画像形成装置
【課題】LED等の露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材(LEDアレイ40)と、一対の側壁110の間において複数の感光ドラムを支持するとともに、装置本体10に移動可能に設けられる感光ドラム支持体(ドロワ100)を備える。複数の露光部材は、感光ドラムに接近した露光位置と、感光ドラムから退避して係止部(長孔112)で係止される退避位置とに移動可能となるように感光ドラム支持体に設けられ、かつ、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、感光ドラム支持体内に収容されている。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材(LEDアレイ40)と、一対の側壁110の間において複数の感光ドラムを支持するとともに、装置本体10に移動可能に設けられる感光ドラム支持体(ドロワ100)を備える。複数の露光部材は、感光ドラムに接近した露光位置と、感光ドラムから退避して係止部(長孔112)で係止される退避位置とに移動可能となるように感光ドラム支持体に設けられ、かつ、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、感光ドラム支持体内に収容されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光ドラムをそれぞれ露光する複数の露光部材を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムの上方に配置される複数のLEDヘッド(露光部材)と、複数の感光ドラムおよび複数のLEDヘッドを支持する感光ドラム支持体とを備え、感光ドラム支持体が装置本体に対して移動可能な構成が知られている(特許文献1参照)。この技術では、LEDヘッドが感光ドラム支持体に揺動可能に設けられたアームに支持されるとともに、このアームがバネで常時上方に付勢されることで、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させたときには、複数のアームがバネによって上方に揺動してストッパによって止められることで、複数のLEDヘッドがその露出面を前方に向けるようにして感光ドラム支持体の上方(外側)に飛び出した位置(退避位置)で保持される。これにより、感光ドラムからLEDヘッドが退避して、感光ドラムを有するカートリッジを良好に取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させるとLEDヘッドが感光ドラム支持体の外側に出るため、LEDヘッドと装置本体外にある他の部材とが干渉したり、露出したLEDヘッドの露光面をユーザが触ることで露光面にゴミや傷がつき、その後の印字に影響がでるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、LEDヘッド等の露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、前記複数の露光部材は、前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、露光部材が露光位置および退避位置のいずれの位置であっても感光ドラム支持体内に収容されているので、露光部材と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、露光部材をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】フロントカバーが閉位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図3】フロントカバーが開位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図4】ドロワを装置本体外に引き出した状態を示す断面図である。
【図5】ドロワとプロセスカートリッジとの関係を示す断面図である。
【図6】LEDアレイを前後方向から見た断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図であり、フロントカバーが閉位置のときの状態を示す図である。
【図8】フロントカバーが開位置のときの状態を示す断面図である。
【図9】フロントカバーが閉位置のときの直動カムとドロワの関係を示す断面図である。
【図10】フロントカバーが開位置のときの直動カムとドロワの関係を示す断面図である。
【図11】ドロワが収納位置に位置する状態を示す断面図である。
【図12】図11の位置からドロワを前斜め上方に持ち上げた状態を示す断面図である。
【図13】ドロワを移動位置に引き出した状態を示す断面図である。
【図14】付勢手段の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0011】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、断面図については、図面の見易さを考慮して、特に必要な箇所にのみハッチングを施すこととする。
【0012】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、用紙P(記録シート)を供給する給紙部20と、給紙された用紙PにK,C,M,Yの各色に対応した画像を重ねて形成する画像形成部30とを備えている。
【0013】
装置本体10には、その前壁(フロント側)に開口部11(図3参照)が形成されるとともに、この開口部11を開閉するフロントカバー12が回動可能に設けられている。詳しくは、フロントカバー12は、開口部11を閉じる閉位置(図1の位置)と、開口部11を開放する開位置(図3の位置)との間で回動可能(変位可能)となっている。
【0014】
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22とを備えている。
【0015】
画像形成部30は、複数の露光部材の一例としての4つのLEDアレイ40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0016】
LEDアレイ40は、半導体チップに複数のLEDを配列して構成されており、後述する感光ドラム61を主走査方向(感光ドラム61の軸方向)に沿って露光している。そして、各色に対応した4つのLEDアレイ40は、各色に対応した4つの感光ドラム61に対応するように、各感光ドラム61の上方に近接して配置されて、後述する感光ドラム支持体の一例としてのドロワ100に支持されている。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、前後方向に並んで配置され、現像カートリッジ51と、当該現像カートリッジ51の下側に配置されるドラムカートリッジ60とで構成され、ドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0018】
現像カートリッジ51は、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容器52や、当該トナー収容器52内のトナーを感光ドラム61に供給する現像ローラ53や、符号を省略して示す供給ローラや層厚規制ブレードなどを備えて構成されている。そして、各色に対応した4つの現像カートリッジ51は、4つの感光ドラム61に対応するように、その内部に異なる色のトナーをそれぞれ収容して各感光ドラム61の前斜め上方に隣接して配置され、ドラムカートリッジ60に対して着脱可能となっている。
【0019】
ドラムカートリッジ60は、感光ドラム61や、符号を省略して示す公知の帯電器などを備えて構成されている。そして、4つのドラムカートリッジ60は、後述するドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0020】
転写ユニット70は、給紙部20と各感光ドラム61の間に設けられ、複数のローラに張架された無端状の搬送ベルト71と、4つの転写ローラ72とを備えている。搬送ベルト71は、複数の感光ドラム61と対向するように各感光ドラム61の下側に配置されている。各転写ローラ72は、各感光ドラム61との間で搬送ベルト71を挟み込むように当該搬送ベルト71の内側に配置されている。
【0021】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0022】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDアレイ40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0023】
次に、搬送ベルト71上に供給された用紙Pが各感光ドラム61と各転写ローラ72との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0024】
そして、定着ユニット80で熱定着された用紙Pは、定着ユニット80の下流側に配設される排紙ローラ90によって装置本体10外に排出され、装置本体10の上壁14に形成された排出トレイ部13上に載置される。ここで、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14の左右方向における中央部に下方に凹むように形成されており、これにより、装置本体10内における排出トレイ部13の左右両側(感光ドラム61の軸方向両側)にスペースが形成されるようになっている。
【0025】
具体的に、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14から下方に向けて直角に延び、かつ、用紙Pの排出口13Aを有する第1壁131と、第1壁131の下端から前斜め上方の上壁14に向けて延び、かつ、上方に凸となるような断面視円弧形状の第2壁132とを備えて構成されている。
【0026】
<ドロワ100周りの構造>
次に、ドロワ100周りの構造について詳細に説明する。
【0027】
図2〜図4に示すように、ドロワ100は、装置本体10内に収納された収納位置(図3の位置)と、収納位置から装置本体10の開口部11を通して装置本体10外へ移動した移動位置(図4)とに前後に移動可能となっている。言い換えると、ドロワ100は、排出トレイ部13に対する用紙Pの排出方向(前方)に引き出し可能となっている。
【0028】
具体的に、ドロワ100は、フロントカバー12を開けると、上方に移動し、上方に移動した位置から開口部11を通して前側に引き出すことが可能となっている。すなわち、ドロワ100は、上下方向(LEDアレイ40の光軸方向)に移動可能であるとともに、前後方向(複数の感光ドラム61が並ぶ方向)に移動可能となっている。
【0029】
また、ドロワ100内の各LEDアレイ40は、ドロワ100の前後方向への移動に連動して上下動するようになっている。詳しくは、各LEDアレイ40は、ドロワ100が収納位置に位置するときには、感光ドラム61に接近した露光位置(図3の位置)に配置され、ドロワ100が移動位置に位置するときには、感光ドラム61から退避して係止部(後述する長孔112の上端)で係止される退避位置(図4の位置)に配置されるようになっている。
【0030】
そして、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100内に収容されるようになっている。すなわち、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100外に突出しないようになっている。これにより、各LEDアレイ40をユーザ等から保護することが可能となっている。
【0031】
具体的に、装置本体10には、ドロワ100と、ドロワ100を前後方向に直線的に移動可能に支持する作用部材の一例としての左右一対のガイド部材200と、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を上斜め前方または下斜め後方に移動させるための左右一対の連動機構300とを備えている。
【0032】
なお、ガイド部材200や連動機構300などの左右に配置される各部材は、左右対称な構造であるため、以下においては、左右の一方のみを代表して説明し、他方の説明は省略する。
【0033】
ドロワ100は、左右(感光ドラム61の軸方向)に対向する一対の側壁110を有し、当該一対の側壁110の間において複数のプロセスカートリッジ50(複数の感光ドラム61)や複数のLEDアレイ40を支持している。また、一対の側壁110は、図5に示すように、その前端部が前壁120で連結され、その後部が後壁130で連結されている。そして、前壁120の前面には、ユーザによって把持される断面視U字状の取手部140が設けられている。
【0034】
各側壁110の内面には、プロセスカートリッジ50を、被露光位置(感光ドラム61がLEDアレイ40によって露光されるときの位置)に案内するための円弧状の溝111が形成されている。これにより、プロセスカートリッジ50がドロワ100に対して円弧状に移動して着脱可能となっている。
【0035】
また、各側壁110には、各LEDアレイ40を上下に移動可能に支持する貫通部の一例としての一対の長孔112が形成されている。長孔112は、上下に延びるように形成されており、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために、LEDアレイ40の後述する被作用部43A(図6参照)と係合している。
【0036】
ここで、LEDアレイ40は、図6に示すように、複数のLEDを有するLEDヘッド41と、LEDヘッド41を感光ドラム61に向けて付勢する一対のコイルバネ42と、LEDヘッド41をコイルバネ42を介して支持する支持フレーム43とを備えている。そして、支持フレーム43は、左右方向に長尺となるように形成されており、その両端部には、各長孔112を貫通して各側壁110の左右方向外側に突出する一対の被作用部43Aが形成されている。
【0037】
また、支持フレーム43は、付勢手段の一例としての引張コイルバネ150を介してドロワ100に支持されている。具体的に、引張コイルバネ150は、一対の側壁110の間に架け渡されるように接合された支持壁151と、支持フレーム43との間に配置されており、LEDアレイ40を感光ドラム61から離間する方向に常時付勢している。
【0038】
各側壁110から外側に突出した各被作用部43Aは、図2〜図4に示すように、各側壁110の外側に設けられる一対のガイド部材200と当接することで、当該ガイド部材200によって上下に押圧されるようになっている。ガイド部材200は、装置本体10に設けられており、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持している。言い換えると、ガイド部材200は、ドロワ100に対して相対移動可能に設けられている。
【0039】
具体的に、ガイド部材200は、前後に長い板状の本体部210と、支持体ガイド部の一例としてのドロワガイド溝220と、ガイド部の一例としてのガイド溝230とを有している。
【0040】
本体部210は、ドロワ100の側壁110に対面して配置されており、その前側下部および後側下部には、左右方向外側に突出する突出ピン211が1つずつ形成されている。そして、各突出ピン211は、装置本体10の左右のサイドフレーム16に形成された一対の円弧状の溝15に移動可能に支持されている。
【0041】
これにより、本体部210は、図2に示す位置と、図3に示す位置との間で移動可能となっている。詳しくは、感光ドラム61が、搬送ベルト71に接触した接触位置と、搬送ベルト71から離間した離間位置との間で移動可能となるように、本体部210が装置本体10に移動可能に支持されている。すなわち、本実施形態においては、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とによって、ガイド部材200を介してドロワ100を少なくとも上下動可能に支持する離間機構が構成されている。
【0042】
ドロワガイド溝220は、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持する溝であり、前後方向に沿って形成されている。具体的に、ドロワガイド溝220は、ドロワ100の側壁110の後側に形成された一対の係合ピン部113Aと、側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bを支持している。
【0043】
ドロワガイド溝220には、一対の係合ピン部113Aの前後方向への移動を規制する一対の規制面221,222が設けられている。これにより、ドロワ100のガイド部材200に対する前後の移動が規制されて、ドロワ100が収納位置と移動位置とに位置決めされるようになっている。
【0044】
なお、ドロワ100の側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bは、規制面221に引っ掛からないように、各係合ピン部113Aよりも短く形成されている。
【0045】
ガイド溝230は、ドロワ100の装着時において被作用部43Aを退避位置から露光位置まで案内するための溝であり、後端が閉じられるとともに前端が外部に開口する溝状に形成されている。具体的に、ガイド溝230は、LEDアレイ40が露光位置に位置するときに被作用部43Aに係合する係合部231と、LEDアレイ40が退避位置に位置するときに被作用部43Aの前後方向への移動を許容する許容部232と、係合部231と許容部232とを繋ぐ傾斜部233とを有している。
【0046】
係合部231は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成され、その上縁で、被作用部43Aの上方への移動を規制している。具体的には、LEDアレイ40が露光位置(図6に示すLEDヘッド41に回転可能に設けられるガイドローラ41Aが感光ドラム61に接触した位置)に位置するときには、コイルバネ42によってLEDヘッド41が下方に付勢されるとともに、コイルバネ42および引張コイルバネ150によって被作用部43Aが上方に付勢される。そのため、LEDアレイ40は、被作用部43Aが係合部231の上縁に係止されることで、露光位置に位置決めされるとともに、感光ドラム61に対して好適な付勢力で付勢されるようになっている。
【0047】
許容部232は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成されている。
傾斜部233は、後方に向かうにつれて下方に傾斜する長溝状に形成されている。これにより、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)に対して装着していくと、傾斜部233の上縁で被作用部43Aが下方に押し下げられて、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。また、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)から引き出していくと、被作用部43Aが、傾斜部233の下縁で上方に押される、もしくは、引張コイルバネ150の付勢力によって上方に上げられることで、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。
【0048】
連動機構300は、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を作動させることで、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにガイド部材200(感光ドラム61)を接触位置から離間位置に変位させている。具体的に、連動機構300は、フロントカバー12に固定される扇型部材310と、ガイド部材200と扇型部材310を連結するリンク部材320とを備えている。
【0049】
扇型部材310は、フロントカバー12の回動軸12Aを中心とする扇形状に形成されており、フロントカバー12の下端部の左右両側に1つずつ固定されている。
リンク部材320は、一端がガイド部材200の前側の突出ピン211に回動可能に連結され、他端が扇型部材310に回動可能に連結されている。
【0050】
これにより、フロントカバー12を開けると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって前方に引っ張られて、円弧状の溝15に沿って前斜め上方に移動する。また、フロントカバー12を閉めると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって後方に押されて、円弧状の溝15に沿って後斜め下方に移動する。
【0051】
また、前述したドロワ100の後側部分と、ガイド部材200の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、ドロワ100の後側部分とガイド部材200の後側部分は、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。
【0052】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、ガイド部材200の前側上部が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
LEDアレイ40が露光位置および退避位置のいずれの位置であってもドロワ100内に収容されているので、LEDアレイ40と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、LEDアレイ40をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【0054】
LEDアレイ40を上下動させるためのガイド部材200を一対の側壁110の外側に設けたので、側壁の内側にLEDアレイ40を上下動させるための直動カムを設ける構成に比べ、構造を簡易化することができる。
【0055】
被作用部43Aが貫通するとともに、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために被作用部43Aに係合する長孔112を側壁110に設けたので、被作用部を突出させる穴と被作用部をガイドする部材を別々に設ける構造に比べ、構成を簡易化することができる。
【0056】
被作用部43Aが貫通する貫通部として孔(長孔112)を採用したので、例えば側壁の端まで開口した貫通部を形成する構成に比べ、側壁110の強度を上げることができる。
【0057】
ガイド部材200が装置本体10に設けられているので、ドロワ100を軽くすることができ、操作性を向上させることができる。また、ドロワ100を移動位置に引き出したときに、カラープリンタ1が手前に転倒するリスクを低減することができる。
【0058】
1つのガイド部材200に2つの溝(ドロワガイド溝220およびガイド溝230)を設けたので、例えば各溝をそれぞれ別の部材に形成する構造に比べて、構造を簡易化することができる。
【0059】
ドロワ100を支持するガイド部材200を上下動させることで、ドロワ100を搬送ベルト71のベルト面に沿って真っ直ぐ直線的に出し入れすることが可能となるので、例えばドロワを斜め上方に持ち上げて取り出す構造に比べ、ドロワ100の操作性を向上させることができる。また、ドロワガイド溝220とガイド溝230の両方に、斜め上方へドロワ100を持ち上げるための斜面を設けると、各LEDアレイ40の各被作用部43Aの各々に対して斜面が必要となり、操作性が低下するが、本発明によればそのような不都合も生じない。
【0060】
フロントカバー12とガイド部材200とを連動させたので、例えばフロントカバー12を開けてからガイド部材200を手動で上下動させる構造に比べ、ドロワ100の着脱作業を容易にすることができる。
【0061】
ドロワ100に、LEDアレイ40を感光ドラム61から離間する方向に付勢する引張コイルバネ150を設けたので、装置本体10からドロワ100を外す際に、引張コイルバネ150の付勢力によってLEDアレイ40を確実に退避位置に移動させることができる。
【0062】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態の構造を一部変更したものであるため、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図7〜図10に示すように、第2の実施形態では、第1実施形態におけるガイド部材200や連動機構300の代わりに、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で上下動させる作用部材の一例としての直動カム400と、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持する固定ガイド部材500とが設けられている。
【0064】
直動カム400は、前後方向(ドロワ100の移動方向)に沿って動くように構成されており、主に、前後に長い板状の本体部410と、本体部410に前後に所定の間隔を空けて形成される4つのカム孔420と、本体部410の下端の前側に形成されるラックギヤ部430とを有している。
【0065】
本体部410は、ドロワ100の側壁110と装置本体10の左右のサイドフレーム16とに対面するように側壁110とサイドフレーム16の間に配置され、サイドフレーム16に回転可能に設けられた複数の支持ローラ16Aによって前後に移動可能に支持されている。なお、図示は省略するが、サイドフレーム16には、本体部410をサイドフレーム16と対面した状態に保持しておくための保持部材(例えば、本体部410の上下端部を支持するL字状の部材)が設けられている。
【0066】
カム孔420は、第1の実施形態におけるガイド溝230の各部位と同じ機能を有する係合部421、許容部422および傾斜部423を有する他、許容部422から上斜め前側に向かって延びて開口する着脱部424とを有している。
【0067】
これにより、直動カム400を図10の位置から前方に移動させると、傾斜部423の上縁で被作用部43Aが下方に押し下げられて、図9に示すように、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。また、直動カム400を図9の位置から後方に移動させると、被作用部43Aが、傾斜部423の下縁で上方に押される、もしくは、引張コイルバネ150の付勢力によって上方に上げられることで、図10に示すように、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。
【0068】
また、図10の位置において、ドロワ100を前斜め上方に移動させると、各被作用部43Aが各着脱部424を通って各カム孔420から抜けるようになっている。
【0069】
図7,8に示すように、ラックギヤ部430は、前後方向に並んだ複数のギヤ歯を有しており、フロントカバー12の開閉による動力が連動機構600を介して伝達されるようになっている。
【0070】
連動機構600は、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにLEDアレイ40が露光位置から退避位置に移動するように、直動カム400とフロントカバー12とを連動させている。具体的に、連動機構600は、フロントカバー12の内面に一体に設けられる円弧状ギヤ部610と、円弧状ギヤ部610とラックギヤ部430とに噛み合うギヤ620とを備えている。
【0071】
円弧状ギヤ部610は、フロントカバー12の回動中心を中心とする円弧状に形成されており、その外周面の一部にギヤ620と噛み合うギヤ部611が形成されている。ギヤ620は、装置本体10のサイドフレーム16に回転可能に設けられている。
【0072】
そして、このように連動機構600が構成されることで、フロントカバー12を開閉すると、その動力が、円弧状ギヤ部610およびギヤ620を介してラックギヤ部430に伝達されて、直動カム400が前後方向に動くようになっている。そのため、ユーザがフロントカバー12を開閉するだけで、LEDアレイ40が自動的に上下動するので、LEDアレイ40を手動で移動させる構造に比べ、ドロワ100の操作性を向上させることが可能となっている。
【0073】
図11〜図13に示すように、ドロワ100の各側壁110の上端部には、左右方向外側に突出する被ガイド部114が形成されている。被ガイド部114は、固定ガイド部材500によって前後に移動可能に支持される部位であり、前後方向に延びる長尺状部115と、長尺状部115の後端に一体に設けられ、長尺状部115よりも下方に突出する突出部116と、突出部116に回転可能に設けられる車輪117とを有している。
【0074】
そして、突出部116の下面と長尺状部115の下面との間に形成される段差面118と、長尺状部115の前端部の下面119は、前斜め上方に向かう傾斜面となっている。詳しくは、段差面118と下面119は、前述したカム孔420の着脱部424と同じ角度で傾斜している。
【0075】
これに対し、固定ガイド部材500は、被ガイド部114の下面の形状に倣う形状に形成される下壁部510と、ドロワ100を収納位置に位置決めするために被ガイド部114の後端と当接する後壁部520と、被ガイド部114の上面に対面する上壁部530と、下壁部510の前端部に回転可能に設けられる車輪540とを有している。
【0076】
以上のように直動カム400や固定ガイド部材500等が構成されることにより、ドロワ100を装置本体10から引き出す場合には、ユーザがフロントカバー12を開けると、直動カム400が後方に移動して、LEDアレイ40が退避位置に移動する。次に、ユーザがドロワ100を引っ張ると、車輪117が下壁部510の段差に乗り上げるとともに、被ガイド部114の前端部が車輪540に乗り上げる。これにより、ドロワ100が前斜め上方に移動して、各感光ドラム61が搬送ベルト71から離間するとともに、各被作用部43Aが各カム孔420から抜ける。
【0077】
その後は、被ガイド部114の車輪117が下壁部510の上面を転動するとともに、被ガイド部114の長尺状部115が車輪540で支持されることで、ドロワ100を真っ直ぐ前方に引き出すことが可能となっている。そして、被ガイド部114の突出部116が下壁部510の前端部511(上方に突出した部分)に当接することで、その位置(移動位置)でドロワ100が止められる。
【0078】
また、ドロワ100を収納位置に戻す場合には、ユーザがドロワ100を押すと、被ガイド部114の突出部116が下壁部510の後側の凹んだ部分に到達するまでドロワ100が後方に真っ直ぐ移動し、突出部116が凹んだ部分に到達したときに、ドロワ100が後斜め下方に移動する。これにより、突出部116が凹んだ部分に嵌り込んで後壁部520に当接することで、その位置(収納位置)でドロワ100が止められるとともに、各LEDアレイ40の被作用部43Aが各カム孔420の着脱部424を通って許容部422内に入り込む。その後は、ユーザがフロントカバー12を閉じることで、直動カム400が前方に移動して、LEDアレイ40が露光位置に移動する。
【0079】
以上、第2の実施形態に係る構造においても、LEDアレイ40をドロワ100内において上下動させることができるので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、第2の実施形態では、固定ガイド部材500の後側部分と、当該部分で支持されるドロワ100の被ガイド部114の後側部分と、直動カム400の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、固定ガイド部材500の後側部分と、ドロワ100の後側部分とは、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。また、フロントカバー12を開けた状態で、直動カム400の後側部分も、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置される。
【0081】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、固定ガイド部材500の前側部分や、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、直動カム400の前側上部が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0082】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0083】
前記実施形態では、露光部材としてLEDアレイ40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるものであってもよい。あるいは、1つの光源に対して、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0084】
前記実施形態では、露光部材を退避位置に位置させるための係止部として、側壁110に形成した長孔112を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば側壁とは別の部材で露光部材を係止するようにしてもよい。
【0085】
前記実施形態では、ガイド部や支持体ガイド部の一例として溝(ガイド溝230、ドロワガイド溝220)を例示したが、本発明はこれに限定されず、前述した各実施形態の溝と同じような形状に形成される壁などであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、ベルトの一例として、感光ドラム61との間で用紙Pを搬送する搬送ベルト71を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば感光ドラム上のトナーが転写される中間転写ベルトであってもよい。
【0087】
前記実施形態では、離間機構を、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とで構成したが、本発明はこれに限定されず、例えばガイド部材とリンク機構を組み合わせて構成してもよい。
【0088】
前記実施形態では、付勢手段の一例として引張コイルバネ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図14に示すような板バネ152や、トーションバネ、線バネなどであってよい。
【0089】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 カラープリンタ
10 装置本体
11 開口部
40 LEDアレイ
43A 被作用部
61 感光ドラム
100 ドロワ
110 側壁
112 長孔
200 ガイド部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光ドラムをそれぞれ露光する複数の露光部材を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムの上方に配置される複数のLEDヘッド(露光部材)と、複数の感光ドラムおよび複数のLEDヘッドを支持する感光ドラム支持体とを備え、感光ドラム支持体が装置本体に対して移動可能な構成が知られている(特許文献1参照)。この技術では、LEDヘッドが感光ドラム支持体に揺動可能に設けられたアームに支持されるとともに、このアームがバネで常時上方に付勢されることで、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させたときには、複数のアームがバネによって上方に揺動してストッパによって止められることで、複数のLEDヘッドがその露出面を前方に向けるようにして感光ドラム支持体の上方(外側)に飛び出した位置(退避位置)で保持される。これにより、感光ドラムからLEDヘッドが退避して、感光ドラムを有するカートリッジを良好に取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させるとLEDヘッドが感光ドラム支持体の外側に出るため、LEDヘッドと装置本体外にある他の部材とが干渉したり、露出したLEDヘッドの露光面をユーザが触ることで露光面にゴミや傷がつき、その後の印字に影響がでるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、LEDヘッド等の露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、前記複数の露光部材は、前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、露光部材が露光位置および退避位置のいずれの位置であっても感光ドラム支持体内に収容されているので、露光部材と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、露光部材をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】フロントカバーが閉位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図3】フロントカバーが開位置のときのドロワとガイド部材の状態を示す断面図である。
【図4】ドロワを装置本体外に引き出した状態を示す断面図である。
【図5】ドロワとプロセスカートリッジとの関係を示す断面図である。
【図6】LEDアレイを前後方向から見た断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図であり、フロントカバーが閉位置のときの状態を示す図である。
【図8】フロントカバーが開位置のときの状態を示す断面図である。
【図9】フロントカバーが閉位置のときの直動カムとドロワの関係を示す断面図である。
【図10】フロントカバーが開位置のときの直動カムとドロワの関係を示す断面図である。
【図11】ドロワが収納位置に位置する状態を示す断面図である。
【図12】図11の位置からドロワを前斜め上方に持ち上げた状態を示す断面図である。
【図13】ドロワを移動位置に引き出した状態を示す断面図である。
【図14】付勢手段の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0011】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、断面図については、図面の見易さを考慮して、特に必要な箇所にのみハッチングを施すこととする。
【0012】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、用紙P(記録シート)を供給する給紙部20と、給紙された用紙PにK,C,M,Yの各色に対応した画像を重ねて形成する画像形成部30とを備えている。
【0013】
装置本体10には、その前壁(フロント側)に開口部11(図3参照)が形成されるとともに、この開口部11を開閉するフロントカバー12が回動可能に設けられている。詳しくは、フロントカバー12は、開口部11を閉じる閉位置(図1の位置)と、開口部11を開放する開位置(図3の位置)との間で回動可能(変位可能)となっている。
【0014】
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22とを備えている。
【0015】
画像形成部30は、複数の露光部材の一例としての4つのLEDアレイ40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0016】
LEDアレイ40は、半導体チップに複数のLEDを配列して構成されており、後述する感光ドラム61を主走査方向(感光ドラム61の軸方向)に沿って露光している。そして、各色に対応した4つのLEDアレイ40は、各色に対応した4つの感光ドラム61に対応するように、各感光ドラム61の上方に近接して配置されて、後述する感光ドラム支持体の一例としてのドロワ100に支持されている。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、前後方向に並んで配置され、現像カートリッジ51と、当該現像カートリッジ51の下側に配置されるドラムカートリッジ60とで構成され、ドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0018】
現像カートリッジ51は、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容器52や、当該トナー収容器52内のトナーを感光ドラム61に供給する現像ローラ53や、符号を省略して示す供給ローラや層厚規制ブレードなどを備えて構成されている。そして、各色に対応した4つの現像カートリッジ51は、4つの感光ドラム61に対応するように、その内部に異なる色のトナーをそれぞれ収容して各感光ドラム61の前斜め上方に隣接して配置され、ドラムカートリッジ60に対して着脱可能となっている。
【0019】
ドラムカートリッジ60は、感光ドラム61や、符号を省略して示す公知の帯電器などを備えて構成されている。そして、4つのドラムカートリッジ60は、後述するドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0020】
転写ユニット70は、給紙部20と各感光ドラム61の間に設けられ、複数のローラに張架された無端状の搬送ベルト71と、4つの転写ローラ72とを備えている。搬送ベルト71は、複数の感光ドラム61と対向するように各感光ドラム61の下側に配置されている。各転写ローラ72は、各感光ドラム61との間で搬送ベルト71を挟み込むように当該搬送ベルト71の内側に配置されている。
【0021】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0022】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDアレイ40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0023】
次に、搬送ベルト71上に供給された用紙Pが各感光ドラム61と各転写ローラ72との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0024】
そして、定着ユニット80で熱定着された用紙Pは、定着ユニット80の下流側に配設される排紙ローラ90によって装置本体10外に排出され、装置本体10の上壁14に形成された排出トレイ部13上に載置される。ここで、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14の左右方向における中央部に下方に凹むように形成されており、これにより、装置本体10内における排出トレイ部13の左右両側(感光ドラム61の軸方向両側)にスペースが形成されるようになっている。
【0025】
具体的に、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14から下方に向けて直角に延び、かつ、用紙Pの排出口13Aを有する第1壁131と、第1壁131の下端から前斜め上方の上壁14に向けて延び、かつ、上方に凸となるような断面視円弧形状の第2壁132とを備えて構成されている。
【0026】
<ドロワ100周りの構造>
次に、ドロワ100周りの構造について詳細に説明する。
【0027】
図2〜図4に示すように、ドロワ100は、装置本体10内に収納された収納位置(図3の位置)と、収納位置から装置本体10の開口部11を通して装置本体10外へ移動した移動位置(図4)とに前後に移動可能となっている。言い換えると、ドロワ100は、排出トレイ部13に対する用紙Pの排出方向(前方)に引き出し可能となっている。
【0028】
具体的に、ドロワ100は、フロントカバー12を開けると、上方に移動し、上方に移動した位置から開口部11を通して前側に引き出すことが可能となっている。すなわち、ドロワ100は、上下方向(LEDアレイ40の光軸方向)に移動可能であるとともに、前後方向(複数の感光ドラム61が並ぶ方向)に移動可能となっている。
【0029】
また、ドロワ100内の各LEDアレイ40は、ドロワ100の前後方向への移動に連動して上下動するようになっている。詳しくは、各LEDアレイ40は、ドロワ100が収納位置に位置するときには、感光ドラム61に接近した露光位置(図3の位置)に配置され、ドロワ100が移動位置に位置するときには、感光ドラム61から退避して係止部(後述する長孔112の上端)で係止される退避位置(図4の位置)に配置されるようになっている。
【0030】
そして、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100内に収容されるようになっている。すなわち、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100外に突出しないようになっている。これにより、各LEDアレイ40をユーザ等から保護することが可能となっている。
【0031】
具体的に、装置本体10には、ドロワ100と、ドロワ100を前後方向に直線的に移動可能に支持する作用部材の一例としての左右一対のガイド部材200と、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を上斜め前方または下斜め後方に移動させるための左右一対の連動機構300とを備えている。
【0032】
なお、ガイド部材200や連動機構300などの左右に配置される各部材は、左右対称な構造であるため、以下においては、左右の一方のみを代表して説明し、他方の説明は省略する。
【0033】
ドロワ100は、左右(感光ドラム61の軸方向)に対向する一対の側壁110を有し、当該一対の側壁110の間において複数のプロセスカートリッジ50(複数の感光ドラム61)や複数のLEDアレイ40を支持している。また、一対の側壁110は、図5に示すように、その前端部が前壁120で連結され、その後部が後壁130で連結されている。そして、前壁120の前面には、ユーザによって把持される断面視U字状の取手部140が設けられている。
【0034】
各側壁110の内面には、プロセスカートリッジ50を、被露光位置(感光ドラム61がLEDアレイ40によって露光されるときの位置)に案内するための円弧状の溝111が形成されている。これにより、プロセスカートリッジ50がドロワ100に対して円弧状に移動して着脱可能となっている。
【0035】
また、各側壁110には、各LEDアレイ40を上下に移動可能に支持する貫通部の一例としての一対の長孔112が形成されている。長孔112は、上下に延びるように形成されており、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために、LEDアレイ40の後述する被作用部43A(図6参照)と係合している。
【0036】
ここで、LEDアレイ40は、図6に示すように、複数のLEDを有するLEDヘッド41と、LEDヘッド41を感光ドラム61に向けて付勢する一対のコイルバネ42と、LEDヘッド41をコイルバネ42を介して支持する支持フレーム43とを備えている。そして、支持フレーム43は、左右方向に長尺となるように形成されており、その両端部には、各長孔112を貫通して各側壁110の左右方向外側に突出する一対の被作用部43Aが形成されている。
【0037】
また、支持フレーム43は、付勢手段の一例としての引張コイルバネ150を介してドロワ100に支持されている。具体的に、引張コイルバネ150は、一対の側壁110の間に架け渡されるように接合された支持壁151と、支持フレーム43との間に配置されており、LEDアレイ40を感光ドラム61から離間する方向に常時付勢している。
【0038】
各側壁110から外側に突出した各被作用部43Aは、図2〜図4に示すように、各側壁110の外側に設けられる一対のガイド部材200と当接することで、当該ガイド部材200によって上下に押圧されるようになっている。ガイド部材200は、装置本体10に設けられており、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持している。言い換えると、ガイド部材200は、ドロワ100に対して相対移動可能に設けられている。
【0039】
具体的に、ガイド部材200は、前後に長い板状の本体部210と、支持体ガイド部の一例としてのドロワガイド溝220と、ガイド部の一例としてのガイド溝230とを有している。
【0040】
本体部210は、ドロワ100の側壁110に対面して配置されており、その前側下部および後側下部には、左右方向外側に突出する突出ピン211が1つずつ形成されている。そして、各突出ピン211は、装置本体10の左右のサイドフレーム16に形成された一対の円弧状の溝15に移動可能に支持されている。
【0041】
これにより、本体部210は、図2に示す位置と、図3に示す位置との間で移動可能となっている。詳しくは、感光ドラム61が、搬送ベルト71に接触した接触位置と、搬送ベルト71から離間した離間位置との間で移動可能となるように、本体部210が装置本体10に移動可能に支持されている。すなわち、本実施形態においては、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とによって、ガイド部材200を介してドロワ100を少なくとも上下動可能に支持する離間機構が構成されている。
【0042】
ドロワガイド溝220は、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持する溝であり、前後方向に沿って形成されている。具体的に、ドロワガイド溝220は、ドロワ100の側壁110の後側に形成された一対の係合ピン部113Aと、側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bを支持している。
【0043】
ドロワガイド溝220には、一対の係合ピン部113Aの前後方向への移動を規制する一対の規制面221,222が設けられている。これにより、ドロワ100のガイド部材200に対する前後の移動が規制されて、ドロワ100が収納位置と移動位置とに位置決めされるようになっている。
【0044】
なお、ドロワ100の側壁110の前側に形成された1つの係合ピン部113Bは、規制面221に引っ掛からないように、各係合ピン部113Aよりも短く形成されている。
【0045】
ガイド溝230は、ドロワ100の装着時において被作用部43Aを退避位置から露光位置まで案内するための溝であり、後端が閉じられるとともに前端が外部に開口する溝状に形成されている。具体的に、ガイド溝230は、LEDアレイ40が露光位置に位置するときに被作用部43Aに係合する係合部231と、LEDアレイ40が退避位置に位置するときに被作用部43Aの前後方向への移動を許容する許容部232と、係合部231と許容部232とを繋ぐ傾斜部233とを有している。
【0046】
係合部231は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成され、その上縁で、被作用部43Aの上方への移動を規制している。具体的には、LEDアレイ40が露光位置(図6に示すLEDヘッド41に回転可能に設けられるガイドローラ41Aが感光ドラム61に接触した位置)に位置するときには、コイルバネ42によってLEDヘッド41が下方に付勢されるとともに、コイルバネ42および引張コイルバネ150によって被作用部43Aが上方に付勢される。そのため、LEDアレイ40は、被作用部43Aが係合部231の上縁に係止されることで、露光位置に位置決めされるとともに、感光ドラム61に対して好適な付勢力で付勢されるようになっている。
【0047】
許容部232は、前後方向に沿って延びる長溝状に形成されている。
傾斜部233は、後方に向かうにつれて下方に傾斜する長溝状に形成されている。これにより、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)に対して装着していくと、傾斜部233の上縁で被作用部43Aが下方に押し下げられて、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。また、ドロワ100をガイド部材200(装置本体10)から引き出していくと、被作用部43Aが、傾斜部233の下縁で上方に押される、もしくは、引張コイルバネ150の付勢力によって上方に上げられることで、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。
【0048】
連動機構300は、フロントカバー12の開閉に連動してガイド部材200を作動させることで、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにガイド部材200(感光ドラム61)を接触位置から離間位置に変位させている。具体的に、連動機構300は、フロントカバー12に固定される扇型部材310と、ガイド部材200と扇型部材310を連結するリンク部材320とを備えている。
【0049】
扇型部材310は、フロントカバー12の回動軸12Aを中心とする扇形状に形成されており、フロントカバー12の下端部の左右両側に1つずつ固定されている。
リンク部材320は、一端がガイド部材200の前側の突出ピン211に回動可能に連結され、他端が扇型部材310に回動可能に連結されている。
【0050】
これにより、フロントカバー12を開けると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって前方に引っ張られて、円弧状の溝15に沿って前斜め上方に移動する。また、フロントカバー12を閉めると、ガイド部材200が、リンク部材320および扇型部材310を介してフロントカバー12によって後方に押されて、円弧状の溝15に沿って後斜め下方に移動する。
【0051】
また、前述したドロワ100の後側部分と、ガイド部材200の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、ドロワ100の後側部分とガイド部材200の後側部分は、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。
【0052】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、ガイド部材200の前側上部が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
LEDアレイ40が露光位置および退避位置のいずれの位置であってもドロワ100内に収容されているので、LEDアレイ40と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、LEDアレイ40をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【0054】
LEDアレイ40を上下動させるためのガイド部材200を一対の側壁110の外側に設けたので、側壁の内側にLEDアレイ40を上下動させるための直動カムを設ける構成に比べ、構造を簡易化することができる。
【0055】
被作用部43Aが貫通するとともに、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために被作用部43Aに係合する長孔112を側壁110に設けたので、被作用部を突出させる穴と被作用部をガイドする部材を別々に設ける構造に比べ、構成を簡易化することができる。
【0056】
被作用部43Aが貫通する貫通部として孔(長孔112)を採用したので、例えば側壁の端まで開口した貫通部を形成する構成に比べ、側壁110の強度を上げることができる。
【0057】
ガイド部材200が装置本体10に設けられているので、ドロワ100を軽くすることができ、操作性を向上させることができる。また、ドロワ100を移動位置に引き出したときに、カラープリンタ1が手前に転倒するリスクを低減することができる。
【0058】
1つのガイド部材200に2つの溝(ドロワガイド溝220およびガイド溝230)を設けたので、例えば各溝をそれぞれ別の部材に形成する構造に比べて、構造を簡易化することができる。
【0059】
ドロワ100を支持するガイド部材200を上下動させることで、ドロワ100を搬送ベルト71のベルト面に沿って真っ直ぐ直線的に出し入れすることが可能となるので、例えばドロワを斜め上方に持ち上げて取り出す構造に比べ、ドロワ100の操作性を向上させることができる。また、ドロワガイド溝220とガイド溝230の両方に、斜め上方へドロワ100を持ち上げるための斜面を設けると、各LEDアレイ40の各被作用部43Aの各々に対して斜面が必要となり、操作性が低下するが、本発明によればそのような不都合も生じない。
【0060】
フロントカバー12とガイド部材200とを連動させたので、例えばフロントカバー12を開けてからガイド部材200を手動で上下動させる構造に比べ、ドロワ100の着脱作業を容易にすることができる。
【0061】
ドロワ100に、LEDアレイ40を感光ドラム61から離間する方向に付勢する引張コイルバネ150を設けたので、装置本体10からドロワ100を外す際に、引張コイルバネ150の付勢力によってLEDアレイ40を確実に退避位置に移動させることができる。
【0062】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態の構造を一部変更したものであるため、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図7〜図10に示すように、第2の実施形態では、第1実施形態におけるガイド部材200や連動機構300の代わりに、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で上下動させる作用部材の一例としての直動カム400と、ドロワ100を前後方向に移動可能に支持する固定ガイド部材500とが設けられている。
【0064】
直動カム400は、前後方向(ドロワ100の移動方向)に沿って動くように構成されており、主に、前後に長い板状の本体部410と、本体部410に前後に所定の間隔を空けて形成される4つのカム孔420と、本体部410の下端の前側に形成されるラックギヤ部430とを有している。
【0065】
本体部410は、ドロワ100の側壁110と装置本体10の左右のサイドフレーム16とに対面するように側壁110とサイドフレーム16の間に配置され、サイドフレーム16に回転可能に設けられた複数の支持ローラ16Aによって前後に移動可能に支持されている。なお、図示は省略するが、サイドフレーム16には、本体部410をサイドフレーム16と対面した状態に保持しておくための保持部材(例えば、本体部410の上下端部を支持するL字状の部材)が設けられている。
【0066】
カム孔420は、第1の実施形態におけるガイド溝230の各部位と同じ機能を有する係合部421、許容部422および傾斜部423を有する他、許容部422から上斜め前側に向かって延びて開口する着脱部424とを有している。
【0067】
これにより、直動カム400を図10の位置から前方に移動させると、傾斜部423の上縁で被作用部43Aが下方に押し下げられて、図9に示すように、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。また、直動カム400を図9の位置から後方に移動させると、被作用部43Aが、傾斜部423の下縁で上方に押される、もしくは、引張コイルバネ150の付勢力によって上方に上げられることで、図10に示すように、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。
【0068】
また、図10の位置において、ドロワ100を前斜め上方に移動させると、各被作用部43Aが各着脱部424を通って各カム孔420から抜けるようになっている。
【0069】
図7,8に示すように、ラックギヤ部430は、前後方向に並んだ複数のギヤ歯を有しており、フロントカバー12の開閉による動力が連動機構600を介して伝達されるようになっている。
【0070】
連動機構600は、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにLEDアレイ40が露光位置から退避位置に移動するように、直動カム400とフロントカバー12とを連動させている。具体的に、連動機構600は、フロントカバー12の内面に一体に設けられる円弧状ギヤ部610と、円弧状ギヤ部610とラックギヤ部430とに噛み合うギヤ620とを備えている。
【0071】
円弧状ギヤ部610は、フロントカバー12の回動中心を中心とする円弧状に形成されており、その外周面の一部にギヤ620と噛み合うギヤ部611が形成されている。ギヤ620は、装置本体10のサイドフレーム16に回転可能に設けられている。
【0072】
そして、このように連動機構600が構成されることで、フロントカバー12を開閉すると、その動力が、円弧状ギヤ部610およびギヤ620を介してラックギヤ部430に伝達されて、直動カム400が前後方向に動くようになっている。そのため、ユーザがフロントカバー12を開閉するだけで、LEDアレイ40が自動的に上下動するので、LEDアレイ40を手動で移動させる構造に比べ、ドロワ100の操作性を向上させることが可能となっている。
【0073】
図11〜図13に示すように、ドロワ100の各側壁110の上端部には、左右方向外側に突出する被ガイド部114が形成されている。被ガイド部114は、固定ガイド部材500によって前後に移動可能に支持される部位であり、前後方向に延びる長尺状部115と、長尺状部115の後端に一体に設けられ、長尺状部115よりも下方に突出する突出部116と、突出部116に回転可能に設けられる車輪117とを有している。
【0074】
そして、突出部116の下面と長尺状部115の下面との間に形成される段差面118と、長尺状部115の前端部の下面119は、前斜め上方に向かう傾斜面となっている。詳しくは、段差面118と下面119は、前述したカム孔420の着脱部424と同じ角度で傾斜している。
【0075】
これに対し、固定ガイド部材500は、被ガイド部114の下面の形状に倣う形状に形成される下壁部510と、ドロワ100を収納位置に位置決めするために被ガイド部114の後端と当接する後壁部520と、被ガイド部114の上面に対面する上壁部530と、下壁部510の前端部に回転可能に設けられる車輪540とを有している。
【0076】
以上のように直動カム400や固定ガイド部材500等が構成されることにより、ドロワ100を装置本体10から引き出す場合には、ユーザがフロントカバー12を開けると、直動カム400が後方に移動して、LEDアレイ40が退避位置に移動する。次に、ユーザがドロワ100を引っ張ると、車輪117が下壁部510の段差に乗り上げるとともに、被ガイド部114の前端部が車輪540に乗り上げる。これにより、ドロワ100が前斜め上方に移動して、各感光ドラム61が搬送ベルト71から離間するとともに、各被作用部43Aが各カム孔420から抜ける。
【0077】
その後は、被ガイド部114の車輪117が下壁部510の上面を転動するとともに、被ガイド部114の長尺状部115が車輪540で支持されることで、ドロワ100を真っ直ぐ前方に引き出すことが可能となっている。そして、被ガイド部114の突出部116が下壁部510の前端部511(上方に突出した部分)に当接することで、その位置(移動位置)でドロワ100が止められる。
【0078】
また、ドロワ100を収納位置に戻す場合には、ユーザがドロワ100を押すと、被ガイド部114の突出部116が下壁部510の後側の凹んだ部分に到達するまでドロワ100が後方に真っ直ぐ移動し、突出部116が凹んだ部分に到達したときに、ドロワ100が後斜め下方に移動する。これにより、突出部116が凹んだ部分に嵌り込んで後壁部520に当接することで、その位置(収納位置)でドロワ100が止められるとともに、各LEDアレイ40の被作用部43Aが各カム孔420の着脱部424を通って許容部422内に入り込む。その後は、ユーザがフロントカバー12を閉じることで、直動カム400が前方に移動して、LEDアレイ40が露光位置に移動する。
【0079】
以上、第2の実施形態に係る構造においても、LEDアレイ40をドロワ100内において上下動させることができるので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、第2の実施形態では、固定ガイド部材500の後側部分と、当該部分で支持されるドロワ100の被ガイド部114の後側部分と、直動カム400の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、固定ガイド部材500の後側部分と、ドロワ100の後側部分とは、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。また、フロントカバー12を開けた状態で、直動カム400の後側部分も、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置される。
【0081】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、固定ガイド部材500の前側部分や、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、直動カム400の前側上部が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0082】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0083】
前記実施形態では、露光部材としてLEDアレイ40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるものであってもよい。あるいは、1つの光源に対して、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0084】
前記実施形態では、露光部材を退避位置に位置させるための係止部として、側壁110に形成した長孔112を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば側壁とは別の部材で露光部材を係止するようにしてもよい。
【0085】
前記実施形態では、ガイド部や支持体ガイド部の一例として溝(ガイド溝230、ドロワガイド溝220)を例示したが、本発明はこれに限定されず、前述した各実施形態の溝と同じような形状に形成される壁などであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、ベルトの一例として、感光ドラム61との間で用紙Pを搬送する搬送ベルト71を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば感光ドラム上のトナーが転写される中間転写ベルトであってもよい。
【0087】
前記実施形態では、離間機構を、ガイド部材200と装置本体10に形成された溝15とで構成したが、本発明はこれに限定されず、例えばガイド部材とリンク機構を組み合わせて構成してもよい。
【0088】
前記実施形態では、付勢手段の一例として引張コイルバネ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図14に示すような板バネ152や、トーションバネ、線バネなどであってよい。
【0089】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 カラープリンタ
10 装置本体
11 開口部
40 LEDアレイ
43A 被作用部
61 感光ドラム
100 ドロワ
110 側壁
112 長孔
200 ガイド部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、
前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、
前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、
前記複数の露光部材は、
前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光部材には、前記一対の側壁から前記軸方向外側に突出する被作用部が設けられ、
前記一対の側壁の外側には、前記露光部材の被作用部に当接して、当該露光部材を前記露光位置または前記退避位置に移動させる作用部材が、前記感光ドラム支持体に対して相対移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対の側壁には、前記被作用部が貫通するとともに、前記露光部材を前記露光位置と前記退避位置との間で案内するために前記被作用部に係合する貫通部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記貫通部は、孔であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作用部材は、前記装置本体に設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作用部材には、前記被作用部と係合するガイド部が形成され、
前記感光ドラム支持体の装着時に、前記被作用部が前記ガイド部によって前記退避位置から前記露光位置まで案内されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記作用部材には、前記感光ドラム支持体を移動可能に支持する支持体ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体には、前記複数の感光ドラムの下方に配置され、各感光ドラムと対向するベルトが設けられ、
前記感光ドラムが、前記ベルトに接触した接触位置と、前記ベルトから離間した離間位置との間で移動可能となるように、前記作用部材を介して前記感光ドラム支持体を上下動可能に支持する離間機構を備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体には、前記開口部を閉じる閉位置と開放する開位置とに変位可能なカバーとが設けられ、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に変位するときに前記作用部材が前記接触位置から前記離間位置に変位するように前記カバーと前記離間機構とを連動させる連動機構を備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光ドラム支持体には、前記露光部材を前記感光ドラムから離間する方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
現像剤を収容する現像剤収容器と、当該現像剤収容器内の現像剤を前記感光ドラムに供給する現像ローラと、前記感光ドラムとを有するプロセスカートリッジをさらに備え、
前記プロセスカートリッジは、前記感光ドラム支持体に対して円弧状に移動して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、
前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、
前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、
前記複数の露光部材は、
前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光部材には、前記一対の側壁から前記軸方向外側に突出する被作用部が設けられ、
前記一対の側壁の外側には、前記露光部材の被作用部に当接して、当該露光部材を前記露光位置または前記退避位置に移動させる作用部材が、前記感光ドラム支持体に対して相対移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対の側壁には、前記被作用部が貫通するとともに、前記露光部材を前記露光位置と前記退避位置との間で案内するために前記被作用部に係合する貫通部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記貫通部は、孔であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作用部材は、前記装置本体に設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作用部材には、前記被作用部と係合するガイド部が形成され、
前記感光ドラム支持体の装着時に、前記被作用部が前記ガイド部によって前記退避位置から前記露光位置まで案内されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記作用部材には、前記感光ドラム支持体を移動可能に支持する支持体ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体には、前記複数の感光ドラムの下方に配置され、各感光ドラムと対向するベルトが設けられ、
前記感光ドラムが、前記ベルトに接触した接触位置と、前記ベルトから離間した離間位置との間で移動可能となるように、前記作用部材を介して前記感光ドラム支持体を上下動可能に支持する離間機構を備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体には、前記開口部を閉じる閉位置と開放する開位置とに変位可能なカバーとが設けられ、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に変位するときに前記作用部材が前記接触位置から前記離間位置に変位するように前記カバーと前記離間機構とを連動させる連動機構を備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光ドラム支持体には、前記露光部材を前記感光ドラムから離間する方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
現像剤を収容する現像剤収容器と、当該現像剤収容器内の現像剤を前記感光ドラムに供給する現像ローラと、前記感光ドラムとを有するプロセスカートリッジをさらに備え、
前記プロセスカートリッジは、前記感光ドラム支持体に対して円弧状に移動して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−145878(P2012−145878A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5923(P2011−5923)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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