説明

画像形成装置

【課題】 装置使用前にユーザーが別部材を装着しないと着脱部材を外し忘れていることをユーザーが認識できない。
【解決手段】 装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、画像形成の為の部材の移動を規制し、開閉部材が開いた装置本体から取り外し可能である規制部材と、を有し、開閉部材が閉じられている時、規制部材は第1状態から弾性的に変化した第2状態で装置本体に装着されていて、開閉部材が開かれると規制部材が第1状態に戻り、この状態で開閉部材が閉じられると、開閉部材の当接部が規制部材の当接部に当接して開閉部材が閉じられることを規制する画像形成装置において、開閉部材の当接部が規制部材の当接部に当接することで押圧する方向は、規制部材が第1状態から第2状態に変化する際に、規制部材の当接部が移動する方向と異なることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタ、複写機、ファクシミリ等のシートに画像を形成する画像形成装置に関する。さらに詳しくは、出荷時に装置内に装着されていて、装置の使用前に装置から取り外される着脱部材が装着された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の輸送時における振動や衝撃によって、装置内に可動な状態で保持されている可動部が動いて可動部自体や装置本体を破損したり、装置内部に充填された充填剤が漏れたりする虞がある。そこで、可動部が振動や衝撃により装置本体に対して動かないよう固定する部材や特定の部品を覆って保護する部材や充填剤の漏れを防止する部材などの着脱部材を装置に装着した状態で装置が出荷される。
【0003】
装置を使用するためにはユーザーによってこの着脱部材を装置から取り外す必要があるが、取り外しを忘れてしまうと、画像形成装置が正しく動作しなかったり、故障したりしてしまう虞がある。そこで、特許文献1では、装置を使用する為にユーザーがドアを開けてカートリッジを装着し、着脱部材を取り外さずにドアを閉めようとすると、カートリッジと着脱部材が干渉してドアを閉めることができなくなるよう構成している。このような構成にすることで、ユーザーが着脱部材を外し忘れていることを認識し易く、着脱部材を外し忘れにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−298857
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、装置の使用前にユーザーがカートリッジを装置に装着することを利用して、着脱部材の取り外し忘れを認識させるようにしている。しかし、近年、梱包材の体積を抑える等の目的で、画像形成装置の内部にカートリッジを装着した状態で輸送する場合がある。このため、装置の使用前にユーザーがカートリッジを装着することが無いため、特許文献1のような構成とすることができない。
【0006】
そこで本発明は、装置使用前の別部材の装着の有無に関わらず、ユーザーが着脱部材を外し忘れていることを認識し易い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、画像形成の為の部材の移動を規制し、前記開閉部材が開いた装置本体から取り外し可能である規制部材と、を有し、前記開閉部材が閉じられている時、前記規制部材は第1状態から弾性的に変化した第2状態で装置本体に装着されていて、前記開閉部材が開かれると前記規制部材が前記第1状態に戻り、この状態で前記開閉部材が閉じられると、前記開閉部材の当接部が前記規制部材の当接部に当接して前記開閉部材が閉じられることを規制する画像形成装置において、前記開閉部材の当接部が前記規制部材の当接部に当接することで押圧する方向は、前記規制部材が前記第1状態から前記第2状態に変化する際に、前記規制部材の当接部が移動する方向と異なることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置使用前の別部材の装着の有無に関わらず、ユーザーが着脱部材を外し忘れていることを認識し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の断面図。
【図2】シップロックが装着された画像形成装置の断面図。
【図3】シップロックが装着された画像形成装置のシップロック装着部分の拡大図。
【図4】シップロックが装着されドアを開いた状態の画像形成装置の断面図。
【図5】シップロック21が装着された状態で、ドアを閉じようとした状態の画像形成装置の断面図。
【図6】(a)シップロックが装着されドアを閉じた状態の画像形成装置の断面図、(b)シップロックが装着されドアを開いた状態の画像形成装置の断面図。
【図7】シップロックが装着された画像形成装置のシップロック装着部分の拡大図。
【図8】シップロックが装着された画像形成装置のシップロック装着部分の拡大図。
【図9】シップロックが装着された画像形成装置のシップロック装着部分の拡大図。
【図10】シップロックが装着されドアを閉じた状態の画像形成装置の断面の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、実施例に記載されている基本部品の寸法、材質、形状、それらの相対位置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。
【0011】
<実施例1>
(画像形成装置の概要)
まず本実施例の画像形成装置の概要について説明する。図1は本実施例の画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置1にはシートを供給する為の給紙トレイ2が画像形成装置1の筐体前方外側に突出して取り付けられている。給紙トレイ2には画像形成装置1へと送り出されるシートPの束が積載収納される。給紙トレイ2上のシートPは給紙ローラ6及び分離パッド7によって画像形成装置1内に搬送される。画像形成装置1にはロータリ現像器8が設けられ、ロータリ現像器8には現像カートリッジ9が4つ(9y、9m、9c、9b)着脱可能に装着されている。各現像カートリッジ9にはそれぞれ現像ローラ91(91y、91m、91c、91b)が設けられ、異なる色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を内部に収容している。また、画像形成装置1には感光ドラム11aを有するドラムカートリッジ11着脱可能に装着されている。
【0012】
次に、カラー画像を形成する画像形成プロセスについて説明する。まず、回転する感光ドラム11aに対して、帯電、露光、現像、一次転写の画像形成プロセスを行う。帯電は、帯電手段(不図示)により感光ドラム11aの表面を一様に帯電する。露光は、レーザー露光器10からレーザー光を帯電された感光ドラム11aの表面に照射し、感光ドラム11aの表面に潜像(静電潜像)を形成する。この潜像の形成の一方で、ロータリ現像器8が回転し、イエローのトナーによる現像を行うため、現像カートリッジ9yが現像位置(図1に示す位置)に配置される。現像は、感光ドラム11a上の帯電極性と同じ極性でほぼ同電位の電圧(現像バイアス)をイエロートナーに印加することにより行う。現像バイアスを印加することで現像ローラ91yからイエロートナーが感光ドラム11a上の潜像に付着し、潜像がイエローのトナー像となって可視化される(トナーにより現像される)。一次転写は、現像の後、中間転写ベルト12の内部に設けられた一次転写ローラ13にイエロートナーとは逆極性の電圧(一次転写バイアス)を印加することにより行う。一次転写バイアスを印加することで感光ドラム11a上のイエローのトナー像を中間転写ベルト12上に転写する。
【0013】
一次転写後、感光ドラム11a上に残ったトナーはドラムカートリッジ11が有する清掃手段11bにより清掃される。イエローのトナーによる現像が完了すると、ロータリ現像器8が回転して次のマゼンタのトナーによる現像を行うため、現像カートリッジ9mが現像位置に移動する。イエローの場合と同じように、感光ドラム11aに帯電、露光を行った後にマゼンタのトナーによる現像が行われ、マゼンタのトナー像は中間転写ベルト12上のイエローのトナー像に重ねて一次転写される。以降、シアン、ブラックについても順次同様に帯電、露光、現像、一次転写を行い、中間転写ベルト14上に4色のトナー像が重ね合わされる。
【0014】
次に二次転写を行う。一次転写を行っている間は、二次転写ローラ14は中間転写ベルト12とは非接触の状態にあり、4色のトナー像の一次転写が終了すると、二次転写ローラ14が中間転写ベルト12に当接し、ニップ部が形成される。シートPの位置と中間転写ベルト12上の4色のトナー像の位置が一致するようシートPがニップ部に搬送される。二次転写は二次転写ローラ14にはトナーとは逆極性の電圧(二次転写バイアス)が印加することにより行う。二次転写バイアスを印加することで、中間転写ベルト12上の4色のトナー像は一括してシートP上に二次転写される。
【0015】
次にシートP上のトナー像をシートPに定着させる。トナー像を転写されたシートPは加熱装置15および加圧ローラ16を有する定着手段によって加熱および加圧を受け、シートP上にトナー像が定着する。その後シートPは排紙口17から排紙され、排紙部18に積載される。
【0016】
現像カートリッジ9を交換する場合、ユーザーは、画像形成装置1に対して開閉可能な開閉部材としてのドア19を上方へ開くことで装置内部を露出し、ロータリ現像器8に装着された現像カートリッジ9にアクセス可能となる。現像カートリッジ9を着脱する際、現像カートリッジ9はカートリッジガイド20によってガイドされ、ユーザーはスムーズに着脱を行う事ができる。
【0017】
ここで、ロータリ現像器8は前述のとおり画像形成をするために回転駆動され、各色の現像カートリッジ9を順次現像位置に移動させる。この際、単純にロータリ現像器8を回転さると現像ローラ91と感光ドラム11aとが擦れてしまう位置関係となっており、感光ドラム11aの表面を傷つける虞れがある。このため、ロータリ現像器8を回転する際は、図2に示す矢印の方向にロータリ現像器8の回転軸が移動して、ロータリ現像器8を退避させ、現像ローラ91と感光ドラム11aとが擦れないよう離間させる。このような退避機構が設けられているため、ロータリ現像器8は、退避する移動量分のガタを画像形成装置1本体に対して持った状態で、画像形成装置1に保持されている。従って、画像形成装置1の輸送時に受ける振動や衝撃により、ロータリ現像器8が画像形成装置1に対して揺動や移動し、装置内の周囲にある他の部材等に衝突して、互いに破損する虞がある。特に、現像カートリッジ9をロータリ現像器8に装着して出荷する場合、ロータリ現像器8の重くなるため、破損の可能性が高くなる。そこで、本発明の画像形成装置1は、所謂シップロック21といわれる固定部材(着脱部材)を画像形成装置1に装着し、ロータリ現像器8を画像形成装置1の本体に対して動かないよう固定した状態で出荷される。なお、シップロック21とは、装置内で回転や移動可能な状態で保持された可動部を回転や移動をしないように固定又は規制する部材である。
【0018】
(シップロックについて)
次に固定部材としてのシップロック21について説明する。まずは、画像形成装置1に装着されたシップロック21によるロータリ現像器8の固定について説明する。図2はシップロック21が装着された状態の画像形成装置1を示す図である。図3は画像形成装置1のシップロック21を装着した部分の拡大図である。シップロック21は、ロータリ現像器8とカートリッジガイド20の間に装着される。装着した状態で、シップロック21の突起21aがロータリ現像器8に設けられた抜け止め部8aと係合し、突起21bがカートリッジガイド20に設けられた抜け止め部20aと係合している。ドア19が画像形成装置1に対して閉じられた状態では、図2に示すように、シップロック21はドア19に設けられた突起部19aにより当接して、矢印X方向に弾性変形した状態で維持される。このようにシップロック21は弾性的に変形可能である。この状態のシップロック21の弾性変形した部分の位置の位置を位置Bとし、このシップロック21の形状を第2形状とする。シップロック21がこのように弾性変形した状態では、抜け止め部21aを支点として、ロータリ現像器押圧部21cがロータリ現像器8に力Fを与えている。このため、ロータリ現像器8は、図3中の力Fの矢印の方向に付勢され、画像形成装置1に突き当てられた状態となり、画像形成装置1に対して動かないよう固定された状態となる。そしてシップロック21自体も同時に画像形成装置1内に固定された状態となっている。上記のように、シップロック21は画像形成装置1内に固定され、ロータリ現像器8のガタを詰めて、画像形成装置1に対してロータリ現像器8が動かないよう固定することができる。シップロック21は例えばPP(ポリプロピレン)などの大きく弾性変形しやすい材料で構成されている。
【0019】
次にシップロック21の画像形成装置1からの取り外しについて説明する。ユーザーが、ドア19を開いてシップロック21の上部を持ち、一定以上の力でシープロック21を図2の上方に引くと、突起21aおよび突起21bの係合が解除されてシップロック21を取り外すことができる。シップロック21を取り外すとロータリ現像器8が図3中の矢印Fの逆方向へと移動し、画像形成装置1が正常に稼働して印字動作を行うことができる状態となる。
【0020】
(シップロック取り外し忘れ認識機構)
次にシップロック21の取り外し忘れをユーザーに認識させる機構について説明する。図4はシップロック21が装着された画像形成装置1のドア19を開いた状態を示す図である。図5はシップロック21が装着された状態で画像形成装置1のドア19を閉じようとした状態を示す図である。図2に示したシップロック21がドア19が閉じている状態の画像形成装置1に装着された状態から、ドア19を開くと、ドア19の突起部19aが移動し、シップロック21から離隔された状態になる。つまり、シップロック21の弾性変形した部分を弾性変形した状態で維持するために押さえておくもの(突起部19a)が退避する。このため、弾性変形した部分の位置は位置Bから位置Aに戻る。弾性変形した部分が位置Aに戻った状態のシップロック21の形状を第1形状とすると、シップロック21は、ドア19を開くことにより、弾性変形した第2形状(第2状態)から第1形状(第1状態)に自動的に戻る(変化する)といえる。シップロック21を第1形状で画像形成装置1に装着されたままの状態で、ドア19を閉めようとすると、図5に示すようにドア19の突起部19aにシップロック21が当接するため、ドア19を閉めることができない。これは、シップロック21が第2形状から第1形状に戻ることで、シップロック21の弾性変形していた部分がドア19を閉じる際の突起部19aの移動軌跡上に移動するからである。
【0021】
通常の場合、ユーザーがシップロック21を引き抜き除去する。しかしユーザーがシップロック21を除去せずに再びドア19を閉めようとすると、シップロック21が突起部19aに干渉するためドア19を閉める事ができない。ドア19は閉まることなく半開きになるため、ユーザーは視覚的に異常を検知しやすく、シップロック21を取り外し忘れている事を容易に認識することができる。また、画像形成装置1にはドア19の開閉状況を検知する検知手段(不図示)が設けられており、ドア19が閉まらないと画像形成装置1を起動させることはできないようになっている。そのため、ロータリ現像器8の位置が不正な状態のままで画像形成装置1が起動して駆動力がかかり、画像形成装置1の各部品に負担をかけることを防ぐことができる。
【0022】
また、図5に示すように、シップロック21を除去せずに再びドア19を閉めようとした状態、即ち、シップロック21が第1形状(第1状態)で画像形成装置1に装着された状態について説明する。ユーザーがドア19を閉めようとして、ドア19の突起部19aがシップロック21に当接することで、シップロック21が突起部19aに干渉しているときシップロック21は突起部19aから図5の下方向に押圧される。一方でシップロック21が第1状態から第2状態に変化する際に、シップロック21の弾性変形した部分が移動する方向は図5の右方向となっていて、上記2つの方向は異なる。このため、上記2つの方向(突起部19aの押圧方向、及び、シップロック21の弾性変形方向)が同じ方向の場合と比べ、ユーザーがシップロック21を除去することなくドア19を閉じようとした際に、ドア19が閉まってしまうことをより確実に抑制できる。
【0023】
(シップロックの装着方法)
次に、出荷前の画像形成装置1へのシップロック21の装着について説明する。まず、ドア19が開かれた状態で、ロータリ現像器8とカートリッジガイド20との間に上方からシップロック21を挿入し装着する。この状態で突起21aがロータリ現像器8の抜け止め部8aと係合し、突起21bがカートリッジガイド20の抜け止め部20aと係合している。シップロック21は第1形状であり弾性変形する部分も位置Aに位置している。次に、専用の工具(不図示)を用いてシップロック21の弾性変形する部分を図2の矢印Xの方向に付勢し、位置Bまで移動させ、第2形状に弾性変形させる。この工具による付勢状態では、シップロック21の弾性変形する部分はドア19を閉じる際の突起部19aの移動軌跡上から退避し、ドア19を閉じることを邪魔しないため、ドア19を閉じることができる。ドア19を閉めた後に工具によるシップロック21への付勢を解除してもシップロック21は突起部19aに当接し第2形状から第1形状に戻ることを規制され第2形状で維持される。本実施例では、工具としてシップロック21の弾性変形する部分に一端が接着されたフィルム(不図示)を用いている。シップロック21を装着した状態でフィルムの他端を引っ張りシップロック21を弾性変形させ、この状態でドア19を閉じる。フィルムはドア19に挟まれた状態である。フィルムはユーザーがシップロック21を画像形成装置1から取り外すことでフィルムも除去することができる。シップロック21は上述したように装着されて出荷され、出荷後はユーザーによってドア19が開かれるまで弾性変形したままの状態で画像形成装置1内に装着されている。
【0024】
(変型例)
また、本実施例では、シップロック21が弾性変形するように構成していたが、図6に示すようにドア19の突起部19aが弾性変形するよう構成してもよい。図6(a)はドア19を閉じた状態、(b)はドア19を開いた状態を示す。図6(a)に示すドア19を閉じた状態では、突起部19aが弾性的に変形し、シップロック21に当接することによってその変形状態が維持されている。この時のドア19は第2形状である。図6(b)に示すドア19を開いた状態では、突起部19aには復元力が働いて弾性変形していない状態に戻るため、ドア19は第2形状から第1形状に戻る。シップロック21を取り外さぬままドア19を閉めようとすると、突起部19aとシップロック21が当接してドア19を閉めることができない。ドア19が第2形状から第1形状に戻ることで、ドア19を閉じる際のドア19の移動軌跡上にシップロック21が位置するように、突起部19aが移動するからである。このようにドア19を第1形状から第2形状に弾性的に変形可能な構成としてもよい。
【0025】
本実施例では、退避機構を有するロータリ現像器8を固定するシップロックについて説明したが、本発明はこのような退避機構を有するロータリ現像器のシップロックを用いる固定機構に限定されるものではない。つまり、退避機構を有していないロータリ現像器でも稼働時にスムーズに動作するために適度なガタを画像形成装置に保持されているのが一般的である。本発明はこのような退避機構を有していないロータリ現像器を固定するための固定機構にも適用することができる。また、シップロックが固定する固定対象は、ロータリ現像器ではなくとも、例えば転写ローラや帯電ローラ等の画像形成装置に対して回転や移動可能に保持されているような可動部であればよい。また、着脱部材はシップロックのような固定部材でなくても、現像カートリッジ9に充填されたトナーの漏れを防止するトナーシールや感光ドラム11aを覆う感光ドラムカバーであってもよい。
【0026】
また、図10に示すように、シップロック21と、ドア19に互いに係合する係合部19b、21gをそれぞれ設けてもよい。このようにすることで、ユーザーがシップロック21を除去せずに再びドア19を閉めようとした際に、シップロック21と突起部19aをより確実に干渉させることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施例によれば、装置使用前の別部材の装着の有無に関わらず、ユーザーが装置からシップロックを外し忘れていることを認識し易くなる。
【0028】
また、本実施例で説明した一部が他の部分に対して弾性的に変形するシップロック21を用いることで、以下のような利点もある。シップロックは装置に装着された状態で、シップロック自体の内力で固定対象を付勢して固定対象(ロータリ現像器8)を動かないように固定している。つまり、装着された状態において、シップロックは装置から負荷をかけられ、シップロック自体に内力が発生する状態が維持されるように装置に係合して固定されている。このため、シップロックを装置から取り外す際には、シップロックに力をかけ、上記装置との係合を解除する必要がある。ここで、シップロック自体に発生させる内力を大きくする程、シップロックを装置に強固に係合する必要があるため、シップロックと装置との係合の解除には大きな力をかける必要がある。ここで本実施例ではドア19を開けることで、シップロック21が第2形状から第1形状に戻るため、ロータリ現像器8を付勢する力も低下し、シップロック21に発生する内力も低下する。このため、シップロックを取り外すのに必要な力が減少し、ユーザービリティを向上させることができる。
【0029】
<第2の実施例>
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例と同様の部分に関しては同一の符号を付し、説明を省略する。図7は画像形成装置1のシップロック21を装着した部分の拡大図である。
【0030】
第1の実施例ではシップロック21自体の弾性を利用してシップロック21を第1形状から第2形状へ弾性変形させていた。しかし、画像形成装置1の輸送時に高温の環境にさらされた場合、シップロック21がクリープ変形してしまい、ドア19を開いてもシップロック21が第2形状から第1形状に戻らない虞がある。そこで、本実施例では図7に示すように、シップロック21に付勢部材22を設け、21dを支点としてシップロック21を図7に示す矢印の方向に付勢させている。このため、シップロック21には第1形状に戻す方向へ力が働いた状態となっている。本実施例では高温でもクリープ変形しないよう金属製のねじりコイルバネを付勢部材22として使用している。このようにすることで、シップロック21が第2形状から第1形状に戻るための復元力を付勢部材22で補うことができる。
【0031】
また、ドア19を開いた時により確実に、シップロック21が第2形状から第1形状に戻るようにするために、図8に示すようにシップロック21を、下方のシップロック本体部材211と上方のフラッパ部材212とに分けてもよい。シップロック本体部材211とフラッパ部材212は回動軸21dにより回動可能に連結されている。更に、付勢部材22が図8の矢印の方向にシップロック本体部材211とフラッパ部材212をそれぞれ付勢している。これにより、シップロック21は第1形状及び第2形状になることができ、第2形状から第1形状に戻るための復元力も得ることができる。このようにすることで、弾性変形でシップロック21自体を弾性変形させていないので、ドア19を開いた時より確実にシップロック21を第2形状から第1形状に戻すことができる。
【0032】
以上説明したように、本実施例の構成では、第1の実施例と同様の効果が得られる。更に、付勢部材22によりシップロック21がクリープ変形してしまうことによる問題を解決することができる。
【0033】
<第3の実施例>
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第1の実施例と同様の部分に関しては同一の符号を付し、説明を省略する。図9は画像形成装置1のシップロック21を装着した部分の拡大図である。本実施例のシップロック21には凸部21fが設けられている。シップロック21の弾性変形する部分が位置Bにある時(第2形状)にドア19を閉じた状態で、この凸部21fはドア19の突起部19aと接触する。一方で、画像形成装置1にはドア19には閉じた状態でドア19が容易に開かないよう一定の押圧力でドア19を押圧するドア押圧手段(不図示)を備えられている。そのため、凸部21fにはドア19を介してドア押圧手段により上方からの押圧力が与えられ、シップロック21がより深く挿入される。これにより、ロータリ現像器押圧部21cがロータリ現像器8に与える押圧力がさらに増大し、物流時の衝撃や振動に対する耐性をより強化することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施例の構成では、第1の実施例と同様の効果が得られる。更に、ドア19を閉じている時にシップロック21が固定対象であるロータリ現像器8をより強固に固定することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 画像形成装置
8 ロータリ現像器
9 現像カートリッジ
11 ドラムカートリッジ
11a 感光ドラム
19 ドア
19a 突起部
21 シップロック
22 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、
画像形成の為の部材の移動を規制し、前記開閉部材が開いた装置本体から取り外し可能である規制部材と、を有し、
前記開閉部材が閉じられている時、前記規制部材は第1状態から弾性的に変化した第2状態で装置本体に装着されていて、前記開閉部材が開かれると前記規制部材が前記第1状態に戻り、この状態で前記開閉部材が閉じられると、前記開閉部材の当接部が前記規制部材の当接部に当接して前記開閉部材が閉じられることを規制する画像形成装置において、
前記開閉部材の当接部が前記規制部材の当接部に当接することで押圧する方向は、前記規制部材が前記第1状態から前記第2状態に変化する際に、前記規制部材の当接部が移動する方向と異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部材の当接部には、前記開閉部材の当接部と係合する係合部が形成されている ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材を前記第2状態から前記第1状態に戻るように付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記規制部材は、装置本体に装着された状態で前記画像形成の為の部材に当接する本体部と、前記本体部に対して移動可能なフラッパ部を備え、
前記フラッパ部が前記本体部に対して移動することにより前記規制部材は前記第1状態と前記第2状態に変化可能で、前記本体部及び前記フラッパ部は、前記第2状態から前記第1状態に戻るよう、前記付勢部材により付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開閉部材は軸周りに回動することで装置本体に対して開閉可能であり、
前記規制部材は、前記開閉部材が閉じられた装置本体に装着されている時、前記開閉部材により前記第2状態から前記第1状態に戻ることを規制され、前記開閉部材を実質的に前記軸に向かって付勢することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開閉部材の当接部が前記規制部材の当接部に当接することで押圧する方向は、前記規制部材が前記第1状態から前記第2状態に変化する際に、前記規制部材の当接部が移動する方向に対して実質的に直交することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
感光体を有し、前記画像形成の為の部材は前記感光体上の潜像を現像する複数の現像ユニットを保持する現像デバイスであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像デバイスは、前記複数の現像ユニットを回転可能に保持する現像ロータリであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像ロータリは、前記現像ロータリの回転軸が前記感光体から離れるように移動することで、前記感光体上の潜像を現像する現像位置から前記感光体から退避した退避位置へと移動可能であり、
前記規制部材は前記現像ロータリが前記退避位置から前記現像位置へ移動することを規制することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記規制部材による前記画像形成の為の部材を付勢する力は、前記第1状態の時の方が前記第2状態の時と比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
感光体上の潜像を現像する複数の現像ユニットを回転可能に保持する現像ロータリと、
装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、を有する画像形成装置であって、
前記現像ロータリは、前記現像ロータリの回転軸が前記感光体から離れるように移動することで、前記感光体上の潜像を現像する現像位置から前記感光体から退避した退避位置へと移動可能であり、
前記現像ロータリが前記退避位置から前記現像位置へ移動することを規制する規制部材を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−63752(P2012−63752A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166757(P2011−166757)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】