説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成にてローラーを支持し、開閉可能なカバー部材の閉操作にて対向するローラーに確実に圧接する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、軸受け部材53を支持するとともにバネ部材41を支持してカバー部材33に設けられる軸受け支持部61と、第1の方向Xに延設されカバー部材33の閉位置で軸受け部材53の外周部53aを嵌装するガイド溝71aを有して装置本体101に設けられる軸受けガイド部71と、を備える。軸受け支持部61は、第1及び第2の方向X、Yに広がる開口部61aと当接部61bとを有し、軸受け部材53は、外周面上の一端に形成され開口部61a内を第1及び第2の方向X、Yに移動可能な凸部53cと、外周面上の他端に形成されカバー部材33が開位置にあるときバネ部材41の付勢力によって当接部61bに当接可能な規制爪53fと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、プリンター等の画像形成装置では、装置全体の小型化のために装置本体の側面近傍であって垂直方向に用紙の搬送路を設けられている場合が多い。垂直方向に設けられている搬送路には、用紙に画像を転写するための転写ローラー対が配置されている。この転写ローラー対の一方のローラーや搬送ガイド面などをカバー部材にユニット化して設け、カバー部材が装置本体の側面から開閉される構造とすることにより、搬送路の広範囲が露出されジャム処理やメンテナンスの作業を容易に行うことが可能となる画像形成装置が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に係る画像形成装置は、装置本体に対して開閉可能であるカバー部材には転写ローラーが設けられ、転写ローラーは、該回転軸を回転可能に支持する軸受け部材と、軸受け部材を感光体ドラム側に押圧するバネ部材と、軸受け部材を外側から覆って収容し、収容する空間内をカバー部材の開閉方向と開閉方向に対して直角方向とに軸受け部材が移動可能であるように支持する軸受けホルダーとを備える。一方、装置本体には、転写ローラーに圧接される感光体ドラムと軸受けガイド部とが設けられ、軸受けガイド部は、感光体ドラムの回転中心の方向に延設され転写ローラーの回転軸を嵌装するガイド溝を有している。カバー部材を装置本体に対して閉じると、軸受け部材が軸受けホルダーの収容空間内を自由に移動して、転写ローラーの回転軸が軸受けホルダーのガイド溝に適切に対向し回転軸がガイド溝に嵌装され、これによって、転写ローラーが感光体ドラムに対して記録媒体の挟持搬送が可能なニップ部を構成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−240834号公報(段落[0033]〜[0038]、[0051]〜[0054]、第10図、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の画像形成装置では、軸受け部材と、軸受け部材を移動可能に支持する軸受けホルダーが、夫々複雑な構成部品となり、特に軸受けホルダーは複雑な構成となるので、カバー部材と一体構成にするのが難しく、部品点数が多くなり、コストアップするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成にてローラーを支持し、開閉可能なカバー部材の閉操作にて対向するローラーに確実に圧接する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明は、装置本体に対して開位置と閉位置との間で回動可能に支持されるカバー部材と、該カバー部材側に回転可能に支持される第1回転体と、前記装置本体側に回転可能に支持され前記カバー部材が閉位置にあるとき前記第1回転体に圧接する第2回転体と、前記第1回転体の両端部に設けられる回転軸と、該回転軸を回転可能に支持する軸受け部材と、を有し、前記第1回転体と第2回転体との間で記録媒体を搬送する画像形成装置において、前記第1回転体が前記第2回転体を押圧するように前記軸受け部材を付勢するバネ部材と、前記第1及び第2回転体の回転中心を繋ぐ方向である第1の方向と、該第1の方向と前記回転軸の軸方向とに対して直角方向である第2の方向とに移動可能に前記軸受け部材を支持するとともに前記バネ部材を支持して前記カバー部材に設けられる軸受け支持部と、前記第1の方向に延設され前記カバー部材の閉位置で前記軸受け部材の外周部を嵌装するガイド溝を有して前記装置本体に設けられる軸受けガイド部と、を備え、前記軸受け支持部は、第1及び第2の方向に広がる開口部と、前記回転軸を挟んで前記開口部と反対側に形成される当接部とを有し、前記軸受け部材は、前記回転軸を回転可能に支持する円筒状の軸受け部と、該軸受け部の外周面から突出するように形成され前記開口部内を第1及び第2の方向に移動可能な凸部と、前記軸受け部の径方向において前記凸部と異なる位置に形成され前記カバー部材が開位置にあるとき前記バネ部材の付勢力によって前記当接部に当接可能な規制爪と、を有しており、前記カバー部材が装置本体に対して閉じられたとき、前記凸部が前記開口部内を移動することによって前記軸受け部材の外周部が前記ガイド溝に案内されて嵌装されることを特徴としている。
【0008】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記開口部は貫通する孔にて形成され、前記凸部は、前記軸受け部の外周面から延設される一対の腕部の端部に互いに対向して設けられ、前記一対の凸部は前記開口部を両側から挟み込むように構成されることを特徴としている。
【0009】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記規制爪は、第2の方向に弾性を有するフック部にて前記軸受け部材に繋がれることを特徴としている。
【0010】
また、第4の発明では、上記の画像形成装置において、前記軸受け支持部は前記カバー部材に一体に形成されてなることを特徴としている。
【0011】
また、第5の発明では、上記の画像形成装置において、前記第1回転体は転写ローラーからなり、前記第2回転体は感光体ドラムからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、カバー部材を装置本体に対して閉じると、軸受け部材の凸部が軸受け支持部の開口部内を移動することで、軸受け部材の外周部が軸受けガイド部のガイド溝に対向し更に案内され、軸受け部材の外周部がガイド溝に嵌装される。これによって、第1回転体がバネ部材によって第2回転体に確実に圧接し、第1及び第2回転体間で記録媒体を搬送することが可能となる。軸受け支持部は開口部と当接部とを有し、また、軸受け部材は、第1回転体を回転可能に支持する軸受け部と、軸受けガイド部のガイド溝に嵌まる外周部と、凸部と規制爪とを有するという簡単な構成にて、第1回転体を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す断面図
【図2】実施形態に係る画像形成装置の用紙搬送路を示す断面図
【図3】実施形態に係る画像形成装置のカバー部材を示す斜視図
【図4】実施形態に係るカバー部材に設けた転写ローラーの軸受け部材と装置本体の軸受けガイド部を示す斜視図
【図5】実施形態に係る軸受け部材と軸受け支持部を示す断面図
【図6A】実施形態に係る軸受け部材を示す斜視図
【図6B】実施形態に係る図6Aの軸受け部材の変形を示す斜視図
【図7】実施形態に係るカバー部材を開いた場合の軸受け部材の状態を示す図
【図8】実施形態に係るカバー部材を閉じていくときの、軸受け部材の移動状態を示す図
【図9】実施形態に係る軸受け部材の図8から更に移動した状態を示す図
【図10】実施形態に係る軸受け部材が軸受けガイド部に嵌装した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0015】
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の全体構成を示す図である。画像形成装置100の下部には、カセットタイプの用紙給紙部16が配設されている。用紙給紙部16には印刷前の用紙Pが積載して収容されている。用紙給紙部16に収容された用紙Pは、ピックアップローラー12により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙Pは用紙搬送路19へと送り出される。
【0016】
用紙搬送路19は、用紙給紙部16の左方にて装置本体101の上下方向に延設される。用紙給紙部16から送り出された用紙Pが、用紙搬送路19のレジストローラー対13に搬送される。レジストローラー対13は、用紙Pにトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部8に向けて用紙Pを送り出す。
【0017】
画像形成装置100の上部には原稿読取部20が配設される。原稿読取部20は、複写時に原稿を照明する光源ランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系と、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズと、結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサ等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0018】
画像形成装置100の略中央部には、画像形成部8が配設されている。画像形成部8は、像担持体である感光体ドラム1を備え、さらに第2回転体である感光体ドラム1の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電部2と、露光ユニット4と、現像部3と、第1回転体である転写ローラー9、及びクリーニング部5を備える。現像部3へのトナーの供給はトナーコンテナ6から行われる。クリーニング部5は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体ドラム1の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0019】
感光体ドラム1の表面が帯電部2によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット4は、原稿読取部20によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体ドラム1上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0020】
現像部3は、帯電したトナーを感光体ドラム1の表面に供給し、感光体ドラム1上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー9によって用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、用紙搬送路19の上方に配設される定着部7へと搬送される。用紙Pにトナー像が転写された後、感光体ドラム1の表面に残留するトナーがクリーニング部5によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体ドラム1の表面の残留電荷が除去される。
【0021】
定着部7は、熱源を内蔵する定着ローラー28と加圧ローラー29とを有し、トナー像が転写された用紙Pを定着ローラー28及び加圧ローラー29によって加圧加熱し、用紙P上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙Pは、用紙搬送路19において搬送ローラー対15によって右上方に搬送され、さらに排出ローラー対25によって排出部である胴内排紙部18に排出される。
【0022】
定着部7と排出ローラー対25との間の用紙搬送路19から分岐して反転搬送路23が設けられる。反転搬送路23は、用紙の一方の面にトナー像が定着された後、必要に応じて用紙の他方の面にもトナー像を形成するときに用いられるものであり、定着部7の上方から用紙搬送路19と装置本体101の側面101aとの間を下方に延設され、レジストローラー対13の近傍の用紙搬送路19に合流している。
【0023】
両面印刷を行う場合には、一方の面にトナー像が定着された用紙Pは、胴内排紙部18に排出させる途中において、用紙搬送路19と反転搬送路23との分岐部に設けた分岐ガイド21を用紙の後端が通過したタイミングで排出ローラー対25を逆回転させるとともに分岐ガイド21を反転搬送路23側に切り替える。これによって、用紙Pがスイッチバックされ、用紙Pの印刷面が表裏逆向きにされた状態で、反転搬送路23に送られ、反転搬送路23から再び用紙搬送路19のレジストローラー対13に搬送される。その後、画像形成部8にて用紙Pの他方の面にもトナー像が転写されると、用紙Pは定着部7によって定着処理され胴内排紙部18に排出される。
【0024】
図2は画像形成装置おける用紙搬送路の断面図であり、図3はカバー部材及び搬送ユニットを装置内側(図2の右側)から見た斜視図である。
【0025】
カバー部材33の内側には搬送ユニット35が配置されている。搬送ユニット35は反転搬送路23と用紙搬送路19の一部を構成する。反転搬送路23は、装置の側面101aと用紙搬送路19と間で装置の側面101aに沿って上下方向に延び、略C字状に湾曲して用紙搬送路19に合流する構造となっている。搬送ユニット35の内側面には、用紙の搬送方向上流側(図2、図3の下側)から順に、レジストローラー対13を構成する片側のローラー13b、第1ローラーである転写ローラー9が付設されている。転写ローラー9は第2ローラーである感光体ドラム1を押圧している。
【0026】
カバー部材33は、装置の側面101aを構成し、装置の側面101aの下方に設けられた支点33aに回動可能に支持されている。カバー部材33の回動動作によって装置の側面101aを開閉可能とする。カバー部材33の開方向の回動動作によって、搬送ユニット35が装置本体101から離間して露出する。カバー部材33の閉方向の回動動作によって、転写ローラー9が感光体ドラム1を押圧する。
【0027】
図4は、カバー部材33を閉じた状態における、転写ローラー9の要部の周辺を装置内側から見た斜視図である。尚、図4では、転写ローラー9の構成を説明するために感光体ドラム1を省いている。また、以下の説明では、転写ローラー9の軸方向の一端側の構成及び動作について説明するが、転写ローラー9の他端側の構成及び動作は、一端側と同様であり説明を省略する。
【0028】
転写ローラー9は、感光体ドラム1(図2参照)に接触するローラー部9aと、ローラー部9aの軸方向の端部に設けられる回転軸51と、回転軸51を回転可能に支持する軸受け部材53とを有する。尚、感光体ドラム1は、装置本体101に形成されるドラム軸受け孔101bにて回転可能に支持される。
【0029】
軸受け部材53は、その外周面から延びる腕部53bと、腕部53bに形成した凸部53cと、その軸方向の端部の外周面に形成された外周部53aとを有する。凸部53cは、カバー部材33に設けられた軸受け支持部61に移動可能に支持される。また、外周部53aは、装置本体101の軸受けガイド部71に形成されたガイド溝71aに嵌装可能に構成される。軸受け部材53の外周部53aがガイド溝71aに嵌装された状態にて、転写ローラー9のローラー部9aは、感光体ドラム1に接触することができる。
【0030】
軸受け部材53及び軸受け支持部61の詳しい構成を図5及び図6Aを用いて説明する。図5は、転写ローラー9が感光体ドラム1に圧接した状態における、軸受け部材53と軸受け支持部61を示す断面図であり、図6Aは軸受け部材53を示す斜視図である。
【0031】
図5に示すように、軸受け支持部61は、開口部61aと、当接部61bと、バネ受け部61cとを有して樹脂にて形成される。
【0032】
開口部61aは、略台形状に形成された貫通孔からなり、軸受け部材53の凸部53cが移動可能に挿入される。凸部53cが開口部61a内を移動することによって、軸受け部材53は凸部53cと同様の方向に移動することができる。また、凸部53cを支点に軸受け部材53は回動することも可能である。即ち、軸受け部材53は、転写ローラー9の回転中心と感光体ドラム1の回転中心とを繋ぐ方向X(第1の方向)と、この第1の方向と転写ローラー9の回転軸51の軸方向とに対して直角である方向Y(第2の方向)とを含む平面上において、開口部61aにて形成される範囲内を移動するとともに、凸部53cを支点に回動することができる。
【0033】
バネ受け部61cは、軸受け部材53に形成したバネ受け部53gとともにバネ部材41を伸縮可能に保持する。バネ部材41は圧縮コイルバネからなり、軸受け部材53を感光体ドラム1側に付勢する。このバネ部材41の付勢力によって、転写ローラー9のローラー部9aは感光体ドラム1に圧接している。
【0034】
当接部61bは、転写ローラー9の回転軸51に対して開口部61aの反対側に配置され、軸受け部材53に形成された規制爪53fに対向して設けられる。また、当接部61bは、軸受け部材53の規制爪53fが当接可能であるように、第2の方向に平坦な面で形成される。転写ローラー9が感光体ドラム1に圧接しているとき(図5の状態)、規制爪53fは当接部61bから離間しているが、カバー部材33が装置本体101に対して開かれたとき、バネ部材41の付勢力によって、規制爪53fは当接部61bに当接する。
【0035】
このように開口部61a、当接部61b及びバネ受け部61cは比較的に簡単な形状にて構成されるために、軸受け支持部61は、カバー部材33と樹脂材にて一体成型することができる。
【0036】
一方、軸受け部材53は、前述の規制爪53fと、凸部53cと、バネ受け部53gの他に、転写ローラー9の回転軸51を回転可能に支持する軸受け部53dと、規制爪53fを軸受け部材53の外周面に繋げるフック部53eと、外周部53a(図6参照)とを有して樹脂にて形成される。
【0037】
図6Aに示すように、凸部53cは、所定の空間を隔て互いに対向して一対設けられる。一対の凸部53cが軸受け支持部61の開口部61a(図5参照)を両側から挟み込むことで、凸部53cは開口部61a内に移動可能に挿入される。
【0038】
この構成によって、軸受け部材53の凸部53cを軸受け支持部61の開口部61aに簡単に取り付けることができる。即ち、一対の腕部53bが軸受け部材53の外周から突出して形成されることで、樹脂材が有する弾性によって、腕部53bは弾性変形可能である。腕部53bの上端部に凸部53cが設けられることで、腕部53bが弾性変形すると、一対の凸部53cは互いに離間する方向に移動可能である。従って、一対の凸部53cの間隔が軸受け支持部61の厚みよりも大きくなるように移動させ、一対の凸部53cが軸受け支持部61の開口部61aに対向すると、各腕部53bの弾性変形を元の形状に戻す。これによって、凸部53cは軸受け支持部61の開口部61a内に挿入される。
【0039】
軸受け部材53は、図6Bに示すように構成してもよい。図6Bは、図5Aの軸受部材53の変形例を示す斜視図である。
【0040】
凸部53cは一対の腕部53bの一方の腕部53bの上側端に設けられる。一対の腕部53bが弾性変形すると、凸部53cは他方の腕部53bに対して離間する方向に移動可能である。従って、凸部53cが他方の腕部53bに対して離間する方向に移動し、凸部53cと他方の腕部53bとの間隔が軸受け支持部61(図5参照)の厚みよりも大きくなると、凸部53cは軸受け支持部61の開口部61a内に挿入される。凸部53cを軸受け支持部61の開口部61a内に挿入すると、各腕部53bの弾性変形を元の形状に戻す。これによって、凸部53cは軸受け支持部61の開口部61a内に挿入され、腕部53bが軸受け支持部61を両側から挟み込む。図6Aに示す軸受部材53は軸受け支持部61にしっかり取り付けられ、一方、図6Bに示す軸受部材53は軸受け支持部61に一層簡単に取り付けられる。
【0041】
規制爪53fは、軸受け部53dに対して凸部53cの反対側に配置され、断面略U字状に形成されるフック部53eにて軸受け部材53の外周面に繋がっている。フック部53eは、樹脂材が有する弾性、及びU字状の形状による弾性によって、第2の方向Y(図5参照)に弾性変形が可能である。尚、フック部53eは、第2の方向Yに弾性変形が可能であれば断面略U字状の形状に限定されず、断面波型等の種々の形状を適用することが可能である。
【0042】
この構成によって、規制爪53fを軸受け支持部61の当接部61b(図5参照)に対向するように、簡単に取り付けることができる。即ち、軸受け部材53の凸部53cを軸受け支持部61の開口部61aに挿入した後、フック部53eを軸受け部材53の外周面側に向けて弾性変形させた状態で、規制爪53fを軸受け支持部61の当接部61bに対して乗り越えさせ、フック部53eの弾性変形を元の形状に戻す。これによって、フック部53eが軸受け支持部61の当接部61bに対向する位置に簡単に取り付けることができる。
【0043】
軸受け部53dは、転写ローラー9の回転軸51(図5参照)を回転可能に嵌装する孔にて構成される。外周部53aは、一対の腕部53bから更に軸方向の端部側の外周面に形成され、装置本体101の軸受けガイド部71に形成されたガイド溝71a(図4参照)に案内され更に所定の位置に嵌装される。
【0044】
図5に示すように、転写ローラー9が感光体ドラム1に圧接した状態(カバー部材33の閉位置)から、カバー部材33を図5の右方向に回動させると、カバー部材33が開位置に移動する。軸受け部材53は、カバー部材33とともに回動し、図7に示す状態になる。
【0045】
図7はカバー部材33が開位置にあるとき、軸受け部材53及び軸受け取り付け部61の状態を模式的に示す図である。尚、図7は、図5に対して裏面側から見た図であるために、感光体ドラム1は軸受け部材53に対して右側に配置され、また、カバー部材33を閉じると、軸受け部材53は矢印XAの方向に回動する。また、図7では、軸受け支持部61の要部(開口部61a、当接部61b)のみを模式的に示している。さらに図7では、転写ローラー9が感光体ドラム1に圧接した状態(カバー部材33の閉位置)における軸受け部材53の外周部53aを一点鎖線で示している。
【0046】
装置本体101の軸受けガイド部71には、前述のようにガイド溝71aが形成されている。ガイド溝71aは、第1の方向Xに延設され、軸受け部材53の外周部53aが嵌装可能であるように、軸受け部材53の外周部53aより僅かに大きい幅で形成される。また、ガイド溝71aの上側入口部71bは上側に広がり、ガイド溝71aの入口側の溝幅は、軸受け部材53の嵌装領域の溝幅より大きくなっている。これによって、軸受け部材53の外周部53aがガイド溝71aに導入され易くなる。
【0047】
図7に示すようにカバー部材33が開位置にあるとき、軸受け部材53の規制爪53fは、バネ部材41の付勢力によって軸受け支持部61の当接部61bに当接している。また、軸受け部材53の凸部53cは、バネ部材41の付勢力によって軸受け支持部61の開口部61aの右側端面に当接している。
【0048】
この状態から、カバー部材33を装置本体101に対して閉じていくと、カバー部材33は、装置本体101の下方に設けられた支点33a(図3参照)を中心に回動する。これにともなって、軸受け部材53の外周部53aは矢印XAで示すように回動する。軸受け部材53の外周部53aの回動方向XAは、第1の方向Xとは異なり、軸受け部材53の外周部53aがガイド溝71aの所定位置に嵌装した状態で、第1の方向Xと矢印XAの接線方向とは所定角度だけ離れている。
【0049】
図8〜図10は、カバー部材を閉じていくとき、軸受け部材がガイド溝に案内される過程を順に示す図である。
【0050】
図8に示すように、カバー部材33を閉じていくと、軸受け部材53の外周部53aの回動方向XAと第1の方向Xとは異なるために(図7参照)、軸受け部材53の外周部53aは、先ずガイド溝71aの上側入口部71bに当接する。 カバー部材33の回動動作にともなって軸受け部材53がさらにXA方向に回動すると、図9に示すように、軸受け部材53の外周部53aは、上側入口部71bの傾斜に沿って移動する。即ち、規制爪53fが当接部61bに当接した状態で、軸受け部材53の外周部53aは第1の方向Xに感光体ドラム1側に移動するとともに、第2の方向Yの下側に移動する。軸受け部材53の外周部53aの第1の方向X及び第2の方向Yへの移動は、軸受け部材53の凸部53cが軸受け保持部61の開口部61a内で第1の方向X及び第2の方向Yへの移動が可能になっていることによる。尚、軸受け部材53のフック部53eは第2の方向Yで弾性変形が可能であるが、この弾性変形を比較的に大きく構成してあると、フック部53eの弾性変形によって、軸受け部材53の外周部53aは第2の方向Yに幾分かは移動することになる。
【0051】
さらにカバー部材33を閉じていくと、図10に示すように、軸受け部材53の凸部53cが軸受け保持部61の開口部61a内で第1の方向X及び第2の方向Yへの移動が可能になっていることにより、軸受け部材53の外周部53aは第1の方向Xに延設したガイド溝71aに沿って移動し、ガイド溝71aの所定の位置に嵌装される。これによって、図5に示す転写ローラー9が感光体ドラム1に圧接することになる。
【0052】
尚、上記実施形態では、ガイド溝71aに上側入口部71bを形成する構成を示したが、軸受け部材53の外周部53aがガイド溝71aに嵌装した状態で、第1の方向Xの接線方向と矢印X方向の角度が比較的に小さい場合には、ガイド溝71aに上側入口部71bを形成しなくとも、軸受け部材53の外周部53aがガイド溝71aに導入される。
【0053】
また、上記実施形態では、転写ローラー9と感光体ドラム1との組み合わせにて構成したが、本発明はこれに限らず、レジストローラー対13等他のローラー対に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 感光体ドラム(第2回転体)
9 転写ローラー(第1回転体)
9a ローラー部
33 カバー部材
33a 支点
41 バネ部材
51 回転軸
53 軸受け部材
53a 外周部
53b 腕部
53c 凸部
53d 軸受け部
53e フック部
53f 規制爪
53g バネ受け部
61 軸受け支持部
61a 開口部
61b 当接部
61c バネ受け部
71 軸受けガイド部
71a ガイド溝
71b 上側入口部
100 画像形成装置
101 装置本体
101a 側面
101b ドラム軸受け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して開位置と閉位置との間で回動可能に支持されるカバー部材と、
該カバー部材側に回転可能に支持される第1回転体と、
前記装置本体側に回転可能に支持され前記カバー部材が閉位置にあるとき前記第1回転体に圧接する第2回転体と、
前記第1回転体の両端部に設けられる回転軸と、
該回転軸を回転可能に支持する軸受け部材と、を有し、
前記第1回転体と第2回転体との間で記録媒体を搬送する画像形成装置において、
前記第1回転体が前記第2回転体を押圧するように前記軸受け部材を付勢するバネ部材と、
前記第1及び第2回転体の回転中心を繋ぐ方向である第1の方向と、該第1の方向と前記回転軸の軸方向とに対して直角方向である第2の方向とに移動可能に前記軸受け部材を支持するとともに前記バネ部材を支持して前記カバー部材に設けられる軸受け支持部と、
前記第1の方向に延設され前記カバー部材の閉位置で前記軸受け部材の外周部を嵌装するガイド溝を有して前記装置本体に設けられる軸受けガイド部と、を備え、
前記軸受け支持部は、第1及び第2の方向に広がる開口部と、前記回転軸を挟んで前記開口部と反対側に形成される当接部とを有し、
前記軸受け部材は、前記回転軸を回転可能に支持する円筒状の軸受け部と、該軸受け部の外周面から突出するように形成され前記開口部内を第1及び第2の方向に移動可能な凸部と、前記軸受け部の径方向において前記凸部と異なる位置に形成され前記カバー部材が開位置にあるとき前記バネ部材の付勢力によって前記当接部に当接可能な規制爪と、を有しており、
前記カバー部材が装置本体に対して閉じられたとき、前記凸部が前記開口部内を移動することによって前記軸受け部材の外周部が前記ガイド溝に案内されて嵌装されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開口部は貫通する孔にて形成され、前記凸部は、前記軸受け部の外周面から延設される一対の腕部の端部に互いに対向して設けられ、前記一対の凸部は前記開口部を両側から挟み込むように構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制爪は、第2の方向に弾性を有するフック部にて前記軸受け部に繋がれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記軸受け支持部は前記カバー部材に一体に形成されてなることを特徴とする請請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1回転体は転写ローラーからなり、前記第2回転体は感光体ドラムからなることを特徴とする請請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230370(P2012−230370A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89452(P2012−89452)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】