画像形成装置
【課題】 環境変動の影響を抑えて、精度良くトナーの残量検知を行なう。
【解決手段】 トナー供給ローラの発泡層に含まれるトナー量に差が現れるシーケンスを設け、静電容量の差分を検出することによって、現像器内のトナー残量測定を行う。
【解決手段】 トナー供給ローラの発泡層に含まれるトナー量に差が現れるシーケンスを設け、静電容量の差分を検出することによって、現像器内のトナー残量測定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体と、トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材とを備えた現像装置を有する画像形成装置において、前記トナー担持体が備える電極部材と前記トナー供給部材が備える電極部材との間の静電容量を検知する検知機構を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置などの画像形成装置に用いられる現像装置に収容されているトナーの残量を検出する方法として、現像装置内に設けられた2つの電極間の静電容量を検知することで、現像剤残量に関する情報を得る静電容量検知方式がある。
【0003】
特に、トナー担持体としての現像ローラと、トナー供給部材としての発泡層を有する供給ローラとを有する現像装置を用いる場合には、特許文献1に記載のように、現像ローラのシャフトと、供給ローラのシャフトとの間の静電容量を検知することで、トナー残量に関する情報を得る方法がある。この方法では、現像装置のトナー残量と、上記シャフト間の静電容量との間に相関関係があるため、静電容量を検知することでトナー残量を測定することが可能である。
【0004】
また、現像装置に設けられた静電容量を検知することでトナー残量を測定する画像形成装置においては、温度・湿度環境が変化すると静電容量が変化してしまうため、トナー残量の測定精度が落ちて、トナー残量が所定量を下回ったことやカートリッジの交換時期をユーザーに精度良く報知することができない場合がある。このような環境変化の影響を低減するには、引用文献2に記載のように、例えば温度センサや湿度センサを設けることで、報知タイミングを補正することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9035公報
【特許文献2】特開2002−132038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような、トナー担持体が備える電極部材とトナー供給部材が備える電極部材との間の静電容量を検知する構成を持つ画像形成装置においては、温度・湿度環境が変化すると静電容量が変化してしまうため、トナー残量を精度良く検知することができない場合があった。このような環境変化の影響を低減するために、特許文献2に記載のように、温度センサや湿度センサを設けると、配置上の制約が生じて設計上の自由度が下がると共にコストも増加する。
【0007】
そこで本出願に係る発明の目的は、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いなくともトナー残量を精度良く検知することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記トナー供給部材を回転して前記発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有し、該期間の前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C1を検出し、該期間の後で前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C2を検出し、前記静電容量C1と前記静電容量C2との差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを複数回実行する手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本出願に係る第2の発明は、開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、前記現像装置を交換可能に装着するための装着部と、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量の減少率が所定値を下回るまで前記トナー供給部材を回転させながら前記静電容量を3回以上検出する検出モードを実行する実行手段と、前記検出モードにより検出した前記静電容量のうち、最も小さい静電容量CLと最も大きい静電容量CHとの差に基づいて前記容器内のトナー量を検知する検知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いなくともトナー残量を精度良く検知することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像形成時における現像装置の概略構成図である。
【図3】実施例1における高精度検出モード実行までのフローチャートである。
【図4】実施例1におけるトナー残量測定装置のブロック図である。
【図5】供給ローラ内のトナー量と静電容量の関係を表す図である。
【図6】実施例1における高精度検出モードのフローチャートである。
【図7】実施例1におけるトナー残量とΔCの関係図である。
【図8】高精度検出モードの結果判断するフローチャートである。
【図9】次回高精度検出モードを実行するタイミングの決定方法を表す図である。
【図10】各電位差で測定した静電容量を表す図である。
【図11】(A)各環境・電位差における静電容量とトナー残量との関係を表す図である。(B)各環境における、電位差を変えた時の静電容量の差分値とトナー残量との関係を表す図である。
【図12】実施例2の画像形成装置の1例を示す概略図である。
【図13】実施例2における高精度検出モードのフローチャートである。
【図14】実施例2おける高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図15】(A)実施例1および実施例2における、トナー残量と静電容量差分値の関係を示すグラフである。(B)実施例1および実施例2における、各電位差のトナー残量と静電容量との関係を表すグラフである。
【図16】実施例2におけるロータリ回転とトナーの動きを表す図である。
【図17】現像装置が画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着されることを表す図である。
【図18】実施例3における高精度検出モードのフローチャートである。
【図19】速度ごとの静電容量を表す図である。
【図20】(A)各環境・速度における静電容量とトナー残量との関係を表す図である。(B)各環境における、速度を変えた時の静電容量の差分値とトナー残量との関係を表す図である。
【図21】実施例4における高精度検出モードのフローチャートである。
【図22】実施例4おける高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図23】(A)実施例3および実施例4における、トナー残量と静電容量差分値の関係を示すグラフである。(B)実施例3および実施例4における、各速度のトナー残量と静電容量との関係を表すグラフである。
【図24】実施例5の画像形成装置に用いられる現像装置の模式図である。
【図25】現像装置の、画像形成時の姿勢における供給ローラ周りのトナーの動きを表す図である。
【図26】現像装置の姿勢ごとの供給ローラ周りのトナーの動きを表す図である。
【図27】実施例5における高精度検出モードのフローチャートである。
【図28】実施例5における現像装置の姿勢ごとの静電容量を表す図である。
【図29】高温高湿環境と低温低湿環境における、現像装置の姿勢ごとの静電容量の関係を表す図である。
【図30】供給ローラの高速回転時と低速回転時における、現像装置の姿勢ごとの、トナー残量に対する静電容量の関係を表す図である。
【図31】実施例6における高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図32】実施例6における高精度検出モードのフローチャートである。
【図33】実施例6におけるトナー残量に対する静電容量差分値ΔCの関係図である。
【図34】実施例7における高精度検出モードのフローチャートである。
【図35】実施例7における高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図36】実施例7おける供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【図37】吸い込みモードおよび吐き出しモードについて、トナー残量に対する供給ローラ内のトナー含有量を表す図である。
【図38】実施例7における供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【図39】H/H、L/L環境における容器内トナーごとの静電容量の関係を表す図である。
【図40】実施例8の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図41】実施例8における高精度検出モードのフローチャートである。
【図42】実施例8における静電容量の安定・不安定を判断するフローチャートである。
【図43】実施例8における供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0013】
本実施例の画像形成装置の構成を図1に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラムは矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置,4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。現像装置5は負の正規帯電極性(静電潜像を現像するための帯電極性。本実施例では負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。)をもつブラックトナーを内包している。感光ドラム1の下部には、転写ローラ6が配置されている。転写後の転写材Pは定着器15に送られる。転写位置に対して感光ドラムの移動方向下流にはクリーニング装置9が設置されている。付属のブレードが感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
【0014】
画像形成装置の画像形成動作について説明する。コントローラ部70が所定の制御プログラムや参照テーブルに従って以下の画像形成動作を統括的に制御する。まず、矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3,反射ミラー4により色毎の画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置5で現像し、トナー像を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写位置Bにて転写材Pに転写する。トナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のトナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
【0015】
現像装置5について図2を用いて詳細に説明する。現像装置5は、トナーを収容するトナー容器21、トナー容器21の開口部に配置された回転可能なトナー担持体たる現像ローラ25、及び現像剤規制部材たる規制ブレード27、トナー容器21の内部に現像ローラ25と接触して設けられ、現像ローラにトナーを供給する回転可能なトナー供給部材たる供給ローラ24からなる。
【0016】
現像ローラ25は、現像動作中は感光ドラム1と接触した状態で回転する。現像ローラと供給ローラは第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置本体に設けられたカム20が回転してトナー容器21上部を押すことで、トナー容器21が揺動中心軸30を回転軸として回転し、現像ローラが感光ドラムから離間する。離間後、駆動装置Pによって、回転駆動を停止している。
【0017】
現像ローラ25は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第1の電極部材としてのφ8(mm)の導電性シャフト25aと、その周囲に形成したシリコーンゴムを基層とした導電性弾性層25bからなる。表層にはアクリル・ウレタン系ゴム層がコートされている。現像ローラ25の外径はφ13(mm)、体積抵抗は約10E5Ω・cmである。現像動作中において、現像ローラ25は、前述の現像位置Cで感光ドラム1に接触し、図2中の矢印R4方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、現像ローラの回転速度(周速)は160mm/secである。現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態において、電圧印加手段としての直流電源からシャフト25aに直流電圧を印加可能な構成となっている。なお、現像ローラ25は、後述する静電容量を検知するために第1の電極部材を有していれば良く、例えば現像ローラ25の表面に導電性のスリーブを有し、スリーブを第1の電極部材として用いてもよい。
【0018】
供給ローラ24は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第2の電極部材としてのφ6(mm)の導電性シャフト24aと、その周囲に形成した柔らかい連続気泡体からなる発泡層たるウレタンスポンジ層24bから構成される。供給ローラ24の外径はφ15(mm)、体積抵抗は約10E8Ω・cmである。本実施例では、現像ローラ25のシャフト25aの中心と供給ローラ24のシャフト24aの中心との距離(以下、中心間距離)を13mmとし、現像ローラ25の表面が供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bを、1.0mmほどの侵入量で押し込むように設置する。ここで侵入量とは、供給ローラ24の外形と現像ローラ25の外径の和を2で割ってから上記中心間距離を差し引いた長さである。
【0019】
供給ローラ24は、図2中の矢印R5方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、供給ローラの回転速度(周速)は、140mm/secである。現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態において、電圧印加手段としての直流電源から第2の電極部材に直流電圧を印加可能な構成となっている。ただし、後述するように、供給ローラに印加する直流電圧は複数段階に切り替えることが可能である。供給ローラに印加する直流電圧は、本体に設けられた電圧制御手段によって電圧制御され、必要なタイミングでその電圧を切り替える。
【0020】
規制ブレード27は、可撓性を持ったリン青銅板金から成り、一端をトナー容器21に固定し、他端を自由端としている。この規制ブレード27は、現像ローラ25に当接している。規制ブレード27は、現像ローラ25の回転方向に対してカウンタ方向となる向きで、自由端近傍の平滑面が現像ローラ25の表面と摺擦するように配設されている。
【0021】
その他、現像ローラ25とトナー容器21の隙間を覆う洩れ防止シール26が設けられている。また、現像装置5は、図17に示すように、装着部40に対して取り外し可能に装着されている。
【0022】
ここで、供給ローラ24と現像ローラ25がそれぞれ所定の速度で回転している際の、供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bとその周りのトナーの挙動について述べる。供給ローラ24と現像ローラ25の接触位置に対して、供給ローラ24の回転方向上流側にある領域(図2中のXの近傍)で供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bが圧縮され、回転方向下流側にある領域(図2中のYの近傍)で圧縮状態から開放される。ここで、X近傍においては、供給ローラ24が圧縮されるために、供給ローラ24に吸い込まれていたトナーが空気と共に吐き出される。
【0023】
逆に、Y近傍においては、供給ローラ24が圧縮状態から開放され元の形状に戻る際に、空気中に分散されたトナーが供給ローラ内に吸い込まれていく。このように、ウレタンスポンジ層24bに対するトナーの出入りがスムーズに行われることで、供給ローラ24の近傍に堆積している粉流体としてのトナーの圧力と供給ローラ24内の粉流体としてのトナーの圧力が均衡し、供給ローラ24内部に保持されるトナー量と、現像剤容器内のトナー総量との間に一定の相関関係が現れる。よって、供給ローラ24のシャフト24aと現像ローラ25のシャフト25aとの間の静電容量は、単に供給ローラ24内部に保持されるトナー量を示すだけでなく、現像剤容器内のトナー総量を推測することができる(特許文献1参照)。なお、トナーの出入りは主に供給ローラ24の回転時に起こり、回転停止後の供給ローラ24は回転中のトナー量を保持している。この状態で現像装置5を移動する、姿勢を変えるなどしても供給ローラ24内部に保持されるトナー量はほとんど変化せず、無視できる程度である。
【0024】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。本実施例では、トナー残量が多いときは、露光手段の発光するピクセル数をカウントすることのできるピクセル計数手段(ピクセルカウンター)を用いて、大まかなトナー使用量を推定する(以下ピクセルカウント方式と称す)。ある画像を現像するのに要するトナー量は、露光手段の発光するピクセル数におおよそ比例するため、ピクセルカウント方式では、1ピクセルカウントあたりのトナー使用量を本体メモリに記憶しておき、その値とピクセルカウンターでカウントされた発光ピクセル数との積算値からトナー使用量を推定する。積算値は、現像装置に設けられた記憶手段に記憶される。
【0025】
そして、トナー残量が比較的少なくなってきたら、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知するために、静電容量を用いた高精度検出モード(後で詳述)を実行する。なお「トナー切れ」とは、現像装置内にトナーが全く無い状態を指すのではなく、維持したい水準の画像品質を維持することが難しくなるようなトナー残量を指し、適宜設定される量である。以降「トナー切れ」を上記の意味で用いることとする。
【0026】
以下、トナー残量測定のフローを、図3を用いて具体的に説明する。
画像形成時に、ピクセルカウントを計測する(S002)。画像形成動作終了時に、計測したピクセルカウントを積算し積算値Pcountを算出する(S003)。次に、積算値Pcountが所定値Pthに到達しているかを判断(S004)し、到達していると判断したときには上記静電容量を用いたトナー残量測定シーケンス(高精度検出モード)を起動させる(S005)。到達していないときには、PcountがPth以上になるまで通常の画像形成を継続する(S006)。
【0027】
本実施例では、1回目の高精度検出モードの実行タイミングを、以下のように設定している。トナー切れのときに達するであろうピクセルカウント積算値P0%に対して20%少ない積算値をPthとした。(式1を参照)
Pth=P0%×0.8 ・・・・式1
このように、トナー切れ時のトナー残量よりも多いトナー残量のところで1回目の高精度検出モードの実行タイミングを設定している理由は以下である。トナー使用量のばらつきによってピクセルカウントで推測するトナー残量にはばらつきが生じる。このばらつきを考慮して、濃度薄画像や白抜け画像の発生前に確実に高精度検出モードを実行する必要がある。そのため、ピクセルカウントでトナー切れと推定するよりも若干早いタイミングで高精度検出モードを実行している。
【0028】
また、1回目の高精度検出モード実行後は、後述する算出方法によって、Pthを再計算して設定し、Pcountが新たに設定されたPthに達したときに、次の高精度検出モードを実行するようにしている。このようにすることで、少ない高精度検出モードの実行回数でトナー切れを検知することが可能となる。
【0029】
なお、本実施例では、トナー残量が多い時期には、大まかなトナー残量を短時間で推測するためにピクセルカウント方式を用いた。しかし、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では高精度検出モードを実行すればよく、ピクセルカウント方式は必須ではない。例えば画像形成を所定枚数行うごとに高精度検出モードを実行してもよいし、他のトナー残量測定方式によって高精度検出モードの起動タイミングを決めても良い。
【0030】
次に、高精度検出モードを実行する上で必要な、静電容量測定方法について説明する。まず、図4に示すように供給ローラ24のシャフト24a(第2の電極部材)に交流電源から所定の交流電圧を印加して、現像ローラ25のシャフト25a(第1の電極部材)に誘起される電圧からシャフト間の静電容量を検知する。
【0031】
(シャフト25aに交流電圧を印加して、シャフト24aに誘起される電圧からトナー残量測定を行うことも可能だが、現像ローラと感光ドラムとが対向して配置されているため、シャフト25aに交流電圧を印加するとトナーが感光ドラムに付着してしまう恐れがある。一方、供給ローラは感光体ドラムと対向していないので、供給ローラに交流電圧を印加した方が、感光ドラムにトナーが付着しにくいという点で望ましい。)また、静電容量の検知を行う際は、感光ドラムと現像ローラ25が離間し、現像ローラ25の回転が停止した状態で行っている。
【0032】
これは、検知する静電容量に対して感光ドラムが与える影響を低減できることと、現像ローラ25を停止してから静電容量検知を行った方がより安定した出力が得られるためである。ただし、温度・湿度環境の影響を低減するという本発明の効果を得る上では、静電容量検知時において、感光ドラムと現像ローラを離間させることも、現像ローラの回転を停止することも必須ではない。図4に示すように、シャフト24aに検知用の交流電源が、シャフト25aに検知回路が接続される。静電容量検知用の交流電圧は、周波数50KHz、ピーク間電圧Vpp=200Vとした。静電容量に対応してシャフト25aから検出される誘起電圧値を検知することで静電容量が検知される。本実施例では、シャフト25aに誘起される交流電圧は、検知回路で整流され、整流された直流電圧を検知することで静電容量が検知される。
【0033】
なお、シャフト25aとシャフト24aとの間の静電容量と供給ローラ内のトナー量とは、図5に示すような相関関係を有する。トナーの誘電率は空気に対して3倍前後であるため、供給ローラ内のトナー量が増えるほどシャフト25aとシャフト24aの間の静電容量も増加する。
【0034】
以下に、図6を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードについて説明する。コントローラ部70は、高精度検出モードにおいて以下の制御を行うことで、実行手段として機能する。
【0035】
現像装置がPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを開始する(S005、S100)。最初に、現像ローラ25および供給ローラ24に対して、駆動装置Pにより駆動力を伝達可能な状態にする(S101)。次に、電圧印加手段としての直流電源によりシャフト25aとシャフト24aとの間に第1の直流電圧を印加しながら、供給ローラを第1の所定時間回転させる(S102)。第1の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVa=−500V、シャフト25aの電位Vb=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV1=Va−Vb=−200Vとした。
【0036】
第1の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。第1の所定時間回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S103)。その後第1の静電容量C1を測定する(S104)。
【0037】
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S105)、電圧印加手段としての直流電源によりシャフト25aとシャフト24aとの間に第2の直流電圧を印加しながら、現像ローラ25および供給ローラ24を第2の所定時間回転させる。この回転により、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量が増加する(S106)。ここで、第2の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVc=−100V、シャフト25aの電位Vd=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV2=Vc−Vd=+200Vとした。
【0038】
第2の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。第2の所定時間回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S107)。その後、第2の静電容量C2を測定する(S108)。
【0039】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7のようになる。トナー残量測定は、とくにトナー切れのタイミングを精度良く検知する必要があるため、トナー残量がある程度減っている状態で測定した。したがって、図7におけるトナー残量の「多い」「少ない」は、トナー残量がある程度減っている状態の中での相対的な表現である。(なお、後出の他図においても「多い」「少ない」は同様の意味で用いた。)図7によると、ΔCとトナー残量は相関関係があることがわかる。トナー残量が多いところではΔCが大きいが、トナー残量が少なくなるにしたがってΔCが小さくなる。したがってΔCを計測することで、この相関関係を利用することにより、トナー残量を測定することが可能となる。
【0040】
図8に、ΔCを算出した後のコントローラ部70の動作を示す。ΔCを算出し(S201)、ΔCが閾値ΔCth以下であるかを判断する(S202)。ΔCが閾値ΔCth以下であるとき(S202Yes)、トナー切れを報知する報知信号を形成する(S203)。すなわち、コントローラ部70が報知信号形成手段70aとして機能する。
【0041】
一方、ΔCがΔCth以下に達していないときには(S202No)、ΔCとΔCthの差分ΔDを算出し(S204)、Pthを再設定する(S205)。新たに設定されたPthに到達するまで画像形成を継続する(S206)。(図3のS000もしくはS001に戻る。)Pthに到達した際に、2回目の高精度検出モードを実行する。
【0042】
次にΔDからPthを再設定する方法について説明する。トナー残量とΔCの関係は図9のような関係になる。この関係から予め近似直線を算出しておき、画像形成装置本体の記憶手段にこの近似直線データを記憶しておく。ΔDと予め記憶された近似直線データからトナー切れに達するまでに使用可能なトナー量Xgを算出する。そのトナー量Xgを使用するときに、積算されると想定するピクセルカウントPxを算出する。今までのPthにPxを足した値であるPth’を新たなPthとして再設定する。再設定されたPthにピクセルカウント積算値が達したときに、2回目の高精度検出モードを実施する。その後も、ΔCがΔCth以下に達していないときには、S200からS202、そして、S204からS206までのフローを繰り返し、ΔCがΔCth以下になるまでこの動作を繰り返す。
【0043】
ここで、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラのシャフトと現像ローラのシャフトとの間に印加する直流電圧の電位差ΔVによって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量とΔV=−200、+200Vの電位差で回転させたときの供給ローラ内のトナー含有量を図10に示す。ΔV=+200Vの時の方がΔV=−200Vの時よりも多くトナーを含有していて、特に、容器内トナー量が多い時には、その差が大きい。容器内トナー量が少なくなるにつれて、ΔV=−200、+200Vともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、ΔV=−200VとΔV=+200Vでほぼ同じトナー含有量を示している。
【0044】
本発明者らの観察結果から、ΔV=−200Vの方が、図2に示したx部でのトナーの吐き出しが多くなっていることがわかった。また、ΔV=+200Vでは、負の正規帯電極性を有するトナーは、ΔV=−200Vの時と比較して、現像ローラと供給ローラの間の電界により供給ローラ側に引き寄せられる。そのため、ΔV=+200Vではx部からのトナーの吸い込みがあるものの、ΔV=−200Vになるとトナーは電界により供給ローラから吐き出す力が強くなるため、x部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、ΔV=−200Vで回転させたときの方が、供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0045】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したy部のトナーが減っていることが観察された。y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はy部のトナーの状態が大きく影響するため、電位差ΔVによらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図10のようになり、その差分をとると図7のような結果となる。
【0046】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図11(A)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各電位差の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。これは、トナーや供給ローラの発泡層が吸湿すること、温度によって抵抗が変化すること等が原因と考えられる。しかし、各電位差の静電容量の差分を測定すると、図11(B)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、供給ローラと現像ローラに印加する直流電圧の電位差ΔVを変えても同程度の影響である。
【0047】
そのため、残量検知のパラメータとして各電位差で図った静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の高精度検出モードを用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0048】
なお、本実施例では、高精度検出モードにおいて、第1の直流電圧印加時においてΔV1=−200Vとし、その後に印加する第2の直流電圧印加時においてΔV2=+200Vとした。これは、ΔV2=+200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了することで、ΔV2=−200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了するよりも、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態で現像を開始することが可能となるためである。
【0049】
すなわち、ΔV1−ΔV2すなわち(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、第1の直流電圧および第2の直流電圧を印加することで、逆極性の場合よりも、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、上記したΔV1―ΔV2とトナーの正規帯電極性との関係を満たすことは必須ではない。
【0050】
また、本発明で第1の直流電圧、第2の直流電圧として用いた値は、これに限られるものではなく、適宜選択すればよいが、前述したように、ΔVが互いに異なる電圧を用いることでトナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化するため、同一の電圧を用いるものは本実施例に含まない。また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに同じである必要もない。
また、本実施例では、第1の直流電圧印加時と第2の直流電圧印加時とで、現像ローラのシャフト25aの電位を固定して供給ローラのシャフト24aの電位を複数段階に切り替えたが、シャフト25aとシャフト24aの間の電位差を変化させれば良く、シャフト25aの電位を切り換えてもよい。
【0051】
(実施例2)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0052】
本実施例の画像形成装置の構成を図12に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラムは矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置,4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。
【0053】
5a、5b、5c、5dは負の正規帯電極性をもつイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーをそれぞれ内包した現像装置である。各現像装置の内部構成は同じであるので、特に内包されているトナーを区別しない場合は、各現像装置の呼称を区別せず、現像装置5として以下説明する。全ての現像装置5は、装着部たるロータリ・ドラム50上の装着部にそれぞれ取り外し可能に装着されるカートリッジとして構成されている。ロータリ・ドラム50は、現像装置5を装着した状態で回転自在に支持され、所望の現像装置(例えば現像装置5a)を感光ドラム1に対向・接触する現像位置Cに回転移動することができる。
【0054】
感光ドラム1の下部には、中間転写体たる転写ベルト16が複数のローラに架張されて、図12のR3方向に回動するように配置されている。感光ドラム1と転写ベルト16が押圧・接触する1次転写位置Bには、転写ベルト16を感光ドラム1と挟むように1次転写ローラ17が配置されている。転写ベルト16を架張しているローラの1つ16bには、転写ベルト16を挟むように2次転写ローラ18が配置されている。2次転写ローラ18は転写ベルト16に対し、当接/離間できるように構成されている。
【0055】
16bは2次転写ローラ18に対して2次転写対向ローラと呼ばれる。2次転写ローラ18が当接/離間される位置は、2次転写位置Dと呼ばれる。2次転写位置Dでは後述するように、搬送されて来た転写材P上に画像を転写する。転写後の転写材Pは定着器15に送られる。
【0056】
2次転写位置Dに対し、転写ベルト16の移動方向下流には転写クリーニング装置19が設置され、クリーニング装置19に付属のブレードが転写ベルト16上のトナーが掻き落とせるように、転写ベルト16に接触配置されている。感光ドラム1に対しても同様に、1次転写位置Bに対して感光ドラム1の移動方向下流には感光体クリーニング装置9が設置され、付属のブレードが感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
【0057】
画像形成装置の画像形成動作について説明する。矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3,反射ミラー4により色毎の画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置5で現像し、トナー像を形成する。現像位置Cに設置される現像装置5は、色毎の画像信号に応じて定められており、予め、ロータリ・ドラム50を矢印R2方向へ回転させて所望の色の現像装置5を現像位置Cに設置する。現像されるトナー像の色順も決まっており、本実施例ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に形成する。
【0058】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写位置Bにて中間転写ベルト16上に転写される。転写されトナー像上に次に形成したトナー像を順次重畳することで、フルカラートナー像を中間転写ベルト16上に形成する。
2次転写ローラ18はフルカラートナー像が形成されるまでは転写ベルト6から離間され、形成された後に転写ベルト16に当接される。形成されたフルカラートナー像が2次転写位置Dに到達するタイミングに合わせて転写材Pが搬送される。2次転写ローラ18と2次転写対向ローラ16bは、転写材Pを転写ベルト16と共に挟み込んでフルカラートナー像を転写材P上に転写する。フルカラートナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のフルカラートナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
【0059】
実施例2で用いている現像装置5は、実施例1で用いた現像装置と同構成であり、使用している現像ローラ、供給ローラも同じ構成である。画像形成時における現像ローラの周速は160mm/sec、供給ローラの周速は140mm/secである。また、本実施例でも、実施例1と同様に直流電源から供給ローラに印加する直流電圧は複数段階に切り替えることが可能となっている。
【0060】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。基本的な、トナー残量測定の方法は実施例1と同じであることから、本実施例における特徴的な部分についてのみ後述する。本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qによって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を検知位置Eまで移動させて測定を行なう。検知位置Eとは、図12中の5cで表された現像装置の位置である。検知位置Eでは、図示しない電極端子によってシャフト24aに検知用交流電源が、シャフト25aに検知回路が接続される。
【0061】
検知位置Eでは、供給ローラ周囲のトナーが自重落下し、供給ローラ近傍のトナーの影響を少なくできる。そのため、検知時に供給ローラ近傍のトナーによる外乱を受にくく、供給ローラ内に含有されるトナーの量をより正確に測定できることとなる。
【0062】
また、本実施例においても実施例1と同様に、露光手段の発光割合を算出するため、ピクセルカウント計数手段(ピクセルカウンター)を設けており、各現像装置のピクセルカウント積算値を算出し、大まかなトナー使用量を推定している。ピクセルカウント積算値は、各現像装置に設けられた記憶手段に記憶される。実施例1と同様に、ピクセルカウント積算値をトリガとして、高精度検出モードの実行タイミングを決定しているが、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では高精度検出モードを実行すればよく、ピクセルカウント方式は必須ではない。
【0063】
本実施例での、高精度検出モード時の動きについて説明する。図13、14にシーケンスの流れとロータリの動きを示す。ある現像装置がPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S300)。最初に、Pthに到達した現像装置を現像位置Cへ移動させる(S301)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で第1の電極部材と第2の電極部材との間に第1の直流電圧を印加し、供給ローラを第1の所定時間回転させる(S302)。実施例1と同様に、第1の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVa=−500V、シャフト25aの電位Vb=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV1=Va−Vb=−200Vとした。第1の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。
【0064】
所定時間回転後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S303)、第1の静電容量C1を測定する(S304)。次に、前記現像装置を再度現像位置Cへ移動させる(S305)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で第1の電極部材と第2の電極部材との間に第2の直流電圧を印加し、供給ローラを第2の所定時間回転させる(S306)。実施例1と同様に、第2の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVc=−100V、シャフト25aの電位Vd=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV2=Vc−Vd=+200Vとした。
【0065】
第2の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。その後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S307)、第2の静電容量C2を測定する(S308)。
【0066】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。ΔCの算出後に、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0067】
本実施例では、実施例1で得られる効果の他に、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。本実施例でのΔCは図15(A)にあるような傾向を示す。この傾向は、実施例1と同じであるが、実施例1の結果よりも容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっていることが分かる。そのため、トナー残量の変化に対する差分ΔCの感度が良くなる。したがって、より高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0068】
上記のように、本実施例の構成をとることで容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっていることについて以下で説明する。図15(B)は、本実施例構成での第1の直流電圧による電位差ΔV1=−200Vを印加して供給ローラを回転させた後の静電容量およびΔV2=+200Vを印加して供給ローラを回転させた後の静電容量と、トナー容器内トナー残量との関係である。実施例1と比較して、ΔV=+200V印加で回転した時の測定値が大きいことが分かる。
【0069】
この現象について推測する。図16にトナーが少量のときにロータリを回転させたときの、カートリッジ内すなわち現像装置内のトナーの動きを示す。現像位置で回転した後は、図16(A)のように供給ローラ上部(x部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16(B)、16(C)、16(D)、16(E)と順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のx部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のy部に搬送されることが分かる。
【0070】
供給ローラへのトナー供給はy部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でy部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。ΔV=−200Vの電位差で供給ローラを回転させたときは、トナーは電界により供給ローラから吐き出す力が強くなるため、y部からトナー供給されるよりもx部の吐き出しの方が多く、ロータリ回転の有無で発泡層内のトナー量に差が現れ難い。しかし、ΔV=+200Vの電位差で供給ローラを回転させたときには、トナーは電界により供給ローラ側に引き寄せられるため、供給ローラ内のトナー量はy部での吸い込みが支配的になる。よって、供給ローラがトナーを含みやすくなる。
【0071】
そのため、ΔV=−200Vの電位差で回転後の静電容量はそれほど変わらず、ΔV=+200Vの電位差で回転後の静電容量が大きくなるため、ロータリ方式でないときよりも静電容量の差分が大きくとることが可能となる。トナー量が非常に少ない状態になるとy部のトナーもなくなるため、ΔV=+200Vの電位差で回転後の供給ローラ内のトナーは少なくなり、ロータリ回転時と実施例1との差はなくなる。
【0072】
以上から、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが実施例1よりも大きくなっていると考えられる。差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、より高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0073】
ロータリのその他の効果としては、長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定するため、静電容量測定時のばらつきを抑制できる。
【0074】
なお、本実施例の高精度検出モードにおいても、第1の直流電圧印加時においてΔV1=−200Vとし、その後に印加する第2の直流電圧印加時においてΔV2=+200Vとした。これは、ΔV2=+200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了することで、ΔV1=−200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了するよりも、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。
【0075】
すなわち、ΔV1−ΔV2すなわち(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、第1の直流電圧および第2の直流電圧を印加することで、逆極性の場合よりも、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、上記したΔV1―ΔV2とトナーの正規帯電極性との関係を満たすことは必須ではない。
【0076】
また、本発明で第1の直流電圧、第2の直流電圧として用いた値は、これに限られるものではなく、適宜選択すればよいが、前述したように、ΔVが互いに異なる電圧を用いることでトナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化するため、同一の電圧を用いるものは本実施例に含まない。
【0077】
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに同じである必要もない。また、本実施例では、第1の直流電圧印加時と第2の直流電圧印加時とで、現像ローラのシャフト25aの電位を固定して供給ローラのシャフト24aの電位を複数段階に切り替えたが、シャフト25aとシャフト24aの間の電位差を変化させれば良く、シャフト25aの電位を切り換えてもよい。
【0078】
(実施例3)
本実施例の画像形成装置は実施例1の画像形成装置と同様に図1の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために実施例1と同様に図3のフローを行うが、図3のフローの後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例1とは異なる。すなわち、本実施例では、図2における駆動装置Pが、供給ローラの回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されており、これにより、実施例1、2のようにシャフト25aとシャフト24aとの間の電位差を変化させなくとも、発泡層内のトナー量を変化させることが可能となる。
【0079】
なお、以下において実施例1と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を省略する。
【0080】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例の画像形成装置において、上記したように、図2における駆動装置Pが、現像ローラ25および供給ローラ24の回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されている。
【0081】
以下に、図18を用いて、本実施例の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを実行する(S005、S400)。最初に、現像駆動伝達可能な状態にして(S401)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、第1の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S402)。ここで用いる第1の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度であり、この回転速度を100%と定義する。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では15秒とした。15秒回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S403)。その後第1の静電容量C1を測定する(S404)。
【0082】
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S405)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、第2の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S406)。通常画像形成時に使用する回転速度を100%と定義すると、ここで用いる第2の回転速度は40%とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では40秒とした。
【0083】
40秒回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S407)。その後、第2の静電容量C2を測定する(S408)。(なお、上記のように、第1の回転速度と前記第2の回転速度のうち、速い方の回転速度の時の方が供給ローラ内のトナー量が速く安定するため、速い方の回転速度における回転時間を、遅い方の回転速度における回転時間よりも短くすることで、その逆にするよりも、高精度検出モードの時間を短くすることができる。)
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様の結果が得られる。すなわち、ΔCとトナー残量は相関関係がある。トナー残量が多いところではΔCが大きいのだが、トナー残量が少なくなるにしたがってΔCが小さくなる。したがってΔCを計測することで、この相関関係を利用することにより、トナー残量を測定することが可能となる。すなわち、算出されたΔCを用いて、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0084】
ここで、本実施例における、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラの回転速度によって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量と低速・高速で回転させたときの供給ローラ内のトナー含有量を図19に示す。容器内トナー量が多い時には、低速(40%)の方が多くトナーを含有していて、高速回転後の測定値との差が大きい。容器内トナー量が少なくなるにつれて、高速(100%)、低速(40%)ともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、回転速度100%と40%でほぼ同じトナー含有量を示している。
【0085】
本発明者らの観察結果から、回転速度が速い方が、図2に示したx部でのトナーの吐き出しが多くなっていることがわかった。また、低速ではトナーの自重によってx部からのトナーの吸い込みがあるものの、高速になると吐き出し力が強くなるため、x部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、高速回転させたときの方が、供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0086】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したy部のトナーが減っていることが観察された。y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はy部のトナーの状態が大きく影響するため、速度によらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図19のようになり、その差分をとると図7と同様の結果が得られる。
【0087】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図20−Aに、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各速度の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。これは、トナーや供給ローラの発泡層が吸湿すること、温度によって抵抗が変化すること等が原因と考えられる。しかし、各速度の静電容量の差分を測定すると、図20−BにあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、速度を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各速度における静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の高精度検出モードを用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0088】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの第1の回転速度を高速、その後に回転させる第2の回転速度を低速回転とした。これは、低速回転のあとに高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、回転速度をこのような順番に設定することは必須ではない。
【0089】
(実施例4)
本実施例の画像形成装置は実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために実施例1〜3と同様に図3のフローを行うが、図3のフローの後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例2とは異なる。すなわち、本実施例では、図2における駆動装置Pが、供給ローラの回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されており、これにより、実施例2のようにシャフト25aとシャフト24aとの間の電位差を変化させなくとも、発泡層内のトナー量を変化させることが可能となる。
【0090】
なお、実施例2と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を省略する。
【0091】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例の画像形成装置は、上記したように、図2、図12における駆動装置Pが、供給ローラ24の回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されている。
【0092】
以下に、図21、図22を用いて本実施例の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S500)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を現像位置Cへ移動させる(S501)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で第一の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S502)。ここで用いる第1の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度であり、この回転速度を回転速度100%と定義する。第1の回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では15秒とした。
【0093】
15秒回転後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S503)、第1の静電容量C1を測定する(S504)。次に、前記現像装置を再度現像位置Cへ移動させる(S505)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S506)。ここで用いる第2の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度の40%の速度である。第2の回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では30秒とした。その後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S507)、第2の静電容量C2を測定する(S508)。
【0094】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。本実施例では、このように算出されたΔCより、実施例1〜3と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0095】
本実施例では、実施例3と同様に駆動装置Pを変化手段として機能させているが、実施例3で得られる効果の他に、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。本実施例でのΔCは図23(a)にあるような傾向を示す。図23(a)からわかるように、本実施例の方が実施例3よりも、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっている。そのため、差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、実施例3よりも高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0096】
図23(b)は、本実施例構成での供給ローラを低速回転させた後の静電容量および高速回転させた後の静電容量と、現像容器内トナー残量との関係である。実施例3と比較して、低速回転時の測定値が大きいことが分かる。図23(b)の結果が得られる理由について推測する。図16にトナーが少量のときのロータリを回転させたときのトナーの動きを示す。現像位置で回転した後は、図16−Aのように供給ローラ上部(x部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16−B、16−C16−D、16−Eと順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のx部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のy部に搬送されることが分かる。
【0097】
供給ローラへのトナー供給はy部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でy部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。供給ローラを高速回転させたときは、y部からトナー供給されるよりもx部の吐き出しの方が多く、ロータリ回転の有無で差が現れ難い。しかし、供給ローラを低速回転させたときには、x部での吐き出し量が少ないため、供給ローラ内のトナー量はy部での吸い込みが支配的になる。よって、供給ローラがトナーを含みやすくなる。そのため、高速回転後の静電容量はそれほど変わらず、低速回転後の静電容量が大きくなるため、ロータリ方式でないときよりも差分が大きくとることが可能となる。トナー量が非常に少ない状態になるとy部のトナーもなくなるため、低速後の供給ローラ内のトナーは少なくなり、ロータリ回転時と実施例3との差はなくなる。
【0098】
以上から、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが実施例3よりも大きくなっていると考えられる。すなわち、実施例3よりも、差分ΔCを検知する時のばらつきに対してトナー残量のばらつきが小さくなり、トナー残量報知や、現像装置の交換を促す報知を、より高精度に行なうことが可能となる。
【0099】
ロータリのその他の効果としては、ロータリ回転でy部にトナーを送り込むことで、トナーを含みやすくなるため、低速回転時の供給ローラ内のトナー量が早く安定する。そのため、低速回転時間を短縮することが可能となる。また、他には、現像装置が長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定するので、静電容量のばらつきを抑制できる。
【0100】
(実施例5)
本実施例の画像形成装置は実施例1の画像形成装置と同様に図1の基本構成を有する。本実施例で用いられる現像装置は、図24に示す構成を有する。本実施例では、図3に示したフローを行った後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例1とは異なる。すなわち、本実施例の画像形成装置は、現像装置の姿勢を、第1の姿勢から、現像ローラの頂点に対する供給ローラの頂点の高さが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢に変化させ、第2の姿勢において供給ローラを回転させることで発泡層内のトナー量を変化させることが可能である。
なお、実施例1と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を一部省略する。
【0101】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
現像装置5について図24を用いて詳細に説明する。現像装置5は、トナーを収容するトナー容器21、トナー容器21の開口部に配設されたトナー担持体たる現像ローラ25、及び現像剤規制部材たる規制ブレード27、トナー容器21の内部に現像ローラ25と隣接して設けられたトナー供給部材たる供給ローラ24からなる。現像ローラ25は、現像動作中は感光ドラム1と接触した状態で回転する。現像ローラ25と供給ローラ24は第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置本体に設けられた姿勢変化装置としての駆動装置Rおよびカム20を用いて、図24中に示すカム20を回転駆動させ、トナー容器上部を押すことで、現像ローラ25を感光ドラム1から離間する。離間後、第1の駆動装置である駆動装置Pの回転駆動を停止する。
【0102】
現像ローラ25と感光ドラム1の間の離間量はカム20の回転位相により決定し、同時に現像装置5の姿勢も決定する。この姿勢変化装置による現像装置5の離間動作の、図24中に示す揺動中心30は、現像ローラ25と供給ローラ24を画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達させるための初段入力ギア中心と一致しており、離間状態でも供給ローラ24の回転が可能である。
【0103】
なお、現像装置5は後述するように、異なる複数段階の姿勢で供給ローラを回転した後の静電容量を測定するために、異なる複数段階の姿勢で供給ローラ24が回転可能であればよく、例えば供給ローラへ駆動伝達する駆動装置が複数あり、異なる駆動装置を用いることで異なる姿勢における供給ローラ24の回転駆動が可能であってもよい。
【0104】
ここで、画像形成中において、現像ローラ25と感光ドラム1が接触状態にある現像装置5は、図25(A)に示すように、鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1と現像ローラ25の頂点位置y2の差y1−y2をΔyと定義したときに、Δy=4.5mmとなる姿勢である。ただし、前述したように、現像装置5の姿勢は供給ローラ24を回転駆動可能な複数段階に変えることが可能である。本実施例では、後述するように、画像形成時の現像ローラ25と感光ドラム1が接触する状態とは異なる、姿勢の異なる2つの離間状態(図26(a)、26(b))で供給ローラ24の回転駆動が可能である。現像装置の姿勢は、駆動装置Rおよびカム20の回転によって、所望の姿勢に必要なタイミングで変更される。
【0105】
以下に、図27を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを実行する(S005、S600)。最初に駆動装置Rがカム20を回転させて、現像装置5を、駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達可能な第1の姿勢にして(S601)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、所定の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S602)。
【0106】
ここで用いる第1の姿勢は、図26(a)に示すように鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’と現像ローラ25の頂点位置y2’の差Δy’=y1’−y2’が8mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度を100%と定義すると、ここで用いる供給ローラの回転速度は40%とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では50秒とした。50秒回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S603)。その後第1の静電容量C1を測定する(S604)。
【0107】
次にカム20を回転させて、現像装置5を、駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達可能な第2の姿勢にし(S605)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、所定の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S606)。ここで用いる第2の姿勢は、図26(b)に示すように鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’’と現像ローラ25の頂点位置y2’’の差Δy’’=y1’’−y2’’が5mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。ここで用いる供給ローラの回転速度は40%とした。
【0108】
回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では25秒とした。第2の所定時間回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラと供給ローラの回転を停止し、再度、カム20の回転により第1の静電容量C1の測定時と同じ第1の姿勢にする(S607)。ただし、静電容量検知を第2の姿勢でも行えるように現像装置に電気的接点を設けておけば、S607で第1の姿勢にする必要はない。その後、第2の静電容量C2を測定する(S608)。
【0109】
なお、本実施例では感光ドラム1の現像ローラ25による削れを防止するために、供給ローラを回転させる際の第1の姿勢と第2の姿勢において、現像ローラ25と感光ドラム1が離間した状態にしている。ただし、本発明の効果を得る上では、第1の姿勢と第2の姿勢との、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さがが異なっているのであれば、現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態で供給ローラを回転させても良い。
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。
【0110】
本実施例では、このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。これにより、本実施例でも実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0111】
ここで、静電容量の差分とトナー容器内トナー残量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラ回転時の現像装置の姿勢によって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、トナー容器内トナー残量に対する、第1・第2の姿勢で供給ローラを回転させたときの、供給ローラ内のトナー含有量の関係を図25aに示す。トナー容器内トナー残量が多い時には、Δy’’が小さい第2の姿勢(Δy’’=5mm)の方が多くトナーを含有していて、Δy’が大きい第1の姿勢(Δy’=8mm)で回転後のトナー含有量との差が大きい。トナー容器内トナー残量が少なくなるにつれて、第1の姿勢(Δy’=8mm)、第2の姿勢(Δy’’=5mm)ともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、トナー容器内トナー残量が非常に少ない状態(ポイントB)では、第1と第2の姿勢でほぼ同じトナー含有量を示している。
【0112】
本発明者らの観察結果から、トナー切れに近い状態では、図25(a)に示すように供給ローラ周りを供給ローラの回転方向とは逆向きに、トナーが供給ローラの頂点を乗り越えてX部からY部へ移動をすることができず、供給ローラの圧縮により供給ローラ内から吐き出されたトナーが、X部に貯まることがわかった。またこのとき、X部に供給ローラ内から吐き出されたトナーがY部へ移動せずに貯まる容積の大きい第1の姿勢(Δy’=8mm)の方が、図26(a)に示すようにX部に存在するトナーが多くなっていることがわかった。また、第1の姿勢(Δy’=8mm)では第2の姿勢(Δy’’=5mm)よりX部に貯まるトナーが多くなるため、Y部に存在するトナーが少なくなり、Y部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度トナー容器内のトナーが残っている状態(図25aのポイントA)では、第1の姿勢(Δy’=8mm)で回転させたときの方が、第2の姿勢(Δy’’=5mm)で回転させたときより供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0113】
また、トナー容器内のトナー残量が非常に少ない状態(図25aのポイントB)のときは、第1・第2の姿勢ともに図24に示したY部のトナーが減っていることが観察された。Y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、Y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。Y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はY部のトナーの状態が大きく影響するため、現像装置の姿勢によらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、トナー容器内トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係は図25aのようになり、その差分をとると図7と同様の結果となる。
【0114】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図24a(a)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)のトナー容器内トナー残量と各姿勢で回転後の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。しかし、各姿勢の静電容量の差分を測定すると、図24a(b)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。
【0115】
上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、現像装置の姿勢を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各姿勢の静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行うことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行うことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0116】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラを回転する第1の姿勢における供給ローラ24と現像ローラ25の頂点位置の差Δy’=y1’−y2’よりも、その後に回転させる第2の姿勢における供給ローラ24と現像ローラ25の頂点位置の差Δy’’=y1’’−y2’’の方が、小さくなるようにした。ここでいう差分Δy’およびΔy’’は、負の値も含んでおり、Δy’>Δy’’となるようにしている。
【0117】
これは、Δy’’が小さい姿勢で回転させた後に高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態で現像を開始することが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、供給ローラ回転時の現像装置の姿勢をこのような順番に設定することは必須ではない。
【0118】
また、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの回転速度を画像形成時よりも低速にした。これにより、より高精度なトナー残量測定を行っているが、この効果について図30を用いて以下に説明する。図30(a)に示すように、低速回転の方が、高速回転よりもトナー含有量が多くなり、さらに、各速度において第2の姿勢と第1の姿勢との間の差分をとると図30(b)のようになる。低速回転においては、供給ローラの発泡層からのトナーの出入りは、X部への吐き出しよりもY部からの吸い込みが支配的になるため、Y部のトナー量が多い状態であるトナー容器内トナー量がある程度残っている状態では、低速回転にすることで、姿勢を変えたときに、異なる姿勢の静電容量差分値ΔCは図30(b)に示すように大きくなると考えられる。
【0119】
一方、トナー容器内トナー残量が非常に少ない状態では、Y部のトナー量が少なく静電容量の差分ΔCはあまり回転速度で変わらない。そのため、低速回転にすることでトナー容器内トナー残量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなる。そして静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなると、差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、より高精度にトナー残量の検知を行うことが可能になる。以上から、本実施例のように、供給ローラの回転速度を画像形成時よりも低速回転にすることで、より高精度にトナー残量の測定を行うことが可能である。
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに異なっていても同じでもよい。
【0120】
(実施例6)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示すフローを行った後に実施例5の画像形成装置のように現像装置の姿勢変化を利用した高精度検出モードを行うが、実施例5とは姿勢を変化させる手段が異なる。すなわち、本実施例の画像形成装置は、図12に示すように、現像装置を支持し回転可能なロータリ・ドラム50と、ロータリ・ドラム50を回転駆動する駆動装置Qとを有し、駆動装置Qによってロータリ・ドラム50を回転駆動することで現像装置の姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢に変化させる。
【0121】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例で用いている現像装置5は、実施例5で用いた図24の現像装置と同構成であり、使用している現像ローラ、供給ローラも同じ構成である。画像形成時における現像ローラ、供給ローラの周速も実施例5と同じである。画像形成中の現像装置5の姿勢は、図25(b)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1と現像ローラ25の頂点位置y2の差y1−y2をΔyと定義したときに、Δy=4.5mmとなる姿勢である。
【0122】
また、本実施例でも、実施例5と同様に現像装置5の姿勢を、供給ローラ24を回転駆動可能な複数の姿勢に変えることが可能となっている。現像装置5の姿勢は、第2の駆動装置としての画像形成装置本体に設けられた駆動装置Qによって、現像装置5を支持するロータリ・ドラム50を回転駆動することで変更される。つまり、ロータリ・ドラム50の回転位相で決まる、ロータリの中心に対する現像装置5の位置が変わることより、現像装置の姿勢が所望の姿勢に変更される。
【0123】
また本実施例では、オルダム継手を介すことで、異なる現像装置位置でも第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達される。本実施例では、後述するように、画像形成時の現像ローラ25と感光ドラム1の接触する現像位置Cからロータリ・ドラム50の回転した位置である、姿勢の異なる2つの離間位置F(図31(a)および図26(c))、離間位置G(図31(c)および図26(d))で供給ローラ24の回転駆動が可能である。なお、供給ローラ24は、異なる複数の姿勢で回転可能であればよく、例えば供給ローラへ駆動伝達する駆動装置が複数あり、異なる駆動装置を用いることで異なる姿勢における供給ローラ24の回転駆動が可能であってもよい。
【0124】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。基本的な、トナー残量測定の方法は実施例1と同じであることから、本実施例における特徴的な部分についてのみ後述する。本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qによって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を検知位置Eまで移動させて測定を行う。検知位置Eとは、図12中の5cで表された現像装置の位置である。検知位置Eでは、図示しない電極端子によって現像ローラ25のシャフト24a(第1の電極部材)に検知用交流電源が、供給ローラ24のシャフト25a(第2の電極部材)に検知回路が接続される。
【0125】
検知位置Eでは、供給ローラ周囲のトナーが自重落下し、供給ローラ近傍のトナーの影響を少なくできる。そのため、検知時に供給ローラ近傍のトナーによる外乱を受にくく、供給ローラ内に含有されるトナーの量をより正確に測定できることとなる。
【0126】
本実施例での、図3のフローを行った後の、高精度検出モード時の動きについて説明する。図31、30にシーケンスの流れとロータリの動きを示す。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S700)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を、ロータリ・ドラム50を回転させて、第1の姿勢となる供給ローラ回転位置Fへ移動させる(S701)。ここで第1の姿勢は、図26(c)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’と現像ローラ25の頂点位置y2’の差Δy’=y1’−y2’が6mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。
【0127】
供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で所定の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S702)。ここで用いる供給ローラの回転速度は通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度の40%の速度とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では40秒とした。第1の所定時間回転後、前記現像装置を静電容量測定位置Eに移動させ(S703)、第1の静電容量C1を測定する(S704)。次に、前記現像装置をロータリ回転により、第2の姿勢となる供給ローラ回転位置Gへ移動させる(S705)。ここで第2の姿勢は、図26(d)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’’と現像ローラ25の頂点位置y2’’の差Δy’’=y1’’−y2’’が3mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で所定の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S706)。ここで用いる供給ローラの回転速度は通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度の40%の速度とした。
【0128】
回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では20秒とした。その後、前記現像装置を静電容量測定位置Eに移動させ(S707)、第2の静電容量C2を測定する(S708)。なお、実施例1と同様に、供給ローラを回転させる際の第1の姿勢と第2の姿勢において、現像ローラ25と感光ドラム1が離間した状態にあることは必須ではない。
【0129】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。本実施例における、トナー残量に対するΔCは、図33(b)に示す通りであり、実施例1と同じ傾向を示す。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。これにより、本実施例でも実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0130】
本実施例では、温度や湿度が静電容量に与える影響は、現像装置の姿勢を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各姿勢の静電容量の差分を用いることで、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行うことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行うことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、カートリッジの交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0131】
また、本実施例では、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。
まず、本実施例では、姿勢変化装置としてロータリ構成を利用しているため、実施例5のように姿勢変化のために新たにカム部材等を設けることなく、本発明の効果を得ることが可能となる。次に、図16にトナーが少量のときのロータリ・ドラム50を回転させたときのトナーの動きを示す。現像位置C付近(供給ローラ回転位置C,F,G)で供給ローラを回転した後は、図16(a)のように供給ローラ上部(X部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを図16(b)、16(c)、16(d)、16(e)と順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のX部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のY部に搬送されることが分かる。
【0132】
供給ローラへのトナー供給はY部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でY部にトナーを搬送することで、供給ローラ回転時に供給ローラ内にトナーが含まれやすくなり、供給ローラ内のトナー量が早く安定する。特に供給ローラを低速回転させたときには、X部での吐き出し量が少ないため、供給ローラ内のトナー量はY部での吸い込みが支配的になって、より供給ローラがトナーを早く含むことになり、回転時間を短縮することが可能となる。そのため、本実施例では、実施例5と比較して、ロータリ回転でY部にトナーを送り込むことで、供給ローラ内のトナー量を短い供給ローラ回転時間で安定させることができ、供給ローラ回転時間を短縮できる。
【0133】
なお、本実施例の構成をとることで、供給ローラ回転前に上記のようなトナーの移動が起こるが、トナー容器内トナー残量に対する異なる姿勢の静電容量の差分ΔCは、図33(b)に示すように、実施例5のようなロータリ方式でないときと同じようにとれる。これは、Y部から供給ローラ内に吸い込まれたトナーは供給ローラ内のトナー量が安定するまで、供給ローラの回転により図2中のX部に吐き出されるためである。トナー容器内のトナー残量がある程度残っている状態(図33(a)中のポイントA)のとき、供給ローラが回転し始めるとX部にトナーが貯まり、実施例5と同様に姿勢ごとに変わるX部に貯まるトナー量の差により、Y部のトナー量に差が生まれ、供給ローラ内のトナー量も異なる姿勢での回転で変わることになる。そしてトナー容器内トナー残量が非常に少ない状態(図33(a)中のポイントB)になると、姿勢に関わらずX部に少量しかトナーは貯まらず、Y部にも少量しかトナーは存在しなくなり、差が生まれなくなる。よってロータリ回転の有無に関わらず、静電容量の差分とトナー容器内トナー残量に関係が現れ、実施例1と同様の残量検知が可能である。
【0134】
ロータリのその他の効果としては、長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定し、静電容量のばらつきを抑制できる。
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに異なっていても同じもよい。
【0135】
(実施例7)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示したフローを行った後に、実施例2とは異なる高精度検出モードを実行する。
【0136】
以下に、図34、図35を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードの流れとロータリの動きについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S800)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を駆動装置Qによりロータリ・ドラムを回転させて現像位置である供給ローラ回転ポジションへ移動させる(S801)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で駆動装置Pにより供給ローラを第1の所定時間t1としての15秒間回転させて、供給ローラ内のトナー量が少ない量で安定した状態にする(S802)。以降ここでの供給ローラの回転動作を吐き出しモードと呼称する。次に、前記現像装置を駆動装置Qによりロータリ・ドラムを回転させてトナー残量測定位置に移動させ(S803)、第1の静電容量C1を測定する(S804)。
【0137】
次に、前記現像装置を再度供給ローラ回転ポジションへ移動させる(S805)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で供給ローラを第2の所定時間t2としての3秒間回転させて、発泡層内のトナー量をC1の検知時における発泡層内のトナー量よりも多くする(S806)。以降ここでの供給ローラの回転動作を吸い込みモードと呼称する。その後、前記現像装置をトナー残量測定位置に移動させ(S807)、第2の静電容量C2を測定する(S808)。
【0138】
図36に供給ローラを回転したときの、回転時間に対する発泡層内のトナー量の模式図を示す。ロータリを回転させて、トナー容器内のトナーを図16に示すようにY近傍に移動させてから、供給ローラを回転させると、供給ローラの発泡層がY近傍のトナーを吸い込むため、発泡層内のトナー量は、図36において左端からスタートする。すなわち、上述のS806では、発泡層内のトナー量は図36の左端からスタートして、発泡層内のトナー量がしばらく増加した後、減少をはじめるので、t2を適宜設定することで発泡層内のトナー量を多くすることができる(吸い込みモード)。
【0139】
一方、ロータリ回転を行っても、図16に示すようにY近傍にトナーを移動させるような回転でなければ、図36においてどこからスタートするか不明である。したがって、t1は、供給ローラの回転時間に対する発泡層内のトナー量の減少率が所定値を下回るような時間α以上回転させることで、図36における発泡層内のトナー量が安定した状態にすることができる(吐き出しモード)。なお、本実施例ではt1を15秒、t2を3秒としたが、トナー容器の形状や、供給ローラの大きさ、素材、構造、回転速度等によってt1、t2は適宜調整すればよい。
【0140】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0141】
ここで、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラの回転時間による供給ローラ内トナー量の関係がトナー残量によって変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量と吐き出しモード・吸い込みモードで回転させた直後の供給ローラ内のトナー含有量を図37に、供給ローラの回転時間と回供給ローラ内のトナー含有量の関係を図38に示す。回転開始から徐々にトナー含有量が増えていき、ある時間を境に減少していく。容器内トナー量が少なくなるにつれて、吐き出しモード、吸い込みモードともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、吐き出しモード後と吸い込みモード後で、ほぼ同じトナー含有量を示している。
【0142】
本発明者らの観察結果から、回転時間によって吐き出しと吸い込みのバランスが、変化していることがわかった。この現象について推測する。図16にトナーが少量のときのロータリを回転させたときのトナーの動きを示す。ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、現像位置で回転した後は、図16−Aのように供給ローラ上部(X部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16−B、16−C16−D、16−Eと順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のX部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のY部に搬送されることが分かる。Y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。
【0143】
そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、Y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。Y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。このことから、ロータリ回転でY部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。よってロータリ回転後しばらくは供給ローラにトナーが供給されるため、供給ローラ内のトナーが増えるが、Y部のトナーがなくなると、Y部からトナー供給がなくなるためX部の吐き出しの影響が大きくなり、供給ローラ内のトナー量は減ってしまう。
【0144】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したX部のトナーが少なくなっており、その結果Y部へ送り込まれるトナー量が少なくなっていることが観察された。そのため、供給ローラへのトナーの供給量が少なくなる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図37のようになり、その差分をとると図7と同様の結果となる。
【0145】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図39(A)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各速度の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。しかし、各速度の静電容量の差分を測定すると、図39(B)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。
【0146】
上記の結果により、残量検知のパラメータとして吸い込みモードと吐き出しモードの差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0147】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの第一の回転時間を吐き出しモード、その後に回転させる第二の回転時間を吸い込みモードとした。これは、吸い込みモードのあとに高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制できるという別の効果も得ることができる。
【0148】
(実施例8)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示したフローを行った後に、実施例2とは異なる高精度検出モードを実行する。
【0149】
本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qよって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を移動し、トナーの撹拌を行い、トナー残量検知位置Fへと移動する。検知位置Fとは、図40中の5aで表された現像装置の位置である。検知位置Fでは、図示しない電極端子によってシャフト24aに交流電源100が、シャフト25aに検知回路101が接続される。
【0150】
図41に、本発明の特徴である高精度検出モードを示す。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S900)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を、ロータリ回転させてトナーの撹拌を行い、現像位置である供給ローラ回転ポジションへ移動させる。これによりトナーの撹拌を行なうことで、図16に示すように、トナーを供給し易い位置(前述のY部)へ、トナーを移動させる(S901)。(供給ローラ回転ポジションへ移動した時の現像装置の姿勢を、所定の姿勢としての姿勢Fとすると、S903以降のシーケンスはY部へ移動したトナー量が姿勢変化によって変わらないように姿勢Fのまま行う。)次に、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、第1の所定時間(t1=3秒)供給ローラを回転させる(S902)。
【0151】
t1は実施例1と同様に、供給ローラ内のトナー量が一度最大値を越えた後がより望ましく、本実施形態では3秒とした。その後、第1の静電容量C1を測定する(S903)。ここで、静電容量の測定は、駆動装置Pによって供給ローラを回転駆動しながら行なう。C1測定後、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、供給ローラ内のトナーを十分に吐き出す第2の所定時間(t2=10秒)供給ローラを引き続き回転させて(S904)、第2の静電容量C2を計測する(S905)。このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0152】
このように、本実施例では、最初にロータリ回転を行ってから、現像駆動が行なえるポジションにて、供給ローラを回転させながら静電容量を測定することにより、実施例7の様に、C1の測定とC2の測定の間にロータリ回転を挟むことなく静電容量の測定を連続して行なえるため、実施例7よりも測定時間の短縮が可能となる。
【0153】
また、実施例7では、供給ローラを第1の所定時間回転させる前にロータリ回転でトナー容器内のY部にトナーを移動させておらず図36の曲線におけるどの位置からスタートするか不明であるため、α以上回転させて発泡層内のトナー量が少なくなった状態にする必要があり、必然的にC2検知時には、C1検知時よりも発泡層内のトナー量が多い状態にする必要があった。しかし、本実施例では、高精度検出モードの最初にロータリ回転でトナー容器内のY部にトナーを移動させてから、上述のように供給ローラ回転させてC1とC2を連続して検知する。したがって、本実施例では、発泡層内のトナー量は図36の左端からスタートするため、t1とt2を適宜設定することで、C1検知時とC2検知時において発泡層内のトナー量はどちらを多くすることもできる。すなわち、発泡層内のトナー量が異なる量となるように、t1とt2を適宜設定すればよい。
【0154】
また、ロータリ回転でY部にトナーを移動させてから、供給ローラを回転させながら静電容量の検知を2回行ったが、供給ローラの回転時間に対する静電容量の減少率が所定値を下回るまで3回以上検知を行ってもよい。以下に詳細を示す。
【0155】
図42に静電容量検知を3回以上行う場合の高精度検出モードのフローを、図43に静電容量の検知結果を示す。静電容量の検知は、供給ローラを回転させながら0.5秒ごとに行った。m回目の静電容量をCmとすると、m回目とm−1回目の静電容量の差分値の絶対値ΔCd=|Cm−C(m−1)|を算出し(S911)、ΔCdがある閾値ΔCsを下回ったときに(S912)、発泡層内のトナー量がほぼ安定した(供給ローラの回転時間に対する静電容量の減少率が所定値を下回った)と判断し(S913)、検知回数N回のうち最も大きい静電容量CHと、S913でほぼ安定した時の最も小さい静電容量CLとの差分値の絶対値|CH−CL|を算出し(S915)、これをΔCとする。
【0156】
このように得られたΔCは実施例1と同様に図8のフローに従いトナー残量に関する報知やカートリッジの交換に関する報知を行なう。
【0157】
このように、ロータリ回転でY部にトナーを移動させてから、供給ローラを回転させながら静電容量の検知を3回以上連続して行うことで、静電容量の変化をモニタリングすることができる。したがって、静電容量の最も大きい値と、最も小さい値をとることで、静電容量差分値の絶対値として大きい値をとれるので、トナー残量の変化に対する、静電容量差分値の絶対値の変化が大きくなり、トナー残量検知やカートリッジ交換時期をより高精度に報知することができる。
【0158】
(補足)
本発明は、実施例1〜8に示した高精度検出モードのように、静電容量C1測定時と、静電容量C2測定時の間に、供給ローラを回転して発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有していれば、|C1−C2|を用いてトナー残量を検出することが可能である。これにより、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなくトナー残量が所定量を下回ったことや現像装置の交換時期を、ユーザーに精度良く報知することができる。さらに、静電容量C1測定前にも供給ローラを所定期間回転させることで、高精度検出モード実行前の画像形成に起因する発泡層内のトナー量の変化を抑制することができるので、静電容量C1もより安定した値を測定可能となる。これにより、より高精度に上記報知を行うことが可能である。
【0159】
また、実施例1〜8に示した高精度検出モードでは、静電容量C1測定から静電容量C2測定までの一連の動作を連続的に行なった。これらの動作は連続的に行なうことが望ましいが、C1測定時とC2測定時とで、環境、容器内トナー量が大きく変わっていない状態であれば、これに限ったものではない。例えば、印字率が低い画像であれば、C1測定とC2測定の間に数枚印刷しても大きな影響は無い。
【0160】
また、実施例1〜8に示した高精度検出モードにおいて、発泡層内のトナー量を変化させる所定期間において、供給ローラと現像ローラを回転させているが、発泡層にトナー出入りが行われるためには、供給ローラのみが回転していればよい。
また、実施例1〜8では現像装置のみを画像形成装置本体に対して取り外し交換可能なカートリッジとしたが、現像装置に加えて感光ドラム等も一体化した所謂一体型カートリッジを画像形成装置本体に対して取り外し交換可能としてもよい。
【0161】
また、本発明における報知信号形成手段の報知内容は、トナーが所定量を下回ったことや、現像装置の交換を促す報知であればよい。例えば画像形成装置本体のディスプレーや、画像形成装置にネットワークにより接続されたPCのディスプレーに「トナーが少なくなりました。」「トナー切れです。」「カートリッジを交換してください。」等を表示させる。すなわち、画像形成装置本体にディスプレーが無くても報知可能であることは言うまでもない。また、閾値を複数設定することで段階的にトナー量を検知することも可能である。このようにすることで、ユーザーにトナー残量を段階的に報知することができる。
【符号の説明】
【0162】
1 感光ドラム
5(5a〜5d) 現像装置
17 転写ローラ
15 定着装置
21 トナー容器
24 供給ローラ
24a シャフト
24b ウレタンスポンジ層
25 現像ローラ
25a シャフト
40 装着部
50 回転支持体(ロータリ)
70 コントローラ部
70a 報知信号形成手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体と、トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材とを備えた現像装置を有する画像形成装置において、前記トナー担持体が備える電極部材と前記トナー供給部材が備える電極部材との間の静電容量を検知する検知機構を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置などの画像形成装置に用いられる現像装置に収容されているトナーの残量を検出する方法として、現像装置内に設けられた2つの電極間の静電容量を検知することで、現像剤残量に関する情報を得る静電容量検知方式がある。
【0003】
特に、トナー担持体としての現像ローラと、トナー供給部材としての発泡層を有する供給ローラとを有する現像装置を用いる場合には、特許文献1に記載のように、現像ローラのシャフトと、供給ローラのシャフトとの間の静電容量を検知することで、トナー残量に関する情報を得る方法がある。この方法では、現像装置のトナー残量と、上記シャフト間の静電容量との間に相関関係があるため、静電容量を検知することでトナー残量を測定することが可能である。
【0004】
また、現像装置に設けられた静電容量を検知することでトナー残量を測定する画像形成装置においては、温度・湿度環境が変化すると静電容量が変化してしまうため、トナー残量の測定精度が落ちて、トナー残量が所定量を下回ったことやカートリッジの交換時期をユーザーに精度良く報知することができない場合がある。このような環境変化の影響を低減するには、引用文献2に記載のように、例えば温度センサや湿度センサを設けることで、報知タイミングを補正することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9035公報
【特許文献2】特開2002−132038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような、トナー担持体が備える電極部材とトナー供給部材が備える電極部材との間の静電容量を検知する構成を持つ画像形成装置においては、温度・湿度環境が変化すると静電容量が変化してしまうため、トナー残量を精度良く検知することができない場合があった。このような環境変化の影響を低減するために、特許文献2に記載のように、温度センサや湿度センサを設けると、配置上の制約が生じて設計上の自由度が下がると共にコストも増加する。
【0007】
そこで本出願に係る発明の目的は、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いなくともトナー残量を精度良く検知することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記トナー供給部材を回転して前記発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有し、該期間の前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C1を検出し、該期間の後で前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C2を検出し、前記静電容量C1と前記静電容量C2との差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを複数回実行する手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本出願に係る第2の発明は、開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、前記現像装置を交換可能に装着するための装着部と、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量の減少率が所定値を下回るまで前記トナー供給部材を回転させながら前記静電容量を3回以上検出する検出モードを実行する実行手段と、前記検出モードにより検出した前記静電容量のうち、最も小さい静電容量CLと最も大きい静電容量CHとの差に基づいて前記容器内のトナー量を検知する検知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いなくともトナー残量を精度良く検知することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像形成時における現像装置の概略構成図である。
【図3】実施例1における高精度検出モード実行までのフローチャートである。
【図4】実施例1におけるトナー残量測定装置のブロック図である。
【図5】供給ローラ内のトナー量と静電容量の関係を表す図である。
【図6】実施例1における高精度検出モードのフローチャートである。
【図7】実施例1におけるトナー残量とΔCの関係図である。
【図8】高精度検出モードの結果判断するフローチャートである。
【図9】次回高精度検出モードを実行するタイミングの決定方法を表す図である。
【図10】各電位差で測定した静電容量を表す図である。
【図11】(A)各環境・電位差における静電容量とトナー残量との関係を表す図である。(B)各環境における、電位差を変えた時の静電容量の差分値とトナー残量との関係を表す図である。
【図12】実施例2の画像形成装置の1例を示す概略図である。
【図13】実施例2における高精度検出モードのフローチャートである。
【図14】実施例2おける高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図15】(A)実施例1および実施例2における、トナー残量と静電容量差分値の関係を示すグラフである。(B)実施例1および実施例2における、各電位差のトナー残量と静電容量との関係を表すグラフである。
【図16】実施例2におけるロータリ回転とトナーの動きを表す図である。
【図17】現像装置が画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着されることを表す図である。
【図18】実施例3における高精度検出モードのフローチャートである。
【図19】速度ごとの静電容量を表す図である。
【図20】(A)各環境・速度における静電容量とトナー残量との関係を表す図である。(B)各環境における、速度を変えた時の静電容量の差分値とトナー残量との関係を表す図である。
【図21】実施例4における高精度検出モードのフローチャートである。
【図22】実施例4おける高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図23】(A)実施例3および実施例4における、トナー残量と静電容量差分値の関係を示すグラフである。(B)実施例3および実施例4における、各速度のトナー残量と静電容量との関係を表すグラフである。
【図24】実施例5の画像形成装置に用いられる現像装置の模式図である。
【図25】現像装置の、画像形成時の姿勢における供給ローラ周りのトナーの動きを表す図である。
【図26】現像装置の姿勢ごとの供給ローラ周りのトナーの動きを表す図である。
【図27】実施例5における高精度検出モードのフローチャートである。
【図28】実施例5における現像装置の姿勢ごとの静電容量を表す図である。
【図29】高温高湿環境と低温低湿環境における、現像装置の姿勢ごとの静電容量の関係を表す図である。
【図30】供給ローラの高速回転時と低速回転時における、現像装置の姿勢ごとの、トナー残量に対する静電容量の関係を表す図である。
【図31】実施例6における高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図32】実施例6における高精度検出モードのフローチャートである。
【図33】実施例6におけるトナー残量に対する静電容量差分値ΔCの関係図である。
【図34】実施例7における高精度検出モードのフローチャートである。
【図35】実施例7における高精度検出モード時のロータリの動きを表す図である。
【図36】実施例7おける供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【図37】吸い込みモードおよび吐き出しモードについて、トナー残量に対する供給ローラ内のトナー含有量を表す図である。
【図38】実施例7における供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【図39】H/H、L/L環境における容器内トナーごとの静電容量の関係を表す図である。
【図40】実施例8の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図41】実施例8における高精度検出モードのフローチャートである。
【図42】実施例8における静電容量の安定・不安定を判断するフローチャートである。
【図43】実施例8における供給ローラの回転時間と静電容量の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0013】
本実施例の画像形成装置の構成を図1に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラムは矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置,4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。現像装置5は負の正規帯電極性(静電潜像を現像するための帯電極性。本実施例では負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。)をもつブラックトナーを内包している。感光ドラム1の下部には、転写ローラ6が配置されている。転写後の転写材Pは定着器15に送られる。転写位置に対して感光ドラムの移動方向下流にはクリーニング装置9が設置されている。付属のブレードが感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
【0014】
画像形成装置の画像形成動作について説明する。コントローラ部70が所定の制御プログラムや参照テーブルに従って以下の画像形成動作を統括的に制御する。まず、矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3,反射ミラー4により色毎の画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置5で現像し、トナー像を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写位置Bにて転写材Pに転写する。トナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のトナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
【0015】
現像装置5について図2を用いて詳細に説明する。現像装置5は、トナーを収容するトナー容器21、トナー容器21の開口部に配置された回転可能なトナー担持体たる現像ローラ25、及び現像剤規制部材たる規制ブレード27、トナー容器21の内部に現像ローラ25と接触して設けられ、現像ローラにトナーを供給する回転可能なトナー供給部材たる供給ローラ24からなる。
【0016】
現像ローラ25は、現像動作中は感光ドラム1と接触した状態で回転する。現像ローラと供給ローラは第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置本体に設けられたカム20が回転してトナー容器21上部を押すことで、トナー容器21が揺動中心軸30を回転軸として回転し、現像ローラが感光ドラムから離間する。離間後、駆動装置Pによって、回転駆動を停止している。
【0017】
現像ローラ25は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第1の電極部材としてのφ8(mm)の導電性シャフト25aと、その周囲に形成したシリコーンゴムを基層とした導電性弾性層25bからなる。表層にはアクリル・ウレタン系ゴム層がコートされている。現像ローラ25の外径はφ13(mm)、体積抵抗は約10E5Ω・cmである。現像動作中において、現像ローラ25は、前述の現像位置Cで感光ドラム1に接触し、図2中の矢印R4方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、現像ローラの回転速度(周速)は160mm/secである。現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態において、電圧印加手段としての直流電源からシャフト25aに直流電圧を印加可能な構成となっている。なお、現像ローラ25は、後述する静電容量を検知するために第1の電極部材を有していれば良く、例えば現像ローラ25の表面に導電性のスリーブを有し、スリーブを第1の電極部材として用いてもよい。
【0018】
供給ローラ24は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第2の電極部材としてのφ6(mm)の導電性シャフト24aと、その周囲に形成した柔らかい連続気泡体からなる発泡層たるウレタンスポンジ層24bから構成される。供給ローラ24の外径はφ15(mm)、体積抵抗は約10E8Ω・cmである。本実施例では、現像ローラ25のシャフト25aの中心と供給ローラ24のシャフト24aの中心との距離(以下、中心間距離)を13mmとし、現像ローラ25の表面が供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bを、1.0mmほどの侵入量で押し込むように設置する。ここで侵入量とは、供給ローラ24の外形と現像ローラ25の外径の和を2で割ってから上記中心間距離を差し引いた長さである。
【0019】
供給ローラ24は、図2中の矢印R5方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、供給ローラの回転速度(周速)は、140mm/secである。現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態において、電圧印加手段としての直流電源から第2の電極部材に直流電圧を印加可能な構成となっている。ただし、後述するように、供給ローラに印加する直流電圧は複数段階に切り替えることが可能である。供給ローラに印加する直流電圧は、本体に設けられた電圧制御手段によって電圧制御され、必要なタイミングでその電圧を切り替える。
【0020】
規制ブレード27は、可撓性を持ったリン青銅板金から成り、一端をトナー容器21に固定し、他端を自由端としている。この規制ブレード27は、現像ローラ25に当接している。規制ブレード27は、現像ローラ25の回転方向に対してカウンタ方向となる向きで、自由端近傍の平滑面が現像ローラ25の表面と摺擦するように配設されている。
【0021】
その他、現像ローラ25とトナー容器21の隙間を覆う洩れ防止シール26が設けられている。また、現像装置5は、図17に示すように、装着部40に対して取り外し可能に装着されている。
【0022】
ここで、供給ローラ24と現像ローラ25がそれぞれ所定の速度で回転している際の、供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bとその周りのトナーの挙動について述べる。供給ローラ24と現像ローラ25の接触位置に対して、供給ローラ24の回転方向上流側にある領域(図2中のXの近傍)で供給ローラ24のウレタンスポンジ層24bが圧縮され、回転方向下流側にある領域(図2中のYの近傍)で圧縮状態から開放される。ここで、X近傍においては、供給ローラ24が圧縮されるために、供給ローラ24に吸い込まれていたトナーが空気と共に吐き出される。
【0023】
逆に、Y近傍においては、供給ローラ24が圧縮状態から開放され元の形状に戻る際に、空気中に分散されたトナーが供給ローラ内に吸い込まれていく。このように、ウレタンスポンジ層24bに対するトナーの出入りがスムーズに行われることで、供給ローラ24の近傍に堆積している粉流体としてのトナーの圧力と供給ローラ24内の粉流体としてのトナーの圧力が均衡し、供給ローラ24内部に保持されるトナー量と、現像剤容器内のトナー総量との間に一定の相関関係が現れる。よって、供給ローラ24のシャフト24aと現像ローラ25のシャフト25aとの間の静電容量は、単に供給ローラ24内部に保持されるトナー量を示すだけでなく、現像剤容器内のトナー総量を推測することができる(特許文献1参照)。なお、トナーの出入りは主に供給ローラ24の回転時に起こり、回転停止後の供給ローラ24は回転中のトナー量を保持している。この状態で現像装置5を移動する、姿勢を変えるなどしても供給ローラ24内部に保持されるトナー量はほとんど変化せず、無視できる程度である。
【0024】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。本実施例では、トナー残量が多いときは、露光手段の発光するピクセル数をカウントすることのできるピクセル計数手段(ピクセルカウンター)を用いて、大まかなトナー使用量を推定する(以下ピクセルカウント方式と称す)。ある画像を現像するのに要するトナー量は、露光手段の発光するピクセル数におおよそ比例するため、ピクセルカウント方式では、1ピクセルカウントあたりのトナー使用量を本体メモリに記憶しておき、その値とピクセルカウンターでカウントされた発光ピクセル数との積算値からトナー使用量を推定する。積算値は、現像装置に設けられた記憶手段に記憶される。
【0025】
そして、トナー残量が比較的少なくなってきたら、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知するために、静電容量を用いた高精度検出モード(後で詳述)を実行する。なお「トナー切れ」とは、現像装置内にトナーが全く無い状態を指すのではなく、維持したい水準の画像品質を維持することが難しくなるようなトナー残量を指し、適宜設定される量である。以降「トナー切れ」を上記の意味で用いることとする。
【0026】
以下、トナー残量測定のフローを、図3を用いて具体的に説明する。
画像形成時に、ピクセルカウントを計測する(S002)。画像形成動作終了時に、計測したピクセルカウントを積算し積算値Pcountを算出する(S003)。次に、積算値Pcountが所定値Pthに到達しているかを判断(S004)し、到達していると判断したときには上記静電容量を用いたトナー残量測定シーケンス(高精度検出モード)を起動させる(S005)。到達していないときには、PcountがPth以上になるまで通常の画像形成を継続する(S006)。
【0027】
本実施例では、1回目の高精度検出モードの実行タイミングを、以下のように設定している。トナー切れのときに達するであろうピクセルカウント積算値P0%に対して20%少ない積算値をPthとした。(式1を参照)
Pth=P0%×0.8 ・・・・式1
このように、トナー切れ時のトナー残量よりも多いトナー残量のところで1回目の高精度検出モードの実行タイミングを設定している理由は以下である。トナー使用量のばらつきによってピクセルカウントで推測するトナー残量にはばらつきが生じる。このばらつきを考慮して、濃度薄画像や白抜け画像の発生前に確実に高精度検出モードを実行する必要がある。そのため、ピクセルカウントでトナー切れと推定するよりも若干早いタイミングで高精度検出モードを実行している。
【0028】
また、1回目の高精度検出モード実行後は、後述する算出方法によって、Pthを再計算して設定し、Pcountが新たに設定されたPthに達したときに、次の高精度検出モードを実行するようにしている。このようにすることで、少ない高精度検出モードの実行回数でトナー切れを検知することが可能となる。
【0029】
なお、本実施例では、トナー残量が多い時期には、大まかなトナー残量を短時間で推測するためにピクセルカウント方式を用いた。しかし、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では高精度検出モードを実行すればよく、ピクセルカウント方式は必須ではない。例えば画像形成を所定枚数行うごとに高精度検出モードを実行してもよいし、他のトナー残量測定方式によって高精度検出モードの起動タイミングを決めても良い。
【0030】
次に、高精度検出モードを実行する上で必要な、静電容量測定方法について説明する。まず、図4に示すように供給ローラ24のシャフト24a(第2の電極部材)に交流電源から所定の交流電圧を印加して、現像ローラ25のシャフト25a(第1の電極部材)に誘起される電圧からシャフト間の静電容量を検知する。
【0031】
(シャフト25aに交流電圧を印加して、シャフト24aに誘起される電圧からトナー残量測定を行うことも可能だが、現像ローラと感光ドラムとが対向して配置されているため、シャフト25aに交流電圧を印加するとトナーが感光ドラムに付着してしまう恐れがある。一方、供給ローラは感光体ドラムと対向していないので、供給ローラに交流電圧を印加した方が、感光ドラムにトナーが付着しにくいという点で望ましい。)また、静電容量の検知を行う際は、感光ドラムと現像ローラ25が離間し、現像ローラ25の回転が停止した状態で行っている。
【0032】
これは、検知する静電容量に対して感光ドラムが与える影響を低減できることと、現像ローラ25を停止してから静電容量検知を行った方がより安定した出力が得られるためである。ただし、温度・湿度環境の影響を低減するという本発明の効果を得る上では、静電容量検知時において、感光ドラムと現像ローラを離間させることも、現像ローラの回転を停止することも必須ではない。図4に示すように、シャフト24aに検知用の交流電源が、シャフト25aに検知回路が接続される。静電容量検知用の交流電圧は、周波数50KHz、ピーク間電圧Vpp=200Vとした。静電容量に対応してシャフト25aから検出される誘起電圧値を検知することで静電容量が検知される。本実施例では、シャフト25aに誘起される交流電圧は、検知回路で整流され、整流された直流電圧を検知することで静電容量が検知される。
【0033】
なお、シャフト25aとシャフト24aとの間の静電容量と供給ローラ内のトナー量とは、図5に示すような相関関係を有する。トナーの誘電率は空気に対して3倍前後であるため、供給ローラ内のトナー量が増えるほどシャフト25aとシャフト24aの間の静電容量も増加する。
【0034】
以下に、図6を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードについて説明する。コントローラ部70は、高精度検出モードにおいて以下の制御を行うことで、実行手段として機能する。
【0035】
現像装置がPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを開始する(S005、S100)。最初に、現像ローラ25および供給ローラ24に対して、駆動装置Pにより駆動力を伝達可能な状態にする(S101)。次に、電圧印加手段としての直流電源によりシャフト25aとシャフト24aとの間に第1の直流電圧を印加しながら、供給ローラを第1の所定時間回転させる(S102)。第1の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVa=−500V、シャフト25aの電位Vb=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV1=Va−Vb=−200Vとした。
【0036】
第1の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。第1の所定時間回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S103)。その後第1の静電容量C1を測定する(S104)。
【0037】
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S105)、電圧印加手段としての直流電源によりシャフト25aとシャフト24aとの間に第2の直流電圧を印加しながら、現像ローラ25および供給ローラ24を第2の所定時間回転させる。この回転により、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量が増加する(S106)。ここで、第2の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVc=−100V、シャフト25aの電位Vd=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV2=Vc−Vd=+200Vとした。
【0038】
第2の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。第2の所定時間回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S107)。その後、第2の静電容量C2を測定する(S108)。
【0039】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7のようになる。トナー残量測定は、とくにトナー切れのタイミングを精度良く検知する必要があるため、トナー残量がある程度減っている状態で測定した。したがって、図7におけるトナー残量の「多い」「少ない」は、トナー残量がある程度減っている状態の中での相対的な表現である。(なお、後出の他図においても「多い」「少ない」は同様の意味で用いた。)図7によると、ΔCとトナー残量は相関関係があることがわかる。トナー残量が多いところではΔCが大きいが、トナー残量が少なくなるにしたがってΔCが小さくなる。したがってΔCを計測することで、この相関関係を利用することにより、トナー残量を測定することが可能となる。
【0040】
図8に、ΔCを算出した後のコントローラ部70の動作を示す。ΔCを算出し(S201)、ΔCが閾値ΔCth以下であるかを判断する(S202)。ΔCが閾値ΔCth以下であるとき(S202Yes)、トナー切れを報知する報知信号を形成する(S203)。すなわち、コントローラ部70が報知信号形成手段70aとして機能する。
【0041】
一方、ΔCがΔCth以下に達していないときには(S202No)、ΔCとΔCthの差分ΔDを算出し(S204)、Pthを再設定する(S205)。新たに設定されたPthに到達するまで画像形成を継続する(S206)。(図3のS000もしくはS001に戻る。)Pthに到達した際に、2回目の高精度検出モードを実行する。
【0042】
次にΔDからPthを再設定する方法について説明する。トナー残量とΔCの関係は図9のような関係になる。この関係から予め近似直線を算出しておき、画像形成装置本体の記憶手段にこの近似直線データを記憶しておく。ΔDと予め記憶された近似直線データからトナー切れに達するまでに使用可能なトナー量Xgを算出する。そのトナー量Xgを使用するときに、積算されると想定するピクセルカウントPxを算出する。今までのPthにPxを足した値であるPth’を新たなPthとして再設定する。再設定されたPthにピクセルカウント積算値が達したときに、2回目の高精度検出モードを実施する。その後も、ΔCがΔCth以下に達していないときには、S200からS202、そして、S204からS206までのフローを繰り返し、ΔCがΔCth以下になるまでこの動作を繰り返す。
【0043】
ここで、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラのシャフトと現像ローラのシャフトとの間に印加する直流電圧の電位差ΔVによって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量とΔV=−200、+200Vの電位差で回転させたときの供給ローラ内のトナー含有量を図10に示す。ΔV=+200Vの時の方がΔV=−200Vの時よりも多くトナーを含有していて、特に、容器内トナー量が多い時には、その差が大きい。容器内トナー量が少なくなるにつれて、ΔV=−200、+200Vともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、ΔV=−200VとΔV=+200Vでほぼ同じトナー含有量を示している。
【0044】
本発明者らの観察結果から、ΔV=−200Vの方が、図2に示したx部でのトナーの吐き出しが多くなっていることがわかった。また、ΔV=+200Vでは、負の正規帯電極性を有するトナーは、ΔV=−200Vの時と比較して、現像ローラと供給ローラの間の電界により供給ローラ側に引き寄せられる。そのため、ΔV=+200Vではx部からのトナーの吸い込みがあるものの、ΔV=−200Vになるとトナーは電界により供給ローラから吐き出す力が強くなるため、x部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、ΔV=−200Vで回転させたときの方が、供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0045】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したy部のトナーが減っていることが観察された。y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はy部のトナーの状態が大きく影響するため、電位差ΔVによらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図10のようになり、その差分をとると図7のような結果となる。
【0046】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図11(A)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各電位差の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。これは、トナーや供給ローラの発泡層が吸湿すること、温度によって抵抗が変化すること等が原因と考えられる。しかし、各電位差の静電容量の差分を測定すると、図11(B)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、供給ローラと現像ローラに印加する直流電圧の電位差ΔVを変えても同程度の影響である。
【0047】
そのため、残量検知のパラメータとして各電位差で図った静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の高精度検出モードを用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0048】
なお、本実施例では、高精度検出モードにおいて、第1の直流電圧印加時においてΔV1=−200Vとし、その後に印加する第2の直流電圧印加時においてΔV2=+200Vとした。これは、ΔV2=+200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了することで、ΔV2=−200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了するよりも、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態で現像を開始することが可能となるためである。
【0049】
すなわち、ΔV1−ΔV2すなわち(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、第1の直流電圧および第2の直流電圧を印加することで、逆極性の場合よりも、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、上記したΔV1―ΔV2とトナーの正規帯電極性との関係を満たすことは必須ではない。
【0050】
また、本発明で第1の直流電圧、第2の直流電圧として用いた値は、これに限られるものではなく、適宜選択すればよいが、前述したように、ΔVが互いに異なる電圧を用いることでトナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化するため、同一の電圧を用いるものは本実施例に含まない。また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに同じである必要もない。
また、本実施例では、第1の直流電圧印加時と第2の直流電圧印加時とで、現像ローラのシャフト25aの電位を固定して供給ローラのシャフト24aの電位を複数段階に切り替えたが、シャフト25aとシャフト24aの間の電位差を変化させれば良く、シャフト25aの電位を切り換えてもよい。
【0051】
(実施例2)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0052】
本実施例の画像形成装置の構成を図12に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラムは矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置,4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。
【0053】
5a、5b、5c、5dは負の正規帯電極性をもつイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーをそれぞれ内包した現像装置である。各現像装置の内部構成は同じであるので、特に内包されているトナーを区別しない場合は、各現像装置の呼称を区別せず、現像装置5として以下説明する。全ての現像装置5は、装着部たるロータリ・ドラム50上の装着部にそれぞれ取り外し可能に装着されるカートリッジとして構成されている。ロータリ・ドラム50は、現像装置5を装着した状態で回転自在に支持され、所望の現像装置(例えば現像装置5a)を感光ドラム1に対向・接触する現像位置Cに回転移動することができる。
【0054】
感光ドラム1の下部には、中間転写体たる転写ベルト16が複数のローラに架張されて、図12のR3方向に回動するように配置されている。感光ドラム1と転写ベルト16が押圧・接触する1次転写位置Bには、転写ベルト16を感光ドラム1と挟むように1次転写ローラ17が配置されている。転写ベルト16を架張しているローラの1つ16bには、転写ベルト16を挟むように2次転写ローラ18が配置されている。2次転写ローラ18は転写ベルト16に対し、当接/離間できるように構成されている。
【0055】
16bは2次転写ローラ18に対して2次転写対向ローラと呼ばれる。2次転写ローラ18が当接/離間される位置は、2次転写位置Dと呼ばれる。2次転写位置Dでは後述するように、搬送されて来た転写材P上に画像を転写する。転写後の転写材Pは定着器15に送られる。
【0056】
2次転写位置Dに対し、転写ベルト16の移動方向下流には転写クリーニング装置19が設置され、クリーニング装置19に付属のブレードが転写ベルト16上のトナーが掻き落とせるように、転写ベルト16に接触配置されている。感光ドラム1に対しても同様に、1次転写位置Bに対して感光ドラム1の移動方向下流には感光体クリーニング装置9が設置され、付属のブレードが感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
【0057】
画像形成装置の画像形成動作について説明する。矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3,反射ミラー4により色毎の画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置5で現像し、トナー像を形成する。現像位置Cに設置される現像装置5は、色毎の画像信号に応じて定められており、予め、ロータリ・ドラム50を矢印R2方向へ回転させて所望の色の現像装置5を現像位置Cに設置する。現像されるトナー像の色順も決まっており、本実施例ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に形成する。
【0058】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写位置Bにて中間転写ベルト16上に転写される。転写されトナー像上に次に形成したトナー像を順次重畳することで、フルカラートナー像を中間転写ベルト16上に形成する。
2次転写ローラ18はフルカラートナー像が形成されるまでは転写ベルト6から離間され、形成された後に転写ベルト16に当接される。形成されたフルカラートナー像が2次転写位置Dに到達するタイミングに合わせて転写材Pが搬送される。2次転写ローラ18と2次転写対向ローラ16bは、転写材Pを転写ベルト16と共に挟み込んでフルカラートナー像を転写材P上に転写する。フルカラートナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のフルカラートナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
【0059】
実施例2で用いている現像装置5は、実施例1で用いた現像装置と同構成であり、使用している現像ローラ、供給ローラも同じ構成である。画像形成時における現像ローラの周速は160mm/sec、供給ローラの周速は140mm/secである。また、本実施例でも、実施例1と同様に直流電源から供給ローラに印加する直流電圧は複数段階に切り替えることが可能となっている。
【0060】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。基本的な、トナー残量測定の方法は実施例1と同じであることから、本実施例における特徴的な部分についてのみ後述する。本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qによって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を検知位置Eまで移動させて測定を行なう。検知位置Eとは、図12中の5cで表された現像装置の位置である。検知位置Eでは、図示しない電極端子によってシャフト24aに検知用交流電源が、シャフト25aに検知回路が接続される。
【0061】
検知位置Eでは、供給ローラ周囲のトナーが自重落下し、供給ローラ近傍のトナーの影響を少なくできる。そのため、検知時に供給ローラ近傍のトナーによる外乱を受にくく、供給ローラ内に含有されるトナーの量をより正確に測定できることとなる。
【0062】
また、本実施例においても実施例1と同様に、露光手段の発光割合を算出するため、ピクセルカウント計数手段(ピクセルカウンター)を設けており、各現像装置のピクセルカウント積算値を算出し、大まかなトナー使用量を推定している。ピクセルカウント積算値は、各現像装置に設けられた記憶手段に記憶される。実施例1と同様に、ピクセルカウント積算値をトリガとして、高精度検出モードの実行タイミングを決定しているが、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では高精度検出モードを実行すればよく、ピクセルカウント方式は必須ではない。
【0063】
本実施例での、高精度検出モード時の動きについて説明する。図13、14にシーケンスの流れとロータリの動きを示す。ある現像装置がPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S300)。最初に、Pthに到達した現像装置を現像位置Cへ移動させる(S301)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で第1の電極部材と第2の電極部材との間に第1の直流電圧を印加し、供給ローラを第1の所定時間回転させる(S302)。実施例1と同様に、第1の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVa=−500V、シャフト25aの電位Vb=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV1=Va−Vb=−200Vとした。第1の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。
【0064】
所定時間回転後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S303)、第1の静電容量C1を測定する(S304)。次に、前記現像装置を再度現像位置Cへ移動させる(S305)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で第1の電極部材と第2の電極部材との間に第2の直流電圧を印加し、供給ローラを第2の所定時間回転させる(S306)。実施例1と同様に、第2の直流電圧印加時における、シャフト24aの電位をVc=−100V、シャフト25aの電位Vd=−300Vとし、シャフト24aとシャフト25aの電位差をΔV2=Vc−Vd=+200Vとした。
【0065】
第2の所定時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では60秒とした。その後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S307)、第2の静電容量C2を測定する(S308)。
【0066】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。ΔCの算出後に、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0067】
本実施例では、実施例1で得られる効果の他に、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。本実施例でのΔCは図15(A)にあるような傾向を示す。この傾向は、実施例1と同じであるが、実施例1の結果よりも容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっていることが分かる。そのため、トナー残量の変化に対する差分ΔCの感度が良くなる。したがって、より高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0068】
上記のように、本実施例の構成をとることで容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっていることについて以下で説明する。図15(B)は、本実施例構成での第1の直流電圧による電位差ΔV1=−200Vを印加して供給ローラを回転させた後の静電容量およびΔV2=+200Vを印加して供給ローラを回転させた後の静電容量と、トナー容器内トナー残量との関係である。実施例1と比較して、ΔV=+200V印加で回転した時の測定値が大きいことが分かる。
【0069】
この現象について推測する。図16にトナーが少量のときにロータリを回転させたときの、カートリッジ内すなわち現像装置内のトナーの動きを示す。現像位置で回転した後は、図16(A)のように供給ローラ上部(x部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16(B)、16(C)、16(D)、16(E)と順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のx部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のy部に搬送されることが分かる。
【0070】
供給ローラへのトナー供給はy部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でy部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。ΔV=−200Vの電位差で供給ローラを回転させたときは、トナーは電界により供給ローラから吐き出す力が強くなるため、y部からトナー供給されるよりもx部の吐き出しの方が多く、ロータリ回転の有無で発泡層内のトナー量に差が現れ難い。しかし、ΔV=+200Vの電位差で供給ローラを回転させたときには、トナーは電界により供給ローラ側に引き寄せられるため、供給ローラ内のトナー量はy部での吸い込みが支配的になる。よって、供給ローラがトナーを含みやすくなる。
【0071】
そのため、ΔV=−200Vの電位差で回転後の静電容量はそれほど変わらず、ΔV=+200Vの電位差で回転後の静電容量が大きくなるため、ロータリ方式でないときよりも静電容量の差分が大きくとることが可能となる。トナー量が非常に少ない状態になるとy部のトナーもなくなるため、ΔV=+200Vの電位差で回転後の供給ローラ内のトナーは少なくなり、ロータリ回転時と実施例1との差はなくなる。
【0072】
以上から、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが実施例1よりも大きくなっていると考えられる。差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、より高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0073】
ロータリのその他の効果としては、長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定するため、静電容量測定時のばらつきを抑制できる。
【0074】
なお、本実施例の高精度検出モードにおいても、第1の直流電圧印加時においてΔV1=−200Vとし、その後に印加する第2の直流電圧印加時においてΔV2=+200Vとした。これは、ΔV2=+200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了することで、ΔV1=−200Vの電位差で回転のあとに高精度検出モードを終了するよりも、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。
【0075】
すなわち、ΔV1−ΔV2すなわち(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、第1の直流電圧および第2の直流電圧を印加することで、逆極性の場合よりも、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、上記したΔV1―ΔV2とトナーの正規帯電極性との関係を満たすことは必須ではない。
【0076】
また、本発明で第1の直流電圧、第2の直流電圧として用いた値は、これに限られるものではなく、適宜選択すればよいが、前述したように、ΔVが互いに異なる電圧を用いることでトナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化するため、同一の電圧を用いるものは本実施例に含まない。
【0077】
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに同じである必要もない。また、本実施例では、第1の直流電圧印加時と第2の直流電圧印加時とで、現像ローラのシャフト25aの電位を固定して供給ローラのシャフト24aの電位を複数段階に切り替えたが、シャフト25aとシャフト24aの間の電位差を変化させれば良く、シャフト25aの電位を切り換えてもよい。
【0078】
(実施例3)
本実施例の画像形成装置は実施例1の画像形成装置と同様に図1の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために実施例1と同様に図3のフローを行うが、図3のフローの後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例1とは異なる。すなわち、本実施例では、図2における駆動装置Pが、供給ローラの回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されており、これにより、実施例1、2のようにシャフト25aとシャフト24aとの間の電位差を変化させなくとも、発泡層内のトナー量を変化させることが可能となる。
【0079】
なお、以下において実施例1と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を省略する。
【0080】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例の画像形成装置において、上記したように、図2における駆動装置Pが、現像ローラ25および供給ローラ24の回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されている。
【0081】
以下に、図18を用いて、本実施例の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを実行する(S005、S400)。最初に、現像駆動伝達可能な状態にして(S401)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、第1の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S402)。ここで用いる第1の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度であり、この回転速度を100%と定義する。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では15秒とした。15秒回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S403)。その後第1の静電容量C1を測定する(S404)。
【0082】
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S405)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、第2の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S406)。通常画像形成時に使用する回転速度を100%と定義すると、ここで用いる第2の回転速度は40%とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では40秒とした。
【0083】
40秒回転後、トナー残量測定を行なうために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S407)。その後、第2の静電容量C2を測定する(S408)。(なお、上記のように、第1の回転速度と前記第2の回転速度のうち、速い方の回転速度の時の方が供給ローラ内のトナー量が速く安定するため、速い方の回転速度における回転時間を、遅い方の回転速度における回転時間よりも短くすることで、その逆にするよりも、高精度検出モードの時間を短くすることができる。)
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様の結果が得られる。すなわち、ΔCとトナー残量は相関関係がある。トナー残量が多いところではΔCが大きいのだが、トナー残量が少なくなるにしたがってΔCが小さくなる。したがってΔCを計測することで、この相関関係を利用することにより、トナー残量を測定することが可能となる。すなわち、算出されたΔCを用いて、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0084】
ここで、本実施例における、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラの回転速度によって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量と低速・高速で回転させたときの供給ローラ内のトナー含有量を図19に示す。容器内トナー量が多い時には、低速(40%)の方が多くトナーを含有していて、高速回転後の測定値との差が大きい。容器内トナー量が少なくなるにつれて、高速(100%)、低速(40%)ともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、回転速度100%と40%でほぼ同じトナー含有量を示している。
【0085】
本発明者らの観察結果から、回転速度が速い方が、図2に示したx部でのトナーの吐き出しが多くなっていることがわかった。また、低速ではトナーの自重によってx部からのトナーの吸い込みがあるものの、高速になると吐き出し力が強くなるため、x部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、高速回転させたときの方が、供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0086】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したy部のトナーが減っていることが観察された。y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はy部のトナーの状態が大きく影響するため、速度によらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図19のようになり、その差分をとると図7と同様の結果が得られる。
【0087】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図20−Aに、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各速度の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。これは、トナーや供給ローラの発泡層が吸湿すること、温度によって抵抗が変化すること等が原因と考えられる。しかし、各速度の静電容量の差分を測定すると、図20−BにあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、速度を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各速度における静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の高精度検出モードを用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0088】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの第1の回転速度を高速、その後に回転させる第2の回転速度を低速回転とした。これは、低速回転のあとに高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、回転速度をこのような順番に設定することは必須ではない。
【0089】
(実施例4)
本実施例の画像形成装置は実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために実施例1〜3と同様に図3のフローを行うが、図3のフローの後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例2とは異なる。すなわち、本実施例では、図2における駆動装置Pが、供給ローラの回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されており、これにより、実施例2のようにシャフト25aとシャフト24aとの間の電位差を変化させなくとも、発泡層内のトナー量を変化させることが可能となる。
【0090】
なお、実施例2と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を省略する。
【0091】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例の画像形成装置は、上記したように、図2、図12における駆動装置Pが、供給ローラ24の回転速度を複数の速度に切り換え可能に構成されている。
【0092】
以下に、図21、図22を用いて本実施例の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S500)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を現像位置Cへ移動させる(S501)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で第一の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S502)。ここで用いる第1の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度であり、この回転速度を回転速度100%と定義する。第1の回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では15秒とした。
【0093】
15秒回転後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S503)、第1の静電容量C1を測定する(S504)。次に、前記現像装置を再度現像位置Cへ移動させる(S505)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S506)。ここで用いる第2の回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度の40%の速度である。第2の回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では30秒とした。その後、前記現像装置を検知位置Eに移動させ(S507)、第2の静電容量C2を測定する(S508)。
【0094】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。本実施例では、このように算出されたΔCより、実施例1〜3と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0095】
本実施例では、実施例3と同様に駆動装置Pを変化手段として機能させているが、実施例3で得られる効果の他に、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。本実施例でのΔCは図23(a)にあるような傾向を示す。図23(a)からわかるように、本実施例の方が実施例3よりも、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなっている。そのため、差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、実施例3よりも高精度にトナー残量の検知を行なうことが可能となる。
【0096】
図23(b)は、本実施例構成での供給ローラを低速回転させた後の静電容量および高速回転させた後の静電容量と、現像容器内トナー残量との関係である。実施例3と比較して、低速回転時の測定値が大きいことが分かる。図23(b)の結果が得られる理由について推測する。図16にトナーが少量のときのロータリを回転させたときのトナーの動きを示す。現像位置で回転した後は、図16−Aのように供給ローラ上部(x部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16−B、16−C16−D、16−Eと順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のx部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のy部に搬送されることが分かる。
【0097】
供給ローラへのトナー供給はy部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でy部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。供給ローラを高速回転させたときは、y部からトナー供給されるよりもx部の吐き出しの方が多く、ロータリ回転の有無で差が現れ難い。しかし、供給ローラを低速回転させたときには、x部での吐き出し量が少ないため、供給ローラ内のトナー量はy部での吸い込みが支配的になる。よって、供給ローラがトナーを含みやすくなる。そのため、高速回転後の静電容量はそれほど変わらず、低速回転後の静電容量が大きくなるため、ロータリ方式でないときよりも差分が大きくとることが可能となる。トナー量が非常に少ない状態になるとy部のトナーもなくなるため、低速後の供給ローラ内のトナーは少なくなり、ロータリ回転時と実施例3との差はなくなる。
【0098】
以上から、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが実施例3よりも大きくなっていると考えられる。すなわち、実施例3よりも、差分ΔCを検知する時のばらつきに対してトナー残量のばらつきが小さくなり、トナー残量報知や、現像装置の交換を促す報知を、より高精度に行なうことが可能となる。
【0099】
ロータリのその他の効果としては、ロータリ回転でy部にトナーを送り込むことで、トナーを含みやすくなるため、低速回転時の供給ローラ内のトナー量が早く安定する。そのため、低速回転時間を短縮することが可能となる。また、他には、現像装置が長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定するので、静電容量のばらつきを抑制できる。
【0100】
(実施例5)
本実施例の画像形成装置は実施例1の画像形成装置と同様に図1の基本構成を有する。本実施例で用いられる現像装置は、図24に示す構成を有する。本実施例では、図3に示したフローを行った後の高精度検出モードにおける、供給ローラ24の発泡層に含まれるトナー量を変化させる手段が実施例1とは異なる。すなわち、本実施例の画像形成装置は、現像装置の姿勢を、第1の姿勢から、現像ローラの頂点に対する供給ローラの頂点の高さが第1の姿勢とは異なる第2の姿勢に変化させ、第2の姿勢において供給ローラを回転させることで発泡層内のトナー量を変化させることが可能である。
なお、実施例1と同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、高精度検出モード以外の説明については、共通する説明を一部省略する。
【0101】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
現像装置5について図24を用いて詳細に説明する。現像装置5は、トナーを収容するトナー容器21、トナー容器21の開口部に配設されたトナー担持体たる現像ローラ25、及び現像剤規制部材たる規制ブレード27、トナー容器21の内部に現像ローラ25と隣接して設けられたトナー供給部材たる供給ローラ24からなる。現像ローラ25は、現像動作中は感光ドラム1と接触した状態で回転する。現像ローラ25と供給ローラ24は第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置本体に設けられた姿勢変化装置としての駆動装置Rおよびカム20を用いて、図24中に示すカム20を回転駆動させ、トナー容器上部を押すことで、現像ローラ25を感光ドラム1から離間する。離間後、第1の駆動装置である駆動装置Pの回転駆動を停止する。
【0102】
現像ローラ25と感光ドラム1の間の離間量はカム20の回転位相により決定し、同時に現像装置5の姿勢も決定する。この姿勢変化装置による現像装置5の離間動作の、図24中に示す揺動中心30は、現像ローラ25と供給ローラ24を画像形成装置本体の駆動装置Pから駆動伝達させるための初段入力ギア中心と一致しており、離間状態でも供給ローラ24の回転が可能である。
【0103】
なお、現像装置5は後述するように、異なる複数段階の姿勢で供給ローラを回転した後の静電容量を測定するために、異なる複数段階の姿勢で供給ローラ24が回転可能であればよく、例えば供給ローラへ駆動伝達する駆動装置が複数あり、異なる駆動装置を用いることで異なる姿勢における供給ローラ24の回転駆動が可能であってもよい。
【0104】
ここで、画像形成中において、現像ローラ25と感光ドラム1が接触状態にある現像装置5は、図25(A)に示すように、鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1と現像ローラ25の頂点位置y2の差y1−y2をΔyと定義したときに、Δy=4.5mmとなる姿勢である。ただし、前述したように、現像装置5の姿勢は供給ローラ24を回転駆動可能な複数段階に変えることが可能である。本実施例では、後述するように、画像形成時の現像ローラ25と感光ドラム1が接触する状態とは異なる、姿勢の異なる2つの離間状態(図26(a)、26(b))で供給ローラ24の回転駆動が可能である。現像装置の姿勢は、駆動装置Rおよびカム20の回転によって、所望の姿勢に必要なタイミングで変更される。
【0105】
以下に、図27を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、高精度検出モードを実行する(S005、S600)。最初に駆動装置Rがカム20を回転させて、現像装置5を、駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達可能な第1の姿勢にして(S601)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、所定の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S602)。
【0106】
ここで用いる第1の姿勢は、図26(a)に示すように鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’と現像ローラ25の頂点位置y2’の差Δy’=y1’−y2’が8mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度を100%と定義すると、ここで用いる供給ローラの回転速度は40%とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では50秒とした。50秒回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S603)。その後第1の静電容量C1を測定する(S604)。
【0107】
次にカム20を回転させて、現像装置5を、駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達可能な第2の姿勢にし(S605)、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、所定の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S606)。ここで用いる第2の姿勢は、図26(b)に示すように鉛直方向上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’’と現像ローラ25の頂点位置y2’’の差Δy’’=y1’’−y2’’が5mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。ここで用いる供給ローラの回転速度は40%とした。
【0108】
回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では25秒とした。第2の所定時間回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラと供給ローラの回転を停止し、再度、カム20の回転により第1の静電容量C1の測定時と同じ第1の姿勢にする(S607)。ただし、静電容量検知を第2の姿勢でも行えるように現像装置に電気的接点を設けておけば、S607で第1の姿勢にする必要はない。その後、第2の静電容量C2を測定する(S608)。
【0109】
なお、本実施例では感光ドラム1の現像ローラ25による削れを防止するために、供給ローラを回転させる際の第1の姿勢と第2の姿勢において、現像ローラ25と感光ドラム1が離間した状態にしている。ただし、本発明の効果を得る上では、第1の姿勢と第2の姿勢との、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さがが異なっているのであれば、現像ローラ25と感光ドラム1が接触した状態で供給ローラを回転させても良い。
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。
【0110】
本実施例では、このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。これにより、本実施例でも実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0111】
ここで、静電容量の差分とトナー容器内トナー残量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラ回転時の現像装置の姿勢によって、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、トナー容器内トナー残量に対する、第1・第2の姿勢で供給ローラを回転させたときの、供給ローラ内のトナー含有量の関係を図25aに示す。トナー容器内トナー残量が多い時には、Δy’’が小さい第2の姿勢(Δy’’=5mm)の方が多くトナーを含有していて、Δy’が大きい第1の姿勢(Δy’=8mm)で回転後のトナー含有量との差が大きい。トナー容器内トナー残量が少なくなるにつれて、第1の姿勢(Δy’=8mm)、第2の姿勢(Δy’’=5mm)ともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、トナー容器内トナー残量が非常に少ない状態(ポイントB)では、第1と第2の姿勢でほぼ同じトナー含有量を示している。
【0112】
本発明者らの観察結果から、トナー切れに近い状態では、図25(a)に示すように供給ローラ周りを供給ローラの回転方向とは逆向きに、トナーが供給ローラの頂点を乗り越えてX部からY部へ移動をすることができず、供給ローラの圧縮により供給ローラ内から吐き出されたトナーが、X部に貯まることがわかった。またこのとき、X部に供給ローラ内から吐き出されたトナーがY部へ移動せずに貯まる容積の大きい第1の姿勢(Δy’=8mm)の方が、図26(a)に示すようにX部に存在するトナーが多くなっていることがわかった。また、第1の姿勢(Δy’=8mm)では第2の姿勢(Δy’’=5mm)よりX部に貯まるトナーが多くなるため、Y部に存在するトナーが少なくなり、Y部での吸い込みが行なわれ難くなっている。その結果、ある程度トナー容器内のトナーが残っている状態(図25aのポイントA)では、第1の姿勢(Δy’=8mm)で回転させたときの方が、第2の姿勢(Δy’’=5mm)で回転させたときより供給ローラ内のトナー量が少なくなっている。
【0113】
また、トナー容器内のトナー残量が非常に少ない状態(図25aのポイントB)のときは、第1・第2の姿勢ともに図24に示したY部のトナーが減っていることが観察された。Y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、Y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。Y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。前述の通り、この現象はY部のトナーの状態が大きく影響するため、現像装置の姿勢によらず供給ローラ内のトナー量が減ることになる。
これらの結果から、トナー容器内トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係は図25aのようになり、その差分をとると図7と同様の結果となる。
【0114】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図24a(a)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)のトナー容器内トナー残量と各姿勢で回転後の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。しかし、各姿勢の静電容量の差分を測定すると、図24a(b)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。
【0115】
上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、現像装置の姿勢を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各姿勢の静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行うことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行うことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0116】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラを回転する第1の姿勢における供給ローラ24と現像ローラ25の頂点位置の差Δy’=y1’−y2’よりも、その後に回転させる第2の姿勢における供給ローラ24と現像ローラ25の頂点位置の差Δy’’=y1’’−y2’’の方が、小さくなるようにした。ここでいう差分Δy’およびΔy’’は、負の値も含んでおり、Δy’>Δy’’となるようにしている。
【0117】
これは、Δy’’が小さい姿勢で回転させた後に高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態で現像を開始することが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、供給ローラ回転時の現像装置の姿勢をこのような順番に設定することは必須ではない。
【0118】
また、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの回転速度を画像形成時よりも低速にした。これにより、より高精度なトナー残量測定を行っているが、この効果について図30を用いて以下に説明する。図30(a)に示すように、低速回転の方が、高速回転よりもトナー含有量が多くなり、さらに、各速度において第2の姿勢と第1の姿勢との間の差分をとると図30(b)のようになる。低速回転においては、供給ローラの発泡層からのトナーの出入りは、X部への吐き出しよりもY部からの吸い込みが支配的になるため、Y部のトナー量が多い状態であるトナー容器内トナー量がある程度残っている状態では、低速回転にすることで、姿勢を変えたときに、異なる姿勢の静電容量差分値ΔCは図30(b)に示すように大きくなると考えられる。
【0119】
一方、トナー容器内トナー残量が非常に少ない状態では、Y部のトナー量が少なく静電容量の差分ΔCはあまり回転速度で変わらない。そのため、低速回転にすることでトナー容器内トナー残量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなる。そして静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなると、差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、より高精度にトナー残量の検知を行うことが可能になる。以上から、本実施例のように、供給ローラの回転速度を画像形成時よりも低速回転にすることで、より高精度にトナー残量の測定を行うことが可能である。
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに異なっていても同じでもよい。
【0120】
(実施例6)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示すフローを行った後に実施例5の画像形成装置のように現像装置の姿勢変化を利用した高精度検出モードを行うが、実施例5とは姿勢を変化させる手段が異なる。すなわち、本実施例の画像形成装置は、図12に示すように、現像装置を支持し回転可能なロータリ・ドラム50と、ロータリ・ドラム50を回転駆動する駆動装置Qとを有し、駆動装置Qによってロータリ・ドラム50を回転駆動することで現像装置の姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢に変化させる。
【0121】
以下、本実施例の特徴部分について説明する。
本実施例で用いている現像装置5は、実施例5で用いた図24の現像装置と同構成であり、使用している現像ローラ、供給ローラも同じ構成である。画像形成時における現像ローラ、供給ローラの周速も実施例5と同じである。画像形成中の現像装置5の姿勢は、図25(b)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1と現像ローラ25の頂点位置y2の差y1−y2をΔyと定義したときに、Δy=4.5mmとなる姿勢である。
【0122】
また、本実施例でも、実施例5と同様に現像装置5の姿勢を、供給ローラ24を回転駆動可能な複数の姿勢に変えることが可能となっている。現像装置5の姿勢は、第2の駆動装置としての画像形成装置本体に設けられた駆動装置Qによって、現像装置5を支持するロータリ・ドラム50を回転駆動することで変更される。つまり、ロータリ・ドラム50の回転位相で決まる、ロータリの中心に対する現像装置5の位置が変わることより、現像装置の姿勢が所望の姿勢に変更される。
【0123】
また本実施例では、オルダム継手を介すことで、異なる現像装置位置でも第1の駆動装置としての画像形成装置本体の駆動装置Pから現像ローラと供給ローラに駆動伝達される。本実施例では、後述するように、画像形成時の現像ローラ25と感光ドラム1の接触する現像位置Cからロータリ・ドラム50の回転した位置である、姿勢の異なる2つの離間位置F(図31(a)および図26(c))、離間位置G(図31(c)および図26(d))で供給ローラ24の回転駆動が可能である。なお、供給ローラ24は、異なる複数の姿勢で回転可能であればよく、例えば供給ローラへ駆動伝達する駆動装置が複数あり、異なる駆動装置を用いることで異なる姿勢における供給ローラ24の回転駆動が可能であってもよい。
【0124】
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。基本的な、トナー残量測定の方法は実施例1と同じであることから、本実施例における特徴的な部分についてのみ後述する。本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qによって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を検知位置Eまで移動させて測定を行う。検知位置Eとは、図12中の5cで表された現像装置の位置である。検知位置Eでは、図示しない電極端子によって現像ローラ25のシャフト24a(第1の電極部材)に検知用交流電源が、供給ローラ24のシャフト25a(第2の電極部材)に検知回路が接続される。
【0125】
検知位置Eでは、供給ローラ周囲のトナーが自重落下し、供給ローラ近傍のトナーの影響を少なくできる。そのため、検知時に供給ローラ近傍のトナーによる外乱を受にくく、供給ローラ内に含有されるトナーの量をより正確に測定できることとなる。
【0126】
本実施例での、図3のフローを行った後の、高精度検出モード時の動きについて説明する。図31、30にシーケンスの流れとロータリの動きを示す。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S700)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を、ロータリ・ドラム50を回転させて、第1の姿勢となる供給ローラ回転位置Fへ移動させる(S701)。ここで第1の姿勢は、図26(c)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’と現像ローラ25の頂点位置y2’の差Δy’=y1’−y2’が6mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。
【0127】
供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で所定の回転速度で供給ローラを第1の所定時間回転させる(S702)。ここで用いる供給ローラの回転速度は通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度の40%の速度とした。回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では40秒とした。第1の所定時間回転後、前記現像装置を静電容量測定位置Eに移動させ(S703)、第1の静電容量C1を測定する(S704)。次に、前記現像装置をロータリ回転により、第2の姿勢となる供給ローラ回転位置Gへ移動させる(S705)。ここで第2の姿勢は、図26(d)に示すように鉛直上向きなy軸方向の供給ローラ24の頂点位置y1’’と現像ローラ25の頂点位置y2’’の差Δy’’=y1’’−y2’’が3mmとなる姿勢であり、現像ローラ25と感光ドラム1は離間した状態にある。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で所定の回転速度で供給ローラを第2の所定時間回転させる(S706)。ここで用いる供給ローラの回転速度は通常画像形成時に使用する供給ローラの回転速度の40%の速度とした。
【0128】
回転時間は、供給ローラ内のトナー量が安定する時間が望ましく、本実施形態では20秒とした。その後、前記現像装置を静電容量測定位置Eに移動させ(S707)、第2の静電容量C2を測定する(S708)。なお、実施例1と同様に、供給ローラを回転させる際の第1の姿勢と第2の姿勢において、現像ローラ25と感光ドラム1が離間した状態にあることは必須ではない。
【0129】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|を算出し、これをΔCとする。本実施例における、トナー残量に対するΔCは、図33(b)に示す通りであり、実施例1と同じ傾向を示す。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。これにより、本実施例でも実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0130】
本実施例では、温度や湿度が静電容量に与える影響は、現像装置の姿勢を変えても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして各姿勢の静電容量の差分を用いることで、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行うことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行うことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、カートリッジの交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0131】
また、本実施例では、ロータリ構成を用いたことによる特有の作用効果を有するため、その特有の作用効果について以下に説明する。
まず、本実施例では、姿勢変化装置としてロータリ構成を利用しているため、実施例5のように姿勢変化のために新たにカム部材等を設けることなく、本発明の効果を得ることが可能となる。次に、図16にトナーが少量のときのロータリ・ドラム50を回転させたときのトナーの動きを示す。現像位置C付近(供給ローラ回転位置C,F,G)で供給ローラを回転した後は、図16(a)のように供給ローラ上部(X部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを図16(b)、16(c)、16(d)、16(e)と順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のX部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のY部に搬送されることが分かる。
【0132】
供給ローラへのトナー供給はY部からの吸い込みが支配的であることから、ロータリ回転でY部にトナーを搬送することで、供給ローラ回転時に供給ローラ内にトナーが含まれやすくなり、供給ローラ内のトナー量が早く安定する。特に供給ローラを低速回転させたときには、X部での吐き出し量が少ないため、供給ローラ内のトナー量はY部での吸い込みが支配的になって、より供給ローラがトナーを早く含むことになり、回転時間を短縮することが可能となる。そのため、本実施例では、実施例5と比較して、ロータリ回転でY部にトナーを送り込むことで、供給ローラ内のトナー量を短い供給ローラ回転時間で安定させることができ、供給ローラ回転時間を短縮できる。
【0133】
なお、本実施例の構成をとることで、供給ローラ回転前に上記のようなトナーの移動が起こるが、トナー容器内トナー残量に対する異なる姿勢の静電容量の差分ΔCは、図33(b)に示すように、実施例5のようなロータリ方式でないときと同じようにとれる。これは、Y部から供給ローラ内に吸い込まれたトナーは供給ローラ内のトナー量が安定するまで、供給ローラの回転により図2中のX部に吐き出されるためである。トナー容器内のトナー残量がある程度残っている状態(図33(a)中のポイントA)のとき、供給ローラが回転し始めるとX部にトナーが貯まり、実施例5と同様に姿勢ごとに変わるX部に貯まるトナー量の差により、Y部のトナー量に差が生まれ、供給ローラ内のトナー量も異なる姿勢での回転で変わることになる。そしてトナー容器内トナー残量が非常に少ない状態(図33(a)中のポイントB)になると、姿勢に関わらずX部に少量しかトナーは貯まらず、Y部にも少量しかトナーは存在しなくなり、差が生まれなくなる。よってロータリ回転の有無に関わらず、静電容量の差分とトナー容器内トナー残量に関係が現れ、実施例1と同様の残量検知が可能である。
【0134】
ロータリのその他の効果としては、長期放置された状態であってもロータリ回転によってトナーがほぐされるため放置の影響を受けにくい。そのため、供給ローラ回転後の供給ローラ内のトナー量が安定し、静電容量のばらつきを抑制できる。
また、供給ローラが含むトナー量が安定するまでに要する供給ローラ回転時間も、供給ローラの回転速度等によるため、第1の所定時間と第2の所定時間も本実施例の値に限るものではなく互いに異なっていても同じもよい。
【0135】
(実施例7)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示したフローを行った後に、実施例2とは異なる高精度検出モードを実行する。
【0136】
以下に、図34、図35を用いて、本発明の特徴である高精度検出モードの流れとロータリの動きについて説明する。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S800)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を駆動装置Qによりロータリ・ドラムを回転させて現像位置である供給ローラ回転ポジションへ移動させる(S801)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、その位置で駆動装置Pにより供給ローラを第1の所定時間t1としての15秒間回転させて、供給ローラ内のトナー量が少ない量で安定した状態にする(S802)。以降ここでの供給ローラの回転動作を吐き出しモードと呼称する。次に、前記現像装置を駆動装置Qによりロータリ・ドラムを回転させてトナー残量測定位置に移動させ(S803)、第1の静電容量C1を測定する(S804)。
【0137】
次に、前記現像装置を再度供給ローラ回転ポジションへ移動させる(S805)。供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、その位置で供給ローラを第2の所定時間t2としての3秒間回転させて、発泡層内のトナー量をC1の検知時における発泡層内のトナー量よりも多くする(S806)。以降ここでの供給ローラの回転動作を吸い込みモードと呼称する。その後、前記現像装置をトナー残量測定位置に移動させ(S807)、第2の静電容量C2を測定する(S808)。
【0138】
図36に供給ローラを回転したときの、回転時間に対する発泡層内のトナー量の模式図を示す。ロータリを回転させて、トナー容器内のトナーを図16に示すようにY近傍に移動させてから、供給ローラを回転させると、供給ローラの発泡層がY近傍のトナーを吸い込むため、発泡層内のトナー量は、図36において左端からスタートする。すなわち、上述のS806では、発泡層内のトナー量は図36の左端からスタートして、発泡層内のトナー量がしばらく増加した後、減少をはじめるので、t2を適宜設定することで発泡層内のトナー量を多くすることができる(吸い込みモード)。
【0139】
一方、ロータリ回転を行っても、図16に示すようにY近傍にトナーを移動させるような回転でなければ、図36においてどこからスタートするか不明である。したがって、t1は、供給ローラの回転時間に対する発泡層内のトナー量の減少率が所定値を下回るような時間α以上回転させることで、図36における発泡層内のトナー量が安定した状態にすることができる(吐き出しモード)。なお、本実施例ではt1を15秒、t2を3秒としたが、トナー容器の形状や、供給ローラの大きさ、素材、構造、回転速度等によってt1、t2は適宜調整すればよい。
【0140】
このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0141】
ここで、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像器内の観察結果をもとに、その物理的意味について推測する。
本発明者らは、供給ローラの回転時間による供給ローラ内トナー量の関係がトナー残量によって変化することを発見した。トナー切れに近い状態の、容器内トナー量と吐き出しモード・吸い込みモードで回転させた直後の供給ローラ内のトナー含有量を図37に、供給ローラの回転時間と回供給ローラ内のトナー含有量の関係を図38に示す。回転開始から徐々にトナー含有量が増えていき、ある時間を境に減少していく。容器内トナー量が少なくなるにつれて、吐き出しモード、吸い込みモードともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、吐き出しモード後と吸い込みモード後で、ほぼ同じトナー含有量を示している。
【0142】
本発明者らの観察結果から、回転時間によって吐き出しと吸い込みのバランスが、変化していることがわかった。この現象について推測する。図16にトナーが少量のときのロータリを回転させたときのトナーの動きを示す。ある程度容器内のトナーが残っている状態(ポイントA)では、現像位置で回転した後は、図16−Aのように供給ローラ上部(X部)にトナーが多く存在している。この状態から、ロータリを16−B、16−C16−D、16−Eと順に回転させることで、現像ローラ25と供給ローラ24との接触位置よりも供給ローラの回転方向上流側のX部に溜まったトナーが、ロータリ一周後には、上記の接触位置よりも供給ローラの回転方向下流側のY部に搬送されることが分かる。Y部は、現像ローラとの接触で圧縮された供給ローラが開放される部分である。
【0143】
そのため、開放される瞬間に多くのトナーがこの部分で吸い込まれている。供給ローラ内のトナーの多くはこの部分から含まれるため、Y部のトナーの状態が供給ローラ内のトナーに大きく影響する。Y部のトナーが少ない状態になると、供給ローラにトナーを供給し難くなり、供給ローラ内のトナー量は減少する。このことから、ロータリ回転でY部にトナーを搬送することで供給ローラ内のトナーを増やすことが可能となる。よってロータリ回転後しばらくは供給ローラにトナーが供給されるため、供給ローラ内のトナーが増えるが、Y部のトナーがなくなると、Y部からトナー供給がなくなるためX部の吐き出しの影響が大きくなり、供給ローラ内のトナー量は減ってしまう。
【0144】
また、容器内のトナー量が非常に少ない状態(ポイントB)のときは、図2に示したX部のトナーが少なくなっており、その結果Y部へ送り込まれるトナー量が少なくなっていることが観察された。そのため、供給ローラへのトナーの供給量が少なくなる。
これらの結果から、容器内トナー量と供給ローラ内トナー量の関係は図37のようになり、その差分をとると図7と同様の結果となる。
【0145】
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図39(A)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)の容器内トナー量と各速度の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。しかし、各速度の静電容量の差分を測定すると、図39(B)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。
【0146】
上記の結果により、残量検知のパラメータとして吸い込みモードと吐き出しモードの差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行なうことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行なうことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
【0147】
なお、本実施例では、高精度検出モード内の、供給ローラの第一の回転時間を吐き出しモード、その後に回転させる第二の回転時間を吸い込みモードとした。これは、吸い込みモードのあとに高精度検出モードを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることが可能となるためである。これによって、高精度検出モード後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制できるという別の効果も得ることができる。
【0148】
(実施例8)
本実施例の画像形成装置は、実施例2の画像形成装置と同様に図12の基本構成を有する。本実施例では、トナー残量を検知するために、図3に示したフローを行った後に、実施例2とは異なる高精度検出モードを実行する。
【0149】
本実施例では、トナー残量を検知したい現像装置5は回転支持体上すなわちロータリ・ドラム50上に設けられており、第2の駆動装置としての駆動装置Qよって、ロータリ・ドラム50を回転駆動することで、現像装置を移動し、トナーの撹拌を行い、トナー残量検知位置Fへと移動する。検知位置Fとは、図40中の5aで表された現像装置の位置である。検知位置Fでは、図示しない電極端子によってシャフト24aに交流電源100が、シャフト25aに検知回路101が接続される。
【0150】
図41に、本発明の特徴である高精度検出モードを示す。ある現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、高精度検出モードを実行する(S900)。最初に、PcountがPthに到達した現像装置を、ロータリ回転させてトナーの撹拌を行い、現像位置である供給ローラ回転ポジションへ移動させる。これによりトナーの撹拌を行なうことで、図16に示すように、トナーを供給し易い位置(前述のY部)へ、トナーを移動させる(S901)。(供給ローラ回転ポジションへ移動した時の現像装置の姿勢を、所定の姿勢としての姿勢Fとすると、S903以降のシーケンスはY部へ移動したトナー量が姿勢変化によって変わらないように姿勢Fのまま行う。)次に、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させるために、第1の所定時間(t1=3秒)供給ローラを回転させる(S902)。
【0151】
t1は実施例1と同様に、供給ローラ内のトナー量が一度最大値を越えた後がより望ましく、本実施形態では3秒とした。その後、第1の静電容量C1を測定する(S903)。ここで、静電容量の測定は、駆動装置Pによって供給ローラを回転駆動しながら行なう。C1測定後、供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を再度変化させるために、供給ローラ内のトナーを十分に吐き出す第2の所定時間(t2=10秒)供給ローラを引き続き回転させて(S904)、第2の静電容量C2を計測する(S905)。このように検出された静電容量C1とC2の差分の絶対値|C1−C2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図7と同様になる。このように算出されたΔCより、実施例1と同様に図8のフローに従って、閾値を超えているかどうかの判定を行なってトナー残量に関する報知やカートリッジ交換時期に関する検知を行なう。
【0152】
このように、本実施例では、最初にロータリ回転を行ってから、現像駆動が行なえるポジションにて、供給ローラを回転させながら静電容量を測定することにより、実施例7の様に、C1の測定とC2の測定の間にロータリ回転を挟むことなく静電容量の測定を連続して行なえるため、実施例7よりも測定時間の短縮が可能となる。
【0153】
また、実施例7では、供給ローラを第1の所定時間回転させる前にロータリ回転でトナー容器内のY部にトナーを移動させておらず図36の曲線におけるどの位置からスタートするか不明であるため、α以上回転させて発泡層内のトナー量が少なくなった状態にする必要があり、必然的にC2検知時には、C1検知時よりも発泡層内のトナー量が多い状態にする必要があった。しかし、本実施例では、高精度検出モードの最初にロータリ回転でトナー容器内のY部にトナーを移動させてから、上述のように供給ローラ回転させてC1とC2を連続して検知する。したがって、本実施例では、発泡層内のトナー量は図36の左端からスタートするため、t1とt2を適宜設定することで、C1検知時とC2検知時において発泡層内のトナー量はどちらを多くすることもできる。すなわち、発泡層内のトナー量が異なる量となるように、t1とt2を適宜設定すればよい。
【0154】
また、ロータリ回転でY部にトナーを移動させてから、供給ローラを回転させながら静電容量の検知を2回行ったが、供給ローラの回転時間に対する静電容量の減少率が所定値を下回るまで3回以上検知を行ってもよい。以下に詳細を示す。
【0155】
図42に静電容量検知を3回以上行う場合の高精度検出モードのフローを、図43に静電容量の検知結果を示す。静電容量の検知は、供給ローラを回転させながら0.5秒ごとに行った。m回目の静電容量をCmとすると、m回目とm−1回目の静電容量の差分値の絶対値ΔCd=|Cm−C(m−1)|を算出し(S911)、ΔCdがある閾値ΔCsを下回ったときに(S912)、発泡層内のトナー量がほぼ安定した(供給ローラの回転時間に対する静電容量の減少率が所定値を下回った)と判断し(S913)、検知回数N回のうち最も大きい静電容量CHと、S913でほぼ安定した時の最も小さい静電容量CLとの差分値の絶対値|CH−CL|を算出し(S915)、これをΔCとする。
【0156】
このように得られたΔCは実施例1と同様に図8のフローに従いトナー残量に関する報知やカートリッジの交換に関する報知を行なう。
【0157】
このように、ロータリ回転でY部にトナーを移動させてから、供給ローラを回転させながら静電容量の検知を3回以上連続して行うことで、静電容量の変化をモニタリングすることができる。したがって、静電容量の最も大きい値と、最も小さい値をとることで、静電容量差分値の絶対値として大きい値をとれるので、トナー残量の変化に対する、静電容量差分値の絶対値の変化が大きくなり、トナー残量検知やカートリッジ交換時期をより高精度に報知することができる。
【0158】
(補足)
本発明は、実施例1〜8に示した高精度検出モードのように、静電容量C1測定時と、静電容量C2測定時の間に、供給ローラを回転して発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有していれば、|C1−C2|を用いてトナー残量を検出することが可能である。これにより、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなくトナー残量が所定量を下回ったことや現像装置の交換時期を、ユーザーに精度良く報知することができる。さらに、静電容量C1測定前にも供給ローラを所定期間回転させることで、高精度検出モード実行前の画像形成に起因する発泡層内のトナー量の変化を抑制することができるので、静電容量C1もより安定した値を測定可能となる。これにより、より高精度に上記報知を行うことが可能である。
【0159】
また、実施例1〜8に示した高精度検出モードでは、静電容量C1測定から静電容量C2測定までの一連の動作を連続的に行なった。これらの動作は連続的に行なうことが望ましいが、C1測定時とC2測定時とで、環境、容器内トナー量が大きく変わっていない状態であれば、これに限ったものではない。例えば、印字率が低い画像であれば、C1測定とC2測定の間に数枚印刷しても大きな影響は無い。
【0160】
また、実施例1〜8に示した高精度検出モードにおいて、発泡層内のトナー量を変化させる所定期間において、供給ローラと現像ローラを回転させているが、発泡層にトナー出入りが行われるためには、供給ローラのみが回転していればよい。
また、実施例1〜8では現像装置のみを画像形成装置本体に対して取り外し交換可能なカートリッジとしたが、現像装置に加えて感光ドラム等も一体化した所謂一体型カートリッジを画像形成装置本体に対して取り外し交換可能としてもよい。
【0161】
また、本発明における報知信号形成手段の報知内容は、トナーが所定量を下回ったことや、現像装置の交換を促す報知であればよい。例えば画像形成装置本体のディスプレーや、画像形成装置にネットワークにより接続されたPCのディスプレーに「トナーが少なくなりました。」「トナー切れです。」「カートリッジを交換してください。」等を表示させる。すなわち、画像形成装置本体にディスプレーが無くても報知可能であることは言うまでもない。また、閾値を複数設定することで段階的にトナー量を検知することも可能である。このようにすることで、ユーザーにトナー残量を段階的に報知することができる。
【符号の説明】
【0162】
1 感光ドラム
5(5a〜5d) 現像装置
17 転写ローラ
15 定着装置
21 トナー容器
24 供給ローラ
24a シャフト
24b ウレタンスポンジ層
25 現像ローラ
25a シャフト
40 装着部
50 回転支持体(ロータリ)
70 コントローラ部
70a 報知信号形成手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、
前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記トナー供給部材を回転して前記発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有し、該期間の前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C1を検出し、該期間の後で前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C2を検出し、前記静電容量C1と前記静電容量C2との差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを複数回実行する実行手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記トナー供給部材を第1の速度で第1の所定時間回転し、前記所定期間において第1の速度とは異なる第2の速度で第2の所定時間回転する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の速度の方が前記第1の速度よりも遅い請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出した後であって前記所定期間の前において、前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の速度と前記第2の速度のうち速い方の速度における前記所定時間の方が、遅い方の速度における前記所定時間よりも短いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間に第1の直流電圧を印加しながら前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させ、前記所定期間において前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間に前記第1の直流電圧とは異なる第2の直流電圧を印加しながら前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記第1の直流電圧印加時における、前記第2の電極部材の電位をVa、前記第1の電極部材の電位をVbとし、前記第2の直流電圧印加時における、前記第2の電極部材の電位をVc、前記第1の電極部材の電位をVdとすると、(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、前記第1の直流電圧および前記第2の直流電圧を印加する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出した後であって前記所定期間の前において、前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像装置は、第1の姿勢と、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さが前記第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに姿勢を変化することが可能であり、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記第1の姿勢で前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させ、前記所定期間において前記第2の姿勢で前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の姿勢における前記トナー供給部材の回転する速度と前記第2の姿勢における前記トナー供給部材の回転する速度とは、前記静電潜像を現像する際の前記トナー供給部材の回転する速度よりも遅いことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の姿勢よりも前記第2の姿勢の方が、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さが低い請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、前記回転支持体を回転することで前記現像装置の姿勢が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、
前記静電容量C1を検出する前に、前記トナー供給部材の回転時間に対する前記発泡層内のトナー量の減少率が所定値を下回るような第1の所定時間前記トナー供給部材を回転させ、
前記静電容量C1を検出した後であって、前記所定期間の前において、前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させ、
前記所定期間に、前記所定の姿勢において、前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させて前記発泡層内のトナー量を前記C1の検知時における前記発泡層内のトナー量よりも多くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
実行手段は、前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させ、次いで前記所定の姿勢において前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させてから前記静電容量C1を検出し、前記所定期間に、前記所定の姿勢において、前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させて前記発泡層内のトナー量を前記C1の検知時における前記発泡層内のトナー量とは異なる量にする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、
前記現像装置を交換可能に装着するための装着部と、
前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量の減少率が所定値を下回るまで前記トナー供給部材を回転させながら前記静電容量を3回以上検出し、検出した前記静電容量のうち最も小さい静電容量CLと最も大きい静電容量CHとの差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを実行する実行手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項16】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、
前記トナー供給部材を回転させる前に前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
カラー画像を形成するために前記現像装置を複数有し、前記実行手段は複数の現像装置の各々について前記モードを実行する請求項1〜16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、
前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記トナー供給部材を回転して前記発泡層内のトナー量を変化させる所定期間を有し、該期間の前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C1を検出し、該期間の後で前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量C2を検出し、前記静電容量C1と前記静電容量C2との差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを複数回実行する実行手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記トナー供給部材を第1の速度で第1の所定時間回転し、前記所定期間において第1の速度とは異なる第2の速度で第2の所定時間回転する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の速度の方が前記第1の速度よりも遅い請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出した後であって前記所定期間の前において、前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の速度と前記第2の速度のうち速い方の速度における前記所定時間の方が、遅い方の速度における前記所定時間よりも短いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間に第1の直流電圧を印加しながら前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させ、前記所定期間において前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間に前記第1の直流電圧とは異なる第2の直流電圧を印加しながら前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記第1の直流電圧印加時における、前記第2の電極部材の電位をVa、前記第1の電極部材の電位をVbとし、前記第2の直流電圧印加時における、前記第2の電極部材の電位をVc、前記第1の電極部材の電位をVdとすると、(Va−Vb)−(Vc−Vd)の値がトナーの正規帯電極性と同極性となるように、前記第1の直流電圧および前記第2の直流電圧を印加する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出した後であって前記所定期間の前において、前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像装置は、第1の姿勢と、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さが前記第1の姿勢とは異なる第2の姿勢とに姿勢を変化することが可能であり、
前記実行手段は、前記静電容量C1を検出する前に前記第1の姿勢で前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させ、前記所定期間において前記第2の姿勢で前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の姿勢における前記トナー供給部材の回転する速度と前記第2の姿勢における前記トナー供給部材の回転する速度とは、前記静電潜像を現像する際の前記トナー供給部材の回転する速度よりも遅いことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の姿勢よりも前記第2の姿勢の方が、前記トナー担持体の頂点に対する前記トナー供給部材の頂点の高さが低い請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、前記回転支持体を回転することで前記現像装置の姿勢が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、
前記静電容量C1を検出する前に、前記トナー供給部材の回転時間に対する前記発泡層内のトナー量の減少率が所定値を下回るような第1の所定時間前記トナー供給部材を回転させ、
前記静電容量C1を検出した後であって、前記所定期間の前において、前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させ、
前記所定期間に、前記所定の姿勢において、前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させて前記発泡層内のトナー量を前記C1の検知時における前記発泡層内のトナー量よりも多くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
実行手段は、前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させ、次いで前記所定の姿勢において前記トナー供給部材を第1の所定時間回転させてから前記静電容量C1を検出し、前記所定期間に、前記所定の姿勢において、前記トナー供給部材を第2の所定時間回転させて前記発泡層内のトナー量を前記C1の検知時における前記発泡層内のトナー量とは異なる量にする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
開口部を有し、トナーを収容する容器と、該容器の前記開口部に配置されているトナー担持体であって、第1の電極部材を有し、トナーを担持搬送して静電潜像に供給するトナー担持体と、前記容器の内部に配置されているトナー供給部材であって、第2の電極部材、および該第2の電極部材のまわりに発泡層を有するトナー供給部材と、を備えており、該トナー供給部材を前記トナー担持体に圧接して回転させることにより前記容器内のトナーを前記トナー担持体に供給する現像装置と、
前記現像装置を交換可能に装着するための装着部と、
前記容器内のトナー量を検知するモードであって、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材の間の静電容量の減少率が所定値を下回るまで前記トナー供給部材を回転させながら前記静電容量を3回以上検出し、検出した前記静電容量のうち最も小さい静電容量CLと最も大きい静電容量CHとの差に基づいて前記容器内のトナー量を検知するモードを実行する実行手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項16】
前記現像装置は回転支持体上に設けられており、
前記実行手段は、
前記トナー供給部材を回転させる前に前記現像装置が所定の姿勢になるまで前記回転支持体を回転させることで、前記トナー担持体と前記トナー供給部材との接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向上流側の領域にあるトナーを、前記接触位置に対して前記トナー供給部材の回転方向下流側の領域に移動させる請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
カラー画像を形成するために前記現像装置を複数有し、前記実行手段は複数の現像装置の各々について前記モードを実行する請求項1〜16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2011−237834(P2011−237834A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187331(P2011−187331)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【分割の表示】特願2010−213667(P2010−213667)の分割
【原出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【分割の表示】特願2010−213667(P2010−213667)の分割
【原出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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