説明

画像形成装置

【課題】スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行う。
【課題を解決するための手段】画像形成装置1は、光走査部12と、画像データに基づく階調データを生成する階調データ生成部111と、階調データに対応するパルス幅を示す駆動パルス幅情報を作成するハーフトーン処理部112と、駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が予め定められた範囲内の値となる場合にはパルス幅を当該範囲外の値に変更し、駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が上記範囲外の値であれはパルス幅を維持し、当該変更又は維持されたパルス幅を用いて駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部113と、当該駆動制御信号を用いて光走査部12を駆動する駆動制御部121とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成の対象とされる画像データに基づいて光走査装置が行う感光体表面への露光に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置では、再生される画像の階調を表現するためにスクリーン処理が行われている。このスクリーン処理を行う画像形成装置による画像形成では、スクリーン処理後の画像に、急激な階調変化となるトーンジャンプが発生して、階調処理の品質が安定しない場合がある。このため、特許文献1に示される画像形成装置のように、ハーフトーン処理部により、Mビットの画像データをN(M>N)ビットの駆動パルス幅情報に変換すると共に、閾値マトリクスから出力される複数の閾値と画像データとを、当該複数の閾値又は画像データにランダムノイズを混入した上でそれぞれを比較器により比較し、変換回路により、当該比較結果に応じて駆動パルス幅情報を生成することで、トーンジャンプの発生を抑えるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−42325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される画像形成装置の場合、トーンジャンプを発生させる領域だけでなく、トーンジャンプを発生させる虞のない領域にも、トーンジャンプを抑制するためのランダムノイズを混入するため、トーンジャンプを発生させる虞のない領域の画像が、当該ランダムノイズ混入により、画像品質が低下する(所謂ざらつき感が生じる)という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、感光体の表面にレーザー光を照射して走査する光走査部と、
画像データに基づく階調データを画素毎に生成する階調データ生成部と、
前記階調データ生成部によって生成された階調データに対応するパルス幅を示す駆動パルス幅情報を画素毎に作成するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる値に変更し、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、当該予め定められた範囲外の値となる場合には当該パルス幅を維持する処理を行い、当該変更又は維持されたパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、
前記駆動制御信号生成部によって生成された駆動制御信号を用いて前記光走査部を駆動する駆動制御部と
を備えた画像形成装置である。
【0007】
この発明によれば、駆動制御信号生成部が、ハーフトーン処理部が画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる値に変更し、当該変更したパルス幅を有するパルス幅を用いて、光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成するため、上記予め定められた範囲となる値を、当該画像形成装置の製造者等が予め計測しておいた、光走査部の駆動制御信号を構成する各画素に対応するパルス幅であって、トナーが付着するかしないか不安定な光量での露光を行うことになるパルス幅とすれば、この不安定なパルス幅を有する駆動制御信号を用いて駆動制御部が光走査部に光照射させることがなくなる。これにより、当該光走査部の光照射による露光で形成される感光体表面上の静電潜像は、トナーが付着するかしないか不安定な領域が低減されるため、スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記駆動制御信号生成部は、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、前記予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる直近の値に拡大又は縮小する変更処理を行い、当該変更処理を経たパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成するものである。
【0009】
この発明によれば、駆動制御信号生成部が、ハーフトーン処理部が画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる直近の値に拡大又は縮小する変更を行い、当該変更したパルス幅を用いて、光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成するため、トナーが付着するかしないか不安定な露光を行うことになるパルス幅を有する駆動制御信号を用いて駆動制御部が光走査部に光照射させることがなくなる。これにより、当該光走査部の光照射による露光で形成される感光体表面上の静電潜像は、トナーが付着するかしないか不安定な領域が低減されるため、スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記駆動制御信号生成部は、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅について前記変更処理を行う際に、前記拡大又は縮小のいずれを行うかを、予め定められた規則に従って振り分けるものである。
【0011】
この発明によれば、駆動制御信号生成部が、上記パルス幅を上記予め定められた範囲内から外れる直近の値に変更する際、当該パルス幅の値よりも大きな直近の値に拡大するか、当該パルス幅の値よりも小さな直近の値に縮小するかを、予め定められた規則に従って振り分けるので、例えば、当該予め定められた規則を、上記拡大又は縮小が所定数連続しない配分とする規則、又は乱数等とすることで、上記拡大又は縮小のいずれかに偏って当該パルス幅が変更されることが回避される。このため、上記パルス幅が、上記拡大又は縮小の一方に偏って変更されてしまうことにより、階調が本来の階調から大きく変化するといった不具合を防止することが可能になる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置であって、前記駆動制御信号生成部は、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅となる画素の周辺に、前記予め定められた範囲から外れている値からなるパルス幅となる画素が存在する場合には、当前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅については、前記予め定められた範囲内の値となる場合であっても、前記変更処理を行わないものである。
【0013】
本発明では、上記パルス幅変更処理の対象となるパルス幅に対応する画素の周辺に、上記予め定められた範囲から外れている値からなるパルス幅となる画素が存在する場合には、当該周辺に存在する画素についてのパルス幅を有する駆動制御信号での光走査部の光照射の影響により、上記予め定められた範囲内の値からなるパルス幅となる画素についての光照射は、上記トナーが付着するか否かが不安定となる事態が抑制されるため、この場合には、駆動制御信号生成部は、当該変更処理の対象としているパルス幅については上記変更処理を行わないことで、元々の階調データに従ったパルス幅を有する駆動制御信号に近付けることを可能とし、元の画像データの再現性を可及的に維持することを可能にしている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記駆動制御信号生成部は、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、前記予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅に前記変更処理を行うと共に、当該パルス幅の変更分を、当該パルス幅が変更された画素の周辺に存在する画素についてのパルス幅に配分するものである。
【0015】
この発明によれば、駆動制御信号生成部は、上記変更処理によるパルス幅の変更分を、当該パルス幅が変更された画素の周辺画素のパルス幅に配分するので、パルス幅変更の前後での露光エネルギー変化が少なくなり、上記変更処理によるパルス幅の変更により、再現される画像に影響を生じるはずであった階調変化分を、周辺画素の階調により補わせることができる。このため、上記トナーが付着するか否かが不安定となるパルス幅をキャンセルする場合であっても、元の画像データの再現性を可及的に維持することが可能である。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記駆動制御信号生成部は前記変更処理を行わず、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成し、
前記ハーフトーン処理部において前記パルス幅を作成するスクリーン処理に用いられ、前記階調データとこれに対応する前記駆動パルス幅情報の対応関係を示すスクリーンテーブルにおいて、前記階調データに対応して記憶されている前記駆動パルス幅情報の値が、前記予め定められた範囲外の値とされているものである。
【0017】
この発明によれば、駆動制御信号生成部によらず、ハーフトーン処理部でのスクリーン処理において、上記トナーが付着するか否かが不安定となる露光を行うことになるパルス幅を排除して、上記予め定められた範囲外となる値のパルス幅のみを作成することで、当該不安定となる露光を行うことになるパルス幅が作成されることを未然に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る露光装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】ハーフトーン処理部の概略構成を示す図である。
【図3】光走査部による露光で形成される画像を構成するスクリーンを示す図である。
【図4】駆動制御信号の例を示す図である。
【図5】は(A)は画素p1〜p9の階調データを示す図、(B)は画素別のスクリーンテーブルを示す図、(C)は画素p1〜p9の駆動パルス幅情報を示す値、(D)は画素毎の駆動制御信号を示す図である。
【図6】駆動制御信号生成部によるパルス幅変更処理の第1実施形態を示す図である。
【図7】駆動制御信号生成部によるパルス幅変更処理の第2実施形態を示す図である。
【図8】駆動制御信号生成部によるパルス幅変更処理の第3実施形態を示す図である。
【図9】駆動制御信号生成部によるパルス幅変更処理の第4実施形態を示す図である。
【図10】(A)は駆動制御信号生成部による変更前の駆動制御信号を示す図、(B)は駆動制御信号生成部による変更後の駆動制御信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び露光装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。なお、図1においては、本発明の実施形態に関する構成を主に示している。
【0021】
画像形成装置1は、例えば、カラー画像の画像形成が可能とされた複合機、プリンタ等からなる。なお、複合機とは、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリンタ機能等の複数機能を備えた装置をいう。
【0022】
画像形成装置1は、制御部11と、光走査部12とを備えている。制御部11は、CPU、RAM、ROM、集積回路等により構成され、画像形成装置1の全体的な駆動制御を司る。制御部11は、階調データ生成部111と、ハーフトーン処理部112と、駆動制御信号生成部113とを備える。なお、露光装置10は、少なくとも制御部11及び光走査部12を備え、上記画像形成装置1から露光制御に必要でない機構を排した構成である。
【0023】
階調データ生成部111は、パーソナルコンピューター2から出力されてくる画像データ(RGB表色系の階調データ)を取得し、当該画像データを画素毎にRGB表色系からCMYK表色系の階調データに変換する。ここでは、CMYK表色系の階調データは、1画素が8bitで構成され、256階調を有する。階調データ生成部111は、当該CMYK表色系の階調データをハーフトーン処理部112に出力する。
【0024】
ハーフトーン処理部112は、階調データ生成部111によって画素毎に生成された上記CMYK表色系の階調データに対応するパルス幅を示す駆動パルス幅情報を画素毎に作成する。ハーフトーン処理部112は、当該駆動パルス幅情報を駆動制御信号生成部113に出力する。
【0025】
駆動制御信号生成部113は、ハーフトーン処理部112が画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅に従って、発光部122の駆動に用いる駆動制御信号を生成する。
【0026】
例えば、駆動制御信号生成部113は、ハーフトーン処理部112が画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、予め定められた範囲内となるか否かを判断し、予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる値に変更し、当該駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、上記予め定められた範囲外の値である場合には、当該パルス幅を維持する処理を行う。駆動制御信号生成部113は、当該変更又は維持の処理を行ったパルス幅を用いて、光走査部12の発光部122による光照射の駆動制御に用いる駆動制御信号(駆動電流)を生成する。駆動制御信号生成部113は、光走査部12の駆動制御部121に当該駆動制御信号を出力する。
【0027】
上記パルス幅とは、後述する光走査部12の駆動制御部121が発光部122の駆動制御に用いる制御信号(駆動電流)を構成するパルス幅であって、各画素毎に定められ、対応する画素についての光照射の内容を指示するものである。なお、本実施形態では、上記予め定められた範囲は、当該画像形成装置1及び露光装置10の製造時に、これら装置の製造者等により、以下のようにして定められる。当該製造者等は、当該画像形成装置1により画像形成を行い、ハーフトーン処理部112に画素毎に予め記憶されているスクリーンテーブルを用いた場合における記録紙上への画像形成結果を確認し、当該画像において、トーンジャンプ等、階調再現性に乱れが発生している箇所を特定し、更に当該特定した箇所に対応する画素を特定し、この画素に対応する上記パルス幅を特定する。そして、製造者等は、当該特定したパルス幅を、トナーが付着するか否かが不安定な露光を行うパルス幅として特定し、この不安定な露光になると特定したパルス幅を集計し、当該不安定なパルス幅が最も多く集中する範囲(パルス幅の範囲)を上記予め定められた範囲とする。製造者等は、このように定めた予め定められた範囲を、駆動制御信号生成部113に内蔵される図略のメモリー等に記憶させる。
【0028】
光走査部12は、画像形成装置1に備えられる図略の感光体ドラムの表面を露光するために、感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向としてレーザー光を照射する機構である。光走査部12は、駆動制御部121と、発光部122とを備えている。
【0029】
駆動制御部121は、発光部122を駆動制御するドライバである。駆動制御部121は、制御部11の駆動制御信号生成部113によって生成された上記駆動制御信号を用いて、発光部122による光照射を駆動制御する。
【0030】
発光部122は、例えば半導体レーザー(レーザーダイオード)等を備え、図略の感光体ドラムの表面に、感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向として照射するためのレーザー光を発する。
【0031】
発光部122により発光されたレーザー光は、感光体ドラム表面における静電潜像の形成領域に照射され、図略の帯電装置により帯電された感光体ドラム表面を露光し、感光体ドラム表面上に静電潜像を形成する。感光体ドラム上に形成された静電潜像に、図略の現像装置から供給される帯電トナーが付着し、感光体ドラム表面にトナー画像が形成されると、転写ローラー(或いは、中間転写ベルトへの転写を介した上で)により当該トナー像が記録紙に転写されて、記録紙上に画像が形成される。
【0032】
パーソナルコンピューター2について説明する。パーソナルコンピューター2には、アプリケーションプログラム21(例えば、ワードプロセッサ、図形作成ソフト等)がインストールされている。このアプリケーションプログラム21により画像形成の対象とされる文字データや図形データが作成される。アプリケーションプログラム21で作成されたデータは、画像形成装置1に対応するプリンタドライバ22に、当該アプリケーションプログラム21から出力される。プリンタドライバ22は、予めパーソナルコンピューター2にインストールされている。プリンタドライバ22は、アプリケーションプログラム21から取得した当該データを画素毎のRGB(各色の画素毎に8bitの256階調で表現される)の階調データからなる画像データに変換する。パーソナルコンピューター2は、当該変換された画像データを、ネットワーク等を介して画像形成装置1に出力する。
【0033】
図2は、ハーフトーン処理部112の概略構成を示す図である。図2を参照してハーフトーン処理部112の構成を説明する。ハーフトーン処理部112は、ページメモリー1121、スクリーン処理部1122及びスクリーンテーブル部1123を備える。
【0034】
ページメモリー1121は、階調データ生成部111から取得されたCMYK表色系の階調データを格納する。当該階調データは上述の通り各画素毎に構成されている。スクリーンテーブル部1123は、メモリー等に記憶されており、画素別に用意されたスクリーンテーブル(ガンマテーブル)の集合を示す。各スクリーンテーブルは、対応する画素の階調データと、当該階調データに対応するパルス幅との対応関係を記憶している。当該パルス幅は、発光部122の駆動制御信号において、当該画素及びこの画素の階調データに対応する発光部122による光照射内容を定めるものである。
【0035】
スクリーン処理部1122は、ページメモリー1121に格納されている上記各画素毎の階調データを、スクリーンテーブル部1123を用いて上記パルス幅に変換する処理を行う。スクリーン処理部1122は、各画素毎に、スクリーンテーブル部1123から、対応するスクリーンテーブルを参照して、上記各画素の階調データに対応する駆動パルス幅情報を読み出すことにより、上記各画素の階調データを駆動パルス幅情報に変換する。駆動制御信号生成部113に出力する。
【0036】
次に、光走査部12による露光で形成される画像を説明する。図3は光走査部12による露光で形成される画像を構成するスクリーンを示す図である。スクリーンSは、例えば、図3に示すように、縦3×横3の画素からなる。上述した駆動制御信号生成部113が生成する駆動制御信号は、当該縦3×横3の画素をなす画素p1〜p9のそれぞれについて、画素においてトナーを付着させる領域(トナー付着領域)の大きさを定める。当該駆動制御信号は、1画素毎に、High信号及びLow信号により形成される矩形波を形成し、例えば、High信号のパルス幅により上記トナー付着領域の大きさ(面積)を指定する。画素p1〜p9のそれぞれについて上記駆動制御信号により定められたトナー付着領域はドットd1〜d9となる。当該ドットd1〜d9により網点htが形成され、この網点htの大きさにより、中間調(ハーフトーン)の階調が表現される(ディザ法)。
【0037】
例えば、図4に実線で示すように、駆動制御信号生成部113は、上記駆動制御信号において画素p1〜p9に対応するそれぞれ矩形波のパルス幅を0〜100%の値で設定することにより、画素p1〜p9を、トナーを付着させるドットとして機能させるか否か、更には、トナー付着領域の大きさ(面積)を指定して当該ドットの大きさを定めること、が可能である。各画素の階調データは上述したように256階調で表現されるため、駆動制御信号生成部113は、当該階調に対応するパルス幅のパルス幅変調信号を出力する。図4は図3に示した各ドットd1〜d9の大きさからなるスクリーンSを形成する場合の駆動制御信号を示し、二点鎖線は、画素p1〜p9に対応するそれぞれ矩形波のパルス幅が100%である場合を示している。
【0038】
次に、スクリーン処理部1122によるパルス幅設定を説明する。図5は(A)は画素p1〜p9の階調データを示す図、(B)は画素別のスクリーンテーブルを示す図、(C)は画素p1〜p9の駆動パルス幅情報を示す値、(D)は画素毎の駆動制御信号を示す図である。
【0039】
なお、上記では、階調データに対応する駆動パルス幅情報を256階調での表現としているが、各駆動パルス幅からなるドットへのトナー付着量を明確に区別して制御するため、駆動制御信号生成部113は、駆動パルス幅情報から駆動制御信号に適用するパルス幅への変換時には、256段階よりも少ない段階(例えば16段階等)のパルス幅を採用する。
【0040】
上述したような縦3×横3の画素について、スクリーン処理部1122が、階調データから駆動パルス幅情報への変換を行う場合、スクリーン処理部1122は、まず、ページメモリー1121に格納されている画素p1の階調データ“70” (図5(A))を読み出し、当該画素p1に対応するスクリーンテーブル(図5(B))をスクリーンテーブル部1123から選択する。スクリーン処理部1122は、選択したスクリーンテーブルを参照して、階調データ“70”に対応する駆動パルス幅情報を読み出す。ここでは、画素p1の階調データ“70”に対応する駆動パルス幅情報は“255”である(図5(B)(C))。スクリーン処理部1122は、読み出した駆動パルス幅情報“255”を駆動制御信号生成部113に出力する。駆動制御信号生成部113は、画素p1については、駆動パルス幅情報“255”に対応するパルス幅を有する駆動制御信号(図5(D))を生成し、生成した駆動制御信号を光走査部12の駆動制御部121に出力する。他の画素p2〜p9についても、上記と同様にして、スクリーン処理部1122が、対応する駆動パルス幅情報を読み出し、駆動制御信号生成部113が駆動パルス幅情報に対応する駆動制御信号を生成する。上述したように、スクリーン処理部1122は、スクリーンテーブルを画素別に記憶しており、各画素に応じたスクリーンテーブルを用いて上記階調データに対応する駆動パルス幅Dを読み出す。なお、図5(A)〜(D)には、画素p1の他、画素p2,p3についてのパルス幅設定を示している。図5(D)に示すように、駆動制御信号生成部113は、画素p1の駆動パルス幅情報“255”、画素p2の駆動パルス幅情報“130”、画素p3の駆動パルス幅情報“0”のそれぞれに対応するパルス幅の駆動制御信号を生成する。
【0041】
次に、駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第1実施形態について説明する。図6は駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第1実施形態を示す図である。
【0042】
駆動制御信号生成部113は、上記のように、ハーフトーン処理部112により階調データから変換された各画素毎の駆動パルス幅情報に従って、当該駆動パルス幅情報に対応するパルス幅を各画素毎に有する発光部122の駆動制御信号を生成するが、本実施形態では、このとき、駆動制御信号生成部113は、以下に示すパルス幅変更処理を行った上で当該パルス幅生成を行う。
【0043】
例えば、駆動制御信号生成部113は、駆動パルス幅情報から上記パルス幅へ変換する時に、0 nsec,1 nsec,2 nsec,3 nsec,4 nsec,5 nsec,6 nsec,7 nsec,8 nsec,9 nsec,10 nsec,11 nsec,12 nsec,13 nsec,14 nsec,15nsecの16段階のパルス幅を用いる。なお、駆動パルス幅情報からパルス幅への当該変換は、必ずしも線形変換である必要はない。以下、当該変換処理について同様である。
【0044】
このように変換されたパルス幅を用いてドットを形成するとき、当該ドットにトナーが付着するか否かが不安定になる場合がある。本実施形態では、このようにトナー付着が不安定による範囲(以下、トナー付着不安定範囲)が2〜5nsecからなるパルス幅の範囲であるものとする。なお、このトナー付着不安定範囲は、製造者等が、当該画像形成装置1及び露光装置10の製造時に行う画像形成実験により予め計測されて特定される。トナー付着不安定範囲を示す値(この例では、2〜5nsec)は、駆動制御信号生成部113に内蔵されるメモリー等に製造者により予め記憶される。
【0045】
そして、駆動制御信号生成部113、ハーフトーン処理部112から駆動パルス幅情報を取得して(S1)、当該駆動パルス幅情報から駆動制御信号のパルス幅を生成したとき(S2)、当該生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲であるか否かを判断する(S3)。駆動制御信号生成部113は、当該生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲であると判断した場合は(S3でYES)、トナー付着不安定範囲外となる値であって、例えば、上記生成後のパルス幅に直近となるパルス幅に変更する(S4)。なお、駆動制御信号生成部113が変更する当該パルス幅は、トナー付着不安定範囲外となる値であれば、必ずしも上記生成後のパルス幅に直近でなくてもよい。また、駆動制御信号生成部113は、上記生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲外であると判断した場合は(S3でNO)、上記生成後のパルス幅をそのままの値で維持する(S6)。
【0046】
例えば、駆動制御信号生成部113は、ハーフトーン処理部112から画素p2の駆動パルス幅情報として取得した“52”に対応するパルス幅が3nsecとなる場合、この3nsecは上記トナー付着不安定範囲2〜5nsecの範囲内であると判断する。そして、駆動制御信号生成部113は、このパルス幅3nsecを、トナー付着不安定範囲2〜5nsecから外れる値であって、当該3nsecに直近の値となる1nsecと6nsecのうちのいずれかに変更する。駆動制御信号生成部113による当該変換は、(1)元のパルス幅3nsecとの差の絶対値が小さい方の値(上記例では1nsec)に変更する、又は(2)トナー付着不安定範囲2〜5nsecから外れる値であって、当該元のパルス幅3nsecに直近となる大きい方の値である上記1nsecと小さい方の値である上記6nsecのうちの予め定められた方の値に拡大又は縮小する、のいずれかによる。
【0047】
また、駆動制御信号生成部113は、ハーフトーン処理部112から画素p1の駆動パルス幅情報として取得した“255”に対応するパルス幅が16nsecとなる場合、この16nsecは上記トナー付着不安定範囲2〜5nsecの範囲外であると判断する。この場合、駆動制御信号生成部113は、このパルス幅16nsecを変更せずにそのまま維持する。
【0048】
駆動制御信号生成部113は、全ての画素について、上記のようにしてパルス幅変更処理を終えると、当該パルス幅変更処理を経たパルス幅を各画素毎に有する発光部122の駆動制御信号を光走査部12の駆動制御部121に出力する(S5)。
【0049】
この第1実施形態に係る駆動制御信号生成部113のパルス幅変更処理によれば、トナー付着不安定範囲に属するパルス幅からなる駆動制御信号を用いて画素の露光(ドットの形成)が行われることを回避できる。これにより、スクリーン処理を行う場合に、予定したトナー付着が行われないことによるトーンジャンプ等の不具合が回避されるため、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことができる。
【0050】
この第1実施形態によれば、特に、画像形成装置1の操作者が、スクリーン処理部1122がスクリーン処理に用いるスクリーンテーブルを、他のスクリーンテーブルに置き換え、この置き換えられたスクリーンテーブルを用いたスクリーン処理部1122による階調データから駆動パルス幅情報へ変換された場合、当該変換された駆動パルス幅情報が、トナー付着不安定範囲に属するパルス幅に対応するものとなっても、駆動制御信号生成部113の上記パルス幅変更処理により、トナー付着不安定範囲に属するパルス幅からなる駆動制御信号を用いて画素の露光(ドットの形成)が行われることを回避できる。この手なでも、当該光走査部12の光照射による露光で形成される感光体ドラム表面上の静電潜像は、トナーが付着するかしないか不安定な領域が低減されるため、スクリーン処理を行う場合に、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理を行うことができる。
【0051】
次に、駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第2実施形態について説明する。図7は駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第2実施形態を示す図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の設定及び処理は説明を省略する。
【0052】
上述した第1実施形態では、駆動制御信号生成部113は、上記生成したパルス幅がトナー付着不安定範囲内である場合には、当該トナー付着不安定範囲外の値であって、当該生成後のパルス幅に直近となるパルス幅に変更するが(図6:S3でYES,S4)、第2実施形態では、上記生成したパルス幅が上記トナー付着不安定範囲内である場合には(図7:S13でYES)、駆動制御信号生成部113は、上述した内蔵メモリー等に予め記憶している予め定められた規則、例えば、(a)上記拡大又は縮小が予め定められた数連続しない配分とする規則、又は(b)乱数等に基づいた指定により、トナー付着不安定範囲内となる当該パルス幅を、当該トナー付着不安定範囲外となる値であって、当該生成後のパルス幅に直近となるパルス幅のうち、大きい方の値と小さい方の値のいずれに変更するかを決定し、当該決定した値に当該生成したパルス幅を変更する(S15)。
【0053】
例えば、駆動制御信号生成部113は、ハーフトーン処理部112から画素p2の駆動パルス幅情報として取得した“52”に対応するパルス幅が3nsecとなる場合、トナー付着不安定範囲2〜5nsecの範囲外であって、当該3nsecに直近の値となる1nsec(上記小さい方の値)と6nsec(上記大きい方の値)のうち、上記予め定められた規則によって指定されるいずれかの値に、上記パルス幅3nsecを変更する。
【0054】
なお、駆動制御信号生成部113は、当該生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲外であると判断した場合は(S13でNO)、当該生成後のパルス幅をそのままの値で維持する点は第1実施形態と同様である(S17)。
【0055】
駆動制御信号生成部113は、全ての画素について、上記のパルス幅変更処理又は維持処理を終えると、当該パルス幅変更処理又は維持処理を経たパルス幅を各画素毎に有する発光部122の駆動制御信号を光走査部12の駆動制御部121に出力する(S16)。
【0056】
この第2実施形態によれば、駆動制御信号生成部113が、トナー付着不安定範囲内となる上記生成したパルス幅を、トナー付着不安定範囲外となる値であって、当該生成したパルス幅に直近となるパルス幅のうちの大きい方の値と小さい方の値のいずれに変更するかを、上記予め定められた規則である(a)上記拡大又は縮小が予め定められた数連続しない配分とする規則、又は(b)乱数等により振り分けるので、上記大きい方の値と小さい方の値の一方に偏って、上記生成されたパルス幅が変更されることが回避される。このため、上記生成したパルス幅が、上記大きい方の値と小さい方の値の一方に偏って変更されてしまうことにより、階調が本来の階調から大きく変化するといった不具合を防止することが可能になる。
【0057】
次に、駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第3実施形態について説明する。図8は駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第3実施形態を示す図である。なお、第3実施形態では、第1又は第2実施形態と同様の設定及び処理は説明を省略する。
【0058】
この第3実施形態においては、駆動制御信号生成部113は、上記パルス幅変更処理を行う際、上記生成したパルス幅が上記トナー付着不安定範囲内である場合には(S23でYES)、当該パルス幅に対応する画素(画素Aとする)の周辺に、上記生成したパルス幅がトナー付着不安定範囲外となっている画素が存在するか否かを判断する(S24)。ここで、駆動制御信号生成部113が、パルス幅が上記トナー付着不安定範囲外となっている画素が周辺に存在すると判断した場合は(S24でYES)、駆動制御信号生成部113は、上記画素Aについての生成後のパルス幅をそのままの値で維持し(S28)、上記トナー付着不安定範囲外の値へのパルス幅変更を行わない。駆動制御信号生成部113が、上記生成したパルス幅が上記トナー付着不安定範囲外となっている画素が周辺に存在しないと判断した場合にのみ(S24でNO)、駆動制御信号生成部113は、上記画素Aについての生成後のパルス幅を、上記トナー付着不安定範囲外の値に変更する(S25,S26)。
【0059】
なお、図8には、S25として、駆動制御信号生成部113が、上述した予め定められた規則に基づいた指定により、トナー付着不安定範囲内となる当該パルス幅を、当該トナー付着不安定範囲外となる値であって、当該生成後のパルス幅に直近となるパルス幅のうち、大きい方の値と小さい方の値のいずれに変更するかを決定し、当該決定した値に当該生成したパルス幅を変更する処理を行うことを示しているが、当該第3実施形態においては、S25の処理は、行っても行わなくてもよい。すなわち、S25及びS26の処理に代えて、図7に示したS14及びS15の処理を行ってもよい。
【0060】
さらには、S25及びS26の処理に代えて、図6に示したS4の処理を行ってもよい。
【0061】
このように、第3実施形態では、トナー付着が不安定となるパルス幅による駆動制御信号を用いて発光部122により光照射される画素が孤立しており、当該パルス幅での駆動制御信号を用いた発光部122の光照射によるトナー付着不安定の弊害が顕著な場合にのみ上記パルス幅変更処理を行い、また、パルス幅がトナー付着不安定範囲内となっている画素が孤立しておらず、パルス幅がトナー付着不安定範囲外となっている周辺画素が存在し、当該トナー付着不安定範囲内となっているパルス幅での駆動制御信号を用いた発光部122の光照射によるトナー付着不安定の弊害が低減される場合は、上記パルス幅変更処理を行わない。これにより、元々の階調データに従ったパルス幅を有する駆動制御信号に近付けることができるため、元の画像データの再現性を可及的に維持することが可能である。
【0062】
次に、駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第4実施形態について説明する。図9は駆動制御信号生成部113によるパルス幅変更処理の第4実施形態を示す図である。図10(A)は駆動制御信号生成部113による変更前の駆動制御信号を示す図、(B)は駆動制御信号生成部113による変更後の駆動制御信号を示す図である。なお、第4実施形態では、第1乃至第3実施形態と同様の設定及び処理は説明を省略する。
【0063】
この第4実施形態では、第1実施形態と同様に、駆動制御信号生成部113、ハーフトーン処理部112から駆動パルス幅情報を取得して(S31)、当該駆動パルス幅情報から駆動制御信号のパルス幅を生成したとき(S32)、当該生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲であるか否かを判断する(S33)。
【0064】
そして、駆動制御信号生成部113は、当該生成後のパルス幅が上記トナー付着不安定範囲であると判断した場合に(S33でYES)、トナー付着不安定範囲外となる値であって、例えば、上記生成後のパルス幅に直近となるパルス幅に変更するが(S34)、この第4実施形態では、駆動制御信号生成部113は、このパルス幅変更処理を行った場合、当該パルス幅変更処理により低減されたパルス幅の値分を周辺画素のパルス幅に加算し、又は、当該パルス幅変更処理により増加されたパルス幅の値分を周辺画素のパルス幅から減算する(S35)。すなわち、駆動制御信号生成部113は、当該パルス幅変更処理により上記パルス幅が低減又は増加された画素がある場合に、当該低減又は増加されたパルス幅の値分を周辺画素のパルス幅に配分する。
【0065】
例えば、画素p1〜p9に対応する駆動制御信号が図10(A)に示すものであり、また、駆動制御信号生成部113が、0 nsec,1 nsec,2nsec,3 nsec,4 nsec,5 nsec,6 nsec,7 nsec,8 nsec,9 nsec,10 nsec,11 nsec,12nsec,13 nsec,14 nsec,15nsecの16段階のパルス幅を用い、トナー付着不安定範囲が1〜5nsecである場合に、当該駆動制御信号において、駆動制御信号生成部113が、パルス幅変更処理により、画素p2,p1,p4のパルス幅を0 nsecに変更する場合は、図10(B)に示すように、画素p2,p1,p4のパルス幅を0 nsecとする一方、画素p2についての周辺画素p6,p9に、画素p2のパルス幅の低減分を配分し、画素p1についての周辺画素p3,p5に、画素p1のパルス幅の低減分を配分し、画素p4についての周辺画素p7,p8に、画素p4のパルス幅の低減分を配分して加算する。なお、ある画素に対していずれの位置にある画素を周辺画素とするかは、当該例に限られず、近接する任意の数の画素を当該周辺画素とすることが可能である。
【0066】
この第4実施形態によれば、光走査部12の光照射による露光で形成される感光体ドラム表面上の静電潜像における、トナーが付着するかしないか不安定な領域を低減して、画像品質を低下させることなく、従来よりも安定した品質で階調処理が可能という効果を得つつ、上記パルス幅変更処理により、再現される画像に影響を生じるはずであった階調変化分を、周辺画素の階調により補わせて、元の画像データの再現性を可及的に維持することが可能である。
【0067】
なお、第4実施形態は、第1実施形態を基にしているが、上述した第2及び第3実施形態において、上記パルス幅変更処理(図7:S15,図8:S26)が行われた後に、図9で示したS35におけるパルス幅変更分の配分処理を行うようにしてもよい。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、駆動制御信号生成部113が上記パルス幅変更処理を行うことによって、トナー付着不安定範囲内のパルス幅での駆動制御信号を用いた発光部122による光照射を回避しているが、ハーフトーン処理部112のスクリーン処理部1122が上記スクリーン処理に用いるスクリーンテーブルの値を変更することによって、駆動制御信号生成部113によるトナー付着不安定範囲内となるパルス幅の生成を防止してもよい。
【0069】
この場合、トナー付着不安定範囲を、製造者等が、当該画像形成装置1及び露光装置10の製造時に行う画像形成実験により計測して特定した際に、当該トナー付着不安定範囲内となるパルス幅に対応するパルス幅情報を特定しておき、スクリーンテーブルにおいて、当該特定したパルス幅情報を、例えば、トナー付着不安定範囲外であって当該パルス幅の直近の値となるパルス幅に対応するパルス幅情報に変更する。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
10 露光装置
11 制御部
111 階調データ生成部
112 ハーフトーン処理部
1121 ページメモリー
1122 スクリーン処理部
1123 スクリーンテーブル部
113 駆動制御信号生成部
12 光走査部
121 駆動制御部
122 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面にレーザー光を照射して走査する光走査部と、
画像データに基づく階調データを画素毎に生成する階調データ生成部と、
前記階調データ生成部によって生成された階調データに対応するパルス幅を示す駆動パルス幅情報を画素毎に作成するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる値に変更し、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、当該予め定められた範囲外の値となる場合には当該パルス幅を維持する処理を行い、当該変更又は維持されたパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、
前記駆動制御信号生成部によって生成された駆動制御信号を用いて前記光走査部を駆動する駆動制御部と
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動制御信号生成部は、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、前記予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅を、当該予め定められた範囲内から外れる直近の値に拡大又は縮小する変更処理を行い、当該変更処理を経たパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動制御信号生成部は、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅について前記変更処理を行う際に、前記拡大又は縮小のいずれを行うかを、予め定められた規則に従って振り分ける請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動制御信号生成部は、前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅となる画素の周辺に、前記予め定められた範囲から外れている値からなるパルス幅となる画素が存在する場合には、当前記駆動パルス幅情報に対応するパルス幅については、前記予め定められた範囲内の値となる場合であっても、前記変更処理を行わない請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動制御信号生成部は、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅が、前記予め定められた範囲内の値となる場合には、当該パルス幅に前記変更処理を行うと共に、当該パルス幅の変更分を、当該パルス幅が変更された画素の周辺に存在する画素についてのパルス幅に配分する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動制御信号生成部は前記変更処理を行わず、前記ハーフトーン処理部が前記画素毎に作成した駆動パルス幅情報に対応するパルス幅を用いて、前記光走査部の駆動に用いる駆動制御信号を生成し、
前記ハーフトーン処理部において前記パルス幅を作成するスクリーン処理に用いられ、前記階調データとこれに対応する前記駆動パルス幅情報の対応関係を示すスクリーンテーブルにおいて、前記階調データに対応して記憶されている前記駆動パルス幅情報の値が、前記予め定められた範囲外の値とされている請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86280(P2013−86280A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226162(P2011−226162)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】