説明

画像形成装置

【課題】トナー飛散による地汚れを解決し、小粒径トナーの使用を可能とするだけでなく、小粒径トナーの使用により非接触現像によるドット再現性をより良好なものとする画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー供給ローラ131と感光体11間に両者に離間して設置されたトナークラウド発生用電極14に直流電圧と交流電圧を重畳させて印加することにより、前記トナー供給ローラ131により供給されたトナーに電位を与えて飛翔させ、前記トナー供給ローラ131と対向する位置に離間配置された感光体11上の静電潜像を現像する現像装置13を有するタンデム型画像形成装置1であって、前記トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、パウダーレオメータにおいて通気速度0.6mm/secで通気させた状態で測定した時のトータルエナジーの値が3〜15mJを満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置あるいはそれらの複合機で、非接触クラウド現像を行う画像形成装置の画質向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式による画像形成装置(中間転写方式の場合)では、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を、静電潜像担持体と中間転写ベルトで形成されるニップ内でトナー画像に圧力と電気力を作用させることにより中間転写ベルト上に転写を行い、その後、紙等の記録部材上に二次転写を行い、加圧及び加熱による定着作業を経た後、最終画像を得る。
高品位な最終画像を得るためには、トナーを静電潜像担持体上の静電潜像に忠実に現像する必要がある。ところが、現在一般的な二成分現像剤を用いた現像プロセスでは、トナー現像時にキャリアによる既現像トナーの掻き取り等が発生するため、静電潜像に忠実な現像は困難である。また、一成分現像の場合、キャリアによる掻き取りはないが、現像域に帯電トナーを搬送する現像ローラと静電潜像担持体が接触して現像を行う場合には、同様な問題が発生する。
上述のような、現像済みトナーに与えるストレスを低減させることで、高画質化を図る手段として、クラウド現像方式による非接触現像方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
クラウド現像方式では、静電潜像担持体と対向離間して設置されるトナー供給部材上のトナーを両者の間に離間して設けられた電極に、直流電圧と交流電圧を重畳して印加することにより、トナー供給部材上のトナーを遊離させ、前記電極近傍にクラウド状のトナー集団を形成し、前記電極電位と静電潜像担持体上の画像部電位との差を利用して、静電潜像担持体上の静電潜像部のみに現像を行う。このため、トナーが静電潜像担持体上に現像後、受けるストレスは、接触現像方式に比べて小さく、良好なトナー像を静電潜像担持体上に形成することが出来る。
また、静電潜像担持体とトナー供給部材間にある電極によりトナー供給部材表面より遊離したトナーを静電潜像担持体上に現像するため、静電潜像担持体上へトナー画像を形成するのに必要な現像バイアスは、同じく非接触現像である、ジャンピング現像(例えば、特許文献2参照)に比べて小さくて済む利点がある。
また、トナー供給部材に設置された電極の、電圧位相を制御することで、トナーをホッピングさせる非接触現像装置も各種提案されている(例えば、特許文献3参照)が、電極設置や制御が複雑でコストが掛かる。
更に、現像スリーブに直流電圧と交流電圧との重畳電圧を印加し、潜像担持体と現像スリーブとの間の線状の制御電極(制御電極部材の電極)には前記直流電圧を共通電極より印加することで、磁気ブラシの穂立ちを良好にし、不要なクラウドの発生を阻止する画像形成装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)が、電極設置や制御が複雑でコストが掛かるという問題がある。
このように、クラウド現像方式では、比較的簡単な構成で、非接触現像を行える利点がある。そして、その利用形態は、静電潜像担持体上への現像済みトナーへの現像工程でのストレスが殆どないことに鑑みて、単一静電潜像担持体上に複数色トナーを重ねて画像形成を行う画像形成装置に特化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにクラウド現像方式は、現像時に既現像トナー像に掛かるストレスが少ない優れた現像方式と言える。しかし、クラウド現像方式により、カラー画像を形成する際には、感光体上でのトナー飛散を抑えることが困難である。この欠点について、以下図を用いて説明する。
図17は、クラウド現像方式を用いた一般的な帯電・除電(露光)・現像プロセスを示す図である。
この装置では、感光体11上への画像形成は以下の手順で行われる。まず、図17中A方向に回転する感光体11上は、帯電装置12を用いて、例えば、トナーと同極性に一様帯電される。次にレーザー等の除電装置を用いて、画像部分を除電して潜像を形成する。その後、現像装置13中のトナー供給部材131により現像部に供給されたトナーは、トナークラウド発生用電極15によりクラウド化され、感光体11上の画像部分(除電された部分)に現像される。この工程を順次繰り返すことで、感光体11上にはカラー画像が重畳形成される。
【0005】
ここで、図18は、既にトナーが存在する部分に重ねて別色のトナー画像を現像するプロセスを示している。従来は、例えば、図18(a)は、既にある現像手段で感光体11上にトナー画像7が形成された状態を示す。ここで、感光体11上の符号6は、帯電工程により形成された負電荷の分布を示している。
図18(a)のトナー画像7上に次現像手段でトナー画像を形成する場合(例えばイエロートナー上にマゼンタトナーを重ねて赤色を形成する場合など)、既に形成されたトナー画像7を含んだ、感光体11上に帯電(負極性)が行われる。この際、トナー上にも負極性電荷が加えられ、トナー帯電量が増加する。このため、トナー間の静電反発力が増し、結果としてトナー画像7の一部は感光体11上へ飛散し、地汚れとなる(図18(b))。この時、トナーが小粒径であればあるほどトナー1粒子あたりの帯電量が大きくなり、このトナー間の静電反発力は増加して感光体11上への飛散が多くなり、地汚れが顕著となる。また、図18(c)のように、この帯電プロセスでトナー飛散が発生しない場合でも、続く除電プロセスにより、もともとトナーに保持されていた電荷まで除電されてしまい、静電吸着力が失われ、トナー飛散が発生する(図18(d))。この時、トナーが小粒径であればあるほど単位面積あたりのトナー量は多くなるため、静電吸着力が失われるトナー量が多くなり、よりトナー飛散が発生しやすくなる。
【0006】
このように、これまでのクラウド現像方式を用いた画像形成装置では、単一の感光体11上の各色トナー画像上に放除電を繰り返して、トナー画像層を形成するために上述したトナー飛散による地汚れを解消することが困難である。特に多色画像でトナー積層量が多くなった場合と、小粒径トナーを用いた場合に地汚れは顕著となる。
特許文献4のように不要なクラウド発生を抑え、画像汚れを防ぐことも提案されているが、上述したように、感光体11上でのトナー飛散の根本的な原因は、感光体11上に各色トナーが放除電を受けながら、積層形成されることであり、クラウド発生量の調節では、トナー飛散の抑制は困難である。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、タンデム型のクラウド現像方式とすることで、従来のクラウド現像方式で問題であったトナー飛散による地汚れを解決し、従来のクラウド現像方式では採用できなかった小粒径トナーの使用を可能とするだけでなく、むしろ小粒径トナーを採用することでより地汚れを抑制することができ、更には、小粒径トナーの使用により非接触現像の特徴であるドット再現性をより良好なものとする画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
さらに、タンデム型のクラウド現像方式と本発明に記載の感光体11を組合せることで、高耐久性(耐摩耗性)の感光体11と、スキャベンジングによる感光体11表面の摩耗が発生しないクラウド現像方式の相乗効果により、従来よりも飛躍的に耐久性(耐磨耗性)を向上させることができ、長期に渡り地汚れを抑制し、ドット再現性を良好に維持できる画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下に示す発明をするに至った。すなわち、本発明は、次の(1)〜(12)に記載するとおりのものである。
(1)トナー供給部材と静電潜像担持体間に両者に離間して設置されたトナークラウド発生用電極に直流電圧と交流電圧を重畳させて印加することにより、前記トナー供給部材により供給されたトナーに電位を与えて飛翔させ、前記トナー供給部材と対向する位置に離間配置された前記静電潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置と、前記静電潜像担持体とを画像形成に用いるトナー色毎に有し、かつ、各色に対応する現像装置で各静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を順次重ねて転写する一次転写装置と、前記転写装置で転写されたトナー画像を記録部材上に一括転写する二次転写装置と、前記記録部材上のトナー画像を定着する定着装置とを備えたタンデム型画像形成装置であって、
前記トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、パウダーレオメータにおいて通気速度0.6mm/secで通気させた状態で測定した時のトータルエナジーの値が3〜15mJであることを特徴とするタンデム型画像形成装置。
(2)前記トナーは、重量平均粒径が2〜7μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.0〜1.2であり、形状係数SF−1が110〜150の範囲にあり、形状係数SF−2が110〜150の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のタンデム型画像形成装置。
(3)前記トナーは、外添剤として、少なくとも、一次平均粒径が80〜500nmの無機微粒子をトナー100重量部に対して0.5〜5重量部含むことを特徴とする(1)から(2)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(4)前記無機微粒子は、シリカ及び酸化チタンから選択された少なくとも1種であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(5)前記トナーは、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋反応又は伸長反応の少なくとも1つの反応をさせて得られることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(6)前記現像装置で使用されるキャリアは、重量平均粒径が15〜45μmの範囲であることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(7)前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成するための帯電装置には、少なくとも交番電圧を重畳した直流電圧を印加することを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(8)前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成するための帯電装置は、ローラ状で静電潜像担持体に近接非接触配置された帯電部材を備えることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(9)前記静電潜像担持体は、導電性支持体111上に少なくとも感光層を有し、該感光層の表面に少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射装置で硬化した架橋表面層を有していることを特徴とする(1)から(8)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(10)前記定着装置は、磁性金属から構成され、電磁誘導により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されるとともに、前記両ローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されるとともに、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有することを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
(11)(1)から(10)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(12)(1)から(10)のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置における少なくとも静電潜像担持体と現像装置とを着脱自在に一体化してなることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明によれば、従来のクラウド現像方式で問題であったトナー飛散による地汚れを解決し、従来のクラウド現像方式では採用できなかった小粒径トナーの使用が可能となるだけでなく、小粒径トナーを採用することでより地汚れを抑制することができ、更には、小粒径トナーの使用により非接触現像の特徴であるドット再現性をより良好なものとする画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明による画像形成装置の一例の要部構成を示す概略図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いるプロセスカートリッジの構成を示す概略図である。
【図4】本発明の画像形成装置に用いる接触式による帯電装置の一例の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いる現像装置を更に詳細に示す概略図である。
【図6】本発明の画像形成装置におけるクラウド発生用電極、トナー供給ローラ、静電潜像担持体の配置及び各離間距離と、クラウド発生用電極及びトナー供給ローラへ印加する電圧の種類を示す図である。
【図7】本発明の画像形成装置に用いる定着装置の一例の構成を示す概略図である。
【図8】定着装置が有する加熱ベルトの層構成を示す図である。
【図9】パウダーレオメータでの垂直荷重、回転トルクを示す図である。
【図10】パウダーレオメータでのトータルエネルギーの求め方を示す図である。
【図11】パウダーレオメータで用いる回転翼の形状を説明するための図である。
【図12】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図13】本発明の画像形成装置に用いる電子写真感光体を示す断面図である。
【図14】本発明の画像形成装置に用いる電子写真感光体の他の例を示す断面図である。
【図15】画像評価に用いた600dpiの1by3ドットパターンの説明図である。
【図16】ドットパターンを使用して印字するときの印字する色の順序と、大きさ(記録紙の搬送方向及び垂直方向の長さ)を示す図である。
【図17】クラウド現像方式を用いた一般的な帯電・除電(露光)・現像プロセスを示す図である。
【図18】従来のクラウド現像方式で発生する地汚れ、トナー飛散を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジについて、実施形態により詳細に説明する。なお、以下に述べる各実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。図2は、本発明による画像形成装置の一例の要部構成を示す概略図である。
図1及び2では、四つの画像形成ステーションを持ったタンデム型の画像形成装置で、各ステーションでは、異なる色の画像形成が行われ、最終的にカラー画像が得られる。以下、画像形成に関する説明を行う。
【0012】
画像形成装置1は、原稿を搬送する原稿搬送装置(ADF)5、原稿読み取り用のスキャナー部4と、このスキャナー部から出力されるデジタル信号を電気的に画像処理部で処理して、該画像処理部から出力されるデジタル信号に基づいて画像を記録紙上に形成する画像形成部3からなっている。スキャナー部4においては、原稿載置台上に置かれた原稿の画像は、照射ランプ、ミラー、レンズを介してカラーCCDによって読み取られ、そのデータが画像処理部に送られる。画像処理部においては、このデータに必要な処理が施され、画像信号に変換され、画像形成部3へ送られる。
【0013】
画像形成部3においては、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)トナーを用いる画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kを4つ並列に配置すると共に、その4つの画像形成ステーション10に対して1つの中間転写ベルト21と1つの二次転写ローラ25を配設している。この画像形成装置1を構成する画像形成ステーション10の一例としてイエローの画像形成ステーション10Yの構成を示している。特に、補足説明がない限り他のシアン画像形成ステーション10C、マゼンタ画像形成ステーション10M、ブラック画像形成ステーション10Kも同等の構成・動作となっている。
なお、この画像形成ステーション10は、画像形成装置1本体に着脱可能なプロセスカートリッジ10として用いることができる。
画像形成動作が開始されると、イエロー画像形成ステーション10Yでは、静電潜像担持体である感光体11は帯電装置12により表面を一様に帯電される。電気的に接地された芯金上に有機感光体層を形成した各感光体11Y、11C、11M、11Kは、矢印A1〜A4方向に回転可能に保持されており、各コロナ放電による帯電装置12Y,12C,12M,12Kで表面を均一に負帯電された後、図示しない各レーザーダイオードからなる発光手段を備える露光装置30Y,30C,30M,30Kにより、各色に対応する画像部分に光照射が行われ、各感光体11Y、11C、11M、11K上に静電潜像が形成される。
そして、帯電後の感光体11には光書き込みの露光装置30からの露光によりフルカラー原稿のイエロー成分画像の静電潜像が形成され、その静電潜像はイエロー現像装置13Yによりイエロートナーで顕像化される。また、所定の時間差でシアン画像形成ステーション、マゼンタ画像形成ステーション、ブラック画像形成ステーション10においても同様の画像形成動作が行われ、シアン,マゼンタ,ブラックの各色のトナー像が各感光体11上に形成される。各画像形成ステーション10Y,10C,10M,10Kにおいて感光体11上に形成されたトナー像Y,C,M,Bkを、中間転写ベルト21上で1つのフルカラー画像として重ねまとめるために、この中間転写ベルト21の裏面側には各画像形成ステーション10の感光体11の対向位置に一次転写ローラ23を配置し、一次転写ローラ23に所定の転写バイアスを印加することによって、各画像形成ステーション10のトナー像を順次中間転写ベルト21に重ねて転写させる。
【0014】
中間転写ベルト21への転写後の各画像形成ステーション10内の感光体11は、図示しない光除電ユニットにより表面電位を除電され、感光体11に残留した転写残トナーはクリーニング装置15のクリーニングブレードにより除去され、前述の帯電装置12で帯電される、といった一連の作像サイクルを繰り返す。中間転写ベルト21による転写後、感光体11表面は光除電ユニットで除電された後、クリーニング装置15においてトナーなどの残留物を除去している。クリーニング装置15で除去されたトナーは廃トナー搬送経路を経て廃トナー収容槽に搬送される。
フルカラートナー像の記録紙6への転写後に中間転写ベルト21の表面に残留したトナーや紙粉等の付着物は、中間転写ベルトクリーニング装置22の図示しないクリーニングブラシローラやクリーニングブレードにより除去され、先述の感光体廃トナーと同様に廃トナー収容部に搬送される。中間転写ベルト21、転写ローラ25への対向ローラ211、転写バイアス電源、ベルト駆動軸などを内包する転写ユニット内に設置されたテンションローラ211、212、213がカム機構によって転写ベルトにテンションを与えるもしくは解除することにより、中間転写ベルト21は各画像形成ステーション10の感光体11と接触した状態と離間した状態に変更可能になっている。
これにより機械動作時には各画像形成ステーション10の感光体11が回転するのに先立って接触状態に、機械停止時には感光体11から離間した状態に状態にしている。中間転写ベルト21へトナー像を転写した後、感光体表面は光除電ユニットで除電され、クリーニング装置15において、最初に(クリーニングユニット内において感光体回転方向において上流位置)で感光体回転方向とカウンター方向にブラシローラを接触回転させて感光体上の残トナーおよび付着物を掻き乱して感光体11との付着力を弱め、その下流位置においてゴム弾性体でできたブレードを感光体11に接触させて、先述の乱されたトナーや付着物を除去している。
【0015】
その後、中間転写ベルト21に転写されたトナー像は、そして1つのフルカラー画像となった中間転写ベルト21上のトナー画像を所定のバイアスが印加される二次転写ローラ25との間にタイミングを合わせて搬送されてくる記録紙上に転写させられる。転写装置20としては、一次転写ローラ23、二次転写ローラ25、中間転写ベルト21、ベルトクリーニング装置22等を有している。
また、記録紙6は、給紙装置2内に配置されている複数の給紙カセット40から、画像形成装置1の制御により選択された記録紙がピックアップローラ42により、給紙カセット40から1枚ずつ引き出される。そして、搬送ローラ43によって画像形成3まで搬送される。そして、レジストローラ44で、中間転写ベルト21上のトナー像とのタイミングを計り、二次転写ローラ25の方に送り出される。
その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置31に搬送され加熱・加圧されて記録紙上のトナー像が定着されフルカラー画像が出力される。
また、両面印刷を行う場合には画像定着装置31から排紙トレイ48へと送られる前に、両面搬送部32へと送り戻される。その後、再度先レジストローラ44へと送られ第2面の印刷が行われる。
【0016】
現像装置13は、感光体11と対向する位置に、内部に磁界発生手段を備える現像スリーブ132が配置されている。現像スリーブ132の下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ132へ汲み上げるためのスクリュー134と、トナーとキャリアとを攪拌・混合するパドル135とが備えられている。現像スリーブ132によって汲み上げられるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、図示しないドクターブレードによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ132に担持される。現像スリーブ132は、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11の潜像面に供給する。
なお、図1においては、二成分現像方式の現像装置13の構成を示したが、これに限るものではなく、一成分現像方式の現像装置であっても適用可能である。また、現像装置13Y、13C、13M、13Kにはそれぞれ、異なる色のトナーがそれぞれ負帯電状態で、キャリアと共に保持されている。なお、さらに、詳細には後述する。
帯電装置12は、感光体11に対向配置される帯電部材である帯電ローラ121を接触又は非接触状態にして、電源134から所定の電圧を印加させて感光体11表面を均一帯電させる。なお、さらに、詳細には後述する。
また、クリーニング装置15は、感光体11に対してクリーニングブレードを有する。さらに、図示しないが、クリーニングされたトナーを回収する回収羽根、フィルム等とそのトナーを搬送する回収コイルとを備えている。クリーニングブレードは、金属、樹脂、ゴム等の材質からなるが、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等のゴムが好ましく用いられ、この中でも特にウレタンゴムが好ましい。このほかに、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の樹脂、及びステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等のステアリン酸金属化合物を潤滑剤として感光体11上に塗布する潤滑剤塗布装置を併せて設けても良い。
【0017】
なお、図1中で、本発明の画像形成装置に用いる画像形成ステーション10は、プロセスカートリッジとしても機能する。
図3は、本発明の画像形成装置に用いるプロセスカートリッジの構成を示す概略図である。図3に示すように、このプロセスカートリッジ10は、感光体11の周囲に、帯電装置12、現像装置13、クリーニング装置15を配置している。プロセスカートリッジ10は、少なくとも感光体11とその他のプロセス装置を備えていればよい。上部に配置される露光装置30から照射されたレーザ光Lによって、感光体11上に潜像が形成される。
【0018】
なお、図2では、感光体11を平均的に帯電させる手段として各コロナ放電方式の帯電装置12Y,12C,12M,12Kが図示されているが、これ以外に固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等公知の方式が使用可能である。特に、接触帯電方式又は非接触近接配置帯電方式のような帯電装置を用いた場合に有効である。
ここで言う接触帯電方式とは、感光体11に帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレード等の帯電部材が直接接触する帯電方式である。一方の近接帯電方式とは、例えば帯電ローラが感光体11表面との間に200μm以下の空隙を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。この空隙は、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また、小さすぎた場合には、感光体11に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、空隙は10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。そして帯電装置には少なくとも交番電圧を重畳した直流電圧を印加することが好ましい。これにより、直流電圧のみを印加した場合に比べて、感光体11の全長に渡って均一に帯電させることが可能となる。この帯電装置12に交番電圧を重畳した直流電圧を印加することと、後ほど説明する現像装置13におけるトナーのクラウド化による相乗効果により、特にベタ画像などにおいて均一濃度の画像が得られる。
【0019】
<ローラ帯電の場合>
図4は、本発明の画像形成装置に用いた接触式による帯電装置の一例の構成を示す概略図である。被帯電体である像担持体としての感光体11は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体11に接触させた帯電部材である帯電ローラ121は芯金122とこの芯金122の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層123を基本構成とし、芯金122の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させると供に、不図示の加圧手段によって感光体11に所定の加圧力で押圧させており、本図の場合はこの帯電ローラは感光体11の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ121は、直径9mmの芯金上に100000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して直径16mmに形成されている。
本発明で使われる帯電部材の形状としては帯電ローラ121の他にも、磁気ブラシも選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ファーブラシを用いる場合、例えばファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、および金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
【0020】
図5は、本発明の画像形成装置に用いる現像装置を更に詳細に示す概略図である。現像装置131中のトナーはキャリアと共にスクリュー134で攪拌帯電後、パドル135で汲み上げられ、現像スリーブ132上に磁気穂を形成する。磁気穂上のトナーはトナー供給ローラ131と現像スリーブ132に与えられる電位差(V−V)により、トナー供給ローラ131上に移動する。
以後の現像工程を第一ステーション(図2中最上流ステーション)について説明する。トナー供給ローラ上のトナーは、直流電圧と交流電圧を重畳印加されたクラウド発生用電極14とトナー供給ローラ131と間の電位差変動によりクラウド化される。クラウド化されたトナーは、クラウド発生用電極14近傍に浮遊し、対向面に感光体11上の画像部潜像が接近すると、画像部電位とクラウド発生用電極電位との電位差によって、感光体11の画像部分に付着、画像形成が行われる。感光体11上に残ったトナーはクリーニング装置19で除去される。
【0021】
図6は、本発明の画像形成装置におけるクラウド発生用電極、トナー供給ローラ、感光体の配置及び各離間距離と、クラウド発生用電極及びトナー供給ローラへ印加する電圧の種類を示す図である。クラウド発生用電極14は、図6に示すように、トナー供給ローラ131から最近接距離dcで、感光体11面から最近接距離(dg−dc)に設置されている。電極としてタングステンワイヤが2〜4本、1mm間隔で、感光体11の回転方向と垂直に形成されている。また、クラウド発生用電極14には、上述したトナー現像を行うために直流電圧(電位Vc)と交流電圧(電位Vpp)が重畳印加されている。
他のステーションでも感光体11上に同様な過程を経て、各色トナー画像の形成が行われる。感光体11上に形成されたトナー画像は、上流から順に中間転写ベルト21上に、各感光体11と対応する各一次転写ローラ23で形成される一次転写ニップ近傍で、電界と圧力により重畳転写され、カラー画像を形成する。
この後、図2中C方向に移動する記録紙6上に、二次転写ローラ25と二次転写対向ローラ211の形成する二次転写ニップで電界と圧力を用いて転写される。記録紙6上に転写されたトナー画像は、定着装置50による圧力と熱によって記録紙6上に固定され、最終画像を得る。
【0022】
中間転写ベルト21は樹脂層であることが好ましいが、必要に応じて、弾性層や、表層を保有しても良い。樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものでないことは当然である。
また、上記弾性層を構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0023】
また、中間転写ベルト21の表層の材料は特に制限は無いが、中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして二次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
また、中間転写ベルト21の樹脂層や弾性層には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化スズ複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化スズ複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
【0024】
図7は、本発明の画像形成装置に用いる定着装置の一例の構成を示す概略図である。本発明の画像形成装置1において使用される定着装置50としては、例えば図7に示した定着装置50を好ましく用いることができる。
図7に示す定着装置50は、誘導加熱手段56の電磁誘導により加熱される加熱ローラ51と、加熱ローラ51と平行に配置された定着ローラ52(対向回転体)と、加熱ローラ51と定着ローラ52とに張り渡され、加熱ローラ51により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の耐熱性ベルト(トナー加熱媒体)53と、ベルト53を介して定着ローラ52に圧接されるとともにベルト53に対して順方向に回転する加圧ローラ54(加圧回転体)とから構成されている。
このような定着装置50によれば、以下のような効果を得ることができる。すなわち、通常の定着装置では、連続通紙した場合、紙に定着熱を奪われるため、狙いの定着温度に対して温度の落ち込み(変動)が顕著になってしまう。しかしながら、定着装置50を電磁誘導により加熱される構成とすることで、急速な昇温が可能であるため紙によって奪われた分の定着熱を即座に補うことが可能となり、連続通紙した場合の定着温度の落ち込み(変動)を小さくできる。ベタ画像のような高付着量画像が連続通紙された場合、トナーのクラウド化により均一現像された未定着画像が一定の温度で定着されることになるため、その相乗効果によりページ内ではもちろん、ページ間でも濃度バラツキのない均一濃度の画像が得られる。
【0025】
上記構成において、加熱ローラ51は例えば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなり、外径を例えば20〜40mm、肉厚を例えば0.3〜1.0mmとして、低熱容量で昇温の早い構成となっている。
定着ローラ52(対向回転体)は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金521と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金521を被覆した弾性部材522とからなる。そして、加圧ローラ54からの押圧力でこの加圧ローラ54と定着ローラ52との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20〜40mm程度として加熱ローラ51より大きくしている。弾性部材522は、その肉厚を4〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ51の熱容量は定着ローラ52の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ51が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
加熱ローラ51と定着ローラ52とに張り渡されたベルト53は、誘導加熱手段56により加熱される加熱ローラ51との接触部位(W1)で加熱される。そして、加熱ローラ51、定着ローラ52の回転によってベルト53の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト53全体に渡って加熱される。
【0026】
また、図8は、定着装置が有する加熱ベルトの層構成を示す図である。図8に、ベルト53の構成を示しているが、ベルト53の構成は以下の通りである。
内層から表層に向かって下記4層となる。
・基体544(樹脂層:ポリイミド(PI)樹脂など)
・発熱層541(導電材料として、Ni,Ag,SUS等)
・中間層542(弾性層で均一定着を狙う)
・表層(離型層)543(フッ素樹脂材料で、離型効果とオイルレスを狙う)
離型層543の厚さとしては、10μmから300μm程度が望ましく、特に200μm程度が望ましい。このようにすれば、記録紙6上に形成されたトナー像7をベルト53の表層部が十分に包み込むため、トナー像7を均一に加熱溶融することが可能になる。
離型層543の厚さ、即ち表面離型層は経時耐磨耗性を確保するためには最低10μmは必要である。また、離型層543の厚さが300μmよりも大きい場合には、ベルト53の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。さらに加えて、トナー定着工程においてベルト表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、ベルトの離型性が低下してトナーがベルトに付着する、いわゆるホットオフセットが発生する。
なお、ベルト53の基材として、上記金属からなる発熱層531の代わりに、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
【0027】
加圧ローラ54は、たとえば銅またはアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金541と、この芯金541の表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材542とから構成されている。芯金541には上記金属以外にSUSを使用しても良い。加圧ローラ54はベルト53を介して定着ローラ52を押圧して定着ニップ部(N)を形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ54の硬度を定着ローラ52に比べて硬くすることによって、加圧ローラ54が定着ローラ52(及びベルト53)へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録紙6は加圧ローラ54表面の円周形状に沿うため、記録紙6がベルト53表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ54の外径は定着ローラ52と同じ20〜40mm程度であるが、肉圧は0.5〜2.0mm程度で定着ローラ52より薄く構成されている。
【0028】
電磁誘導により加熱ローラ51を加熱する誘導加熱手段56は、図7に示すように、磁界発生手段である励磁コイル57と、この励磁コイル57が巻き回されたコイルガイド板571とを有している。コイルガイド板571は加熱ローラ51の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル57は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板571に沿って加熱ローラ51の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル571は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。
励磁コイル571の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア572が、励磁コイルコア支持部材573に固定されて励磁コイル57に近接配置されている。
【0029】
次に本発明の画像形成装置1で用いられるトナーについて述べる。最初に本発明におけるトナーの重要な点(重量平均粒径、平均円形度、外添剤等)について述べ、後でトナーの構成材料と作製方法について述べる。
(トータルエナジー)
トナーのトータルエナジーの値は、パウダーレオメータとして「freeman
technology社製」FT4を用いて測定する。まず、内径25mmの25mLスプリット容器(高さ59mmの25mL容器の上に高さ22mmの円筒を載せ、上下に分離可能にしたもの)に、高さ59mmを超える量の前記トナーを充填する。この際、次のコンディショニングによりトナー嵩が小さくなってしまうため、なるべく多量に容器に充填することが重要である。
トナーを充填した後、充填されたトナーを穏やかに攪拌することによりサンプルの均質化を行うコンディショニングを実施する。このコンディショニングは、測定を行うトナーの流動状態を常に均一にするために必要であり、これにより測定値のバラツキを少なく制御することができる。
コンディショニングでは、充填した状態でトナーにストレスを与えないようトナーからの抵抗を受けない回転方向(上から見て時計回り)で回転翼を緩やかに攪拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルを均質な状態にする。具体的なコンディショニング条件は、+5°の進入角で、40mm/sの回転翼の先端スピードで攪拌を行う。この時、プロペラ型の回転翼が回転と同時に下方向にも運動するので、先端は螺旋を描くことになり、この時のプロペラ先端が描く螺旋経路の角度を進入角度と呼ぶ。
【0030】
コンディショニング操作を4回以上繰り返した後、スプリット容器の容器上端部を静かに動かし、高さ59mmの位置において、ベッセル内部のトナーをすり切って25mL容器を満たすトナーを得る。コンディショニング操作を実施するのは、トナーのトータルエネルギーを安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であるからである。
以上のようにして、得られたトナーを内径25mm、高さ80mmの35mL容器に移す。
トナーを200mL容器に移した後、オプションの通気測定キットを装着して、さらにコンディショニングを3回実施した後、通気速度0.6mm/secで空気を流入させながら、容器内に充填された粒子中を充填表面H1からH2まで進入角−5°で移動しながら、回転翼の先端スピード100mm/secで回転する時の回転トルクと垂直荷重を測定する。なお、測定時は、トナーからの抵抗を受ける回転方向(上から見て反時計回り)で回転翼を攪拌する。
ここで、0.6mm/minで空気を流入しながら測定するのは、クラウド現像におけるクラウド化されたトナーの流動状態により近似させるためである。なお、freeman
technology社製のFT4では、空気の流入状態は任意の値に設定することが可能である。進入角度を−5°とするのは、現像装置内での現像剤の流動性と高い相関を有するという理由からである。
図9は、パウダーレオメータでの垂直荷重、回転トルクを示す図である。充填表面H1からの深さHに対する回転トルク又は垂直荷重の関係を、図9(a)、図9(b)に示している。
図10は、パウダーレオメータでのトータルエネルギーの求め方を示す図である。図10に示しているのは、回転トルクと垂直荷重から、深さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものである。図10のエネルギー勾配を積分して得られた面積が、トータルエネルギー量(mJ)となる。本発明では、底面からの高さ5mmから55mmの区間を積分してトータルエネルギー量を求める。
また、本発明では、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを5回行ったときの平均値を、本発明で定義するトータルエネルギー量(mJ)とする。
図11は、パウダーレオメータで用いる回転翼の形状を説明するための図である。回転翼は、freeman
technology社製の図11に示す2枚翼プロペラ型のφ23.5mm径ブレードを用いる。
【0031】
本発明の画像形成装置1におけるトナーは、パウダーレオメータにおいて通気速度0.6mm/secで通気させた状態で測定した時のトータルエナジーの値が3〜15mJ、より好ましくは5〜13mJであることが好ましい。このようなトータルエナジーの値を有するトナーとすることにより、トナーのクラウド化が適切に行われる。トータルエナジーの値が3mJよりも低いトナーは、流動性が非常に高いためクラウド化が活発に行われ、感光体11の非画像部に飛散しやすくなる。トータルエナジーの値が15mJよりも高いトナーは、流動性が非常に低いためクラウド化したトナーが凝集状態で存在しやすくなり、クラウド発生電極14を汚染してクラウド化を妨げやすくなる。更には、凝集化したトナーが感光体11の画像部に現像されるため、ドット再現性が悪くなる。したがって、トナーは、パウダーレオメータにおいて通気速度0.6mm/secで通気させた状態で測定した時のトータルエナジーの値が3〜15mJ、より好ましくは5〜13mJの範囲にすることで、小粒径トナーであっても地汚れがなく、画像のベタ均一性があり、しかも微小ドットで、細線の画質の良好な画像が得られる。
【0032】
(重量平均粒径)
本発明におけるトナーは、重量平均粒径が2〜7μmであることが好ましい。このような粒径を有するトナーとすることにより、現像装置内でトナーが攪拌により均一帯電しやすくなり、弱・逆帯電トナーが発生しにくくなるため、クラウド化されたトナーが飛散することなく感光体11の画像部分に付着することができる。更に、ドットを忠実に再現できるため高解像で高画質の画像が得られ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に色再現性に優れた高画質の画像が得られる。本発明における範囲よりも重量平均粒径が大きい場合、現像装置内でトナーが攪拌により均一帯電しにくくなり、弱・逆帯電トナーが発生しやすくなるため、この弱・逆帯電トナーがクラウド化された際に飛散して地汚れを引き起こしやすくなる。さらに、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。逆に、重量平均粒径がこの範囲よりも小さいトナーは、実質的に作製が困難である。なお、上記弱・逆帯電トナーとは、帯電量が0に近く、ほとんど帯電していないトナーを弱帯電トナーと呼び、本来、帯電すべきとは反対の極性(負極性に帯電すべきトナーであれば正極性)に帯電しているトナーを逆帯電トナーと呼んでいる。
【0033】
トナーの重量平均粒径(D4)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman
Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行なった。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬社製)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行なった。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
【0034】
(D4/Dn)
本発明におけるトナーは、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.0〜1.2であることが好ましい。このような粒径及び粒径分布を有するトナーとすることにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の優れた光沢性が得られる。
また、D4/Dnが1.2を超えると、上記範囲の重量平均粒径を有していても帯電量分布が広くなって弱・逆帯電トナーが発生し、トナー飛散による地汚れが発生する可能性がある。更に、解像力も低下するため好ましくない。
トナーの粒度分布(D4/Dn)は、上記重量平均粒径(D4)の測定の場合と同様、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman
Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。
【0035】
(形状係数)
トナーの形状係数SF−1は110〜150、形状係数SF−2は110〜150の範囲にあることが好ましい。図12は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で倍率1000倍のトナーの写真を撮り、スキャナで読み取って画像データ化する。これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)を用いて、画像データを二値化し、少なくとも500個以上のトナー粒子について解析を行うことで測定した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体11との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体11との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが110よりも小さいと、中間転写ベルトまたは記録紙上にトナーを色重ねした際にトナーが移動しやすくなり、チリや色ずれが発生しやすくなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが150を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0036】
(外添剤)
本発明におけるトナーには、少なくとも一次平均粒径が80〜500nmの外添剤が外添されることが好ましく、これにより十分な現像装置内での攪拌などにより外添剤がトナーの表面に埋まり込むことによって発生する帯電量及びトナー現像性の変化といった問題を改善することができる。外添剤の一次平均粒径が80nmよりも小さい場合には、トナーの表面に埋まりやすく、初期的には問題ないが、長期の攪拌などによってトナーの表面に外添剤が埋まるなどの現象が発生する場合があり、この場合に感光体11とトナー間または、中間転写ベルトとトナー間の付着力低減効果が得られなくなり、転写性が悪化し、均一転写が得られない恐れがある。また、500nmよりも大きい場合には、トナーの流動性が悪くなり、均一転写性を阻害する場合がある。
また、本発明におけるトナーは、従来に比べてより小粒径で球形に近い形状のため、クリーニングに対しては不利である。そのため、一次平均粒径80〜500nmの大粒径外添剤の添加量を多くすることで、ブレードエッジ部にダム層を形成し、トナーのすり抜けを抑制する効果を狙っている。
上記大粒径の外添剤としては、シリカ及び酸化チタンから選択される少なくとも1種の無機微粒子が好ましい。
【0037】
以下、本発明の画像形成装置1で用いられるトナーの構成材料及び作製方法について説明する。
本発明で用いられるトナーの母体着色粒子は、少なくとも結着樹脂、有彩色の着色剤、離型剤とからなり、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等の製造方法があるが、これらの製造方法に限るものではない。本発明で用いられるトナーは、高画質高精細の画像を出力させるべく、小粒径で球形に近いトナーであることが好ましい。このようなトナーの製造方法としては、粉砕法により得られた母体トナーをサーフュージョンシステム等により球形化する方法、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させトナー母体粒子を形成させる、懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等がある。以下、これらのトナー製造方法、及び該製造方法において用いる材料、添加剤等について説明する。
【0038】
(懸濁重合法)
油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤等を分散し、界面活性剤、その他固体分散剤等が含まれる水系媒体中で後に述べる乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化し、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去してトナー粒子を得る。重合性単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有すアクリレート、メタクリレートなどを一部用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有すものを選ぶことよって粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
【0039】
(乳化重合凝集法)
水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナーを得る。ラテックスとして懸濁重合法に使用されうる単量体と同様なものを用いればトナー粒子表面に官能基を導入できる。
【0040】
(ポリマー懸濁法)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。トナー組成物の油相には、樹脂、プレポリマー、顔料等の着色剤、離型剤、帯電制御剤等を揮発性溶剤に溶解又は分散する。水系媒体中に、トナー組成物からなる油相を界面活性剤、固体分散剤等の存在下で分散させ、プレポリマーの反応を行わせて粒子化する。
トナー粒子に官能基を導入するには、懸濁重合法で用いた官能基を有する単量体との共重合体や、ポリエステル樹脂の場合には酸の単量体として酸基の官能基を3以上有するものを用い、得られたポリエステル樹脂の末端の水酸基をさらに複数の酸基を有する化合物によりエステル化することによって得ることができる。また、後に述べる水系媒体中での分散安定剤として、酸基を有する界面活性剤や極性高分子、有機、無機樹脂微粒子を用い、トナー粒子表面に残存させ酸基を導入することができる。酸基としてはカルボキシル基、スルホン基、スルホン酸基、リン酸基などがあげられる。
【0041】
(乾式粉砕法)
粉砕系の一例としては、少なくとも結着剤樹脂、帯電制御剤および着色剤を含む原材料を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また、着色剤の分散性を向上させるために着色剤をマスターバッチ処理後、他の原材料と混合し、次工程へ処理しても良い。
機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。トナーを混練する具体的な装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられる。以上により得られた溶融混練物は冷却した後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。粉砕は、平均粒径が3〜15μmになるように行うのが望ましい。さらに、粉砕物は風力式分級機等により、2〜7μmに粒度調整される。次いで、外添剤のトナー粒子へ外添が行われるが、トナー粒子と外添剤を、ミキサー類を用い混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー粒子表面に被覆される。
この粉砕系トナーでは、公知の結着樹脂を用いることができるが、顔料の分散性を良好にし、より広い色再現域の画像を得る観点からポリエステル樹脂を用いることが好ましい。さらに、結着樹脂である結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルと、離型剤からなるで、広い定着温度幅を確保することができる。また、光沢性を損なわないためには、やはり離型剤の分散性を良好にすることでホットオフセットを防止することができる。
【0042】
(粉砕トナーの球形化処理)
粉砕・分級法によるトナーはそのままでは不定形で、粉砕処理方法にもよるが、円形度は0.930〜0.950であり、円形度0.960〜0.998となることはないが、次に述べるような機械的な球形化処理や、加熱処理により、円形度を高めることが可能であり、円形度0.960〜0.998の球形トナーを得ることができる。円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。
〔機械的処理〕
例えば、特開平09−085741号公報に記載されているようにターボミル(ターボ工業社製)を用いた方法や、クリプトロン(川崎重工社製)、Q型ミキサー(三井鉱山社製)、ハイブリダイザー(奈良機械社製)、メカノフィュージョン装置(ホソカワミクロン社製等)で連続処理することにより、粉砕トナーの形状を球形化することが可能である。
〔加熱処理(乾式)〕
例えば、サーフュージョンシステム(日本ニューマチック工業社製)を用いて、100〜300℃の熱風でトナー粒子表面を半溶融させることにより、粉砕トナーの形状を球形化することが可能である。
〔加熱処理(湿式)〕
粉砕法によって得られたトナーをトナーが可塑性を持つような温度(200℃程度)の高温液体中に浸漬することによって、粉砕トナーの形状を球形化することが可能である。
【0043】
本発明の画像形成装置1で用いるトナーは、ポリマー懸濁法に近く、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中にそれぞれ溶解又は分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーが好ましい。活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有するポリエステルプレポリマーが好ましく、該ポリエステルプレポリマーは、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応し、変性ポリエステルとしてトナーに含有される。以下に、このトナーの製造方法について詳述する。
(変性ポリエステル)
本発明に係るトナーはバインダー樹脂として変性ポリエステル(i)を含むことが好ましい。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在し、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素基を有する化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0044】
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0045】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
なお、多価アルコール化合物(PO)、及び多価カルボン酸(PC)としては、上記例示されたものの他、重縮合により活性水素基を有するポリエステルを形成できるものであれば、他のものを使用することも可能である。
【0046】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0047】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0048】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHX]の当量比[NCO]/[NHX]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHX]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0049】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明で用いられる変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋反応又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0050】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。
(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0051】
(着色剤)
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0052】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
このマスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウェットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0053】
(離型剤)
また、バインダー樹脂、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。本発明で用いるワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0054】
(帯電制御剤)
トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY
VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0055】
(外添剤の一般的な考慮事項)
本発明における外添剤の重要な事項については先述したとおりであるが、以下では一般的に考慮されねばならない事項について述べる。得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子等を用いることができる。それらは、条件を満たせば公知のものすべてが使用可能である。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマー等を含有してもよい。特に好適な外添剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子があげられる。
シリカ微粒子としては、HDK
H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上、ヘキスト社製)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上、日本アエロジル社製)がある。また、チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル社製)やSTT−30、STT−65C−S(以上、チタン工業社製)、TAF−140(富士チタン工業社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(以上、テイカ社製)などがある。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル社製)やSTT−30A、STT−65S−S(以上、チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(以上、富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T(以上、テイカ社製)、IT−S(石原産業社製)などがある。
疎水化処理された無機微粒子、シリカ微粒子及びチタニア微粒子、アルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。またシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。
【0056】
無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナなど先述したとおりであり、その中でも特にシリカと二酸化チタンが好ましい。この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体11や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0057】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0058】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C16)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C16〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0059】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(以上、ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0060】
樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。
このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。例えばビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられる。樹脂微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは20〜300nmである。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0061】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋反応又は伸長反応の少なくともいずれかの反応を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0062】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0063】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0064】
次に本発明の画像形成装置1で用いられるキャリアについて述べる。最初に本発明におけるキャリアの重要な点(重量平均粒径)について述べ、後でキャリアの構成材料と作製方法について述べる。
(キャリアの特性評価方法)
<重量平均粒径>
キャリアの重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。この場合の重量平均粒径Dwは、式(3)で表わされる。
Dw={1/Σ(nD3)}×{Σ(nD4)} …式(3)
式(3)中、Dは、各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示す。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明においては、2μmを採用した。また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子の粒径の下限値を採用した。
また、キャリア及びキャリアの芯材粒子における個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布に基づいて算出されたものである。この場合の個数平均粒径Dpは、式(4)で表わされる。
Dp=(1/ΣN)×(ΣnD) …式(4)
式(4)中、Nは、計測した全粒子数を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Dは、各チャネル(2μm)に保存する粒子の粒径の下限値を示す。
本発明において、粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計モデルHRA9320−X100(Honewell社製)を用いることができる。その測定条件は以下の通りである。
[1]粒径範囲:8〜100μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
【0065】
(キャリアの構成材料及び製法)
本発明におけるキャリアは、粒子径15〜45μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0066】
次に、本発明の画像形成装置1で用いられる感光体11について述べる。
電子写真感光体11は、導電性支持体111上に少なくとも感光層112を有し、該感光層112の表面層113に少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射手段で硬化した架橋層を有することが好ましい。これにより、耐摩耗性及び耐傷性が高く、転写特性に優れ、かつ長期間にわたり高画質化を実現することができる。
この理由としては以下の要因が考えられる。
架橋表面層113に、3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いており、これにより3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い高硬度架橋表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。これに対し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーのみを用いた場合は、架橋表面層113中の架橋結合が希薄となり飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。架橋表面層113に高分子材料が含有されている場合、3次元網目構造の発達が阻害され架橋度の低下が起こり、本発明に比べ充分な耐摩耗性が得られない。更に、含有される高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との相溶性が悪く、相分離から局部的な摩耗が生じ、表面の傷となって現れる。
また、架橋表面層113は、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層113中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層113の機械的強度も低下する。
【0067】
次に、架橋表面層113塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=CH−X
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R36)−基(R36は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
【0068】
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=C(Y)−X
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR37基(R37は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR3839(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
【0069】
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
【0070】
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層113全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層113の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
【0071】
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層113の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生を引き起こしやすくなる。5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを越える膜を形成した場合、前記架橋表面層113の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こしやすくなる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生、及び静電的特性の安定化しやすくなる。
【0072】
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造の効果が高い。また官能基数が1つであるものが好ましく、さらには下記一般式1又は2の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
【化1】

【0073】
【化2】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
【0074】
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
【0075】
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
【0076】
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0077】
(6)
【化3】

(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
【0078】
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフ
ェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
【0079】
ビニレン基は、
【化4】

または、

で表わされ、
は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
【0080】
また、1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
【化5】

【0081】
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
【化6】


を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
【0082】
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層113とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
【0083】
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。




















【0084】
2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。









































































【0085】
3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。













【0086】
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋表面層113の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層113全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋表面層113の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
表面層113は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層113の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層113の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
【0087】
また、表面層113は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化したものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋表面層113中に重合開始剤を使用してもよい。
重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0088】
更に、塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋表面層113は、少なくとも電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
【0089】
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部から光エネルギーを与え硬化させる。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、300mW/cm未満では硬化反応に時間を要す。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、架橋表面層113の荒れが激しくなる。また光エネルギーにより硬化するときには、酸素による架橋阻害を防止するために、酸素濃度を低減することが好ましい。
架橋表面層113塗工液に含有される組成物においては、バインダー樹脂を含有させることも感光体表面の平滑性、電気特性、あるいは耐久性を損なわない範囲であれば可能である。しかし塗工液にバインダー樹脂などの高分子材料を含有させると、ラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の硬化反応より生成した高分子との相溶性の悪さから相分離が生じ、架橋表面層113表面の凹凸が激しくなる。したがって、バインダー樹脂は使用しない方が好ましい。
本発明の架橋表面層113においては、電気的特性を維持するため嵩高い電荷輸送性構造を含有させ、且つ高強度化のため架橋結合密度を高める必要がある。この様な架橋表面層113塗工後の硬化にあたっては、非常に高いエネルギーを外部から加え急激に反応を進めると、硬化が不均一に進行し架橋膜表面の凹凸が激しくなる。このため光の照射強度、重合開始剤量により反応速度制御が可能な光の外部エネルギーを用いたものが好ましい。
【0090】
本発明の架橋表面層形成材料を用いた場合において、塗工方法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋表面層113の下層となる電荷輸送層1122において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、架橋表面層113をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層1122を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、ドラムを回転して全ての面を均一に45〜360秒程度照射すればよい。このときドラム温度は100℃を越えないように制御する。
硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、感光体を得る。
【0091】
以下、本発明をその層構造に従い説明する。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図13は、本発明の画像形成装置に用いる電子写真感光体を示す断面図である。導電性支持体111上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層が設けられた単層構造の感光体11である。架橋表面層113が感光層全体の場合を示したのが図13(a)であり、架橋表面層113が感光層の表面部分である場合を示したのが図13(b)である。
図14は、本発明の画像形成装置に用いる電子写真感光体の他の例を示す断面図である。導電性支持体111上に、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層1122とが積層された積層構造の感光体11である。架橋表面層113が電荷輸送層1122全体の場合を示すのが図14(a)であり、架橋表面層113が電荷輸送層1122の表面部分である場合を示すのが図14(b)である。
【0092】
<導電性支持体について>
導電性支持体111としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体111として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体111として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体111として良好に用いることができる。
【0093】
<感光層について>
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層1122とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
<感光層が積層構成のもの>
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0094】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
【0095】
また、電荷発生層には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0096】
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0097】
(電荷輸送層について)
電荷輸送層1122は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層113は電荷輸送層1122として有用に用いられる。架橋表面層113が電荷輸送層1122の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物;以下同じ)とフィラーを含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層113が形成される。このとき、架橋表面層113の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層113が電荷輸送層1122の表面部分に形成され、電荷輸送層1122が積層構造である場合、電荷輸送層1122の下層部分は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に上記本発明のラジカル重合性組成物とフィラーを含有する塗工液を塗布し、外部エネルギーにより架橋硬化させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、表面層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
【0098】
電荷輸送層1122の下層部分の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層1122の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層1122の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層1122の下層部分に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層1122の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
架橋表面層113が電荷輸送層1122の表面部分である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように、かかる電荷輸送層1122の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層113が形成される。このとき、架橋表面層113の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層1122全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
【0099】
<感光層が単層のもの>
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層113は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、電荷発生層1121上に塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層113が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層113の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層113が単層構造の感光層の表面部分である場合、感光層の下層部分は電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質と結着樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記電荷発生層、電荷輸送層1122において既に述べたものと同様なものが使用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層1122の項で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能で、架橋表面層113への下層感光層組成物の混入を低減できる点で有用である。かかる感光層の下層部分の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
架橋表面層113が単層構造の感光層の表面部分である場合、前述のようにかかる感光層の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物と電荷発生物質を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化し、架橋表面層113を形成する。このとき、架橋表面層113の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性のバラツキが生じる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
【0100】
<中間層について>
感光体11においては、架橋表面層113が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層113への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層113の凹凸を防止する。また、下層の感光層と表面架橋層の接着性を向上させることも可能である。
中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0101】
<下引き層について>
感光体11においては、導電性支持体111と感光層112との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層112を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層112の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0102】
<各層への酸化防止剤の添加について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層113、電荷発生層1121、電荷輸送層1122、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
【0103】
<電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し、反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
【表1】

【0104】
構造式A


構造式B

【0105】
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(表1中の例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し、反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
【表2】

【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明する。なお、本発明は、ここに例示されるものに限定されない。実施例中の部は重量部を表わす。
<評価機>
トナー色の設置順番に制限はないが、本実施例では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順とした。
本発明の効果を検証するために、評価用画像出力機として、リコー社製の画像形成装置(Imagio MP C5000)を母体として帯電ローラはそのまま(交番電圧を重畳した直流電圧を印加するのも変更なし)で現像部にクラウド発生用電極を配置した改造機1と、帯電ローラを非接触型から接触型にして交番電圧を重畳しない直流電圧のみを印加するようにし、現像部にクラウド発生用電極を配置した改造機2を用い600dpi出力にて、評価画像の出力と画質評価を行った。
また、比較用評価機として、通常のImagio MP C5000量産機を用いた。表3にこれらの事を整理して示した。

【表3】


システムの線速は150mm/sec、300mm/secの二種類で行った。また、各線速で、約5cmのベタ画像で静電潜像担持体上のトナー量を測定し、付着量が各色約0.5mg/cmとなるように各々の評価機(評価用画像出力機(改造機1,2)、比較用評価機(量産機))の現像条件を設定した。クラウド発生用電極は線速が150mm/sec時には2本、高現像能力が要求される線速300mm/sec時には4本設置した。
【0107】
本発明(評価用画像出力機)の現像部に関わるプロセス条件を表4に示す。

【表4】

【0108】
<トナー>
以下に評価に用いたトナーの具体的な作製例を示す。
−トナーa−
〜有機微粒子エマルションの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業社製)11部、メタクリル酸166部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、110nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
【0109】
〜水相の調製〜
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業社製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0110】
〜フッ素系活性剤水溶液の調製〜
N,N,N,−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム、ヨージド製品名フタージェント310(ネオス社製)10部、メタノール297部を容器に入れ、50℃に加熱し透明になるまで攪拌する。得られたフッ素系活性剤メタノール溶液を、攪拌しているイオン交換水693部に滴下し、滴下終了後50℃で30分攪拌して、[フッ素系活性剤水溶液1]を得た。
【0111】
〜低分子ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
【0112】
〜中間体ポリエステル及びプレポリマーの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、Tg54℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0113】
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417であった。
【0114】
〜マスターバッチ(MB)の合成〜
水1200部、カーボンブラック(Printex35 デクサ社製)540部〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、 ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
水1200部、C.I.ピグメントイエロー180(PV
Fast Yellow HG(クラリアント))650部、 ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ2]を得た。
水1200部、C.I.ピグメントブルー15:3(Lionol Blue FG−7351(東洋インキ))540部、
ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ3]を得た。
水1200部、C.I.ピグメントレッド122 Hostaperm Pink E (クラリント))540部、
ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ4]を得た。
【0115】
〜油相の作製〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX95部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0116】
〜乳化⇒脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで30分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
【0117】
〜洗浄⇒フッ素活性剤処理⇒乾燥⇒風篩〜
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
(5):[濾過ケーキ1]630部、イオン交換水2928部を容器に入れ、スリーワンモータ(新東科学社製)で攪拌(回転数:400rpmで5分)して30℃に加熱する。回転数・温度を保ちながら[フッ素系活性剤水溶液1]11部を滴下する。滴下終了後60分間攪拌し、濾過を行い[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ1]を得た。
[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。そして、目開き75μmメッシュで篩い、トナーを得た。このトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをして[トナーa_Bk]を作製した。
同様に、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ2]に変更して[トナーa_Y]を作製した。また、同様に、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ3]に変更して[トナーa_C]を作製した。さらに、同様に、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ4]に変更して[トナーa_M]を作製した。
【0118】
−トナーb−
[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]において、〜乳化⇒脱溶剤〜の工程を以下のように変更した以外は[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]と同様にして[トナーb_Bk]、[トナーb_Y]、[トナーb_C]、[トナーb_M]を作製した。
〜乳化⇒脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で6,500rpmで3分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数16,000rpmで35分間混合し[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー2]を得た。
【0119】
−トナーc−
トナーc構成材料:
結着樹脂…ポリオール樹脂(1/2流出開始温度118℃) 98部
離型剤…カルナバワックス 3部
着色剤 ブラッククトナー用…カーボンブラック 5部
イエロートナー用…ベンズイミダゾロン系イエロー顔料
(C.I.Pigment Yellow180) 4部
マゼンタトナー用…キナクリドン系マゼンタ顔料
(C.I.Pigment Red122) 6部
シアントナー用…銅フタロシアニンブルー顔料
(C.I.Pigment Blue15) 3部
帯電制御剤…サリチル酸誘導体亜鉛塩 3.5部
上記トナー構成材料を各色毎にブレンダーで十分混合した後、100〜110℃に加熱した2軸押し出し機で溶融混練した。混練物を放冷後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、風力分級装置を用いて各色母体着色粒子cを得た。
各色母体着色粒子cを、サーフュージョン(日本ニューマチック社製)を用いて、温度300℃、熱風風量1000l/min、供給風量100l/min、回転数600rpmに設定した装置内を通して、各色トナーを得た。
このトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをして[トナーc_Bk] 、[トナーc_Y]、[トナーc_C]、[トナーc_M]を作製した。
【0120】
−トナーd−
[トナーc_Bk] 、[トナーc_Y]、[トナーc_C]、[トナーc_M]において、サーフュージョンによる球形化処理を行わなかった以外は[トナーc_Bk]
、[トナーc_Y]、[トナーc_C]、[トナーc_M]と同様にして[トナーd_Bk]、[トナーd_Y]、[トナーd_C]、[トナーd_M]を作製した。
【0121】
−トナーe−
[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]において、〜乳化⇒脱溶剤〜の工程を以下のように変更して、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)4.8部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]と同様にして[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]を作製した。
〜乳化⇒脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,500rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数12,500rpmで30分間混合し[乳化スラリー3]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー3]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、40℃で9時間熟成を行い、[分散スラリー3]を得た。
【0122】
−トナーf−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径480nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーf_Bk]、[トナーf_Y]、[トナーf_C]、[トナーf_M]を作製した。
【0123】
−トナーg−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径480nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)4.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーg_Bk]、[トナーg_Y]、[トナーg_C]、[トナーg_M]を作製した。
【0124】
−トナーh−
トナーh構成材料:
結着樹脂…ポリエステル樹脂(1/2流出開始温度106℃) 98部
離型剤…カルナバワックス 2.5部
着色剤、帯電制御剤…トナーcと同様
上記トナー構成材料を各色毎にブレンダーで十分混合した後、100〜110℃に加熱した2軸押し出し機で溶融混練した。混練物を放冷後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、風力分級装置を用いて各色母体着色粒子hを得た。
さらに、各色母体着色粒子hを100部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをして[トナーh_Bk]、[トナーh_Y]、[トナーh_C]、[トナーh_M]を作製した。
【0125】
−トナーi−
[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]において、〜乳化⇒脱溶剤〜の工程と、〜洗浄⇒フッ素活性剤処理⇒乾燥⇒風篩〜の工程を以下のように変更した以外は[トナーa_Bk]、[トナーa_Y]、[トナーa_C]、[トナーa_M]と同様にして[トナーi_Bk]、[トナーi_Y]、[トナーi_C]、[トナーi_M]を作製した。
〜乳化⇒脱溶剤〜
[顔料・WAX分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,800rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで30分間混合し[乳化スラリー4]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー4]を投入し、35℃で6時間脱溶剤した後、45℃で9時間熟成を行い、[分散スラリー4]を得た。
〜洗浄⇒フッ素活性剤処理⇒乾燥⇒風篩〜
[分散スラリー4]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ2]を得た。
(5):[濾過ケーキ2]630部、イオン交換水2928部を容器に入れ、スリーワンモータ(新東科学社製)で攪拌(回転数:400rpmで5分)して30℃に加熱する。回転数・温度を保ちながら[フッ素系活性剤水溶液2]11部を滴下する。滴下終了後60分間攪拌し、濾過を行い[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ2]を得た。
[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ2]を循風乾燥機にて50℃で46時間乾燥した。そして、目開き90μmメッシュで篩い、トナーを得た。
【0126】
−トナーj−
[トナーi_Bk]、[トナーi_Y]、[トナーi_C]、[トナーi_M]において、〜洗浄⇒フッ素活性剤処理⇒乾燥⇒風篩〜の工程を以下のように変更した以外は[トナーi_Bk]、[トナーi_Y]、[トナーi_C]、[トナーi_M]と同様にして[トナーj_Bk]、[トナーj_Y]、[トナーj_C]、[トナーj_M]を作製した。
〜洗浄⇒フッ素活性剤処理⇒乾燥⇒風篩〜
[分散スラリー4]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ3]を得た。
(5):[濾過ケーキ3]630部、イオン交換水2928部を容器に入れ、スリーワンモータ(新東科学社製)で攪拌(回転数:400rpmで5分)して30℃に加熱する。回転数・温度を保ちながら[フッ素系活性剤水溶液3]11部を滴下する。滴下終了後60分間攪拌し、濾過を行い[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ3]を得た。
[フッ素系活性剤処理後濾過ケーキ3]を循風乾燥機にて55℃で40時間乾燥した。そして、目開き75μmメッシュで篩い、トナーを得た。
【0127】
−トナーk−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径60nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーk_Bk]、[トナーk_Y]、[トナーk_C]、[トナーk_M]を作製した。
【0128】
−トナーl−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)5.1部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーl_Bk]、[トナーl_Y]、[トナーl_C]、[トナーl_M]を作製した。
【0129】
−トナーm−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径510nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)0.6部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーm_Bk]、[トナーm_Y]、[トナーm_C]、[トナーm_M]を作製した。
【0130】
−トナーn−
[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーe_Bk]、[トナーe_Y]、[トナーe_C]、[トナーe_M]と同様にして[トナーn_Bk]、[トナーn_Y]、[トナーn_C]、[トナーn_M]を作製した。
【0131】
−トナーo−
[トナーj_Bk]、[トナーj_Y]、[トナーj_C]、[トナーj_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部と平均粒径90nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)5.2部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーj_Bk]、[トナーj_Y]、[トナーj_C]、[トナーj_M]と同様にして[トナーo_Bk]、[トナーo_Y]、[トナーo_C]、[トナーo_M]を作製した。
【0132】
−トナーp−
[トナーc_Bk]、[トナーc_Y]、[トナーc_C]、[トナーc_M]において、得られたトナー100重量部に対して、平均粒径15nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0部と平均粒径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5部をヘンシェルミキサーで混合してからフルイがけをした以外は[トナーc_Bk]、[トナーc_Y]、[トナーc_C]、[トナーc_M]と同様にして[トナーp_Bk]、[トナーp_Y]、[トナーp_C]、[トナーp_M]を作製した。
【0133】
こうして作製したトナーa〜pの物性を表5−1〜表5−2に示す。
【表5−1】

【0134】
【表5−2】

【0135】
<キャリア>
次に、評価に用いたキャリアの具体的な作製例を示す。
−キャリアAの作製−
アクリル樹脂溶液(固形分50wt%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70wt%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)]7.6部
シリコーン樹脂溶液 65.0部
[固形分23wt%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 1.0部
[固形分100wt%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂のブレンド被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;35μm]を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、キャリアを得た。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35μmのキャリアAを得た。
【0136】
−キャリアBの作製−
キャリアAにおいて、芯材の焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;35μm]の平均粒径を20μmに変更した以外は、キャリアAと同様にして重量平均粒径20μmのキャリアBを得た。
【0137】
−キャリアCの作製−
キャリアAにおいて、芯材の焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;35μm]の平均粒径を50μmに変更した以外は、キャリアAと同様にして重量平均粒径50μmのキャリアCを得た。
【0138】

こうして作製したキャリアA〜Cの物性を表6に示す。

【表6】

【0139】
<静電潜像担持体>
次に、評価に用いた感光体の具体的な作製例について説明する。本発明で用いる感光体は、これらの例に限定されるものではない。
−感光体i−
Al製支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
・下引き層用塗工液
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂
4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン
40部
(CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン
50部
この下引き層上に下記構造のビスアゾ顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0140】
電荷発生層用塗工液
下記構造のビスアゾ顔料
2.5部


ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
シクロヘキサノン
200部
メチルエチルケトン
80部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
【0141】
電荷輸送層用塗工液
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
10部
下記構造の低分子電荷輸送物質
10部



テトラヒドロフラン
80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
電荷輸送層1122上に下記構成の架橋表面層塗工液を用いて、スプレー塗工した。メタルハライドランプ、照射光強度:450mW/cm、照射時間:120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で30分乾燥を加え4.0μmの架橋表面層を設け、感光体iを得た。
【0142】
架橋表面層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 8部
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 2部
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 6部

(例示化合物No.54)
光重合開始剤
1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン
80部
【0143】
−感光体ii−
感光体iにおいて1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の例示化合物No.55に変えて、2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の例示化合物No.181を用いた以外は感光体iと同様に感光体iiを作製した。
【0144】
−感光体iii−
感光体iにおいて1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の例示化合物No.55に変えて、3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の例示化合物No.381を用いた以外は感光体iと同様に感光体iiiを作製した。
【0145】
−感光体iv−
感光体iにおいて架橋表面層を設けなかったこと以外は感光体iと同様に感光体ivを作製した。
【0146】
<評価方法>
(チリ、ドット欠陥、色ズレ評価)
図15は、画像評価に用いた600dpiの1by3ドットパターンの説明図である。図16は、ドットパターンを使用して印字するときの印字する色の順序と、大きさ(記録紙の搬送方向及び垂直方向の長さ)を示す図である。
評価画像として、図15に記載の600dpiの1by3ドットパターンをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、青(シアン+マゼンタ)、緑(イエロー+シアン)、赤(イエロー+マゼンタ)、三色ブラック(イエロー+シアン+マゼンタ)の順で各々記録紙搬送方向に2cm、記録紙搬送方向と垂直方向に15cmの大きさ(図16参照)で、1,000枚連続印字したものから100枚を選び、各色ドット画像を1枚辺り各10個ずつルーペで観察し、限度見本を用いて比較評価を行い、微小ドットの画質ランクを総合評価した。
さらに、別の評価画像として、600dpiの3ドットラインを記録紙搬送方向と垂直方向に長さ10cmでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、青(シアン+マゼンタ)、緑(イエロー+シアン)、赤(イエロー+マゼンタ)、三色ブラック(イエロー+シアン+マゼンタ)の順で配置したものを1,000枚連続で印字したものから100枚を選び、限度見本を用いて目視により細線の画質ランクを総合評価した。
画質ランクは5段階で、チリやドット欠陥が全くない良好な画像を5、チリやドット欠陥がひどく画像として成立し得ないものを1とした。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、青(シアン+マゼンタ)、緑(イエロー+シアン)、赤(イエロー+マゼンタ)、三色ブラック(イエロー+シアン+マゼンタ)の各色について評価し、最終的総合的評価として平均値を示した。
【0147】
(地汚れ濃度ΔID評価)
本発明における地肌汚れΔIDの測定は、潜像担持体上のトナー残をフィルムで採取し、採取前のフィルムのIDと採取後のIDの測定差を3点測定し、平均値を算出した。
具体的には、フルカラーモードで5%画像面積の画像チャートを、20,000枚出力した後、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の各色潜像担持体上のトナー残をフィルムで採取し、未転写(未採取)のフィルムの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメータ(X−Rite社製)を用い、観察用光源D50、視野角2°にて3点測定し、平均値を地肌部の汚れ濃度ΔID値とした。
地汚れランクは5段階で、ΔIDが0〜0.003を5、0.004〜0.006を4、0.007〜0.009を3、0.01〜0.012を2、0.013以上を1とした。
【0148】
表7に、評価機、トナー、キャリアを因子とする実施例および比較例の各組合せを示し、表8に評価結果を示す。なお、ベタ均一性は次のようにして測定した。
(ベタ均一性)
A3全ベタ画像を出力し、A3用紙の4隅4ヶ所と中央1ヶ所の画像濃度を測定し、次式によりベタ均一性を算出し、下記基準によりランクをつけた。
ベタ均一性=(画像濃度最大値−画像濃度最小値)×100(%)
画像濃度は日本電色工業株式会社製のグロスメーターを用いて、入射角度60°の条件で計測した。
5ヶ所画像濃度の平均値
ランク5:15%未満
ランク4:15〜30%
ランク3:31〜50%
ランク2:51〜70%
ランク1:71%以上

【表7】

【0149】
【表8】

【0150】
上表より、実施例による、クラウド発生用電極を有する現像装置を備え、特定の粒径で、かつ、D4/Dn、形状係数、及びF値を有するトナーを用いるタンデム型画像形成装置によれば、小粒径トナーで地汚れがなく、ベタ均一性があり、しかも微小ドットで、細線の画質の良好な画像が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0151】
1 画像形成装置
2 給紙装置
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
6 記録紙
7 トナー
8 負電荷
10 画像形成ステーション(プロセスカートリッジ)
11 感光体
111 導電性支持体
112 感光層
1121 電荷発生層
1122 電荷輸送層
113 表面層
12 帯電装置
121 帯電ローラ
122 芯金
123 導電ゴム層
124 電源
13 現像装置
131 トナー供給ローラ
132 現像スリーブ
134 スクリュー
135 パドル
14 クラウド発生電極
15 電圧供給装置
19 クリーニング装置
20 転写装置
21 中間転写ベルト
211、212、213 支持ローラ
22 ベルトクリーニング装置
23 一次転写ローラ
24 搬送ベルト
25 二次転写ローラ
30 露光装置
32 両面搬送部
40 給紙カセット
42 ピックアップローラ
43 搬送ローラ
44 レジストローラ
47 排出ローラ
48 排紙トレイ
50 定着装置
51 加熱ローラ
52 定着ローラ
521 芯金
522 弾性部材
53 耐熱性ベルト(トナー加熱媒体)
531 発熱層
532 中間層
533 表層(離型層)
534 基体
54 加圧ローラ
541 芯金
542 弾性部材
55 温度センサ
56 誘導加熱手段
561 励磁コイル
562 コイルガイド板
563 励磁コイルコア
564 励磁コイルコア支持部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0152】
【特許文献1】特開昭57−198470号公報
【特許文献2】特開2006−58365号公報
【特許文献3】特開2007−133376号公報
【特許文献4】特開平07−140789号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー供給部材と静電潜像担持体との間に、両者に離間して設置されたトナークラウド発生用電極に直流電圧と交流電圧を重畳させて印加することにより、前記トナー供給部材により供給されたトナーに電位を与えて飛翔させ、前記トナー供給部材と対向する位置に離間配置された前記静電潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置と、前記静電潜像担持体とを画像形成に用いるトナー色毎に有し、かつ、
各色に対応する現像装置で各静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を順次重ねて転写する一次転写装置と、
前記転写装置で転写されたトナー画像を記録部材上に一括転写する二次転写装置と、
前記記録部材上のトナー画像を定着する定着装置とを備えたタンデム型画像形成装置であって、
前記トナーは、
少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤から成り、
パウダーレオメータで、通気速度0.6mm/secで通気させた状態で測定した時のトータルエナジーの値が3〜15mJである
ことを特徴とするタンデム型画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーは、
重量平均粒径が2〜7μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.0〜1.2であり、
形状係数SF−1が110〜150の範囲にあり、形状係数SF−2が110〜150の範囲にある
ことを特徴とする請求項1に記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーは、外添剤として、少なくとも、一次平均粒径が80〜500nmの無機微粒子をトナー100重量部に対して0.5〜5重量部含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項4】
前記無機微粒子は、シリカ及び酸化チタンから選択された少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーは、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋反応又は伸長反応の少なくとも1つの反応をさせて得られる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置で使用されるキャリアは、重量平均粒径が15〜45μmの範囲である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項7】
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成するための帯電装置は、交番電圧を重畳した直流電圧を印加する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項8】
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成するための帯電装置は、ローラ状で静電潜像担持体に近接非接触配置された帯電部材を備える
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項9】
前記静電潜像担持体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層の表面に少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射装置で硬化した架橋表面層を有している
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項10】
前記定着装置は、
磁性金属から構成され、電磁誘導により加熱される加熱ローラと、
前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、
前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されるとともに、前記両ローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、
前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されるとともに、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載のタンデム型画像形成装置に対して着脱可能であり、少なくとも静電潜像担持体と現像装置とを着脱自在に一体化してなる
ことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−190956(P2010−190956A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32583(P2009−32583)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】