説明

画像形成装置

【課題】画像形成のスループットを向上させることを目的とする。
【解決手段】本画像形成装置は、基準信号が出力された後に、画像形成が可能になるまでの時間を計時し、例えば、イニシャル処理が終了するなど画像形成が可能に成ったことに応じて画像形成を行う。さらに、画像形成装置は、画像形成中に次の基準信号が出力されると、計時した時間に基づく待機の後に、次色の画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の像担持体と複数の現像器とを備え、カラー画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単一の感光体(像担持体)と現像剤の色の数に対応する現像器とを備えるカラー画像形成装置においては、例えば、現像剤の色の数と同数の作像サイクルを繰り返し実行するカラー画像形成方式(以下、ロータリ方式と称する。)が採用されている。
【0003】
ロータリ方式では、画像の一次転写を行うベルト又はドラム形状の転写体上で各色の現像画像を重ねあわせる必要があるため、転写体上に基準位置となるマークを1つ以上設けている。従って、ロータリ方式では、それらのマークのセンサによる検出信号(以下、転写ベルト基準信号と称する。)を基準に画像形成を開始することで転写体上における現像画像の重ね合わせを実現している。
【0004】
また、従来のロータリ方式の制御では、画像形成装置がPC等よりプリントの要求を受けると、まずスキャナモータ、転写ベルト及び感光体を起動する等の準備動作が行なわれる。さらに、当該準備動作では、光ビームによる静電潜像の形成が可能なように、プリント画像データがラスタ画像データに展開される。そして、準備動作が完了した後に転写ベルト基準信号を受信すると、ラスタ画像データの出力許可信号が所定時間経過後に出力され、BD信号に同期して画像コントローラから画像データが出力される。その後、画像データに従って潜像、現像、転写処理が現像色の数だけ繰り返し行なわれることにより、転写ベルト上に各現像色の現像剤像が重ね合わせられてカラー画像が形成される。このようなロータリ方式の制御が例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−290534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年のカラープリンタにおいては益々のスループット向上が要望されている。上述の如く、従来のロータリ方式の画像形成装置では、各色のトナー像を正確な位置関係で重ね合わせるべく、転写ベルト基準信号を受信する必要がある。しかしながら、例えば、初期化動作が終了する直前に、マークがセンサを通過するような場合、マークの検出が遅れてしまい、印刷開始が遅れてしまうという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、ロータリ方式等の画像形成装置において、画像形成のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、画像形成に用いられる回転体であって、画像形成の為の基準位置を示すマークが形成された回転体を含む画像形成手段と、回転する回転体のマークを検出して基準信号を出力する検出手段と、基準信号が出力された後に画像形成が可能になったことに応じて画像形成手段に画像形成を行わせる制御手段と、更に、基準信号が出力された後に、画像形成が可能になるまでの時間を計時する計時手段と、を備え、制御手段は、次の基準信号が出力されると、計時手段により計時された時間に基づく待機の後に、画像形成手段に次色の画像形成を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ロータリ方式等の画像形成装置において、画像形成のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スキャナ制御における各信号のタイミングを示す図である。
【図2】画像形成装置1000の構成例を示す断面図である。
【図3】画像形成装置1000の制御構成例を示すブロック図である。
【図4】レーザスキャナユニット100の構成例を示す図である。
【図5】スキャナ制御部30の構成例を示すブロック図である。
【図6】スキャナ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図7A】スキャナ制御における各信号のタイミングを示す図である。
【図7B】スキャナ制御における各信号のタイミングを示す図である。
【図8】スキャナ制御部30の構成例を示す図である。
【図9】スキャナ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】画像形成装置2000の構成例を示す断面図である。
【図11】色ずれ検知方法を説明する図である。
【図12】画像形成装置3000の構成例を示す断面図である。
【図13】プリンタ制御部42の構成例を示すブロック図である。
【図14】スキャナ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】スキャナ制御における各信号のタイミングを示す図である。
【図16】スキャナ制御における各信号のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
<画像形成装置の構成>
以下では、図1乃至図6を参照して、第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る画像形成装置には、プリント実行時の転写ベルト基準信号の受信に応じて各現像色のそれぞれに対する補正BD信号を出力する補正BD信号出力部が設けられる。また、画像形成装置は、各駆動系(スキャナ、転写ベルト、現像器)の立ち上げ及びラスタ画像データの出力準備が完了した後に、現像色に対応した補正BD信号に基づきスキャナの回転位相を補正し、画像形成を開始する。まず、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1000の構成について説明する。なお、図中のY、M、C、KはそれぞれYellow色、Magenta色、Cyan色、Black色を示している。
【0012】
画像形成装置1000は、レーザスキャナユニット(光ビーム発生手段)100、感光体ドラム(像担持体)111、現像器112Y、112M、112C、112K、回転式現像器保持ユニット113、転写ベルト(中間転写体)110、基準位置マーク120、基準位置検出センサ121、ピックアップローラ201、転写ローラ203、搬送ローラ204、205及び定着器200を備える。レーザスキャナユニット100は、画像データに応じたレーザビーム(光ビーム)101を照射する。感光体ドラム111には、レーザビーム101によって静電潜像が表面(単一の像担持体上)に形成される。現像器112Y、112M、112C、112Kは、それぞれの現像色のトナー(現像剤)を保持し、静電潜像に現像剤を付着させる。回転式現像器保持ユニット113は、回転することにより1つの感光体ドラム111に対して各現像色の現像を可能にするように各現像器112を保持する現像ユニットである。転写ベルト110では、感光体ドラム111に現像された現像画像(現像剤像)が一次転写される。基準位置マーク120は、転写ベルト110の基準位置を検出するために設けられる。基準位置検出センサ121は、基準位置マーク120を光学的に検出するためのセンサである。転写ローラ203は、転写ベルト110上に転写された画像を記録紙202に転写する。ピックアップローラ201は用紙カセットから用紙を1枚ずつ搬送する。搬送ローラ204、205は、記録紙202を転写ローラ203に導く。定着器200は、記録紙202に転写されたトナーを溶融及び固着させる。
【0013】
<画像形成装置の制御構成>
次に、図3を参照して、本実施形態に係るプリント制御システムについて説明する。画像形成装置1000は、制御構成として、画像コントローラ40、及びエンジンコントローラ41を備える。また、エンジンコントローラ41は、スキャナ制御部30及びプリンタ制御部42を備える。画像コントローラ40は、データ入力手段として機能し、PC等からのプリント要求3及び画像データ44を受信し、レーザスキャナユニット100に対してラスタ画像データを送信する。また、エンジンコントローラ41はプリンタ上のアクチュエータ制御及び状態管理を行う。
【0014】
プリンタ制御部42は、画像コントローラ40から送信される各種プリント要求を受信し、その要求に応じて転写ベルト110、感光体ドラム111、回転式現像器保持ユニット113等のアクチュエータの起動及び停止を制御する。また、スキャナ制御部30は、画像コントローラ40から送信されるラスタ画像データの出力同期信号であるBD信号11が所定のタイミングで出力されるようレーザスキャナユニット100内のスキャナモータを制御する。つまり、BD信号11とは、スキャナがレーザビームを走査(発光開始)するための主走査同期信号を指す。なお、レーザスキャナユニット100のスキャナモータ駆動部28及びレーザ駆動部27については図4を用いて後述する。
【0015】
<レーザスキャナユニットの構成>
次に、図4を参照して、本実施形態に係るレーザスキャナユニット100の構成について説明する。レーザスキャナユニット100は、半導体レーザ29、ポリゴンミラー(回転多面鏡)20、レーザビーム検出センサ22(以下BDセンサ22と称す)、fθレンズ24、25、反射ミラー26、レーザ駆動部27及びスキャナモータ駆動部28を備え、光ビームを偏向走査する。
【0016】
半導体レーザ29は、レーザ光源を有し、レーザビーム101をポリゴンミラー20に照射する。ポリゴンミラー20は半導体レーザ29より発振したレーザビーム101を偏向させる。BDセンサ22は、主走査同期信号出力手段として機能し、偏向されたレーザビーム101の走査線上に設けられ、レーザビーム101の照射を検出し、BD信号11をスキャナ制御部30に出力する。fθレンズ24、25は、ポリゴンミラー20により偏向されたレーザビーム101の感光体ドラム111上における走査速度を一定速に補正する。反射ミラー26は、速度補正されたレーザビーム101を感光体ドラム111へ反射させる。
【0017】
レーザ駆動部27は、光ビーム発生部として機能する半導体レーザ29の発光制御を行う。スキャナモータ駆動部28は、ポリゴンミラー20の回転速度及び回転位相の制御を行う。14は、スキャナ制御部30がスキャナモータ駆動部28に加速、減速の指示を行う制御信号を示す。21は、スキャナ制御部30がレーザ駆動部27に半導体レーザの発光/消光の指示を行なう制御信号を示す。12は、画像コントローラ40から送信されるラスタ画像データを示す。
【0018】
スキャナ制御部30は、画像形成時にポリゴンミラー20を各種プリント要求に応じた速度で回転させる制御を行う。具体的には、BDセンサ22から送信されるBD信号11の検出周期(即ち、スキャナモータの回転速度)が所定周期となるようスキャナモータの速度調整を行う。また、スキャナ制御部30は、各色の正確な重ね合わせを実現するために、所望のタイミングでBD信号11が検出されるようにポリゴンミラー20の回転位相を補正する。具体的には、スキャナ制御部30は、補正信号である補正BD信号を生成し、生成した補正BD信号をBD信号11との時間差が0となる(一致する)ようにポリゴンミラー20を制御する。またこれにより結果としてBD信号11の位相が補正されることになる。即ち、ポリゴンミラー20の、基準となる補正BD信号に対する回転位相補正と、基準となる補正BD信号に対するBD信号11の位相補正とは同義である。
【0019】
画像形成装置1000は、PC等からのプリント要求を受けると、準備処理(以下イニシャル処理とも称す)を行う。以下イニシャル処理例を列挙する。
・回転式現像器保持ユニット113内の各現像器を所定の位置に移動させるための初期回転制御
・ポリゴンミラー20の起動(回転)制御
・感光体ドラム111の起動(回転)制御
・転写ベルト110の起動制御
・定着器200の温度調整制御
・感光体ドラム111への電圧印加(帯電)制御
・転写ベルト110への転写電圧制御
これらイニシャル処理は、装置の温度などの装置環境や、カラー印刷かモノクロ印刷かなどのプリントモードの差異等により、その都度要する時間が変動する。これは、装置の温度又は画像形成前の定着器の温度により画像形成前の温度調整に要する時間が変わることにより生じる。また、カラー印刷とモノクロ印刷の違いによって、1回目に現像を行う色が異なる為、回転式現像器保持ユニットに保持される現像器を感光体ドラムに隣接する位置に移動させるのに要する時間が変わることなどによっても生じる。そして、画像形成装置1000は、所定の準備動作(イニシャル処理、初期動作)が完了すると、転写ベルト基準信号10を基準としたレーザスキャナモータの回転位相制御を行なう。以下では、レーザモータスキャナの回転位相制御を単に位相制御と称する。
【0020】
その後、画像形成装置1000は、画像コントローラ40から送信されたラスタ画像データに従って半導体レーザ29を発光させ、感光体ドラム111への潜像形成、画像形成、転写ベルト110への画像転写を順次行う。これらの処理が現像器の数だけ繰り返し行われ、用紙カセットから記録紙202が転写ローラ203へと搬送される。その後、記録紙202への画像転写と、画像定着とが順次行われ、印刷済みの記録紙202が排紙部へと排紙される。
【0021】
<スキャナ制御部の構成>
次に、図5を参照して、本実施形態に係るレーザスキャナユニット100の制御について説明する。スキャナ制御部30は、タイマ1、コンパレータ9a、9b、メモリ17、補正BD出力ブロック7、セレクタ56、スキャナ位相制御ブロック3、及びスキャナ速度制御ブロック2を備える。10は転写ベルト110の基準位置マーク120を検出した際に基準位置検出センサ121から送信されるパルス状の転写ベルト基準信号である。5は、プリンタ制御部42が、各駆動源の起動や画像展開の準備動作が完了し、画像形成の開始が可能であることを判断した際に送信するパルス状のイニシャル完了信号である。タイマ1は、転写ベルト基準信号の受信を基準に時間を計時し、転写ベルト基準信号10の受信からイニシャル完了信号5の受信までの経過時間T1を、カウントデータ4としてメモリ17に記憶させる。メモリ17には、タイマ1から送信されたカウントデータ4と、スキャナモータの位相制御に要する予め決められた時間T5であるデータとが記憶される。
【0022】
コンパレータ9aは、メモリ17に記憶された転写ベルト基準信号10の受信からイニシャル完了信号の受信までの経過時間T1を示すカウントデータ58とタイマ1から送信される転写ベルト基準信号10を基準としたカウンタ値18との一致を判別する。一致すると、コンパレータ9aは、パルス信号57をセレクタ56に送信する。コンパレータ9bは、カウントデータ58及びスキャナモータの位相制御に要する時間T5であるカウントデータを足し合わせたカウント値59と、カウンタ値18との一致を判別する。一致すると、コンパレータ9bは、画像コントローラ40に対しラスタ画像データの出力開始を指示するための画像出力許可信号15を出力する。
【0023】
補正BD出力ブロック7は、各色それぞれの補正BD信号13Y、13M、13C、13Kを転写ベルト基準信号10からT1の時間が経過したタイミングを基準に出力し、スキャナ位相制御ブロック3にそれぞれ報知する。つまり、補正BD出力ブロック7は、複数の現像色間で共通の出力部として機能する。セレクタ56は、Y色印字ではイニシャル完了信号5を、M、C、K色印字時はパルス信号57をスキャナの位相制御開始指示信号8として、スキャナ位相制御ブロック3に選択的に報知する。スキャナ速度制御ブロック2は、レーザスキャナユニット100から送信されたBD信号11の検出周期からスキャナモータの回転速度を算出し、各種プリント要求に応じた回転速度となるようスキャナモータの加減速制御(駆動制御)を行う。スキャナ位相制御ブロック3は、スキャナモータの位相制御開始指示信号8を受信したタイミングから、補正BD信号13Y、13M、13C、13KとBD信号11との受信時間差が0(即ち、位相差が0)となるようスキャナモータの加減速制御を行う。
【0024】
<スキャナ制御のタイミングチャート>
次に、図1を参照して、本実施形態におけるレーザスキャナ制御を行った際の各信号のタイミングについて説明する。プリント要求を受けた画像形成装置1000は、まず始めに各種アクチュエータの起動及びラスタ画像データの作成処理を開始する。具体的には、各種アクチュエータの起動は、例えば、スキャナ速度制御信号14aの起動“H”及び転写ベルト駆動信号32の起動“H”により行なわれる。
【0025】
転写ベルト110の速度が安定した後にタイミングT101において転写ベルト基準信号10を受信すると、補正BD出力ブロック7は、Y色用の補正BD信号をクリアし、転写ベルト基準信号10の受信を基準とした新たな補正BD信号を出力する。その後、画像形成の開始に必要な準備動作が完了すると、プリンタ制御部42からイニシャル完了信号5がタイミングT102においてスキャナ制御部30に送信される。尚、先に説明したイニシャル処理は、イニシャル処理自体に要する時間や、転写ベルト110の停止位置(基準位置マーク120がどのような位置で停止しているか)によって、転写ベルト基準信号10と、イニシャル完了信号5との間隔はたえず変動し得る。
【0026】
イニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信されると、スキャナ制御部30は、タイミングT101からタイミングT102までの経過時間T1をメモリ17に記憶すると同時に、位相制御開始指示信号8をスキャナ位相制御ブロック3に送信する。これにより、スキャナ位相制御ブロック3は、Y色用の補正BD信号13YとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する。なお、上記経過時間T1を記憶するメモリ17の初期値は、転写ベルト基準信号10の受信間隔より大きな値が予め記憶されており、イニシャル完了信号5を受信した時点で経過時間T1に値が更新される。
【0027】
イニシャル完了信号5を受信した後に、メモリ17に記憶されたスキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、タイミングT103において、画像コントローラ40に対してY色の画像データの出力開始を指示する(第1の制御ステップ)。Y色の画像データの出力開始指示を受けた画像コントローラ40は、スキャナの位相補正が完了したBD信号に同期してラスタ画像データをレーザ駆動部27に送信する。
【0028】
その後、M色画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT104で受信すると、タイマ1は、これまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する。これと同時に、補正BD出力ブロック7は、M色用の補正BD信号13Mをクリアし、転写ベルト基準信号10の受信を基準とし、予め定められた周期の補正BD信号を出力する。そして、タイマ1が時間T1を計時すると、スキャナ位相制御ブロック3は、M色用の補正BD信号13MとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する。スキャナの位相補正においてより具体的には補正BD信号の出力タイミングに一致するようにスキャナの回転位相を補正する。
【0029】
その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、BD信号11に同期させて、タイミングT105において画像コントローラ40に対してM色の画像データの出力開始を指示する(第2の制御ステップ)。即ち、M色の画像データは、転写ベルト基準信号10の受信からT1+T5が経過後に出力される。尚、待機時間(T1+T5)が経過した後に更に数BD信号分の時間(α)余裕をもって出力開始を指示しても良い。その場合に待機時間は(T1+T5+α)C色及びK色に対する補正BD信号の出力制御、スキャナ位相補正の開始制御、及び画像データ出力開始制御については、M色と同様の制御が行なわれる。このように、画像形成が可能になるまでの時間としては(T1+T5)に準じた様々な時間を適用できる。
【0030】
<イニシャル完了信号5と基準信号10との関係について>
ここでイニシャル完了信号5と転写ベルト基準信号10との関係について詳細に説明する。イニシャル完了信号5のタイミングは、転写ベルト基準信号10のタイミングに対し非同期の関係にある。つまり、2つの信号は異なるタイミングで受信される。さらに、イニシャル完了信号5のタイミングは、各駆動部の起動処理の完了時間のばらつきや画像コントローラ40のイニシャル処理の処理時間に影響を受けるため、プリント要求ごとにばらつく。その結果、上記T101とT102との時間差(即ち、時間T1)は大きくずれる場合がある。時間T1、T5と1ページ分の感光体ドラム111への静電潜像を形成するまでに要する時間との合計時間が、転写ベルト110が1回転するのに要する時間を超えた場合、タイミングT104で次色(ここでは、マゼンタ)の転写ベルト基準信号10が受信される。タイミングT104では、前色(ここでは、イエロー)の感光体ドラム111への静電潜像形成中となる。そこで、本実施形態では、時間T1を記憶し転写ベルト基準信号10を受信した後から時間T1が経過した後にスキャナの位相補正を実施することで感光体ドラム111への静電潜像形成中に次色のスキャナ位相補正が行われることを防止している。
【0031】
<スキャナ制御のフローチャート>
次に、図6を参照して、本実施形態におけるスキャナ制御の処理手順について説明する。ここでは、プリント開始要求の受信から各色の画像出力完了までに行うスキャナ制御について説明する。なお、以下で説明する処理は、エンジンコントローラ41によって制御される。
【0032】
S200において、エンジンコントローラ41は、画像コントローラ40を介してプリント要求3を受信する。続いて、S201において、エンジンコントローラ41のプリンタ制御部42は、画像形成のためのイニシャル処理を開始する。S202において、エンジンコントローラ41は、転写ベルト基準信号10を受信したか否かを判定する。転写ベルト基準信号10は、転写ベルト110がプリント制御に応じた定常速に到達すると出力される。転写ベルト基準信号10を受信すると、S203において、スキャナ制御部30の補正BD出力ブロック7は、第1補正BD信号(即ち、1色目用の補正BD信号13Y)を出力する。さらに、S204において、タイマ1が計時を開始する。尚、各色とも同じ条件であれば、T101、T104等のタイミングに対して、BD補正信号13の位相をずらしてBD補正信号の出力を開始しても良い。
【0033】
次に、S205において、プリンタ制御部42は、先に説明した準備動作であるイニシャル処理が終了したか否かを判定する。ここで、イニシャル処理が終了したと判定すると、スキャナ制御部30対してイニシャル完了信号5を通知し、S206に進む。S206において、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信から計時している経過時間T1をメモリ17に記憶する。さらに、S206と同時に、S207において、セレクタ56が、スキャナ位相制御ブロック3に対し、位相制御開始指示信号8を送信する。尚、転写ベルト110が安定駆動し、更にその後にイニシャル完了信号5が受信されるまでに、実際には複数回の転写ベルト基準信号10の受信がある。この場合、イニシャル完了信号5が受信される直前に受信された転写ベルト基準信号10が採用される。また、補正BD信号については、転写ベルト基準信号10が受信される毎に新たに出力されるものとする。
【0034】
次に、S208において、スキャナ制御部30は、タイマ1とメモリ17とを用いて、予め記憶されたスキャナ位相補正が完了するまでの時間T5が経過したか否かを判定する。なお時間T5が経過する間、スキャナ位相制御ブロック3によって、レーザスキャナユニット100から送信されるBD信号11と補正BD信号13Yとの受信タイミングが一致するようにスキャナモータの回転位相が補正される。S208で時間T5が経過したと判定されると、S209に進み、コンパレータ9bは、画像出力許可信号15を画像コントローラ40へ送信する。
【0035】
S210において、エンジンコントローラ41は、全色の画像形成が開始されたか否かを判定する。ここで、全色の画像形成の開始が完了している場合は処理を終了する。一方、何れかの色の画像形成の開始指示が未完了の場合には転写ベルト110の基準位置の検出が再度行われる。その後、2色目以降の処理がS211乃至S224で行なわれる。
【0036】
ステップS211において、エンジンコントローラ41は、再度転写ベルト基準信号10を受信したか否かを判定する。転写ベルト基準信号10を受信するとS212に進み、エンジンコントローラ41は、受信した転写ベルト基準信号10が2色目(ここでは、マゼンダ)の転写ベルト基準信号10であるか否かを判定する。ここで、2色目の転写ベルト基準信号10である判定すると、マゼンダ用の処理S213乃至S216が行なわれる。
【0037】
S213において、補正BD出力ブロック7は、第2補正BD信号の生成を開始する。続いて、S214にいて、タイマ1が計時を開始する。その後、S215において、スキャナ制御部30は、S206で記憶されたタイマの経過時間T1にタイマ1の計時時間が到達したか否かを判定する。時間T1にタイマ1の計時時間が到達すると、S216に進み、セレクタ56が、スキャナ位相制御ブロック3に対し、位相制御開始指示信号8を送信し、処理をS208に戻す。
【0038】
一方、S212で2色目用の転写ベルト基準信号10ではないと判定すると、S225に進み、エンジンコントローラ41は、受信した転写ベルト基準信号10が3色目(ここでは、シアン)の転写ベルト基準信号10であるか否かを判定する。ここで、3色目の転写ベルト基準信号10であると判定すると、シアン用の処理S217乃至S220が行なわれる。一方、3色目の転写ベルト基準信号10でないと判定すると、4色目となるブラック用の処理S221乃至S224が行なわれる。なお、S217乃至S220の処理と、S221乃至S224の処理とは、マゼンダ用の処理であるS213乃至S216と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0039】
尚、図6のフローチャートによれば、各色毎に補正BD信号を出力する構成としたが、これに限定されない。例えば、奇数番目の現像色(本実施形態でのY色及びC色)と偶数番目の現像色(本実施形態ではM色及びK色)用の2つの補正BD信号を出力する構成とし、転写ベルト基準位置の受信に対し交互に補正BD信号が生成されてもよい。より具体的には、例えば、2つの補正BD信号(図中13Y、13M)を出力する構成とし、C色用の補正BD信号は13Cではなく13Yを流用し、K色の補正BD信号は13Mを流用し出力する。これは、1色目(イエロー)と3色目(シアン)とが同時に画像形成されることがなく、また2色目(マゼンタ)と4色目(ブラック)についても同様であることが理由である。そして上述のように、補正BD信号出力を共用することで、補正BD信号の出力制御を構成する回路の数を半分にすることができ、スキャナ制御部30のリソース規模をより小さくできる。ここで、補正BD信号の出力制御を構成する回路とは、補正BD信号の周期を計測するタイマ部と、補正BD信号の出力タイミングをタイマの値から判別し、補正BD信号を出力する補正BD信号出力制御部を示す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1000は、転写ベルト基準信号10が出力された後(T101)に、画像形成が可能になる(画像出力許可信号:T103)までの時間(T1+T5)を計時する。また、画像形成装置1000は、画像形成が可能に成ったことに応じて画像データに従う光ビーム(12Y)を射出させる。さらに、画像形成装置1000は、上記画像形成中に次の転写ベルト基準信号10が出力される(T104)と、計時した時間(T1+T5)に基づく待機の後に、画像出力許可信号15(T105)を出力し、次の現像色に画像データに従う光ビームを射出させる。これにより、本実施形態は、ロータリ方式の画像形成装置1000において、画像形成のスループットを向上させることができる。更に感光体ドラム111への静電潜像形成中に転写ベルト基準信号10を受信した場合であっても、各色の画像形成開始タイミングを同期させることができ、画像揺らぎの発生を抑制し、画像形成のスループットを向上させることができる。
【0041】
ここで、画像揺らぎの抑制について、少し詳しく説明する。感光体上の静電潜像の形成は、レーザ走査線上に設けられたBDセンサ22によりレーザビームが検出されることに応じて出力されるBD信号を基準に、ラスタ画像データに従う光ビームが感光体上に照射されることにより行われる。ここで、転写ベルト基準信号の出力間隔が必ずしもBD周期の整数倍にはならない為、転写ベルト基準信号の受信と、その直後のBD信号の受信との時間差が各現像色の作像処理で異なり、最大で略1ライン分の色ずれが生じる可能性がある。そこで、上述の特開平09−290534号公報では、転写ベルト基準信号の受信タイミングを基準にした補正BD信号を生成し、補正BD信号の出力タイミングとBD信号の出力タイミングとが一致するようにスキャナモータの回転位相を補正して作像処理(レーザ露光等)を行っている。そしてこの処理を各現像毎に繰り返す。これにより、特開平09−290534号公報の画像形成装置では、転写ベルト基準信号が発生してから画像データが出力されるまでの時間を、全ての現像色に対応する作像処理において精度良く一致させることができる。
【0042】
しかしながら、上記従来技術では、例えば、定着器200の温度調整や、ラスタ画像データの展開処理などの遅延により、転写ベルト基準信号の受信から準備動作の完了までの時間が長くなる虞がある。この場合、スキャナモータの回転位相の補正が完了するよりも、準備動作の完了が遅くなり得る。そして、このときに準備動作の完了時点から光ビームによる潜像形成を開始した場合、その途中に次色用の転写ベルト基準信号を受信してしまう虞がある。プリンタが小型化した場合には特にである。そして、次色用の転写ベルト基準信号を受信した後に、次色用の位相補正制御によりスキャナモータの回転速度が変動されるため、現在形成している色の静電潜像(具体的には各色の後端画像)に不具合が発生してしまう。例えば、副走査方向に色ずれが発生した画像が形成されてしまう。
【0043】
ここで、上記問題を解消するには、準備動作が完了した後に受信した転写ベルト基準信号からスキャナモータの位相補正を開始し、作像処理を行えば良い。しかし、この制御では、準備動作の完了を待つ必要があり、さらには、その後に転写ベルト基準信号の受信を待つ必要があるためスループットが低下するという問題があった。上述の実施例によれば、スキャナモータの位相補正を行う場合に、静電潜像に不具合を発生させることなく、且つ画像形成のスループットを低下させないことを達成できる。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、図7A乃至図11を参照して、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、補正BD信号の生成タイミングを転写ベルト110の基準位置の検出から所定時間経過後に行うと同時にスキャナの位相補正を行う。さらに、本実施形態では、転写ベルト110上に現像された色ずれパターンを検出する検出部を備え、その結果に基づき補正BD信号の生成タイミングを補正する。なお、ここでは、第1の実施形態と異なる構成及び技術についてのみ説明を記載する。
【0045】
<画像形成装置の構成>
まず、図10を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。本実施形態に係る画像形成装置2000は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000の構成に加えて、色ずれ検知センサを備える。色ずれ検出センサ115は、パターン検出手段として機能し、転写ベルト110上に現像された色ずれ検出パターンを読み取る。また、本実施形態では、画像形成に係わる各負荷が色ずれ検出パターンを形成するパターン形成手段としても機能する。他の構成については、画像形成装置1000と同様であるため説明を省略する。
【0046】
<色ずれ検知>
次に、図11を参照して、本実施形態に係る色ずれ検知方法について説明する。図11は、転写ベルト110上に現像された色ずれ検出用パターン31a、31bと色ずれ検出センサ115a、115bの平面図を示している。画像形成装置2000は、電源投入時、現像器交換時、または画像コントローラ40からの色ずれ補正の要求を受けると、転写ベルト110上に図11に示すような色ずれ検出用パターン31a、31bを現像する。色ずれ検出用パターン31a、31bには、Y、M、C、K色のパターンが含まれている。そして、転写ベルト110上に現像された色ずれ検出用パターン31a、31bを色ずれ検出センサ115によって検出し、当該検出結果から各現像色の理想の副走査方向方に係る形成位置に対する誤差成分(色ずれ量)が算出される。さらに誤差成分からスキャナ位相補正をするまで待機時間を補正する為の補正時間が算出され、エンジンコントローラ41内に記憶される。エンジンコントローラ41は、記憶された補正時間に基づいて、スキャナ位相補正を実行する。詳細な制御については後述する。尚、上記理想の副走査方向に係る形成位置とは、例えば基準色がY色であれば、Y色に対する測定色M、C、K色の各相対的なずれ量が、それに相当する。この場合には、測定色ごとに上記補正時間が求められ、エンジンコントローラ41内に記憶される。
【0047】
<スキャナ制御部の構成>
次に、図8を参照して、本実施形態に係るスキャナ制御部30の構成について説明する。なお、ここでは、図5に示す第1の実施形態に係るスキャナ制御部30と異なる構成についてのみ説明する。
【0048】
本実施形態によれば、コンパレータ9aには、まず、第1の入力として、メモリ17に記憶された経過時間T1を示すカウントデータ58と、色ずれ補正時間T6のカウントデータ16との合算値T1+T6(60)が入力される。ここで経過時間T1は、転写ベルト基準信号10の受信からイニシャル完了信号5の受信までの経過時間を示す。また、色ずれ補正時間T6は、色ずれ検出センサ115によって算出された値である。また、コンパレータ9aには、第2の入力として、タイマ1から送信される転写ベルト基準信号10を基準としたカウンタ値18が入力される。したがって、コンパレータ9aは、これら2つの入力の一致を判定し、一致したタイミングでパルス信号57をセレクタ56に送信する。
【0049】
また、コンパレータ9bには、第1の入力として、経過時間T1のカウントデータ58と、スキャナモータの位相制御に要する時間T5のカウントデータ19と、色ずれ補正時間T6のカウントデータ16との合算値T1+T5+T6(61)が入力される。さらに、コンパレータ9bには、第2の入力として、タイマ1から送信される転写ベルト基準信号10を基準としたカウンタ値18が入力される。したがって、コンパレータ9bは、これら2つの入力の一致を判定し、一致したタイミングで画像コントローラ40に対してラスタ画像データの出力開始を指示する画像出力許可信号15を出力する。
【0050】
セレクタ56は、補正BD出力の開始及びスキャナの位相制御開始指示信号8として、Y色印字ではイニシャル完了信号5を、M、C、K色印字ではパルス信号57を、補正BD出力ブロック7及びスキャナ位相制御ブロック3に報知する。補正BD出力ブロック7は、補正BD信号13を位相制御開始指示信号8を基準に出力し、スキャナ位相制御ブロック3に報知する。したがって、本実施形態では、スキャナ位相制御ブロック3は、スキャナモータの位相制御開始指示信号8を受信したタイミングから、補正BD信号13とBD信号11との受信時間差が0(即ち、位相差が0)となるようスキャナモータの加減速制御を行う。
【0051】
<スキャナ制御のタイミングチャート>
次に、図7Aを参照して、本実施形態におけるレーザスキャナ制御を行った際の各信号のタイミングについて説明する。プリント要求を受けた画像形成装置2000は、まず始めに各種アクチュエータの起動及びラスタ画像データの作成処理を開始する。具体的には、各種アクチュエータの起動は、例えば、スキャナ速度制御信号14aの起動“H”及び転写ベルト駆動信号32の起動“H”により行なわれる。
【0052】
転写ベルト110の速度が安定した後にタイミングT101において転写ベルト基準信号10を受信すると、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信を基準とした計時を開始する。その後、画像形成の開始に必要な準備動作が完了すると、プリンタ制御部42からイニシャル完了信号5がタイミングT102においてスキャナ制御部30に送信される。
イニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信されると、スキャナ制御部30は、タイミングT101からT102までの経過時間T1をメモリ17に記憶する。なお、上記経過時間T1を記憶するメモリ17の初期値は、転写ベルト基準信号10の受信間隔より大きな値が予め記憶されており、イニシャル完了信号5を受信した時点で経過時間T1に値が更新される。またそれと同時にセレクタ56は、補正BD出力ブロック7に対して補正BD信号の出力開始を指示する。これにより、補正BD出力ブロック7は、Y色用の補正BD信号13を出力する。さらに、スキャナ位相制御ブロック3は、補正BD出力ブロック7から送信された補正BD信号13に従ってスキャナの位相補正を開始する。
【0053】
尚、図7AにおいてはT1経過後に、補正BD信号13の出力を開始しているが(位相が零に相当)、例えば補正BD信号13の出力タイミングを補正BD信号周期以内においてずらしても良い。但し、この場合には、後述するT1_M、T1_C、T1_K経過後に補正BD信号13を出力する場合にも、同条件で出力タイミングをずらす必要がある。即ち、補正BD信号13の開始タイミングは、T1が経過したタイミングに基づくものであれば、様々なタイミングを提供することができる。
【0054】
メモリ17に記憶されたスキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、タイミングT103において、画像コントローラ40に対してY色の画像データの出力開始を指示する。Y色の画像データの出力開始指示を受けた画像コントローラ40は、スキャナの位相補正が完了したBD信号に同期してラスタ画像データをレーザ駆動部27に送信する。
【0055】
次に、M色画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT104で受信すると、タイマ1は、これまで計時時間をクリアし、再度、計時を開始する。その後、タイマ1のカウンタ値18が経過時間T1とM色の色ずれ補正時間T6との合計時間T1+T6となった時点(T1_M経過時点)で、補正BD出力ブロック7は、M色用の補正BD信号13を出力する。スキャナ位相制御ブロック3は、補正BD信号13に従ってスキャナの位相補正を開始する。このように、補正BD信号13を、タイミングT101からT1だけ時間が経過した時や、タイミングT104からT1_Mだけ時間が経過したときに、出力開始させている。従って、第1の実施形態のように各現像色で異なる補正BD信号を出力する必要がない。つまり、第1の実施形態と比較して制御負荷を低減することができる。
【0056】
さらに、メモリ17に記憶されたスキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、タイミングT105において、画像コントローラ40に対してM色の画像データの出力開始を指示する。なお、C色及びK色に対する補正BD信号の出力制御、スキャナ位相補正の開始制御、及び画像データ出力開始制御についてはM色と同様の制御が行なわれる。
【0057】
このように、実際にユーザ先で画像形成装置が稼動する場合には、基準色(例えばY色)に対する測定色の色ずれが発生しており、画像形成が可能になるまでの時間T1+T5に限定されず、更にT6を加算した、T1+T5の計時に基づく待機が行われる。これにより、より精度の良い、静電潜像形成を行うことができる。また、変形例として、T1_M、T1_C、T1_Kだけ待機する変わりに、何れの現像色の場合にもT1待機するようにし、BD補正信号13の出力開始位相を制御しても良い。具体例を図7Bに示す。図7Bの例は、基準色であるY色に対して、1/4ライン間隔相当だけM色の書き出しタイミングが遅れている場合の対応を示している。即ち、BD周期をTとした場合に、T1計時後の補正BD信号の位相を、補正前(点線)に対して、T/4だけ進めている。
【0058】
次に、図9を参照して、本実施形態におけるスキャナ制御の処理手順について説明する。ここでは、プリント開始要求の受信から各色の画像出力完了までに行うスキャナ制御について説明する。なお、以下で説明する処理は、エンジンコントローラ41によって制御される。
【0059】
S300において、エンジンコントローラ41は、画像コントローラ40を介してプリント要求3を受信する。続いて、S301において、エンジンコントローラ41のプリンタ制御部42は、画像形成のためのイニシャル処理を開始する。S302において、エンジンコントローラ41は、転写ベルト基準信号10を受信したか否かを判定する。転写ベルト基準信号10は、転写ベルト110がプリント制御に応じた定常速に到達すると出力される。転写ベルト基準信号10を受信すると、S303において、タイマ1が計時を開始する。その後、S304において、プリンタ制御部42は、イニシャル処理が終了したか否かを判定し、終了している場合にはS305に進む。
【0060】
次に、S305において、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信から計時している経過時間T1をメモリ17に記憶する。さらに、S305と同時に、S306において、補正BD出力ブロック7は、セレクタ56によって送信された位相制御開始指示信号8を基準に補正BD信号13の出力を開始する。これにより、スキャナ位相制御ブロック3は、レーザスキャナユニット100から送信されるBD信号11と上記補正BD信号13との受信タイミングが一致するようにスキャナモータの回転位相の補正を開始する。
【0061】
次に、S307において、スキャナ制御部30は、タイマ1とメモリ17とを用いて、予め記憶されたスキャナ位相補正が完了するまでの時間T5が経過したか否かを判定する。時間T5が経過すると、S308に進み、コンパレータ9bは、画像出力許可信号15を画像コントローラ40へ送信する。
【0062】
S309において、エンジンコントローラ41は、全色の画像形成が開始されたか否かを判定する。ここで、全色の画像形成の開始が完了している場合は処理を終了する。一方、何れかの色の画像形成の開始指示が未完了の場合には転写ベルト110の基準位置の検出が再度行なわれる。その後、S310乃至S312の処理が行なわれる。
【0063】
S310において、エンジンコントローラ41は、転写ベルト基準信号10を受信したか否かを判定し、受信すると処理をS311に進める。S311において、タイマ1は、これまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する。その後、S312において、スキャナ制御部30は、タイマ1のカウンタ値18が経過時間T1と色ずれ補正時間T6の合計時間に到達したか否かを判定し、到達すると処理をS306に戻し、次色についての処理を開始する。これにより、補正BD出力ブロック7は、次色用の補正BD信号を出力する。以降、Y色の制御と同様に所定時間T5の経過後、画像出力許可信号15が画像コントローラ40に対して送信され、画像処理が実行される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置2000は、色ずれ検出パターンを転写ベルト110に形成し、形成された色ずれ検出パターンを検出し、これを対応する色の待機時間T1に反映させる。これにより、図7Aで計時されたT1と、基準色に対する各測定色の色ずれ量とに基づき、各測定色の画像データに従う半導体レーザ29による光ビームの射出が行われる。従って、より副走査方向の色ずれが低減された画像形成が可能となる。
【0065】
また、上述では色ずれに関連した説明を行ってきたが、これは第1の実施形態に対しても適用できる。例えば、図6のフローチャートのS215、S219、S223の夫々において、カウントする経過時間T1に対応する色の色ずれ量を反映させれば良い。或いは、T5の時間の長さがスキャナモータの位相制御に要する時間に対して若干の余裕があれば、S208において、現在着目している色(測定色)の色ずれ量を反映させても良い。
<第3の実施形態>
次に、図12を参照して、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、1つの感光体ドラムに対し複数の現像器が各自当接離間を行うポジションを持つプリンタ構成である点が上記実施形態と異なる。なお、本実施形態に係るレーザスキャナユニットの構成と、スキャナ制御方法は上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
112Y、112M、112C、112Kは、トナーを格納する現像器であり、図12に示すように、それぞれが感光体ドラム111に対し、独自の当接離間ポジションを有している。つまり、各現像器112は、感光体ドラム111の近傍に沿って独立して配置される。他の構成については上記実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態の画像形成装置3000においても、各色の転写ベルト基準信号10の受信からイニシャル完了信号5までの時間を計時し、それらの計測結果に応じてスキャナ位相補正を行うタイミングをそれぞれ制御する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置3000は、画像揺らぎを発生させることなくスキャナ位相補正を実施することができ、プリント画像に関する副走査方向の色ずれを低減することができる。
【0067】
また、上述において、図1、図7に関連する説明では、補正BD信号に基づきスキャナの回転位相を補正する例を説明してきたが、その形態には限定されず、例えば、図1、図7からスキャナ回転位相の補正を省略し、変形実施しても良い。この場合には、図1、図7において、転写ベルト基準信号10が検出されてから所定の準備動作が終了するまでの時間T1の待機をもって、画像データの出力開始を指示する(画像書き出し信号を出力する)。こうすることで、最大1主走査ライン間隔相当の色ずれが発生する虞はあるものの、第1及び第2の実施形態と同様に、ロータリ方式等の画像形成装置において、画像形成のスループットを向上させることができるという効果を得ることができる。
【0068】
また、一応、述べておくと、図7においてスキャナ回転位相の補正を省略した場合、まず、T1の計測については図7と同様である。そして、各測定色に対応する転写ベルト基準信号10が出力されると、事前に計時された時間T1と検出された色ずれ量とに基づく時間分(T1_M、T1_C、T1_K)の待機が行われ、画像データに応じた光照射が行われる。
【0069】
また、上述のスキャナ回転位相の補正を省略した変形実施においては、半導体レーザ29、ポリゴンミラー(回転多面鏡)20を用いた画像形成装置に限定されない。例えば、感光体ドラム111の回転軸方向に沿って複数の発光素子(LED)が配置された発光アレイを備え、当該発光アレイにより照射された光により感光体ドラム111上に静電潜像を形成させても良い。この場合でも、第1及び第2の実施形態と同様に、ロータリ方式等の画像形成装置において、画像形成のスループットを向上させることができるという効果を得ることができる。また、前述の発光アレイに替わり、感光体ドラム111のトナー像担持面の裏面で、トナー現像を行う現像器112と対向する位置に、感光体ドラム111の回転軸方向に沿って複数の電極アレイを備え、当該電極アレイにより印加された電圧により生じる静電界により、感光体ドラム111上に静電潜像及びトナー現像を同時に行う構成でも良い。この場合でも、第1及び第2の実施形態と同様に、ロータリ方式等の画像形成装置において、画像形成のスループットを向上させることができるという効果を得ることができる。またこれらのことは、以下の各実施形態についても同様である。
【0070】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、画像形成の生産性を向上させるべく、転写ベルト110が一周回転する時間より短い時間が経過したときに2ページ目の画像形成を行う場合について説明する。ここでは、上述の実施形態と異なる部分を中心に説明を行う。
【0071】
<プリンタ制御部42の構成>
図13を参照して、本実施形態に係るプリンタ制御部42の構成について説明する。なお、ここでは、第1の実施形態に係るプリンタ制御部42と異なる構成についてのみ説明する。
【0072】
本実施形態では、プリンタ制御部42はタイマ2及び比較部43を備える。タイマ2は、スキャナ制御部30から画像形成出力許可信号15を入力する。続いて、タイマ2は、経過時間をゼロにリセットすると同時に計時を開始し、カウント時間T2を比較部43に入力する。
【0073】
比較部43は、入力された画像形成出力許可信号15が4色目であり、タイマ2から入力されたカウント時間T2の時間(カウント値)が所定時間の経過を示すタイミングで、スキャナ制御部30に対してイニシャル完了信号5を通知する。ここで、所定時間とは、用紙サイズをプロセス時間で割った時間と、潜像形成に要する時間に次の現像色への回転時間を加え更に位相制御時間T5を引いた時間を示す。なお、タイマ2の初期カウント値は、転写ベルト基準信号10の受信間隔より大きな値が予め記憶されている。
【0074】
<スキャナ制御>
次に、図14を参照して、本実施形態におけるスキャナ制御の処理手順について説明する。なお、以下で説明する処理は、エンジンコントローラ41によって制御される。
【0075】
S401において、エンジンコントローラ41は、画像コントローラ40を介してプリント要求3を受信する。続いて、S402において、エンジンコントローラ41のプリンタ制御部42は、画像形成のためのイニシャル処理を開始する。S403において、エンジンコントローラ41は、タイマ1起動処理を実施する。なお、タイマ1起動処理は、メイン処理プログラムとは異なるプログラムであり、エンジンコントローラ41は、メイン処理プログラム及びタイマ1起動処理プログラムを交互に処理することにより、メイン処理と同時並行で起動処理を実行する。あるいは、タイマ1起動処理プログラムのS503は転写ベルト基準信号10受信時に実施される割り込み処理としても良い。
【0076】
エンジンコントローラ41はタイマ1起動処理を実施すると、S501においてタイマ1を起動する。S502においてタイマ1終了要求を確認し、終了要求が要求されている場合は、タイマ1起動処理を終了する。次いで、S503において、エンジンコントローラ41は、転写ベルト基準信号10を受信したか否かを判定する。転写ベルト基準信号10は、転写ベルト110がプリント制御に応じた定常速に到達すると出力される。転写ベルト基準信号10を受信すると、S504において、タイマ1はリセットされ計時を開始する。その後、S404において、プリンタ制御部42は、イニシャル処理が終了したか否かを判定し、終了している場合にはS405に進む。
【0077】
次に、S405において、プリンタ制御部42は、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信から計時している経過時間T1をメモリ17に記憶し、転写ベルト基準信号を受信してからの待機時間を補正する。次に、S406において、プリンタ制御部42は、スキャナ制御部30対してイニシャル完了信号5を通知し、さらに、セレクタ56が、スキャナ位相制御ブロック3に対し、位相制御開始指示信号8を送信する。
【0078】
次に、S407において、スキャナ制御部30は、タイマ1とメモリ17とを用いて、予め記憶されたスキャナ位相補正が完了するまでの時間T5が経過したか否かを判定する。なお時間T5が経過する間、スキャナ位相制御ブロック3によって、レーザスキャナユニット100から送信されるBD信号11と補正BD信号13Yとの受信タイミングが一致するようにスキャナモータの回転位相が補正される。S407で時間T5が経過したと判定されると、S408に進み、コンパレータ9bは、1色目用の画像出力許可信号15を画像コントローラ40へ送信する。
【0079】
S409において、エンジンコントローラ41は、直前の画像出力許可信号がブラック、即ち4色目(最終色)に対する送信か否かを判定する。ブラックの画像出力許可信号を送信している場合は、S410へ進む。一方、全色分の画像出力許可信号を送信していない場合は、S413へ進む。
【0080】
S413において、プリンタ制御部42は、2色目以降の画像出力許可信号送信タイミングの同期を取るため、S405にて記憶した時間と一致したか否かを判定する。S406において、記憶した時間と一致した場合、プリンタ制御部42は、スキャナ制御部30に対してイニシャル完了信号5を通知し、さらに、セレクタ56が、スキャナ位相制御ブロック3に対し、位相制御開始指示信号8を送信する。また、3色目および4色目の画像出力許可信号15を画像コントローラ40へ送信する処理は、2色目と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
S410において、エンジンコントローラ41は、全頁分の画像形成が開始されたか否かを判定する。ここで、全頁の画像出力許可信号15を画像コントローラ40へ送信している場合は、S411へ進む。一方、全色分の画像出力許可信号を送信していない場合は、S414へ進む。
【0082】
S411において、エンジンコントローラ41は、タイマ2を起動する。次いで、S412において、エンジンコントローラ41は、タイマ2の値が、次の画像形成が可能となる所定値(T2)に達したか否かを判定する。この所定値は予めエンジンコントローラ41(プリンタ制御部42)が参照可能な形態でメモリ17に記憶されているものとする。
【0083】
ここで、所定値は、用紙サイズ毎(B5サイズ、A4サイズ、リーガルサイズ等)に対応している。例えば、転写ベルト110の回転方向長さ(移動方向長さ)が、リーガルサイズの長辺方向長さを最大サイズとして設計されている。この例の場合、A4サイズなどの場合に対して、リーガルサイズに対応するT2よりも小さい値のT2が設定されている。そして、T2の値は、T2+T5の時間が経過したときに、ブラックの画像データに従う1ページ分の半導体レーザ29の発光制御(レーザ走査制御)を行う最大時間、及び次色の現像器112Yの一次転写位置までの移動を確保できるように設定されている。従って、回転式現像器保持ユニット113を回転移動速度が速い場合にはT2をより短い値に設定できる。またスキャナモータの位相制御を省略した場合などにも短い値に設定できる。なお、リーガルサイズの画像形成の場合において転写ベルト110が1周しないうちに上記条件を満たし、次のYellow用画像書き出し信号を出力できる場合には、全ての用紙サイズにおいてリーガルサイズのときのT2値を採用しても一定の効果が得られる。
【0084】
S412において、エンジンコントローラ41が、タイマ2が所定時間の値を上回ったと判定した場合、エンジンコントローラ41は、処理をS405へ移行する。S405でプリンタ制御部42は、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信から計時している経過時間を再度メモリ17に記憶する。次に、S406において、プリンタ制御部42は、スキャナ制御部30対してイニシャル完了信号5を通知し、さらに、セレクタ56が、スキャナ位相制御ブロック3に対し、位相制御開始指示信号8を送信する。
【0085】
このS412からS405へ移行する処理により、以下のことが可能となる。即ち、現在最終色(ブラック)の画像形成を行っているページの次ページのイエロー(最初の色)の画像形成について、最終色のページの画像形成を開始してから回転体である転写ベルト110が1回転する前に、次ページの最初の色の画像形成を実行できる。
【0086】
<スキャナ制御のタイミングチャート>
次に、図14および図15を参照して、本実施形態におけるレーザスキャナ制御を行った際の各信号のタイミングについて説明する。なお、詳細な状況として、3色目(シアン)までの画像形成制御は省略し、4色目の最終色(ブラック)、及び次の記録紙用の1色目(最初の色のイエロー)の状況について説明する。
【0087】
ブラック画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT201で受信すると、タイマ1はこれまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する(S503およびS504)。
【0088】
これと同時に、補正BD出力ブロック7は、ブラック用の補正BD信号13Kをクリアし、転写ベルト基準信号10の受信を基準とした補正BD信号を出力する。タイマ1の計時時間が時間T1と一致すると(S413でYES)、スキャナ位相制御ブロック3は、ブラック用の補正BD信号13KとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する(S406)。
【0089】
その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、タイミングT202において画像コントローラ40に対してブラック(最終色)の画像データの出力開始を指示する(S408)。これと同時に、エンジンコントローラ41はプリンタ制御部42にブラックの画像形成を開始したことを通知し、さらにタイマ2の計時を開始する(S411)。
【0090】
その後、次の記録紙用のイエロー画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT203で受信すると、タイマ1は、これまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する。
【0091】
その後、タイマ2の計時時間T2が経過したタイミングT204において、プリンタ制御部42からイニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信される(S412)。
【0092】
イニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信されると、スキャナ制御部30は、タイミングT203からタイミングT204までの経過時間をT1’としてメモリ17に記憶すると同時に(S405)、位相制御開始指示信号8をスキャナ位相制御ブロック3に送信する(S406)。これにより、スキャナ位相制御ブロック3は、Y色用の補正BD信号13YとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する。
【0093】
その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると(S407でYES)、スキャナ制御部30は、タイミングT205において画像コントローラ40に対してイエロー(次ページの最初の色)の画像データの出力開始を指示する。以後のマゼンタ、シアン及びブラックに対する補正BD信号の出力制御、スキャナ位相補正の開始制御、及び画像データ出力開始制御については、イエローと同様の制御が行なわれる。
【0094】
ここで、イニシャル完了信号5と転写ベルト基準信号10との関係について詳細に説明する。プリント開始後のイニシャル完了信号5のタイミングは、転写ベルト基準信号10のタイミングに対し非同期の関係にある。さらに、次のイニシャル完了信号5のタイミングは、画像形成時間に影響を受けるため、転写ベルト基準信号10を起点とした場合のスキャナ位相補正開始は常に一定とはならない。その結果、それまでに記憶した時間T1と、上記T203とT204との時間T1’は異なるものとなり、さらに、T1に比してT1’のほうが短い場合は、転写ベルト110の1周に同期せずに画像形成を継続し得ることになる。紙間を詰めることができ、結果、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0095】
<別のスキャナ制御のタイミングチャート>
次に、図14および図16を参照して、第4の実施形態におけるレーザスキャナ制御を行った際の各信号のタイミングについて説明する。なお、図16の詳細な状況として、4色目(ブラック)および次の記録紙用の1色目(イエロー)の起点となる転写ベルト基準信号が同一となる場合について説明する。
【0096】
ブラック画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT301で受信すると、タイマ1はこれまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する(S503およびS504)。
【0097】
これと同時に、補正BD出力ブロック7は、ブラック用の補正BD信号13Kをクリアし、転写ベルト基準信号10の受信を基準とした補正BD信号を出力する。タイマ1の計時時間が時間T1と一致すると(S413でYES)、スキャナ位相制御ブロック3は、ブラック用の補正BD信号13KとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する(S406)。
【0098】
その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、タイミングT302において画像コントローラ40に対してブラックの画像データの出力開始を指示する(S408)。これと同時に、エンジンコントローラ41はプリンタ制御部42にブラックの画像形成を開始したことを通知し、さらにタイマ2の計時を開始する(S411)。
【0099】
その後、タイマ2の計時時間T2’が経過したタイミング、すなわち、転写ベルト基準信号10よりも前のタイミングT303において、プリンタ制御部42からイニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信される(S412)。
【0100】
イニシャル完了信号5がスキャナ制御部30に送信されると、スキャナ制御部30は、タイミングT302からタイミングT303までの経過時間をT1’としてメモリ17に記憶すると同時に(S405)、位相制御開始指示信号8をスキャナ位相制御ブロック3に送信する(S406)。この図16の場合は、転写ベルト110が1周(タイミングT301のBlack用基準信号が検知されてから次の基準信号が検知されるまでの時間が経過)する前に、タイマ値T2が所定値に達した場合に相当する。ここでは、図14のタイマ起動処理のS503でYESと判定されずタイマ1が再起動していないのでT1’の値が図15の場合と比べて大きくなる。また、ここで記憶したタイマ1の経過時間T1’は、新たな転写ベルト基準信号10を受信していないことから、ブラックの基準信号T301とイエローの基準信号は一致することとなる。この判断はエンジンコントローラ41により行われる。
【0101】
その後、エンジンコントローラ41は、画像書き出し基準となる転写ベルト基準信号10をタイミングT304で受信すると、マゼンタの基準信号として扱うとともに、これまでの計時時間をクリアし、再度、計時を開始する(S502からS504)。その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると(S407でYES)、スキャナ制御部30は、タイミングT305において画像コントローラ40に対してイエローの画像データの出力開始を指示する。
【0102】
以後のマゼンタ、シアン及びブラックに対する補正BD信号の出力制御、スキャナ位相補正の開始制御、及び画像データ出力開始制御については、イエローと同様の制御が行なわれる。ここで、図16には不図示の、タイミングT304以降にあるマゼンタ画像書き出し信号出力タイミングについて説明する。タイマ1の計時時間が時間T1’と一致すると(S413でYES)、スキャナ位相制御ブロック3は、マゼンタ用の補正BD信号13KとBD信号11からスキャナの位相補正を開始する(S406)。その後、スキャナ位相補正完了時間T5が経過すると、スキャナ制御部30は、画像コントローラ40に対してマゼンタの画像データの出力開始を指示する(S408)。これと同時に、エンジンコントローラ41はプリンタ制御部42にマゼンタの画像形成を開始したことを通知する。また次のシアン以降においても同様の処理が行われる。
【0103】
以上説明したように、複数の記録紙に対して連続してフルカラーの画像形成を行う場合において、イエロー画像形成時のタイマ1の値を記憶しなおすことで、転写ベルト110の1周に同期せずに画像形成を継続し得ることが可能となる。紙間を詰めることができ、結果、画像形成装置の生産性を向上させることができる。
【0104】
また、本実施例では、スキャナ位相補正の実施を含めた説明としたが、スキャナ位相補正を実施しない画像形成装置にも適用可能である。この場合、S412において、エンジンコントローラ41は、タイマ2が上記の所定時間を上回ったと判定した場合、処理をS405へ移行する。S405でプリンタ制御部42は、タイマ1が転写ベルト基準信号10の受信から計時している経過時間T1’を再度メモリ17に記憶する(S405)。次に、位相制御開始指示信号8の送信及びスキャナ位相補正完了時間T5の経過待ちを行わず、スキャナ制御部30は、画像コントローラ40に対してイエローの画像データの出力開始を指示する(S408)。その結果、イエローの画像データ出力開始タイミングが時間T5分の経過待ちが省略された形となり、また、以後のマゼンタ、シアン及びブラックに対する画像データ出力開始制御においても、イエローと同様に時間T5分の経過待ちが省略された形で処理が行われる。
【0105】
<変形例>
さらに、本実施例のフローは、イニシャル処理終了後に転写ベルト110の基準位置を検出し、次いで、転写ベルト110の基準位置検出から所定時間後に画像形成を開始する画像形成装置にも適用可能である。具体的に説明すると、S404において、プリンタ制御部42は、イニシャル処理が終了したか否かを判定する。このときすでにタイマ1起動処理は開始されている。そして、プリンタ制御部42が終了していると判定された場合、プリンタ制御部42は引き続き転写ベルト110の基準位置検出が行われたか否かを判定する(図14には不図示)。そして転写ベルト110の基準位置検出が行われたとプリンタ制御部42により判定された場合に、S405に処理を以降させればよい。これにより、S405に進んだ時点でのタイマ1の経過時間およびS405で記憶した経過時間ゼロの状況になっており、イエローの位相制御開始指示8を送信する。また、マゼンタ以降は、転写ベルト110の基準位置検出をするたびに位相制御開始指示8の送信を行うこととなる。そして、以後、上述に説明した図14のフローチャートを実行すれば、第4の実施形態と同様の効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
画像形成に用いられる回転体であって、画像形成の為の基準位置を示すマークが形成された回転体を含む画像形成手段と、
回転する前記回転体の前記マークを検出して基準信号を出力する検出手段と、
前記基準信号が出力された後に画像形成が可能になったことに応じて前記画像形成手段に画像形成を行わせる制御手段と、
更に、前記基準信号が出力された後に、画像形成が可能になるまでの時間を計時する計時手段と、を備え、
前記制御手段は、次の前記基準信号が出力されると、前記計時手段により計時された時間に基づく待機の後に、前記画像形成手段に次色の画像形成を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、光照射手段と、前記光照射手段により照射された光によって静電潜像が形成される単一の像担持体と、夫々が異なる色の現像剤を保持し、前記静電潜像に現像剤を付着させる複数の現像手段と、各現像手段によって前記単一の像担持体上に現像された現像剤像が転写され且つ基準位置を示すマークが形成された前記回転体としての中間転写体とを含み、
前記制御手段は、画像形成が可能になったことに応じて、前記光照射手段に、画像データに従う光照射を行わせ
更に前記制御手段は、次の前記基準信号が出力されると、前記計時手段により計時された時間に基づく待機の後に、次の現像色の画像データに従う光照射を前記光照射手段に行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成に係わる所定の準備動作を実行する初期動作手段をさらに備え、
前記計時手段は、前記所定の準備動作が終了するまでの時間を、前記画像形成が可能になるまでの時間として計時することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光照射手段は光ビームを射出し、
主走査同期信号に同期して、前記光照射手段により射出される画像データに基づく光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、
画像形成に係わる準備動作を実行する初期動作手段と、
前記初期動作手段による所定の準備動作を完了した後に、1つ目の現像色における前記基準信号に対する前記主走査同期信号の位相を、前記回転多面鏡の回転位相を制御することで補正する補正手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、次の現像色の前記基準信号が出力されると、前記計時手段により前記画像形成が可能になるまでの時間として計時された主走査同期信号の位相補正が終了するまでの時間に基づく待機をすることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転多面鏡により走査される前記光ビームを検出することに応じて、前記光ビームの射出を開始するための同期信号を出力する同期信号出力手段をさらに備え、
前記補正手段は、
前記基準信号が出力されたタイミングを基準に、かつ、予め定められた周期で前記同期信号を補正するための補正信号を出力し、
前記同期信号と前記補正信号との出力タイミングが一致するように前記回転位相を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記補正信号を出力する複数の出力部を含み、複数の現像色間で前記出力部が共用されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転多面鏡により走査される前記光ビームを検出することに応じて、前記光ビームの射出を開始するための同期信号を出力する同期信号出力手段をさらに備え、
前記計時手段は、前記基準信号が出力されてから前記準備動作が完了するまでの時間を計時し、
前記補正手段は、
前記計時された前記基準信号が出力されてから前記準備動作が完了するまでの時間が経過したタイミングを基準に、且つ、予め定められた周期で前記同期信号を補正するための補正信号を出力し、
前記同期信号と前記補正信号との出力タイミングが一致するように前記回転位相を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
各現像色の形成位置のずれを検出するための色ずれ検出パターンを形成するパターン形成手段と、
前記中間転写体に形成された前記色ずれ検出パターンを検出するパターン検出手段と、をさらに備え、
前記補正手段は、
測定色の現像色に対する前記補正信号の出力において、現像色ごとに対応する前記基準信号が出力されてから、前記計時手段によって計時された時間と、当該現像色に対応する前記パターン検出手段の検出結果から得られる基準に対する色ずれ量と、に基づき、該現像色に対応する補正信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
各現像色の形成位置のずれを検出するための色ずれ検出パターンを形成するパターン形成手段と、
前記中間転写体に形成された基準色の色ずれ検出パターンに対する測定色の色ずれ検出パターンの色ずれ量を検出する色ずれ検出手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、測定色に対応する前記基準信号が出力された場合に、前記計時手段により計時された時間と、前記検出された色ずれ量と、に基づき、前記測定色の画像データに従う光照射を前記光照射手段に行わせることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記光照射手段は、前記単一の像担持体の回転軸方向に沿って複数の発光素子が配置された発光アレイであることを特徴とする請求項2乃至9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の現像手段のぞれぞれは、前記像担持体に沿って配置されることを特徴とする請求項2乃至10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、現在最終色の画像形成を行っているページの次ページの最初の色の画像形成について、前記最終色のページの画像形成を開始してから前記回転体が1回転する前に、前記次ページの最初の色の画像形成を前記画像形成手段に行わせるとともに、前記計時された時間を補正することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−133861(P2011−133861A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246745(P2010−246745)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】