説明

画像形成装置

【課題】印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、コード画像を用いたコピーを行う際に、ユーザが所望する部数の文書を印刷することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置を搭載したネットワーク複合機1は、文書のページ毎の印刷データを示す複数のページデータを含み、印刷を指示する印刷ジョブを入力するLANインターフェース20と、複数のページデータに重複するページデータが含まれているか否かを判断する判断部10Aと、重複するページデータが含まれている場合に、複数のページデータの中から1部数分の文書のページデータを特定する特定部10Bとを備える。ネットワーク複合機1は、LANインターフェース20を介して、特定された1部数分の文書のページデータをQRコードによって特定可能にファイルサーバ4の保存フォルダ41へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、画像形成装置において紙文書をコピーする際、紙文書がスキャナで読み取られ、その読み取られたデータが用紙に印刷される。この場合、コピーを繰り返すうちに、印刷される文字や画像が劣化する。そこで、スキャンしたデータを印刷するのではなく、保存された印刷データを印刷することにより、画像等の劣化を防止する画像形成装置がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、最初にパーソナルコンピュータ(PC)から入力された印刷データを用紙へ印刷する際に印刷データが保存される。続いて、保存された印刷データを特定するためのQRコード(登録商標、以下同様)が印刷データと共に用紙に印刷される。そして、紙文書をコピーする際に、QRコードが読み取られ、このQRコードによって特定される印刷データが用紙に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザがPCに文書の印刷指示を入力する際に、複数部数の印刷指示を入力すると、特許文献1の画像形成装置では、複数部数の文書を印刷するための印刷データが保存される場合がある。そうすると、QRコード等のコード画像を用いたコピーを行う場合、ユーザが1部数分の文書を望む場合でも、保存された複数部数分の印刷データが印刷される。
【0006】
また、例えば、2部数分の文書を印刷するための印刷データが保存されていると、コード画像を用いたコピーをする際に2部数分のコピーを指示すると、4部の文書が印刷される。このように、特許文献1の画像形成装置では、コード画像を用いたコピーを行う際にユーザが望む部数の文書を印刷することができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、コード画像を用いたコピーを行う際に、ユーザが所望する部数の文書を印刷することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、印刷データと共に、当該印刷データを特定可能なコード画像を用紙に印刷する画像形成装置において、文書のページ毎の印刷データを示す複数のページデータを含み当該印刷データの印刷を指示する印刷指示情報を入力する入力手段と、入力手段によって入力されるページデータ同士が同じか否か判断する判断手段と、判断手段による判断の結果、複数のページデータに同じページデータが含まれている場合に、複数のページデータの中から1部数分の文書のページデータを特定する特定手段と、特定手段によって特定された1部数分の文書のページデータをコード画像によって特定可能に保存フォルダへ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、入力した印刷指示情報に重複するページデータが含まれていると、複数のページデータの中から1部数分の文書を構成するページデータが特定される。これにより、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力されると、入力された複数部数分の印刷データの中から1部数分の印刷データが特定される。そして、特定された1部数分の文書のページデータがコード画像によって特定可能に保存フォルダへ出力されるので、1部数分の文書の印刷データがコード画像によって特定可能に保存される。従って、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、コード画像を用いたコピーを行う際にユーザが所望する部数の文書を印刷することが可能となる。また、複数部数分の印刷データを保存しないので、メモリの消費を抑制することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、判断手段が、複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが異なる場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断し、特定手段が、1番目から、1番目と同じページデータであると判断手段によって判断されたページデータの1つ前までのページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することが好ましい。
【0011】
これにより、印刷指示情報に含まれる複数部数分のページデータが、1部毎にソートされた状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することが可能となる。例えば、3ページの文書を1部毎にソートされた状態で3部印刷する場合、文書のページ番号で表すとページ1、2、3、1、2、3、1、2、3の印刷順序で並んだ複数のページデータが印刷指示情報に含まれる。この場合、印刷順序が1番目と2番目のページデータが異なり、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かが、順に判断される。4番目のページデータが1番目と同じであるので、1番目から3番目までのページデータが、1部数分の文書のページデータとして特定される。
【0012】
本発明の画像形成装置では、判断手段が、複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを、1番目と異なるページデータが検出されるまで順に判断すると共に、1番目と同じページデータであると判断したページデータ数をカウントし、特定手段が、1番目のページデータと、判断手段によって1番目と異なるページデータであると判断されたページデータと、該ページデータから判断手段によってカウントされたページデータ数おきに取得されるページデータとを1部数分の文書のページデータとして特定することが好ましい。
【0013】
これにより、印刷データを構成する複数のページデータが、1部毎にソートされていない状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することが可能となる。例えば、3ページの文書を1部毎にソートされていない状態で3部印刷する場合、文書のページ番号で表すとページ1、1、1、2、2、2、3、3、3の印刷順序で並んだ複数のページデータが印刷指示情報に含まれる。この場合、印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じであり、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かが順に判断され、1番目と重複したページデータ数がカウントされる。4番目のページデータが1番目と異なるので、カウントされたページデータ数は2となる。そこで、1番目のページデータと、4番目のページデータと、4番目から2つおきに取得されるページデータとが1部数分のページデータとして特定される。すなわち、1番目と4番目と7番目のページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、判断手段が、複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断し、1番目と異なるページデータであると判断した場合に、当該異なると判断したページデータと次以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する処理を異なるページデータであると判断する度に行い、特定手段が、1番目のページデータ、及び判断手段によって異なるページデータであると判断された全てのページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することが好ましい。
【0015】
これにより、印刷データを構成する複数のページデータが、1部毎にソートされていない状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することが可能となる。例えば、3ページの文書を1部毎にソートされていない状態で3部印刷する場合、文書のページ番号で表すとページ1、1、1、2、2、2、3、3、3の印刷順序で並んだ複数のページデータが印刷指示情報に含まれる。この場合、印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じであり、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する。4番目のページデータが1番目と異なるので、4番目と5番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する。すると、7番目のページデータが4番目と異なる。従って、1番目と4番目と7番目のページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置では、判断手段が、ページデータのハッシュ値を比較することにより、ページデータ同士を比較することが好ましい。この場合、ページデータ同士が同じか否かを正確かつ簡便に把握することができる。
【0017】
本発明の画像形成装置では、印刷指示情報に2部以上の印刷部数を指定する情報が含まれている場合に、判断手段が、ページデータ同士が同じか否かの判断をせずに、特定手段が、印刷指示情報に含まれる全ての印刷データを1部数分の文書の印刷データとして特定することが好ましい。
【0018】
これにより、印刷指示情報に2部以上の印刷部数を指定する情報が含まれている場合に、ページデータ同士が同じか否かを判断することなしに、1部数分の印刷データを特定することができる。すなわち、ページデータ同士が同じか否かの判断を省略することができるので、処理の負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、1部数分の印刷データを保存することが可能となる。従って、コード画像を用いたコピーを行う際にユーザが所望する部数の文書を印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置が搭載されたネットワーク複合機を含むネットワークの構成を示す図である。
【図2】図1のネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のネットワーク複合機の制御部の構成を説明するための図である。
【図4】図1のネットワーク複合機による印刷データを保存する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係るネットワーク複合機による印刷データを保存する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置が、ネットワーク複合機に搭載された場合を例にして説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1〜図3を併せて用いて、第1実施形態に係るネットワーク複合機1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るネットワーク複合機1を含むネットワークの構成を示す図である。図2は、ネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。図3は、ネットワーク複合機1の制御部10の構成を説明するための図である。
【0023】
ネットワーク複合機1は、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、入力された印刷データから1部数分の印刷データを特定し、保存する機能を有する。この際に、ネットワーク複合機1は、印刷指示に応じた部数の文書を印刷すると共にコード画像も用紙60に印刷する。
【0024】
また、ネットワーク複合機1は、印刷した文書をコピーする際に、印刷されたコード画像を読み取り、得られた情報を用いて保存された印刷データを特定し、コピー時の指定に応じた部数の文書を印刷する機能を有する。なお、コード画像とは、数字、文字列などのコード情報を変換して得られる画像であり、例えば、バーコード等の1次元コード、QRコード61等の2次元コードなどが含まれる。
【0025】
図1に示されるように、ネットワーク複合機1は、LAN(ローカルエリアネットワーク)50に接続されている。LAN50には、PC(パーソナルコンピュータ)3及びファイルサーバ4が接続されている。PC3には、ネットワーク複合機1のプリンタドライバ31が搭載され、ネットワーク複合機1は、PC3から出力される印刷データを印刷可能に構成されている。また、ネットワーク複合機1は、LAN50を介してファイルサーバ4内のフォルダへアクセス可能に構成されている。
【0026】
図2に示されるように、ネットワーク複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、読取部13、印刷部14、コーデック15、画像記憶部16、モデム17、NCU(Network Control Unit)18、IFAX制御部19、及び、LANインターフェース20等を備えている。なお、各部は通信線21で相互に通信可能に接続されている。
【0027】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップRAM等により構成されている。制御部10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。なお、制御部10の詳細な説明については後述する。
【0028】
操作部11は、ネットワーク複合機1を操作するために用いられる複数の操作ボタンを備えている。表示部12は、設定内容等を表示するディスプレイである。ユーザは、表示部12の表示を参照しながら、操作部11を利用してQRコード(コード画像)を用いたコピーの指示及び文書の部数をネットワーク複合機1に入力することができる。
【0029】
読取部13は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を読み取り、画像データを生成する。また、読取部13は、QRコードを用いたコピー指示があった場合には、読取対象となる紙文書に印刷されたQRコードを読み取る。
【0030】
印刷部14は、電子写真方式のプリンタであり、PC3又はファイルサーバ4等から入力された印刷データ、読取部13により読み取られた画像データ、及び、ファクシミリで受信された画像データ等を用紙に印刷する。印刷部14は、PC3から入力された印刷データを印刷する際、QRコードが生成されると、印刷データをQRコードと共に用紙に印刷する。また、印刷部14は、QRコードを用いたコピーの指示があると、QRコードにより特定される印刷データを用紙に印刷する。
【0031】
コーデック15は、読取部13で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部16は、DRAM等で構成されており、コーデック15で符号化圧縮された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。
【0032】
NCU18は、モデム17と公衆交換電話網(PSTN)51との接続を制御し、FAXの送受信機能を有する。IFAX制御部19は、インターネットFAX(IFAX)機能を司る部分である。
【0033】
LANインターフェース20は、LAN50に接続され、信号変換及びプロトコル変換等のインターフェース処理を実行し、PC3及びファイルサーバ4との間で、信号及びデータの送受信を行う。また、LANインターフェース20は、PC3から印刷ジョブを入力する。印刷ジョブは、用紙に印刷する印刷データと印刷設定等の情報とを含み、印刷を指示する印刷指示情報である。印刷データとしては、GDIプリントデータが用いられる。なお、LANインターフェース20は、特許請求の範囲に記載の入力手段として機能する。
【0034】
印刷ジョブは、PC3上でユーザが印刷指示を入力すると、ネットワーク複合機1に入力される。印刷ジョブに含まれる印刷データは、ページ毎に区切られたページデータによって構成されている。また、印刷ジョブに含まれるページデータは、印刷処理される順にネットワーク複合機1に入力される。そして、ユーザが複数部数の文書の印刷指示を入力すると、ネットワーク複合機1に複数部数を印刷するための印刷ジョブが入力される。ここで、印刷ジョブにより複数部数の印刷を指示する方法は2通りある。
【0035】
1つ目の方法では、ネットワーク複合機1へ入力される印刷ジョブに、印刷部数を指定する情報及び1部数分の印刷データが含まれる。この場合、ネットワーク複合機1において、印刷ジョブに複数部数の印刷指示が含まれていることを認識できる。
【0036】
印刷部数を指定する情報は、ジョブパラメータのQTY又はCOPIESで表される。QTYは、ソート機能がオンであることを示し、例えば、QTYの値が3であれば、1部毎にソートされた状態で3部の文書が印刷される。COPIESは、ソート機能がオフであることを示し、例えば、COPIESの値が3であれば、文書の各ページが3枚ずつ連続して印刷される。QTY又はCOPIESの値が2以上である場合は、印刷ジョブには1部数分のページデータが含まれ、ネットワーク複合機1では、この1部数分のページデータを用いることで複数部数分の文書の印刷を行う。
【0037】
2つ目の方法では、ジョブパラメータのQTY又はCOPIESが、含まれていない状態又は1に設定された状態で、印刷ジョブに複数部数分の文書のページデータが含まれる。例えば、文書を3部印刷する場合、印刷ジョブには、各ページのページデータが3つずつ含まれる。
【0038】
各ページデータの印刷順序は、ユーザがアプリケーション上でソート機能をオンに設定した場合、1部毎にソートされるように設定される。例えば、3ページで構成された文書をソート機能オンで3部印刷する場合、ページデータは、文書のページ番号で表すと1、2、3、1、2、3、1、2、3の順に印刷される。
【0039】
また、ユーザがアプリケーション上でソート機能をオフに設定した場合、文書の先頭ページから順に複数印刷されるように、各ページデータの印刷順序が設定される。例えば、3ページで構成された文書をソート機能オフで3部印刷する場合、ページデータは、文書のページ番号で表すと1、1、1、2、2、2、3、3、3の順に印刷される。
【0040】
引き続いて、図3を参照して、制御部10の構成について詳細に説明する。なお、図3には、制御部10の説明に関わる構成要素を主に記載し、図2に記載したネットワーク複合機1の一部の構成要素を省略している。制御部10は、印刷指示に応じて印刷データを保存する際に、印刷ジョブから1部数分の印刷データを特定する機能を有する。このために、制御部10は、判断部10A及び特定部10Bを備えている。なお、判断部10Aは特許請求の範囲に記載の判断手段として機能し、特定部10Bは特定手段として機能する。
【0041】
特定部10Bは、印刷ジョブに含まれるQTY又はCOPIESの値が2以上であれば、印刷ジョブに含まれる全てのページデータを1部数分の文書の印刷データとして特定する。一方、上記2つ目の方法により印刷指示が入力されると、QTY又はCOPIESの値が1であっても、印刷データに複数部数分の文書の印刷データが含まれる場合がある。この場合、印刷ジョブには、重複したページファイルが含まれる。
【0042】
そこで、判断部10Aが、各ページデータのハッシュ値を計算し、ハッシュ値を比較することによりページデータ同士が同じか否かを判断する。そして、判断部10Aによって印刷ジョブに同じページデータが含まれていると判断された場合に、特定部10Bは、印刷ジョブに含まれる複数のページデータの中から1部数分の文書のページデータを特定する。
【0043】
より具体的に説明すると、印刷ジョブに含まれるページデータのうち、印刷順序が1番目と2番目のページデータが異なる場合は、ソート機能がオンとなるようにページデータの印刷順序が決定されている。そこで、判断部10Aは、1番目と同じページデータが検出されるまで、1番目と3番目以降のページデータとを順に比較する。そして、特定部10Bは、印刷順序が1番目から、判断部10Aによって1番目と同じページデータであると判断されたページデータの1つ前までのページデータを1部数分の文書のページデータとして特定する。
【0044】
例えば、3ページで構成された文書をソート機能オンで3部印刷するためのページデータは、文書のページ番号を用いて表すと1、2、3、1、2、3、1、2、3の順に印刷順序が設定されている。この場合、1番目と2番目のページデータが異なり、1番目と3番目以降のページデータとを順に比較すると、1番目と同じページデータとして4番目のページデータが検出される。そして、1番目から、検出されたページデータの1つ前の3番目までのページデータが、1部数分の文書のページデータとして特定される。
【0045】
一方、印刷ジョブに含まれるページデータのうち、印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合は、ソート機能がオフとなるようにページデータの印刷順序が決定されている。そこで、判断部10Aが、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを、1番目と異なるページデータが検出されるまで順に判断する。また、判断部10Aは、1番目と同じページデータであると判断されたページデータ数をカウントする。そして、特定部10Bが、1番目のページデータと、判断部10Aによって1番目と異なるページデータであると判断されたページデータと、該ページデータから判断部10Aによってカウントされたページデータ数おきに取得されるページデータとを1部数分の文書のページデータとして特定する。
【0046】
例えば、3ページの文書を1部毎にソート機能オフで3部印刷するためのページデータは、文書のページ番号で表すとページ1、1、1、2、2、2、3、3、3の順に印刷順序が設定されている。この場合、1番目と2番目のページデータが同じであり、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かが順に判断され、1番目のページデータと重複するページデータ数がカウントされる。4番目のページデータが1番目と異なるので、カウントされたページデータ数は2となる。そこで、1番目と、4番目と、4番目から2つおきに取得されるページデータとが1部数分のページデータとして特定される。すなわち、1番目と4番目と7番目のページデータが1部数分の文書のページデータとして特定される。
【0047】
特定部10Bによって特定された1部数分のページデータは、LANインターフェース20によって保存フォルダへ出力される。すなわち、LANインターフェース20は、特許請求の範囲に記載の出力手段としても機能する。この1部数分のページデータは、ユニークIDと関連付けられて保存フォルダへ出力される。
【0048】
ここで、ユニークIDは、各ページデータを識別可能な文字列である。印刷データと共にユニークIDを示すQRコードが用紙に印刷されることで、後で、用紙に印刷されたQRコードを読み取り、保存フォルダに保存されたページデータを特定することができる。なお、保存フォルダは、ネットワーク複合機1内のフォルダであってもよいし、ファイルサーバ4内の保存フォルダ41であってもよい。
【0049】
引き続いて、図4を参照し、ネットワーク複合機1において、1部数分の印刷データを特定し、保存する際の処理の手順を説明する。図4は、ネットワーク複合機1による印刷データを保存する際の処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
PC3から送信された印刷ジョブが、LANインターフェース20によって受信される(ステップS101)と、印刷ジョブに含まれるジョブパラメータのQTYとCOPIESの値が、制御部10において取得される(ステップS102)。QTY又はCOPIESの値が2以上の場合(ステップS103でYES)は、印刷ジョブに含まれる全てのページデータが、ユニークIDと対応付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS104)。
【0051】
すなわち、印刷ジョブに含まれるページデータは1部数分であるので、印刷ジョブに含まれる全てのページデータが1部数分の文書のページデータに含まれると特定部10Bによって特定され、保存フォルダ41へ出力される。これにより、1部数分の文書のページデータがユニークIDと関連付けられて保存される。
【0052】
QTY又はCOPIESの値が2以上の値以外の場合(ステップS103でNO)は、印刷順序が1番目のページデータが、ユニークIDと関連付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS105)。続いて、1番目のページデータのハッシュ値が、判断部10Aによって計算される(ステップS106)。続いて、2番目のページデータのハッシュ値が、判断部10Aによって計算される(ステップS107)。
【0053】
1番目と2番目のページデータのハッシュ値が異なる場合(ステップS108でNO)、次のページデータのハッシュ値が計算される(ステップS109)。ステップS109で計算したハッシュ値が1番目のハッシュ値と異なる場合(ステップS110でNO)、ステップS109で計算したハッシュ値のページデータが、ユニークIDと関連付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS111)。このように、1番目のページデータのハッシュ値と同じハッシュ値のページデータが検出される(ステップS110でYES)までステップS109〜S111を繰り返すことで、1部数分の文書に含まれるページデータを特定し、保存フォルダ41へ出力する。
【0054】
すなわち、1番目のページデータから、1番目のページデータのハッシュ値と同じページデータより1つ前のページデータまでが、1部数分の文書のページデータとして保存される。1番目のページデータのハッシュ値と同じページデータ以降のページデータは、重複したページデータであるとして保存されない。
【0055】
1番目と2番目のページデータのハッシュ値が同じ場合(ステップS108でYES)、1番目のページデータのハッシュ値が比較元のハッシュ値に設定される(ステップS112)。続いて、次のページデータのハッシュ値が計算される(ステップS113)。ステップS113で計算されたハッシュ値が比較元のハッシュ値と同じ場合(ステップS114でYES)、カウントアップされ(ステップS115)、比較元のハッシュ値と異なるハッシュ値のページデータが検出されるまで、ステップS113〜S115が繰り返される。すなわち、比較元のハッシュ値と同じページデータは、重複したページデータであるため、保存されない。また、カウントすることにより、重複したページデータが何ページ分含まれているのかを把握することができる。
【0056】
比較元のハッシュ値と異なるハッシュ値のページデータが検出されると(ステップS114でNO)、そのページデータがユニークIDと関連付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS116)。また、ステップS115でカウントされた値がカウント値として保存された後、カウンタがリセットされる。保存されたカウント値は、重複したページデータの数を示している。
【0057】
続いて、次のページデータが取得される(ステップS117)。そして、カウンタの値が、保存したカウント値に達している場合(ステップS118)、ステップS116へ戻り、ステップS117で取得されたページデータが、ユニークIDと関連付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS116)。
【0058】
カウンタの値が、保存したカウント値に達していない場合(ステップS118でNO)、カウントアップされ、ステップS117で取得したページデータが最終ページデータでなければ(ステップS119でNO)、ステップS117へ戻る。すなわち、最終ページデータとなるまで(ステップS119でYES)、上述したステップS117〜S119の処理が繰り返して実行される。以上により、1部数分のページデータが保存され、処理が終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るネットワーク複合機1によれば、入力した印刷ジョブに重複するページデータが含まれていると、複数のページデータの中から1部数分の文書を構成するページデータが特定される。そして、特定された1部数分の文書のページデータがQRコードによって特定可能に保存フォルダ41へ出力されるので、1部数分の文書のページデータがQRコードによって特定可能に保存される。従って、印刷指示と共に複数部数分の印刷データが入力された場合であっても、QRコードを用いたコピーを行う際にユーザが所望する部数の文書を印刷することが可能となる。また、複数部数分のページデータを保存しないので、メモリの消費を抑制することができる。
【0060】
また、ネットワーク複合機1では、印刷データに含まれる1番目と2番目のページデータが異なる場合、1番目と同じページデータが検出されるまで、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かについて順に判断される。そして、1番目から、1番目と同じページデータであると判断されたページデータの1つ前までのページデータが、1部数分の文書のページデータとして特定される。これにより、印刷ジョブに含まれる複数部数分のページデータが、1部毎にソートされた状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することができる。
【0061】
また、ネットワーク複合機1では、1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かが、1番目と異なるページデータが検出されるまで順に判断される。また、1番目と同じページデータであると判断されたページデータ数がカウントされる。そして、1番目のページデータと、1番目と異なるページデータであると判断されたページデータと、該ページデータからカウントされたページデータ数おきに取得されるページデータとが1部数分の文書のページデータとして特定される。これにより、印刷ジョブに含まれる複数部数分のページデータが、1部毎にソートされていない状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することが可能となる。
【0062】
また、ネットワーク複合機1では、ハッシュ値を用いてページデータ同士が同じか否か判断するので、ページデータ同士が同じか否かを正確かつ簡便に把握することができる。
【0063】
また、ネットワーク複合機1では、印刷ジョブに含まれるジョブパラメータが2部以上印刷する旨を示している場合に、ページデータ同士が同じか否か判断することなしに、印刷ジョブに含まれる全ての印刷データを1部数分の文書の印刷データであると特定する。この場合、ページデータ同士が同じか否か判断することなしに、1部数分の印刷データを特定することができるので、処理の負荷を低減することができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るネットワーク複合機について説明する。以下の説明において、上述した第1実施形態に係るネットワーク複合機1と同様な部分は、説明を省略し、異なる部分を主に説明する。
【0065】
第2実施形態に係るネットワーク複合機では、印刷ジョブに含まれるページデータのうち、印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合の処理が、上記第1実施形態に係るネットワーク複合機1の処理と異なる。すなわち、ソート機能がオフに設定された場合における、判断部10A及び特定部10Bの処理が異なる。
【0066】
判断部10Aは、1番目と2番目のページデータが同じ場合に、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する。そして、判断部10Aは、1番目と異なるページデータを検出した場合に、当該異なると判断したページデータと次以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する。判断部10Aは、この判断処理を異なるページデータが検出される度に行う。そして、特定部10Bは、1番目のページデータ、及び判断部10Aによって異なるページデータであると判断された全てのページデータを1部数分の文書のページデータであるとして特定する。
【0067】
例えば、3ページで構成された文書をソート機能オフで3部印刷するためのページデータは、文書のページ番号で表すと1、1、1、2、2、2、3、3、3の順に印刷順序が設定されている。この場合、1番目と2番目のページデータが同じである。そして、1番目のページデータは、1部数分の文書のページデータに含まれると特定され、この特定された1番目と異なるページデータとして4番目のページデータが検出される。
【0068】
検出された4番目のページデータは、1部数分の文書のページデータとして特定される。そして、特定された4番目と異なるページデータとして7番目のページデータが検出される。従って、1番目、4番目、7番目のページデータが1部数分の文書のページデータとして特定される。
【0069】
引き続いて、図5を用いて、本実施形態に係るネットワーク複合機において、1部数分の印刷データを特定し、保存する際の処理の手順を説明する。図5は、本実施形態に係るネットワーク複合機による印刷データを保存する際の処理手順を示すフローチャートである。
【0070】
図5におけるステップS121〜S131は、図4のステップS101〜S111と同様である。従って、図5におけるステップS132以降の処理について説明する。
【0071】
1番目と2番目のページデータのハッシュ値が同じ場合(ステップS128でYES)、1番目のページデータのハッシュ値が比較元のハッシュ値に設定される(ステップS132)。続いて、次のページデータのハッシュ値が計算される(ステップS133)。ステップS133で計算されたハッシュ値が比較元のハッシュ値と同じ場合(ステップS134でYES)、比較元のハッシュ値と異なるハッシュ値のページデータが検出されるまで、ステップS133及びステップS134が繰り返される。すなわち、比較元のハッシュ値と同じページデータは、重複したページデータであるため、保存されない。
【0072】
比較元のハッシュ値と異なるハッシュ値のページデータが検出されると(ステップS134でNO)、そのページデータがユニークIDと関連付けられて保存フォルダ41へ出力される(ステップS135)。続いて、保存フォルダ41へ出力されたページデータのハッシュ値が比較元のハッシュ値に設定される(ステップS136)。
【0073】
そして、最後のページデータのハッシュ値が比較元と比較されるまで、ステップS133〜S137が繰り返されることで、1部数分の文書に含まれるページデータが特定され、保存フォルダ41へ出力される。以上により、1部数分のページデータが保存され、処理が終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るネットワーク複合機によれば、1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かについて順に判断される。そして、1番目と異なるページデータが検出された場合に、当該異なると判断されたページデータと次以降のページデータ同士が同じか否かについて順に判断される。この処理は、異なるページデータが検出される度に行われる。そして、1番目のページデータ、及び異なるページデータであると判断された全てのページデータが、1部数分の文書のページデータとして特定される。これにより、印刷ジョブに含まれる複数部数分のページデータが、1部毎にソートされていない状態で文書のページ順に並んでいる場合に、1部数分のページデータを特定することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、印刷順序が最初のページデータから順にページデータ同士を比較したが、印刷順序が最後のページデータから順にページデータ同士を比較してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ネットワーク複合機
3 PC
4 ファイルサーバ
10 制御部
10A 判断部
10B 特定部
11 操作部
13 読取部
14 印刷部
20 LANインターフェース
41 保存フォルダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データと共に、当該印刷データを特定可能なコード画像を用紙に印刷する画像形成装置において、
文書のページ毎の印刷データを示す複数のページデータを含み当該印刷データの印刷を指示する印刷指示情報を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力されるページデータ同士が同じか否か判断する判断手段と、
前記判断手段による判断の結果、前記複数のページデータに同じページデータが含まれている場合に、前記複数のページデータの中から1部数分の文書のページデータを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された1部数分の文書のページデータを前記コード画像によって特定可能に保存フォルダへ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが異なる場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断し、
前記特定手段は、前記1番目から、前記1番目と同じページデータであると判断手段によって判断されたページデータの1つ前までのページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを、1番目と異なるページデータが検出されるまで順に判断すると共に、1番目と同じページデータであると判断したページデータ数をカウントし、
前記特定手段は、1番目のページデータと、前記判断手段によって1番目と異なるページデータであると判断されたページデータと、該ページデータから前記判断手段によってカウントされたページデータ数おきに取得されるページデータとを1部数分の文書のページデータとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記複数のページデータのうち印刷順序が1番目と2番目のページデータが同じ場合、1番目と3番目以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断し、1番目と異なるページデータであると判断した場合に、当該異なると判断したページデータと次以降のページデータ同士が同じか否かを順に判断する処理を、異なるページデータであると判断する度に行い、
前記特定手段は、前記1番目のページデータ、及び前記判断手段によって異なるページデータであると判断された全てのページデータを1部数分の文書のページデータとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記ページデータのハッシュ値を比較することにより、前記ページデータ同士を比較することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷指示情報に2部以上の印刷部数を指定する情報が含まれている場合、
前記判断手段は、前記ページデータ同士が同じか否かの判断をせずに、
前記特定手段は、前記印刷指示情報に含まれる全ての前記印刷データを1部数分の文書の印刷データとして特定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−61470(P2011−61470A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208589(P2009−208589)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】