説明

画像形成装置

【課題】 トナー温度の上昇を防ぎフィルミングの発生を防止する。
【解決手段】 トナー規制部材6の規制を受けて回転する現像ローラ4上にトナー層を形成し、該トナー層のトナーを感光体ドラム1に供給し、該感光体ドラム上にトナー画像を形成する画像形成装置10において、像担持体上に形成されるトナー画像をドット単位で計数するカウント手段11と、計数値が所定の基準値以上であるとき、現像ローラ4に印加する電圧を変更する電圧制御部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して感光体ドラム上に、現像ローラを介してトナー(現像剤)を供給してトナー画像を生成する電子写真方式の画像形成装置が特許文献1に開示されている。
特許文献1の画像形成装置は、印刷デュ−ティと称される画像比率が高い場合、トナーの供給不足で起こる画像の白抜け現象を回避すべく、印刷デュ−ティに応じて現像ローラにトナーを攪拌しながら搬送するための現像剤攪拌搬送部材の回転速度を上げてトナーの供給量を増大させることにより、画像白抜け現象の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−365890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の画像形成装置は、現像剤攪拌搬送部材により搬送されるトナーを現像ローラ上で層状に形成し、当該現像ローラを介してトナーを感光体ドラムに供給する。このとき、トナーが付着した現像ローラを回転させながら、トナー規制部材に圧接させることにより、所定の厚さ寸法以上のトナーが現像ローラに付着しないように規制され、前記所望の厚さ寸法のトナー層が形成される。
【0005】
ところが、現像ローラにトナー規制部材を圧接してトナー量を規制する従来の画像形成装置では、現像ローラに供給されるトナー量が十分であるにも拘わらず、高い印刷デューティの画像を形成する場合、そこに対応する部分のトナー規制部材にトナーが固着するフィルミングと称される不具合が発生した。
【0006】
発明者は、フィルミングの発生原因を鋭意検討し、次のように考えた。
すなわち、印刷ディーティが高い画像を形成する際、現像ローラ上のトナーが熱を持ち、熱によりトナーがトナー規制部材に溶着しフィルミングが発生する。これにより、トナー規制部材が当接する現像ローラ上において、トナーが溶着した周辺部には当該トナーの影響を受けて、所定の厚さ寸法に満たないトナー層が形成される。このようなトナー層からトナー供給されて形成するトナー画像は、トナー層から所望のトナー量が供給されないことから、印刷結果において濃度が部分的に不均一になると発明者は考えた。
【0007】
また、発明者はトナーが熱を持つ原因を次のように考えた。
トナー層からの供給トナーは、形成する画像に応じて感光体ドラムに供給されるが、画像に応じたトナー層の供給個所において、その層厚の全てのトナーが供給される訳ではない。すなわちトナー層の供給個所において、上層部のトナーが供給されるだけで、下層部のトナーは供給されることなく残存する。これにより、結果としてトナー供給が多い個所と少ない個所では、供給後のトナー層において厚さ寸法に差が生じる。
【0008】
ところで、印刷デューティが高い場合や連続印刷においては、感光体ドラム上にトナー画像の形成が繰返されており、そのため感光体ドラムにトナーを供給するためのトナー層の再生が繰返されている。
【0009】
前記したようにトナー供給を終え、不均一な厚さ寸法のトナー層を有する現像ローラに対し、トナーを供給してトナー規制部材でトナーを規制することによりトナー層の再生を図っている。このとき、トナー層において厚さ寸法が低い個所は、トナー粒子の数が少ないことから、当該個所における単位あたりの各トナー粒子は、トナー規制部材の押圧によるエネルギーを多く受ける。これにより、多くのエネルギーを受けたトナー粒子は、各トナー粒子間で振動し、その振動による摩擦で生じた摩擦熱によりトナーが熱を帯びると発明者は考えた。そして、単位あたりのトナー粒子が受けるエネルギーを分散することでトナー温度の上昇を防止できるのではないかと考えた。
【0010】
前記した課題に鑑みて、本発明の目的は、トナー温度の上昇を防ぎフィルミングの発生を防止し得る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
【0012】
〈構成1〉
トナー規制部材の規制を受けて現像ローラ上にトナー層を形成し、該トナー層のトナーを像担持体に供給し、該像担持体上にトナー画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体上に形成されるトナー画像をドット単位で計数するカウント手段と、
計数値が所定の基準値以上であると、前記現像ローラに印加する電圧を変更する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置によれば、トナー画像をドット単位で計数し、印刷デューティが高いと、現像ローラに印加する電圧を調整し、現像ローラに供給するトナー量の増大を図ることにより、供給後のトナー層において厚さ寸法が低い個所にも、十分にトナーが供給される。これにより、トナー規制部材の押圧によるエネルギーを多くのトナー粒子で受けることができ、エネルギーを各トナー粒子で分散することができることから、各トナー粒子間の振動を抑え、振動による摩擦熱の発生を抑えることができる。これにより、本発明の画像形成装置によれば、トナー温度の上昇を防止することができ、フィルミングの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の画像形成装置のブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置の機構ブロック図である。
【図3】感光体ドラム1の外周を展開した模式図である。
【図4】実施例1の画像形成装置の動作タイムチャートである。
【図5】印刷動作及び停止動作のタイムチャートである。
【図6】実施例2の画像形成装置のブロック図である。
【図7】実施例3の画像形成装置の動作タイムチャートである。
【図8】実施例3の画像形成装置の動作タイムチャートである(温度 高)。
【図9】実施例3の画像形成装置の動作タイムチャートである(温度 低)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。以下の説明では、各実施の形態に用いる図面について同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【実施例1】
【0016】
本発明の画像形成装置10は、図1に示すように、形成するトナー画像のドット数を計数するカウント部11と、後述する感光体ドラムの回転数を計数する回転数カウント部12と、感光体ドラムなどの機構の駆動制御を行う駆動制御部13と、形成画像に対応して感光体ドラムに露光を行う露光部3の制御を行う書込み制御部14と、カウント部11からの計数値を所定の基準値と比較し、また回転数カウント部12からの回転計数値を所定の回転計数値と比較する比較部15と、比較結果に基づいて画像形成制御を間欠的に行うべく、前記各部の制御を行う画像形成制御部16とを備える。
【0017】
ここで、前記各部の詳細な説明に先立ち、画像形成装置10における画像形成のための機構を図2を用いて説明する。
画像形成のための主要な機構は、像担持体としての感光体ドラム1と、該感光体ドラム1を任意の極性(例えばマイナス)に帯電させるための帯電ローラ2と、帯電した感光体ドラム上に露光を行い静電潜像を形成する露光部3と、感光体ドラム1上にトナーを供給して、静電潜像に対応したトナー画像を感光体ドラム1上に形成させるための現像ローラ4と、現像ローラ4上にトナーを供給するための供給ローラ5と、現像ローラ4に供給されたトナーを規制してトナー層を現像ローラ4上に形成するためのトナー規制部材6と、感光体ドラム1上に形成されたトナー画像を印刷媒体に転写して画像を形成するための転写部材7と、転写後に感光体ドラム1上に残ったトナーをクリーニングするためのクリーニング部8とで構成されており、感光体ドラム1および各ローラは、画像形成を行うために、図示せね駆動源により回転駆動される。
【0018】
尚、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ4、供給ローラ5、トナー規制部材6およびクリーニング部8から成る構成をイメージドラムユニット9と称し(以降、ID9と略称する)、以降の説明を行う。
【0019】
感光体ドラム1は従来から知られている有機系感光体であり、当該感光体ドラム1上が帯電ローラ2により、例えばマイナス極性に帯電される。
露光部3は、書込み制御部からの制御に従ってLED光又はレーザ光を、帯電した感光体ドラム上に照射し、感光体ドラム1上に印刷パターン(画像)に対応した静電潜像を形成する。
【0020】
現像ローラ4は、感光体ドラム1上の静電潜像を現像してトナー画像を形成すべく、当該感光体ドラム1上にトナー供給を行う。供給するトナーは現像ローラ4上で薄層化されており、該トナー層から感光体ドラム1上に供給されるトナーにより、感光体ドラム1上にトナー画像が形成される。
尚、現像ローラ4には、所定の電圧が印加されており、該電圧の印加により現像ローラ4上にトナーが保持される。トナーの保持量は電圧値に対応しており、現像ローラ4に印加する電圧を高くすると、現像ローラ4上で保持するトナー量は増加する。
【0021】
供給ローラ5は、トナーを現像ローラ4上に搬送すべく、現像ローラ4に当接している。
尚、供給ローラ5にも、電圧が印加されており、該電圧の印加により供給ローラ5上にもトナーが保持されている。
【0022】
ところで、現像ローラ4には、所定の圧力でトナー規制部材6が当接しており、供給ローラ5から現像ローラ4上へ供給されたトナーは、トナー規制部材6により所定の圧力を受け、所定の厚さ寸法のトナー層として薄層化される。このとき、所定の厚さ寸法以上のトナーは、トナー規制部材6により規制され除去される。
【0023】
トナー規制部材6の形状は、例えば厚さ寸法が0.08mmの薄板であり、長手方向の長さが現像ローラ4の幅寸法に対応しており、長手方向の端は、図示しないフレームに固定されており、先端から僅かに折り曲げられた面が現像ローラ4に所定の圧力で当接するように配置されている。
【0024】
ここで、再び図1の機能ブロックを説明する。
書込み制御部14は、露光部3を制御して帯電した感光体ドラム1上に露光を行い静電潜像を形成する。該静電潜像にトナーが付着すること、感光体ドラム1上にトナー画像が形成される。
【0025】
駆動制御部13は、ID9の各機構の駆動制御や転写部材7の駆動タイミング制御を行っている。
回転数カウント部12は、駆動制御部13でタイミング制御する感光体ドラム1の回転数を計数し、回転系数値として比較部15に通知する。
【0026】
カウント部11は、トナー画像の形成に先立ち、感光体ドラム1上のトナー画像のドット数を予め計数するための複数(n個)のドットカウンタを備えている。ところでトナー画像は画像データに基づいて形成されており、画像データは画素の集合で画像を形成するための情報が示されている。カウント部11は画像データに示される画素の有無をカウントしており、そのカウントは、図3の感光体ドラム1の外周を展開した模式図に示すように、例えば画像データに基づくトナー画像を感光体ドラム1上に形成した場合において、主走査方向に所定の幅間隔でn個の区画に区切り、該各区画において副走査方向(印刷媒体に対応させたときの該印刷媒体の走行方向)に対するトナー画像のドット数を、画像データ上において各ドットカウンタで計数する。
ところで、図3に示す各区画において、副走査方向における区画の長さは、回転数カウント部12で計数される回転数により規定される。
【0027】
ここでは、感光体ドラムの外周に形成するトナー画像のドット数を計数する例で説明するが、例えば感光体ドラム1の外周をA4サイズなどの印刷媒体に換算し、該印刷媒体におけるトナー画像の画素数(ドット数)を計数するようにしてもよい。その場合、A4サイズ幅においては、区画数nは10前後が好ましい。
【0028】
比較部15は、カウント部11からの計数値と、回転数カウント部12からの回転計数値とに基づいて、該回転計数値で規定される区画面積におけるドット数(計数値)を印刷デューティとして求め、該印刷デューティと所定の基準値とを比較すると共に、回転数カウント部12からの回転計数値と所定の回転基準値との比較を行う。
また比較部15は、カウント部11の各ドットカウンタで計数した計数値毎に印刷デューティを求め、該印刷デューティと所定の基準値とを比較し、その結果を画像形成制御部16に通知している。
【0029】
画像形成制御部16は、比較部15からn個印刷デューティと所定の基準値との比較結果と、回転計数値および所定の回転基準値との比較結果に基づいて、連続的な印刷制御または間欠的な印刷制御の何れを行うか、駆動制御部13および書込み制御部14に対し指示する。
【0030】
ところで本実施例における間欠印刷とは、所定の期間、感光体ドラム1、現像ローラ4および供給ローラ5等の回転駆動を止めて、印刷制御を停止することで、例えば3枚の印刷媒体の印刷制御が終了すると、所定の休止期間の後、3枚の印刷媒体の印刷制御を行うことを繰返す。尚、印刷媒体3枚分の印刷制御に限る必要はなく、印刷制御時における印刷枚数は適宜設定される。
【0031】
ここで、画像形成制御部16における動作をタイミングチャートに沿って説明する。
画像形成制御部16は、図4に示すように、各印刷デューティと所定の基準値Dとを比較部15で比較し、各印刷デューティの何れかが所定の基準値D以上になると(L2)、タイミングL2以降の感光体ドラム1の回転計数値と所定の回転基準値mとを比較部15で比較させ、比較結果において回転計数値が所定の回転基準値以上になると(L3)、駆動制御部13および書込み制御部14に対し、連続的な印刷制御から間欠的な印刷制御に切替える指示を行う。
【0032】
画像形成制御部16は、常にカウント部11からの計数値と所定の基準値とを比較する比較部15からの比較結果を確認し続けており、カウント部11からの計数値と所定の基準値とを比較する比較部15からの比較結果において、図4のタイミングチャートにおけるタイミングL3以降に計数値が所定の基準値m以下になると(L4)、間欠的な印刷制御から連続的な印刷制御に切替える指示を、駆動制御部13および書込み制御部14に対し行う。
【0033】
ところで、基準値Dは60パーセント以上に設定することが好ましく、回転基準値mはA4の印刷媒体に換算して40枚程度の印刷に必要な感光体ドラム1の回転数を設定することが好ましい。
【0034】
次に、現像ローラ4上のトナー層のトナーを感光体ドラム1に供給して、静電潜像に対し現像を行い、トナー画像を形成する動作状態を現像タイミングと称し、ID9における各機構の動作回転状態をIDタイミングと称し、該IDタイミングおよび現像タイミングの関係を図5のタイミングチャートを用いて説明する。
【0035】
IDタイミングが動作状態になった後、所定の期間aの経過後に、現像タイミングが動作状態になる。すなわち、ID回転タイミングで感光体ドラム1が回転を開始した後、期間aの経過後、トナー画像の形成が開始される。期間aの経過後にトナー画像形成を開始することにより、感光体ドラム1における静電潜像の形成および現像ローラ4におけるトナー層の形成の安定化を図ることができる。
【0036】
更に、現像タイミングが休止状態になった後、所定の期間bの経過後に、IDタイミングが休止状態になる。すなわち、期間bは、現像タイミングが休止状態になった後に実際にID9が停止するまでの時間であり、期間bにおいてID9の各機構が空回し状態となる。
【0037】
ところで、期間aおよび期間bにおいて、現像ローラ4上のトナー層から感光体ドラム1へトナー供給が無く、その間に現像ローラ4上のトナー層の再生が行われる。トナー層の再生が行われた後、ID9の各機構を停止する。尚、ID9が停止することにより、現像ローラ4と、感光体ドラム1、供給ローラ5およびトナー規制部材6との間で摩擦が生じることがなく、現像ローラ4およびトナー規制部材6間のトナー層のトナー温度を低減することができる。
【0038】
前記したように、実施例1の画像形成装置10によれば、トナー画像をドット単位で計数し、画像形成制御部16は、印刷デューティが高いと駆動制御部13および書込み制御部14に対し、一連の画像形成制御を間欠的に制御する指示を行うことから、現像ローラ4上のトナー層のトナー温度を間欠制御における停止期間中に低減させることができ、トナー温度の上昇によるフィルミングの発生を防止することができる。
【0039】
また、例えばA4サイズの印刷媒体において、長手方向(副走査方向)に沿って所定の幅を有する棒線を連続的に印刷する場合、A4サイズにおいて、全体的には印刷デューティが低いものの、棒線部周辺に限ってみれば、印刷ディ−ティが高く、棒線部周辺でフィルミングが生じる恐れがあるが、実施例1の画像形成装置10によれば、n個の区画における印刷デューティを求め、該各印刷デューティに基づいて、間欠的な制御を行うか否か比較判定を行うことにより、区画における高印刷ディユーティを検出することができ、部分的に印刷ディーティが高い画像形成においても、フィルミングの発生を防止することができる。
【実施例2】
【0040】
次に温度および湿度を計測し、計測結果に基づいて基準値および回転基準値の補正を行う画像形成装置20を説明する。
実施例2の画像形成装置20は、図6に示すように、前記した実施例1と同様にカウント部11と、回転数カウント部12と、駆動制御部13と、書込み制御部14と、カウント部11からの計数値を所定の基準値と比較し、また回転数カウント部12からの回転計数値を所定の回転計数値と比較する比較部15と、比較結果に基づいて画像形成制御を間欠的に行うべく、前記各部の制御を行う画像形成制御部16とを備えており、更に温度および湿度を計測する温湿度計測部17と、比較部15での比較処理に用いる基準値および回転基準値を温湿度計測部17での測定結果に応じて補正を行う補正部18とを備える。
【0041】
温湿度計測部17は、ID9における周辺の雰囲気の温度および湿度を計測し、その計測結果を画像形成制御部16に通知する。
計測結果を取得した画像形成制御部16は、計測結果に対応して基準値および回転基準値を補正する指示を比較部15に対し行う。
【0042】
ところで、一般的に高温多湿の雰囲気では、トナーの帯電性が低下し、現像ローラ4上のトナー層の厚さ寸法が低減する傾向にあり、トナー規制部材6による押圧で単位当りのトナー粒子が受けるエネルギーが大きくなり、トナーが熱を持ちトナー規制部材6に溶着するフィルミングが発生し易くなる。一方、低温低湿の雰囲気では、トナーの帯電性が良好であることから、フィルミングの発生が起こり難い。
【0043】
前記した雰囲気の変化に応じて補正部18で基準値および回転基準値の補正を行う。
補正部18は、画像形成制御部16からの補正指示を受けると、温湿度計測部17で計測される計測結果に対応して基準値および回転基準値の補正を行う。すなわち補正部18は、高温多湿の雰囲気では、基準値Dおよび回転基準値mの値を低く補正する。
【0044】
これにより、高温多湿の雰囲気では通常の温度湿度と比較して、低い印刷デューティおよび短い時間で、連続的な印刷制御から間欠的な印刷制御への移行を指示することができ、更に、間欠的な印刷制御から連続的な印刷制御へ制御が移行する際も、通常の温度湿度における基準値と比較して低い基準値、すなわち低い印刷デューティで間欠的な印刷制御から連続的な印刷制御への移行を指示することができる。
尚、補正部18は、前記した補正処理において、基準値または回転基準値の何れか一方のみを補正してもよい。
【0045】
前記したように、実施例2の画像形成装置20によれば、温湿度計測部17からの計測結果に基づいて、補正部18で基準値および回転基準値の補正を行うことにより、雰囲気が高温多湿でフィルミングが発生し易い場合には、基準値および回転基準値を低く設定する。これにより、実施例2の画像形成装置20によれば、低く設定された基準値および回転基準値に基づいて間欠的な印刷制御を行うタイミングを早くすることができ、かつ間欠的な印刷制御から連続的な印刷制御へ復帰するタイミングを遅くすることができることから、フィルミングが発生し易い環境下において、フィルミングの発生をより未然に防止することができる。
【実施例3】
【0046】
次に、現像ローラ4および供給ローラ5に印加する電圧を印刷デューティに応じて制御する画像形成装置を説明する。
実施例3の画像形成装置30の構成は、図7に示すように、前記した実施例2の画像形成装置の構成に、現像ローラ4および供給ローラ5に印加する電圧を制御する電圧制御部19が追加されている。
【0047】
電圧制御部19は、現像ローラ4および供給ローラ5に印加する電圧を画像形成制御部16からの指示に従って制御している。電圧制御部19で制御する電圧が現像ローラ4および供給ローラ5に印加されることで、現像ローラ4および供給ローラ5におけるトナーの保持性が向上する。尚、印加する電圧レベルに応じてトナーの保持性が向上する。
【0048】
ところで、電圧制御部19に電圧制御を指示する画像形成制御部16は、温湿度計測部17からの測定結果と、比較部15からの印刷デューティおよび基準値Dの比較結果とに基づいて、電圧制御部19に対し電圧制御の指示を行っている。
【0049】
ここで、タイミングチャートを用いて電圧制御部19が制御する電圧と現像ローラ4上のトナー量との関係を説明する。
図8のタイミングチャートには、ID9の回転タイミングと、規定温度との関係が示された温度情報と、所定の基準値Dとの関係が示された印刷デューティと、現像ローラ4に印加する電圧値と、供給ローラ5に印加する電圧値との関係が時系列的に示されている。
【0050】
所定の基準値Dより印刷デューティが低い場合、供給ローラ5には電圧V1が印加されており、現像ローラ4には電圧V3が印加されている。電圧V3が印加される現像ローラ4上にはa1で示される量のトナーが付着しており(薄層化されており)、該現像ローラ4から感光体ドラム1へ供給されるトナー量を現像効率に換算すると、b1パーセントの現像効率である。
【0051】
尚、現像効率は、現像ローラ4から感光体ドラム1へトナーを供給する効率であることから、例えば現像ローラ4から感光体ドラム1へ供給するトナー量が一定であり、現像ローラ4で保持するトナー量が増大すると、現像効率は必然的に低下する。
【0052】
画像形成制御部16は、図8に示すように、ID9の雰囲気が通常の気温より高く、印刷デューティが基準値Dより高い場合、電圧制御部19に対し、供給ローラ5に印加する電圧を電圧V1から電圧V2(但し、|V1|<|V2|)へ低くする指示を行い、現像ローラ4に印加する電圧を電圧V3から電圧V4(但し、|V3|>|V4|)へ高くする指示を行う。
【0053】
このとき、電圧V1より低い電圧V2が供給ローラ5に印加されて、電圧V3より高い電圧V4が印加された現像ローラ4上には、a2で示される電圧変更前より多い量のトナーが付着する。このとき、当該現像ローラ4から感光体ドラム1へ供給されるトナー量は、b2パーセントの現像効率となる(但し、a1<a2、b1>b2)。
ところで、トナー量a1および現像効率b1パーセントの積を求めた値と、トナー量a2および現像効率b2パーセントの積を求めた値とはほぼ等しく、すなわち各ローラに印加する電圧を制御することで、現像ローラ4上で保持するトナー量は増加するものの現像効率が低下することから、現像ローラ4から感光体ドラム1へ供給する実質的なトナー量は、電圧変更前と同じである。
【0054】
従って、印刷デューティが基準値Dより高くなると、供給ローラ5から現像ローラ4へ多くのトナーが供給され、トナー層の厚さ寸法が低い個所にもトナー粒子が十分に補充されることから、トナー規制部材6の押圧によるエネルギーを、補充されたトナーを含む多くのトナー粒子で分散的に受けることができ、エネルギーの集中で生じるトナーの摩擦を防止することができ、摩擦熱の発生を防止することができる。更に、トナー規制部材6の押圧を受けた個所で仮にトナーが熱を帯びたとしても、該熱が多く供給されたトナーに伝導し、熱が拡散されることから、ポイント的な発熱を防止することができる。
【0055】
次に、ID9の雰囲気が通常の気温より低い場合の電圧制御部19が制御する電圧と現像ローラ4上のトナー量との関係を図9のタイミングチャートを用いて説明する。
ところで、発明者は、ID9の雰囲気が通常の気温より低い場合において、現像ローラ4および供給ローラ5のそれぞれに印加する電圧をID9の雰囲気が通常より高い場合と同様に変更しても、現像ローラ4上のトナー層から感光体ドラム1へ供給されるトナー量は変らず、印刷結果における見かけ上も変りないことを確認している。
【0056】
従って、ID9の雰囲気が通常の気温より低く、印刷デューティが基準値Dより高い場合、画像形成制御部16は電圧の変更制御を指示することなく、供給ローラ5には電圧V1が継続して印加され、現像ローラ4には電圧V3が継続して印加される。
【0057】
前記したように、実施例3の画像形成装置30によれば、ID9の雰囲気の温度を計測しており、該計測値が通常の気温より高く、印刷デューティが基準値Dより高くなると、現像ローラ4および供給ローラ5に印加する電圧を調整して、現像ローラ4上のトナー量の増加を図る。これにより、トナー層の厚さ寸法が低い個所にもトナー粒子が十分に補充されることから、トナー規制部材6の押圧によるエネルギーを、補充されたトナーを含む多くのトナー粒子で分散的に受けることができ、トナー摩擦を防止してトナーの発熱を防止することができる。従って、実施例3の画像形成装置30によれば、発熱でトナーがトナー規制部材6に溶着して起こるフィルミングを防止することができる。
【0058】
前記した説明では、温湿度計測部17からの測定結果として温度を例に説明したが、これに限る必要はなく、温度および湿度の少なくとも何れか一方の情報を測定結果として画像形成制御部16に通知し、該画像形成制御部16で測定結果に基づいて電圧制御を電圧制御部19に指示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置および複合機など、トナー画像を印刷媒体に転写して画像形成を行う様々な画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10、20、30 画像形成装置
11 カウント部
12 回転数カウント部
13 駆動制御部
14 書込み制御部
15 比較部
16 画像形成制御部
17 温湿度計測部
18 補正部
19 電圧制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー規制部材の規制を受けて現像ローラ上にトナー層を形成し、該トナー層のトナーを像担持体に供給し、該像担持体上にトナー画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体上に形成されるトナー画像をドット単位で計数するカウント手段と、
計数値が所定の基準値以上であると、前記現像ローラに印加する電圧を変更する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ローラへトナー供給を行う供給ローラを備え、
前記制御手段は、前記現像ローラと共に、前記供給ローラに印加する電圧も変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カウント手段は、前記像担持体上の主走査方向に所定の間隔で分割した各区域内に形成されるトナー画像をドット単位で計数し、
前記制御手段は、前記何れかの区域において、計数値が所定の基準値以上であるとき、前記現像ローラに印加する電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体は感光体ドラムであって、
前記計数値が前記所定の基準値以上になると、前記感光体ドラムの回転数を計数する回転数カウント手段を備え、
前記制御手段は、回転計数値が所定の回転基準値を超えたとき、前記電圧の変更を開始することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
温度計測手段および湿度計測手段の少なくとも何れか一方の計測手段を備え、
前記計測手段からの情報に基づいて、前記基準値の補正を行う補正手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
温度計測手段および湿度計測手段の少なくとも何れか一方の計測手段を備え、
前記計測手段からの情報に基づいて、前記回転基準値の補正を行う補正手段を備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−39555(P2011−39555A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237707(P2010−237707)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【分割の表示】特願2005−69354(P2005−69354)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】