説明

画像形成装置

【課題】 トナーとキャリアとを含む現像剤を用いた現像装置を使用して高速で画像形成する場合にも、補給されたトナーが適切に帯電されて現像に使用されるようにする。
【解決手段】 現像装置4において、像担持体1に現像剤d中のトナーを供給する現像剤担持体41に現像剤を供給する現像剤供給部42において現像剤を攪拌搬送させ、その搬送方向下流側の送出し口42aから送り出された現像剤を現像剤搬送経路44〜47において攪拌搬送させて戻し口42bから現像剤供給部に戻すにあたり、現像剤搬送経路の搬送方向上流側に設けた第1濃度検出手段60により現像剤中のトナー濃度を検出し、トナー濃度が低下した現像剤の部分に、その下流側に設けたトナー補給手段61から第1制御手段63により必要量のトナーを複数回に分割して補給させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置に係り、特に、トナーとキャリアとを含む現像剤を用いた現像装置を使用した画像形成装置において、トナー濃度が低下した現像剤に対して新たなトナーを補給させるにあたり、トナー濃度が低下した現像剤の部分に新たなトナーが適切に補給されるようにすると共に、画像形成速度を速めた場合においても、補給されたトナーが適切に帯電された状態で現像に使用されて、良好な画像が安定して得られるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置おいては、感光体等の像担持体に形成された静電潜像に現像装置からトナーを供給して、像担持体に形成された静電潜像を現像するようにしている。
【0003】
そして、このような現像装置としては、現像剤にトナーだけを使用した一成分現像方式の現像装置と、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した二成分現像方式の現像装置とが知られており、トナーを速やかに適切に帯電させて高速の画像形成を行う点からは、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した二成分現像方式の現像装置が優れている。
【0004】
ここで、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した二成分現像方式の現像装置においては、一般に、現像装置内における現像剤搬送経路において、上記の現像剤を攪拌搬送部材により攪拌させながら搬送させ、トナーとキャリアとを接触させてトナーを帯電させ、このようにトナーが帯電された現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部に導き、この現像剤供給部において上記の現像剤を現像剤担持体に供給し、この現像剤担持体から像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行うと共に、この現像剤供給部において上記の現像剤を攪拌搬送部材により攪拌させながら搬送させて、現像剤を上記の現像剤搬送経路と現像剤供給部との間で循環させるようにしたものが用いられている。
【0005】
そして、上記のように現像剤担持体から像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行うと、現像剤中におけるトナーの濃度が次第に低下して、形成される画像の濃度が低下するため、現像剤中におけるトナー濃度がある程度低下すると、現像剤に新たなトナーを補給するようにしている。
【0006】
ここで、このように補給された新たなトナーは帯電されていない状態にあり、補給されたトナーが十分に帯電されない状態で現像剤供給部から現像剤担持体に供給されて現像に使用されると、トナー飛散が発生したり、形成される画像にカブリが発生したりするなどの問題があった。
【0007】
このため、従来においては、特許文献1に示されるように、現像剤を攪拌搬送部材により攪拌搬送させながら現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部と、現像剤を攪拌搬送部材により攪拌搬送させる現像剤搬送部とにおける現像剤の搬送方向の長さを長くし、現像剤を混合攪拌しながら搬送させる距離を長くして、補給されたトナーを十分に帯電させることが提案されている。
【0008】
また、近年においては、画像形成装置における画像形成速度を速めて、高速で画像形成を行うことが求められている。
【0009】
そして、このように高速で画像形成を行う場合において、上記のように現像剤供給部と現像剤搬送部とにおける現像剤の搬送方向の長さを長くして、補給されたトナーを十分に帯電させて現像剤担持体に供給させるようにするためには、現像剤供給部と現像剤搬送部との長さを非常に長くすることが必要になり、現像装置が大型化して、画像形成装置全体が大型化するという問題があった。
【0010】
また、上記のように新たなトナーを補給するにあたり、新たなトナーがトナー濃度の低下した現像剤の部分に適切に補給されないと、新たなトナーが補給された部分の現像剤におけるトナー濃度だけが異常に高くなり、補給された新たなトナーが適切に帯電されない状態で現像に使用されたり、新たなトナーが補給された部分における現像剤と、トナー濃度が低下した部分の現像剤とにおけるトナー濃度の差が大きくなったりし、形成される画像に濃度むら等が発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−109265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、トナーとキャリアとを含む現像剤を用いた現像装置を使用した画像形成装置における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものである。
【0013】
すなわち、本発明においては、上記の画像形成装置において、トナー濃度が低下した現像剤に対して新たなトナーを補給するにあたり、トナー濃度が低下した現像剤の部分に対して新たなトナーが適切に補給されるようにすると共に、画像形成速度を速めた場合においても、補給されたトナーが適切に帯電された状態で現像に使用されて、良好な画像が安定して得られるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、像担持体に現像剤中のトナーを供給する現像剤担持体に対して現像剤を供給する現像剤供給部において、トナーとキャリアとを含む現像剤を攪拌搬送部材により攪拌搬送させ、この現像剤供給部における現像剤の搬送方向下流側に位置する送出し口から送り出された現像剤を、現像剤搬送経路において攪拌搬送部材により攪拌搬送させて上記の現像剤供給部における現像剤の搬送方向上流側に位置する戻し口から現像剤を現像剤供給部に戻すようになった現像装置を用いた画像形成装置において、上記の現像剤搬送経路における現像剤の搬送方向上流側から順番に、現像剤中のトナー濃度を検出する第1濃度検出手段と、現像剤にトナーを補給するトナー補給手段と、現像剤中のトナー濃度を検出する第2濃度検出手段とを設け、上記の第1濃度検出手段によって検出されたトナー濃度が低下した現像剤の部分にトナー補給手段からトナーを補給するにあたって必要量のトナーを複数回に分割して補給させる第1制御手段を設けた。
【0015】
また、本発明の画像形成装置においては、上記の第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度に基づいて画像形成を制限する第2制御手段を設け、上記の第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度が所定濃度の範囲外になった場合及びトナー濃度の変動が所定範囲以上の場合に、この第2制御手段によって画像形成を制限させるようにすることができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、上記の現像装置としては、画像形成速度を速めた場合においても、補給されたトナーが適切に帯電されるようにするため、上記の現像剤搬送経路が複数の現像剤搬送部で構成され、各現像剤搬送部における現像剤の搬送方向下流側に現像剤を次の現像剤搬送部に導く導入部が設けられ、最終の現像剤搬送部における現像剤の搬送方向下流側に現像剤を現像剤供給部における現像剤の搬送方向上流側に戻す戻し口が設けられたものを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置においては、上記のように現像装置の現像剤搬送経路における現像剤の搬送方向上流側から順番に、現像剤中のトナー濃度を検出する第1濃度検出手段と、現像剤にトナーを補給するトナー補給手段と、現像剤中のトナー濃度を検出する第2濃度検出手段とを設け、第1濃度検出手段によって検出されたトナー濃度が低下した現像剤の部分に対して、上記の第1制御手段により、トナー補給手段から必要量のトナーを複数回に分割して補給させるようにする。
【0018】
このようにすると、トナー濃度が低下した現像剤の部分全体に新たなトナーが複数回に分割されて分散された状態で補給されるようになり、多くのトナーがトナー濃度の低下した現像剤の一部にまとまって補給される場合に比べて、補給された新たなトナーが攪拌搬送部材によりキャリアと適切に攪拌されて、現像剤搬送経路内において適切に帯電されるようになる。
【0019】
また、このようにトナーを複数回に分割して補給させるようにすると、トナーを補給させるタイミングが、トナー濃度の低下した現像剤の部分からずれた場合においても、新たなトナーが補給された部分の現像剤におけるトナー濃度が異常に高くなるのが防止され、補給された新たなトナーが適切に帯電されない状態で現像に使用されたり、新たなトナーが補給された部分における現像剤と、トナー濃度の低下した部分における現像剤とにおけるトナー濃度との差が大きくなったりするのが抑制され、形成される画像に濃度むら等が発生するのが防止されるようになる。
【0020】
また、上記のように第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度に基づいて画像形成を制限する第2制御手段を設け、上記の第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度が所定濃度の範囲外及びトナー濃度の変動が所定範囲以上の場合に画像形成を制限させるようにすると、濃度むら等の画像不良がある画像の形成が抑制され、常に良好な画像が安定して得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、画像形成を行う状態を示した概略説明図である。
【図2】上記の実施形態に係る画像形成装置に使用する現像装置の内部を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る画像形成装置において、トナー濃度が低下した現像剤の部分に対して必要量のトナーを複数回に分割して補給させた状態を示した概略説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る画像形成装置において、トナー濃度が低下した現像剤の部分に対して必要量のトナーを複数回に分割して補給させるにあたり、トナーを補給させるタイミングがずれた状態を示した概略説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る画像形成装置との対比において、トナー濃度が低下した現像剤の部分に対して必要量のトナーを一度に補給させるにあたり、トナーを補給させるタイミングがずれた状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0023】
この実施形態に係る画像形成装置においては、図1に示すように、感光体ドラムからなる像担持体1を回転させると共に、この像担持体1の表面を帯電装置2によって帯電させた後、この像担持体1の表面にレーザ等を用いた潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0024】
そして、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4からトナーを供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応するトナー像を形成した後、トナー像が形成された像担持体1と転写装置5との間にタイミングローラ6により記録シートsを導き、転写装置5によりこの記録シートsに像担持体1の表面に形成されたトナー像を転写させるようにしている。
【0025】
次いで、このようにトナー像が転写された記録シートsを加熱式の定着装置7に設けられた一対のローラ7a間に導き、この一対のローラ7a間において、トナー像を記録シートsに加熱定着させるようにしている。
【0026】
一方、上記のようにトナー像を転写させた後における像担持体1の表面にクリーニング部材8を圧接させ、転写後の像担持体1の表面に残留しているトナー等の残留物を除去し、その後、前記のように帯電装置2によって像担持体1を帯電させ、上記のような操作を繰り返して、画像形成を連続して行うようにしている。
【0027】
ここで、この実施形態における上記の現像装置4においては、図1に示すように、トナーとキャリアとを含む現像剤dを現像装置4内に収容させると共に、現像剤担持体41として、回転する現像ローラ41aの内部に、複数の磁極N,S,…が設けられたマグネットローラ41bを固定して設けたものを用いるようにしている。
【0028】
そして、上記の回転する現像ローラ41aの表面に現像剤供給部42から現像剤dを供給し、このように現像ローラ41aの表面に供給された現像剤dの量を規制部材43により規制した後、この現像ローラ41aにより現像剤dを像担持体1と対向する現像領域に導くようにしている。
【0029】
そして、このように現像ローラ41aにより現像領域に導かれた現像剤d中のトナーを、上記のように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応したトナー像を形成した後、この現像ローラ41aの表面における現像剤dを、上記のマグネットローラ41bにおける同極のN,N極の間の反発磁力により現像ローラ41aの表面から離脱させて、上記の現像剤供給部42に戻すようにしている。
【0030】
ここで、上記の現像装置4においては、図1及び図2に示すように、上記の現像剤供給部42と、この現像剤供給部42における現像剤dの搬送方向下流側の排出口42aに導かれた現像剤dを攪拌させながら搬送させる第1,第2,第3,第4の4つの現像剤搬送部44,45,46,47で構成された現像剤搬送経路を隔壁48により区画させて設けると共に、上記の現像剤供給部42と第1,第2,第3,第4の4つの現像剤搬送部44,45,46,47とに、それぞれ現像剤dを攪拌しながら搬送させる攪拌搬送部材52,54,55,56,57を設けている。
【0031】
そして、上記の現像剤供給部42に設けた攪拌搬送部材52を回転させて、この現像剤供給部42における現像剤dを攪拌しながら搬送させ、上記のように現像ローラ41aに現像剤dを供給しながら、現像剤dを現像剤供給部42における現像剤dの搬送方向下流側の排出口42aに搬送し、この排出口42aを通して現像剤dを第1の現像剤搬送部44に導くようにしている。
【0032】
また、上記の現像装置4においては、このように排出口42aを通して現像剤dが導かれる第1の現像剤搬送部44を、現像剤供給部42とこの現像剤供給部42から最も離れた位置において現像剤供給部42と平行に配置された第2の現像剤搬送部45とを連結するように配置させると共に、第2,第3,第4の現像剤搬送部45,46,47を、第2の現像剤搬送部45から順々に現像剤供給部42に近づくようにして平行に配置させている。
【0033】
そして、上記の第1の現像剤搬送部44に設けた攪拌搬送部材54を回転装置(図示せず)により回転させて、上記の排出口42aを通して導かれた現像剤dを攪拌しながら搬送させ、現像剤dの搬送方向下流側における第1の導入部49aを通して上記の第2の現像剤搬送部45に導くようにしている。
【0034】
また、上記の第2,第3,第4の現像剤搬送部45,46,47に設けた攪拌搬送部材55,56,57を回転させて、第2,第3,第4の現像剤搬送部45,46,47において現像剤dを攪拌しながら搬送させるにあたっては、第2及び第4の現像剤搬送部45,47において、現像剤dを上記の現像剤供給部42と逆方向に搬送させる一方、第3の現像剤搬送部46において、現像剤dを上記の現像剤供給部42と同方向に搬送させるようにしている。
【0035】
ここで、上記のように第2及び第4の現像剤搬送部45,47において、現像剤dを現像剤供給部42と逆方向に搬送させる一方、第3の現像剤搬送部46において、現像剤dを現像剤供給部42と同方向に搬送させるにあたり、この現像装置4においては、現像剤供給部42に設けた攪拌搬送部材52と、第2,第3,第4の現像剤搬送部45,46,47に設けた攪拌搬送部材55,56,57とをギア機構50によって接続させるようにしている。
【0036】
そして、このギア機構50により、現像剤供給部42と第3の現像剤搬送部46とにおける攪拌搬送部材52,56を同じ方向に回転させて、現像剤供給部42と第2の現像剤搬送部46とにおいて現像剤dを同じ方向に搬送させる一方、第2,第4の現像剤搬送部45,47における攪拌搬送部材55,57を、上記の攪拌搬送部材52,56と逆方向に回転させて、第2,第4の現像剤搬送部45,47とにおいて現像剤dを現像剤供給部42及び第3の現像剤搬送部46と逆方向に搬送させるようにしている。また、図示していないが、上記の第1の現像剤搬送部44に設けた攪拌搬送部材54を第2の現像剤搬送部45に設けた攪拌搬送部材55とギア機構(図示せず)を介して接続し、この第1の現像剤搬送部44における攪拌搬送部材54を第2の現像剤搬送部45における攪拌搬送部材55と連動して回転させるようにすることも可能である。
【0037】
また、第2の現像剤搬送部45における現像剤dの搬送方向下流側に、現像剤dを第3の現像剤搬送部46に導く第2の導入部49bを設け、またこの第3の現像剤搬送部46における現像剤dの搬送方向下流側に、現像剤dを第4の現像剤搬送部47に導く第3の導入部49cを設け、またこの第4の現像剤搬送部47における現像剤dの搬送方向下流側に、現像剤dを上記の現像剤供給部42における現像剤dの搬送方向上流側に戻す戻し口42bを設けている。
【0038】
そして、上記のように第1の現像剤搬送部44から第1の導入部49aを通して上記の第2の現像剤搬送部45に導かれた現像剤dを、上記の導入部49b,49cを通して第3,第4の現像剤搬送部に導き、第2,第3,第4の現像剤搬送部45,46,47において現像剤dを攪拌しながら搬送させ、上記の戻し口42bを通して現像剤供給部42における現像剤dの搬送方向上流側に戻すようにしている。
【0039】
また、この実施形態においては、図1及び図2に示すように、上記の排出口42aを通して現像剤dが導かれる第1の現像剤搬送部44の部分に、現像剤d中におけるトナー濃度を検出する第1濃度検出手段60を設け、この第1濃度検出手段60より現像剤dの搬送方向下流側における第2の現像剤搬送部45の部分に、トナー補給手段としてトナー補給口61aを通して現像装置4内にトナーを補給させるトナー補給装置61を設け、さらにこのトナー補給装置61より現像剤dの搬送方向下流側における第4の現像剤搬送部47の部分に、現像剤d中におけるトナー濃度を検出する第2濃度検出手段62を設けている。
【0040】
そして、上記の第1濃度検出手段60によって現像剤d中のトナー濃度が低下した部分が検出されると、これを第1制御手段63に出力し、この第1制御手段63により補給に必要なトナー量を算出し、トナー濃度が低下した現像剤dの部分が上記のトナー補給口61aに導かれると、この第1制御手段63により、図3に示すように、トナー濃度が低下した現像剤dの部分に対して、上記のトナー補給装置61から必要量のトナーを複数回(図に示す例では3回)に分割して補給させるようにする。
【0041】
このようにして、トナー濃度が低下した現像剤dの部分に対して必要量のトナーを複数回に分割して補給させると、このように補給されたトナーがトナー濃度の低下した現像剤dの部分に速やかに分散され、この現像剤dを上記のように攪拌させながら第2濃度検出手段62の位置に導く途中において、この部分における現像剤d中のトナー濃度が所定の範囲になって均一化すると共に、補給されたトナーが十分に帯電されるようになる。
【0042】
また、上記のトナー補給装置61から必要量のトナーを補給させるタイミングがずれた場合においても、上記のように第1制御手段63によりトナー濃度が低下した現像剤dの部分に対して必要量のトナーを複数回に分割して補給させると、図4に示すように、ある程度の量のトナーがトナー濃度の低下した現像剤dの部分に補給されると共に、図5に示すように、必要量のトナーを一度に補給させる場合に比べて、トナーがずれて補給された現像剤dの部分におけるトナー濃度が大幅に上昇するということがなく、この現像剤dを上記のように攪拌させながら第2濃度検出手段62の位置に導く途中において、この部分における現像剤d中のトナー濃度が、上記の場合と同じように所定の範囲になって均一化すると共に、補給されたトナーが十分に帯電されるようになる。
【0043】
このため、トナー濃度が低下した現像剤dの部分に対して上記のようにしてトナーを補給させると、このようにトナーが補給された部分における現像剤dを上記の戻し口42bを通して現像剤供給部42に戻した場合、この部分における現像剤d中のトナー濃度が所定の範囲になって均一化すると共に、補給されたトナーが十分に帯電された状態で、現像剤供給部42に戻されるようになる。
【0044】
この結果、この実施形態の画像形成装置においては、画像形成速度を速めるにあたり、上記の各攪拌搬送部材52,54,55,56,57の回転速度を速くして、現像剤dの搬送速度を速めた場合においても、補給されたトナーが適切に帯電されると共に現像剤d中のトナー濃度も均一化し、濃度むら等のない良好な画像が安定して得られるようになる。
【0045】
また、この実施形態の画像形成装置においては、上記の第2濃度検出手段62において現像剤d中におけるトナー濃度を検出するようにしており、トナー補給ミスなどにより、この第2濃度検出手段62において現像剤d中のトナー濃度が所定濃度の範囲外になったことや、トナー濃度の変動が所定範囲以上になったことを検出した場合には、これを第2制御手段64に出力し、この第2制御手段64によって画像形成を制限させるようにしている。
【0046】
ここで、第2制御手段64によって画像形成を制限させるにあたり、例えば、現像剤d中のトナー濃度が所定濃度未満の部分がある場合や、1枚の画像形成を行う範囲でトナー濃度の変動が所定範囲以上である場合には、これらの部分が現像剤供給部42に導かれて通過するまで、上記の潜像形成装置3による露光を停止させて画像形成を行わないようにすることができる。
【0047】
また、現像剤d中のトナー濃度が所定濃度を越える部分がある場合には、この現像剤dの部分が現像剤供給部42に導かれて通過するまで、上記の潜像形成装置3によりトナーが供給される潜像部分を多くして、現像剤供給部42に導かれたトナー濃度の高い現像剤dから多くのトナーを像担持体1に供給させて現像剤d中のトナーを消費させる一方、像担持体1に供給されたトナーを記録シートsに転写させずに、上記のクリーニング部材8によって像担持体1の表面から除去させるようにすることができる。
【0048】
なお、この実施形態の画像形成装置においては、現像剤供給部42における現像剤dの搬送方向下流側の排出口42aに導かれた現像剤dを攪拌させながら搬送させる現像剤搬送経路として、第1〜第4の4つの現像剤搬送部44〜47を設けるようにしたが、現像剤搬送部の数は4つに限定されず、最終の現像剤搬送部における現像剤の搬送方向下流側から戻し口42bを通して現像剤dが現像剤供給部42における現像剤の搬送方向上流側に戻されるようになっていれば、さらに多くの現像剤搬送部を設けることも可能である。
【0049】
また、上記の現像装置4においては、上記のように現像ローラ41aにより現像剤dを像担持体1と対向する現像領域に導き、像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像剤d中におけるトナーを供給して、像担持体1の表面に形成された静電潜像を現像するようにしたが、上記の現像ローラ41aに保持された現像剤d中におけるトナーだけをトナー保持部材(図示せず)に保持させ、このトナー保持部材から像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分にトナーを供給して、像担持体1の表面に形成された静電潜像を現像させるようにすることも可能である。さらに、図示していないが、2以上の現像ローラにより現像剤を像担持体と対向する現像領域に導いて現像を行うことも可能である。
【0050】
また、上記の現像装置4に用いるトナーとキャリアとを含む現像剤dについては特に限定されず、一般に使用されている公知のものを用いることができる。
【0051】
ここで、トナーとしては、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて、荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理したものを使用でき、またこのトナーの粒径は特に限定されないが、3〜15μm程度のものが望ましい。
【0052】
そして、このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができ、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
【0053】
また、トナーに使用するバインダー樹脂としては、一般に使用されている公知の樹脂を用いることができ、例えば、スチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂は、単体若しくは複合体として用いることができ、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
【0054】
また、上記の着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に、上記のバインダー樹脂100重量部に対して2〜20重量部の割合で用いることが好ましい。
【0055】
また、上記の荷電制御剤としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御材としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などを用いることができ、また負帯電性トナー用荷電制御材としては、Cr,Co,Al,Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレン化合物などを用いることができる。なお、このような荷電制御剤は、一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0056】
また、上記の離型剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0057】
また、トナーに外添する粒子としては、一般に使用されている公知のものを使用することができ、トナーの流動性を改善する流動化剤として、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等を使用することができ、特に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で撥水化したものを用いることが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナー100重量部に対して0.1〜5重量部の割合で添加させて用いるようにする。また、上記の流動化剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
【0058】
また、キャリアとしても、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどを使用することができ、このキャリアの粒径は特に限定されないが、15〜100μmが好ましい。
【0059】
ここで、上記のバインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正又は負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けたりすることもできる。また、バインダー型キャリアの帯電極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
【0060】
そして、このバインダー型キャリアに用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0061】
また、バインダー型キャリアに用いる磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn,Ni,Mg,Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化鉄を有する鉄や合金の粒子を用いることができ、その形状は、粒状、球状、針状のいずれであっても良い。
【0062】
特に、バインダー型キャリアに高磁化が要求される場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、バインダー型キャリアの化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。そして、強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有するバインダー型キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は、バインダー型キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
【0063】
また、バインダー型キャリアにおける上記の表面コーティング層の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
【0064】
また、バインダー型キャリアの表面に帯電性微粒子或いは導電性微粒子を固着させるにあたっては、例えば、バインダー型キャリアとこれらの微粒子とを均一に混合し、バインダー型キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、これらの微粒子をバインダー型キャリア中に打ち込むようにして固定させるようにすることができる。この場合、これらの微粒子はバインダー型キャリア中に完全に埋設されるのではなく、バインダー型キャリアの表面から突き出すようにして固定される。
【0065】
ここで、上記の帯電性微粒子としては、有機系、無機系の絶縁性材料を用いることができる。具体的には、有機系の絶縁性材料として、例えば、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベル及び極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系の絶縁性材料としては、例えば、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子やチタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などを用いることができる。
【0066】
また、上記のコート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子の表面に樹脂コート層が設けられてなるキャリアであり、このコート型キャリアにおいても、バインダー型キャリアと同様に、キャリアの表面に正又は負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりすることができる。
【0067】
そして、このコート型キャリアの極性等の帯電特性は、上記の樹脂コート層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリアと同様の材料を用いることができる。特に、樹脂コート層の樹脂には、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂を使用することが可能である。
【0068】
また、上記のトナーとキャリアとの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナーとキャリアの合計量に対するトナーの割合は、3〜50重量%、好ましくは6〜30重量%が適している。
【符号の説明】
【0069】
1 像担持体
2 帯電装置
3 潜像形成装置
4 現像装置
5 転写装置
6 タイミングローラ
7 定着装置
7a ローラ
8 クリーニング部材
41 現像剤担持体
41a 現像ローラ
41b マグネットローラ
42 現像剤供給部
42a 排出口
42b 戻し口
43 規制部材
44,45,46,47 現像剤搬送部
48 隔壁
49a,49b,49c 導入部
50 ギア機構
52,54,55,56,57 攪拌搬送部材
60 第1濃度検出手段
61 トナー補給装置(トナー補給手段)
61a トナー補給口
62 第2濃度検出手段
63 第1制御手段
64 第2制御手段
d 現像剤
s 記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に現像剤中のトナーを供給する現像剤担持体に対して現像剤を供給する現像剤供給部において、トナーとキャリアとを含む現像剤を攪拌搬送部材により攪拌搬送させ、この現像剤供給部における現像剤の搬送方向下流側に位置する送出し口から送り出された現像剤を、現像剤搬送経路において攪拌搬送部材により攪拌搬送させて上記の現像剤供給部における現像剤の搬送方向上流側に位置する戻し口から現像剤を現像剤供給部に戻すようになった現像装置を用いた画像形成装置において、上記の現像剤搬送経路における現像剤の搬送方向上流側から順番に、現像剤中のトナー濃度を検出する第1濃度検出手段と、現像剤にトナーを補給するトナー補給手段と、現像剤中のトナー濃度を検出する第2濃度検出手段とを設け、上記の第1濃度検出手段によって検出されたトナー濃度が低下した現像剤の部分にトナー補給手段からトナーを補給するにあたって必要量のトナーを複数回に分割して補給させる第1制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、上記の第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度に基づいて画像形成を制限する第2制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、上記の第2制御手段は、上記の第2濃度検出手段によって検知された現像剤中のトナー濃度が所定濃度の範囲外になった場合及びトナー濃度の変動が所定範囲以上の場合にそれぞれ画像形成を制限することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の現像装置において、上記の現像装置における現像剤搬送経路が複数の現像剤搬送部で構成され、各現像剤搬送部における現像剤の搬送方向下流側に現像剤を次の現像剤搬送部に導く導入部が設けられ、最終の現像剤搬送部における現像剤の搬送方向下流側に現像剤を現像剤供給部における現像剤の搬送方向上流側に戻す戻し口が設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−175764(P2010−175764A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17518(P2009−17518)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】