説明

画像形成装置

【課題】ジャム処理などの作業中に定着装置を載置しておくスペースを別途必要としない画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部3と、記録媒体に形成された画像を定着する定着装置50とを内部に設けた装置本体100と、当該装置本体100の上面を覆い、装置本体100に開閉可能に取り付けられた上カバー84とを備えた画像形成装置におけるものである。定着装置50を、記録媒体に画像を定着するために装置本体100内に装着された内部装着位置から、上カバー84を開放することにより装置本体100に形成される上部開口部200側へ移動させた一時保持位置で保持可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を定着させる定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、メンテナンスや消耗品等の交換のために画像形成装置内にアクセスできるように、装置本体の上カバーが上方へ回動可能に取り付けられているものが知られている。また、一般に、画像形成装置には用紙に画像を定着させる定着装置が搭載されているが、この定着装置の近傍で用紙が詰まってジャム化した場合のジャム処理や、定着装置のメンテナンス作業又は交換作業を行いやすくするために、定着装置を画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の画像形成装置においてジャム処理などを行う場合は、まず、図12(a)に示すように、画像形成装置本体100の上カバー84を開け、次いで、図12(b)に示すように、装置本体100の上部開口部200から定着装置50を取り出す。この場合、取り出した定着装置は、画像形成装置本体の周辺に置いておかなければならないため、画像形成装置を載置するスペース以外に、定着装置を載置するスペースが必要であった。
【0004】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、ジャム処理などの作業中に定着装置を載置しておくスペースを別途必要としない画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、記録媒体に形成された画像を定着する定着装置とを内部に設けた装置本体と、当該装置本体の上面を覆い、装置本体に開閉可能に取り付けられた上カバーとを備えた画像形成装置において、前記定着装置を、記録媒体に画像を定着するために前記装置本体内に装着された内部装着位置から、前記上カバーを開放することにより前記装置本体に形成される上部開口部側へ移動させた一時保持位置で保持可能に構成したものである。
【0006】
定着装置を一時保持位置に保持しておくことができるので、別途、定着装置を載置しておくスペースを確保する必要がない。これにより、画像形成装置の設置スペースを小さくすることが可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記上カバーを開放して前記内部装着位置から取り外した前記定着装置を前記一時保持位置に保持するための保持部を、前記装置本体に設けたものである。
【0008】
定着装置を一時保持位置に保持するための保持部を装置本体に設けることにより、別途、定着装置を載置しておくスペースを確保する必要がなくなり、画像形成装置の設置スペースを小さくすることができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記保持部は、前記装置本体の対向する一対の側板に形成された凹部であって、各凹部に前記定着装置の両端を係合して保持するように構成したものである。
【0010】
装置本体の側板に形成された凹部に、定着装置の両端を係合することにより、定着装置を一時保持位置に保持することが可能となる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記定着装置を保持して前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で移動させる回動可能なアーム部材を、前記装置本体に設けたものである。
【0012】
アーム部材で定着装置を一時保持位置に移動させて保持しておくことができるので、別途、定着装置を載置しておくスペースを確保する必要がなくなり、画像形成装置の設置スペースを小さくすることが可能となる。また、アーム部材を回動操作することによって定着装置を移動させることができるので操作性向上する。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記定着装置を前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で案内するガイド部を、前記装置本体に設けたものである。
【0014】
ガイド部によって定着装置を一時保持位置に案内して保持しておくことができるので、別途、定着装置を載置しておくスペースを確保する必要がなくなり、画像形成装置の設置スペースを小さくすることが可能となる。また、ガイド部によって定着装置の移動をスムーズに行うことが可能である。
【0015】
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の画像形成装置において、前記定着装置を前記一時保持位置で固定する固定手段を備えたものである。
【0016】
固定手段によって定着装置を固定することにより、定着装置を一時保持位置に安定して保持することが可能となる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記定着装置を前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で移動させても、前記定着装置とそれに電力を供給するための電線との接続が維持されるように構成したものである。
【0018】
定着装置を内部装着位置と一時保持位置との間で移動させても、定着装置と電線との接続が維持されるように構成することにより、固定側(装置本体側)と移動側(定着装置側)とを接続するドロワコネクタ等の特殊な電気的接続手段は不要となり、低コスト化を図れる。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記定着装置は、記録媒体に画像を定着する定着部材と、当該定着部材に対向して定着ニップを形成する対向部材を備え、前記定着装置を前記一時保持位置に移動させる前に、前記定着ニップの圧力を低減又は解除するように構成したものである。
【0020】
定着ニップの圧力を、定着装置を一時保持位置に移動させる前に低減又は解除しておくことにより、ジャム化した記録媒体が定着ニップを完全には通過しない状態で存在していても、定着装置の移動の際に、記録媒体を引っ張らずに装置本体側に残しておくことができ、記録媒体上の未定着トナーによって周囲が汚れるのを防止することができる。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記定着装置を前記一時保持位置に移動させた状態で、前記定着装置の記録媒体搬送方向下流側が上方を臨むように配設したものである。
【0022】
定着装置を一時保持位置に移動させた状態で、定着装置の記録媒体搬送方向下流側が上方を臨むように配設することにより、定着装置内で定着ニップを通過した状態でジャム化した記録媒体を確認しやすく、ジャム処理もより行いやすくなる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1から9に記載の画像形成装置において、前記上カバーの開放動作に連動して、前記定着装置を前記一時保持位置に移動させるように構成したものである。
【0024】
上カバーの開放動作に連動して、定着装置を一時保持位置に移動させるように構成することにより、定着装置を移動させるためだけの操作が不要となり、操作性をより向上させることが可能となる。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記定着装置の記録媒体搬送方向下流側に形成された出口部から排出される記録媒体を案内する出口ガイドを設け、当該出口ガイドを、記録媒体を案内する案内位置に配設された状態から、前記出口部を広げる開放位置へ配設された状態に切換可能に構成したものである。
【0026】
ジャム処理時に、出口ガイドを開放位置に配設された状態に切り換えて、出口部を広げることにより、ジャム化した記録媒体の除去がより行いやすくなる。
【0027】
請求項12の発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記出口ガイドを前記案内位置側へ付勢するように構成したものである。
【0028】
出口ガイドが案内位置側へ付勢されているので、出口ガイドを案内位置に戻し忘れても、付勢力によって出口ガイドは自動的に案内位置に戻される。これにより、出口ガイドの戻し忘れによる記録媒体搬送不良の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ジャム処理などの作業中に、定着装置を内部装着位置から移動させて一時保持位置に保持しておくことができる。これにより、別途、定着装置を載置しておくスペースを確保する必要がないので、画像形成装置の設置スペースを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示すカラープリンタの概略断面構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【図3】前記プリンタの概略断面構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【図5】前記プリンタの概略断面構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【図7】前記プリンタの概略断面構成図である。
【図8】溝の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るプリンタの概略断面構成図である。
【図10】前記プリンタの変形例を示す図である。
【図11】本発明の各実施形態における定着装置の概略断面図であって、(a)は出口ガイドが閉じた状態を示す図、(b)は出口ガイドが開いた状態を示す図である。
【図12】従来の画像形成装置の斜視図であって、(a)は上カバーを開放した状態を示す図、(b)は上カバーを開放して定着装置を取り出した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0032】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示すカラープリンタの概略断面構成図である。
図1に示すプリンタ1は、装置本体100の下部に記録媒体としての用紙を収容する給紙部2が設けられ、その上方に画像形成部3を配設した構成となっている。また、装置本体100の上面には、排紙トレイ40が形成されている。給紙部2に収容されている用紙は、図中の二点鎖線Aで示す用紙の搬送経路を通って画像形成部3に給送され、画像形成部3にて形成した画像を用紙上に転写する。そして、画像を転写された用紙は、定着装置50で画像が定着された後、図中の二点鎖線Bで示す用紙の搬送経路を通って排紙トレイ40に排紙される。
【0033】
画像形成部3は、水平方向に配設された転写ベルト装置20と、この転写ベルト装置20の上方に水平方向に並んで配設された4つの画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kを有する。4つの画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kは、用紙搬送方向の上流側から順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用のものが配設されている。用紙は、転写ベルト装置20によって水平方向に搬送され、その搬送中に各画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kによって用紙に各色のトナー画像が転写されるようになっている。
【0034】
各画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kの構成は、異なる色のトナーを収容している以外は同じであるので、ここでは各色を示すアルファベット(Y,M,C,K)を省いて説明する。
各画像形成ユニット4は、像担持体としての感光体ドラム5を備えており、感光体ドラム5は図示していない駆動手段によって図中時計方向へ回転駆動される。感光体ドラム5の周りには、感光体ドラム5の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ6、感光体ドラム5上にトナー(現像剤)を供給して画像を形成する現像手段としての現像ローラ7、感光体ドラム5の表面を清掃するクリーニング手段としてのクリーニング装置8などが設けられている。なお、本実施形態では、現像ローラ7を有する現像装置として、非磁性一成分トナーを用いた現像装置を適用している。
【0035】
上記画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kの上方には、露光手段としての光学ユニット9が配設されている。光学ユニット9は、レーザ光を帯電ローラ6と現像ローラ7の間から感光体ドラム5へ照射する。また、後述するが、光学ユニット9は図中点線で示す上カバーアーム81に保持されており、支点82を中心に、排紙トレイ40とともに矢印C方向へ開く構造となっている。
【0036】
転写ベルト装置20は、無端状の転写ベルト21と、駆動ローラ22、従動ローラ23から成り、転写ベルト21が駆動ローラ22及び従動ローラ23に巻回張架される構造となっている。また、転写ベルト21の上部走行辺の内側には、各画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kの感光体ドラム5にそれぞれ対向する位置に、転写バイアスが印加される転写ローラ28が転写ベルト21に接触するように配置されている。
【0037】
また、転写ベルト装置20は、カラープリントの場合、図示しない機構により転写ベルト21が4色の画像形成ユニット4Y、4M、4C、4Kの感光体ドラム5に接触する状態に保持され、黒単色プリントの場合、転写ベルト21はブラック用の画像形成ユニット4Kの感光体ドラム5のみに接触するように保持されるようになっている。
【0038】
定着装置50は、記録媒体に画像を定着する定着部材としての定着ローラ51と、当該定着ローラ51に対向して定着ニップを形成する対向部材としての加圧ローラ52と、定着ローラ51内に配設された加熱手段としてのヒータ53と、転写ベルト装置20から搬送される用紙を定着装置50の入口部54から内部へ案内するための入口ガイド55と、定着装置50の出口部57から排出される用紙を案内する出口ガイド56とを備える。加圧ローラ52は定着ローラ51に対して所定の圧力で圧接しており、互いに圧接する圧接部において定着ニップを形成している。なお、定着部材と対向部材の少なくとも一方を、無端状のベルトで構成し、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させる構成としてもよい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わす単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0039】
次に、図1を参照して、画像形成動作について説明する。
イエロー用の画像形成ユニット4Yにおいて、感光体ドラム5Yの表面は帯電ローラ6Yによって所定の電位に均一に帯電される。光学ユニット9においては、パソコン等のホストマシーンより送られた画像データに基づいて図示しないレーザダイオードを駆動してレーザ光をポリゴンミラー83に照射し、シリンダーレンズ等を介して反射光を感光体ドラム5Y上に導き、感光体ドラム5Y上にイエロートナーで現像すべき静電潜像を形成する。この潜像に現像ローラ7Yからトナーが付与され、イエロートナーの可視像となる。
【0040】
一方、給紙部2からは、指定された用紙が給紙され、給紙された用紙は図中の二点鎖線Aで示す用紙の搬送経路に設けられたレジストローラ39に一旦突き当てられる。カラープリント時、転写ベルト装置20では、上述したように転写ベルト21が押し上げられ、転写ベルト21が4色の画像形成ユニット4Y,4M,4C,4Kの感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kに接触している。そして、用紙は上記可視像に同期するようにして転写ベルト21上に給送され、当該転写ベルト21の走行により感光体ドラム5Yに対向する転写位置に至る。この転写位置では、転写ベルト21の裏面側に配置された転写ローラ28の作用によりイエロートナーの可視像が用紙に転写される。また、イエロー色の場合と同様にして、他の画像形成ユニット4M,4C,4Kにおいてもそれぞれの感光体ドラム5M,5C,5Kの表面に各トナーによる可視像が形成され、これら可視像は転写ベルト21によって搬送される用紙が各転写位置に到達するごとに重ね合わせて転写される。
【0041】
一方、モノクロプリントの場合は、上述したように転写ベルト21が下降され、ブラック用の画像形成ユニット4Kの感光体ドラム5Kのみに転写ベルト21が接触する。そして、ブラック用の画像形成ユニット4Kの感光体ドラム5Kの表面にのみブラックトナーの可視像が形成され、このブラックの可視像に同期するようにして転写ベルト21上に給送された用紙に対してブラックトナー像が転写される。
【0042】
トナー像転写後の用紙は、転写ベルト21から分離されて、定着装置50によりトナー像が定着される。定着を終えた用紙は、装置本体の上面に設けられた排紙トレイ40に排出される。
【0043】
以下、本発明に係るプリンタの特徴部分について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図、図3は、その概略断面構成図である。図2、図3のいずれも、上カバー84を開放した状態を示す。
通常、定着装置50は、図3の点線で示すように、装置本体100内に装着された内部装着位置に配設されている。しかし、プリンタ1内で用紙が詰まってジャム化した場合は、ジャム処理を容易に行えるように、定着装置50を内部装着位置から取り外し可能となっている。さらに、本実施形態では、装置本体100の上部に、取り外した定着装置50を一時的に保持するための保持部60が設けられている。
【0044】
図2に示すように、保持部60は、装置本体100の対向する一対の側板101,102にそれぞれ形成された凹部61,62で構成されている。これらの凹部61,62に定着装置50の両端を係合することにより、定着装置50を装置本体100の上部開口部200から露出した状態で保持可能となる。このように、本実施形態では、上カバー84を開放した状態で、定着装置50を、装置本体100内に装着された内部装着位置から、保持部60で保持された一時保持位置へ移動させることができるようになっている。
【0045】
図4と図5に、本発明に係るプリンタの第2実施形態の構成を示す。
図4は、本発明の第2実施形態に係るプリンタの斜視図、図5は、その概略断面構成図である。上記と同様に、図4、図5のいずれも、上カバー84を開放した状態を示している。なお、図5において、シアン用とブラック用の画像形成ユニット4C,4Kは便宜的に図示省略している。
図5に示すように、本実施形態では、定着装置50は、装置本体100に回動可能に設けられたL字型の一対のアーム部材63,64の先端部に保持されている。各アーム部材63,64は、その基端部に設けられた回転軸63a,64aを中心に回動可能に構成されており、アーム部材63,64を回動させることにより、定着装置50を図5の点線で示す位置と実線で示す位置との間で移動可能に構成している。詳しくは、アーム部材63,64が水平方向に配置された状態では、定着装置50は装置本体100内に装着された内部装着位置に配置され、アーム部材63,64が垂直方向に配置された状態では、定着装置50は上部開口部200側に移動した一時保持位置に配置されるようになっている。本実施形態では、アーム部材63,64を定着装置50の両端部にそれぞれ配設しているが、アーム部材63,64の配設位置や個数は特に限定されない。
【0046】
また、図5に示すように、装置本体100には、定着装置50を一時保持位置に固定する固定手段としてロック爪65が設けられている。ロック爪65は、その先端がアーム部材63,64の少なくとも一方に対して係脱可能となっている。アーム部材63,64を垂直方向に立たたせた状態でロック爪65の先端がアーム部材63,64の少なくとも一方に当接して係止することにより、アーム部材63,64を倒れないように固定する。なお、ロック爪65(固定手段)を、アーム部材63,64に対してではなく、定着装置50に対して係脱可能に構成してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、定着装置50に電力を供給するための図示しない電線がアーム部材63又は64に内蔵されている。この場合、アーム部材63,64を回動させて定着装置50を内部装着位置と一時保持位置との間で移動させても、定着装置50と前記電線との接続が維持されるので、固定側(装置本体100側)と移動側(定着装置50側)とを接続するドロワコネクタ等の特殊な電気的接続手段は不要となる。
【0048】
図6と図7に、本発明に係るプリンタの第3実施形態の構成を示す。
図6は、本発明の第3実施形態に係るプリンタの斜視図、図7は、その概略断面構成図である。ここでも、図6、図7は、上カバー84を開放した状態を示している。
図7に示すように、本実施形態では、定着装置50を、装置本体100内に装着された内部装着位置と、上部開口部200側に配設された一時保持位置との間で移動させる際に、定着装置50を案内するためのガイド部66が設けられている。図6に示すように、ガイド部66は、装置本体100の対向する一対の側板101,102にそれぞれ形成された一対の溝67,68で構成されている。一方、定着装置50の両端面には、溝67,68内に挿入される図示しない凸部が設けてあり、この凸部を溝67,68に沿って移動させることにより定着装置50がスムーズに案内される。なお、ガイド部66は、溝67,68以外に、レール状の部材や長孔等で構成することも可能である。
【0049】
また、図8の変形例に示すように、溝67,68の水平方向に伸びる部分の端部67a,68aを下方へ落とし込んで段差部を設けることにより、定着装置50を一時保持位置に移動させた際に、定着装置50に設けた凸部が前記段差部に規制されることで、定着装置50を一時保持位置に安定して保持するように構成してもよい。すなわち、この場合、溝67,68に設けた前記段差部は、定着装置50を一時保持位置に固定する固定手段として機能する。
【0050】
また、本実施形態において、溝67,68に沿って移動する定着装置50の凸部に、定着装置50に電力を供給するための図示しない電線を内蔵することも可能である。これにより、定着装置50を内部装着位置と一時保持位置との間で移動させても、定着装置50と前記電線との接続が維持されるようになるので、上記第2実施形態と同様に、ドロワコネクタ等の特殊な電気的接続手段は不要となる。
【0051】
図9に、本発明に係るプリンタの第4実施形態の構成を示す。
図9は、上カバー84を開放した状態のプリンタの概略断面構成図である。
図9に示すように、本実施形態では、上記図4と図5に示す第2実施形態と同様に、定着装置50は、回動可能に設けられたL字型の一対のアーム部材63,64によって保持されている。さらに、本実施形態では、アーム部材63,64の回転軸にギア69が一体的に設けられており、装置本体100にはこのギア69に噛合する別のギア70が設けられている。また、装置本体100に設けられたギア70には、巻取り軸72が一体的に設けられ、巻取り軸72には、一端が上カバー84に取り付けられたワイヤーやベルト等の紐部材71が巻回されている。
【0052】
上記のように構成されたプリンタにおいて、上カバー84を開放すると、その開放動作によって紐部材71が引っ張られて巻取り軸72から繰り出され、巻取り軸72とギア70が図9の反時計回りに一体的に回転する。そして、これに伴って、アーム部材63,64に設けたギア69が同図の時計回りに回転して、アーム部材63,64が水平方向から垂直方向に回動し、定着装置50を内部装着位置から一時保持位置へと移動させる。なお、ここでの一時保持位置は、上記実施形態と異なり、上部開口部200から上方(外部)へ露出した位置に設定されている。
【0053】
また、上カバー84を閉じた場合は、巻取り軸72を設けたギア70が図示しない付勢手段によって上記とは逆回転(図9の時計回り)されることにより、紐部材71を巻き取りつつアーム部材63,64を倒れる方向に回動させて、定着装置50を内部装着位置へ移動させる。このように、本実施形態では、上カバー84の開放動作及び閉鎖動作に連動して、定着装置50を一時保持位置と内部装着位置とに移動させることができる。
【0054】
また、図10の変形例に示すように、巻取り軸72を、アーム部材63,64の回転軸に設けたギア69に設けることも可能である。この場合も、上カバー84を開閉することにより、紐部材71が繰り出される又は巻き取られて、ギア69が回転し、アーム部材63,64が回動して、定着装置50を一時保持位置と内部装着位置との間で移動させることができる。しかも、この場合、図9に示すギア70を省略することができるので、部品点数が少なくなり、低コスト化及び小型化を図れる。また、図9及び図10に示す実施形態において、上記図5に示すロック爪65(固定手段)を設けたり、アーム部材63又は64に、定着装置50に電力を供給するための電線を内蔵したりすることも可能である。
【0055】
図11は、本発明の上記各実施形態における定着装置50の概略断面図である。
図11の(a)と(b)に示すように、定着装置50の出口ガイド56は、開閉可能に構成されている。詳しくは、出口ガイド56は、用紙Pを案内する案内位置に配設された図11(a)に示す状態と、その案内位置から開いて、出口部57を広げる開放位置へ配設された図11(b)に示す状態とに切換可能に構成されている。また、出口ガイド56は、図示しない付勢手段によって閉じる方向(図11(a)に示す案内位置側)に付勢されており、出口ガイド56を開いた後、自動的に閉じるようになっている。
【0056】
以上、本発明の各実施形態によれば、定着装置50内又はその周辺で用紙が詰まってジャムが発生した場合に、上カバー84を開放して、定着装置50を内部装着位置から上部開口部200側の一時保持位置に移動させることにより、ジャム化した用紙の除去を容易に行うことが可能である。
【0057】
しかし、定着装置50を一時保持位置に移動させる際、ジャム化した用紙が定着ニップを完全には通過しない状態で存在していると、定着装置50を移動させることにより、ジャム化した用紙が定着ニップで挟まれたまま引っ張られて、未定着のトナーが周囲に付着して汚れる虞がある。そのため、定着ニップの圧力を、定着装置50を一時保持位置に移動させる前に低減又は解除(ローラ同士を離間させてニップ圧を0の状態に)しておくことが望ましい。これにより、ジャム化した用紙が定着ニップを完全には通過しない状態で存在していても、定着装置50の移動の際に、用紙を装置本体100側に残しておくことができ、未定着トナーによって周囲が汚れるのを防止することができる。
【0058】
また、図11(a)に示すように、定着装置50を一時保持位置に移動させた状態で、定着装置50の出口部57(記録媒体搬送方向下流側)が上方を臨むように配設することにより、定着装置内で定着ニップを通過した状態でジャム化した用紙Pを確認しやすくなり、また、ジャム処理もより行いやすくなる。また、図11(b)に示すように、ジャム処理時に、出口ガイド56を開いて出口部57を広げることにより、ジャム化した用紙Pの除去がより行いやすくなる。また、出口ガイド56は、閉じる方向(図11(a)に示す案内位置側)に付勢されているので、出口ガイド56を閉じ忘れても、自動的に元の案内位置に戻される。これにより、出口ガイド56の閉じ忘れによる用紙搬送不良の発生を防止できる。
【0059】
また、図2及び図3に示す本発明の第1実施形態によれば、保持部60(凹部61,62)によって定着装置50を一時保持位置に保持しておくことができるので、別途、定着装置50を載置しておくスペースを確保する必要がない。これにより、プリンタの設置スペースを小さくすることが可能となる。また、上述のように、本発明の第2〜第4実施形態においても、各種保持手段によって、定着装置50を一時保持位置で保持しておくことができるので、第1実施形態と同様に設置スペースの省略化を実現できる。
【0060】
さらに、図4及び図5に示す第2実施形態では、アーム部材63,64を回動操作することによって定着装置50を移動させることができるので操作性向上する。加えて、ロック爪65によってアーム部材63,64を倒れないように固定することにより、定着装置50を一時保持位置に安定して保持することが可能となる。また、第2実施形態において、定着装置50に電力を供給するための電線をアーム部材63又は64に内蔵することにより、ドロワコネクタ等の特殊な電気的接続手段は不要となるので、低コスト化を図ることができる。
【0061】
また、図6及び図7に示す第3実施形態では、ガイド部66(溝67,68)によって定着装置50を内部装着位置と一時保持位置との間で案内することができるので、定着装置50の移動をスムーズに行うことができる。また、ガイド部66(溝67,68)に沿って移動する定着装置50の凸部に、定着装置50に電力を供給するための電線を内蔵した場合は、上記第2実施形態と同様に、特殊な電気的接続手段を排除して低コスト化を図れる。
【0062】
また、図9に示す第4実施形態によれば、上カバー84の開閉動作に連動して、定着装置50を一時保持位置と内部装着位置とに移動させることができるので、定着装置50を移動させるためだけの操作が不要となり、操作性をより向上させることが可能である。
【0063】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、上述の実施形態では、定着装置を一時保持位置に移動させる場合ついて、ジャム処理時を例に説明したが、定着装置のメンテナンスや交換等の作業時においても、同様に上カバーを開放して定着装置を一時保持位置に移動させてもよい。また、本発明に係る構成は、図1に示すプリンタに限らず、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置においても適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンタ(画像形成装置)
3 画像形成部
50 定着装置
51 定着ローラ(定着部材)
52 加圧ローラ(対向部材)
56 出口ガイド
57 出口部
60 保持部
61 凹部
62 凹部
63 アーム部材
64 アーム部材
65 ロック爪(固定手段)
66 ガイド部
84 上カバー
100 装置本体
101 側板
102 側板
200 上部開口部
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2000−356938号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、記録媒体に形成された画像を定着する定着装置とを内部に設けた装置本体と、
当該装置本体の上面を覆い、装置本体に開閉可能に取り付けられた上カバーとを備えた画像形成装置において、
前記定着装置を、記録媒体に画像を定着するために前記装置本体内に装着された内部装着位置から、前記上カバーを開放することにより前記装置本体に形成される上部開口部側へ移動させた一時保持位置で保持可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記上カバーを開放して前記内部装着位置から取り外した前記定着装置を前記一時保持位置に保持するための保持部を、前記装置本体に設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記装置本体の対向する一対の側板に形成された凹部であって、各凹部に前記定着装置の両端を係合して保持するように構成した請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着装置を保持して前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で移動させる回動可能なアーム部材を、前記装置本体に設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着装置を前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で案内するガイド部を、前記装置本体に設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着装置を前記一時保持位置で固定する固定手段を備えた請求項4又は5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着装置を前記内部装着位置と前記一時保持位置との間で移動させても、前記定着装置とそれに電力を供給するための電線との接続が維持されるように構成した請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着装置は、記録媒体に画像を定着する定着部材と、当該定着部材に対向して定着ニップを形成する対向部材を備え、
前記定着装置を前記一時保持位置に移動させる前に、前記定着ニップの圧力を低減又は解除するように構成した請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着装置を前記一時保持位置に移動させた状態で、前記定着装置の記録媒体搬送方向下流側が上方を臨むように配設した請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記上カバーの開放動作に連動して、前記定着装置を前記一時保持位置に移動させるように構成した請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記定着装置の記録媒体搬送方向下流側に形成された出口部から排出される記録媒体を案内する出口ガイドを設け、当該出口ガイドを、記録媒体を案内する案内位置に配設された状態から、前記出口部を広げる開放位置へ配設された状態に切換可能に構成した請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記出口ガイドを前記案内位置側へ付勢するように構成した請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−47806(P2012−47806A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187219(P2010−187219)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】