説明

画像形成装置

【課題】生産性及びファーストプリントタイムの著しい悪化等、ユーザーに多大なストレスを与えることなく、かつ確実及び効率的に白抜け画像の発生を防止できる、画像形成装置の提供。
【解決手段】画像形成装置1が、トナー像を像担持体3に形成する際に、像担持体3の圧接領域Aを回避するか否かを判断する、回避判断部と、回避判断部が「回避する」と判断した場合に、回避の継続の要否を判断する第1回避継続判断部とを備えており、第1回避継続判断部が、圧接領域Aの位置を認識する認識部と、圧接領域Aと近傍領域Bとにトナー像形成機構10によって検知用トナー像を形成する、第1形成部と、圧接領域Aの検知用トナー像のトナー付着量と、近傍領域Bの検知用トナー像のトナー付着量とを検知装置6によって検知する、第1検知部と、両方の前記トナー付着量の差を算出し、その差が所定範囲内であるか否かに基づいて、回避の継続の要否を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真技術を用いた複写機、プリンタ、FAX、又は、これらの複合機等の、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写ローラ等の転写部材は導電性ゴム等で形成されており、そのゴムには、反応開始材の残留物、反応の際に生成する副生成物、ベースポリマーの低分子成分、ゴムローラ成型時に添加する加硫剤・軟化剤・可塑剤等の成分、が含まれている。そして、長時間、転写部材と像担持体とが圧接した状態で放置されると、前記成分が、転写部材から染み出し(ブリード)てきて、像担持体を汚染し、その結果、像担持体に汚染領域ができることがある。そして、この汚染領域では、転写が正常に行えず、横スジ状の異常画像(白抜け画像)が発生することがある。このような白抜け画像が発生する事象は、特に、画像形成装置内の温度によって促進される。
【0003】
前記のような不都合を解決するため、特許文献1に示されるように、像担持体の汚染領域を画像領域として使用しないという技術や、特許文献2に示されるように、像担持体の汚染領域を画像形成前に除去するといった技術が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−98934号公報
【特許文献2】特開2001−34115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、像担持体上に常に非画像領域を設けて、画像領域を制限してしまうと、大量の画像形成を行う場合、生産性が低下してしまう。また、特許文献2のように、画像形成前に汚染領域を除去するようにすると、ユーザーの印刷指令を受けた後に感光体を所定時間回転させる必要があるために、ファーストプリントタイムが長くなり、ユーザーにストレスを与えることがある。
【0006】
また、前記事象を解決するため、像担持体と転写部材との圧接領域において、所定の枚数のみ画像形成を回避するという検討も行われている。しかし、予め設定した枚数のみ画像形成を回避するため、実際のユーザーの使用状況や画像形成装置の設置されている環境によって、予め設定した回避枚数と実際に汚染除去上必要となる回避枚数とが異なる場合が、想定される。
【0007】
そこで、本発明は、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時までの間において、像担持体と転写部材とが圧接している画像形成装置において、生産性低下及びファーストプリントタイム長期化を防止しながら、確実及び効率的に白抜け画像の発生を防止できる、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1発明は、像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成する、トナー像形成機構と、前記像担持体に圧接可能な位置に設けられ、前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、前記像担持体に形成されたトナー像のトナー付着量を検知する検知装置と、制御部と、を備え、前記制御部が、画像形成のためのトナー像を前記像担持体に形成する際に、前記像担持体上の領域であって、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時まで前記転写部材と圧接した圧接領域を回避するか否かを判断する、回避判断部と、前記回避判断部が「回避する」と判断した場合に作動して、回避の継続の要否を判断する、第1回避継続判断部と、を備えており、前記第1回避継続判断部は、前記圧接領域の位置を認識する認識部と、前記圧接領域と前記圧接領域の近傍領域とに、前記トナー像形成機構によって検知用トナー像を形成する、第1形成部と、前記圧接領域の検知用トナー像のトナー付着量と、前記圧接領域の近傍領域の検知用トナー像のトナー付着量と、を前記検知装置によって検知する、第1検知部と、両方の前記トナー付着量の差を算出し、その差が所定範囲内であるか否かに基づいて、回避の継続の要否を決定する、第1決定部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
前記第1発明によれば、圧接領域のトナー付着量と近傍領域のトナー付着量との差に基づいて、回避の継続の要否を決定するので、必要最小限の回避を行うことができる。すなわち、必要な回避を確実に行うことができるので、像担持体における白抜け画像の発生を防止でき、良好な画像を出力できる。また、最小限の回避を行うことができるので、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止できる。
【0010】
本願の第2発明は、像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成する、トナー像形成機構と、前記像担持体に圧接可能な位置に設けられ、前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、前記像担持体に形成されたトナー像のトナー付着量を検知する検知装置と、制御部と、を備え、前記制御部が、画像形成のためのトナー像を前記像担持体に形成する際に、前記像担持体上の領域であって、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時まで前記転写部材と圧接した圧接領域を回避するか否かを判断する、回避判断部と、前記回避判断部が「回避する」と判断した場合に作動して、回避の継続の要否を判断する、第2回避継続判断部と、を備えており、前記第2回避継続判断部は、前記圧接領域の位置を認識する認識部と、前記圧接領域に、前記トナー像形成機構によって検知用トナー像を形成する、第2形成部と、前記圧接領域の検知用トナー像のトナー付着量を、検知装置によって検知する、第2検知部と、前記トナー付着量に基づいて、回避の継続回数を決定する、第2決定部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
前記第2発明によれば、圧接領域のトナー付着量の検知結果によって、圧接領域への画像形成動作を回避する継続回数を決定する。その結果、必要な回避を確実に行うので、像担持体における白抜け画像の発生を防止し、良好な画像を出力できる。そして、一度の検知用トナー像の形成で画像形成動作を回避する継続回数を決定するので、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止でき、特に、通常印刷への復帰を容易に行うことができる。
【0012】
前記第1発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記第1検知部が、前記圧接領域において、像担持体の幅方向複数箇所のトナー付着量を検知するようになっており、前記第1決定部が、前記幅方向複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量と、前記圧接領域の近傍領域におけるトナー付着量と、の差を算出するようになっている。
【0013】
前記第2発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(2)前記第2検知部が、前記圧接領域において、像担持体の幅方向複数箇所のトナー付着量を検知するようになっており、前記第2決定部が、前記幅方向複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量に基づいて、回避の継続回数を決定するようになっている。
【0014】
前記第1発明又は前記第2発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(3)前記回避判断部が、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時までの間において、転写部材が像担持体に圧接している時間を計測する圧接時間計測部と、画像形成装置内の温度を検知する温度検知部と、を備えており、前記圧接時間計測部によって得られた圧接時間及び前記温度検知部によって得られた温度に基づいて、回避するか否かを判断する。
【0015】
(4)前記検知装置は、発光部と受光部とを有する光学センサーである。
【0016】
前記構成(1)、(2)によれば、複数箇所のトナー付着量の内最も少ないトナー付着量に基づき判断するので、より確実に、像担持体における白抜け画像の発生を防止できる。
【0017】
前記構成(3)によれば、圧接時間と温度の状態によっては、圧接領域を回避することが不要となる場合があり、その場合は、圧接領域を回避する動作を行わないので、ファーストプリントタイムの短縮化が可能となる。
【0018】
前記構成(4)によれば、前記検知装置を簡易に構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
要するに本発明によれば、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止でき、且つ、像担持体における白抜け画像の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】4連タンデム中間転写方式のカラー画像形成装置1の概念図である。
【図2】図1の1つの感光体部分の概念図である。
【図3】画像形成装置1の制御部7の構成と制御を示す概念図である。
【図4】光学センサー検出値とトナー付着量の関係のイメージ図である。
【図5】圧接領域A及び近傍領域Bにおける光学センサー検出値を示す概念図である。
【図6】圧接領域A及び近傍領域Bにおけるトナー付着量を示す概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態における、画像形成装置1の制御部7の構成と制御を示す概念図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図10】複数の光学センサー6を配置した画像形成装置1の一部斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本実施形態では、4連タンデム中間転写方式のカラー画像形成装置を例として説明する。しかし、本発明は、1つの感光体上に順次トナー像を形成し転写材や中間転写体に転写する、4サイクル方式又は4サイクル中間転写方式、のカラー画像形成装置に、適用しても良い。また、本発明は、複数の感光体を持つタンデム方式カラー画像形成装置であって、転写ベルト上に転写材を吸着・搬送する、直接転写方式画像形成装置に、適用しても良い。また、本発明は、モノクロ画像形成装置に適用しても良い。
【0022】
図1は、4連タンデム中間転写方式のカラー画像形成装置1の概念図である。画像形成装置1は、トナー像形成機構10と、2次転写ローラ4と、光学センサー6と、画像形成装置1の作動を制御する制御部7と、給紙ユニット9と、を備えている。トナー像形成機構10は、1次転写部材である1次転写ローラ2を有し、像担持体である中間転写ベルト3にトナー像を形成する。2次転写部材である2次転写ローラ4は、中間転写ベルト3に形成されたトナー像を給紙ユニット9から供給された被転写材91に転写する。光学センサー6は、中間転写ベルト3に形成されたトナー像のトナー付着量を検出する。トナー像が転写された被転写材91は、定着装置8においてトナー画像が定着され、排紙される。
【0023】
中間転写ベルト3は、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に掛け渡されており、X方向の周回軌道を有している。従動ローラ32の近傍には、中間転写ベルト3上に残留した転写残トナーを除去する、クリーニングブレード5が、配置されている。
【0024】
光学センサー6は、発光部と受光部とを有しており、中間転写ベルト3のトナー付着量を検知できるように、中間転写ベルト3に対向する位置に設けられている。図1では、光学センサー6は、トナー像形成機構10の内の感光体11(Bk)の下流側で、且つ、2次転写ローラ4の上流側の、範囲内に、設けられている。しかし、光学センサー6の配置箇所については、図1に示す範囲に限られるものではない。温度センサー19は、画像形成装置1内に設けられ、画像形成装置1内の温度を計測するようになっている。
【0025】
図2は、図1の1つのトナー像形成機構10の概念図である。図2に示すように、トナー像形成機構10は、1次転写ローラ2と、感光体11と、感光体11を帯電する帯電部12と、感光体11に静電潜像を形成する露光部13と、感光体11上の静電潜像をトナー像として現像する現像装置14と、クリーナユニット15と、を備えている。
【0026】
トナー像形成機構10は、感光体11上に現像されたトナー像を、1次転写ローラ2によって中間転写ベルト3上に転写することにより、中間転写ベルト3上に画像形成のためのトナー像を形成するようになっている。
クリーナユニット15は、クリーニングブレード16によって、感光体11上の残留トナーを除去し、除去した残留トナーを回収するようになっている。
【0027】
図1に示すように、各感光体11(Y)(イエロー)、11(M)(マゼンタ)、11(C)(シアン)、11(Bk)(ブラック)上に形成された各色のトナー像は、それぞれ1次転写ローラ2によって、中間転写ベルト3に1次転写され、中間転写ベルト3上で各色が重ねられ、4色のトナー像となる。ここで、1次転写ローラ2は、圧接離間機構を持たず、常時、中間転写ベルト3に圧接している。中間転写ベルト3上のトナー像は、2次転写ローラ4によって被転写材91へ2次転写される。そして、被転写材上のトナー像は、定着装置8によって、被転写材上に定着され、カラー画像となる。なお、本実施形態における2次転写ローラ4も、圧接離間機構を持たず、常時、中間転写ベルト3に圧接している。
【0028】
ここで、画像形成装置1における圧接領域が形成される部分としては、1次転写部(1次転写ローラ2によって中間転写ベルト3に転写される部分)と、2次転写部(2次転写ローラ4によって被転写材に転写される部分)と、があるが、本実施形態では、2次転写部を例として説明する。すなわち、像担持体が中間転写ベルト3であり、転写部材が2次転写ローラ4である。
【0029】
図3は、画像形成装置1の制御部7の構成と制御を示す概念図である。このような画像形成装置1において、制御部7は、画像形成のためのトナー像を中間転写ベルト3(像担持体)に形成する際に、中間転写ベルト3の圧接領域を回避するか否かを判断する、回避判断部71と、回避判断部71が「回避する」と判断した場合に作動して、回避の継続の要否を判断する、第1回避継続判断部72と、を有している。
【0030】
回避判断部71は、圧接時間計測部711と、温度検知部712と、を有している。圧接時間計測部711は、前回の画像形成作動(以下「JOB1」という。)終了時から今回の画像形成作動(以下「JOB2」という。)の開始時までにおいて、2次転写ローラ4(転写部材)が中間転写ベルト3に圧接している時間を計測する。以下、図1に示すように、この圧接時間における、中間転写ベルト3における2次転写ローラ4の圧接領域を「圧接領域A」といい、圧接領域Aの近傍の領域を「近傍領域B」という。温度検知部712は、温度センサー19によって、画像形成装置1内の温度を計測する。
【0031】
すなわち、回避判断部71は、JOB1終了後の、JOB2において、画像形成のためのトナー像を中間転写ベルト3に形成する際に、中間転写ベルト3の圧接領域Aを回避するか否かを、圧接時間計測部711によって計測された圧接時間と、温度検知部712によって検知された温度と、に基づいて判断する。
【0032】
第1回避継続判断部72は、認識部721と、第1形成部722と、第1検知部723と、第1決定部724と、を有している。認識部721は、圧接領域Aの位置を認識する。第1形成部722は、トナー像形成機構10によって、圧接領域A及び近傍領域Bへ検知用トナー像を形成する。第1検知部723は、前記検知用トナー像のトナー付着量を、光学センサー6によって、検知する。第1決定部724は、圧接領域Aのトナー付着量と近傍領域Bのトナー付着量とを比較し、その差が所定範囲内であるか否かに基づいて、回避の継続の要否を決定する。
【0033】
光学センサー6としては、トナー付着量が少ないほど光学センサー検出値が高くなり、且つ、逆にトナー付着量が多いほど光学センサー検出値が低くなる、という特性、を示すセンサーが用いられている。図4は、光学センサー6の、光学センサー検出値とトナー付着量との関係を示すイメージ図である。図5は、圧接領域A及び近傍領域Bにおける光学センサー検出値を示す概念図である。図6は、圧接領域A及び近傍領域Bにおけるトナー付着量を示す概念図である。なお、トナー付着量が多いほど光学センサー検出値が高くなり、且つ、逆にトナー付着量が少ないほど光学センサー検出値が低くなる、という特性、を示す光学センサーを用いても良い。
【0034】
光学センサー6によるトナー付着量検出の原理は、以下のとおりである。中間転写ベルト3上の圧接領域Aは、汚染物質が付着していない近傍領域Bに比べ転写性が低下しているため、トナーが十分に転写されずトナー付着量が低下する。そのため、図5に示すように、圧接領域A及び近傍領域Bに形成されたトナー像を光学センサーで検出すると、圧接領域Aが近傍領域Bに対し上に凸の波形を示す検出結果が得られる。光学センサー検出値とトナー付着量との関係は、図4に示す関係にあることから、光学センサーの検出値をトナー付着量に換算すると、図6に示すように、圧接領域Aは近傍領域Bに対し下に凸の波形となる。図6に示す波形の最小値となるトナー付着量から、圧接領域Aにおけるトナー画像の白抜け度合いを判別することができる。
【0035】
図7に、本実施形態の、JOB1終了から、JOB2終了までのフローチャートを示す。
【0036】
JOB1終了後(ステップ(以下、Sと記す)101)、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を開始する(S102)。この圧接時間は、画像形成装置1の停止時間として計測されても良い。
【0037】
ユーザーによってJOB2の開始指令が出されると(S103)、圧接時間計測部711が、圧接時間の計測を終了する(S104)。そして、圧接時間が算出される(S105)。圧接時間の算出と同時に、温度検知部712が、温度センサー19によって、画像形成装置1内の温度を計測する。
【0038】
回避判断部71が、圧接領域を回避するか否かを、圧接時間計測部711によって計測された圧接時間及び温度検知部712によって検知された温度(T)に基づいて判定する(S106)。本実施形態では、「T≧30℃の場合は圧接時間0時間以上、30℃≧T≧10℃の場合は圧接時間15時間以上、T<10℃の場合は圧接時間72時間以上」(以下、「回避条件」という。)であれば、回避判断部71が、「回避する」と判断する。前記回避条件は、予め実験等により決定され、制御部7内の記憶部73に格納されている。
【0039】
圧接時間及び温度が、前記回避条件を満たさない場合は、圧接領域Aに白抜け画像は発生しないため、回避判断部71は「回避しない」と判断し(S106のNoへ)、通常の印刷動作が行われ(S113)、ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷された後(S114)、JOB2が終了する(S115)。
【0040】
回避判断部71が「回避する」と判断すると(S106のYesへ)、画像形成装置1では、圧接領域Aを回避しながら画像形成する動作(回避画像形成動作)を行いながら、合わせて、第1回避継続判断部72が作動する。回避画像形成動作を行っている間は、圧接領域A及び近傍領域Bを非画像領域とし、且つ、その他の領域を画像領域として使用する、画像形成動作が行われる。
【0041】
第1回避継続判断部72では、まず、認識部721が作動する。認識部721は、圧接領域Aを認識する(S107)。
【0042】
次に、2次転写ローラ4に、トナーと同じ極性のバイアスが印加される(S108)。その理由は、以下に示す、圧接領域A及び近傍領域Bに形成された検知用トナー像が、2次転写ローラ4を汚すことを抑制するためである。本実施形態では、トナーはマイナス極性に帯電しているので、2次転写ローラ4にマイナスのバイアスが印加される。
【0043】
次に、第1形成部722が、トナー像形成機構10によって、圧接領域A及び近傍領域Bに検知用トナー像を形成する(S109)。ここで、画像形成装置1がカラーである場合、第1形成部722は、トナー像形成機構10の内の感光体11(Y)によってイエローのトナー像を形成するのが好ましい。また、画像形成装置1がモノクロである場合、トナー像形成機構10の内の感光体11は感光体11(Bk)のみであり、第1形成部722は、感光体11(Bk)によってブラックのトナー像を形成する。
【0044】
次に、第1検知部723が、光学センサー6によって、前記トナー像部のトナー付着量を検知する(S110)。
【0045】
そして、圧接領域A及び近傍領域Bに形成された検知用トナー像が2次転写ローラ4を通過した後は、2次転写ローラ4へのマイナスのバイアスが解除される(S111)。
【0046】
次に、第1決定部724が、圧接領域Aのトナー付着量と近傍領域Bのトナー付着量とを比較し、両者がほぼ同じ値となるまで、回避の継続を「要」と決定する(S112)。これにより、その後は、S108〜S112が繰り返される。
【0047】
そして、圧接領域Aのトナー付着量と近傍領域Bのトナー付着量とがほぼ同じ値となると(S112)、第1決定部724は、回避の継続を「否」と決定する。以上により、第1回避継続判断部72の動作が終了し、その後は、通常の印刷動作が行われる(S113)。
【0048】
ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷されると(S114)、JOB2が終了する(S115)。
【0049】
画像形成装置1が停止すると、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を、開始する(S116)。
【0050】
前記構成の画像形成装置1によれば、以下の効果を発揮できる。
【0051】
2次転写ローラ4と中間転写ベルト3との圧接領域A及び近傍領域Bにトナー像を形成し、トナー像のトナー付着量の検知結果によって、圧接領域Aへの画像形成の回避の継続の要否を決定するので、必要最小限の回避を行うことができる。すなわち、必要な回避を確実に行うので、中間転写ベルト3における白抜け画像の発生を防止し、良好な画像を出力できる。また、最小限の回避を行うので、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止できる。
【0052】
上記回避条件を満たさない場合には、圧接領域Aを回避する必要が無く、そのまま通常印刷動作を行うので、ファーストプリントタイムの短縮化が可能となる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、画像形成装置1の装置構成や、中間転写ベルト3と2次転写ローラ4の圧接領域Aを回避するか否かを判断する回避判断部71を有する点では、第1実施形態と同じである。図8は、画像形成装置1の制御部7の構成と制御を示す概念図である。第2実施形態では、制御部7は、第1回避継続判断部72の代わりに、第2回避継続判断部74を有している。第2回避継続判断部74は、認識部741と、第2形成部742と、第2検知部743と、第2決定部744と、を有している。認識部741は、圧接領域Aの位置を認識する。第2形成部742は、中間転写ベルト3の圧接領域Aへトナー像を形成する。第2検知部743は、中間転写ベルト3のトナー付着量を、光学センサー6によって、検知する。光学センサー6は、発光部と受光部とを有している。第2決定部744は、圧接領域Aのトナー付着量に基づいて、回避の継続回数を決定する。
【0054】
第2回避継続判断部74は、JOB1終了後の、JOB2において、回避判断部71が「回避する」と判断した場合に、以下の制御を行う。すなわち、認識部741によって中間転写ベルト3上における2次転写ローラ4の圧接領域Aを認識し、第2形成部742によって前記圧接領域Aへ検知用トナー像を形成し、第2検知部743によって、前記形成されたトナー像のトナー付着量を検知する。そして、第2決定部744によって、前記トナー付着量の検知結果に基づいて、回避の継続回数を決定する。回避の継続回数の決定手法は以下のとおりである。すなわち、予め制御部7内の記憶部73に記憶されている「トナー付着量に対する、圧接領域の汚染物質が除去されるまでの回避継続回数」と、検知されたトナー付着量とを比較して、圧接領域を回避する継続回数を決定する。継続回数は、例えば、検知用トナー像をトナー濃度1.0g/m狙いで形成した場合に、検出されるトナー濃度が狙いの75%以下であれば15回、75%を超えて90%未満であれば5回、90%以上であれば0回と決定することができる。但し、継続回数の決定条件は、上記の例に限られるものではない。図9に、本実施形態の、JOB1終了から、JOB2終了までのフローチャートを示す。
【0055】
JOB1終了後(S201)、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を開始する(S202)。この圧接時間は、画像形成装置1の停止時間として計測されても良い。
【0056】
ユーザーによってJOB2の開始指令が出されると(S203)、圧接時間計測部711が、圧接時間の計測を終了する(S204)。そして、圧接時間が算出される(S205)。圧接時間の算出と同時に、温度検知部712が、温度センサー19によって、画像形成装置1内の温度を計測する。
【0057】
回避判断部71が、圧接領域を回避するか否かを、圧接時間計測部711によって計測された圧接時間及び温度検知部712によって検知された温度(T)に基づいて判定する(S206)。本実施形態では、「T≧30℃の場合は圧接時間0時間以上、30℃≧T≧10℃の場合は圧接時間15時間以上、T<10℃の場合は圧接時間72時間以上」(以下、「回避条件」という。)であれば、回避判断部71が、「回避する」と判断する。前記回避条件は、予め実験等により決定され、制御部7内の記憶部73に格納されている。
【0058】
圧接時間及び温度が、前記回避条件を満たさない場合は、圧接領域Aに白抜け画像は発生しないため、回避判断部71は「回避しない」と判断し(S206のNoへ)、通常の印刷動作が行われ(S213)、ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷された後(S214)、JOB2が終了する(S215)。
【0059】
回避判断部71が「回避する」と判断すると(S206のYesへ)、画像形成装置1では、圧接領域Aを回避しながら画像形成する動作(回避画像形成動作)を行いながら、合わせて、第2回避継続判断部74が作動する。回避画像形成動作を行っている間は、圧接領域Aを非画像領域とし、且つ、その他の領域を画像領域として使用する、画像形成動作が行われる。
【0060】
第2回避継続判断部74では、まず、認識部741が作動する。認識部741は、圧接領域Aを認識する(S207)。
【0061】
次に、2次転写ローラ4に、トナーと同じ極性のバイアスが印加される(S208)。その理由は、以下に示す、圧接領域Aに形成された検知用トナー像が、2次転写ローラ4を汚すことを抑制するためである。本実施形態では、トナーはマイナス極性に帯電しているので、2次転写ローラ4にマイナスのバイアスが印加される。
【0062】
次に、第2形成部742が、トナー像形成機構10によって、圧接領域Aに検知用トナー像を形成する(S209)。ここで、画像形成装置1がカラーである場合、第2形成部742は、トナー像形成機構10の内の感光体11(Y)によってイエローのトナー像を形成するのが好ましい。また、画像形成装置1がモノクロである場合、トナー像形成機構10の内の感光体11は感光体11(Bk)のみであり、第2形成部742は、感光体11(Bk)によってブラックのトナー像を形成する。
【0063】
次に、第2検知部743が、光学センサー6によって、前記トナー像部のトナー付着量を検知する(S2101)。
【0064】
次に、圧接領域Aのトナー付着量と、予め制御部7内の記憶部73に記憶させておいた、「トナー付着量に対する、圧接領域の汚染物質が除去されるまでの回避継続回数」とを比較し、第2決定部744が、圧接領域を回避する継続回数を決定する(S2102)。
【0065】
そして、圧接領域Aに形成された検知用トナー像が2次転写ローラ4を通過した後は、2次転写ローラ4へのマイナスのバイアスが解除される(S211)。
【0066】
次に、決定した圧接領域回避継続回数分の圧接領域回避動作を行う(S212)。
【0067】
決定した圧接領域回避継続回数分の圧接領域回避動作を行うと、第2回避継続判断部74の動作が終了し、その後は、通常の印刷動作が行われる(S213)。
【0068】
ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷されると(S214)、JOB2が終了する(S215)。
【0069】
画像形成装置1が停止すると、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を、開始する(S216)。
【0070】
前記構成の画像形成装置1によれば、以下の効果を発揮できる。
【0071】
一度の検知用トナー像の形成で、圧接領域Aへのトナー像形成を回避する継続回数を決定するので、毎回検知用トナー像を形成する必要がなくなる。その結果、中間転写ベルト3における白抜け画像の発生を防止しながら、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止でき、特に、通常印刷への復帰を容易に行うことができる。
【0072】
上記回避条件を満たさない場合には、圧接領域Aを回避する必要が無く、そのまま通常印刷動作を行うので、ファーストプリントタイムの短縮化が可能となる。
【0073】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1検知部723及び第1決定部724の構成を除いて、第1実施形態と同じである。第3実施形態では、圧接領域Aにおけるトナー付着量を複数の光学センサー6によって第1検知部723で検知し、第1決定部724は、圧接領域Aにおける複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量と、近傍領域Bのトナー付着量とに基づいて、圧接領域Aへのトナー像形成の回避の継続の要否を決定する。
【0074】
図10は、複数の光学センサー6を配置した画像形成装置1の一部斜視図である。本実施形態では、感光体11Bkの1次転写部下流側でかつ、2次転写ローラ4の2次転写部上流側の範囲内で、中間転写ベルト3幅方向(Z方向)にN個(図10では3個)の光学センサー6が、中間転写ベルト3に対向するよう設けられている。図10の構成では、圧接領域Aにおける、中間転写ベルト3幅方向(Z方向)3点のトナー付着量を検知することができる。
【0075】
光学センサー6の特性は、トナー付着量が少ないほど光学センサー検出値が高くなり、逆にトナー付着量が多いほど光学センサー検出値が低くなる、第1実施形態と同じものである。本実施形態では、圧接領域A及び近傍領域Bに検知用トナー像を形成し、トナー像部における中間転写ベルト3幅方向のトナー付着量を、中間転写ベルト3に対向して配置されたN個の光学センサー6により検出する。
【0076】
中間転写ベルト幅方向に光学センサー6がN個配置されている場合、N個の光学センサー6に対応する検出値(トナー付着量:M)を得ることができる。得られたN個のトナー付着量(M1〜MN)を比較し、最も少ないトナー付着量(Mmin)が、中間転写ベルト3幅方向で最もブリードによる白抜けが大きい箇所となる。
【0077】
本実施形態では、光学センサー6は、中間転写ベルト3幅方向に複数個配置されているが、中間転写ベルト3幅方向に対して光学センサー6が移動可能なように構成しても良い。
【0078】
第1回避継続判断部72は、JOB1終了後の、JOB2において、回避判断部71が「回避する」と判断した場合に、以下の制御を行う。すなわち、認識部721によって中間転写ベルト3上における2次転写ローラ4の圧接領域Aを認識し、第1形成部722によって圧接領域A及び近傍領域Bへ検知用トナー像を形成し、第1検知部723によって、圧接領域Aのトナー付着量を、中間転写ベルト3幅方向に亘って検知する。そして、第1決定部724によって、最も少ないトナー付着量(Mmin)に基づいて、圧接領域Aへのトナー像形成の回避の継続の要否を決定する。図11に、本実施形態の、JOB1終了から、JOB2終了までのフローチャートを示す。
【0079】
JOB1終了後(S301)、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を開始する(S302)。この圧接時間は、画像形成装置1の停止時間として計測されても良い。
【0080】
ユーザーによってJOB2の開始指令が出されると(S303)、圧接時間計測部711が、圧接時間の計測を終了する(S304)。そして、圧接時間が算出される(S305)。圧接時間の算出と同時に、温度検知部712が、温度センサー19によって、画像形成装置1内の温度を計測する。
【0081】
回避判断部71が、圧接領域を回避するか否かを、圧接時間計測部711によって計測された圧接時間及び温度検知部712によって検知された温度(T)に基づいて判定する(S306)。本実施形態では、「T≧30℃の場合は圧接時間0時間以上、30℃≧T≧10℃の場合は圧接時間15時間以上、T<10℃の場合は圧接時間72時間以上」(以下、「回避条件」という。)であれば、回避判断部71が、「回避する」と判断する。前記回避条件は、予め実験等により決定され、制御部7内の記憶部73に格納されている。
【0082】
圧接時間及び温度が、前記回避条件を満たさない場合は、圧接領域Aに白抜け画像は発生しないため、回避判断部71は「回避しない」と判断し(S306のNoへ)、通常の印刷動作が行われ(S313)、ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷された後(S314)、JOB2が終了する(S315)。
【0083】
回避判断部71が「回避する」と判断すると(S306のYesへ)、画像形成装置1では、圧接領域Aを回避しながら画像形成する動作(回避画像形成動作)を行いながら、合わせて、第1回避継続判断部72が作動する。回避画像形成動作を行っている間は、圧接領域A及び近傍領域Bを非画像領域とし、且つ、その他の領域を画像領域として使用する、画像形成動作が行われる。
【0084】
第1回避継続判断部72では、まず、認識部721が作動する。認識部721は、圧接領域Aを認識する(S307)。
【0085】
次に、2次転写ローラ4に、トナーと同じ極性のバイアスが印加される(S308)。その理由は、以下に示す、圧接領域A及び近傍領域Bに形成された検知用トナー像が、2次転写ローラ4を汚すことを抑制するためである。本実施形態では、トナーはマイナス極性に帯電しているので、2次転写ローラ4にマイナスのバイアスが印加される。
【0086】
次に、第1形成部722が、トナー像形成機構10によって、圧接領域A及び近傍領域Bに検知用トナー像を形成する(S309)。ここで、画像形成装置1がカラーである場合、第1形成部722は、トナー像形成機構10の内の感光体11(Y)によってイエローのトナー像を形成するのが好ましい。また、画像形成装置1がモノクロである場合、トナー像形成機構10の内の感光体11は感光体11(Bk)のみであり、第1形成部722は、感光体11(Bk)によってブラックのトナー像を形成する。
【0087】
次に、第1検知部723が、中間転写ベルト3幅方向に設置されているN個の光学センサー6によって、圧接領域Aの中間転写ベルト3幅方向のトナー付着量及び近傍領域Bのトナー付着量を検知する(S3101)。
【0088】
次に、第1決定部724が、N個ある圧接領域Aのトナー付着量検知結果を比較し、最も少ないトナー付着量(Mmin)を抽出する(S3102)。
【0089】
そして、圧接領域A及び近傍領域Bに形成された検知用トナー像が2次転写ローラ4を通過した後は、2次転写ローラ4へのマイナスのバイアスが解除される(S311)。
【0090】
次に、第1決定部724が、圧接領域Aの最も少ないトナー付着量(Mmin)と近傍領域Bのトナー付着量とを比較し、両者がほぼ同じ値となるまで、回避の継続を「要」と決定する(S312)。これにより、その後は、S308〜S312が繰り返される。
【0091】
そして、圧接領域Aの最も少ないトナー付着量(Mmin)と近傍領域Bのトナー付着量とがほぼ同じ値となると(S312)、第1決定部724は、回避の継続を「否」と決定する。以上により、第1回避継続判断部72の動作が終了し、その後は、通常の印刷動作が行われる(S313)。
【0092】
ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷されると(S314)、JOB2が終了する(S315)。
【0093】
画像形成装置1が停止すると、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を、開始する(S316)。
【0094】
前記構成の画像形成装置1によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を発揮できる。
【0095】
中間転写ベルト3の幅方向複数箇所でトナー付着量を検知し、最も少ないトナー付着量の検知結果に基づいて、圧接領域Aへのトナー像形成の回避の継続の要否を決定するので、中間転写ベルトにおける白抜け画像をより確実に防止することができる。
【0096】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第2検知部743及び第2決定部744の構成を除いて、第2実施形態と同じである。第4実施形態では、圧接領域Aにおけるトナー付着量を複数の光学センサー6によって第2検知部743で検知し、第2決定部744は、圧接領域Aにおける複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量に基づいて、圧接領域Aへのトナー像形成の回避の継続回数を決定する。
【0097】
本実施形態では、感光体11(Bk)の1次転写部下流側でかつ、2次転写ローラ4の2次転写部上流側の範囲内で、中間転写ベルト3幅方向(Z方向)にN個(図10では3個)の光学センサー6が、中間転写ベルト3に対向するよう設けられている。図10の構成では、圧接領域Aにおける、中間転写ベルト3幅方向(Z方向)3点のトナー付着量を検知することができる。
【0098】
光学センサー6の特性は、トナー付着量が少ないほど光学センサー検出値が高くなり、逆にトナー付着量が多いほど光学センサー検出値が低くなる、第1実施形態と同じものである。本実施形態では、圧接領域Aに検知用トナー像を形成し、トナー像部における中間転写ベルト3幅方向のトナー付着量を、中間転写ベルト3に対向して配置されたN個の光学センサー6により検出する。
【0099】
中間転写ベルト3幅方向に光学センサー6がN個配置されている場合、N個の光学センサー6に対応する検出値(トナー付着量:M)を得ることができる。得られたN個のトナー付着量(M1〜MN)を比較し、最も少ないトナー付着量(Mmin)が、中間転写ベルト3幅方向で最もブリードによる白抜けが大きい箇所となる。
【0100】
本実施形態では、光学センサー6は、中間転写ベルト3幅方向に複数個配置されているが、中間転写ベルト3幅方向に対して光学センサー6が移動可能なように構成しても良い。
【0101】
第2回避継続判断部74は、JOB1終了後の、JOB2において、前記回避判断部71が「回避する」と判断した場合に、以下の制御を行う。すなわち、認識部741によって中間転写ベルト3上における2次転写ローラ4の圧接領域を認識し、第2形成部742によって前記圧接領域Aへ検知用トナー像を形成し、第2検知部743によって、圧接領域Aのトナー付着量を、中間転写ベルト3幅方向に亘って検知する。そして、第2決定部744によって、最も少ないトナー付着量(Mmin)に基づいて、回避の継続回数を決定する。回避の継続回数の決定手法は以下のとおりである。すなわち、予め制御部7内の記憶部73に記憶されている「トナー付着量に対する、圧接領域の汚染物質が除去されるまでの回避継続回数」と、前記最も少ないトナー付着量(Mmin)とを比較して、圧接領域を回避する継続回数を決定する。継続回数は、例えば、検知用トナー像をトナー濃度1.0g/m狙いで形成した場合に、検出されるトナー濃度が狙いの75%以下であれば15回、75%を超えて90%未満であれば5回、90%以上であれば0回と決定することができる。但し、継続回数の決定条件は、上記の例に限られるものではない。図12に、本実施形態の、JOB1終了から、JOB2終了までのフローチャートを示す。
【0102】
JOB1終了後(S401)、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を開始する(S402)。この圧接時間は、画像形成装置1の停止時間として計測されても良い。
【0103】
ユーザーによってJOB2の開始指令が出されると(S403)、圧接時間計測部711が、圧接時間の計測を終了する(S404)。そして、圧接時間が算出される(S405)。圧接時間の算出と同時に、温度検知部712が、温度センサー19によって、画像形成装置1内の温度を計測する。
【0104】
回避判断部71が、圧接領域を回避するか否かを、圧接時間計測部711によって計測された圧接時間及び温度検知部712によって検知された温度(T)に基づいて判定する(S406)。本実施形態では、「T≧30℃の場合は圧接時間0時間以上、30℃≧T≧10℃の場合は圧接時間15時間以上、T<10℃の場合は圧接時間72時間以上」(以下、「回避条件」という。)であれば、回避判断部71が、「回避する」と判断する。前記回避条件は、予め実験等により決定され、制御部7内の記憶部73に格納されている。
【0105】
圧接時間及び温度が、前記回避条件を満たさない場合は、圧接領域Aに白抜け画像は発生しないため、回避判断部71は「回避しない」と判断し(S406のNoへ)、通常の印刷動作が行われ(S413)、ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷された後(S414)、JOB2が終了する(S415)。
【0106】
回避判断部71が「回避する」と判断すると(S406のYesへ)、画像形成装置1では、圧接領域Aを回避しながら画像形成する動作(回避画像形成動作)を行いながら、合わせて、第2回避継続判断部74が作動する。回避画像形成動作を行っている間は、圧接領域Aを非画像領域とし、且つ、その他の領域を画像領域として使用する、画像形成動作が行われる。
【0107】
第2回避継続判断部74では、まず、認識部741が作動する。認識部741は、圧接領域Aを認識する(S407)。
【0108】
次に、2次転写ローラ4に、トナーと同じ極性のバイアスが印加される(S408)。その理由は、以下に示す、圧接領域Aに形成された検知用トナー像が、2次転写ローラ4を汚すことを抑制するためである。本実施形態では、トナーはマイナス極性に帯電しているので、2次転写ローラ4にマイナスのバイアスが印加される。
【0109】
次に、第2形成部742が、トナー像形成機構10によって、圧接領域Aに検知用トナー像を形成する(S409)。ここで、画像形成装置1がカラーである場合、第2形成部742は、トナー像形成機構10の内の感光体11(Y)によってイエローのトナー像を形成するのが好ましい。また、画像形成装置1がモノクロである場合、トナー像形成機構10の内の感光体11は感光体11(Bk)のみであり、第2形成部742は、感光体11(Bk)によってブラックのトナー像を形成する。
【0110】
次に、第2検知部743が、中間転写ベルト3幅方向に設置されているN個の光学センサー6によって、圧接領域Aの中間転写ベルト3幅方向のトナー付着量を検知する(S4101)。
【0111】
次に、第2決定部744が、N個ある圧接領域Aのトナー付着量検知結果を比較し、最も少ないトナー付着量(Mmin)を抽出する(S4102)。
【0112】
次に、圧接領域Aにおける最も少ないトナー付着量(Mmin)と、予め制御部7内の記憶部73に記憶させておいた、「トナー付着量に対する、圧接領域の汚染物質が除去されるまでの回避継続回数」とを比較し、第2決定部744が、圧接領域Aを回避する継続回数を決定する(S4103)。
【0113】
そして、圧接領域Aに形成された検知用トナー像が2次転写ローラ4を通過した後は、2次転写ローラ4へのマイナスのバイアスが解除される(S411)。
【0114】
次に、決定した圧接領域回避継続回数分の圧接領域回避動作を行う(S412)。
【0115】
決定した圧接領域回避継続回数分の圧接領域回避動作を行うと、第2回避継続判断部74の動作が終了し、その後は、通常の印刷動作が行われる(S413)。
【0116】
ユーザーの指定した枚数(入力枚数)が印刷されると(S414)、JOB2が終了する(S415)。
【0117】
画像形成装置1が停止すると、圧接時間計測部711が、中間転写ベルト3に2次転写ローラ4が圧接している圧接時間の計測を、開始する(S416)。
【0118】
前記構成の画像形成装置1によれば、第2実施形態の効果に加え、以下の効果を発揮できる。
【0119】
中間転写ベルト3の幅方向複数箇所でトナー付着量を検知し、最も少ないトナー付着量の検知結果に基づいて、圧接領域Aへのトナー像形成を回避する継続回数を決定するので、中間転写ベルト3における白抜け画像をより確実に防止することができる。
【0120】
[その他の実施形態]
前記第1〜第4実施形態においては、以下の構成が好ましい。
【0121】
圧接位置A及び近傍位置Bに形成する検知用トナー像のトナー色としては、カラーモードの場合はイエローが好ましい。しかし、マゼンダ、シアン、又はブラックを用いても良い。一方、モノクロモードの場合は、ブラックを用いる。
【0122】
圧接領域Aを認識する認識部721、741の認識手段の例としては、中間転写ベルト3上にホームポジションを設け、中間転写ベルト3と2次転写ローラ4が常にホームポジションで停止し、かつ、そのホームポジションを認識することで、圧接領域Aを認識するという手段がある。また、中間転写ベルト3が動作を開始してからの時間を計測し、中間転写ベルト3の周長、周速から圧接領域Aの位置を認識するという手段もある。しかし、圧接領域Aを認識する認識手段は、上記手段に限定されるものではない。
【0123】
2次転写ローラ4への印加バイアス値は、−200V〜−1000Vが好ましい。しかし、印加バイアス値は、前記範囲に限られるものではなく、トナー(トナー色も含まれる)の種類、像担持体の種類、転写部材の種類又はこれらの組み合わせによって、適宜設定される。
【0124】
回避判断部71では、圧接領域回避を行うか否かを、「T≧30℃の場合0時間、30℃≧T≧10℃の場合15時間、T<10℃の場合72時間」としている。しかし、圧接領域回避の要否は、前記条件に限られるものではなく、転写部材の材料や、転写部材と像担持体との圧接力等の因子により、適宜設定される。
【0125】
中間転写ベルト3(像担持体)は、表面抵抗率が10〜1012Ω/□の範囲が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリビニリデンフルオロライド、エトラフルオロエチレンーエチレン共重合体等の樹脂材料の基材に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりしたものを用い、その厚みは50〜200μm程度が好ましい。また、前記基材に無機酸化物等の表層を設けたものや、前記基材又は金属基材の表層に感光層を設けた感光体ベルト(ドラム)であっても良い。また、中間転写ベルト3(像担持体)は、前記実施形態ではベルト形状であるが、ドラム形状やローラ形状等であっても良い。
【0126】
また、2次転写ローラ4(転写部材)は、表面抵抗率が10〜1010Ω/□の範囲が好ましく、例えば、金属材の芯金にEPDM、シリコン、NBR、ウレタン等の中抵抗弾性層を発泡形成したスポンジローラ、もしくは無発泡形成したソリッドゴムローラ等を用いる。形状は、ローラ形状に限定されるものではなく、ローラ形状、ドラム形状、無担ベルト形状、ブレード形状等であっても良い。
【0127】
なお、画像形成装置1は、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、FAXやこれらの複合機等でも良い。また、上述した各種設定条件を、装置に応じて、適時変更しても良い。
【0128】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の画像形成装置は、生産性の低下やファーストプリントタイムの長期化等を防止しながら、像担持体のブリードによる白抜け画像の発生を防止し、良好な画像を出力できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成装置 2 1次転写ローラ
3 中間転写ベルト 31 駆動ローラ 32 従動ローラ
4 2次転写ローラ 5 クリーニングブレード 6 光学センサー
7 制御部 71 回避判断部 711 圧接時間計測部 712 温度検知部
72 第1回避継続判断部 721 認識部 722 第1形成部
723 第1検知部 724 第1決定部 73 記憶部
74 第2回避継続判断部 741 認識部 742 第2形成部
743 第2検知部 744 第2決定部
8 定着装置 9 給紙ユニット 91 被転写材
10 トナー像形成機構
11 感光体 12 帯電部 13 露光部 14 現像装置
15 クリーナユニット 16 クリーニングブレード
A 圧接領域 B 近傍領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成する、トナー像形成機構と、
前記像担持体に圧接可能な位置に設けられ、前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、
前記像担持体に形成されたトナー像のトナー付着量を検知する検知装置と、
制御部と、
を備え、
前記制御部が、
画像形成のためのトナー像を前記像担持体に形成する際に、前記像担持体上の領域であって、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時まで前記転写部材と圧接した圧接領域を回避するか否かを判断する、回避判断部と、
前記回避判断部が「回避する」と判断した場合に作動して、回避の継続の要否を判断する、第1回避継続判断部と、
を備えており、
前記第1回避継続判断部は、
前記圧接領域の位置を認識する認識部と、
前記圧接領域と前記圧接領域の近傍領域とに、前記トナー像形成機構によって検知用トナー像を形成する、第1形成部と、
前記圧接領域の検知用トナー像のトナー付着量と、前記圧接領域の近傍領域の検知用トナー像のトナー付着量と、を前記検知装置によって検知する、第1検知部と、
両方の前記トナー付着量の差を算出し、その差が所定範囲内であるか否かに基づいて、回避の継続の要否を決定する、第1決定部と、
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成する、トナー像形成機構と、
前記像担持体に圧接可能な位置に設けられ、前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、
前記像担持体に形成されたトナー像のトナー付着量を検知する検知装置と、
制御部と、
を備え、
前記制御部が、
画像形成のためのトナー像を前記像担持体に形成する際に、前記像担持体上の領域であって、前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時まで前記転写部材と圧接した圧接領域を回避するか否かを判断する、回避判断部と、
前記回避判断部が「回避する」と判断した場合に作動して、回避の継続の要否を判断する、第2回避継続判断部と、
を備えており、
前記第2回避継続判断部は、
前記圧接領域の位置を認識する認識部と、
前記圧接領域に、前記トナー像形成機構によって検知用トナー像を形成する、第2形成部と、
前記圧接領域の検知用トナー像のトナー付着量を、検知装置によって検知する、第2検知部と、
前記トナー付着量に基づいて、回避の継続回数を決定する、第2決定部と、
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
前記第1検知部が、前記圧接領域において、像担持体の幅方向複数箇所のトナー付着量を検知するようになっており、
前記第1決定部が、前記幅方向複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量と、前記圧接領域の近傍領域におけるトナー付着量と、の差を算出するようになっている、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2検知部が、前記圧接領域において、像担持体の幅方向複数箇所のトナー付着量を検知するようになっており、
前記第2決定部が、前記幅方向複数箇所のトナー付着量の内の最も少ないトナー付着量に基づいて、回避の継続回数を決定するようになっている、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回避判断部が、
前回の画像形成作動の終了時から今回の画像形成作動の開始時までの間において、転写部材が像担持体に圧接している時間を計測する圧接時間計測部と、
画像形成装置内の温度を検知する温度検知部と、を備えており、
前記圧接時間計測部によって得られた圧接時間及び前記温度検知部によって得られた温度に基づいて、回避するか否かを判断する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知装置は、発光部と受光部とを有する光学センサーである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−224086(P2010−224086A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69496(P2009−69496)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】