、裏紙をスキャナ部22でスキャンして裏紙パターンデータとして登録可能となる。
【0055】
また、ユーザが裏紙パターンデータとして登録されることを望まない原稿を片面コピー等する場合には、操作部5の操作により、裏紙パターンデータ自動登録モードを一時的に解除することも可能である。
【0056】
また、自動登録されている裏紙パターンデータが多くなりすぎると、裏紙パターンデータ格納部612の記憶容量が増大すると共に、裏紙判定部614による判定処理時間が長くなるので、これを回避するために、以下のような対応をとることが可能である。
【0057】
自動登録されている裏紙パターンデータが所定の記憶容量に達した場合、もっとも古い裏紙パターンデータを削除しつつ、新しい裏紙パターンデータを新たに格納するようにすることができる。
【0058】
また、自動登録されている裏紙パターンデータが所定の裏紙枚数に達した場合、もっとも古い裏紙パターンデータの登録を削除しつつ、最新の裏紙パターンデータを新たに格納するようにすることができる。
【0059】
なお、自動登録されている裏紙パターンデータの中でも、裏紙判定部614にて実際に裏紙の認定に使用された裏紙パターンデータや、裏紙パターンデータ手動登録モードで登録された裏紙パターンデータについては、最新の裏紙パターンデータを新たに格納するために、その登録を削除しない方がよい。なぜならば、このような裏紙パターンデータについては、他の自動登録されている裏紙パターンデータよりも、今後、裏紙として使用される可能性が高いからである。
【0060】
次に、本実施形態にかかる複合機1によるコピー処理(画像形成処理)について説明する。特に、ここでは、両面原稿を両面読取するコピー処理について説明する。両面原稿の中に裏紙を使用した片面原稿が混在していた場合、各原稿を両面読取すれば、不要な裏紙データも含まれてしまう。しかし、本実施の形態の複合機1は、以下に詳述するように、両面原稿の中に裏紙を使用した片面原稿が混在していても、不要な裏紙データを排除したコピー処理が可能である。図5は、複合機1によるコピー処理を示すフローチャートである。
【0061】
先ず、ユーザによる操作部5の操作により、コピーモードが選択されるとともに、コピーに関する各種設定(コピー枚数、拡大/縮小、片面原稿/両面原稿、片面コピー/両面コピーの設定等)がなされることになる。ここで、両面原稿が設定され、原稿トレイ211に原稿束が載置された状態でスタートボタン55が押下されると(S11でYES)、スキャナ部22により各原稿の画像の読み取り動作が行われるとともに、該読取動作で得られた画像データが画像データ格納部613に格納される(S12)。
【0062】
次に、裏紙判定部614は、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データと、裏紙パターンデータ格納部612に格納されている裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行う(S13)。
【0063】
裏紙判定部614が裏紙データありと判定した場合(S14でYES)、裏紙削除部615は、当該裏紙判定部614の判定結果に基づいて、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データから裏紙データだけを削除する(S15)。その後、裏紙データが削除された画像データに対して、印刷部40等による印刷処理がなされる(S16)。これにより、スキャンした画像データから裏紙データが排除されたかたちでコピー処理を実施することができる。
【0064】
なお、裏紙判定部614が裏紙データなしと判定した場合(S14でNO)、画像データ格納部613に格納されている画像データの全てに対して、印刷部40等による印刷処理がなされる(S16)。
【0065】
上記印刷処理としては、図4に示す印刷処理(画像形成処理)のルーチンが適用される。
【0066】
なお、上記では、図5を用いて複合機1によるコピー処理を説明したが、複合機1によるファイル化処理にも適用できる。すなわち、ファイル化処理が開始された場合も、上記S12〜S15が実行され、スキャンした画像データから裏紙データが排除されたかたちで画像データのファイリング(内臓HDD等へのデータ保存)がなされるのである。
【0067】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記では、本発明に係る画像形成装置の構成及び処理の実施の形態を図1乃至図5に示したが、これらはあくまでも一例に過ぎず、本発明に係る画像形成装置、上述した構成及び制御に限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機の内部構成を模式的に示した縦断面図である。
【図2】上記複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】上記複合機における制御部の機能ブロック図である。
【図4】上記複合機による印刷処理を示すフローチャートである。
【図5】上記複合機によるコピー処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 複合機(画像形成装置)
2 画像読取装置(画像読取手段)
5 操作部
21 原稿給紙部
22 スキャナ部
40 印刷部(印刷手段)
61 制御部
611 裏紙パターンデータ登録部(裏紙パターンデータ登録手段)
612 裏紙パターンデータ格納部(裏紙パターンデータ登録手段)
613 画像データ格納部
614 裏紙判定部(裏紙判定手段)
615 裏紙削除部(裏紙削除手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿上の画像を読み取る画像読取手段と、
裏紙パターンデータを登録する裏紙パターンデータ登録手段と、
前記画像読取手段で読み取られた画像データと前記裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行う裏紙判定手段と、
前記裏紙判定手段によって前記画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データと判定された場合に、前記画像読取手段で読み取られた画像データから裏紙データを削除する裏紙削除手段と、
印刷対象データに基づいて、用紙の一方の面又は両面に画像を印刷する印刷手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、前記印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときの印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録する画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷対象データが、コピーのために画像読取手段により読み取られたコピー画像データであり、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、片面コピーのときのコピー画像データを裏紙パターンデータとして登録する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷対象データが、外部コンピュータからの印刷要求により印刷対象となるプリントアウト画像データであり、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、外部コンピュータからの片面印刷要求のときのプリントアウト画像データを裏紙パターンデータとして登録する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷対象データが、ファクシミリ受信のときのファクシミリ受信画像データであり、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、ファクシミリ受信して片面印刷したときのファクシミリ受信画像データを裏紙パターンデータとして登録する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
片面印刷される用紙の非印刷面が白紙か否かを検知する検知手段をさらに含み、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、前記印刷手段が用紙の片面に画像を印刷するときであっても、当該用紙の非印刷面が白紙でない場合は印刷対象データを裏紙パターンデータとして登録しない請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−154276(P2010−154276A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330701(P2008−330701)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】