説明

画像形成装置

【課題】トナー担持体上のトナーを強制排出してトナー劣化による画像不良を防止するとともに、現像装置の駆動時間を必要最低限に抑えてトナー劣化を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置16は現像クラッチ30を介してメインモータ25に接続されており、電源ON時またはスリープモードからの復帰時にリフレッシュ工程の実行が指示されると、絶対湿度に基づいてメインモータ駆動時間X、現像バイアス印加時間Y、現像クラッチON時間Zが決定される。その後、現像クラッチ30をOFFとしたまま現像ローラ16aから感光体ドラム14上にトナーを吐出し、所定時間後に現像クラッチ30をONとして現像装置16を時間Zだけ駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム及び現像装置を用いた画像形成装置に関し、特に非画像形成時において現像ローラ上のトナーをリフレッシュするリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、画像形成を繰り返し行う際に、特に画像上の印字率(画像形成可能な面積(用紙面積)に対する印字される面積の割合をいう。以下同じ。)が低い場合に、トナー担持体(現像ローラ)から静電潜像担持体(感光体ドラム)に飛翔して現像に用いられるトナーが少ないために現像装置内のトナー粒子の入れ替わりが少なくなる。その結果、外添剤の剥がれやトナー内への埋没等によりトナーが劣化して帯電特性が変化し、トナーが過剰に帯電して画像濃度低下やカブリが発生することがある。特に、カラー機のように複数個の現像装置を備えた画像形成装置においては、写真やグラフィック画像のように高い印字率の画像から文字やロゴマークのみのような低い印字率の画像まで対応する必要があり、現像装置毎の印字率のばらつきも大きくなる。
【0003】
このような場合には、ベタ等の原稿印字率が高いパターンを印刷することにより現像ローラから感光体ドラム側に多量のトナーを飛翔させ、該トナーを記録媒体に転写させてトナーを消費することにより緩和することが可能ではあるが、長期にわたりベタパターンを印刷しないで放置した場合には、トナーの消費が行われないまま現像ローラ表面にトナー粒子が湿度等の影響により固着されてしまい、回復しないこともある。
【0004】
そのため、従来からトナーの表面形状、材料または外添剤の適正化などにより、トナーの帯電制御能力が安定するように改良されてきてはいるが、トナーの帯電が過剰となり上述のような現象が生じるのを確実に防止するまでには至っていないのが現状である。上記のような課題を解決するために、現像ローラ上のトナーを強制排出する方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、印字率が所定以下の場合に現像ローラ側から感光体ドラム側へトナーの強制吐出を行うとともに、トナー補給開始までのプリント枚数或いは現像駆動時間に基づいてトナー吐出量を補正する方法が提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1の方法を用いたとしても、低印字率の画像のみを印刷するユーザではトナー消費量に対する現像装置の駆動時間が長くなり、トナー劣化が進みやすくなる。また、電源ON時や省電力モード(スリープモード)からの復帰時に現像装置が駆動されるため、トナーが消費されずに現像装置内のトナーが攪拌されてトナーが劣化する。特に装置の使用頻度が低いユーザの場合、装置がすぐにスリープモードに入ってしまうため、定着温度が安定するまでの予備駆動が必要となるが、一般的に定着装置と現像装置は共通の駆動源に連結されているため必然的に現像装置の予備駆動時間も長くなる。
【0006】
なお、特許文献2には、現像装置にクラッチを搭載し、像担持体の回転に応じてクラッチをON、OFFすることにより、像担持体へのトナー付着(カブリ)を抑制する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−270878号公報
【特許文献2】特開平7−5735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のように現像装置にクラッチを搭載することで、現像装置の不必要な駆動時間を削減してトナーの劣化を抑制できる。しかし、単にクラッチを用いて現像装置内のトナーの攪拌を制限するだけでは、装置を使用せず長時間放置した場合、立ち上げ直後の画像濃度が低下したり、現像ローラ上にスジが発生したりするという不具合が発生してしまう。これは、トナーが空気中の水分を吸収して凝集し易く、且つチャージアップし難くなるためであり、特に高温高湿環境下で顕著に発生する。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、トナー担持体上のトナーを強制排出してトナー劣化による画像不良を防止するとともに、現像装置の駆動時間を必要最低限に抑えてトナー劣化を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、トナーを収容する筐体と、該筐体内のトナーを攪拌搬送する攪拌搬送部材と、該攪拌搬送部材により搬送されるトナーを担持して像担持体に供給するトナー担持体とを有し、像担持体表面に形成された静電潜像を現像する現像装置と、該現像装置及び前記像担持体を含む画像形成部を駆動する駆動源と、前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段と、該バイアス印加手段及び前記現像装置の駆動を制御する制御手段と、を備え、非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置において、前記制御手段は、前記リフレッシュ工程の実行時に少なくとも前記攪拌搬送部材の駆動を停止した状態で現像バイアスを印加するとともに、現像バイアスの印加開始後に前記攪拌搬送部材を所定時間駆動させることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記攪拌搬送部材に同期させて前記トナー担持体を停止及び駆動することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記リフレッシュ工程実行時以外の非画像形成時において前記現像装置の駆動を停止させることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、装置内部若しくは外部の温度及び湿度を検知する温湿度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温湿度検知手段の検知結果から算出される絶対湿度に基づいて前記リフレッシュ工程の実行時における前記攪拌搬送部材の駆動時間を決定することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、該転写手段により記録媒体上に転写されたトナー像を加熱及び加圧する定着部材を有する定着装置と、前記定着部材の温度を検知する定着温度検知手段と、を備え、前記制御手段は、電源投入時またはスリープモードからの復帰時に前記定着温度検知手段及び前記温湿度検知手段の検知温度の差が所定温度以下であるとき前記リフレッシュ工程を実行することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記現像装置は、クラッチを介して前記駆動源に接続されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、リフレッシュ工程の実行時に少なくとも攪拌搬送部材の駆動を停止した状態で現像バイアスを印加するとともに、現像バイアスの印加開始後に攪拌搬送部材を所定時間駆動させることにより、トナー吐出時に攪拌搬送部材からトナー担持体へのトナー供給が行われないため、トナー担持体上の劣化トナーが現像装置内のトナーに混合されることなく像担持体側へ効率的に吐出される。また、攪拌搬送部材の回転によるトナーの劣化も抑制することができる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、攪拌搬送部材に同期させてトナー担持体を停止及び駆動することにより、トナー担持体が停止した状態でトナー吐出が開始されるため、特に吸湿が顕著で劣化し易い、トナー担持体の筐体から露出した部分に付着したトナーを優先的に吐出することができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、電源投入時やスリープモードからの復帰時における定着温度安定時間、連続印字時の紙間などの非画像形成時において現像装置の駆動を停止させることにより、現像装置の不必要な駆動を削減して内部のトナーに掛かる機械的ストレスを低減し、トナーの劣化を最小限に抑えることができる。また、リフレッシュ工程の実行により現像装置の駆動が長時間停止した場合の画像濃度低下や現像ローラ上のスジ発生も抑制できる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の画像形成装置において、温湿度検知手段の検知結果から算出される絶対湿度に基づいてリフレッシュ工程の実行時における攪拌搬送部材の駆動時間を決定することにより、攪拌搬送部材の駆動時間、若しくは攪拌搬送部材とトナー担持体の駆動時間を環境条件に応じた必要最低限の時間とすることができ、トナーの劣化をより一層抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の画像形成装置において、電源投入時またはスリープモードからの復帰時に定着温度検知手段及び温湿度検知手段の検知温度の差が所定温度以下であるときリフレッシュ工程を実行することにより、電源OFF或いはスリープモードに入ってから長時間経過している場合のみリフレッシュ工程が実行される。従って、不必要なリフレッシュ工程の実行が抑制され、ユーザの待ち時間を短縮するとともに画像形成効率も向上できる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の画像形成装置において、現像装置は、クラッチを介して駆動源に接続されることにより、現像装置を含む画像形成部が共通の駆動源に連結されている場合であっても、簡単な構成で現像装置の駆動を画像形成部の他の部分から独立して制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、画像形成装置(ここではモノクロプリンタ)100は、積載された用紙を収容する給紙カセット2が本体下部に備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方(図1の右側)から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路4に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラ対11が配置されている。
【0022】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、これによって積載された用紙がピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方部には、フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ13が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、フィードローラ6とリタードローラ13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
【0023】
そして、フィードローラ6とリタードローラ13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラ7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラ対8へと搬送され、レジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと搬送される。
【0024】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙上に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラ18及び感光体ドラム14の上方に配置されるレーザ走査ユニット(LSU)19から構成されており、現像装置16の上方には、必要に応じて現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
【0025】
感光体ドラム14は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものである。感光層を形成する感光材料としては、アモルファスシリコン感光体や有機感光体(OPC感光体)が用いられる。帯電装置15には、コロナ放電帯電器を用いたスコロトロン帯電装置が用いられており、開口部が感光体ドラム14に対向するように配置された断面コ字状の金属製のシールドケース内部には、タングステンやステンレス等で構成される放電部材であるコロナワイヤ及びグリッドが設けられており、このコロナワイヤ及びグリッドに所定の帯電バイアスを印加してコロナ放電を発生させ、電子の量をコントロールすることにより、感光体ドラム14の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電される。
【0026】
次いで、レーザ走査ユニット(LSU)19からのレーザビームにより感光体ドラム14上を露光して帯電を減衰させ、感光体ドラム14の表面に入力された画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像装置16により静電潜像にトナーを付着させて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム14上に形成されたトナー像は、転写ローラ18により感光体ドラム14と転写ローラ18とのニップ部(転写位置)に供給された用紙へと転写される。
【0027】
トナー像が転写された用紙は感光体ドラム14から分離され、定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向下流側に配置されており、加熱ローラ21及び加熱ローラ21に圧接される加圧ローラ22を備えている。画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、加熱ローラ21と加圧ローラ22とのニップ部を通過することによって加熱及び加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。また、定着部10内には加熱ローラ21の表面温度を検知する定着サーミスタ23が設けられている。
【0028】
定着部10を通過した用紙は排出ローラ対11によって排紙部3に排出される。一方、感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は除電装置(図示せず)により除電された後、帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることとなる。また、装置設置環境(機械周辺環境)を測定する目的で、トナーコンテナ20の上方に機外温湿度センサ24が配置されている。
【0029】
そして、画像形成装置100は、記録媒体への非転写時、例えば、画像形成装置を電源オフ状態やスリープ(省電力)モードからコピー開始状態まで立ち上げる際、或いは所定枚数の印刷が行われた時に、現像装置16内の現像ローラ16a上のトナーを感光体ドラム14側に吐出するリフレッシュ工程を実行可能に構成されている。
【0030】
図2は、現像装置の側面断面図である。図2に示すように、現像装置16は、磁性トナーから成る一成分現像剤が収容されるケーシング31aと、ケーシング31aに収容された現像剤が外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される筐体31内に、第1スパイラル部材32、第2スパイラル部材33、現像ローラ16a、規制ブレード36が備えられている。
【0031】
ケーシング31aの内部は、長手方向に延在する仕切板37によって第1貯留室38と第2貯留室39とに区画されており、第1貯留室38には第1スパイラル部材32が、第2貯留室39には第2スパイラル部材33がそれぞれ配設されている。また、仕切板37は、ケーシング31aの長手方向(紙面方向)両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室38と第2貯留室39の間をトナーが移動する通路(トナー受け渡し部)となっている。
【0032】
第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33は、それぞれ回転軸32a、33aと、その外周面に一体形成された螺旋羽32b、33bから構成され、互いに略平行となるようにケーシング31a内に回転可能に軸支されており、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33が所定方向に回転することによって第1貯留室38及び第2貯留室39内のトナーを循環搬送するように構成されている。
【0033】
また、ケーシング31aの内壁面にはトナー量検知センサ(図示せず)が配置されており、トナー量検知センサ41の検出結果に応じてケーシング31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口(図示せず)が設けられている。
【0034】
現像ローラ16aは、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33と略平行となるように第1貯留室38内に回転可能に軸支されている。この現像ローラ16aには、内面に永久磁石から成る磁界発生部材(図示せず)が固定されたマグネットローラが使用されており、磁界発生部材の磁力により現像ローラ16aの表面にトナーが付着(担持)されてトナー層が形成される。そして、所定の現像域において現像ローラ16aに付着したトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラ16aに印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。
【0035】
規制ブレード36は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラ16aへのトナー付着量を規制するものであり、例えばSUS303等の非磁性体のSUS(ステンレス)が用いられる。そして、規制ブレード36は、その先端と現像ローラ16aとの間に所定の隙間が形成されるように配設されており、この規制ブレード36と現像ローラ16aとの隙間によって現像ローラ16aへのトナー付着量が規制され、現像ローラ16aの表面には数百ミクロンのトナー薄層が形成される。
【0036】
図3は、本発明の画像形成装置に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0037】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンタ95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0038】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。カウンタ95は、印刷枚数を積算してカウントする。なお、カウンタ95を別途設けなくても、例えばRAM93でその回数を記憶するようにしてもよい。
【0039】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、定着部10、帯電装置15、現像装置16、レーザ走査ユニット19、トナーコンテナ20、機外温湿度センサ24、メインモータ25、現像クラッチ30、画像入力部40、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
【0040】
メインモータ25は、制御部90からの制御信号に応じて定着部10、感光体ドラム14、現像装置16、クリーニング装置17、転写ローラ18等を駆動する。メインモータ25は現像クラッチ30を介して現像装置16と接続されており、制御部90からの制御信号に応じて現像クラッチ30を断続させることにより、現像装置16の駆動を定着部10、感光体ドラム14、クリーニング装置17、転写ローラ18等から独立して制御可能となっている。現像クラッチ30としては、電流のON/OFFにより駆動力を伝達、遮断する電磁クラッチが用いられる。
【0041】
画像入力部40は、画像形成装置100が図1に示すようなプリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部であり、画像形成装置100が複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0042】
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電装置15、現像ローラ16a、転写ローラ18に所定のバイアスを印加する。
【0043】
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52、テンキー53が設けられており、ユーザは操作部50を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部51は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。テンキー53は、印刷部数の設定や、画像形成装置100がFAX機能も有する場合に相手方のFAX番号を入力等するためのものである。
【0044】
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0045】
本発明の画像形成装置では、リフレッシュ工程実行時を除く非画像形成時(電源ON時やスリープモードからの復帰時における定着温度安定時間、連続印字時の紙間など)に現像クラッチ30を切り、現像装置16の駆動を停止させる。これにより、現像装置16の不必要な駆動を極力削減して内部のトナーに掛かる機械的ストレスを低減し、トナーの劣化を最小限に抑えることができる。
【0046】
なお、現像装置16を長時間駆動させずに放置した場合、現像ローラ16a上のトナーが吸湿により劣化して立ち上げ直後の画像濃度が低下したり、トナーの凝集により現像ローラ16上のトナー薄層にスジが発生したりする。そこで、本発明では電源投入時(装置立ち上げ時)またはスリープモードからの復帰時にリフレッシュ工程を実行することで、上記の不具合を防止することとしている。
【0047】
図4は、リフレッシュ工程におけるメインモータ、現像クラッチ、現像バイアス、帯電バイアス、レーザ露光、及び転写バイアス(クリーニングバイアス)のON/OFFタイミングを示すタイミングチャートの一例である。必要に応じて図1〜図3を参照しながら図4を用いて本発明のリフレッシュ工程の実行手順について説明する。なお、ここでは正帯電トナーを用いる場合について説明する。
【0048】
リフレッシュ工程の実行が指示されると、図4に示すように、メインモータ25がONとなり、感光体ドラム14、クリーニング装置17及び転写ローラ18が回転を開始する。これと同時に帯電装置15に印加される帯電バイアスがONとなり、感光体ドラム14の表面が一様に正帯電される。次に、レーザ走査ユニット19によるレーザ露光がONとなり、感光体ドラム14表面の帯電を部分的に減衰する。そして、ほぼ同時に現像ローラ16aに印加されるトナーと同極性(正)の現像バイアスもONとなる。
【0049】
このレーザ露光領域(帯電減衰領域)が感光体ドラム14の回転により現像ローラ16aに対向する位置に来ると、現像ローラ16a上のトナーは現像バイアスに反発してレーザ露光領域に付着する。これにより、感光体ドラム14上に図5に示すようなトナー吐出パターンTが形成される。トナー吐出パターンTは、現像ローラ16a(図1参照)の現像領域の幅Hと、ドラム周方向の印字長さ(トナー吐出長)Lとを2辺とする矩形状であり、トナー吐出長Lは図4におけるレーザ露光時間(=現像バイアスON時間Y)によって決まる。なお、現像バイアスON時間Yの決定方法については後述する。
【0050】
現像バイアスがONとなった時点では現像クラッチ30はOFFであるため、現像装置16内の現像ローラ16aや第1スパイラル部材32、第2スパイラル部材33は停止している。そのため、現像ローラ16a上の、特に吸湿して劣化度合いの高いケーシング31aから露出した部分のトナーが先に感光体ドラム14側へ吐出される。また、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33が停止しているため、ケーシング31a内のトナーが現像ローラ16a付近に送り込まれて劣化トナーと共に排出される不都合も抑制できる。その後、所定時間t1(ここでは500msec)が経過して現像ローラ16a上の劣化トナーが十分に吐出されてから現像クラッチ30がONとなり、現像装置16内のトナーの攪拌が開始される。
【0051】
また、現像クラッチ30のOFFにより第1スパイラル部材32、第2スパイラル部材33のみを停止させる構成も可能である。この場合、トナー吐出開始時に現像ローラ16aが回転するため、トナーケーシング31aから露出した部分のトナーの一部がケーシング31a内に戻ることになるが、スパイラル部材32及び33によって現像ローラ16aにトナーが新たに送り込まれないため、現像ローラ16a上の劣化トナーとケーシング31a内のトナーとの混合が抑制される。つまり、トナー吐出開始時に少なくとも第1スパイラル部材32、第2スパイラル部材33の回転を停止することで、トナーの帯電性や流動性を良好に維持することができる。
【0052】
現像クラッチON時間Zは、現像装置16内のトナーの帯電が安定する時間だけ確保すれば良いが、現像ローラ16a上の劣化トナーが現像装置16内に混ざり込まないため、トナーの帯電立ち上がりが早まり、攪拌時間を短縮することができる。また、攪拌による熱の発生やトナーの凝集も抑制され、トナーの劣化も抑制することができる。さらに、環境条件、特に湿度条件に応じて現像クラッチON時間Zを変更することにより、トナー劣化を抑制しつつ装置の立ち上げ直後の濃度を維持できる。即ち、トナーがチャージアップし難い高湿条件下ではZを長くとり、トナーがチャージアップし易い低湿条件下ではZを短縮することで、現像装置16をトナーの帯電が安定する必要最低限の時間だけ駆動させることができる。
【0053】
一方、感光体ドラム14においては、帯電装置15によってドラム表面が繰り返し帯電されることで酸化されると、ドラム表面の親水性が増し、空気中の水分を吸着し易くなる。そして、帯電装置15の放電により発生したNOxやSOx等の水溶性のイオン生成物が付着することにより、感光体ドラム表面の抵抗が低下する。これにより、感光体ドラム表面に形成された静電潜像のエッジ部で電位の横流れが起こり、いわゆる「像流れ現象」が発生する。
【0054】
そこで、現像ローラ16aから吐出されたトナーを用いて感光体ドラム14を研磨するドラムリフレッシュを実行する。具体的には、感光体ドラム14上に吐出された研磨材を含むトナーをクリーニング装置17によって回収する際、クリーニングローラ(摺擦ローラ)を感光体ドラム14に対し速度差を持って回転させることで感光体ドラム14の表面を研磨し、ドラム表面の水分や汚染物質をトナーと共に除去する。
【0055】
なお、転写ローラ18にはトナー吐出パターンTの付着を防止するためにトナーと同極性(正)の転写バイアス(転写逆バイアス)が現像バイアスのONとほぼ同時に印加される。転写逆バイアスのON状態は、現像クラッチ30がOFFとなってから所定時間t2(ここでは1sec)だけ遅れてOFFとなる。
【0056】
次に、転写ローラ18にトナーと逆極性(負)のクリーニングバイアス(転写正バイアス)を所定時間t3だけ印加する。これにより、転写ローラ18に付着した逆帯電トナーがクリーニングバイアスに反発して感光体ドラム14側に移動する。トナーと逆極性のクリーニングバイアスの印加時間t3は、転写ローラ18が1回転するのに要する時間以上(ここでは1sec)とすることが好ましい。続いて再びトナーと同極性(正)のクリーニングバイアス(転写逆バイアス)を印加すると、今度は転写ローラ18に付着した正帯電トナーがクリーニングバイアスに反発して感光体ドラム14側に移動する。
【0057】
そして、所定時間Xが経過した後、メインモータ25をOFFにし、同時にクリーニングバイアスをOFFしてリフレッシュ工程を終了する。なお、メインモータ駆動時間Xは定着部10の定着温度が安定する時間(以下、定着安定時間という)、及びクリーニング装置17によるドラムリフレッシュに必要な時間を考慮して決定される。例えば、像流れ現象が発生し易い高湿条件下ではXを定着安定時間よりも長くとってドラムリフレッシュを十分に行えば良く、像流れ現象が発生し難い低湿条件下ではXを定着安定時間とすれば良い。
【0058】
次に、リフレッシュ工程におけるメインモータ駆動時間X(sec)、現像バイアス印加時間Y(msec)を決定する方法について説明する。メインモータの駆動時間X及び現像バイアス印加時間Yの設定例を表1に示す。設定条件はROM92(或いはRAM93)内に格納されている。
【0059】
【表1】

【0060】
表1から、メインモータ駆動時間Xは、絶対湿度(HUMID)が150〜249のとき基準値150secに設定されており、像流れ現象が発生し易い絶対湿度250以上では適切なドラムリフレッシュ時間を確保するため180sec(基準値+30sec)に設定されている。また、像流れ現象が発生し難い絶対湿度149以下ではドラムリフレッシュに要する時間よりも定着部10の温度安定に要する時間の方が長くなるため、定着安定時間に設定されている。
【0061】
現像バイアス印加時間Yは、現像ローラ16aの線速によって2段階に設定されている。線速230mm/secの場合、絶対湿度(HUMID)が150〜249のとき基準値540msecに設定されており、トナー吐出長L(図5参照)は230(mm/sec)×0.54(sec)≒124mmとなる。そして、トナーが吸湿し易い絶対湿度250以上ではトナー吐出量を多くする必要があるため810msec(基準値の3/2倍)に設定されている。また、トナーが吸湿し難い絶対湿度149以下ではトナー吐出量を少なくできるため270msec(基準値の1/2倍)に設定されている。
【0062】
また、線速178mm/secの場合、絶対湿度(HUMID)が150〜249のとき基準値698msecに設定されており、トナー吐出長Lは178(mm/sec)×0.698(sec)≒124mmとなる。即ち、線速230mm/secの場合とトナー吐出長Lが等しくなるように設定されている。絶対湿度250以上、及び絶対湿度149以下についても線速230mm/secの場合と同様(基準値の3/2倍、1/2倍)である。
【0063】
次に、現像クラッチON時間Z(msec)を決定する方法について説明する。図6は、画像形成装置をH/H(高温高湿)条件(32.5℃/80%)に20時間放置した後、装置の立ち上げ(電源ON)直後に印刷された基準画像(ベタパッチ)の画像濃度(ID;イメージデンシティ)と現像駆動時間との関係を示すグラフである。図6に示すように、H/H条件に長時間放置された場合、現像ローラ16a上のトナーが吸湿して劣化しているため、装置の立ち上げ直後に現像装置16を予備駆動させずに画像形成を開始した場合は基準画像のIDが0.98まで低下している。また、現像装置16を予備駆動させると基準画像のIDは徐々に高くなり、約40secの駆動で画像濃度が1.25付近で安定している。そして、装置の立ち上げ直後に基準濃度(ID=1.2)の画像を出力するためには30secの現像駆動時間が必要であることがわかる。
【0064】
図7は、N/N(常温常湿)条件(23℃/50%)に48時間放置した後、装置の立ち上げ(電源ON)直後に印刷された基準画像(ベタパッチ)の画像濃度(ID;イメージデンシティ)と現像駆動時間との関係を示すグラフである。図7の場合、図6に比べて吸湿による現像ローラ16a上のトナーの劣化度合いは低いため、現像装置16を予備駆動させなかった場合でも基準画像のIDは1.18である。また、約10secの駆動で画像濃度が1.35付近で安定し、装置の立ち上げ直後に基準濃度(ID=1.2)の画像を出力するためには1sec程度の現像駆動時間で足りることがわかる。
【0065】
ここで、H/H条件は絶対湿度300、N/N条件は絶対湿度100〜150に相当するため、図6及び図7に基づいて絶対湿度と現像クラッチON時間Zとの関係を決定すれば良い。図8は、絶対湿度から現像クラッチON時間Zを決定する制御例を示すグラフである。図8においては、現像クラッチON時間Zは絶対湿度(HUMID)が150を超えないときは現像バイアス印加時間Yよりも1secだけ長く設定される。そして、絶対湿度150〜300までは絶対湿度の増加に比例して現像クラッチON時間Zを徐々に長くし、絶対湿度が300を超えると35sec(固定値)に設定される。現像クラッチON時間Zの設定条件は、メインモータ駆動時間X及び現像バイアス印加時間Yの設定条件と同様にROM92(或いはRAM93)内に格納されている。
【0066】
図9は、絶対湿度に基づいてリフレッシュ工程の実行条件を決定する制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図8を参照しながら、図9のステップに従い本発明のリフレッシュ工程の実行手順について説明する。なお、図9では、電源投入直後或いはスリープモードからの復帰直後で、且つ定着温度と環境温度との差が所定温度(ここでは50℃)以内の場合にリフレッシュ工程を実行するものとする。
【0067】
先ず、画像形成装置の電源がONされるか、またはコピー、プリント命令やFAX受信等によりスリープモードから復帰すると(ステップS1)、制御部90は定着サーミスタ23により検知された定着温度T1と機外温湿度センサ24により検知された機外温度T2の差T1−T2が50℃以下であるか否かが判断される(ステップS2)。T1−T2≦50である場合はリフレッシュ工程が開始され、制御部90はROM92(或いはRAM93)に格納された設定条件(表1及び図8参照)及び機外温湿度センサ24により検知された温湿度から算出される絶対湿度に基づいて、メインモータ駆動時間X、現像バイアスON時間Y、及び現像クラッチON時間Zを決定する(ステップS3)。
【0068】
次に、メインモータ25がONとなり、同時に帯電装置15に印加される帯電バイアスがONとなってドラム表面が一様に帯電される(ステップS4)。さらに、レーザ走査ユニット19による露光が所定時間(=現像バイアスON時間Y)だけONとなり感光体ドラム14上にレーザ露光領域が形成され、現像ローラ16aに印加される現像バイアスがONとなって現像ローラ16a上のトナーがレーザ露光領域に移動する。
【0069】
このとき、現像クラッチはOFF状態であり現像ローラ16a及びスパイラル部材32、33は停止しているため、現像ローラ16a上の劣化トナーのみが感光体ドラム14上に吐出される。そして、転写ローラ18へ印加される転写バイアスがONとなる(ステップS6)。ここでは転写ローラ18へのトナーの付着を防止するためにトナーと同極性の転写逆バイアス(正バイアス)が印加される。従って、感光体ドラム14上へ吐出されたトナーは転写ローラ18に付着することなくクリーニング装置17へ搬送され、クリーニングローラ(摺擦ローラ)による感光体ドラム14の研磨に利用された後、ドラム表面の汚れや水分と共に回収される。
【0070】
次に、所定時間経過後(図4では500msec後)に現像クラッチ30がONされて現像ローラ16a及びスパイラル部材32、33が回転を開始し、現像装置16内のトナーの帯電が安定するまで攪拌される(ステップS7)。また、現像バイアスONから時間Yが経過後、現像バイアスをOFFとする(ステップS8)。続いて現像クラッチ25のONから時間Zが経過後、現像クラッチ25をOFFとする(ステップS9)。
【0071】
さらに、転写ローラ18に印加するバイアスを転写逆バイアスからトナーと逆極性の転写正バイアス(負バイアス)に切り換えて転写ローラ18に付着した逆帯電トナーを感光体ドラム14側に移動させた後、再び転写逆バイアスに切り換えて転写ローラ18に付着した正帯電トナーを感光体ドラム14側に移動させる(ステップS10)。その後、メインモータ25のONから時間Xが経過後、メインモータ25をOFFとし、同時に転写バイアスもOFFとしてリフレッシュ工程を終了する(ステップS10)。なお、ステップS2においてT1−T2>50である場合は、電源OFF或いはスリープモードに入って短時間しか経過していないためリフレッシュ工程を実行せずに処理を終了する。
【0072】
上記制御によれば、リフレッシュ工程実行時に現像装置16を駆動させずにトナー吐出を行うため、現像ローラ16a上の劣化トナーを優先的に除去することができる。また、現像装置16内のトナーの帯電を安定させるために必要最低限の時間だけ現像装置16を駆動させた後、再び現像装置16の駆動を停止するため、現像装置16の不必要な駆動によるトナーの劣化を抑制することができる利便性の高い画像形成装置となる。
【0073】
また、絶対湿度に基づいてメインモータ駆動時間X、現像バイアス印加時間Y、及び現像クラッチON時間Zを可変させることで、リフレッシュ工程実行時間、及びリフレッシュ工程中のトナー吐出量、現像剤攪拌時間が絶対湿度に応じた必要最小限の時間となる。従って、環境条件に応じてトナーの劣化をより一層抑制できるとともに、リフレッシュ工程によるユーザの待ち時間も短縮できる。
【0074】
なお、機外温湿度センサ24により検知される機外温湿度の所定時間当たり(例えば過去30分間)の平均温度及び平均湿度を算出し、算出された平均温度と平均湿度に基づいて絶対湿度を設定しても良い。この制御によれば、リフレッシュ条件の決定に温湿度の平均値を用いるので、使用環境条件がより正確に反映された適切なリフレッシュ条件を決定可能となる。
【0075】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図4及び図9に示したリフレッシュ工程では、メインモータ25のONタイミングと帯電バイアスのONタイミング、及び現像バイアスのONタイミングとレーザ露光のONタイミングをほぼ同時としているが、これに限らず、例えばメインモータをONした後、所定時間経過後に帯電バイアスをONしても良い。また、現像バイアスのONタイミングについても、レーザ露光により形成されたレーザ露光領域が感光体ドラム14の回転によって現像ローラ16aに対向する位置に移動する前であれば特に制限はない。さらに、転写バイアスのONタイミングについても感光体ドラム14上に吐出されたトナーが転写ローラ18に対向する位置まで移動する前であれば良く、転写逆バイアス及び転写正バイアスの切り換え回数についても任意に設定可能である。
【0076】
また、上記実施形態では現像クラッチ30を用いることで現像装置16の駆動を独立して制御可能としたが、現像装置16を駆動するサブモータをメインモータ25とは別個に設ける構成としても良い。また本発明は、図1に示したようなモノクロプリンタに限らず、デジタル複合機やアナログ方式のモノクロ複写機、タンデム式やロータリー現像式のカラー複写機及びプリンタ、ファクシミリ等の種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【実施例1】
【0077】
リフレッシュモード実行時における印字率(単位時間当たりのトナー消費量)と現像スジ発生との関係について調査した。評価方法としては、試験機(京セラミタ社製KM−5035)を用い、環境温度(機外温度)が18℃、23℃、及び28℃の条件下で、印字率1%、2%、3%及び6%のテスト画像を非通紙状態で24時間連続印字した後の現像ローラ表面におけるスジの発生を目視により観察した。結果を表2に示す。なお、表2中のブレード温度とは、連続印字中における現像装置16の規制ブレード36(図2参照)付近の温度(穂切り部温度)を示している。
【0078】
【表2】

【0079】
表2から明らかなように、印字率1%の場合、環境温度23℃(ブレード温度36℃)において現像ローラ上にスジが1本、環境温度28℃(ブレード温度41℃)においてスジが4本発生した。また、印字率2%の場合、環境温度28℃(ブレード温度41℃)においてスジが1本発生した。一方、印字率3%及び6%では環境温度28℃(ブレード温度41℃)においてもスジは発生しなかった。この結果より、印字率が低くなるほど、また環境温度(ブレード温度)が高くなるほどスジが発生し易くなることが確認された。
【実施例2】
【0080】
現像クラッチを搭載した本発明の画像形成装置、及び実施例1で用いた現像クラッチを搭載しない画像形成装置(比較例)を用いて単位時間当たりのトナー消費量と現像ローラ上のスジの抑制効果について評価した。評価方法は、本発明及び比較例の画像形成装置でスリープモードからの復帰後にテスト画像(印字率5%)の5枚連続印字の繰り返しをシミュレーションし、単位時間当たりのトナー消費量(5枚印字時のトナー消費量/スリープモード復帰から印字終了までの現像駆動時間)を算出した。結果を図10に示す。同様に、実施例1の各条件における単位時間当たりのトナー消費量も計算し、図10中に併せてプロットした。
【0081】
実施例1の結果より、印字率1%(図に◇で表示)ではブレード温度36℃、及び41℃でスジが発生し、印字率2%(図に△で表示)ではブレード温度41℃でスジが発生し、印字率3%(図に□で表示)及び印字率6%(図に○で表示)ではスジは発生していないことから、現像ローラ上にスジが発生するか否かの境界線は図の実線Aのようになる。つまり、実線Aより下の領域ではスジ発生のリスクが高くなると考えられる。
【0082】
そして、現像クラッチを搭載した本発明における単位時間当たりのトナー消費量は図の一点鎖線Bのようになり、ブレード温度に関係なくスジは発生しない。一方、現像クラッチのない比較例における単位時間当たりのトナー消費量は破線Cとなり、ブレード温度が35℃を超えるとスジ発生のリスクが高くなることがわかる。この結果より、現像クラッチを搭載して現像装置の駆動時間を削減することで、高温高湿条件下においてもトナー劣化を抑制し、現像ローラ上のスジ発生を低減できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、非画像形成時にトナー担持体側から像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置に利用可能であり、リフレッシュ工程の実行時に少なくとも攪拌搬送部材の駆動を停止した状態で現像バイアスを印加するとともに、現像バイアスの印加開始後に攪拌搬送部材を所定時間駆動させるものである。
【0084】
これにより、現像ローラ上の劣化トナーを像担持体側へ効率的に吐出し、且つ攪拌搬送部材の回転によるトナーの劣化も抑制可能な画像形成装置を提供することができる。さらに、攪拌搬送部材に同期させてトナー担持体を停止及び駆動させることで、トナー担持体上の劣化トナーをより効率的に吐出可能となる。
【0085】
また、リフレッシュ工程実行時以外の非画像形成時において現像装置の駆動を停止させることでトナーの攪拌時間がより短縮されるため、トナーの劣化を一層効果的に抑制できる。このとき、現像装置が長時間停止すると装置の立ち上がり直後に画像濃度の低下やトナー担持体上にスジが発生することがあるが、リフレッシュ工程において攪拌搬送部材を所定時間回転させることでトナーの帯電が安定化するため濃度低下やスジの発生も抑制することができる。現像装置を独立して制御する簡便且つ低コストな方法として、クラッチを介して現像装置と駆動源とを連結する方法が挙げられる。
【0086】
また、絶対湿度に基づいてリフレッシュ工程の実行時における攪拌搬送部材の駆動時間を決定することにより、攪拌搬送部材の駆動時間、若しくは攪拌搬送部材とトナー担持体の駆動時間を環境条件に応じた必要最低限の時間とすることができ、トナーの劣化をより一層抑制することができる。
【0087】
また、定着温度と環境温度との温度差によって装置停止からの経過時間を判断し、電源投入後またはスリープモードからの復帰時に温度差が所定温度以下であるときリフレッシュ工程を実行するようにすれば、電源OFF或いはスリープモードに入って短時間しか経過していない場合に過度のリフレッシュ実行を制限することができ、装置の使用状況に応じた必要十分なリフレッシュを実行できる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】は、本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】は、現像装置の内部構造を示す側面断面図である。
【図3】は、本発明の画像形成装置の制御経路を示すブロック図である。
【図4】は、リフレッシュ工程におけるメインモータ、現像クラッチ、現像バイアス、転写バイアス、帯電バイアス及びレーザ露光のON/OFFタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】は、本発明に用いられるトナー吐出パターンの一例を示す図である。
【図6】は、画像形成装置をH/H条件に20時間放置した後、装置の立ち上げ直後に印刷された基準画像の画像濃度と現像駆動時間との関係を示すグラフである。
【図7】は、画像形成装置をN/N条件に48時間放置した後、装置の立ち上げ直後に印刷された基準画像の画像濃度と現像駆動時間との関係を示すグラフである。
【図8】は、絶対湿度から現像クラッチON時間Zを決定する制御例を示すグラフである。
【図9】は、本発明の画像形成装置におけるリフレッシュ工程の実行例を示すフローチャートである。
【図10】は、本発明及び比較例における単位時間当たりのトナー消費量、及び現像ローラ上のスジ発生リスクを比較したグラフである。
【符号の説明】
【0089】
10 定着部
14 感光体ドラム(像担持体)
15 帯電装置
16 現像装置
16a 現像ローラ(トナー担持体)
17 クリーニング装置
18 転写ローラ(転写手段)
20 トナーコンテナ
23 定着サーミスタ(定着温度検知手段)
24 機外温湿度センサ(温湿度検知手段)
25 メインモータ(駆動源)
30 現像クラッチ
32 第1スパイラル部材(攪拌搬送部材)
33 第2スパイラル部材(攪拌搬送部材)
41 バイアス制御回路(バイアス印加手段)
42 帯電バイアス電源
43 現像バイアス電源
44 転写バイアス電源
90 制御部(制御手段)
91 CPU
92 ROM
93 RAM
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する筐体と、該筐体内のトナーを攪拌搬送する攪拌搬送部材と、該攪拌搬送部材により搬送されるトナーを担持して像担持体に供給するトナー担持体とを有し、像担持体表面に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
該現像装置及び前記像担持体を含む画像形成部を駆動する駆動源と、
前記トナー担持体に現像バイアスを印加するバイアス印加手段と、
該バイアス印加手段及び前記現像装置の駆動を制御する制御手段と、を備え、
非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュ工程を実行可能な画像形成装置において、
前記制御手段は、前記リフレッシュ工程の実行時に少なくとも前記攪拌搬送部材の駆動を停止した状態で現像バイアスを印加するとともに、現像バイアスの印加開始後に前記攪拌搬送部材を所定時間駆動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記攪拌搬送部材に同期させて前記トナー担持体を停止及び駆動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記リフレッシュ工程実行時以外の非画像形成時において前記現像装置の駆動を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
装置内部若しくは外部の温度及び湿度を検知する温湿度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記温湿度検知手段の検知結果から算出される絶対湿度に基づいて前記リフレッシュ工程の実行時における前記攪拌搬送部材の駆動時間を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
該転写手段により記録媒体上に転写されたトナー像を加熱及び加圧する定着部材を有する定着装置と、
前記定着部材の温度を検知する定着温度検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、電源投入時またはスリープモードからの復帰時に前記定着温度検知手段及び前記温湿度検知手段の検知温度の差が所定温度以下であるとき前記リフレッシュ工程を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置は、クラッチを介して前記駆動源に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−60740(P2010−60740A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225175(P2008−225175)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】