説明

画像形成装置

【課題】スキュー補正量を基にメモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を制御することでスキュー補正する機能、及びメモリ内の画像データの画素のうち、トナーを付着させる画素のトナー消費量を算出する際に、周囲の複数ラインの画素を参照する機能を有する画像形成装置において、トナー消費量算出専用のメモリを用いることなくトナー消費量算出を可能にする。
【解決手段】スキュー補正量を算出し(S1)、スキュー補正に必要なメモリ量D1を算出する(S2)。スキュー補正に使用しない余剰メモリの量D3を算出する(S3)。D3がトナー消費量算出に用いるメモリ量D4以上であれば、余剰メモリを利用してトナー消費量を算出する(S5)。D3がD4未満であれば、トナー消費量算出に参照するライン数を減らすか又はスキュー補正後にトナー消費量算出を行う(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ補正機能及びトナー消費量算出機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラープリンタやフルカラー複写機等の画像形成装置では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の4色のトナー画像をそれぞれ個別に形成する感光体ドラムを含む4つの画像形成ユニットが記録紙を搬送する搬送ベルト上にその記録紙の搬送方向に沿って配置し、各色の画像データに基づいて、各色に対応する感光体ドラム上に対応する色のトナー画像を形成し、この各色のトナー画像を搬送ベルトによって搬送されてくる記録紙に対して重ねて転写することでカラー画像を形成するタンデム方式のものがある。また、中間転写ベルト上で各色のトナー画像を重ねてカラー画像を形成し、そのカラー画像を記録紙に転写するタンデム方式のものもある。
【0003】
このようなタンデム方式の画像形成装置では、記録紙上に精度の高いカラー画像を形成するためには、各色のトナー画像を相互に色ずれ(位置ずれ)が生じないように記録紙上に転写する必要がある。しかし、感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成するためのLEDA(発光ダイオードアレイ)ヘッド等からなる露光部の取り付け誤差、LEDAを構成するLED素子の直線状配列からのずれ、感光体ドラムを含む画像形成ユニットの取り付け誤差、感光体ドラムの回転速度誤差、周囲温度等の環境変化による各画像形成ユニット間距離の微小変化や画像形成ユニット自体の変形等の種々の変動要因により色ずれが生じる。
【0004】
このため、タンデム方式のカラー画像形成装置においては、搬送ベルト上又は中間転写ベルト上に各色のトナーで所定のレジストパターン(色ずれ検出用パターン)を作像し、そのレジストパターンを光電センサで検出することで、例えばKを基準に、他の3色の各色間のずれ量を、主走査方向のレジストレーションずれ、副走査方向のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキューずれのように要因別に算出し、それぞれのずれの算出値から、それぞれのずれの補正量を算出し、それぞれのずれをなくすようにフィードバック補正することにより、色ずれを低減する機能を有するものが多い。
【0005】
このような色ずれ補正において、搬送ベルトや中間転写ベルトの移送方向と直交する幅方向である主走査方向と、移送方向と同方向である副走査方向との間の方向である斜め方向(傾き方向)の色ずれについては、以下のように電子的に補正することが知られている。
【0006】
即ち、画像メモリからラインメモリ(ラインバッファ)に複数ラインの画像データを書き込み、ラインメモリに記憶されている各色の画像データに基づいて感光体ドラム上に画像形成を行うときに、光電センサで検出したレジストパターンの位置情報に基づいて色ずれ補正量を算出し、感光体ドラム上に形成されるトナー画像が色ずれと逆方向に変位するように、色ずれ補正量に基づいて、ラインメモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を制御することで、色ずれを補正する。
【0007】
この場合、各ラインメモリがNライン分(例えば5ライン分)の記憶容量を持っていると、Kのトナー画像に対する有彩色のトナー画像の斜め方向の色ずれ量が±(N−1)ライン分(例えば、±4ライン分)に相当する範囲まで補正できる(特許文献1参照)。
【0008】
なお、斜め方向(傾き方向)の色ずれには、例えばLEDAが斜め方向に取り付けられたことに起因するスキュー、及びLEDAを構成するLED素子の直線状配列からのずれに起因するうねりがあるが、これらは上述の手段で補正することができるので、以後の説明では、スキュー及びうねりをまとめてスキューと呼ぶことにする。
【0009】
また、画像形成装置において、トナーを付着させる画素である印刷画素の数を計数し、その積算値に基づいてトナー消費量を求めることが知られている。しかし、実際には、ある画素にトナーを付着させる場合、トナーの乗り方は、周囲の画素の状態に影響され、一定にはならない。従って、トナー消費量は、印刷画素の数には必ずしも比例せず、印刷画素数の単純な積算値から精度良くトナー消費量を求めることはできない。
【0010】
この問題に対処した技術として、印刷画素の二次元配列状態、例えば注目している印刷画素を中心とする3×3画素内に存在する印刷画素の数に応じて、注目している印刷画素のトナー消費量を求めることで、周囲の画素の状態の影響を考慮し、トナー消費量の算出精度を向上させたトナー消費量算出方法がある(特許文献2)。ここで、3×3画素内に存在する印刷画素数を求めるには、3ライン分のラインメモリが必要である。
【0011】
ここで、上述したスキュー補正機能及びトナー消費量算出機能を画像形成装置に持たせることが考えられる。しかし、この場合、最大スキュー補正範囲をNライン(Nは2以上の整数)とした場合、スキュー補正用の画像データを記憶するために、(N+1)ライン分のラインメモリが必要であり、さらにトナー消費量の算出時に参照する画像データをLライン(Lは2以上の整数)とした場合、Lライン分のラインメモリが必要であるため、スキュー補正範囲の拡大、或いはトナー消費量算出精度の向上を図ろうとすると、必要なラインメモリの量が多くなり、コストがアップするという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、メモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を予め算出したスキュー補正量を基に制御することにより、スキューを補正する機能、及びメモリに記憶されている画像データの画素のうち、トナーを付着させる画素のトナー消費量を算出するときに、周囲の複数ラインの画素を参照して算出する機能を有する画像形成装置において、トナー消費量算出専用のメモリを用いることなくトナー消費量算出を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、メモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を予め算出したスキュー補正量を基に制御することにより、スキューを補正するスキュー補正手段と、メモリに記憶されている画像データの画素のうち、トナーを付着させる画素のトナー消費量を算出するときに、周囲の複数ラインの画素を参照するトナー消費量算出手段と、スキュー補正手段用に搭載されているメモリのうち、スキュー補正に使用しない分をトナー消費量算出手段に割り当てるメモリ割当手段と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を予め算出したスキュー補正量を基に制御することにより、スキューを補正する機能、及びメモリに記憶されている画像データの画素のうち、トナーを付着させる画素のトナー消費量を算出するときに、周囲の複数ラインの画素を参照する機能を有する画像形成装置において、トナー消費量算出専用のメモリを用いることなくトナー消費量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の画像形成装置がトナー消費量算出に利用するメモリを選択する処理を示すフローチャートである。
【図4】スキュー補正用ラインメモリの余剰領域をトナー消費量算出用に割り当てた状態を示す図である。
【図5】スキュー補正を行わない色のラインメモリをトナー消費量算出用に割り当てた状態を示す図である。
【図6】最大4ビット/画素の画像データを想定して搭載されているスキュー補正用ラインメモリに2ビット/画素の画像データを記憶する場合に、余剰領域をトナー消費量算出用に割り当てた状態を示す図である。
【図7】スキュー補正用のラインメモリのスキュー補正後の領域を用いてトナー消費量算出を行う動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
〈画像形成装置の全体構成〉
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成装置の全体構成を示す図である。
図1は本発明が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
この画像形成装置は、無端状移動手段である搬送ベルトに沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデム方式といわれるものである。即ち、給紙トレイ1から給紙ローラ2と分離ローラ3とにより分離給紙される記録紙4を搬送する搬送ベルト5に沿って、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6K、6M、6C、6Yが配列されている。
【0018】
これら複数の画像形成部6K、6M、6C、6Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6Kはブラックの画像を、画像形成部6Mはマゼンタの画像を、画像形成部6Cはシアンの画像を、画像形成部6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0019】
よって、以下の説明では、画像形成部6Kについて具体的に説明するが、他の画像形成部6M、6C、6Yは画像形成部6Kと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6Yの各構成要素については、画像形成部6Kの各構成要素に付したKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0020】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0021】
画像形成部6Kは、感光体としての感光体ドラム9K、この感光体ドラム9Kの周囲に配置された帯電器10K、LEDAヘッド11K、現像器12K、感光体クリーナ(図示せず)、除電器13K等から構成されている。LEDAヘッド11K、11M、11C、11Yは、各画像形成部6K、6M、6C、6Yを露光するように構成されている。
【0022】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された記録紙4は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される。さらに記録紙4は、搬送ベルト5により最初の画像形成部6Kに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。即ち、感光体ドラム9Kと搬送ベルト5上の転写紙と接する位置(転写位置)で転写器15Kによって転写され、記録紙4上にブラックの画像を形成する。
【0023】
転写を終えた感光体ドラム9Kでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナによってクリーニングされ、次の色の画像形成に備える。このように、画像形成部6Kでブラックのトナー像を転写された記録紙4は、搬送ベルト5によって画像形成部6Mに搬送される。ここでも、画像形成部6Kと同様に、感光体ドラム9M上に形成されたトナー像は記録紙4上に重ねて転写される。記録紙4は、さらに画像形成部6C、画像形成部6Yに搬送され、これまでに行われたと同様に、形成されたトナー像が転写されて、カラー画像が形成される。画像形成部6Yを通過してカラー画像が形成された記録紙4は、搬送ベルト5から剥離され、定着器16にて定着された後、排紙される。
【0024】
また、この画像形成装置では、各色の画像形成部6K、6M、6C、6Yは搬送ベルト5上に各色(K、M、C、Y)のトナーで所定のレジストパターンを作像し、そのレジストパターンを光電センサ17、18、19により検出することで、各色間のスキュー補正量を算出し、色ずれを補正する機能を有する。なお、この色ずれ補正機能の詳細は公知であるから(例えば、特許文献1及び特開2007−108283号公報)、説明を省略する。
【0025】
〈画像形成装置の機能ブロック〉
図2は本実施形態の画像形成装置の機能ブロック図である。
この画像形成装置は、コンピュータインタフェース部24、CTL(コントローラ)25、プリントジョブ管理部26、書込部27、ラインメモリ28、作像プロセス部29、定着部30、読取部31、操作部32、記憶部33、及び制御部34を備えている。
【0026】
コンピュータインタフェース部24は、この画像形成装置に印刷要求を行うパーソナルコンピュータなどの端末装置(図示せず)と通信を行う。CTL25は、上記端末装置から送信された印刷要求に係る画像データを制御部34に送信する。プリントジョブ管理部26は、画像形成装置に要求された印刷ジョブについて印刷を行う順番を管理する。
【0027】
書込部27は、CTL25から送信された画像データをLEDAヘッド11K、11M、11C、11Yを発光させるための信号に変換し、LEDAヘッド11K、11M、11C、11Yを点灯させ、感光体ドラム9K、9M、9C、9Yを露光する。ラインメモリ28は、CTL25から送信された画像データを一時的に格納するバッファメモリであり、想定した最大スキュー補正量に応じたライン数の画像データを記憶する容量を持っている。
【0028】
書込部27は、LEDAヘッド11K、11M、11C、11Yを発光させるとき、制御部34によるラインメモリ28に書き込まれた画像データを読み出すとき、読出アドレスをスキュー補正量に応じて切り替える公知の画像処理によってスキューを補正する。つまり、制御部34と書込部27が本発明のスキュー補正手段に対応する。
【0029】
作像プロセス部29は、書込部27により露光された感光体ドラム9K、9M、9C、9Yから電子写真方式によりトナー画像を作成し、記録紙4に転写する。印刷時に位置ずれ検知した場合は、補正を行う。定着部30は、作像プロセス部29によりトナー画像が転写された記録紙4に定着器16を用いて熱と圧力を加えてトナー画像を記録紙4に定着する。
【0030】
読取部31は原稿上の画像を電気信号に変換する。操作部32は、この画像形成装置の状態の表示、画像形成装置への入力の受付などを行う。記憶部33は、ある時点における画像形成装置の状態を記憶している。制御部34は上記各ブロックの一連の動作を制御する。また、制御部34はトナー消費量算出に関する各種処理(後の詳述する)を実行する。
【0031】
〈トナー消費量算出を行うときのメモリ選択処理〉
図3は本実施形態の画像形成装置がトナー消費量算出に利用するメモリを選択する処理を示すフローチャートである。
【0032】
まず制御部34は公知の手順でスキュー補正量を算出する(ステップS1)。即ち、搬送ベルト5上に画像形成部6K、6M、6C、6Yが各色のトナーで所定のレジストパターンを作像し、そのレジストパターンを光電センサ17、18、19により検出し、その検出出力を基に制御部34がスキュー補正量を算出する。ここでは、コントラストの最も高いKを基準にM、C、Yのスキュー補正量を算出する。ただし、K以外の色を基準にすることもできる。また、全色の平均を基準とし、それに全色を合わせることもできる。
【0033】
次に制御部34は、M、C、Yのスキュー補正量の算出値に基づいて、M、C、Yのスキュー補正に必要なラインメモリ28の容量D1を算出する(ステップS2)。ここで、スキュー補正量の算出値がN1ラインであれば、スキュー補正に必要なラインメモリの容量は(N1+1)ラインの画像データの記憶に必要な容量となる。即ち、各色の画像データの1ラインの画素数がn、1画素当たりのビット数がmの場合、(N1+1)×n×m[ビット]の容量が1つの色のスキュー補正に必要となる。
【0034】
次に制御部34は、スキュー補正用に搭載されているラインメモリ28の全容量D0からステップS2で算出された容量D1を減算することで、スキュー補正に使用しない余剰ラインメモリ量D3を算出する(ステップS3)。
【0035】
次いで制御部34は、余剰ラインメモリ量D3と、トナー消費量算出に使用するラインメモリ量D4とを比較する(ステップS4)。ここで、トナー消費量算出に使用するラインメモリ量D4は予め設定され、記憶部33に記憶されている。
【0036】
制御部34は、比較の結果、余剰ラインメモリ量D3がトナー消費量算出に使用するラインメモリ量D4以上であれば、余剰ラインメモリ量D3の少なくとも一部をトナー消費量算出に割り当てる(ステップS5)。
【0037】
一方、比較の結果、余剰ラインメモリ量D3がトナー消費量算出に使用するラインメモリ量D4未満であれば、トナー消費量算出に参照するライン数を減らすことで、トナー消費量算出に使用するラインメモリ量を余剰ラインメモリ量D3以下にし、余剰ラインメモリ量D3の少なくとも一部をトナー消費量算出に割り当てるか、又はスキュー補正後にスキュー補正用のラインメモリの領域を割り当てる(ステップS6)。
【0038】
〈スキュー補正用ラインメモリをトナー消費量算出用に割り当てた具体例〉
次に、図3のステップS5、S6で実行される余剰ラインメモリの割当について具体的に説明する。
【0039】
図4は、スキュー補正用に搭載されているラインメモリ28の全容量D0のうち、余剰分をトナー消費量算出用に割り当てた状態を示している。図4A、Bにおいて、格子状のパターンの各矩形が1画素を示し、横方向が主走査方向、縦方向が副走査方向である。つまり、図4では、便宜上、1ラインの画素数が10、スキュー補正用に搭載されているラインメモリ28の容量は20ライン分である。従って、19ライン分のスキューを補正することができる。
【0040】
そして、図4Aでは、ラインメモリ28の全容量D0(図示は20ライン分)のうち、スキュー補正に使用するラインメモリ量がD1a(図示は12ライン分)であり、D0からD1aを減算した余剰ラインメモリ量「D0−D1a」(図示は8ライン分)をトナー消費量算出に流用している状態である。また、図4Bは、スキュー補正に使用するラインメモリ量D1bが図4Aよりも多いため(図示は15ライン分)、その分、トナー消費量算出に使用するラインメモリ量が少なくなっている。
【0041】
図4A、Bにおいて、トナー消費量算出に流用しているエリアの格子に所定の密度で点を配置したのは、その格子(ドット)が画像データの記憶に使用されることを意味する。また、スキュー補正に使用しているエリアの格子において、所定の密度で点を配置した矩形の上下の端が傾斜しているのはスキューの発生を示している。即ち図4Aでは主走査方向の左端と右端で3ライン分のスキューが発生し、図4Bでは6ライン分のスキューが発生していることを示している。
【0042】
図5は、スキュー補正を行わない色がKである場合、即ちKをスキュー補正の基準色とした場合、Kのスキュー補正用に搭載されているラインメモリの全量をY、M、C、Kのトナー消費量算出用に割り当てるとともに、Y、M、Cについては、それぞれの色用のラインメモリを用いてスキュー補正を行う状態を示している。
【0043】
即ち、図5Aに示すように、Kスキュー補正用ラインメモリをY、M、C、Kのトナー消費量算出用に割り当てるとともに、図5B、図5C、図5Dに示すように、Yスキュー補正用ラインメモリ、Mスキュー補正用ラインメモリ、Cスキュー補正用ラインメモリをそれぞれY、M、Cのスキュー補正に用いている。
【0044】
図6は、ラインメモリ28が1画素当たり4ビットの画像データの所定数のライン分の記憶容量を持つ場合に、入力される画像データが2ビットの場合に、余剰となる1/2の容量をトナー消費量算出に用いる様子を示している。
【0045】
即ち図6Aに示すように、1画素当たり4ビットの画像データのスキュー補正にラインメモリ28の全量が必要であった場合、1画素当たり2ビットの画像データのスキュー補正にはラインメモリ28の1/2の量で済むため、1/2が余剰となる。そこで、この余剰分をトナー消費量算出に使用する。
【0046】
図6では、1画素当たりのビット数が少ない画像データのスキュー補正の余剰分をトナー消費量算出に使用しているが、1ライン当たりの画素数が少ない画像データのスキュー補正を行うときにも余剰分が発生するので、その余剰分をトナー消費量算出に使用することができる。
【0047】
なお、スキュー補正、及びトナー消費量算出は、画像形成中、常時実行する。従って、図3のS6で「スキュー補正後の領域を利用」の場合を除き、同一の画像データをスキュー補正用のラインメモリ28のスキュー補正用のエリア、及びトナー消費量算出に流用したエリアに並行して書き込むことになる。ただし、スキュー補正に用いる画像データと、トナー消費量算出に用いる画像データとは、厳密には同一ではなく、それぞれに利用しやすい形にしてもよい。例えば、スキュー補正用はそのままとし、トナー消費量用にはγ変換などを施したものとする。
【0048】
次に、図3のS6で「スキュー補正後の領域を利用」の場合の動作について、図7を用いて説明する。
まず、図7Aに示すように、ラインメモリ28に画像データ1が書き込まれる。画像データ1のライン数はスキュー補正に必要なライン数である。
【0049】
ラインメモリ28に対する画像データ1の書込が完了すると、図7Bに示すように、ラインメモリから画像データ1が読み出され、LEDAヘッドに供給される。この書込/読出によりスキュー補正が行われる。ラインメモリ28から読み出された画像データ1は、LEDAヘッドに供給されるとともに、読出により空いたラインメモリ28の領域に書き込まれる。
【0050】
次いで図7Cに示すように、画像データ1は、再びラインメモリ28から読み出され、トナー消費量算出手段により、トナー消費量が算出される。トナー消費量算出手段は、制御部34の機能として実現される機能ブロックである。
【0051】
以上で画像データ1のスキュー補正及び画像データ1を用いたトナー消費量算出が終わる。次に図7Dに示すように画像データ2がラインメモリに書き込まれる。以後、画像データ1の場合と同様に、画像データ2を用いてスキュー補正及びトナー消費量算出が行われる。
【0052】
つまり、図3のS6で「スキュー補正後の領域を利用」の場合は、スキュー補正用のラインメモリ28のスキュー補正用のエリアから読み出した画像データを基にLEDAヘッドを発光させて感光体ドラムを露光するとともに、その画像データを再度ラインメモリ28のトナー消費量算出に流用したエリアに書き込んでトナー消費量算出に用いる。
【0053】
このように、本発明の第1の実施形態の画像形成装置によれば、予めスキュー補正用に搭載されている複数ライン分のラインメモリ28のうち、スキュー補正に使用しない分をトナー消費量算出用に割り当てることで、トナー消費量算出専用のラインメモリを用いることなくトナー消費量を算出することができる。
【0054】
なお、以上の実施形態では、トナー消費量算出用のラインメモリを搭載せず、スキュー補正用ラインメモリのみを利用してトナー消費量算出を行っているが、例えば1ライン分のトナー消費量算出用のラインメモリを搭載し、足りない分について、スキュー補正用ラインメモリを利用するように構成することもできる。
【0055】
[第2の実施形態]
〈画像形成装置の全体構成〉
【0056】
図8は本発明の第2の実施形態の画像形成装置の全体構成を示す図である。この図において、図1(第1の実施形態)と同一又は対応部分には図1と同じ参照符号を付した。
【0057】
図示のように、無端状移動手段は搬送ベルトではなく、中間転写ベルト5である。中間転写ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。
【0058】
各色のトナー画像は、感光体ドラム9K、9M、9C、9Yと中間転写ベルト5とが接する位置(1次転写位置)で、転写器15K、15M、15C、15Yの働きにより中間転写ベルト5上に転写される。この転写により、中間転写ベルト5上に各色のトナーによる画像が重ね合わされたフルカラー画像が形成される。
【0059】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された記録紙4は最も上のものから順に送り出され、中間転写ベルト5上に搬送され、中間転写ベルト5と記録紙4とが接する位置(2次転写位置21)にて、フルカラーのトナー画像を転写される。2次転写位置には2次転写ローラ22が配置されており、記録紙4を中間転写ベルト5に押し当てることで転写効率を高めている。2次転写ローラ22は中間転写ベルト5に密着しており、接離機構は無い。このフルカラーの重ね画像が形成された記録紙4は、中間転写ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0060】
本実施形態の画像形成装置では、中間転写ベルト5上にレジストパターンが形成され、それが光電センサ17、18、19により読み取られる。画像形成装置の機能ブロック、スキュー補正機能、及びトナー消費量算出機能は第1の実施形態(図2〜図7)と同じであるから、それらに関する説明を省略する。
【符号の説明】
【0061】
5…搬送ベルト、中間転写ベルト、17〜19…光電センサ、27…書込部、28…ラインメモリ、29…作像プロセス部、34…制御部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2004−163547号公報(段落0007)
【特許文献2】特開2007−78794号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに対する複数ラインの画像データの書込/読出を予め算出したスキュー補正量を基に制御することにより、スキューを補正するスキュー補正手段と、
メモリに記憶されている画像データの画素のうち、トナーを付着させる画素のトナー消費量を算出するときに、周囲の複数ラインの画素を参照するトナー消費量算出手段と、
スキュー補正手段用に搭載されているメモリのうち、スキュー補正に使用しない分をトナー消費量算出手段に割り当てるメモリ割当手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記スキュー補正手段及びトナー消費量算出手段を同時に動作させる制御手段を有する画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像形成装置において、
予め算出されたスキュー補正量に基づいて、スキュー補正に必要なメモリの容量を算出するスキュー補正用メモリ量算出手段を有し、
前記メモリ割当手段は、予めスキュー補正用に搭載されているメモリの全容量のうち、当該スキュー補正用メモリ量算出手段により算出された容量をスキュー補正手段に割り当て、残りの容量をトナー消費量算出手段に割り当てる画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載された画像形成装置において、
スキュー補正を行わない色を設定する手段を有し、
前記メモリ割当手段は、当該色のスキュー補正手段用に搭載されているメモリを当該色及び他の色のトナー消費量算出手段に割り当てる画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載された画像形成装置において、
前記メモリ割当手段は、画像データの1画素当たりのデータ量が想定している最大量より少ないとき、その差異によりスキュー補正で余剰となる領域をトナー消費量算出手段に割り当てる画像形成装置。
【請求項6】
請求項3に記載された画像形成装置において、
トナー消費量算出に参照する画像データのライン数を可変設定するライン数設定手段を有する画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載された画像形成装置において、
前記ライン数設定手段は、設定するライン数の画像データの記憶に必要な容量が前記残りの容量以下になるようにライン数を設定する画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記メモリ割当手段は、スキュー補正手段による画像データの読出が終了した領域をトナー消費量算出手段に割り当てる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−64873(P2013−64873A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203573(P2011−203573)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】