説明

画像形成装置

【課題】相反していたユニットの着脱操作とユニットの位置精度の確保を、ともに良好に得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体1に設けられ、閉じ位置と開き位置との間を回動可能な正面カバー30と、その正面カバー30の内面側に配置された搬送ユニット40とを有し、正面カバー30を回動して閉じ位置から開き位置に移動した際、その回動方向と同方向の操作で正面カバー30に対し搬送ユニット40を着脱可能であり、搬送ユニット40の着脱操作と搬送ユニット40の位置精度の確保が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機及びこれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等で構成される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の開発において、装置の小型化が重要な課題となっている。装置の小型化のために、部品を効率よく配置する必要があり、そのために装置内部の余分な空間は少なくなってくる。そして、特許文献1に示すように、装置本体の外装板が回動可能な扉に構成されているともに、この扉の内面側に搬送装置等のユニットを支持させた画像形成装置も知られている。
【0003】
この種の装置では、装置本体内に設けた内部ユニットのメンテナンスや交換等する際、上記扉を開いて行うが、このとき、その扉に設けたユニットが内部ユニットのメンテナンスや交換の邪魔になることが多々発生した。
【0004】
そこで、扉に設けたユニットを取り外し可能に装着し、ユニットが邪魔になるときには扉から外すことが提案されているが、このとき、ユニットの着脱操作を階段簡単に行い得るようにすると、取り付けたときの位置精度を確保が不十分になり易く、ネジ止め等によって位置精度の確保を確実に行うようにすると、着脱操作に工具等を用いるためその作業に手間がかかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、相反していたユニットの着脱操作とユニットの位置精度の確保を、ともに良好に得られる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、装置本体と、該装置本体内に設けられた第1のユニットと、前記装置本体に閉じ位置と開き位置との間を回動可能に設けられた回動部と、該回動部に支持された第2のユニットとを有し、前記回動部が閉じ位置から開き位置に回動された場合に、前記第1のユニットが水平方向に移動して前記装置本体から着脱可能である画像形成装置において、前記第1のユニットは、前記水平方向に移動したときに、前記第2のユニットに接触する位置に配置されているとともに、前記第2のユニットは、前記回動部に着脱可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0007】
なお、本発明は、前記回動部は、装着した前記第2のユニットを当該回動部に対し接離する方向へ調整移動可能に支持する支持手段を有すると、効果的である。
さらに、本発明は、前記回動部が、前記支持手段によって支持した前記第2のユニットに対して当該回動部から離れる方向への弾性力を常時付勢する付勢手段を備えていると、効果的である。
【0008】
さらにまた、本発明は、前記第2のユニットは前記付勢手段の弾性力によって前記装置本体の所定部に突き当てられる位置決め部を有すると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記回動部が前記開き位置から前記閉じ位置へ移動されたとき、前記付勢手段によって前記位置決め部が前記装置本体の所定部に押し付けられて前記第2のユニットの位置が決まると、効果的である。
【0009】
さらにまた、本発明は、前記支持手段が、前記第2のユニットの係止部と係止する支持位置とその支持を解除する位置との間をスライド移動可能な係止爪を有し、該係止爪には第2のユニットが装着される際、前記係止部が当たって係止位置から係止解除位置へ移動されるテーパー部が設けられていると、効果的である。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記係止爪は、係止位置へ位置させる移動力が常時付勢されており、前記第2のユニットが装着される際、前記係止部がテーパー部を超えると、係止位置に戻させると、効果的である。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記第2のユニットは、用紙をレジストするレジストローラを備えると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記第2のユニットには前記回動部から取り外し時に操作する取っ手を該第2のユニットの長手方向両端に設けると、効果的である。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記第1のユニットが水平方向に移動した場合、第2のユニットに設けた前記レジストローラに接触すると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記第2のユニットがレジストローラ及び転写部材を含み給紙部から給紙されたシートを画像転写部まで搬送する搬送ユニットであると、効果的である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記給紙部には前記シートを給送するローラと、該ローラに当接する重送シートを分離する分離部材とを有し、前記レジストローラのシート挟持力が前記ローラと分離部材のシート挟持力より大きいと、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記レジストローラのシート搬送方向下流側にローラを有する定着装置が設けられ、該定着ローラのシート挟持力が前記レジストローラのシート挟持力より大きいと、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、第1のユニットは、少なくとも中間転写ベルトを含むユニットであると、効果的である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユニットを着脱可能としたので、本体内部のメンテナンスが容易になる。取り出すユニットの現れる方向と着脱方向とを統一することでメンテナンス性を向上する。
【0017】
さらに、本発明は、ユニットを取り出す操作が簡単で、かつ装着したユニットの位置精度も良好になる。さらにまた、ユニットを搬送ユニットであると、ジャム処理が容易になるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略垂直断面図である。
【図2】その正面カバーを開いた状態を示す概略垂直断面図である。
【図3】正面カバーを開き搬送ユニットの取り外し時を示す概略垂直断面図である。
【図4】正面カバーから搬送ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】搬送ユニットを正面カバーに装着する最初の段階の操作手順を示す斜視図である。
【図6】搬送ユニットを正面カバーに装着する次の段階の操作手順を示す斜視図である。
【図7】搬送ユニットの正面カバーへの装着が完了した状態を示す斜視図である。
【図8】搬送ユニットの被係止部を示す拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略垂直断面図である。
図1において、本例の画像形成装置は装置本体1の中央に画像形成部2、その下部に当該画像形成部2で画像が形成されるシートを給紙する給紙部20を配したタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0020】
画像形成部2には、像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体には、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a〜3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a〜3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、この感光体3a〜3dの下部に対向して第1のユニットとしての中間転写ベルト4が配置されており、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向に駆動される無端ベルトが用いられている。
【0021】
感光体3の周囲には感光体の表面に帯電処理を行う帯電装置7、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する光走査装置(LSU)8、露光により感光体3の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9、中間転写ベルト4を介して感光体3と対向配置された転写装置10、中間転写ベルト4に転写後の感光体3表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置11が設けられている。
【0022】
かかる画像形成装置において画像形成が開始されると、感光体3が図における時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置7によって感光体3の表面が所定の極性に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3に静電潜像が形成される。そして、感光体3の表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってトナー像として可視像化され、トナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
【0023】
カラー画像形成時は上記した画像形成動作が全ての感光体3で行われ、これによって各感光体3a〜3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置には中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
【0024】
一方、画像形成部2の下部に配置された給紙部20には、転写紙又は樹脂フィルムなどから成るシートSを積載するシート収容部としての給紙トレイ21、該給紙トレイ21に積載されたシートSを送り出す給送ローラとしての給紙コロ22、重送されたシートを1枚に分離する分離部材としてのフリクションパッド23、両面画像形成時に用いる再搬走路24等が設けられている。なお、分離部材はトルクリミッタ方式のリバースローラであっても良い。
【0025】
給紙部20から給紙されたシートSは、レジストローラ対13に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ対13に突き当てられる。これによってシートSが整合された後、レジストローラ対13は上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部でシートSの先端部と合致するようなタイミングで回転を再開し、2次転写部に向けてシートSを上方へ送り出す。
【0026】
2次転写部で未定着トナー像が転写されたシートSは、定着ローラ対14aを有する定着装置14に送られ、シートSに未定着トナー像が定着された後、装置本体1の上部に設けられたシート積載部16に排出される。なお、トナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナーはベルト用のクリーナー15によって除去される。
【0027】
上記プリンタは図1の右側の上部に操作パネル等から構成される操作部(図示せず)が設けられ、よって本プリンタでは図1の右側が正面になっている。そして、装置本体1の正面の外装板、すなわち正面カバー30が支点31を中心として図1に示す閉じ位置と図2に示す開き位置との間を回動可能な回動部として構成されている。この正面カバー30には、複数の部品で構成されるユニットが取り付けられており、本実施形態の場合、ユニットがレジストローラ対13対を含み給紙部20から給紙されたシートSを二次転写部へ搬送する搬送ユニット40として構成された第2のユニットである。この搬送ユニット40は、レジストローラ対13のほかに2次転写ローラ12及び再搬走路24の一方のガイド板25等を備えている。
【0028】
このように構成されるプリンタでは、中間転写ベルト4のメンテナンスや交換を行う場合、上記正面カバー30を開放し、少なくとも中間転写ベルト4は前後方向、すなわち奥行き方向の長さが長いため水平方向である矢印A方向へスライドさせて取り出すことになる。このとき、上記搬送ユニット40を図2の矢印A方向にスライドさせて装置本体1から引き出すと、図3に示すように、中間転写ベルト4がレジストローラ対13にぶつかってしまう。すると中間転写ベルト4に傷がつき、画像が乱れてしまう。また、レジストローラ対13に傷がつく場合もあり、そのときには、用紙に傷がつく、傷ついた部分の画像が乱れるなどの不具合が発生することがある。
【0029】
そこで、本発明では中間転写ベルト4の取り出しの邪魔になる搬送ユニット40を正面カバー30に対して着脱可能に装着している。そして、中間転写ベルト4のメンテナンスや交換をするときには搬送ユニット40を正面カバー30から外すことで中間転写ベルト4とのレジストローラ対13への衝突を防止している。
【0030】
ところで、搬送ユニット40を正面カバー30から外すとき、その操作は簡単に行い得ることが好ましいが、搬送ユニット40を再装着したときの位置精度を確保が不十分になると、ジャムやスキュー等の搬送障害を招きやすくおそれがあるので、操作性と位置精度を両立させることが要求される。
【0031】
かかる要求を満たすため、下記に説明するように、本発明ではユニットの脱着操作を簡便にし、しかも位置精度の確保が十分にできるな措置を講じている。
図4は、正面カバー30を開いて搬送ユニット40を正面カバー30から外した状態を示す斜視図、図5〜図7は外した搬送ユニット40を正面カバー30に装着する操作手順を示す斜視図である。
【0032】
図4において、正面カバー30の支点31は前面の下部(図1参照)であり、正面カバー30は図示していない操作部によって係止爪37を外すと、その上部側が手前に倒されて給紙部20から定着装置14手前までのシート搬送路がほぼ開放される。この開放された正面カバー30から搬送ユニット40を外すと、図4に示すように、両面プリントのための再搬走路24が開放され、該再搬走路24の他方のガイド板26が現れる。そして、搬送ユニット40を正面カバー30から外すと、上記したように中間転写ベルト4や廃トナータンク17を矢印A方向にスライドさせて取り出す操作が容易に行うことができる。
【0033】
搬送ユニット40には、装置の幅方向であるユニットの長手方向の両側にそれぞれに、ある幅を持った帯状の取っ手41が設けられている。さらに、搬送ユニット40の両側には、図8に拡大して示したように、挿入用の突起42、固定用の係合片43、係止解除時に後述する付勢手段による押し上げ力を受ける帯板状に形成された受け板44が設けられている。これに対し、正面カバー30には突起42が差し込まれる被挿入部としての角穴32、係合片43を介して搬送ユニット40を係止する係止手段、搬送ユニット40に対し正面カバー30から離れる方向へ弾性力が常時付勢する付勢手段を有している。
【0034】
上記取っ手41は、正面カバー30を開放したとき、搬送ユニット40の両側の上部に位置していることにより、取っ手41の視認性が向上し、取っ手41が上方から下方に湾曲して設けられているので、取っ手41表面上方に親指を乗せ、裏面下方に向けてその他の指を這わせて挟持することで扱いやすさを向上させている。
【0035】
上記突起42は、正面カバー30を開放したとき、搬送ユニット40の長手方向両端の奥側下部に位置し、帯状の細長板をUの字状に折り曲げた形状に形成されている。また、突起42が差し込まれる角穴32は、断面矩形に形成され、突起42と角穴32の関係は幅方向において殆ど隙間ないが上下方向には遊びがある。これによって、突起42を角穴32に挿入した搬送ユニット40は左右方向への移動させることができないが、突起42を中心としてある角度回動させることができる。
【0036】
また、正面カバー30に設けられている係止手段は上記係合片43に係合する係止爪33を有している。係止爪33は、矢印B−C方向にスライド移動可能に装着され、図示していないバネによって係合片43と係合するB方向への移動力が付勢され、通常係止爪33は係止位置に保持されている。この係止爪33の上部には、搬送ユニット40を正面カバー30に装着するとき、係合片43のエッジに押されるとバネの作用に抗して係止爪33の係止を解除するC方向にスライド移動させるテーパー部33aが設けられている。そして、この係止爪33には解除用レバー34が連結され、解除用レバー34を介して係止爪33を矢印C方向に移動することで係止爪33が係合片43から外れて係止が解除される。
【0037】
また、搬送ユニット40に対し正面カバー30から離れる方向へ弾性力を付勢している付勢手段は収納箱部35に上下移動可能に案内され、かつ上部が断面山型状に形成された押し上げブロック36を備えている。この押し上げブロック36は図示していない押し上げスプリングによって搬送ユニット40を図5の上方、すなわち正面カバー30から離れる方向へ弾性力が常時付勢され、収納箱部35の上部からその山型の頂部が突出した状態に保持されている。
【0038】
このように構成されたプリンタでは、メンテナンス等によって中間転写ベルト4を装置本体1から取り出す場合、図2に示すように、正面カバー30を開放し、その後図3に示すように、中間転写ベルト4を水平方向に移動させて取り出す。しかし、その取り出し時に正面カバー30に装着した搬送ユニット40が邪魔になるため、正面カバー30から搬送ユニット40を取り外さねばならない。
【0039】
開いた正面カバーから搬送ユニット40を取り外す場合は、解除用レバー34を矢印C方向に移動すると、係止爪33も矢印C方向に移動して係合片43から外れる。係止爪33が係合片43から外れる。この状態になれば、操作者は取っ手41を持って突起42が角穴32から抜けるように手前側に引き出せば、搬送ユニット40は正面カバー30から簡単に取り外すことができる。
【0040】
このように正面カバーからの搬送ユニット40の取り外しは、解除用レバー34を引いてから取っ手41を持って搬送ユニット40を手前側に引き出すという簡単な操作で済み、しかも解除用レバー34を引きながら搬送ユニット40を引き出さねばならないといった合せ操作も不要にしている。そして、搬送ユニット40の取り外せば、中間転写ベルト4を水平方向に移動して装置本体1から取り出すことができる。
【0041】
取り出した搬送ユニット40を正面カバー30に装着する場合、搬送ユニット40を装置本体1の中間転写ベルト4や、レジストローラ対13を駆動するギヤ、前後の搬送ローラに対して高い位置精度が要求される。そのため、本実施形態では次に説明するように、簡単な操作によって、取り出した搬送ユニット40を正面カバー30に大まかな位置が定まるように係止した後、装置本体1に対して精度良く搬送ユニット40を位置決めしている。
【0042】
具体的には、まず操作者は、両手で搬送ユニット40の取っ手41を持ち、図5に示すように、搬送ユニット40先端の突起42を正面カバー30の角穴32に挿入する。この挿入操作後、操作者は搬送ユニット40の後端側を正面カバー30に押す付けることにより、搬送ユニット40の後端の係合片43はそのエッジが係止爪33のテーパー部33aに当接し、係止爪33がバネの作用に抗して矢印B方向に移動する。そして、係合片43が係止爪33の爪先を越えると、図7に示すように、係止爪33がバネ力によって矢印C方向に移動し係合片43を係合する。
【0043】
かかる状態において、搬送ユニット40は正面カバー30に対して正確に位置が決まっておらず、調整移動可能な状態で固定されている。すなわち、係止手段によって正面カバー30に係止された搬送ユニット40は正面カバー30に対して接離する方向へ移動する遊びを持って固定されている。また、搬送ユニット40は正面カバー30に係止されると、付勢手段によって正面カバー30から離れる方向へ弾性力が常時付勢される。
【0044】
そして、搬送ユニット40係止後の正面カバー30を、開き位置から閉じ位置へ回動すると、付勢手段の弾性力によって搬送ユニット40に設けられた位置決め部としての突起45が装置本体1の本体フレームに固定されている所定位置(図示せず)に突き当たり、これによって搬送ユニット40が装置本体1に対して正確な位置決めがなされる。
【0045】
このように構成された本発明は、搬送ユニット40は取っ手41を持って先端側の突起42を正面カバー30の角穴32に挿入後、手前側を押し下げるという簡単な操作で正面カバー30に装着することができる。そして、正面カバー30を開き位置から閉じ位置へ回動することによって搬送ユニット40を装置本体1に対して正確に位置決めされる。
【0046】
ところで、搬送ユニット40が位置精度を必要とする相手は、中間転写ベルト4や、レジストローラ対13を駆動するギヤ、前後の搬送ローラであり、それらは装置本体1のフレームに固定されている。したがって、搬送ユニット40も正面カバー30を閉じ位置へ回動したときに装置本体1の本体フレームに対して精度良く位置決めする必要がある。しかし、搬送ユニット40は係止時に正面カバー30に完全に固定してしまうと、位置調整ができないため装置本体1に対しての位置精度が良くならない。
【0047】
本実施形態では、上記係止時において搬送ユニット40は正面カバー30に対しておおよその位置が決まっているだけで、位置調整可能な状態となっている。したがって、正面カバー30の閉じ位置への回動で搬送ユニット40の突起45が付勢手段の弾性力によって本体フレームの所定位置に突き当たることで搬送ユニット40が装置本体1に対して正確に位置決めされる。
【0048】
一方で、正面カバー30に対して搬送ユニット40があまりにも大きく動いてしまうと、カバーを閉じるときに、搬送ユニット40が装置本体1の周辺部分にぶつかってしまって、カバーが閉まらない、または搬送ユニット40が破損してしまうため、本実施形態では支持手段によって正面カバー30に対する搬送ユニット40の位置を大まかに決めている。
【0049】
本実施形態で示す搬送ユニット40は、シートSに転写する転写ローラ12、レジストローラ対13、その前後の搬送ガイドを一体化したユニットになっている。この構成にすることで、シートのジャム処理の作業性が良くなる。すなわち、正面カバー30を開放すると、転写ニップが開放されるので、ジャム紙の視認性と取り扱いが容易になる。さらに、レジストローラ対13の両方を加圧したまま搬送ユニット40に設けることによって、搬送ユニット40にかかるジャム紙は、装置内に落下することなく、搬送ユニット40とともに、正面カバー30についてくるため、ジャム処理性が良好である。さらに、その前後の搬送ガイドも一体的にすることで、ジャム紙の視認性の向上、処理しやすさの向上を図っている。また、転写ローラ12、レジストローラ対13、搬送ガイドをひとつのユニットとして構成することで、レジストから転写までの搬送ガイドを精度良く構成できるため、用紙の搬送精度が向上する。特に転写部は、画像を用紙に転写するところであり、用紙の搬送を精度良く行いたいところであるので、この間の、ローラやガイドの位置関係を精度良く構成することは、画像形成装置としては重要な要素となる。 また、レジストローラ対13の駆動は、本体駆動伝達部から駆動伝達しており、装置本体1に対し閉じ位置と開き位置とに回動可能に支持される正面カバー30の開き位置において、レジストローラ対13の駆動伝達が解除されるので、ジャム紙を取り出しが容易である。さらに、給紙コロ22とフリクションパッド23によるシートの挟持力をレジストローラ対13のシートの挟持力より小さくすると、給紙コロ22とフリクションパッド23とレジストローラ対13に跨ってジャムしたシートが開放された搬送ユニット40側に付いてくるので処理がし易い。また、定着ローラ対14aによるシートの挟持力よりレジストローラ対13のシートの挟持力を小さくしているので、定着ローラ対14aとレジストローラ対13に跨ってジャムしたシートは搬送ユニット40が開放されると、ジャム紙は正面カバー30の開放でレジストローラ対13から抜けるので処理がし易くなる。
【0050】
なお、本発明は図9に示すように、回動部である正面カバー30を開放したときに、定着装置14の手前まででなく、排紙ローラ18までが開放されるように構成された画像形成装置にも適用することができる。すなわち、正面カバー30が装置本体のほぼ最下部から最上部まで達する高さを有する画像形成装置にも適用することができる。但し、かかる装置においても正面カバー30の開放によって定着装置14を開放しないように構成されいている。
【符号の説明】
【0051】
1 装置本体
20 給紙部
30 正面カバー
32 角穴
33 係止爪
33a テーパー部
36 押し上げブロック
40 搬送ユニット
41 取っ手
42 突起
43 係合片
44 受け板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2004−205534号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
該装置本体内に設けられた第1のユニットと、
前記装置本体に閉じ位置と開き位置との間を回動可能に設けられた回動部と、
該回動部に支持された第2のユニットとを有し、
前記回動部が閉じ位置から開き位置に回動された場合に、前記第1のユニットが水平方向に移動して前記装置本体から着脱可能である画像形成装置において、
前記第1のユニットは、前記水平方向に移動したときに、前記第2のユニットに接触する位置に配置されているとともに、
前記第2のユニットは、前記回動部に着脱可能に設けられていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回動部は、装着した前記第2のユニットを当該回動部に対し接離する方向へ調整移動可能に支持する支持手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回動部が、前記支持手段によって支持した前記第2のユニットに対して当該回動部から離れる方向への弾性力を常時付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のユニットは前記付勢手段の弾性力によって前記装置本体の所定部に突き当てられる位置決め部を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回動部が前記開き位置から前記閉じ位置へ移動されたとき、前記付勢手段によって前記位置決め部が前記装置本体の所定部に押し付けられて前記第2のユニットの位置が決まることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持手段が、前記第2のユニットの係止部と係止する支持位置とその支持を解除する位置との間をスライド移動可能な係止爪を有し、該係止爪には第2のユニットが装着される際、前記係止部が当たって係止位置から係止解除位置へ移動されるテーパー部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記係止爪は、係止位置へ位置させる移動力が常時付勢されており、前記第2のユニットが装着される際、前記係止部がテーパー部を超えると、係止位置に戻させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2のユニットは、用紙をレジストするレジストローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2のユニットには前記回動部から取り外し時に操作する取っ手を該第2のユニットの長手方向両端に設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のユニットが水平方向に移動した場合、第2のユニットに設けた前記レジストローラに接触することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2のユニットがレジストローラ及び転写部材を含み給紙部から給紙されたシートを画像転写部まで搬送する搬送ユニットであることを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記給紙部には前記シートを給送するローラと、該ローラに当接する重送シートを分離する分離部材とを有し、前記レジストローラのシート挟持力が前記ローラと分離部材のシート挟持力より大きいことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記レジストローラのシート搬送方向下流側にローラを有する定着装置が設けられ、該定着ローラのシート挟持力が前記レジストローラのシート挟持力より大きいことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1のユニットは、少なくとも中間転写ベルトを含むユニットであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−257781(P2011−257781A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208832(P2011−208832)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2007−114172(P2007−114172)の分割
【原出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】