画像形成装置
【課題】 転写効率に優れ、クリーナレスプロセスにも適用可能なちりの少ない高精細な画像を形成し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】 トナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下にする。
【解決手段】 トナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電印刷法、磁気記録法等における静電荷像、磁気潜像を現像するための画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で感光体上のトナー像の転写効率を向上させるために感光体や搬送媒体に対するトナーの付着力を制御する方法が知られている。
【0003】
付着力の制御を利用した画像形成方法として、トナー及び像担持体間の付着力と、トナーの平均粒径と、トナーの帯電量との関係を限定した画像形成方法がある。ここでは、遠心分離装置を用いて、トナーが、このトナーが付着された搬送媒体から分離したときの遠心力から、付着力を算出する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この技術とは別に、遠心分離方式を用い、ある圧力でトナーを像担持体表面に押し付けた後に測定されたトナー付着力分布の平均値をFとし、標準偏差をσとした場合に、F/2σ>10であるトナーを用いる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、この付着力分布は非常に狭い範囲であり、例えば平均付着力6×10−8Nのとき、標準偏差σは0.3×10−8以下にしなければならず、非常に製造が困難であった。また、平均付着力を増大させればある程度分布を広い範囲にできるが、あまり付着力を高くすると、それを転写させるために必要な転写電界もまた非常に大きくなり、気中放電の危険性があった。また、この測定方法では、転写圧力を再現するため付着力測定前にトナーを記録材に押し付ける工程を用いているが、この方法を用いると、転写ニップに突入する直前に弱い転写電界を受けて像担持体から分離する付着力の弱いトナーの挙動を把握することが出来なかった。更にまた、この技術では、平均付着力から大きくかけ離れた値を持つトナーの粒子が少量存在する場合が含まれている。付着力の大きな粒子は転写後のトナー残留の要因になり、付着力の小さな粒子は画像周辺のトナー飛び散りの要因となるため、この技術を用いても転写効率及び画像品質に問題があった。
【0006】
残留トナーを現像と同時に回収する機構を備えたクリーナレスプロセスにおいては、転写後の残留トナーが発生した場合、そのまま後続の帯電工程、潜像形成工程を経た後、新たな画像部の現像と同時に非画像部の残留トナーが現像器に回収される。そのため、残転写トナー量が多いと、潜像を形成するための光源を遮蔽したり、現像器への回収が不十分となり、不所望な再転写が発生するなど、画像欠陥の原因となる。
【0007】
また、タンデム構成のカラー画像形成装置の場合、像担持体から例えば中間転写媒体に転写されたトナーが、後段の像担持体の転写領域において転写電界を受け/及びこの後段の像担持体に圧着されて、逆転写されてしまうことがある。クリーナレスプロセスで、この逆転写されたトナーが現像器に回収されると、前段の現像ステーションの色のトナーが後段の現像器内に混入することになり、混入量が増せば出力画像の色管理が不可能になる。転写効率と逆転写効率は相反する性能である場合が多い。このため、逆転写による混色で回復不可能な状態に陥ることを防ぐため、転写性能をある程度犠牲にしても逆転写を防ぐ転写条件を採用しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−328484号公報
【特許文献2】特開2004−101753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、転写効率に優れ、クリーナレスプロセスにも適用可能なちりの少ない高精細な画像を形成し得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体、静電潜像に複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、及び像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である。
【0011】
本発明の第2の観点に係る画像形成装置は、 複数の像担持体と、各担持体に形成された各静電潜像に異なる色のトナー粒子を各々供給し、該トナー粒子を各々該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に異なる色の現像剤像を各々形成するための複数の現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明を用いると、転写効率に優れ、クリーナレスプロセスに適したちりの少ない高精細な画像を形成し得る画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】トナー電荷量対付着力の一例を表すグラフ
【図2】アングルローターの外観を表す図
【図3】図2の回転軸に沿った断面を部分的に表す縦断面図
【図4】アングルローター内に試料を設置するためのセルの構成を表す分解図
【図5】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図6】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図7】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図8】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図9】本発明に用いられる第1の付着力分布の一例を表すグラフ
【図10】バイヤス電圧と残留トナー量との関係を表すグラフ図
【図11】残留トナー量とネガメモリーとの関係を表すグラフ
【図12】弱い付着力を持つトナーの割合とチリの度合いとの関係を表すグラフ
【図13】弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量との関係を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の8つの観点に大別される。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、基本的に、像担持体、静電潜像に複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、及び現像剤像を記録材に転写するための転写部を含む構成を有し、使用される各トナー粒子と像担持体表面との付着力のばらつきを、以下の第1ないし第4の付着力分布に、各々規定したものである。
【0016】
また、本発明に係る画像形成方法は、基本的に、像担持体上に形成された静電潜像に、現像部内に収容された複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、像担持体上に現像剤像を形成する現像工程、及び現像剤像を記録材に転写する転写工程を有し、使用される各トナー粒子と像担持体表面との付着力のばらつきを以下の第1ないし第4の付着力分布に、各々規定したものである。
【0017】
第1の付着力分布では、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の3重量%以下であることが規定される。
【0018】
第2の付着力分布は、現像部において、像担持体表面の転写後の残留トナーを現像と同時に現像部内に回収する機構をさらに有する場合に適用されるもので、また、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の1.5重量%以下であることが規定される。
【0019】
第3の付着力分布では、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の10重量%以下であることが規定される。
【0020】
また、第4の付着力分布は、カラー画像形成に適用され、
トナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の5重量%以下であることが規定される。
【0021】
第1の付着力分布を適用した画像形成装置及び画像形成方法による画像形成に関して、本発明者は、平均付着力の2.5倍以上の付着力を有する粒子の割合と、転写後に像担持体表面に残留する残留トナー量とが相関を有することを実験によって見出した。
【0022】
この画像形成には、像担持体上に、転写後の残留トナーを回収するための例えばゴム製ブレード等を備えたクリーニング装置を使用することができる。
【0023】
また、この画像形成には、残留トナーを現像器及びトナーホッパー等に戻すリサイクル機構を例えばこのクリーニング装置に使用することができる。
【0024】
像担持体上にこのようなクリーニング装置が設けられている場合には、残留トナーが多くても画質的に問題は無い。しかしながら、トナーと像担持体との付着力が強いと、クリーニングしにくくなるなどの問題が発生しやすいことから、あまり残留トナー量が多いことは望ましくない。また当然ながら、クリーニングされたトナーが廃却されることは、資源の無駄や印刷コスト(CPC)の上昇に繋がる。
【0025】
また、リサイクル機構が設けられている場合には、リサイクル前後のトナー特性例えば帯電量分布、流動特性等に差が生じて、リサイクル量が増えると画像劣化の原因となり得る。
【0026】
付着力が平均値の2.5倍以上で像担持体上に残留したトナーは、感光体との付着力が転写電界による静電引力よりも強い。このため、クリーニングブレード等で像担持体上から除去するためには、強い摺擦力が必要であり、ブレードめくれが生じやすく、ブレード自身が磨耗したり、像担持体表面層が削れる等の問題が発生する。また、付着力の強いトナーの粒子は、各々、非常に大きな電荷を持ち、例えば形状が不定形で、像担持体表面と面接触しており、表面に付着した外添剤が埋没もしくは離脱することにより像担持体との接触面積が増える。このように、付着力が付着力分布の平均値の2.5倍以上のトナーが残留トナーになりやすいと考えられる。
【0027】
転写工程は、記録材として、例えば中間転写体もしくは最終的な記録媒体が像担持体上のトナーに接触され、記録材の背後に電圧を供給することによって転写領域に電界を形成させ、その静電引力によってトナーを像担持体上から被転写体に移動させることができる。電界を大きくするにつれて移動量は増していくが、電界が大きくなりすぎると記録材と像担持体との剥離時に放電が発生してトナーが逆帯電し、移動できなくなる傾向がある。このため、放電が発生する前の電界によってトナーの移動が完了することが望まれる。
【0028】
付着力はF=Kq2+Fv+Fbで表され、q:トナー1粒子の電荷量、K:比例定数、Fv:ファンデルワールス力、Fb:液架橋力である。
【0029】
図1に、トナー電荷量対付着力の一例を表すグラフを示す。
【0030】
このグラフは、5.3μmの平均粒径かつ10μm以下の粒径を有するトナーについて、トナーとキャリアの混合比率を変更することにより、トナー帯電量を変化させて、それぞれの付着力を測定した結果をプロットしたものである。
【0031】
試料として用いたトナーは、環境湿度変動の影響を受けないように疎水化処理されたシリカを特に着色剤とバインダーを含有するトナー粒子の表面に添加した。
【0032】
図示するように、トナー付着力は、トナー電荷量に比例する。このトナーは、粒径が10μm以下であることから、静電力以外の力としては、液架橋力よりは、ファンデルワールス力のほうが支配的である。トナー付着力に分布があるのは、以下の要因によるものと考えられる。例えば粒径分布があること、形状が真球ではないためファンデルワールス力に分布があること、粉砕法及び重合法等のいかなる製法を用いてトナーを形成しても、粒子成分は完全均一にはならず、このためトナー表面成分にばらつきが生じ、表面電荷分布の均一性を表すとされるKにばらつきがあること、更に、粒度分布や摩擦帯電機会のばらつきにより粒子が持つ電荷量もまた分布を持つことがあげられる。
【0033】
また、電界によって、トナーが受ける静電引力はqEで表される。ここで、Eは電界の大きさである。qE>Fのときトナーは像担持体から離れて記録材側に移動すると考えられる。このため、E=Kq+(Fv+Fb)/qの電界以上で転写を行う。前述のように付着力には様々な要因による分布があるため、必要な転写電界にもまた分布があり、それを計算によって求めることは困難である。更に、転写領域のトナー付着面となる像担持体表面は曲面であるため、並行平板とは異なり、像担持体とトナーとのギャップ間隔が徐々に縮まって接触し、また徐々に広がっていく形状である。従って、トナーにかかる転写電界も、徐々に増大して最大値に達し、その後徐々に減少し得る。トナーは、転写電界から受ける静電引力が付着力より大きくなった時点で記録材に向かって移動を始める。しかし、付着力の分布が広いと、高付着力のトナーも移動させるために、高い転写電界をかける必要がある。すると低付着力のトナーはギャップが広い階段で十分な静電引力を受けて移動を開始してしまう。最も電界の強くなるギャップ最狭部の電界はパッシェン放電が開始する電界(E breakdown)未満でなければならず、またギャップ間隔があまり大きなうちにトナーが移動を開始してしまうと、トナーのチリを発生し易い。様々なサンプルで実験を行なった結果、トナーのチリを最小限に抑え、かつ最大電界部でのトナーの逆チャージを抑えつつ、97%以上の転写効率を実現するためには、全トナーの平均付着力の2.5倍以上の付着力を持つ部分トナーの重量を制御すれば良いことを見出した。
【0034】
第1の付着力分布を適用した画像形成装置及び画像形成方法によれば、付着力2.5倍以上の部分トナーの重量を3重量%にすると、残留トナー量を3重量%以下に抑え、トナーを効率よく消費し、リサイクルを行なってもホッパー内トナー特性を悪化させること無く、長期的安定に作業を行なうことが出来る。
【0035】
第2の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成では、像担持体表面の残留トナーを現像と同時に現像部内に回収する機構がさらに設けられている。この画像形成では、残留トナーは、転写後、クリーニングされること無く、後続の画像形成工程のための帯電、露光工程を経て現像領域に搬送され、次の静電潜像における非画像部に残存するトナーのみが現像装置内に回収される。このため、第2の付着力分布を用いた画像形成では、後続の例えば露光工程に残留トナーが及ぼす影響すなわち露光障害を考慮することが望ましい。この露光障害により、残留トナーが光をわずかに遮って残留トナーの無い領域の像担持体表面に比べて、ごくわずかに残留電位が高くなる。その電位の差が現像後のトナー像の濃度差となって視認可能になると、画像メモリが発生する。
【0036】
第2の付着力分布を用いた画像形成によれば、付着力分布の平均付着力の2.5倍以上の付着力を持つトナーの重量は、最大転写効率実現時の残留トナー量に相当することから、その量を1.5重量%以下にすることによって、残留トナーが次の画像に影響を及ぼし画像メモリーとして発現することを防ぐことができる。
【0037】
画像を形成させるトナーの重量は、多すぎると転写しにくくなったり、定着時の熱量不足による定着不良、トナー層表面(定着ローラとの接触部)とトナー層内部との温度勾配によるオフセットなどの原因となる可能性がある。このため、現像時に供給するトナー量は適量に設定され得る。ベタ部のトナー量は0.6mg/cm2〜0.3mg/cm2で設計し得る。最も多い0.6mg/cm2のトナー量を紙上に転写させる場合、像担持体上の残留トナーが供給されるトナーの1.5重量%であると、約10μg/cm2の量に相当する。1つの粒子状トナーを比重1.1の均一球形粒子と想定して計算すると、5μmの径を有するトナーでは像担持体表面の約3%を面積を、7μm径の径を有するトナーでは像担持体表面の約2%の面積を残留トナーが被覆することになる。この2〜3%の表面被覆率であれば帯電、露光の障害になり難く、画像メモリを発現することは無い。
【0038】
しかし、残留トナー2重量%以上で、像担持体の表面被覆率3%以上になると、画像メモリが発生し得る。このことから、残留トナー量は1.5重量%以下にすることが望ましい。
【0039】
このようなことから、第2の付着力分布を用いた画像形成では、像担持体表面の残留トナーを現像と同時に該現像部内に回収する機構をさらに有する場合に、像担持体表面に対する付着力分布において、平均付着力の2.5倍以上の付着力を有するトナーの割合を1.5重量%以下に制御することによって残留トナー量を1.5重量%以下にし得る。
【0040】
本発明の第3の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成では、付着力の弱いトナーを考慮している。
【0041】
像担持体から記録材への転写領域では、ローラ状の像担持体と記録材との間隔が徐々に減少して像担持体及びその表面に付着したトナーと記録材とが接触し、その後、その間隔は徐々に増大する。像担持体と対向して配置された記録材の背後には、転写ローラ、転写ブレード、スコロトロンチャージャ等の電圧発生装置が装備され、その印加電圧によって像担持体との間に転写電界が形成される。その電界の大きさはその間隔の変化及び転写電圧発生装置との距離によって空間分布を持っており、その電界空間に突入したトナーは像担持体との付着力よりも電界から受ける静電引力の方が大きくなった時点で像担持体を離れ、記録材に向かって移動する。トナーの付着力が一様ならば、ある電界に達した時点で一斉に移動し、転写されるけれども、トナーの粒度分布、形状の不均一性、表面成分の不均一性、及び粒子電荷の不均一性等の要因から付着力にも分布があるため、電界の大きさに応じて付着力の小さい粒子から徐々に移動を始める。付着力が小さすぎると、像担持体と記録材との間隔が広く、電界が弱いうちに、トナーが像担持体から離れてしまい、記録材への移動距離が長くなることから、像担持体上のトナー像に従って、記録材上の対向位置にトナーが付着することは難しくなる。結果としてトナーが画像周辺に散ったような画像となり、画質が低下する。そのため、平均付着力に対して弱い付着力を持ったトナーの割合が少ないことが望ましい。
【0042】
本発明の第3の付着力分布を用いた画像形成によれば、像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合をトナー粒子全重量の10重量%以下にすることにより、トナーのチリが目立たない高画質な画像が得られる。
【0043】
本発明の第4の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成には、カラー画像を形成するための複数の現像部と各現像部に収容される互いに色の異なるトナーが用いられる。
【0044】
例えば異なる色のトナーによる画像をそれぞれの像担持体上で形成する画像形成ユニットを二つ以上有するタンデム構造のカラー画像形成方式においては、第1の画像形成ユニットにより像担持体上に形成された第1のトナー画像は、第1の転写領域で記録材に転写される。その後、第1のトナー画像が転写された記録材は、第2の画像形成ユニットの第2の転写領域に搬送され、第2の画像形成ユニットにより像担持体上に形成された第2のトナー画像が、記録材上の未定着の第1のトナー像の上から重ねて転写される。このサイクルが使用される画像形成ユニットの数だけ繰り返されて記録材上に色数分のトナー画像が積層され、直接転写方式の場合はそのまま、中間転写方式の場合は中間転写媒体から紙等の記録材へさらに転写を行い、定着され、最終的な画像が得られる。
【0045】
第2の画像形成ユニット及びその後段の画像形成ユニットの各転写領域では、転写電界によって当該画像形成ユニットのトナーが記録材へ転写されると同時に、記録材上に既に転写された前段の画像形成ユニットのトナーが、当該像担持体上へ逆転写される現象が発生する場合がある。逆転写が発生すると、記録材上のトナー像の画像濃度を薄くしたり、細線上のトナーが欠損して鮮鋭度が悪くなったりといった画像欠陥が生じる。特に、像担持体上の転写部の後段にクリーニング機構を設けず、現像部によって現像同時回収を行うクリーナレスプロセスにおいては、逆転写してきた前段のトナーを残留トナーと同時に回収してしまうため、その量が多いと現像器内の異色トナー割合が増えて色合いが変わってしまい、出力画像の色の調整が不可能になる。そのため、カラー画像形成装置では、逆転写量は極力少なくすることを考慮することがが望まれる。一般に、転写効率と逆転写効率の間には相反する特性があり、転写効率が高くなる転写条件では逆転写が多く、逆転写が少なくなる転写条件では転写効率が低くなるという問題が起こりやすい。特に、弱い付着力のトナーはその電荷量も小さい。そのため、転写電界の力で移動されやすく、像担持体から離れやすく転写されやすいが、逆に記録材からも離れやすく、逆転写しやすい。
【0046】
本発明者は、平均付着力の20%以下のトナーの量が逆転写量と相関があることを見出し、これを制御することにより、転写効率と逆転写効率を最適化することを試みた。
【0047】
本発明の第4の付着力分布を用いた画像形成によれば、トナーと像担持体との付着力分布において、平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合を5重量%以下にすることにより、転写効率を高くする転写条件であっても逆転写率を低く抑えることを可能とした。また、これにより、逆転写率を2%以下に抑え、上記クリーナレスプロセスを適用しても、混色による色変化の不具合を防止することができる。
【0048】
なお、上記第1の付着力分布及び第2の付着力分布の規定に、各々第3の付着力分布の規定を加えることにより、双方の利点が得られる。同様に、第4の付着力分布の規定に、上記第1の付着力分布または第2の付着力分布の規定を加えることにより、双方の利点が得られる。
【0049】
本発明で使用される付着力の測定は、例えば分離用超遠心器 日立工機製 CP100MXに、アングルローター 日立工機製 P100AT2を取り付けて行うことができる。
【0050】
図2に、アングルローターの外観を表す図、図3に、その回転軸に沿った断面を部分的に表す縦断面図、及び図4に、アングルローター内に試料を設置するためのセルの構成を表す分解図を各々示す。
【0051】
図2及び図3に示すように、このアングルローター10は、基台2上に設置された円錐状の回転体4内に、回転軸1に対しその中心軸が26°の角度で傾斜した竪穴状のセル保持部9が設けられている。このセル保持部9内には、セル3を収容して固定し得る。セル3内には試料を収容して分離するための試料入れ5を設置し得る。
【0052】
試料入れ5は、円筒形のスペーサ7と、その一端に設けられた円盤状の試料設置板6と、その他端に設けられ、分離された試料を受ける試料受け板8とから構成され、セル3内において、試料受け板8が回転中心から遠い位置に、試料設置板6が回転中心から近い位置になるように設置される。
【0053】
まず、感光体と同等の表面保護層を表面に積層した感光体シートを作成する。付着力を測定するためには表面保護層が同等である必要があるが、表面保護層の化学的組成の違いによる付着力の差は小さいと考えられるため、必ずしも同組成である必要はない。感光体へのトナー付着を再現するためにCGL層、CTL層が感光体と同様に積層されたものを用いることができる。このシートをアルミ素管に巻きつけて感光層をGNDに接地し、感光体ドラム位置にセットして、トナーをシート表面に現像し、付着させる。
【0054】
トナーを付着させた感光体シートを試料受け板8の大きさにカットし、スペーサー7と接する側に両面テープで貼り付ける。
【0055】
試料設置板6、試料受け板8、スペーサ7の外周直径は例えば7mm、円筒形であるスペーサの厚みは例えば1mm、高さは例えば3mmである。アングルロータに設置した場合のセル3の回転の最小径Rminは例えば3.56cm、最大径Rmaxは例えば7.18cm、平均径Ravは例えば5.37cmである。
【0056】
試料設置板6の試料を貼り付けた側の裏側が回転中心を向くように、試料入れ5をセル3内に設置し、セル3をアングルロータ10のセル保持部9内にセットし、アングルロータ10を図示しない超遠心機に装着する。
超遠心機を例えば10000rpmで回転させたあと試料設置板6、試料受け板8を取り出し、それぞれに付着しているトナーをメンディングテープで剥離し、白紙に貼り付ける。このトナーが付着したテープの反射濃度をMacbeth濃度計にて測定する。
この濃度から分離したトナー量、及び分離しなかったトナー量を算出する。
また、超遠心機の回転数を100000rpmまで適当な間隔で、同様の操作を繰り返す。
【0057】
セル中に設置された試料がロータの回転によって受ける遠心加速度RCFは、
RCF=1.118×10−5×r×N2×g …(1)
r:サンプルセット位置の回転中心からの距離
N2:回転速度(rpm)
g:重力加速度
トナーが受ける遠心力は、トナー1粒の重さがmのとき、
F=RCF×m …(2)
m=(4/3)π×r3×ρ …(3)
r:真球相当半径
ρ:トナーの比重
で表される。
【0058】
各回転数のときトナーにかかる遠心力F=RCF×m …(2) に、 本発明では、夫々の回転数での分離トナー比率を掛け、すべて足したものをその現像剤におけるトナーと感光体との平均付着力とする。
なお、付着力にはトナーの帯電量が大きく影響するため、精度良く測定するためには実際のプロセスに即した付着のさせ方で測定サンプルを作成することが望ましい。
【0059】
本発明に使用される現像剤は、着色剤及びバインダー樹脂を含有するトナー粒子、及び必要に応じてトナー粒子表面に添加される添加剤を含有するトナーを含む。二成分現像剤の場合は、このトナーとキャリアが混合される。
【0060】
バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等を使用することができる。
【0061】
着色剤としては、カーボンブラック、縮合多環系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、無機顔料等公知の顔料、染料等を使用することができる。
【0062】
定着補助剤としてワックスを、また、帯電制御剤(CCA)などを例えばトナー粒子中に添加することができる。また、流動性を改善するために、トナー粒子表面に、添加剤として、例えばシリカ等の無機微粒子を添加することができる。
【0063】
トナー粒子は、粉砕法、及び重合法等の既知の製造方法にて製造することができる。
【0064】
本発明に使用する現像剤は、付着力分布を合わせる為、微粉及び粗大粉をカットして粒度分布をシャープに揃えることが望ましい。
【0065】
現像剤の体積平均粒径は4〜7μmであることが好ましい。
【0066】
2μm以下、及び10μm以上のトナー粒子は分級して除去することが望ましい。また、粒子の表面成分を均一にするため、粉砕法で製造する場合、混錬装置の温度ムラ及びストレスムラ等が発生しないよう製造条件を制御することが望ましい。また、現像剤中の成分の偏在を防ぐため、成分投入の分量及びタイミングを制御し得る。更に、上記添加剤の付着ムラを無くすため、粒子表面に1〜2層の添加剤粒子層ができる様に、添加剤粒径とトナー粒径から投入量を計算し、均一に付着させることが望ましい。
【0067】
また、更に、トナー帯電量分布を均一化するため、2成分現像剤においては、キャリア粒子と適量で混合することが望ましく、1成分現像剤においては、現像部内で帯電付与部材と現像剤との接触圧や形状を適度に設定することが望ましい。
【0068】
2成分現像の場合、使用されるキャリアは、例えばフェライト、マグネタイト、酸化鉄、及び磁性粉を混入した樹脂粒子等の磁性キャリアであり、表面の全部または一部に樹脂コートを施すことができる。
【0069】
図5ないし図8に、本発明の画像形成装置の一例を表す概略図を示す。
【0070】
図5に示すように、この画像形成装置20は、感光体11と、感光体11に対向して、順に設けられた、帯電装置12、露光部13,現像装置14,転写部15,及びクリーニング装置16を含む画像形成ユニットを有する。また、転写部15は、感光体11と対向して配置されており、搬送経路17の下流には定着部18が設けられている。さらに、クリーニング装置16から現像装置14へ搬送路24が設けられ、残留トナーを回収するためのリサイクル機構を成している。
【0071】
この画像形成装置20において、矢印aの方向に回転可能な感光体11には、帯電装置12例えばチャージャワイヤ、櫛歯型チャージャ、スコロトロン等のコロナ帯電器、接触帯電ローラ、非接触帯電ロータ、及び固体チャージャ等により、一様に例えば−500〜800Vの表面電位が付与されている。露光部13により感光体11上に静電潜像が形成される。露光部では、レーザー、LED等の光源を使用できる。なお、感光体11としては、例えばマイナス帯電のみならずプラス帯電の有機感光体層、アモルファスシリコン層等を使用することができる。感光体表面に形成される感光層は、電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層等が積層されても、一つの感光体層が複数の働きを兼ね備えていても良い。現像装置14は、例えばマグネットローラを内包した現像ローラ25を有し、例えば2成分現像剤を搬送する磁気ブラシ現像によって、静電潜像に例えば負帯電したトナーを供給し、顕像化し得る。現像ローラ25にはトナーを静電潜像に付着させるような電界を形成するために現像バイアスが印加される。トナーが感光体表面に均一・安定に付着するよう、現像バイアスには例えばDCにACを重量することができる。このとき使用される現像剤は、着色剤、及びバインダー樹脂を含有するトナーを含む。また、その現像剤は、その感光体11表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の粒子の占める割合が、現像剤全重量の3重量%以下である。
【0072】
現像装置14内では、トナーホッパー内にキャリアとトナーからなる2成分現像剤が例えば100g〜700g収められ、攪拌オーガ26によって現像ローラ25に搬送され、トナーの一部を現像によって失ったあと、現像ローラ25の剥離極位置で現像ローラ25から離れ、攪拌オーガ26により現像剤格納領域に戻される。現像剤格納領域には図示しないトナー濃度センサが取り付けられ、濃度センサが現像剤量の減少を検知すると、信号がトナーホッパーに送られて未使用のトナーが補給される。印字データの積算又は/及び感光体上現像トナー量の検知からトナー消費量を推定し、それをもとに未使用トナーの補給を行っても良い。また、センサー出力と消費量の推定の両方の手段を用いることもできる。
【0073】
現像装置14の下流では、感光体11に転写部材15が押し当てられ、搬送経路17と感光体11との間に、給紙部19から搬送された記録媒体例えば紙Pを介在させ、さらに、図示しない高圧電源により転写部材15に印加された例えば+300ないし5kVのバイアス電圧によって感光体11上のトナー像が紙に転写される。転写ニップを通過した紙Pは、定着器18へと搬送され得る。
【0074】
定着器18は、加熱ローラ21及び加圧ローラ22からなる一対のローラを有し、紙Pは、転写ローラ15と加熱ローラ21との間を、トナー像が加熱ローラ21と接触する状態で、通されることにより、紙P上に定着される。搬送経路17としては、例えば随所に配置された搬送ガイド等で形成される仮想搬送路、あるいは記録材を密着させて搬送し得るベルト状部材などがあげられる。
【0075】
トナー像を転写した後、転写ニップの下流で、感光体11上の残留トナーは、クリーニング装置16により除去され、除電手段23により除電が行なわれる。クリーニング装置16で除去された残留トナーは、図示しないオーガ等によって搬送路24内に送られて現像装置14内に回収される。
【0076】
なお、1成分現像方式を適用する場合、現像剤格納領域内にはトナーのみが格納され、搬送オーガ、中間搬送スポンジローラ等公知の構造によって現像ローラ表面に供給され、現像ローラ表面に圧着されたシリコンゴム、フッ素ゴム、金属ブレード等のトナー帯電部材によって摩擦帯電され、静電潜像を顕像化する。現像ローラは、導電性ゴム層を表面に持った弾性ローラもしくは表面にサンドブラスト等によって粗さを設けたSUS等の金属ローラなどで作られ、感光体と接触または規定のギャップを持って非接触で対峙し、感光体表面と速度差を持って回転している。トナーの静電潜像への付着を助けるため、現像ローラには現像バイアスが印加される。トナーが感光体表面に均一・安定に付着するよう、現像バイアスにはDCにACを重畳することができる。
【0077】
また、上記現像剤の代わりにトナー粒子の感光体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有する現像剤の占める割合が、現像剤全重量の5重量%以下である現像剤を使用することができる。
【0078】
さらに、トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の3重量%以下であり、かつ付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の5重量%以下である現像剤を使用することができる。
【0079】
図6は、本発明の画像形成装置の他の一例を表す概略図であって、クリーニング装置16及び搬送路24を持たず、現像装置14の代わりに、現像同時クリーニング機構を有する現像装置28が設けられ、さらに、転写部15と帯電装置12との間にメモリー攪乱部材27が設けられた画像ユニットを用いること以外は、図5と同様の構成を有する。また、使用される現像剤は、その感光体11表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の粒子の占める割合が、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0080】
なお、残留トナーを一旦回収し、現像器に回収させるために再び像担持体上に放出する、図示しない一時回収部材をさらに配置しても良い。メモリー撹乱部材及び一時回収部材には、その機能を効率的に果たすために、プラス又は/及びマイナスの電圧を印加することができる。
【0081】
図7は、本発明のカラー画像形成装置の一例を表す概略図を示す。
【0082】
このカラー画像形成装置50は、図6の画像ユニットと同様の構成を有し、各々、イエロー色現像剤、マゼンタ色現像剤、シアン色現像剤、及び黒色現像剤が収容される画像形成ユニット40Y,40M,40C,及び40Kを、その各転写部15Y、15M、15C、15Kが中間転写部材29を介して対向するように4段並べて配置し、二次転写部45、及び定着部18が、転写部15Kの下流に設けられた構成を有する。使用される各色の現像剤の感光体表面に対する付着力分布において、付着力の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0083】
また、図8は、本発明のカラー画像形成装置の他の一例を表す概略図を示す。
【0084】
このカラー画像形成装置60は、図6の画像ユニットと同様の構成を有し、各々、イエロー色現像剤、マゼンタ色現像剤、シアン色現像剤、及び黒色現像剤が収容される画像形成ユニット40Y,40M,40C,及び40Kを、その各転写部15Y、15M、15C、15Kが搬送部材30を介して対向するように4段並べて配置し、定着部18が、転写部15Kの下流に設けられた構成を有する。使用される各色の現像剤の感光体表面に対する付着力分布において、付着力の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0085】
以下、本発明の実施の形態を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0086】
実施例
以下のように4種のトナー及び2種のキャリアを作成した。
【0087】
トナーAの作成
ポリエステル樹脂28重量部、カーミン6B 7重量部、ライスワックス5重量部、カルナバワックス1重量部をYPK製ニーデックスにより混練してマスターバッチを作成し、疎粉砕後、ポリエステル樹脂58重量部、CCA1重量部を加えて混練、疎粉砕、微粉砕後、エルボジェット分級により8μm以上及び3μm以下をカットし、体積平均粒径5.3μmのトナー粒子を得た。
【0088】
得られたトナー粒子100重量部に対し、添加剤として、1次粒径20nmのシリカを3.5重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて添加し、トナーAを得た。
【0089】
キャリアαの作成
43μmの体積平均粒径を有する球形フェライトコアに、カーボンブラックを分散したシリコン樹脂コートを施し、表面抵抗7×108Ω/cm2のキャリアαを得た。
【0090】
トナーBの作成
スチレンモノマー65重量部、アクリルモノマー21重量部、ライスワックス6重量部、カーミン6B 7重量部、CCA 1重量部の割合で乳化重合法により0.5μm径の重合粒子を製造し、凝集、洗浄、及び乾燥させて、平均粒径5.4μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の球形度は0.96であった。このトナー粒子100重量部に対し、添加剤として、1次粒径25nmのシリカを2.7重量部、及び酸化チタン0.5重量部を添加し、トナーBを得た。
【0091】
トナーCの作成
トナーAにシリカを添加する前に、サフュージング処理を行うことにより、機械的球形化処理を施し、球形度0.97を有するトナー粒子を得た。その後、得られたトナー粒子100重量部に対し、1次粒径20nmのシリカ3重量部をヘンシェルミキサーにて添加して、トナーCを得た。
【0092】
キャリアβの作成
35μmの体積平均粒径を有する球形フェライトコアに、カーボンブラックを分散したフッ素樹脂コートを施し、1×109Ω/cm2の表面抵抗を有するキャリアβを得た。
【0093】
トナーDの作成
例えばアイソパー等の非極性炭化水素系溶媒中に、1次粒径20nmのシリカを4重量部添加して、よく分散させた分散液を用意した。この分散液に、凝集及び洗浄後の重合粒子を投入し、重合粒子表面にシリカ粒子を均一に付着させた。その後、浮遊シリカを除去して乾燥させ、トナーDを得た。
【0094】
実施例1
(1)トナーAとキャリアαの組み合わせ
上記トナーA 9重量部に対し、キャリアαを91重量部の混合比で混合して、現像剤を得た。
【0095】
得られた現像剤を、感光体表面に感光体と同様の感光層を形成したフィルムを巻いたこと以外は、図5と同様の構成を有する画像形成装置に適用し、帯電、露光、及び現像を行った。
【0096】
トナーが現像されたフィルムをそのまま取り出し、付着力分布を測定した。
【0097】
その結果を図9に示す。
【0098】
図9は、本発明に用いられる第1の付着力分布の一例を表すグラフを示す。
【0099】
このグラフは、トナーの付着力と、その付着力を有するトナーの加算重量比との関係を表す。
【0100】
図示するように、付着力の平均値は4.4×10−8(N)であった。また、その2.5倍は1.1×10−7(N)となる。1.1×10−7(N)未満の付着力を有するトナーの割合は約97.0重量%であった。1.1×10−7(N)以上の付着力を持つトナーの割合は残りの約3.0重量%であることがわかる。
【0101】
また、搬送部材の代わりに中間転写体を用い、記録媒体を供給しないこと以外は図5と同様に構成を有する画像形成装置を用意した。上記現像剤をこの画像形成装置に適用して、中間転写体に転写させ、転写特性として、残留トナー量を、感光体上に残留したトナーをテープにて剥離、それを白紙に貼って、その反射濃度をマクベス濃度計を用いて測定し、予め作成した濃度とトナー量の校正式に当てはめることにより測定した。
【0102】
得られた結果を図10に示す。
【0103】
図10は、バイヤス電圧と残留トナー量との関係を表すグラフ図を示す。
【0104】
図10から、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は3.0重量%であった。
【0105】
この装置と現像剤でライフ試験を行なったところ、100K枚まで行なってもトナー帯電量の変動などの不具合は許容範囲内で、リサイクルを行なうことによる不具合も発生しなかった。
【0106】
トナーA95重量部に対し、上記キャリアαを5重量部混合し、付着力分布と残留トナー量を測定したところ、平均付着力9.6×10−8(N)、その2.5倍は2.4×10−7(N)で、2.4×10−7(N)以上の付着力を持つ現像剤の割合は4.5重量部であり、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は4.2重量部であった。
【0107】
この現像剤を用いてライフ試験を行なったところ、トナー帯電量が徐々に増加して画像濃度が低下し、100K枚で初期の画像濃度1.5が1.35まで減少した。
【0108】
さらに、トナーAに対するキャリアαの混合比を変更すること以外は実施例1同様にして、付着力分布を変化させたいくつかの現像剤について、その付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合、残留トナー量を測定し、ライフ試験を行った。その結果を下記表1に示す。
【表1】
【0109】
(2)トナーBとキャリアαの組み合わせ
また、トナーBを、フェライトキャリアα 95重量部に対し、5重量部の混合比で混合して現像剤を作成した。この現像剤を用い、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。平均付着力は1.05×10−7(N)、その2.5倍は2.63×10−7(N)で、それ以上の付着力を有するトナーの割合は2.7重量部、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は2.6重量部であった。
【0110】
この現像剤でライフ試験を行なったところ、100K枚まで行なってもトナー帯電量の変動などの不具合は許容範囲内で、リサイクルを行なうことによる不具合も発生しなかった。
【0111】
実施例2
(1)トナーCとキャリアβの組み合わせ
上記トナーC 11重量部に対し、キャリアβを89重量部の混合比で混合した現像剤を得た。
【0112】
得られた現像剤を、感光体表面に感光体と同様の感光層を形成したフィルムを巻いたこと以外は、図6と同様の構成を有する画像形成装置に適用し、実施例1と同様にして、付着力分布、残留トナー量を測定し、ライフ試験を行った。
【0113】
その結果、平均付着力1.04×10−7(N)、その2.5倍の付着力は2.6×10−7(N)であり、2.6×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は1.5重量部、また残留トナー量は1.4重量部であった。 また、この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、露光障害によるネガメモリーや、回収不良によるポジメモリーなどの不具合は発生しなかった。またライフ試験を行なったが100K枚でもメモリー画像の発生は見られなかった。
【0114】
(2)トナーD及びフェライトキャリアβの組み合わせ
トナーD11重量部をフェライトキャリアβ89重量部と混合した現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0115】
その結果、平均付着力1.04×10−7(N)で、その2.5倍の2.6×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は1重量部、残留トナー量は1.2重量部であった。
【0116】
また、この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、露光障害によるネガメモリーや、回収不良によるポジメモリーなどの不具合は発生しなかった。またライフ試験を行なったが100K枚でもメモリー画像の発生は見られなかった。
【0117】
(3)トナーAとキャリアαの組み合わせ
トナーA 9重量部とキャリアα 91重量部を混合して現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0118】
その結果、平均付着力4.4×10−8(N)で、その2.5倍の1.1×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は3.1重量部、残留トナー量は3.0重量部であった。
【0119】
この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、残留トナーが次の画像の露光を阻害して画像部の電位が落ちきらず、ネガメモリーとなって表出した。
【0120】
また、この装置でライフ試験を行なったところ、像担持体の表面劣化と共に残留トナーの回収効率が落ち、80K枚で残留トナーを回収しきれなくなり、次の画像に転写されてしまういわゆるポジメモリーが現れた。
【0121】
(4)トナーBとキャリアαの組合せ
また、トナーB 5重量部をキャリアα 95重量部と混合して作成した現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0122】
その結果、平均付着力1.05×10−7(N)で、その2.5倍の2.63×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は2.7重量部、残留トナー量は2.6重量部であった。
【0123】
この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、初期においてネガメモリーがわずかながら発生し、また90K枚でポジメモリーが発生した。
【0124】
図11に、トナーD 11重量部にキャリアβ 89重量部を混合した現像剤について、そのバイヤス電圧を変更することにより残留トナー量を変動させた場合について、その残留トナー量とネガメモリーとの関係を表すグラフを示す。
【0125】
なお、ネガメモリーは、残留トナーのある部分と無い部分との画像濃度差を測定することにより求めた。
【0126】
図示するように、残留トナー量の増加と共にネガメモリーが増加する。
【0127】
画像濃度差は0.01以下であれば濃度差として視認されることが無いことから、残留トナー量は1.5重量部以下であることが望ましいことがわかる。
【0128】
実施例3
(1)トナーBとキャリアαの組合せ
トナーBを、フェライトキャリアα 95重量部に対し、5重量部の混合比で混合した現像剤を用いて実験例1と同様にして、付着力分布と残留トナー量を測定した。像担持体との平均付着力は1.05×10−7(N)であった。その20%は2.1×10−8(N)であり、2.1×10−8(N)以下の付着力を有するトナーの割合は7重量部であった。
【0129】
また、搬送部材の代わりに中間転写体を用い、記録媒体を供給しないこと以外は図5と同様に構成を有する画像形成装置を用意した。上記現像剤をこの画像形成装置に適用して、帯電、露光、及び現像を行い、感光体上の現像剤像と、中間転写体に転写させたそのままの状態の画像周辺のチリの度合いを各々計測した。ここでは、CCDカメラにて、1.5μm/1画素、1200画素長さ=1.8mmのライン画像を電子データとして取り込み、2値化してそのエッジ部分のトレース線の長さを計測し、直線長さとの比率を算出した。トナーが画像周辺に散っているほどトレース線は長くなり、直線長さとの比率が大きくなる。
【0130】
このトレース線比率は、感光体上現像トナー像では1.20だったが、中間転写体上では1.27であり、若干の悪化に留まり、良好なレベルであった。
【0131】
(2)トナーCとキャリアβの組合せ
トナーC11重量部をキャリアβ89重量部と混合して作成した現像剤において、像担持体との平均付着力は1.035×10−7(N)、その20%である2.07×10−8(N)以下の付着力を有するトナーの割合は10重量部であった。
【0132】
この現像剤を用いて、同様に、画像周辺のチリの度合いを計測した。
【0133】
その結果、トレース線比率は感光体上で1.20だったところ、中間転写体上では1.33であり、若干の悪化はあるがやはり良好なレベルであった。 平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合と、転写前後のトレース線比率からわかるトナーのチリの度合いとの関係を表すグラフを図12に示す。
【0134】
図中、101は、感光体上のチリの度合い、102は、中間転写体上のチリの度合いである。
【0135】
図示するように、平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合が増加すると、チリも悪化することがわかる。
【0136】
感光体上の画像をチリ量1.2程度と非常に少ないシャープな画像として作像しても、転写によってトナーが散り、シャープさが失われる度合いが、弱い付着力を持つ現像剤の割合と高い相関があることがわかった。中間転写体上のチリの度合いが1.35程度であれば、更に、紙上に転写した場合でもチリの増加は許容範囲内で収まると考えられ、平均付着力の20%以下の付着力のトナー量を10重量部以下にすることで、散りの少ない鮮鋭な画像が得られた。
【0137】
実施例4
トナーD 11重量部とキャリアβ89重量部の混合比で混合した現像剤を用意した。
【0138】
得られた現像剤を用いて、実施例1と同様にして、感光体との付着力分布を測定した。その結果、平均付着力1.04×10−7(N)、その20%に相当する2.1×10−8(N)以下の付着力を持つトナーの割合は5重量部であった。
【0139】
この現像剤を、図8と同様のカラー画像形成装置の第1の画像形成ユニットに搭載し、残留トナー量1.2%となる転写条件にて、第2の画像形成ユニットの感光体への逆転写量を計測したところ、1.8重量部であった。
【0140】
第2の現像剤の色の印字率に対して、第1の現像剤の色の印字率が4倍、すなわち逆転写による混入量に対して印字によって排出される量が非常に少ない場合を想定したとき、例えば第1の現像剤の色がイエロー、第2の現像剤の色がシアンのとき、混色による色差の変化は、逆転写量が2重量部であれば、10以内に収まることが実験によりわかっている。このため、1.8重量部は許容範囲内である。
【0141】
このシミュレーション条件は、様々な印字装置の使い道を考慮した結果、最も混色・色変動にとって厳しいと思われる条件について検討したものである。
【0142】
平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量とを様々の現像剤を用いて測定したところ、図13のような結果となった。
【0143】
図13に、弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量との関係を表すグラフを示す。
【0144】
図示するように、弱い付着力を持つトナーの割合が増加すると、逆転写量も増加しすることが認められた。
【0145】
混色による色変動の許容範囲が逆転写量2重量部以下という我々の検討結果より、弱い付着力をもつトナーの割合は5重量部以下に制御すればよいことが判った。
【符号の説明】
【0146】
11…像担持体、14…現像部、15…転写部、16…クリーナー、28…現像同時クリーニング機構を有する現像装置、20…画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電印刷法、磁気記録法等における静電荷像、磁気潜像を現像するための画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で感光体上のトナー像の転写効率を向上させるために感光体や搬送媒体に対するトナーの付着力を制御する方法が知られている。
【0003】
付着力の制御を利用した画像形成方法として、トナー及び像担持体間の付着力と、トナーの平均粒径と、トナーの帯電量との関係を限定した画像形成方法がある。ここでは、遠心分離装置を用いて、トナーが、このトナーが付着された搬送媒体から分離したときの遠心力から、付着力を算出する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この技術とは別に、遠心分離方式を用い、ある圧力でトナーを像担持体表面に押し付けた後に測定されたトナー付着力分布の平均値をFとし、標準偏差をσとした場合に、F/2σ>10であるトナーを用いる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、この付着力分布は非常に狭い範囲であり、例えば平均付着力6×10−8Nのとき、標準偏差σは0.3×10−8以下にしなければならず、非常に製造が困難であった。また、平均付着力を増大させればある程度分布を広い範囲にできるが、あまり付着力を高くすると、それを転写させるために必要な転写電界もまた非常に大きくなり、気中放電の危険性があった。また、この測定方法では、転写圧力を再現するため付着力測定前にトナーを記録材に押し付ける工程を用いているが、この方法を用いると、転写ニップに突入する直前に弱い転写電界を受けて像担持体から分離する付着力の弱いトナーの挙動を把握することが出来なかった。更にまた、この技術では、平均付着力から大きくかけ離れた値を持つトナーの粒子が少量存在する場合が含まれている。付着力の大きな粒子は転写後のトナー残留の要因になり、付着力の小さな粒子は画像周辺のトナー飛び散りの要因となるため、この技術を用いても転写効率及び画像品質に問題があった。
【0006】
残留トナーを現像と同時に回収する機構を備えたクリーナレスプロセスにおいては、転写後の残留トナーが発生した場合、そのまま後続の帯電工程、潜像形成工程を経た後、新たな画像部の現像と同時に非画像部の残留トナーが現像器に回収される。そのため、残転写トナー量が多いと、潜像を形成するための光源を遮蔽したり、現像器への回収が不十分となり、不所望な再転写が発生するなど、画像欠陥の原因となる。
【0007】
また、タンデム構成のカラー画像形成装置の場合、像担持体から例えば中間転写媒体に転写されたトナーが、後段の像担持体の転写領域において転写電界を受け/及びこの後段の像担持体に圧着されて、逆転写されてしまうことがある。クリーナレスプロセスで、この逆転写されたトナーが現像器に回収されると、前段の現像ステーションの色のトナーが後段の現像器内に混入することになり、混入量が増せば出力画像の色管理が不可能になる。転写効率と逆転写効率は相反する性能である場合が多い。このため、逆転写による混色で回復不可能な状態に陥ることを防ぐため、転写性能をある程度犠牲にしても逆転写を防ぐ転写条件を採用しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−328484号公報
【特許文献2】特開2004−101753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、転写効率に優れ、クリーナレスプロセスにも適用可能なちりの少ない高精細な画像を形成し得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体、静電潜像に複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、及び像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である。
【0011】
本発明の第2の観点に係る画像形成装置は、 複数の像担持体と、各担持体に形成された各静電潜像に異なる色のトナー粒子を各々供給し、該トナー粒子を各々該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に異なる色の現像剤像を各々形成するための複数の現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明を用いると、転写効率に優れ、クリーナレスプロセスに適したちりの少ない高精細な画像を形成し得る画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】トナー電荷量対付着力の一例を表すグラフ
【図2】アングルローターの外観を表す図
【図3】図2の回転軸に沿った断面を部分的に表す縦断面図
【図4】アングルローター内に試料を設置するためのセルの構成を表す分解図
【図5】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図6】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図7】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図8】本発明の画像形成装置の一例を表す概略図
【図9】本発明に用いられる第1の付着力分布の一例を表すグラフ
【図10】バイヤス電圧と残留トナー量との関係を表すグラフ図
【図11】残留トナー量とネガメモリーとの関係を表すグラフ
【図12】弱い付着力を持つトナーの割合とチリの度合いとの関係を表すグラフ
【図13】弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量との関係を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の8つの観点に大別される。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、基本的に、像担持体、静電潜像に複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、及び現像剤像を記録材に転写するための転写部を含む構成を有し、使用される各トナー粒子と像担持体表面との付着力のばらつきを、以下の第1ないし第4の付着力分布に、各々規定したものである。
【0016】
また、本発明に係る画像形成方法は、基本的に、像担持体上に形成された静電潜像に、現像部内に収容された複数のトナー粒子を供給し、トナー粒子を像担持体表面に付着させ、像担持体上に現像剤像を形成する現像工程、及び現像剤像を記録材に転写する転写工程を有し、使用される各トナー粒子と像担持体表面との付着力のばらつきを以下の第1ないし第4の付着力分布に、各々規定したものである。
【0017】
第1の付着力分布では、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の3重量%以下であることが規定される。
【0018】
第2の付着力分布は、現像部において、像担持体表面の転写後の残留トナーを現像と同時に現像部内に回収する機構をさらに有する場合に適用されるもので、また、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の1.5重量%以下であることが規定される。
【0019】
第3の付着力分布では、複数のトナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の10重量%以下であることが規定される。
【0020】
また、第4の付着力分布は、カラー画像形成に適用され、
トナー粒子の像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、トナー粒子全重量の5重量%以下であることが規定される。
【0021】
第1の付着力分布を適用した画像形成装置及び画像形成方法による画像形成に関して、本発明者は、平均付着力の2.5倍以上の付着力を有する粒子の割合と、転写後に像担持体表面に残留する残留トナー量とが相関を有することを実験によって見出した。
【0022】
この画像形成には、像担持体上に、転写後の残留トナーを回収するための例えばゴム製ブレード等を備えたクリーニング装置を使用することができる。
【0023】
また、この画像形成には、残留トナーを現像器及びトナーホッパー等に戻すリサイクル機構を例えばこのクリーニング装置に使用することができる。
【0024】
像担持体上にこのようなクリーニング装置が設けられている場合には、残留トナーが多くても画質的に問題は無い。しかしながら、トナーと像担持体との付着力が強いと、クリーニングしにくくなるなどの問題が発生しやすいことから、あまり残留トナー量が多いことは望ましくない。また当然ながら、クリーニングされたトナーが廃却されることは、資源の無駄や印刷コスト(CPC)の上昇に繋がる。
【0025】
また、リサイクル機構が設けられている場合には、リサイクル前後のトナー特性例えば帯電量分布、流動特性等に差が生じて、リサイクル量が増えると画像劣化の原因となり得る。
【0026】
付着力が平均値の2.5倍以上で像担持体上に残留したトナーは、感光体との付着力が転写電界による静電引力よりも強い。このため、クリーニングブレード等で像担持体上から除去するためには、強い摺擦力が必要であり、ブレードめくれが生じやすく、ブレード自身が磨耗したり、像担持体表面層が削れる等の問題が発生する。また、付着力の強いトナーの粒子は、各々、非常に大きな電荷を持ち、例えば形状が不定形で、像担持体表面と面接触しており、表面に付着した外添剤が埋没もしくは離脱することにより像担持体との接触面積が増える。このように、付着力が付着力分布の平均値の2.5倍以上のトナーが残留トナーになりやすいと考えられる。
【0027】
転写工程は、記録材として、例えば中間転写体もしくは最終的な記録媒体が像担持体上のトナーに接触され、記録材の背後に電圧を供給することによって転写領域に電界を形成させ、その静電引力によってトナーを像担持体上から被転写体に移動させることができる。電界を大きくするにつれて移動量は増していくが、電界が大きくなりすぎると記録材と像担持体との剥離時に放電が発生してトナーが逆帯電し、移動できなくなる傾向がある。このため、放電が発生する前の電界によってトナーの移動が完了することが望まれる。
【0028】
付着力はF=Kq2+Fv+Fbで表され、q:トナー1粒子の電荷量、K:比例定数、Fv:ファンデルワールス力、Fb:液架橋力である。
【0029】
図1に、トナー電荷量対付着力の一例を表すグラフを示す。
【0030】
このグラフは、5.3μmの平均粒径かつ10μm以下の粒径を有するトナーについて、トナーとキャリアの混合比率を変更することにより、トナー帯電量を変化させて、それぞれの付着力を測定した結果をプロットしたものである。
【0031】
試料として用いたトナーは、環境湿度変動の影響を受けないように疎水化処理されたシリカを特に着色剤とバインダーを含有するトナー粒子の表面に添加した。
【0032】
図示するように、トナー付着力は、トナー電荷量に比例する。このトナーは、粒径が10μm以下であることから、静電力以外の力としては、液架橋力よりは、ファンデルワールス力のほうが支配的である。トナー付着力に分布があるのは、以下の要因によるものと考えられる。例えば粒径分布があること、形状が真球ではないためファンデルワールス力に分布があること、粉砕法及び重合法等のいかなる製法を用いてトナーを形成しても、粒子成分は完全均一にはならず、このためトナー表面成分にばらつきが生じ、表面電荷分布の均一性を表すとされるKにばらつきがあること、更に、粒度分布や摩擦帯電機会のばらつきにより粒子が持つ電荷量もまた分布を持つことがあげられる。
【0033】
また、電界によって、トナーが受ける静電引力はqEで表される。ここで、Eは電界の大きさである。qE>Fのときトナーは像担持体から離れて記録材側に移動すると考えられる。このため、E=Kq+(Fv+Fb)/qの電界以上で転写を行う。前述のように付着力には様々な要因による分布があるため、必要な転写電界にもまた分布があり、それを計算によって求めることは困難である。更に、転写領域のトナー付着面となる像担持体表面は曲面であるため、並行平板とは異なり、像担持体とトナーとのギャップ間隔が徐々に縮まって接触し、また徐々に広がっていく形状である。従って、トナーにかかる転写電界も、徐々に増大して最大値に達し、その後徐々に減少し得る。トナーは、転写電界から受ける静電引力が付着力より大きくなった時点で記録材に向かって移動を始める。しかし、付着力の分布が広いと、高付着力のトナーも移動させるために、高い転写電界をかける必要がある。すると低付着力のトナーはギャップが広い階段で十分な静電引力を受けて移動を開始してしまう。最も電界の強くなるギャップ最狭部の電界はパッシェン放電が開始する電界(E breakdown)未満でなければならず、またギャップ間隔があまり大きなうちにトナーが移動を開始してしまうと、トナーのチリを発生し易い。様々なサンプルで実験を行なった結果、トナーのチリを最小限に抑え、かつ最大電界部でのトナーの逆チャージを抑えつつ、97%以上の転写効率を実現するためには、全トナーの平均付着力の2.5倍以上の付着力を持つ部分トナーの重量を制御すれば良いことを見出した。
【0034】
第1の付着力分布を適用した画像形成装置及び画像形成方法によれば、付着力2.5倍以上の部分トナーの重量を3重量%にすると、残留トナー量を3重量%以下に抑え、トナーを効率よく消費し、リサイクルを行なってもホッパー内トナー特性を悪化させること無く、長期的安定に作業を行なうことが出来る。
【0035】
第2の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成では、像担持体表面の残留トナーを現像と同時に現像部内に回収する機構がさらに設けられている。この画像形成では、残留トナーは、転写後、クリーニングされること無く、後続の画像形成工程のための帯電、露光工程を経て現像領域に搬送され、次の静電潜像における非画像部に残存するトナーのみが現像装置内に回収される。このため、第2の付着力分布を用いた画像形成では、後続の例えば露光工程に残留トナーが及ぼす影響すなわち露光障害を考慮することが望ましい。この露光障害により、残留トナーが光をわずかに遮って残留トナーの無い領域の像担持体表面に比べて、ごくわずかに残留電位が高くなる。その電位の差が現像後のトナー像の濃度差となって視認可能になると、画像メモリが発生する。
【0036】
第2の付着力分布を用いた画像形成によれば、付着力分布の平均付着力の2.5倍以上の付着力を持つトナーの重量は、最大転写効率実現時の残留トナー量に相当することから、その量を1.5重量%以下にすることによって、残留トナーが次の画像に影響を及ぼし画像メモリーとして発現することを防ぐことができる。
【0037】
画像を形成させるトナーの重量は、多すぎると転写しにくくなったり、定着時の熱量不足による定着不良、トナー層表面(定着ローラとの接触部)とトナー層内部との温度勾配によるオフセットなどの原因となる可能性がある。このため、現像時に供給するトナー量は適量に設定され得る。ベタ部のトナー量は0.6mg/cm2〜0.3mg/cm2で設計し得る。最も多い0.6mg/cm2のトナー量を紙上に転写させる場合、像担持体上の残留トナーが供給されるトナーの1.5重量%であると、約10μg/cm2の量に相当する。1つの粒子状トナーを比重1.1の均一球形粒子と想定して計算すると、5μmの径を有するトナーでは像担持体表面の約3%を面積を、7μm径の径を有するトナーでは像担持体表面の約2%の面積を残留トナーが被覆することになる。この2〜3%の表面被覆率であれば帯電、露光の障害になり難く、画像メモリを発現することは無い。
【0038】
しかし、残留トナー2重量%以上で、像担持体の表面被覆率3%以上になると、画像メモリが発生し得る。このことから、残留トナー量は1.5重量%以下にすることが望ましい。
【0039】
このようなことから、第2の付着力分布を用いた画像形成では、像担持体表面の残留トナーを現像と同時に該現像部内に回収する機構をさらに有する場合に、像担持体表面に対する付着力分布において、平均付着力の2.5倍以上の付着力を有するトナーの割合を1.5重量%以下に制御することによって残留トナー量を1.5重量%以下にし得る。
【0040】
本発明の第3の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成では、付着力の弱いトナーを考慮している。
【0041】
像担持体から記録材への転写領域では、ローラ状の像担持体と記録材との間隔が徐々に減少して像担持体及びその表面に付着したトナーと記録材とが接触し、その後、その間隔は徐々に増大する。像担持体と対向して配置された記録材の背後には、転写ローラ、転写ブレード、スコロトロンチャージャ等の電圧発生装置が装備され、その印加電圧によって像担持体との間に転写電界が形成される。その電界の大きさはその間隔の変化及び転写電圧発生装置との距離によって空間分布を持っており、その電界空間に突入したトナーは像担持体との付着力よりも電界から受ける静電引力の方が大きくなった時点で像担持体を離れ、記録材に向かって移動する。トナーの付着力が一様ならば、ある電界に達した時点で一斉に移動し、転写されるけれども、トナーの粒度分布、形状の不均一性、表面成分の不均一性、及び粒子電荷の不均一性等の要因から付着力にも分布があるため、電界の大きさに応じて付着力の小さい粒子から徐々に移動を始める。付着力が小さすぎると、像担持体と記録材との間隔が広く、電界が弱いうちに、トナーが像担持体から離れてしまい、記録材への移動距離が長くなることから、像担持体上のトナー像に従って、記録材上の対向位置にトナーが付着することは難しくなる。結果としてトナーが画像周辺に散ったような画像となり、画質が低下する。そのため、平均付着力に対して弱い付着力を持ったトナーの割合が少ないことが望ましい。
【0042】
本発明の第3の付着力分布を用いた画像形成によれば、像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合をトナー粒子全重量の10重量%以下にすることにより、トナーのチリが目立たない高画質な画像が得られる。
【0043】
本発明の第4の付着力分布を用いた画像形成装置及び画像形成方法による画像形成には、カラー画像を形成するための複数の現像部と各現像部に収容される互いに色の異なるトナーが用いられる。
【0044】
例えば異なる色のトナーによる画像をそれぞれの像担持体上で形成する画像形成ユニットを二つ以上有するタンデム構造のカラー画像形成方式においては、第1の画像形成ユニットにより像担持体上に形成された第1のトナー画像は、第1の転写領域で記録材に転写される。その後、第1のトナー画像が転写された記録材は、第2の画像形成ユニットの第2の転写領域に搬送され、第2の画像形成ユニットにより像担持体上に形成された第2のトナー画像が、記録材上の未定着の第1のトナー像の上から重ねて転写される。このサイクルが使用される画像形成ユニットの数だけ繰り返されて記録材上に色数分のトナー画像が積層され、直接転写方式の場合はそのまま、中間転写方式の場合は中間転写媒体から紙等の記録材へさらに転写を行い、定着され、最終的な画像が得られる。
【0045】
第2の画像形成ユニット及びその後段の画像形成ユニットの各転写領域では、転写電界によって当該画像形成ユニットのトナーが記録材へ転写されると同時に、記録材上に既に転写された前段の画像形成ユニットのトナーが、当該像担持体上へ逆転写される現象が発生する場合がある。逆転写が発生すると、記録材上のトナー像の画像濃度を薄くしたり、細線上のトナーが欠損して鮮鋭度が悪くなったりといった画像欠陥が生じる。特に、像担持体上の転写部の後段にクリーニング機構を設けず、現像部によって現像同時回収を行うクリーナレスプロセスにおいては、逆転写してきた前段のトナーを残留トナーと同時に回収してしまうため、その量が多いと現像器内の異色トナー割合が増えて色合いが変わってしまい、出力画像の色の調整が不可能になる。そのため、カラー画像形成装置では、逆転写量は極力少なくすることを考慮することがが望まれる。一般に、転写効率と逆転写効率の間には相反する特性があり、転写効率が高くなる転写条件では逆転写が多く、逆転写が少なくなる転写条件では転写効率が低くなるという問題が起こりやすい。特に、弱い付着力のトナーはその電荷量も小さい。そのため、転写電界の力で移動されやすく、像担持体から離れやすく転写されやすいが、逆に記録材からも離れやすく、逆転写しやすい。
【0046】
本発明者は、平均付着力の20%以下のトナーの量が逆転写量と相関があることを見出し、これを制御することにより、転写効率と逆転写効率を最適化することを試みた。
【0047】
本発明の第4の付着力分布を用いた画像形成によれば、トナーと像担持体との付着力分布において、平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合を5重量%以下にすることにより、転写効率を高くする転写条件であっても逆転写率を低く抑えることを可能とした。また、これにより、逆転写率を2%以下に抑え、上記クリーナレスプロセスを適用しても、混色による色変化の不具合を防止することができる。
【0048】
なお、上記第1の付着力分布及び第2の付着力分布の規定に、各々第3の付着力分布の規定を加えることにより、双方の利点が得られる。同様に、第4の付着力分布の規定に、上記第1の付着力分布または第2の付着力分布の規定を加えることにより、双方の利点が得られる。
【0049】
本発明で使用される付着力の測定は、例えば分離用超遠心器 日立工機製 CP100MXに、アングルローター 日立工機製 P100AT2を取り付けて行うことができる。
【0050】
図2に、アングルローターの外観を表す図、図3に、その回転軸に沿った断面を部分的に表す縦断面図、及び図4に、アングルローター内に試料を設置するためのセルの構成を表す分解図を各々示す。
【0051】
図2及び図3に示すように、このアングルローター10は、基台2上に設置された円錐状の回転体4内に、回転軸1に対しその中心軸が26°の角度で傾斜した竪穴状のセル保持部9が設けられている。このセル保持部9内には、セル3を収容して固定し得る。セル3内には試料を収容して分離するための試料入れ5を設置し得る。
【0052】
試料入れ5は、円筒形のスペーサ7と、その一端に設けられた円盤状の試料設置板6と、その他端に設けられ、分離された試料を受ける試料受け板8とから構成され、セル3内において、試料受け板8が回転中心から遠い位置に、試料設置板6が回転中心から近い位置になるように設置される。
【0053】
まず、感光体と同等の表面保護層を表面に積層した感光体シートを作成する。付着力を測定するためには表面保護層が同等である必要があるが、表面保護層の化学的組成の違いによる付着力の差は小さいと考えられるため、必ずしも同組成である必要はない。感光体へのトナー付着を再現するためにCGL層、CTL層が感光体と同様に積層されたものを用いることができる。このシートをアルミ素管に巻きつけて感光層をGNDに接地し、感光体ドラム位置にセットして、トナーをシート表面に現像し、付着させる。
【0054】
トナーを付着させた感光体シートを試料受け板8の大きさにカットし、スペーサー7と接する側に両面テープで貼り付ける。
【0055】
試料設置板6、試料受け板8、スペーサ7の外周直径は例えば7mm、円筒形であるスペーサの厚みは例えば1mm、高さは例えば3mmである。アングルロータに設置した場合のセル3の回転の最小径Rminは例えば3.56cm、最大径Rmaxは例えば7.18cm、平均径Ravは例えば5.37cmである。
【0056】
試料設置板6の試料を貼り付けた側の裏側が回転中心を向くように、試料入れ5をセル3内に設置し、セル3をアングルロータ10のセル保持部9内にセットし、アングルロータ10を図示しない超遠心機に装着する。
超遠心機を例えば10000rpmで回転させたあと試料設置板6、試料受け板8を取り出し、それぞれに付着しているトナーをメンディングテープで剥離し、白紙に貼り付ける。このトナーが付着したテープの反射濃度をMacbeth濃度計にて測定する。
この濃度から分離したトナー量、及び分離しなかったトナー量を算出する。
また、超遠心機の回転数を100000rpmまで適当な間隔で、同様の操作を繰り返す。
【0057】
セル中に設置された試料がロータの回転によって受ける遠心加速度RCFは、
RCF=1.118×10−5×r×N2×g …(1)
r:サンプルセット位置の回転中心からの距離
N2:回転速度(rpm)
g:重力加速度
トナーが受ける遠心力は、トナー1粒の重さがmのとき、
F=RCF×m …(2)
m=(4/3)π×r3×ρ …(3)
r:真球相当半径
ρ:トナーの比重
で表される。
【0058】
各回転数のときトナーにかかる遠心力F=RCF×m …(2) に、 本発明では、夫々の回転数での分離トナー比率を掛け、すべて足したものをその現像剤におけるトナーと感光体との平均付着力とする。
なお、付着力にはトナーの帯電量が大きく影響するため、精度良く測定するためには実際のプロセスに即した付着のさせ方で測定サンプルを作成することが望ましい。
【0059】
本発明に使用される現像剤は、着色剤及びバインダー樹脂を含有するトナー粒子、及び必要に応じてトナー粒子表面に添加される添加剤を含有するトナーを含む。二成分現像剤の場合は、このトナーとキャリアが混合される。
【0060】
バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等を使用することができる。
【0061】
着色剤としては、カーボンブラック、縮合多環系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、無機顔料等公知の顔料、染料等を使用することができる。
【0062】
定着補助剤としてワックスを、また、帯電制御剤(CCA)などを例えばトナー粒子中に添加することができる。また、流動性を改善するために、トナー粒子表面に、添加剤として、例えばシリカ等の無機微粒子を添加することができる。
【0063】
トナー粒子は、粉砕法、及び重合法等の既知の製造方法にて製造することができる。
【0064】
本発明に使用する現像剤は、付着力分布を合わせる為、微粉及び粗大粉をカットして粒度分布をシャープに揃えることが望ましい。
【0065】
現像剤の体積平均粒径は4〜7μmであることが好ましい。
【0066】
2μm以下、及び10μm以上のトナー粒子は分級して除去することが望ましい。また、粒子の表面成分を均一にするため、粉砕法で製造する場合、混錬装置の温度ムラ及びストレスムラ等が発生しないよう製造条件を制御することが望ましい。また、現像剤中の成分の偏在を防ぐため、成分投入の分量及びタイミングを制御し得る。更に、上記添加剤の付着ムラを無くすため、粒子表面に1〜2層の添加剤粒子層ができる様に、添加剤粒径とトナー粒径から投入量を計算し、均一に付着させることが望ましい。
【0067】
また、更に、トナー帯電量分布を均一化するため、2成分現像剤においては、キャリア粒子と適量で混合することが望ましく、1成分現像剤においては、現像部内で帯電付与部材と現像剤との接触圧や形状を適度に設定することが望ましい。
【0068】
2成分現像の場合、使用されるキャリアは、例えばフェライト、マグネタイト、酸化鉄、及び磁性粉を混入した樹脂粒子等の磁性キャリアであり、表面の全部または一部に樹脂コートを施すことができる。
【0069】
図5ないし図8に、本発明の画像形成装置の一例を表す概略図を示す。
【0070】
図5に示すように、この画像形成装置20は、感光体11と、感光体11に対向して、順に設けられた、帯電装置12、露光部13,現像装置14,転写部15,及びクリーニング装置16を含む画像形成ユニットを有する。また、転写部15は、感光体11と対向して配置されており、搬送経路17の下流には定着部18が設けられている。さらに、クリーニング装置16から現像装置14へ搬送路24が設けられ、残留トナーを回収するためのリサイクル機構を成している。
【0071】
この画像形成装置20において、矢印aの方向に回転可能な感光体11には、帯電装置12例えばチャージャワイヤ、櫛歯型チャージャ、スコロトロン等のコロナ帯電器、接触帯電ローラ、非接触帯電ロータ、及び固体チャージャ等により、一様に例えば−500〜800Vの表面電位が付与されている。露光部13により感光体11上に静電潜像が形成される。露光部では、レーザー、LED等の光源を使用できる。なお、感光体11としては、例えばマイナス帯電のみならずプラス帯電の有機感光体層、アモルファスシリコン層等を使用することができる。感光体表面に形成される感光層は、電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層等が積層されても、一つの感光体層が複数の働きを兼ね備えていても良い。現像装置14は、例えばマグネットローラを内包した現像ローラ25を有し、例えば2成分現像剤を搬送する磁気ブラシ現像によって、静電潜像に例えば負帯電したトナーを供給し、顕像化し得る。現像ローラ25にはトナーを静電潜像に付着させるような電界を形成するために現像バイアスが印加される。トナーが感光体表面に均一・安定に付着するよう、現像バイアスには例えばDCにACを重量することができる。このとき使用される現像剤は、着色剤、及びバインダー樹脂を含有するトナーを含む。また、その現像剤は、その感光体11表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の粒子の占める割合が、現像剤全重量の3重量%以下である。
【0072】
現像装置14内では、トナーホッパー内にキャリアとトナーからなる2成分現像剤が例えば100g〜700g収められ、攪拌オーガ26によって現像ローラ25に搬送され、トナーの一部を現像によって失ったあと、現像ローラ25の剥離極位置で現像ローラ25から離れ、攪拌オーガ26により現像剤格納領域に戻される。現像剤格納領域には図示しないトナー濃度センサが取り付けられ、濃度センサが現像剤量の減少を検知すると、信号がトナーホッパーに送られて未使用のトナーが補給される。印字データの積算又は/及び感光体上現像トナー量の検知からトナー消費量を推定し、それをもとに未使用トナーの補給を行っても良い。また、センサー出力と消費量の推定の両方の手段を用いることもできる。
【0073】
現像装置14の下流では、感光体11に転写部材15が押し当てられ、搬送経路17と感光体11との間に、給紙部19から搬送された記録媒体例えば紙Pを介在させ、さらに、図示しない高圧電源により転写部材15に印加された例えば+300ないし5kVのバイアス電圧によって感光体11上のトナー像が紙に転写される。転写ニップを通過した紙Pは、定着器18へと搬送され得る。
【0074】
定着器18は、加熱ローラ21及び加圧ローラ22からなる一対のローラを有し、紙Pは、転写ローラ15と加熱ローラ21との間を、トナー像が加熱ローラ21と接触する状態で、通されることにより、紙P上に定着される。搬送経路17としては、例えば随所に配置された搬送ガイド等で形成される仮想搬送路、あるいは記録材を密着させて搬送し得るベルト状部材などがあげられる。
【0075】
トナー像を転写した後、転写ニップの下流で、感光体11上の残留トナーは、クリーニング装置16により除去され、除電手段23により除電が行なわれる。クリーニング装置16で除去された残留トナーは、図示しないオーガ等によって搬送路24内に送られて現像装置14内に回収される。
【0076】
なお、1成分現像方式を適用する場合、現像剤格納領域内にはトナーのみが格納され、搬送オーガ、中間搬送スポンジローラ等公知の構造によって現像ローラ表面に供給され、現像ローラ表面に圧着されたシリコンゴム、フッ素ゴム、金属ブレード等のトナー帯電部材によって摩擦帯電され、静電潜像を顕像化する。現像ローラは、導電性ゴム層を表面に持った弾性ローラもしくは表面にサンドブラスト等によって粗さを設けたSUS等の金属ローラなどで作られ、感光体と接触または規定のギャップを持って非接触で対峙し、感光体表面と速度差を持って回転している。トナーの静電潜像への付着を助けるため、現像ローラには現像バイアスが印加される。トナーが感光体表面に均一・安定に付着するよう、現像バイアスにはDCにACを重畳することができる。
【0077】
また、上記現像剤の代わりにトナー粒子の感光体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有する現像剤の占める割合が、現像剤全重量の5重量%以下である現像剤を使用することができる。
【0078】
さらに、トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の3重量%以下であり、かつ付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の5重量%以下である現像剤を使用することができる。
【0079】
図6は、本発明の画像形成装置の他の一例を表す概略図であって、クリーニング装置16及び搬送路24を持たず、現像装置14の代わりに、現像同時クリーニング機構を有する現像装置28が設けられ、さらに、転写部15と帯電装置12との間にメモリー攪乱部材27が設けられた画像ユニットを用いること以外は、図5と同様の構成を有する。また、使用される現像剤は、その感光体11表面に対する付着力分布において、付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の粒子の占める割合が、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0080】
なお、残留トナーを一旦回収し、現像器に回収させるために再び像担持体上に放出する、図示しない一時回収部材をさらに配置しても良い。メモリー撹乱部材及び一時回収部材には、その機能を効率的に果たすために、プラス又は/及びマイナスの電圧を印加することができる。
【0081】
図7は、本発明のカラー画像形成装置の一例を表す概略図を示す。
【0082】
このカラー画像形成装置50は、図6の画像ユニットと同様の構成を有し、各々、イエロー色現像剤、マゼンタ色現像剤、シアン色現像剤、及び黒色現像剤が収容される画像形成ユニット40Y,40M,40C,及び40Kを、その各転写部15Y、15M、15C、15Kが中間転写部材29を介して対向するように4段並べて配置し、二次転写部45、及び定着部18が、転写部15Kの下流に設けられた構成を有する。使用される各色の現像剤の感光体表面に対する付着力分布において、付着力の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0083】
また、図8は、本発明のカラー画像形成装置の他の一例を表す概略図を示す。
【0084】
このカラー画像形成装置60は、図6の画像ユニットと同様の構成を有し、各々、イエロー色現像剤、マゼンタ色現像剤、シアン色現像剤、及び黒色現像剤が収容される画像形成ユニット40Y,40M,40C,及び40Kを、その各転写部15Y、15M、15C、15Kが搬送部材30を介して対向するように4段並べて配置し、定着部18が、転写部15Kの下流に設けられた構成を有する。使用される各色の現像剤の感光体表面に対する付着力分布において、付着力の平均値の2.5倍以上の付着力を有する現像剤の占める割合は、現像剤全重量の1.5重量%以下である。
【0085】
以下、本発明の実施の形態を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0086】
実施例
以下のように4種のトナー及び2種のキャリアを作成した。
【0087】
トナーAの作成
ポリエステル樹脂28重量部、カーミン6B 7重量部、ライスワックス5重量部、カルナバワックス1重量部をYPK製ニーデックスにより混練してマスターバッチを作成し、疎粉砕後、ポリエステル樹脂58重量部、CCA1重量部を加えて混練、疎粉砕、微粉砕後、エルボジェット分級により8μm以上及び3μm以下をカットし、体積平均粒径5.3μmのトナー粒子を得た。
【0088】
得られたトナー粒子100重量部に対し、添加剤として、1次粒径20nmのシリカを3.5重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて添加し、トナーAを得た。
【0089】
キャリアαの作成
43μmの体積平均粒径を有する球形フェライトコアに、カーボンブラックを分散したシリコン樹脂コートを施し、表面抵抗7×108Ω/cm2のキャリアαを得た。
【0090】
トナーBの作成
スチレンモノマー65重量部、アクリルモノマー21重量部、ライスワックス6重量部、カーミン6B 7重量部、CCA 1重量部の割合で乳化重合法により0.5μm径の重合粒子を製造し、凝集、洗浄、及び乾燥させて、平均粒径5.4μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の球形度は0.96であった。このトナー粒子100重量部に対し、添加剤として、1次粒径25nmのシリカを2.7重量部、及び酸化チタン0.5重量部を添加し、トナーBを得た。
【0091】
トナーCの作成
トナーAにシリカを添加する前に、サフュージング処理を行うことにより、機械的球形化処理を施し、球形度0.97を有するトナー粒子を得た。その後、得られたトナー粒子100重量部に対し、1次粒径20nmのシリカ3重量部をヘンシェルミキサーにて添加して、トナーCを得た。
【0092】
キャリアβの作成
35μmの体積平均粒径を有する球形フェライトコアに、カーボンブラックを分散したフッ素樹脂コートを施し、1×109Ω/cm2の表面抵抗を有するキャリアβを得た。
【0093】
トナーDの作成
例えばアイソパー等の非極性炭化水素系溶媒中に、1次粒径20nmのシリカを4重量部添加して、よく分散させた分散液を用意した。この分散液に、凝集及び洗浄後の重合粒子を投入し、重合粒子表面にシリカ粒子を均一に付着させた。その後、浮遊シリカを除去して乾燥させ、トナーDを得た。
【0094】
実施例1
(1)トナーAとキャリアαの組み合わせ
上記トナーA 9重量部に対し、キャリアαを91重量部の混合比で混合して、現像剤を得た。
【0095】
得られた現像剤を、感光体表面に感光体と同様の感光層を形成したフィルムを巻いたこと以外は、図5と同様の構成を有する画像形成装置に適用し、帯電、露光、及び現像を行った。
【0096】
トナーが現像されたフィルムをそのまま取り出し、付着力分布を測定した。
【0097】
その結果を図9に示す。
【0098】
図9は、本発明に用いられる第1の付着力分布の一例を表すグラフを示す。
【0099】
このグラフは、トナーの付着力と、その付着力を有するトナーの加算重量比との関係を表す。
【0100】
図示するように、付着力の平均値は4.4×10−8(N)であった。また、その2.5倍は1.1×10−7(N)となる。1.1×10−7(N)未満の付着力を有するトナーの割合は約97.0重量%であった。1.1×10−7(N)以上の付着力を持つトナーの割合は残りの約3.0重量%であることがわかる。
【0101】
また、搬送部材の代わりに中間転写体を用い、記録媒体を供給しないこと以外は図5と同様に構成を有する画像形成装置を用意した。上記現像剤をこの画像形成装置に適用して、中間転写体に転写させ、転写特性として、残留トナー量を、感光体上に残留したトナーをテープにて剥離、それを白紙に貼って、その反射濃度をマクベス濃度計を用いて測定し、予め作成した濃度とトナー量の校正式に当てはめることにより測定した。
【0102】
得られた結果を図10に示す。
【0103】
図10は、バイヤス電圧と残留トナー量との関係を表すグラフ図を示す。
【0104】
図10から、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は3.0重量%であった。
【0105】
この装置と現像剤でライフ試験を行なったところ、100K枚まで行なってもトナー帯電量の変動などの不具合は許容範囲内で、リサイクルを行なうことによる不具合も発生しなかった。
【0106】
トナーA95重量部に対し、上記キャリアαを5重量部混合し、付着力分布と残留トナー量を測定したところ、平均付着力9.6×10−8(N)、その2.5倍は2.4×10−7(N)で、2.4×10−7(N)以上の付着力を持つ現像剤の割合は4.5重量部であり、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は4.2重量部であった。
【0107】
この現像剤を用いてライフ試験を行なったところ、トナー帯電量が徐々に増加して画像濃度が低下し、100K枚で初期の画像濃度1.5が1.35まで減少した。
【0108】
さらに、トナーAに対するキャリアαの混合比を変更すること以外は実施例1同様にして、付着力分布を変化させたいくつかの現像剤について、その付着力分布の平均値の2.5倍以上の付着力を有するトナー粒子の占める割合、残留トナー量を測定し、ライフ試験を行った。その結果を下記表1に示す。
【表1】
【0109】
(2)トナーBとキャリアαの組み合わせ
また、トナーBを、フェライトキャリアα 95重量部に対し、5重量部の混合比で混合して現像剤を作成した。この現像剤を用い、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。平均付着力は1.05×10−7(N)、その2.5倍は2.63×10−7(N)で、それ以上の付着力を有するトナーの割合は2.7重量部、最も転写効率の良い条件での残留トナー量は2.6重量部であった。
【0110】
この現像剤でライフ試験を行なったところ、100K枚まで行なってもトナー帯電量の変動などの不具合は許容範囲内で、リサイクルを行なうことによる不具合も発生しなかった。
【0111】
実施例2
(1)トナーCとキャリアβの組み合わせ
上記トナーC 11重量部に対し、キャリアβを89重量部の混合比で混合した現像剤を得た。
【0112】
得られた現像剤を、感光体表面に感光体と同様の感光層を形成したフィルムを巻いたこと以外は、図6と同様の構成を有する画像形成装置に適用し、実施例1と同様にして、付着力分布、残留トナー量を測定し、ライフ試験を行った。
【0113】
その結果、平均付着力1.04×10−7(N)、その2.5倍の付着力は2.6×10−7(N)であり、2.6×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は1.5重量部、また残留トナー量は1.4重量部であった。 また、この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、露光障害によるネガメモリーや、回収不良によるポジメモリーなどの不具合は発生しなかった。またライフ試験を行なったが100K枚でもメモリー画像の発生は見られなかった。
【0114】
(2)トナーD及びフェライトキャリアβの組み合わせ
トナーD11重量部をフェライトキャリアβ89重量部と混合した現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0115】
その結果、平均付着力1.04×10−7(N)で、その2.5倍の2.6×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は1重量部、残留トナー量は1.2重量部であった。
【0116】
また、この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、露光障害によるネガメモリーや、回収不良によるポジメモリーなどの不具合は発生しなかった。またライフ試験を行なったが100K枚でもメモリー画像の発生は見られなかった。
【0117】
(3)トナーAとキャリアαの組み合わせ
トナーA 9重量部とキャリアα 91重量部を混合して現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0118】
その結果、平均付着力4.4×10−8(N)で、その2.5倍の1.1×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は3.1重量部、残留トナー量は3.0重量部であった。
【0119】
この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、残留トナーが次の画像の露光を阻害して画像部の電位が落ちきらず、ネガメモリーとなって表出した。
【0120】
また、この装置でライフ試験を行なったところ、像担持体の表面劣化と共に残留トナーの回収効率が落ち、80K枚で残留トナーを回収しきれなくなり、次の画像に転写されてしまういわゆるポジメモリーが現れた。
【0121】
(4)トナーBとキャリアαの組合せ
また、トナーB 5重量部をキャリアα 95重量部と混合して作成した現像剤を作成し、これを用いて、同様に付着力分布と残留トナー量を測定した。
【0122】
その結果、平均付着力1.05×10−7(N)で、その2.5倍の2.63×10−7(N)以上の付着力を有するトナーの割合は2.7重量部、残留トナー量は2.6重量部であった。
【0123】
この現像剤を用いて、同様に画出しを行なったところ、初期においてネガメモリーがわずかながら発生し、また90K枚でポジメモリーが発生した。
【0124】
図11に、トナーD 11重量部にキャリアβ 89重量部を混合した現像剤について、そのバイヤス電圧を変更することにより残留トナー量を変動させた場合について、その残留トナー量とネガメモリーとの関係を表すグラフを示す。
【0125】
なお、ネガメモリーは、残留トナーのある部分と無い部分との画像濃度差を測定することにより求めた。
【0126】
図示するように、残留トナー量の増加と共にネガメモリーが増加する。
【0127】
画像濃度差は0.01以下であれば濃度差として視認されることが無いことから、残留トナー量は1.5重量部以下であることが望ましいことがわかる。
【0128】
実施例3
(1)トナーBとキャリアαの組合せ
トナーBを、フェライトキャリアα 95重量部に対し、5重量部の混合比で混合した現像剤を用いて実験例1と同様にして、付着力分布と残留トナー量を測定した。像担持体との平均付着力は1.05×10−7(N)であった。その20%は2.1×10−8(N)であり、2.1×10−8(N)以下の付着力を有するトナーの割合は7重量部であった。
【0129】
また、搬送部材の代わりに中間転写体を用い、記録媒体を供給しないこと以外は図5と同様に構成を有する画像形成装置を用意した。上記現像剤をこの画像形成装置に適用して、帯電、露光、及び現像を行い、感光体上の現像剤像と、中間転写体に転写させたそのままの状態の画像周辺のチリの度合いを各々計測した。ここでは、CCDカメラにて、1.5μm/1画素、1200画素長さ=1.8mmのライン画像を電子データとして取り込み、2値化してそのエッジ部分のトレース線の長さを計測し、直線長さとの比率を算出した。トナーが画像周辺に散っているほどトレース線は長くなり、直線長さとの比率が大きくなる。
【0130】
このトレース線比率は、感光体上現像トナー像では1.20だったが、中間転写体上では1.27であり、若干の悪化に留まり、良好なレベルであった。
【0131】
(2)トナーCとキャリアβの組合せ
トナーC11重量部をキャリアβ89重量部と混合して作成した現像剤において、像担持体との平均付着力は1.035×10−7(N)、その20%である2.07×10−8(N)以下の付着力を有するトナーの割合は10重量部であった。
【0132】
この現像剤を用いて、同様に、画像周辺のチリの度合いを計測した。
【0133】
その結果、トレース線比率は感光体上で1.20だったところ、中間転写体上では1.33であり、若干の悪化はあるがやはり良好なレベルであった。 平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合と、転写前後のトレース線比率からわかるトナーのチリの度合いとの関係を表すグラフを図12に示す。
【0134】
図中、101は、感光体上のチリの度合い、102は、中間転写体上のチリの度合いである。
【0135】
図示するように、平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合が増加すると、チリも悪化することがわかる。
【0136】
感光体上の画像をチリ量1.2程度と非常に少ないシャープな画像として作像しても、転写によってトナーが散り、シャープさが失われる度合いが、弱い付着力を持つ現像剤の割合と高い相関があることがわかった。中間転写体上のチリの度合いが1.35程度であれば、更に、紙上に転写した場合でもチリの増加は許容範囲内で収まると考えられ、平均付着力の20%以下の付着力のトナー量を10重量部以下にすることで、散りの少ない鮮鋭な画像が得られた。
【0137】
実施例4
トナーD 11重量部とキャリアβ89重量部の混合比で混合した現像剤を用意した。
【0138】
得られた現像剤を用いて、実施例1と同様にして、感光体との付着力分布を測定した。その結果、平均付着力1.04×10−7(N)、その20%に相当する2.1×10−8(N)以下の付着力を持つトナーの割合は5重量部であった。
【0139】
この現像剤を、図8と同様のカラー画像形成装置の第1の画像形成ユニットに搭載し、残留トナー量1.2%となる転写条件にて、第2の画像形成ユニットの感光体への逆転写量を計測したところ、1.8重量部であった。
【0140】
第2の現像剤の色の印字率に対して、第1の現像剤の色の印字率が4倍、すなわち逆転写による混入量に対して印字によって排出される量が非常に少ない場合を想定したとき、例えば第1の現像剤の色がイエロー、第2の現像剤の色がシアンのとき、混色による色差の変化は、逆転写量が2重量部であれば、10以内に収まることが実験によりわかっている。このため、1.8重量部は許容範囲内である。
【0141】
このシミュレーション条件は、様々な印字装置の使い道を考慮した結果、最も混色・色変動にとって厳しいと思われる条件について検討したものである。
【0142】
平均付着力の20%以下の弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量とを様々の現像剤を用いて測定したところ、図13のような結果となった。
【0143】
図13に、弱い付着力を持つトナーの割合と逆転写量との関係を表すグラフを示す。
【0144】
図示するように、弱い付着力を持つトナーの割合が増加すると、逆転写量も増加しすることが認められた。
【0145】
混色による色変動の許容範囲が逆転写量2重量部以下という我々の検討結果より、弱い付着力をもつトナーの割合は5重量部以下に制御すればよいことが判った。
【符号の説明】
【0146】
11…像担持体、14…現像部、15…転写部、16…クリーナー、28…現像同時クリーニング機構を有する現像装置、20…画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像にトナー粒子を供給し、該トナー粒子を該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である画像形成装置。
【請求項2】
複数の像担持体と、各担持体に形成された各静電潜像に異なる色のトナー粒子を各々供給し、該トナー粒子を各々該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に異なる色の現像剤像を各々形成するための複数の現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である画像形成装置。
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像にトナー粒子を供給し、該トナー粒子を該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に現像剤像を形成するための現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である画像形成装置。
【請求項2】
複数の像担持体と、各担持体に形成された各静電潜像に異なる色のトナー粒子を各々供給し、該トナー粒子を各々該像担持体表面に付着させ、該像担持体上に異なる色の現像剤像を各々形成するための複数の現像部、該現像剤像を中間転写部材に転写するための一次転写部、及び該中間転写部材上に転写された現像剤像を記録材に転写するための二次転写部を具備する画像形成装置であって、
前記トナー粒子の該像担持体表面に対する付着力分布において、該付着力分布の平均値の20%以下の付着力を有するトナー粒子の占める割合は、該トナー粒子全重量の10重量%以下である画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−191774(P2011−191774A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102772(P2011−102772)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2006−120906(P2006−120906)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2006−120906(P2006−120906)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]