画像形成装置
【課題】 グラデーションのパターンをコピーして流用する際に、流用するグラデーションの色値が副走査方向で色値が変更されるとき、グラデーションパターンを更新しなければならない。また、レンダリングがピクセル単位での描画となるので処理速度が遅くなる問題がある。
【解決手段】 課題を解決する基本構成は以下の特徴を持つ。
グラデーションパターンの作成方法を複数の単色塗りつぶしデータで保持する。また、副走査方向に色値が変更されるときは、カラーチャンネルの変更数によって処理を切り替える手段を有する。
本特許のグラデーションパターン生成方法は、単色塗りつぶしのリンク構造体を用いることで、1ピクセルごとの色値のデータを保持しないのを特徴とする。
【解決手段】 課題を解決する基本構成は以下の特徴を持つ。
グラデーションパターンの作成方法を複数の単色塗りつぶしデータで保持する。また、副走査方向に色値が変更されるときは、カラーチャンネルの変更数によって処理を切り替える手段を有する。
本特許のグラデーションパターン生成方法は、単色塗りつぶしのリンク構造体を用いることで、1ピクセルごとの色値のデータを保持しないのを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法ならびに、画像形成方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にグラデーション描画には、用紙の水平方向に色の階調が変化する描画方法や、垂直方向に色の階調が変化する描画方法などがある。また、グラデーションには、斜め方向に色が変化するものや、描画するオブジェクトの中心に向かって円状に階調が変化するグラデーションなども存在する。スキャンラインレンダラでは、さまざまなグラデーションを描画する際に、スキャンライン上のピクセルの階調ごとに計算をする必要があった。そこで、グラデーションの描画方法において、グラデーションの種類によって描画方法を変更する手法が提案されている。
【0003】
従来のグラデーション描画方法には、水平、垂直方向に同じ色値が続く場合、グラデーションではなくイメージとして描画することで、1ピクセル幅のイメージを垂直または水平方向に拡大する描画方法がある(特許文献1)。この方法では、イメージが拡大することで、1ピクセル分の計算量だけで拡大幅の描画が可能となり、高速な描画が可能となる。また、斜めのグラデーションを描画する方法については、1ライン目のグラデーションパターンを用いて、副走査方向に続くグラデーションの描画に先ほどのグラデーションパターンを主走査方向にずらして描画する(特許文献2)。これにより、斜めグラデーションを副走査方向のラインごとに計算して作成する処理を軽減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−279626号公報
【特許文献2】特開2003−223644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の手法では下記の問題が考えられる。
【0006】
斜めグラデーションの高速化の手法である特許文献2では、副走査方向で1ライン目のグラデーションと色値が異なるとき、グラデーションパターンを流用して描画することができない(図11)。また、あらかじめ作成しておくグラデーションパターンのデータが大きいとき、メモリ内に保持しておくのに大量のメモリ容量が必要となる。
【0007】
水平方向のグラデーションが背景全面にあるデータを描画するときに、特許文献1の方法では、スキャンラインレンダラを行うのにパフォーマンスが劣化するといった問題がある。スキャンラインレンダラは走査方向に色の階調がことなると、各ピクセルの色情報を算出して描画する必要がある。そのため、スキャンラインレンダラでは、水平方向のグラデーションを1ピクセル幅のイメージデータに生成して、副走査方向に拡大すると処理が遅くなる。
【0008】
本発明では、上記の問題を解決する手法として、斜めグラデーションの階調が副走査方向で変化するときのグラデーションパターンの作成方法と、副走査方向の色差によってグラデーションの描画方法を切り替える方法を提案する。また、ページの背景全面が水平方向のグラデーションのときに高速でグラデーションを描画する方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき(図11)、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【0010】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段(図6)と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【0011】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、水平方向のグラデーションを描画するとき、副走査方向に色の階調が変化するグラデーションにも高速な描画方法を選択することができる。また、グラデーションを複数の単色塗りつぶしに変更することで、ピクセル単位での色情報を保持しないためデータのキャッシュメモリを軽減できる。背景全面のグラデーションに関しては、ページの向きを90度回転することで、1ピクセル幅のイメージとしてグラデーションを高速に描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の印刷装置における実施例の一形態であるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態における各機器のコントローラユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】実施形態におけるコントローラソフトウェアの構成の一例を示す図である。
【図4】実施形態におけるスキャンラインレンダラの構成の例を示す図である。
【図5】実施形態におけるグラデーション描画方法のグラデーションパターンごとの処理分岐を示したフローチャート図である。
【図6】実施形態におけるリンクフラットカラー(LFC)の構成を示す図である。
【図7】実施形態における斜めグラデーションの作成方法と従来法の課題を示した図である。
【図8】実施形態におけるページ全体のグラデーションイメージを、ページの向きに90度回転したときの図である。
【図9】実施形態におけるページ全体のグラデーションイメージの描画方法を示したフローチャート図である。
【図10】実施形態における1ピクセル幅のイメージの描画方法を示した図である。
【図11】実施形態における副走査方向に色差が生じるグラデーションを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
『プリンタの構成』
図1は、本発明を実施する印刷装置の一形態であるプリンタの構成を示すブロック図である。
【0016】
プリンタコントローラ部103と、プリンタエンジン部105と、操作パネル部104とを備える。プリンタコントローラ部103は、ホストコンピュータ(以下、ホスト)などの外部機器101からコードデータ(各種ページ記述言語(以下、PDL))が入力される。そのコードデータを解析することによってイメージデータ(ページ情報)を生成する。この生成されたイメージデータはインターフェースを介してプリンタエンジン部105に送信する。プリンタエンジン部105は、電子写真プロセスにより、プリンタコントローラ部103によって生成されたイメージデータが示す画像を用紙上に形成する。プリンタエンジン部105には、各機構と、その各機構による各印字プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行うエンジン制御部とが含まれている。操作パネル部104は、ユーザとのインターフェースを司り、プリンタ102に対する所望の動作を指示するための入力操作を行うための操作部を構成する。
【0017】
『プリンタコントローラ部の構成』
次に、プリンタコントローラ部103の構成について図2を参照しながら説明する。
【0018】
プリンタコントローラ部103は、プリンタコントローラ部103全体を制御するためのCPU202で、外部機器101との間でやり取りされる信号の入出力部を構成する。RAM204は、CPU202が動作するためのシステムワークメモリであり、入力された画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。さらに、ROM205にはシステムの制御コードが格納されている。また、プリンタコントローラ部は、外部機器101との間の通信制御を行うホストI/F203とを有している。
【0019】
ラスタイメージプロセッサ(RIP)206は、PDLデータなどをビットマップデータに展開する。ホストI/F203を介して入力されたコードデータから、CPU202はROM205に格納されている制御コードに従い、RIP206からプリンタエンジン部105が処理可能なビットマップデータの作成を行う。
【0020】
ビットマップデータは、エンジンI/F部207を介してビデオ信号としてプリンタエンジン部105に転送される。エンジンI/F部207は、プリンタエンジン部105とでやり取りされる信号の入出力部を構成するとともに、プリンタエンジン部105との間の通信制御を行う。
【0021】
パネル部104(図1に示す)から操作入力によって出されたモード設定に関する指示などは、操作パネルI/F部201を介して入力され、操作パネルI/F部201はパネル部104とCPU202の間のインターフェースを構成する。
【0022】
CPU202は、パネル部104から指示されたモードに応じて上述の各ブロックに対する制御を行い、この制御はROM205に格納されている制御コードに基づき実行される。上述のCPU202を含む各ブロックは、システムバス208にCPUがアクセス可能なように接続されている。HDD209はハードディスクドライブであり、各種処理のためのシステムソフトウェア及び入力された画像データ等を格納する。グラデーションの描画方法はHDD209に保持されており、RAM204へ本特許のプログラムコードを格納することで描画することが可能となる。
【0023】
『コントローラソフトウェアの構成』
図3は、印刷装置の動作を制御するコントローラソフトウェアの構成を示すブロック図である。
【0024】
プリンタインターフェイス301は、外部との入出力のための手段である。プロトコル制御部302は、ネットワークプロトコルを解析・送信することによって外部との通信を行う手段である。
【0025】
ベクターデータ生成部303は、PDLデータから解像度に依存しない描画記述であるベクターデータを生成(ベクタライズ)するものである。
【0026】
PDLデータ解析部304は、PDLデータを解析し、より処理しやすい形式の中間記述データ(DISPLAY LIST)に変換する手段である。PDLデータ解析部304において生成された中間コードはデータ描画部305に渡されて処理される。データ描画部305は上記中間コードをビットマップデータに展開するものであり、展開されたビットマップデータはページメモリ306に逐次描画されて行く。ここで、DISPLAY LISTにグラデーションの描画データが存在するときには本特許の描画方法を行う。
【0027】
ページメモリ306はレンダラが展開するビットマップデータを一次的に保持する揮発性のメモリである。
【0028】
パネル入出力制御部307は操作パネルからの入出力を制御するものである。ドキュメント記憶部308は入力文書の一塊(ジョブ)単位にDISPLAY LISTを包含するデータファイルを記憶する手段であり、ハードディスク等の二次記憶装置によって実現される。
【0029】
スキャン制御部309はスキャナから入力した画像データに対して、補正、加工、編集などの各種処理を行う。
【0030】
印刷制御部310は、ページメモリ306の内容をビデオ信号に変換処理し、プリンタエンジン部311へ画像転送を行う。プリンタエンジン部311は受け取ったビデオ信号を記録紙に可視画像形成するための印刷機構部である。
【0031】
『スキャンラインレンダラの構成』
図4は、データ描画部305でのスキャンラインレンダラ402の構成を示すブロック図である。
【0032】
DISPLAY LIST401は、PDLデータをPDLデータ解析部304で変換した中間コードである。スキャンラインレンダラ402では、DISPLAY LIST401を入力データとして、輪郭書き出し処理部403、重なり整列処理部404、色塗り処理部405、色合成処理部406を経てビットマップデータ407を生成する。ビットマップデータ407は、ページメモリ306へ保持される。
【0033】
輪郭書き出し処理部403は、DISPLAY LIST401に含まれる描画オブジェクトから輪郭情報を取得する処理である。輪郭情報は、描画オブジェクトの輪郭の開始点位置、及び輪郭幅の2つの情報を指している。輪郭書き出し処理部403で取得された輪郭の情報が画像データの1スキャンライン分揃ったら、輪郭座標の情報を次の重なり整列処理部404に送る。
【0034】
重なり整列処理部404は、輪郭座標の情報と描画オブジェクト同士の重なりの上下関係を元に紙面に対して描画オブジェクトが正しい順番で並ぶように整列処理する。整列済みの輪郭情報は、画像データの1スキャンライン分揃ったあと、色塗り処理部405へ送られる。
【0035】
色塗り処理部405は、整列済みの輪郭情報に対して、輪郭で区切られる1つ1つの区間に対して色情報を付加する。本発明で使用するグラデーションパターンは、色塗り処理部405で生成される。色塗り処理部405で生成された色情報が付加された整列済みの輪郭情報は、1スキャンライン分揃ったら、色合成処理部406へ送られる。
【0036】
色合成処理部406は、色情報が付加された整列済みの輪郭情報を元に輪郭で区切られた領域かつ、その区切られた領域のうち他の輪郭で区切られた領域と重なっている部分同士に対してDISPLAY LIST401に従った重なりルールを適用する。重なりルールとは、ROP(RasterOPerator)とアルファブレンドがある。ROPとは、領域同士が重なっている部分に、全面側と背面側の色値を表現するbit同士で行われる論理演算である。重なりルールとしてROPが指定された場合、全面側と背面側の領域を表現する色値の間で論理演算が行われた結果が出力される。アルファブレンドとは、輪郭で区切られた領域同士で重なっている部分に対して、両者のうち全面側及び背面側の色を混ぜて出力するときの双方の割合比を指定する。色合成処理部406では、重なりルールを運用し、重なっている領域の全面と背面の領域からどのような色を出力するかを決定する。色合成処理部406で生成されたデータは、画像データの1ピクセルごとの色情報としてビットマップデータ407が出力される。
【実施例1】
【0037】
本実施例では、グラデーションの描画速度の効率化と速度の向上について図5のフローチャート図をもとに説明する。PDL解析部304で生成されたDISPLAY LIST401をもとにグラデーションの描画位置を検出する。DISPLAY LIST401のデータから描画するグラデーションが、水平方向に階調が異なるグラデーションかどうか501を検出する。この検出方法は、色塗り処理部405でグラデーションのピクセルデータを作成する計算式を用いてラスタライズする方向に階調の差異があるかどうかを検出する。グラデーションの色差の変数は、水平方向にCxi、垂直方向にCyi(i=0〜3)とし、それぞれの値を加算して階調を変更する。副走査方向に階調が変化するかは、Cyiの値から判断すればよい。また、あらかじめDISPLAY LIST401にグラデーションが水平、または垂直かなどの情報を付加しておいてもよい。前記の判断501で、グラデーションが水平方向に変化しない場合は、従来のグラデーション描画方法507を用いる。従来のグラデーション描画方法には、ピクセル単位での描画方法や1ピクセル幅のイメージとしてラスタライズ方向に拡大する処理を施すなどがある。
【0038】
グラデーションが水平方向に階調が変化する場合、リンクフラットカラー(以下、LFCとする)を作成する(502)。LFCの作成方法に関しては、図6を参照にされたい。LFCは、グラデーションのカラー情報601とカラー情報が続くピクセル数602を階調が変化するごとに更新するように構成される。LFCは、グラデーションパターンの描画データを使いまわす際に、1ピクセルごとのデータを保持する必要がないため、従来にくらべてキャッシュサイズを抑えられる。また、描画する際には、データ描画部305にピクセルごとのイメージデータとして描画するデータを送るのではなく、複数の単色塗りつぶしのデータとして送るため、グラデーションの描画時に処理の削減を行うことができる。LFCの構成方法は、グラデーションパターンを検出したあと、描画するデータのカラー情報601とピクセル数602をラスタライズする方向から検出する。LFCが、それずれ複数のピクセルを有しているグラデーションパターンを検出する際に(603、604、605)、それぞれの色値とピクセル数をラスタライズされる順番で各カラーのリンクを形成する(606)。次に、LFCの作成が終わったら副走査方向に階調のずれが単調ではなく加算方法が一定ではないかどうかの判定503をする。グラデーションを描画する際に主走査方向のx方向と、副走査方向のy方向との両方で階調が異なって、1ライン目に生成したグラデーションパターンの流用ができなくなり、副走査方向の位置が変わるたびにグラデーションパターンの作成が必要となる。副走査方向に色情報の更新がない場合は、LFCをグラデーションパターンとして流用する(504)。垂直方向に階調のずれが単調ではない、主走査方向だけでなく副走査方向の変換が必要なとき、カラーチャンネルの更新数により処理内容の変更をする(505)。
【0039】
図7は、従来の斜めグラデーションを描画するときの処理の様子である。図7のグラデーションパターン701は、各副走査の方向に同じグラデーションをずらした位置702から描画する手法で、開始位置が変更されるたびに実際に描画する領域703のグラデーションを斜めに表現する。描画する領域704が、斜めで描画できるのは副走査方向の色値の変更がないときである。仮にグラデーションパターンの副走査方向の色差が、カラーチャンネルごとにCy1,Cy2,Cy3,Cy4とする。副走査方向に同じカラー領域を更新しない場合では、これら4つの値がCy1=0,Cy2=0,Cy3=0,Cy4=0となり副走査方向で同一の値を維持すればよい。しかし、Cy1=1,Cy2=4,Cy3=1,Cy4=1といった色差がカラーチャンネルごとに加算される場合(0以外の値)、図11のようにグラデーションパターンの色値1101が異なるためずらしてコピーする手段が使用できない(1102)。カラーチャンネルが副走査方向にも加算の必要がある場合は、閾値2として2つまでの更新が必要であるなら、グラデーションパターンの各色情報に色差を加算していく(506)。3つ以上の更新が必要であるなら、従来のように新たにグラデーションを生成して処理する(507)。これは、副走査方向にグラデーションの階調を更新する際に、カラーチャンネルが3つ以上であれば、新規でグラデーションパターンを算出するときの計算量と同等となるからである。
【0040】
LFCの更新では、ピクセル数分の加算処理が省略されるので、副走査方向の色差が変更されるときは、閾値にかかわらず色情報に加算すればよい。色の情報は、グラデーションではなく複数の単色塗りつぶしで保持されているため、ピクセルごとに演算処理がなくなり高速な処理が可能となる。
【0041】
以上のように、グラデーションパターンのコピーが行えないときは、1ライン目のキャッシュデータに色差の情報を加算して描画するかどうかを、カラーチャンネルに加算する変数の個数によって更新方法の処理を変更する。カラーチャンネルの種類は、RGB、CMYKなどを含み特定のチャンネル専用ではない。
【0042】
また、本発明では、グラデーションパターンの生成方法にLFCを用いて描画することで、1ピクセルごとにグラデーションの色値を算出する処理がなくなり高速な処理が可能となる。また、LFCがグラデーションパターンを、複数の単色塗りつぶしデータで保持することでキャッシュサイズを削減する。
【実施例2】
【0043】
グラデーションのイメージが、背景の全面に貼りついた状態において、描画する際にスキャンラインレンダラを有効に描画するため、ページ向きを切り替える方法をとる。図8では、ページの背景が水平方向に階調が変化するグラデーションのページの用紙向きを、縦のページ801に対しては横向き802にページの用紙向きを変更する。また、横向きのページ向きグラデーション803に対しても、用紙向きを縦に変更する(804)。PDL解析部304がDISPLAY LIST401を生成するときに、ページの向きを90度回転することでページ背景のイメージを、従来のように1ピクセル幅のイメージとして描画することが可能となる(図10)。グラデーションパターンが、1ピクセル幅のグラデーション1001となるとき、主走査方向に単色塗りつぶしとして拡大処理1002する。ページ向きを変更することで、ピクセルごとにカラー情報を取得する必要がなくなり処理速度が向上する。図9は、PDL解析部304でのページ向き切り替えのフローチャート図である。最初に、ラスタライズする主走査方向にグラデーション(801、803)がページ全体に存在することを検出する(901)。次に、ページ向きを90度回転したDISPLAY LIST401が生成される(902)。ここで、PDL解析部304がグラデーションの背景を1ピクセル幅のイメージを拡大したものとして、DISPLAY LIST401を生成する(903)。データ描画部305で、1ピクセル幅のイメージが全体に拡大するイメージデータとして描画する(904)。ページメモリ306が描画されたページデータを元のページの向きに戻して、印刷制御部310からページの印刷が行われる。これにより、背景全面にグラデーションが施されており、かつスキャンライン上で色が変更する場合、用紙の向きを変更することで従来の1ピクセル幅のイメージ拡大処理が可能となり、処理速度の高速化の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
103 プリンタコントローラ部
104 操作パネル部
105 プリンタエンジン部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法ならびに、画像形成方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にグラデーション描画には、用紙の水平方向に色の階調が変化する描画方法や、垂直方向に色の階調が変化する描画方法などがある。また、グラデーションには、斜め方向に色が変化するものや、描画するオブジェクトの中心に向かって円状に階調が変化するグラデーションなども存在する。スキャンラインレンダラでは、さまざまなグラデーションを描画する際に、スキャンライン上のピクセルの階調ごとに計算をする必要があった。そこで、グラデーションの描画方法において、グラデーションの種類によって描画方法を変更する手法が提案されている。
【0003】
従来のグラデーション描画方法には、水平、垂直方向に同じ色値が続く場合、グラデーションではなくイメージとして描画することで、1ピクセル幅のイメージを垂直または水平方向に拡大する描画方法がある(特許文献1)。この方法では、イメージが拡大することで、1ピクセル分の計算量だけで拡大幅の描画が可能となり、高速な描画が可能となる。また、斜めのグラデーションを描画する方法については、1ライン目のグラデーションパターンを用いて、副走査方向に続くグラデーションの描画に先ほどのグラデーションパターンを主走査方向にずらして描画する(特許文献2)。これにより、斜めグラデーションを副走査方向のラインごとに計算して作成する処理を軽減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−279626号公報
【特許文献2】特開2003−223644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の手法では下記の問題が考えられる。
【0006】
斜めグラデーションの高速化の手法である特許文献2では、副走査方向で1ライン目のグラデーションと色値が異なるとき、グラデーションパターンを流用して描画することができない(図11)。また、あらかじめ作成しておくグラデーションパターンのデータが大きいとき、メモリ内に保持しておくのに大量のメモリ容量が必要となる。
【0007】
水平方向のグラデーションが背景全面にあるデータを描画するときに、特許文献1の方法では、スキャンラインレンダラを行うのにパフォーマンスが劣化するといった問題がある。スキャンラインレンダラは走査方向に色の階調がことなると、各ピクセルの色情報を算出して描画する必要がある。そのため、スキャンラインレンダラでは、水平方向のグラデーションを1ピクセル幅のイメージデータに生成して、副走査方向に拡大すると処理が遅くなる。
【0008】
本発明では、上記の問題を解決する手法として、斜めグラデーションの階調が副走査方向で変化するときのグラデーションパターンの作成方法と、副走査方向の色差によってグラデーションの描画方法を切り替える方法を提案する。また、ページの背景全面が水平方向のグラデーションのときに高速でグラデーションを描画する方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき(図11)、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【0010】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段(図6)と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【0011】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、水平方向のグラデーションを描画するとき、副走査方向に色の階調が変化するグラデーションにも高速な描画方法を選択することができる。また、グラデーションを複数の単色塗りつぶしに変更することで、ピクセル単位での色情報を保持しないためデータのキャッシュメモリを軽減できる。背景全面のグラデーションに関しては、ページの向きを90度回転することで、1ピクセル幅のイメージとしてグラデーションを高速に描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の印刷装置における実施例の一形態であるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態における各機器のコントローラユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】実施形態におけるコントローラソフトウェアの構成の一例を示す図である。
【図4】実施形態におけるスキャンラインレンダラの構成の例を示す図である。
【図5】実施形態におけるグラデーション描画方法のグラデーションパターンごとの処理分岐を示したフローチャート図である。
【図6】実施形態におけるリンクフラットカラー(LFC)の構成を示す図である。
【図7】実施形態における斜めグラデーションの作成方法と従来法の課題を示した図である。
【図8】実施形態におけるページ全体のグラデーションイメージを、ページの向きに90度回転したときの図である。
【図9】実施形態におけるページ全体のグラデーションイメージの描画方法を示したフローチャート図である。
【図10】実施形態における1ピクセル幅のイメージの描画方法を示した図である。
【図11】実施形態における副走査方向に色差が生じるグラデーションを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
『プリンタの構成』
図1は、本発明を実施する印刷装置の一形態であるプリンタの構成を示すブロック図である。
【0016】
プリンタコントローラ部103と、プリンタエンジン部105と、操作パネル部104とを備える。プリンタコントローラ部103は、ホストコンピュータ(以下、ホスト)などの外部機器101からコードデータ(各種ページ記述言語(以下、PDL))が入力される。そのコードデータを解析することによってイメージデータ(ページ情報)を生成する。この生成されたイメージデータはインターフェースを介してプリンタエンジン部105に送信する。プリンタエンジン部105は、電子写真プロセスにより、プリンタコントローラ部103によって生成されたイメージデータが示す画像を用紙上に形成する。プリンタエンジン部105には、各機構と、その各機構による各印字プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行うエンジン制御部とが含まれている。操作パネル部104は、ユーザとのインターフェースを司り、プリンタ102に対する所望の動作を指示するための入力操作を行うための操作部を構成する。
【0017】
『プリンタコントローラ部の構成』
次に、プリンタコントローラ部103の構成について図2を参照しながら説明する。
【0018】
プリンタコントローラ部103は、プリンタコントローラ部103全体を制御するためのCPU202で、外部機器101との間でやり取りされる信号の入出力部を構成する。RAM204は、CPU202が動作するためのシステムワークメモリであり、入力された画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。さらに、ROM205にはシステムの制御コードが格納されている。また、プリンタコントローラ部は、外部機器101との間の通信制御を行うホストI/F203とを有している。
【0019】
ラスタイメージプロセッサ(RIP)206は、PDLデータなどをビットマップデータに展開する。ホストI/F203を介して入力されたコードデータから、CPU202はROM205に格納されている制御コードに従い、RIP206からプリンタエンジン部105が処理可能なビットマップデータの作成を行う。
【0020】
ビットマップデータは、エンジンI/F部207を介してビデオ信号としてプリンタエンジン部105に転送される。エンジンI/F部207は、プリンタエンジン部105とでやり取りされる信号の入出力部を構成するとともに、プリンタエンジン部105との間の通信制御を行う。
【0021】
パネル部104(図1に示す)から操作入力によって出されたモード設定に関する指示などは、操作パネルI/F部201を介して入力され、操作パネルI/F部201はパネル部104とCPU202の間のインターフェースを構成する。
【0022】
CPU202は、パネル部104から指示されたモードに応じて上述の各ブロックに対する制御を行い、この制御はROM205に格納されている制御コードに基づき実行される。上述のCPU202を含む各ブロックは、システムバス208にCPUがアクセス可能なように接続されている。HDD209はハードディスクドライブであり、各種処理のためのシステムソフトウェア及び入力された画像データ等を格納する。グラデーションの描画方法はHDD209に保持されており、RAM204へ本特許のプログラムコードを格納することで描画することが可能となる。
【0023】
『コントローラソフトウェアの構成』
図3は、印刷装置の動作を制御するコントローラソフトウェアの構成を示すブロック図である。
【0024】
プリンタインターフェイス301は、外部との入出力のための手段である。プロトコル制御部302は、ネットワークプロトコルを解析・送信することによって外部との通信を行う手段である。
【0025】
ベクターデータ生成部303は、PDLデータから解像度に依存しない描画記述であるベクターデータを生成(ベクタライズ)するものである。
【0026】
PDLデータ解析部304は、PDLデータを解析し、より処理しやすい形式の中間記述データ(DISPLAY LIST)に変換する手段である。PDLデータ解析部304において生成された中間コードはデータ描画部305に渡されて処理される。データ描画部305は上記中間コードをビットマップデータに展開するものであり、展開されたビットマップデータはページメモリ306に逐次描画されて行く。ここで、DISPLAY LISTにグラデーションの描画データが存在するときには本特許の描画方法を行う。
【0027】
ページメモリ306はレンダラが展開するビットマップデータを一次的に保持する揮発性のメモリである。
【0028】
パネル入出力制御部307は操作パネルからの入出力を制御するものである。ドキュメント記憶部308は入力文書の一塊(ジョブ)単位にDISPLAY LISTを包含するデータファイルを記憶する手段であり、ハードディスク等の二次記憶装置によって実現される。
【0029】
スキャン制御部309はスキャナから入力した画像データに対して、補正、加工、編集などの各種処理を行う。
【0030】
印刷制御部310は、ページメモリ306の内容をビデオ信号に変換処理し、プリンタエンジン部311へ画像転送を行う。プリンタエンジン部311は受け取ったビデオ信号を記録紙に可視画像形成するための印刷機構部である。
【0031】
『スキャンラインレンダラの構成』
図4は、データ描画部305でのスキャンラインレンダラ402の構成を示すブロック図である。
【0032】
DISPLAY LIST401は、PDLデータをPDLデータ解析部304で変換した中間コードである。スキャンラインレンダラ402では、DISPLAY LIST401を入力データとして、輪郭書き出し処理部403、重なり整列処理部404、色塗り処理部405、色合成処理部406を経てビットマップデータ407を生成する。ビットマップデータ407は、ページメモリ306へ保持される。
【0033】
輪郭書き出し処理部403は、DISPLAY LIST401に含まれる描画オブジェクトから輪郭情報を取得する処理である。輪郭情報は、描画オブジェクトの輪郭の開始点位置、及び輪郭幅の2つの情報を指している。輪郭書き出し処理部403で取得された輪郭の情報が画像データの1スキャンライン分揃ったら、輪郭座標の情報を次の重なり整列処理部404に送る。
【0034】
重なり整列処理部404は、輪郭座標の情報と描画オブジェクト同士の重なりの上下関係を元に紙面に対して描画オブジェクトが正しい順番で並ぶように整列処理する。整列済みの輪郭情報は、画像データの1スキャンライン分揃ったあと、色塗り処理部405へ送られる。
【0035】
色塗り処理部405は、整列済みの輪郭情報に対して、輪郭で区切られる1つ1つの区間に対して色情報を付加する。本発明で使用するグラデーションパターンは、色塗り処理部405で生成される。色塗り処理部405で生成された色情報が付加された整列済みの輪郭情報は、1スキャンライン分揃ったら、色合成処理部406へ送られる。
【0036】
色合成処理部406は、色情報が付加された整列済みの輪郭情報を元に輪郭で区切られた領域かつ、その区切られた領域のうち他の輪郭で区切られた領域と重なっている部分同士に対してDISPLAY LIST401に従った重なりルールを適用する。重なりルールとは、ROP(RasterOPerator)とアルファブレンドがある。ROPとは、領域同士が重なっている部分に、全面側と背面側の色値を表現するbit同士で行われる論理演算である。重なりルールとしてROPが指定された場合、全面側と背面側の領域を表現する色値の間で論理演算が行われた結果が出力される。アルファブレンドとは、輪郭で区切られた領域同士で重なっている部分に対して、両者のうち全面側及び背面側の色を混ぜて出力するときの双方の割合比を指定する。色合成処理部406では、重なりルールを運用し、重なっている領域の全面と背面の領域からどのような色を出力するかを決定する。色合成処理部406で生成されたデータは、画像データの1ピクセルごとの色情報としてビットマップデータ407が出力される。
【実施例1】
【0037】
本実施例では、グラデーションの描画速度の効率化と速度の向上について図5のフローチャート図をもとに説明する。PDL解析部304で生成されたDISPLAY LIST401をもとにグラデーションの描画位置を検出する。DISPLAY LIST401のデータから描画するグラデーションが、水平方向に階調が異なるグラデーションかどうか501を検出する。この検出方法は、色塗り処理部405でグラデーションのピクセルデータを作成する計算式を用いてラスタライズする方向に階調の差異があるかどうかを検出する。グラデーションの色差の変数は、水平方向にCxi、垂直方向にCyi(i=0〜3)とし、それぞれの値を加算して階調を変更する。副走査方向に階調が変化するかは、Cyiの値から判断すればよい。また、あらかじめDISPLAY LIST401にグラデーションが水平、または垂直かなどの情報を付加しておいてもよい。前記の判断501で、グラデーションが水平方向に変化しない場合は、従来のグラデーション描画方法507を用いる。従来のグラデーション描画方法には、ピクセル単位での描画方法や1ピクセル幅のイメージとしてラスタライズ方向に拡大する処理を施すなどがある。
【0038】
グラデーションが水平方向に階調が変化する場合、リンクフラットカラー(以下、LFCとする)を作成する(502)。LFCの作成方法に関しては、図6を参照にされたい。LFCは、グラデーションのカラー情報601とカラー情報が続くピクセル数602を階調が変化するごとに更新するように構成される。LFCは、グラデーションパターンの描画データを使いまわす際に、1ピクセルごとのデータを保持する必要がないため、従来にくらべてキャッシュサイズを抑えられる。また、描画する際には、データ描画部305にピクセルごとのイメージデータとして描画するデータを送るのではなく、複数の単色塗りつぶしのデータとして送るため、グラデーションの描画時に処理の削減を行うことができる。LFCの構成方法は、グラデーションパターンを検出したあと、描画するデータのカラー情報601とピクセル数602をラスタライズする方向から検出する。LFCが、それずれ複数のピクセルを有しているグラデーションパターンを検出する際に(603、604、605)、それぞれの色値とピクセル数をラスタライズされる順番で各カラーのリンクを形成する(606)。次に、LFCの作成が終わったら副走査方向に階調のずれが単調ではなく加算方法が一定ではないかどうかの判定503をする。グラデーションを描画する際に主走査方向のx方向と、副走査方向のy方向との両方で階調が異なって、1ライン目に生成したグラデーションパターンの流用ができなくなり、副走査方向の位置が変わるたびにグラデーションパターンの作成が必要となる。副走査方向に色情報の更新がない場合は、LFCをグラデーションパターンとして流用する(504)。垂直方向に階調のずれが単調ではない、主走査方向だけでなく副走査方向の変換が必要なとき、カラーチャンネルの更新数により処理内容の変更をする(505)。
【0039】
図7は、従来の斜めグラデーションを描画するときの処理の様子である。図7のグラデーションパターン701は、各副走査の方向に同じグラデーションをずらした位置702から描画する手法で、開始位置が変更されるたびに実際に描画する領域703のグラデーションを斜めに表現する。描画する領域704が、斜めで描画できるのは副走査方向の色値の変更がないときである。仮にグラデーションパターンの副走査方向の色差が、カラーチャンネルごとにCy1,Cy2,Cy3,Cy4とする。副走査方向に同じカラー領域を更新しない場合では、これら4つの値がCy1=0,Cy2=0,Cy3=0,Cy4=0となり副走査方向で同一の値を維持すればよい。しかし、Cy1=1,Cy2=4,Cy3=1,Cy4=1といった色差がカラーチャンネルごとに加算される場合(0以外の値)、図11のようにグラデーションパターンの色値1101が異なるためずらしてコピーする手段が使用できない(1102)。カラーチャンネルが副走査方向にも加算の必要がある場合は、閾値2として2つまでの更新が必要であるなら、グラデーションパターンの各色情報に色差を加算していく(506)。3つ以上の更新が必要であるなら、従来のように新たにグラデーションを生成して処理する(507)。これは、副走査方向にグラデーションの階調を更新する際に、カラーチャンネルが3つ以上であれば、新規でグラデーションパターンを算出するときの計算量と同等となるからである。
【0040】
LFCの更新では、ピクセル数分の加算処理が省略されるので、副走査方向の色差が変更されるときは、閾値にかかわらず色情報に加算すればよい。色の情報は、グラデーションではなく複数の単色塗りつぶしで保持されているため、ピクセルごとに演算処理がなくなり高速な処理が可能となる。
【0041】
以上のように、グラデーションパターンのコピーが行えないときは、1ライン目のキャッシュデータに色差の情報を加算して描画するかどうかを、カラーチャンネルに加算する変数の個数によって更新方法の処理を変更する。カラーチャンネルの種類は、RGB、CMYKなどを含み特定のチャンネル専用ではない。
【0042】
また、本発明では、グラデーションパターンの生成方法にLFCを用いて描画することで、1ピクセルごとにグラデーションの色値を算出する処理がなくなり高速な処理が可能となる。また、LFCがグラデーションパターンを、複数の単色塗りつぶしデータで保持することでキャッシュサイズを削減する。
【実施例2】
【0043】
グラデーションのイメージが、背景の全面に貼りついた状態において、描画する際にスキャンラインレンダラを有効に描画するため、ページ向きを切り替える方法をとる。図8では、ページの背景が水平方向に階調が変化するグラデーションのページの用紙向きを、縦のページ801に対しては横向き802にページの用紙向きを変更する。また、横向きのページ向きグラデーション803に対しても、用紙向きを縦に変更する(804)。PDL解析部304がDISPLAY LIST401を生成するときに、ページの向きを90度回転することでページ背景のイメージを、従来のように1ピクセル幅のイメージとして描画することが可能となる(図10)。グラデーションパターンが、1ピクセル幅のグラデーション1001となるとき、主走査方向に単色塗りつぶしとして拡大処理1002する。ページ向きを変更することで、ピクセルごとにカラー情報を取得する必要がなくなり処理速度が向上する。図9は、PDL解析部304でのページ向き切り替えのフローチャート図である。最初に、ラスタライズする主走査方向にグラデーション(801、803)がページ全体に存在することを検出する(901)。次に、ページ向きを90度回転したDISPLAY LIST401が生成される(902)。ここで、PDL解析部304がグラデーションの背景を1ピクセル幅のイメージを拡大したものとして、DISPLAY LIST401を生成する(903)。データ描画部305で、1ピクセル幅のイメージが全体に拡大するイメージデータとして描画する(904)。ページメモリ306が描画されたページデータを元のページの向きに戻して、印刷制御部310からページの印刷が行われる。これにより、背景全面にグラデーションが施されており、かつスキャンライン上で色が変更する場合、用紙の向きを変更することで従来の1ピクセル幅のイメージ拡大処理が可能となり、処理速度の高速化の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
103 プリンタコントローラ部
104 操作パネル部
105 プリンタエンジン部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項2】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項3】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項4】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項2】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項3】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成装置(102)。
【請求項4】
水平方向のグラデーションを描画するとき、
グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する手段(502)と、
副走査方向に前記で作成したグラデーションパターンとは異なるパターンのグラデーションを描画するとき、
前記手段において、各カラーチャンネルの色差を副走査方向で加算するときに、色差がことなる各色のピクセル数が一定の閾値以内(506)では、色差を前記グラデーションパターンのピクセルごとに加算する手段と、
前記手段において、カラーチャンネルの色差を加算するときに、色差がことなるカラーチャンネルの数と各色のピクセル数が閾値以上で更新されるときには、新たに1ライン分のグラデーションパターンを描画する手段(507)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
水平方向のグラデーション(501)を描画するとき、グラデーションの開始位置から1ライン分のグラデーションパターンを生成する方法(502)として、
グラデーションを複数の単色塗りつぶしデータに変換する手段と、
前記手段において、各ピクセルの色値が同等であるピクセル数(602)と色値(601)を保持する手段と、
前記手段において、塗り潰し領域の情報を主走査に描画する順番でリンクする構造体を生成する手段(606)と、
前記手段で生成したグラデーションパターンをラインごとにコピーして描画する手段(504)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
印刷データの全面が走査方向に階調を変更するグラデーション(801、803)であるとき、
前記グラデーションを検出する手段(901)と、
前記グラデーションを用いた用紙の向きを90度変更する手段(902)と、
前記手段で背景を主走査方向に1ピクセル幅のイメージ(1001)として処理する手段(903)と、
前記手段では、スキャンラインごとで主走査方向に塗りつぶしするように処理(1002)を切り替える手段(904)と、
前記手段により、全ピクセルを塗りつぶしたあとにもとの用紙向きに戻す手段(905)と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−42110(P2011−42110A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192055(P2009−192055)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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